1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月三日(火曜日)
午前十時四十九分開会
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委員氏名
内閣委員
委員長 河井 彌八君
理事 中川 幸平君
理事 鈴木 直人君
理事 成瀬 幡治君
石原幹市郎君
山田 佐一君
横尾 龍君
楠見 義男君
竹下 豐次君
和田 博雄君
上條 愛一君
波多野 鼎君
栗栖 赳夫君
松原 一彦君
三好 始君
法務委員
委員長 小野 義夫君
理事 宮城タマヨ君
理事 伊藤 修君
理事 一松 定吉君
加藤 武徳君
左藤 義詮君
玉柳 實君
長谷山行毅君
岡部 常君
中山 福藏君
内村 清次君
吉田 法晴君
片岡 文重君
鬼丸 義齊君
羽仁 五郎君
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出席者は左の通り。
内閣委員
委員長 河井 彌八君
理事
中川 幸平君
鈴木 直人君
成瀬 幡治君
委員
楠見 義男君
竹下 豐次君
和田 博雄君
上條 愛一君
栗栖 赳夫君
松原 一彦君
三好 始君
法務委員
委員長 小野 義夫君
理事
宮城タマヨ君
伊藤 修君
一松 定吉君
委員
左藤 義詮君
玉柳 實君
長谷山行毅君
中山 福藏君
内村 清次君
吉田 法晴君
羽仁 五郎君
国務大臣
建 設 大 臣 野田 卯一君
政府委員
法務政務次官 龍野喜一郎君
法務府法制意見
第二局長 林 修三君
法務府民事局長 村上 朝一君
法務府人権擁護
局長 戸田 正直君
中央更生保護委
員会少年部長 池田 浩三君
事務局側
常任委員会專門
員 杉田正三郎君
常任委員会專門
員 藤田 友作君
常任委員会專門
員 西村 高兄君
常任委員会專門
員 堀 眞道君
説明員
法務総裁官房秘
書課長 青木 義人君
東京法務局長 鈴木信次郎君
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本日の会議に付した事件
○法務府設置法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/0
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001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより内閣、法務両委員の連合委員会を開会いたします。
法務府設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず以て政府から提案の理由並びに案の内容についての御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/1
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002・龍野喜一郎
○政府委員(龍野喜一郎君) 只今議題となりました法務府設置法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申上げます。
我が国の行政機構は、御承知の通り終戦後著しく複雑厖大化しまして、独立後の自主自立体制に即応するためにはこれを現在の国力にふさわしい簡素且つ能率的なものとする必要があることは申上げるまでもないことであります。よつて政府におきましてはこの見地から行政機構全般に亘り慎重に検討を加えました結果、その一環として法務府の機構につきましてもこれを簡素合理化する必要を認め、本法律案を提案いたすこととなつた次第であります。
次に本法律案の内容につき、主な諸点の概略を御説明いたします。
先ず第一に、内閣に法務総裁が置かれる現行の制度を改めることといたしまして、そのため法務府を法務省とし、その長を法務大臣に改めました。そして現在の法制意見長官及び法制意見第一局乃至第三局の機構を内閣に移し、これに伴い新たに内閣に法制局を設置する必要がありますので別途法制局設置法案を提案いたしたわけであります。従いまして、これにより現在法務府の所管するところの内閣提出の法律案及び政令案の審議立案、條約案の審議並びに内閣、内閣総理大臣及び各省大臣に対する法律問題に関する意見の陳述の事務は、内閣の法制局に移管されることとなるのであります。
次に第二として、現行の法務本府の機構としては法制意見長官、刑政長官及び民事法務長官を置いているのでありますが、この三長官制を廃止して各省と同様に事務次官を置き、この事務次官が法務大臣を助けて省務全般を監督することといたしました。
第三に、法務府の外局たる中央更生保護委員会を廃止して、その所管する事務を担当せしめるため、法務省の内部部局として保護局を、又同省の附属機関として中央更生保護審査会を設けることといたしまして、この中央更生保護審査会においては個別恩赦の申出及び後述の地方更生保護委員会の決定に対する不服申立に関する裁定並びに平和條約第十一條による戦犯者の赦免、刑の軽減及び仮出所の勧告に関する決定をする権限のみを有せしめ、爾余の事務のすべてと中央更生保護審査会の庶務は保護局をして所管せしめることといたしております。なお中央更生保護審査会の委員は三人とし、国会の同意を得て法務大臣が任命し、その服務は非常勤といたしました。
第四に、現在外務省の外局たる入国管理庁を廃止し、その所掌事務を法務省に移管することとし、そのため内部部局として入国管理局を設け、なお同局に次長一人を置き、又入国管理庁の附属機関及び地方支部部局をすべて法務省の附属機関及び地方支部部局に改めることといたしております。
第五に、法制意見第四局を廃止してその事務を民事局、刑事局及び大臣官房に移管し、民事訟務局及び行政訟務局を統合して訟務局とし、同局に次長一人を置き、人権擁護局はこれを廃止してその事務を民事局に統合し、又官房経理部をも廃止し、更に現行の法務府研修所、検察研究所及び入国管理庁研修所を統合して法務研修所といたしました。これらはいずれも機構簡素化の方針に従つた措置でありまして、その結果法務省の内局は全部で六局に縮小されることとなります。
第六に、更生保護関係の地方機関を簡素合理化するために、現行の地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会を統合して地方更生保護委員会とし、又少年保護観察所及び成人保護観察所を統合して保護観察所とすると共に、保護観察の事務が従来地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会の所管とされていたのを保護観察所の所管に改めることが運用の実情に即応するものと認め、さように改正いたしております。
第七に、名称の変更といたしまして、検務局を刑事局に、矯正保護局を矯正局に、中央及び地方の矯正保護研修所を矯正研修所に、矯正保護管区本部を矯正管区に、少年保護鑑別所を少年鑑別所に、入国管理庁出張所を入国管理事務所にそれぞれ改称することといたしました。
以上が法務府関係の機構改革案の概要でありまして、このため法務府設置法及び犯罪者予防更生法の一部を改正し、又入国管理庁設置令を廃止すると共に同令中所要の規定を出入国管理令に織り込み、更にこれらに伴う関係法令の整理をいたしたのが本法法律案であります。何とぞ慎重御審議のほどをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/2
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003・青木義人
○説明員(青木義人君) それでは私から本法律案の内容につきまして大体逐條的に御説明申上げます。
先ず第一條で法務府設置法の一部改正をいたしております。これは只今提案理由の説明を申上げました趣旨に則つて改正いたしたのであります。先ず法務府設置法の第一條におきまして、従前、現行法といたしまして、内閣に法務総裁が置かれて、法務総裁は内閣最高の法律顧問とする役割を持つておつたのであります。これを改めまして、従前現行の法制意見長官の所管いたしております法律問題についての意見事務並びに内閣提出の法律案、それから條約案、政令案審議立案の事務を別途内閣に法制局を設置いたしましてそのほうに移管することとなつたのであります。従いましてこれに対応いたしまして、従前の法務府を法務省に改め、そうして法務省の長を法務大臣といたすことにいたしたのであります。これが第一條の改正となつておるわけであります。それから第二條におきまして所管事務を列挙いたしました。これは大体現行法の第一條第三項に規定されております事務と殆んど大差ありません。勿論そのうち先ほど申上げました内閣の法制局に移管される部分が削除されましたことと、それから現在入国管理庁で所管いたしておりまする出入国の管理及び外国人登録に関する事務が新たに加わつております。これが第二條の第七項として加えられております。次に第三條で内部部局を規定いたしております。現行の制度におきましては法制意見長官、刑政長官及び民事法務長官の三長官制をとつておつたのであります。