1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年七月八日(火曜日)
午前十時四十八分開会
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委員の異動
七月四日委員青山正一君辞任につき、
その補欠として小串清一君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 梅原 眞隆君
理事
白波瀬米吉君
高田なほ子君
相馬 助治君
委員
小串 清一君
木村 守江君
黒川 武雄君
石黒 忠篤君
高橋 道男君
堀越 儀郎君
山本 勇造君
荒木正三郎君
棚橋 小虎君
矢嶋 三義君
岩間 正男君
衆議院議員
甲木 保君
政府委員
文部省初等中等
教育局長 田中 義男君
事務局側
参 事
(議事部議案課
長) 佐藤 吉弘君
法制局側
参 事
(第二部長) 岸田 実君
説明員
文部省初等中等
教育局庶務課長 内藤誉三郎君
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本日の会議に付した事件
○義務教育費国庫負担法案(衆議院提
出)
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001・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。
義務教育費国庫負担法を議題といたします。最初に総括質問をお願いいたします。今若林先生が見えますが、今文部省から見えておりますから御質問を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/1
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002・岩間正男
○岩間正男君 その前に、この法案の質問に入る前に、実は本委員会として、委員会の付託を受けまして、小委員会が作られて、その小委員会案というものが一応できておつたわけでありますね。これとの関連で今度の法案というものを、つまりこの前の小委員会の努力というものは、これは単にあのときの努力であつて、全然無駄にするということなら別ですけれども、折角委員会が何日かかかりまして一応案をまとめる、そういう努力をしているのでありますから、それと本法案をどういうふうに関連させて取扱うか、こういうことについて、これは一つ御協議頂いて、その態度を明らかにして置くことが必要じやないか、こういうふうに思うのです。その点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/2
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003・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 今岩間先生の提案がございますが、これをどういうふうにするか、一つ御意見のあるかたから……。堀越先生あたりから一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/3
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004・堀越儀郎
○堀越儀郎君 小委員会が設けられまして、いろいろ隔意のない意見の交換も行われ、又先生側からのお話も伺つて大体の意見はまとまつたのでありまするが、あれは一つの小委員会の報告として各党各派を決して拘束するものじやない、各自の参考までに報告しようという申合せで申上げておりまするので、この審議に当つて小委員会の意見のまとまつた案も御参考頂ければ結構だと思います。(「その通り、その通り」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/4
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005・高田なほ子
○高田なほ子君 小委員長のお話もございますけれども私どもは小委員の一人として、これをただ単に机上の空文として参考までにしてというような形を整えるためにこういう委員会を持つたものではないというまあ確信を持つのでありますが、勿論これは立法過程でいろいろな事情が出て参りましたときに、参議院の文部委員会としてかくあるべき姿をみんなで持ち寄つてここに出したのであつて、立案過程においてこれはたとえ参考であるにしても、こういう線に近付けるような努力が行われるべきものであつて、衆議院文部委員会のほうではこういう小委員会をお持ちにならないでお作りになられた案でありますから、参議院のほうは衆議院とはこういう小委員会を持つているということにおいても非常に性格が違つておるわけてありますから、どうかこれは一片の参考ということでなくして、よりよい方向に持つて行くという考えを以て小委員会案が役に立つような方向に持つて行くべきであると私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/5
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006・木村守江
○木村守江君 私は今この衆議院から廻つて来ました義務教育費国庫負担法というものの審議に入りまする前に、岩間君から、この参議院の小委員会の案があるから、その案についてこの案とまあ折衷したような案に持つて行くべきじやないかというような御意見だと思うのですが、これは参議院の小委員会のいわゆる報告というものは、あのとき私は反対したのです。これは私は、自由党としてはその案にそのまま賛成ということはできないというような意向を申上げまして反対しましたところが、これは小委員会の報告として出すのであるというような御意向であつたので、私はこれを了承した次第であります。従つて今この法案が廻つて来まして、この法案を審議する際に、勿論その小委員会で決定した報告をよりよき方向に上げて行くということには差支えありませんが、私はこの法案を審議するのに、そういうことを今改めて申出して、そして審議を延ばして行くというような恰好は思わしくない恰好だと思うのです。それですからこれは岩間君にしても、高田さんにしても、小委員会で申述べられたような意向もあるのでしたら、そういう意向についてもいろいろ質問をしたり、意見を述べて行くのが私は順序だと思うのです。そういう小委員会の報告があるからといつて、それに捉われて、而もこの法案の審議に入らないというような恰好は私はとるべき恰好じやないのではないかと思いますが、これは委員長がまあ既定方針でありまする、今日はこの義務教育費国庫負担法というものの審議に入られんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/6
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007・高田なほ子
○高田なほ子君 木村さんは大変に思い過しをしていらつしやると思うのです。私どもは審議を引延ばそうとするためにこういうことを出したのでは決してないのであつて、よりよい法案を我々参議院の者としては作つて行かなければならないという使命感を持つているからこそ、私どもは……私はまあ申上げておるのです。大体あなたは福島県の教育委員長という実績を持たれておつてですよ、(「余計なことを言わんでもいい」と呼ぶ者あり)参議院の小委員会におけるこの原則に反対だという理由が私はわからない。あなたは常々の御発言の中でも、およそここに出された小委員会の原則というものについてはお認めになるような非常に熱意のある御発言が私はあつたと思うのです。だから引延しにこういうものを出したというような、そういうけちな考え方をお捨てになつて、我々の熱意というものをもつと善意に汲み取つて、そうしてよりよい法案を何とかしてみんなで積極的に作つて行こうというふうに了解をして頂きたいと思うわけです。(「私はそんなことを言つておるのじやないのだよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/7
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008・岩間正男
○岩間正男君 木村君は何か誤解をされておるようですが、私は審議を引延ばしをするとか、これを先にして審議に入らないということは、そういうふうなことを言つておるのじやないのです。ただこの法案が出たが、先に我々の意思として、委員会の意思として、従前どのくらいですか、一月くらいだつたでしようか、とにかく何回か会合を持つて折角案を作つて、その案とどういうふうにこの審議に当つて調節するのかと、こういう案をどういうふうにして審議の中に織り込んで行くかということを先に委員会として決定されることが必要ではないか。大体態度をきめて行くことが我々委員会の統一した矛盾のない行動として、これは当然私たちは要求していいのじやないか、こういうふうに思うわけなんです。大体こういう形で法案を出されたわけです。一方で衆議院で通つて来たのですが、まあ相当な開きがあるし、当委員会の今の主張から考えても随分これは大きな開きがあるわけです。従て法案はもう現実に出されたのだから、これだけの範囲内でこれは審議しなくちやならないということでは私はないと思うのです。従つてこの調節についてあらかじめ大体の態度というものを決定しておいて入ることが非常に私はいいのじやないか、決してこの法案の審議を引延ばすとか、拒否するとかいうことを言つておるのじやないのです。そういうことを一つ誤解のないように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 只今岩間君から意見が出ておりますが、その前にちよつと私は委員長に申上げておきたいことは、この法律は重要法案でありますので、少くとも提案者がおいでにならないときは委員会を開いて頂きたくない。審議を進めるときには提案者がおいでにならなければならないことは必須条件であります。次に岩間君の発言でありますが確かに我々は小委員会を構成しまして、相当長い間研究しまして一つの結論というものを持つております。そこで審議をするに当つてどういうふうにやつて行くかというと二つの方法があると思うのです。それは衆議院から修正議決されて参りましたのは、余りにも我々の考えておるのと懸隔がある、従つて先ずこれを一応横に置いて我々がかくあるべきと考えたそれを中心に一応考えてそうして行く方法と、それからこの衆議院から回付されて来たこれを中心にして審議を進めながら、我々がかくあるべきと結論したところの小委員会の結論というものを飽くまでもこれを尊重して織込んで行くような角度で審議を進めて行く。まあ私は大別してこの二通りあると思うのです。私は今後審議をして行くに当つて後者で行くべきじやないかと、こう考えております。併しただ岩間君が言われるように、我々が小委員会の出した結論というものは飽くまでも尊重して行くという基本的態度に立つてこれは審議しなければならんと思うのです。そう申上げますのは、私はまあ第一院である衆議院を誹謗するわけでありません。最近任期満了を控えておる衆議院の与党自由党を中心とするところの審議状況というものは、私はこれは一つの空白麻痺状態で異常状態であると私はそう考えております。まあ人によつてこれは考え方が違うと思うが、私はそう考えておる。従つて我々が長い間、小委員会はかくあるべきという結論を持ちながら衆議院からこういうものが廻つて来たから、その現実というものを余りに高く評価し、それに捉われて、その域から一歩も出ないというような審議を進めて行くということは、私は参議院の使命、又あり方という立場から言つても納得できないわけです。従つて私は先ほど申上げましたように、この小委員会の結論を尊重しながら、それを如何に織込んで行くかという立場に立つて、衆議院から回付されて参つたところのこの案を中心にして審議を進めて行く。而もその審議を進めるに当つては、提案者は必らずその席に列して審議を続ける。こういうふうにしたらどうかということが私の意見であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/9
