1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年二月二十一日(木曜日)
午後二時三十四分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 河井 彌八君
理事
山花 秀雄君
委員
石原幹市郎君
横尾 龍君
楠見 義男君
竹下 豐次君
赤松 常子君
三好 始君
政府委員
宮内庁次長 宇佐美 毅君
事務局側
常任委員会專門
員 杉田正三郎君
常任委員会專門
員 藤田 友作君
—————————————
本日の会議に付した事件
○皇室経済法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○皇室経済法施行法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/0
-
001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 内閣委員会を開会いたします。皇室経済法の一部を改正する法律案、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、この二案を議題といたします。前回政府委員から両案の提出の理由の説明を聞いたので、本日は更にその内容に入つて御審議を願おうと考えます。政府委員から法律案の説明、各条に関する説明及びその内容についての説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/1
-
002・宇佐美毅
○政府委員(宇佐美毅君) それでは皇室経済法並びに皇室経済法施行法の一部を改正する法律二案につきまして逐条御説明申上げます。皇室経済法の一部を改正する法律におきましては、先ず第二条でございますが、皇室が財産を讓受けたり或いは財産を讓渡し、又は賜與されるときには、憲法第八条によりまして国会の決議に基かなければならないことになつておることは御承知の通りでございます。皇室経済法第二条はその規定を受けまして制定されているのでございまして、現行法は第一に相当の対価による売買と通常の私的経済行為に係る場合は自由でございますが、一件五万円以下の場合は自由、十万円以下の場合は皇室経済会議の議決を経る。更にそれ以上の場合には一々国会の議決を要することに規定されておりますほかに一年以内における同一の相手方に係るものにつきましても制限を加え、更に年間のその財産の授受の集計額が授受ともに百二十万円の制限が規定されているのでございます。併しながら実例について見ますると、過去におきまして皇室経済会議の議を経ましたものは一件があるばかりでございます。個別に国会の承認を受けました例もないのでございます。一方災害時におきまするお見舞又は各種の御奨励に出されます賜與は、今申しました制限額を超える場合が多いのでございまして、緊急に実行に移す必要のある場合に非常に一つの制約となつているのでございます。そういう必要から実は毎年国会からこういつた災害の見舞或いは諸種の奨励のために毎年行われます賜與につきましては包括的な議決を頂きまして、その額を二百五十万円ずつ議決を頂いておつたのであります。そういうようなことを毎年続けて参りましたので、その実情に鑑みましてこれらの制限を整理をいたしまして、ただ年間の集計額の制限だけにとどめたい、かように結論を得ましてここに第二条の改正を提案するに至つた次第でございます。
それで新しい第二条におきましては只今申上げました趣旨によりまして相当の対価による売買と、普通の私的行為に係る場合と毎年会計年度による一年の間に賜與又は讓受が別に法律で定める定額、と申しますのは、施行法におきまする今度の改正によりますと、賜與の場合におきましては毎年議決を頂いております二百五十万円と従前の百二十万円を加えました三百七十万円讓受の場合におきましては従前通り百二十万円ということにいたしたいと考える次第でございます。
その次は第六条でございますが、皇族費につきまして本条において改正を加えたいと考えるのでございます。その点これに関しまして三点のことがございます。その一は現行法におきましては皇族費は皇族に対する年金と皇族が皇族の身分を離れる際に支出します一時金との二種類でございましたが、今回新たに皇族の身分は離れませんが内廷或いは各宮家の世帯から離れまして独立する皇族に対しまして諸度調弁その他の費用といたしまして親王又は内親王の定額の二倍を一時金として支出する道を開いたことでございます。具体的に申上げますと、現在はいわゆる皇族を離れて臣籍降下をされる場合に一時金が出るのでございますが、例えば現在の義宮様が独立される場合には一時金がございません。併し今後御成年に達せられ独立される場合に毎年の御生計のいわゆる皇族費以外に何ら御財産というのがないのであります。諸度調弁に当てるために今回皇族の身分を離れないが独立される方に対する一時金の制度を加えた次第でございます。でこの場合、その独立の生計を立てるという認定につきましては皇室経済会議の議を経てきめるということにいたしたいと存じます。
六条につきまして第二の改正の点は皇族費の年金の算出方法を改正いたしましたことでございます。現行法におきましては既婚、未婚、成年、未成年のつて個人的な算出がされているのでございますが、このたびは一宮家の世帯の單位としての世過ぎの実情に合いますように、独立の生計を営む皇族及び独立の生計を営まない皇族の二つの範疇に分けまして定額を定めたのでございます。独立の生計を営まれる皇族の定額の十分の一を独立の生計を営まない皇族の金額といたしたわけでございます。王、王妃、女王につきましては従来と同様の計算方法でございます。くだいて申上げますと、現在一つの宮家で親王、親王妃が一つの世帶を形成せられておりますが、従来は既婚、未婚或いはそのお子さんにつきまして成年、未成年というようなことで個人的な計算をいたしておりましたが、今回はそういつたことでなく一つの宮という世帯につきまして品位保持に必要な経費を基本とするという考え方から計算を立てた次第でございます。
