1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月二十三日(水曜日)
午後一時五十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
西山 龜七君
加賀 操君
山崎 恒君
委員
池田宇右衞門君
宮本 邦彦君
赤澤 與仁君
飯島連次郎君
三浦 辰雄君
小林 孝平君
国務大臣
農 林 大 臣 廣川 弘禪君
政府委員
農林政務次官 野原 正勝君
農林省農政局長 小倉 武一君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
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本日の会議に付した事件
○農林災害補償法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○農業災害補償法臨時特例法案(内閣
送付)
○農業共済基金法案(内閣送付)
○食糧管理法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02619520423/0
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。
本日は最初に農業災害補償法の一部を改正する法律案、農業災害補償法臨時特例法案、農業共済基金法案、以上三案について政府から内容の説明を求めることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02619520423/1
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002・小倉武一
○政府委員(小倉武君) 初めに農業災害補償法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
一部改正の法律につきましては、内容が二、三関係のないようなことが含まれてございますので、逐条的に申上げます。
最初の十二条でございますが、これは従来食糧管理の特別会計の所管にかかわりまする共済掛金につきまして国庫が、一般会計が直接に負担をするという趣旨に改正をいたすのであります。現行法におきましては、消費者負担という意味におきまして食糧管理会計を通して負担することになつておるのでございますが、消費者が負担するということにつきまして異論がございまして、実際上はさようなことをやつておりませずに、ただ食管の会計をトンネルにいたしておつたのであります。そこで今回の改正は実際に合うように改正をいたすのであります。この十二条には現行法によりますというと、第三項にこの消費者負担をいたします場合に、食糧の売渡価格をさような趣旨に定めなければならんという規定がございますが、以上のような趣旨でこの三項は削除したのであります。一項は旧法の通りでございます。
次の十三条の二、十三条の三でございますが、これは牛馬の死亡廃用につきましての共済組合掛金の国庫負担でございますが、これは臨時的な制度になつておつたのでございますが、それを恒久的な制度に改めるというのでございます。
次の「第三十条の二項の次に次の一項を加える」というのがございます。以下三十二条、四十五条の改正に至りますまでの間は、これは役員選挙、乃至総代の選挙に関する規定でございまして、趣旨とするところは農業協同組合法の改正につきまして、先般議会を通りました趣旨とほぼ同様な改正でございます。従いまして特段各条に御説明をする必要はないかと存じます。
次の七十九条第二項の改正でございますが、これは組合の検査をする機会を少し殖すという趣旨でございます。従来が「定款に違反する疑があると認めるとき」というふうになつておりましたのを、「定款に従つて適正になされているか否かを知るために必要かあるとき」というふうにいたしまして、共済組合の検査の機会を拡大するこういう趣旨であります。
