1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十五日(木曜日)
午後二時四十八分開会
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出席者は左の通り。
文部委員
委員長 梅原 眞隆君
理事
高田なほ子君
相馬 助治君
委員
川村 松助君
高橋 道男君
堀越 儀郎君
山本 勇造君
荒木正三郎君
矢嶋 三義君
岩間 正男君
外務委員
委員長 有馬 英二君
理事
徳川 頼貞君
曾祢 益君
委員
杉原 荒太君
團 伊能君
平林 太一君
伊達源一郎君
大隈 信幸君
国務大臣
外 務 大 臣 岡崎 勝男君
文 部 大 臣 天野 貞祐君
政府委員
文部大臣官房渉
外ユネスコ課長 釘本 久春君
事務局側
常任委員会專門
員 竹内 敏夫君
常任委員会專門
員 坂西 志保君
常任委員会專門
員 久保田貫一郎君
説明員
外務省情報文化
局第三課長 戸田 盛國君
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本日の会議に付した事件
○ユネスコ活動に関する法律案(内閣
提出・衆議院送付)
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001・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 只今より文部、外務連合委員会を開きます。
前回に引続きましてユネスコ活動に関する法律案の質疑を行います。文部大臣がお見えになつておりますから、質疑のおありのかたは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/1
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002・徳川頼貞
○徳川頼貞君 私はこの際文部大臣に伺いたいと存じまするが、それはこの法律案の第六条の第一号、即ち「ユネスコ総会における政府代表及びユネスコに対する常駐の政府代表の選考に関する事項」であります。私が実は昨年政府の代表といたしましてユネスコの総会に出まして、親しく向うの様子を見て参つた一人でありまするが、その後我が常駐の代表として、文化に最も理解のある外交官のかたがなつておられることは誠に結構と存ずるのでありまするが、一方他の国々の様子を見ますると、常駐の代表がある国と、或いはない国とあるようであります。そうしてその代表は大体において国内委員会から派遣されているように見たのでありますが、勿論この常駐のないということも、多分に地理的な関係やら或いは経済的な関係があるとは思いまするが、それと同時に、その国におけるユネスコ活動の、或いはユネスコ活動に対して極めて緩慢であるというようなことが理由になつているかとも考えるのでありますが、この点におきましては、我が国は決して世界の他の国と比較いたしまして勝れるとも劣るものではないと私は存じます。むしろ私の知る限りにおきましては、ヨーロツパあたりの各国のユネスコ活動よりは、我が国のユネスコ活動が極めて活溌に旺盛であると私は思うのであります。従つて我が国が将来正式に国連に加盟できるか否かの試金石ともなるべきこのユネスコの問題に対しまして、他の国の例にはよらないで、むしろ我が国独得の立場において、これからできようとするこの国内委員会から選ばれて、その代表を常駐の代表として向うへ出されることが適切ではないかと思うのであります。そのゆえんは、それによりまして我が国が、只今申しましたように、非常にユネスコ活動に対して熱心であるという実情を広く世界に示すことができると同時に、又近く我が国の国連加盟に対して多少でもそれが助けになるならば大変いいのではないかと思うのであります。そういう意味におきまして、この常駐の代表を国内委員会から出されるというようなお考えは、文部大臣においておありではないでしようか、その辺を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/2
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003・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 御意見はよくわかることでございますが、差当つては今文部大臣と外務大臣と相談の上、或いは在外事務所長をそれに任命しておるわけでありますが、併し国内協力委員会ができましたら、そこに諮問をしまして、そして外務大臣が任命されるという手続になりますから、なお詳しくは外務省のほうから報告いたさせることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/3
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004・戸田盛國
