1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十四日(土曜日)
午前十時五十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 河井 彌八君
理事
山田 佐一君
鈴木 直人君
委員
中川 幸平君
楠見 義男君
竹下 豐次君
和田 博雄君
栗栖 赳夫君
三好 始君
松原 一彦君
政府委員
内閣官房長官 保利 茂君
総理府恩給局長 三橋 則雄君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○恩給法の特例に関する件の措置に関
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
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001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。
恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案を議題といたします。恩給法特例審議会令の案がここに参考として提出されておりますから、これにつきまして恩給局長から説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/1
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002・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) お手許に配付いたしておりまする恩給法特例審議会令の案は、恩給局におきまして案を作りまして、法制局と大体事務的な打合せは済んでおるわけでございますけれども、まだ最後的な閣議決定まで行つている安本ではございませんので、一つ御了承おき願いたいと思います。大体この案を読んで頂きますれば内容の点につきましては御了承行くことと思いますが、一言申上げておきますることは、第一條の第二項に、この審議会は「内閣総理大臣に建議し、及び内閣総理大臣の諮問に答申する。」、こういうように規定いたしておるのでございまして、性格といたしましては、建議の機関であり、又諮問の機関である、こういうように考えておるわけでございます。審議会を構成する委員はどれくらいかということにつきましては、裏の頁の第二條に規定いたしておりまして、「審議会は、委員十五人以内で組織する。」、併し必要に応じまして、場合によりましては十五人ではとても……、十五人以外に臨時委員を設ける必要のあることも予想せられますので、二項のところに「特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に、臨時委員を置くことができる。」旨の規定を設けておるのでございます。委員を選びますのに、或いは国会議員のかたがたとか、或いはその他のかたがたから選び得るようにはつきりと條文に書いたらどうかというようなことも一応検討は私たちいたしたのでございまするが、條文にそういうことを書くことにつきましてはいろいろと意見もありまするので、今のところではこういうようなふうに、そういうようなことは明示しないようにいたしておりまするところでございまして、ただ抽象的に「関係行政機関の職員及び学識経験がある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」ということを第三項に規定いたしたのでございます。会長はどうしてきめるかという問題につきましては第三條に規定いたしまして、審議会の委員の互選によつて定めるという形をとつたのであります。審議会の庶務は恩給局において処理することといたしまして、その旨を第四條で書きまして、特にこの審議会の専任の職員を置くというようなことはいたしませんでした。
大体かいつまんでおおまかなことを御説明すれば以上のようなことかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/2
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003・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 只今説明されました事項について御質疑がありますれば、この際御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/3
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004・三好始
○三好始君 只今の御説明の中で、第十二條の委員十五人以内で組織するという委員のうち、学識経験者をどの範囲から選定する予定なのか、例えばこの中に受給者たるべき者の代表を含む予定なのかどうか、この点について御説明頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/4
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005・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 受給者の中から選ぶとか選ばないとかいうようなことは、今のところまだ何も考えておりませんが、恐らく受給者のかたを選ばれるようなことに相成るかと思つておりますが、まだそのようなことは具体的にきまつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/5
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006・三好始
○三好始君 それでは関係行政機関の職員と学識経験者の割合などもきまつておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/6
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007・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今まで事務的にいろいろ検討いたしましたところでは、すでにこの委員会でも申上げたかと思いますが、民間のかたの学識経験者のかたも過半数ぐらいはお願いをいたしたい、行政官庁の職員は成るべく少くすると、こういうような考えでおります。併し何と申しましても、恩給というかなり専門的といいますか、行政の専門的な知識を要することが多い審議会でございまするので、それから又、法制的な問題ばかりでなく、財政の面もやはり考えて、現実にその面の仕事に携わつておる職員が入ることも望ましいことではないかと、こういうように考えておるところでございます。そういうような見地からいたしまして、加わる委員といたしましても、非常に制限された極く僅かの委員しか入らないことにいたしたいと、こういうように考えておるところであります。勿論、今のは私のいろいろ同僚との間におきまして検討をいたしておりまする案でございまして、最後的にまだ閣議なり、或いは又長官のところできめられたのではございませんことを御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/7
