1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十九日(木曜日)
午後一時三十六分開会
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出席者は左の通り。
理事
加賀 操君
山崎 恒君
委員
池田宇右衞門君
宮本 邦彦君
飯島連次郎君
片柳 眞吉君
三浦 辰雄君
三橋八次郎君
小林 亦治君
松永 義雄君
駒井 藤平君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
説明員
農林省農地局管
理部長 谷垣 專一君
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本日の会議に付した事件
○開拓者資金融通法の一部を改正する
法律案(内閣送付)
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001・加賀操
○理事(加賀操君) 只今から委員会を開きます。
農産物検査法につきまして、昨日政府のほうに要望して置きました点についてまだ政府のほうでいろいろ打合わせをいたしておりますので、今日回答が参りませんので、今日は開拓者資金融通法の一部を改正する法律案について審議をいたしたいと思いますが、如何でしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/1
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002・加賀操
○理事(加賀操君) では只今から開拓者資金融通法の一部を改正する法律案について御審議をお願いいたします。お諮りいたします、これは提案されてから大分日がたつておりますので、一応概要を政府のほうから御説明を頂いたらどうかと思います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/2
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003・加賀操
○理事(加賀操君) ではさよういたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/3
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004・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは従来開拓者資金融通法によりまして、開拓民に営農資金或いは共同施設資金というようなものを考えておたわけでございます。従来それで大体八億近い金を貸しておるわけでありますが、ただ昭和二十三年度の入植者に貸しました際に、当時の物価の変動が非常に激しかつたために当初予定しました後におきまして、物価の値上りのために十分な営農関係の資材を購入することができなかつたような点等がありますので、二十三年度の入植者に対しまして、新たに五分五厘の年利で二年据え置き、三年間に年賦償還するといういわゆる中期的な資金の方法をとりたい、かように考えまして法案を提出いたしたわけであります。その他の條件は従来の開拓者資金融通法によりますものと変りございません。なお従来の開拓者資金融通法によりますと、利率は年三分六厘五毛、据置は五年据置きのものと、共同施設は一年据置きになつておりますが、十五カ年間の年賦償還、こういう関係になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/4
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005・加賀操
○理事(加賀操君) じや私から一つ聞きますが、今度の五分五厘の資金ですね、それの貸付の計画をちよつと説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/5
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006・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 二十三年度に入植いたしました入植者の中で、その営農状況を調べてみますというと、私たちが一つの標準を作りまして、それに関しまして必要だと思つております家畜数に比べまして、かなりの家畜が足りないわけであります。そこでその家畜を導入いたしまする資金としてこの改正による五分五厘の資金を貸そうという考え方でありまして、まあ最高六万円程度の枠で貸して行きたいと、こういうふうに考えております。予算的には北海道につきましては五万三千円、内地は四万五千円程度の予算單価になつておりますが、これは必ずしも大家畜のみには限らないと思いまするし、若干のでこぼこがあると思いますが、家畜を買う金に入れたいと思います。私どもの推測では昭和二十三年度に入植いたしました諸君で四千九百頭ぐらいの家畜を入れたい、こういうふうに考えておるわけであります。これの貸し方は開拓農業協同組合を通じまして貸して行く、こういうような形でやつて行つたらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/6
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007・松永義雄
○松永義雄君 この参考資料として頂いた何枚目ですか、入植数とそれから離脱戸数と計算してありますが、この離脱者の離脱の原因と言いますか、こういつたことはどうして離脱をして行くのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/7
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008・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これはこの表にありますように、二十三年度に非常に多くの離脱戸数に出しております。これはこの年に入植いたしております者で、非常に不適格な者、殆んど開拓に従事していない状況で、ほかの職業をやつておるような諸君であるとかいうような者を、この際に或る程度不適格者をここで選んだわけであります。と申しますのは、二十年度以来入植いたしておりましたのは、実際問題として入植者のほうが先へ開拓地に入つておつて、現在やつておりますような、正確な入植者の適格者を選んでから入れるというようなことじやなくて、終戰後のごたごたでむしろ人が先に入つておるというような状況であつたものですから、この二十三年のときにそういう意味であとから適格者否認というようなことをはつきりさせて、二十三年にかなりの数が出ております。その後の離脱者の大多数のものは、やはり非常に苦しくて出て行くかたが大部分であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/8
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009・松永義雄
○松永義雄君 その苦しいということはどういうことでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/9
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010・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) やはり開拓の途中におきまして、肉体的にそれに耐えられないような人もありますし、或いは何と申しますか、つまり開拓に従事し得ないわけですね。貧しいことは勿論あるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/10
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011・松永義雄
○松永義雄君 私の聞きたいのは、開拓者必ずしも農業に適格性を有しておる人ばかりではこれはなかつたと思うのです。併し適格者であつても、まあ経済上困難な点からそこを退去しなければならんというかたがたも相当あるのじやないかと思うのです。そういつたような状態を一つおわかりになつたら、或る程度まで詳しくお願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/11
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012・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これはいろいろな実は入植の形態があるわけでして、例えば最近の状況では分村計画のようなもので村から分れている例もございます。或いは満洲から帰つて来た人たちが向うで開拓しておつた同志の諸君が連れ立つて入つて行つ、入植の形態もそれによりまして、又入植後のやり方もそれによりまして、いろいろ変つて来るかと思います。つまり非常に共同の行き方を強くとる場合と、それから個人的な営農形態を強くとる場合とが大別しますればあるわけであります。で無論共同的な色彩を非常に強くとりまして、入植いろいろな基礎が固まつて来ますと、逐次能率的な経営に移つて行くのが大体の状況であります。又資金その他の問題におきましても、先ほどの分村のような場合ですと、親許からのいろいろな物心両面の援助がいろいろな形であるようであります。又出身の村から遠いとか近いとかによりましても、かなり入植後のやり方がいろいろ違つて来るかと思います。大体におきまして、共同的な色彩の強い場合は全体としての離脱者、落伍者は非常に少い形になつて現われて来ます。で又資金の面から考えまして、資金豊富であることはこれは勿論安定させる上に非常に大切なことかと思いますが、そういうような共同的なやり方でありますと、割合根強く入植も続けて行くような状況で、資金の繋がりから申しましても、分村形態のような恰好のものは割合よい。或いはそのほか個人的なもの、或いは共同的なもの、両方共に村に近い、自分の出身地なり縁故のある所と連絡の濃い所は強く伸びて行くような形態があるかと思います。であとは結局それを指導するその組合の指導者の能否によつて団体的な場合におきましては非常に左右されるというふうに考えております。従来も大体から申しますと、そういうような恰好で進んでおると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/12