この三長官制を廃止いたしまして、事務次官を置くことにいたしました。事務次官は国家行政組織法の第十七條の第二項で設置されるわけでありますから、本法律案に事務次官のことは直接には規定しておらないわけであります。内部部局といたしましては、官房のほかに民事局、刑事局、矯正局、保護局、訟務局及び入国管理局の六局を置くごとになつたわけであります。現行の内部部局と対比いたして見ますと、従前の法制意見長官の下にありました法制意見第一局、第二局及び第二局の事務は内閣の法制局に移管することになりまして、この三局は法務省のほうからは落ちておるわけであります。更に法制意見第四局はこれを廃止いたしました。民事関係の法令案の作成は民事局、刑事関係の法令案の作成は刑事局、爾余の法律案、即ち司法制度その他のことに関する法令の作成並びに調査、統計、こういうような事項は官房に移すことにいたしております。それから刑事局は、従前検務局の名称をこの際刑事局に改めたわけであります。それから矯正局は従前の、現行の矯正保護局でありますが、新たに保護局を設けることにいたしましたので、名称の混同を防ぐために矯正局というふうに名称を変えたのであります。次に保護局は、現行の中央更生保護委員会、これを内局に移すことにいたしまして、保護局を新たに設置することにいたしたのであります。勿論現在の中央更生保護委員会が所管いたしておりまする個別恩赦の申出りそれから地方更生保護委員会の決定に対する不服申立についての裁定、それから平和條約第十一條による受刑者の赦免、減刑その他のまあ処置についての事務は、別途附属機関として設けられておりまする中央更生保護審査会がその権限を持つことにいたしました。従いまして保護局の所管事務は、現行の中央更生保護委員会の事務のうち、中央更生保護審査会に移管をされない爾余の部分が保護局の所管と相成るわけであります。訟務局ば、現行の制度におきましては民事訟務局と行政訟務局の二局となつているわけであります。同じく国の利害に関係のある争訟の事務であります。これを一局に統合して訟務局といたしたのであります。それから入国管理局につきましては、現在の外務省の入国管理庁を廃止いたしまして、新たに法務省の内局としてここに入れたわけであります。それから現行の制度におきましては、人権擁護局が民事法務長官の下にあるのでありますが、これを廃止いたしまして、その事務を民事局に統合することといたしたのであります。それから特審局が現行の制度としておるのでありますが、これは別途の法案によりまして公安調査庁として外局となりますので、現行の特別審査局はここから落ちているわけであります。さようなわけでありまして、現行の内部部局といたしまして十一局ありますのが、ここで六局に縮小いたすことと相成つたわけであります。これが大体内部部局の機構であります。
次に第四條といたしまして、大臣官房に、官房長を置く。それから訟務局と入国管理局にはその事務の複雑性と事務量の多いことに鑑みまして次長をそれぞれ一人ずつ置くことにいたしたわけであります。第五條で大臣官房の所掌事務が列挙いたしてあります。これは大体殆んど現行と変りありませんが、ただ終りの三つの分は、現行におきましては法制意見第四局の所管しております事務を、ここに官房に移したために加わつておるのであります。それから更に経理関係につきましては、現在経理部があるわけであります。これは内部部局に部を置くことを一般的に廃止するという根本方針によりまして、経理部はこの法律案では廃止と相成つております。第六條で民事局の所掌事務を規定いたしております。これは第八号までは現行と同じ、第九号から第十一号までが現在の人権擁護局の所管しております事務であります。これを民事局に統合いたしましたのでここに掲げることにいたしました。それから十三の民事に関する法令案の作成につきましては、現行の制度では法制意見第四局が所管いたしておりますが、ここに民事局に統合したために十三号が新たに加わるのであります。刑事局につきましては、一号から四号及び六号は現行と変りません。ただ五号といたしましてこれも民事局と同様に刑事に関する法令案の作成に関する事項が法制意見第四局からここに移管することになつております。第八條の矯正局につきましては、現行の矯正保護局の所管事務と全く同様であります。保護局につきましては、先ほど来申上げましたように、中央更生保護委員会の所管しております事務のうち、中央更生保護審査会の権限とされない爾余の事項がすべて保護局と相成ります。ここに保護局の所掌事務として新たに一号から九号を掲げたわけであります。それから十條におきまして、訟務局におきまして現行の民事訟務局、行政訟務局の両局の事務を統合してここに列挙いたしたわけであります。十一條の入国管理局の所掌事務は、これは入国管理庁の所掌事務として所掌して来たことをそのままここに移したわけであります。十一條の二は、現行の第十條そのままであります。次に十一條の三におきまして、法務省の研究及び研修を成るべく統合したほうが事務の能率化合理化に資するという見地から、現在の法務府研修所それから検察研修所、それから入国管理庁にも研修所があります。この研修所の三つを統合いたしまして法務研修所を新たに設けることにいたしたのであります。このうち矯正関係につきましては、中央矯正保護研修所及び地方矯正保護研修所が現在あるわけであります。これはその研修の対象、規模その他を勘案いたしまして現行通りとして、この法務研修所に統合することは取りやめておるわけであります。更に又公安調査庁に新たに研修所が設けられるように公安調査庁設置法でなつ
ておりますので、この部分につきましても研修の内容、対象等を勘案いたしまして、法務研修所に統合することは取りやめておるわけであります。第十二條の中央矯正保護研修所、地方矯正保護研修所、これは単に名前を中央矯正研修所、地方矯正研修所に改めたわけであります。この名前を改めましたのは、先ほど申上げましたように保護局との関連で混同を生じますので保護という文字を落したのであります。十三條の二につきましては法務局、地方法務局の組織が規定されておるのでありますが、これは現行通りといたしまして、軍に條文の整理だけをいたしたに過ぎないのであります。それから十三條の三につきましては、監獄即ち刑務所、少年刑務所、拘置所について規定されております。これは組織は全く現行通りであります。全然改正いたしておりません。それから十三條の四で、少年院と少年保護鑑別所が規定されておるのであります。少年院につきましてはそのままといたしまして、少年保護鑑別所の名称を少年鑑別所と改めました。これは矯正保護局の名称の改称と同じ趣旨であります。更に十三條の五では、矯正保護管区本部についての規定でありますが、これもやはり矯正保護管区本部を矯正管区というふうに名称を改めました。それに伴いまする條文の整理をいたしたのであります。それから十三條の六、巣鴨刑務所につきましては現行通りの組織といたしております。更に十三條の七の検察庁につきましても現行通りといたしました。十三條の八で中央更生保護委員会関係の規定があつたのでありますが、これは内局として保護局、中央更生保護審査会、更に又地方機関につきましては後に規定いたすことになりましたので、十三條の八は削除いたしました。それから十三條の十二で長官の総務室の規定があつたのでありますが、これは長官制度を廃止いたしましたので、それに対応して一応落したわけなのであります。それに俘う條文の整理でございます。新たに十三條の七といたしまして、中央更生保護審査会を設けることにいたしました。これは先ほど来申上げましたように現在の中央更生保護委員会が所管している事務の一部を中央更生保護審査会がとることにいたしたのであります。更に地方機関といたしまして十三條の八に規定されております現行の保護関係の地方機関といたしましては全国八個所にそれぞれ少年更生保護委員会、成人更生保護委員会が置かれておるのであります。これを成人と少年を統合いたしまして地方更生保護委員会をそれぞれ設けることにしたのであります。これが十三條の八の一項、二項、三項に規定いたしたのであります。それから四項におきまして保護観察所を設けることにいたしました。これは現行の制度といたしましては成人保護観察所、少年保護観察所の二本建でありまして、これをやはり事務の簡素化という見地から保護観察所一本に統合いたすことにしたわけであります。それから十三條の九で、入国者収容所を設置することになりました。これは入国管理庁設置令で規定してありまするものそのままここに持つて参つたわけであります。十三條の十で入国管理事務所を設けることにする、これは現在入国管理庁出張所と称しましてやはり入国管理庁設置令に規定されておつたのであります。これをやはり法務省に移管することにいたしましてここに規定したわけであります。この入国管理事務所につきましては、現在は入国管理出張所と称しまして全国十二個所に置かれておるわけであります。更に事実上この入国管理庁出張所の分室といたしましてそれぞれの開港場でも事務をとることにいたしておるのであります。これを法律の上ではつきりさすという意味で入国管理事務所の更に又出張所を設けて、現在の事実上のやつておりますことを法律上はつきり根拠ずけて参ることにいたしたのであります。