1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月二十六日(水曜日)
午後一時四十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
西山 龜七君
加賀 操君
山崎 恒君
委員
池田宇右衞門君
瀧井治三郎君
宮本 邦彦君
赤澤 與仁君
飯島連次郎君
片柳 眞吉君
島村 軍次君
三浦 辰雄君
小林 孝平君
三橋八次郎君
小林 亦治君
松永 義雄君
衆議院議員
小淵 光平君
政府委員
農林大臣官房長 渡部 伍良君
農林省蚕糸局長 寺内 祥一君
林野庁長官 横川 信夫君
事務局側
常任委員会專門
員 安楽城敏男君
常任委員会專門
員 中田 吉雄君
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本日の会議に付した事件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○農林漁業資金融通法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○森林火災国営保險法の一部を改正す
る法律案(衆議院提出)
○閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積
み立てた繭糸価格安定資金の処分に
関する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/0
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは只今から委員会を開きます。
最初にお諮りしたいことがあるのでありますが、それは理事片柳眞吉君から理事を辞任したいとのお申出がありましたが、さよう取計らうことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/1
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002・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこの際欠員となりました理事の補欠選挙を行いたいと思いますが、この取扱は如何いたすかお諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/2
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003・小林孝平
○小林孝平君 理事の互選は成規の手続を省略し、委員長において指名せられんことの動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/3
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004・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは、私から指名さして頂きます。片柳君に代つて加賀操君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/4
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005・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは、引続いて農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、質疑はおよそ終了したものと思いますが、なおこの際特別の御発言がございましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/5
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006・片柳眞吉
○片柳眞吉君 この農林漁業資金融通の特別会計の問題ですが、農業倉庫の利率を引下げるということに関連して、或いはほかの共同施設等もこの利率を引下げるという問題が出て来ることが予想されまするが、現在の政府提案でどういう採算になりまするか。それから問題になつておりまする繭倉庫を四分に下げた場合に、なお農林漁業資金の特別会計の採算がどうなりますのか。これは今後の検討にその関係は大きく必要がありますので、御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/6
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007・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 現在の予算に基きます二十七年度の収支のあれは三百二十億、本年度の分と来年度の二百億を合わせまして三百二十億をベースにしまして、政府出資等の金利のつかない金以外の見返資金及び預金部資金の金利、事務費及び支拂手数料というものを加算しますと、大体五分七厘四毛くらいのコストがかかることになります。そのうち借入金の利率は三分一厘四毛、事務費が一厘、支拂手数料が二分五厘、合計五分七厘四毛、こういうことであります。これに対しまして貸付金の金利のほうは五分七厘五毛八朱というふうになつておりまするので、一毛八朱のプラスということになります。従つてこれは一般会計に返還するもの及び予備費として一億何千万円余を特別会計の中に残して、いわゆる乾繭倉庫を四分としますと、乾繭倉庫に八千万円を予算のときには予定しておりまするので、これが三分五厘の收入利息減ということになりますので、平均五分七厘五毛ということになります。その金額は大体百四十万円程度の收入減ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/7
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008・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他に御発言がなければ、これより討論に入りたいと思います。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、修正案文及びその修正理由を討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/8
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009・飯島連次郎
○飯島連次郎君 只今議題となつております農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案に対して私は修正の動議を提出いたします。先ず修正案を朗読いたします。
農林漁業資金融通法の一部を改
正する法律案に対する修正案
農林漁業資金融通法の一部を改正
する法律案の一部を次のように修正
する。
「又は繭」を削る。
続いて修正の理由を簡單に申上げます。前国会において繭糸価格安定法案の審議の際、当委員会から養蚕農家を保護するため繭の価格の維持安定に対する政府の努力を要請する申入れをしたが、これに対して政府から、当時の根本農林大臣によつて極力善処したい旨の回答を得て、その成果に対して大きな期待を寄せておるのであります。繭の価格の維持安定のためには、御承知の通り乾繭倉庫の整備復旧が最も有用な施策でありますので、差当つてこれが完遂のため最大の努力が拂われなければならないことは申すまでもないのでありまして、かような趣旨によつて、且つ又前に述べました経過に徴して乾繭倉庫の助成に対する資金についても特別の考慮が拂わるべきことは当然のことと考えて、今回修正の動議を提出した次第であります。
なおこの際一言したいことは、今回の修正に基く措置は全く当面の措置でありまして、政府においては今回の修正に鑑み、直ちに乾繭倉庫の急速な整備復旧を実現するため、万全の対策を講ぜられるよう切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/9
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010・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 只今飯島さん御提案の修正に賛成いたすものであります。なお本案に対しましての希望と申しましては、只今の乾繭倉庫に対しましては、修正の御趣旨にもある通り、養蚕農家が生繭の取引の上におきまして、値段その他の悪條件を招くときに倉庫の必要ありというところに狙いがあるというようなことにおきまして、どこまでも乾繭業者に利用されるようなことなく、養蚕団体、或いは組合製糸、或いは製糸家等の実際に必要なかたがたに政府は十分愼重を期して融資されんことを希望するのであります。なお農業倉庫におきましては、食糧の増産、自給度を高める政府の方針からいたしまして、本年度の融資を更に来年度も継続いたしまして、協同組合におけるところの米麦保管に対しては、これ又折角農民の心血を注いで生産したものであるから、毀損するようなことのないように十分に融資に当つてもできるだけの途を開くように希望いたして本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/10
