1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年六月十八日(水曜日)
午前十時三十九分開会
―――――――――――――
出席者は左の通り。
委員長 羽生 三七君
理事 西山 龜七君
加賀 操君
山崎 恒君
岡村文四郎君
委員
池田宇右衞門君
瀧井治三郎君
宮本 邦彦君
赤澤 與仁君
飯島連次郎君
片柳 眞吉君
島村 軍次君
三浦 辰雄君
三橋八次郎君
小林 亦治君
松永 義雄君
政府委員
農林省農地局長 平川 守君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
説明員
農林事務次官 山添 利作君
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
○請願及び陳情の件
○農林政策に関する調査の件
(農業団体再編成の件)
○農地法案(内閣送付)
○農地法施行法案(内閣送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/0
-
001・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 只今より農林委員会を開会いたします。
請願及び陳情を議題に供します。速記をとめて下さい。
午前十時四十分速記中止
―――――・―――――
午前十一時二千九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/1
-
002・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 速記を始めて
下さい。これにて休憩いたします。
午前十一時三十分休憩
―――――・―――――
午後一時五十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/2
-
003・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは午前に引続いて委員会を再開いたします。
午後の日程の第一は、農業団体再編成に関する問題でありますが、この件につきましては、農林委員の各位並びに委員外の議員各位からそれぞれ御要望がございまして、最近新聞紙上に農業団体の再編成が報ぜられておるが、その真意如何、これを確めてはという御要望がございましたので、本日は山添次官の出席を得まして、これに関する御検討を願うことにしたわけでございます。新聞の報道と言いますと、農業団体の再編成にからんで、農林省が何かタッチしているのではないかという印象を与えられるように報道されておるのでありますが、まあ特にこの問題について委員会を開くよう御要望のあつた各位の意見を総合いたしますというと、何か一部のかたがたの御意見で、日本の農業団体が旧帝国農民の復活を意図するような方向へ、復活を意味するような方向へ持つて行かれるのではないかという御心配があるようであります。で、まあ戦後数カ年間日本の農業団体もいろいろなコースはありましたが、民主化の方向へ向つて来たわけでありますけれども、それが今日の姿でいいかどうかはそれぞれ再検討を要する問題ではあると思います。併しそれにもかかわらず曾つての旧帝国農会の復活というような形へ農業団体を持つて行かれるということは非常に迷惑だということで、非常にまあ率直に申上げて、やかましい御要求がありまして、今日の日程に議題を載せたようなわけであります。従つて我々といたしましては、一通りのこの事情を山添次官から承わつたのち、格別の若し御質問があつたらば、その後に御質問願うことにいたしまして、最初山添次官からこの間の経緯を承わることにいたしたいと思いますので、御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/3
-
004・山添利作
○説明員(山添利作君) 農業団体の問題につきましては、いきさつを申しますと、少し遡りますけれども、昨年まだ占領の時分に、司令部の天然資源局から農民団体法という法律を示されまして、政府はこれをやる意図はないかという話がございました。この内容は農業協同組合法と形は随分似ております。ただ出資がないということ、それから事業目的が違うこと、こういうことでございました。当時私どもといたしましては、日本の農業者としては経費の負担ということが事実上困難である、従つてそういう団体法制は作つても意味がないということで反対をいたしたわけであります。その後農民厚生協会でありますか、そこで有志のかたが集られて、農業団体の問題について付議をせられた由であります。農林省の役人の人も一部出席しておつたかと思いますけれども、そこで一案を得られたそうでありますが、私はその案の内容を実は見ておりません。それはそのままであります。まあそういうのが表て向きの今までの動きでございまするが、何となしにやはり団体の問で団体に関する問題についてまあもやもやとしたような気分があると申しまするか、何かそういうものがあるように思います。今回新聞に出ておりましたことは、さような空気をも反映をいたしたのかと思いまするが、指導連合会の会長の荷見さんの御斡旋で農業協同組合の中央団体、並びに農業委員会協議会の全国協議会のほうとを含みました農業団体の首脳者の人の意思疏通を図る懇談会を設けられたのでありまして、主としてこの会合は極めて何と申しますか、そう形式立つたものではございませんから、何を取上げるかということがはつきりしておるわけではありませんけれども、主として農業団体に関する諸般の問題を懇談、研究して行こうと、こういう趣旨だと思います。それについて政府の者も参加をいたしておりますけれども、これはそういう懇談会であるという性質の下におきまして、まあいわばお客さんのような形で参加をいたしておる、こういうのであると考えております。ところでこれが今後どういうふうに進められて、懇談が進んで行くかということにつきましては、明確な方向というものがあるわけではないと存じます。只今委員長のはうから旧帝国農会の復活を目指すがごとき動きをするのではなかろうかという御指摘がございましたが、これはそういうことでは必ずしもなかろうと存じます。元来これは懇談会のかたがたの意見ではございません、私のまあ個人的な意見から申しますれば、農業団体編成という大体呼び方、それ自体がどうであろうかというふうに考えておるのでありまして、やはりこれは農民の経営乃至技術の指導の充実を期するとか、或いはその他の団体活動を活溌にするとか、こういうことについていずこに問題があるか、その問題がはつきりすれば、それに対する対応策如何ということを懇談、研究して行こう、こういう趣旨だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/4
-
005・羽生三七
○委員長(羽生三七君) もう一度重ねて念を押してお尋ねをするわけですが、農民団体自身がみずから農業団体の将来のあり方について検討するためにそれぞれの団体が集つて協議されることは、これは自由だと思うのでありますが、それに農林省、政府当局が介入して云々というようなことはないことである、又今後そういう意図を持つての指導ということをおやりになるということはない、こういうふうに解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/5
-
006・山添利作
○説明員(山添利作君) 委員長のおつしやる通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/6
-
007・小林亦治
○小林亦治君 そこで、今の次官の御説明では必ずしもはつきりしていないのですが、現在農民の団体のほうでどの程度のものを盛り上げておるのか、それをもう一遍伺つてみたいのです。或いは全然これは農林省方面の意向だけが問題になつておるのか、農民団体のほうからそういつた再編成という空気が強くなつて参つておるのか、その辺をはつきり聞きたいのです。というのは、やはり新聞にもちよつと見えたように、政府側がそういう強い考え方を持つておつて、将来そういうふうに押し付けようといつたようなことが伝えられておる向きもあるので、そうなると、勢いやはり元の帝国農会のような恰好になるのではないかという懸念が今日のまあ輿論のようになつているので、その辺を少し詳しく伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/7
-
008・山添利作
○説明員(山添利作君) 農林省といたしましては、農民の団体が強力であり、その機能が活溌になることを多く望みますことは、これは当然でございまするが、併し現在の団体の問題につきまして、しかく明確なる考え方を現在持つておるわけではございません。又官庁が仮に考えを持つておるといたしましても、その事柄が実際実を結ぶ、効果的になるというためには、上からのいわゆる天下りでは到底駄目でありまして、これはむしろ広い各方面からの意見が一致し、いわゆる機運が熱して、おのずからそこに帰着するということでなければ、この団体の問題のごときは効果を結ばないと思います。従つて政府と申しますか、農林省の態度としては明確な官庁の案を提示して、そして如何ですかという扱い方を今後ともいたす考えは持つておりません。むしろ成し得れば、これは本当の広い村々からの意見が盛り上るということが一番望ましい状態だと思いますが、まあそういうことは日本の広い農村に果して期待できるかどうかということは、それは若干疑問があるといたしましても、ともかく政府のほうから何らか押し付けがましい態度に出るという考えは毛頭持つておりません。又そういうことは有益でないと、かように考えております。そこでこの懇談会に対しましても、今申しますように、政府部内としてこれが最善の案である、現在の事態に対してこういう対策が必要であるという明確なものを持つておりませんと同時に、根本態度として政府がこうたという態度はよくないという考え方でありまするが故に、この懇談会に参加をいたしておりましても、私どもとしてはそこに積極的な役廻りを果す考え方はないのでありまして、併し経験もあり、又年齢も積んでおられる懇談会の構成メンバーのかたがたの意見を十分伺うことは、私どもにとりましても至極有益であるとかように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/8
-
009・小林亦治
○小林亦治君 今次官から伺いますれば、新聞に伝えられており、私どもが懸念するような状態は何らないようですから、この点に関する心配はもう解消しましたから、私の質問は以上で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/9
-
010・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 大体只今の次官のお話で、政府が強いてこの問題に介入して、特定の意図を以てリードしておるわけではないということが明確になりましたので、若し将来何か問題が具体的になつて来たような場合には、いま一回会議を開くことにいたしまして、本日はこの問題はこの程度にして、次の議題に移りたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/10
-
011・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 本日私は、私の党の幹部会に参りましたところが、肥料需給調整法案を提案されんとしておるところの議員各位の案の説明の途上におきまして、この案に反対されるところの議員諸君は、総選挙に対しましても農民に反対の理由を話し、又団体からはこれらの問題に対して反対する者には、選挙に際して投票をしないような強力に団体各位が呼びかけておる云云という言葉があつたのでございます。団体はそこまでタッチすべきものでないだろうと思います。法案の内容の是非及び法案が農民全体に及ぼす過組においては、慎重に慎重を重ねてこれを成案し、或いは更に可決するというのは、議員に与えられたる権限であつて、団体といたしましては、そこまで強いるというような若し団体がありとしたならば、我々は令後十分に研究しなければならないと思います。従つて只今次官のお言葉の中に、農林省とは何ら関係のないという極めて明瞭なる御答弁で了承いたしましたが、若し農林省の所管の中に関連するようなことがありとしたら、団体としての職責を逸脱しないような方向に向けられる必要ありと私は思いまして、この点を強く要望しておきます次第であります。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/11
-
012・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それじや御了解願います。それでは飯島さんの質問だけで次の問題に移りますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/12
-
013・飯島連次郎
○飯島連次郎君 次官がお見えになつたので、特に次官に私は二、三極めて簡潔に、これは質問でなくて要望しておきたいことがあります。その第一点は、先ほどの団体の再編成をめぐる巷間の極めて活溌な動きに関してであります。これは我々参議院の農林委員会としては、実は本日初めて経過を責任のある立場から聴取したわけでありまして、極めてこれは素直に、而も簡潔に事態の動きに対する政府の態度を我我も率直に聴取したわけでありますが、併し我々も一歩国会の外に出ると、この問題は単に新聞の大きな紙面を占めておるのみならず、事実少くとも農民の指導の立場にあるものは全国の県、町村を問わず、この問題に対しては極めて深い関心と、非常に注目すべき監視を続けておる問題でありますだけに、国会としてもこの問題を対岸の火災祝するわけには行かんと思います。従つてこれに対しては、私はこの当委員会としても十分関心を持ち、なお今後の動き等に対しても随時この政府の責任のある、これに対する経過等を聴取する必要があろうと思うので、この点を私は要望しておきたいと、こう思います。
それからもう一つ、これは直接団体ではありませんが、事務次官にお目にかかる機会が極めて少いので、この席を借りて要望しておきたいことは、この食糧増産の五カ年計画等々が顧問会議の成果か存じませんが、そういうことが新聞等に発表されておりますけれども、当委員会としては、実はそういうことは関知しないことなんです。こういうことは何も当委員会が一々報告を云々という筋合いの問題ではないと思いますけれども、併し事少くとも五カ年なり、十カ年に亘る農林省を挙げての、或いは日本の重大国策の一つとしてこれが採択されるべき筋合の問題等が、委員会において何も知らない、まるでつんぼ棧敷におるがごとき状態に置かれるということは、甚だ委員会と申しますか、国会としてもこれは等閑視できない問題だと考えますので、これらの問題はもう参議院開設以来、この農林政策の基本問題に関する調査という項目で、本国会並びに臨時国会を問わず、絶えず重大な関心を持つておる問題であるだけに、そういう重要問題等については、やはり十分こつちに、当委員会等に連絡をとつて頂く必要がありはしないかと思う。これは事務次官等の立場におかれて、軽重或いは緩急等の判断を明確にされて、必要な連絡等をとつて頂くことが私は適切じやないかと考えるので、この点は要望と申しますか、併せて申上げておきたいと思います。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/13
-