次の百七条の規定でございますが、これは共済掛金の率をきめる場合の規定でございます。共済掛金率をきめる場合におきまして、従来「標準被害半」という言葉と、それから「主務大臣が共済目的の種類ごとに定める一定の率」というのが、これが今の標準率でございますが、この第百七条のこの四項の第二号に「一定の率を超える」というのがございます。この「一定の率」と申しますのを、具体的な言葉に改めたいということであります。即ち従来の「標準被害率」と申しますのを「通常標準被害率」、それから「一定の率」とありますのを「異常標準被害率」というふうに直したいと考えるのであります。こういうふうに字句を改正する意味は、一つは法文の意味が明確になるようにというわけでございます。掛金率をきめます場合に、通常の標準被害で以て一応線を切り、更にその上に異常と超異常を区別する線をこの「異常標準被害率」ということで現わしたのでございます。「一定の率」をかように直しますもう一つの理由は、従来はこの「一定の率」、即ち「異常標準被害率」に当りますものを全国一律に一定に定めておつたのでございます。水稲で申しますというと、従来は二〇%という線で以て切つておつたのでございますが、被害統計が整備して参りますと共に、今回の水稲の掛金率の改訂に当りまして、「異常標準被害率」が地域によりまして若干の相違かあるのであります。八%乃至一一%に相成つておりますので、一定の率というのでは字句的に申しまして全国を地域的に分けて考えるということがむずかしいのではないかというふうなここもございましてかように字句を修正いたしたのであります。次の百三十五条、百三十七条の改正は以上の字句の修正に伴う当然の修正でございます。
附則についてでございますが、これは格別御説明を要しないかとも思いますが、この第二項はこれは消費者負担の関係の規定でございますが、それを従来除外しておつたのであります。その除外する必要が今回は一般会計から出すために必要でなくなつたのでこれを廃止をする。それから第三項はこれは特別会計法の改正でございますが、これも食管の特別会計よりの受入れをする必要上受入金の中に、食糧管理特別会計からの受入金という規定がございましたのが、全く今申しました理由と同じように必要がなくなつたということでございます。第四項も同じようにそれと丁度裏腹の関係になつておるのでございます。五項は、役員と総代の任期につきまして経過規定を定めておるのでございます。
以上が一部改正の各条に亘ります概要でございます。
次は農業災害補償臨時特例法案でございます。これにつきましては、資料といたしまして特例法案の要綱乃至この農業災害補償臨時特例法案関係資料というのがございますので、それを御参照頂ければ幸いと存じます。それでこの法案と、こういう関係資料と併せながら御説明を概略申上げたいと思います。
第一条はこの特例法の目的を定めております。従来の一筆単位の農作物共済に関しましていろいろな批判或いは欠点がございますので、それを是正したい、是正するにつきまして一ぺんにここで補償法を全面的に改訂するということはできませんので臨時特例を定めまして、いわば実験的にやつてみるというふうなことでございます。
第二条はその実験組合の指定でございます。米麦それぞれ総組合数の百分の五を選定をするということであります。選定に当りましては、勿論その実験の結果従来の料率の改訂といつたようなことにも相当関連いたしますので、或る程度は枠をきめて選定をしなければならんというふうに存じております。尤も国が一方的に選定するということにつきましては、いろいろ権利義務の関係、或いは共済事業による損得の関係がございますので、当該組合の同意を得て選定をするということにいたしたいと思うのであります。
第三条はかような実験組合の共済金額について定めておるのであります。この三条の一項の趣旨とするところは、組合員の平年における収獲量の百分の八十、これに収獲物の石当りの価格の百分の八十を掛けるというふうにいたしておるのであります。尤も水稲につきましては問題がございませんが、麦につきましては、これは大麦、小麦裸麦ということがございまして、全国一律に石当り幾らということをきめるわけには参りませんので、産麦の作付面積の比率といつたようなことを参照いたしまして都道府県乃至都道府県内の地域ごとに一率に定めるということにいたしております。それが石当りの価格の出し方であります。従来は御承知のように共済金額は大体反当の収獲高の半分といつたところを狙いといたしておりますが、これは百分の八十ということにいたしておるのであります。
次は共済金額を以上のようなことに改めます結果、掛金について当然に変動が起つて来るのであります。併しながら共済金額が変化するに応じまして掛金率が当然に変つて来るというのでは困りますので、と申しますのは、如何ような掛金を定めたがよいかということについてまだ的確な統計的な資料がございませんので、これは従来通りの基準掛金率を採用するという趣旨にいたしておるのであります。従いまして又国庫負担につきましても、共済金額が変れば国庫負担額も変つて来るということになるのでございますが、同じような趣旨におきまして国庫負担も従来通りの額にするということがこの第三条の第二項であります。第三項はこれも規定の文面では必ずしも意味がよく明瞭でないかも知れませんのでありますが、これも趣旨とするところは以上のようなことでございます。政府の再保險金額を定める場合、或いは政府から払うべき再保險金を定めます場合の基準となります総保險金額というものの理解の仕方によりましては、連合会の責任部分が変つて来るのであります。従いまして、この連合会の責任部分は従来通りにするという趣旨で以て第三項のような規定を置いたのであります。