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010・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 他に御意見ありませんか……。今の矢嶋さんの御発言のあつたような、この第二の方法でこれを取上げながら、今までの小委員会のお考えを織込んで処理して行つてもらう、そういうことで御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/10
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011・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) ではそういうふに一つお願いいたします。それからなお今の若林さんなんですがね。提案者を代表して見えるよう、そのほうえはあらかじめ実はこつちのほうから今日やることをお願いしてあるのです。ところが旅行しておられてまだ帰つておられんので、ちよつと困つているのですがほかのかたに代つてもらうように今お願いしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/11
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012・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちよつと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/12
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013・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記をとめて下さい。
午前十一時二分速記中止
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午前十一時二十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/13
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014・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記を始めて……。それではこれで休憩いたしまして、午後一時に再開いたします。
午前十一時二十三分休憩
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午後一時十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/14
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015・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) これより文部委員会を再開いたします。
午前に引続いて義務教育費国庫負担法案に対する総括質問をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/15
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016・高橋道男
○高橋道男君 二、三お伺いしたいのでありますが、先般提案者の一人の若林議員がお見えになつてのときに、国庫負担法を充実拡大するために、その一つの方策として税制改革をしなければならん、又したいというような御意見を伺つたのでありまするが、これに関して何か具体的なことをお考えになつておるならば、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/16
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017・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 実は私提案者の一人にはなつておりまするが、これに対して専門的に研究しておる若林君がいないために、私代理で参つたので御答弁が不十分かもわかりませんが、その点悪しからず御了承願います。只今の御質疑に対しましては、そういう世論は起きてはおりまするが、まだ具体的には進んでおりませんから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/17
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018・高橋道男
○高橋道男君 具体的に全然進まなければ、私はこの国庫負担法がどの程度まで進められるかということについても全く先の見当が付けられないように思うのでありまするが、その点提案者のかたでなくて、或いは専門員のかたからでも、或いは文部当局のかたでも、この点についてのお考えがあるならばお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/18
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019・田中義男
○政府委員(田中義男君) 只今お答えがございましたので、私どもから更に突込んだお話を申上げるのもどうかと思うのでありまするが、私どもがいろいろ承知いたしておりまするところでは、事務当局間におきましても、いろいろ税制、特に地方税制につきましては、いろいろ論議が重ねられておりまして、すでに一部地方税制についての改正もあつたかと思うのでございまして、いろいろかなり具体的なことも事務的には研究を進めておるように承知をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/19
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020・高橋道男
○高橋道男君 具体的なものについてのことがはつきりいたしませんが、問題を変えまして、義務教育の無償の原則ということが第一条に掲げられておりますが、これは無論この法律に限らず、憲法における大原則だと思うのでありますが、その法律上の語義、言葉の意義、それからその範囲と、そういうものについてお示しを頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/20
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021・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) これは御承知のごとく、我が国の憲法上は国民の権利であり、又義務であるその義務教育費を国庫が、国が全部見るということがもう基本的な原則であるということは御承知の通りでございますが、そういう意味合からしまして、この無償ということを現わしておるものと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/21
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022・高橋道男
○高橋道男君 無償を現わしておることはよく了解できるのでありますが、そのどの程度までが義務教育無償の範囲に含まれるのか、具体的に或いは授業料は要らないとか、或いは教科書の代金は要らないとか、或いは被服費も要らないとか、学校用品もどの程度まで無償の範囲内に入るのか、これは只今立案されておるこの負担法案においては、その無償を憲法に定めておる無償に値する全部を含んでおるとは私は考えておりませんけれども、若し憲法の大原則に従つて行われる場合にはどの程度までが無償と考えていいのか、この法案とは少し線が違うかも知れませんが、そういう大原則があるならば、現在はともかくも、そういう大原則に向つて進むのが我々の態度でなければならんと思いますので、そういう大原則における御見解を伺いたいのであります。これは御提案者と同時に文部当局においてもお考えのところがあると思いまするから、併せてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/22
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023・田中義男
○政府委員(田中義男君) 義務教育の無償の原則につきましては、これは私ども非常に広く考えておるのでございまして、現実に法律にはただ授業料だけを規定してございますけれども、これに限るべき問題とは存じませんので、すでに先般教科書につきましても、その立場から一部無償で児童に配付するようなこともいたして参つたのでございますし、なおこの法案によりますと、教材費について一部国がその費用を持つということになつておりまして、その内容としては、或いは図書費、視聴覚教材とか、或いは理科教具等、或いはその他広く教材についての費用の一部をも国が持とうというようなことになつておりまして、義務教育に関する費用を親としてそのために特に負担をするような教育費用については、国がこれを持つというのがこの大原則だと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/23
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024・高橋道男
○高橋道男君 只今のお答えでございますと、やはりこの負担法案を考えの基礎においてお答えになつたように私は思うのであります。この法案には教材費などまでも含まれておる。この法案から離れての本当という言葉は妥当を欠くかも知れませんが、我々の、或いは国において理想とされておる国家負担の範囲、これは私はこの法案とは別だと思うのであります。現段階においてはこの程度しか或いはできないかも知れないが、もつと度合が進めばだんだんと拡張、拡大できるはずでありまするし、その拡張、拡大というような概念も離れて、義務教育の無償ということはどこまでが無償であるか、この法案と離れた立場でお考えを伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/24
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025・田中義男