014・山添利作
○説明員(山添利作君) 懇談会の経過を絶えずお知らせするようにということでありますが、これは事の性質上絶えずというわけには行きますまいと思います。併し何らかの懇談会として或る暫定的にしろ結論を得られる、部分的な問題にしろ結論を得られるというようなことがありますれば、委員長と連絡いたしまして、適宜御報告をすることにいたしたいと思います。
それから食糧増産の計画のことにつきましては、もとより私どもといたしまして、当委員会等の十分なる御協力を得たいと考えております。目下その案を文章にいたしております。でき上りますれば御配付いたしますと共に、機会を得ますれば、一つ説明会でもやつて頂きますれば、非常に仕合せに存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/14
-
015・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは前日に引続きまして、農地法案並びに同施行法案について質疑を続行願うことにいたします。なお、本案につきましては、衆議院で一部修正がありましたので、すでに御存じかと思いますが、御披露をいたしておきます。なお、その衆議院の修正部分は印刷したものをお手許にお配りしてあるので、これによつて御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/15
-
016・岡村文四郎
○岡村文四郎君 お尋ねしたいと思いますが、実は御承知のかたもありましようが、片山内閣の当時に農地の改革は憲法違反じやないかということが持ち上りまして、そこで片山総理に御出席を願つて、藤野議員が代表してお聞きになつたのでございますが、その当時は日本の憲法違反を論じてもこれはものにならんので、ポツダム政令によるものから発足いたしております。農地改良で、片山内閣では総理大臣は憲法違反ではない、こういうお話を承わつて、それで終つておつたのでありますが、その当時はポツダム政令によるものでありますから、我が国の憲法より先行いたしておりまして、我々がそれをとやかく言う必要はなかつたと思います。今度の農地法は国内法でございますが、憲法の二十九条にはつきりと明示されておりますので、これをどういうことに考えればいいか、この法案が犯罪とか、何とか言うようでなく、我々が扱いまする上に、又外部からそれを質された時分に、政府がどういう気持で、どういう肚でこれを出しておられるか、よく聞いておき、質しておく必要があると思いますから、この点を十分お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/16
-
017・平川守
○政府委員(平川守君) 農地関係の法令について、憲法違反の訴訟がありましたことは事実でございますが、これに対して憲法以上の関係であるというだけでなしに、憲法上からもやはり違反ではない、こういう解決になつておるわけでございます。問題は財産権を侵すことになるかどうかということでございますが、これについては法律の定めるところによつて、必要な場合には一定の補償をなし、又一定の公益的な目的を以て農地に対する制約をいたすわけでございます。今後ともこの憲法に違反はないと、かように解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/17
-
018・岡村文四郎
○岡村文四郎君 そういう解釈を私もしたいのでございますが、それで非常に困ることは財産権を侵害したのではないというお話でございますし、私有財産を正当な補償をする下にやるわけでもありませんし、それはそういうお話をされましても問題は第三条の問題でございますこの法律の……、そこで移転に対する権利のそれの意味がこれだけでは欠けておるということになる、これは非常に矛盾したことになると思うのです。今のお話では、憲法というのは何を指してそれならこれを書いたものかということにならんと、それは解けんと思います。憲法の財産権は、これを犯してはならんということになつておりますものを財産ではないとお考になるのか、そうなれば今度は三条を一体どうするのか、こういう意味ではどうもその点がそういう解釈だと言われても憲法を直すわけには参りませんし、ほかには通らない話だと思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/18
-
019・平川守
○政府委員(平川守君) 勿論農地は財産でございますけれども、その財産権の内容については公共の福祉に適合するように法律で定めるということになつておるわけでありまして、この公共の見地からいたしまして、農地につきましては、一定の資格のある自作農にこれを持たせるということがよろしいと、そのためにはその財産権の内容についてこういう制約をするということでありまするから、この憲法の二十九条第二項の条文に該当するものとして、この農地法が憲法違反にはならないと、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/19
-
020・岡村文四郎
○岡村文四郎君 この法律ではありませんが、農地解放の法律を初めて賛成された時分はそれでよろしいと思うのです。丁度あなたがおつしやつたようなことでいいと思います。今日は大体において八〇%といいますか、九〇%といいますか、大体の目標は達し得たが、もう僅かでございますが、一応その目的は達し得たような形になつておるために、今度は総括した三案を一緒に立案でございますから、今は私に言わせると、こういつた法律案は結構ですが、そういう虞れのある法律でなくて、幾らでも法律は作れるではないかと、こういうことが考えられます。そこで私はその罰則を見てこれを調べてみたのでございますが、何のためにそれほどな大きな罰則を一体作られることになつたのか、憲法で保護されておるにもかかわらずその点はどういうことかと思いまするが、今局長のお話のようにこれは憲法を侵害しておらんとこうおつしやいます。そこで今まで、例えば本院で憲法違反であるとかないとかいう議論をやつておりますが、それは曲げたり、いろいろなことによつてそういう解釈ができるという程度のものが非常に多いです。ところがこれはそうじやない、はつきりしておるものですから、そういうことを我々が言つてもなかなか納得してくれないだろうと思う。そこで問題は今の憲法を本当に尊重しなければならん立場においておきながら片方ではこういうことをするものですから、いろいろなことが持ち上つて、現在やつておる内閣委員会あたりで言つておりますことは、これはよほど釈解がいろいろにされての議論のようでございますが、私はこの問題は面倒な解釈は一つも要らんと思うのです。真すぐに解釈をして、真つすぐに書いてある通りに解釈しても、どうもあなたがおつしやるようなことを我々が云つてもそいつは通らんと思うのですが、もう少し何とかうまい方法を教えてもらわんと、お言葉はいいのですが、それでは一つも通らない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/20
-
021・平川守
○政府委員(平川守君) 財産権というものが無条件に、その権利者が自由自益にどう扱つてもよろしいのだということはむしろだんだんと少なくなつて来ておるのじやないかと思うのです。いろいろな法律によつて財産権がいろいろな制約を受けておるということは、もう農地法に限らず非常にたくさんあることでありまして、これは専らその制約は公共の福祉に適合するということの観点からの制約が加えられるものであります。これはもう非常にたくさんの例がありまして枚挙にいとまがないわけでありますが、その一つとして従来から見れば、農地の所有者は勝手に転々と売買ができたと、併しそれは農地というものの性質上堅実な自作農を育成し、それに持たせるということが一番公共の福祉に合致するのであるということから、この農地に対する制約、農地の所有権等に対する制約が生れて来ておるわけでありますから、これはその他の土地使用にいたしましても、いろいろな制約を受ける法律がたくさんあるのと別に違わないのであつて、その二十九条の第二項に当てはまる法律である。これは決して無理な解釈ではないと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/21
-
022・岡村文四郎
○岡村文四郎君 その問題はそれでもまあそういうことで納得してもしないでもいいのですが、そうなると、第三条、第四条、第五条、二十条、三十二条というものの適用に対する罪をどういうわけで今頃になつてそれほど重くしなければならんのかということです。それで前の法律にもありますが、全然違つております。そこで、そうでなくてやるべき方法は何ぼもあると思うのです。これは次に申上げますが、農業というものの本質から言わねばわからんと思いますが、今頃になつてこういう非常な重い罰則を適用しなければならんという理由を一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/22
-
023・平川守
○政府委員(平川守君) 今頃とおつしやいますけれども、私どもの考えといたしましては、すでに従来の自作農創設特別措置法、或いはポツダム政令等によつて創設されました自作地にいたしましても、これを放任いたせば、仮に自由に転々と売買できるということにいたしますれば、再びこれが元の状態に還つてしまう虞れもあるわけであります。そこで今後の問題としては、やはりこの創設された自作地をできるだけ維持するということが、そういう土地についても今後長く制度化しなければその維持ができないことになるわけです。それを維持するための法律の技術といたしましては、この第三条のように所有権を移す場合には許可を受けなければならんと、こういう制度で行くのが、最も素直な行き方であると、或いは又二十条のようにほしいままに条約の解除、解約等はできないと、これも農地調整法の従来の精神であり、小作地が不当に取上げられるというようなことがないという制度はずつと長く持続して行かなければならんというわけでありますので、そういうことを今後法則的に持続して自作農を維持し、又小作権者を保護して行くという必要がありとするならば、やはりこういう法律のテクニックで行かざるを得ないと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/23
-
024・岡村文四郎
○岡村文四郎君 この移転登記というものはそのままできるのじやないのです、権利の移転というやつは……。必ず土地の所有権の登記は登記するものです。そこで罰則も何も要らん、だめだと言えばそれまでの話で、移転できないということにしておいてもいいと思うのですが、どうも折角世界にない農地解放をやつて成果を挙げて、これを永続せなければならんことは、これは話をしなくてもわかつておるのです。ところが現在大体二万件くらいの移転をするものがあるようです。それは元から解放する時分に、私に言わせ喝と適当でないものがあつたのと、それから相続によるものだと思つております。そこでそういう当然適当でなかつたものはいつしかそういうふうにして提案理由の説明にもあるように、大体の何だけを仕上げて望ましい中核農業にしなければならんと、こう言つておられるから、それは元通りで一つも動かしてはいけないと、こういう方針ならいざ知らず、そうでなければ当然にできておる、詳しくはわかりませんが、二万件くらいのものがあるようで、大変それは大きな数字になりますが、反別は至つて少ないようであります。そこでそういう問題はおのずから起ることであり、そういうむしろお持ちになつた人もこれではどうにもならんと、又一方のほうも中核農民としてはどうにもならんというので、多分譲り合いで、農地委員会なりその他に認められてやつておると思うのですが、抜け出しで黙つて移転ができるものなら、これはそういう罰則も要ると思います。ところがそうではないと思うのです。登記がそのままで何にも役所のお世話にならないでかんかんと自分で判を付れば移転ができるものならそれはそういうことも必要と思いますが、そうでない。だからその方面だけでは何もこういうことは要らんと思います。それで私の聞かんとするところも余りにも百姓の財産のために如何にもそういう三年以下の懲役、十万円以下の罰金なんということにして、余りにも侮辱しなくても、もう少し百姓というものの真価を尊んでやれる方法もあると思うのです。繰返して申上げますが、これが登記をしないでそのまま売主、買主が承諾をされるときの買受、売渡の判をついて、それで終るならこれはできないと思うのです。ところがそうじやない、ちやんと登記をして登記ができ上るものなんで、何もそういうことについては罰則は必要ない、三年以下の懲役なんということにならなくても何ぼでもやれると思うのです。そこで扱い方がどだい百姓というものを余り見下げたことに考えるからこういうことになつたのじやないか、それが我々の実り残念な一つの現れなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/24
-
025・平川守
○政府委員(平川守君) この所有権の移転にいたしましても、これは勿論登記という段階もあるわけでありますけれども、その移転についてこれが適切な自作農に対する移転であるかどうかということを途中の段階において知事なら知事が判定するという機会を法制的に持たなければ、これをチエツクする機会がないわけでありますから、この許可制度というものはどうしても必要であろうと思うのであります。許可制度がなければそういう個々の取引、売買が農地法の期待しておるような適切なものであるかどうかということを判定する機会がないわけであります。どうしてもこの許可制度は必要である。許可制度をとりまする場合において、勿論法律にこう明記されておれば、普通の農民でありますれば、その手続をちやんととるということになり、ただこの手続が非常に面倒であるというようなことにつきましては、これはできるだけ簡素化して、実際の農民に迷惑を与えないようなことは行政的に十分考えなければいけないと思いますけれども、併し制度といたしましては、こういう制度にして、そうして通常の農民は十分この手続をふんでやつておるわけであります。今でもそういうふうに行われておるわけであります。これで差支えはないと、ただこれに罰則を科けるかどうかという問題になりますと、勿論それは議論はあると思います。議論はあると思いますけれども、併しこの規定が非常に重要な農地法における一つの中核をなすような重要な規定であるわけであります。その重要な手続についてはこれをちやんとふんでもらいたいということを強く実施する意味におきまして、若干の罰則はまあ普通の法律の例から申しましても、これだけの制約をして、又それが非常に重要な制約である場合においては、或る程度罰則を以て強行するということも非常にとつぴなことではないのでありまして、この程度のことは妥当であろうというふうに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/25
-
026・岡村文四郎
○岡村文四郎君 でも、その罪の不適当でないというお話なんですが、一体この三年以下の懲役、これを最高三年と見、十万円以下の罰金を十万最高と見てどういう罪と一体匹敵するのか、どだい窃盗を行なつても七年間摘発されなければ無効なんです。効力はもう消滅します。そういうことなんです。ですから泥棒にも大小はありますが、大博徒も小博徒も、泥棒をしても七年間逃げ抜ければその人は罪がなくなるのです。ですからこの法律がどういうものに適応をして、これを切り出されたか、お聞きしたいと思います。三年を最高と見、十万円を最高と見ていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/26
