1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月七日(水曜日)
午後一時五十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
西山 龜七君
加賀 操君
山崎 恒君
委員
池田宇右衞門君
宮本 邦彦君
赤澤 與仁君
飯島連次郎君
片柳 眞吉君
三浦 辰雄君
小林 孝平君
三橋八次郎君
松永 義雄君
政府委員
農林政務次官 野原 正勝君
食糧庁長官 東畑 四郎君
日本專売公社監
理官 久米 武文君
事務局側
常任委員会專門
員 安樂城敏男君
常任委員会專門
員 中田 吉雄君
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本日の会議に付した事件
○食糧管理法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○農林政策に関する調査の件
(塩価に関する件)
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。
本日の議事日程は最初に食糧管理法の一部を改正する法律案について審議を行いたいと思います。本案については先に提案理由を聴取した後、東畑食糧庁長官からその内容について一応の説明を承わつたわけでありまするが、これから質疑を願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/1
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002・小林孝平
○小林孝平君 私は審議に入る前に今回の麦類の政府買入価格及び売渡価格について政府の方針に従つて具体的に最近の事実に基いて算出すればどれくらいになるかという資料を一つ提出して頂きたい、こういうように考えるものであります。そこで右について農業パリテイ指数の基準を従前通り昭和九年から十一年の三カ年平均とした場合はどうなるか、又農業パリテイ指数の基準を衆議院の農林委員会の決議のように昭和二十五年と二十六年の二カ年平均とした場合はどうなるか、こういう点であります。この問題について次の資料を次の農林委員会までに提出してもらいたいと思うのでありまして具体的には大麦、はだか麦、小麦、精麦及び小麦粉の生産者推定価格及び消費者推定価格について次の事項を知りたいのであります。一は現行価格、二は昭和二十七年度の予算価格、三は政府方針、即ち農業パリテイ指数基準を昭和二十六年度にとつた場合の価格、それから四が農業パリテイ指数基準が昭和九年から十一年の三カ年平均の場合の価格、五が農業パリテイ指数基準が昭和二十五、二十六年の二カ年平均の場合の価格、六が麦の再生産費を確保することを旨とした場合の価格、即ち今回衆議院の農林委員会における修正のようにした場合の価格。それからもう一つは、第二番目は昭和三十七年度予算中麦類の輸入補給金及びその算出の基礎。以上の資料を次の農林委員会までに提出して頂きたいとこういうふうに思うのであります。資料の提出をして頂きましてこれについて更に審議をいたしたいと、こう思うのであります。
それから二、三のお尋ねをいたすのでありますけれども、米麦は両者一体として一元的に主食として取扱わるべきものと考えるのでありますが、併し米麦のうちでも生産者の側から言つても又消費者の側から見ても、何と言つても米が第一であつて麦はその次に位するものであるということは否めない事実であります。従つてこれら両者の価格についても米の価格のほうがより重大であつて、この考え方は本改正法律案の第四条の二においても窺われるのであります。そこでこういうような観点に立ちましてお尋ねいたしたいのでありますが、先ず第一に米の政府の買入価格、即ち生産者価格については現行法の第三条に規定されておりますが、この規定は占領下にあつては全くこれは無視されて来たのであります。そこで今回独立に伴つてかかる規定が誠実に執行されると思うのでありますが、政府のお考えはどうでありますか。先ずこの点を一つお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/2
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003・羽生三七
○委員長(羽生三七君) ちよつとその前に申上げますが、只今小林委員から御発言の中にもありました通り、本法案はその第四条の第二項中一部分衆議院で修正になつて来ておりますので、その辺お含みを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/3
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004・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 小林さんの御質問は第三条の米の法律に関する御質問だと思うのであります。米の価格につきましては御承知のように、生産費及び物価その他経済事情を参酌してこれを定めるという規定になつております。現実は御承知のように昭和九—十一年を基礎にいたしましたパリテイを以て価格をきめまして、なお若干の加算を加えた価格で決定しておるのであります。勿論農林省といたしましても生産費調査はやつておりましてそれと見比べまして実質的にパリテイと生産費と比べまして率直に言いますと、パリテイのほうが高く出ておる場合もあります。生産費を見ないじやないかということじやございませんで、生産費もやはり睨んで検討はしておるのでありまするけれもど、価格体系といたしましては、いわゆるパリテイ方式をずつと終戰以来とつて参つたのであります。新米穀年度、新米につきましてこの法案をどうするかという問題につきましては、我々といたしましては、只今のところ食糧管理法は麦に関する面だけの改正にとどめまして米につきましては改正する意図はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/4
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005・小林孝平
○小林孝平君 次にこの米の生産者価格の規定と今回の改正法律案、今回の衆議院の修正も含めまして、この改正法律案の麦の生産者価格の規定を比較いたしますと、麦について非常に重点が置かれて米の価格が二次的に取扱われ、主客転倒しておるように思われるのであります。これは先ほど申上げましたように、法律の第四条の二の規定においても米を主にし麦をそれに次ぐものとして考えるという、この根本方針に反しておるように思うのであります。この辺について政府の考え方はどうですか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/5
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006・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 法律案の改正としまして第四条の二第四条の三と三カ条において麦の買入、売渡価格の規定を書いたのでありますが、条文としては少し長くなつたのであります。我々といたしましては決してこれがために米価というものを麦価の下につけるというような気持は毛頭ありませんで、まあ米価、麦価おのおのその性格に従いまして、合理的な価格決定をいたしたいというのでございまして、決して小林さんのような考え方は政府としては持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/6
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007・小林孝平
○小林孝平君 長官はそう言われますけれども、今回の修正によりますと、四条の二を修正されまして「経済事情ヲ参酌シ麦ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシ」とこういう規定が入りましたので、非常に麦の価格については生産者の利益を保護するようにはつきりと書いてあるのでありまするけれども、この結果米についてはこういう規定がないのでありまして、非常にバランスを失したように私たちは考えるものでありますが、その点如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/7
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008・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 衆議院のほうで第四条の二の第二項の末項に麦の再生産を確保することを旨としということの修正を受けたのでありますが、我々といたしましては、今日麦につきまして生産費調査もいたしておるのでありますけれども、何分にも裏作でありまして、労銀の調査でありまするとか、いろんな点でまだ政府として自信のあるものはありません。又調査農家等につきましても数が少いものでございますから、果して的確につかめるかどうかについて疑問がありまして、生産費調査、そういうものを実は価格決定の様式にするわけには行かなかつたのであります。従いまして、法律はパリテイで算出いたしまして、麦の生産量等も勿論参酌するということでありまして、なおこれは再生産を確保するという根本趣旨から決議等もあつた次第なんでございます。米につき場ましても勿論これは生産費、物価その他の経済事情を参酌して定めるのであります。考え方といたしましては、やはり再生産を確保するということを旨としなくちやならんことは当然でございます。パリテイ等のほかになおその他を加えまして、実体は殆んど変らないというような運用を従来もいたしておるのであります。今後もそういたすべきだと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/8
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009・小林孝平
○小林孝平君 長官の御説明によりますと、こういう「麦ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシ」という規定が麦のほうに入つた、米には入つていないけれども、その根本の精神は少しも前と違わない、こういう意味だと思うのであります。ところがこの法律は衆議院で本案は非常にもめた。その結果この「麦ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシ」という一項を入れて一応この法律に今まで反対の立場をとつていた人たちも賛成するというような状態になつたのだろうと思うのであります。そういうような非常に重要な私は規定であろうと思う。又これを入れた人たちもこれに絶大なる期待をかけて修正をし、そうして賛成したのだろうと思うのでありまするけれども、長官の説明によりますと、これがなくとも、米はないのです、なくともその精神は少しも変らないと、こういうことであれば、今までのやり方に不満であるからこういう規定を入れた、ところが一方政府のほうではそれはあつてもなくても同じ取扱をやつているのだということであれば、これは法案を通すときはともかく何でもかんでもいいから通るようにというので通したが、あとはまあ従来通りということになるのじやないですか。甚だこの点は不満でありますが、まあ一応この点はこの辺でやめます。又機会を見まして、先ほど要求いたしました資料を見まして、具体的にどういう本当に麦の生産を確保することを旨とすというのが価格の上に現れるかどうかという点から見まして、又やることにいたします。
そこで先ほど長官は、少くも私は今度の改正法案は麦の価格に重点を置いて、米の価格よりも重点を置いて主客顛倒しておるのじやないかと質しましたのに対して、そういうことはないとこう言われましたけれども、私は先ほどの御説明では納得できませんが、更に消費者価格について見ますと、一属これははつきりいたしておるのでありまして、衆議院の農林委員会の決議によりますと、この決議は、まあ従来政府のやり方は、一応聞きおく程度でということであつたのでありますが、今回はどういう決意を持つておられるかどうか、更にお尋ねいたしますが、いずれにいたしましても、この衆議院の決議によりますと、消費者価格は現在の価格よりも特別に上げないと、こういう第二項によりまして、大体精神はそういうふうに、麦類の買入、売渡しにより食糧管理特別会計に赤字を生じた場合、政府は一般会計より赤字補填を行い、これを生産者又は消費者に負担せしめないこと、という規定があり、具体的には二重価格制をとるのでありますが、こういうふうに麦についてはやつておるにもかかわらず、米にはやらない。これでもなお米の価格を主にし麦は従であるか。米の価格について少しバランスを失しておるのではないかというふうに思うのですが、これでも政府は先ほどの御説明の通り、米については重点を置き麦は従だという考えをとつておられるかどうか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/9