第四条は共済掛金のことでございます。共済掛金率が従来と同様でございましても、共済金額が変つて参りますれば掛金はおのずから変つて来るのでございます。ところがさようにする必要は必ずしもございませんし、又そうすることは場合によりましては農家の負担が非常に殖えるということもございますので、組合といたしましては従来通りの一筆単位の共済保險をやる場合に同様の掛金で以てやるという趣旨でかような規定を置いたのであります。尤も個人々々の負担は四条の一項のようなやり方によつて変つて参りますけれども、組合としての掛金の收入額というものは従来通りということであります。第二項はこれは一筆単位の場合におきましても、こういう規定があるのでございまして、この農家単位共済基準掛金率という新らしい言葉が出て参ります。その関係上こういう規定を置いたのであります。第三項は再保險の再保險料を、これを従前通りにできるという考え方でかような規定を置いておるのであります。
次に、五条は共済金でございますが、共済金を如何なる場合に如何なる額払うかと申しますと、減収の合計が平年の収量の百分の二十を超える場合でございます。金額はその百分の二十を超えた減収の石数を石当りの共済金額に乗じて支払うということにいたしたのであります。この場合申上げたいことは、減収がございまする場合に、耕地によりましては同じ農家の耕地でございましても、他方増収があるということがあるわけでございます。従いまして、農家単位を徹底的にやるということになりますならば、一方の面積の減収と他方の面積の増収が相い補完するという関係が成り立つのでありますけれども、このたびの実験によりまする農家単位の共済事業におきましては、減収した耕地だけの減収を見まして、他方の増収の部分は見ないということにいたしております。
第六条以下は組合乃至連合会の経理の剰余金の問題でございます。今回の農家単位の共済事業が従来の一筆単位と違つております結果、損益の関係において当然違うことが予想されるわけであります。従いまして、そういう関係から経理を区分するということが一つは必要でございますし、他方一つは実験調査が目的でございますので、経理を明確にするということも必要でございます。従いまして、こういうふうな会計の区分をいたすのであります。
第七条は剰余金の処分についてでございますが、先ほど申しました農家単位の共済基準掛金率というものよりは上廻つた掛金率で以て定めてもらうつもりでございますが、そうなりますというと、当然剰余金が出ることが予想されるわけであります。従いまして、農家単位の共済の基準掛金率と、組合が定款でそれを上廻つた掛金率の差額は、これは組合に当然無事戻しとして分配してよろしいという考えであります。でかようにいたしまして、なお且つ剰余金がある場合にどうするかというのが第二項の規定でありまけ。その場合にこれは積立てる基準共済掛金率で以てなお且つ剰余があるというような場合には、大体省令の定めるところによりというのは、四分の三は法定積立金ということにいたしまして、残りの四分の一は特別積立金ということにいたしたいというふうに考えております。第三項は以上のような関係におきまして、農災法におきまする準備金の積立て乃至無事戻しの規定は必要といたしませんので、指定組合に適用しないという趣旨でございます。
第八条は準備金の払い戻しでございまして、連合会はその所属の指定組合たるその会員に対しまする無事戻しの規定を置いておるのでございまして、指定組合たる会員が全部共済事業をやめたとき、この法律によりますと五年以内でございますが、その場合には連合会は第六条によりまして経理を区分いたしまして、積立てた準備金を会員に払い戻すということであります。これも一種の無事戻しの規定であります。第二項は指定組合が同じように共済事業を全くやめた場合に、その準備金乃至連合会から払い戻しを受けました金を払い戻すということであります。