-
027・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 岡村さんに私のほうからお尋ねするのですが、それは許可を受けないものについてもですか。受けないもぐりでやつた場合のことを言うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/27
-
028・岡村文四郎
○岡村文四郎君 もぐりでできないですよ、登記は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/28
-
029・羽生三七
○委員長(羽生三七君) だから許可を受けてやれば問題はないことになつておるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/29
-
030・岡村文四郎
○岡村文四郎君 それがいかんのだ、許可を受けても受けなくてもなかなか登記所では登記しませんよ。登記しないのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/30
-
031・平川守
○政府委員(平川守君) 手続上その登記のほうと連絡をいたしまして、許可証を附けないと登記をしないというような手続にいたしております。併しまあ非常に法律論をいたしますれば、登記というのは第三者に対する対抗要件である、所有権そのものは一応移るということにもなるのです。尤もこの問題については特別の規定もございますけれども、そういう関係にもあるわけでありまするし、又売ほどのお話のどういう罪と匹敵するかということでありますけれども、こういうような経済的な問題につきまして、公益的な見地から一定の制約をいたしておる場合、そういうような場合についてはやはりこの程度の罰則を附しておるのが普通でありまして、漁業等のほうの許可などにつきましても、例えば許可を受けなければ漁業ができないような規定のありますのに対して許可なしに漁業をするというようなことがあると、やはり三年以下の懲役、二十万円以下の罰金といつたような、或いは鉱業法においても許可なしは鉱物を掘ると三年以下の懲役であるとかいうようなとで、これについてはいろいろ議論はあろうかと思いますけれども、普通の経済法規においてやはりこういう程度の罰則を附しておるわけなんであります。農地法としても最も根幹の規定でありまするので、この罰則を適用するということに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/31
-
032・岡村文四郎
○岡村文四郎君 今局長は漁業権と対比されたが、漁業権というものはもうその人の、個人の権利はなくなつておるのです。だから認められて初めてできるのであつて、それはもう当然に認められて初めて、漁場というものは政府が皆殆んど買上げになつて、そうして認められておる権利だけをそこに許可されるのであつて、それは当然そうならなければならないはずなんです。で農業権という百姓の権利というものは何もそうなつてやらない、誰がやつても自由なんで土地さえあればできるわけです。だからその経済上とか何とかいうのでもどうもわからんが、こういつた法とこういう法とを比べてみてこういうことになつておるのだと思うのですよ。ただおおよそのことで、ここらでよかろうと、こういうような罪じやないかと思うのです。私はこの罪を着せられた時分に我々は困るものですから、お聞きしておるのであつてそのいけないということを犯すれば当然いけないに違いないので、百姓でなくても誰でもいけないが、そこに何か規定を設けておくことは必要なんです。ですけれども、三年以下という、十万円以下というその懲役、罰金は私は決して当然楽なものでないし、そういうことをするのは当然だとは考えられないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/32
-
033・平川守
○政府委員(平川守君) 只今申しましたのは、漁業権でなしに、漁業の許可を受けなければいけない場合を申上げたのですが、そのほか私も今具体的に適切な例を知つておりませんけれども、いろいろあると思います。これにつきましては主として刑の分量の問題につきましては、法務府のほうと相談をいたしまして、法務府のはうで全般的に考えて、この程度ということに、三年とか十万円ということを考えてもらつておるわけであります。なおこの個人の私有財産につきましていろいろ法律が制限をいたしておる場合に、その制限を犯した場合の罰というものがいろいろあると思いますので、例えば文化財の保護というようなものもあります。この場合に文化財を有つておるものが一定の許可を得ないで輸出をするとか損壊するということになりますと、五年以下の懲役を受けるというような、これはややもう少し或いは国家的の色彩の強いものかも知れませんけれども、自分の所有する財産でありましても、公益的の見地から法律に一定の制約を受けました場合に、これをその手続なり何なりをとらないと、或いは法律の禁止を犯すという場合においては体刑を科するという例はまだこのほかにも幾らもあると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/33
-
034・岡村文四郎
○岡村文四郎君 どうも情けない御答弁なんでこれはいかんですが、文化財保護と百姓の法律と匹敵して話をするということが、それが土台甚だ困つたことなんです。そこでそういうのでなしに私は別な角度からお開きしますが、三年という懲役はどれくらいのものを……、許可なしでできないから、やろうとしたものをそう言つておるのか、十万円という罰金にどのくらいの刑のものに匹敵するかということをもう一度お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/34
-
035・平川守
○政府委員(平川守君) どうもこれは具体的の八田のときに裁判官が判定する領分でちよつと私から申上げかねるのですが、実際問題としましては、非常に軽微なものをすぐ三年の懲役にししておるというような例はないようであります。で、善良な農民が、殊にそのときの事情にもよることと思いますが、岡村さんの御心配になるような善良な農民が比較的善意で過ちを犯したというような場合に直ちに三年の懲役を科するということは実際問題として起つておらんようであります。そういう点は余り御心配がないのじやないかと、むしろ善良な農民は大体においてこの手続をちやんと取つてくれておるのでありまして、現在でも件数は相当ございますけれども、大部分はちやんと手続をとつてくれておるのでありますから、今後といえどもその点を余り御心配になることはないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/35
-
036・岡村文四郎
○岡村文四郎君 私はこういう罪を犯すから重くて困るというので開いておるのじやございません。そこでこの法律が発布になりますと、よくわかります。下のほうでも……、そうすればこれはどういうわけだと、こういう農民を侮辱しておるじやないかと、こういう議論が出ます。この時分にどう言つていいかわからない、あなたのおつしやるように文化財みたいなことを引張り出して、そんなこととはてんで問題は違いますから、それを比較して農地というものを言うわけに行きませんし、百姓は純でございます。私と同じなんです。ですからそれがこういうことまでしなければならんということに疑義もあつて、我々を責めつけるときに、どうも答弁のしようがないから、これがお通り相場だと、こういうわけに行かないのです。ですから、筋途の立つたことを、殊に発案者のあなたも碌に答弁もできない、法制局も答弁ができないようなことでは困ると思います。そうでなくて即座に答弁をしてもらえるようでなければ、我々百姓は百姓に向つて話ができないのです。ですからもう少しわかる話をしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/36
-
037・平川守
○政府委員(平川守君) これはその良民を侮辱しておると、こう言われるのですけれども、併し公益的の見地からこういう土地の移転についてはこういう手続を経て知事の許可を得てしなければならないのだという、そのことの実体が了解ができまするならば、その一定の手続を経ない場合に、経ない人を罰するのであつて、一般の農民を決して侮辱も何もしておらないというふうに私どもは考えるのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/37
-
038・岡村文四郎
○岡村文四郎君 それは私もあなたと同様なんです。今破防法で上を下へのてんやわんやで騒いでおります。私はやらなければいいので、犯さなければいいので、何ぼああいう法律はあつてもいいと、今は必要だと考えておるのです。ですから、これを犯さないからというわけに行かんのです。何も俺はやらんのだからどういう法律があつてもいいのたと、こういうわけには行かんのです。ですからそこをはつきりしないと、若しやればこうなるぞということにしてもいいのですが、それにはその程度のものなら余りに過重じやないか、その過重の算盤はどこから出たのだと、こう聞いたわけなんです。ところが文化保護財を引張り出してもこれはちつとも適用されないので、それは駄目なんです。そうでなしに漁業権もいかんのです。全然違うのです。そうでなしに農地の、個人の私有財産と同じようなものでどういうものが匹敵をされておるのかということをお聞きせんと、我々は人に向つてそういうことが言えないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/38
-
039・平川守
○政府委員(平川守君) 何か農地に匹敵するような適切な例ということですが、もう少しなお調べまして、適切な例がございましたらお答えすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/39
-
040・岡村文四郎
○岡村文四郎君 それはそれでもいいでしよう、あとからでも結構ですから……、そこでこれは局長も御心配されておると思うのですから、きつと賛成してもらえると思うのですが、この法律は殆んどそういう面の御心配は非常にされておるのだが、結果を見るとはつきり出ておらん、それは現在の農家のあり方は非常に信用程度が薄いのです。現在信用として見るべきものは、その年度から見れば、その年の収獲物、或いは自由に売れる家畜、先ず自分の住宅か建物ぐらいで、その信用程度以外に見ることができないのです。ところか年々各多数の百姓が不時の災難もなくずつと行けるなら、それでも事は足らんとは申上げません。ところがそうではなくて、例えば協同組合で各人各個の信用程度表を作つて頼みます。ところが不時の災害のときになるとそれはどうにもならないのです。そこで無理に借せば理事者は背任行為なのです。ですからきめられた範囲より出るわけに行かんのですが、この財産を持つていると言いながら情けない始末になるものは現在百姓だけなんです。ところが協同組合でさえ非常に因るのですから、恐らく市中銀行へ持つて行つても誰も五円も貸し手はありません。だから政府がいろいろ御心配されておるようだがそこまで来るのには大分日にちがかかります。そうじやなくてすぐに要る、百姓というものは単純なんでして金がほしいといつた時分にはすぐ出してやるのでなければ、長いことたつていたんでは間に合わんことが多いのでありまして、すぐ要るというてもその土地を見合いにして金を出せる方法を講じてやつてもらえるだろうと思つておりましたが、さつぱり出ておらないが、私は何とか今度の法律で、卒直に申上げますが、せめて協同組合だけは、売るのじやないのですから、担保に即時にとれる。その代りそれがたくさん出て来てその借金が土地の処分でもしなければどうにもならんことになつたときには政府に買つてもらうなりしなければならない。又今度できるらしい農林漁業金融公庫ですか、あれができればそれでもいいと思います。併しながら今のところはもうとうにもならんので、それが非常に苦痛であり、協同組合も困つておりますし、農家も財産を持ちながら誠に困つた状態になつております。そこでその方法を講じてやつてくれることが本当の農林省の親心であり、自分の財産を打ちながら何もならんということになつておるのですが、いい案が何かありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/40
-
041・平川守
○政府委員(平川守君) この点につきましては、従来ポツダム政令で規定しておりましたようなこの強制譲渡の方式、これを今回の法案におきましても、十六条に申出による買収ということを規定しております。これによつて実際上は簡単に融資の目的を速成する。つまり政府が平均五千円程度の買入価格で一応買取りまして、そうして更に長期年賦償還で即日当人に払下げをする。従いまして、実際上は金融と同じ働きをするという制度を踏襲いたしております。これについては本年度の予算においては八億五千万円ぐらいの資金を用意いたしてあります。従つてその程度まではこの制度の運用でできる。なお農協が担保にとるという問題につきましては、これはそれ自体については別に許可制度は要りません。それ自体については要りませんが、ただこれを売ろうとする場合、そういう場合に許可制度が要ることになります。又政府に売る場合には只今の条文を適用すればよろしいといことになるわけでありますので、ただ問題はこの資金の分量の問題かと思うのであります。差当り本年度といたしましては、八億五千万円ほどを用意しておりますが、なお大蔵省に対しましては、補正等の機会にこれを増額してもらいたい、こういうことを考慮中であります。そういう方法によりまして、ただ農協自体の金利の問題なり、或いは農協自体の融資の資金源の問題なり、これは残るかと思います。農協が仮に担保に取ろうということでありますれば、その点については簡単にできることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/41
-
042・岡村文四郎
○岡村文四郎君 局長の今のお話の国が買収するということはそれはよくわかります。そこまで行かん途中を話しておるのであつて実は今度も北海道が風水害による損害が一億八千万円あつたということが来ております。なんとかしてくれと、僕は昨日それは方法はないと、だから一応土地を政府に売つたらいい、そうして買つてもらつてすぐ売ることにしてその一億八千万円という金を満してするほうが、もう播いたあとのことだから……。借りておる金は借りておるのだから、それを待つておつて、そういう方法がいいだろうということを言つたら、そうでない、今すぐ要る。馬が死んだら金が要るとか、病気でどうにもならんというときに協同組合に出す、収支がつかん、それで実は違法であると、まあ違法とは言わんから、今までも許可をもらつて単協が担保にとつておる分がございます、そこで何も理事者が背任行為に問われない方法さえあればそれで一時はやれるわけなんです。それをこの農地法に謳わなくてもいいが、やれる方法がこの中に見出せれば…たくさんここに書いてありますよ、質権或いは抵当権のことが……それを利用してこれでやれるじやないかということがあれば、それを示してもらえれば結構なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/42
-
043・平川守