改正の第三点は只今申上げましたような皇族の基本定額の性格を多少変更いたしましたので、攝政となられた皇族の増加定額或いは皇族の身分を離れる際の一時金の算出に当りまして、基本定額に対する倍率をそれぞれ低くいたしたことでございます。現行法で攝政の場合におきましては親王定額の五倍ということになつておりましたが、今回は只今の意味からそれを三倍と低下いたしました。それから皇族の身分を離れます際の一時金の算出に当つても、定額の十五倍以内をいう現行法に対しまして十倍以内というふうに倍率を低下いたした次第でございます。最後にその他の六条関係の規定は、従前と変更がございません。
十一条の第二項中の改正は、これは行政組織法の改正に応じまして「大蔵次官」を「大蔵事務次官」に改正するということでございます。これは皇室経済会議の予備議員に関する条項でございます。附則は特に御説明申上げるととはございません。
次に皇室経済法施行法の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。第二条でございますが、先ほど御説明申上げました通りに、皇室がなされる皇室関係の財産の授受につきましては細かい中の制限がございましたが、経済法において今回の改正ではそれを全部制限を取る、ただ年間集計額のみの制限にいたしました関係上ここに第二条の改正を必要とするのでございまして、先ほど御説明申上げました通りに賜與の額は三百七十万円、讓り受けの価額は百二十万円、それからこれは天皇及び内廷にある皇族でございます。第二号のほうはそれ以外の皇族で具体的に申しますと、秩父、高松、三笠三宮様でございまして、その賜與、讓り受けの価額はそれぞれ十五万、それも現行法通りでございます。
それから次は第三条から第六条までを削除いたしまして、第七条中の金額の改正をいたしておるのであります。第七条関係は、本条は内廷費に関するものでございます。現在内廷費は二千九百万円ということに相成つているのでございますが、今回これを三千万円に改正をいたしたいと考えるのでございます。これは前々国会におきまして当委員会におきましても内廷費並びに皇族費の定額につきましては根本的に検討をするようにという御意見も有力にございましていろいろ検討いたしましたが、この金額ができました当時は四囲の情勢上極めてお節約を基本にいたしてできているのであります。その後物価の上昇に従いましてその中におきまする人件費のベース・アツプに伴いまする多少の改正はいたしましたが基本的な検討が遅れておつたのでございます。今回最近における物価騰貴の増と貞明皇后崩御に基きまする減とをにらみ合せまして、多少の今後の物価の異動によりましてその定額を動かさないということを考えの基礎といたしまして計算いたしまして、二千九百万円を三千万円に改正いたす次第でございます。
次の第八条の関係でございますが、これは現在親王、皇族費の定額は親王一人七十三万円というものが基本になつて計算せられているのでございます。それを今回百四十万円に増額改正をいたしております。内廷費におきましても申上げました通りに過去におきまして相当御節約を願つておつたのでありますが、特に皇族費におきましては総額が内廷費と比べまして相当低いために、そのいわゆるやりくりということもむずかしいほどでございます。その後物価の上昇の関係或いは現実に各宮家におきまする年間の経費の実情等も推察をいたしまして、親王定額を百四十万円と計算をいたしたのであります。大体私共の推察をいたしますところによりますと、年間二百五十万円ぐらいの御経費を要するのではないかこれは宮家によりましていろいろ御事情が違いますが、かように考えるのでございますが、これを基本にいたしまして、その一五%は私的なものとして、その八五%の基本を国で皇室の皇族の品位保持に必要な経費と推算をいたしまして、この定額の百四十万円を計算をいたしたわけであります。で先ほどの経済法の改正によつて申上げました通り、親王が百四十万円、親王妃がその半額で七十万円、それからいわゆる独立の生計を営まないいわゆるお子様の親王、内親王につきましては親王定額の百四十万円の十分の一という改正を考えているのでございます。従つて具体的に各宮家について申上げますと、秩父、高松、両宮家につきましては親王と親王妃のお二方でございますので、百四十万円とその半額の七十万円の合計額の二百十万円が年額でございます。三笠宮家につきましてはそのお二方の二百十万円にお子様が内親王、親王が四人おいでになります。従つて親王定額百四十万円の十分の一の十四万円の四人分即ち年額五十六万円、二百十万円と加えまして二百六十六万円ということに相成ります。
それから新たに第九条の次に第十条を加えたいと存じますが、これは皇族費算出の事務規定でございまして、従前明文がございませんでしたので明らかにいたしただけでございます。即ち年度の途中において皇族費の支出する事由が生じたとき、或いはこれを支出することをやめる事由が生じたときにおける金額の算出方法でございます。支出することが生じたという意味は、例えば年度の途中で御出産がありましたり、独立の生活を営まれることになりましたり、身分の変動があつたりすることを指しておりますし、支出することをやめる事由が生じたときは、例えば御逝去がありましたり、皇族の身分を離れられたりすることを意味しておるのでございます。附則につきましても別に申上げることはございません。
以上極めて不備でございますが一応各条につきまして御説明申上げた次第でございます。御質問によりましてなお詳細御説明申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/2
-
003・赤松常子
○赤松常子君 こういう皇族の方の税金関係というものは、どうなつているのでございましようか。私どうもよくわからないのでございますが。例えばこういう一時金をお貰いになる場合はそうでないといたしましても、まああの御自分で農地を開墾しておいでになるとか、秩父の宮家、御自分で生業を営んでおいでになる場合、どういうやはり税金をお納めになつてらつしやるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/3
-
004・宇佐美毅