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010・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 麦につきましては、考え方の基準といたしまして、米と同じように家計費、物価その他の経済事情を勘酌してこれを定めるという第四条第二項の規定を準用いたしまして、価格決定の基準にいたしておるのであります。これの運用につきまして、本年度予算の建前を申しますと、消費者価格水準を上げないようにする。勿論従来委託加工をやつておつたんですが、売却制度に変えまして、費用についても努力を願いまして、全体として消費者価格水準を上げないというのが今年度の案は建前であつた。従いまして衆議院のほうで、私としましては二十六年を基準にいたして麦類価格の決定をするということを申しておつたのであります。二十六年を基準にいたしますと、大体消費者価格水準は上らないというので参つておつたのでありますが、衆議院の意思として二十六年のみならず米価審議会等の懇談会等の意見もあつたので、二十五年、二十六年の平均を基準にしてはどうかという決議がありまして、政府もその趣旨に則りまして、それだけ生産価格が上つたのであります。従いまして、今日の家計から見ました価格水準を上げたくないという希望とそこに若干の差が出ましたものですから、ここにやはり若干の価格差が出るわけであります。当初の考え方と決議とが若干食い違つた傾きがあります。法案そのものとしては家計、物価その他の経済事情を参酌して定めるという方針には変りはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/10
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011・小林孝平
○小林孝平君 麦についての御説明はわかりましたけれども、私はこの法案が食管法の改正であつて、全般的に食糧管理の面から米麦その他の食糧を併せて考えなければならんと思うのです。たまたまこの麦に関する事項がこのたび改正される、それに重大なる修正が加えられる、或いは重大なる附帶決議が行われるということになりますると、その際には米と麦というものを又元に戻つて一体不可分のものとして考えなければいけない、こういうふうに思うのでありまして、今いろいろ御説明を伺いましたけれども、私はどうしても、この麦類の価格の取扱方と、米の価格の取扱方というものが非常に均衡を失しておる、こういうように思うのであります。先ほどの再生産を確保するという点などにつきましてもまだ問題があるのでありまするけれども、衆議院側がそういうふうに修正いたしました考え方の根本から考えますと、非常に米と麦との取扱方は不均衡になつて来る、こういうようなわけでありますので、私は政府としてこの米の生産者価格の規定も麦の価格の規定と睨み合せてこの際修正する必要があると思うのでありまするけれども、政府のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/11
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012・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 政府といたしましては、米につきましては、この規定の運用の適正を期すれば小林さんの御趣旨も達成せられる、こういうふうに実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/12
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013・小林孝平
○小林孝平君 そうすると、別に修正を加えなくとも差支えがないと、こういうふうにお考えになつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/13
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014・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 運用よろしければ、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/14
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015・小林孝平
○小林孝平君 この点はなお先ほど要求いたしました資料ができましてから、更に検討することにいたしまして、一応次の問題に移りたいと思います。
今回の改正法案によりますと、現行法の第三条の二の削除によりまして、いも類について生産者申込みによる政府買入の制度が廃止せらるることになるものと解釈せらるるのでありますが、果してそうでありますかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/15
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016・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 法律としてはこの規定を削除して、実際問題といたしましても、甘藷、馬鈴薯は買うということは今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/16
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017・小林孝平
○小林孝平君 大体この制度は、先にいも類の供出配給制度が廃止せられる際に、その善後措置として、且つ今後いも類の需給を調節し、その価格を維持していも作を育成し、総合的の農業食糧政策の確立に寄與するために特に設けられた制度でありまして今この制度を突如として、而も本改正法律案の提案理由においても何らの説明も行わないで、あいまいのうちに廃止せんとするその理由をお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/17
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018・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 従来この制度は、主要食糧が非常に不足をいたしておりました場合、雑穀、甘藷、馬鈴薯等もやはり一つの供出制度と違いました意味で政府が集荷をいたしたのであります。今日の段階では、政府としてこれをいわゆる主要食糧としまして配給する必要もなし、又価格的な調整をするにしても、甘藷、馬鈴薯を果してそういうふうなものとしてできるかどうかということにつきまして、もう少し技術的に研究する必要がありまして、需給の面は政府としてはもう必要がありませんが、別個の一つの価格政策として果してこういう商品を取扱えるかどうかという問題につきましては、政府としてはまだ今のところ考えていないのであります。実質上甘藷、馬鈴薯を買うという点は、今日予算もございませんし、只今のところそういうことをする意図もありませんので、第三条の削除をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/18
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019・小林孝平
○小林孝平君 私はこの第三条の削除は非常に重大な事項であろうと思うのでありまして、それを提案理由にも極く僅か触れられてあるだけでありまして、余り触れられてない、うやむやのうちにこれを削除するということであつて、非常にこれは不都合であろうと思うのであります。なお、これは次の麦類もやがてこれと同一の運命を迫る虞れがあるという点において甚だこれは不都合であろうと、こう思うのであります。そこで今これの削除の理由を御説明になりましたけれども、これは昨年はまだ食糧不足という気構えのために、いも類の需要も相当旺盛であつたため、この制度は或いは有名無実というような結果になつたかも知れませんが、先般来も深刻に体験されておりますように、砂糖の統制廃止等に伴つて今後のいも作は重大なる脅威を受けることになるものと憂慮されていることは御承知の通りであります。このような際に、いも類について生産者の申込みによる政府買入れの制度は廃止すべきものではなく、むしろ今後ますます拡大すべきものと考えられる。従つてこの条項の削除は適当でないと思われるのであります。今回のこの参議院の審議の際に、この点を修正する必要があると思われるのでありまするけれども、これに対する政府のお考えはどうであるか。それからこの第三条の二の削除によつて、いも類に対する運命について先ほど申上げたように、麦類についても遠からぬ将来において同じような運命が訪れるものと考えられる。今般の法律改正の全文に亘つて甚だ危惧されておるのであります。先ずいもをこういうふうにしてうやむやのうちに廃止してしまう。次は麦を……今度は先ず手足をもいで次は麦、こういうふうに逐次なし崩しに食糧管理の全体の体系を崩して行くという慮れがあるのでありまして、この点に対して政府はどういうふうにお考えになつておるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/19
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020・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 甘藷、馬鈴薯の価格の安定の問題をどういう制度でやつたらいいかということでございますが、我々といたしましては、只今のところは第三条の二のごとく、法案を以て甘藷、馬鈴薯の価格安定を図ることが可能なりや否やということについて議論もございますので、米麦とは若干甘藷、馬鈴薯につきましては、価格安定施策も違うと考えております。従いましてこの条文を削除したから麦もそうする運命ではないか、こういうことでありましたけれども、麦につきましては今日の段階においてはこういう価格安定政策が一番いいじやないか、そしていものごとく、やがて又削除するのじやないかという意思は毛頭持つておりません。甘藷、馬鈴薯につきましての価格政策につきましては、別途勘案いたしたい。こういうふうに実は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/20
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021・小林孝平
○小林孝平君 本日は一応御質問して、それから又改めていろいろ、詳細にお伺いいたしたいと、こう思うのであります。そこで次の問題に入りますが、今回の衆議院のこの附帶決議に、これは先ほどどの程度政府が一体これを確実に、誠実に実行する意思があるかどうかということを先ずお尋ねしなければならんのでありまするけれどもこれも後刻政務次官並びに大臣にお尋ねいたすことにいたしまして、この第三項の「配給米食率を全国的に均一化すること。」こういうふうに書いてありますが、長官はこういうことをおやりになる意思があるかどうかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/21
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022・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 均衡化することにつきましては、政府としても努力をいたしたいと思います。均一化、均一にすることは到底今のところはできません。均衡化することは努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/22
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023・小林孝平
○小林孝平君 均衡化ということはどういうことでございますか、お尋ねをいたします。これは非常に重要な問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/23
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024・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 御承知のように今二十日配給する所と十五日の所とございますが、十五日の米を配給する消費地が全体の配給量の七五%弱を実は示しておる関係でございます。残りが三段階に分れております。これをブロツク別にだんだんと均一化することはこれは我々としても努力をしてみたい。全国平均皆同じであるといいますと、恐らく十六日にはならんと思います。十六日弱となりますが、そういうことは到底今の段階においては急速にはでき得ない。均衡化することについては御説の趣旨もありますから、我々は十分尊重して努力したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/24