次に別表の改正におきましては別表一、地方の矯正保護研究修所、これは保護という名称を落すためにそれぞれ改正をいたしました。附属機関といたしまして別表二で更生保護事業審議会、保護司選考会、これは従前中央更生保護委員会の附属機関となつておりましたので法務府設置法には載つておらなかつたのであります。これは今度は外局たる中央更生保護委員会がなくなりますので、この設置法のほうに移して参つたのであります。現在のとろこと実質上は全然変わらないのであります。別表三の法務局は、これは単なる條文の整備であります。それから別表四で、刑務所についての規定をいたしておりますが、そのうち北方医療刑務所を城野医療刑務所とこの際名称を変更いたすことにいたしました。別表五で保護鑑別所を規定いたしました。これはそれぞれ保護という文字を落すことで、名称の変更をいたしたのであります。別表六といたしまして、管区についても又同様であります。次に別表七といたしまして、新たに地方更生保護委員会を掲げることにいたしました。これは現在犯罪者予防更生法に少年と成人と分けて規定いたしております。そのほうからこちらに移して参るわけであります。別表八の保護観察所につきましてもやはり別途規定されておりますのを設置法のほうにこれを移したわけであります。別表九の入国者収容所、これはやはり入国管理庁設置令で規定いたしたのであります。別表十もやはり同様であります。別段新たに実質が変つてはおりません。別表十一で、入国管理事務所の出張所を設けることにいたしました。三十八全部であります、これは現在入国管理庁出張所の分室として事実上事務をやつておりましたのを制度上はつきりいたすということで、ここに掲げることにいたしました。以上で大体法務府設置法の改正についての説明を終ります。次に犯罪者予防更生法の改正につきましては先ほど来申上げました機構改革に応じまして、犯罪者予防更生法の改正をいたすことに相成つたわけであります。その大綱を申上げますと、第二章で従来中央更生保護委員会の構成なり権限なんかがきめられておつたのであります。これを全部改正いたしまして、中央更生保護審査会というものを法務省の附属機関として設けることにいたしました。そうしてその権限といたしまして第三條に「特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除又ば特定の者に対する復権の実施について申出をすること。」、それから第二号といたしまして、地方更生保護委員会がした決定についての審査を行なつて決定をする。それで三号で別途の法律で審査会の権限に属せしめる事項、このうちには戦犯者の赦免、減刑、その他についての監獄に関する事項が出ておるわけであります。審査会の組織は、委員を三人といたしまして、現行法中央更生保護委員会では五人でありますが、これを二人に減じました。委員の任命につきましては大体現行の委員と余り大差ないわけであります。即ち両議院の同意の下にこの委員を任命いたすことにしておるのであります。それから任期につきましては、現行は五年でありますが、これを三年にいたしまして、やはり任期をはつきりさしておるわけであります。なおこの任期につきましては、この中央更生保護審査会として新たに発足いたすことになるわけでありますので、附則の第八項で中央更生保護審査会の委員の任期は、最初に任命される委員につきましては、法務大臣の定めるところによつてそれぞれ一年と二年と三年と、こういうように区別をいたしまして、将来ずつと委員が毎年一人ずつ改選されて行くような形をとつて参ることといたしております。更に委員の服務につきまして第七條で非常勤とすることといたしました。現行の委員は常動でありますが、これを審査会の委員は非常勤とする。委員の罷免につきましては大体現行の委員と同様であります。その他委員長又は委員会の議決その他は現行通りであります。十一條で審査会の庶務は法務省の保護局で処理することになつております。
次に地方更生保護委員会につきましては、先ほど来申上げましたように、現行の地方少年保護委員会、地方成人保護委員会、この両者を統合いたしまして新たに地方更生保護委員会を設けることにいたしました。統合いたしまして、その役割は大体現行の地方委員会と余り大差はありません。ただ保護観察につきまして、現行では地方更生保護委員会が保護観察事務を司るようになつておりますが、これを今日までの運用に鑑みまして保護観察所が所掌するということにはつきりして参つたほうが実情にも即応する、こういうことで保護観察事務の先ず第一次の責任は保護観察所に移すことにいたしたわけであります。その点が変りました以外は、権限につきましては変りはないわけであります。地方委員会の委員の数につきましては三入以上九人以下というふうにいたしまして、場所々々によつての事情に即応して機動的に処理ができるようにいたしているわけてあります。それから十七條で、地方委員会には事務局を置くことにいたしました。これも現行と大差ないわけであります。十八條で保護観察所のことについて規定いたしております。これは先ほど申上げましたように現行の制度を対比いたしまして、保護観察所の権限というふうにはつきりさした点が変つただけで、その他は殆んど大差はありません。十九條、二十條も大して現行と大差ないわけであります。その他の後のほうの條文の改正は大体今申上げましたことに応じまして條文の整理をいたした次第でございます。
次に第三條で、更生緊急保護法の一部を改正いたします。これは今申上げましたように、中央更生保護委員会が廃止になりますので、この更生緊急保護法についての中央更生保護委員会の権限を法務大臣に移すことになります。それに応じましての條文の整理として條文の改正をいたしているわけであります。
保護司法につきましても大体今と同様の趣旨よにつての條文の整理をいたしたのであります。
それから第五條の恩赦法の改正におきましては、恩赦の申出は、先ほど来申上げますように中央更生保護審査会の権限といたしているわけであります。さような意味の改正を恩赦法の改正においてやつております。
それから第六條で、平和條約第十一條による刑の執行及び赦免等に関する法律の一部を改正する法律案、これも先ほど来申上けますように、中央更生保護委員会の事務の権限のうち赦免、減刑、一時出所等の勧告の権限を中央更生保護審査会のほうに持たして行きたい、かような趣旨の下に條文の整理をいたしているわけであります。
その他第七條から第三十七條まで関係法令の整理をいたしております。これは先ほど来申上げましたような趣旨での改正に基く條文の整理であります。実質的にはさほどの変更はありません。今の機構改革に伴う当然の整理でございます。ただ第十條におきまして出入国管理令の一部改正をいたしているのでありますが、大部分は條文の整理でありますが、この中で第六十一條の二から第六十一條の八までに新たに出入国管理令に規定を設けることにいたしました。これは即ち現行法におきましては入国管理庁設置令にそれぞれ規定されている事項なのであります。入国管理庁設置令を廃止することになりますので、その條文をどこかに持つて行かなければならん、それで入国管理庁、出入国管理令と関連のある事柄でありますので、大体入国管理庁設置令にあります規定をそのままその管理令のほうに移して新たに規定をおいたのでありますが、内容は単に技術的な面の修正があるのみで、実質は変つておらないのであります。その他は殆んど條文の整理でありまするが、ただ一点判事補の職権の特例等に関する法律とか或いは弁護士法の一部改正の部分、かような点におきまして実質に関連するところが一点あります。それは即ち現在の法制意見長官の下にありまする事務が内閣法制局のほうに移管されまするので、今後内閣の法制局に勤務する職員で、司法修習生で修習を終了している者については、内閣法制局における在職年数をやはりそれぞれ法務事務官の在職年数と同じに見て行こうと、こういうふうにいたしております。これは結局現在の法制局が法務省になるのと同じ実質をそのまま持続さして行こうということになるのであります。その点が若干実質に関連する点であります。その他は全くの條文の整理に過ぎません。
これで大体本法律案の内容を逐條的に御説明申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/3
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004・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより本案につきまして質疑をいたします。御通告によりまして指名をいたします。左藤義詮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/4
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005・左藤義詮
○左藤義詮君 法務総裁もお見えになつておりませんので、遺憾でありますが、この連合審査会の開かれる機会がもうないと思いますので、一、二お尋ねしておきたいと思います。