○政府委員(田中義男君) 私どもは子供を学校に出して義務教育をさせるために要する教育費の一切と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/25
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026・高橋道男
○高橋道男君 そうしますと、生活費などまで含むような印象を受けるのですけれども、そういうことまでも含んで考えていいのかどうか。それもお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/26
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027・田中義男
○政府委員(田中義男君) 私は特にそういう意味で教育費と申したのでございますが、生活費までそれに含むかどうかについては、私只今はつきりここに申上げるだけの用意もございませんが、ただ御承知のように、学校における給食費につきましても、これは一部国で負担しておることは御承知の通りでございまして、私どもは成るべくこれを広く解釈して、その目標に進みたいと思つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/27
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028・高橋道男
○高橋道男君 まあ限界を与えることは非常に困難かと思いますが、仮にこの義務教育を受けるために児童が学校へ登校する、その時間が仮に朝八時から午後四時までとするのです。その間において学校での授業一切に要する費用、物品、被服というようなものを一切含むというような漠然とした考えを私は一応持ちたいのでありまするが、そういうようなお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/28
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029・田中義男
○政府委員(田中義男君) 私どもはでき得ますならば、さような点にまで、これを拡げて参りたいと思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/29
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030・高橋道男
○高橋道男君 まだ細かく伺うべき点がございますが、ほかのかたの時間もございましようから、次に移りますが、この第一条に「妥当な規模と内容」というような言葉がありますが、これは或いは逐条審議に譲るべきならば、そういたしますけれども、只今の全般的な問題と関連があると思いますので、この「妥当な規模と内容」ということの包含しておるところをお示し頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/30
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031・田中義男
○政府委員(田中義男君) 私どもがかねがね考えておりましたところはしばしば申上げておつたかと思うのでありますけれども、義務教育において地方の児童の数を元にいたしまして一応或る基準を設けてここに理論学級を出す。而してそれに伴う基準としての先生の数も算定をする。なお又児童のそれぞれの階級に応じまして設備、殊に施設等においても教室の坪数その他を一応理論的に考えまして、そうしてそれらの線を維持しようというのが私どもの考え方であつたのでございまして、それらは私どもの考えておるところが妥当なる規模であり、同時に又内容等についてはいろいろ学校教育その他において規定した内容もございますので、それらの規模及び内容、それらについての妥当な標準を守りたいというのがこの法案の狙いだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/31
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032・高橋道男
○高橋道男君 恐らくこれは財政面との関係もございましようから、それによつて今仰せられたような見解からいたしますれば、「妥当な規模と内容」ということが変つて来るだろうと思うのでありますが、只今仰せられた理論学級或いはこれに基準を置いたいろいろな条件とかいうようなものが、最初提案されて予備審査としてお廻し頂いた負担法案には細かなものが相当出ておつたのでありまするが、正式に衆議院から送付されたこの法案には、そういうものが一切除かれておりますので、その点まあこの法案だけを見た場合には、只今の仰せられたような「妥当な規模と内容」ということは非常にぼんやりとしてしまつておると思うのでありますが、最初の原案に示されておつたような理論学級なり、或いはその他の数字上の基準というようなものはもう一切反古にしてこの負担法案に変つて来たのか、或いは別の方法において、或いは原則を先ず考え、基準と申すか、そういうものは別の方法においてこれは遂行されて行くものであるか、そういう点につきまして伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/32
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033・田中義男
○政府委員(田中義男君) この点については私から御説明いたしますのは如何かと存ずるのでございますけれども、私の承知いたしておることだけを申上げますならば、いろいろ原案についての批判がございました。その重要なる点として義務教育費国庫負担法を実施いたしまする場合に、地方の自治侵害するということが特に強く叫ばれておりました。従つて原案を更に修正案のように変えられました点につきましては、その事柄が最も大きな原因をなしたと考えられるのでございまして、一応義務教育費については地方の実情に任せる、こういうふうになつたのが修正案の第二条の第二項だと思うのでございます。併し第一条に示されておりますように、その「妥当な規模と内容とを保障する」ということは、これは国の方針でもありますし、ここにはつきりと掲げまして、而して地方のそれぞれの適当な処置に譲ると、こういうことに相成つておると考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/33
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034・高橋道男
○高橋道男君 一切地方の自治に任せてというお考えは、お考えとしてはわかりますけれども、やはり何らかの基準がなければ、当然地方によつては財政の規模も違うのでありますから、まあ非常に大きいとは申せないにしても、相当いろいろな基準について差異ができると思うのでございまして、この差異ができるということは、やはり国全般の上から見た場合には大きな問題になつて来ると思うのであります。その点原案に示された数字によつての基準というものを全然示されるようなことがないとそういう差異を生ずる虞れが大きくなるということを懸念するのでありますから、全然こういう基準は示されないものであるかどうか、もう一度お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/34
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035・田中義男
○政府委員(田中義男君) この修正案によれば、全然全くそれでは各地方の自由になつた、何らの基準はなくなつたかというような御心配でございますが、併し御承知のように学校教育法等におきましても、一応の教師の数なり、或いは学級の定員その他についての大よその基準はそれぞれございますので、決してこの法律にその基準がないために全部野放しになるというようなものではございませんので、それらの規定によるものを基準にして、なお地方の実情において考えます場合に、そんな無茶なことはないと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/35
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036・高橋道男
○高橋道男君 今までこういう負担法がなかつたのでありますが、今度こういうものができますと、今おつしやつたような基準というものも一切御破算になると、御破算にしなければならんというような、これは別の考えもできないわけじやないと思います。そういう懸念がなければそれでいいと思うのでありまするが、今のお話でございますと、そういう別に設けられた内規的な基準というものは壊されずに保たれて行くというように解していいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/36
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037・田中義男
○政府委員(田中義男君) 只今申しましたそれらの規定と申しますのはこれは最低のそれぞれの必要に基いた法的な基準でございまして、私どもが実際に運営をいたして行く場合には、決してそれにおいて十分とは考えておりませんので、更にその線を元にしてもつと充実改革せられた状態を予想して、その下に運営について円滑に当つて行きたいと考えておるものであるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/37
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038・高橋道男
○高橋道男君 もう一点お伺いしますが、この法案が成立いたしますれば、従来この平衡交付金の形を以て流されておつた地方への教育費というものは、平衡交付金とは切離して別の体系で流されるというようにはつきりと考えてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/38
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039・田中義男
○政府委員(田中義男君) この法律が実施されますならば、二分の一の国庫負担については平衡交付金より離されますけれども、併し残りの部分については地方の基準財政需要額を元にして平衡交付金において考慮されるということは、先般のこの委員会においても地方財政委員会の事務局長がお答えしたと記憶いたしておりますので、そのように私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/39
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040・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は質問をする前に、本法律案を審議する際には天野文部大臣は必ず列席するように委員長から要求して頂きたいと思います。それから提案者側におきましても、私はおいでになつておる甲木議員で不足だというのでなくして、責任を持つて提案されたまあ最高責任者という格のかたが必ず御出席頂けるように願いたいと、こう言うのです。先ず甲木議員にお伺いいたしますが、衆議院で原案を修正議決されて、衆第四十号として印刷が文書箱に入つておりますが、これはミス・プリントはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/40