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011・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私は只今飯島委員の修正案に賛成し、修正個所以外は政府の原案に賛成いたしますが、この際明確な條件を付けて賛成をいたしたいと思います。と申しますのは、この金融と助成とを混同することを極めて私は明確にして頂きたいと思うのでありまして、実は農業倉庫についてもでき得れば私は国が助成すべきだと思うのでありますが、それが財政上の関係からできなかつた関係で次善案として本案に賛成するわけであります。それに加えて繭の倉庫を入れることもこれ又次善応急の策として私は賛成いたすのであります。本来私は政府から当然繭倉庫の助成をして頂きたいと思うのでありまして、特に先ほどこの資金の特別会計の收支関係を見ますと、そのコストは全体で五分七厘四毛、繭倉庫は四分といたしますと、それと全体との平均は五分七厘五毛でありまして、僅かに一毛しかその間にプラスが残らんわけであります。どうやらこうやらこれで採算がとれるという極めて苦しい実は内容じやないかと思います。従つて繭倉庫等についてはできれば本年度の補正予算が起きて来ますれば、補正予算の際、少くとも二十八年度以降はやはり私は国が助成すべきだと思うのでありまして、助成以外の融資の関係で金利を引下げる場合においては、これは別途に国から利子補給等の関係でこれを補給すべきであつて、金融はやはり採算をとつて行くことが私は原則だと思うのであります。繭倉庫だけはこの際どうやらこうやら特別会計の採算を割らない限度でありますから賛成いたしますが、これが漸次拡大して行きますと、結局この折角の資金融通が根本的に破綻を招来する危険もありますので、以上申上げましたことを強く條件といたしまして、賛成いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/11
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012・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて採決に入ることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/12
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013・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより本案を採決いたします。
先ず討論中にありました飯島君の修正案を議題に供します。飯島君提出の修正案に賛成のかたの御起立をお願いいたします。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/13
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014・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 全会一致であります。従つて飯島君提出の修正案は可決されました。
次に、只今採決されました飯島君の修正にかかわる部分を除いた内閣提出にかかわる部分全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の諸君の御起立をお願いいたします。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/14
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015・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 全会一致であります。従つて本法案は全会一致を以て修正議決されました。
なお本会議における委員長報告は慣例によることをお許し願いたいと思います。なお順次多数意見者の御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
小林 孝平 山崎 恒
片柳 眞吉 赤澤 與仁
三橋八次郎 小林 亦治
三浦 辰雄 島村 軍次
松永 義雄 瀧井治三郎
宮本 邦彦 西山 龜七
池田宇右衞門 飯島連次郎
加賀 操
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/15
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016・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 続いて、少し日程を変更いたしまして、本委員会に付託になりました森林火災国営保険法の一部を改正する法律案、衆議院議員小淵光平君ほか二十二名提出の法律案の提案理由の説明を承わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/16
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017・小淵光平
○衆議院議員(小淵光平君) 只今御審議を願います森林火災国営保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
森林火災国営保険は、昭和十二年十月一日からその事務の取扱を開始いたして今日に至つているのであります。ただ当時におきましては、壯齢林につきましては、比較的危険も少く、又この分野は、民営保険の伸長を期待しようとの建前から保険の対象を幼齢林に限つたのでありますが、その後の推移を見まするに、壯齢林につきましても森林火災による被害は年々相当の面積に及び、半面民営保険は森林火災保険の性格上、期待するほどの発展を見ていないのが現状であります。このような現状に鑑みまして、昭和十二年第七十通常議会におきまして「将来この法律の適用範囲を壯齢林にも拡大する」という附帶決議もありますことから、国営保険の林齢の制限を撤廃いたし、広く人工林全般に亘つてこれが保険の目的とし得ることといたしまして、再造林費を確保し、森林経営の安定を図り、併せて森林のもつ公益的役割の達成に遺憾なからしめたいといたしまするのが、この法律案を提出いたします主な理由であります。
その他、この機会に他に若干の改正を加えることといたしましたが、その第一は損害填補の方法を比例填補の方法に改めたことであります。第二に無事戻の制度を廃止いたしたことであります。第三に保険事務の一部を市町村のほか、森林組合及び森林組合連合会においても取扱うことができることとし、森林所有者の便宜を図つたことであります。
以上この法律案を提案いたしますのにつきまして簡單に御説明を申上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことをお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/17
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018・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 本案につきましては質疑を後刻に譲ります。
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019・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 次に閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が績み立てた繭糸価格安定資金の処分に関する法律案について昨日に引続いて審議を続行したいと思います。なお、本法律案はいわば繭糸価格安定法がその端緒と言うべきものでありますから、繭糸価格安定法に関してその運用等万般の事項について審議を盡すことは本法律案審議上の要点てあると思われますが、併し昨日来問題となつています繭の生産費についてだけ見ましても、問題はなかなか多いのでありまして、その他の問題にまで及びますと、本法律案の審議は容易に盡きないと思われますので、これらの問題の審議については日を改めてその機会を作ることといたしまして、本日適当な機会に本法律案に関する質疑を終了して頂きまして、直ちに討論、採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/19
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020・小林孝平
