1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十二日(月曜日)
午後二時七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事
西山 龜七君
加賀 操君
山崎 恒君
委員
瀧井治三郎君
宮本 邦彦君
飯島連次郎君
片柳 眞吉君
三浦 辰雄君
小林 孝平君
三橋八次郎君
松永 義雄君
衆議院議員
小林 運美君
吉川 久衛君
政府委員
農林政務次官 野原 正勝君
食糧庁長官 東畑 四郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
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本日の会議に付した事件
○食糧管理法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして前回に引続いて質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/1
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002・松永義雄
○松永義雄君 私のお聞きしたいことは、この間中から長官の言われました外貨の点でありますが、昨年の米麦の輸入金額及び今年の米麦の輸入の見通し金額、若しおわかりになりましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/2
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003・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 昨年の実績は取調べまして申上げますが、二十七年度の見通しは、前回に申上げたかと思いますが、四億一千二百万ドルという実は計画をいたしております。その中でドル地域が二億五千六百万ドルというのが当初の実は計画でございました。勿論これは価格その他によりまして若干の狂いがございますが、二億五千六百万ドルを除きましたものがポンド地域と、いわゆるオープン・アカウント地域から来る計画になつております、ポンド地域から来るものが五千八百万ドル、オープン・アカウント地域のものが九千八百万ドル、合計いたしまして一応四億一千二百万ドルという計画をいたしております。その後米等が若干政府が計画いたしましたよりは値上りをいたしておりまするので、米の必要資金がもう少し殖えることになるかと実は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/3
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004・松永義雄
○松永義雄君 私の持つておる数字によると、四億二千万ドルになるのですが、この点は別にしまして、昨年の米麦の輸入金額は三億九千百万ドル余になつておるのですが、幾らか殖えておることにもなるのですが、それはどういう理由でしようか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/4
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005・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 二十六年度は米が大体七十万トンぐらいと考えております。本年は予算で百万トン以上の計画をいたしておりますので、米自体が非常に殖えておるといことが外貨所要額が狂いました大きな根本であろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/5
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006・松永義雄
○松永義雄君 これは或いは通産省へお聞きすることになるかと思うのですが、新聞紙上では外貨予算が今変更されつつあるというのだそうであります。当初計画したところによると輸出が十五億ドル、輸入が約二十億四百万ドル、それが最近の輸出入がうまく行かないので十三億ドル、悪くすると輸出が十二億ドルぐらいに落ちはしないか。自然に又輸入のほうも十八億ドルぐらいになるのだそうです。そうすると、そういうことになると我々の素人常識になるのですが、輸出の金額が減つて来れば輸入の金額が減つて来る。そうするとその割当が一体米麦の輸入のほうへどういう影響が及んで来るかという点を一つお尋ねいたします発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/6
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007・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 本年から外貨予算は二期に分けて、上期と下期とでやつております。輸出のほうが落ちました場合におきまして、輸入計画というものは結局輸出の場合に貿易外の收入というものが相当ございます。貿易外收入と、特需と、輸出とこの三つを合せまして、貿易外支出を引いたものが大体輸入計画になるのでございます。輸出の問題は貿易外收入と特需の問題とがからみ合いまして実は輸入計画を作りませんと、輸出即輸入というわけには実は参らないのであります。最近二期に分つて外貨予算を組んでおります。今のところまだ我々のほうはそれを変更するということは聞いておりません。下期の外貨予算を立てます場合は大体上期の実績その他の見通しをつけてやつております。現実只今のところ米等が我々が考えておりました上期の外貨予算に対しまして若干單価等が上りましたために殖えております。そういうものは修正をいろいろ政府はいたしておる、そういう段階であります。年間を通した見通しは、安本長官が本国会で出されました以外に、農林省といたしましてはまだ何とも申上げるテーターを持つておりません。別途一つ責任者からお聞き願いたいというような状況でございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/7
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008・松永義雄
○松永義雄君 まあとにかく聞くだけは聞いて、お答えになる権限あるお役所から答弁を求めることはその際に譲りまして、この綿花の輸入のときに、大蔵大臣は手持のドルがたくさんあるのだからそれを向けたらいいのじやないか、こういうことを言うたことがある。我々としても一体そんなにドルをたくさん持つておることがどういう意味があるかというで、いろいろの予想、推測を持つていたのでありますが、現在三月末の外貨手持がドルで六億五千万ドルあるという数字になつておるのです。この間中長官は麦について二億ドルぐらい輸入する予定で、だから六億ドルの中から出せば二億ドルぐらい直ぐ出る。大雑把に一人よがりの計算を出せば出し得るのでしようが、とにかくこの手持外貨というものはポンドその他で十一億ドルくらいになつておるが、それがそのまま輸入せられて打つて、只今長官のおつしやつたように特需があるとか、貿易外收入があるから、それで何とかなるという、こういうふうにお話でありましたが、併し常識上輸出が減つて来れば輸入も減るんじやないかというふうに考えられるのですが、この米麦に対する、まあ殊に麦に対する割当外貨というようなものについて何ら不安を懐かれておらんのか、その通り聞いて間違いないのか、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/8