第九条は、指定組合員に対する補助でございまして、この農家単位の共済をやります場合には、恐らく共済掛金が減少することが予想されるのであります。併しながら取あえずは組合としては従来の掛金を主にいたすということになりますというと、当然それに伴つて保險料、再保險料も実際必要とするよりも余計払うということに相成るのであります。従いまして、この組合の負担にかかわる部分の二分の一程度の補助金として組合員に交付いたしまして、掛金の低減を図る、意味するところは、一つは勿論かような農家単位の実験をやるということについての奬励の意味もございますが、それと共に掛金を多く恐らく取り過ぎることになるだろうということを予想いたしまして、その部分を補助金として戻すということに考えておるのであります。第二項はその戻します場合の便宜上の措置を書いてあるのであります。
第十条は、これは実験のためでございますので、当然指定組合乃至指定組合を含む連合会からいろいろの報告を求めることができるという規定であります。
附則につきましては、特別御説明を要しないかと思いますが、この最後の農業共済再保險特別会計法の改正でございますが、これは只今申しました第九条の補助金を特別会計から支出することができるという規定でございます。農業勘定に掛金の一部が入つて来る関係上それを戻すという意味におきまして、農業勘定から補助金が出せるというふうにいたしたのであります。以上が臨時特例法の概要の御説明でございます。
次は農業共済基金法案でございます。この第一条は目的を謳つてございます。ここで申上げたい点は、基金の目的、事業に関係するのでありますが、基金の目的、事業の範囲につきまして、ここに上つておりますように、農作物共済、蚕繭共済、家畜共済ということであります。
第二条以下につきましては、これは一般の法人の規定と特別変つた点はございませんが、ただ第五条に資本金は三十億円とする、政府が十五億円出すということを重視して頂けば結構だと思います。
第七条以下の設立につきましても、これは他の組合乃至団体と格別変つたところがございませんので、省略をいたさせて頂きたいと思うのであります。
第三章は会員でございますが、会員は申すまでもなくこれは連合会でございまして、連合会が全部これに加入するということにいたしております。三十億の出資につきましては、十五億は政府の出資でありますから問題はございませんが、あと十五億はこれは会員たるこの連合会が出資することになります。ところがこの法人の性質に鑑みまして、出資を任意にしておくということは如何かと存じますので、十五条のような規定を置いたのであります。各会員が如何ような出資をすべきかという抽象的な原則を掲げてあるのであります。出資をきめます基準といたしまして十五条が定めておりますのは、第一番には、この基金の目的といたしますところは、不足金の融通でございますから、今後予測し得るところの不足金というものを一つの基準にしたい、こういう点が第一点であります。次は、個々の事業の分量、乃至農家の戸数、或いはその面積、或いは収獲高というようなことをやはり当然参酌すべきじやないかということに思われますのでそれは当然この共済事業から申しますならば、保險金額に反映するはずであるということでありますので、総保險金額の割合を第二の基準にいたしておるのであります。
第三番目は、全会員が加入するわけでございますので、而も各会員必ず平等の一個の議決権を有しますので、平等に分配する分があつてもいいはずであるということでございましてかように三つの基準を置いたのでございます。この三つのうち第一の基準、即ち不足金の出る可能性といつたようなものを考えたのがこの第十五条の一号でございます。それから総保險金額といつたようなものを参照としてきめる部分が二号でございます。会員に平等に分配するというのは、これは但書の後段に載つておるのであります。かようにいたしまして、大体の出資を割振る場合の基準を一応定めておきまして、その基準によつて具体的に定款で定めてもらうということに考えておるのであります。政府の出資は一度に十五億といたすのでありますが、会員の側はこれは五年以内にする、私どもの考えといたしましては、成るべく早急に出資を完了するということが払込みを完了するということが望ましい、でき得ますならば、三年ぐらいに完了いたしたいというふうに考えております。第一回の払込みにつきましてこの十五条の四項に特に「一億」ということを謳つてございますのは、この第一回の払込みを実は法人の設立の要件にいたしておらないのであります。さような関係上、特に第一回の払込みの金額の規定を置いたほうがよかろうと存じたわけであります。十六条の分はこれは組合法などと大体同様でございます。第十七条の持分の譲渡禁止でございますが、この会員は保險の連合会であるということに限定されております。それからもう一点は、連合会が出資をいたします場合に下級の組合乃至農家に割振りをいたさなければなりませんが、連合会の出資が譲渡されるということになりますというと、その辺の関係が非常に複雑になるということで、譲渡を禁止する趣旨の規定を置いたのであります。