○小林孝平君 私は只今の委員長のお話に賛成するのでありまするけれども、それに関連いたしまして、この法案の審議に当りまして、繭の生産費、生糸の製造費や販売費等の問題についていろいろ政府当局に質疑をいたしたのでありまするけれども、非常にその回答に不満足の点が多々あるのであります。又この施行令の第三條を見ますと、法律の精神に反しておるという点も見つけられるのであります。こういうような点から考えまして、私は今後施行令の第三條並びに第四條の改正をする必要があるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。従つてこの際政府当局から今後急速に施行令の第三條並びに第四條の改正の準備に着手する用意があるかないかということを確める必要があると同時に、又今まで申上げたような問題に関連いたしまして、来たる二十九日に第二回の繭糸価格安定審議会が開催されるのでありまするけれども、これは原則的には三月中にきめることになつておりまするけれども、事情によつては四月若しくは五月にきめてもいいことになつておるのであります。そこで以上のようないろいろの問題がありますので、私はそういう問題を解決しないうちは、この審議会を開催して糸価、生糸の価格を決定するということはどうかと思われるのであります。そこで取りあえずこの二十九日の第二回の審議会を延期をするか、或いは延期をしないにしても、是非その二十九日は説明の程度にして、最終的の決定をしないと、こういうようなふうに取り運んで頂きたいと思うのであります。
以上結論的に申上げれば、政府が施行令の第三條、第四條の改正を中心としたいろいろの準備が完了し、更に二十九日の第二回繭糸価格安安定審議会の期日を変更するということをはつきりいたした上において、只今委員長から説明があつた点を了承いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/20
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021・松永義雄
○松永義雄君 只今ちよつと御疑問が発せられた点でありますけれども、私もその点について今疑問を持つておるのであります。それは少し長くなるのですが、憲法七十三條に「この……法律の規定を実施するために、政令を制定すること。」ということがあつて、そのために政令ができた、その政令によつて施行令第三條ができて来たということになつて、その施行令第三條がその政令と或いは違反をしておりはしないか、違反した場合はそうした施行令は有効なものであるか、或いは又憲法上の点まで関連して行くのであるかという疑いを持つているのでありまして、その点をはつきりしてもらわないというと、只今審議会でいろいろおきめになつても意味なさないことになりやしないか。殊に実施上について昨日来議論があるのであります。十分その点は気を付けてやつて頂きたいと思うのであります。さよう委員長において一つお取計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/21
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022・小林孝平
○小林孝平君 なお、御賛成がありまして、大体そういう方針にするということになりましたら、この際はつきり当委員会から政府に右の二点を申入れをする。その案文その他については委員長に御一任するということにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/22
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023・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこの際只今の御質疑に関連して蚕糸局長の一つ御見解を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/23
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024・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 先ず第一に小林委員からお申出のりありました政令の三條、四條を修正する意思ありやということでございまするが、この点につきましては、我々はこの規定でいいと思つてこういうものを作つたのであります。なお皆様がたの御意見を十分拝聴いたしまして、改正するほうがよろしければ改正してもよいと思つております。次に審議会を二十九日に開くことにしましたゆえんは、法律の第四條におきまして、「標準生糸の最高価格及び最低価格は、毎年三月(物価その他の経済事情にかんがみ特に必要があるときは、四月又は五月)に定め、」となつておりまして、三月中に定めることが法律の原則でございましてこの但書で括孤の中の規定も「物価その他の経済事情にかんがみ特に必要があるとき、」となつておりまして、只今の経済事情は特に変動が激しいとも認められませんので、ここで特に必要が認められませんので、法律の原則に従いまして三月中に定めるということにいたしましたので、而もいろいろ事務的な準備もございますので、三月ぎりぎりに、二十九日は土曜日でございますが、特に審議会を開きまして、三十一日には決定したいということが、この法律の原則に忠実であるというふうに我々考えまして、そういうふうにきめたのでございます。
それからその次に、この政令の根拠は憲法にありますが、大体法律の第三條に「標準生糸(政令で定める種類、繊度及び品位の生糸をいう。以下同じ。)についての前條の最高価格及び最低価格は、政令で定めるところにより、」とございまして、これに基きまして施行令の三條、四條ができておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/24
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025・片柳眞吉
○片柳眞吉君 審議会の開催期日は私も承知をしておりますが、ただむしろ日本の情勢から見ると、この間、私も予算委員会で農林大臣に質問したわけですが、衆議院は二十七年の最高価格、最低価格を前年通り大体据置くという御答弁であつたようでありますが、ところが、最近非常に問題になつて来ておるのは、御承知の紡績関係が操業短縮をするというような状態になつて来ておる。相当紡績を中心として私は見通しは困難な状態が起きておるのではなかろうか。生糸の輸出関係も最近は非常な不振といいますか、調子が悪くなつて来ておりますので、私はむしろ政府の側からこの三月にいろいろな物価指数等を見ることが却つて非常に困難ではないだろうか、こういう実は感じを私は持つておるのでありましてむしろこの二、三月が一番物価の見通しが困難な状態ではないか。一方ではインフレの危険があるかと思うと、現実には非常なデフレという問題も一部には起つておるわけです。特に生糸はそういうような繊維関係が非常な、今言つたような何といいますか、非常な変転期に入つて来ておるので、むしろ私は政府側で今少し模様を見るということのほうが、実際正鵠を得た価格が求められるのではないかと思うのですが、その点はどんなものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/25
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026・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 只今のお話、成るほど他の繊維につきましては、大分事情があるようでございますが、生糸につきましては、大体その価格を見て参りましても、多少の影響がありますけれども、綿糸とか或いはスフ等に比較いたしまして、価格の下り方が殆んど少ないのでありまして、殊にこの二、三日ちよつと上つておるというような恰好にありますし、又生糸自体の事情を見ましても、国内にいたしましても、或いは外国にいたしましても、市中の在庫が殆んどございませんというような関係がありまして、他の繊維と比べましてそれほど大きな変動が起らないであろうと我々は見通しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/26
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027・片柳眞吉
○片柳眞吉君 これは議論ですが、むしろ私は何かしら今度の国会の審議を見ても、例えば米価のパリテイの二五五が維持できるかどうか、或いはそれ以下に下るという議論も一部には出ております。それから電力料金の引上げという問題も近くは行われる。又生糸には今直ぐさま影響は出ておらんけれども、物価を参酌する場合には、一般の繊維価格指数をとつておりますし、紡績関係も昨年のような順調ではない。むしろ三月頃が一番物価の一般態勢と将来を見通すには一番時期が悪いのではないかと思うのですが、私はむしろ早くきめてもらうことがいいと思いますけれども、そういう非常に予測しがたい三月に無理にきめるというと、却つて私は妥当な結論が得られないのではないかと思うのですが、これは意見でありますから……それに加えて先ほど小林さんなり、或いは松永さんからお話もあり、私はなお研究してみたいと思いますが、私の見るところでは、政令以下が法律の趣旨を多少歪曲しておる感があるのであります。そういう点からも私はお延ばしになつたほうがいいのではないかと思うのですが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/27