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041・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 只今の御質問に対しましては、私どもは手許にはございませんですが、別段ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/41
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042・矢嶋三義
○矢嶋三義君 我々の予備審査のときに廻されました原案は、自由党の衆議院の諸君で提案されておられるわけでございますが、今度の修正案も自由党だけで修正を発議された、こういうことになつておるのでございましようか、それとも衆議院は全会一致でこれを修正したことになつておるのでしようか、その点を一度伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/42
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043・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 自由党の修正提案になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/43
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044・矢嶋三義
○矢嶋三義君 従つて当初出された原案並びに我々に正式に回付されたところの修正案共に、衆議院の自由党の諸君が提案並びに修正されたということは明確になつたと思いますが、そこで私はお伺いしますが、私の文書箱に入つておる衆第四十号を見ますと「災害復旧の場合には国庫がその経費の二分の一を負担することにする等……昭和二十七年度においては、差し当り、地方財政平衡交付金により右の趣旨の実現を図るため、数職員給与費の算定基準について特例を定める必要がある。」、こういうことを印刷されて衆第四十号として文書箱に入つておるのでありますが、この修正案の中にはそういう内容が全然ないのでございますが、こういうでたらめの印刷物を文書箱に入れられたのでは困るのです。間違つているのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/44
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045・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 今初めて私見ましたのですが、成るほどこれを見ると間違つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/45
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046・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この甲木さんを責めてもいたし方ないのですけれども、少くとも法律案を提案して我々に審議を要請する場合には、印刷物を一つ目を通して間違いのないところで文書函に入れて頂きたいと思います。従つて修正案についての提案理由ですね、早速成文化して印刷にして廻して頂きたい、でないと法律案を審議するに当つては提案理由というものはこれは相当重要でございまして、これがでたらめを書いてあるのでは法律案の審議はできんと思いますので、至急にその点お取計らい願いたい、この点は委員長にもよろしく願います。今印刷のできる前一応この提案理由をお述べ願えれば、私はそれに基いて質問申上げたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/46
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047・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/47
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048・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記を始めて下さい。それでは発議者から修正の提案理由を説明して頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/48
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049・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 簡単に理由を申上げたいと思います。義務教育の重要性に鑑み、数職員給与費及び教材費については国がその一部を負担することとし、義務教育に要する財源を確保し、国の義務教育についての財政上の責任を明らかにする必要がある。これが即ちこの法律案を提出いたしました理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/49
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050・矢嶋三義
○矢嶋三義君 義務教育についての財政上の責任を国が持たなければならない、そういう立場でこの法律案が出されたという御発言でございますが、義務教育についての国が負うべき財政上の責任とは、どういう内容を指されておるのでございますか。並びにその定義をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/50
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051・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 教員の給与費並びに教材費を負担する意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/51
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052・矢嶋三義
○矢嶋三義君 具体的に政府委員の答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/52
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053・田中義男
○政府委員(田中義男君) 私どもは先ほど来申上げましたように、憲法の条章に基きまして、義務教育に要する教育費の全額を保障するのが、これが最も完全なる状態だと思うのでございますが、併し国家財政その他の事情から容易にその実現は期し得ないのでございまして、当面の能う範囲において、只今申述べられましたように、給与費についての一部並びに教材費の一部等は具体的な問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/53
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054・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あとからの私の質問に関連しますが、憲法に請われておるところの義務教育の無償、この定義ですね、それとそれからこの義務教育費の国としての財政的責任というようなものの考え方、そういう点が明確になつていないところに私はこの法律案があいまいなものになる一番大きな原因があると思いますが、そのうちに質問しているうちにわかつて来ますけれども、まあそれは一応ここで納めて、次をお伺いしますが、シヤウプ勧告から平衡交付金制度というものが我が国に布かれて参つたわけですが、この平衡交付金制度は今のままで、ああいう形で今後続けられて行くのがいいというお考えでいらつしやるのか、それともあの平衡交付金制度というものはこの際検討して改めなければならないという、こういう立場におられるのか、提案者が現在与党のかたがただけになつておりますので、私は特にその点を先ずお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/54
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055・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) この点については再検討をいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/55
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056・矢嶋三義
○矢嶋三義君 再検討というとどういう方向なんでございますか、概略を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/56
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057・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) この法案については、まあ各省の意見もいろいろあるのであります。それでこれについてはまあ皆さん方も不十分な点があると思いますが、義務教育費国庫負担法或いは児童福祉法、そういうものが、国家において全部賄うというようなのを今度大体まとめてありまするが、それは一つの今後の行き方の現われだと、私どもはかように存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/57
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058・矢嶋三義
○矢嶋三義君 確かに補助金制度は十三項目から……すでに補助金制度を持つておるものがありますが、今度厚生省所管の児童福祉関係のものが平衡交付金から切離されて補助金になつておるようでございますが、今度この法律案が通れば給与費の二分の一は平衡交付金から切離されて、補助金制度になつて行くということになるわけでございますが、従つてここで私承わりたいのは、原案が修正されて与党のかたがたで出されたのでございますが、これについては政府与党内においては完全に一致しておるのかどうか、まあ具体的に言つて、大蔵とか、或いは自治庁、文部省とかいうような政府与党内において、あなたが再検討されると言つた場合に、その再検討の方向とはかくのごとくであると一部今御解明になつたわけでございますが、そういう点について政府与党内において完全に一致しているかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/58
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059・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 完全に一致しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/59