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009・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 勿論輸出振興をやりまして輸出によるドルを確保するということは、これは申上げるまでもなく日本としても非常に重要な点であります。問題を本年度の問題に限定いたしまして、又近い将来の問題に限定いたしますと、日本は輸出で得ますドル以上に貿易外收入、特需等のドルが相当実は確保できておることが現実でございます。従いまして全体として二億五千万ドル、麦類としまして二億ドル程度のドル資金が要るのですが、その程度は幸いなことに貿易外收入、特需、輸出ドル合せますと、外貨予算の編成もそう肉離なしにできるというのが現実でございます。一つの方向として輸出振興を図りますことは、これは当然のことであるというふうに実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/9
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010・松永義雄
○松永義雄君 それは、只今長官のお答えになつたことは農林省の考えでしようか。大蔵省なり安本或いは通産省から得た結論としておつしやつておるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/10
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011・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 外貨予算の配分は関係閣僚できめましたが、一つの総合計画の一環でやつておるのです。本年申上げました数字は農林省の数字のみならず、全体としての政府の方針できまりました食糧輸入金額の一応の計画であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/11
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012・松永義雄
○松永義雄君 最近その外貨予算が変更されると、こういう話を聞いておるのであります。然らばその外貨予算が本当にきまつて来なければ、たとえ農林省がこれだけのものを輸入するのにこれだけの外貨が必要だと言つても、実際上それだけの割当が来るかどうかということは、我々としては確たる結論を出し難いと思うのでありますが、農林省といたしましては計画だと言つているのですが、現実に外貨割当が来なきや実際に品物が入つて来ないのじやないかという点……。これ以上は意見になりますから、この点に関する質問はやめておきます。
それから第二に質問いたしたいとことは、我々が考えてみて、麦が統制の時には国家資本でこれが行われている。統制が外されたら一体民間資本はどういうふうにこれが入つて来るか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/12
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013・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 御質問の趣旨は、集荷なり運転資金だと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/13
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014・松永義雄
○松永義雄君 集荷、運転資金、販売、一切の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/14
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015・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) そういう流通資金につきましては、只今のところは国に全部集まるものでありますから、いわゆる国家資金がこれを買うわけでありますが、流通資金になりますと、農協でございますれば農協自体の資金が流れて行くわけでありますが、今日の農協自体はそれだけの資金的余裕がありませんので、国庫余裕金が必らずあるわけでありますから、その余裕金を中央金庫に指定預金をいたしまして、それを財源として流通資金が系統組織に流れて行くということで、国が集荷します資金と財源は大体同じでございますけれども、流れる組織が違つて来るという点が大きな違いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/15
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016・松永義雄
○松永義雄君 それはこう申しては失礼ですが、これは長官の希望じやないかと思うのですが、八百万石なら八百万石を買入れる。恐らく言われた日に申込があるだろうと思いますが、麦は一年間二千七、八百万石できるのじやないですか、そうして農家の自家食糧でこれを用いられて、そうしてその残りが外に出て行くのではないか。一体その分量はどういうふうになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/16
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017・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) よく八百万石と申上げますのは、実は玄米に換算をした数字でございます。従いましておよそ商品化した量を全部という意味でございまして、それを玄米に換算いたしますと、先ず八百万石という数字が従来とられておつたわけであります。これは勿論玄麦で申上げますと相当大きな量になります。過去の商品化事情等を検討いたしまして考えました数字でございます。我々といたしましてはおよそ商品化した量につきまして制限を解除するという一つの立場をとつておるのであります。現実に政府に集まつて参りませんと、それだけの金は余るわけでありまして、その余る財源は国庫余裕金から民間のほうへ流して行く、こういう相談を大蔵事務当局と完全につけておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/17
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018・松永義雄
○松永義雄君 それじや質問の向きを変えることになるのですが、一体日本でできる麦がどういうふうにお役所、農家、商人等によつて扱われるか、大体の、数字的にというと固くなりますが、大体どんなふうになつて行くのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/18