○説明員(戸田盛國君) この常駐代表は、ユネスコ憲章で定められておるわけではございませんが、ユネスコにとつて極めて価値のあるものであるが、ユネスコは成るべく多くの加盟国がその代表を任命するように希望しておりますような次第であります。我が国におきましても、只今の御質問にございましたように、当時の萩原事務所長をユネスコに対する常駐代表として任命したような次第であります。只今御質問の国内委員会から常駐代表を任命する考えはあるかどうかということで、文部大臣に対して御質問がありましたのでございますが、この法律案の第六條の第一号に、「ユネスコ総会における政府代表及びユネスコに対する常駐の政府代表の選考に関する事項」とございますように、この常駐の政府代表の選考に関しましても、国内委員会は大臣の諮問に応じ、或いは建議をすることになつておりますので、将来国内委員会の意向と政府側の意向を併せまして研究されることになると思います。現在のところははつきりした方針がきまつておるわけではありませんが、ただここで御注意申上げたいのは、外務公務員法の関係から、一応如何なるところから出られましたかたも、政府代表という形になりました場合には、外務大臣がこれを任命するというような形になることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/4
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005・徳川頼貞
○徳川頼貞君 ユネスコの代表に関しまして、特に私の感じますることは、萩原君がこの前代表になられた場合は、これはあの際まだ国内委員会もできなかつたのであります。又いろいろな関係上本部との連絡もあるというような場合もあつたと思うのでありますが、併しいやしくも国内委員会ができた以上は、国内委員会を通じて向うの本部と連絡が最も必要ではないかと思いますことが一つ、それから第二には、各国はと申しますと、少くともヨーロツパ各国は地理的に非常に本部のございますパリとの間は極めて簡単に連絡がとれます。ところが我が国は残念ながら地理的に非常なドローバツクがあるのであります。そういう意味から申しましても、是非ともこの国内委員会と密接な関係を持つ上から申しましても、これはどうしても国内委員会の関係を最も密とすることが必要であると思いますので、私はこの際特に重ねて国内委員会からそういうものを一つ出して頂くということを希望して、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/5
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006・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 他に御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/6
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007・團伊能
○團伊能君 只今徳川委員から、海外の駐在員につきまして御質疑が、ございましたが、なおそれに附加えて二、三伺いたいと存じます。これが常駐の政府代表或いはユネスコの国内委員会の代表を置くことは絶対に必要なことと考えまして、それなくしては殆んど日本がユネスコに参加した意義はないものと思います。このユネスコの代表者は、バリの本部及びその活動に照し合せましても、決してパリのみに駐在しているのではなく、ときどき各地において行われます小委員会或いは委員会その他に常時出席して、連続的にこの仕事を引受けて頂くかたがなければ、到底成り立たないと考えますが、そういう点におきまして一つ伺いたいのは、国内における国内委員会を補助するような意味の予算二千数百万円は伺つておすりまがその常駐代表を置くとして、それに対する予算的な措置はどこに講じてございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/7
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008・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 予算的な措置はまだ講じてないそうでございますが、今後それを考慮いたすようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/8
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009・團伊能
○團伊能君 それにつきまして、只今萩原在外事務所長が事務を担当していられるように伺つております、が、これにつきまして、この予算が若しも出るといたしますと、これはやはり文部省予算として出ますのでございますが、外務省において特別な事務としてフランス大使館なり何なり特別の支出をされるのでありますか、予算の出どころをちよつと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/9
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010・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 事務当局から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/10
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011・釘本久春
○政府委員(釘本久春君) 只今御質問のそういうような予算の出どころでございますが、国外において使われますようでございますので、外務省所管と考えられます。なお外務省からお答えすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/11
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012・戸田盛國