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013・片柳眞吉
○片柳眞吉君 今度の改正案で償還期間が五年で利息が五分五厘、期間も大分短縮をされ、金利も上つておるわけでありますが、これで果して償還の見込みがあるかどうかですね、といいますのは、配付された資料に今までの貸付の年賦償還の收入状況調がありますが、これを見ますと、逐次回收率が落ちておるような数字が出ております。例えば二十四年度が九七一%、二十五年度が八九%、二十六年度が八三%、これを平均しても八六%しか回收されておらないのです。農家経済の一般の状況は二十五、二十六は或る程度若干の黒字は出しておりますが、最近農林省の発表でも再び赤字に転落をしておるというようなことでありますが、これは一般農家経済でもそうでありまして、私も全部見たわけではありませんが、特に開拓地では更に農家経済状況は苦しいのではないかという実は感じを持つておりますが、そうなつて来ると、説明にもありまするが、入植後数カ年経過して或る程度の力も出て来る、これは或る程度事実と思いますが、そうだからといつて五年の五分五厘というような両方とも條件を短縮して回收する見込みがありまするかどうか。ですから例えばこれは私の感じでは、この資金融通法が施行されてから五年ぐらいになつておりますから、今後貸す分は二十年から五年を引いた十五年ぐらいでですね、金利は或る程度上つてもよろしいと思いますが、償還期間は初めから貸したものは二十年であるんですから、五年なら五年経過しておれば今度貸すやつは残りの十五年ぐらいで貸して、まあ経済力も付いておりますから、金利も或る程度上げてもよろしいというふうにも考えられるのですが、要するに折角出してもこれが五年ということでは又償還がむずかしいのではないかと思いますが、杞憂かも知れませんが、そういう心配を持つておりますが、それで現在の入植者の経済力から見てもこれでよろしいのだということを説明をして預けませんと、何か期間がちよつと無理があるのではないかという気持がいたしますが、その辺御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/13
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014・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは実はまだ償還が、本格的な償還のところには入つていないので、今年あたりから、このお配りしました資料にもありますように、かなり償還の額が殖えて来るという状況になつております。勿論これは利息にしても据置きの期間或いは年賦の期間にしましても、長いことが私たちのほうもいいと思いますが、このお配りしました資料にも書いておりますように、まあ今年を入れますと……、実はこのお配りしました資料の三頁の中頃に書いております表は、これはちよつと償還初年度がマイナスになつておりますからおかしい感じが或いはあるかと思いますが、これは不適切な書き方であつたかも知れないのですが、実は金を借りまして、これは二年たつて子供が生まれる計算にいたしております。本当は購入しまして翌年度子供が生まれるのが多いと思いますが、これは二年たつて生まれるといろ考え方で、而もそれを三分の一ずつに実は均して收入があるような数字にしておるものですから、こういう妙な、初年度マイナスになつたような恰好になつておりますが、ここで出しておりますように、かなり入植しりたあとで、この金を借りて牛を買いましたあとで二年目に生まれるとしても十分に償還ができる、こういうふうに私たちは考えておるわけであります。ここの数字が少しおかしいので或いはそういう誤解をされるかと思いますが、これは実は一般の有畜農家の創設資金というのが今年通つておるわけです。あれは七分五厘になるわけです。五分の利息補給をいたしまして七分五厘になるわけです。従つて七分五厘のほうに引つ張られる懸念が強い面が片方にあるものですから、收入の所その他を、牛が生まれるのを開拓地において少し余裕を見た表現で書いておるのですが、実際的には牛を入れまして翌年は生まれないでその翌年に生まれるという計算にしてやつて行つても十分に返せると、こういうことになるわけなんです。この数字が今言うつたような操作をやらないで普通の数字にいたしますと、この真中頃に書いてあります償還初年度のマイナス七千五百三十三円、これは逆に読み替えてプラスになつて出て来るわけなんで、この家畜を入れましてその程度のあれでまあ私のところでは十分に返して行けるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/14
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015・片柳眞吉
○片柳眞吉君 今の御答弁がありましたが、例えば家畜を入れてそれが子供を生んでそれを売つたので償還するという御答弁でありましたが、これはやはり償還というのは農家経済全体で償還能力があるかどうかということじやないかと思うのですが、そうなつて来ると、ここに書いてある、例えば初年度が一万四千七頁九円、最終年度は二万九千三百四十八円、これは結局農家経済が全体でこれだけのプラスがないと結局償還の能力がないということになるが、やはり総合的にみないとこれはいけないのじやないか。而もさつき言つたような農家経済調査であつても、これは開拓地、更に一般の農家経済状態が相当苦しくなつて来ているときに、全体ではちよつと無理がありはせんかという感じがする。それからこういうことをやつて行くと、例えば二十三年に入植をした人が、当時の予算と物価高の関係で必要な営農資金が得られない、而も一部は借りているわけなんです。その人に追加して貸すわけでありますが、例えばこの資金を借りる途中で三カ年で回收となり、何といいますか、そのあとのほうが非常な今度は黒字が出ているということになる。何か中間でこれだけの償還能力があれば、今までの既往の分も返せるのじやないか、例えば私ちよつと説明が悪いかも知れませんが、この中期資金の償還計画の最後の年度は二万九千三百四十八円のプラスがあると政府のほうでは説明しておる。そうすると、これはその次の年は全部中期資金などは返してしまいますから、この程度のプラスが残ると、今までの二十三年に借りた二十年償還のものもこれは繰上げて返せるのじやないかという議論も出はしないか、途中でこれを借りておるのだと、この中期の資金を償還せんと実は非常なプラスが残つて来るのですが、そういうことは実際に必要だ、こう思うのですが、どらも理窟としては何が当初の金を二十年で借りておる、五年なり六年遅れて追加して借りるわけでありますが、やはり期間というものは残存期間が一致しないと、今言つたような変な現象が起きて来はせんか、こんなふうに思うのですが、要するに結論は農家経済全体として償還能力があるかどうか、赤字を出してまで償還するということになると、やはり別の借金もしなければならんということになる、その辺を一つ重ねて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/15
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016・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは私たちのほうは赤字なしに返せるというつもりでやつておるわけですが、大体今開拓に対しまする融資は開拓者資金融通法で、いわゆる長期の五カ年据置、十五年年賦償還という方式で貸して行きまして、これは入植後三年間に分けて貸すわけです。これは大体昭和二十三年度のときを基準にしまして、その後パリテイの変動によりまして、その変動に応じて金額がその年々に変つて参ります。スライドさせまして貸して行くというようなことで、いわゆる長期資金的なものを貸しておるわけです。これは御指摘のような一般的に営農その他に使われる金になるのであります。これは五年据置の十五年で返す。それからそのほかにいわゆる短期の、これは主として肥料の購入に充てておりますが、短期の資金を入れる工作を、法律にはありませんがやつております。これは開拓者と県とそれから国とがそれぞれ基金を出し合いましてそうして或る程度それによつて開拓者の信用を附加しまして、それの何倍かの融資を実は中金から得ておる。こういうような短期の方策を立てておるわけであります。そこで、ではそれだけでいいかというと決してそうじやないので、実はその間に中期的な資金の必要性が非常に強く要望されるわけなんです。その中期資金の形を将来どうしても確立したいと思つておるのですが、まだ確立に至らないのですけれども、こういうような意味のものが来年、再来年と若しも続けて行けるなら、そういう意味のギヤツプが防げるのではないか。今これは家畜になつておりますけれども、必ずしも家畜でなくてもいい、これは今年は二十三年度の入植者が貸してもらえないので非常に困つておるということを條件としまして、中期的なものをやつたわけなんですが、これは将来大蔵省等とも折衝しましてできるだけ中期的なものに持つて行きたいという構想を実は私どもとしては持つておるのであります。それとこれとは必ずしも一致はしないのです。これは二十三年の入植者を主眼としておりますので、必ずしも一致はしないのでありますけれども、併しこういうものをそちらのほうに発展させて行きたいという気持は私たちも持つておるわけです。