第四章の管理でございますが、これは特段の御説明を要しないと思います。組合法などとほぼ類似でございます。ただ異なつておりますのは、二十二条の役員の失職の規定でございます。これは、後ほど又出て参りますけれども、一つは主務大臣が解任するということが二十二条の四号に出ておるのであります。四十四条の第二項というのは、主務大臣の解任の命令のことであります。その他はほぼ他の団体法と同様であります。二十九条に参りまして、運営委員会という規定がございます。これはいわば特殊の機関でございますが、何しろ連合会は四十六に限られておりますけれども、基金の業務といたしましては、不足金の融通ということでございますので、四十六の連合会の問題は実は的確にわかるはずでございますけれども、一種の財団的な基金といつたような名称からも御判断が頂けるように、財団的なものでございますので、そうしよつ中総会をやる必要もなかろうかと思います。そういう場合に、運営委員会といつたようなものを置きまして、連合会の意思をできるだけ基金の日常の場合に反映させたい、かような意味で運営委員会という機関を置いたのであります。勿論これは諮問機関でございまして意思決定乃至基金の代表機関といつたようなものではないのであります。
次は第五章の業務でございますが、業務の範囲は、先ほどもちよつと触れましたように、農作物共済蚕繭共済、家畜共済の保險金の支払に関しまして、連合会が必要とする資金を貸付けるということで、これが実体でございます。二号はそれに附随する業務でございます。三号はこの二通りの仕事に附帯する業務でございますが、附帯業務といたしまして予想される重要なことはございません。政府から連合会に支払われるところの再保險金を、連合会に代つて、例えば基金が受領するといつたようなことが考えれば考えられる程度であります。三十四条は、業務方法の規定でございます。こういう基金の業務でございますのでこれを十分監督するという意味でかような規定を置いたのであります。三十五条は、業務の委託でございます。基金ができましても、厖大な職員を擁するというようなことは勿論考えておりません。でき得べくんば、極く少数な人員に限りまして、実務は適当な金融機関に委ねたいという趣旨が三十五条の規定でございます。この場合に、業務の委託と申します場合には、場合によりましては、貸付の決定の委託もいたしていいのではないかというふうに考えております。出納事務といつたようなものについては考えなくてもよろしいのでありますが、家畜共済といつたような、しよつ中共済金の支払をするところが、一時金が足りないといつたようなものにつきましては貸付の決定までも委託をしてよろしいのではないかというふうに只今は考えております。三十六条は、貸付金の使用でございます。これもこういう特殊の金融業務に見られる規定でございまして、別段御説明を要しないと思います。
第六章は基金の会計でございます。予算の承認ということが第三十七条に載つております。次は損失てん補準備金でございますが、これも特段御説明を要しないと思います。特別積立金も同様でございます。剰余金の運用につきましては、こういう基金の性質上、安全を期したいという趣旨でかようなことを書いておいたのでございます。
第七章は、監督でございます。ここで特に御説明をしなければならないのは、四十三条の議決の取消と、役員の改選命令であります。議決の取消は昔の産業組合法等にもあつたのであります。次は役員の改選命令でございますが、基金が共済事業の一環とする業務を行うということ、それから政府が半額を出資しているというようなこと、なおさような関係におきまして、役員につきましては十分監督する必要があるということで、法令違反といつたようなことがあります場合には改選を取りあえず命ずることができる。改選を命じましても、なお改選を基金としてしないといつたような場合には、直接に主務大臣が役員を解任できるというのがこの規定であります。