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028・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/28
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029・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それじや速記を始めて下さい。先ほどの小林、松永、片柳各委員の皆様からの御発言の趣旨もございますので、できれば明日の委員会にその趣旨を盛つた文案を委員会に御披露いたして善処いたしたいと思います。従つてその問題はさように取扱いまして、本案につきましては別個の問題としてなお格別の御質疑がなければ、これより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/29
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030・飯島連次郎
○飯島連次郎君 その際に明日蚕糸局長の非常に苦しいお立場もおありのように見受けられるから、その申入をするときにできたら農林大臣の出席を求めて、そうして直接強く要望しておいたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/30
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031・羽生三七
○委員長(羽生三七君) さように取計らうようにいたします。それではこれより討論に入ることにいたします。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います……格別御発言もなければ、討論は終局したものと認めて採決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/31
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032・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより本案につきまして採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/32
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033・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 全会一致でございます。従つて本案は原案通り可決することと決定いたしました。
なお、本会議における委員長報告等は前例によることを御了承願います。なお多数意見者の御署名を順次お願いいたします。
多数意見者署名
小林 孝平 飯島連次郎
山崎 恒 片柳 眞吉
赤澤 與仁 三橋八次郎
小林 亦治 加賀 操
三浦 辰雄 松永 義雄
瀧井治三郎 宮本 邦彦
西山 龜七
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/33
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034・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは先ほどの議題に戻りまして、森林火災国営保險法の一部を改正する法律案について質疑をお願いいたします。一応御質疑の前に提案者から先ほど提案理由は承わりましたが、更に何かこの機会に御説明願うことがあれば、細目に亘つて一応御説明を承わることにしたいと思います。先ほどのお配りした資料に基いて林野庁長官から御説明を願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/34
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035・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 火災の被害の実績その他につきまして、要点を御説明申上げたいと思います。
お手許に差上げてありまする十枚ほど綴りました資料を御覽願いたいと思います。森林火災の被害は平均いたしまして年々約千五百件、面積にいたしまして四万町歩余、材積にいたしまして大体三、四百万石、これを金額に直しまして二億七千五百万円程度の災害があるのでありまして、最近五カ年の火災の実績によりますると、その原因別にこれを見ますと焚火による被害が一番多いのでありまして、損害額におきまして、焚火による被害が三四・一%、六千三百万円ほどの被害を與えております。二番目が火入による被害でありまして一七%、金額にいたしまして三千百万円ほどになつております。それから三番目に位しますのが煙草の吸殻に基きまする被害でありまして、これが一二%になりまして、三千二百万円ほどに相成ります。第三表というのを御覽を願いたいのでありますが、月別の被害はどういう工合になつておりますかと申しますると、四月、五月がやはり一番発生率が多いのでありまして、損害額にいたしまして四月が三六・四%、五月が三七・二%でありまして、この四月、五月が七〇%を超える被害を見ておるのであります。それから第五表を御覽を願いたいのでありますが、昭和二十年から二十五年までの壯齢林と幼齢林と分けました被害の状況を現わす表でございますが、この状態で御覽のように、幼齢林の被害のほうが壯齢林の被害に比較いたしまして非常に多い。六〇%以上はやはり幼齢林の被害になつております。人工林の全面積と被害面積を比較いたしますと、表に示しておりませんが、二十年生以下のものは千分の三・〇七になつております。それから二十年生以上のものは千分の一・八四ほどになつております。第六表を御覽を願います。昭和十二年この保險を開始しまして以来の契約面積でありまするが、現在の保有高は約五十九万町歩、保險金額にいたしまして七十二億円、保險料が約一億円になつております。件数におきまして最近やや減少いたしておりまするが、これは小面積のものを一括して契約しておるものが最近殖えて参つたのでありまして、全体といたしましては相当数増加をいたして参つておるような状態であります。なお第七表におきましては、各年度別の森林の損害の填補の実績でありますが、昭和十二年におきましては加入件数が五千五百四十三件ございまして、これは資料に載つておりませんが、面積にいたしまして五万三千六百三十町歩あつたのでありますが、この多数の加入に対しまして僅かに填補をいたしましたのは八件でございまして、極めて保險といたしましては優良な成績を収めたわけであります。それから八表は現在の都道府県別の契約の実績でございますが、面積で一番多いのは熊本県でございます。次いで静岡県、長野県という順序になつております。保險金額からこれを見ますると、第一位は面積と同様に熊本県でございまして、これに次いで和歌山県、それから鹿児島県というような順序になつております。第九表を御覽を願います。各年度別の収支の実績でございますが、二十一年、二十二年は事務費の増加等によりまして、積立金から補足をいたしました赤字経営であつたのでありまするが、二十三年以降黒字経営になりまして、二十三、二十四、二十五年度の残余金が七千五百四十六万八千百十八円と相成つております。第十表におきまして、民営の保險会社の概況を書いてあるのでありまするが、大正九年の十二月に東邦火災保險会社というのが初めて森林火災保險を実施いたしたのでございますが、これがその後日動火災海上保險株式会社と合併をいたしまして、昭和十二年に国営保險を開始いたしました当時には民間会社は五社ございまして、現在はこの表に示してありますように十二社になつておるのであります。民間会社の保險の成績は二十三年、二十四年共に赤字経営をいたしておりまするし、保險の契約保有高も十数億という割合に少い保有高を示している。二十五年度におきましては五百万円ほどの黒字を出しておるのでございますけれども、他の保險に比較しますると、極めて零細な保險の進捗状態であります。簡單でございますが、資料の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/35
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036・羽生三七
○委員長(羽生三七君) なお、この提案理由の説明の中にある損害填補の方法を比例填補の方法に攻めるとありますが、このところを具体的にお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/36