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008・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/8
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009・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/9
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010・楠見義男
○楠見義男君 官房長官にお伺いしたいのでありますが、それはこの法案をいろいろ長い間審議いたしておりました経過において大体政府委員との間に或いは又参議院の法制局長との間における質疑応答において一応我々としては明らかになつたと理解した点について官房長官にその点を確めまして御回答を得たいのであります。二つございますが、先ずその一つは、本来旧軍人に対する恩給は一般の女官と同様に恩給法第一條に明示せられておりますように、恩給法の定むるところによつて恩給を受ける権利を有するのでありますが、ポツダム勅令の恩給法の特例に関する件によりましてその権利を消滅せしめられたのでありますが、講和発効後に伴うその後の措置によつて恩給法の特別法である今申上げた勅令の効力が消滅した場合は、再び本来の姿に戻つて一般的な即ち基本法である恩給法の定むるところにより、恩給を受ける権利が生ずるものと解して宜しきやどうか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/10
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011・保利茂
○政府委員(保利茂君) その軍人恩給のこの問題、法律的に非常にデリケートになつておるのでございまして、私のような素人では法律論を以てお答えすることは御遠慮申上げたいと思います。私はただ旧恩給法というものは、国家公務に一身を捧げて奉仕するかたに対しては国としてかくかくの処遇を講ずるという制度の下に恩給法は立てられている、従いまして旧軍人のかたが、さような国家の処遇を一つの條件として公務に盡瘁され、或いは不幸にして戦歿せられた、幸いにして生還を完うせられたというかたもあるわけです。占領によりまして只今お話のように権利消滅と申しますか、恩給の廃止措置を講ぜられまして、これが一体根本においては生きておるのであるか、死んでおるものであるかと申しますれば、法律論としてはいろいろあるかと思いますが、国の制度としてはもとよりその制度を運用し得る実際の事情がなければならないことは申すまでもございませんから、旧恩給法そのままが完全な既得権として握られておるというふうに、法律上はどうなりますか、私は解し得ない。恩給を実施するにしましても、その実施はやはり実施し得る状態において生かされて行くべきもので、併しながらそうかといつて全然そういう権利がなくなつておるというふうには解することは無理だろうとその点は思うわけであります。端的に一か二かというようには実際論としてこれは言えない問題であろうと思います。法律論についてはこれはもう専門家である政府委員からお答えいたしたところで御了解を得たいことは申し上げるまでもございません。それが政府を代表するものと御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/11
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012・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/12
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013・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/13
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014・楠見義男
○楠見義男君 只今の点は官房長官のお言葉の中にありましたように、旧恩給法そのままの形で行くか行かないかということは、今後設けられるこの特例に関する審議会において十分検討せられることだと思うのでありますが、改正せられれば、その改正せられた法律によつて、若し改正せられなければ従来の恩給法そのままの形によつて、いずれにいたしましても根本の問題は、先ほど申し上げたように特別法であるこの勅令が効力を半年先、或いは一年先に失われた場合を想定いたしますと、そのときには基本法である現在の恩給法、その恩給法が改正されれば、その改正せられたところに従つて行くわけでありますけれども、いずれにしてもこの基本法である恩給法第一條の定むるところによつて、旧軍人は恩給を受くる権利が生ずるものであるというふうに解するか、或いはそうでないと解するかによつてこの問題が非常に大きな分岐点になるわけであります。同時にこの審議会が発足をして審議せられるに当つても、その基本観念が非常に重要な問題になるのでありますから、その点は是非明らかにしておきたい。今官房長官が言われたように、法律の専門家である政府委員が答えたところが政府の意見であるというふうに理解できればいいのでありますが、専門家の意見である、政府は又政府として、その特殊の政治的な考慮観点から、別の観点を作るというような事例も従来なきにしもあらず、従つてそういうことでありますと、一番大事な基本観念がぐらついて参りますので、その点を明らかにしておきたいというのが私の質問の要点であります。従つてその点をもう一度明らかにして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/14
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015・保利茂