○説明員(戸田盛國君) 現在なお仮定の問題でありますので、はつきりしたことは申上げられませんけれども、恐らく外務省の予算に盛られることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/12
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013・團伊能
○團伊能君 これが若し外務省予算に組まれますと、それは外務省の外交官にあらずとも、外務省の管理を受ける官吏ということになりますが、その場合、ユネスコ委員会は文部省に属しておりますが、その両者の関係について甚だちよつと理解しがたいところがございますが、その点を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/13
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014・戸田盛國
○説明員(戸田盛國君) 只今外務省と文部省の所管を受けております国内委員会との関係についてという御質問でございましたが、これは少し立入つて御説明申上げたいと思いますので、御了承願いたいと思います。先ずユネスコそのものが政府間の機関で、ございまして、日本が国としましてこれに対しまする場合には、これは政府のユネス
コに対する仕事になると思います。これは日本の政府の代表としまして外務省がもつぱら行うということになつております。国内委員会の所管します事項は、ユネスコに協力するための事項、国内事項が主となりますですが、国内における教育、科学、文化の諸方面を通じましてユネスコに協力する態勢を推進して行くというところに、その主眼点があるわけであります。ただそれから派生的に連絡機能というものが出て参りますので、この連絡機能は、元来日本が国として持つておりますユネスコ関係或いは文化関係の対外事項とはやや性質の異なつたものであ
ろうと思量いたします。さてユネスコに対しまする政府の常駐代表は、この二つの連絡事項、両方について関係があると思われますので、政府としまし
て、国としまして、対外事項はこれはやはり一種の外交であります。外交一元化の趣旨から、そのかたがたとえほかから来られた場合でも、外務大臣の所管において外政の一元化を図るということになります。それからただ先ほどユネスコの国内委員会が、その本来の機能を行います上において連絡の機能を要する、その中には若干対外的の連絡の機能も持つ、これは実は如何なる国家機関も多かれ少かれ持つておるのでありまして、例えば運輸関係の国家機関、或いは郵政関係の国家機関、或いは気象関係の国家機関、すべてこれ対外連絡の灘一能を持つておるわけであります。これは必ずしも国の対外施策ということは言えないかと思います。そういうものは事実上技術的の事項につきましては、実際上特別な仕事をしておるわけでありますが、大体それに類して解釈して差支えないものと考えるのであります。従いましてくどいようでありますが、ユネスコに対しまして国が行う機能、これは外務省の機能でございまして、外務大臣が行う、例えば分担金の問題でありますとか、その他条約の締結でありますとか、その他国として行う対外文化施策というものは、これは外務大臣の所管事項になります。ただこの国内委員会がその独自の権能を行います場合に、外務大臣の対外職能というものと調整を図りますために、ここに第七条に特別な条項を設けまして、「国内委員会は、その対外事務を処理するに当り、その事務が国の対外施策に関連する場合には、外務大臣と緊密に連絡して行うものとする。」というように響いてございます。ここで国の対外施策と申しますのは、先ほど申上げましたように、国が行う事務、対外事項でありまして、即ち外務省設置法第三条の各号に列記してございますような事項でございます。それ以外の事項は国内委員会が連絡に当つてもよろしい。ただその間にそのこと自体は国の対外施策ではなくて、それが間接に国の対外施策に影響を及ぼすような場合、そういう場合には第七条によりまして、外務大臣と緊密に連絡して行わなければならないわけでありまして、その間の調整を図つたわけでございます。この条項の作成及びこの解釈につきましては、文部省側と十分打合せしてありますので、文部省側でも同じ見解であろうと思量いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/14
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015・團伊能
○團伊能君 只今の御説明の点でありますが、実はこの法案を通して読みまして、第七条の「国内委員会は、その対外事務を処理するに当り、その事務が国の対外施策に関連する場合には、外務大臣と緊密に連絡して行うものとする。」という非常に漠然たる言葉でございますが、この実体が非常につかみにくいのが、この法案に対する一つの疑惑点でございまするが、只今御説明を伺つてちよつとわかりませんけれども、ぼんやりわかつたようにも思いますが、もう一遍、外務大臣も御出席になりましたので、はつきり伺いたいと思います。私の只今伺いました御説明で認識したところが、或いは誤まつておれば是正して頂きたいと思います。只今承わりましたところからすると、ユネスコに国際的に参加したそのことは、これは海外において国を代表する外務省の仕事としてこのユネスコに参加をせられ、そうして国と国との間における交渉、つまりユネスコ本部と日本国との間の交渉は、外務省においてこれを行う。従つて若しもユネスコ代表のごときものを置くならば、外交一元化の原則によつて、外交官でなくても、そのかたが外国に駐在されるときは、外交領事事務というような形で、やはり大使館員になつてそこに駐在せられる。そうして外務大臣の監督下においてその行動をされる。一たびそれが国内に移りまして、外務省を通して……それでございますから、在外機関はすべて外務省の管掌範囲である。それが国内に移つて、或いは国内のいろいろな団体との連絡その他国内における他の問題になつて、初めてこれが文部省に移されて、文部省の所管下にある国内委員会に諮問されて、これが実行される。大体こういう工合に私今のお話で認識しますけれども、間違いがありましたら、一つ正して頂きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/15
