1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月二十二日(火曜日)
午後一時四十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
西山 龜七君
加賀 操君
山崎 恒君
岡村文四郎君
委員
池田宇右衞門君
瀧井治三郎君
宮本 邦彦君
島村 軍次君
三浦 辰雄君
小林 孝平君
三橋八次郎君
衆議院議員
坂本 實君
坂田 英一君
藥師神岩太郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
政府委員
大蔵省主計局長 河野 一之君
農林省農政局長 小倉 武一君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
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本日の会議に付した事件
○急傾斜地帶農業振興臨時措置法案
(衆議院提出)
○主要農作物種子法案(衆議院提出)
○米穀の政府買入価格の特例に関する
法律案(衆議院送付)
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。
最初に急傾斜地帶農業振興臨時措置法案を議題にいたします。本法律案につきましては質疑は大体終了いたしたようでありますが、先般来の委員各位の御発言の要旨は、この法律案の裏付となる予算措置について政府がどのように考えておるかということで本日大蔵大臣の出席を煩わしたわけでありますが、農林大臣からは先般私あてに大蔵大臣と折衝の上十分善処したいとのお話があつたわけであります。本日はこの件に関して大蔵大臣から御意見を承わるわけであります。最初に岡村さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/1
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002・岡村文四郎
○岡村文四郎君 大蔵大臣にしつかりした御所信を伺いたいというわけでありますが、只今本院に提案になつております急傾斜地帶農業振興臨時措置法案は議員提出でございますが、これは非常に重要な案でございまして、真の急傾斜地に農業を営んでおりまする百姓は日本のあらゆる階層、あらゆる職種の中でこれほどみじめな生活をし、みじめな仕事をしておるものはないのであります。そこで幸いに衆議院のほうから御提案になつたのでございますが、本院では如何なる法律も予算措置の講じておりません法律は非常に審議に困つて、全然通過をしないとは申上がませんが、それにはしつかりした裏付けのお答でもないと通過することが殆んどないのでございますが、衆議院は通過いたして来ておりまするが、これは積雪寒冷地帶農業振興方策のあの法律と大体見合うようなことになると思うのでございますが、法律の性質は全然異なつておるのであります。と申しますことは、積雪寒冷地帶の措置方策はよしんば政府の予算の関係で少額でありましても、又他に方法もございますしやつてやれんわけではないのでございますが、急傾斜地の仕事は……、私はそういう法律が出るということを聞きましたので、一体どういう法律を出してもらうのかと心の中に喜びもし悲観もして待つておつたようなわけでございますが、相当の予算でこの憐れな百姓を救つてくれるという一政府のほうで強い深いお気持がないと、單なる法律に過ぎなくなつて来ると思うのであります。そこで問題は予算が少額でございますと急傾斜地と申しましてもいろいろございまして、予算がたやすい予算で措置が講じられる所もございますし、なかなかそうでなくして相当な予算を講じなければできない方面もありますので、今まで急傾斜地として割合楽にやつておつた方面のみが恩典を受けて、真の急傾斜地であり、誠に憐れな東京の乞食にも劣るような百姓をいたしておりますような所の恩典がなくなると私は心配いたしております。そこで急傾斜地のことにつきましては、私以上に知つておる人は本院にも衆議院にもないと私は確信を持つておりますがために、強くそれを要請するものであります。そこで十歳大臣のほうで実はほかのことでもお伺いした時分に、議員提案の法律で予算を伴う法律を何も相談をしないで通過をさせといて、あとから予算々々と言われますので本当に困るということも聞いておりますので、予算措置は講じておりませんが、今後どういうおつもりでどれだけの力を入れてこれに対する予算をお組みになる御意思があるかどうか、一応お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/2
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003・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 急傾斜地帶農業振興臨時措置法案、誠に結構でございまして、私も実は個人のことを申上げて甚だ恐縮でございまするが、急傾斜地の農家に生れた者でございまして実情はよくわかつております。お話の寒冷地帶に対しまする措置もさることながら、これもそれと同様に考えなきやならん問題であると思つておるのであります。而してこの法案の第六條にもありますように、「政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、第一項の農業振興計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。」となつておりますので、国の財政の許す範囲内におきまして、でき得る限り予算措置を講じたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/3
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004・岡村文四郎
○岡村文四郎君 重ねて、それはあなたの要求は無理とこう思われるかも知れませんが、幸いに大臣は傾斜地の百姓にお生れになつたというので大変この法律に対しては有利だと考えますが、成るほど「予算の許す範囲内」と書いてありますしすべてそうでなくてはならんと思いますが、重く考えるのと軽く考えるのがありまして、是非ともこれは重く考えて予算措置を講じてもらいますように特にお願いをしたいと思いますが、そこまでお考えになれるかどうだか御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/4