先ほどの経営全体からの余剰の問題があるかどうかということですが、これは勿論経営全体として考えなければいけませんので、ここでこの簡單な表に挙げておりますものにつきましても、これは実はいろいろな長期の償還その他のことを見当に入れましての経営全体からの計算から来る数字をここに出しておるわけであります。でありますから、牛を牛だけで見ないで、経営全体で見るということにつきましては、これも経営全体として見て考えておるわけでありまして、この程度のことは開拓地をいろいろな段階に分けて考えましても、大体やれるというふうにこちらでは考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/16
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017・片柳眞吉
○片柳眞吉君 ですから、端的に私の質問をいたしますと、農林省で開拓地の入植者の農家経済調査をやられてそれがどうなつているか、更に若しあれば二十三年当初の入植者の農家経済の收支がどうかというような調べがありますれば、それを示してもらえば私の疑問は忽ち氷解するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/17
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018・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは二年三作地帯の例を一つ申し上げてみたいと存じます。二年三作地帯の標準農家を考えてみますと、それに家畜が入つたものと、役畜が入つたものと、導入しなかつた場合とを考えてみますと、大体入植後五年たつた者で家畜を入れなかつた農家はまだマイナスが、赤字が績いております。家畜を入れました者はそのあたりからプラスに転じて参つております。それから大体五年目ぐらいに標準農家の收入が十六万三千七百円見当になりまして、支出が十五万八千円見当になる。そこで若干の五、六千円のプラスが出て参る。こういうような結果になつております。これが家畜が入りません場合にはなお且つマイナスが績いておりまして、一万五千円程度のマイナスが出る。こういうような数字が出ておるわけであります。これは勿論標準の農家ですか、開拓地の非常に悪い場所、或いは又営農の関係が遅れておるというようなところでは話はこういうふうに行かないものも出て来るかと思いますが、標準的なものとしては大体こういうような恰好で進んで参つておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/18
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019・片柳眞吉
○片柳眞吉君 今の答弁で或る程度わかつて来たわけですが、何か五年というのは、余ほどこの期間を延長することがむずかしいような事情は特別にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/19
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020・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 私たちは五年で十分やつて行けるから、むしろそれで以でくるくるその資金が廻つて行くほうが開拓者全体からいうと却つていいのではないか。こういうような実は考え方で、それで大丈夫やれるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/20
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021・片柳眞吉
○片柳眞吉君 そうすると、法律では「前條第一号の資金」と、こうありますが、主として家畜導入資金というふうに実際上は了解いたしてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/21
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022・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 家畜導入に主として充てて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/22
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023・松永義雄
○松永義雄君 この開拓地の、所によつてはいもを主としたり、或いは麦をやつたり、それから私の見たところでは西瓜なんかやつているのがあります。大体どんな方面が、どういうような産物を主としてやつておる方面がいいのか、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/23
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024・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 大体やはり畑作が大部分でございます。水田を持つておるところも若干ございますが、畑作が大部分になつております。作物はこのお手許の表の五頁に入れておきましたですが、やはり何と言いましても麦、それから雑穀類、それから今御指摘のいも類というようなものが面積的な問題から見ますと高くなつております。それでただやはり開拓の当初は、何と言いましても現金收入を或る程度図る必要がありますので、いろいろと工夫して、換金作物その他をやつておる所も多いようです。これをやれる所はかなり最初から安定度が高い状況になつております。併し消費地に遠い所は、大部分が開拓地は遠いところが多いわけですから、そういうわけに行きませんので、従つてやはり家畜を入れる必要が生じて来る、こういうことになるかと思います。なお地帯によりましては水田が入るわけですが、水田が入りますと、かなり経営自体が水田と畑作との混合の形になりますので、又違つた意味で安定して来るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/24
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025・松永義雄
○松永義雄君 満洲移民なんかのお話を聞くと、例えばハルピンの市外の都会地に近い所は、当時の満洲移民の考え方によると、歪曲された開拓地と解釈されておるのでありますが、要するにハルピン市民を対象としりたような、野菜だとか、こういつたものを作る所は比較的いい。併し都会地を離れれば離れるほどどうも困るという話を聞いたことがあるのですが、やはりそれと同じような関係になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/25
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026・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) やはり必ずしも消費地に近い所がその開拓地の営農がより有利だとは一概には言えないと思いますが、一般論から言ついまして消費地に近いほうがいいということは言えるかと思います。経営の形が随分違つて来るのであります。北海道のほうは、ずつと根釧地帯の奥のほうの地帶に入りますと、これはどうしても酪農を入れなければいかん。愛知県なら愛知県の近くの所に入つておるというような諸君になりますと、これはかなり西瓜をやるとか、それから果樹を植えるとかいうような経営が殖えて参つておるのでありまして、又面積の違いも生じますし一概になかなか言えないかと思います。併し確かに何かの形でこの有利な換金作物をやるということが必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/26
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027・三浦辰雄
○三浦辰雄君 それに関連して……。結局だんだん聞いておりますと、どうも片柳委員のいわゆる全体の経営からの問題が出たり、或いは又松永委員から、実際開拓者の営農の成果についての問題を知りたいためにいろいろと出ておるのですけれども、そこで二十三年だけを特に選んだという問題もおのずから又出て来るわけなんです。私どもの知つておるのは、新しい開拓のへたちの收獲というものは非常にみじめな收量しかない。半分しかないという所がちつりとも稀じやない。むしろ多くは半分程度しかない。こういうことになつておるので、かねてから折角あれだけの入植をさせ、育成にも骨を折つた。入つておる人たちはもとより非常な骨を折つてやつておるのだから、これを目的を達成させるために、今まで或る程度補助をしたのだから、更に実情に即して、いわゆる目的を達するようなところまで、もう一段と骨を折つたらどうかという考えがあるのです。そういつた見方からして、従来の開拓者に対する営農の調査が各府県別にあるはずです。ですから、従来の開拓に入つた人の経営の内容がわかる資料を示して頂けば一応今までの問題はわかると思うのですが、それを一つ出して頂けませんか。恐らくそれがあれば一応見当がつくと思うのです。それをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/27