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019・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 実は麦類は長い直接統制なり割当供出の時代が続きまして、麦の統制撤廃後どういう形でこれが流れるかと言いますと、常識的に言いますと、政府にいわゆる最低価格保証で売られるものと、農協を通して売られるものと、商人系統を通して売られるものと、この三つの形体になつております。政府は最低価格保証で買うわけでありますが、その買い方は従来と同じように支那証書で購入をします。農協のほうにつきましては今申上げたように、今後は政府の買受代行ということでなしに、みずから農協自体が自主的に集め政府に売られる場合も出て来ると思います。商人系統におきますと、それはおのおのの製粉会社に行く場合もあると思います。その割合がどれくらいだということになりますと、これはなかなか把握し得ないのでありますけれども、民間流通のほうの非常に大きな部分は單協に集つて来るのじやないかというように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/19
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020・松永義雄
○松永義雄君 まあ農協のほうじや八割ぐらい俺のほうで扱うのだという意味がどこかに出ておつたのですが、單協なら單協に廻る資金というものは全部政府が賄い得るということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/20
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021・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 系統化するものにつきましては、これを賄い得るというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/21
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022・松永義雄
○松永義雄君 ところが虎視眈々としてこの麦を対象にして市中銀行がすでにその手を伸ばさんとしつつある傾向が見られるのであります。国家資本でまだ抑えている間は、一応いろいろのまあ統制に関する批判はあるけれども、ともかくはできるだけのことをしておつたようであります。ところが単協にしても資金がやつぱり足りなくて、市中銀行というか銀行までも行かないまでも、いろいろな金難関が入るつて来る虞れがあると思うのですが、全然ないと、こういうふうに考えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/22
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023・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 普通の金融機関がどの程度麦の集荷資金を動かし得るかどうかということにつきましては、私まだはつきりと把握できないと思いますが、農協等を通じます場合は二銭六厘程度の末端における流通資金が出るということに大体話をしているのであります。それにつきましては政府の今後の最低価格で買います量と見合いまして、中央金庫を通しました系統組織の金融というものは、国庫余裕金を財源として出るということに話合いをすでにしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/23
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024・松永義雄
○松永義雄君 簡単に一つお答え願いたいのですが、単協を通じて流れる相手というものはどういう相手でしようか。例えば商人であるとか工場であるとか、いろいろあると思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/24
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025・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 麦は生産者の委託を受けて買うものが政府に来るのでありますが、単協もやはり農民の組織でありますので、農民の麦を集荷いたしまして政府に売りますか、製粉会社に売るか、これは自由であります。そのときの価格如何であります。その農民から集荷する前渡金なり販売御の決済資金等はこの金を充当してやる。結局これは農家の集荷資金の前渡金的な作用を営む、こういうように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/25
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026・松永義雄
○松永義雄君 具体船にお聞きしたいのですが、例えば肥料商みたいなものも中に入つて行くのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/26
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027・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 農協でございますので、農協がそういう資金を肥料商に貸すということは私はないものである、こういうふうに信用しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/27
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028・松永義雄
○松永義雄君 肥料商が農協から麦を買うというようなことはあり得ないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/28
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029・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) あり得ないということは申上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/29
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030・松永義雄
○松永義雄君 そこで私のお聞きしたいことは、どうも私の聞きたいことがびつたりしてないようですが、私の申上げたいことは、麦というものは国家資本から今度民間資本の作用するところになるということを申上げているのです。で、これは毎々私がここで申しているように、肥料商というものは如何に農家を過去においていじめているかということは、私がここに申上げるまでもない。今御承知の通り日本は現在は金融が幾らか緩んだとか何だとかいうが大体において金融は苦しい。併しいつのときにか必ず金融が又緩慢なときが、本当に緩慢なときが来ないとも限らない。如何にしてこの統制を外すということについての資本家側のほうの魂膽として金融の対象を一つ殖やして行こう、やがては米も対象にして行く、そうして米麦取引所を毎現して行く。そうして昔の増貫事件を引起すような傾向に向いつつある。統制を外すということは或いは或る程度利益な点があるかも知れない。併しその半面において非常な不利益を農民に與えたことが、過去の経験において見られて来ているのです。そういうことを今長官はよく頭に置いて言われているかどうかということ、先ほどからそういう質問をしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/30