この法案で人権擁護局が廃止になつているのでありますが、これにつきましては在野法曹その他から非常に熱烈な存置の要求もございまするし、又いろいろ法律ができて、現に破壊活動防止法案その他問題になつているようでありまするが、どうしても一方に人権を擁護するというものを確立しておくという、実際の用事がなくても、人が少くとも私はそういう一つのはつきりした看板を出して置くことが非常に世の中を明るくすることだと思うのでありますが、この点につきまして政府の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/5
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006・龍野喜一郎
○政府委員(龍野喜一郎君) 今般の機構改革によりまして、人権擁護局を簡易縮小せんとするこの試みは、如何にもこの膨湃として起つている人権擁護に対する政府の熱意を疑わしめるように一見思われるのでありますが、併しながらよく考えてみますると、人権擁護の問題は、これは政府のほうにおいて無論努力しなければならん問題でありますが、むしろ在野法曹の力により各自がその人権に目覚める、人権擁護に目覚めるというような建前によつて、政府の力を待たずして、この方面の活動によつて極力自分の人権を擁護するというのが本筋ではなかろうかというふうに考えるのであります。ただこれらの在野法曹における人権擁護の活動と相呼応いたしまして、政府といたしましてはそのお世話をするような意味におきまして何らかの機関は勿論必要であります。従いまして目下人権擁護局はそれらのお世話をし、かたがた政府当局としての人権擁護に関するいろいろな施策を考えて、且つ具体化しているわけでありますが、元来局というものは御承知の通りに相当の事務分量があつてこそ初めて局の形をなすのでありますが、今日の人権擁護局の関係職員は、御承知の通り三十数名でございまして、官庁事務の機構分配の関係から申上げましても、一局の体裁をなすに至つていないというのであります。勿論この局を廃止いたしまして、簡易化いたすのでありまするが、現在人権擁護局に配置されている人員を一人としても減らすという考えはございませんし、政府といたしましても、在野法曹方面のこの人権擁護の活動に相呼応し、又これを万遺憾なくお世話するという気持においては今後も一層努めるように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/6
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007・左藤義詮
○左藤義詮君 規模が小さいというお話でありますが、今度の各省の設置法におきましても、相当小さい局も残つております。必ずしも人数とか体裁とかいうことじやなくて、私はそのことの重大な意味は、殊に先ほど申しましたようにいろいろ法律ができて来ます。それを一方において非常に心配をされているのに対して、政府としての熱意を示し、在野法曹の熱意に応えるという意味におきましても、法務府設置法の第二條にも十一所管事項が挙げてあります中にも、第六番目にはつきり「人権の擁護に関する事項」ということを、在野の問題でなく、法務省として所管を持つているのであります。その点につきましては規模、人数ということにかかわらないで、政府の熱意、政府の人権擁護に対する至誠を示す意味で存置されることを希望するのであります。それに対するうう一度所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/7
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008・龍野喜一郎
○政府委員(龍野喜一郎君) 御希望の点はよく了承いたすわけでありまするが、甚だくどいようでありまするが、重ねて申上げまするが、この何と申しますか、官庁側における一つの発言権と申しますか、この発言権を反映して閣議において強く主張するのが大臣でございますが、余りに小さい局になつておりますると、従つて省内における発言権もその局長の力がどれだけ反映するか、従来の官庁機構の上においてはこれは実際でございます。このために人権擁護局が廃止されましても、その実質の仕事は課長によつてやりまするが、その仕事を省内において反映するのは、大きなこの民事局長のような人がたが反映するわけでございまして、私は官庁事務の実際から見たなら却つてより有力に大臣に反映し、且つこれが閣議に反映するのじやないかというふうに思われるのであります。かたがた重ねて申上げるわけでありまするが、この問題はむしろ在野法曹の力と待つて、その方面の強い推進力によつて解決すべきものじやないか、徒らに政府機構に頼り、若しくは政府の金に頼るというがごときことは、人権擁護の行き方としては本筋じやないのじやないかというような考え方の下に、無論お世話はどこまでもするという意味合いで今度の局を簡易にしたような次第でございます。併しながら御意見の点、御希望の点は十分我々も考えて、事の実現については遺憾なきを期したいというふうに存じている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/8
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009・左藤義詮
○左藤義詮君 局員が少いと局長の発言権が非常に閣議に反映しないと、従つて民事局長という局長の虎の威をかりるというか、そのほうが非常に強く響くということは、甚だ私ども納得できない御説明でありまして、人権擁護の非常に重大な点において、たとえ人数は少くとも毅然とした立派な局長がおつて、この問題は飽くまでも閣議その他に反映して行くように努力すべきだと思うのでありまするが、只今この点について十分検討考慮するというお話でありますから、その点私も是非ともお考えを願つておきたいと思います。それから只今研修所が法務府、検察、入国管理庁の研修所が一木になるという点は非常に結構だと思います。矯正保護研修所については或いは先ほど御説明のように別にすることはいいかも知れませんが、今度できまする公安調査庁研修所はお互いの理解を深める点においても、或いは公安調査官という者の視野を非常に広くするためからいつても、無論行政機構という点においても、これは当然一本にすべきだと思うのであります。その点について
一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/9
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010・青木義人
○説明員(青木義人君) お答え申上げます。公安調査庁の研修所を一本に統合するということも考えられるのでありまするが、何分にも公安調査庁についての研修は非常に特殊なものであるということが予想されます。今後のこの役所の運用につきましても、研修ということにつきましては特段の努力をいたさなければならん、かような趣旨におきまして別途の機構といたしたのであります。実際の運用におきましては、法務研修所といろいろな又連繋をとりまして、齟齬のないように運用が
できるものと確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/10
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011・左藤義詮
○左藤義詮君 先ほど人権擁護局のことをお尋ねしたのですが、人権擁護の窓口実務が地方の法務局が片手間でやつておつて、予算の裏付なんかも殆んどないようでありますが、これを内容をもつと実質的に拡充するような意図はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/11
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012・青木義人
○説明員(青木義人君) 人権擁護につきましては、地方機関といたしまして法務局、地方法務局が所掌いたします。法務局には人権擁護部があります。地方法務局には人権擁護課があります。この機構につきましては今回は現行通りであります。何分にも人権の侵犯の問題、或いは人権擁護についての啓蒙活動ということにつきましては、地方機関が第一線として最も重点を置かなければならんわけでございます。さような意味合いにおきまして、法務局、地方法務局の人権擁護に関する事務ということにつきましては、我々といたしましても、将来更に拡充いたさなければならんと思つております。予算につきましては従来も法務府当局といたしましていろいろと努力して参つておるのであります。国全体の財政の見地から現行通りにとどまつておるのであります。併しこの点につきましては将来更に一層努力して行かなければなならんと思つておりますような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/12
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013・左藤義詮