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005・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 重いと申しまするか、軽いと申しまするか、やはり私といたしましては国家的見地からこれは考えて行かなければならん、その間に私心をはさむべきものではないと思いますが、ただお話のようにこのままでこの急傾斜地の段々畠をほつておきますると、これは非常に国家的損失でございます。急傾斜地でも例えばみかん畠のようなものは石垣を作つておりまするが、いも畠、麦畠のほうはそういうものはございません。そうして雨が降りますと、おおむねこういう所は土地が砂地が多うございます。いろいろな方策を講じなきやならんと思います。お話のように高い所に肥料を持つて運ぶことはなかなか困難でございます。これはもう瀬戸内海沿岸の人はあれが慣れつこになつております。この法案にもありますように、過重労働の軽減に関する事項なんかは農林省でどうお考えになりまするか、この十條の一号から四号までの條文の具体的案を見まして、そうして我々の経験から国家的見地に立つて一つ措置いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/5
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006・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他に御発言もなければ質疑は終了したものと認めて討論、採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/6
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007・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/7
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008・三橋八次郎
○三橋八次郎君 私はこの法律案に賛成をするものでございます。これは日本の農業向上の上から考えましても、この地帶には水田、畑両方あるのでございまするが、主として今後の日本の農業の改善振興ということにつきましては、畑作に重点をおかなければならんと思うのでございます。畑作の改善という意味におきましても極めて大きく取上げて頂いておるということにつきましては、私この法律案に賛成する理由の一つでございます。「且つ耕して山頂に及ぶ、以てその貧なるを知る」というような惡條件の下に窮乏に堪えまして、而も困苦を忍びながら農業経営をやつております農家が救済できるという点におきましても賛意を表するものでございます。又生産力増強というような意味から考えましても、天恵の豊かな気候條件のよろしい西日本の地帶にこういう所が非常に多い。こういう生産力増強という意味合から考えましても極めて適切な法律案と言わなければならぬと思うのであります。そこで二、三の附帶要望事項を申上げまして更に今後の御努力をお願いしたいと思うのでございます。これは特殊法としての目的を達成するために殊に予算は重点的に編成をして頂きたいと思うのでございます。いやしくもこの法律案ができたために一般農業改良方面の予算がけずられたり、又申訳的な予算が計上されましたりすることによつては、この法律の目的を達成することはできないと思うのでございまして、重点的に而も期限を限つた法律案でございますからその期間に本法律の目的を達成するように予算の編成をお願いしたいと思うのでございます。以て本地帶におけるいわゆる特殊性というものを抜本的に解消するような措置もして頂きたいと思うのでございます。
なおこれに附随いたしましてこの地区の設定についてでございますが、いろいろここには法律には外観的地形によります設定條件があるのでございますが、ただ傾斜度とか土壌侵蝕度とかいろいろな度合ということばかりでなくて、やはり農業機構の内容というものに立ち至りましても地区設定の場合に考慮に入れて頂きたいと思います。同じ外観的條件を備えております所でも、農業機構の状況によりましては比較的豊かにこの農業経営ができておる所があるのでございまして、この法律の目的から見ましても、やはり窮乏しておる、非常に農業経営に困難をしておる所を拾い上げるという意味におきましては、ただ法律に定めました傾斜の度合でありますとか、或いはイロージヨンのパーセンテージということだけでなくて、やはり農業経営の窮乏の状態なども考慮いたしまして地区設定をして頂きたいと思うのであります。いわゆる重点的に地区の設定をして頂きたい。
第二番目には、同じ傾斜地農業でありましても、地方的に或いは立地條件等によりましてその施策が非常に異るものと思うのでございます。従いまして技術的にも経営的にも十分検討をされまして、法の目的を達するように適地適作をやつて頂きたいと思うのでございます。第三番目の問題といたしましては、地区設定につきましては、地形、地勢、環境、條件を十分に考慮するばかりでなく、これは先ほど申上げましたが、農業経営の内容又は農民生活の困窮の状況のことも十分に考慮に入れまして、更にこれらを改善するために間接の手段をもとつて頂きたい。例えば税金の問題でありますとか、文化の問題でありますとか、或いは通学道路というような交通機関の面のことも考慮を拂つて施策をして頂きたいと思うのでございます。そういうように考えますると、今この法案につきましては農地局のかたが担当されておるようでございますが、第十條の四項目のことの目的を達するためにはこれは農地局だけでは到底この仕事は完全に達成することはできないと思うのでございます。農林省全体、否、政府全体が一丸となつてこの法律の目的を進ずるために努力を拂つて頂かなければその目的を達することはできないと思うのでございます。
第四番目の問題は、今後の農業経営に関しましては畑作の重要性は言うまでもないことと思うのでございます。然るに我が国は平坦地は水田でありますから、畑作というものにつきましては大体傾斜地或いは急傾斜地であります。故に今までのように平坦地畑作の研究ばかりではその目的を達することができないと思うのでございます。よつて傾斜地畑作を対象とするところの試験研究というもの、或いは農業経営方面における試験研究機関に、更にこの急傾斜地の問題を解決するためにそれらの機関の整備擴充というものを図つて頂きたいと思うのであります。この四つの要望事項を述べまして私は本案に賛成するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/8
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009・三浦辰雄