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031・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 過去において自由取引の場合に、いろいろ農業協同組合、農家自体が貧困でありまして、松永先生の言われましたような、いわゆる流通過程において農家が圧迫されるような現象があつたことは、私自身も十分了承いたしております。従いまして麦の統制を解除する、いわゆる供出制をやめます場合におきまして、農家自身が、政府が最低保証をいたしました上に、農家自身が合理的な組織で行くということが二番大事だと思うのでありますが、そういうことにつきましては、政府として国庫余裕金から系統機関を通して、運転資金を流して行くということが併行してこれが行われませんとそういう問題になると思いますが、政府としましては、そういうことも同時にこれを行うという方針で大蔵省とも完全に話合いをつけまして、きまつております。農協そのものの共同出荷と申しますか、系統出荷という問題につきましては、只今申上げましたような金融措置を考えますれば、昔のような形に復活するということはないのではないか、こういうように実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/31
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032・松永義雄
○松永義雄君 このパリテイ計算ですか、それで買上げるから心配はないとおつしやるのですか、人間というものは貧乏すれば何をやるかわからんし、選挙のときに負けそうになつて来ると金を撒いて歩くように、最近もうすでに農家が野菜の自由販売ですでに悲鳴を挙げつつある傾向を帯びて来ておる。そのように経済が立たなくなるというと、一遍金を借りると複利に複利を重ねて、いつの間にか十円が百円になつて来るというようなばかばかしいような借金をしている。そうして泣く泣くとられるというような現象が起きないとも限らない。問題はもうすでに米の問題についても、米の統制を撤廃したら、いつ如何なる場合に銀行が入つて行けるかということすらすでに銀行はよく研究しておる。それだけ金利というものは農民から搾取して国家へ納めておる間は税金見たいなもので、一応国家的に使われる。そうした金の金利を納めて行くということになれば、農家は自然に金融資本家に略奪されるという傾向になつて行くと思います。統制を撤廃すれば、民間資本が私は入つて行くということは、相当多くなるのじやないか、そうでなくとも雑誌とかいろいろなものに書いおるものを見ると、今度は競争で麦の買付をやるだろう。それで必ずしも安くならない、高くなる。併しながら農家のほうの全体の経済から言つて黒字になるかというと、いやまだ赤字だ、黒字だという数字が、すでに農林省からも出ている。如何に形がよく行つても事実農村の金がどんどん減つて行くというところの傾向を帯びて行く。そういうことを考えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/32
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033・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 統制を撤廃するということは、たびたび申しますように、これは統制の今までのやり方の管理方式を変えたというように言われましたが、まさしくそうであります。政府としましては、この組織は、今後の生産力も上げなくちやなりませんし、又重要な食糧でありますので、価格の安定ということは、これはとても重要であります。従いましてこの法案にありますような一つの制度として、これをやりますことによつて、最低価格というものを保証いたしておるのであります。その間幅がありますので、民間流通のものも相当出ると思います。これにつきましては、農協その他の組織と言いますか、農民の組織そのものに国家資金というものを流して参りますことによつて、だんだんと傾向と言いますか、農民の金融を政府が援助して行くということをいたしますれば、このことに関する限りにおきまして、そう混乱はないように私は実は考えるのでありますが、農政の全体の問題になつて参りますと、これはあらゆる施策をめぐらしまして、農家組合が貧弱なる形に追込まれますことは、これは政府としては防止し、安定させなければならんということは当然でございます。本件に関する限りは、松永さんのおつしやいましたような形には私は動かないであろう、こういうように実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/33
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034・松永義雄
○松永義雄君 私の言いたいことは、統制を外せば商人が介在して来るから、民間金利の対象になつて行くのじやないか、こういうことを言つておるのです。だからこれが麦だけならいいけれども、米までなつて来たらますます金高が多くなるのですから、それこそ大きな銀行も入つて来るということで、その金利というのは農民から搾取すると同じようになつて来るということを私は申上げております。それからあとは簡単なんですが、麦の統制が撤廃になつたら、一体流通の過程はどういうふうになつて来るのですか、組織は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/34
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035・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 政府に売りますものにつきまして申上げますと、政府は農家の委託、農民の、生産者から委託を受けたものを買うということになつております。生産者又は生殖者の委託を受けた者から政府は最低価格で買う、買います価格は政府指定倉庫米の価格を公示するということになります。従いまして政府指定倉庫米で農家個人々々が売る場合もありましようし、農家の組織である農協が政府に売る場合もあると思います。そのときは政府の公示しましたはつきりした値段で出してもらい、出してもらいました場合は、従来と同じように支拂証書を切りまして、直ぐそれが現金化する、その間の前渡金は、従来通り單協のほうに渡すというのが政府に売る一つの過程でございます。民間に売りますものにつきましては、これはいろいろ形態があると思いますが、農協なり、農協の系統組織から直接政府へ売ります場合もありましようし、系統組織から直接実需者の製粉工場、精麦工場に売る場合もあるかと思います。その他のものにつきましては各製粉、精麦等が各々の商人組織を通して単協から買います場合もありましようし、個々の生産者から買う場合もあると思いますが、その場合におきましても、政府の買入値段というものは、いつも村別にはつきりいたしておりますので、規格その他もはつきりいたしておるので、中ではそう乱れるわけはないと思います。それから政府が買入れます場合は、検査手数料を含めた価格で、即ち一俵きまりました値段に対して二十円高で買うということになるかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/35