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025・小林孝平
○小林孝平君 この点は非常に重大な問題でありまして、衆議院ではどういうお考えでこういうことを決議されましたかわかりませんけれども、しばしばこの前の国会におきましても、食糧の統制廃止の問題が出ました際に、麦類の統制を廃止したあと米食率は変えるものかどうかということをお尋ねいたしました際に、政府当局は、繰返し繰返しそれは変えない、現行の米食率を維持するということを言明されておるのであります。その際に私たちは、私は特にこれは單作地帶の問題といたしまして、殆んど麦類の生産がない、そういう所で今度は麦の統制が廃止されたからといつてその地帶の米食率を麦が非常にたくさんできる地帶と同一にされるということは、消費者として非常に困るから、そういうことを実際にやるかやらないかということをお尋ねしたのに対して、先ほでのように繰返し繰返しそれはやらんと前の食糧庁長官から言明があつた。又これは大臣からも言明があつたと思うのであります。更にこの点につきましては、私ばかりじやなく片柳委員からも追及されまして、そういうことが実際政府は米食率を変えないと言うけれども、実際問題として変えないでおられるかどうか。そういう米食率を変えろという要求に対してそれを拒む理由があるかどうかという点を強く追及されたのに対しても、はつきりそれは変えないということを繰返し言われました。これは法案審議の一つの重大なる……、そのときはまだ法律案は出ておりませんけれども、その問題に対する論議の一つの重大なる論点であつたのであります。それを今突如これが衆議院から決議がされまして、それに対してまあ食糧庁長官の御説明によると、均一化することは困難であるけれども、ともかく均衡化する、漸次均一化の方向に向つてやると至極簡単にお話になつたのであります。これは誠に重大な問題だと思うのであります。こういうことでありまると、政府がいろいろこういうふうにやるのだ、食糧の再生産を確保するように価格をきめる、何はどうするというように非常に確信ある御答弁があるけれども、長官が変つてしまうともう訳がわからないということでは非常に困ると思うのであります。もう一度よく御研究になつて、果して長官が今言われたように変えられるものであるか変えられないものであるか、変えるべきが至当であるかどうかということを一つ御研究になつて頂きたい。改めて次の機会にこの点を御質問をいたしたい、こういうふうに思つておるのであります。
それから次は、政務次官にお尋ねいたしますけれども、この法案の提案理由の説明を見ますと、「これまでの供出配給制度を廃止すると共に統制廃止後の麦類の需給調整を行うため」、こういうふうにありますが、政務次官は只今の改正法律案によつて行われるように、麦類の供出配給はやめたけれども、広汎なる、相当強力なる需給調整をやる、生産者から申出があれば全部これを買上げる、そうして政府が価格操作をやり、更に今回の衆議院の決議によりますれば、二重価格制を行いまして食管特別会計にその赤字が出たらば一般会計からこれを補填するというような、相当強力なる需給調整をやることになつておるのでありまするけれども、こういうことをやつてもなおこれは統制ではないとお考えになるか。こういうことが若し統制でないと考えられれば、自由党の自由経済というのはこのような強力な需給調整をやる、常識的には一種の統制でありますが、こういうことをやつてもなおそれが自由党の自由経済であるか、その点をお尋ねいたしたいのであります。この点をはつきりしておかないと国民は非常に迷うのであります。自由党を大いに支持し、自由になるかと思つたらこういう強力なものが自由だということになりますというと……はつきりこの点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/25
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026・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 今回の管理法の改正は、いわゆる自由党という政党があたかも自由という名前が非常に強調されるために、なんでもかんでも自由にやるというふうな概念的にそうきめてかかるかたもあつて、この麦の統制の問題につきましても、自由放任勝手気儘にやるのだというようなふうに一部に印象されており、又それが逆宣伝にも使われておつたことも聞いておるのでありますが、併し実際問題としまして、この法案を御審議頂くとわかるのでありますが、それはまあ統制廃止という形はとつておりますが、食糧管理方式の変更なんでありまして、統制撤廃と言えば撤廃でありますが、大きく見ればやはり需給調整のためにかなり、小林さんのおつしやるように、相当強力にいろいろと需給の調整なり或いは価格の問題なりを考えているのでありまして、特に今までの統制と形は変つておりますけれどもやはり生産農民の立場といいますか、やはり日本における食糧の政策、大いに食糧を増産させて、麦を大いに増産してもらわなければならんという立場におきましては、やはり生産者の立場を十分考えて、これが再生産を償なわないような価格になつても困るというような点も慮りまして、公正妥当な価格で生産費を償ない、且つ再生産に十分役立つだけの価格を最低線として保障するという最低保障価格の制度を設定するというふうな建前をとつております。
それから又従つてその最低価格保障制度よりも若し市場における自由価格が安くなつた場合には当然生産者は政府に売るわけであります。その場合その政府に売渡しを希望するものにつきましては、無条件に無制限に買上げるという建前でございます。大体数量等は八百万石程度の分を予算としては見ております。若し希望が非常に殖えたという場合には、勿論これは食管特別会計の予算の保障をいたし、それの希望に応じて必要な分は随時予算的な措置を立てまして、そうして買上をするわけであります。それから又一方におきましては、消費者の立場、国民の食生活、国民経済に一番影響の大きい米麦の問題でありまして、特に麦も国民の生活という問題と非常に大きな関係がありますので、若しこれが甚だしく高くなるというふうなことになりましては、国民生活に非常に影響がありまするので、これが値段が余り高くなつたというふうな場合におきましては、政府の手持のものを適宜需給調整の面で放出をいたしまして、価格におきましても十分考慮して適当な価格に落着くような措置をとるというふうなことでございまして、生産者、消費者両面について十分考慮しているのでありまして、世にいういわゆる自由放任の制度ではなくして、新らしい食糧管理方式を、国民のできるだけ自由の選択、或いは大いに増産の意欲を盛上げての施策としてこの問題をとらえたというふうなことでありまして、その点におきましては、大きく見れば、これは食糧管理方式の変更に過ぎないと見る方もそれはあると思うのであります。そういう考え方でございますので、決して統制をやめたからといつて單に自由の姿にこれを放り出すということは絶対ございませんので、その点は御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/26
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027・小林孝平
○小林孝平君 今次官の御説明になりました統制のやり方につきましては、十分承知をしているわけであります。私は非常にこれは枝葉末節のようでありますけれども、政党政治の確立の上からも非常に重要である。選挙を通じて自由党の掲げられた政策に国民が共鳴した場合はこれに投票するということでやつているのでありますけれども、その自由党の言われるところの自由経済というものはどの範囲のものであるかということがわからない。特にこの前の選挙に自由党が絶対多数を獲得されました際の最大の原因は、この食糧の統制撤廃の問題を掲げられまして選挙を闘われた結果、現在のような縄対多数を獲得されました経過から見ましても、私はもう少しはつきりと自由党の言われるところの統制というものはどの程度のものであるか。大きく見れば、これは次官も認められました。これは單に統制管理方式の変更であるというふうに認められながらも、その後にやはり少し、これは統制廃止だというようなことを言われるので、これは非常に国民も迷うからはつきりと、特に今回の衆議院の修正並びに附帯決議によりまして、これは明らかに更に統制の撤廃ではなくて、廃止ではなくて管理方式の変更であるということを明確に国民に示される必要があるのじやないか。そうでなければ国民はこれは自由党は非常にこの程度の強力な需給調整を行なつても、なおこれは統制でない、自由党の政策というものは現在のこの麦類の統制、需給調整のことをあらゆる物資についてやつても少しも自由党の政策には違反しないという考え方を持たせる虞れがあるので、私は自由党の立場からいたしましても、もつと明確にこれを御説明になる必要があるのじやないか、こういうふうに思います又法案審議に当りましても、これを明確にされるかされないかによつて今後の参議院の農林委員会における審議のやり方も相当変つて来るのじやないか、こういうふうに考えますので、その点をはつきりして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/27
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028・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 私が自由党全部を代表しての発言ということになると、なかなか問題でありますが、私の見解を申上げたいと思います。私は自由党といえども今日の段階におきまして、すべてを自由な形で、全然何らの統制も或いは調整も行う必要がないというようなものと考えていないのであります。つまりおのずから自由の中にも統制は存する、又統制の中にも自由はなければならん、余り窮窟に考えたくないと思う。この委員会で御審議を頂きました例えば森林法でありましたか、あの森林法なども一面から言いますと、森林の国家管理ではないかというような御意見も相当あつたのでありましたが、用材林の伐採を制限するとか、いろいろ計画的な施業をやらせるという点において、これは自由党の政策とかなり違いはしないか、私は少しもそれに矛盾を感じなかつたのであります。つまり自由党といえども一般に自由党という名称によつてお考えになつておられるような政党とは実際の質的なものは違うのじやないか、又違うわけであると思います。私個人としましてもこういう点におきましては、現段階において国民生活全体を通じて、日本の産業、経済乃至は文化の面から見ましても、やはり統制というものの姿と自由の面とを調整をいたしまして、順次我々の考えておる自由の線に持つて行く。その過程におきましては或る程度の統制と言いますか、調整と言いますか、そういうものはこれは避けられないのじやないか、極端に自由放任にしてしまうというようなことは到底できるものじやない。ましてやどうしても食糧問題は国内の自給体制が遺憾ながらまだ今日は確立されておりません。従いまして国内で自由に食糧の不安なく、外国に依存をしないでやつて行ける日が来ますれば、これは大いに自由も結構でありますけれども、自由放任にも又或いはなり得るかも知れませんが、今日の段階におきましては、さような意味での自由ということは私は許されないのじやないか、やはり適度の調整と、まあ見方を変えて言えば或る意味での統制というものは必要であるというふうにも私は考える。この食管法の改正という問題はそういつた意味合では、大きくこれを考えればそういう段階にあるのではないかと思うのであります。ただ今までのようないわゆる割当制度によつて買上げるとか、或いは又配給の切符で以てクーポンで物を売渡すとかそういうような手数は一切省いた、そういう点においてはこれは統制は廃止されたというふうに見えると思いますが、只今お話のような面からこれを見れば、やはり決して単なる自由放任政策ではない、又自由党は單なる自由放任政策を絶対やるものではない、今日の日本のあらゆる全体を通じまして、最も賢明なる道を歩んで行かなければならんと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/28
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029・小林孝平