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060・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は次にお伺いいたしたいのでございますが、義務教育無償という立場から、更に国の義務教育についての財政的責任を負担しなければならないという立場から考えたならば、平衡交付金から切離して、こんな生ぬるいものでなくて、もう少し全額に近い方向に打出さなければならんのじやないか。若しそれをやらなければ、今平衡交付金というような制度で行つておれば、やはり地方自治体の財政の総合的運営という立場から行くならば、こういう点には疑問が出て来るんじやないか。いずれか割切つたはつきりした方向をとらなきやならんのじやないかと、こう考えるのですが、提案者並びに政府委員の答弁を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/60
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061・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 仰せの通りでございます。理想としては私どももさように思つておるのでございますが、何せ国の財政が伴うものでございまして現在の場合この法律によるほかないのでありまして、この際この教育財政確立への第一歩を築いたものと、私どもはさように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/61
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062・田中義男
○政府委員(田中義男君) 仰せのように、少くとも平衡交付金の中から義務教育費の国庫負担を考えて切離しますことのほうが、教育費の国としての確保、保障に一歩前進するものだと考えておるのでございますが、併し直ちに全額を国庫負担すべきである、そのほうがもつと確実に保障するゆえんであるというふうにいたすべきかどうかにつきましては、多少これには理論のあるところでございまして、一応義務教育は国民教育であると同時に又地方民の教育でもございますので、現在においてはやはり地方との関連も誠に密接であり、一部従つて地方事務であり、又地方においても最も重要な事務でもございますので、現在のように半額国庫負担で行くというのが差当り諸般の事情からいたしましても適当であろうと文部省としては考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に私の質問するのは、少し込み入つておるかも知れませんけれども、よくお聞き願つて御答弁して頂きたいと思います。私は民意を教育に反映させるために全額よりも半額がいいというような点は私は論じません。民意を反映させる方法としては、それは全額でもその方法は私は別途考えられると思う。従つてここでは質疑応答いたしません。私お伺いいたしますが、義務教育は無償という立場から国民に負担をかけないで国の責任でやつて行くという、こういう考え方から、基本的な考え方をがつちり立てて、そうして我が国の経済の実力、それから適当に打出して行くのと、その立場をとつている場合と、今の政府与党のように義務教育無償という考え方をぼやかしてしまつて、やはりシヤウプの勧告による地方自治の確立、これは勿論大事なことでありますが、そういう立場から地方財政を総合的に運営して行くという立場の枠内において、義務教育無償というものをぼやかして考えて行く場合とでは私は行き方が非常に違つて来ると思う。現在の政府与党は後者をとつておるのです。そこで私の質問になつて来るわけなんですが、確かにあなたがつたが何と言おうが、現在シヤウプの平衡交付金制度を再検討すると、何と言おうと、ともかくも地方財政の総合的な運営というそういう枠の中で今政治をやられていることは間違いないわけなんです。そのときにこういう法律案を、原案はなおそうでありますが、こういう法律案を出すということは、やはりそれにちよつとひびが入ります。それと中央集権的になるということは、やや中央集権的になるということは否定できないと思う。にもかかわらず、こういう基本的な方向に私が賛成しているのは、私は飽くまでも義務教育は無償でなくちやならん。国民に負担をかけず、国家の責任でやらなければならんという立場から賛成しているのだ。併しあなたがたはさつき言つたような立場からやられて、ややその立場から言えば若干中央集権的な虞れなきにしもあらずというところなんです。そういうこれは内容です。ところが私が伺いたいのは、極く最近与党のかたがたはこういうことを言われております。現在都道府県の教育委員会は、厖大な地域に亙る都道府県で教育委員会一つで教育行政をやつて行く。これではその教育の民主化と分権が十分できんから、町村までも教育委員会を設けなければ手が行き届かない、こういう理由の下に町村に教育委員会を設けて、而もそれはここで地方財政法とか、或いは地方税法の改正と相待つて云々と謳つていますが、そういう点には何ら地方税法の改正とか、そういうものには手を触れることなく、そういうことをやられておる。それを比較しますと、与党並びに自由党の考えられているところの基本的なものはどこにあるかというと、ちよつとわからんわけですが、この法律案を出されたのは自由党のかたがただけだから、あえてここで伺うのですが、非常にそこに統一された考え方がないと思うのですが、一体那辺にあなたがたの意図というものがあられるのか、その点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/63
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064・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) お尋ねにお答えしますが、財源につきましては、どうしても中央でなければできないと思います。併しなりがら教育は、民主教育はすべて地方によつて基礎が打ち立てられなければならないと、かように私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 どこまでも教育を、地方に即応した教育を確立するといつても、これは財政と関連性のない教育行政なんというものは私は全然考えられないと思うのです。そこに私は基本的に考えが非常にズレているところがあると思うのですね。飽くまでも町村までも教育委員会を設けて、そうして民意に副うところの民主教育を確立するというのならば、こういうような法律案を出すよりもですよ、地方税法というものをちやんと改正をして、そうして地方にも或る程度財政力が持てるようにしてそうしてシャウプさんが言われた通りの地方財政の総合的な運営という立場からやられるのは私は筋が通つていると思う。そういう点が一方はここで、一方はここだ、全く支離滅裂となつているところに恐らく国民がどつちに行つたらいいかわからない。この点についてはもう一回答弁して頂いて次の質問に移りたいと思います。これについては政府委員も答弁して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/65
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066・田中義男
○政府委員(田中義男君) 私どもは憲法の条章はすべてに優先するものと考えまして、国がその無償の原則を保障することは、これはどうしてもなすべきことだと思つておるのでございまするが、併し他面それと伴なつて地方の自治ということもこれ又尊重すべきことでございますので、それらのことを合せ考えました場合に、私どもは只今提案をされ、又従来私どもが考えておりますような国庫負担制度というものが適当だと考えておるのでございましてただ現実に教育委員会の設置基準その他についての御意見でございまするが、これについては文部省としてはなお更に時を籍して研究をいたしたい。そうして結論を得たいと考えておるようなことでございまして、私どもとしては、只今その点についての意見は差控えるほうが適当だと思います。
〔委員長退席、理事白波米瀬吉君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/66
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067・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 財源の保障は中央で措置しなければなりませんが、実際は中央の集権化の傾向を迫るのでありますので、教育行政の実際においては教育の実情に即して行う意味合いからしまして、町村の教育委員会を設け、この両者を噛み合わして立派な教育をやつて行くという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/67
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068・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この問題、ここで打切りたいと思つたのですが、聞くに堪えないからもう一遍お伺いいたしますがね、政府委員は義務教育無償といつても全額は適当でないと考える、こういうことを答弁されている。そういう線から出て来たのが与党から出されたこの法案でしよう。この程度の財政的な裏付で町村に教育委員会を設けて、そこで何ものも不当な力に服することなく、全く町村民の自治で町村民の意向に基く自主的教育が中央の影響も受けずに行われる、そういうような全く星を箒で掃落すようなことを考えておりますが、今の平衡交付金さえこの地方分権、地方自治の確立と言いながら、都道府県知事がどんな行動をとつているか御存じでしよう。市町村長あたりも一体どの程度あの人事院ビルの玄関を上つたり下りたりしているかということは御存じでしよう。それは言葉の先で言われることは如何にも御尤のようですけれども、この実態を少し考えたら全く絵に描いた餅以上のようなことをちよつとここで言われるのはおかしいと思いますが、まあ一応それはここで切つて、次に移りたいと思います。
お伺いいたしますが、この修正案については政府与党が完全に意見が一致しているという答弁を頂いたわけですがそうだとすれば、地方税法の改正についても相当の見通し、計画というものも政府与党としては持つておられるでありましようし、どういうわけで、この法律案の中にすべては政令で定む、而も施行期日まで政令で定むというような、こういう修正案をこしらえたのでございますか。少くとも与党自由党の皆さん方で提出された原案には、相当具体的なものが出ておるわけです。だから慎重に検討された腹案というものがないわけでもないと思う。私は恐らく政府部内において意見が対立したので、こういう形になつたのだろうというふうに推測して、その調整を今後如何にするかということを考えておりましたところ、先ほど政府与党では完全に意見が一致しているというふうなことになつて、誠に意外の感なきを得ないのですが、どういうお考えなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/68