○三浦辰雄君 私もこの法案の通ることについては極めて賛成の意を表したいのであります。併しこの通過に当りまして一、二考えなければならん点を付け加えて、政府或いはこれを賛成して通す議員側、このほうにおいて十分に考えなければならん一、二を申上げたいのであります。それはこれが提案されまして、私どもは自的としては非常にいい、初めから賛成です。ところがいろいろとこの審議の過程のうちでこの通過した後にこれが実施するところの姿というものを明らかにしておきたい。殊に第二條のような根本の問題について明らかにしておきたいと思つて、随分この点についてはいろいろと提案者からお伺いもし、或いは政府当局から見たこの運用についてのおよその見当も聞きたいと思つたんだけれども、さつぱりこの点が明らかでない。又別途のすでに通つた特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法におきまするところの、いわゆるこの地帶の災害防除及び農地改良に関する事業計画との関連を明らかにしておくべきことを考えて随分審議したんだが、これ又提案者自身が明らかでない。そこで予算については先に河野主計局長も、今日は又写真にまで入つた大蔵大臣が金のほうの措置を或る程度するわけでありますから、これは是非お願いをするわけでありますけれども、これは私どもこれを通すからには、国会側としてはこの通つた結果が果して農地諸君の期待しておるようなものに実を結ぶかどうか、この点が何よりも監視すべきところの点であると思う。通したからいいわというのでなくして、通つた後における正しい適切な運用自身をも監視しなければならない責任があることをここに私ども思わなければならない。又行政を担当するほうの農林省乃至は財政る持つ大蔵省のいわゆる行政庁のほうにおかれましても、さつき申上げた特殊土じようとこの急傾斜地との両案に農業計画というものが同じく語つてある。そういうようなことからして、又これは議員さんが立法したんだといつたようなことからして熱意を入れないで、そうしてまあできる程度にいい加減にやつておけばいいわというようなことになつたんでは私どもとしては立つ瀬がない、この点については十分考えてもらいたい。例えば大蔵省のほうでまあこれは通つた初めであるからして、この分として或る程度予算を組まなければならんが、それほどじやないやなぞと思つて、従来あつた土地改良費のようなものから支出を割いて、そうして体裁よくこれに応えたようなふりをするようなことがあつたんじや私は農民諸君に申訳ない、この点を十分考えて頂きたいことを強く要望いたしまして本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/9
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010・西山龜七
○西山龜七君 私は自由党を代表しまして本案に賛成するものであります。
先に寒冷積雪地帶の法案が出まして、それが通過になつた後におきまして参議院の農林委員会といたしましては、この急傾斜地帶の問題を大きく取上げまして早速現地の調査にかかつた次第でございます。私もその一人に加わりまして、愛媛県その他の地帶を実地に調査をしたのでありますが、実に行つて見ますとどうしても何かの法案を作りまして、それらの農民に対して国家が大いに援助せなければならないということを強く感じたのであります。幸いにこの法案が出ましてここに大体の基礎が作り上げられましたことは、誠にこういうような事態に対しまして喜ばしい次第であります。先ほども各委員から申しましたように、どうしてもこの法案ができましたならば、これに対して政府は大いなる熱意を以て予算の措置をとりましてこの目的のために努力せられんことを希望いたしまして私の賛成の討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/10
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011・岡村文四郎
○岡村文四郎君 私は本案に対しては双手を挙げて賛成をするものでございます。
そこで問題は実施が非常に面倒でありまして、今まで再三再四申上げておりますが、十條の二号のごときはこれをどうしてやるか、これが段々畑の百姓の一番の悩みでございますが、その問題が解決をするなれば非常にいいことになると思いまするが、問題は実施期間が五年になつております。そこで五年になつておりましても延長もできますし、やつてやれんことはないのでございますが、やはり五年は五年として仕事をしなければならんと思うのでありますが、議員提案で通過いたしましても、仕事を計画し実施をするのは農林省でございます。そこで十分に不公平のないように、本当の段々灯の山間の僻地には実は人がおりません、その方面から出ておる政治家はおりましようが、殆んどそこまで目が届く政治家がおりませんために非常な不幸を見ておりますから、この点はこの法律に限つては十分に役所のほうで気をつけなければならんと思いますということと、四号のこの農畜産物の加工とか販売というようなものは五年の計画でこれを計画してやることは私は到底無理だと思います。そこでどうすればいいかなという案は結構でありましようが、五年の計画でこれを立てるということは全く今までほうぼうでやつておりましてしくじりをいたしておりまするから、これを若し実施に移す時分には最大の注意をし、長大の案を立つて実施をしてもらわんと後日非常に困ることになると思いますが、五年でございますから、又これを十年延すこともそうできないことではございません。併しながら法律に一旦五年と書いた以上はやつぱり五年でその仕事はするつもりでやらなければならんと思いますから、その点に万全の注意と用意をいたして実施してもらいますことを希望いたしまして賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/11
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012・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他に御発言がなければ討論は終局したものと認めて採決をいたしたいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/12
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013・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは急傾斜地帶農業振興臨時措置法案の採決を行います。本案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/13