○小林孝平君 政務次官の御説明、甚だよくわかりましたけれども、端的にお尋ねいたしたいのは、要するに現在の段階においては自由の中に或る程度の需給調整は必要である、而もこれは相当強力なる需給調整であろうと思うのでありまして、そこでこれを提案理由のように統制廃止と、こういうふうに言われるのは間違いではないか。今政務次官が御説明になつたようなことは国民にはわからない。今までの自由党に対する考え方から行けば、相当変つた感じを與えておるのでありまするから、この際又この改正された法案の内容も実質上統制廃止でないのでありまするから、はつきりとこの点は今回の改正は單に管理方式の改正である、変更であるという点を明確にされる必要があると思うのでありまするので、重ねてそういうふうにお考えになるかどうかという点だけお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/29
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030・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) この先ほどの御質問はこれは統制の技術の問題、技術的な解釈でなく一つの哲学的な考え方と申しますか、その政治的の考え方の上から立てば、先ほども申上げましたように、いわゆる自由の中の統制であるというような考え方で進めておるわけであります。ただ、今までの供出制度或いは配給制度というその統制技術の面から見ますると、今度の分はそういつた末端の点を縛らない、飽くまでも自由にやつてもらうという点におきましては、これは統制は廃止される、こういう形になるので、技術的にこれを解釈しますというと、問題を局限いたしまして、いわゆる技術という面から見れば、これは統制廃止であるということが断言できると思います。即ち大きく日本の農政、生産者とか或いは消費者という立場を考えて、又日本の置かれておるいろいろな国際情勢の立場、或いは食糧の不足の問題、自給度の向上をめざしてやる、而もなお且つ今日ではまだ外国からの輸入に仰がなければならないという点を考えますと、これはやはり国家全体としては需給の調整が必要である。従つて言葉を換えて言えば、或る意味での統制は考えなければならんと思いますけれども、統制という一つの技術の面から考えて見ますと、供出制度もなく、配給制度もないのでありますから、これは統制廃止というふうに技術的に考えて一向差支えないのではないか、これで矛盾はないものだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/30
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031・小林孝平
○小林孝平君 この点は又後日改めてお伺いをいたしますので打切りますけれども、その際に今申上げておきたいのは、技術の点からとおつしやいますけれども、食糧管理という大きい観点から考えると、供出配給制度そのほかに合せてこの需給調整のこの制度があるので、今技術の点とおつしやいますけれども、技術のその又一部である供出配給の点だけを取上げて、技術技術とおつしやるけれども、この管理方式全体というものが一つの技術である、こう思うのでありまして、だから次官のお考えから行けば、供出配給制度をやめるのであつて、何も統制を廃止するのではない、こういうふうに強力なる統制でありまして、技術的に考えましても、全部の生産者からの申入に従つて一定の価格で買う、而も今度の衆議院の附帯決議によれば、二重価格制を採用しなければならん、このために赤字が出たら国家の財政支出でこれを補填する、こういうことでありますから、技術的に考えても統制である。従つて次官は技術的技術的とおつしやるけれども、それは技術のうちの仮にそういう言葉を肯定するにしても、技術の一部分の配給供出の点について取上げて言われておる。こういうふうに私は解釈するので、重ねて申上げると、私は自由党に対して正確に国民の認識を得させるためにもこういう表現は非常に誤まりが多い、こういうふうに考えるのであります。この点ははつきりとこれは技術的見地からその供出配給の部分についての技術的操作をやめるんだ、こういうふうに天下に声明される必要がある、こういうふうに思いますが、これ以上にこれは御答弁の必要はございませんですが、又先ほどからいろいろお尋ねいたしましたのに関連いたしまして、いろいろ資料の提出或いは本日の御答弁を検討いたしまして、改めて質問することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/31
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032・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 一言だけ申上げます。この統制という言葉の一般の社会通念として受け取れる意味合と申しますか、私はやはり配給制度であるとか、供出制度というふうなものがなくなれば、これはやはり統制廃止と社会通念においてはやはりその言葉をそういうふうに受取るのではないか、ただ政府が需給調整をするというふうなことまで立入つてそこまでやるから、やはり統制は継続されておるのだと、そういうふうに一般国民大衆というものは私は受取らないのではないか、これはやはり国民大衆というものの統制という観念に対する受取り方、その辺を考えますというと、やはり政府の考えておりまする、提案の趣旨にも、弁明にもありますような、「これまでの供出配給制度を廃止すると共に統制廃止後の麦類の需給調整を行うため」云々ということで、やはり何もそこに矛盾がないのではないかと私はそう考えておるので、それはやはり受取る側の国民の統制というものの概念という点をどういうふうにつかむかによつて違つて来るのではないか、私どもはそう矛盾はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/32
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033・松永義雄
○松永義雄君 統制ということは、これはまあコントロールということで我我は解釈している。食糧長官にお尋ねしておきたいのですが、ここで麦の一応価格の点のコントロールの場合は別にして、自由販売に置かれる、こういう状態になるようでありますが、そうしますと、一体統制とかコントロールというものは或る意味に率いて、社会政策的の意味を従来持つておつたのではないか、先ずそれから食糧庁長官に一つお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/33
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034・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 主要食糧につきましては、やはり国民食糧は絶対のものであります。それが同時に経済の安定になるという根本には間違いありませんが、その形としまして、直接統制をやる時代と、或いは国民食糧でありますから価格安定をやる時代とございます。麦につきにましては需給の安定もいたしましたので、專ら生産者及び消費者のための価格安定施策をやる段階に来ておる、それをやはり政府が調整をいたしまして、それにおける統制は今後もきつく継続する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/34
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035・松永義雄
○松永義雄君 簡單やにお尋ねしたいんですが、それじや新たなる……、何という言葉でもよろしいが、今度の新たなる統制廃止というのは社会政策的な意味を含んでいるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/35
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036・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 社会政策というと範囲が広いのでございますが、消費者のための価格安定施策ということは、それは当然の義務でありますが、やはりそういう意味におきましては、社会政策的な意味があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/36
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037・松永義雄
○松永義雄君 それでは直截にお尋ねしますが、大藏大臣は麦飯を食つていればいい、こういうことを言つた。ところが米価の調節をやつておつた当時、稗や粟を食べなければならんような事情に陷れられたものが相当あるのであります。そのために紛争をやつて毎日を送つた事実はよく御承知の通りだと思います。ところでこれは私が申上げるまでもなく、今回は戰前と違つて非常な窮窟であります。これが幾分でも自由の方向へ向つて行くということは、あの豊かな米のあるとき、又米価調節が行われたときにおいても稗や粟を食べておらなければならんような段層があつた、ところが今のような窮屈なときに幾分でも自由な方向へ持つて行つたら、又麦どころか稗や粟を食わなければならんことになる虞れがあるんではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/37
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038・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 窮窟と申しますと、日本は食糧は絶対量が足りませんので窮屈でありますが、我々としましては、今日の段階で不足量の米麦の輸入を確保できる、ただ米につきましてはまだまだ均分配給をする段階でありますので、供出もお願いをいたしますし、通帳配給もいたしておるのであります。麦につきましては、需給価格その他の資料等を検討いたしまして、価格政策をやつて十分に行けるという段階だと考えます。従いまして消費者価格の考え方でありますとか、この法案で書きましたような、又今後の運用で行きますような方策をとりますれば、国民全体としての経済の安定に麦の統制撤廃がそう大きな影響があるというふうには考えていない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/38
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039・松永義雄
○松永義雄君 そこには見解の相違があると思うのでありますが、輸入すれば何とかそこで融通がつくと、こういうような話でありましたけれども、戰前のように朝鮮や台湾から楽に入つて來た当時でも、なお且つ稗や栗を食わなければならなかつた。それ以上土に窮屈なときに自由にしたらどういうことになるか、米が配給になつても米を売つて麦を食わなければならん人もある。更に麦が配給になつても稗や粟を食わなければならんような事情が一部にあつたと思います。それが麦が自由になりやがて米が自由になつてそうして米価調節と言つたつて普通の値段の幅だけでその値段にとりつくような層が国民全部であればいいけれども、若しそれに外れるようなものが出て来はしないか、まだそこまで……、仮にですよ、自由党さんのおつしやるように統制を外してもいい、こういうふうなお考えをお持ちになつてもそれは戰前のような豊かになつたときにやつて初めて意義があるのであつて今日この苦しいときに統制を外し、統制にゆるみをかける、或いは自由の方向へ幾分でも持つて行こう、こういう考え方は麦飯よりも更に稗や粟を食うことに追い込む結果になることを私は心配しておるのであります。それだから先ほどから聞いておるのは、配給することによつて万遍なく配られることによつてそこに経済の安定があり治安の安定があるのであります。それを麦すら食えないといつたような事情の伴うような経済事情が非常に強く現在存在しておるときに、何故に今急いでここで外さなければならないか、こういうのが私の考え方ですが、これは意見の問題になりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/39
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040・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 我々といたしましては、麦の統制を外すということは同時に大きな価格安定政策を背後に持つておるのであります。現在の配給制度、クーポンで麦製品をこういう形で買う管理方式を変えまして価格安定策をやることによつて実質的に物が確保できるであろう、同時に価格につきましても安定する、或る場合におきましてはよりいい品質のものが更に価格が下るという事態も考えられるというように麦について考えておるのであります。配給制度なり供出制度なりというものをもうすでに廃止いたしましても、政府がこういう形の調整をいたしますれば、何ら差支えないのじやないかというふうに考えておるのであります。あと、稗、栗になつて参りますと、これはやはり全体としての国民所得水準を上げて行くという別個の考え方とのかみ合せの問題でありまして、食糧価格政策としてはこういう制度で十分達成できるという確信の下に案を立案しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/40