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028・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) あとでそれでは委員会に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/28
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029・松永義雄
○松永義雄君 私も今三浦さんと同じ結論じやないかと思うのですけれども、そうじやなくても苦しい農家の中で、開拓者は又一段と苦しい。それを辛抱してやつておるのですから、できるだけ助けてやつて行かなければならないと思う。それで大体開拓地というものは、私も狭い範囲しか見ないから知りらないのですけれども、大体山と称する所、或いは戰争中の航空基地、そういう所を開拓しているようです。お米のことで、水田の話がありましたが、陸稲なんかも相当やはり作つてるのでやないかと思いますが、これはあなたの関係ではないでしようが、最近畑地灌漑等がございまして、極く一部分がやつている。そういつたようないろいろな点から見て、助長して行くことが必要じやないか。そうじやなきや辛抱がし切れなくなつてしまう。まあいやいやついて行くというのじ、いつまでたつても伸びないですから、或る程度の力を加えればぐつと伸びるものを、力が足なないということで伸びるものが伸びないので、国民が全部力を注いで応援することが必要じやないか。まあ三浦さんの結論と同じことですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/29
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030・三橋八次郎
○三橋八次郎君 先ほどから各委員から質問がありますけれども、開拓者の農業経営状態といういうなものは誠にみじめなものがあると思います。勿論農業経営をやつて行きますには、長期、中期、短期というような資金も要るでありましようが、今の開拓者の農業事情を見ると、中期、短期というような資金を必要としておるというような事態ではなかろうかと思うのであります。そういう意味におきまして、長期資金の方面を今までのような條件でなく、もつと充実して行くようなお考えがあるかどうかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/30
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031・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 大体今までの長期のあれは、昭和二十三年度を基準にいたしまして、その後物価変動に伴つて金額が増減するという態勢にいたしております。従いましてそれを現在それ以上に長期資金を殖やして行くということは、希望は私たちもしておりますが、ちよつとまだできないのじやないかと思います。それよりも單に資金だけの面にとどまりませずに、むしろ開拓民が困つておる基礎的ないろんな、道路の整備であるとが、或いは水路であるとかというようなものを片面国事業としまして補助その他の態勢をとりながらやつて行く、或いは土壤改良その他の点にりきまして国が補助して行くというような恰好でそれをカバーして行きたいと、かように考えておるわけです。現在の長期の資金の枠を殖やすことは、私たちとしては希望はいたしまするが、まだすぐに実現するわけにも行かのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/31
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032・三橋八次郎
○三橋八次郎君 この中期の今の改正の五分五厘というようなのは、やはり基礎があつて初めてその資金の効果が上がるのでありまして、恐らく開拓者は、この金を貸りまして、長期的な仕事に投資をするというような部面が相当多くなると思うのでございます。そうなつて来ますると、前のとは利子の度合いも違いますし、償還の年限も違うということになりますから、これは非常に開拓者の農業経営の上において非常な苦しみが生ずると思うのでございます。これはまあ先ほどのお話で、五カ年はどうすることもできない、五分五厘もどうすることもできないとすれば、それまでのことでございますけれども、何とかそういう部面のことも十分お考えを願いまして、恐らく中期……、牛を買う費用だとして出しましても、長期的な農業経営の基礎を作るために投資される金にかなり使われるのじやなかろうかというような懸念があるのでございますが、その点は特に一つ開拓者の事情を御参酌になりまして、適当に御処理を願いたいと思います。
なお、今回この改正法律案の第二條二項におきまして、「政令で定める者」というようなことがありますが、その内容はどういうものであるかということりをお伺いしたいのと、一つは、この法律案に関する予算的措置がどうなつておりますか、この二つをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/32
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033・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) この政令のほうは、昭和二十三年以前の入植者というような表現をいたしまして、昭和二十三年度以前の諸君にも若干の資金融通の余裕の持てるようなりきめ方をいたしたら如何と、かように考えております。なおその資金の予算的な裏付けといたしましては、二億一千七百万円の予算が計上いたされております。これは昭和二十七年度におきまして二億一千七百万円の予算を計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/33
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034・宮本邦彦
○宮本邦彦君 この資金の提案の理由のところに、「未だに営農の安定を得ていない者」ということがあるのですが、これは御説明によつてまあ大体わかつているのですけれども、もう一度承わりたいと思うことは、この「安定を得ていない者」というのは、計画通りに行つていないという、その計画が基準になつての意味かどうかということ、入植計画というものがある。その入植計画の通りに行つていないということが基準になつての意味かどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/34
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035・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) この提案の理由のところの不安定というものは、それほど固い意味では考えておりませんが、私たちのほうでは、定の営農地の立地條件によりまして、先ほど言われましたような一つの標準形態を持つておるわけであります。その標準形態に必ずしも合つていないもの、それに遅れておるものが全部不安定であるとは私たちは考えておりませんけれども、又従いまして融資の対象とするものは、その標準的なものから落ちておるものが全部融資の対象になるかどうか、そこは少し実際の事態に応じて考えなければならんかと考えておりますが、この提案のときに申上げました不安定というのは、それほどまあ固い意味で申上げておるわけじやないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/35
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036・宮本邦彦
○宮本邦彦君 まあ御説明のようなふうに受取つていいと思うのですが、大体においてこの意味は、私どもは立地條件その他で以て、或いは人的要素もあると思いますが、とにかく二十三年の入植者の遅れておるのを取り戻す、こういうふうにまあ私ども素直に考えているのですが、実際問題として私ども、そうじやなくて恐らくこの融資のかなりの部分はこれは生活金融の形で以つて消費されるものが多いんではないかと思います。それでも私どもはいいと思うのですけれども、ともかくそういうような遅れたものが追つつければそれで非常にいいことであり、結局農業経営が順調になればいいということなんです。先ほどから片柳先生が御質問になつた点もそういうところじやないかと私ども考えられるのですが、ただ私は、先ほど三浦先生から資料を要求された、その資料だけでは私何だか本当は判定しかねるのではないか。だからむしろ三浦先生資料は全般的な傾向をつかみたいという資料なんですが、私それに附加えて、標準的な地区といいますか、所の実際に遅れている状況なんですね。当初の入植計画から比較して遅れている状況、それが資料で以てわかればいいんじやないかと思うのです。そういうものをむしろ私はここで欲しいと思うのですね。委員長のほうから一つ要求して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/36