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016・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 大体この問題は私が丁度官房長官をしておるときに、いろいろ意見がありましてきまつたのですが、そのときに我々の考えは、外務省は対外事務をやるのであり、国内でいろいろやるものは成るべく外務省のほうでやるべきものでない、止むを得ざるもの以外は国内の各省でやつてもらう、こういう意味で文部大臣のほうに、国内委員会のことは文部省でやつて頂くように話したのであります。要するに国内委員会というものは、国内におけるユネスコ活動に関する助言、企画、連絡、調査、いろいろのことをやる、それが文部省の所管として国内委員会でやつて貰う。そこで、国のそれの活動が当然ユネスコというようなものですから、外国との連絡がいろいろあるわけです。その中で国の対外施策というものが、まあ、一つ漠然としてありまして、それ以外にやはり連絡その他にもユネスコの本部と連絡したりすることがあります。併し、それは漠然としておりますが、そういう大本の国の対外施策でないものは国内委員会が連絡することがあると思います。併し大きく分ければ、外は外務省、内は文部省と、こういうことになるわけです。そこで今お話の中で少しお考えが違いますのは、ユネスコに代表を送ります場合に、これは大使館なり公使館なりに所属する人が代表として行くか、或いは代表として行つた人が所属する場合もありましようけれども、そうでなくして、普通の国際機関に送られる代表のように大使館、公使館に所属しないで日本から送る代表の場合もありますが、海外におる限りはお話のように外務大臣の指揮監督と申しますか、要するに外務大臣の監督の下に立つのでありますが、その資格は必ずしも大使館、公使館の職員でないという場合も無論あると思います。その他の点につきましてはお話の通りと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/16
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017・團伊能
○團伊能君 只今の点はそれでわかりましたが、外務大臣に伺いたいのですが、これは将来の企画に属することで、まだ御言明頂くことはできないでございましようが、曽ての国際連盟時代或いは学芸協力委員会時代にいろいろ文化的対外活動における経験からいたしましても、どうしてもここに外務省の外交官のその資格はとにかくも専門的にユネスコを代表する代表者がいないで、外務省の在外公館の者にこれをお任せするということは予算の点からも非常に不便であり、いわば外交官として自分の主要の事務でない以外の事務を負わされることでありまして、その点非常に御迷惑をされ又実効がいかなかつたことが非常に多いのであります。殊にユネスコは恐らく従来のごとく、殆んど毎月各地で小委員会の集りなり委員会をやり、総会は或いはパリーでやるかも知れませんが、始終委員会があつて、各国の分担金の使用方法につきまして、その分担金として寄つた金をどこの国のために使うかということは、一々理事会でこれは決定し、それが相当激甚なる予算の取合いもやつていたのでありまして、日本は学芸協力委員会の場合には特別な代表者がなく、ときどき新渡戸さんがこれは管掌事務としてお出になつたときはありますが、それが予算の大部分はほかのところのために使われてしまつて、日本は分担だけ出してそれが返つて来ないで、非常に僅かしか使われていなかつたように思います。勿論そのときはそれでよかつたのでございましようが、今日の情勢に立至りますと、このユネスコ及びその本部理事会の活動が東洋方面、特に日本については深い関心を特つて動いて貰いたいという希望もありますが、そういう点から考えまして、外務大臣はこれに相当な人の代表を送られて、この仕事自身に対してただ消極的にこれに加わつているのでなく、積極的にユネスコ委員会を相当重い力で引ずつて行くというようなお考えでございましようか。その消極的か積極的か、その点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/17