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041・松永義雄
○松永義雄君 そこでちよつと東畑食糧長官の御答弁が延びて来ましたから、簡單にその点だけを……、提案理由の中に書かれております品質のいいものを選ばせるようにする、こういうことが書いてある。品質のいいものを作らせる、品質のいいものを選ばせるということは、これは自由主義でしよう、これはひとの話ではないのですよ、それじや一体自由党さんの話では統制を外すというお話は徹底しないじやないか、これは意見になるからこれでよします。若しお答になればお答えになつて下さい。又いずれ質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/41
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042・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私はこの法案の提案されたことにつきまして、あえて政令にはよらないで法律案で出しましたことに敬意を表します。この問題は非常に慎重に審議いたしたいと思つておりますが、詳細な質問に入る前に政府の考え方を質しておきたいと思うのであります。今松永さんからもお話があつたような懸念でありますが、一体、この前ああいうような経過をとりました麦の統制撤廃の問題を大分今度はいろいろ苦心された点は確かに認められますが、今年の米の供出がまあ二千五百万石せいぜいだ、こういう時期に、而も国際関係はこれは私以上に政府当局のほうが国際関係なり、或いは今後相当の軍備をしなければならんというようなそういう情勢はよく知つていると思うのですが、そういうような国内的に見ても国際的に見ても相当私どもは心配をいたしているわけであります。その時期に再びこういうことを出しましたのは、これは率直に見てどういうところを狙いとしてこれは出されましたか。或いは従来の供出制が悪い、供出制があつたから麦の増産の支障になつているということであれば又一つの理由がありまするし、或いは現在の管理方式では財政上の経費がかかるということで、財政上の負担を軽減するということであれば又一つの理由があるのです。その点は又御質問いたしたいと思いますが、一体どういうことが狙いで今年のこの時期にこの法案を出されましたか。その辺を一つ率直に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/42
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043・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 国際情勢の話はこれはちよつとあとにいたしまして、片柳さんも御承知のように、中央でプールいたしましたこの直接統制方式、これは物の足らないときにやつている制度でありますが、そのこと自体の欠陷というものは相当実ございます。供出制度そのものにつきましても従来いろいろな非難もあるわけであります。又割当そのものもなかなか合理的に行かない点もあり、困却いたしておりますが、技術的になかなかいい方式がありませんので、継続せざるを得なかつたのであります。又配給方式につきましてもいろいろ問題がある。麦につきましては御承知のように配給のほうはクーポン制、選択制、業務用は又クーポンなしにやつているというような制度で、漸次需給の緩和に伴い移行をしておつたのであります。供出等につきましても遺憾ながら御承知のように闇的なものが相当あることも事実であります。このこと自体は経済的に申しますれば、政府の売払価格との間を縫いました取引というものが漸次行われて行く。これは或る意味におきましては需給の安定ということも反映しているのでありまして、漸次緩和して来た一つの象徴であります。米につきましては、現在闇価格が非常に高く、実効価格がマル公に比べましてまだ相当高い。麦につきましては実効価格が非常にマル公と近接しているということ自体は現在の段階において現在の数量調整で大体麦の需給というものは安定をいたしている。これを直接供出制或いは配給制にすること自体よりは、より農家にとつてもこれは経営は自由になりますし又従いまして相当生産力は供出制度のときよりは価格的にも有利になるこれは生産力を発展さす大きな農政の価格政策の一環として私は考えてもいいのじやないか。配給のほうにつきまして、一番問題になるのは消費者価格が上るのではないかという一つの懸念は、これは日本としては麦自体が非常に足らないことは遺憾でありますけれども、輸入の量が相当ありましてこれは将来又日本の農業を国際価格から圧迫する一つの危檢性もあるのでありますが、政府がそれは管理いたしまして、一応国内価格と遮断いたしまして、管理することによつて相当の量を確保することができる。これを確保いたしますれば、市場の力というものは完全に政府が握り得るのであります。そうい丸しますれば、消費者価格においてそう大きな不安定感というものはこれはないという見通しをつけております。このこと自体は抽象的ではございませんで、CPSその他の分析資料を相当検討いたしまして、我々事務当局といたしましても、もうこういう形で統制の方式を変えたほうが農民のためでもあるし、消費者のためでもある、こういうように実は考えたのでありまして、それ以外の何ものでも実はないのであります。
国際情勢等につきましては、これはいろいろ見解の相違もございましようが、只今のところ麦の輸入量の確保の点については何ら不安もございません。又今後そうあるべきではないとかように思つておりまして、その点につきましても漸次日本の麦の生産力を上げて行くことによつて輸入を少くして行くという努力をいたさなければならんのであります。差当りの輸入量の確保につきましては、今のところ心配はございませんので、こういう形で漸次直接的な統制というものを間接的な価格調整にしたほうが農民の生産力もより上るし、消費者のためにもいい、こういうように実は考えまして制度を変更いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/43
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044・片柳眞吉
○片柳眞吉君 そこで字句の問題かも知れませんが、先ほど管理方式を変えるのだという説明もありましたし、只今統制方式を変えて行くというお言葉があつたのですが、これは私は内容的には大分違うと思うのであつて、小林君からさつき御質問がありましたが、私はこの法案で行けば確に管理万式の変更にはなるけれども、統制方式はこれはやめた。やはり統制というものは先ほど政務次官が言つたようなやはり割当制なり、マル公で配給するなり、供出をするということが配給の統制方式だと思いますが、そこでやはり私は政府側が統制はやめて、別途の管理方式をここで考えている、こういうふうに理解をするわけですが、そうなつて来ると、例えば法律の冒頭の第一条に「食糧ヲ管理シ其ノ需給及価格ノ調整並ニ配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」こういうふうになつておるのです。確かに米についてはこの通り需給及び価格の調整並びに配給の統制までやつておるわけでありますが、麦のほうは前段の需給及び価格の調整は確かにこの案で出ておりますが、麦の統制は明瞭になくなつておるものと理解をするわけですが、その辺が私の意見が間違つているかどうか。それが第一点。
それから配給の統制を外すということになりますと幾多の問題が派生的に起つて来ると思うのでありますが、これはこの前の米の統制撤廃の際にも私は御質問いたした点でありますが、今年の政府の計画でも三百五十一万トンの外国食糧を入れる、こういうことになつておりますが、この数量は大体現状並の食糧が我々国民の腹に入るということでこれが組まれていると思うのですが、ところが配給の統制なり供出制度をやめて行きますれば、麦の消費はもう自由になるわけでありますが、そうなつて来ると一部には人間の直接の口へ入りませんで家畜の腹に入るような飼料に麦が使われるという意味でもう一つの問題が出て来ると思いますが、それからもう一つは外麦は政府が全面的に管理をして第一条に書いてある需給及び価格の調整を外麦を中心としてやることになるわけでありまするが、こうなつて来ますると、これは観念的かも知れませんが、現在程度の食生活を保持するためには三百五十一万トン、これは絶対不足量でありまするからこれはもう当然輸入しなければならぬ。これはもう絶対不足量ですからこれは政府は計画的にそうすることになると思いますが、併しその価格調略なり需給調整をするということになれば絶対不足量だけではそれはそういう機能を発揮できないのでありまして、絶対不足量プラス・アルフアーを政府は輸入しませんと、こういうような需給及び価格の調整機能はできないという観念的にはそういうことが言えると思うのです。而も片一方では国内の消費としては人間の口には入らないで、家畜なりその他の方面に相当消費されるという可能性もあると思うのですが、そうなつて来ると輸入数量も従来通りよりも相当増加をしませんといけないのじやないかという、少くとも観念的には私は結論が出ると思うのです。そういうことに対する政府の見解をお伺いいたしたい。
それからその次にはいろいろ問題がありまするが、配給の統制を外すと、結局消費者には麦に関してはマル公配給は勿論なくなるわけでありまするが、
〔委員長退席、理事山崎恒君委員長席に着く〕
そうなつて来ると、政府が管理しておる麦を売る場合においては、これは相当の輸入補給金を繰入れて加工業者等に売却いたすわけです。全体で二百七十億というような相当巨額の輸入補給金が出ておるわけでありまするが、その輸入補給金を付けて高い外麦を安く売るということは、消費者のために売ると思うのでありますが、併し最終末端の消費者に行く場合にはこれはマル公がなくなつてしまうのです。そうすると折角政府は相当の負担をして売却をいたしましても、肝腎の消費者へ渡る場合においては或いは場合によつては高いものを買う、又は言葉を換えれば中間の加工業者なり、配給業者がその間に普通以上の利潤を獲得するという危険性があるのじやないか。これはまあ司令部があつた場合には補給金というものは配給統制というものとリンクしなければ必ず出せないというのが司令部の方針である、これは私は理論としては正しいと思うのであります。そういう点補給金を認めながら片一方では配給統制を、マル公配給をやめてしまうということは矛盾をいたすと思うのでありますが、ともかくその需給が安定したと言いまするけれども、私は要するに昨年の麦というものが非常な豊作であつて政府の買入数量はむしろ甘かつたのだ。ですから相当数量が横に流れてそつちを政府は殆んど取締をしておらないというのが、昨今の麦の統制が殆んど崩壊しておるということであると思うのです。これは予算委員会で政府からもらいました資料によつても、二十五年度においては麦の食管法違反の検挙件数が約三万九千件あつたわけでありまするが、二十六年度においては五千件ぐらいしか検挙しておらない、これは国警当局の答弁としてもそれは実体上麦については殆んど取締はしておらないような実情であります。ですから統制が崩壊しているのは、これは前の安孫子君にも私は申上げた点でありまするが、これはむしろ政府が崩壊するような態度をとつたのであつて、而も豊作だということがその大きな根本の理由だと思うのであります。ですから去年のことで今日を直ちに律するということも一つの危険があるのではないかというふうに思うのでありますが、まあ大体以上御質問いたしたい点につきまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/44
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045・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 第一の御質問は、第一条に関する法律問題だと思いますが、第一条の食糧を管理する、私は統制撤廃と言つたか知れませんが、これは管理のほうがいいと思います。管理するという形はこれは国自身がやはり国民生活の安定のために配慮をするわけでありますが、その態様といたしまして、その需給を調整いたしましたり、価格を調整いたしましたり、配給統制をやるというふうに解釈しております。おのおの商品の性格によりまして管理の態様をこの三つに制限をいたしましてその目的を果している。たまたま麦につきましては、配給統制は片柳さんのおつしやるようにこれは明らかに廃止するわけでありますが、需給及び価格の調整につきましては国が強力に管理をするという意味におきまして、第一条の目的としては矛盾じやないのじやないか。こういうように政府としては案は解釈をいたしているような次第であります。