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037・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) これもお手許に資料を差上げてあるのでありますが、従来の国営保險の方法で計算をいたしますると、例の1のところで御説明申上げますが、保險価額が六十万円、標準金額が四十八万円、保險金額が四十八万円で、損害額が二十万円、被害区域の価額が二十万円であります。即ち被害が全損であつた場合の例でありまするが、従来の国営保險法による填補額は十三條の第一項によつて計算いたしますると、二十万円となるのであります。同條の但し書によりまして計算をいたしますると、十六万円、これが実際の填補額となるのであります。商法によりまする比例填補の方法によりますると、二十万円の損害額がありまする場合に今のような方法で計算をいたしまして、やはり十六万円となるのであります。全損の場合は従来の国営保險の方法で計算をいたしましても、新らしい比例填補の方法によつて計算いたしましても、同じ結果が出るのであります。ただ例の2でお示しいたしておりまするように、保險価額、標準金額、保險金額、損害額が同じである被害区域の価額が三十万円であつた場合、即ち被害区域に残存価額がある場合には、国営保險による填補額は十三條の第一項によりまして例1と同じように二十万円であります。但書による計算によりますると二十四万円であります。でありまするから実際の填補額は二十万円であるのでありまするが、商法によりまする填補額は十六万円となるのでありまして、実際問題といたしまして、被害区域に残存価額がありまする場合には、従来の国営保險による計算が有利なのでありますけれども、実際問題といたしまして二十年生以下の森林におきましては、一度火災に遭いますると、残存価額というものが殆んどないのでありまして、昭和十二年から実行いたしておりましても、一つもそういう場合が発生しておらないのであります。ただ法律上そういう規定をいたしておきましても、全部全損として取扱つておりますので、少しも被保險者に損害を與えておらないのであります。なお二十一年生以上の森林におきましては、比例填補の方法によらずに従来のような方法によつて行いますると、保險会計といたしまして相当の安全率を見なければならないのでありまして、従つて、保險料率を四割以上も引上げなければならないという事態になりまするので、できるだけ商法の原則に従うということにして、料率を引下げるように努力をいたして参るためにこの改正を行いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/37
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038・三浦辰雄
○三浦辰雄君 二十年以上の壯齢林まで、人工林というものは全部保険の対象にするようになつたことは、私どもも非常に当を得ている、非常にいいことだと思うのですが、併しこの資料を読んで見ますと、二、三疑問の点と申しますか、運営上一体どういうふうに考えているかというような問題もあるので、それについて御質問をしてみたいと思うのです。今の問題、今御説明がございました損害填補の問題でありますが、先ほどの綴つてある資料についての御説明の中で最後のところに、従来の民間保険会社の取扱実績を見るというと、マイナスになつている。そこで今度は国がそれを引受けてやるというのでありますが、一方資料として配つてもらつてある森林火災保険特別会計というのを見まするというと、歳入の欄で二十七年度の内訳の拡充の分というのがあります。千二百六十四万三千円、これが今度拡充されました二十一年生以上の森林保険から出て来る收入というふうにみるのでしようか、その点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/38
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039・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) お話の通りに二十一年生以上のものでありまして、面積は二万七千町歩を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/39
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040・三浦辰雄
○三浦辰雄君 そうして、この計算を先ほど説明されたのですが、それは書いてある通りであつてまだ了解がつかないと思うのです。今度は無事拂戻という制度をやめることになつた。そうすると今度の算定のやつは従来一般の民営会社がやつていたと同じような算定になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/40
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041・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 大体比例填補の方法を民営会社も行なつておりますので、同じ方法で保險の原則に従つてやるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/41
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042・三浦辰雄
○三浦辰雄君 そうだと思うのですが、そうなると山林の所有者から言えば、今度国営に拡張してもらつたから国に行く場合と、それから今までの民間のいわゆる保険会社に頼む場合と、どういうふうな違いが出て来るのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/42
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043・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 国営保險は御承知のように無審査保險でありまして、どこでも御要求があれば加入を許さなければなりません。民間会社におきましては審査をいたしまして、危險率の多い所は会社が断わることもできるようなふうになつております。その点が一番大きな違いであろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/43
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044・三浦辰雄
○三浦辰雄君 続いて、二十七年度の内訳のこの既定の分は収入が一億二百二十七万となつていますね。そうしてこれに見合うべきところの、資料によると第九表かと思いますが、これでいうと、これは二十五年度の実績一億一千六百万円に当る分でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/44
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045・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) お話のように二十五年度の一億一千六百九十万円というのが一億二百万円に相当するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/45
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046・三浦辰雄
○三浦辰雄君 そこで今度は従来の市町村ばかりに取扱わせないで、新たに森林組合乃至は森林組合県連合会にも取扱わせるようなことになつておるのですが、この運用についてはどういう意味にお考えなんでしようか。森林組合のほうも他の農協その他のように、大体その再建整備に今非常に苦しんでおる際なんです。恐らくは政府のほうとしては、市町村のほうもさることではあるけれども、森林所有者の機関団体と言われておるこの新しい協同組合精神による森林組合を育成するという考え方から、わざわざこの取扱の途を開いたのだと私は思うのです。で政府のほうではそういうふうに考えて、町村等との了解を得て、そういうふうに森林組合にやらせるという考えだと思うのですけれども、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/46
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047・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) お話の点は私ども十分考慮しておる点でありますが、なお民有林のことにつきましては、現在の機構では県、或いは森林組合が一番よく森林の状態を知つておるわけでありまして、それだけに事務能率も相当挙るかということを期待しておりまするし、又お話がございましたように、森林組合の強化の一助にも相成りますればという考え方を持つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/47
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048・三浦辰雄