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014・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 全会一致でございます。従つて本案は原案通り可決するものと決定をいたしました。
なお本会議における委員長報告の内容等は従来の慣例によることを御了承を願います。なお多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
山崎 恒 岡村文四郎
島村 軍次 三橋八次郎
加賀 操 三浦 辰雄
瀧井治三郎 宮本 邦彦
西山 龜七 池田宇右衞門
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/14
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015・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 次に主要農作物種子法案を議題に供します。前回に引続いて質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/15
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016・岡村文四郎
○岡村文四郎君 本案はこれも議員提出でございまして非常に御熱心にやつておりまして重要な法案でございますが、この間から各委員から質疑もあり、特に加賀委員がこれはびつこだと、両足をそろえてほしいという質問も希望もあつたのでございますが、御承知のように種子を選択し、優良種子を生産することはこれは論を待たないことでございまして、日本は元来種子に非常に政府が冷淡でございまして、農業進展には一大支障を来たしております。そこで優良種子の生産は結構でございますが、それから生産をされたものをそれ相当に価値を付けないと、こればかりやつたんでは如何に種子がよくてもただ数量が多くなるということだけのものであればそれは百姓は喜ぶでありましようが、そうばかりも参りません。本当の健良種子というものは割合に数量は多くならんものであります。そこで我が国の農業で現在非常に急を告げるものは小麦だと思います。小麦でも国内生産でカナダの小麦に絶対に劣らない小麦を生産することも決して不可能ではございません。併しながら今までのような買い方ではそういう小麦を生産しても別に得も損もないものですから作る方面では熱心になつておらんのでありますが、一例を申上げますとパンにいたしましても、あのパンの上から下までずつと割り得るようなパンを作るような小麦さえ作れば日本の食物は大体それで片が付くぐらいの価値を持つております。そういうようなものの生産をするものに恩典を與える方策を講ずるのでないと種ばかり言つておつたのでは非常にうまくないと思いますので、この点はどうお考えになつておるか、提案者に一度お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/16
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017・坂田英一
○衆議院議員(坂田英一君) 只今の御質問でありますが御尤もの御質問だと思います。我々も今この主要農作物種子法案の御審議を願つておるのでありますが、もつと根本的に、非常に優良なものを進んで熱意を持つて作るという体制の、その制度と申しますかそういう体制の方向に予算措置でありますか、すべてを包含してのそういう方向に是非ともこれは持つて行かなければならんかということについては只今お説の通りだと存じます。ただこの主要農作物種子法案だけを今そこまで持つて行くことには不十分であるということもよく存じておるのでありますが、さればといつてこれを非常にそこまで徹底したものに仕立て上げまする必要がありまするけれども、とにかくこの問題について制度も何もありません。この機会において制度を立てて、そうしてそういう方向に是非とも持つて行きたいというふうに我々としても考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/17
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018・岡村文四郎
○岡村文四郎君 もう一つお伺いいたしますが、これはこの法律にはございませんが、坂田議員が生命を賭して育て上げた日本にはいもというものがございます。そこで御承知のように大事な馬鈴薯が非常に病気にかかり易くて、成るほど政府もその措置を講じてやつてはおりますが、その防除をしてさえも病気が出ております。そこで今後穀物さえよければいもはどうでもいいという考え方ではならないと思いますが、どういうふうに一体お考えになつておるか。昨年辺りの種馬鈴薯の買い方は非常に遺憾な点がございました。これは国家の管理がないからさようなことになつておると思うのでございますが、そこで優良種子を出しましてもそれらのために非常に迷惑をこうむつております。今本州では馬鈴薯の栽培時期に向つておりますが、早やそういう病気が出ておるということを発見なし理由を申立てておるのでございますが、これは非常に重要な問題だと思いますが、育て親の坂田さんはこれを一体どうお考えになつておるか、一応お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/18
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019・坂田英一
○衆議院議員(坂田英一君) 大変いろいろお叱りを受けたような気がいたしておるわけでありますが、この馬鈴薯の種子の問題について、病気の問題が非常に重要でありバイラスその他非常に重要な問題でありますので、これらの問題は徹底的に政府に向つて要望して、我々は引続き完全な種いもの供給という問題に努力いたしたいと存じておるのでありますが、この法案の中に馬鈴薯の種子の員題は一応取入れなかつたわけでありますが、これは決して馬鈴薯の特にこの無病の種子を供給するという問題を我々としては等閑に附しておる考えでは毛頭ありませんのでして、ただこれらの施策がなかなか困難な面が含まれております。従つて現実の問題としては原種剛を国でやり採種圃を作る、而してこの無病のものを供給するということ、合せてそれが完成する過渡的な場合において又永久にもそうであろうと思いますが、寒冷地帶の北海道はこれは非常に期待するところがやはり引続きあろうかと思いますが、そういうことと原種ほ採種ほの制虜といつたようなものを通じてもう少し徹底的にこの検討も加えながら進んで行つて、法制化し得るところまで現実を進めて行きたい。私どもとしてはさように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/19
