1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月二十六日(木曜日)
午前十一時四十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 鈴木 恭一君
理事 尾崎 行輝君
山田 節男君
委員
大島 定吉君
新谷寅三郎君
小笠原二三男君
稻垣平太郎君
水橋 藤作君
池田七郎兵衞君
委員外議員
千葉 信君
国務大臣
郵 政 大 臣
電気通信大臣 佐藤 榮作君
政府委員
電気通信大臣官
房審議室長 大泉 周蔵君
電気通信大臣官
房人事部長 山岸 重孝君
電気通信省業務
局長 田辺 正君
電気通信省業務
局国際通信部長 花岡 薫君
電気通信省経理
局長 横田 信夫君
電気通信省施設
局長 中尾 徹夫君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 栄一君
説明員
電気通信事務次
官 靱 勉君
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本日の会議に付した事件
○日本電信電話公社法案(内閣提出、
衆議院送付)
○日本電信電話公社法施行法案(内閣
提出、衆議院送付)
○国際電信電話株式会社法案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/0
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001・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) これより委員会を開きます。日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案、国際電信電話株式会社法案を議題といたします。昨日に引続きまして質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/1
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002・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 大体主なことは質問をいたしまして、政府の考え方もわかつたのですが、なお残つた数点につきまして電通大臣にお伺いしたいと思います。先般も政府委員にお尋ねしたのですが、公社法の六十二条に関する問題でありますが、電信電話債券の発行についてでありますが、この公社法案を提案されました一つの大きな理由は、昨日山田君との間にいろいろ質疑応答が交わされましたが、要するにやはり電信電話の建設の資金が非常に足りない。今までのやり方で財政資金だけつを使つておつたのでは建設資金に非常に不十分であろう。従つて財政資金以外に他の一般資金、一般の民間資金或いは外債を含めた外部資金というようなものを使うてでも必要な建設資金の充足をしなければならんというのが一つの大きな目的になつていると思うのであります。そこでこの法律案の中には外貨で支払われるものについては政府が特に保証契約をすることができるということまで書いてあるのでありますが、これは至極尤もだと思うのですけれども、電信電話債券について外債でも募集いたします場合には従来の例から行きますと、やはり外国の資金がこういう他の国の事業に投資される場合には相当安全性を保証しなければならん。で、政府の保証のほかに従来の例によると大体担保を提供する担保付のものが絶対多数を占めていると思うのです。担保がなくて、外債を募集できたというような例はそうたくさん今までに例はないのじやないかと思う、そこで公社の持つている財産の中でどの程度まで一体担保力を持ち得るか、信用力を持たせ得るかということは、非常にこれはむずかしい問題であると思いますが、少くとも建物とか不動産につきましてはこれは十分に担保に供し得るだけの力が認められるのです。一方電気通信関係のいろんな法律から行きまして、電気通信のほうの諸設備を仮に担保に入れましても、これは日本で外国人が電通事業を営めるということは考えられないので、そういつたものについては非常に担保力が減殺されるだろうと思うのです。併し土地建物についてはずつと普通の値段でこれは担保に供してそれだけの信用力があるという前提から考えますと、電信電話債券のつ消化を円滑にするためには、やはり担保付の社債と同じように担保を提供することができるというような規定があつたほうがいいのじやないか。特に外債の場合にはそのほうが外債の消化に有効な働きをするのじやないかということも考えられるのであります。この点は政府の説明も実は多少足りなかつたと思うのですが、どこかの規定にさような電気通信設備の譲渡、交換、こういうことについては国会の議決を経ることになつておつて、勝手な処分は制限されている。併しこれは譲渡、交換ということについてだけは国会の議決を経れば差支えないということなのか或いはその他の担保提供とか或いは賃貸とか、そういつたことについてはこれは自由にやれるのだという解釈なのか、法律解釈としても疑義がある。私の考えはここに掲げてありますのは国会の議決を経れば譲渡とか、交換ということはよろしいが、併し担保に供する場合はこれは予想されない、或いはそういうことはしてはならないというやはり禁止の思想が入つているのじやないかというふうに解釈せざるを得ないのです。そうなつて来ると担保の提供ということについては、ここに六十二条に明文を設けて置かなりいといけないという解釈になるので、又それがないと先ほど申上げたように外債の消化に困難を感ずる場合がありはせんかりという実例があるのですね。この点電通大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。法律解釈と合せて電通大臣の御意向を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/2
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003・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 只今の御意見至極御尤もな点であります。外債或いは外貨債を受入れるという場合にどういう方法をとるのか、普通ならばこれに担保を提供する。これが普通のあり方だと思います。そこでこの点に実は非常な苦心を払つたつもりでいるのであります。或いは行き方については非常な困難性が逆に生ずるかもわかりませんが、この担保を提供しないで外貨債を得るという建前を考えたわけでございますが、なぜそういうことを考えたかと申しますと、財産抵当その他の抵当を、担保を提供いたしますことは、経営の面から見ましてやはり場合によりますると、経営に介入ということにも相成るのじやないか、これは当然のことだと思うのです。債券者が債務者に対して要求するものはそういうものが当然考えられるのです。事業の性格から見まして、そういう方法はなるべく避けたい。そこで政府の支払保証という形によりまして、この法律の考え方といたしましては物的担保は提供しない。併し政府の支払い保証ということによつてその欠を補つて行く、それによつてその外貨債を獲得して行こうじやないか、そういたしますると経営上も支障なくやれるのじやないか、これは実はあらましの考え方なんです。併しこの点は必ずしも、いわゆる経済の普通のあり方とは違つておるのでありますのでここに一つの現実の問題として政府が意図する通りの外貨債が獲得できるかどうか、こういう問題はあるだろうと思います。併し私どもが今までの経過等から見ますると、この種の事業でありますれば、殊に公社という形において経営されておる限り、只今申上げるような政府の保証のほうがむしろ有効なのではないかという考え方をいたしておるわけであります。殊に財団抵当を作るということについては、経営上のいろいろな問題も当然それに関連するだろうと考えますので、成るべく避けるというのが実は今日も引続いておる考え方なんです。例えば鉄道の場合のその鉄道財団というようなものも考えられる、その鉄道の場合の財団設定等については私どももいろいろ考えて参つたのでありますが、あの財団よりも最近は相当進んだシステムが考えられておる。例えばカーボンド・システムというのは車両自身がその担保の対象になつて必ずしも全体を財団設定しなくてもいいじやないか、結局線路があろうが建物があろうが車両がない限り鉄道収益というものはないのだ、だから車両自身が担保の対象になるならば相当の代替性もあるし、むしろそのほうが有効だということも言われるし、アメリカあたりではそういうふうな考え方がとられておるわけなんです。で、日本は財団抵当の方向で物事を考えて参つておりますが、これは電気通信の場合だと只今申上げるようなカーボンド・システムというような制度は必ずしも考えられたい。今まで工夫いたした点ではありますが、結局政府の保証でこの点を避けてみようというのがその工夫だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/3
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004・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 電通大臣の言われるようにその通りに行けばいいと思うのですが、ただ相手が外国の政府であつたり、特別の金融機関であつたりするという場合は、これはその政府保証だけで、政府と政府との信義に基いてこれは或いは或る程度外貨債が消化されるかとも思うのですが、併し今までにとられておるような外貨債、つまり外国の国民大衆がやはりその債券を持つというような形になつて来ると、これはもう理窟の問題よりもやはりその安全感を与えておくということが必要で、この点から言うと、一般に外貨債で外国の国民大衆が債券を買つて持つということについては、殆んど例外なく今までの例を調べてもやはり担保を提供しているのじやないかと思うのですが、この辺はだから私は債券の消化は、理窟の問題よりもどの程度の安全感を与えたほうがいいかという政策の問題になつて来るのじやないかと思うのです。電通大臣の言われるように、この電通事業について工場財団抵当法のようなものを準用したり、或いは適用してやりましても、これは私はそう今国内で電気通信事業の資産評価はこれこれだ、収益はこれこれだから、従つてこれくらいの担保力はあるのだろうと言つても、先ほど申上げたように外国人がこれを押えてとつてしまつても国内で通信事業はやれないのですから、土地、建物以外にはそう大きな評価をしないだろう。この点では非常に制限されるだろうと思いますから、これについて実質的に電気通信事業の持つている、つまり経済的な力、従つて信用力というものに大きな期待をして]いるわけじやないのですけれども、従来の例から見てそういう担保付の社債とか、こういうものが殆んど例外なしに行われているということから、果して政府保証というだけで、外国の国民大衆がそれに満足して応募するかどうかということについては非常に疑点があるわけです。それで若しもそのほうがよりいいんだ、担保をつけることにしたほうがよりいいのだという結論になれば、これは今立法の当時なんですから、少しも顧慮することなくその点を修正しておけばいいのだということを考えたわけですが、最後に念を押しておきますが、本当にこれで大丈夫かどうか、私は非常にこの点心配があるものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/4
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005・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の新谷さんのお話至極御尤もなんで、これは別に議論を申上げるつもりも実はないのですが、担保に提供した場合にあとで経営ができるかということになると、これは非常に担保力というものは強いし、併しながらただ押えるということだけだと、これは担保力としての効果は果して所期のものがあるかどうかという問題は、又議論に亘りますが、一つ考えられるのじやないか、むしろ収益を押えるというような方法はこれは普通取られる方法じやないか。これはまあ外国の例というか、にもそういうものがあるのじやないか、そういう点が政府の保証ということによつて、かたがつくのじやないか、むしろこの際の問題として考えますると、政府の支払保証に責任を持たして、そうして外貨債の支払についての確保ですが、それが確約できることがいいのじやないか。物的担保を提供しましてもこれを代替する方法がないということになりますると、これは余り効果はないのじやないか。ただ私ども少し私どもの主張にも幾分か理論的な矛盾があると考えられるのは、もう最初から申上げておりますように、外貨債はどこまでもコンマーシャル・ベースでやるのだということを申上げた。そうするとそれらの条件等が全部普通に行われるような方法によるのかというと、その方法によらないで、最後のところは政府の支払保証によつている、これはいわゆる考えかたとしても相当理論が一貫しないのじやないかという御議論があろうかと思いますが、この金を貸すほうの、貸主のほうから、債権者のほうから考えた場合にどちらが安心ができるか。国内においての電信電話の経営はこれは不可能だ、これはやれないの、だ、そうするとこの公社に代つてもつと信用のあるものがこれは保証してくれることが一番望ましい。これは政府関係機関である公社が経営するのだ、かような意味合いにおいてはやはり保証契約ということが一番望ましいことじやないか、だからこの方法によれば債権者としてはいわゆるコンマーシャル・ベースによる条件の下の債権債務の関係ではないが支払いについては全然心配はないのだ、こういうまあ議論が成り立つのじやないか。で、もつと徹底をいたしまして、事業経営ができるとか、或いは経営に介入ができると、こういうものでありますならば、これはもうお説のように思い切つてコンマーシャル・ベースの下にこの債権債務の関係を打立てて行くというのが本筋であろうと思いますが、経営に対する介入はこれはもう避けたい。或いは又直接の経営は御免を蒙る、こういうことになつて来ると物的担保の要はなくて、むしろここに言つておりますような政府の保証というほうが、これがどうもよろといのじやないか、ただ私どもも心配をいたしまするのは、かように政府が保証をいたしましても公社自身の実態、経営がやはり信用の基礎になるから、どうも日本の公社の経営は思わしくないのだ、こういうことになると、政府の支払保証がありましてもなかなか出て来ないのじやないか。その点を考えるとやつぱり経営に介入するということがキイ・ポイントになるのじやないか。この点はこれは止むを得ないと考えるが、只今まで私どもが考えて参りましたような経営介入はどこまでも避けて行くのだという建前でするというと只今の結論が出て参るのじやないか、かような考え方がするわけであります。殊に今回初めてやりますこの種の規定でありますので、当初からあらゆるケースを予想して法を整備しておくこともこれも勿論一案だと思う。同時に只今申上げるような難点のあることを考えると、一応この程度の規定にいたしておいて、将来の問題で更にそのときの情勢に合うように御工夫願うというのも一つの考え方ではないか、かように考える次第でありますので、重ねて私どもの所見を申上げて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/5
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006・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 大体わかりましたが、私も強いて入れなければならんとも考えてないのですが、結局こういうものは初めてなことですが、而もこれが建設資金の獲得の上には重大な問題ですから、どういうケースが起つてもそれに処し得るようにしておいたほうがいいのじやないかという見地から今申上げたような疑いを持つたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/6
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007・稻垣平太郎
○稻垣平太郎君 今のに関連して。新谷委員の御質問に対しての大臣の御答弁を了承したわけですが、どうも御答弁を承わつておると、二者択一的に、或いは担保を提供するか、或いは政府保証かという形のようにちよつと承わるのですが、我々として考える場合には、財団を設定して担保を提供すると同時に政府保証を要求されるケースのほうが私は多いのだと、こう思うのです。政府保証だけでは納得できない、やはり担保を置かなくちやいけないのだ、こういうケースが私は外資の場合においてむしろ多いのじやないかというように私は考える。そこで今のお話のように、これは担保を設定した場合に経営に入つて来るか入つて来ないか、こういう問題が実際問題としては一番大きな問題だと、こう思うのですが、実際は私はこれはもう入つて来ないと思う。併し又或る場合には入つて来られるほうが経営自体の上にむしろいい影響を与えるのじやないかというように我々も実は委員会で金を借りつけておりますから、外資を入れておりますからよくわかるのですが、どうしても経営の上にむしろ塚を容れてもらつたほうが経営の実態がよくなるのだという考え方も実際は持つておるので、そうしてこれが今仮に外資ができる場合を予想して、外資ができる場合に、政府の保証も欲しいが、同時にどうしても担保を設定してもらいたいのだ、こうなつた場合に、さて国会なりその他の立法的な手続をなさるというようなことになりますと、実際はこれはもう逃げて行つでしまいますし、一体そんな悠長なことでは、公社をお作りになつた意味は私はないと思うのです。公社を作られる以上できるだけこの公社の規定を見ると、できるだけ公社が手数をかけないで公社の総裁なり、その他の人たちの相談ずくで簡単に、丁度民間の会社と同じように早く物事が運んで行くことを狙われておるのだと私は思うのですが、それがたつた簡単なそれだけの規定を用意しておかないために、折角できる話もできなくなる、或いは非常に条件が悪くなる、こういうことでは甚だ私はいかんと思うので、さつき新谷さんも念を押されましたが、そういう規定をお入れになる意思があるのかないのか、若し又我々がそういうことの規定を入れて欲しいと言つた場合には、これは大臣としてはそれに御賛成なさるのかなさらないのか、念のためにちよつと承わつておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/7
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008・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 実際的なお話につきましては私どもも全く素人で、ありまするし、殊に新谷さんに対する私の答弁で私の所見は申上げたのですが、更にそれについて稻垣さんから重ねてのお話がありましたが、択一的な方法でありますならば、先ほど来の説明で政府の考え方ははつきりいたしておりますが、政府の支払保証の上に物的担保を必要とするとか、或いは物的担保の上に政府の支払保証を必要とする、かように二つがないと外貨債は容易でないぞと、こういう御注意、これはわからないわけではないのでありまして、そういう点は外貨債を募ります際の条件としまして非常に緩和されるのでありますから、債権者としてはこれは進んでもやつて来るのじやないかと思うわけであります。それについて更に進んで経営権に場合によつてはタツチしてもいいのじやないか、タッチすることも、介入することも、更に進んで望ましくはないか、こういう御意見でありますが、ここのところがまだ私どもとしてはそこまで踏み切れないでおる。今までも一貫して御説明申上げておりますように、この事業としてはやはり公社性格が望ましいのだということを実は申上げておりますので、これでなかなかそこまで突き進んですべての踏み切りができておらないということだけは御了承頂きたいと思うのです。過去の電力会社等の実績を見ますると、これはやはり或る程度の経営への介入というものがあるわけでございます。今まで国営でやつて参りました事業でありますだけに、又これを会社にしないで公社の性格でこの事業運営をして参りたいと、かような主張をいたしております関係から申しますると、やはり経営権への介入はできるだけ避ける。又そういう意味においてそういう危険があります事柄はこれ又できるだけ避けて参りたい。勿論外貨債も大きな資金獲得の問題には違いないのでありまするが、やはり国内資金獲得が公社といたしましては第一に考えらるべき筋のものであろうと思います。又現在の普及の実情等から見ますると、事業的な問題としては積極的な支援をも相当望み得る。新らしい近代的な機械装置を整備をすると、こういうような意味合においても外国の援助が積極的に外貨債の形で来るとか、いろいろな方法でやつて来る、こういうことに対する対応の措置を講じて参るべきではないか、いわゆる全部を明け放しの状況にするわけには実は参らないのではないか、実はかように考えて今回この種の提案をしておるわけであります。この場合の結論といたしまして、国会で御審議頂くのでありますので、事務当局或いは大臣の説明では不十分だ、やはり外貨債を積極的に募るとするならば二重の担保を提供するような方法でなければ無理だ、こういうお考えでありますならば、これはもう止むを得ないという表現はいたしますが、私どもは考え方で賛成願えるかと言われると、二重の担保方法をとらなければならないことについてはどうも賛成しかねる。それは外貨債に対して非常に優遇をするのじやないかという非難も一面に受けやしないか。先ほど来新谷委員から言われました程度の二者択一的な方法ならこれは一応考えられますが、それにいたしましても、今私どもは進んでは賛成はしたくない。併し更にそれを条件を加重するという意味において二重の担保を提供しなければいけない。物的担保もやるが、更にその上に政府の支払保証、又必要によればということには違いないと思いますが、必要によれば政府の支払保証もやるのだというのでは、これは外貨債に対しまして特別な考慮が払われる、ということでありますことだけに、将来の経営上の問題としてもちよつと私共考慮を要する問題じやないか、かように実は考える次第でございます。この点私経済界の実情については非常に暗い者でありますので、実際の問題からしますと或いはどうもそれじや適合しないじやないかという御批判があろうかと思いますが、今回の措置から見ますると、まずこの程度に一つして頂きたいような感じがするので、率直に意見を開陳いたしまして御批判を乞います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/8
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009・稻垣平太郎
○稻垣平太郎君 今佐藤さんのお考えなり方はよく了承いたしたのですが、ただ仮りに外貨が入るという場合を予想しまして、交渉の進展の状況によつて二者択一的というさつき話が出たので、これは必ずしも二者択一的じやない、両方並行的に行かなければならん場合もあり得ることを申上げたのですが、仮りに政府の保証は要らないのだ、ぜひ財団を設定して担保をとつておきたい、こういう場合に考えられることは、先程大臣のお話になりましたように、向うの新しい近代的な優秀な機械を入れるとか或いはそれに対して技術的な指導をする、それを外貨債に振替える、こういつたようなケースがあつた場合に、私は進んで向うが経営にタッチしてくれたほうがより多く電話事業というものが、或いは通信事業というものが、日本で進展して行くだろうというように考えるので、従つて根本的に大臣のお考えと私とは違うのです。私はいつでも向うの新しい機械なり或いは技術が導入される場合には、とにかく日本のレベルが電話事業、通信事業でも遅れていると思うのですが、少くともレベルを同じようにするというプラスの面がある。そこで経営にタッチされるということはそのプラスの面を強化するということであつて、これを公社にしなきやならん、国家的な通信事業であるが故に経営権にタッチされることは困るというお考え、そういう小さな考えでは本当に電話事業というものは伸びて行かないのじやないか、こういう私は考え方を持つておるが故に先程のようなお話を申上げたので、私はもう少し視野を広くして頂きたいと、こういうことを申上げて、これはもう話が並行線になりますから、これで私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/9