○三浦辰雄君 そこで従来取扱つていた町村のほうから言えば、大した額ではないけれども、いわゆる町村財政そのものの多少の手助けにもなろうし、それよりはむしろ今まで自分たちがやつと育てて来たのだ、そうして而もこの参考資料にあるように或る程度成績を挙げて来たのだ、成るほど県の林務担当の課のほうの非常な熱心な勧誘等も手伝つておるようですが、従つてあなたのほうの意図しておる森林組合にやらせようということは、十分県、市町村を通じて御了解を頂くように事前にやつておかないというと、そこにつまらない摩擦ができて、存外狙つておるところの森林保險の拡充、ましてや新分野の獲得という問題について伸びないという心配が起きると思うのです。で、この点を特に私は事前に林野庁のほうにおいて善処をして頂きたいということをお願いしておくわけです。
それから皆様から質問が出る前にもう一つお聞きしたいのですが、この原因別を見ますと、先ほど御指摘がありましたように焚火、それから火入れ、更に煙草という問題、ところで森林法では開拓等のために火を入れる場合であつても、あの森林法の條項というものは活きているはずなんです。ところがあの自作農創設特別措置法というもの、或いは農地調整法というものがすべての法律に何といいますか、優先して行われておる部分が多いものであるから、従つてあの森林法に折角そう書いてあつても、これも開拓についてはこの條項の適用外だというふうに、誤つて隣接の所有者等にも連絡することなくやつてみる点が多いのです。そこでこういつた大きな問題が出て来ておるのです。私はこの森林火災保險を拡充して森林所有者に再造林の一助にするということも勿論結構だが、同時にその原因をできるだけ排除して、成るべく保險料率の安くなるような運営に是非持つて行つてもらいたい。それについては今言つたような、今後もどしどし期待される開拓火入れについて関係部局と相談して、この春の期を迎えて一つ特段の注意を促すべきものだろう、こう思うのでありますが、是非これは実施をして頂きたい、これについて御意見を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/48
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049・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 御質問の第一点の従来この事務を取扱つておりました町村と森林組合の摩擦を起さないようにしろという御注意でありますが、この点都道府県の職員の会合の際、或いは森林組合のかたがたのお集まりの際に従来も十分注意をしているところでありまして、両者相助け合つてこの国営保險の発達を図るように努力をいたしてもらうつもりであります。なおお話の点十分徹底いたしまするように努力をいたして参るつもりであります。
第二点の火入れのことでございますが、御指摘のように火入れについての取扱いがやや粗雑になりがちのようにも私どもも考えておりまするので、特にこの火災期を迎えまして、各方面に十分注意をして頂くように通牒を発して注意を促がしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/49
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050・三浦辰雄
○三浦辰雄君 どうぞ一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/50
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051・片柳眞吉
○片柳眞吉君 この改正案を論議する場合に、国営保險と民営保險との保險料率の点ですね、どういう差があるのですか。理論的には国営保險のほうが無審査であり、附加保險料も少ないわけでありますから、安いから入るということになるのかと思いますが、一般民間でやつておる保險料率と、今度やらんとする保險料率とどういうような関係にあるのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/51
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052・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 国営保險におきましては、被害の統計等によりまして四等地区に区分をいたしております。民営保險におきましては六等地区にこれを区分いたしておりますので、直接にぴたつとした比較はできないのでありますけれども、全体を通じまして一割五分くらい国営保険のほうが料率は安くなつておるように考えております。特に幼齢林におきましては、さほどの違いはございませんが、二十年生以上のものになりますると、民間のものが割高でございまするし、而もその山を伐採でもいたしまするときには、附加保險をかけさせるように民間の保險では取扱つておりまするが、国営ではそういう取扱はいたさんつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/52
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053・片柳眞吉
○片柳眞吉君 具体的の料率は壯齢林でどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/53
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054・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 一等地におきまして、国営保険では二十一年から三十年までが六円を見ております。民営保險におきましては、一等地が五円四十五銭、それから二等地が六円四十五銭という工合になつておりまして、幾分一等地におきましては、民営保險が安いような結果も一部出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/54
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055・片柳眞吉
○片柳眞吉君 それからこの危險率の算定は、農林省でずつとどのくらい長い危險率で算定されたものでありますか。或いは民間の会社でやつておる危險率をそのままとつたのでありますか。一割五分の開きの出ておりますのは、主としてどういうところから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/55
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056・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 国営保險におきましては、昭和二十年から六年間の統計を用いていたしておりまするし、民間保險では全然別の統計に基いて料率を計算いたしておりまするので、その間に差違ができたということです。基く資料が違う関係でそういうことになつております。そういう差が出て来たということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/56
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057・片柳眞吉
○片柳眞吉君 危險率は客観的な一つの事実だと思うのですが、これが民間と国営と余り違うというのは、どつちかが危いということになると思うのですが、むしろ無審査で附加保險料が要らない、そつちのほうがむしろ割安ということになるのではないかと思いますが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/57
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058・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) お話のように附加保險料その他の関係で、純保險料率と事務費の見方というようなことで差が出て来ておるのだと思いますが、民間保險といろいろ照会をいたしまして何回も協議しておるのですが、内容を発表いたしておりません。例えば面積なども統計がないと称して知らしてもらうことができなかつた。ただ金額、件数くらいしか向うでは発表いたしておらないのであります。こちらでもそうそう突つ込んで質問いたしておらないのであります。さような状態で向うの内容がわかりかねる次第なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/58
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059・片柳眞吉