○政府委員(保利茂君) その点は法律論といたしましても、又政府の解釈論といたしましても、政府委員からお答えいたしている通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/15
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016・楠見義男
○楠見義男君 その次に第二の問題についてお伺いいたしますが、これは内閣及び厚生連合委員会の際における政府の御答弁もそうであつたように記憶するのでありますが、なお念のためにお伺いいたしたいのであります。それは政府の御説明によりますと、旧軍人の恩給権の剥奪につきましては、当時における政府の非常な存続に関する努力にもかかわらず、進駐軍の強い指示によつて止むを得ずポツダム勅令が公布せられたのであるから、今後勅令の効力が消滅した場合は、その当時の政府の考え方の趣旨にも鑑みて、でき得る限りの誠意を以て措置したい、こういうようなこと、従つて審議会発足後もこの法律の一年延期の規定如何にかかわらず可及的速やかに成案を得るに努め、その成案を得た場合は、所要の手続を経た上で、できれば明年四月一日を待たず、その実現を図りたい、こういうような御意向であつたように承わつたのでありますが、その通りであるかどうかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/16
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017・保利茂
○政府委員(保利茂君) 政府といたしましては、この問題につきましては、只今お話の通り誠意を持つて行いたいと考えております。その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/17
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018・松原一彦
○松原一彦君 一度承わつておきますが、そうしますと、戦犯として刑を受けた者は、特例法によつて恩給権を失つたと、それは特例法がなくなつても永久に失権したものとみなさるべきものでありますか。或いは今官房長官のお話はよく了解しますが、旧軍人の恩給復活以前に復活することは、国際信義にも背くし、先方の趣旨の点にも背くので、早急の取扱いはできないけれども、旧軍人の恩給復活と同時に独立したる日本の国の政府の判断によつて、恩給権の復活ということも考えられ得るのかどうか。永久に失つたものならば復活の道はないのであります。この点につきまして御見解を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/18
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019・保利茂
○政府委員(保利茂君) 旧軍人の恩給措置を、来年四月一日を待たずして講じたいというのは政府の真意でございます。従いましてそういう行為をなす段階におきまして、同時にこの附則二項の問題は解決をいたしたい、解決をいたしたいということは、当然措置をいたさなければならんと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/19
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020・松原一彦
○松原一彦君 念を押しておきますが、永久にこれが国内法の、禁錮以上の刑に処せられた者と同様の取扱いをするのではない、恩給審議会の審議の結果によつては、旧軍人の恩給権復元と同時にならば、国際信義にも背かん、戦犯としての処置を受けたる人々も、同様に復元し得るものか、この点につきましてお伺いしておきたい。永久に恩給権を失効したものならば、これはいたし方がない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/20
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021・保利茂
○政府委員(保利茂君) それは恩給局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/21
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022・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) お許しを得まして私から、少し法律解釈の問題に関連して来ると思いまするからお答えいたします。問題はいわゆる戦犯のかたを中心といたしまして、恩給法との効力の問題にも関連して来る問題だと思います。その問題は結局軍人の場合と同じことだと私は考えております。従いまして恩給法の特例がある限りにおきましては、いわゆる戦犯に処せられたかたは、たとえ恩給法の規定によりましては、恩給を受けられるかたがたであつたとしましても、恩給は与えられないで今日まで至つております。で又その取扱いを継続するという法律が出ます限りにおきましては、軍人と同じようにその取扱いを従来通りの取扱いを得られる、こういうことになるのでありまして、この特例が失効いたしました場合におきましては、軍人と同じように恩給法の規定によりまして、恩給を給せられることになる、勿論恩給法が改正されなければ、今のままの恩給法の規定によりまして、恩給を給せられない、これは軍人と全く同様であるとお考えになつて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/22
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023・三好始
○三好始君 只今の恩給局長の説明でありますといろと、附則第二項は無意味になつて来ると思うのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/23
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024・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 附則の第二項は無意味だと仰せられますことは、どういう意味か存じませんが、この本文の規定がそのままに残つておると同じようなことになつておるわけです。但しそれは今までに、その刑に処せられた者については、こういうようにお考え願えれば御了解できるんじやございませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/24
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025・三好始