第二の、統制を撤廃した場合にはほかの需要が起るのじやないかという御質問、まさしくそういう懸念も実はありまして、我々のほうといたしましても随分検討をいたしたのであります。農家のほうにおきましては、これはすでに飼料その他の保有等も認めておりますので、そう大きな需要はない。餌そのものについてはこれはやはり価格との関係にもなつて来るのですが、ふすまその他の副産物等も相当これは麦そのものから出ている現在でありますので、麦そのものの需要が統制の撤廃という一つの理由のために殖えるということは我々としても考えられないという実はいろいろ検討の結果、結論といたしまして、有効需要そのものの調査で、これはまあ非常にむずかしい問題でありますが、統制撤廃をいたしましても、そう需要というものは殖えないのじやないかというふうに私は考えているのであります。又ランニング・ストツクを相当持たなければならないのじやないかということはおつしやる通りでありまして、我々といたしましても統制を解く場合におきましても、又統制中でもそうでありますが、相当のランニング・ストツクは当然必要だと思います。現在大体百万トン、これは玄米換算でありますが、程度のものは常時持つているというような形において調整をいたしているのでありまして、飼料等もそういうような状況になつております。その程度の余力を持つ。なお相当先物まで手当をいたしておりますので先ずその点の不安もないのじやないかというふうに私は考えている次第であります。輸入量等はこれがために殖えるということは考えておりませんが、今後国内の、やはり供出制度よりは、或る有利な地区においては相当農家のための価格は私は有利になるというふうに考えまして、その方面の生産力というものも決して心配は要らないのじやないか、勿論本年若干の面積は減少いたしております。併しよく分析をいたして見ますと、麦の主産地におきましては菜種も殖え、麦も案は殖えているという状態であります。麦の生産地でない地域におきましては菜種という有利な種類の生産に相当転換しておりますが、価格そのものが合理的であれば決して生産力を落すということにはならないというふうに考えているのであります。
それからもう一つマル公を廃止した場合と輸入補給金との関係でございます。この点も一番又議論のある点だということはよく実は了承いたしております。輸入補給金が今日の段階では消費者のための補給金であるということは、これは当然でございます。従いまして、こういう形の管理方式を変えました場合に、輸入補給金をつけた原麦の安いものがそれが消費者のためにならないようでは、これは本当に意味がないわけであります。配給統制をしなければ輸入補給金を出さないということは、配給統制をし、マル公をつけることが一番輸入補給金を出すことには、一番これがすつきりしておるのであります。配給統制がなくなつた場合においても、製品の価格そのものに対しても政府が操作する自信があれば、これはその本質はちつとも変らない、輸入補給金をやめても構わない、やめてもいいという形式論は成り立たないというように実は考えておるのであります。問題は原料というものを操作することによつて製品の価格が上らないかどうか、こういう問題に盡きると、こう考えております。只今のところ政府としましては、麦につきましては、四分の三、全体として三分の二程度のものを管理いたしまして相当のストツクを持つておる、こういう大きな資金というものを動かしてストツクをしておるのは、今日の貧弱なる国民経済におきましては、政府以外に勿論これはないわけであります。政府のその大きな量の操作、而も我々といたしましては相当これは計画的に、事前に政府の配給原麦数量というものを公表いたしまして、先へ先へと発表をするということによつて、事実上の操作をいたしますれば、この原料に対する補給金というものが、製品価格にまで込められる等によつて上るということにつきましては、何らの実は懸念をいたしていないのであります。その点等につきましては、原麦操作によつて十分製品そのものが、競争の原理等も入ることによつて下るであろう、或いは安定するんじやないかというような実は確信を持つておりますので、決して輸入補給金そのものの性格は、末端において変つて来ないというように実は考えておる次第でございます。なお問題は地域的に非常に山奥でありますとか、そういう地帶等につきましては、これは輸送その他からなかなか困難だという事情等もあり、地域的にはそういうものを製品にして政府が輸送するということも考えられますので、若干の委託加工制度もやはり残しまして、精麦製品等を政府が手持をいたしまして随契等でこれが売払い等を考えて参りますれば、その方式で参りましても差支えないんじやないかと、こういうふうに実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/45
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046・片柳眞吉
○片柳眞吉君 麦の需要が殖えないという点については、これは意見の相違でありまするから、余り御質問はいたしたくないのでありますが、ただ畜産局の方面で、参議院でも決議をいたしました無畜農家の解消の線に沿つて、家畜の導入ということに相当努力する、こういうようなはつきりした政策が別途にあるわけであります。家畜が殖えて来ればとにかく麦の需要が殖えて行くことは、これは私は理論的にも言い得ると思うのです。従つて需要が殆んど殖えないだろうという見解は、やはり相当の疑問を持つのであります。それから配給の統制をやめても輸入補給金は矛盾はしないということでありますが、これもやつて見なければわからんわけでありますが、ただ相当二百七十億というような相当巨額の国費を使つておるわけでありまするから、それをつけて安く国内に出しながら、中間の業者が不当な利潤を得るということを防止する保証はこれはないのであつて、この辺は更に又各論において御質問いたしたいと思いますが、そういう点からの関連で、更に御質問をしたい点は、衆議院でこの決議がついておりまするが、二重価格制をとるということでありまするが、生産者価格と消費者価格との間に相当大幅な二重価格制が布かれて参ることになりますると、政府は農家の希望に応じて買うという受身の恰好になつておりますけれども、その値開きが、非常に大きい場合においては、これは全面的に政府がやつてくれると、こういうことになると思うのでありますが、そうなつて来ると、結局非常に迂回した、手の込んだ管理方式をやるというふうな私は見方もできると思うのであります。それかも若しも二重価格制をやらないと、又やつてもちよつぴりした二重価格制しかやらんということになりますと、今度は農家は逆選択をいたしまして、工場に近い、或いは消費地に近い農村の麦は、逆にこれは一般の市場に販売されて、僻臓の地、不便な農村でできた麦だけを政府が買うことになつて、そうなつて来ると、結局コストの高いものだけを政府が拾い集めるというような事情も出て来ると思うのでありまするが、
〔理事山崎恒君退席、委員長着席〕
そこで果してその二重価格制を本当にやるというつもりかどうか。衆議院における御答弁もあつたと思うのでありますが、又これは米価審議会でも御質問いたした点でありまするが、果して大蔵大臣なり、政府全体としてこの法案を読み、又説明を聞きますれば、現行の食糧管理法でも二重価格制が当然できるわけであつて、米は生産費を基準として買うと、消費者価格は家計費を見てやるということから、現行の食糧管理法でも二重価格制が布かれるものが、布かれておらない。でありまするから、果して二重価格制をやるという完全な、そういう意識的な、又政策的な十分な決意なり考慮があつて、果してこれをされておりますかどうか。これは政務次官にお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/46
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047・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 政府が買上げます価格と、それから消費者価格をできるだけ現行水準以上に上げないという建前で行いまする場合に生じます赤字ができた場合においては、これは当然一般会計からそれを補填する建前になると思います。で、あらかじめ二重価格と銘を打つてやろうというような考え方ではないのでありまして、政府のこの食糧管理におきましては、できるだけ赤字を出さないで、特別会計の枠内で賄うという建前をとつておるわけでありますが、たまたま赤字が生じたという場合におきましては、これは一般会計から補填するという考え方なのであります。ただ先般衆議院のほうの農林委員会で決議がございまして、買入価格のほうは二十五、二十六の年度を基準とした方式で買上げるようにということ、それから消費者価格については現行の水準をこれ以上げないというようなことに対する決議がありました。こうなりますと、政府の現在やつております特別会計において、或いは或る程度の赤字が發生することがあらかじめ予想されるのであります。それに対しましては善処をいたすという大臣の答弁でございまして、これをはつきりした二重価格制度を採用する方針にはつきりきまつたというふうに御解釈下さることは、少しまあ違うんではないかと、ただこの問題は非常に大きな政策としての問題でありますが、現在決議案として御要求になりました事柄も格別はつきりした二重価格をとろうというような意味合ではないのであるというふうに私どもは解釈をいたしまして、まあできるだけ再生産の確保を旨とするということを以て買入れをする、それから売渡しのほうにおいては現行価格水準以上には高くしないということの意味を、政府がはつきりした二重価格をとる方針だというふうに御解釈をされると、少し我々の考え方とは達つて来るわけであります。そこまで強い決意を持つておるというわけではございません。まあ赤字が出た場合には、相当大きな赤字であつても、これは止むを得ず一般会計から補填する、而もこの御決議の趣旨に副うならば、これはどうも相当の赤字が出るから、出ても止むを得まいということの決心はしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/47
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048・片柳眞吉
○片柳眞吉君 この点は又改めて広川農林大臣の御出席を得まして質問いたしたいと思います。ただ私も初めから目的的に二重価格をやろうということを申上げておるのでないのであつて、生産者価格は生産者価格で以て再生産できる価格で買うのだと、消費者の価格は第四条の三でありますが、要するに家計費その他の事情を勘酌するということになれば、結果においては二重価格制が当然起るという点をはつきりしておればいいので、麦だけそういうことをやつておりまするが、現在の米についても当然二重価格制が予定されるわけでありまして、米、麦について、両方とも二重価格制が結果において起るということを、はつきりこれはもう政府が断言して頂くかどうかが、我々としても重大な問題でありますので、重ねて広川さんに御質問いたしたいと思います。
それからその次に、これは小林君の御質問になつた点と多少ダブつておるかと思いますが、今度の改正案によりますると、生産者価格のほうは少くとも米の買入価格を規定した第三条の二項の文章です、それから麦のほうの、第四条第二項に規定しておる麦の買入価格のところは、少くとも文章が違つておるわけであります。文章が違つておるということは、内容も違つておるというふうに我々は思うわけでありますが、ここで端的に御質問いたしたいのは、米はまあ供出制が続くわけでありまするが、この供出価格と新管理方式による麦の価格とは、これは考え方が違つておるかどうか。又違つておらんということなら文章を変える必要はないと思いますが、その点が一点と、それからもう一つは、極めてこれは卑近な質問でありまするが、一体米と麦でどつちが生産者に有利であるか、どつちの方式がこれは農家にとつてベターであるか、その点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/48
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049・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 第四条の第二項と第三条の二項の各決定方式、明らかにこれは文章も違いますし、内容の違いもあります。第四条には明らかにこれはバリテイ方式というものを基準として麦の生産事情、米価というものを参酌して算出するのでありますが、米のほうは生産費、物価その他の経済事情を参酌してというように、明らかにこれは価格体系の立て方としても違うのであります。たまたま米につきましては終戦後パリテイ方式をとつております。場合によりましてはパリテイ方式の算定のほうが、生産費のとり方、勿論いろいろありますが、農林省で今まで考えておつた算定方式であれば、パリテイ方式のほうが有利に出た場合もあります。不利に出た場合もあります。おのおの商品の性格、調査等によりまして、麦等につきましては、現在の段階では、この方式でやるのが一番合理的に行けるんじやないかというように考えております。算定方式は違いますけれども、根本の考え方の方針、精神におきましては、これは米麦とも一致しております。方式は明らかに違う、どちらが有利かと申されましても、政府としましては、共に均衡のある価格で決定をすべきであると、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/49