○左藤義詮君 只今私地方法務局が片手間でやつておると質問いたしたのでありますが、部を持つておる、さつきの中央の局と反対の話で、部があつてやつておる、それに対してもつと拡充しなければならないと思うけれども、こ
れは将来の問題である、従つてその問題はあと廻しにして、予算について何ら手が打つてない、この人権擁護に対する行政機構改革の際における政府の熱意を疑われると思うのでありまするが、その点如何でありますか、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/13
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014・龍野喜一郎
○政府委員(龍野喜一郎君) どうも大
変御尤もな御質問で、私たちといたしましても何も好んで局を廃止したいとも思つておりませんが、政府の一貫した行政機構の簡素化という線に浩らて法務府として如何に簡素化するかという大きな線から考えてみますると、いろいろな理窟、いろいろな見方もございましようが、併しながら実際問題としては、お叱りをこうむるかも知れませんが、実際問題としてはやほはり一局としての事務分量がないものまでも無理に局としてり体面を保たしめる、ただそれだけの理由で局長を置いき、幾人かの課長を置くということは如何であ
ろうかということが今回この局を課にしたゆえんでありまして、もともとの内容であるところの仕事の面について努力しなくてもいいというような意はさらさらないことは、その人員等については、他の局におきましてはいざ知らず、人権擁護に関する職員については局と同様の人員を備えまして、民間における人権擁護の運動と相呼応してその間遺憾なきを期したいというつもりであるのでございます。地方における人権擁護の仕事がちつとも振わないということにつきましては、今後よく督励いたしまして、本当に民衆のいろいろな法律上の悩みについてお知らせをする上において遺憾なきを期したいというふうに存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/14
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015・左藤義詮
○左藤義詮君 大体人権擁護局の必要なことはお認めになつておるようでありますが、いろいろ他の振合い等から機構簡素化ということで、止むを得んというお話しで、ございましたが、その点與党としては余り追及することは他日に譲りますが、それほどまでに簡素化ということをお考えになつておるならば、その一つの例として矯正保護管区というものを最近ほうぼうに作られたのでありますが、これは実際刑務所、少年院その他の実情からみましても、中央と直結したほうがむしろ能率が上るので、屋上屋を架して非常な中間的な機関を作つて事務を煩雑にしておるというような傾きがあると思うのでありますが、この際矯正管底というものを廃止して、すつきりとしたものとするというようなお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/15
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016・青木義人
○説明員(青木義人君) 矯正関係につきましては日本全国に刑務所、少年刑務所又は拘置所、少年院、少年保護鑑別所、非常な数に上りますし、又それぞれの扱つておりまする事柄も非常に大きなものであります。全国のさような多くの機関を総合調整といいますと、中央だけでこれを処理いたしますのにはどうしても困難である。従いましてそういう見地から従来この保護管区本部ができて中間的に相の調節を行つておるのでございます、これは今直ちに廃止いたしますと、その負担は非常に中央に大きくかかりますし、又更に地方といたしましても一々東京まで連絡しなければならないということで、火急のいろいろな問題につきまして齟齬を来たす慮れがありますので、この矯正管区につきましてはやはり存置して頂きたいというのが我々の強い希望であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/16
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017・左藤義詮
○左藤義詮君 実情はむしろ中間のそういうものがあるために仕事が却つて阻害されておるというふうに私どもは見るのでありますが、中央で机の上でそういうふうにお考えになつておる、私どもと所見を異にするのであります。殊に人権擁護局が非常に人数が少いということでおやめになるようでありますが、そうすれば管区本部というものも甚だ僅かな人数でありまして、大刑務所なんかに比べますと非常に人数が少い。非常に中途半端な事務をとつておる。私はむしろ中央にそういう人を置いて、全国画一的に保護矯正の事務をしたほうが非常に能率が上る、その点は私どもと所見を異にするのでありますが、只今の御説明では納得ができないのであります。それからもう一つ只今の法務府が発足いたしますときに、新憲法によつて裁判所が独立いたしますときに、従来裁判所と当時の検事局とが同じ司法省の所管の下に一つの建物を使つておつた。それを分離するときに全部これを裁判所に與えてしまつた。検察庁は今裁判所に居候しておる。ぼちぼち建築もできてるようでありますが、今の人権擁護局も廃止しなければならない国の財政ではなかなか建築はできない。しようと思つても土地がなくて、非常に不便な所に立つておる。もうすでに数年になりますが、未だに裁判所の借家住いをしておる。いろいろその間に肩身狭い思をしておる。こういうような実情のようでございますが、郵政と電通の分れますときのごときは、大体財産を二分しておるようでございますが、全部これを裁判所に渡してしまつて、全国の検察庁が家なしになつておるというような実情についてはどういうふうにお考えになつておるか、今後どういうような処置をなさるおつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/17
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018・青木義人
○説明員(青木義人君) 只今の御質問につきまして私も余り事情はつまびらかではないのでありますが、御指摘のように大体裁判所の庁舎の中におりまして、検察庁或いは法務局系統の役所は裁判所と別途離れて庁舎を建設して参る方向に今日まで行つておるのであります。勿論初めの裁判所と検察庁、或いは法務局との間の庁舎の分離につきまして問題があつたことは私ども承知いたしておりますが、そこの詳細は残念ながらよく聞き及んでおらないのであります。ただ検察庁なり法務局が一つの建物を独自で使つておるという所まで裁判所のほうに移したというふうには聞いておらんのであります。ただ裁判所といたしましても終戦後職員の数も非常に殖えまして、さようなことで両方で分割いたしましても両者がずつと一つの庁舎に納まつて行くということはこれは不可能なんであります。さような見地から法務府といたしましてもこの建設につきましては非常に努力を拂いまして、現在といたしましては本庁についての大部分は解決する方向に参つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/18
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019・左藤義詮
○左藤義詮君 あなたは当時の事情をよく御承知でないようですし、今後の方針についても国の財政等について確信のある御答弁ができないのでございますから、この点につきましては法務総裁その他に伺いたいと思いますから、別の機会に譲ります。
只今民事局長と東京の法務局長がお見えになつておるようですから、少しこの問題と離れるようですが、実は行政機構のいろいろな関係にもなりますのでお伺いいたしたいと思いますが、一昨日の新聞に印紙変造密売の事件、而も法務府の東京法務局の澁谷出張所長及び次席が印紙犯罪処罰法違反の疑いで逮捕されておる、こういう事件が起きておりますが、新聞の報道ですからよくわかりませんが、新聞ですでに数年に亘つて都内だけで印紙が約二十億も売りさばかれておる、八割までが不正印紙である、従つてここ数年間にこれによつて国家の受けた損失は恐らく数百億に上る、私は非常に重大な問題だと思うのです。これにつきましては捜査当局の調べでは、印紙は大蔵省が作つて郵政省がこれを販売その他扱つておる。併しこれに対するはつきりした監督官庁というものがなくて、明治四十二年ですか、印紙犯罪処罰法という法律がありますが、これでは偽造変造の印紙を持つておればただそれが没収されるだけで、それを使用した場合には五十円以下の罰金又は科料という、破防法その他に比べますと非常に軽い刑罰である。そのためにこういうようなことが行われて数百億という損害を與えるとしますれば、私は非常に重大な問題だと思う。まじめに税を納めて印紙、切手を貼つたものが馬鹿になると思うのですが、この問題につきまして行政機構との関係で、そういう法律上の盲点というか、取締上の盲点があるのかないのか、この問題については現在どういうところまで、これは法務総裁がお見えになつておりませんが、お考えになつておるか、どういうような今後処置をなされるのか、この点について一つ詳細にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/19