八章は補則でございますが、四十五条以下数条の規定は、連合会が出資をいたします場合に下からそれを吸い上げて出資をするということがどうしても必要なわけであります。連合会には固有の資本はございませんので、会員は組合員という工合に吸い上げて参ることが必要でございますので、さような趣旨を置いたのでございます。その場合の分担のきよ出の割合をどうするか、或いはきよ出した組合員或いは会員が脱退した場合にどうするかというようなことでございます。きよ出の額の割振りにつきましては、これは共済掛金の総額を一つの基準とする、それからもう一つは平等割を一つの基準とするということであります。この場合にはもはや連合会が基金に出資をする場合のような不足金の出方の予想といつたようなことがありませんので、さようにいたしたのであります。組合が農家からきよ出金を求める場合にもほぼ同様なことで考えております。但しこの場合には平等割というようなことが非常にウエイトを持つというようなことも考えられますが、その場合に余りにも平等割に偏重されては困りますので四十六条の第一項につきまして、平等割についてはこれは省令で制限をするという但し書を付けたのであります。それからこのきよ出金は出資とは若干趣きを異にするのでありますが、成るべく出資のような形で取扱いたいということで、組合員が脱退するといつたような場合には払戻しするというふうな規定をその次の各条に置いておるのであります。最後に当無あるべき解散の規定乃至清算の規定はこれはございません。申すまでもなく共済事業乃至保險事業には不足金が出るということはこれはあり得ることでございますし、いつになつたらそれがあり得ないことになるというようなことは予想できませんので、災害補償制度と共にいわば恒久的な制度として当然考うべきことでございますので、差当り解散、清算の規定は必要がないという趣旨で、若しさような必要が生じた場合には法律で定めて頂くというつもりであります。
第九章は罰則の規定でございます。これも格別御説明を要しないかと思います。
附則はこれは主として他の法律との関係を書いてございますが、第二項はこれは事業者団体法の適用除外を規定をしておるのであります。それから第三項は、これは印紙税の課税を除外するという規定であります。第四項の法人税の関係でございますが、これは共済組合乃至連合会と同様に扱うという趣旨でございまして、基金が営む非収益事業につきましては、法人税を除外するということであります。ところが基金は収益事業を営むということは予想されませんので、ほぼ法人税がかからんという趣旨に御理解願つて結構かと思うのであります。第五項はこれは登録税の免除であります。それから第六項はこれは所得税法につきまして、やはり非課税とするという趣旨であります。第七項はこれは地方税法の二百九十六条の分は市町村民税、これを非課税にするという規定であります。それから七百四十三条はこれは事業税につきまして非課税とするということであります。第八項はこれは経済罰則につきましての規定の適用をする乙号を適用するということでございまして、収賄乃至機密漏洩というふうなことにつきましては公務員法に準ずるというふうな趣旨でございます。
概略でございますが以上を以て説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02619520423/2
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003・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02619520423/3
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004・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 速記を始めて下さい。
それでは只今説明を聴取しました農業災害補償法関係三法案は質疑は後日に譲ることにいたしまして、次に食糧管理法の一部を改正する法律案について政府から提案理由の説明を求めることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02619520423/4
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005・廣川弘禪
○国務大臣(廣川弘禪君) 食糧管理法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
今回の改正は、麦につきまして、これまでの供出制度を廃止すると共に、統制廃止後の麦類の需給調整を行うため、新たな観点より麦類の政府買入及び売渡に関する制度を設けます点を骨子といたしまして、このほか、若干の改正を加えることを目的としております。