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050・片柳眞吉
○片柳眞吉君 ちよつとわからないのですが、文章が違つておれば内容も変つておる、ですから少くとも考え方としては、一体供出價格と指定買入價格とは、やはり何らかの、少くとも観念的に米は供出をするんだから、これはこつちは少くとも有利という考え方が出て来るんじやないかと思うのですが、これは若し政務次官から明快な御答弁が伺えれば幸いと思いますが。
それから價格関係でもう一つ質問いたしたい点は、消費者價格の第四条の三の規定で、先ほど補給金とマル公制度との関係を御質問いたしましたけれども、消費者價格をきめる場合には、第四条の二項の規定を準用しておりまして、家計費、物價、その他の経済事情を参酌してこれを定めるということになつておりますが、ところが私の記憶によると、第四条の二項の家計米價というものは、何といいまするか、家計費の中で占めておる娯楽費であるとか、そういうまあ第二義的の家計費の一部を主要食糧の買入に振替えるということが家計米價の観念じやないかと思うのですが、恐らくまだ詳しく見ておりませんが、省令はそんなふうにできておると思いますが、同じ規定を準用しておりまするが、この間の説明を聞きますると、家計費が上つた率だけは、麦の價格が上つてもしようがない、まあ言葉を換えますれば、家計費全体の中で麦を買う支出の比率が変らん限りは、これはまあ上げないで行くと、こういう説明がありましたわけでありまするが、これ又同じ辞句で米の家計米価とこれを準用した麦の標準価格の決定の場合とは、規定は準用しておりますから同じであるが、その実際の適用は異にしておる点が、先に米と麦の生産者価格、これは文章が同じでも内容が変つて来ると、又逆な関係が出て来て、この辺がどうであるか。それから消費者価格を最近の家計費を基礎として、家計費が全体に上つて来れば、上つただけは麦の価格は上げてもよろしいということでありますか。これも現在のエンゲル係数が、まあ政府は多少下つたと自慢にしておりますが、それにしても半分以上は食糧の費用に家計費は使われておるのです。五四・五%ということでありますが、その率をベースにして、消費者価格のほうはいいのだということは、これはちよつとひど過ぎるのではないかという感じを持つのですが、だからどうしても米のほうの家計米価と、四条の三の三項で準用しているのは、これは逆に文章は同じであつて内容は違つて来ているということが出て来ると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/50
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051・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 私に対する御質問の分についてお答えいたします。第三条二項と第四条の二項との違いでありますが、私は米に対しましては、これはここに規定しておりますように、生産費及び物價その他の経済事情を参酌してこれを定むということでよろしい。つまりパリテイ方式によりまして生産費が変つて来る。経済事情が変つて参りますときには、従来と同様にやはりバツク・ペイ等の方法も米の場合はあるわけであります。ところが麦の場合はこれはもう買い放しでありまして、あらかじめ再生産に備えて経済事情その他いろいろな事情を考えまして、そうしてまあこの辺で大体よかろうというあらゆる点を考慮しての価格が発表されますれば、それに上つて希望があれば買うわけであります。これはあとから物價の値上りがあつたからといつて追払いをするというようなことはないのであります。従つて米の場合はあとから追払いという制度もあるので、これは飽くまでも今までにかかつた経費というふうなものを基準にして考えて行つても差支えないのじやないか。ただ麦の場合はあとから払えないということをいろいろ考えると、その当時の国内における経済事情というふうなものを考えませんというと、或る時期を一つの基準として絶対に動けないようなことになつておりますというと、非常に困る場合がある。従つて或る程度の弾力性を持つた再生産価格というふうなことにしないとうまく行かないのじやないか。そこに多少考え方の違いが出て来るのじやないか。まあその辺は文章として考えて見ると、まああとから衆議院のほうの委員会で修正になりまして、再生産価格云々という非常に貴重なる文句がここに挿入されたわけでありますが、その辺が非常に大きな意義を持つものだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/51
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052・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 私に対する御質問の技術的な点をお答え申上げます。今度は家計費の問題でございますが、米の家計費の規定をそのまま実は形式的に準用をいたしております精神がこれは違うじやないかという御質問であります。米穀統制時代の家計費というものは、片柳さんのお話がありましたように、バツク・ペイというものを基礎にとりまして、いろいろなものを節約して出せるという観念があつたのでありますが、現在の食糧管理法では実は正確には何ら家計費の定義も、限度も実は置いておりませんで、家計費より毎年これを定めるというふうに簡單な制度になつております。従つて毎年やはりCPS等から来ましたエンゲル係数等を斟酌しまして、家計に実質的な負担にならないような、或いは免税とか、いろいろな制度とからみ合せて米の値上りを考えているのであります。今回の麦の家計費を基準とするということにつきましていろいろ検討の結果、何だかやはり政府としてはつきりしておいたほうがいいのじやないかというふうに考えた結果、やはり言葉は変でありますが、麦エンゲルと言いますか、麦の支出限度をそう上げないということは考えられます。東京都の家計費調査等から見ると、まあ二十五年、二十六年が大体全体の家計費の四三%と漸次下つて来ているのであります。その程度のものを基準として今日の家計費をきめるとか、それを先ず最高限度として入れる。勿論決議等の趣旨もあり、本年度の予算等における価格は我々が今推定します家計の最高限度よりやや下になる。確か五百五、六十円まではこれは行けるのではないかと考えております。何らかこの点も米とそう根本精神は変つていない基準を置いたらいいのじやないかというので、麦エンゲル係数的なものを限度としてはどうかという、こういう考え方をしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/52
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053・片柳眞吉
○片柳眞吉君 只今御答弁がありましたが、政務次官の御答弁によりますると、私が疑問の感じを持ちましたのは、麦のほうは今度はバツク・ペイもきまつた価格で買うということにして、米のほうはバツク・ペイがあるという点が違うというのでありますが、これもさつきの小林君の質問と関連して来ますが、こういうふうに対照的に、米のほうは生産費、物価その他の経済事情を参酌してきめる。麦のほうはパリテイできめる、こういうふうに書いてある。今度は法律をこの通り書けば米のほうは大体生産費基準価格になるので、生産費基準価格になればこれはむしろ米のほうがバツク・ペイという問題が起きて来るのです。ところが政務次官の御答弁の通りだとすれば、米のほうは従来通りの、占領下にあつたと同じようなパリテイでやるのだとおつしやつているようにも聞える。その辺が矛盾するのじやないかと思います。
それから東畑長官の答弁でわかりましたが、今度そうすると逆に言いますと、麦の価格は今言つたようにきめる。標準価格はそうすると米のほうも、同じ米に関する今度は米のエンゲル係数的な価格ということになると、米も麦も家計費の上つただけは消費者価格は麦も米も上げてよろしい、そういうことになると、いよいよ米麦両方とも現在のエンゲル係数が仮に五十四としますと、これ以上は下らんのだ、こういう実は消費者としては私は大きな問題になると思うのであります。その点がどうもそうなると思うのですが、そうなつて来ると、これはやはり同じ規定であれば、同じ解釈をとれば米もそういうふうになつて来る。又消費者価格としては一つの大きな問題ではないかというふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/53
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054・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) ちよつと言葉が足りませんでしたが、主食係数というか、エンゲル係数のうちの米麦係数と申しますか、主食係数でございますので、大体一八%ぐらいのものと考えております。麦につきましては先ほど申しました四五%、米をそれじやそういう麦と同じように政令で書くにおいては、これは米価審議会等の意見も十分聞きまして考えたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/54
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055・羽生三七
○委員長(羽生三七君) なおまだ御質問もあろうかと思いますが、本法案に関する質疑は明日に譲りまして、次に片柳委員から御要求がありました塩価の件に関しまして若干時間をとりたいと思いますので御了承願います。なお、先ほど小林委員から御要求のありました資料を成るべく速かに御提出下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/55
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056・片柳眞吉
○片柳眞吉君 食料塩の関係で政府当局に質問をいたしたいのですがこの問題は実はもう数次当委員会でもいろいろ御質問をいたし、又政府からもいろいろ御答弁を頂いておるのですが、私どもといたしまして特にこの際お聞きいたしたいのは食料塩に関してああいうような申入を当委員会としてもいたしておるのであります。政府においてもできるだけ善処をいたしたいというような御答弁もありましたのですが、ところが現在この国会にそういう問題があるにもかかわらず、水産関係の漁獲品に使う塩について特別価格を設定するという法案が実は政府から提案されておるのであります。これは非常に私は当委員会としては心外に思うのであつて、あれだけの我々が要望をいたし、又相当詳細な質疑を本日までにいたしておるわけでありますが、それにもかかわらず殆んど当委員会には正式のお話もなくして、水産製品に使う塩については特別に安く売る、こういう法案を出されましたことは、実は甚だそのいきさつを私は遺憾に思うのであります。塩が安くなつて水産製品が安くなることそれ自身は何ら異議はないわけでありますけれども、あれだけの経過をとつておるにもかかわらず、味噌、醤油なり、或いは漬物用なり、或いは家畜にやる塩等を据え置いてああいう措置をとつたことは、極端に言えば我々の委員会の申入を殆んど無視しておるというような実は感じがいたすのであります。而も專売公社の経理内容は塩に関しては殆んどもうぎりぎり一ぱいである。ですから特別価格の分野が殖えて来ることは結局残された食料塩のほうに場合によつては負担が転稼をされるという危険さえ今後予想しなければならんと思うのであります。そこで我々の要求を御承知でありながら、特に水産製品についてああいう法案を出されましたことにつきまして、これは農林当局及び大蔵関係から一つはつきりした我々の納得の行く御説明を承わらないといかんと思います。それが第一であります。
それからもう一つは、輸入価格が多少予算と申しまするか、予定価格よりも下つた関係で、この間若干この値下をされたようでありますが、この値下をされたのもたしか食料塩が五百円でありましたか、それから工業塩等が七百五十円ということで、この値下の関係も又我々の従来の要望を殆んど容れておらんじやないかという実は感じを持つわけでありますが、どうも我々が真劍に議論をして、又公文で申入れておるにもかかわらず、政府提案としてああいうことを出されることは我々の申入を少くともこれは無視しておるというふうに考えておる。甚だ遺憾であつて、これは農林省も恐らく御相談があつたことと思うのでありますが、結局水産製品の特別価格それ自身に私は反対するのではなくて、他の関係等なり、従来のいきさつから甚だ心外に思うわけであります。以上の二点につきまして、政府当局から、特に農林政務次官からは一つその辺がどうなつておりまするか、お聞かせ頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/56