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020・岡村文四郎
○岡村文四郎君 実は私はこの法案になぜ一体入れて頂けなかつたかという実は不服を持つておるわけであります。ところが入つておりませんから何もこれに追加しなくてもいいのでありますが、今お話を聞くと、これは当然熱心にやらなければならん責任ある坂田議員でありますから、御答弁御尤もでありますが、どうも政府が相当な金をかけて苗ほをこしらえ採取をいたしております。その後の結果が惡いのでなかなか容易ならん事態が来やしないかという心配を多分にいたしておりまするから、決して日長く置かないでこの措置も十分できますように御努力を願いますことをお願い申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/20
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021・加賀操
○加賀操君 岡村さんも今ちよつと触れられましたが、第四條のですが、ほ場審査の基準及び方法が明らかでないのでわかりませんが、第二條の2にはつきりほ場審査の大体の條件が書いてありまするが、その中に病害虫というのが入つていないのですが、これはおやりになることはわかるのですが趣旨としては非常な重要な要素でないかと思うのです。今までの経験に徴しましてその点を一つお伺いしたいと思います。
それから第三條の、これは農林大臣が都道府県別に、又作物の種類別に定めると、こう書いてありまするが、この種類別というのは、この前にありまする稲とか麦とか裸麦とか小麦とかいうのと、又その下の品種或いは系統まで農林大臣が定めると、こういう意味ですか。若しそうなりますると、大体役所が品種或いは系統まできめることになりまするが、そのときになりますと、従来いろいろ話合がありました民間にありまする、いい品種があつたとした場合にこれをどういう方法で受入れて行くか。又知事がこういう申請をした場合に、これはどういうふうに処理するかと、こういう点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/21
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022・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 初めにお尋ねのほ場審査でございますが、法文に現われているところからいたしますと、御質疑のような点が実は欠点に思いますけれども、この法文の意味は作物成育の各段階を整理いたしましたので、その各段階におきまして勿論恐らく最も重要なものであるこの病虫の関係は、当然審査するというふうに考えているのであります。法文の書き方が作物の成長の段階、成育の段階について書いてございますので、さようなことに相成つておるのであります。
第二段の御質問の主要農作物の種類別と申しますのは、法文上ではこれは稲、大麦、裸麦、小麦ということでございます。その下の品種系統ということもこれは勿論重要でございますが、ここでいう都道府県があらかじめ農林大臣の承認を受けるという範囲には品種は入れていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/22
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023・加賀操
○加賀操君 そうしますと、実際問題としまして農林大臣は品種以下のものにつきましては知事の自由採量でよろしい、反別を限定する、こういうだけであるとこう解釈されるのですが、そうしますと政府としてはよろしいかと思いますが、この法案を出す建前から言つて優良な種子を作るとこういう本質から考えますると、品種なり系統なりというものは具体的にどうしても現われて来るのではないかと思いますが、その点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/23
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024・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 実際問題としては御指摘の通りだと思います。農林大臣が直接品種まで入れまして承認をするということは如何かと存じますが、都道府県が計画を立てます場合には市長村乃至農業者の団体とよく協議をいたしまして、或る程度品種別のほ場面積を確定するという必要があろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/24
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025・三橋八次郎
○三橋八次郎君 前町の委員会において滝井委員及び片柳委員から指摘されました問題につきまして、政府委員の答弁は明確を欠きまして我々を納得せしむることができないのであります。かような次第では本法案の修正もやむを得ないという話合いがよりよりなされておるのでありますが、この際これらの問題につきまして改めて提案者及び政府当局の所見を確めておきたいと思うのであります。即ち第一は附則の第二項におきまして農産種苗法を改正して稲、大麦、裸麦及び小麦に対する適用を除外した趣旨は、米麦と主要農産物の種子につきましては、これが改良及び普及に関する一切の事項を今後本法案の中に盛り込んで万的に処理する意図の下に行われたものと了解してよいのか。果して然りとしたならば、本法案によりましてすでに米麦が農産種苗法から除外せられます以上急速に本法を改正いたしまして、右の意図を実現する決意を持つているものと了解してよろしいか。
それから第二は本法によつては指定ほ場において生産されました種子の現品の品質の保全及び普及等の規定を欠いております。この点につきましては政府も都道府県も何ら施すべきすべがないわけでありまして、当局も不備を認めているのでありますが、経費予算等の関係から現在の段階におきましてはこの程度でやむを得ないもののようでありますが、できるだけ速かにその機会を得ましてこれらの不備の点を改正いたしましてこれが完成を図る決意があるものと了解してよろしいのでございますかどうかお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/25