申すまでもなく、我が国の食糧事槽は終戦以来逐年著しい改善を見るに至り、食糧の不足から来る国民食生活の不安定や、これに起因してインフレを促進するといつた事態は次第に解消して参りましたが、主食の中、なかんずく、麦類については、都市家計において価格は安定するに至りますと共に、配給面におきましても、相当数量の配給辞退が見られ、需給価格とも顕著に安定を見るに至つた次第であります。而して、今後の麦類の需給事情につきましても、これまでと同様に万全の措置を講じますならば、国内生産の維持と相俟つて輸入食糧も十分確保し得ると存ぜられますので、何らの不安なく推移し得るものと見込まれる次第であります。
従いまして、政府としては以上申上げました事情から判断いたしまして麦につきましては、もはや供出配給制度を続ける必要は極めて薄くなり、統制を廃止いたしましても社会経済に不安を与える虞れはないのみならず、却つて、大方の物資について自由市場の恢復した今日、速かに統制の不便から解放して、農家にはその生産した麦の自由販売を、消費者には麦の消費についての質と量の自由な選択を認める利便を与えることが適切と考える次第であります。併しながら麦は統制を廃止いたすとしましても、その製品は主要食糧でありますから、国民生活の安定を図るためには、政府の間接的な需給調節の措置を講じ、安定した麦価の水準を維持することが望ましいのであります。従いまして政府は輸入食糧について、政府がすべてこれを買入れるほか、消費者価格の安定のため、内外麦の価格水準の調整上必要な限り、輸入補給金を財政支出する措置を講ずることといたしますと共に、内憂につきましては、麦の供出配給制度の廃止後におきましても、政府は一面国内生産の増強を図ると共に、他面消費者家計の安定を図る趣旨を以ちまして、麦類の需給及び価格の調整を図るための政府の買入及び売渡に関する新たな方式について、必要な規定を設けることとしたのであります。
その大綱について御説明申上げますと、先ず、政府は麦作経営の安定を図る趣旨に鑑みて、農家に販路と最低価格を保証することとし生産者又は生産者の委託を受けた者からの売渡の申込に応じて、これに買い応ずることといたしたのであります。その場合の買入価格は農業パリテイ指数に基いて算定される価格を基準とし、麦の生産事情及び米価その他の経済事情を参酌して定めるごとといたしたのであります。
次に、政府が買入れた麦の売渡につきましては、需給の調整と市価の安定を図るよう、毎月所要量を売渡すことといたしまして、その売渡の方法は一般競争入札によるほか、流通の円滑、価格安定等を図るため必要があると認めますときは、指名競争入札又は随意契約によることといたしております。政府の売渡価格については、消費者の家計費に対し、麦価が実質的負担増加とならないよう十分考慮して定めることといたしています。輸入麦につきましては、国内産麦と同一の価格水準で売渡すため、輸入補給金を附することといたしております。
なお、以上の改正のほか、現在我が国は戦前と食糧の需給構造が著しく変りましたため、麦食による食生活の改善を図ることが必要と存じますので、学童等に供するものについては、当分の間、通常の政府売渡価格より低く別に農林大臣が定めて政府所有麦類を売渡し得る途を開くことといたしております。
以上申述べました点が、麦の統制廃止に伴う主なる規定の改正点であります。このほか、食糧管理法中若干の改正をいたした点につきまして御説明申上げますと、第一に、いも類、雑穀については昨年度から管理の対象から外れておりますため、法文上いも類、雑穀に関する規定を削除いたし、第二に、食糧配給公団に関しましては昨年四月一日解散し、近くその清算事務も完了いたしますので、同公団に関する規定を削除いたしましたほか、字句の改正、条文の整備等、なお若干の改正を行うことといたしております。
以上が食糧管理法の一部を改正する法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02619520423/5
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006・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 引続いて食糧庁長官から本改正案の内容について御説明を求めるはずでありましたが、衆議院のほうの都合でこちらへ出られないようでありますので、これも後日に譲りまして、本日はこの程度で散会いたしいと思います。
午後二時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02619520423/6
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