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037・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 開拓民に対しまする融資が生活資金に流れるということは、実際問題としてよほど考えなければならぬ点だと考えております。それでこの中期の資金につきましては、開拓協同組合のほうと連絡をとりまして、現物融資的な行き方をとりたい、原則として現物融資、こういう考え方を持つております。なおこの営農関係の長期資金の場合におきましても、若干の部分は現物融資的な実施を現在やつております。これは開拓民の希望によりまして、品目或いは額というようなものが変つては来ておりますけれども、御指摘のような点を実は十分に戒心をしながらやつて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/37
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038・宮本邦彦
○宮本邦彦君 現物融資というような金融の仕方ということは私は非常にいいことだと思つております。どうもここで一言、よそのことにまで亘りますけれども、農林省の従来の金融措置を見ますというと、とかく事業計画の金融を申込むというといつも頭を切る。八割何分とかいうような査定が原則になつておるようですが、この開拓者関係のやつは現物ならば非常に結構な二とであり、そうでない場合も減額して査定して金融することは実は非常に気の毒なことであつて、私は開拓地をしばしば見ておるんですが、開拓者は自分の身を削つていつも補いをしておるというような状態です。これが開拓者の何といいますか、空気といいますか、気分といいますか、それを非常に悪くしている。私いつもこれを感じるのですが、僅かなことであるから今後はそういうことのないように一つ考えられたほうがいいんじやないか。希望だけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/38
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039・小林亦治
○小林亦治君 あとから参りましたので、説明を伺いかねましたが、私の見ておる開拓農民の現状は、殆んどこれはもう一〇〇%融資の対象になる生活標準に現在ある、こう思うのであります。一般の国民生活の標準から見まするというと、どうやら成功の部類に属する開拓民ですら殆んど五〇%にもならない。それから東北各県のごときは四分の三は殆んど救済を要する程度の極く貧困な状態にあるのでありまして、そういうことから考えてみますというと、既存農家、つまり増反開拓農民はこれは第二といたしまして、新たに入植するところの純粋の開拓農民の立場というものは、もつと本省が熱意を持つて考えてもらわなければ困ると思うのであります。それにつきましては、先ほど政府が食糧増産五カ年、或いは十カ年であつたか知りませんが、四千億というものを計上して、大々的に食糧自給の方策を今考えておるんだというようなことをたしか当委員会でも発表せられて大いに我々も意を強うしたんですが、五ケ年間にできもしないところの四千億といつたような空数字を読まなければならんほど、食糧増産の必要を感じておられるのでありますから、開拓農民の立場に立つて考えて見るならば、その政府の方針をみずからの犠牲によつて担当しておる農民なんですから、そういうところから考えて見まするというと、三分何厘の金利を五分何厘にするとか、償還期限を短縮するということは、これはおよそ逆なんです。食糧増産政策とはこれ又矛盾するのでありまして、実情に沿わない改正案だと思うのであります。先日通過したところの本年度予算において、開拓資金の予算がで者ておるのでありますが、かような立法は当然でありますけれども、その内容は、開拓農民が楽になつたように見ておるような盛り加減というものは、これは実情を無視した、知らないのも甚だしいと思うのであります。そういうことを反省願いたいと思います。先ほどのどなたの委員からか、お願いするというようなことがあつたんですけれども、お願いするどころの騒ぎではないのであります。私共はむしろこんな立法は斬らなければならない。君たちの行政を監督し、鞭撻しなければならないのであります。出されたものを何でも鵜呑みにして通すという考えは持つておらないのであります。そこで結論的に申しますれば、趣旨は結構だが、内容は逆なんです。その点で私は反対なんです。くどいようですが、開拓の現状というものに対しては殆んど無知識なんです。現状を知らなさ過ぎるというのが私の不平を持つておる種なんです。
それともう一つは、これは序でに伺つておきますが、この法第七條なんです。これに私共は家は手を焼いておるんです。第七條、「都道府県に、その機関として、都道府県開拓審議会を置く。」而もこれが知事の監督下にあるために、殆んどもう開拓農民の要求というものはそこでねじられつちやつて通らない。審議会とか或いは委員会を置くというゆえんのものは、官僚的な、一つの権限的な機構の中からそういつた部面を切り割いて、民主的に運営するにあるのでありまして、審議会を知事の監督下に置くというのは意味をなさないと思うのですが、こういうことについても当局は認識を持つておられるかどうかを伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/39
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040・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 開拓民の生活が非常に苦しい現状にあるということに、確かにそういう面があると思います。又それに対して、いろいろな資金或いは又それの枠、利率等につきまして、もつとこれを応援すべき必要があるということも私たちもよくわかるのであります。殊にこの利率が従来の長期資金の三分六厘を五分五厘にしたという点、或いは又期間を短かくしたような点、確かにその点だけを見ますと少し辛い感じがするのでありますが、実はこれは新しくそういうものをやろうというわけで、枠が擴大されておるプラスのものでありまして、従来よりもその点は一歩進んでおるのではないかと考えております。勿論これが万全のものであるとは私たち毛頭考えていないのでありますが、従来のものよりも若干よくなつたのではないかと考えます。なお三分六厘五毛が五分五厘になつております点、これは実はこれをいろいろ交渉します際に、一般農家のほうが主として対象になつて出ております有畜農家の創設のための資金、それに対する利子補給の案が出ておるわけであります。これで行きますと、一割二分五厘に対しまして五分の利子補給を考えて、従つて利率がたしか実際的に七分五厘になります。そしてこれは農家の自己負担というものは三割くらいの自己負担をいたしましてやつて行く制度になつております。そういうものとやはり同じような性格であるということから、そちらのほうにかなり引つ張られる、実際的な交渉の経過にそういうような問題がありまして、いろいろとやつたわけですが、そこで開拓民につきましては、併しそういう高い利率じや毛頭やつて行つけないということで、年利国債利廻りの五分五厘ということに落着いたような事情にあるわけであります。又償還期間その他が短い点につきましては、これも長いほどいいという面も確かにあるのですが、これは全体の資金の枠の問題も考えたいと思いますので、私たちとしましては、これはできるだけ開拓民が返せる限度に早く返してもらつて、そうしてできればそれをぐるぐる廻して行く恰好にしてやつて行きたい、そうすれば開拓民としては、全体としてその同じ枠内でもいろいろと金の使い途が殖えて行くんじやないか、こういうような考え方と、営農関係から来る現実に返せるという計算の上から、二年すえ置きの五分五厘というところに実は落着けたわけであります。
なお従来通つております法律の中にあります開拓審議会の件につきましては、これはいろいろな、貸し方その他の場合におきまして開拓審議会の中に当然開拓者の代表の諸君が入つておられるわけでありまして、そこで十分にいろいろなデイスカツシヨンをして頂くというふうにやつて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/40
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041・小林亦治
○小林亦治君 この七條の問題なんですが、開拓民の代表が入つておるのですけれども、数が極く僅かで、五対一であつたり七対一であつたり、殆んどそれは問題にならないのであります。多数はこの保守的な知事のほうに加担しておるので、新らしい計画というものは、つまり開拓民の要望に副うところの開拓行政というものは、足踏みになつておるのが現状なのでおります。繰返して申上げまするが、食糧増産という一大国策の分野を担当しておる農民から利息をとらにやならんという考えそのものが非社会立法的であり、時代に副わない、こういうことを申上げたのであります。それからやり取りがどうだとかいうことは、これは第二の問題に私は考えられる。政府が昭和二十一年度にあれだけ太鼓を叩いて開拓計画というものをやつたが、まだ半ばにも達しない。それからすでに七カ年近いのでありますが、現在のところでようやく五十方町歩以内なのです。然らば残る五十万町歩の必要がないかといえば、そうじやないのでありまして、現在ですら年間千六百万石の不足を来たしておるのに、五年後には三千万石の輸入を仰がなければならんという悲鳴を挙げている今日、社会立法にすら利息をとらなければならんというような根性を持つておる政府では、殆んどこれはもう期待せられないのじやないかと思うので、敢えて憎まれ口を申上げるのであります。先ず大体農政なり開拓行政に対するところの根本の考えが如何にも保守的であり、資本家的であり、非農民的であるので、あえて申し上げるのでありますが、何とか全然利息がないというようなわけにできないとするならば、何とか現状通り、従来通りの三分というようなことにしてもらいたい。そうでなければ我々は御賛成ができないのであります。償還期限のほうはこれはお説の通りで、長いから必ずしも楽ということにはならんと思います。この点は技術的にもなお私どもは研究の余地があろうかと思うのです。まあ金利の点だけは是非この法案通りであつてはならないと思うのであります。それに対してお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/41