○三好始君 無意味だと申しますのは、附則第二項によりますというと、特例法の第八條第一項、第二項は、たとえ特例法がなくなつても、その効力は続くというふうに附則第二項できめておると思うのです。ところが特例法がなくなると、基本法に返るというようなことになりますというと、第三項は何のために設けたのかわからなくなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/25
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026・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 恩給法の特例に関する件の措置に関する法律の第一條は、この恩給法の特例を改正することを規定いたしておりますね、恩給法の特例第七條、第八條の削除すると、こう書いておりますから、恩給法の特例を改正しておるわけであります。改正しておるということは、本文に関した法がなくなるから、該当するものがなくなるから、改正するわけですね。改正するについては経過的な規定が要るのでありますから、附則第二項を置いておるわけです。改正された恩給法の特例が、第二條によつて来年の三月三十一日までは効力を有するものと、こういうようにお考え願いたいと思います。條文をそのつもりで書いておるのです。おわかりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/26
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027・三好始
○三好始君 こういうふうに了解していいわけですね。第七條、第八條は、この今提出されておる法律の施行の日からなくなるけれども、八條の一項、二項については三月三十一日までですか。それまで効力を続ける、こういうように了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/27
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028・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/28
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029・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 諸君にお諮りいたします。本案につきましては大体これまでで御質疑等は盡きたと認めますから、これから本案の処理につきまして懇談会を開きたいと思いまするが御異議ありりませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/29
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030・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。それではさように決します。それでは懇談会を開きます。午前十一時四十分懇談会に移る。
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午後零時七分懇談会を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/30
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031・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それでは懇談会を終つて委員会を開会いたします。恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案につきましては、質疑が盡きたものと認めまして、これより討論に入ります。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/31
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032・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは討論に入ります。御意見の発表を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/32
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033・鈴木直人
○鈴木直人君 私は、今回提案されております恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案につきまして、賛成をいたすものであります。ただ、審議過程において各委員からいろいろの御意見がございましたが、その点につきましては他の委員から恐らく御発言があると思いまするので、私は余り申上げませんが、この法律の附則に、この法律は日本国との平和條約の最初の効力発生の日から施行するということになつておりまするので、本日はもうすでに講和発効の日を経過しております関係から、全くこれは事務的な修正でございまするが、修正案を私は提案したいと思うのであります。お手許に差上げてありまするが、その修正の案文を朗読いたしますと、恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案の一部を次のように修正する。附則第一項中、「日本国との平和條約の最初の効力発生の日」を、「公布の日」に改むという修正案でございます。これを提案いたしまして、それ以外の部分につきましては原案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/33
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034・竹下豐次
○竹下豐次君 私は只今鈴木委員から提案されました、修正案を含む原案に賛成の意を表するものであります。ただいろいろこの問題につきまては複雑な事情もありまするし、法律解釈等のいろいろな疑点があつたのでありまするが、たびたびの政府当局との問答によりまして、法律問題も一応解釈がはつきりしたということになつたのであります。そういう点につきましては別に申上げることもないのでありまするが、一点だけ私の希望をこの際申上げたいと思うのであります。