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010・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今のお話ですが私も稻垣さんの言われる通りなことが考えられる、これは思い切つてそこまで踏み切ればこれはもう至極結構だ、これがいろいろの純経済問題としてまでやはり考えられないで、いろいろの政治的情勢等も勘案してそこまで踏み切れないということを申上げておるのでありまして、別に基本的な考え方に相違を来たしておるとは私は思つておりませんが、只今の段階はこの程度をもつて御了承願いたいと重ねて申上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/10
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011・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 稻垣委員からの御発言、実は私そういうお考えは電通大臣持つておられるものという前提で私もお話しておつたのです。例えばアメリカの電信電話事業を見ますと、技術のほうも勿論、それから機械類その他すべて格段の相違があるのです。おそらく電信電話事業について外貨債が引受けられるという場合、そういう技術或いは新らしい機械類、そういつたものを見合つて外貨債という形になつて来るのじやないかと思うのですがね。それは今の日本の電信電話事業にとつては決してマイナスにならないどころじやなしに、これはもう必ずそれを有効に使い得る素地はできておるのだから、若干のものを入れることが非常に画期的な発達を来たすゆえんになるだろうと思うのです。一例を申上げてみると、マイクロの問題、私は技術者じやないからわかりませんけれども、二十五チャンネル、三十チャンネルのマイクロをやつとこの頃試作してやり出した、向うでは七百二十チャンネルのマイクロ・ウエーブをすでに実現しているというような状況を見ますると、何年か経てば研究の結果日本の技術者が生み出してくれると思いますけれども、この際多額の研究費を貸して何年先になるかわからんというような状況でこれを放任するよりも、若干外貨債の形でそういう技術と機材を入れましてそうして日本にも必要な電信電話の回線を確保するということがむしろ今の日本の電気通信事業の実情から見ると望ましいことじやないかということを考えるので、それで外貨債に対しては貸してやろうと言えば借りてもいいじやなくて、そういうことはむしろなんとか貸してもらうような努力を電通大臣としてはお考えにならなければならん筋合だと思うのです。そういう意味から言いますと、経営権にどのくらい入つて来るかということは問題でありましようが、私達の今までこの委員会でいろいろな審議の際につけた見当から行きますと、まあ復興の資金にしても例えば五百億円くらいの資金がここで得られれば機械設備というものも充実するということも説明にも聞いておりますし、それからそういうマイクロ・ウエーブなんかを仮りに日本で採用するとしますればこれは今の建設事業費に対してどのくらいの節約ができるかは、これはなかなか予測できないくらいのものだろうと私は思うのです。そういう点から見ると、なるべくこの外貨債については積極的な態度で臨むと同時に、それが少しでも入りいいようにしておくということが今の電気通信事業にとつては一番の問題じやないかと私も考えておるわけなんです。この点は稻垣委員の言われることと私全然同感で、そういう前提で私も質問しておつたので、これは押し問答しても仕様がありませんから、この程度にしますが、実際の運用に当つてはこの規定がいずれになろうとも、そういう意味において技術及び改良された新しい機械設備の輸入ということについてもつと積極的に考えて運営ざれなければ電信電話事業というものは急速な発展はしない、いつまでも取残された状態におかれるだろうということを私は心から心配しておりますので申上げておるわけですから、この点私の意見として申添えておきます。それから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/11
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012・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お説は至極御尤もで、私あえて自説を固執するわけでは毛頭ありません。それから新らしい機械機器等が日本に入つて来ること、これは最も望むところであります。ただその場合に公社法でつき進んで財団抵当の問題にまで入つて参りますると、関係法律の整備等も実は必要とするわけであります。そこで今この公社法を作りました際に、問題になりますきなケースをいろいろ考えてみまして、これを直接公社がやる場合もあるし、日本のメーカーをしてさような方法をとらす方法もあるのじやないか、むしろ公社のほうに譲りますならば関係法律の整備等の手も実は省けやしないか、こういう点も実は考えておつたことだけ附加えて申上げておきまして、考え方として全面的に反対を申上げるわけではなくつて、実際の扱いかたとしてそういう面もあるんじやないか、そうしてまあ関係法律の整理等をやや簡易化したという感のあることだけ正直に白状いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/12
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013・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 それからこの電信電話債券の発行については、これは運用上の問題だと私は考えるのですが、先般来御説明の中に、地方的にでも電信電話債券を相当引受けてくれることも生じ得る見込もある、そういう計画も持つておるというような御説明がありましたが、結局これはこういうふうに了解してよろしうございましようか。私はかねて国内の電信電話の諸施設は、これは或る部分は、例えば通信社等に専用される分もあるでしようし、その他必要な銀行或いは官公庁、そういつたものは回線を専用する場合もあるでしようけれども、そういうふうに一般的に国民が利用するような、国内における主な電気通信の設備というものは、やはりその公社がみずからそれを揃えて、みずからそれを所有して行くべきである、何かいろいろのケースを考えますと、どこか個人が、何か国内通信の主要な設備をして、公社がそれをむしろ逆に借受けているというような考えかたを持つている人も一部にあるようですけれども、これは全く逆行するもので、公社はその責任上、一般公衆の通信にも充て得ると、又他の専用通信にも充て得るようなものについては、公社がみずから進んで設備を持つべきである、そのために必要であればそういう特別の受益者といいますか、関係者に債券を持たせるというような方式で考えて行くべきじやないかと考えるのですが、この債券の発行の運用方面について、私の申上げたように、電通大臣もお考えですかどうですか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/13
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014・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お説の通りであります。ただ、今お説の通りと申しますのは、公社といたしまして国内の施設についてはみずからこれを設備し、みずからがこれを運営して行くと、これが基本的な大原則であります。社債等の発行に当りまして、地方の協力を求めるということを申しましたが、この点も只今の原則の下において考えて、同時に地方が引受ける、或いは協力する場合におきまして、いろいろの弊害等をも予想できるのでありますが、そういう弊害を除去しつつ地方の協力を求める、又受益者の協力を求める、こういう考えかたでありまして、只今御指摘になりました通り全面的に私共も同様の考えかたで進んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/14
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015・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 よくわかりました。それではその次にこの公社法案の中で、先般来質疑をいたしまして御回答を得ておるので、更に繰返すことになるのですが、まあ従業員諸君に対する処遇について、これは今のは差当りは例えば恩給法とか退職手当に関する規定であるとか、その他種々の待遇について規定が置かれておるわけでありますが、これは将来はやはり電気通信事業というものにふさわしいこの労働条件の特殊性に鑑みて、従来の一般公務員に対する処遇と同一に扱わなければならんということはないはずでありますから、これから総裁もきまり、御研究の上で、電気通信事業の従業員にふさわしい、又その事業の収益というようなものも考え併せて、それにふさわしい特別の各般の諸制度を樹立せられるものと了解してよろしうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/15
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016・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お話の通りでございます。規定の第八十条に、「当分の間、これに同法の規定を準用する。」ということがあつて、当分の間となつておるのでございます。いずれは公社といたしましては、公社職員にふさわしい給与準則なり給与規定を作るべきものであるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/16
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017・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 その点は是非そういう考えで公社が進まれるように、主管大臣としても御指導を願いたいのであります。
それからこれは細かい問題でありますが、従業員諸君が要望しておりますものの中の一つでありますけれども、鉄道、専売等との関連もあつて、相当考慮すべき問題があると思いますけれども、平たく言いますと、町村の議会の議員にはなれるけれども、府県の議会の議員にはなれないという制限がある、これは国会議員についてはまあないとしましても、町村議会の議員まで制限せられるということは、これは電気通信事業の建前から申しましても、府県まで及ぼしてもそう大した弊害はないんじやないかということを考えるのですが、その点は町村に制限を置かれるということは、国鉄とか専売の例を見て、ただ劃一的に右へ倣えしたということなんでしようか、特別の理由があるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/17
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018・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように公職に就くことを制限する本筋は、実は余り望ましくないということはこれは言えるのであります。併し同時に公社の職員といたしましては、公社の職分を遂行することを本体に考えて頂いて、職分に支障のない範囲において、やはり公職に就くということに、ものことは考えて頂きたい。そこで今日までの府県会の実際のありかたを見ますると、御承知のようにその所在の場所も多くの場合におきましては、自分の住居地と離れておること、或いは勤務地と離れておることを予想しなければなりませんし、又仕事の量におきましても、府県会等はなかなか仕事が多くて長期に亘つて開催されるのでありますので、やはり仕事をいたす人といたしましては、なかなか両立し兼ねるんじやないか、まあ両立する範囲において考えてもらおうというので、先ず府県会は、その意味において、府県会議員になることは、これはやめてもらいたい。町村の程度ならばいいのじやないかという考えかたでありますが、そこで一番問題になりますのは、町村はよくて市はなぜいけないかという問題があるわけであります。殊に市と申しましても非常な厖大な市とそれから場合によると町に比べて町よりも小さいものがあると、そういうような批判まで受ける市もあるわけでございますので、そこに実際問題として考えますると、如何にも市を除くことは不都合だというような議論も成立つわけでありますが、この辺は一つの標準を作るとすると、止を得ず市は外れざるを得ない、やはり大きい場合の府県を考えて行つて、大きな市を一応基準に考えざるを得ないのでありますので、そこでこれは府県と同様仕事となかなか両立し兼ねるんじやないか、かような見かたをいたしておるわけであります。鉄道なり専売等は勿論先例としてすでにあるわけでありますので、ただ単に先例をとつたというわけでなしに、只今申上げるような公社職員としての仕事遂行又公職遂行、その範囲をどの程度で調和ができるか、ここに主眼点を置きまして、町村ならばよろしい、それ以外は一つ制限をして頂きたいというのが考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/18
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019・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 よくわかりました。ただ現実の問題としては、この電気通信事業の職員が自分の住んでおる町村で仕事をしておるということは極く稀でありまして、これはむしろそのほかの町村に出かけて行つて、或いはほかの市へ出かけて行つて大体仕事をされる場合が多いだろうと思うのです。そういうことを考えると、町村の場合でも、県の場合と実際問題としてはそう大した、この勤務地と居住地との隔りから来ます開きはないのじやないか、成るほど県や市の議員というものは、町村の議員よりも言わば格が上です。従つて仕事が大規模で重大だろうということは一応言えるだろうと思います。その仕事の繁閑の程度から行きますると、これはどちらが忙しいかどちらが忙しくないかということは、この地方自治団体の規模とは、これは又大分趣きが変つておると思います。併し大臣の御説明で御趣旨は一応わかりましたから、時間がありませんので、他の質問をいたしますが、もう二点伺いたいのです。
一つは、この会社法と公社法とを通じての監督命令の問題であります。この前も大臣にいろいろ該博な法律論をお聞きいたしましてよくわかつたのでありますが、この間山田委員から質問されましたような、例えば通信の秘密保持その他公共の利益に関するような問題、そういうことについて、これは特別にこの会社法等では規定は置いておりませんが、これは当然他の法令によつて義務付けられておる。併し公衆の利益を阻害するようなことを現実にやつた場合には、その個人は罰せられるかも知れないけれども、そういうことをなし得るような仕組みになつておるということが第一困るのだと、それについては会社に対して、場合によつてはどういうふうにして公衆の利益を守れというような命令を出さなければならん場合もあるのじやないかということを、山田委員との質疑応答を聞いておりまして私は感じたのであります。そういう点を言つて下されば、私も別にこの監督命令の規定を取つたほうがいいということを一概に申すのじやないのですが、先般のような御説明では、ただ認可を受けろと言つてあるのだけれども、認可を受けなかつた場合に、更に命令を出して認可を受けさせるのだというようなことでは、これは法律の形態としてはどうかと、了承しかねるということを申上げたのでありますが、そういうことを本当にお考えになつておるならば、この書き方は別としまして、規定としてはやはり必要じやないかということを感ずるようになつたのですが、その点は極く簡単でよろしうございますから、結論だけ大臣から更にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/19
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020・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ山田委員並びに新谷委員からお話が出ておりますが、やはり公共の福祉を増進するため必要な場合という字句はよく使われておるのでありますが、やはりいろいろの場合を想定いたしますれば、その種の観点に立つての命令等は、主務大臣としては随時出せるようにあるべきではないか、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/20
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021・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 それからもう一つは、会社法関係の問題ですが、評価審議会の委員の問題ですね、原案によりますと委員が五人で、大蔵省の職員とか郵政省の職員とか公社の役員、会社の設立委員、学識経験のあるものというふうになつておるのですが、これでは構成上どうも、もう少し公平な立場から、一般の公益というようなものを考える人が少くはないかという気もするのですが、いろいろこの立案については御研究もあり、関係各省との折衝もあつて、こういうふうに行つたのだろうと思いますが、こういう審議会の委員はやはり会社のほうに利益であつても困るし、公社に利益であつても困るし、又国の立場から特に利益を主張されても困るし、要するに問題はそれらの各般の利益を代表せられるかたがたの意見を公平な、国民の利益を代表するような見地から如何に調整して行くかというところに運用の妙があるのだろうと思うのです。その意味から行きますると、学識経験者の数を、端的に言うともう少し殖やしたらどうかという気もするのでありますが、その点についていろいろ今までの折衝とか、或いは御研究の結果こうなつたことについて特に御説明があればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/21
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022・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 別に深い考え方はありません。まあできるだけ有能なかたのお集りを願いたいというだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/22
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023・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 それではこの点については、学識経験者を多少殖やすことにしても、あなたがたは御異存はないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/23
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024・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/24
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025・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私はなお他に細かい質問を残しておりますけれども、大体逐条に亘りましても、総括論としてもほぼ主務大臣から重要な問題について意見を聞きましたので、私の質疑はこれで終了をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/25
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026・山田節男
○山田節男君 これ一問だけ一つ大臣、次官もおられまするから、中尾政府委員もおられますから、御質問するのですが、この前に公社の機構の構想について何か案を持つておられるのを見せてくれと言つたところが、過日ここで簡単なものがあるということだつたのですが、私が知りたいのは、いわゆる公社には経営委員会があつて、総裁副総裁を含む経営委員会があつて、これがいわゆるボード・オブ・デレクタース、それからこれには理事というものが原案では五人以上置く、そうすると、この理事はやはりまあデレクターである。ですからこのボード・オブー・デレクタースに、重役会に相当するものが経営委員会であつて、そうして理事会というものはここにはないわけですね。ないのです。そうしますと、大体この理事というものは局長以上の者を理事とされるのか、そうだとすれば、原案では五人以上として最高数をきめてないわけです。衆議院は十人以下と訂正している、それでやはり今度の公社の機構に関連して理事というものは一体どういう者を理事にするのか、又その構想によれば……衆議院のきめたのは理事十人以下というのです……この厖大な企業組織の責任の所在を明らかになし得るかどうか、その点を一つ今公社機構の案に関連して衆議院の訂正した十人以下でよいのか、で、理事は役職から言えば、一体どういうものを任用されるのか、これがわかつておれば、ちよつと教えて頂きたい。これは修正案に関連しての質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/26
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027・靱勉
○説明員(靱勉君) お答えいたします。政府原案では五人以上と書いてありまして、そうしますと、何名でも置けるか、或いはいわゆる理事の猟官運動と言つては語弊がありますが、そういうことがあつても困るのじやないかというような御意見も若干衆議院にあつたように記憶いたしております。ただ法律的に申しますと、五人以上と申しますが、結局最低限を五人としたい。いやしくも理事といたしまして役員たる権能を与えます場合におきまして、一人でもいいということではこれは困るのでありまして、以内というよりむしろ以上と書くべきだというのが一つの法律的意見であつたのでございます。そこで大体何名以上にしようかという点につきまして相談しましたが、大体五人以上と書いてある場合には精々十人ぐらいというのが常識でございまして、これを三倍にも四倍にもできるとは大体法律解釈として、慣例としてできない、こういうことであつたのでございます。で、どういう者を理事にするかという点につきましては、大体本社の業務執行の中心に当る人、即ち理事はこの公社法によりまして権能というものが明らかにされていますから、それに該当する人を考えるわけでございますが、大体の構想としましては本社の局長級の人、或いは総裁室と申しますか、そういうところで若干経営の策定をやると申しますか、経営調査をやるというようなところ、或いは検査事務を相当中心にやるというような、特別に公社の業務執行面におきまして重要な事務を担当するというところに、大体本社というところに限定して参つております。そうしますと、十人以内と限定されましたが、そのとこいらで大体収まるのではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/27
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028・山田節男