○政府委員(平川守君) 只今の担保にとる問題につきましては、この三条の中に抵当権の設定ということが除いてございます。従つてそれ自体としては許可は要らない。ただ抵当にとりましても最悪の場合にこれを誰かに売らなければならないという場合には勿論許可が要ります。それから然るべき適当な買手がないという場合には政府に売らなければならない。そうすると政府としては五千円の価格でしか買わないということでありますから、その限度しか貸せないという問題は残るわけであります。併しこの組合内部の貸付限度の問題は別といたしまして、この農地法案においては少くとも組合が抵当にとるという程度はこれを許可制度にからめておらない。比較的簡単にできるということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/43
-
044・岡村文四郎
○岡村文四郎君 日にちが経過し、或いは手続が非常に延びしたことはよくわかります。そうじやなくて前にも申上げましたように、すぐ要る、こういうときに困るのですから、例えば都道府県知事の許可が要ります、それはなかなか簡単に行かん、知事もうまくやらなければそう簡単に行かんものですから、そういうときに困るから、簡単に土地を見合いに金を出す方法をこの法律に見出せないが、どつかこれを引用してやれるんだということがなければ、何か方法を講じてもらうか、これに出す方法はないかということを今お尋ねしておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/44
-
045・平川守
○政府委員(平川守君) でありますから、緊急に組合が貸出しをしようとする場合に無担保で貸出す場合には限度がある。そこで農地を抵当にとつて貸出しをしたいと、こういうお話と存ずるわけでございます。その場合には特にその許可を必要としない。それだけのことであれば、その抵当にとることについては許可を必要としないということに今の三条がなつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/45
-
046・小林亦治
○小林亦治君 いつも岡村委員の御意見は非常に尊敬して拝聴しておつたのでありますが、今日の御質問は若干私と反対なんでして、それに対する本省の御答弁も又非常に遠慮があるような……私からまつすぐに私の考えを申上げまして、御答弁を頂きたいと思うのであります。この憲法違反の点なんでありますが、成るほど片山内閣当時の農地改革というものはこれは私の考えから言えば憲法違反なんです。あれくらいはつきり憲法に違反したものはないのであります。なぜやれたかと言いますと、ポツダムのほうからの強い要請によつてやつたからあれは有効化したのであります。つまりあれは農地革命と世界ではそう言つておりますが、まさにその通りなんでありまして、ポツダム命令があればこそあの革命を超憲法的にやれたので、私たちは今日これを感謝しておる唯一のものなんであります。この成果をなくしたくないという考えからおざなりなかような法案を出したと思うのでありますが、その内容については今まで若干申上げましたが、なお今後も衆議院の審議と相異つた観点から私から御質問申上げたいと思うのでありますが、その前に岡村さんの御質問が逆なんでありまして、私の心配と。それはどういうことかと言いますと、罰則が軽過ぎるのです。三年というものは横領罪の五年にも満たない、窃盗罪の七年にも満たない、詐欺罪の最高十年にも満たない。それから罰則の十万円というのはこれ又大いに軽過ぎる。農民保護のためにはもつと重罰を規定しなければならない。というのは農地の闇売買なり脱法行為が処罰せられる場合の審理というものは微妙なものがあります。どこの警察署でも、どこの裁判所でも農民を重く罰した例は一つもありません。全部が闇ブローカーと悪地主のみに重罪を科しておる。そういうことに相成るというと、今日の闇価格なり、或いは公定価格に比較しますというと、罰則が非常に軽い。と申しますのは、大体一反歩の田にしましよう、闇価格をまあ今日の通り相場といいますか、それは四万円から六万円になつておる、一町歩の闇売買をした場合には四十万から六十万の闇売買になる。これを土地ブローカーがほかへ売る場合には二、三十万儲ける。そうすると十万円ぐらいの罰金が科せられたのでは痛くも痒くもない。ちよつとした窃盗が五年なり四年なりの重罰に科せられておるときに、貴重な土地を闇売買したところの悪ブローカーがそれ以下の三年であつてはこれは権衡を失するので、極端かも知れませんが、私の考えから申しますると、少くともこの体刑においては五年、それから罰金刑においては五十万ぐらい据置いたならばこれは一罰百戒ということで法の睨みがあろうかと思うのでありますが、これではよほど前の処罰限度なんでありまして、少いとさえも私は思つておるのであります。その点についてどういうふうな御見解を持つておられるか、これは岡村委員と反対なんで甚だ恐縮なんでありますが、岡村委員の反対であり、心配せられることは私も喜んでおることであり、全部感謝しておる事項に該当するので、これは非常にゆるがせにできない本日の案件のように思いますので、もう一遍この点を伺つて更に御質問申上げたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/46
-
047・平川守
○政府委員(平川守君) どうも両方から挾み打ちになつて誠にどうも工合が悪いんですが、私はやはり先ほど申上げましたように、自分の財産でありましても、これに対して公益的の見地からその取扱について一定の制約を課しておるわけですから、その手続を怠り、これを犯すということについては或る程度の罰則があるのが当然である、その量の問題につきましては、これはまあいろいろ見方もあろうかと存じますが、併し農地法のほうにおきましては、一面この権利の移転につきましては、許可を受けなければ効力を生じないといつたような両も一面加味しております。同時に罰則のほうも成る程度の……いろいろ申上げましたが、なお適切な例があれば申上げたいと思いますけれども、普通のこういう場合における罰則の量というものを法務府のほうでも検討してもらいまして、定めておるわけであります。金額から申しますれば、これは殊に罰金のほうになりますと非常に問題があるかと思います。これは実際問題としての例えば食糧管理等の場合を考えましてもその他いろいろな物質の統制の法規におきましては、これを脱法する場合と、脱法して得る利益と罰金との関係というものは場合によつて非常にアンバランスであり、それが多過ぎたり、少な過ぎたりいたすと思います。一応刑の量といたしましては、他の一般の関係を見てこの程度に置いておるということで御了承を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/47
-
048・宮本邦彦
○宮本邦彦君 私は干拓地の問題についてちよつと承わりたいのですが、現に干拓地で以て農耕地となつておつて、未だに大きな面積がこの農地制度によつて処分されずにおるものがたくさんあるんですが、そういうものに対してどういう措置をされますか、それを先ず承わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/48
-
049・平川守
○政府委員(平川守君) これは非常にたくさんということもないのでありますが、特殊の地方におきまして、換地処分等の買収の前提になる手続が済んでおりませんために、買収が行われなかつたという地帯が若干あります。これにつきましては、急速にその手続をふみまして、従来の措置法の適用さるべき土地につきましては、急速に買収を終了するようにということを指示しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/49
-
050・宮本邦彦
○宮本邦彦君 実は干拓地につきましては、私は相当問題があるんではないかと思うのです。ということは、工事過程中のものは、これは農林省が埋立法による水利権だとか或いは漁業権だとか、或いは工事に要した一切の費用等を実は補償しておるんです、そうして国の未墾地に編入して直轄の干拓地として即ち代行干拓としてやつておられるんです。ところが工事が終る直前のもの又は工事か終つた直後のもの、そうして今局長が言われたような換地処分が全く未済だつた所は、これはそのまま今日に及んでおるんです。ところが最近局長の御指示か何か、これは農林省の御指示だろうと思うのですが、急速に換地処分をやれというような御命令で以て府県で以て大分うるさく言つたらしいんです、従つて急速に換地処分をしたんでございます。ところが換地処分が済むと一緒に買収令書が実は来ているんです。ところがその買収令書は非常に安い価格で実は来ているんです。これははつきり申上げて、場所も申上げてもよろしうございますが、これは霞ケ浦沿岸の土地でございますが、九町二反八畝、それの買収令書が三万七千円、それから三十六町九反、これが三十六万円、それから六十町四反、これが四十七万円、こういう安い価格で以て実は買収令書が今来ているんです。それで今局長が五千円と言われたんですが、五千円にならずにこういう安い令書で実り買収をされるということは、これは何か特別なこういう安い価格で買わなければならん予算上の関係が何かおありなんでございましようかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/50
-
051・平川守
○政府委員(平川守君) これは措置法の適用のある農地、即ち二十年十一月現在において買収すべき状態になつておつた農地、そういうものにつきましては、その当時の買収価格で買収をするわけであります。たまたま今の説明の場合にはその農地に該当するものであつたものがいろいろなほかの手続の遅延のために買収が行われなかつたと、本来からいえば二十年措置法のできましたときに直ちに買収さるべき農地であつたものが今までほかの手続の遅延のためにできなかつた、こういうものであろうと思います。でその後に買収すべきようなポツダム政令の通用によつて強制譲渡の対象となるべきようなものについては価格を引上げまして、五千円ということに改正になりましたけれども、併しこれは二十年当時において当然買収すべき状態にあつた農地であつたわけではないのであります。その後において、そういうポツダム政令以後においてそういう状態になつた農地に新らしい価格の適用がある、従つて今回の農地法案の適用によつて政府が買上げるという値段はやはりポツダム政令のときの値段に準ずるつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/51
-
052・宮本邦彦
○宮本邦彦君 今日まで実は遷延して来たということは、これは換地処分が未済であつたということが主要な原因であるわけです。実際問題として。ところがその土地を管理しておるものはやはり事業者なんです。ところが干拓地は御存じのように常に大きな堤防を保護して行かなければならん、従つて国が早く買収しなかつたためにやはり堤防なり水路なり用水施設なりを事業者は管理して来なければならない、これは実は何も責任があるわけではないと思うのですが、現実において所有権が移転しておらない限り、善良なる農民であり、善良な事業者ならば、これは当然維持管理をして来るわけなんです。そういうものに対する補償とか何とかいうものは今のお話のポツダム政令によるその以前の状態ということで価格を決定されると、今申上げましたような安い価格以外には出て来ないんじやないかと思いますが、そういうものに対してはどういう措置をとられるか承わりたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/52
-
053・平川守
○政府委員(平川守君) これは法律の問題といたしましては、勿論措置法の買収については御承知のようにいろいろ議論があることは御承知の通りであります。法律の問題といたしましては、二十年現在において買収すべき土地であつたという一定の資格を持つておる農地でありますれば、その措置法のときに定められました価格で買収すべきが法律の規定するところであります、従つてお話のごとくその間において堤防その他の維持管理をやつておつたということはあると思います。併し一方から申せば小作料を取つておつたという、そういう前提での小作料を最つておつたという農地もあるわけです。でありますから、個々のケースにつきましては、或いは今の状態を前提にして考えますというと、気の毒であるという場合もあろうかと思いまするけれども、やはりこれは法伸の規定するところに従つて買収手続を進めるよりいたし方がない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/53
-
054・宮本邦彦
○宮本邦彦君 今局長の言われることはそういう問題に対しては考える余地があるという含みですか、そういうふうに受取つていいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/54
-
055・平川守
○政府委員(平川守君) 法律の執行としての農地買収については考える余地はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/55
-
056・宮本邦彦
○宮本邦彦君 重ねてその点はつきりしておきたいと思うのですが、当然そのときに買収すべき国が責任を持つておつたわけなんです、その買収すべき責任を執行しなかつたということは国に責任があるんじやないかと私は思うんです。で農民なり事業者なりがその農地を維持管理して来たということはこれは当然な話だと思うんです。だから待つて農地の買収は買収、そういつた維持管理、その他に要したところの今日までの経過的な、その農地を保護するために必要であつたところの経費は当然国が補償すべき責任があるとこう私は思うんですが、これに対する御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/56
-
057・平川守
○政府委員(平川守君) 政府といたしましては、創設特別措置法等の定めるところによりまして、一定の手続で買収を進めて参つておるわけです。その買収も数手期かかつて買収をして来ておるわけです。政府が故意にこれを遅らしたというような……故意或いは過失等がありますればこれは又別の意味で補償の問題も起るかと思います。政府のほうに何ら過失なく、一定の手続で買収を進めて参つた、その場合にその買収の前提となるべき手続が済んでおらなかつたためにあと廻しになつた、こういうものについては政府として賠償或いは補償をする責任はない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/57
-
058・宮本邦彦
○宮本邦彦君 政府は、政府の買収手続が順調に進まなかつたものに対しては、今後何十年でもそのままにしておいて差支えないという御意見なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/58
-
059・平川守
○政府委員(平川守君) この農地法案におきましては、大体において二十年現在において買収すべきような資格を狩つた農地というものは大体買収を了したという意味において、今回の法案においてはそういう一括買収をいたすような方式はやめまして、そうして今後新らしく一定の許可制度によつて売買を認めて行く、又一定の買手がない場合には政府が買収する、こういう手続を改あたわけでありまして、従つてこの新らしい法案が成立いたしました以後は、その問題は起らないわけであります。ただその切替の時期に際しまして、従来当然買収すべくして手続の遅れたものにつきましては、できるだけ急いでその手続を完了するようにということを指導いたしておつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/59