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018・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 実は今度外交を再開するに当りましても、まあ、言葉は余り私は好きじやないのですが通常、日本も文化国家として立直るんだというようなことを言われておるくらいでありまして、文化の交流ということについては非常に関心を払つておりまして、いろいろ意見もありますが、相当各方面から、例えばフランスであるとかインドであるとかいうようなところの在外の代表者だけでなく、文化人を出して文化の方面から両国民の理解を深める努力をしたほうが結局早く目的を達するのじやないかというくらいに言われておるのであります。これは大使の人選等につきましてはいろいろの考慮がありますから、まだどうなるというわけに行きませんけれども、そのくらいでありまするから、ユネスコ等につきましても従来とはまるで変つた考えで、お話の言葉を使えば積極的にやろうと思つております。これにつきましては、文部省などでも、これは私ちよつと忘れましたが、国内委員会におきましても外務省は文部省とよく連絡をしまするし、又海外に対する外務省の仕事につきましてもこのユネスコ活動につきましては、今度外務省のほうから文部省に緊密な連絡をしてやるのでありますが、ユネスコの代表等につきましても、お話の趣旨は同感でありまして、できるだけ積極的に活動をいたし、又経済の交流ということと同様に文化の交流ということの重要なことは、我々も考え直しておるくらいであります。十分御趣旨のように取計いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/18
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019・團伊能
○團伊能君 只今外務大臣の御説明で、非常に御同感頂いて納得をしたのでございますが、なおこれはユネスコを直接外交の道具に使うということは動機甚だ不純と思うのでございまして、却つておもしろくない結果を来たすとは思いますが、今日国連参加を考えましても決して容易でない状態にありまして、総会の投票というようなことを以て国連に加わり得るときが来れば幸いでございますが、それがない以上殆んど復帰は不可能な状態でありますのに、このユネスコに初めて参加し得て、而もこのユネスコは又国連と違う広い範囲を内部に併せて持つていて、国連に参加しても直接連繋を取りがたい国々とユネスコを通して一つの連繋を取り得るような形もありますので、この場合におけるユネスコは、国内におきましてはいろいろなこれについての認識はあるかも知れませんが、国外の問題としては非常な私は重要な問題であり、これだけの狭き門が開かれておるということは日本にとつて非常に有難いことだと思いますが、それにつきましては、まあ希望を申上げますと、在外大使の管掌事務のなかにただ入れて置くというのでなく、できれば曽つての新渡戸先生のようなかたが代表として行かれて、そうしてこのユネスコのなかにおのずからその人のパーソナリテイーをもつて重きをなすようなかたの御人選を願い、この参加によつて仕事を拡充して行くというような希望を述べさして頂きたいと思います。
なお私はそれにつきまして、そういうかたを送るについては、又それに多少のスタツフを付けなければならない関係もあり、外務省予算のなかで特にユネスコ参加に対する予算をお組み頂くことを私切実に望むものであります。
次に文部大臣に一、二点お伺いしたいと存じますが、根本的な問題になりまして甚だ抽象的になるかも知れませんが、先日伺いましたこの法案提出の理由書の中に、従来の国際連盟時代にありました学芸協力委員会は非常に狭い意味の知識階級に限られた協力であつたというようなお話でございますが、この問題がいわゆる学術団体とか或いは教育科学施設というもの以外の国民大衆としての参加をするというお考えのように伺いますが、一体それは実際的にこのユネスコの仕事と結び付いてどういう一つのビジヨンをお持ちたなつておるか、どういう御構想があるか承わりたいと思います。この御構想は具体的には委員会の選択というようなことによつて現われて来ると思いますけれども、実際は少し我々は大臣の御説明には不平……不平と申しますか、納得しがたいところもございまして、こういうような非常に眞剣な問題であり、又対外関係でございますから、文化活動と申しましても日本で考えるような漠然たるものでなく、相当科学的にもいろいろな突込んだ進んだ考え方で参りますので、むしろ私どもはしつかりした学術団体なり教育機関なりそういう機関と結んで行くのが本体であり、いわゆる社会的文化活動というものを発揮してもらわなければなりませんが、それに重点を置くと相当低いものになつて、向うとちよつと話が合わないようになつて来やしないかという慮れがありますが、甚だ漠然たる質問でございますが、これに対する御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/19
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020・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 今、團さんのおつしやることは私も同感でありまして、どうしても学術とか学芸とか、そういうもののいわば専門家の間に中心を置いてやるということは当然だと思うのでございますけれども、ただそれだけでなしに、ただ学術の交流とかそういうことだけでなしに、そういうものを通して何か世界平和に貢献したい、そういう点を言い現わしたわけであります。卑俗に決してやろうというわけでは、ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/20
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021・團伊能