○山田節男君 これは大体公社にするということは、要するに経営に関する何と言いますか、自主性を持たせるということは、要するにその責任の所在を明らかにする。これが根本である、そういうことになれば、例えば今日の各ブロックの局長ですね、局長というものは、現在よりも相当幅のある伸縮性を持たせないと、官営から公営企業に移した意義というものは出ないというのですね。この根本精神というものが発動できないのですね。そうなれば、例えばアメリカの例を何遍も引きますが、例えばサンフンシスコであるとか、キユーバであるとか、或いは沖繩であるとか、こういうようなところでは、ああいう私企業の会社は、少くとも業務責任者に副社長を駐在せしめている。そうするとこれは公社の経営のもう特殊性を持たすためには、例えば関東局長であるとか、或いは近畿局長ぐらいなものはやはり理事級のものにして責任を持たせる、と同時に経営に対する一つの自由裁量性を持たせる。同時に責任を与えなくちやいかん、これが私は一つの機構、私が機構機構と言つているのはそこなんです。今のような本社総裁室、ここにいるものが理事だとすると、そうすると役員のものははつきり担当をしているが、これはいわゆる公社に対する社会化の一つの第一歩として私らもこの構想においてまだ官僚主義的なところが払拭されていないという感じがこの法案を読んで以来どうしても退かない。今の靱次官の御答弁によると、大体十人くらいのものだ。そうするとこれは機構はさつぱり私はまだわかりませんが、少くとも本社に局が六つか七つある。そうしてまあ総裁室にも理事が置かれる、こういうことになれば、これはもうやはり公社というものは依然として官僚組織である。いわゆるデセントラライゼーシヨンという、経営の実際のデセントラライゼーシヨンというものが公社の使命というものをここに全然骨抜きにしてしまう。理事が多い少いという問題は、これは多いから人件費がかかるから、役員が多いのはいけないという、そういう見方はいけないと思う。むしろ担当のプロツクの局長というようなものは、重要なものは理事制にして、今のブロックの局を私はもう少し開いてもいいのじやないか。そうしてできれば理事の高給なものをそこへ置くというぐらいにしなければ、今後この重要な任務を持つておる電話の建設にいたしましても、国民は今までに一番欠けていた、いわゆるパブリツク・リレイシヨンズというものが何ら努力されていない。これがなかつたら公社としてのもう使命はありません。そこで私は最初から一体こういう公社の構想に持つて行つて、機構をどうするのだということを、これはもう一瞥して……、一つの鳥瞰図を見せてもらいたい。これは私は中尾政府委員などはお持ちになつているだろう。これは何もそれを利用して云々ということではないのであります。例えば役員の問題等でも、これはもう七月一日からやられるおつもりでおられるなら、そのくらいの大体の構想はできているだろうと思う。私はこの修正案の問題については、どうしてもここがはつきりあなたの御構想がわからんと……、これは公社のために私知りたいというのであります。これはここで大臣初め次官、その他関係の諸君がこの点を一つ至急相談されて、衆議院で訂正したが、十人以下の頭打があつていいのかどうかということですね。私はこの点を、もつとあなたたちの持つておられる機構に副うような役員の増減ということは、これは考えなきやならない。十五人にしたからといつて、それを十五人としてしまうという、そんな公社はいけないのだ、十五人であつても必要がなければ十人にとどめる、そういう一つの今度の公社の役員に、我々は経営面に対して我々は信頼し得れば、こういう問題はそう官僚組織に捉われる必要はないと思う。そこをあなたたちの今度の新らしい構想である経営機構をどうするのだということは無論あるはずですから、これは一つあれば……、じやない、作つてこれは一つ今日中にでも一つお示し願いたい。これは公社のために私は言つているのです。何らこの十人以下なんということでは、そういう単なる人件費とかいうようなことで、けちな考えじや、公社というものばこれは依然として官僚組織になる。そういう意味で私はお尋ねしたのですから、明日の朝何時まででも一つ大体の構想を、理事は一体どういうことで作るのか、これなんです。今のような靱次官のような理事のお考えならば、これはもう少し、私はもつと民主的に考えてもらいたいのです。もつと経営には自主性を持つて流線化を考えなくちやいけない。これは中央集権、これじや独裁的で、余りに中央集権的ですよ、こういう点が私はどうも経営学的に見て、私はどうもまだ流線化していないと思う。で、これは敢えてお願いするのでございますが、今靱次官の御説明になつた構想で、現在末端管理者、通信部という、一つのここに至るまでどういうようにするのだということを、これを施行法案の審議に搦んで、一つ是非お示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/28
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029・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど靱君からお話申上げたので一応御了承じやないかと思います。で、その十人以下という衆議院の修正案、勿論私どもが了承の上で作つた案では実はありません。これははつきり申上げます。これはやはり衆議院の議院の独立性と申しますか、だから同様なお立場にあられます参議院の皆さん方におかれて、これについての御批判があつて然るべきだと思う。で、私どもとしては、先ほど申しましたような原案のような考え方がよろしいのじやないか。やはり五人以上と申しますか、最低限の数だけをきめて頂いて、そうしてそれより以上は公社の総裁、同時に又監督官庁の良識の下において、理事の数を適当にきめて行くというのが望ましいのではないか、かように今なお私どもとしては考えておる次第であります。同時に又如何なる人をその理事に任命するやという点につきましては、山田さんと全然私ども同じ考え方を只今もなお持つておる次第であります、と申しますのは、本省の局長が全部理事になる、かような考え方はする必要がないのであります。その本省の局長のうち数名が理事になることも結構ではないのか。同時に又地方の局長と申しましても前局長十人局長全部理事にとはこれは考えられない、場所的に又仕事の量によりまして当然地方局長といえども理事にして差支ないのではないか、又そうすることが公社の経営上望ましいことではないかと只今御指摘になりましたような観点で考えている次第であります。ただ七月一日から公社が発足するといたしましても理事の任命等はやはり新任の総裁等に委嘱すべきではないかとかように私ども考えているのであります。只今依然として私郵政大臣やるかやらないかは別といたしまして、監督官庁として政府の意向は恐らく只今申上げるような趣旨でこの理事任命についての相談を受けた場合には指導することができるとかように私は考えている次第であります。この点では誤解のないように明確にお答えをいたして置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/29
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030・山田節男
○山田節男君 これは施行法案の質疑がまだ終つていないわけですから、これは明日になりますか、まあ成るべく早いほうがいいと思いますが、今のように従来のような局長会議とか或いは通信部長会議とか、こういうものを公社でやつていいかどうか、やるとすればその運用をどういうふうにするか、これはやはり経営学的にうんとコンマーシャルのものを考えなければいけない、今新谷さんが言われたようにやはりこれも衣を脱ぐのですから、やはりそういつたような衣を着せて精神を込めてやらないとこれは又十二月の国会に又修正するようなことがあつてはいけませんから、施行法案の問題としては私は論議してもいいと思いますから、これとは別個にこれは質疑を打切るということにしてよろしうございますから、施行法案の審議の参考としてこれは是非示さるべき義務がある、我々は好意を持つてこの問題を考えているのですから、何も十人ときめる必要はないと思う。そこは経営のいわゆるコンマーシャル・ベースで以てやるというのならば、これは商人根性になつたやはり一つプランを持たなくちやいけないということを私は言つている、それを一つ是非示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/30
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031・靱勉
○説明員(靱勉君) ちよつとお答え申上げますが、機構につきましてはこの前新谷委員からも強く御要望がありまして、一応この前プリンシプルがわかるようなものを提出いたしたわけでございますが、あすこに可なり具体的に書いてあるのでございまして、通信局が業務執行の中核になるという観念がはつきりいたしておりますけれども、又現在の通信局の数は今のところ増減ないというようなこともはつきり書いてあるのでありまして、今御要求の点は可なりあの中を若干御説明申上げますれば御了解が付くかと思いまして、ただ私ども非常に細かい機構図等ができませんのは終戦以来非常に機構が変つておりまして、職員のほうでも今度の機構改正についてはよほど慎重にやつてくれという非常に強い要望がございます。そういうことで非常な慎重な態度で検討を現在におきましても進めているような次第であります。先日出しましたのは大体まあ関係者が集まりまして話が落着したような点を明らかにいたしたようなものであります。その点だけは決して私ども資料の提出等を躊躇しているということではなくして御了解をお願いいたしたいと思います。その点だけを申上げて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/31
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032・山田節男
○山田節男君 これはこの間頂いたのを私拝見いたしましたが、ただ私は昨年この予算委員として国鉄の地方管理局、それから工機部その他職場を見まして、公社になつて組織が非常に複雑になつておる。例えば大宮の工場へ行きましても、もうそこは非常に機構が複雑になつちやつて課長のうちに又課長というのをつけなくちやならんというようなことになつて、而も経理に関しては全然権能がないというようなことから今の国鉄公社の形を見ますと正しくこれは更に煩項になつて来ておる。ですから私はそういう管理所に至るまで末端の機構までどうするのだということまで聞きませんが、ただ今申上げるように役員というものをこれを経営中核体としてこの法案に調い、又あなたのおつしやるような自主的にいわゆる中央集権というものを今度は或る程度の地方分権化させる、責任を持たせるという構想に基いて、例えば理事はどういうところへ置きたいと思いますという程度のことはこれはお示し願えるだろう。せいぜいブロック単位のものぐらいのことの大体機構があつて然るべきだと思うのです。ですからこの間私が頂いた資料は勿論拝見し、拝見した上での重ねてのお願いでありまするからして、施行法案の審議の場合に、これは口頭でもそれじやよろしうございますから一つ役員、或いは本社における局というものは、これは設立委員において又変えるかも知れません。大体今機構を作る構想としての機構はこういうものである、これは後日のためにも私は必要なことだと思うのです。一旦これは政府から離れまして公社自体に移つて行つてどういう変更があるかという場合にも大体親心として政府はどういう構想を持つておつたのだということはこの際明らかにされて置くことが後日のために私は非常にいいと思うのです。ですから何も責任を持つた云々ということまで私は申上げるのじやない。この点を一つ了とされて、若し書類でなければ口頭でもよろしうございますから、アウト・ラインを一つお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/32
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033・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/33
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034・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/34
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035・山田節男
○山田節男君 今申上げたことに関しての、地方組織に関連したことなんですが、従来この全国を幾つかのブロックに分けられて局長というものを置いておられた。それでこれに対してはかなり大幅ないわゆる経営上における自主性と言いますか、自由裁量と言いますか、こういうようなものを持たせるという私は御趣旨だろうと思うのです。それで公社になつた場合のいわゆる地方管理機構を現在のままで踏襲して行くのか、或いは公社法の趣旨に従つてこの地方管理機構というものを或る程度まで変える、これはもう末端まで行けば管理所、或いは通信局とこういうことになりますと或いは我々現場に行つて見て今後国際無線電信電話会社というのができて来るということになれば、例えば電報局、電信局、電話局と、出先業務というものが当然できる問題でありますが、こういうような新らしい事態に直面して現在地方管理機構というものに対してどういうような構想を持つておられるか、これを実はあの施行法案に示されているだけでは私はよく素人でわかりませんからこの点の御構想を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/35
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036・靱勉
○説明員(靱勉君) 先般御覧に入れました資料におきましてお示しいたしておりますように地方管理機構につきましては、先ず通信局につきましては現在の数を増減しないという考えでおります。併しながらその内容におきましては例えば国政調査等におきましてもときどきに御指摘を頂いているのでございますが、資材部関係を通信局の中に入れる、或いはその他学園、病院等が直轄になつておりますので、これを地方機構の中に統一して入れるかという問題があるわけでございます。あの御覧に入れました資料におきましては、資材部等と書いてあるのでありまして、例えばその関係につきましては、依然として直轄でいいのだというような職員の声もありますが、これらは私ども一応原則としましてはできるだけ地方でまとまるものはまとめたほうがすべての点においていいのじやないかというふうに考えて、更に最後案を急いでおるような次第でございます。なお地方の通信局の数の増減はないと申上げましたが、関東の電気通信局を例にとりますと、東京都内というような非常に大きな通信関係を持つ、これらは勿論地方の通信局以上な大きさを持つておるわけでありまして、東京都の電話改善をする場合におきまして、関東一円を持つておるより、もつとここに重点を置いて責任態勢をはつきりしておく必要があるのではないかということが前々から研究の対象になつておつたのであります。これらにつきまして、これを分離するという考えもあつたのでございますが、又分離いたしますと、東京周辺との連絡は、一一各通信局との関連事項になるということも、これ又一つの問題があるということで、大体関東通信局の外局的存在として東京都の電話を一括するように、管理局というものを外局的に考えて、みたらどうかという点、この点につきましては意見が一致しておりますが、なおその内容につきまして最終決定を見ていないような次第であります。
通信局につきまして、なお内部機構といたしましては、本社機構はかなり簡素なものにいたしたい、できるだけ二重三重の手続きをとるような仕事のやり方をしないという観念に立つて、おります。現在の局部の制度は、二段階にしまして局から課に行くというような形にいたしますので、その間におきまして、部課の整理は相当大幅にされる、相当マネージメントがよくできるようにいたします。先般資料でその観念を明らかにいたしております通りに、ここにおきましては、非常に標準的な、或いは基本的な計画、こういうようなものを中心にいたしたい。業務執行面の仕事は、通信局を中心として動いて行くというような考えを持つております。そこで現在通信部という段階がございますが、これにつきましては、曾つて、昔は本省それから通信局、現業局、三者が入つておつたのが、現在は管理所が入つて五段制だ、これらにつきましては、かなり両院の国政調査会等におきまして御意見が述べられておるのであります。私どもできるだけ段階を少くするということは考えて行かなければならんということは基本的になつております。そこで先ず現業というものを中心に考えて見ますと、現在は管理所で見てくれまして、現場機関直轄の長がいない。即ち電話局にしましても、電話局長というものはいないというような形になつておるのであります。それは先日差上げました資料にも書いてありますが、共通の長は置こう、それでできるだけ取扱局に任し得る事項は任せるというので、取扱局がかなり自主的に動けるようにしだい。全国直轄局八百局あるわけでありますが、そういうような考え方を持つております。従いまして、できるだけ通信局との直通関係にいたしたいのでございますが、どうしても電気通信事業の自主性から見まして、どうも全国八百の局を直接通信局で相手にするということは、却つて非能律的である、むしろ安全なローカル的な通信事務の改善等に対する具体的な計画、こういうようなものはやはり通信部、即ち一県を大体標準として一つぐらいの通信部でそういうものを担当し実行したほうが、工事の促進も図られるのではないかというような考えから、原則は本省、通信局、電波局、こういうような機関を持ちましたが、どうしても通信局で直轄してやることが、現業局と直結することが却つて非能率であるし不便であるというようなものを具体的に検討いたしまして、現在考えている通信部というものは少し内容を、そういうような意味合いにおきまして、現在現場に任かせるものはできるだけ任かせるというように、通信局で総括したほうが極めて経済的であり、能率的であるというものは通信局に置く。そうして残る、どうしてもその中間に置く機関を必要とするものを通信部という観念で考え直そう、この点を今具体的に各事項について検討いたしているような次第でありまして、管理所はこれを取扱局に大体滑り込ませるという観念を持つております。但し取扱局と皆同様な権能になつているので、共通的な事務等につきましては或る小さな一つの取扱局におきまして共通でやつてもいい、要するに分割して各局に分けることが分割損であるというようなものにつきましては、これは特定の取扱局にその機能を持たせるというふうに考えてみたらどうか。例えば現在の管理所の例をとつて見ましても、各取扱局、殊に地方の電話局等におきましては、全然技術者がいないのでございまして、それらはどこかの中心の管理所から人を派遣する、或いは大きな取扱局から人を出すということで事足りるのでありまして、これらを直接全部同じような機能を持たせる必要はない、そういう意味で、管理所は現業でとけ込ませますが、その結果、取扱局におきまして権能の対象ができる、即ち分割損を生じないようにしようということが大体の構想でございまして、而もそれぞれの機関の責任と権能をはつきりさせまして、そこに事務の重複或いは責任の限界の不分明がないように、今回は相当時間をかけましても具体的な問題をきめて行きたい、こういうことで大体の構想はできているんでございますが、最後的な事案につきまして、手間をとつているような、そういう状況にあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/36
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037・山田節男
○山田節男君 大変詳しく説明されて感謝しますが、これはまあ大体今の構想、政府の御意向はわかつたわけですが、もう一遍、専売公社とか、或いは鉄道公社に比べて最も予算的或いは資金的にも自由にやれる、更に国庫納付金問題も鉄道公社に入れるべきか入れるべきでないか、これも最終的な意見を持つ人もあるわけでありますが、これほど従来の公社の三社の中では最も新らしい改正をしよう、規定の趣旨に沿うような工合にしたいというふうなあなたの説明はよくわかるのです。もう一つ私が、これはただ民間人或いは電話のサービスによつて恩恵を受ける者の代表として考えますと、従来何と言つても逓信省以来電話に関しての一サービスが悪い、そのサービスの悪いことに対して不平、不満、苦情というものが大変あるわけです。今あるかどうか知りませんが、曾つて逓信省時代に大きな局には、郵便局には逓信相談所というものがあつた。これは電話ばかりじやないわけですが、通信施設に関する一つのパブリック・リレイシヨンズの仕事をしておつた。併しこれは私も二、三回御厄介になつたことがありますが、極めて官僚的なぶつきら棒なもので、こんなものには一遍行つたら行かないという所が多い。殊に公社がやる電信電話ということになれば、これはやはりアメリカの言うサービス本位ということが、これは金の問題でなくて、これほど大きな期待を以てやる公社ができるからには、もう前も申上げたようにすつかり今度やり替えなければならん、そういうことになれば、やはり利用者というもの、或いは将来の利用者、或いは例えば電話で言えば未加入者という、いわゆる有効需要というものに対してはできるだけの周知、宣伝といいますか、パブリック・リレーシヨンズというものをやつて行く。これは私の例を申して甚だ失礼でありますが、現在私は国会議員をしておりまして、電話の故障があつても、二十四時間以内に来たことは絶対ありません。余り来ないので国会議員で国会が今忙しいからと言つても二十四時間以内に来ない。こういうようなサービスでは、折角我々は公社を作つたという趣旨が……、こういう事態が依然として続くのであつてはいかん。我々公社にしたという意味を国民が了解しないだろうと思う。でありますからこういう一つの、日本の電気通信事業としての革命的な一つの変革をする以上、一つのコンマーシアル・ベースということになれば、なお更利用者に対するところのサービス、これは今のようなままではいけない。でありますから今事務次官が言われたような、公社の或る程度の下部単位に対しては、こういう利用者に対するサービス、苦情処理機関と言いますか、或いはそういう単なる苦情処理機関でなくて、進んでこの利用者に対して電話知識、電話の立派な使い方というものを、今までもやつていらつしやるが、もつと衣を脱いだやりかたをする必要がある。そうして例えば地方の通信部、できればもつと末端に至るまでの電話の利用者、或いは将来の利用者に、或いは電話の使い方その他についても、これはやはりもつともつと日本人には教育する必要があると思う。昨年アメリカのベル会社並びにロスアンゼルスのアソシェーテッド電話会社を見ましても、この点は非常に重点を置いて人をたくさん使つておる。併し結局これがペイする。ペイすると同時に国民がこの電話というものに対して、日本人の持つようなものでなくて、もう空気、水のごとくである。同時にこのサービスによつて文化的、経済的利益を得、而も電話の経営者に対しては感謝している。私はこの新らしい憲法下において、第三番目にできるこの公社に対して当局者としてはこれだけの気持を持つてもらいたいと思う。でありますから、これは私の単なる希望のようになりますけれども、この将来の公社の機構に関しましては、結局それはペイするものである、又或る意味においては、これは国民に文化教育をするものであるという意味で、この点はまあお考えになつているかと思いますが、特にこの点は私は大臣なり、事務次官なり、十分一つお考えを願つて、将来来たるべき公社の一つのモデルとするというぐらいのお気持を持つて十分お考え願いたいと思います。