-
060・宮本邦彦
○宮本邦彦君 もう議論はともかく、こう言つていても仕方がないから具体的にはつきり申上げます。これは高浜なんですが、高浜の海岸に実は今日まだ六十町歩の換地処分未済の土地が残つております。これは一人施行の行なつた埋立干拓なんです。今日一人施行であるために依然として堤防の修築をやり維持管理をやつて大きな負債をしよつておるんです。で耕作農民はこれは自分たちのものでないから是非頼むというので一人施行の関係でその人の所へ持つて行く、これは醤油屋さんですが、依然として仕様がないから今日堤防の補修をやり、そうして政府の補助金までもらつてやつているんです。これは堤防の補修をやらなければ六十町歩の耕地は恐らく水びたしになつております。恐らく今日耕地になつておりません。それは依然としてその処分が済んでおりませんから、これは六十町歩の一人施行の農地なんです。こういうものに対して政府は全然関係がないとこうおつしやるのなら、それは又大きな社会問題じやないかと私はそう思うのですが、その点はお考えになる余地があるかないが、今後こういう問題について研究すべき余地があるかどうか、一つ承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/60
-
061・平川守
○政府委員(平川守君) 法律の問題としては、先ほども申上げましたように、二十年現在において只今のお話の干拓地がすでに農地になつておつて、そして耕作者がわつたということでありますれば、法律の問題としては措置法の価格で買収するということよりもいたし方がないわけで、これについてはもう法律の解釈がはつきりいたしておりますから、それを研究する余地はないと思います。ただ今のお話のように、実際上農民のほうが頼んで何か補修その他をやつてもらつておつたというようなことなら、これは別問題で、政府として関知するところではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/61
-
062・宮本邦彦
○宮本邦彦君 今の局長の話よくわかりました。法律の面では考える余地がない、けれども行政的には考えなきやならんものなら考えることもできるというふうに解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/62
-
063・平川守
○政府委員(平川守君) いや行政的と申しますか、政府としては関知する限りでないと思います。勿論別の意味でいろいろな補助とか何とかという制度はありまするけれども、只今のお話の場合にそれは恐らく該当しないんじやないかというふうに考えられますので、只今法律的に考えられないけれども、行政的には何か考えられるというと、何か農林省から補助金でももらえるような錯覚を起されると困るのでありますから、その点は一つそうでないということをはつきりしておいて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/63
-
064・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 私はさつきの岡村さんの質問の点でもう少しくしつかり聞いておきたい。そこで一、二政府に質したいと思います。
先ほど財産権、いわゆる憲法違反の問題でございますが、土地は財産であるが、公共の福祉によつてこの法を適用するのであるから決して憲法違反でないとがように御答弁になりましたと解釈しますが、併しながら若し委員会において、多数の中に個人の財産を侵すような行為があつた、又は個人の財産を買上げて、自作農創設の意味ではあるが、他の個人に財産を払下げいたすときに、そこに一つの個人の財産を侵しておきながら、一方の自作農の個人の財産を殖やしてやるということは、いわゆる果してそれが公共の福祉であるかどうかという疑問を一点持ちます。先に農地委員の間においては非常に地方の町村の委員がお互いに協力して無理な買上げをなした点が多々あるのであります。一つの例を申しますならば、自作農を無理に創設するために、宅地まで買上げの対象としてこれを委員会で取上げて個人に払下げたというような事大があるのでございます。かような名地まで侵す、農地でない宅地まで買上げの対象としたことは、いわゆる財産権を侵害したというようなことによりまして、二十九条の憲法違反となる疑いが十分にあるのであります。この点が一つ先ず聞く一点。それから若し憲法違反になりやすい、今日自主権を得た国民と相成つた以上、農民は遡つてこれらの点を指摘いたしまして、訴願を起す疑いが多分多力に打たれつつあるが、この点についてはどういう見通しであるか、先ずこの二点からお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/64
-
065・平川守
○政府委員(平川守君) この法律が憲法違反でないということは、この法律の各条において、憲法の規定する一定の公共の福祉の範囲内において各種の制約をしておるというその規定自体が、公共の福祉ということを前提にして必要なる制約を財産に課しておるわけでありまするから、そういう意味において法律自体が憲法違反ではないということでありまして、併しこれを運用する者においてこの法律の規定を誤まつて運用したというようなお話の場合におきましては、それぞれ訴願なり訴訟なりの途が開けておるわけでありまして、その具体的な行政庁の処置がこの法律自体に違反しておるかどうかということにつきましては、訴願、訴訟の際において判定をいたす問題になるわけであります。従いましてこの宅地等の買収につきましても、これは法律としては自作農の創設のために欠くべからざる、そのものの営農上欠くべからざる施設として限定した範囲の買収の規定を置いておるわけであります。それを逸脱するというようなことがあれば、勿論その訴訟の対象になるわけであります。併し法律自体といたしましては、その自作農創設のために必要な限度において附属の設備の買収を認めたわけでありまして、これはその規定自体は憲法違反ではないと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/65
-
066・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 申すまでもなく、土地は農民の生命とも考えられる、又生命の延長とも解釈されてもいいと私どもは判断しておる。従つて農民が土地を耕作して行くところに農民の自由があると解釈もできるわけです。そこで委員全の多数を以て土地を取上げるときには、やはり自由を奪われるというようなことになれば、これ又三十一条の憲法から解釈して、ここに疑義を生じやすいというような疑問も生ずるが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/66
-
067・平川守
○政府委員(平川守君) 済みませんが、池田さんちよつとその趣旨を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/67
-
068・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 趣旨は、耕作をして生きて行くところに農民の生命があり、自由がある、その土地を取上げれば、それだけ生きて行く生活上に欠陥を生ずる人ができて来る、けれども農地委員会がそれを買上げの対象として、まあ果樹園などやいろんな広い土地や、それから山林、原野には多分にそういうこともされやすいが、そういうときになるとその自由を奪われるというようなことになる疑問があるから、こういう疑問はどんなふうに解釈していいと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/68
-
069・平川守
○政府委員(平川守君) この法律は要するに全体としての農民ができる限り安定した経営が営めるようにということを目的といたしまして、そうしてそのために例えば今のお話のような未墾地でありますれば、この未墾地を提供する人はそれは若干の苦痛はあるかも知れませんけれども、それによつて一方において経常の安定を得る農家ができるわけです。そういう全体として見て、お話のような生命線である農地を堅実な農家にできるだけ与えようということが目的で、そのために必要な最小限度の犠牲を一方の未墾地の所有者なり或いは単なる地主なりというものに課しておるとこういう考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/69
-
070・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 この法案のいずこにかある通り、先の農地委員会において、開墾の美名に隠れて山林原野を買上げて未だ開墾もせず、そのまま一部ぐらい開墾されて放任されている土地がある。これが今度払下げの対象になるというようなことを見まするときにおいては、岡村さんの先の主張の財産権を侵害して面もそれが実際は自作農創設に役立たなかつたということになると、ここにも大きな疑義を生じやすいから、これは運営者はよほど気を付けて運営しなけりやならない。そこで実際この取扱においては幾多の注意事項があると思いますが、この点はどう解釈しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/70
-
071・平川守
○政府委員(平川守君) これは主として運用の問題になるかと思いますが、先ずこの未墾地の買収をいたします場合に、未墾地としての適地というものを厳重に調査をしてその対象をきめて行く。又その手続にいたしましても、必要な各方面の専門家或いは農業委員というような人々の会合によつて意見を開いて間違いのないようにいたす、又年々の入植計画、或いは土地の配分計画、或いは土地の買収計画というようなものを十分一連を持たせましてその土地に対してこの程度の入植者を必要とする、或いはこの程度の増反音を必要とするということを十分考慮に入れまして買収をいたす、又開拓を進めて行くという計画にいたしておるわけであります。非常に広い所を買取して極く一部しか開墾しておらんというようなお話がよくあるのでありますけれども、もとより開墾のことでございますから、なかなか一挙に全面積を開托するということはできませんで、成る一つの地区につきましても、若干の戸数が入り、それが開墾し、更に翌年度若干の戸数が入るというふうにだんだんと順を追うて進めて参りませんとできませんために、或る局部を見ますと、非常にその極く一部だけ開墾したというようなことを言われるのでありますけれども、全体といたしましてはそういうことはない。又小適地として長く放置されるものにつきましては、今回の農地法案においてもこれを旧所有者に返す場合も認めておるというようなことによつて解決いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/71
-
072・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 よく法律を作つたが、予算の裏付がなかつたために力が出なかつたという例がたくさんあるが、世界に誇る農地革命であつたという点だけは誰しも賛意を表するが、只今岡村さんからも指摘された通り、零細化された農家、自作農が、小粒の農家がたくさんできてしまつた。それから土地が分割された関係上、今後の農家の経営はますます分割されるような不安の一途がある、この点が一つ。それから今日土地に対する品位が低下してしまつた。いわゆる土地に対する信用が落ちてしまつた。従つて農家が唯一の財産とした土地に対する尊さという観念が失われてしまつた。又農民が働き、努力して土地を殖やして、そこにおのおの家の安定化を図るというこの信念を失いつつある、これが三点。今のままに放置して行けば、地方自治に対する税の増加と生活の向上によつてだんだん農家は弱体の一途を辿つておる。これが一点。この弱体の農家に対して何らの手を打たなかつたならば、いわゆる政府の融資を増加して助成政策をとるか、或いは非常時に対するところの強化をとるとか、品質の改良をして増産計画を進行させるか、いずれの方法かをとらなかつたならば、折角の農地分割の自作農創設も結局農家を弱体化す以外に残るものはなかつたという結論に達します。これらの五点について農地局長の今日まで御苦心をお払い下すつたそれぞれの点をここで一つ御説明を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/72
-
073・平川守
○政府委員(平川守君) 農家が経済が非常に苦しくなり、従つて又零細化する傾向がある、農家の経営の困難化に対する対策というようなかなり幅の広い大きな問題かと存じますが、これが農業政策の結局全体の問題でもあり、又更に進んでは農業政策以外の例えば租税政策とかいうようなことにも関係のある問題かと思うのであります。で、私どもといたしましては、農林省全体としてそれらの問題について農家の経済の安定向上を図るということについては各方面から常に対策を練つておるわけであります。ただ農地局の立場といたしましては、一つには農地の零細化等の理由の一つである不時の出費或いは災害等の場合の農地担保の価値のなくなつたことに対する融質の問題、これについては先ほど申上げましたように強制讓渡方式を活用することによりまして、できるだけ一時の資金の繋ぎを図る、その意味において昨年から若干の予算を以て運用して参りましたが、本年は更にこれを拡大いたしまして、資金源としては八億五十万円ほどを今確保しておりますが、これを更に補正予算等の機会において拡充したいという考えを持つておりますことは先ほど申上げました通りであります。そのほか根本的に申せば、一つは農家の生産力の増大ということがやはり農家の経済の向上の一つの重要なる眼目でもあろうかと思う。土地改良その他の根本的な農地自体の生産力増強の施策については、これは食糧増作の計画とも絡みまして、これ又農地局においては一つの重大なる項目としてその事業の拡充、従つて又予算の拡大、或いはその資金の増加というようなことについて努力いたしておるわけでありまして、本年度においても予算については不満足ではありますけれども、四割五分程度の増額を見ております。土地改良の資金につきましても百億程度ば土地改良関係に長期資金を注ぎ込み得るという態勢にもなつて参りました。なお今後の予算補正等の機会もありますれば、更にこれを増額して事業を拡充して参りたい、かように考えておるようなわけであります。それらのほかに更に農林省全体としてもいろいろ施策もあろうかと思いますが、これについては省略さして頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/73
-
074・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 只今局長の答弁は非常に当を得た答弁でありますが、私どもはこの際、これは見解の相違もあるであろうと思いますが、徒らに耕地を拡張するよりか、現在あるところの耕地の利用化ということを図ると同時に、農民が耕地に対する関心をもつと持つて、只今八億五千万円の融資があるというが、農地に対して、農協を通じまして、不時ばかりではない、実際耕地の改良をして、その土地から品質の向上、増産を得る方途を講ずるところの実際の費用はどしどし融資するというような方法を講じてやつて、自作農をして本当に安心をして農民の耕作に役立てるというようなことが今後の大きな残された問題である。どうか局長の奮闘の牧弁を如実に生かすことを強く要望いたしまして、私は本日の質問はこれだけで打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/74