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026・坂田英一
○衆議院議員(坂田英一君) 只今の御質問の中の第一点でありますが、つまりこの種苗法から米、麦を除外しておるということは、つまりそれを除外した一つの米、麦についてすべて一貫した充実した政策を将来とつて行くということ等に関連して分離されたものかどうかというそういう御質問だつたと思いますが、御存じの通り大体さように考えておるのでありまして、主要農産物の種子におきましては、そ菜その他の種子とは非常に現在の状態においては違つた形態をとつておるように思われます。併しこれは将来の発展の如何によつては必ずしもそうでないかも知れませんが現段階においてさように思われます。即ち米麦について特別に種苗を生産せんとするところの業界の活発な動きが米麦についてはないというところに非常な違いがあると思う。将来は併しながら、これらの問題についてもやはり單に試験場のみならず民間において大いにこれらのものも生産され、融通されるという方向に持つて行くことについては何も異存はないのでありますが、現状の下においてはさような違いがあると思いまするので、この際主要食糧については、種苗法より除外して参る。その場合においてこれらの普及その他の点について然らば十分でない点が多いんじやないかという御質問であり、将来はそれをどうするかという御質問であるのでありますが、我々の考えといたしましては、勿論今さような点で普及の点等については極めて不十分であるということを私どももこれは認めます。ただこれらの問題を充実せしめて、この法制を充実せしめて参りますためには、なお現状と併せて検討すべき点が多々ありまするので、これらの点をこの程度にとどめまして、将来これらのものの補充ということを現実に併せ検討を加えながら補充する方向に持つて行きたい。かように考えておるわけであります。
それから第二のこの指定ほ場に対する補助に対する補助の問題でありますが、これは我々提案者といたしましては、でき得る限り補助を増額してもらうことによつて、つまり病気のものを抜き取るとか、或いはその栽培の方法について周到な注意を拂い、又数量も先ほども岡村委員からもお話がありましたが、数量もいい種は必ず少いという点もありますので、これらの点を見計らいまして、我々提案者といたしましてはでき得る限りこの補助を増額することに努力して参りたい。又政府においてそれらのことについて十分努力を要望したい。かように存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/26
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027・三橋八次郎
○三橋八次郎君 いずれ細かい点は政令で定まることと思うのでありますが、この法律の最初のほ場を経営して行く上において原種ほとの連絡の関係が明瞭を欠いておるようでございますが、最初ほ場を経営いたします場合に、県の奬励品種でなければならんという建前、又その種子が原種ほで生産したものを出発点として栽培したものでなければならんという点は、種子更新という上から考えましても極めて必要だと思うのでございます。そういうような点はどういうようにお考えになつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/27
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028・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 県の奬励品種に重点をおくことは当然だと思つております。ただそれに文字通り限定して行くかどうかについてはなおいろいろ問題があるのでないかと思います。もう一つの、県の原種ほからできたものを最初の原種として使うということも、これは全く御同感でございまして、そういう二点につきましては、これはほ場を指定するような場合に、最初の経営者と都道府県の当局とが話合いでもつてさように指導乃至條件をつけるということで、御趣旨のようなことをできるだけ実現して行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/28
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029・三橋八次郎
○三橋八次郎君 先ほどの二つの問題につきまして、提案者から細かな御意見を伺つたのでございますが、政府当局者といたしましてはどういうようなお考えを持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/29
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030・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 第一点の農産種苗法との関係でございますが、これは論理上この法律と農産種苗法とが相矛盾するということではございません。併しながら同じ種につきまして農産種苗法と今回の主要農作物種子法と両方あることも如何かと存じます。従いまして今後この法律が成立いたしましてからは、主要農作物につきましてはこの法案を擴充強化して行くという方向で参るということにつきましては、坂田議員から御説明のあつた通りに私どもも考えております。
第二点のほ場審査の充実乃至現品検査との関連ということにつきましての御趣旨は御尤もでございまして、今後さような方面の施策の充実乃至農産物の検査法との関連も考えまして、御趣旨のようなことを至急に実現して行くように準備いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/30
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031・三橋八次郎