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042・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 私たちのほうも利息が安いことは非常に望ましいことと考えておるのでありますが、先ほど申上げましたように、五分五厘で十分に返して行けることは返して行けることと、それからこれが国債利廻りの程度のものであるということと、片面この一般の有畜農家の創設のための融資のほうのバランス等から睨み合わせまして、この程度のところでやつて行くのが妥当でないか。又十分やつて行ける、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/42
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043・小林亦治
○小林亦治君 これはどつちみちこの御答弁では満足しきれないのであります。これは基本法ではありませんが、別法の農地法というものが現在問題になつております。このほうに十分論議を盡したいと思つておるのですが、ここに開拓者というのは入植の場合だけですか。それとも既存農家の増反の場合もやはり開拓者になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/43
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044・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) ここで言つておりますのは、既存の増反いたすというものを指しておりません。何と申しますか、完全入植と申しますか、そういう諸君を対象にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/44
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045・小林亦治
○小林亦治君 それも片手落ちだと思うのであります。昭和二十四年度以来、政府が増反開拓の場合の補助金を打切つたのですが、このために非常に開拓の進捗は阻害を来たしておるのであります。既存農家必ずしも楽じやないのであります。全国の農家の生活標準というものをパーセンテージにとつて見ればおわかりの通り、やはり新たに労力を加えて増反しようとするには、これは普通以上の犠牲を拂わなければならん。これらにもこの純粋入植の場合と同様な補助なり或いは助成なりが必要なんであります。たしか二十四年度で補助を打切る場合に、当局の言いわけというものは、二、三年後楽になつたら何とかしてあげますが、とにかく今、来年度は財政上むずかしいというような言明をされたようなんです。もう今日ではすでにその時期であろうかと思うので、増反開拓農民に対するところのかような趣旨内容の補助策も一つ考えてもらいたいと思うのであります。
それからもう一つ、これは国策から来たところの一つの政策で、当時は止むを得なかつたと思うのでありますが、新たに開墾、開拓をする場合に、既存農家でなければそれに対する未墾地の解放を認めない、三反歩以上耕作するものでなければ開拓地の売渡しをなさない、こういう建前をとつて来たために、折角のこの農地解放によつて村落に居住し、而も一反歩の土地も持たんで、山の中、農村の中におりながら、大根やかぶらを買わなければならなかつたこの非農家の立場というものは、折角のこの農地解放の光明を仰ぎながら、指をくわえて見ていなければならないというような悲惨な状態になつておるので、私どもから考えますれば、農政の基本政策の一つとして、理髪屋であろうと、豆腐屋であろうと、こんにやく屋であろうと、いやしくもこの農村に居住をしている以上は、自分の家で消費するに足るだけの野菜を生産するに足る耕地ぐらいはこれは必要なんであります。増産ということから考えても、大きな農家よりも、却つてこの一反歩なり五畝歩なりの小さな土地を持つておるところの農民というものは生産が上手なんです。熱心なんです。かような点から考えても、増産にはむしろその家庭消費量だけの土地を與えるということがこれは一つの進んだ方策ではないか、実際に即した政策じやないかと思うのであります。そこでこの農地法の場合も、三反歩以上耕作するというこの鉄のカーテンを外してもらいたいと私どもは今考えておるのであります。如何にしても、この地方の官公吏というものはその必要性を認めておる。ところが中央の官公吏になりまするというと地方のことはわからない。実情を御覧になつておらないところの結果だと思うのであります。そういうこともこれまでは農林委員会にもまま問題のあつたようなことなんでありますから、この際是非一つお考え願いたいと思います。先頃平川局長に会つてこの話をしたのでありますが、局長は、やはりこの農産物というものは専門家にやらしたほうがいいのだという型通りの考えを持つて動かれないようなんであります。一つあなたがたからも、大いにこの実情を見てもらつて、そうして頭の固い局長なり次官なり、そういう連中を啓蒙、啓発してもらつて、農民の要求に沿うような農政を一つ考えてもらいたいのであります。どんな立派な御答弁を頂いても、実情から浮いたところの御答弁では、これはもう私どもは農民に対して、そういう御答弁のまま素通りしたのでは、これは申しわけないと思うのであります。農民を代表する意味で、あえて一つ要請しておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/45
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046・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは或いは未墾地の売拂いの場合は、ことはもう先ほどのお話と少し違うかも知れませんが、従来の出身が菓子屋であろうと、それから散髪屋さんであろうと、要するに入植をして、そして一本立ちの農民になろう、又こちらのほうでいろいろとそれだけの能力があると認められるかたにはどんどん入植をして頂いております。ただ片手間の入植という恰好では、これはいかんかと思いますが、従いましてどうしましても増反の向にいたしましても、或いは完全入植の場合におきましても、これは専業農家という建前で考えて行くべきだと、これは従来の方針もそういう方針でございますが、今後もそういうふうに考えて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/46
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047・小林亦治
○小林亦治君 その従来の方針が気に食わんというのです、私どもには。片手間にやると言いまするけれども、あなたも御承知でしようが、この日本の農民の一体三反歩前後の農民のパーセンテージは幾らあるか。あなた御存じですか。それらというものは殆んど半ばに達しておる。ところがいずれも片手間なんです。三反歩だけで食べておるところの農家というものはないのであります。そこでこの未墾地の開放の場合でも、一反歩なり二反歩なり與えるということ、さつきも申しましたように、却つてその小さなところの限られた土地というものを與えられた農民は、これは村民ですね、これは可愛がつて肥料もどんどんやるし、精を出して農産物というものを作ることに努力をするのであります。決してこの増産の面からマイナスにはならない。むしろプラスになる。将来の行政の基本は先ほど申上げたように、いやしくも山村、村落に居住する限り、自家消費量の野菜くらいは自分の手で以て、自分の畠から生産さすべきだと、こういうのであります。ここがわかりますか。将来の農政はそう行かなければならんのです。農村におりながら、隣から大根やかぶらを買わなければならんということは、これは悲惨なものですから、国民経済の上から言つても、農村政策から言つてもこれはまずいのです。是非そういうふうに考えてもらいたいと、こういうふうに要請しておるのであります。あなたの御答弁を聞くのじやない。そういうふうにあなたも一つお考え願いたい。御参考に願いたいというので申上げたのであります。片手間片手間とおつしやるのですけれども、今申上げたように、決して片手間にはならない、片手間ということがいけないとするならば、現在のこの日本全国の農村の状態を御覧になればいいと思う。もう殆んど半分は三、四反歩の農家なんです。而もそれらは専業農家でありません。殆んど兼業農家なんです。そういうことも認識に入れられて、是非この村落に居住する限り、未墾地解放なり、或いはこの開拓適地の配分なりに当つては、三反歩以上の耕作農民という枠をとつてもらいたいというのが私の希望なんであります。一つそれも御参考に研究してもらいたいと思います。同時にこれは農村を歩いて見てもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/47
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048・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは確かに増反の場合の未墾地の配分につきましては、その村で土地の足りない農家とそういう農家に優先して渡しておる。それで勿論十分なわけに行かんと思いますが、農業の適正な規模にできるだけ近付けるようにやつて行く、こういう考え方で行つておるのがやはりそこで限定されまして、今言つたように土地が少いために非常に現在ほかの仕事をやつているかたちであるとか、或いは又非常に土地の少い、農家という恰好で見られないようなかたがたに対しで、土地の配分がないというようなことになつて来るかと思います。併しこれは村の実状に応じまして、村の農業委員会の意見その他を聞いてきめておるわけでありますが、まあ今のところまずまず止む得ない方向ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/48