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020・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 東京都内の登記所における印紙の不正使用の件につきまして去る一日澁谷出張所長及び世田谷出張所の事務官が逮捕されましたことは当日の新聞に掲載されました通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/20
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021・竹下豐次
○竹下豐次君 ちよつと議事進行につきまして。声が聞えません、もう少し大きい声でお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/21
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022・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) この登記所における印紙の不正使用につきましては、昨年の二月頃以来数回に亘りまして再使用或いは偽造と疑わしい印紙を登記所において発見いたしましたので、その都度検察庁に捜査を依頼いたしまして、又一面郵政省のほうに鑑定等の依頼をいたしまして参つたのでありますが、なお東京法務局といたしましても、本年四月上旬以来、都内の各登記所を監察いたしたのでございます。その結果、一度使用されました印紙が流れまして、その消印を抹消しまして、ブローヵーの手を通じて司法書士等の手に入り、それが登記の申請書に貼用されて登記所に提出されたというものが相当数あることはわかつたのでございますが、果してそれがどれだけあるものかということにつきましては、只今検察庁におきまして捜査中でありまして、新聞に報道されましたごとく、これだけの巨額のものかどうかということにつきましては只今お答えいたしかねるのであります。その印紙に関する法制の不備の点につきましてのお話がございましたが、印紙犯罪処罰法の規定も極めてこれは古い法律でございますので再検討の必要もあるかと思いますが、なお郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律等におきまして、印紙売捌人の許可を受けた者以外の者が印紙を売ることにつきまして処罰する規定が欠けておるのであります。こういう点も或いは盲点と申せば或いは盲点ではないか、かように考えますので、この事件の捜査の進行と相待ちまして、この法制上の問題につきましても研究いたしておる次第であります。なお登記所におきまして一見再使用或いは偽造であることの明らかなものを登記官吏が情を知つて許したというようなことが新聞には出ておりますけれども、私どもの調べております範囲内では、一見して判別しがたいものが多いのでありまして、なおこの点につきましては東京法務局といたしましても監査を一層厳重にいたしまして、なお変造、偽造印紙の鑑別に必要な器具等も備えまして、万全の措置をとつて行きたい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/22
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023・左藤義詮
○左藤義詮君 東京法務局長の鈴木さんから詳細に御説明頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/23
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024・鈴木信次郎
○説明員(鈴木信次郎君) 只今民事局長から概括的な御説明がありまして御了承できるかと思いますが、更に詳しく説明せよということでございますが、登記所においては非常に多額の印紙を取扱つておりまして、昨昭和二十六年度におきまして東京法務局管内の各出張所において扱いました印紙の総額は十五億に上つております。而もいずれも高額のものもありますから、その取扱いにつきましてはかねてから部下職員に非常に注意をいたしておりまして、機会あるごとに印紙について取扱いの慎重を期するよう口頭で申述べますと共に、書面でもしばしば不正使用については注意するようにいたしていたのであります。ところが昨年度におきましては登記所の事務が非常に輻湊いたしまして、都内数ヵ所の出張所では事務の処理が一週間乃至十日、甚だしきは一ヵ月余りに亘つて事務の処理が遅れるというふうな事態を見るに至りましたので、若しこのように事務の処理が遅れますときには、必ずこの印紙に関する不正事件その他の不正事件が従つて発生することを予想されますので、特にその点も注意いたすと共に、根本的にはこの事務の処理を促進いたしまして、即日処理の原則に帰すのが最も緊要且つ効果的な方法であると考えましたので、部下職員には非常に気の毒ではありましたが、あえて場合によつては三交替二十四時間勤務というふうなことまでいたしまして事務の処理を促進し、而も日々の処理の状況を報告させまして、未済事件を赤い線で、既済事件を青い線で表を作つて促進したような次第であります。従つてその間に事件の処理を急ぐ余り、或いは通常の考えを以てすれば印紙の偽造、再使用ということに普通の観念を以てすれば気がつくべきであつたといつたふうな場合でも、処理を急いだ余りにその点が十分でなかつたというふうなことがあるのではないかと現在考えているわけであります。更に昨年の秋頃に至りまして、相当再使用の印紙が一般に頒布されておるという風評を耳にいたしましたので、重ねてその点につきまして部下職員に注意を促しますと共に、いやしくも肉眼で見まして疑わしいものがあつた場合には、その事件の処理は一応留保して、各出張所から本局に送らせまして、これを印刷庁に廻して鑑定をしてもらうという方法をとりまして、その結果偽造であるというのが判明したのもありますし、反対に両眼で見まして疑わしいと思われたけれども、鑑定の結果は真券である、本当の印紙であるということが判明したのもあるような実情であります。従いまして新聞に記載されましたように、すべてこれは一見偽造であることが明白だというふうに断定することは、この鑑定の結果によりましてもできない、相当鑑定に困難なものがあるということは断定できると思うのであります。更に今後の処置といたしましては、肉眼のみに頼るのは非常に不十分且つ危険でありますから、科学的にこれを鑑別させる方法、即ち偽造印紙の鑑定器を備えることによりまして、こういつた事故を未然に防止するというふうにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/24
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025・左藤義詮
○左藤義詮君 民事局長のお話では、昨年の二月頃からすでに不正らしいものが発見されている、それが一年以上も十分な手を盡されなかつた、只今鈴木東京法務局長は、事務が輻湊したために三交替で促進したといろ、非常に努力をしたとおつしやるのですが、そのために殊に見逃したのかも知れない。幾ら私は事務が輻湊しましても、銀行が残業をやりましても、紙幣の若し偽造がありますならば殆んどこれは発見される、こういう僅か数枚の千円紙幣の偽造だと言つても大騒ぎをして調べるのでありますが、一年以上もただ事務が忙しいから見逃しておつた。更に只今得意のように、努力したが、肉眼では困難があつて、非常に鑑別が困難なことが断定できるというような表現をなされたのでありますが、いやしくも科学の進んだ時代に、一年以上問題になつておるのに、科学的な鑑別の方法を用いないで、ただ本庁へそれを持つて来て印刷局へ廻して鑑定してもらつた、それ以外はもうどうにも鑑別が困難で見逃すより仕方がないというようなことが断定できるという、非常に無責任な只今の鈴木局長のお話でありますが、大蔵省でどれくらいの印紙を印刷しておるのか、郵政省でどれくらいのものを販売したのか、そうして登記の受付をどれくらいなすつたか、それだけを照し合せて見たつて、偽造が相当あるかないかということはわかるはずでありまして、そういう点についてただ事務が輻湊しておつたから止むを得なかつた、肉眼でやつて見て怪しいと思うものは印刷局へ廻して、そこで鑑別してもらつたら、悪いものもあり、いいのもあつたというようなことで、これだけの重要な問題をずるずると昨年の二月以来今日まで完全な処置をなさらなかつた、これに対しては私は当局の責任は免れんと思うのでありますが、検察庁のほうでお調べ中でありますれば、現在、只今の御説明以上のことは御報告はできないかも知れませんが、数百億ということは極端であるにしましても、少くとも相当の損害を與えたと思う。これに対してははつきり私は、責任をおとりになる、昨年以来のことを今まで漫然としておつたことについては甚だ遺憾である。その点について法務総裁お見えになりませんから、政務次官から、どういうような御処置をおとりになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/25