○三橋八次郎君 もう一つお尋ねいたします。先ほど岡村委員から馬鈴薯の問題が出ましたが、私どもの地帶といたしましては、殊に甘藷の問題が非常に大きいのでございます。坂田議員もよく御存じのように、甘藷の原ほを設けましてから増産品種の普及徹底により、非常に早く甘藷の増産の実績の上りましたことは御承知の通りなんでございます。又殊に急傾斜地帶におきましては、甘藷は唯一なこれは主要作物なのでございます。これにつきまして除外されておるのでございますが、例えば米の種子というものはそう年々更新する必要は技術的にないとお考えのようでございましようけれども、甘藷の栽培の実情からみましてむしろその変化というものは非常に大きくて、従つて種変りによる減牧ということが非常に多いのでございます。大体政府は統制のある間はいろいろその作物に対して施策をせられますが、一旦統制が外れますと弊履を投げ捨てるようにそれらの施策を講じてくれない、甘藷などもその実例でありまして、統制撤廃後にはいろいろな関係宿上りしましたが、今年の実情をみますると澱粉業者においてもあの通りの不振でございます。これは統制というような声に駆られまして統制作物には非常に重点を置いて施策を講ぜられますが、一旦統制が外れますと何ら施策をやられない、こういうことによりまして、ああいう大きな欠陥が出て来ると思うのでございます。従いまして農家といたしましては、米の値段と麦の値段というようなものに血眼になるのも当然の話でございます。併し農業経営というようなものは、米麦ばかりの收入で立つておるのじやなくて総合收入というものによつて農業経営というものが行われて行くのでありまして、統制前のいろいろの農業の合理化その他のものに対しましても十分手厚い施策を施してくれるならば、米麦の値段などはそれほど高くなくつても農家のいろいろの條件がよくなつて行くと思うのでございます。このいもを外したのも今までのいわゆる内閣のこれまでの方針で、結局統制を撤廃すればもう用事がないんだというようなところから来ておるんじやなかろうかと思うのでありますが、そういう工合では恐らく農家というものは成立つて行かないと思うのでございます。より増産をしより食糧の自給度を高めんとしたならば、これらのもの存にいろいろな施策を施すばかりでなくて、統制外の農作物の増産ということに対しましてもその施策を行なつて頂きまして、農家の総合收入を増加するというようなことに持つて行かなかつたならば、食糧自給度の向上ということも不可能だと思うのであります。こういう点におきまして甘藷を何故にこの法律から除外しておるのか、又近い将来に加える意思はあるかどうかということをお伺いしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/31
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032・坂田英一
○衆議院議員(坂田英一君) 今三橋委員からお話の通り私も全く同感なんでありまして、この甘藷が統制が外れたからといつてその他の点について等閑に付するということが絶対にあつてならんということを考えております点においては三橋委員と同感でありまして、ちつとも違つておりません。ただここに主要農作物種子法の中に我々提案者として加えることのできなかつたことは、先ほども馬鈴薯について申上げましたように、原種採種ほの問題、それから種の問題、特に種の問題と全体をからんでここに米麦同様にこの主要農作物種子法の中に取入れるということについては、なおそれらの現状と合せて検討の余地があるというようなことを考えましたわけでありまして、甘藷、馬鈴薯について等閑に付したというようなことでは提案者としては決してないのでありまして、米麦以上にと申しましても過言ではないと思いますが、この農家経済並びに経営の面についても、食糧解決の問題についても、絶対必要なことについては同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/32
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033・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他に御発言もなければ質疑は終了したものとして採決に入りたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/33
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034・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/34
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035・瀧井治三郎
○瀧井治三郎君 私は自由党を代表いたしまして只今議題となつております主要農作物種子法案に関しまして、次の事項が近い機会に必ず実現することを強く要望し、且つこれを期待して賛成いたします。
その第一は、国において主要農作物の品種改良事業の刷新擴充を図ること、第二に本法による主要農作物の種子の検査を單にほ場における立毛審査にとどめず種子の現品検査をも行い得るよう措置すること、なお本法と農産物検査法との両者の運用の調整について遺憾なからしめること、第三、主要農作物の優良種子の普及に関する対策を確立すること、第四、本法の適用をひとり米麦のみにとどめず、更にいも類、大豆及び菜種等の主要農作物にも及ぼすこと、第五、品種の改良及び優良種子の普及に関しては広く各種民間機関の治用に努めること、以上を強く要望いたしまして本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/35
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036・岡村文四郎
○岡村文四郎君 不備な点は相当にあるようでありますが、一応これに賛成をいたしたいと思います。
どうも世の中が変つたばかりでなしに考え方が非常に変つております。提案者ばかりではございません、政府もそういう考えをいたしております。主要農作物という考え、それが米と麦だ、こういうことで実に重要であつたものが、文書の中で退けられるようになつて来ておりますことは現状であります。これはそういうことでは日本の農業が成立ちませんし国民の食糧も成立たんと思いますから、いろいろお話を承わりましたから、今後はもう少し広範囲な主要農作物の種子に対して提案者も政府も全面的に考慮されますことを希望いたしまして、本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/36
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037・加賀操
○加賀操君 私も本案に賛成いたします。二三希望を申上げておきます。
第一は農作物及び農作物の種苗に対しましては、日本の法律におきましては特許法に含まれておりません。従つてこれらの仕事に携わる人の努力に対する国家の保護というものは法律的にはないわけでありますので、政府におかれて何らかこういう縁の下の力持ち的な仕事をする人に対して手厚い報奨の方法を講じて頂けば、研究者も或いは普及者も力強く働くことができるだろうとこう考えるわけであります。なお種苗の最終の目的はいい生産物を市場に出すということでありますので、政府がやりまするこの事業に対して、できました生産物が最も速かに且つ大量に市場に出廻つて政府の方針が如実に市場に銘柄を早く打ち立てることができるように特に努力をいたして頂きたい、この二点を希望を申上げまして賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/37