なお最後に、私今ちよつとこの法案を開く暇がありませんが、たしかこの施行法案の中に、軍事上云々ということを削除するということがありますが、それは何か私の誤解でしようか。あつたと記憶いたしますが、若しなかつたらそれでよろしうございますが、これは成るほど今日の憲法の第九条の建前から言えば、軍事上という言葉は、それは誠にそぐわしくない、このお気持はよくわかる。併し昨日も私は大臣に対して、この私営の国際電信電話会社、公社の電話電信事業というものに対する国家の管理権というものを最初説明申上げたことに関連しましてですね、これは必ずそういう時期が来るものだと思つて我々は法律を作らなければいけないと思います。ですから私も昨日の国家管理ということに関連して、軍事上という言葉がこれが余りに今日の憲法にそぐわないならば、やはり他にいろいろな方法がある、防衛上であるとかいろいろなものがあるだろうと思いますが、これはむしろ用語を変えて、この趣旨はいわゆる非常事態におけるとか、或いは軍事上という言葉に変えるべく、最も吟味した言葉に訂正されておかれたほうが、これは例えば一カ月以内にこういう事態が起るかも知れないということを我々予想しなければならないかも知れませんが、更に法律を作るということが起るかも知れないのです。私の見ましたのが誤りでなかつたなれば、この点に関する御意見をちよつと承わつておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/37
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038・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 前段におきまして、山田委員から、私どもが所掌しております業務について深い御理解の下における御注意がありました。いずれも至極御尤もな御注意でありますので、その御親切に対しまして私心から感謝感激をいたしておる次第であります。幸いにして公社案ができ上りますれば、先ほど来お話になりました線に沿いまして、業務の運営を是非ともやつて参りたい、かように存ずる次第でございます。どうか今後も十分の御指導のほどをお願をいたす次第であります。
次にこの施行法の第二十二条の問題であります。それは現在の電信法の規定が現在の実情にややそぐわないために、第三条第一項中の「又ハ軍事上必要ナル通信」ということを削つたのでありますが、これは御承知のように、只今の実情にそぐわない、「軍事上必要ナル通信」ということがないから、こういう意味で法文を整理いたしたのでございます。併し先ほど来新谷委員のお尋ねに対しましてお答えをいたしましたように、公共の福祉その他で必要なる命令は主務大臣が出し得るというような規定を挿入して頂けますならば、御指摘のような点は解決するのではないか、かように考える次第でありまして、この点だけの問題でなしに、総体として一つ御高配を頂きたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/38
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039・山田節男
○山田節男君 今の大臣のおつしやるのは、公共福祉云々というのは公社法にあるのですか、施行法にあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/39
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040・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 公社法でございます。先だつて監督命令をする必要はないのじやないか、むしろその条文を削除したらどうだ、こういう御議論があつたのでありますが、それに対しまして、今朝ほどは新谷委員から、山田委員の御意見も出ておるように、あの監督命令はそういう意味に使われならば必要性があるように考える、と申しますのは、山田委員が御指摘になつたような意味において使うならば、その監督規定の命令は必要じやないか、これは会社法にあるわけであります。それでその当時の私どものほうの説明といたしましては、会社が命令を待たないで、法律で規定されている義務を履行しない場合は命令を出すことがあるのではないかという説明をいたしたのに対して、さような意味のない命令ならば削除したらいいという御意見がまああつたのであります。これは山田委員以外のかたからそういう御意見があつたのでありまして、この命令規定を整備することによりまして、只今の点は解消するのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/40
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041・山田節男
○山田節男君 実は私の申上げておるのは、むしろ治安或いは防衛という意味の公共福祉という文句を、それまでに拡大解釈することは、これは常識的に考えれば少し穏当でないと思います。ですからやはりこれはもうそういう意味で公共福祉というものをそこまでに拡大解釈するということは法文から見れば非常に異例だと思います。これは常識的にそういうようなことを申上げておるのは、公共福祉だというこれは限度を越しておるんです。いわゆる国内擾乱であるとか、行政調停になつておるような事項を予想して申上げておるのであつて、公共福祉ということは、これは法律からいつても余りにそれは拡大解釈だろうと思うんです。であればなお更、今の公社法において公共福祉ということを私の申上げた意味でもつと明確にしておくほうが問題が少くなるのじやないか、かように考えるから私質問申上げておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/41
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042・靱勉
○説明員(靱勉君) 只今大臣のお答えになりました公共の福祉を増進するため必要ある場合というような言葉も入れて考えるというような御答弁でございましたが、今その点につきましては、先日山田委員から御質問のありました、例えば会社の施設を使つて自分の祕密通信に使うとか、そういうような場合には、もう当然会社の役員として社員を取締つて行かなければなりませんし、役員がそういう者を見逃して行けば、これは業務上必要な監督命令で当然できることになりましてその意味でお答え申上げたのであります。併し山田委員のおつしやつている点は、それも先日おつしやられましたが、更にもつと強く非常事態が起つた場合に通信全体を国家管理に移す根拠が必要ではないかという御意見のように我々は承わつたのでございますが、どうもこの点につきましては、私ども決して事態を楽観しているわけではないのでございまして、或いは局舎の防護、通信施設の防護等につきましては万全を講じて行かなければならんと思いますし、更に職員の行動等につきましても、いやしくもそういう極めて破壊的な行動をとる者につきましては、経営管理を更に適正にいたしまして、そういうような場合におきまして通信機能が内部的に停止されるというような事態がないように十分にこれは経営管理者の責任としてやつて行かなければならんかと思つておるのでありますが、更にそういうような事態が発展した場合に国家管理の体制をどうとるかという問題は、どうも私ども実はその点全然等閑視して法案を作つたわけではないのでありますけれども、他の法律との関係その他から考えてみまして、これだけが一歩先に進んで、その事態を考えて行くことはいささかどうかというふうな配慮もございまして、そういう場合におきましては、国全体として一つの方針が立つて行くのではないだろうか、国民の意思としてどういうふうに決定されて行くかという点をもう少し研究して行かなければならん、その事前におきましてはやはり経営管理者という者が、そういうものにつきまして、平素から通信事業の機能を如何に事態に対しまして維持すべきかということについて、真剣なるこれは対策を講じ措置をして行かなければならんというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/42
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043・山田節男
○山田節男君 大臣も靱次官もちよつと私の昨日質問申上げた点の一斑を非常に強く取られて……、私の主点は、祕密の漏洩、祕密の保持とかいう問題以外に、例えば過去占領軍政下において、電気通信省が持つておるこの電信電話線の回線であるとか、そういうものを彼らが接収管理しておつた。今度は独立国家として例えば警察予備隊であるとか、或いは海上保安庁或いは自治警察、こういうようなものが緊急な事態の起きた場合には、これはやはり公社に任しておかないで国家が或る会社なら或る会社なりを管理して、祕密の漏洩、保持は勿論のこと、いわゆる何と申しますか、普通のいわゆる公社に任しておいてはいろいろな点で不便だというような場合に、一部国家管理をやるというような事態が起きる、これは私昨年ワシントンにおりましたときに、一九三〇年の通信法の改正がたまたま上程されておつた、そうして上院の電気通信の委員会のほうへ行きまして、そうしてあのウイルビー少将の大統領の電気通信の国家管理が必要だということの修正案に対する説明があるのを実は傍聴したわけです。その修正案も私は持つて帰つておりますが、そういう意味の私は国家管理ということを申上げたので、勿論祕密の漏洩を防禦することも含まつておりますけれども、もつと具体的に言えば、いわゆる内乱、騒擾、或いは国家防衛というようなことになつた場合に、最も重要な電気通信系統を或る意味において、公社のもの、或いは民営のものといえども、国家の一時管理の下に置かれるという一つのなにを残しておかないと困るのじやないかという意味で私は昨日来質問申上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/43
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044・靱勉
○説明員(靱勉君) 御意見の御趣旨よくわかりました。おつしやる通り、現在におきましては政府みずからこれを管掌いたしておりますので、むしろ私設の通信施設につきましては、現行の電信法におきましては「主務大臣ハ命令ノ定ムル所二依リ前条二依リ施設シタル電信又ハ電話ヲ公衆通信ノ用二供セシムルコトヲ得」、勿論警察通信等も公衆通信かと考えております。「前項ノ場合二於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ吏員ヲ派遣シテ其ノ取扱ヲ為サシムルコトヲ得」と書いてあるのでありますが、これは国営でありますので、第二条の場合は全く私設の通信、鉄道とかその他の通信をやつておるわけであります。そこで御質問は今度公社或いは会社になつた場合に、国家がそういうような或る回線を完全に握つてしまうことができないかどうかという問題になつて来るわけでございますが、只今のところ、公衆通信法或いは有線通信法におきまして非常事態、これは非常に大きな非常事態だけでなく天災地変等の場合も考えまして、そういう場合におきまして、私設の通信相互を結ぶとか、或いは公衆通信系統を結ぶというような規定は依然と存置しておりますけれども、国家がこれを管理してしまうという規定は実は設けてないのであります。その点おつしやるような場合におきましては確かに一つの欠点かと存じますが、この点は私どもの考えとしましては、国家管理の問題は勿論必要でありますが、もう少し別の立法で考えてみたらどうかというような気分もいたしておつて、この公社法におきましても、それから公衆通信法におきましてもできるだけ、何と申しますか、平和的と申しましては語弊があるかも知れませんが、そういう一つの文化機関としましての利用体制をできるだけ有効適切にするというような観念、但し特別の公共的な必要の場合におきましては或いは通信を受付の順位によらなくて緊急通信を先にするとか、そういうアイディアというものは新立法におきましても考えておりますが、治安の維持その他のような場合におきましては、成るべく今のところそういう事態に対する問題を最小限に考えまして、通信確保のために、或いは天災地変その他非常事態が起つた場合に、或る地域における通信を制限することができる、こういうような規定はあるのでございます。何と申しましても、経営自体としましては、これは公衆通信を担当するものとしまして十分国のあらゆる要請に対応できる、そういう覚悟と準備がなければならんかと思つておりますが、なおそれでも、その中の職員の状況というものが、現在のような事態に対しては、別途これは立法もし、対策も考えて行かなければならんというふうに考えております。確かにその点は、私ども今後の問題として検討をいたして行かなければならんかと、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/44
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045・山田節男
○山田節男君 今の靱次官の御説明ですね、これは全然無関心であつたのじやないのだと、そういう問題については、他の特別立法で単に電気通信の国家管理、非常事態における国家管理ということで、他の施設をも国家管理をなし得るという単独立法を予想すると、これも私一つの考え方だろうと思います。そう思いますので、この件に関しましてはこれ以上申上げません。ただ昨日から大臣並びに次官に御質問申上げた趣旨は、公社或いは国際電信株式会社にしましても、そういう事態が起きるかも知れないということに対して、公社の施行規則と言いますか、そういう方面において何かのそれに対しての余地と言いますか、含みというものは、本法案でできない部面は、更に規則か規程かで、そういう含みを持たせるということが、今後の、たとえ独立の国家管理立法をする場合にも、根本的な修正を要しないように注意をして頂くということにしまして、私は質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/45
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046・靱勉
○説明員(靱勉君) なおちよつと申上げ忘れましたが、国家管理というところまでは参りませんが、有線通信法案の第十五条におきまして、只今山田委員のおつしやつた、例えば警察に公社の通信を使わせるということは、この十五条でできるものと解釈できるわけであります。引続き両法案の御審議もお願いいたしたいと考えておるのでございますが、併しまあ国家管理というところまでは参つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/46
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047・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 議事の都合上、暫次休憩いたします。
午後一時三十三分休憩
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午後六時二十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/47
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048・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 休憩前に引続きまして委員会を開きます。
千葉信君が委員外質問をしたいというので委員長まで申出がございましたが、許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/48
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049・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 御異議ないと認めます。千葉信君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/49
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050・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 次官がお見えになつておられますから、次官にお尋ねしたいと思います。次官にあらかじめ申上げておきたいことは、恐らく今までの委員会で究明された点にも及ぶかも知れませんけれども、まだ何と言つても国会では速記録も配付になつておりません関係上、或いは重複する場合があるかも知れませんから、できるだけ親切な御答弁をお願いしたいと思います。
先ず最初にお尋ねしたい第一点は、これは非常に素人らしい質問でありまするが、一体今度この法律案によつて設置される日本電信電話公社の場合に、外国通信を扱うのか扱わないのか、又この法律によつては制限があるとお考えになつておられるかどうか、その点を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/50
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051・靱勉
○説明員(靱勉君) お答え申上げます。只今の御質問に対しましては、日本電信電話公社は国際通信業務を営むことができるように法律にはなつています。その点は、施行法で電信法を改正いたしまして、施行法の二十二条に規定がありまして、現行の電信法を改正しまして、「公衆通信ノ用二供スル電信及電話二関スル業務ハ日本電信電話公社ヲシテ之ヲ行ハシム」とありまして、即ち国独占でありましたのをこういう形に改正をいたしております。この結果、勿論公衆通信の用に供する電信及び電話に関する業務というものは、国際業務を含んでおりますので、この公社はその権能を持つておりますと同時に、国際電信電話株式会社法案におきましても、その附則におきまして電信法を更に改正いたしまして、附則の三十三でございますか、只今の条文に更に附加えまして、「但シ主務大臣ハ日本国外国間二於ケル電信及電話二関スルモノハ国際電信電話株式会社ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得」というふうに改正をいたしておりますので、結局両法案を御覧になりますと、公社並びに国際会社が国際通信業務を行うという形に法律的にはなつておるのでございます。但しその点につきましては、会社法の提案理由にもございますし、又国際会社設立の趣旨にも鑑みまして、両者で競争してやるというような方針の下に政府としましてはこの両法案を考えておるのではございませんで、原則として、国際会社をして、国際電信電話株式会社法が成立いたしますれば、国際通信業務を行わしめる。但し国際通信と申しますれば、或いは有線による通信或いは又移動局間の通信、外国の船舶と日本の海岸局とが通信するのも、これは国際通信に相成るわけでございまして、これらにつきましては国際通信会社にやらせるのが適当か、国内通信と共用しております関係もございますので、公社をして当分やらしめて行くということが適当であるのではないかというような考えで、原則は国際会社をして国際業務は行わしめる方針を政府においては考えておりますが、公社につきましても、国際通信が全然できないというような形はとつていない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/51
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052・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 只今の御答弁で了解いたしましたが、そういたしますと、こういうことも一応確認されると思うのです。例えば今御提案になつておりまする会社法が成案に至らなかつた場合、その場合には日本電信電話公社が外国通信を担当するというようなことになつても法律上は支障は起らない、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/52
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053・靱勉
○説明員(靱勉君) さようでございますし、現にこの法律の改正を見ましても、先ず日本電信電話公社が現に電気通信省の行なつております公衆業務というものを一切一応引取ります。然る後に会社法が施行され、会社が設立されまして業務を開始するまでは当然公社が国際通信を全面的に行うという形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/53
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054・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 次は経営委員会並びに経営委員会と役員との関係等の問題でございまするが、この場合の公社とほぼ同様の形態にあるところの日本国有鉄道公社の場合の経営委員会等との比較の問題が一応明らかにされる必要があると思うのです。御承知の通り国鉄のほうの場合には、その経営委員会の任務といたしましては、日本国有鉄道の業務運営を指導統制する権限と責任を有する、この公社の場合では、公社の業務の運営に関する重要事項を議決する機関とする、こういうふうになつておりまして、ただこの条文上から拝見いたしますと、重要な事項を決定する機関であるということと、一方は指導統制するということになりますと、その職権、職権と申しますか、その責務の中に或る程度の開きがあるようでございます。私どもの考え方からいたしますと、むしろ国鉄の監理委員会における国鉄の業務に対する権限のほうが、日本電信電話公社の経営委員会の公社における権限よりも、もつと私は強力なものになるのではないかというふうに考えております。これは御答弁もあつたことと思いまするけれども、重要事項を決定するのであるから、むしろこの経営委員会のほうが相当重要な仕事をすることになるのであつて、むしろ国鉄の場合よりも、この経営委員会の場合には公社の重要な事項を決定するという立場で、この権限のほうが重いというお考えをお持ちのように承わりましたが、この点についてはどういうふうなお考えをお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/54
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055・靱勉
○説明員(靱勉君) 国鉄の監理委員会と、この経営委員会におきましては、性格を異にいたしておりまして、国鉄のほうは指導統制ということが重点でありまして、必ずしも監理委員会は、どうしてもこういう事項は議決を経なければならんというような形に相成つておりません。この日本電信電話公社の経営委員会というものは、これは公社におきまするところの最高の意思決定機関と申しますか、そういう機能を持つておると、こういうことでございまして、監理委員会のほうにおきましては、むしろ何と申しますか、監督するというような権能と申しますか、そういうことが中心になつておる。で、この公社につきましては、監督機関は郵政大臣というふうに考えておりまして、経営上の全責任を公社が負いまして、それの重要事項を経営委員会が決定する。而もその執行機関は総裁以下の執行役員が責任を持つ、こういう形になつておるのでありまして、その点は今御指摘の通り、この公社の経営委員会と、国鉄の監理委員会というものが性格を異にしている。殊に監理委員会というようなことに相成りますれば、又議論を別にいたしますれば、むしろ国会乃至政府に代りまして、公社を監督するということなら、更に監督機関というものは要らないというような考え方もできるのじやないかと思いますし、なかなか国鉄公社法の解釈につきましてもいろいろ議論があるところかと思います。私どもこの点につきましては、いろいろ学者の意見も参考に拝聴しまして、勿論完全にこの形態が割り切られておるというふうには考えておりませんが、経営形態としましては、やはり経営委員会という性格がいいのではないかと、こういうふうな結論に到達しまして、こういう法律案を作つた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/55