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036・松永義雄
○松永義雄君 これは、まあ個人々々のことかも知れないのですが、例えば製粉工場は、最近大きなものが残る、中以丁のものは金融の問題で参る、少し過ぎた考えかも知れませんが、競争して買付けに行つて、そうしてその結果、麦が直接食糧のほうへ廻る分が少くなつて行くという虞れがある、こういうことを言われておるのですが、そういうことはないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/36
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037・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 製粉会社、精麦会社は勿論内地米麦を買うことは事実でございますけれども、この代金というものは、やはり食糧以外の用途はございませんので、勿論食糧に向けられるものということに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/37
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038・松永義雄
○松永義雄君 その数字を前から知りたいと実は……将来のことだからといつて言われておるのですが、統制時代に我々の主食として廻つて来る量と、今度統制が撤廃されるというと、主食以外に食糧になるのもありましよう、味噌なんか食糧の一つでありましようが、主食以外に廻つて行く重が絶対的に垂としてはプラス、殖えるのじやないかというふうな考えを持つことは間出遅つておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/38
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039・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 麦の需給が緩和して参りますと、特に業務用といたしまして麦類は相当加工用、その他にすでに統制当時から渡しておるわけであります。農家の自家保有につきましても餌を認めますと同時に、政府に売りましたものも相当加工用に渡しておるわけであります。加工用に渡しまする量がそう大きく、自由になりましても私は需給を不安定ならしめるほどの有効需要はないものである、こういうふうに実は考えておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/39
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040・松永義雄
○松永義雄君 これはまあ将来の予想だから、こうだと思えばそうだということになるし、他方ではそうでないと言えばそうでないということになる、併し我々の主食以外の需要向けるのは今までは抑えられておつたので、ここで統が外されるというと、にわかに増加するというようなことになりはしないか、例えばまあ大変卑近な例で皮肉みたいなことですが、ビールだつて足りないときもあるのです。ビールはもう売切れちやつてどうもビールがなくて困るとか何とか言うことを聞いておる、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/40
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041・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 従来内地の大裸で飯用以外に約十万トン、それから小麦で言いますと、約十四、五万トンは飯用以外に政府としても割当をしておるのでありますが、ビール用となりますと、大裸になると思いますが、一応三万七千トン程度の割当をしておるのでありまして、これがどの程度殖えますか、これは勿論ビールの需要如何と関係があります。そう厖大な需給全体を不安定ならしめるような量を私はビール会社も買うはずはないと、こういうように実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/41
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042・松永義雄
○松永義雄君 二十七年度の麦作の総面積と二十六年度の麦作の総面積はどういうようになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/42
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043・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 二十六年は百七十二万八千町歩であります。二十七年が冒六十六万一千町歩でありまして、約六万七千町歩作付と収穫面積とが減少をいたしておるのでありますが、菜種が大体五万四千町歩程度殖えております、という数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/43
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044・松永義雄
○松永義雄君 もう一点で終りますが、余計なことかも知れませんが、この買付競争となると高くは買つてくれるかも知れませんが、その半面金も拂わないものもできて来る、自由契約ですから金を拂わないものもできて来る。又別の方面に行けば、金がないために肥料商へも先売りしてしもうというようなことで、自由経済になると、ちよつと気持が楽になるというような点は、これは誰しも認めるのでありますけれども、併し過去において、如何に、やはり自由経済が如何に農民を圧迫して来たかということは、これはもう周知の事実であります。そのことだけを申上げて終るのですが、更に先程御質問しました新しくできる外貨予算と米麦の買入れ価格並びに買入れに対する外貨の割当はどういうふうにしますかという点について、その方面のお役所からお答えをして頂きますように委員長において御便宜を図つて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/44
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045・羽生三七
○委員長(羽生三七君) かしこまりました。去る九日の当委員会におきまして、委員各位の御要望によつて本法律案の衆議院における修正の経過に鑑みて、修正立案者の御出席を求められることになりましたので、本日は修正案の提案者である小林議員、それから本会議における附帯決議の説明をなしました吉川議員、それぞれ御出席を願いましたので、これから先日の皆様の御発言の趣旨に基いてそれぞれ御発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/45