-
075・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私は今度のこの農地法案につきまして、先ず基本的な事項について数点御質問したいと思うのでございます。
第一点は、この法律の目的でありまして、第一条になるわけでありますが、この第一条の条文を読んで参りますというと、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図る、これがまあ最終目的になつておるのでありますが、これで果して足りるかどうかですね、これは特に先ほどの農地制度の改革が憲法違反になるかならんかという問題ともこれは或る程度私は関連する問題だと思うのでありまして、と申しまするのは、今回の農地法案は現存の三法令を統合するということが目的でありますが、その一つであります自作農創設特別措置法の第一条には、目的として農業生産力の発展と農村における民主的傾向の促進を図るということが書いてあるのです。私の見るところではいろいろ御努力になつて耕作者の地位の安定だとか農業生産力の増進ということも、これは或る程度の見るべきものがあると思いますが、併しまた多分に農業生産力の増進という問題は実は今後の問題に待つべきところが多いのであつて、而もこの耕作者の地位の安定とか、農業生産力の増進というのは、これは憲法に言う公共性ということにはちよつと言い得ないんじやないだろうか、而も農地改革についてはやはり民主的傾向の促進ということが一つの大きな目的であると思うのであつて、特にこれは過般のサンフランシスコの講和会議のトルーマン大統領の演説を読みましても、要するに日本の農地改革の成果を非常に強く引例して、これによつて、日本の民主的傾向の基盤はできたんだと、それだから日本と講和を結ぶ日が来たんだということを、これは演説にもはつきり言つておるのですね。それはやはり農地改革の執行によつて民主化の基盤ができたということがやはり今回の平和条約の締結の基本になつておるのであります。従つてその目的からそういうことを落すことが果してどうたろうか、特に先ほどの憲法違反の問題とも関連して来ると、それは私は民主的な傾向の促進ということはこれはまさしく一つの公共的な性格を持つておるからして、そういう点からこれを落したということがとういう理由でありまするか、私は意見としては又別に申上げまするが、むしろ適当ではないんではないだろうかという感じがいたすわけでありますが、それはいろいろ対外的にも、或いは国内の憲法解釈にも関連する重大な問題だと思うのでありまして、政府の一つお考えを明確にお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/75
-
076・平川守
○政府委員(平川守君) 自作農創設特別措置法は御承知のごとき経緯で終戦後の一つの新しい、いわば臨時立法的に急速に大量の農地、小作地の自作化を図るという法制であり、且つその当時の一般の状況をも反映しまして、特にこの民主的傾向、民主化の促進というようなことを謳つたと思うのであります。今日の日本の状態は只今のお話を逆に申せば、日本の民主化の基盤はすでにでき全般として民主化という問題は当然の大原則としてひとり農地問題に限らず国の施策なり、或いは方向全体としてまあ当然の大前提である。あえてこの農地法、殊に今後恒久的な制度として農地の規正を図るべき農地法に特に謳うべきような非常の特殊のことではない、極めて一般的な、余りに原則的な問題であるということから落したわけでありまして、別に特に民主的傾向を促進することを止めるとかいつたような意味は一つもないのであつて、ただ余りに一般的のことであり、すでに常識的のことでもありまするから、特別にここに謳うということをしなかつただけのことであります。憲法違反の問題と絡んでの公共の福祉というこの憲法の規定にこの生産力の増強なり、或いは耕作名の地位の安定なりが当てはまるかどうかということにつきましては、私は当然これは当てはまる。現在の日本の状態において農業の生産力を増強するということはこれは国策とも言うべき重要な政策であるのだから、これは当然公共の福祉に当てはまるのでありまするし、又国民の過半を占める耕作者がその耕作上の地位を安定するということは国家社会全体の安寧の意味からいたしましても極めて重要な問題でありまするから、この二つの大きな項目がこの目的に謳つてあり、且つ当然の前提として一般の原則と同様に農村においても民主化が図られて行くということは当然の前提であるという立場において、この第一条の掲げるところによつて憲法二十九条第二項の公共の福祉という条件は十分に満足せしむると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/76
-
077・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私もこの農地改革が大体一段落をして、これから更に大規模な自作農創設がないという意味においては只今の御答弁はわかるわけでありますが、でありますから民主的傾向の促進という字句は或いはそのまま使うことは適当でないかと思いますが、私はやはり農地改革の一番大きなものはやはり農村民主化の促進ということが私は一番のメリットだと私は見ておるのですね。ですから促進という字句は或いは当らんとしても、やはりこの字句を落すことはやはりちよつと適当ではないのじやなかろうか。只今の耕作者の地位の安定、農業生産力の増進は、これは憲法の公共の目的と言いますか、公共性を持つているということでありますが、これは社会論としては私はそういう議論はできると思いますが、果して法律論として、例えば国民の経済上の地位の安定、或いは農業以外の一般の産業に関する生産力の増強も、これも憲法のいう公共ということになれば、ちよつと私は法律論としてはやや広きに過ぎるのではなかろうか、民主的傾向ということになれば、これははつきり公共ということが言えるのであつて、どうもやはり特に落さんで、まあ促進という字句はちよつと或いは適当でないにしても、とにかくできた民主的傾向にこれが逆行しない、こういうようなラインをむしろ謳つたほうが、私は憲法の解釈にも一つのはつきりした連関が付くのではないだろうか。これは或いは意見になりまするから、すぐさま御答弁は或いは私は要らんかと思いますが、どうもこの字句を全然抹殺することは、三法令を統合するという見地からしてもちよつと妥当を欠くのじやないかというふうに思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/77
-
078・平川守
○政府委員(平川守君) 実はこれを非常に気にせられる向きもあるわけでありますけれども、むしろ私どもはさらつとこの法律を書きます場合に、民主的傾向、民主化の促進と言つたようなことを特別にその法律の目的に掲げておるものはむしろ少いのであつて、併しそれではそれらのいろいろなこういう公益的法律において民主的傾向、民主化の促進ということを考えておらんかと言えば、皆それぞれ考えておるのじやなかろうか。日本の民主化ということは必ずしも個々の法律に書いておらんでも、それらの法律は精神としては、これに関連のあるものは皆それぞれ考えておるのであつて、この条項を特別に謳うということは、むしろ法律の形から言つても不自然ではなかろうかというくらいに実は考えておるわけであります。
それから憲法の公共の福祉という問題になりますと、これはおよそ財産権の各種の制限をいたしております法律、いろいろございますけれども、それらの目的としておりますものが、農業の生産力というものと比べて必ずしもそれ以上でないものにも随分あるわけであります。又国民の過半を占めておる耕作者の安定ということよりももつと局部的な問題についても随分財産権の制限は行われておるのであつて少くとも例えば土地收用法一つを見ましても、これは極めて局部的には重要なことではありましようけれども、併し日本の食糧の生産力を増強するということから比べてみて、決してそれが優先するとはかりは言えない。或いは鉱業産物についても、これ又重要であろうと思いますけれども、それが必ずしも農業よりもより重要であるということは言いにくいのじやないかというふうにも考えて見ますと、公共の福祉のために或る程度の財産権の内容を規制するという考え方の問題としては、むしろ非常に顕著なはつきりした一例じやないか、これなどは……、というくらいにも考えておるわけでありまして、憲法違反の問題については、ほかの法律が殆んど全部憲法違反であるということになれば別でありますけれども、こういう財産権の制約をしておるいろいろな法律と比べてみまして、これだけが特に憲法違反であるという議論は恐らく成立たないのじやないか、御心配は要らないのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/78
-
079・片柳眞吉
○片柳眞吉君 私は憲法違反の問題を正面から言つているのではなくして、むしろ耕作者の地位の安定と農業生産力の増進ということたけであります。これは平川君はどう思うか知りませんが、私は法理的な解釈をすれば、これが直接に憲法の公共の福祉ということには言えないのじやないか、これは私は平川君のかねてのあなたの考え方からすれは当然だと考えるかも知れませんが、私はそれがすぐさま農業生産力を殖やすことが、或いは農家の地位の安定を図ることが、イコール直ちに憲法の公共の福祉に合致するということは、これは間接的には言えるかも知れませんが、ちよつと私はそれは解釈上無理があるのじやないだろうか。ですからむしろ字句は多少……、促進というような字句は多少現在と過去と違つておりまするから、併しこれが農地制度の成果を持続するということは、やはり民主化の傾向を少くとも逆コースを歩ましめないという保障の上にやるのだということは、提案理由でも言つているのであつて、これがむしろ目的に入れたほうが私ははつきりするのではないだろうか、こういうことは或いは意見かも知れませんが、これは又更に考えまして申上げる機会があると思いますが、この問題は一応更に研究をして頂くことにいたします。
その次の問題は、実は現在国会にかかつておる地方自治法との関係でお聞きをしたいわけでありますが、まあこの地方自治法も大分難航しておりますから、まあわかりませんけれども、あの法案によりますると、市町村の合併ということを相当これは強力に勧奨、推進することが相当入つておるわけです。そこで今度の法案、まあこれは前と大体同様でありますが、不在地主という考え方の分れ方は、要するに在村地主かそうでないかという問題で、極めて重大な一つの分岐点が出るわけです。そうなつて来ると、市町村という区域は絶対的な区域ではないのであつて、而も政府は地方自治法の改正で相当これは大幅に町村合併を推進する。そうなつて来ると、ここに極めて一つの大きな私は問題が出て来るのじやなかろうか。ですから曾つては不在地主であつたものが今度は在村地主に変るという、非常にこれは極端に言えば生きるか死ぬかの問題がここに出て来るわけです。特に買収洩れなんかの農地になりますと、今度は買収洩れのものが町村が合併されて同じ町村の中に人づて来ると、これがどうなるのかという問題も極めて私は大きな問題であると思うのであつて、その辺をどういうふうに考えておられるか。曾つての不在地主として耕地を政府に買上げられた人との均衡問題が起きて来ると思うのであつて、その点を一つ第二の問題としてお聞きをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/79
-
080・平川守
○政府委員(平川守君) 建前といたしましては、お話の通り合併がありますれば、その市町村によつて在村、不在村がきまるということになりまするが、まあ大体においていわゆる不在関係の土地というものはすつかり買収され、整理をされておりますから、今後新たに買収洩れのものが合併によつて在村に変るというような事態は、実際問題としては殆んど起らない、買収洩れというものはもう殆んどないわけであります。従つて買収洩れというものについて新たにそれが在村の状態になつたということは、実際問題としては余り起らないことであろうと思つております。ただ実際問題といたしまして、市町村内にそういう場合に市町村の区域ごとに農業委員会を置くというようなことによつて取扱を別にしておる実例はかなりあるようであります。但しこれはそういうこともできるというわけです。今後の自治法のほうの合併というものがどういう状況になるか少し様子を見ておらないと、それが非常に大々的に行われるということになれば、又或いは考え方を研究しなければならん場合も出て来るかと思いますが、差当りの問題としてはそういう非常に心配になるような事態はなかろうかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/80
-
081・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 今の片柳さんのお尋ねの点は今農地局長から御答弁があつたが、どうも我々想像しても問題が将来起らないとは限らない、現にそういう町村の合併等が起つた場合にですね。そこで今度の議会はしようがないのですけれども、一つ今の片柳さんのお話の点を農地局で十分研究しておいてもらいたい。問題が起つた場合に直ちに対処し得るような方法を研究しておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/81
-
082・片柳眞吉
○片柳眞吉君 今の問題は今の委員長の御発言で結構でありますが、これは決して地方自治法が通ると、必ずしもそう町村合併は緩慢ではないと思います。でありますから、この点は少くともその間の実際の調整措置と言いまするか、考え方をおまとめおき願いたいと思います。
それからその次にお聞きをしたい点は、これは他の委員会のかたからも或る程度触れられておる問題でありまするが、又新聞等でもいろいろ農林省でも研究されておるようでありますが、要するに現在の農地というものが半ば凍結をされておるので、いろいろ皆さんの御意見にあつたように金融上の担保価値というものが非常に減つておる。併しそれにもかかわらずこの間の提案理由を聞きましても、農地担保金融についてはまだ法制化するに至らんというような提案理由の説明があるのでありまして、ですから一体そういう金融が農地担保をやはり重点とする金融で行くか、他の別の考え方で行きまするか、これは私は農地改革の成果を維持するということであれば、やはり現在の農地価格が成る程度凍結をされるということはこれは当然だろうと思うのです。そうすると、そういう担保価値の低いものを前提として今後の農村金融を考えるということになると、大してその金融は伸びないのではないだろうか。又担保価値を殖やそうとすれば結局この基本線の農地制度にひびが入つて来るのであつて、まあそこが極めて痛し痒しの点があるのじやないかと思いますが、まだ勿論御答弁を願う段階に至つておらんと思いますが、とにかく農地担保金融ということを余り大きく言い出すというと、結局農地改革の成果にひびが入るということになるので、むしろ私は別の金融の構想がむしろ必要じやないかと思うのですが、まあ山林のほうでは森林法の施行に伴つて伐採調整資金というような成る程度生活資金に準ずるものの融通が僅かながら出ている。併し農地の方画では半ば凍結をされておりながら、そういう意味の金融措置は出ておらないのであつて、これは是非ともそういう意味の金融制度の確立が望ましいと思うのですが、どういうような方向で現在考えておりまするか、或いは農林省全体としてできておらなければ、農地局としての構想はどんなふうに考えておられますか。これはまあこの折角審議する農地法案のあれにも関係する問題でもありますので、これは大雑把で結構と思いますが、原則的に一つ御答弁を頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/82