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056・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 御答弁にありましたいわゆる決議機関というものと、それから執行機関というようなものと区別されたほうが、これは勿論業務の運営等に有利な、又民主的な条件だと、そう私は一応考えております。勿論この形態は私は形態自体には反対ではありませんけれども、ただこの場合の問題となりますのは、この経営委員会の構成等が果してそういう民主的な決議機関、或いは執行機関との分離というような状態になつておるかどうかというところに、一応の疑念がこの法律案検討では起つて参ります。これは経営委員会の構成等については衆議院のほうで、その定員等が修正されましたようですけれども、併しこの場合に問題となりますのは、国鉄の監理委員会等におきましては、役職員である兼務の監理委員は、議決権を持つておらないようであります。それがこちらのほうでは総裁ともう一人副総裁が特別委員として経営委員会における決議権を持つておるようです。三人でありまして、最初全体で五人でありましたときよりは、その決議機関の中における執行部門を担当する総裁或いは副総裁の委員会における発言というものがどうしても大きな比重を持つということになりはしないか。これは七人ということになれば、或る程度その点は緩和されたと考えられる点があるかも知れませんが、やはり私どもはその総裁又副総裁が特別委員として経営委員であり、而も議決権を持つということは、重要な事項を決定する経営委員会であればあるだけに、この問題は相当究明される必要があるのではないか。特に問題になりますことは、これは国鉄の監理委員会若しくは専売公社の経営委員会等のごときは、これは総裁等に対しては監理委員会等が推薦の上決定するということになつておりまするし、又日本放送協会のごときは、経営委員会の任命によつて総裁が決定するということになつておりますのに、今度の場合には、総裁は経営委員会に関係がなく、内閣の任命するところになる。そういうことになりますと、その内閣の任命した総裁が、或いは又副総裁が特別委員として経営委員会に入つて議決権を持つということは、相当内閣の意思というものが公社に反映する、公社の重要事項の決定に反映するということになりはしないか。それからもう一つは、重要事項を決定するということになつておりまするけれども、その決定する内容として掲げられた左の事項におきましても、予算、事業計画及び資金計画等については、本法四十一条によつて更にこの決定は変更される場合も起つて来ない限りではない。第二号の決算のごときは、五十八条、それから第三の長期借入金及び一時借入金等の場合、債券の発行等の場合においては六十二条、第四号の償還計画等においては本法の六十六条、こういう条文によつて、必ずしもこの経営委員会の決定した重要事項がその通り実行されるとは限らない。むしろ郵政大臣等の強力な監督指導統制の下に行われるという段階さえも予想しなければならない。そういたしますと成るほど形は経営委員会で重要事項を決定するという民主的な方法をとり、そして決議機関と執行機関とを分離したという民主的な形態でありながら、実際の中身ということになりますと必ずしも、これは我々が占領下において教育された偽装民主々義の傾向がここにもあるように考えられまするが、以上の点についてはどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/56
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057・靱勉
○説明員(靱勉君) 先ず総裁、副総裁等が経営委員会の特別委員になり、而も議決権を持つておるという点についてどうかという御質問でございますが、この点につきましては、特にこの公社におきましては考えを深めたのでございまして、勿論議決機関と執行機関が完全に分離するということが近代の大企業形態の一つとして考えられるのでございますけれども、併しながら両者が完全に分離するということは、現在の段階において必ずしも議決される事項の適正と申しますか、その点と執行の円滑という点が必ずしも期待できない面もある。そこで勿論優越性と申しますか、一般の経営委員の数は、勿論特別委員より多くなければならないわけでありますが、執行の責任を持つておりまする総裁、副総裁等がこれに入りまして、要するに意思の決定と執行との調和と言いますか、極めて円滑なる関係をそこに設定するという意味合いにおきましては、こういう形態がとられておる株式会社或いは外国等の例も多々あるわけでありまして、一応その例に倣つたことでございまして、決してこれこ特別に執行機関と議決機関を混淆し、更に執行機関は独裁的に或いは実質上これを指導してやるというような形はとつていないのであります。飽くまで経営委員会の経営委員の広い視野に立つて、而もこの公社の経営の最高意思決定をするのに適当な形態というふうに考えまして、その点は今御指摘のような観念の混淆を来たしておるとは考えないので、やはり経営上の円滑というような点からそういう措置をとつたと、こういう形になつております。それから総裁、副総裁等は内閣の任命ということになつておるではないか。他の例におきましては大体推薦ということに相成つておるという御意見、この点につきましては大体の例は、株式会社等におきましては執行役員というものは取締役会においてきめるというような例、ということに相成つておりますので、それから考えますとその点は一つの問題ではあるのでありますが、これにつきましては、やはりこの公社の公共性と申しますか、独占公社であるというような観点からいたしまして、政府乃至国会の監督の権限というものは、大きな問題につきまして保留しているという形をとつておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、勿論これを一つの株式会社というふうに考えますれば、勿論その間擬制を用いなければなりませんが、国会が或る意味において株式総会的な形をとり、内閣というものは或いはその両者の性格、株式会社、株主総会から更に委任された行政上の執行機関である、そういう観点から言いますれば、国会におきましてこういう法律が決定されまして、内閣が執行上の責任としまして役員を、総裁、副総裁を単独に任命するということも、決して観念的に否定さるべき問題ではないかというふうに考えられるのであります。なお又推薦の問題でございますが、監理委員会等におきましては、これは一つの監督指導の機関である。いわば監督機関である。そこが推薦するということは一つの考え方であるかと思いますが、これは明らかに経営委員会である。而も経営委員会の委員も内閣におきまして選考いたしまして、国会の承認を得て内閣が任命するという形になつておりますので、経営委員と役員との調和というものは、必ずしも内閣が一本であります関係上とれないこともないだろうというような観点もありまして、NHKの例におきましては、監理委員会であると同時に経営委員会という性格を持つており、電波監理委員会等の監督というものは非常に微弱になつている。各公共企業体におきましてそれぞれ若干その間に変つた形をとつておるのでありますが、専売公社におきましては、もう明らかにこれは大蔵大臣の諮問機関であるというような形になつておりますので、諮問機関が一応推薦する。而もその任命は大蔵大臣が任命して、内閣は任命していないというふうに、それぞれ公社の業務の特質というものから考えていろいろと検討されおる。私は勿論これがそれぞれこういうふうに変化があることが適当であるとは考えませんか、現在なお公社としましてはいろいろな形が考えられておる際でございますので、日本電信電話公社としましては、経営委員会と総裁、副総裁の執行役員との関係につきましては、ここに考えておりますような案がかなり円滑に進歩的に行くんではないかというような結論を持つた次第であります。それからなお、折角経営委員会等に公社に対しまして電気通信事業の経営を任せるという形をとつていながら、いろいろ認可項があるではないか、こういう御質問でございますが、この点につきましては、勿論公社としましての意思決定というものは、経営委員会において決定する、こういう形になるのでありますが、国がどの程度これに対しまして公共的な立場から一つの支配権を持つかという一つの政策の問題でございまして、更にこの公社が発展し、又国会或いは国民、政府からこれは全部任せておいて問題ないという全体的な一つの国のこういう事業に対する形態ができて参りますれば、今御指摘のように、或いはもつと認可事項を少くして行くということは考え得るものと考えておりますが、他のいろいろの公共企業体の政府の、乃至国会の支配というものから考えまして、この程度の認可事項は現在の段階において止むを得ないものだというふうに考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/57
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058・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 御答弁のような形において実際が運営されるかどうかということについては、先ず第一点としては、執行機関というものと決議機関というものとの混清があるということが第一点、それから只今公共事業であるという、国の公共事業であるという建前から、政府がこれに対していろいろな認可項を決定して、それによつて制約を加えるという行き方が、場合によつては政党政治下の現在においては、内閣の、政府の一方的な意向というものに強引に引ずられる虞れがあるという点等に多少の疑念を残しますけれども、時間の関係等もありますので私は次の質問に入りたいと思います。
次にお尋ねしたいことは、電気通信省が公社になるということによつて、例え従来のいろいろな国の諸法律、身分法であるとか、給与法であるとか、財政法、会計法等の制約下にあるために事業の拡大強化発展というものが或る程度阻害されざるを得ないという考えが今度の公社へ移行する一つの考えであろうかと思うのです。そういう問題に関連して、現在例えば公社法或いは会社法等によつて違う企業体に移行して行く場合に、抽象的な期待かも知れませんけれども、一般に流布されておりまするいろいろな風評を通して見ますと、公社に行つたり、若しくは会社に持つて行くということによつて、例えば従業員諸君の待遇がよくなるとか、或いは現在のような非常に窮屈な定員事情等が緩和されるだろうというような希望もあるようでございます。併し私は公共企業体に持つて行つた一つの狙いとして、そういうことがあり得ないという見解を持つているのでありまするが、そこでこの際お尋ねしたいことは、現在の電気通信省における事業に従事する職員の定員事情というものは非常に極端な状態に置かれているはずでございます。これは私が御質問申上げるまでもなく、すでに電気通信省がこの間の事情については、昨年の八月に明白にその実相を報告されております。例えばその中でも最も極端な例は、電話交換手等の定員の不足のために、設置されている交換台に配員ができない。全国平均して一八%程度の交換台が定員不足のためにこれが機能が停止しているという事情がはつきりあるようでございまして、これは単に例を電話交換に引いただけでありまして、その他の部門も全くこれと同工異曲の状態にあることが電気通信省自体の発表の中にありまするが、一体今度公社に移行いたしました場合に、こういう事情等についてはどういうお見通しを持つておられるか、その点をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/58
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059・靱勉
○説明員(靱勉君) 今御指摘の通り、定員につきましては、現在定員法というものに縛られております関係上、なかなか企業の実態に対応した定員の配置が困難であるという現状でございます。それを私どもはどうしても脱却して行かなければいかん。併しながらその場合におきまして、やはり公社として事業成績というものを相当挙げて行かなければならん現在におきまして、非常に私ども定員において困りました点は、やはり戦後の非常に荒廃した状況下におきまして、仮に保守の例をとりましても、普通の状態より十倍も二十倍も障害が起るというような設備の状況であるならば、これに対して多くの人をかけなければならん。これはなかなか人をたくさんかけて来ます結果、それの維持の経費というもののバランスというものは必ずしもとれて来ない。これは事業の経営から見ますれば、やはりできるだけ最少の経費で以て効果を挙げて行くような方向にならざるを得ないのですが、これは一挙に設備の改善をするためには殆んど外部資金を相当投げ込まなければならん。これもなかなか現在で思うように行つていないというような引かかりがあるようでありますし、電話交換要員につきましても、或いは機械の十分な操作ができない、或いは局から外へ繋がる線におきまして、完全な施設ができていないというために、交換要員の能率を阻害している面もある、そこいらを人の数で以て取りあえず埋めて行くという方法をとりますと、非常に多くの人を要する。従いまして、これを比較検討いたしますと、他の外国の例等におきまして、如何なる人員、要員が同じ事業についてかかつているかということについても私比較検討したのでありますが、それはまあ基本的に申しますれば、設備の状況ということが大きなフアクターになりまして、人員の足りる足りないの問題も起つて来るわけであります。併し一方におきまして、私ども非常に非難を受けますのは、管理段階が大きいのではないか、むしろ頭でつかちで、現場のほうが非常に痩せているというような非難もある。併しながらこれもなかなか配置転換をすると申しましても、容易にはできないということで、千葉委員も実態は十分に御存じかと思いますが、私どもも更にこれに対しましては、或いは臨時的な要員を以て若干それを救済するとかいうような処置を現在までとつて参つておつたのであります。ともかく今後公共企業体に移る結果といたしましては、勿論定員というものは外されるわけでありますが、併しながら予算というものは国会の御承認、議決ということに相成るわけであります。そこで給与の総額等も国会の議決の中に入つて参りますので、この給与総額を如何にするかということによりまして、それを使つての人員配置は公社の自由だという、そこにかなり事業の実態に応じた定員配置ができるという可能性が生じて来た。私ども今後の経営におきましては、勿論この点につきまして最善の努力をしまして、適正な定員を確保し、そして折角施設したものが動かないような状態に置かないように、公共企業体の公社の内部におきまして企業的な努力というものが完全になされなければならない。そういう努力がなされて初めてそれらの只今までの形式的な束縛といいますか、そういうものを打破しまして改善の途が歩めるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/59
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060・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 大臣にお尋ねいたします。大臣にお尋ねしたいことは、今度公社になりますと、職員諸君に対しては公共企業体労働関係法で律せられるということになるわけであります。この場合に問題になりますことは、例えば従来の国鉄、専売等の例を見ましても、先ず何といつても公労法の第十六条の関係、それから第三十五条の関係であろうと思うのです。恐らく将来日本電信電話公社におきましても、この種の問題が起るであろうということは予測に難くないどころか私は必至なことであろうと考えておるのであります。而も私どもこの問題が起るという理由は、法文そのものにあるのでもなくて、それから又従業員自体の給与の中に問題があるのではなくて、その紛争の起る原因というのは、政府がこの公共企業体労働関係法の第十六条なり乃至第三十五条に対する見解の中から紛争が生まれて参つておると思う。そこで第十六条の関係について大臣にお尋ねしたいことは、一体大臣としては第十六条に指摘されているように「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。」というこの条文に該当する事項が、つまりそういうこの事項に該当するような協定というものが起るとお考えになつておられるか。それとも起るはずがないとお考えになつておられるか、その点を先ずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/60
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061・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 過去におきましても公共企業体といたしまして予算を作り、その予算も一般の予算とは違いまして相当弾力性のある予算を作ることになつておるわけであります。従いましてこの予算の弾力性の範囲内におきましては、これは問題はないわけであります。併し予測しないような事態の下において賃金等の交渉が始るといたしますると、もつと言換えますれば、非常な物価の変動がある、こういうような事態に当面いたしますと、年度当初等において編成をいたしました予算の弾力性の範囲内においては賄うことができないような場合も起り得るのではないかと思うのであります。通常の状態においては起り得ないということは考えられる。併しながらまあ特別な経済状態の下においてはあり得ることではないか。そこでこの十六条の規定が必要になつて来る。もともとその予算の範囲内、弾力性のある予算の範囲内において賄い得る程度の協定に終り得るなら、十六条の規定は必要ない。併しながらいろいろの事態を考えますると、過去において経験いたしましたように、その範囲内では賄い得ないような経済界の変動等もあり得るのであります。そういうような場合におきまして、収入の基礎である料金等は国会の承認を経なければならない。これは時期的に見ましても、又方法等におきましても、非常な拘束を受ける。支出の面だけが自由ではあり得ない。従いましてそういう場合の公社の、公共企業体の予算の使い方というものにつきまして、政府が特別な指針を与える、はつきり申せば十六条のような基本的方針の下においてそれに対処して行く、これは止を得ないことではないか、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/61
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062・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 今私の御質問申上げました重点というのは、この第十六条、大体表面上から見ますと、公共企業体がその従業員諸君との協定の際に、予算上若しくは資金上不可能な協定をする場合があるという想定の下に、この条文が成つているわけでございます。実際、従来そういう条件が往々にして客観的な事実としてあつたようでございます。そういう条件というものが恐らく将来も起ると思いまするが、大臣はそういう状態が起るというふうにお考えになつておられるかどうか、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/62
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063・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 通常の状態においては起り得ないだろうと、かように私考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/63
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064・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 勿論これは通常の場合にそういうことがしよつちゆうあるわけのものではないはずであります。公共企業体がその協約として予算上、資金上不可能な協定をどんどん結ぶということは、これはあり得ないことだろうと思います。むしろ今大臣がお話になられたような、特に激しい経済的変動等の場合に起つて来る問題でございますから……。併しそういう場合といえども、実際問題として従来もその経験があります。それから今後もそういう状態というものは必ず私は起り得るという見解、これは起らないという見解もあるかも知れませんけれども、私どもは大体起るという場合を予想して、この質問を申上げておるわけであります。そこで、そういう不測の場合には予算上、資金上不可能な協定が結ばれることがあり得ると、これは法律がはつきりそういう点を予想して立法されております。大臣も又そういう場合が起り得るとお考えになられるかどうか、その点をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/64
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065・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申上げておりますように、通常の状態においては、恐らく弾力性のある範囲内において賄いがつくだろうと、かように考えますが、異常経済の下におきましては、それはまあ特別な場合として、そういう事態が起り得ない、起らないと、かように申上げるわけのものではありません。で、今後の状態といたしまして、大体私どもは、経済も正常に復帰しつつあるし、又非常な変動等は、政治力の安定から見まして、当然避け得ると、かような考え方をいたしておるのでありまして、まあこの考え方から申しますると、先ほど申しまするように、特別な場合は余り考えてないのじやないかという感がいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/65
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066・千葉信
○委員外議員(千葉信君) まあ将来そういう問題が起るか起らないかは別問題として、法律は少くともそういう状態が起つた場合を想定しての法律です。その点については大臣も確認されるだろうと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/66
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067・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) その通りであります。殊に、例えば本年の状態を御覧になりますれば、公社に移行いたします際に、官庁としての予算をそのまま踏襲するということに相成つておりまするが、本年のような状況の下にあると、予算上、資金上相当窮屈な思いをしておる。いわゆる公社予算はまだでき上つておらないのでありますから、そういうような際においては、過去の国鉄が経験したような事態に遭遇しないとは申上げかねる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/67
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068・千葉信
○委員外議員(千葉信君) そこで問題になりますことは、そういう事態がたくさん起るか、或いは数少く、滅多に起るものではないというものであつても、仮に起るということがこの場合には予想され、この立法がなされておるわけでございまするから、そこでこの法律の解釈の問題が問題になるわけでございます。第三十五条における仲裁裁定の場合におきましても、その裁定は双方がこれを受諾しなければならないというはつきりした明文になつております。そうして双方が受諾しなければならない仲裁裁定に対しては、団体交渉による協定と同じものだ、第三十五条と第十六条の関係ではそういう結論になるわけでございます。そういたしますと、協定を結んだ公社が、その協定をした以上は、飽くまでもそれを履行するまでは債務として残ることは、これは当然であろうと思います。この点は如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/68