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046・片柳眞吉
○片柳眞吉君 衆議院からわれわれおいでを頂きまして甚だ恐縮でありますが、私から衆議院で第四條の二の第二項を改正された点につきまして、修正されました衆議院の直接の説明をお聞きしたいというように存ずるのであります。と申しますのは、この解釈につきまして政府当局からもいろいろ案を頂きましたけれども、必ずしもその解釈が明確でないのでありまして、やはり修正案を立案されたかたから直接改正の趣旨等をお聞きいたしまして、その趣旨でこの法律を運用して頂く外ないのであります。そういう意味で実はおいでを願つたわけであります。同時に私から若干の御質問をして御説明を頂きたいと存じますのは、第一は、すでに政府の原案でも買入れ法の第三條の米の買入れ価格と麦の買入れ価格とは、すでに政府の原案でも実は文章なり内容を異にしておると私どもは考えるのでありますが、更に政府の原案に衆議院で修正をされたのであります。そういうことになりますると——米の買入れ価格の算定と、衆議院の修正案による麦の買入れ価格とは、どういう点が違うか、この点を一つ率直にお聞かせを頂きたいと思います。我々はやはり麦の問題と当然関連して米の買入れ価格を研究しなければならんのでありますが、こういう点から、今の米の買入れ価格問題と関連して明瞭にして御説明を頂ければ幸いだと思うのであります。
それから次に、この修正案で参りますと、政府の売却価格は第四條の三でありまするから政府の原案と同様であるわけですが、そうなつて参りますると——これは計算をしてみないとわかりませんけれども、大体の公算としては買入価格が相当我々のかねてから主張しておるような再生産をカバーするというラインで出て参りますると、当然の結論として二重価格という問題が出る公算が多いのではないかというふうに我々は考えられますが、そういうことを当然予期されていると思うのでありまするが、その辺の提案された各位の見解を承わりたいと思います。
それからこの決議の第一項でありまするが、なお麦類の売渡価格は現行価格を維持する、こうありますが、この決議通りとしますると第四條の三は家計費が或る程度殖えて来れば、家計費の上昇した率に応じて或る程度政府の売渡標準価格も上るというようにこれはスライドすると思うんですが、この決議案が出ておりまするが、併し第四條の三は改正をあえてされておらないのでありますが、その辺を如何にこれは理解したらよろしいのでありますか、大体以上の三点につきまして御説明を頂きたいと思います。更に決議案につきましてもできますれば詳細な説明を頂ければ結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/46
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047・小林運美
○衆議院議員(小林運美君) 我々衆議院におきまして本法案の修正をいたしました点につきまして、只今片柳氏から御質問がありましたが、我々がこの食糧管理法の一部を改正する法律案を見ましたときに、これは單に麦だけの問題ではなく、やはり主食全般に亘つた問題と考えまして、この法案に対する修正の決意をいたしたのでありまして、従いまして只今御質問にありました米と麦の買入価格につきましても、政府の答弁はやはりこれは別々になつております。併し我々の根本的の考え方は、これは米と麦を離して考えるべきではないという我々の主観に立ちましているく考えた結果がこういうところに来ました。併し我々の考えておつたことが修正案に全部盛られておるかというと必らずしもそうでないのでございまして、この点は甚だ遺憾といたしております。併し只今の御質問にありますように貫入価格は全然二つ別別に考えておるような御質問でありますが、我々の考えといたしましては麦にいたしましても米にいたしましても生産者が再生産をできるという確信の上に立たなければ麦の増産も米の増産もできないという考え方からいたしまして、今回は麦の買入に当りましても再生産を確保するような買入価格にしたいという考えでおります。従いまして御質問にもありましたように、米もやはり同じような考えで我々おります。併しそれを具体的にどうかという点になりますと、この買入価格の問題は特に再生産をするということを我々いろいろ考えました、例えば対米比価によつて麦の価格を決定するというようなことも考えましたが、これらは大体政令事項に亘りますので、不十分ではありましたが今回のような修正をいたしたのでございます。
なお次の売渡価格の問題でございますが、再生産をカバーするということからだんだん考えを縮めて参りますと、やはり只今御質問にありましたような買入のほうと売渡との間に相当の開きを生じまして、御質問のような二重価格ということが当然私たちは起つて来るという考えを持ちまして、併しこれを法律にどんなふうに表わすかという点につきましては非常に苦慮いたしましたけれども、法律には完全には表われておりません。従いまして只今御質問にありましたように決議案を我我は用意をいたしまして、この決議案の趣旨を十分に実行するならば、これは二重価格として立派にできる、再生産も保証できるし、消費者の家計費にもこの価格が及んで行かないというような結果になると我々は信じておつたのであります。従いまして我々は決議案を委員会におきましても本会議におきましても上程いたしまして、これに対する政府の特に農林大臣の答弁もはつきりいたしておりまして、これらは政府は責任を以てやるという保証を得ましたので、只今の御質問のことも十分に達成できると考えております。ただ、これができるできないというのは、政府が国会において答弁をして責任を以て大臣が言明したことを実行するか否かにかかつておると我々は信じておるのであります。
以上簡單に御説明を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/47
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048・片柳眞吉
○片柳眞吉君 御答弁で大体は了解をいたしましたが、重ねて御質問をいたしますると、米の価格、麦の価格は結論においては大体同じような結論である、かような趣旨に了解いたしたわけでありますが、ただ米のほうは生産費をベースにして物価その他の経済事情を参酌してきめる。麦のほうは農業パリテイに基いてその他の事情を斟酌してと、こうまあ主客か逆になつておりますが、そこで麦のほうは二十五年二十六年の両年の麦価平均を基準にしてパリテイ計算をする。これは私も極めて賛成でございますが、米のほうもやはり米の生産費ということがはつきり出ておりますが、修正提案者のお考えでは、米のほうはやはり二十五年二十六年の両年の米価平均でパリテイでやりますのか、或いはもう生産費を真正面からとつて、その他のパリテイ等は参酌事項としてこれをくむというお考えでありますか、その辺を重ねてお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/48
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049・吉川久衛
○衆議院議員(吉川久衛君) 小林君のお答えしたことに補足して、合せて只一今の御質問にお答えしたいと思います。