○團伊能君 これはやはり將来の国内委員会につきまして大臣の御指導によつて相当その点も明らかになろうと思います。が、従来までの各地におけるユネスコ協会が大体に会長としているかたは商工会議所の会長が多いのであります一たまたま大学の教授などもありますけれども、これはいわゆる基金を集めるという関係から、毎日非常にたくさん起りますいわゆる基金募集というような常例といたしまして、商工会議所にもつて行つて基金を集めてくれということが中心に各地の委員会ができておりまして、先日こちらでございましたか、各地のユネスコ委員会の委員のかたがたが御上京になりまして、今日も多分この部屋に伺つたかと思いますが、その中に、或る町でありましたが、ユネスコ協会は非常に活動している。遺族擾護の大会もやりましたというようなことになつて、ユネスコの仕事自身が非常に理解されていない、これは理解されていないのでなしに、そういう商工会議所中心においては到底理解されざる、理解し得ないかたがたが多く集つていることがありますので、この点はいわゆる国内委員会が若しも基金募集をするということになるとそういうことになりますが、大体国内において国内委員会の重点をどの辺にお置きになるか、一つ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/21
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022・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) やはり国内協力委員会というものの重点と申しますか、そういうのは一方においては学術とか芸術とか思想とか、そういう面に重きを置くのですけれども、同時に何かそういう専門というものの中にとじ込められるというのではユネスコの精神にも合わないでしようから、他面においてはそういうところに中心といえばむしろそちらにあるのかも知れませんけれども、なお広く一般の人たちの参加を得て、強力に推進したいという考えであります。私は御趣旨は團さんのおつしやることに全然同感でございます。そういう一つの全く理解されないものになつてしまつたのではユネスコという名前にも第一そわないものになるのでございますから、御趣旨は賛成ですが、だからといつてあまり狭くすることもいけないだろうという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/22
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023・團伊能
○團伊能君 甚だ細かいことになりますけれども、文部大臣のお考えはよくわかりますけれども、教育担当者とか或いは学術関係の人は非常に狭いとおつしやいますけれども、仕事の上では一番インターナシヨナルな仕事をしている人でありまして、いわゆる一般というもののほうが世界に遠いものであり又世界を理解してない。学者は非常に狭い範囲の仕事をしておりますけれども、その仕事の範囲を通して非常に深刻に国際的に繋つている人が多いの一であります。私は昔この学芸協力委員会がやつて来ましたように学術団体、或いは学術振興会、或いはそういう方面の学者団体というものを中心にもつて行くほうがこの問題のやはり永久的な姿をもつのじやないかと思います。ユネスコは本部におきましてもまだ非常に日が浅く誤りがあるかと思うのです。いわゆる大衆的ならんとする動きのためにしばしば政治と結び付いてしまつて、そういう動きをするならば、むしろユネスコは中止しなければならないというような危険な仕事も本部において行なつているかと思いますが、そういうところは日本が参加したらむしろ日本が本部に忠告して、これが本当に国際的な人間の福祉に資するような機関にして頂くというようなことを考えますが、なお最後に文部大臣におかれても国外に代表者を出す、然るべく日本を代表し、又この日本のユネスコの活動の内容とする教育、文化、科学というようなものの本当の代表者という人をお送りになるお考えがありますかどうか伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/23
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024・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 私もできれば是非そういう人を出したいと思います。本当に日本の学問とか思想とか教育とか科学というようなものを代表できるような、そうして重きをなし得るような人を是非送りたいと思つて、そういう点については十分協力委員会と御相談したい、又外務大臣も理解のあられるかたですからよく了承して頂けると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/24
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025・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 他に御質疑はありませんか……。別に御質疑がなければ今回を以て連合委員会を閉じたいと思いますが、如何でございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/25
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026・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それではさよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315107X00419520515/26
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