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069・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 三十五条によりまして最終的な決定をいたしたいわゆる仲裁委員会の裁定に対しまして、当事者双方が最終的な決定をいたしたといたしますれば、当然その最終的決定に服従しなければならないということが明記されておるのであります。併しそれかと申しまして、第十六条の規定が生きておらないというか、適用されないわけではなく、その但書にもありますように、その場合におきましても第十六条というものは厳としてあるわけでございます。この点は過去の国鉄の場合におきましてすでに取扱方も先例としては一応の結末は得ておるように私ども考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/69
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070・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 大臣のおつしやるような先例を私は大臣と一緒に承知しております。ところがそこに私は問題があると思うのです。それは政府のほうでは、この第十六条の解釈をめぐつて、政府の見解に従えば、予算上、資金上不可能な協定に対しては、政府は責任をとらなくてもよろしいんだ、従つて政府はその協定に対して同意できない場合には、その協定を履行しなくてもよろしいというそういう見解を従来とられて参つております。そういう政府の見解が私は誤りであるから、そのために今後も頻々としてこの問題をめぐつて常に問題が生起するという条件がありますので、私は今度電気通信省が公社になる機会において、この問題を究明しなければならないという必要が起つて参るわけでございます。政府のほうでは、こういう協定を政府の意思によつて全然履行しなくてもいいんだという考え方を従来とられて来ましたけれども、この立法の精神については、私はそれとは少し違つているんではないかと思うのです。第十六条に言うところの政府を拘束するものではないというのは、政府がその協定された事項に対する事後の措置をした後でなければ拘束されないという考え方であつて、而もそれは政府にとつてはそういう拘束はないとはいつても、その協定に基いて事後措置を講じて公社がその債務を履行しなければならないというのが第十六条の精神だと思う。一体政府のほうでは、特に佐藤さんの内閣の場合にありましては、特にその傾向が著しいようでありますが、大体協定された事項を政府の一方的な意思によつて履行しなくてもよろしいとか、蹂躙してもよろしいという法の解釈は、この場合には生れて来ないと思うのです。同条の第二項の場合におきましても、「前項の協定をなしたときは、政府は、その締結後十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中のときは、国会召集後五日以内に付議しなければならない。国会による承認があつたときは、この協定は、これに記載された日附にさかのぼつて効力を発生する」、予算を要する案件でありますから、その場合に勿論国会の承認がなければ履行はできないことになります。従つてそういう国会の承認を要するという手続規定になるのが第十六条の二項だろう。この条文のどこを見ても政府が拘束されないということはない。履行されなくてもよろしい、拘束もされない、履行しなくてもよろしいという条文はないと思うのですが、この点については御見解は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/70
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071・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 千葉さんのような御解釈になると、非常に労働争議等も簡単に々々々予算上、資金上なお不足がありましても、仲裁委員会の裁定であるならば、それにふさわしい予算、資金を設ければいいのだ、かようなお話でありまするが、問題は至極さように簡単に参らないのであります。と申しますのは、国の予算或いは公社の予算或いは資金というものは、この事情だけから増減が容易にできるわけのものではない。かように考えますると、仲裁委員会の裁定にいたしましても、双方が了承いたすことにいたしましても、今日与えられておる予算並びに資金の面から見まして、それが賄えない場合、これはいたし方ない。いわゆる実行不可能な協定に相成るというのがこの法文の建前だと思います。たださような場合におきまして、なおどこかに財源があるのだ、従つてそれを予算化すれば使えるのではないか、こういう問題をお話になつておるようでありますが、これは私は政治上の責任であるとまでは思いません。又法律上の義務は勿論ないように思います。ただそうすることが政治的に非常によろしいのではないかと、こういう御意見に対しましては私も敬意を表しますが、政治道徳から見て当然予算を編成すべきである、かような責任があるとは私は考えないのであります。で、問題はいろいろあると思います。が、新たな予算を編成しろという御議論もありますが、或いは予算上、資金上という言葉は誠に明確なようでありますが、同時に明確でもない。この意味合いにおきましていろいろな論議が交わされておるのが過去の例ではないかと思います。当局といたしましては、或いは資金上はこれは可能だと、併しながら政府当局はそれは不可能であると言うた、或いは又仲裁委員会の人にいたしましても、予算なり資金上の状態を無視して恐らく裁定を出すということも実際には考えられない。だから問題はその予算上及び資金上余裕ありや否やという問題は、まあ具体的な問題として考えられる。更にそれに法的な手続、いわゆる予算を編成しろとか、或いは資金を増加しろとか、こういう議論は余り聞かないように私は理解している次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/71
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072・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 大臣の御意思によりますると、こういう状態というのは、大体において当事者の協定の場合にはそう問題は起らないと思うのです。なぜかといいますと、その協定の当事者である国鉄の総裁なり、公社の総裁なりが、理事者としての能力の限界を超えて協定を結ぶということはあり得ないと思うのです。殆んどそういうことはあり得ないという想定に立つても誤りではないと思うのです。併し三十五条の場合におきましては、仲裁裁定が、協定の場合には容易にあり得ないというような予算上、資金上不可能な問題に対しましても、この裁定に対しては双方がこれに服従しなければならない、こういう条件を明示しているわけです。而も服従しなければならないところの仲裁裁定が行なわれたのに、理事者であるところの総裁なり副総裁なりが、その服従しなければならない、履行の義務を持つ条件に対して、それを履行するだけの権限も与えなければ、又一方においてはそれを履行せしめるようた政府が道義的責任を果すための措置もとらなくてもいいという解釈は、私はどこからも出て来ないと思う。この場合に私が想起いたしますのは、例えばイギリス等においても公務員に対してこの種の労働立法があるようです。同じくこの場合にも仲裁裁定が行われるという条件がありまするし、従つてその行われました仲裁裁定が、必ずしも予算上、資金上可能な仲裁裁定ばかりではございません。従来の例から見ますると、この仲裁裁定は多くの場合予算上、資金上可能に該当する仲裁裁定が行われております。而もその場合にも、同じ法体系の中に、仲裁裁定は双方がこれを受諾しなければならないという条文になつておる。而もイギリスの場合等におきましては、その仲裁裁定が行われますれば、これに対して日本の吉田内閣がとつているような態度をとつたためしは全然ないようです。必ずそれを履行しておる。これは私は予算上、資金上等の面、或いは佐藤さんが今お話になりました政治上の責任云々の問題ではなくして、双方が服従しなければならないという約束をしておる立法上の道義的な責任さえも蹂躙するという結果に陥るのではないか。佐藤さんの御見解からすれば、そういう結論になる虞れがあると思うが如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/72
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073・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この三十五条の本文は、全く千葉委員の言われる通りであります。従いまして原則的には仲裁委員会の裁定というものを最高権威のものとする。これは仲裁委員会を設けます限り当然であります。従つて仲裁委員会の裁定には、双方とも最終的な決定として服従するのを異議を差挾み得ないものだ、こういうように最高の権威をあらしめた、併しながらこれに対しては但書がついておるわけであります。その但書の中においては、第十六条の定めるところによるわけであります。第十六条の定めるところで申せば、資金上、予算上不可能な資金の支出を内容とする案件は、これを拘束するものではないというところに、帰つて来るわけでして、私は恐らく仲裁委員会のかたといたしましても、予算上又は資金上不可能な裁定をされるとは思わない。と申しますのは、やはり組合のかたにいたしましても事業を構成する一員である。言い換えれば事業体の最も大きな役割を占むる人たちでありまして、従つてその事業体自身が妥結しないもの、これをその争議の場合に裁定として与えるということは考えられない。で、これはまあしばしば一部においては、労働者が資本家から闘い取るのだ。闘い取る権利だ、かようなことを申しまするが、やはり事業体は、経営者と従業員とこの両者でこれはでき上るものであります。で、事業自身がうまく行くか、行かないとすればその事業の予算、或いは事業の資金、これが非常に窮屈なものになる、又窮屈なものになるんじやなしに、より以上のものであるかどうかということも考えるわけなんです。事業が成立たないで従業員の福利もないわけです。従つて裁定の限度というものはそこに必ず出て来るものであります。若しもその事業体が耐え得ないような資金上、或いは予算上の要求が貫徹されて、そうしてそれが裁定として現われたといたしますればその事業体は潰れることになるのだと思うのです。かようなことを考えますると仲裁委員会のほうもやはりその事業体の内容、これについては十分の検討をされることだと、かように私は理解をいたしております。従いましてこの裁定は最終の権利ではあるが、同時に資金上、予算上ないものは如何ようにも仕方がないのだというのが最終的な結論じやないか。やはり三十五条と十六条とを結び付けて考えるべき性格のものであろうと思うのであります。ただ問題は先ほど私もちよつと触れましたように、いわゆる予算上又は資金上というその内容につきましてはいろいろの議論があると思います。一部においてはこの程度は予算上或いは又質金上差支えないのだ、又片一方のほうにおきましてはそれはもうすでに予算上、資金上から見てもその流用の範囲じやない、いわゆる弾力の範囲を越えておるものだ、こういうような議論もあり得るのではないかと思うのであります。問題はやはり具体的な問題としてそのときどきにぶつかつて行くのがこれは当然だと思う。だから法理論から申し、或いは政治上の責任から申しまして当然特別の措置をとるべきものだ、予算上或いは資金上の措置をとるべきものである、かようには私は考えないということを先ほど来申上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/73
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074・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 只今大臣の御答弁ではその企業体の予算上、資金上不可能な仲裁裁定が出るはずがないというお話でございますが、これは今までの実例から申しましても出ております。出ておつて而もその仲裁裁定は協定と同じに扱う、そして今大臣からの御答弁では三十五条と十六条の関連においてこの問題は考えられなければならないというお話でございましたが、私は三十五条は仲裁裁定そのものに対する法的な制約が規定されたものであつて、法律第十六条の場合にはこれは公社と従業員諸君との法的な協定、若しくは法的な仲裁裁定の効力に関する問題に触れておるものではなくて、これは公社と政府との関連を規定したのが第十六条である。従つて如何なる条文の中にもそういう協定なり、若しくは仲裁裁定を拒否してもよろしいという条件は全然第十六条からは出て参りません。第十六条のどこにそういう協定を政府自体……、公社自体が履行しなくてもよろしいとか、受諾しなくてもよろしいとかいう条件はないと思いまするが、この点は如何でございまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/74
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075・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申しましたように十六条は勿論政府を拘束するものであります。併しながら政府が拘束されない、従いまして予算上、或いは資金上特別な措置が講ぜられない、かように考えますると三十五条で幾ら協定をいたしましても実施は不可能であります。さような点を申上げておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/75
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076・千葉信
○委員外議員(千葉信君) この問題は電気通信省が公社に移行する場合に一番従業者諸君にとつても、それから又我々にとつても深い関心を払わなければならない問題である、そしてできれはこの機会にこの条文の解釈というものがもう少し民主的な状態において解釈されることがなければ公社に移行した場合において私どもは常日頃起つて参るであろういろいろなこの問題に関する紛争等が考慮されるわけでございまして、この点については私は強くこの条文に対する解釈が正しい民主的な解釈に移行しなければならないことを念願いたして今日の質問を申上げたわけでありまするが、これ以上の質問は水掛論に終る虞れがございますので、明らかに大臣と私の間にははつきり見解の対立があるのでございまするが、私はこの問題はこのくらいにして次の質問に入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/76
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077・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) あえてもうお答えをいたさなくてもよろしいと思いますが、ただ私今までの国営、直接政府機関として事業を遂行しております場合と、公社になります場合とでは相当の開きがある。特に申上げたいことは、予算の編成、或いは資金の獲得の面におきまして今までの場合とは違つておるのであまして、それが弾力性のある予算というような表現を今までして参つておるのであります。従つていわゆる予算や資金上の関係に囚われないで争議が解決されております純民間会社の場合とはやや違いまするが、ややじやなしに場合によりましたら本質的な相違があるのではありますが、今までのいわゆる政府機関としての場合とはこれは相当変化のあるものである。これだけは御承知置き願い……従業員におきましても公社にすることによりまして積極的に団体交渉の途が開かれ、組合の力によつて組合員の地位が確保できると、こういう途が開けておるということだけを御承知置き願いたいと思います。ただその公社に移ります最初の第一年と申しますか、今年におきましてはすでに編成をいたしました予算を踏襲いたしますので、本年は誠に窮屈な状況ではないか、この点を特に恐れておるということだけ感想として附加えて申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/77
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078・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 私ども大臣を初め、電気通信省の幹部のかたがたが只今の大臣の御答弁にありましたような方向へ持つて行きたいということで御努力なされておることも知つておりまするし、又恐らくその方向へ近付くだろうとは思いまするけれども、併しこれは以下条文について御質問申上げる中でおいおいはつきりして来ると思うのですが、私のそういう希望も、希望的な観測も実はこの法律案の具体的な内容の中では遺憾ながらそれと正反対な立法がここに提案されておる条件がはつきりあるようでございます。今この問題についてはそういう具体的な一々の内容の中から御質問申上げたいと思いますが、大臣の御時間はまだ差支えございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/78
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079・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/79
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080・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 只今の御答弁に関連するのですが、今度の公社法案の第三十条によりますと団体交渉等を以て律せられて然るべき職員の給与に関する問題について、これについて大よその大綱が示されております、大よその大綱ではありまするけれども、私はこの三十条の一項も二項もこのままでは承服できない問題があるのではないかと思います。一体この条文としては大臣はどういうふうに職員の給与を持つて行かれるおつもりでこういう条文になされたか、先ずその点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/80
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081・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように公社にいたしますのもこれは事業体といたしまして事業遂行にふさわしいようにいたすわけであります。従いましてこの従業員諸君も勿論その職員として十分その職責を果し得るような給与体系でなければならないと考えます。基本的な考えといたしましては、やはり高能率高賃金、高賃金であると同時に高能率ということを基本的な考え方として堅持願いたいと思うのでありまするし、同時に又この事業だけが独立して他の国家公務員なり或いは民間事業の従業員の給与と全然別個の体系で作らるべきものでもない、かようにも考えるわけでありますので、これらの関係におきましては、十分国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮されるということを要求いたしておる次第であります。いずれこの条文を基本にいたしましてそれぞれ細かな給与規定が作られるもの、いわゆる給与準則が制定されるものであると、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/81
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082・千葉信
○委員外議員(千葉信君) この第三十条の解釈から参りますと、例えば国鉄における第二十八条等々との関連の中で、少くとも条文の上では国鉄法の場合においては生計費を考慮するという条件があるようでありますが、公社の場合におきましては「職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない」。本則の中では明らかに能率給を主張しておられるようでありますが、一体大臣は現在の経済情勢の下において、要するに国家財政の下においてそういう能率給体系というものがとることができるとお考えになつておられるか。それから大臣のお考えになつておられる能率給というものは如何なる具体的な内容のものであるか、この点をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/82
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083・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 生計費という言葉が使つてありませんが、生計費は給与を定めます場合には当然のものだと思いまするし、殊にこの第二項に「民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して」という表現をいたしておりますが、民間事業等におきましてはもうすでに組合の活動も活撥でありまするし、これらの点についての主張は十分織込まれておるわけであります。で、国鉄の場合に特にかような字句が入りましたのは当時の社会情勢を相当反映いたしておるのではないか。私どもは給与といたしましては当然さようなものが考えられるべきものだろう。これは基本的な問題で改めて明示する要なきものだというのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/83
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084・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 曾つてこの委員会の席上で大臣は小笠原委員の質問に答えられて、例えば能率給というものは、その能率を上げた職員に対して報奨手当というようなものを支給するということを考えておる、これが能率給だというような御答弁がございましたが、私はそのときは黙つて聞きましたけれども、今日は時間がありますから大臣にいささか御質問を申上げたいのであります。大臣は今度のこの法律によつても第三十条においては「職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない」ということを言つておられまするが、一体現在の給与の水準がどういうものであるか、大臣は御存じかどうか私は疑わしいと思う。この条文の中では公社の職員に対しても「国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない」という、そういう条件の中から国家公務員の給与の水準というものもこれはやはり公社の職員の給与を算定する場合の基準としてとられておるのです。そこでそういうものが若しも考慮されるということになれば、私は能率給どころの話ではないと思う。御承知の通り現在の国家公務員の給与というのは、その基準になつている職員、十八歳を超えている職員の給与というのは食糧費が二千六百円です。食糧費が二千六百円でその他の給与が千四百円です。食うためだけで二千六百円を支出し、その他の生計費等にあとの残余の千四百円を支給しなければならないというようなこういうむちやくちやな低い給与の水準でどうして能率給という体系をとることができるか。少くともあなたが言つておるような「職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない」というような能率給の体系に持つて行くことができる水準であるかどうか。只今の四千円の水準に据置かれているという公務員の給与、而もその給与水準に照らしてその他の事情を考慮して定めなければならないという条件の中で律せられている、一体こういう極端な低水準の給与の中で、能率給というような体系がとられていいものかどうか、この点については如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/84