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049・小林亦治
○小林亦治君 決して言葉尻を捉えるわけじやありませんつけれども、この嚴選入植の場合は、希望者はどんどんおつしやるけれども、これはなかなか予算の枠があつて希望者の十分の一も入れられておらないような現状なんで、これは御承知だろうと思うのです。それとこの只今の現状止むを得ないということで、先ほどもおつしやいましたように、現状止むを得ないと考えておられるところの基本理念を持変えてもらいたいと、こう思うのであります。そういうことは従来からの政策であつたろうと思うのでありますが、その政策が間違いであり、実情に沿わんということを申上げたので、どうか一つ切替えるように御研究を願ついたいと思うのです。これは答弁要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/49
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050・飯島連次郎
○飯島連次郎君 今度の改正法に限定して二、三の点としてお伺いしたいと思います。これは問題点はやはり五分五厘という金利と五年というところにあると思うのですが、配付頂いた資料によりますと、中期資金の償還計画という参考資料がありますが、先ほど他の委員からいろいろ資料の要求がございましたが、私はやはり償還が果してできるかできないかというところに問題がの焦点があろうと考えるわけでありまして、そういう見地からこの(A)、(B)という二つの欄がありますが、償還財源(経営余剰)という数字が(1)(2)(3)計と四段に掲載されておりますが、これは計算の根拠あつての数字でしようから、算出の根拠を一つお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/50
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051・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは、算出の根拠は勿論あるわけですが、ただ数字の書き方が実は誤解のあるような書き方になつておるのかと思います。むしろ訂正して頂いたほうがいいんじやないかと思いますが、先ほど申しましたように、家畜を入れまして、そして家畜が生まれる計算を、これはかなり安全率をみた形で計算に出ておりますが、それを三分の一ずつ毎年に配つておるようなことをしまして、收入の一時的な増加を出さないような恰好に数字がなつております。これは実情とは違うので、その点はむしろ訂正すべきと思うのですが、それから参りますと、この初年度のマイナスが消えて行くわけです。それからこの基礎数字の出て参りますのは入植をいたしまして六年目になりますと……入植して六年目と申しまするよりは、入植して三年間営農資金を受け、それから中期の資金を受けるということになりますというと、二年間据置きになりますから、その三年目の状況を考えますというと、家畜を入れまして経営全体で二十万九千円の收入に対して支出が十九万五千円、従つてそのつ経営の余剰がここに謳つております一万四千七百九円と出て参るわけであります。でありますが、この数字は、家畜を入れましで入れた年、その翌年、そのもう一つ翌年の三年目に子供が生まれる。而もその子供が生まれたものの收入を、実は三分の一ずつ毎年收入がある恰好にいたしまして配分しておりるような数字を出しております。と申しまするのは、これはおかしなあれですが、余り收入が早く一遍にあるということにいたしますと、開拓地の関係で、安全率をみるほうが実情に合うというようなことからそういうふうな計算方式をとつておるわけであります。その基礎の数字は、今申しましたような、家畜を入れて二年目の收支のバランスから出ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/51
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052・飯島連次郎
○飯島連次郎君 今のような説明では私には納得できないので、これは口で説明して頂くよりも、数字を私は問うておるわけですが、数字で説明して頂ければ極めて明瞭になるわけでして折角できた子供を、これを三年で均等配分するという考え方は、まあ考えようによつてはできないことはありませんが、実情と若干違つておりますし、なお入植してから六年目の農家が、只今言われたように、経営の初收入が二十方九千円あるというその根拠が私は実は知りたい。果して一万四千というその余剰が出るかどうかということが質問のポイントなんです。それを知りたいわけなんです。只今そこに資料がなければ、この次でも結構です。その問題はそういうことで次の機会に保留しても結構です。
その次にお伺いしたいことは、大体今度の融資の対象つが家畜であるというお話ですが、このやはり資料を拜見すると、大家畜が六万六千、それから中家畜が七万四千という数になつておりますが、ここに入植しております開拓者の数を見ると、十四万二千戸という数字になつておりますが、これはつまり完全入植の数字でありまりすかどうか。つまり増反を含まない数字でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/52
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053・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 先ほどの資料は、むしろ先ほど御要求がありました資料と一緒に、数字的に刷つたもので御説明するようにあとで手配をいたしたいと思いますので、御了承願います。
それから十四万二千戸は、これは完全入植でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/53
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054・飯島連次郎
○飯島連次郎君 これが完全入植であるということになれば、中家畜の数は大体既入植について二戸に一頭という割りでやるわけですが、大中家畜合せまして平均二戸に一頭入植者は持つておるということに表の上ではなるわけで、これは既存の農家の戸数と家畜数ということから判定すれば、決して少数字ではないと思います。従つて今度の融資対象に家畜を主として選ばれるということでありますが、大体お考えになつておる家畜は何を対象にしているのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/54
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055・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 役畜を今主として考えております。牝であります。併しこれは必ずしも、所によつては開拓民の希望によりましてほかのものが出て来ることがあるかと思いますが、大家畜で牝を考えております。
それから御指摘の通り国拓民の持つておりまする一戸当りの家畜の頭数は、既存の農家よりも現在においてもすでに多い状態になつておりますが、併しなおこれでは不十分であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/55
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056・飯島連次郎
○飯島連次郎君 そこで私のこの改正法に対する考え方といたしましては、つまりここに頂いた資料の償還財源である農業経営の余剰という数字、仮にこれを是認するとすれば、私は先ほどお話のあつた有畜農家創設維持という、金利は高いけれども、七分五厘という利子を附して家畜を導入できるという途が一方では開かれている。これは開拓者であるがらこの対象にならないという制限は附されておらないわけでありますから、つまり経営の程度の高い開拓農家はこれを使うという途も開かれておる。従つてここの今度の改正法で狙うところは、もつと程度の低い、つまり経営度の低いというか、生活力の非常に低い農家で、そして非常に立遅れをしておる農定を何とか追いつかせようというのが法の狙いのようでありますから、そう考えて来ると、この五分五厘という利子もこれは問題になり得る。従つて私は五分五厘という利子、つまり従来の長期資金に比べて一分八厘五毛も高い利子の算定をされたというその動機なり理由は一体どういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/56
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057・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは結局数字で営農の状況その他を申上げるときに説明するのがいいかと思うのですが、私たちも三分六厘五毛で安く行けばそれが一番いいと思います。併し五分五厘でも十分に返せるという見込のあることはこれは営農收支のほうから出て来ることでありますそれから結局これを私たちは土台にいたしまして、長期資金の確立をやつて行きたい。それで以てぐるぐると廻して、開拓民が中期的な面において今までギヤツプがあつたのを埋めて行きたい、これをとにかくやつて行くというつもりでおります。従いましてそういう構想から行くと、まだ二十三年だけの入植者に限るという考え方が今後も発展して行かなければならん、こういうふうに考えるのであります、今年の財源その他から考えますれば、先ず二十三年度の諸君に考えて行きたい、こういうような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/57