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069・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 地方制度調査会というものが大体できる見込でございまするが、私どもといたしましても、この本案に対しましては全部賛成ということはいたしかねたのでございましたので、修正案を実は御承知のように出しておるわけでございます。附帯決議をいたしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/69
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070・矢嶋三義
○矢嶋三義君 附帯決議を政府与党の間で満場一致でできる程度くらいなら、まあ施行期日まで政令で定めるという、こういう修正案を作らなくてもできたのではないかと思いますが、これはそこらあたり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/70
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071・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 昭和二十八年四月一日を目標としてこの地方税制の改正を見込んで実は政令として出したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/71
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072・矢嶋三義
○矢嶋三義君 どうも私納得のできるような御答弁を頂けないのでございますが、余り長くなるといけませんので、次をお伺いいたしたいと思いますが、今度は政府委員にお伺いいたします。第一点で伺いたい点は、この修正案は通つたほうがいいと考えられているのか、このままでは通らんほうがいいと考えられているのか、若し通つたほうがいいと考えられているならば、一体どういう角度から通つたほうがいいと考えられているのかその点を政府委員のほうから伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/72
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073・田中義男
○政府委員(田中義男君) 私どもはこの修正案でも通ることを望み、なお期待いたしておるのでございますが、御承知のように、ともかく平衡交付金の中において操作されるということにおいて誠に教育費の確保の上に実に困り切つておるのでございまして、而もこれを別に切離すという点について、各庁間において誠に意見の対立があつて非常に困難である実情であることは御想像頂いておるのでございます。従いまして私どもは参誠に不十分でありますけれども、この際ともかく多少の不自由は忍んでも、ともかくここに将来への確保の第一歩をこの平衡交付金から切離して国庫負担法を成立させる、こういうことが誠に望ましいことであり、現在としてはこれが我々としても努力の最高のものであるというふうなことをいろいろ考え併せまして、この案のともかく成立することを私どもとしては望んでおるわけなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/73
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074・内藤誉三郎
○説明員(内藤誉三郎君) 只今この平衡交付金で単位費用を見る場合に、大蔵省が一応査定します基準は、御承知の通り一・五、一・八と、こういうような計算でありますが、今度地方財政委員会で出された平衡交付金法を見ますと、単位費用が法定されておるのですが、法定された根拠が非常に私どもとしては不満なのでありまして、この場合に、共済組合と恩給費をぶち込んで八百五十億程度しか考慮されていない。而もそれが法律で単位費用がきめられておる共済組合、恩給を引きますと、せいぜい七百七、八十億、実績は九百億に近いのであります。ですから来年度若し予算編成が行われる場合には、今平衡交付金のままで行くと義務教育費は七百七、八十億に圧縮されるという危険を孕んでおるのであります。こういうような事務的な問題といたしましても非常に困りますので、今回提案されております法律によりますと、実績の半分を負担するという原則になつておりますので、地方の教育費を圧迫しないで済むだろうということを期待しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/74
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075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは提案者にお伺いいたしたいのですが、提案者は与党でございますから、お伺いいたすのでございますが先ほどこの修正案について政府与党で完全に意見が一致しておると言われておる。この修正案の骨子は平衡交付金から義務教育費を二分の一だけ切離すというところに骨子がある。それ以外には何もないのですが、完全に一致しておると申されれば、義務教育費を平衡交付金の中の二分の一切離すということに意見が一致しておるならばそう言われるのですから実施期日のわからないものを通しておくより、そういう立場で政府、与党が意見が一致しておるならば、それを足がかりにして、次の国会くらいに通したらいいと、今考えざるを得なくなつておるのですが、如何なものでしようか、そうお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/75
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076・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) これは教育史上画期的な意義を持つものであると私ども考えておるのでございましてそういう意味には考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/76
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077・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちよつとね、私の尋ねることと違う返事ですが、裏返してお伺いいたしましよう。義務教育費の二分の一を平衡交付金から切離す、而も平衡交付金については再検討するというお考えでおるけれども今やつておかんと、この次くらいになつたら変つて来て、今二分の一切離すということができんようになるかも知れんから、いま一応のまとまつたところで、法律として政府与党の中でも平衡交付金から切離さんという事態が起つて来るかも知れないという、こういうふうなお気持でおられるのか、義務教育費の二分の一は平衡交付金から、義務教育の無償という立場から、そういう基本的な理念から、いつでも政府与党の中では完全に意見が一致して切離せるのだという立場から出されておるのか、その点を明確に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/77
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078・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 先ほども申上げるように、これは画期的な意義を持つのでございますので、私どもとしましては、きめただけ順序を追つてやつて行きたい、かように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/78
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079・矢嶋三義
○矢嶋三義君 どうもね、私にぴんと来ないのですがね、これは義務教育費の二分の一を、平衡交付金から切離すという考え方がきまつたので、具体的の内容は何もないし、いつ実施するかわからない法律案なんですから、その基本的な考え方が政府与党の間でも変らなければ、何も実のない法律を今通さんでも、次の国会で通したらいいこう思つておる。社会党内閣ができても、或いは改進党内閣ができても、義務教育費国庫負担法、それを上廻つた線で作りたいということに意見が一致しておるから、他の政党について心配をしたことはない。総選挙で若しも自由党が勝つた場合には心配になるので、二分の一は絶対に切離すのは、満場一致で政府与党で一致しておるというようならば、もう少し実を付けてから通せばいい。それが危いから基本的な考え方だけは今度の国会で通しておいてもらいたいというならば考え直さなければならん点になると思うのですがこの点伺つておるわけであります、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/79
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080・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) これについては先ほど申上げましたが、各省の意見がやはり出ておりましたのです。併し二分の一ということがはつきりきまつたものでございますから、それでこの法案をこしらえて施行するということになつたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/80
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081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 やはり私は伺いたい点が出て来ないのですが、将来心配ありませんか。あなたがたが提案者であり、而も与党でしよう、いろいろ折衝されておると思うのですよ。その考え方が将来心配があるかないかということによつて法律案審議の基本的な態度を、こちらは腹をきめなければならんわけなので、その点についてあなたとして責任ある答弁を説明頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/81
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082・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 折角この法案が提出されまして、この機会を失すれば、又いつ通るか実際いうとわからないのです。でございまして、先ほどむ申上げました通り、随分この法律についてはいろいろ我々委員会でも揉みました。で、漸くここまでまとめて参りましたので、
〔理事白波瀬米吉君退席、委員長着席〕
心配は私どもはないと確信いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/82