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085・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 問題は給与の体系として生計費を考えているのかおらないのかということでありまするが、これは国家公務員法の給与に関する準則ですか、の中にもはつきり出ているのでありまするが、その六十四条ですか、「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、且つ、等級又ば職級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならない。」、かような規定があるわけでございます。従いましで原則といたしましては十分考慮されているものだと、かように考えるベき筋のものであります。殊に俸給自身は政府が独断専行するのではなく、国会の御審議等をも頂くものでありますので、その金額の多寡につきましていろいろの御批判はあることだと思いますが、この法律の趣旨に副つて最終的な決定を見ているのだと、かように解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/85
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086・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 只今大臣が読上げられた給与準則に関する法律はまだ施行されておりません。(笑声)これは近い機会に施行されるかも知れませんけれども、御承知の通り現在の段階におきましては暫定立法としての一般職の職員に対する給与法が施行されております。ですからそういう状態の中で大臣がまだ施行されてもいない法律を盾にとつて答弁されるということはいささか筋違いではないかと思います。(笑声、「政府委員の補佐が悪いぞ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/86
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087・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の趣旨を申上げている、筋であります。この点は誤解のないようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/87
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088・千葉信
○委員外議員(千葉信君) その筋にも問題があろうかと思うのであります。その筋も只今大臣がお読みになりました給与水準に対する理念の中にもそれとは違つた点がはつきりと出ております。それは給与というものは公務員法におきましても能率給体系で行くのだという条文にはなつておりません。勿論能率等も斟酌されなければならないということになつておりますけれども、その他の条件としての問題が非常に大きなウエイトを持つているわけでございます。而も今度の場合は、公社法の場合にありましては殊更に能率給体系の方向へ移行しようという条文がここに明確になつております。ですから一体大臣としてはその能率給に移行しようというその内容は如何なるものか、その点を私はこの際明確にされたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/88
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089・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) よくわかりました。只今のお話で私も非常に誤解をいたしておりましたが、この第三十条を第一項と第二項とを合してお読み下さればその点は明快に答弁が出ているのであります。先ほど来生計費云々が出ておりましたが、それは第二項のほうである。この第二項に合して能率給を加味してもらいたいということでありますので、この三十条の規定によりますれば、一層従業員といたしましては高賃金、高能率の原則が適用されることに相成るのであります。ただ第一項にいきなり能率云々の規定がありますので、能率給が主になるので、それだけで給与が定められておると、かようにでもお考えであつたといたしまするならば、その点は誤解でありますので、重ねて申上げて御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/89
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090・千葉信
○委員外議員(千葉信君) そこで第三十条の第一項と第二項の問題の中にも具体的な矛盾が生じて参るわけであります。第一項におきましては、能率給等を加味するものであるということが言われておりまするし、第二項の場合には、そういう能率給等は考慮されておらない、国家公務員若しくは民間事業の従業者の給与を基準にするのだと、そういうことになりますと、若しこの法律の条文通り施行されるということになりますと、少くとも現在の国家公務員諸君の給与等の水準に第一項の職務の内容若しくは能率等に準じて支給される給与は増額されなければならない、こういうことにこの条文の上からはなると思うのですが、そういう方向に大臣は持つて行こうとしておられるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/90
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091・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来の話でよくおわかりだと思いますが、原則的には、いわゆる給与の建前といたしましては、高能率高賃金ということを一つ考え、同時に又給与は生計費その他を勘案して定められておる国家公務員であるとか民間事業の従業者の給与等との関連をも考慮して定めなければならないと、かように申しておるのでありますので、原則といたしましての給与の建前は、いわゆる国家公務員や民間事業の従業者に準じて定めております。これにも、ものによりましてはその能率を加味した考え方が必ず出ておると思います。併しながら、一般公務員のほうは能率という点には余り触れておらない。それを、これは事業体でありますが故に、能率を考慮したものでなければならないということを申上げておるのであります。ここに私どもが、基本的な給与の建前の問題と合して、今後給与が増額され生活の向上を期して行く場合において、従業員の更に積極的な協力を得るという一つの指針を現わしておるつもりでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/91
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092・千葉信
○委員外議員(千葉信君) そうしますと、こういうふうに了解して差支えございませんですか。例えば第三十条の第二項等におきましては、国家公務員の給与の水準、それから国家公務員の給与の水準よりは三割方高い一般の民間事業の職員の給与と、それを平均して考慮する。それから又一方におきましては、第一項においてはその職員の発揮した能率等が考慮され、能率給もこれに更に加味するという、そういう条件だというふうに了解して差支えございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/92
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093・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 大体においてよろしいように考えますが、一般公務員と民間との給与の平均というようなことを申上げておるわけではありません。一般公務員の給与と、或いはすでにできております公社職員の給与等もあるわけでありまするし、又この種の作業官庁にふさわしいような給与体系というものは当然考えられて然るべきものだと思いまするし、又その作業状況から申しまして、非常に能率の上るものと能率の上らないものとが同様の給与であるということも、実は考えられないわけであります。こういう点に苦心をいたしておるわけで、問題は、これらの点がもつと具体化するいわゆる給与準則が出て参りますると、お尋ねになる点も十分御説明ができ、よく御理解が頂けるのではないかと思いますが、まだ只今その段取りにまではなつておりません。ただ私どもが、政府が今後この給与準則に対しまして許可を与えるというような際におきましては、これは大事な問題でありますので、皆様がたのこの委員会を通じていろいろ御披瀝になりました御高見等をも拝承いたしておきたいと、かように私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/93
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094・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 只今の大臣の答弁からも、それから又先ほど大臣が、公共企業体として、今度は公社は国の事業ではあつても特殊な条件の下に入ると、そういう条件の中で、従業員に対する待遇というものも今までよりは考慮することができるたろうし、自分もそういう条件を具備するように持つて行きたいと、それから又同時にその問題に関連して、予算の弾力性云々の問題に対しましても、そういう条件が生れて来るであろうという非常に有難い御答弁があつたわけであります。まあその点に関しても、今の第三十条に関する問題はこれくらいにしても、そういう大臣の力強い答弁にかかわらず、今大臣は給与準則が出れば、その給与準則には大きな期待を持つてもよろしいというような御答弁でございましたが、遺憾ながら給与準則の中で本来律せらるべき条件がこの法律の中にはつきり明記されておる点があるのです。而も、その明記されておる点から言いますと、容易に給与準則には希望が持てないという条件がはつきり出て参つております。そこで、その問題に関連して先ず基本的な問題からお尋ねしたいことは、御承知の通り、電信電話事業というのは、その仕事の性質と言いますか、作業環境の特異な条件と言いますか、そういう作業環境の劣悪であるという条件や、或いはその仕事自体が非常に疲労を蓄積する仕事であるというような条件、非常に神経を浪費する仕事であるという、そういう条件であるために、現在の電気通信省、今公共企業体に移行しようとしておる電信電話の従業員諸君の中には、非常に結核患者が多いのです。これは大臣も御承知の通り、私がここで数字を読上げるまでもなく、郵政省にいたしましても、或いは国有鉄道公社にいたしましても、その他の行政部門等の場合と比較にならない状態です。他の場合におきましては、最高四分三厘程度にとどまつておる、総体の従業員に対して四分三厘程度にとどまつておる結核患者が、電通省の場合におきましては、何と驚くなかれ一割を超えております。こういう電通省は非常に特異な条件の中に置かれております。ところが、今大臣が給与準則の中で考慮されるだろうということをおつしやいました、その給与準則の中で律せらるべきこれらの休職者に対する給与というものがこの法律の中で殊更にはつきりと明文化されております。而も、その休職者の給与というものは、そういう特異な条件の中に置かれておるところの従業員に対する考慮がちつとも払われておらない。この法律を見ますと、この法律の第三十二条によつて休職者に対する給与というものがはつきりここで明文化されておりまするが、この給与の水準というのは、若しくはこの給与の支給の条件というのは、現在の一般職の職員と全く同一でございます。御承知のように、昨年の八月、それから九月に法律案として人事院のほうから提出されました休職者に対する給与の勧告というものとは似ても似つかない裏腹な悪条件を盛つておるのがこの法案に盛られておる休職者の給与でございます。而も、大臣はこれを御承知ないかも知れませんけれども、あの休職者の給与に関する問題の中で特に問題になりました結核罹病者の場合の休職者に対しては、これは全額を支給するということに勧告が出ております。法律案として人事院のほうから勧告されましたうちの、結核性疾患による休職者に対する給与はこれを給与の全額を支給する。而も、各省の長は特に必要があると認めるときは、予算の範囲内でその職員に対し、満二年を超え満三年に達するまでの間給与の全額若しくはその一部を支給することができる。こういう勧告が出ております。ところがこれは政府によつて現在の一般職の職員の給与法のように、悪い条件にすり替えられてしまいましたけれども、電気通信省のまうな非常に結核患者の多い場合に、全然この問題が考慮されずにここに提案されております。これは一体大臣は給与準則等においてこれを変更されるおつもりかどうか、先ずそれをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/94
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095・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどお答えいたしましたうちで、大変な間違いをいたしておるようでありますので、その点を取消したいと思います。
先ず第一にそれは給与準則が政府の、許可にかかるかのようなお話を申上げましたが、給与準則は政府の許可にかからないので、公社自身で定め得るものであるということを申上げて、先ほどの答弁を訂正いたしたいと思います。従いまして公社自身におきましては、いろいろ特殊事情を勘案して給与準則を考えて参るべきだと思います。従いまして、この従業員についての特殊性は、この給与準則へ十分織込まれることに皆様がたからいろいろのお話が出ておりまするが、同時にこの給与準則は、公社といたしましては最も重要なものでありますだけに、部内におきましても十分審議が重ねられまして、最終決定を見るものではないかと、かように考えますので、その点だけ附加えてお話をいたしておきます。結核患者につきましては、只今御指摘になりますように、法文で明記いたしておるのでおりますので、この点はこの法律に拘束されざるを得ないのでございます。で、一般公務員に対しましても一種の規定がありまして、たしか私の記憶いたしますところでは、教育公務員に対してのみ特例が設けられておるのではないかと、かように考えておるのであります。で、この種の現業……。私は電気通信なり、或いは郵政なり、又鉄道等につきましても、罹病の状況等については或る程度の認識を持つておるものであります。ありまするが、これらについてはやはり罹病後の処置といたしましては、この法律できめておりますような、百分の八十と、休職支給としましてはこれが適当と思います。併し同時にこの罹病しないような、或いは衛生厚生施設というものにつきましては、うんと力を入れて参らなければならないもののように思うのであります。殊に作業場が非常な古いものであり、その採光等も十分でないとか、或いは使つております器具なり、寝具等におきましても、非衛生的なものにつきましては、これは当然積極的にこの罹病の率を減らす方向に持つて参りまして、この種の不幸な人たちが余り出て来ないように、犠牲者が出て来ないように是非ともいたさなければならないと思うのであります。この意味合いにおきましてはもつとこの管理の面におきまして、今後注意をいたすべきものがあるのではないか、かように考えておるのであります。問題は勿論休職給自身が殖えて行くこと、十分の給与が支給されること、これは望ましいと思います。思いまするが、一般との振合いの問題も勿論ありまするし、この問題は医療につきましてそれぞれの事業体が特殊な設備或いは整備をいたしておるわけでありまするが、そういうものを併せて考えて行くべきじやないか、或いは共済組合の給付であるとか、只今申上げますような施設であるとか、これらのものと合して、やはり対策を講ずべきもののように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/95
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096・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) ちよつと速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/96
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097・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) それじや速記を始めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/97
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098・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 只今大臣のほうから教育公務員特例法の取扱についてお話がありましたが、これは他との比較になる問題でありますので、この点は明らかにされる必要があると思うのですが、教育公務員特例法の場合には、現在の一般職の職員なり、それから又この法律に盛られておりまする場合の二年という期限が、三年まで特例を認めるというのがあれの条件でありますから、必ずしもあれはこの問題と関連して考える必要はないと思つております。
そこで次にお尋ねしたい点は、先ほど申上げたように、電通省の職員等の場合にありましては、非常に結核患者が多いという条件が一方にございまして、そういう条件というものがこの際には殆んど考慮されておらない状態でありまするが、ここで第三十二条の第五項によりますと、「職員が公務上負傷し、又は疾病にかかり、第一項第一号の規定に該当して休職にされた場合においては、その休職の期間中これに給与の全額を支給する。」、第六項において「職員が結核性疾患にかかり、」こういうふうに第五、第六項の間には、公務上であるか否かによつて区別が持たれておるわけでございます。ところが御承知のように、第五項に該当する公務上疾病にかかりという条件の中には、結核病棟等に勤務する職員等については、第五項と同じように、休職中においても給与の全額が支給されております。その理由としては、人事院当局の説明によりますると、結核菌の感染を受ける機会が非常に多いから、こういうやり方をしたのだと、これは現在の私どもの水準の、現在の病気に対する、結核に対する常識から言いましても、菌の感染を受けるから結核に罹病する機会が多いのだ、だからこれを公傷にしなければならないというような考えは、これは十九世紀の医学常識であつて、現在のような結核に対する常識から言いましても、菌の感染云々という問題が大きな要素になるというふうに考えられていることは、非常にこれは遺憾な点だと思うのです。そこで今の一般職の職員に対する給与の審査の場合におきまして、結核を公傷とするか否かという点について、いろいろ論議がございました。そこで人事院当局の最終的な回答としては……、最終的な回答ではなくて、当初には今申上げたように、結核病棟等に勤務する医者、看護婦その他の職員諸君は菌の感染を受ける機会が多いからというので、結核罹病者の休職に対しては全額を支給する、こういう最初の答弁が、国会における月余に亘る質疑の中から人事院の答弁が廻つて参りました。その答弁というのは成るほどこういう、結核に罹患する大きな原因としては、菌の感染だけではなくて、作業環境であるとか、或いは疲労の蓄積であるとか、その他のいろいろ案件というものが結核に罹患する原因と考えられることは正しいとして、そこでその当時結核病棟に勤務する職員というふうに限界を設けて、一応法律は出したけれども、その後人事院においてははつきり公約して、例えば電気通信省等における通信作業要員のごとき、結核に罹患する条件の中に作業する職員に対しては、これらの職員に対してはその作業の内容について、職種を指定することによつて公傷の扱いをするごとにした、こういう答弁がはつきり人事院のほうから出ていると思うのです。その後その問題に関して電通省と人事院当局はどういう折衝を重ねられたかは知りませんけれども、少くとも人事院当局はそういう作業を非常に進行せしめつつあります。そういう条件の中で、一体電通省としては今度の立案の際に、これらの一割以上に達している罹患者を抱えている電通省が、なぜ結核罹患者に対して公傷の扱いにおいて、休職の扱いにおいて第三十二条の五項と六項というような差別待遇をお考えになつたか、この点の御答弁を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/98
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099・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お説のように電気通信省におきましては、職員の結核性疾患の羅病者の多いことは、これを認めているのであります。そこでこの結核性の疾患というものが電気通信事業から来るいわゆる職業疾患なりや否やという問題に相成るわけであります。私も大臣就任以来しばしば組合の諸君から職業疾患としてこれを承認したらどうかと、かような意味で同問題もいろいろ研究しては参りました。従いましてまあ先ほど申上げましたような厚生施設その他について力を入れまして、羅病の機会をとにかく少くする、かように努力すべきものだと実は考えているのであります。で、電気通信業務から当然起る職業病なりや否やと、かように考えまするというと、どうもこれを職業病だと申すわけには行かないように思うのであります。先ほどお話になりました例えば結核病棟における医者なり、或いは看護婦等におきましては、これは場所においてそういうことをいたすのでありますので、特別な処置が講ぜられるかもわかりませんけれども、通常の状態において執務いたしますその状況から見ますれば、これは職業から来る当然の疾病だというわけには実は行かないのであります。そういうことでこれを公傷というわけには行かない。公務上の疾患とするわけには行かない。こういう問題があるわけであります。この点は御承知のように、そこを全体から見ましてもどうも世界的に結核の多い国柄だとかように言われているのであります。かような意味から申せば程度の差は勿論あることだと思いますが、結核撲滅には国として乗出さなければならん、この点は恐らく又御指摘になる通りであります。従いまして電気通信省におきまして罹病者が多いということになれば、特にその労務管理なり、或いは又厚生施設なり、或いは医療施設なり、それらの面におきまして、特段の注意をいたすべく又特段の設備をいたすべきが当然でありますが、その疾患自身を公傷、職業病として処理することは、やや本末を誤るものではないかという感がいたしているのであります。私も従業員の罹病の状況等も見て、この不幸なかたがたに対しましては心から御同情を申上げておりますので、いろいろの処置をとつて参りましたが、只今御主張なさいますような職業疾患というものにする程度には、如何ようにいたしましても実は結論が出ておらない、この点だけを正直に御披露申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/99
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100・千葉信