-
083・平川守
○政府委員(平川守君) お話の通り誠に痛し痒しのところのある問題でありまして、担保力を付けようとすれば、農地価格を上げなければならんということにもなりまするので、我々といたしましては耕作権については相当の価値があつて差支えありませんけれども、いわゆる小作地の農地価格というものが上るということは困るじやないか、従つて現在の反当り五千円というような、耕作権を除いた農地の価格というものについては、これを変更しないつもりでおるわけです。併しまあ実際問題として自作農農地でありますれば、一般にも三万円前後ぐらいの値段ば出ておるわけであります。これに担保価値を与えて、これを担保としたならばどうかという考え方もあり得ると思うのです。これが非常に危険なわけでありまして、そうなると結局最悪の場合には耕作それ自体を放棄しなければならんということになるわけでありまして、私どもといたしましては、それについてその耕作権を含めた自作地について、その全体の価値を担保価値とするということは非常に危険である、ただ現在のポツダム政令でも行なつておりますような強制議渡の範囲の、つまり農地の所有権は最悪の場合には政府がとる、併し耕作は現状のままさせて置く、或いは直ちに払下げをして神作できるようにするということの範囲においてならば、最悪の場合においても耕作面積を減らさんで済むという安全があるわけであります。私どもといたしましては、現在の強制譲渡の方式を一応この農地法案においても採用いたしまして、これで事実上金融の、その限度における金融の役目を行なつて参りたい。今後の問題として農地担保金融ということが言われておりますけれども、その担保の対象を自作農地の耕作権まで含めた範囲にするということについては非常に疑問がある。むしろ今のところでは私どもとしては消極に考えております。それとなおこの強制議渡方式、この十六条の規定しておりますような政府買上げの方式というものは非常に利点もございまして、直ちに価値そのものも五千円なら五千円という、売つたと同じだけの限度まで実質上金融を受け得る、利子も極めて低利であるというような利点もございますので、この方式を今のところとつて行つたらどうかと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/83
-
084・片柳眞吉
○片柳眞吉君 まあ大体局長の意見はわかりましたが、強制譲渡の方式は極めて私は、何と言いますか糊塗的な手段であるので、むしろ大蔵省がこういう制度をよく認めたというくらいに私は思つておるのであつて、この問題はこの前の国会から岡村さんなりその他から非常に強い意見が出ておるのであつて、実は今度のこの農地法案の改正についても、単に従来の三法令だけを総合したに大体過ぎないのであつて、そういう問題が根本的に解決されないことを遺憾とするわけでありますが、私はやはり農地改革の成果はこれは当然維持しなければなりませんから、金融の方策はやはり担保金融でないというむしろ方向でお考えをして頂きたいというふうに考えるわけであります。
それからもう一つ最後に御質問したい点は、これはやはり金融問題にも関連すると思いますが、これも他の委員からも御質問があつて触れられたようでありますが、農地の零細化を妨ぐ、望ましい自作農を作るということを提案理由でも言つておられますが、併しこれはもう現在の制度においては少くとも零細化する憲法なり、新民法の建前になつておるのであつて、これはなかなか憲法の解釈にも関連する問題でありますから、或いは一般的な憲法改正の機会が近ければ、或いはそれで直すということも私は政府においてもお考えを願いたいと思いますが、若し憲法改正ができないという場合においても、やはり実際上は農地という物件は長子相続なり、一子相続にして、他の相続人はやはり金銭を以て相続の財産とするというような金融方便が付きますれば、これは私は憲法の規定にも牴触せんし、要するに農地は例えば一子にプールする、併しその評価をした均分分は金銭を以て相続財産として相続せしめるというような考え方も、すでにこれはお考えになつておると思うのですが、そういうことになつて来ればやはりそこに相互金融と言つてはおかしいのですが、そういうようなことも私はこの場合に考えておかなければならんと思うのでありますが、これは一体どうなんですか。憲法を改正せんで、何か今言つたような特例法律を出そうとする意思が、まあ過去のいきさつはいろいろ私は知つておりまするが、まあ進駐軍もいなくなつて自治国家になつたわけでありますが、現在どういう考えでおられまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/84
-
085・平川守
○政府委員(平川守君) これは御承知のようにいわゆる一子相続式の相続特例の法案を立案したこともあつたわけであります。結局憲法上非常に問題があるということで、あの形はなかなか困難のようであります。実際問題として零細化原因としてはいろいろ相続のほかにも分家その他の関係もあるわけでありまして、まあ我々といたしましては差当りでき得る最小限度のことに手を付けておるわけであります。消極的ではありますけれども、現実に一子が農地を相続することについて非常に支障になつておりました相続税の問題、これについては先般の改正によりまして、大体まあ日本の農家の七割方は免税になるというような免税点の引上げをいたしました。これによつて消極的に実際上農地を一子が相続することについての大きな支障になつておる実際血を除くということを一つはいたしております。なお更に積極的にこの一子が実質上農地を相続するためのお話の金融面、これにつきましてはやはり只今の強制譲渡方式で相続された或る程度の農地を一応政府に売つて、直ぐ又払下げを受けるという形によつて、或る程度の金融を受ける、これは勿論不十分でありまして、それだけで満たされるわけではありませんけれども、いわゆる農地担保金融として考えております項目としては、やはりその問題があるわけであります。相続の場合農地の取得の場合があるわけでありまして、それに関連していわゆる担保価値をもつと殖やせという議論が一面にあるわけてあります。それが先ほど申上げましたように、損保価値を高めるということは、一面耕作権を手放す危険にさらすという問題が絡みますために、私どもとしては踏み切れずにおるわけであります。何らかの形で農業財産を或いは全体的に担保にでも入れて、そういう場合を金融を付けるという方法でもできれば一つの象かと思うのでありますけれども、現在のところではまだ強制譲渡方式の程度以上には出ておりません。いろいろ相続の場合の金融を付けるということが一つの行き方である、その他の相続者に対する金銭支払の部分を金融するということが一つのポイントであるとして研究はされておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/85
-
086・片柳眞吉
○片柳眞吉君 これはこういうことなんですか。これは私の極めて観念的な杞憂であればいいと思うのですが、要するに現在の憲法なり、民法で行けば、まあ兄弟三人あれば、三人が実は相続できるのだ、ところが大体はまあ一番上の人なり、或いは大体一子相続になつておるわけですが、その間に、多少兄弟の間において変な感情が起ることが私はあるのじやないだろうか。本来は自分がもらえるものを自分の兄にこれをやつてしまつて、俺は次男、三男坊でおるのだということが、何かしら自分に対してその財産を相続したものは自分の、まあ卑近な言葉で言えば或る程度面倒を見てもいいのだというような、そういう感情が多少私は起きて来ておるということを感知せざるを得ない。ですから憲法改正ができれば一番いいと思うのでありますが、できなければ法制上の特例法でも作つて、とにかく均分相続という考え方は変更しないと、それから農地を評価してそれが十万円であれば、それを三人で分けるという均分相続の原則は、これは変更しないと、ただその財産を譲渡する方法において、農地はそのうちの一子にやる、あとの二人には評価をした最得分を金銭を以てやるというような、そういうような考え方を実は言つているわけでありまして、ですから制度としてはつきりせんと、何かしら今後私はわだかまりができるということがあるのじやないかということを、これはまあ私は一般的にはそんなことはないと思いますけれども、多少私はそういう傾向が農村の家庭においては若干あるのじやないだろうかという意味で実は非常に心配しておるわけであります。でありますから、何でもかんでも強制讓渡方式ではこれはとても問に合いそうもないと思うのでありまして、根本的な対策を至急一つ、非常なむずかしい問題と思いますが、是非やつてもらいませんと、もう宿命的な零細化が進行するにきまつているのです。これは小林君の言われたような開拓の必要も勿論是認しますけれども、そうかと言つてこれをカバーはできないと思うのでありまして、以上の点について一つ政府が特段の、これは一つ急速にお考えを願いたいということを、むしろ希望でありましようが、申上げまして質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/86
-
087・羽生三七
○委員長(羽生三七君) 今の片柳さんのお話の点について、私からも注文をつけておきたいと思うのですが、先日来実は私の手許へ一部農業団体から農地の担保金融の問題について依頼状も来ておるし、それから口頭でも話があつたわけであります。併し私はまあ農地が担保力を持つことをあながち否定するわけではありませんが、併し現在の段階で通例の担保金融が行われる場合においては、農地の改革精神も没却されるし、又耕作地の維持も不可能なところに追い込まれるということはこれは火を見るより明らかなることだと思うのです。それじや農地は何らの担保力を持たないのかということになれば、これは当然損保力を持つのが当り前であるが、併し具体的にどういうときに金が要るのかということを考えてみた場合に今片柳さんから御指摘の財産の分割というようなことが起つた場合は別でありますが、そうでない限りにおいてはまあ火災で家が焼けたとか、大災害をこうむつたとかいうようなことを別にすれば、大体金の要る場合は来年の肥料を購入する資金とか、或いは農機具を買うとか、要するに営農資金たと思います。そうでなしにもう農業経営そのものが成立たなくて、自分の農地を担保に入れて耕作を継続するというようなことが若しあるとするならば、私はそういう農業経営自体が成立たないことでこれは問題にならないと思います。従つて若し当面の営農に必要なる金融というようなことになるならば、むしろ私はその農地なんかを担保でなしに、別個にここに資金融通の途を講ずべきで、農業経営がもう成立たないから自分の農地を担保にしてそれで金を借りるというようなことが若し常態として起るならば、それはもう日本の農業経営は成つて行かないということを証明することになりますので、そういうことを前提としての担保金融ということを私は考えたくない、従つて現在僅か八億五千万円ですか、政府の自作農維持のための金融措置があるわけでありますが、むしろこれを徹底的に拡大して、そうして私どもにそういう杞憂の起らないような措置を政府が事前に講じて行くならば、私は問題はないと思うのであります。そうでなしに、一体農地を担保に金融と言つてどういうときに金が要るのか、こういう問題が起きて来るわけであります。具体的にどういう場合に金が要るのか、財産の分割は別でありますが、それ以外は、不時の災害以外には具体的にそういう問題は起つて来ないのであります。当面する営農の金融につきましては、それは別途政府がそういう耕作農民に不安を起させないような金融措置というものを別途考えるべきで、耕地を担保にして、それが債権者に一旦握られた場合には、必ずそれは土地の権柄、耕作権の何と言いますか、喪失等、自作農創設の精神と全く背反する方向へ行くことは歴然たる事実でありますので、政府が将来農地担保金融ということを考える場合には、そこらの点をお考えの上で十分一つ対策をお練り願いたい、これはまあ希望として申上げておくのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/87
-
088・宮本邦彦
○宮本邦彦君 関連して、この法律案を見ますというと、水利権の問題があるのですが、水利権というものは、農地と一体でなければ水利権というものはあり得ないという解釈をとつておりますか、或いは水利権は単独に水利権というものがあるとお考えなんですか。これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/88
-
089・平川守
○政府委員(平川守君) 御質問の趣旨が、どういうことの必要からそういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/89
-
090・宮本邦彦
○宮本邦彦君 ここに、この法律案に水利権を買収するということがあるのですね。この水利権は一般的な水利権という意味ですか、それとも農地に関連した水利権という意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/90
-
091・平川守
○政府委員(平川守君) 只今御指摘の買収の対象になる水利権というのは、農業上の水利権でない、むしろ未墾地を買収して、そこで水利施設をやりたいと、ところがほかの水利権があつて、それがそのままではできないという場合の買収のことを言つているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/91
-
092・宮本邦彦
○宮本邦彦君 実はこの農家水利権が農地に一体であるべきものが、実は慣行として一つの単独な水利権として実は扱われておるところが全国にあるのですね、そういうものはこの水利権の中に入るか入らないかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/92
-
093・平川守
○政府委員(平川守君) もとよりこの実際の辻用の場合において、既存の農地に灌漑をするための水利権を邪魔をするということは勿論あり得ないことで考えておりません。ただ新らしい開拓をする場合に、既存の水利権に一部加えてもらう、一部分けてもらうとか、そういうことによつて開拓地に水利施設ができると、こういう場合には考えられると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/93
-
094・宮本邦彦
○宮本邦彦君 この水利権というやつは、強制譲渡の過去に遡ることがあるのですかないのですか。これはポ政令でやるところのその問題にもその水利権というものは考えられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/94
-
095・平川守