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083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 甲木さんが提案者を代表して自主性を持つてお一人でお答え願えると……、私ははつきりした御答弁が頂けると思つたのですが、二十の扉みたいに蔭の声があつて、後から政府委象いろいろ言うものですから、私はどれを答弁として考えたらいいのかわからないのですが、あと次に二、三点伺つて、次のかたに代ります。次に伺いたい点は、政府委員のかたにお伺いしますが、さつき内藤課長は平衡交付金法の改正になつた場合のことを非常に心配されて御説明頂いたのでございますが、そうなると、七百七、八十億あたり来年予算措置が抑えられるかも知れない、実績は九百億程度である。非常に懸念される、こういうようなことを述べられたわけでありますが、今後のこの法律案、修正案が通つた場合と比較した場合に、この修正案が通つた場合一番心配されることは、やはり第二条の第二項に謳われる最高限度を政令できめる、そこで抑えるというところにあると思うのですが、それがいい線で抑えられないで、予想外の線で抑えられれば、結局この平衡交付金法を改正することによつて、抑えられた結果と同じような結果になるのじやないかと思いますが、それらについての見通しはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/83
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084・内藤誉三郎
○説明員(内藤誉三郎君) 先ほど私御説明申上げた点で問題を起しましたから……。今の従来の実績がございまして、これは御承知の通り一・五、一・八ということになつておりますので、大蔵省といたしましては、その実績を余り下廻るような算定は恐らくしないだろうと期待しておるのでありますが、一応この法律案の建前は実績の半額国庫負担ですから、実績の半額国庫負担で予算要求をしてみたいと思つております。更にもう一つ考えられます場合は、この最高限度をきめることができるとなつておりますので、実績で支障がなければ実績でもいいわけです。昔の負担法の場合には一応実績で行つたのですが、非常に昭和二十二、三年頃に知事の公選と相待つて教員の待遇が著しく改正されたのですが、その場合に国庫負担に耐えなかつたというので例の定員定額になつたわけです。ですから実績で二分の一が財政上支障がない限りにおいては、第一項の原則で行くべきである。非常に負担が問題になる場合に、この限度をきめることができるとなつておりますので、限度を政令できめる、その政令できめる場合には附帯決議にもございますように、原案の趣旨を尊重して各府県の実績を下廻らないような限度をきめるように私どもは努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/84
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085・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それではやはり文部の政府委員にお伺いするのでございますが、二十五年の一月に定員定額を布かれたわけですが、その当時私は熊本県教職員組合の委員長をやつておつたわけでございますが、「わら」をもつかむような気持で文部省の階段を上り下りしたことを私は思い出すのでありますが、あの定員定額と相違する点、どこの点が相違する、どの点が進歩であり、どの点が退歩であるか、その点を承わりたいと思う。今の制度で行けば、これは都道府県の教育委員会は県議会とか、知事に喉元を抑え付けられておるのですが、この修正案が通つた場合にまかり違うというと、文部省の、将来も内藤さんずつと課長をやられておるかどうかわからんですが、文部省の庶務課長に今度は喉元を締められるような格好になるのじやないかと思う。だから苦しむ者の立場においては、教育委員会は同じことになるのじやないか。東京まで旅費を使つて来る点、都道府県教育委員会としては余計なことになつて来るのではないか、こんな感じがちよつとするのですが、定員定額の当時と進歩したか、退歩したかという点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/85
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086・内藤誉三郎
○説明員(内藤誉三郎君) 定員定額というのは、国庫負担の限度が出る以上は定員定額になると思います。そういう意味で従来昭和十五年に制定された国庫負担法は都道府県の実績の二分の一を見ておつたので、これは定率負担でございますので、定員定額の問題は起きなかつたのでございます。ところが昭和二十四年の一月から国庫負担に耐えないから国庫負担の限界をきめようということで政令できめたわけであります。併しそのきめた当時は、その一・五と一・八に引上げたわけです。当時小学校は一・三五くらいだつたと私記憶しておりますが、それを一・五まで引上げて、この大体原案の趣旨に近いところへ持つて行つたわけであります。ですから府県の実績を遙かに上廻つておつたら問題はなかつたのですが、それが問題が起きたのはドツジ予算で約一割の教育費の削減を受けた。その枠が削減されたために非常な混乱を巻き起したのであります。そこでこの原案にもありますような算定基準も、これも見方によれば一種の定員定額なんです。定員定額が非難されますのは、府県の実績を下廻る場合に、遙かに下廻る場合に問題が起るのであつて、府県の実績に大体同じか、若干は上廻つている場合には問題は起きなかろうと思います。それからただ従来の実績負担の場合の欠陥と申しますのは、裕福な府県は幾らでも……、二分の一で結構なんですが、貧弱な府県は二分の一の負担に耐えないものですから、そこで貧弱なところがいつまでも低いところに固着するという欠陥があつたのであります。今回の場合には限度を定むることができるということになつておりまして、定員定額でやるという考えではございませんで、一つの平均的な単価で、それから地方の実情に即するような人員を考えて、その上でいたしますから、今度の場合には各府県の実績を押えて、そこで定員定額を布くということは予想されないのであります。ですから低い県を標準のところまで上げ得るという効果はあるわけであります。非常に高い場合には、国の負担としては附き合かねるという状態が出て来ると思いますが、それは一面教育の機会均等という点を考えたならば、余りに片寄るよりは、大体全国平均というものをきめたほうがいい場合もあると思う。ただこのきめる場合に、枠が小さいと非常に困るのでございますので、私どもとしては、決議案の趣旨にも副つて、原案の枠ならば大体各府県の実績を下廻ることがないと信じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一つ伺つて質問を一応切りますが、それは第二条第二項の最高限度は政令で定めることができるという場合に、できる、だから嫌だ、作らんと言えば、それで押し切つて行けるものかどうか、その点と、それからそれと関連しますが、地方の実情に即した、民意に即した教育行政をやるというのならば、更に又義務教育なるが故に国の責任において一定水準まで保たなければならんという立場からならば、我が国の義務教育としてはこれだけの水準を是非とも保持しなければならない。従つて最低教育はこれだけおらなければならない、又給与というものは最低この程度はなくちやならないという一定水準をきめて、これから上は幾らやつても、それはその地方公共団体の民意によつて自由にやれるというような形がやはり民意を生かすとか、民主政治という立場から私は適当じやないか。そうしないでこれから上へは絶対行つちやならんぞというように最高をきめるということはちよつとおかしいと思うのですが、而もその最高をきめるならば遥かにずつと天文学的数字見たいなものを認めるならいいと思いますけれども、それを非常に降し、これより上は行けないぞときめるということは、ちよつと私はおかしいと思うのですが、その点とさつき申上げました「ことができる。」、これはどこまでも文部省の力で拒否して行けるものかどうか。それだけお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/87
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088・内藤誉三郎
○説明員(内藤誉三郎君) これは大蔵省との交渉の問題ですが、一応原則は飽くまでも実績の二分の一の負担でありますから、実績の二分の一で行くべきである、これは私は法の精神である。で、この「できる。」というのは、飽くまでもこれは但書なんでございますので、そういう必要が生じた場合にそういうことをするという予防措置が講じられておると、かように立法の趣旨は考えるのであります。そういう意味で予算折衝の場合に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部省の考えだけじやないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/89
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090・内藤誉三郎
○説明員(内藤誉三郎君) これは恐らくは条文はたしか二項は但書の意味であるということを法制局でもお認めになつておると思うのです。ですから飽くまでも第一項で行くべきである。必要がある場合に第二項が働く規定なんでございまして、そうでなければこれは矛盾するのでございます。そこでこの場合に結局予算交渉の場合には、不満であれば政令を作らないということは、これは法的には差支えない。そこで恐らくこれは政治的な折衝になりまして、それじやどこまで政令を作る、作らないと揉んだ結果、どこまでならば政令を作るかという議論の問題になると思います。ですから法的には第一項で行くのが正しい。必要がある場合に第二項の規定を働かせる、そういう予防措置も国家財政上必要であるとも考えられます。それから第二の点は最高の限度でございますが、これはその法文にもはつきり書かれておりますように、国庫負担金の限度でございまして、地方の負担額の限度をきめているんではない。ですから地方が当然にこの負担を超えることは当然あり得ることだし、又そうして頂きたいと思う。国の負担する限界はここまでだと、それによつて少くとも最低教育費は保障される、それを超えることは望ましいことであり、又そうして頂きたいと思います。財力に余裕のある限りは向上さして頂きたい。ですから飽くまでもこれは地方の財政の頭を打つわけではなくて、国庫負担金の負担の限度をきめるだけでございます。地方の教育を振興させることには、努めて最高限度に行くように教育委員等にもお話をしたい、又教育委員会としてもそれ以上に殖して頂く、知事側としても国の負担以上にできるだけお骨折り頂けることと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一つ関連して……。「定めることができる。」というのは、そういうふうにあなたは御説明になつたんですが、そうすると、第三条の第二項に「政令で定める。」、附則第一項に「政令で定める。」とあるが、これは例えば大蔵省と文部省とが一致していない場合に定めようといつても、向うがまあまあ待てと言われた場合に、相手から拒否権を発動されたらいつまでも定められないんじやないですか。その定める時期はどういうふうに持つて行くのですか、定める時期はいつ頃というお見通しを立てておるんですか、はつきりしているんですか。自分の都合の悪い「定める」は拒否して行こう、こちらが定めなければならんものは、向うが「定める」を拒否権を発動して行けば……こんなことでやつて行くといつまでも絵に描いた餅に終りはせんかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/91