○委員外議員(千葉信君) どうも大臣の結核に対する常識が十九世紀的だから、大分意見も結論も食い違つて来ると思う。この際人事部長にお尋ねしたいと思うのですが、人事部長のほうでは、今の一般職の職員に対する給与法の審議等は十分御存じだと思う。そうしてその給与法の審議の際に現われた只今の問題に関する人事院当局の答弁の中にも、電気通信事業の中には特にそういう罹患者が多いという条件から、その職種が特に結核罹病に影響ありと認められる場合は、十分これを調査して、その職種を、特に人事院のほうから指定する電気通信従業員が結核にかかつて休職になつた場合には、休職にすることが正しいかどうかということについて、十分その職種を調査して、人事院がその措置をとるというそういう答弁をはつきり国会でやつておりますが、この点について一体電通省はどういう措置をおとりになるか、どういう折衝を人事院と行うか、この点を明らかにして頂きたいと思いまする発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/100
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101・山岸重孝
○政府委員(山岸重孝君) 結核性疾患が電気通信省の職員に多いことは、只今大臣のお話に、ございました通りですが、今の人事院との交渉の問題でございますが、我々のほうといたしましては、この問題につきましては従業員のほうからもたびたびいろいろ問題が出されております。そうしてこれがいわゆる職業疾患と申しますか、まああるかどうかということにつきまして、いろいろ研究も現在なおいたしておりますが、具体的なまだこれをそうだという結論が出ておらない状況でございます。そうして只今千葉先生からのお話もござしました人事院で只今特殊の、同じ電気通信省の中の職種でありましても、特殊の職種を特に指定して、それについてこれをその職種にいるものが結核性疾患にかかつた場合に、公務上の疾病とみなすということにつきましての具体的な交渉はまだやつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/101
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102・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 大臣にお尋ねいたしますが、大臣は電気通信事業に従事している職員の場合に、結核にかかつたとしてもこれを公傷と認めるかどうかということについては、自分たちとしてはその点はそれが正しいとは必ずしも考えておらない。そこでこういう措置をとつたのだというお話がございましたが、これは私ははつきり見解の相違があると思う。大臣の場合には結核に罹患するということの条件として、今の大臣自身の口から言われましたけれども、結核病棟に勤務する職員の場合はこれは無条件に公傷として扱うことに大臣ははつきり賛成のようであります。一体どうしてそういうふうな結論が生れて来るのか、この点を大臣から、結核に罹患した場合の条件としてどうして大臣がそういう考えをおとりになられるか、この点をもう少し具体的に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/102
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103・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 他の例で申上げて見ましよう。恐らく赤痢患者もあちらこちらに多いことだと思います。私どもが正常な食事をとつておりましても、いつ赤痢になるかわからない。併しながら赤痢になる人が比較的多いからと申しまして、赤痢を職業的疾患だとはなかなか考えない。だが赤痢の患者ばかりを収容している赤痢病棟で働く人たちが赤痢となるといたしますると、こういう場合においてはその職掌柄そういう罹病の条件が多いのだと、かような意味合いにおいて常識的に職業的疾患だと、かようにも実は考えられるのではないか、かように私は思うのであります。で電気通信省の場合におきまして、成るほどこの衛生管理が不十分であるとか、或いは労務管理が不十分でありますために罹病者が多いといたしますれば、これはその病気にかかること自身が職業疾患ではないのでありまして、これはむしろ衛生施設なり、或いは厚生施設なり、或いは又労務管理なりを徹底いたしまして罹病の機会を除くべきだ、かような意味合いにおきましてこれを職業疾患にすることは本末を誤つた議論だと、かようなことを実は申したわけでございます。只今やつております厚生施設なり、或いは衛生施設なり、或いは又労務管理なりが十分効果を挙げ得ない、さようなもので最善を尽しましてもなお且つ罹病するのだと、かような議論だといたしますると、これは場合によれば職業疾患たらざるを得ないと思います。問題はやはり常識的に物事を解釈いたして参らないとここには無理があるのじやないか。私は比較的この種の罹病された職員の生活状況なり、或いは家庭状況等については心から御同情を申上げておるのでありますので、できることなら何とかしたいというような気持がありまして、一度人事部長にも相談をしてそれについて積極的に研究をいたさしたものであります。でありまするが、その結論から申しますると、職業疾患と、かように銘打つわけには如何ようにいたしましてもどうしても無理があるというのが只今までの実は結論であります。先ほど来その点を縷々お話申上げたような次第であるのであります。この点につきましては電気通信省部内における厚生施設なり、或いは又労務管理の適正を図ることによりまして如何ような状況になりまするか今暫らく模様を一つ見て頂きたい、かように私どもは考えております。只今の状況で直ちにこれを職業疾患にするということは理論的にはどうしても納得いたしかねるという状況にあることだけ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/103
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104・千葉信
○委員外議員(千葉信君) いささか執拗な嫌いがありますけれども、電気通信省等が公共企業体に移行する、電気通信省等が他の行政官庁にも作業庁にもその比を見ないような厖大な結核罹患者を抱え込んでおる、こういう条件からいたしますと、私は執拗と言われてもこの問題について大臣にもう少し糾明しなければならない点があると思うのです。大臣は今常識だと言われま、たが、これ常識もいろいろございまして、高い常識もあるでしようし、低い常識もあるでしようし、一概に常識と言いましても一定の基準というものはないようでありまするが、大臣の只今の御答弁を承わつておりますと、赤痢病とそれから肺結核若しくはその他の結核と全く同じ考えで考えておられる。特にそのお考えの中には菌の感染ということを非常に大きな要素として考えておられる。だからこそ大臣は今赤痢なんかを例に引かれたんだと思うのです。併しこれは大臣も恐らく御承知かと思うのですが、現在の医学の常識から言いますと、結核菌の場合には菌の感染が結核の罹病の原因になつているんだということはこれは否定されております。むしろ結核菌の感染ということがその人の体質によつて結核に対する抵抗を作るという作用さえも持ち、如何にたくさんの結核菌に感染してもそれだけでは病気にならないというのが現在の医学の常識なんです。そういう結核に対して大臣は先ほどから私が申上げているにかかわらず、この期に及んでもなお且つ結核病棟等に勤務する職員と電気通信省の職員と区別されてもいいのだというお考えで答弁されている、私はこれは遺憾に堪えない。特にこれが他の官庁の場合、他の作業庁の場合でしたら私はその所管大臣がそういうお考えを持たれていても決してこんなに強く食い下がる必要はないと思うのです。勿論大臣が言われているように、この結核の問題に対しては国としての問題でもありまするし、又行政官庁としての立場からも労務管理その他の条件を通じてその軽減を図るとか、若しくは罹患をさせないように施策を講ずるという方向はとられなければなりませんけれども、併し一方においては、現実の問題として大臣がどういうふうにこの結核の問題を把握しておられましようとも、そうして又電気通信作業が特に結核に関連のある作業とは思わない、そういう御答弁でありましたが、併し大臣のそういう御見解の如何にかかわらず、一割以上もの結核罹患者がいるという事実に対して大臣は一体考慮される理由をお持ちにならないのか、特にこの際におきましては休職者に対してどうして公傷の扱いという条件をお考えになることができなかつたのか、公傷の扱いでないという扱いをする場合でも、この第六項の場合において百分の八十という差別を付けなければならなかつたか、この点を御答弁頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/104
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105・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 最近結核患者ついての扱い方がいよいよ徹底して参つたと申しますか、私はむしろ先ほど申しました労務管理なり、衛生厚生施設なんというものの整備等と併せてのいわゆる健康管理と申しますか、健康診断等も非常に普及徹底したと、この点を挙げなければならないように思うのであります。今一割々々と言われまするが、これは数もよく御承知かと思いますが、いわゆる要注意者というものがその大部分を占めておる。大体この要注意者と療養者と合せまして一万五千名の数が出ておるわけでありますが、そのうち要注意者は一万一千六百名ということでありまして、療養者としては三千数百名あります。この事実はやはり先ほど私が御指摘申上げましたように、この結核に対する対策が漸次その効を奏しつつある。健康診断、健康管理がかような意味において非常な徹底を達し得たのだというように私は考えておるのであります。従いまして今日その状況の下から直ちにこれを職業疾患にするということはこれはどうも無理が来るのではないか。これを職業疾患にするという以前におきまして、事業官庁として当然なさなければならない点、今まで遅れておる早期発見と申しますか、早期治療の途であるとか、或いはそれにふさわしい給付制度とが、医療施設或いは労務管理、これらの適正を期して、そうして罹病者が更に昂進しないような方法をとるのが先ず第一の根本的な問題のように思うのであります。この点を先ほど来縷々申上げておる次第であります。私はこれを職業疾患にするという点は結局全額の給与を支払うか、百分の八十を支給するかという点の相違に出て参るわけだろうと、かように考えます。この点になつて参りますればこれは電気通信省としての特殊性をここに考えぬわけには行かんのではないか。これが最後の結論であります。むしろ私どもといたしましては電気通信省におけるこの罹病者に対する待遇は他の官庁並みにこれを考えて然るべきではないか。教育公務員についてのこの特例は、これは別途でありますが、これだけは別格に取扱つて然るべきだ、併しながらその他の罹病者に対しては同様の処遇をすべきだ。そこで先ほど来縷々申上げておりますように、問題になります点はこの労務管理の面において要注意者の労務、勤務、こういうものの適正を期すること、或いは早期発見をいたしまして、これに対する療養、或いは治療の処置を講ずること、これらの点に最も重点を置くべきではないかと、かように考えておる次第であります。で、恐らくこれらの点は今までつも特にさような方法でカをいたされておりますので、私の見るところでは恐らく戦争直後の状況から見れば相当改善されたのではないかと、かように私は考えますが、只今実は資料を持つておりません、併し恐らくこの要注意者等の数は相当殖えて参つておると、その点は健康管理という面が積極的に徹底して来た結果ではないかとかりように私は考えておるのであります。恐らく知らないうちに病気になつておると、そういうものが発見されることが最も必要な対策じやないかと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/105
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106・千葉信
○委員外議員(千葉信君) 今の大臣の御答弁から申しますと要注意者の数が一万一千人もおる、要療養者の場合には三千数百人おるのだ、こういうふうにたくさんの結核罹患者があるということは結核対策が滲透して来てということを言われておりますが、その滲透して来てというのは早期発見の方法さえも講じつつあるいう、こういう意味だろうと思います。併しその電通省がそういう早期発見なり結核に対する対策というものはひとり電通省だけがとられておるのではなくして、内閣の閣議決定に基く結核対策要項によつて各省ともとられておる。同じ方法がとられております。同じ方法のとられておる中で、而も他の省の場合には四分三厘以下、ひとり電通省だけが一割以上という恰好が結核対策に関する電気通信省の徹底ということからこういう数字の違いが出て来るはずがないと思うのです。ですからこれはそういう結核対策が徹底したにしてもしないにしても電通省が他の官庁と全く違つた条件にあるということの証拠がはつきり出ておると思うのです。ですからそういう意味からしますと大臣の今の答弁ではこれは結核対策の徹底によつてこういう早期発見が行われたのだという御意見で御答弁されておりまするが、それは実情には実際適合しておりません。それから又もう一つは私の最も遺憾に堪えないことは大臣たちの御見解として結核罹患を電気通信省の場合では公傷という形において考えるわけには参らなかつたという一本槍ですが、先ほども申しましたように今の休職者に対する給与の問題を審議いたしました本院の人事委員会の速記録を少くとも御覧になつておればはつきり電気通信省の職員ということを議題として人事院がこれらの職種に対して若し特に結核に罹患するというような条件を持つておる仕事であるという結論が出れば、至急人事院としてそれに対する対策を考究してこれを公傷という取扱をする、こういう答弁がはつきり出ておる。そういう答弁が出て、それから以後一年も経過しておる今日、何ら電気通信省としてそういう国会で審議された案件に対して全然無関心の態度をとられて交渉をされておらない。而もこの法律を立案される場合に、こういう悪条件で取扱われようとしておる。これは全く電気通信省として私は大きなミスを犯しておると言つても過言でないと思う。而も先ほどの大臣の答弁では将来給与準則を制定する場合において、決して悪条件では取扱いはしないという一般的な給与の問題についての御答弁でありましたが、私も又大臣のそういうお気持を諒とするものでありまするが、そういうお考えでございましたらなぜ一体この際、本来給与準則に律せられるべき休職者の給与をこういうふうに特に厳格にこの規定に盛られたが、この点は私は非常に遺憾に思うのです。大臣はこれを変更される御意思を持たないかどうか、この点もお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/106
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107・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 重ねてお答えをいたします。過去一年間において何ら電気通信省は処置を講ないではないかというお話が出ましたが、私は先ほど答弁に申上げましたごとく、私就任いたしましてまだ満一年経たないのでございますが、その間にすでにこの問題につきましては私どもといたしましても積極的な考究をいたしたわけでございます。その点は十分組合の職員とも折衝を重ねて参りまして、只今も言われますようなこの結核疾患を職業病として取上げ得るかどうかということを部内において検討し、更に関係方面とも連絡をとりまして、そして権威のある最終的な回答を組合側にも提示いたしておるのであります。従いまして何らの措置をとらなかつたというわけでなく、そうではなくして、先ほど来縷々お話申上げておりまするごとく、むしろこの結核の退治に対しましては一層の積極性を発揮いたしておるつもりでおるのであります。この点は御了解を是非願いたいと思います。ただ不幸にいたしまして、只今御指摘のごとくこの結核患者に対しまして職業的疾患とすることができませんために、給与といたしましては他の官庁並みに百分の八十になつておる、この点はこれは止むを得ない事態だと私どもはかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/107
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108・千葉信
○委員外議員(千葉信君) この問題はこれくらいにしまして、次にお尋ねいたしたいことは今一体電気通信省は幾らの官舎がございましようか、又それが公共企業体に移行する場合には恐らぐこれは社宅という名前になるかも知れませんが、その社宅として考慮される官舎はどのくらいありますか、この点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/108
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109・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 数字等は事務次官からお話いたしますが、私の感じから申しますと、電気通信省なり郵政省といたしましてはいずれも他の場合と比べましていわゆる官舎、社宅の問題といたしましては相当不足をいたしておるという感がいたしております。現状を以て満足すべき筋のものではない、これはどうしても機会あるごとに積極的に整備を要するのではないか、かような感をいたしておることだけを、数字の資料を出す前に、私の所見を率直に御披露申上げておきます。ちよつと数字がないようですから只今のような答弁で御了承頂けないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/109
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110・千葉信
○委員外議員(千葉信君) むしろこの場合数字がなくて大臣としては非常にお楽であろうと思う。実際私ども電通省なり郵政省が官舎等の問題については給与の問題が一律に扱われておるという条件の中で、而も作業官庁で悪条件がてんめんしておる職員の場合に例えば被服であるとか、例えば官舎であるとかいう問題が相当考慮されなければならないと思う。特に今度のように公共企業体に移行する等の問題の中で、特に大臣はここで給与等の問題についてはいろいろ御苦心を払わなければならないかも知れませんけれども、官舎等の問題についてはその点の解決は割合に他との権衡上でも楽にできるのではないかと思う。ところが例を官舎にとつて御質問申上げましたから申上げておきますが、一体四十万人の従業員を抱えておる逓信省当時、これは昭和二十四年でございましたが、この当時省当局から資料を御提出願いましたところが、四十万人の従業員を抱えている電気通信省、郵政省全体の官舎の数というのは、何と驚くなかれ九百七十三戸でございました。翌年になつてからこれがやつと千六百戸、こういう状態でございました。ところが今度は同じ公共企業体として常に比較されるであろう日本国有鉄道公社の場合にありましては、五万二千人を擁しておる北海道だけの国有鉄道公社の官舎の数が一万七千戸あるのです。比較にならないのです。恐らく現在でもそういう経過の中から考えますと、二十六年若しくは本年度等においても、三百人以上に二戸という恰好の状態が電気通信省なり、郵政省の状態だと思うのです。一方国有鉄道の場合におきましては、三人に二戸という計算です。私はこういう点については佐藤さんは特に鉄道におられたかたですから、佐藤さんが御努力なすつてそういうふうになさつたかどうかはわかりませんけれども、この際一つこういう点についてもできるだけ至急実情をお調べになつてこの際公社に移行する場合の大きな案件の一つとして、只今の御答弁のように御努力を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/110
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111・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お説の通りでございます。これはどうもそれぞれの事業官庁の特殊的な発達過程と申しますか、過去の歴史があるのでありまして、そういうのがこういう面に現われて参つておると思います。で只今官舎の問題につきましては、戦後特に住宅難等も強く響いて参つたとは思いまするが、そういう結果りから二十六年度、二十七年度両年ともそれぞれ三億円の費用を投じて宿舎を建てておる、又共済の費用をも投じておりまするし、或いは民間の借入等も実はいたしておるわけでありますが、いずれにいたしましても御指摘のように大変不足いたしております。又被服等につきましても、いわゆる現業に対する被服の貸与はいたしましても、現場機関のうちでも管理要員に対しては被服の貸与がない。こういうような実質的な賃金とみなされると申しますか、実質的に生活に直接関係を持ちます部門においての諸設備等は相当どうも両省とも遅れておるのじやないか、こういう点は今後の問題といたしまして、できるだけのことを公社としてはいたすべきじやないか、私最近の給与状況等から見まして、なかなか基本給の増加等は困難でありますが、かような意味においての宿舎のお世話、或いは独身寮の設置であるとか、或とは又被服等の面においての貸与範囲の拡張であるとか、更に又生活物資等の購入等に便する意味においての共済会の活動であるとか、かようないわゆる従業員の給与以外の労法による生活向上に資する面に大いに力をいたすべきではないか。かように思つて指導いたしておるわけでございまするが、御指摘のように多数の従業員を擁し、而も全国に亘る大組織であります。従いまして短期間になかなか要望は満たし得ないだらうと思いますので、その点は非常に心配をいたしておるのでありまするが、御指摘のような点について今後特に力をいたさなければならないものだと、かように考えますので、率直に所見を御披露申上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/111
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112・小笠原二三男
○小笠原二三男君 私施行法で質問が留保されておりましたし、締めくくりとして大臣に質問したいことはございましたけれども、私のはうの他の委員会の都合上無断で欠席しておるというようなことになりますので、私この際自戒しなくちやならん立場にあるのだと思います。私の質問は省略させて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/112
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113・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) これを以て日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案及び国際電信電話株式会社法案に関する質疑は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/113
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114・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 御異議ないと認めます。よつて質疑は終了いたしました。
本日はこれで委員会を散会いたします。
午後八時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04719520626/114
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