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058・飯島連次郎
○飯島連次郎君 中期資金を創設したいという考えについては私は何ら異議をはさみませんが、つまり一分八厘五毛上げたということについては、これはもう少し砕いて言うと、財政当局なり、国の予算なり、そういう方面からの非常に強い拘束を受けておつて、長期資金ではどうしても役畜資金は殖やせないという一つの強い制約があつてのことであると思うが、そういう制約はなかつたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/58
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059・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは勿論主計当局と私たちのほうと協議いたしまして、五分五厘の線を出したわけでありまして、まあ私たちのほうとしては三分六厘五毛であるということは望ましいことなんですが、併し五分五厘でそれは返せないかというと、そういうわけではありません。返せるのであります。従つてその程度の利率が、若干開拓民に対しては利率が上つておりますから、その点不利になつたような感がないでもないのですが、併しこれで以て中期的なものの確立へ行く、一歩前進したという意味において、五分五厘でやつて行くことがやはりいいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/59
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060・飯島連次郎
○飯島連次郎君 じやあ五分五厘でも返せるとおつしやるが、返せるか返せないかということは今後の問題で、そう簡單に私は断定ができないと思う。だからさつきの正確な資料を求めておるのであります。これは五分五厘でも楽に返せるという考え方は私は若干再検討を要することじやないかと思う。
それからこれはもう一つ最後に希望を申述べておきたいと思いますが、先ほどもいろいろなほかの委員の御質問等にもありましたが、開拓地の営農の安定を得ていないものもある現状である。而も入植年数がもう六年も経過しておつて、而も安定を得ていないという、そういう現実は、何かそこに然らしめておる原因が伏在しておるに違いない。だからその補足としてこういうことをまあ構想されたに違いないと思うわけでありますから、従つて今度のそうついう中期資金なり、或いは家畜をもつと導入することによつて、その経営の立遅れなり、営農の不安定を一つ安定せしめる、そういう構想からいたしますと、私は、今度の法律と必ずしも一体の問題ではありませんが、考え方として、利子のつかない金で家畜を開拓地に入れるという、つまりこれは国で家畜を持つて、開拓地に現物を入れて、そうしてできた子供で、つまり次から次へと今度は循環的にこれを殖やして行くという考え方もあつて然るべきではないか。そういうことは今度の法律のこの中では或いは困難かと考えますがそういうことについて開拓当局は論議され、或いは考えられたことがあるかどうか、今後そういうことをやろうとする用意なり構想があるかどうか、その点を一つ伺つて私は質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/60
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061・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) いわゆる家畜の予託的な行き方というものにつきましては、従来検討をいたしたことがございます。併し国としてそれをやることにつきましては、いろいろと問題があるので、まだそれに対して私たちが実施する段階に到つておりませんが、検討は今後も続けて行きたいと思つております。ただ県によりまして、今御指摘になりましたような制度をとつておるところがあるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/61
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062・片柳眞吉
○片柳眞吉君 先ほど来金利の問題が大分出ておりますが、そこで御質問したいのはこれはたしか特別会計になつておると思うのでありますが、特別会計で出す場合の資金のコストはどういうふうになつておりますか。資金のコストがどうなつておりますか。それで大分金利の向きが変つて来ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/62
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063・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) あの資金のコストといいますと、これは一般財源から振替つておるわけですが、一般財源の中の資金はどこから出るかということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/63
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064・片柳眞吉
○片柳眞吉君 一般会計から出ておりますればこれは資金のコストが出るわけです。ただ特別会計の事務費その他で若干のそこに費用が加わつておりますれば、それが或る程度私は特別会計から出る場合のコストにかかつておるのではないか、僅かのものではないかという意味で実はお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/64
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065・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) これは事務費は全然別でございます。一般会計から入つて来るわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/65
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066・片柳眞吉
○片柳眞吉君 そうすると、既往の三分六厘何毛、或いは今回の五分五厘でも、国民から血の出るような税金から取つたものを融資に廻して三分何厘か五分五厘の金利を政府が取ると、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/66
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067・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 政府が取るというか、(笑声)とにかく一般的なら一般会計から出ておる金を五分五厘の利子で貸しておる、ういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/67
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068・片柳眞吉
○片柳眞吉君 ですから、そうなつて来ると又問題が非常に根本論に私は入つて来ると思うのですが、別途に審議いたしました農林漁業資金融通あたりでは、これは全体でようやくコストが大体ペイできるという意味で金利を取つておるわけなんです。こつちのほうは予算のほうから、これは資金運用部資金であれば資金コストがないわけでありますが、一般予算から出て来れば、資金コストがゼロの金を、而も事務費は別にしておると、そうすれば何といいますか、今までの金利でもむしろおかしいというようなことも出て来るのであつて、そうなつて来ると、先ほどの五分五厘というのはいよいよおかしくなるので、全体に五分五厘を取らないと、全体でペイできんということになればこれは止むを得んと思いますが、今の答弁ですと、金利問題は更に深めて来ると思いますが、今の御答弁でわかりましたから、質問はこれで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/68
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069・加賀操
○理事(加賀操君) じや如何ですか。いろいろ各委員から資料の提出や、それから質問は留保してありますので、政府から資料が参りましたあとで更に審議を続けたいと思いますが、それで今日はこのくらいで散会したいと思いますが、如何でございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/69
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070・加賀操
○理事(加賀操君) では委員会を終ります。
午後三時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X04219520529/70
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