私どもの当初からの考えは要約すると三つの問題になるのであります。一つは場内の食糧の増産確保、それが一点、それから米麦は不可分である、それから二重価格制で行かなければならない、この三つの問題に重点を置いてこの食管法の一部改正の問題を考えたわけでございます。それで増産をさせるにはできるだけ生産費を償うところの価格で買上げなければならないということで、第四條の二項の修正になつたのでございますが、この修正には実はいきさつがございまして、私どもは価格を基準として再生産を確保するということを強く要請したのでございますが、どうしても「基準として」では豊凶係数等を入れるのに工合が惡いということで、「旨とし」という抽象的な言葉で表現されることとなつた、そのことがこの決議案になつて来たわけでございます。而もその決議案は今までのおざなりな、いわゆる大臣の答弁ではなくて、こちらでこういうお答えをしてもらいたといいうことを大臣に要求をいたしました。これは今までの形を破つて、特にこのことは一つ約束をしましようということで、これはこの決議案に対する大臣の答弁となつたのでございますから、その点はこれは極めて重要な問題だと思いますので、申し添えて置きます。
そこでこの麦の売渡価格の決定に当つては家計費をこの上に考慮するということは、これは当然でございます。だから第三項の修正をいたしませんでした。それから二十五年、二十六年というところを抑えたところに米麦不可分のかかり合いがあるということでございます。そこで米の価格を決定するに当つて、私どもは二十五年、二十六年の価格を基準とするということを米の問題については謳わなかつたのでございますけれども、米麦不可分論と私どもの唱える二重価格制の原則の上に立てば、当然米の価格を決定する場合には再生産を確保するということは必然の結果となつて出て来るという考え方で、今までは質疑をやつて参つたわけでございます。そういう意味でこの決議案もできておりますから、そのように御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/49
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050・片柳眞吉
○片柳眞吉君 結論として米と麦とは法律の規定を若干異にしておりますが、お考えとしては大体同じだというふうに了解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/50
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051・小林孝平
○小林孝平君 それに関連して、只今の御説明によりますと、この決議案の趣旨というものは二重価格制をはつきりと謳つたものである、こういうふうな御説明であつたのでありまして、私たちもこの決議案を読みましてそういうことをはつきりと了解いたした、又これは過日この決議案が衆議院で可決されました際に、新聞紙上でも二重価格制を実現することを決議した、こういうふうに現われておるのであります。ところが先般政府当局にこの問題をお尋ねしたところ、二重価格制をはつきり謳つたものでない、こういうことを御答弁になつておるのでありますが、この点はこの決議案の審議の過程におきましてはつきりと政府側の意見を確かめられてあるかどうかということをお尋ねしたいと思うのであります。これは政務次官からも特にそういうふうに二重価格制を採用するのであるというふうに解釈されるのは御勝手であるというような御答弁がありましたので、この点は非常に重大だと思いますので、はつきりさせて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/51
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052・吉川久衛
○衆議院議員(吉川久衛君) 只今のお尋ねでございますが、衆議院における審議の過程においては私どもも社会党の井上良二君からも二重価格制を強く要求したのでございますが、政府のお答えは二重価格制にするのだとは明確なる回答は避けていられます。併し質疑の過程において私どもの修正案、これは当時は司令部からOKをとつたわけでございますが、その中にも謳つておりますように、この食管の特別会計に赤字を生じた場合には、一般会計から補填するということを食管特別会計法の一部改正も併せてやろうじやないか、こういう問題が起りました。ところが特別会計法の原則を覆えすような法律改正ということは恰好がつかないから、そいつは一つ必ず政府において責任をとるから決議にしてくれ、こういうことでこの私の説明いたしました決議案の第二項となつたわけでございます。当初私どもの考え方からいたしますと、保管料、倉庫料、運送料、人件費、諸掛り等を大体計算をいたしますと、三十六億くらいになつたと思います。或いは四十億近くになつたかと思います。ところが当然赤字が出れば一般会計から補填しなければならなくなる、なればそのときに当然それに対する臨時の法制的な手続はとられるのであるから、そこで食管特別会計法の一部改正をやめて、この決議案で行けば同じ結果になるのである、こういうことでこの第二項が了承されたわけでございますから、私どもは二重価格制を認めて頂いているのだ、こういうように信じているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/52
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053・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) 二重価格制の問題でありますが、私もこの委員会でしばしば申上げましたように、この附帶決議によりまして特に明らかにされました点は、買入れの場合は二十五、二十六年度を基準といたしまして買上をするということであり、又政府手持の麦を売渡す場合におきましては、現行価格水準を以て売渡しをする、つまり上げないということであります。そういたしますというと必然的にそこに赤字が生ずることは明白であります。で、衆議院のこの附帶決議の出ます当時におきましても、我々はその御決議の趣旨を十二分に尊重いたしまして、昭和二十七年度の食管特別会計におきましては、赤字を覚悟の上で我々はこの決議を十分尊重する、実行するということを言明したのであります。従いましてこの委員会でも私はつきり申上げたはずでありまするが、麦の問題に関する限りにおいては相当程度の赤字が生ずることは決心をしておりますということを申上げたのであります。ただ食管特別会計の建前と申しましようか、これは麦だけやつておるのでないのでありまして、米もやつておる、或いは澱粉の買上もする、或いは砂糖もやるというふうなことでございまして、麦だけについての特別会計ではないのであります。相当厖大な食糧管理をやつておりまするので、これはどの程度の赤字ができるのかまだ明白でありませんし、麦だけの分をここで特に切り離すということは食管特別会計の建前においてもちよつと困難であります。従いまして当然赤字が出る、赤字が出た場合においては、これは責任を以て一般会計から繰入をして赤字の補填をするという決意は、農林大臣からもはつきりと衆議院で申上げたのであります、特にその点はこれがはつきりした二重価格制をとるのだということを申上げることは、いわゆる特別会計なるものの本質から見てこの際障りがあるという点で、小林さんの御質問に対しましても私はこの点は実は残したのであります。その点は政府の立場におきましても、「実はあれ以上のことを申上げることはどうかと考えておつたのでありまして、麦に関する限りにおいては、これはこの機会にはつきり申上げますが、或る意味における二重価格というふうなことを政府はこの際行うという考え方でおるわけでございます。ただ食管特別会計全体を二重価格を認めて、初めからあらかじめ厖大な赤字が出るということを覚悟してやるということになれば、食管特別会計なるものについては、あらかじめ予算的措置を講じないで、食管特別会計をそのまま通すということはできませんので、これは特別会計の内部で操作をし、赤字が生じた場合においては、あとからこれは責任を以て赤字を補填するという形をとつたわけでございます。その点は一つ御了承頂けるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/53