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026・龍野喜一郎
○政府委員(龍野喜一郎君) 私も実はこの内容についてはまだ詳しく存じ上げませんが、新聞記事に掲載してある事柄が事実であり、若しくはそれに近いことになりますれば、無論法務府として捨てて置けんことでありまして、当局の調べと相呼応して事務粛正の上からもこれは相当な覚悟をいたさなければならないと思つておりまするし、又総裁に本日の御意見もよく取次ぎまして、これが事件に対しての処置について遺憾なきよう進言をいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/26
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027・左藤義詮
○左藤義詮君 まだ新聞を見ただけで詳細御存じないというのですが、私は国民が危惧しておる問題が、法務府は正式に何もお聞きにならなかつた。法務府としてはこれに対して何らの調査も処置もしておいでにならないという、これから一つ総裁に伝えてよく考えるというようなことは、私は甚だ責任観念が十分でない、甚だ生ぬるいと思うのでありますが、現在まで法務府としてどういうような処置をおとりになり、どういうような方法をおとりになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/27
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028・龍野喜一郎
○政府委員(龍野喜一郎君) 言葉の間違いかも知れませんが、私は実は存じ上げません。こういうの仕事は、これは責任逃れをするわけではありませんが、事務次官でもおりますならば、事務次官がすることでございますし、私は残念ながら今まで存じ上げません。併しながら総裁は或いは知つておられるかも知れませんが、御意見の点は十分申し伝えまして、無論私たちも政務官としてこういう問題を放置することは、今後の政策運営の上においても支障があるのでありますから、大臣に進言して誤りなきを期したい。私は知りませんことは事実どうも知らないので、何とも申上げようがありませんが、その点において、私の職務遂行の上において怠慢であるというお叱りをこうむることは誠に申訳ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/28
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029・一松定吉
○一松定吉君 関連して聞きましようか。本法について聞かなければならんのですけれども、関連のことだけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/29
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030・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それだけにとどめて下さい。通告がありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/30
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031・一松定吉
○一松定吉君 今いろいろ政府委員の御答弁を承わつて見ますと、どうも私は平素の監督が怠慢であつたということは免れんと思うのでありますが、左藤委員の質問の一部にちよつと触れておつたようですが、印紙をこしらえる一ヵ年の枚数及び金額がこれだけだということを前提として、それから税務署において印紙を使つて、登記書類に印紙を貼用されたものがこれだけだ、これはちやんときまつておる。印紙が貼用されれば、消印を捺して登記所なりそういう方面の倉庫の中に入れらておる。すぐ幾ら使われたかわかる。その使われた印紙の総額から製造した印紙の総額を引いて見ると、これはどうも政府の作つた印紙より厖大な印紙が貼用されたということになつて、どういうわけだろうかと、すぐ疑問が起らなければならん。監督の仕方はそれが一番いい。ほかのことよりも、消印があるとかないとか、鑑定させるとかいうことは、それは微に入り細に入つて詳細に調べるときにはそうしなければならない。概括的に、一体国家の貼用された印紙の枚数を調べて、その貼用された印紙と製造した印紙の数を引いて見ると、これは厖大だ、どうもおかしいとすぐ感じなければならんのですが、そういうことはやるのですか、やらんのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/31
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032・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 売捌かれました印紙の総額を昭和二十五年について申上げますと、約八十二億全国で一年間に売られております。それに対しまして全国の登記所におきまして登記申請書に貼用せられました印紙の総額は約五十億、そのほか裁判所の訴訟用印紙、或いは検察庁における罰金の納付に代えて印紙を貼用する場合、その他官庁方面に現金以外で納付いたします場合に印紙が使われる場合が多数ございます。のみならず印紙税法によりまして、一般の証書等にも印紙が貼用されるわけでありまして、この売捌かれました印紙の総額と、登記所において貼用せられました印紙の総額を比較いたしましただけでは、只今一松委員の仰せになりましたように、偽造或いは不正使用の印紙がどれだけあるかという数字は出て参らないのであります。今申上げましたように、登記所において貼用せられました印紙よりも、売捌かれました印紙のほうが常に多いわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/32
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033・一松定吉
○一松定吉君 それはあなたは枝葉のことばかり考えておる。私の言うのは、その印紙を国家が製造したときの印紙の金額、枚数、それが元なんです。それよりも貼用された、若しくは売捌かれました印紙と比べて見て、国家のこしらえた印紙の数額よりも、売捌かれた若しくは貼用された印紙の金額が非常に多かつたということであれば、その多かつたところから政府のこしらえたものを引いた残りは、これはどこかちこの印紙が出たかということがわかるわけでしよう。そういう監督をしておりますかと聞いておる。そういう監督方法をしておりますれば、今のようなことを平素監督をしておれば、どうも売捌かれた印紙の金額が、政府のこしらえた印紙の金額に比べて見ると非常に厖大だ、これはどうもおかしい。そうして売捌かれた印紙、それから貼用されて消印を捺された印紙を比較をして見ればこれもわかるわけであります。そういうような調査を甲素しておりますか、しておりませんかと聞くのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/33
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034・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 先ほど私が申上げました売捌かれた印紙の総額と申上げましたのは、郵便局並びに正規の売捌人を通じて売捌かれた印紙であります。一旦使用されました印紙が敗軍せられたり或いは消印を抹消いたしまして、ブローヵー等を通じて売られたというものにつきましては、我々調査の方法もございませんので、調査はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/34
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035・一松定吉