○政府委員(平川守君) 水利権につきましては、御質問の趣旨が現在この法案の十四条のことでありますれば、これは今後未墾地を買収する場合に、それに附帯して水利権が必要な場合に、それを併せて買収することがあると、こういう意味でありますから、今後の問題、今後未墾地買収をする場合の問題になるわけであります。
それから先ほどの御質問のときに遡及して行うことがあるかというお話がありましたので、遡及の問題としましては、これは現行法の問題だと思います。現行法の問題としましては、この農地買収を行なつて、これに附属して水利施設を必要とする場合に買収ができるという規定があるわけであります。併しその買収自体がもういわゆる二十年現在のものは大体終つておるわけです。従つてそういう場合は殆んど起らないと、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/95
-
096・宮本邦彦
○宮本邦彦君 買収の未済なものはそうすると勿論あるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/96
-
097・平川守
○政府委員(平川守君) それはあり得るわけであります。併し事実上は先ほど申上げましたように、殆んど農地の買収は終つておりますから、先ほど非常な例外のお話がありましたけれども、これは極めて例外でございまして、殆んどございませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/97
-
098・宮本邦彦
○宮本邦彦君 今の水利権というのは、勿論今日言われておる水利権ということで以て水利権の登記というようなものは殆んど今日ないわけなんです。従いまして慣行による、判例なんかによるあの水利権と了していいわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/98
-
099・平川守
○政府委員(平川守君) そういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/99
-
100・宮本邦彦
○宮本邦彦君 私は農地問題で以て今後問題になつて来るものは、この水利権の問題が非常に複雑化して来るのじやないかということを実は考えるものなんです。ということは、先ほど片柳さんからお話になられたように、今日の日本の農業で以て資本の蓄積というようなものは何にやられるかというと、これはもう農業の本質として、どうしても農地に資本の蓄積が向けられるか、或いは農地に附帯する施設に殆んど資本の蓄積というものは向けられるのじやないかと思うのです。而もその大きなものは、これは水利じやないかと私は思つております。従いまして、この水利権というものは、今後相当複雑な問題になつて来るのじやないかと、農林省としても私は希望として申上げて置くのですが、この水利に対しては大きな問題になると私は思うので、はつきりした水利に対する立法を一つお願いしたい。若しも今日考慮せられておいでになるなら、こういうことをどの程度構想されておるか、極く簡単で結構ですから承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/100
-
101・平川守
○政府委員(平川守君) この問題は極めてむずかしい複雑な問題でありますので、我々のほうではまだ研究の域を脱しておりません。ただ差当り非常に急いで考えておりますのは、電源開発等に絡みまして、ほかの産業と関係した非常に大きな水利の問題が差迫つておるわけであります。農業内部においても非常に細がい零細な慣行等の複雑な水利の問題もございますけれども、それ以前に非常に纏つた大きな水利の問題が電源開発、或いは治水のダム等の関係に絡みまして起つて参つておりますので、一応私どもといたしましては、この細かい農業水利の問題を切離してでもその大きな問題だけは速急にこれを法制化して片をつける必要があるというふうに考えております。各地の慣行等の問題が非常に複雑しておりまして、これを法制化することがなかなか困難であります。これについても研究を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/101
-
102・宮本邦彦
○宮本邦彦君 私はまあ最近国土総合開発法とか、或いは電源開発法とか、各種の法律案がどんどん出て来るのです。而もこれが重要法案となるというと、大抵水に関連を持つておるものであつて、水の基本的な考え方が、水利の基本的な考え方が早く農業水利で以て立案されないというと困るのじやないか。対外的な面でも困るのじやないか。又対内的な面では農地制度をやつてこういうようにやつて行くけれども、結局日本の農業は水田農業で以て、水と切離したら殆んど日本の農業は成立たんと、そういう問題で以て農地の問題は、土地の問題はこうしたすつきりした制度があつても、これからの資本蓄積というような形で以て行われて行く各種の増産施設、そういつたものは殆んど水に関係があるのじやないかと思うのです。従いまして、私はこれが単なる水利権というような意味で以て水利権が単独に売買されると、或いは担保力を持つというようなことになるというと、これは又大きな問題になつて来ると、で、これは切離して考えられない面が相当あるのじやないか。やはり早くこの水利法に対しての基本的な観念だけを早くまとめて頂くということを希望として申上げまして、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/102
-
103・松永義雄
○松永義雄君 私の質問したいのは、第四条と第二十四条です。第四条の第一項五千坪以上は農林大臣の許可を得なければならない、こういう規定になつております。で、工場誘致について田畑をつぶす、そうするとその工場から更に毒水が流れる。田に害毒を与える、こういつたような場合に慎重な態度をとつてもらわなければならんということであります。そこで衆議院の改正法案によると、農業委員会の意見を聞いて来るという規定が挟まれておるようであります。そこで御質問したいのは、農業委員会の意見というものが大臣の採決権を拘束するものかどうか。
それから第二に、大臣の許可権というものの一体標準というものがあるのか、その二点についてお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/103
-
104・平川守
○政府委員(平川守君) 農業委員会の意見を聞くという衆議院のほうの修正でございますが、これは知事が許可をいたします場合に農業委員会の意見を聞く。県農業委員会の意見を聞くという修正であります。農林大臣が許可をいたします場合には、その意見は聞きません。農林大臣独自が判定をいたします。それから農林大臣が許可をいたします場合についての基準といたしましては、これは通牒で行なつておるのでありますが、まあ要点といたしましては、当該の施設がほかに替地がないと、どうしても代るべき所がないという認定、それから総合的に見て、農地として利用する以上に公共性があるというような、やや抽象的でありますけれども、一応そういうようなことを基準として考えるということにいたしております。ただ実際問題といたしては、この判定がなかなか面倒でございますから、少くともこういう趣旨で、農業から見て遥かに、少くとも公共性がないとこういうものを許可するということはないと、ただこれが工場等になりますると、なかなかその判定は困難になります。工場の行なつておる産業もやはり国家として必要なものであるものが多いわけでありますから、そういう判定がなかなか困難になりますが、一応そういう趣旨の基準を設けまして、通牒をいたしておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/104
-
105・松永義雄
○松永義雄君 ちよつと聞き洩らしたのですが、その基準というのは、政令とか、省令とか何とかできまつておるのですか、それとも申合せみたいなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/105
-
106・平川守
○政府委員(平川守君) これは結局法制としましては、知事、或いは農林大臣が許可するというところで押えておりまして、その知事が許可をいたす場合の考え方を通牒で示しておるわけであります。それが只今申上げましたような基準でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/106
-
107・松永義雄
○松永義雄君 そこで問題が起きて来るのですが、その土地の者が非常に反対し、且つ実際において害毒を及ぼすというような場合に、農林大臣が今の通牒の考え方で許可するということもできないのではないか。若しそういうことをやられた場合には大変なことになる。そこで問題は、鉱工業と農業ということの問題になるのでありまして、元の蚕糸局長か、長林大臣であつたか、生糸のほうばかり贔屓して、繭のほうはちつとも考えていないで、お百姓のお役所かどうか疑われるような場合もあるので、農林大臣だから農村のことを考えてくれるなんと思つたら大変な違いなんで、農林大臣がその筋の懇請如何によつては農村をつぶすということも想像されるのです。それに対して一体長林省は確固たる考えを持つてもらわなければいけないのですが、これはあなたに言つて質問するよりか、農林大臣に質問することなんですが、そういうことがある、そういうことを言つている議員があるということだけ農林大臣に伝えて、研究しておいてもらいたい。
第二の質問は第二十四条の小作料の減額請求権の問題、これは一体この条文はいつできたんですか。今度の改正案に新たに出て来たわけではないので、すでにその条文はできているものをそのまま持つて来たものと思うのです。そうするとそれはいつ頃できた法律の内容になつておるのですか、大体でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/107
-
108・平川守
○政府委員(平川守君) 先ほどの問題につきましてちよつと申上げますが、耕作者、或いはこの土地の所有者が判対をしておるのに許可をするということは、その反対の意思が明らかであれば当然行われないわけです。つまり買取に応ずるとかいうようなことさえなければいい。ただ実際問題としてはむしろそういう人々が同意書なり、或いは売買の賛成をいたしまして、そうしてその許可を願いに来るという場合が問題になるわけであります。その場合においても、農林省としては先ほどのような基準で、極端なものについては、例えば競輪だとか競馬とかいう極端なものについては極力これをはねるということに勿論やつております。工場なんかになりますと、農民も賛成である、耕作者も賛成である、所有者も賛成であると、町も県も皆賛成であると、こういう形で持つて来られた場合に実は農林省としては誠に困るわけであります。そういう状況にあるわけであります。
それからこの小作料の減額請求権の問題は農地調整法にございまして、これは二十一年十月の改正のときにこの条項が加わりました。若干文章が変つておりますが、内容においては同趣旨というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/108
-
109・松永義雄
○松永義雄君 そうしますと、農作物の統制価格があつた時だというふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/109
-
110・平川守
○政府委員(平川守君) そういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/110
-
111・松永義雄
○松永義雄君 野菜類の統制があつた時に見越した、そういうことを前提とした規定でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/111
-
112・平川守
○政府委員(平川守君) そういう状態でもありまするけれども、ここに考えておりまするのは、一応作物を対象に狙つておるわけであります。そのときの状態としては、そういうお話のような状態にあつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/112
-
113・松永義雄
○松永義雄君 そうすると、現在野菜が統制を外されて、野菜だけを作つておる畠の小作料については、やつぱりこの規定によらなければ減額請求権はできないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/113
-
114・平川守
○政府委員(平川守君) 野菜の場合もやはりこれは同様に適用があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/114
-
115・松永義雄
○松永義雄君 そうしますと、この前もここで言つたように、きやべつが一個一円売りだとか一円五十銭売りだとかいつて、もう畠はやり切れなくなつているのですよ。その場合にその価格を基準にして、大体がもう生産地に合わないような価格で、農家売りになつている。その農産物を基準にして小作料の減額請求権をできるということになるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/115
-
116・平川守
○政府委員(平川守君) ちよつと御質問の趣旨をはつきりつかみ得ないのかも知れませんが、この規定は、要するに小作料が、諸作物のほうの価格が非常に下落をしたと、そのために、極端なデフレーシヨンが起つたか何かして非常に下落したと、そのために小作料の額が諸作物の価格に対して非常に割高になつたという場合に、その一割五分という割合まで小作料を下げてくれということができると、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/116
-
117・三浦辰雄
○三浦辰雄君 だんだん時間もないようですし、私は別に明日質問をすることにしますが、かねてからお願いをしておきました資料の問題なんです。今の第五条の省令の点、それから同じくやはり一項の三号の省令、その他省令で定める場合、この二つの省令、それから利用権の所へ打つて、二十六条の三項の、その他省令で定める場合、それから二十七条の省令で定める手続、それから問題の四十四条の第二項の政令で定める基準、これにつきましては、昭和二十四年の一月かに作られた基準と併せてお願いをいたします。それから八十条の一項の省令、それから第二項の政令で定める場合の政令、これを是非明日頂きませんと、だんだん時間もなくなりますので、これをいちいち質問の際にやつていると時間もかかりますから、今まで遠慮しておりましたが、もう時間がないので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/117
-
118・羽生三七
○委員長(羽生三七君) よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/118
-
119・平川守
○政府委員(平川守君) よろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/119
-
120・羽生三七
○委員長(羽生三七君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
午後四時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314988X05319520618/120
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。