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054・小林運美
○衆議院議員(小林運美君) 只今野原政務次官からのお話がございましたが、私は駄目を押す意味じやないのですが、誤解を招くといけないと思いまして、我々の考えをちよつと申添えておきますが、只今政務次官のお話でこういうことがちよつと心配になるような気がするのですが、麦のほうで赤字が出たらそれは一般会計から入れるのだ、併し特別会計の考えからいつてそれははつきり言えないけれどもというお話でありますが、併し我々は初めにも申上げましたように米も麦もやつばり考え方は同じなのであります。従つて麦の赤字が出た場合に米で幾分はカバーするのだというような考えは絶対にないということをはつきり私は申上げたい。そういう気持を我々は持つてやりました。法文の上には出ておりませんが、我々の気持は、麦の赤字はいいのだけれども、その半面に米のほうでカバーするというようなことは絶対にない。砂糖の問題もありましたが、これはもう量的に、金額の上からいつて問題ではないのでありますが、そういうような米にも関連するということは、この価格の問題ではそういう点では絶対にないということを我々は信じております。それを付加えて申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/54
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055・野原正勝
○政府委員(野原正勝君) この機会に明らかにしておきたいと思いますが、我々も決して麦の赤字を米でカバーしようなどというような考え方は毛頭持つておりません。ただ食管特別会計の赤字ということになりますというと、麦だけでない、他にもいろいろある。米についても多少の赤字を生ずるかも知れませんし、或いは多少プラスになる場合もあるわけでありますが、いずれにしましてもこの麦の分を米なりほかのものでカバーしようというようなことは考えていないのでありまして、その限りにおいてはこれはこの御決議をなされました以上は、これは二十七年度の食管特別会計はまあそれだけの分ははつきりと赤字ができるということは実は決意をいたしております。大蔵大臣にもあらかじめ連絡をとりまして、赤字があとで出るが、これは一つ含んでおいてもらいたいということを大臣に特に連絡をとつたのであります。その点は決して米にこの問題を持つて行くという考え方は政府のとしては毛頭持つておりませんので、この点は一つここに明らかにしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/55
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056・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私も大体今のことで御質問をしたいと思つておりましたが、小林さんからお話がありましたし、且つ又只今政務次官からその趣旨の御答弁がありましたので、実はさつき米と麦との価格が、文章は違うけれども、同じ趣旨に解してよろしいかということはその点で申上げたのです。澱粉なり砂糖は、或いはこれは食管会計の改正には影響はないわけでありますから、只今麦について価格をとれば当然これは米のほうでも実は相当の赤字が出ることはこれは出て来ます。この辺の解釈をはつきりして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/56
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057・小林孝平
○小林孝平君 ちよつと食糧庁長官にお尋ねいたしますが、先般新潟県の佐渡郡の吉井村から当委員会に具申書が参りましたのでお伺いいたしたいと思います。それは昭和二十六年産米の供出に当りまして、この佐渡郡の吉井村においては、吉井村の農業協同組合は食糧検査員の指示によつて、その下部組織である各部落農家組合長を通じまして二十六年度の供出米は目切れと検査用のため規定の六十キロのほか、一俵につき百二十匁、三合を余分に納入するように、俵に入れるようにと、こういうことを各農家へ通達したそうであります。そこで一俵について三合と言いますと、この村全体で約八十石になるのでありますが、こういうように一俵について三合余分に入れるということは、全国的にこういうことを食糧庁は指示されておるのでありますかどうか。これは差し米として、そのために余分に入れるには余りに量が多過ぎる。こういうように思うのですが、この点をはつきりして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/57
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058・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 小林さんの御質問は検査の規格、その量目の問題だと思いますが、具体的の事案につきましては私のほうから目下新潟県のほうに調査をいたさせまして、その回答を待つてからこの問題はお答えをしますけれども、抽象的に申上げますと、食糧庁といたしまして量目六十キログラム、十六貫でございますが、これにつきましては、検査当日六十キロあればよろしいというのはあくまでこれは厳守をいたしております。ただ検査当日六十キログラムなければなりませんので、これは込み米とは全然違うのでありますけれども、若干量を殖やすという事実はあるかと思いますが、あくまで検査当日六十キログラムあればいいのでありまして、三合というような厖大な量を込み米に入れるというようなことを中央で勿論指示したことはございません。差しを入れました場合等におきまして、大体二勺ぐらい出るのでありますが、これを元へ返すことは当然であります。かますなどに入れまする場合容、元に返らん場合は別につけて、取引のときにそれを返すという指導をいたしておりますので、従来のような込み米というようなことを指導しておることは、これは中央には絶対にございませんことを御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/58
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059・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 本日はこの程度で散会いたします。
午後三時十九分敗会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X03219520512/59
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