○一松定吉君 そういうような調査の方法がないから調査せんというようなことで犯罪が起るのだね。今私の申したことはわからんかも知れませんが、政府が印紙を印刷する、その印刷した印紙の金額が例えば十億とする、十億の印紙を印刷した、そうして裁判所その他官衙のほうに使用された印紙の総額が十五億といたします。そうすると政府の印刷した印紙の金額が十億だね。十五億あるのはおかしい。五億はどこから出たのかという不審がすぐ起るのじやないか。そうするとその十五億というものは、今年はそうであるが、去年の印紙を使つたかどうかという疑問もそこにありましようが、結局累計して見れば、使つた印紙のほうが、金額が非常に多いということになれば、この印紙はどこから出たのだろう、これはどうもおかしいということで、調査の端緒になるのじやないか、それを言うのです。それでも調査の方法になりませんか。それは調査の方法でできるというならば、それによつて調べればすぐに超過した印紙はどこから出たか、誰か偽造した者があるのじやなかろうかという疑いを持てるから、監督の方法がしやすいのじやありませんか。それを伺つておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/35
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036・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 先ほども申上げましたように、正式に売られました印紙の総額は登記所、裁判所その他官庁方面に納付された印紙の総額よりも常に多いのでありましてその間に不正の印紙が使われたということは、只今の数字からは出て参らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/36
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037・一松定吉
○一松定吉君 こういうように聞きましよう。もつと細かに小さく噛んで砕くように言わなければおわかりにならんようですから、私は例を挙げて言うならば、十億の印紙を印刷したとしますね。そうすると政府がそれを売捌くときに十億みんな売捌いたとします。そうして裁判所その他国家の官庁に向つて納付し、そうしてそれが消印の捺された印紙の総額が仮に十二億あつたとします。そうすると今年は印紙は十億印刷したのに二億多いがどうしたわけだろう、その印紙は去年に比較してみれば、去年一億残つておつたのだから、その一億を除けてまだあと一億多いがどうしたのだろうか。そういうことを調べてみると同時に、現在例えば六月一日なら六月一日を基準にすると、その印紙は去年の手許にあつたのが幾らあるのか、こう調べる、そのうち一億ある。そうすると売捌いた印紙が十一億であつたのが、手許に一億持つておるし、去年の残りの印紙が一億ある、その一億を加えて合計十三億、その十三億のうち一億は手に持つている。然るに貼用された印紙は二十億あつたとすれば、その二十億から十二億引けば八億という印紙はどこから出たかということは算数上出るわけじやありませんか。そうすると、実にこれは怪しいといつてあなたの言うように顕微鏡で調査してみたり、それから鑑定人をして鑑定させるということはできるはずであります。それなら初めからそういう概括的な監督方法をやつておりますかと聞くのです。そういうことをやつておらんということなら、そういうところに欠陥があるから、そういうことが欠陥になつて再貼用するということになるのじやありませんか。それはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/37
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038・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 只今一松委員の仰せになりました通りの調査方法は今までいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/38
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039・一松定吉
○一松定吉君 そういうような欠陥があるから犯罪が起るのだから、将来欠陷のないように御注意なさるんだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/39
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040・伊藤修
○伊藤修君 今左藤さんのお尋ねしているのは東京管内だけのように聞いておりますが、一体全国で以てどことどこの県でこういう事件が起つておるかどうか。それからその事件に関係しておる法務府関係のものを、法務局だけでいいのですが、一つ挙げて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/40
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041・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 昨年中取引高税証紙再使用が発見されましたのが甲府の地方法務局で一ヵ所、岐阜の法務局で一ヵ所でございます。その都度検察庁に告発をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/41
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042・伊藤修
○伊藤修君 それだけですか。あなた調べていないですね。私の知つておるだけでもまだたくさんあるはずですが、それでは駄目ですよ。これは全国的の偽造団で以て全国に頒布されているわけなんですから、だから相当数各県で挙つておるはずです。だからそれに法務府の役人が連坐しておるのが相当あると思うのです。それを聞くんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/42
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043・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) なお申し落しましたが、昨年の十月に横浜地方法務局川崎市出張所において収入印紙の再使用の事件が挙つておりまして、これも当時検察庁に告発いたして捜査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/43
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044・伊藤修
○伊藤修君 それは登記官吏がすでに使用した印紙を剥いで再使用するという犯罪ですが、私の今聞いておるのは左藤さんの御質問と関連して、いわゆる大掛りな印紙偽造団によるところの頒布状況を聞いておるのです。その事件がすでに三重県にしろ愛知県にしろその他相当挙つておると思うのです。あなたおわかりにならなければ検務局長に一つ調べて頂いて後刻御答弁願いたいのです。その事件に登記官吏が連坐しておる件数と、それからわかつておるその数字と。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/44
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045・龍野喜一郎
○政府委員(龍野喜一郎君) 伊藤さんの御要求を了承いたしまして、早速調べてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/45
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046・河井彌八
○委員長(河井彌八君) どうしますか。次は宮城さんの通告の番でありますが、おやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/46
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047・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 私のもちよつと時間がかかりますけれども、まだ皆さんおありのようでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/47
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048・河井彌八
○委員長(河井彌八君) では諸君にお諮りいたします。本日はこの程度にとどめておきまして、他日したいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/48
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049・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは散会いたします。
午後零時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314886X00119520603/49
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