○片柳眞吉君 危險率の算定期間が僅か六カ年で、短期間で信憑力に欠けるところがあると思いますが、それは別にいたしまして、それから今度の改正の第二に書いてありますが、無事戻しの制度を廃した、これはやはりかような制度があるので、成る程度加入もするのだと思いまするが、これを特に廃止いたしました理由はどんなわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/59
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060・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 無事戻し制度というのは、法律にも書いてございますように、五カ年間加入をいたしまして、その間事故がなかつた、なお引続いて加入するという場合に、保險料の一割を割戻しをするわけなのでありますが、従来も以前にはそういう取扱をいたしておつたのであります。最近はそれを取扱いまする事務費というものが非常に高くなつて参つておりますので、無事戻しを実行いたしますためには、更に料率の引上げをしなければならない、むしろそれよりも料率を引下げまして、できるだけ低率の保險にしたほうがよろしいという考え方でこの無事戻し制度をやめた、これがこの合計が特別会計でありますので、片一方で支出することになりますると、やはり収入の途を図つて行かなければならん、料率が上る、それで取りやめたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/60
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061・片柳眞吉
○片柳眞吉君 保險料率は多少民間よりも安いということでありますが、別途に又林業の採算性から見て参ると、なかなか保險には入りたくても入れないという状況があると思いますが、この森林火災保險の特別会計では、これは一般会計からは全然その繰入れは期待しておらないわけであります。それから今度の改正案は、これは政府提案ではないので、議員提出になつておりますが、これが通りますと、二十七年度の特別会計との関係はどうなりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/61
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062・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) この会計が成立いたしましたときは、昭和十二年でありますが、そのときの條件といたしましては、二十年間は一般会計から事務費の一部を繰入れるということになつておつたのでありますが、幸いにしてこの保險が黒字経営を少し続けて行く見通しがついて参りましたので、一般会計からの繰入れを二十三年度からやめております。
なお第二点の御質問の意味がよく私理解できないのでありますが、どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/62
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063・片柳眞吉
○片柳眞吉君 第二点は、この改正案は政府提案ではないのです。議員提出でありまするが、これが通過をしますると、これが昭和二十七年の四月から施行になりますから、この火災保險の特別会計の予算は現在出ておるあれで運営できるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/63
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064・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) この法律改正案に基きまして予算は編成をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/64
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065・片柳眞吉
○片柳眞吉君 その辺はちよつと変な感じがいたしますが、まあそればそれといたしまして、それからこれは農業保險との関係で比較をして見ますると、林業が非常に採算が低いということは、政府も認められておることでありますが、国営保險でありまするから、人件費とか事務費は或る程度当然国の負担になりますけれども、併し一般会計からは何ら繰入れがされておらんということになると、結局この純保險料は減るのですが、附加保險料が全部加入した林業者が負担する、これが果してこれでうまく行くかどうか、普及できるかどうか、農業保險でも、あれだげの事務費は勿論、保險料でも相当部分国が負担しておるのであります。これは全く独立採算で全部これは加入者が負担するということは、どうも林業の利廻りが三分となつておるけれども、観念的にはいいけれども、果してこれが実際上、経済上ペイするかどうか、或いは積極的に加入するかどうかはこれは疑問だと思うのでありますが、どういうふうにお考えでしようか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/65
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066・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) お話のように当然一般会計から相当の部分を繰入れてよい性質のもののようでありますけれども、今度の改正案におきましては、従来の保險料率よりも随分引下げているのでありまして、林業経営という面から見ますると、だんだん森林所有者とては支出が少くなつているわけでありますから、一たび大きな災害でも受けますと、七千五百万くらいの積立金というものは一時になくなつてしまうのでありますけれども、幸いにして加入者の災害が割合に少なかつたために、かような経営が続けておられるのでありますが、今後更に検討いたしまして、料率の引下げと、一般会計からの繰入れの点につきまして、検討いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/66
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067・三浦辰雄
○三浦辰雄君 今私も片柳委員のお話があつた点を後ほどあれしようと思つたのですが、まさに今指摘された点は相当に考えなきやならんと思う。もう一つ私は、進んで火災保険というものを活用する意味で……今までの森林というものを金に換える場合には誠にどうも換えにくい。従つてですね、従来から山持ちさんの、かなりの部分は僅かの金を貸しておいて、そうして結局集めたというようなことは、もう珍らしくない多くの事実なんです。それほどの山で、今日でもその点は必ずしも改善されていない。これはこういうような保險というものができたのですから、この保險に入り、そうして同時に例の立木登記法をもつと簡素なものにして、そうして困つた場合には、これが或る程度金に換えやすい、勿論森林法ができて、例の施業調整資金という一つの途はありますけれども、同時にやはりただ信仰的に山林というものは植えなくちやいけないんだ、山林というものは伐つちやいけないんだとばかり言つていても極めて物足らない。そこで金に換えることが簡單にできる途をこの機会に開くべきだと私は思うのですが、これについてはどういうふうに考えられますか。何か腹案でもあればなお結構です。お漏らしを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/67
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068・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 森林の換金という点につきましては、格別これでは解決ができておりませんし、又そう森林所有り者が困つて、すぐ売れるというような途を講ずることはなかなか困難だと思いますが、少くともこの森林火災保險によりまして、森林の担保力は相当増加をいたすことになつて来る。お話の趣旨にもございましたように、伐採調整資金が二十七年度は二十二億円予定されているのでありますが、更にこの金額も殖やしまして、できるだけ森林所有者に山を売らなくとも金が得られる方法を講じて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/68
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069・三浦辰雄
○三浦辰雄君 それは担保力も増したことくらいは当然わかるわけでありますけれども、併し更にこの折角保險というものができて一つの担保力といいますか、安全感が客観化したわけです。そこで更に立木登記法の簡素なあれをやつて、そうすると伐らなくとも、而も相当額の金を得やすいというようなことに山林がなると、更に私は植林といつたような方面も進んで来るのだ、こういうふうに思うのです。ですから、私はこの立木登記等の関連を更に改善して、そういうふうに持つて行くことがやはり山林というものを非常に何と言いますか、作つても又さて困つたときにはそう叩き値でなくたつて売れるのだ、こういうふうなことにならせる途だと思うのです。そこの点を一つ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/69