それは近く設立されまする恩給法特例審議会において、如何なる決定が行われ、政府に答申されるか、或いは又建議されるかまだわからないのであります。又私などといたしましては、この際恩給法特例審議会に対していろんな希望を付けたりすべき筋合のものではないのでありますが、併しながら恩給法特例審議会におきまして決定されまする恩給額は、平和回復の本年四月二十八日に遡つてこれを支給するというようなことに相成りまするならば誠に結構なことでありまするが、どうか恩給法特例審議会におきましてさような決定の行われることを念願してやまないものであります。政府のほうにおきましては、この私の希望の線に沿いましてできるだけの御努力あらんことを希望する次第であります。
これだけの希望を附しまして修正案を含む本案に賛成いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/34
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035・三好始
○三好始君 私も修正案を含む原案に賛成するものであります。
本法律案の眼目をなすものは第二條だと思うのでありますが、これについてはすでに関係者より相当延期に対して強い希望の出ておる実情でありますが、審議の過程において、恩給支給の時期を講和発効の日に遡るべしという有力な意見も出て参りました、又べースアツプの問題も出ております。こうした問題は国の財政力、或いは受給者の事情等を十分に考慮して、適切なる結論を審議会において出すべきことと思う次第であります。なお先ほど官房長官から言明がありましたように、法律案は三月三十一日まで特例の効力を続けるという建前になつておりますけれども、それまでの期間におきましても、準備が整い次第必要なる措置を講ずるとのことでありますが、こうした点についても今後更に十分なる努力を拂われることを希望いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/35
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036・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 私も竹下委員、三好委員の御意見と同じように 二條についてはこの條件を附けまして御賛成申上げたい。全部について御賛成申上げたい。但し修正のところは修正案を御賛成申上げたいと、こう思うのであります。この條件につきましては、政府は一つ、非常な御苦労の点もあろうと思いますけれども、思い切つてこの実行に一つ骨を折つて頂きたい、こう思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/36
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037・松原一彦
○松原一彦君 私もこの法案につきましては、修正案を含めて原案に賛成するものでございます。ただ占領下事情万止むを得ざるものがあつたことは諒といたしますが、今日のあることは最初からわかつておつたことであります。然るに独立後一年間空白を作つて、旧軍人七百万人にも及ぶ大多数の恩給権にあたかも抑圧を加えたかの感を抱かせますことは如何にも遺憾千万でございます。この法案は処理の如何によりましては、憲法違反の虞れをも生ずるものであります。審議会委員の選定を慎重にせられ、その審議はできる限り急がれまして、少くとも六カ月以内にはこの結論を出されるようにいたし、又明年度の予算措置等においても遺憾なきを期せられたいのであります。なお、その結論によりましては、今年度以内においても、老齢軍人、同じく未亡人等の生活援護の方法をも講じ、且つ恩給特例につきましては、適宜削減等の方法等をも講ぜらるることをば希望いたしまして、受給者の実情にも応じ、且つ国の法律上の、政治上の信を失しないように、慎重にお取扱いを願いたいということを申し添えまして、賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/37
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038・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 他に御発言がないと認めまするから、本案を採決に付します。本案につきましては、只今鈴木君から修正案が提出されております。即ち附則第一項中の施行期日に関する点であります。この修正案に対して同意の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/38
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039・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 全会一致であります。次に只今の修正点を除きました他の部分につきまして採決をいたします。賛成の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/39
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040・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 全会一致であります。それでは本案は修正可決すべきものと議決せられました。つきましては、賛成者の委員諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
山田 佐一 鈴木 直人
中川 幸平 楠見 義男
竹下 豐次 栗栖 赳夫
三好 始 松原 一彦発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/40
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041・河井彌八
○委員長(河井彌八君) なお委員長の報告は、委員長に御一任を願いまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/41
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042・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
それでは本日はこれを以て散会いたします。有難うございました。
午後零時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314889X02919520524/42
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