○政府委員(宇佐美毅君) ここに経済法に規定しております皇族費につきましては、所得税は免除になつております。その他のいわゆるこれをお払いいたしましたのちに利子を生じたような場合には、それに所得税がかかつて参りますし、その他の税法関係は全部一般国民と同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/4
-
005・赤松常子
○赤松常子君 あの親王と内親王のお貰いになる額がですね、同一でない場合がございましたですね。ちよつとこの間拜見いたしまして、今あの一時額をお貰いになる場合、内親王は親王の半額のように決定いたしておりますがどういうわけでしようか。もう内親王はみなお嫁にいらつしやるというわけなので少いのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/5
-
006・宇佐美毅
○政府委員(宇佐美毅君) 内親王様につきましては、いわゆる独立の生計をお一方でお立てになります場合には親王定額の半額でございます。それから独立の生計をお立てにならない場合、やはり一家のうちにおいでになりますときは、親王定額の十分の一と、結局独立の生計を、お立てになるか否かによつて区別をいたしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/6
-
007・赤松常子
○赤松常子君 あの独立の生計をお営みになる場合も半額なんですか。内親王の場合はどうしてそういう差があるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/7
-
008・宇佐美毅
○政府委員(宇佐美毅君) この計算の方法は親王さんを基本にいたしまして、すべて計算の基礎を出しているのでありますが、内親王様と、それから親王さんの妃殿下の親王妃の場合におきましてもその半分という計算でいたしておりますので、その比例からいたしまして、そういうふうにきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/8
-
009・赤松常子
○赤松常子君 私別に内親王だからどうだからという御身分の上下でというのじやないのですけれども、もう男女平等の憲法も制定されております時代ですから、こういうところからですね、卒先して範を垂れて頂きたいと、この基本的な考え方をお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/9
-
010・宇佐美毅
○政府委員(宇佐美毅君) 内親王のお一人の場合には、お一人だけでございましていわゆる世帯ということをお持ちにならないということで半額にいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/10
-
011・赤松常子
○赤松常子君 人間が半分というわけですか。(笑声)どうもちよつと私割切れないのですけれども、どうぞ強くそういう点をこういうところから範を垂れて頂きたいと私は強く要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/11
-
012・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記をとめて下さい。
午後三時三分速記中止
—————・—————
午三時三十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/12
-
013・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。
両案について質疑はすでに終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/13
-
014・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないものと認めます。それでは討論に入ります。
御発言がないものと認めまするから採決に入りまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/14
-
015・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないものと認めます。それでは採決をいたします。この両案につきまして賛成の諸君の挙手を願います。
〔全員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/15
-
016・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 全員一致であります。それでは両案は可決すべきものと議決せられました。
両案の本会議における報告は委員長にお任せをお願いいたします。
〔「異議なし」と呼ぶものあり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/16
-
017・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないものと認めます。
なお賛成者の諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
山花 秀雄 石原幹市郎
横尾 龍 楠見 義男
竹下 豐次 赤松 常子
三好 始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/17
-
018・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それでは速記をとめて下さい。
午後三時三十四分速記中止
—————・—————
午後五時二十八分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/18
-
019・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X00519520221/19
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。