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057・久米武文
○政府委員(久米武文君) 只今の塩蔵用塩の特別価格の問題及び一般用塩の値下の問題、これにつきましてお答えいたしたいと思います。先ず従来当委員会におかれまして、できるだけこの一般用塩の価格を下げてくれ、一般用塩の原価と申しますか、コストに応じた適正な価格で以て塩をできるだけ安く売らなければならないという御意見に対しましては、私ども大蔵省の者といたしまして、又專売公社で実際に事務を担当しております者としても全く同感でございまして、そのためにはこの日本の塩と申しまするものは、国内の塩田で生産される塩と外国から輸入する塩とがございまして、大体のことを申しますると、国内の塩田からは予算上は大体六十万トンくらいの収納というものを予定いたしております。実際の収納はこれよりもやや内輪になると思います。これはトン一万三千円で塩業者から專売公社が買つておるわけであります。それから輸入塩は予算上百七十万トンでございまして、百七十万トン中百二十五万トンをソーダ工業用、つまり苛性ソーダ、ソーダ灰製造原料としての塩に予定いたしております。残りの四十数万トンというものが一般用塩に廻るわけでございます。従いまして、ソーダ工業関係を除外いたしますると、約百万トンの販売のうち、專売公社として一般に売ります百万トンのうち、国内から出て来るものがその六割の約六十万トン、それから輸入から出て来るものが四割の四十万トン、そういうふうな状況でございます。従来この国内製塩につきましては、塩田の各種の設備を近代化する、経営を合理化する、或いは政府資金を低利で供給するというふうなことで合理化を図つて、国内製塩のコストをできるだけ切下げる。輸人塩につきましては、できるだけ安い塩を獲得するというふうに努力する。要するに取得原価を下げ、できるだけ低くし、又公社における取扱の経費、例えば廻送いたしまするとか、保管しますとか、諸取扱経費をできるだけ節約するということによりまして、塩の原価というものをできるだけ下げるということによつて、一般価格を下げるという努力をいたして参るということが一つ。去る五月一日に一般用塩につきましてトン当り五百円の値下げをいたしました。それは従来当委員会におかれましていろいろ御指摘になりましたような御主張に対して、そのラインに沿つて努力して参つた一つの経過的なステツプでございまして、なお本年度の経過中におきまして、本年度末までの間におきまして、只今申しましたようないろいろの努力は続けて参りたい。そういう努力を続けて参ります段階におきまして、一般用塩の価格が今後下げ得る段階が来ましたら、又下げて行くというのが基本的な考えでございます。
それからソーダ工業用塩につきましては、これはソーダ工業というものが国際市場で以て競争する、英米の商品と競争するということで、国際競争力の点に着眼しまして、特別価格が従来設けられておりますが、この基になつておりますのは原塩でございまして、原塩の主たる構成要素は船賃でございます。船賃は本年度予算で予定しましたのは船賃含みのCIF価格というのは一トン二十ドルと予定してございましたが大体本年上半期四月——九月の買付の契約の単価というものを見ますると大体十八ドルぐらいになつております。そこに二ドル程度の値下りが出て参りました。従いましてこのCIF価格の二ドル程度の値下りというものをソーダ工業については完全に何と申しますか、その値下りの利益をソーダ工業に返してやるという意味におきまして、約二ドルの値下げを五月一日に実施したわけでございます。つまりソーダ工業につきましては全部輸入であつて、輸入塩の値下り分だけそこで値下げをしたというわけでございますが、ソーダ工業はこれは今後若し船賃が或いは逆転をして若し上るというふうな場合には又上げるという含みを以て、そういう意味におきましてソーダ業界からは大体四半期ぐらいにCIF価格にスライドしたところの価格で以て或いは上げ或いは下げるというような政策が望ましいということでございましたのですが、併しながら專売公社の事業の損益をみたり或いは予算を経理したりするというふうな見地もございまして、大体半年ぐらいの趨勢を見ながら上げ下げして行くというつもりでございます。
一般用塩につきましては、今後現在のCIF価格が継続しますと仮定いたしますれば、なお今後若干の値下げの余地はございますが、この一般用塩につきましては、余り一遍下げたものを又上げるということは成るべく避けたいということでありまして、ここ大体年度の見通しを立てて余り変動のないところの価格を、而も適正な価格を打立てて行きたいということで考えております。
なお、先ほど申しました通り、常に取得原価を安く、又取扱諸経費をできるだけ節約するということによつて一般用塩は安く供給するという根本的な観念、及びその根本的な観念に基く努力というものは今後も続けて参るということは固く御約束する次第でございます。
なお、塩蔵用塩の問題はこれは皆さんよく御承知の通りでございますが、非常に古い問題でございまして、実は皆さん御承知と思いまするが、昨年の二月に閣議決定をいたしまして政府提出法律案を用意したのでございます。ところが司令部の中で、大多数の関係部局はOKを與えてくれたのでありますが、物価を担当する或る係官が実は事務的に反対をいたしました。その結果司令部から正式のOKもなく正式の拒否もない、一種の握りつぶしの運命に逢着したのであります。政府といたしましては、その当時からいろいろ司令部折衝を続けて参りました。その後昨年の夏から秋にかけまして、政府を鞭撻されるという意味におきまして、又塩蔵用塩に対する特別価格というものが広く国民の間の盛り上つた輿論であるということを示すためには、国会の各政党党派を超越した問題として司令部に折衝するのが賢明であろうというふうな御意見が有力となりました。その結果昨年秋自由党、社会党、民主党三党の政調、或いは政策審議会と申しますか、そういうような機関で御相談がございまして、三党の共同提案として昨年秋対司令部折衝が行われたのであります。併しその際にも春の政府の行いました対司令部折衝と同様にやはり正式のOKが得られない。今年になりまして三月頃から、政府提案であれば司令部としても認めようというふうな反対者の意見が緩和いたして参りました。そういうような空気もありましたので、国会のかたがたともいろいろお打合せをいたしまして、政府提案として提出いたすということに相成りました。この塩蔵用塩は漁獲物の塩蔵の費用を引下げることによりまして塩蔵製品の供給を殖やす、農山村における動物性蛋白質資源の供給を殖やし、安く供給するという重要な政策を担つておるものでありまして、そういう意味で御了承を願いたいと思います。なお一般用塩の五百円値下げの問題は或いはあらかじめ御相談しなくちやならないかとも考えたのでございますが、一般価格のこの値下げということをあらかじめ申しますると、どうもこの塩の元売り、小売りの段階でいろいろ妙なことが起りますので、そこのところは非常に実際問題として悩みの種でございまして、そこら辺の事情もよろしく御推察を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/57
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058・片柳眞吉
○片柳眞吉君 前段縷々お話になつた点は、これはまあ大体承知しておりますんですが、ですからこの場合の我々の申上げることは、速記録で御覧頂けばわかると思うんですが、要するに特別価格制度というものが一つの根本的な検討を要するのじやないだろうか、こういう見地からまあ申上げておつたのでありますが、今日は時間がありませんから、もう詳しいことは申上げませんが、要するに塩の専売制というものが果して特別価格制度をやることが適当かどうか。専売益金を挙げるわけでもない。要するに需給調整をすることと国内塩業を保護する、それはいいと思うんですが、要するにそれを私どもはプールすることがよろしいんじやないだろうかという建前で申上げているんです。まあ詳しいことは速記録で一つ御承知を願いたいと思います。従つて今度の五百円でもやはり二ドル下れば七百二十円下る。それは工業塩のほうが七百二十円、それから食塩は僅か五百円、やはり値下りの率も低いのじやないか。これでは我々の要望の全面的な解決には殆んどなつておらないということを申上げているわけでありまして、閣議決定をしたからという…、この閣議決定はおかしいということを言つているのであります。権蔵用塩が安く供給されることは問題はない。併し片一方味噌、醤油、そういうものが高くなつてはこれは困るし、むしろ何といいますか、横の不均衡という考え方がどうしても説明がつかんのじやないか。何か益金でもあつて、益金を減らしてそれで特別な価格を作るというならこれはまだ意味があるんです。特別価格の幅が殖えて来れば、場合によつて一般の用塩がそつちへ逆転嫁をされるということを心配をいたすわけであります。経緯はわかりましたけれども、どうもそれでは説明にならんということを今日は申上げまして、これは又大蔵大臣等に別途の機会に御質問を申上げたいと思いますが、政務次官、その辺の御事情を御承知でなければ別の機会でも結構だと思いますが、どうもやはり漬物、味噌、醤油、これ又国民の生活必需品であり、これを放つておいて、あえて政府提案で塩蔵塩を引下げるということは却つて変な刺戟を與えるという感じさえ私はある。或いは又詳しいことを御承知なければ後刻で結構でございますが、その辺の事情を御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/58
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059・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 塩のことは殆んど事情も何も知らないで只今伺つたのでありますが、只今伺つたところによりますと、どうも塩蔵用とか工業塩の分だけは特別価格を設けて、一般用塩については特別価格がなく、而も今度の値下りについても工業用の分は運賃の差額全部を引下げているが、一般用塩については五百円というふうなことで、まあ国民の、これは全国およそ塩を使わない国民は一人もいない、いずれの家庭におきましてもみんな塩を使つておる、而も味噌、醤油、或いは漬物、その他日常の生活必需物資として、塩なくして一日たりとも生きておれない、誠に生命の米麦に次ぐ重要なかてであるという点を考えますときに、どうも一般用塩について何ら考慮しないということは、お話を伺つておる範囲によりますと、何だかおかしいようにも思うのです。ただ塩は非常に大量になめるものでもないので、あの通り塩つぱい物ですから、家庭経済というふうなものの生計費に及ぼす影響という点は、或いは特別な味噌、醤油をやつておるような業者ならこれは非常に大きいでしようが、一般家庭には塩の値段はそれほど大きくは響かないというような点から見て、或いは一般用塩については殆んど何ら考慮していないということであるとすれば、これは甚だ遺憾だと思うのであります。その点はよく勉強しまして、一つ妥当な価格にこれをお願いするようなことで、農林省としましても特にこの問題は十分検討いたしまして、大蔵省のほうにも要望を申上げたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/59
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060・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 只今の件については、先ほど片柳委員から御発言のありましたように、当委員会としては再三検討をして文書を以て申入をしたわけでありますし、只今の応答の中にありましたように、日常食料品として必要な塩が比較的他の特殊用から見て不均衡にあるということはもう明らかなる事実で、確かに一面動物蛋白給源を農村に供給するということで、塩蔵関係の価格引下も理窟に合わんことはありませんが、併しそれは片柳委員からしばしば御指摘になつたように、こういう特殊価格というものを認めておつていいかどうかということは非常に疑問のあるところで、当委員会としてはしばしばこの均衡といいますか、プール制といいますか、そういうものを主張して来た建前もありますので、なお、只今政務次官からも御答弁がございましたけれども、重ねて将来も御検討を希望いたすわけであります。
本日はこの程度で散会いたします。
午後四時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X02919520507/60
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