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038・三橋八次郎
○三橋八次郎君 私もこの法律案の目的というようなことにつきましての案といたしましては賛成するものでございます。
ただ二、三の要望を申上げますると、いい種を取つても普及という方面には片手落である、その方面の早急なる整備擴充を図つて頂きたい。予算も恐らく十分ではありませんが、重要な種子の問題でございまするから、これはどこまでも予算をもつととつて頂きましてそうしてこの方面の施設を擴充して頂きたいと思うのでございます。又折角原種としてよい種を確保いたしましても、農家がそれを一向に作つてくれん、配布率が非常に低かつたり又耕作をしてくれないというようなことになりますると、その次の目的となつておりますいわゆる食糧の自給度を向上するというような意味には副わんかと思うのでございます。こういうような今後改善擴充して行くべき問題がたくさん残つておるようでございまして、全くこれはよい種を確保をするというところまでの骨の法案だと思うのでございますが、速かにこれに肉を付し皮を着せまして、本当に食糧の自給度が向上するというような結果を示すことの一日も早いことを期待いたしまして、又そういうようなことが一日も早く実現のできるように政府のほうでも格段の努力をして頂きたいことを要望いたしまして本案に賛成する者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/38
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039・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて本案の採決を行いたいと思います。主要農作物種子法案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/39
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040・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 全会一致でございます。従つて本案は原案通り可決することに決定をいたしましたなお本会議における委員長の報告等につきましては従来の慣例によることを御了承願います。なお多数意見者の御署石をお願いいたします。
多数意見者署名
岡村文四郎 三橋八次郎
加賀 操 島村 軍次
小林 孝平 池田宇右衞門
瀧井治三郎 宮本 邦彦
西山 龜七 三浦 辰雄
山崎 恒
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/40
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041・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 本日食糧行理法の一部を改正する法律案の提案理由を聞くつもりでありましたが、農林大臣、政務次官が欠席でありますので、次に米穀の政府買人価格の特例に関する法律案、衆議院議員松浦東介君ほか二十三名の提出であります。本案について提案者から提案理由の説明を求めることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/41
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042・坂田英一
○衆議院議員(坂田英一君) 只今議題と相成りました松浦東介君ほか二十三名提出、米穀の政府買入価格の特例に関する法律案に関しまして提案の理由を御説明いたします。
米穀の政府買入価格は、食糧管理法第三條第二項の規定に基きまして、政令の定めるところにより、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して定めることと相成つておりますことは御承知の通りであります。
併しながら、この規定に基く政府の買入価格は、諸般の事情により通常供出の始まる時期から相当遅れて決定される実情にありまするので、その価格の決定あるまでの間における供出分に対しましては一応政府の定めました仮の額を、食管特別会計から農業協同組合品等を通じて供出者に支拂い、而してのちに買入価格が正式に決定いたされますると、この決定された価格が仮の支拂額より高い場合においては、その差額は供出の当時に遡つて供出者に追加拂いされる仕組に相成つておりまするが、この追加支拂額に対しましては特別に利息に相当する額を加算して支拂う等の措置は何ら採られていないわけであります。
ここにおいて今日までのこのような行政上の欠陷を是正し、適正な基準に従いこの点に関する救済を行う必要を認めましたので、政府は、買入価格と仮の価格との差額に対し一般利息相当額を加算して支拂うべきことを法律上明らかにし、農家経済の收支の改善に資する目的を以ちましてここに本法律案を提出した次第であります。
なおこの法律の適用を受ける米穀は二十七年度産米よりといたしております。
慎重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/42
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043・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ちよつと速記をとめて下さい。
(速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/43
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044・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこの程度で散会いたします。
午後二時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02519520422/44
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