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070・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 立木の登記法が非常に一本々々やるというような工合で、困難な状態になつております。先般森林法を改正いたしまするときにも、この改正を要望する面が非常に多かつたのでありますが、只今検討いたしております。できるだけ立木登記法も簡單に林分全体で取扱いができるというような方法を一つ研究して見たいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/70
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071・山崎恒
○山崎恒君 この今まで二十一條による無事戻しをした額はどのくらいになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/71
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072・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 最近は少しも実行いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/72
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073・松永義雄
○松永義雄君 保險契約者と、被保險者と同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/73
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074・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 必ずしも同じでなくてもいいわけであります。被保險者は森林所有者である人はありますけれども、契約者は必ずしも森林所有者でなくてもいいことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/74
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075・松永義雄
○松永義雄君 金を貸す人が契約をすることができるということに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/75
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076・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) そういう途も一向差支えないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/76
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077・山崎恒
○山崎恒君 無事戻し制を廃止するという理由は、先ほどの質疑で或る程度了解したのですが、これはやはり森林組合等の助成という問題を、或る程度育成という問題を考慮に入れているかどうか、その辺のお考えはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/77
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078・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 直接に無事戻し制度の廃止と、森林組合の育成、強化という点には直接の結び付きばございません。先ほども申上げましたように、無事戻し制度を実行することによりまして、相当料率を上げなきやならん、それよりも無事戻しをしなくとも、料率の安いほうがよろしいというような意向が非常に多いのでありまして、先ほども申上げましたように、最近無事戻し制度を実行いたしておりません。この際やめるべきじやないかということで、かような案になつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/78
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079・宮本邦彦
○宮本邦彦君 数字を聞いておきたいと思います。現在被保險面積全体、筆数はどのくらいでありますか。筆数と言いますか、口数は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/79
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080・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 面積にいたしまして、五十九万九百五十四町歩でございます。これは二十七年一月末現在であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/80
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081・宮本邦彦
○宮本邦彦君 口数はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/81
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082・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 七万六千八百七十六筆です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/82
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083・宮本邦彦
○宮本邦彦君 そうすると、一口平均どのくらいになつておりますかな。八町歩くらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/83
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084・横川信夫
○政府委員(横川信夫君) 八町歩弱であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/84
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085・山崎恒
○山崎恒君 本日はこの程度で一つ……。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/85
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086・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは残余の質疑は明日にお願いいたします。なお衆議院の議事進行を見た関係にもよりますが、できれば明日農林水産業施設災害復旧事業費の国庫補助関係の法律を採決することになるかも知れませんのでお含み置き願います。できればなお只今の森林火災国営保険法の一部改正案も同時に採決をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/86
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087・山崎恒
○山崎恒君 先般北海道の震災によるところの、院議を持つて派遣されました報告は、農林関係につきましては私参つたのですが、一応一括して本会議に報告するということで明日報告することになつておりますが、それと同時に農林関係のものについては別途に資料をまとめて北海道庁のほうからこちらへ送達する、委員長と專門員室のほうへよこすということを要求しておきましたから、その点お含み願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/87
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088・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 本日はこれで散会いたします。
午後三時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X01719520326/88
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