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092・内藤誉三郎
○説明員(内藤誉三郎君) この第三条の「政令で定める」というのは、これは政令を規定しない限りはこの法律は動かない、併し第二条のほうは「政令で定めることができる。」なんです。ですからこれはきめなくても法律は動く。ですから施行の期日の点は、これはお話のように政令で定めなければ動きませんので、これは衆議院を通りました附帯決議の線で昭和二十八年四月一日から施行できるように私どもは努力いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/92
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093・荒木正三郎
○荒木正三郎君 いろいろお尋ねしたいこともあるのですが、今日はこの附帯決議の問題について少しお尋ねを申上げておきたいと思うのですが、私どもの手許に廻つておりますものによりますと、衆議院の文部委員会では附帯決議を附してこの法案に賛成をするというふうになつておるわけであります。而もその附帯決議の内容は非常に重要な内容を含んでおると思いますので、提案者の御意向をお伺いしておきたいと、かように思うのです。
先ず第三項の「本法案の施行期日は政令で定めることになつているが、これを昭和二十八年度から実施すること。」、こういうふうに、文部委員会としては昭和二十八年度から実施すべきである、こういうお考えのようであります。ところが法案は、「この法律の施行期日は政令で定める。」こういうふうになつておるのでございますが、この点については政府と何らかお話合があつて結論が出ておるのか全然政府との話合はないのか、そういう点を先ず伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/93
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094・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 本法の施行期日につきましては、まだ政府とははつきり打合はしてありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/94
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095・荒木正三郎
○荒木正三郎君 そうすると、提案者では、この法案がまあいつから実施されるものかちよつと見当が付かないのだ、こういうことになるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/95
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096・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 中央といたしましては、二十八年の四月一日から施行するという目標を立てておりますが、先ほど御答弁申上げましたごとく、これにつきましては地方税制の改革というものが見込まれておるので、かようにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/96
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097・荒木正三郎
○荒木正三郎君 提案者は自由党でもあり、与党でもありますので、こういう附帯決議をされる場合には大体の見通しというものが付くのではないかと思うのです。又政府との話合も簡単にできる点もあろうというように考えるのですが、全然話合をしておらないということであれば、この附帯決議というものが政府のほうではどれくらい重視しておるかという点については全然わからないわけでありますが、かように了解して差支えないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/97
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098・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 先ほども申上げるように、二十八年の四月一日からやろうということだけは政府側としても大体は了承しておるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/98
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099・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今の御発言は私は重要であろうと思いますが、そういたしますと、政府としては大体二十八年度の四月一日からやる、そういう考えを大体持つておる、こういうふうに了承しても差支えないわけですか、提案者からそういう言明を与えられたということは非常に重要なことであると思つております。これについての意見は差控えて置きますが、次の第二項でございますが、「老朽危険校舎の起債については、速かに地方財政法第五条を改正して原案の趣旨の実現を図ること。」これは原案にはやはり起債を許して老朽校舎の再建を図つて行くというふうになつておつたのでございます。ところが修正案ではその点が削除になつておる、併しこの附帯決議には地方財政法を改正してやつて行きたいのだ、こういう趣旨でございますが、これについては政府側から、この改正をする意思を、そういう提案をする意思があるということを確められておるのか、或いは議員立法でこれをやりたいというふうにお考えになつておるのか、その点を伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/99
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100・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) この二項の場合にはまだ政府のほうには具体的な考えは持つておりません。併し議員立法といたしましては、委員会といたしましては是非ともこの地方財政法の第五条を改正して義務教育の校舎の充実を図りたいと、かように思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/100
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101・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この老朽危険校舎の復旧ということは参議院の文部委員会でもかなり論議せられた問題でございまして、一刻も早くこの問題について善処する必要があるという考えは、恐らく皆さん同じ考えであろうと思いますが、若し議員立法で地方財政法第五条を改正してやつて行きたい、こういうお考えがあるならば、あえて本法から私は削除する必要がなかつたのじやないかというふうに考えるわけです。折角原案にはこういうものを起債によつて復旧を図つて行くということがあつたのですが、それを削除して、又別の法律を改正してやつて行く、こういう御意向のようですが、それならば別に原案を削除する必要はない、活かして置いたほうがよかつたのじやないかというふうに私は考えますが、そういう点の考え方はどういうふうにせられておるのですか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/101
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102・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 先ほど矢嶋委員にも御答弁いたしましたが、本問題については我々衆議院の委員会でも非常に揉みに揉んだのでございます。併し事財政に関することは一応政府との了解を求めなければならんのでございまするが、政府側とはこの点はまだ十分と懇談ができなかつたのでございます。そういう意味合いにおきまして、まだ本当の具体的なものは立案ができていないのでございます。それで私どもといたしましては、万一これが実現しなかつた場合には改めて本案の立案をいたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/102
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103・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それは若干私は了解しにくい点があるのですが、要するに本法案において、老朽校舎の復旧については削除した、その理由は財源等について政府の了解が得られなかつた、こういうことであります。そうすれば先ほどお話になつたように、地方財政法第五条を改正してできるだけ実現を図つて行きたい、そういうことも政府の了解が得られないのじやないかと思いますが、本法において得られないものを他の法律において政府の了解が得られるというふうにお考えになつておられるのでしようか、その点は如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/103
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104・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 今すぐというわけではございませんが、将来私どもが本法案を立てましたその理想に向つて十分努力して行きたいと、かように思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/104
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105・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それから附帯決議にはこの問題はないのですが、原案には戦災とか、或いはその他の災害、そういうものに対する復旧のことがあつたわけですが、今度はそれが削除されておるわけですが、施設の災害復旧の問題でございますが、これについては提案者はどういうお考えを持つておられるか、お聞きして置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/105
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106・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 私もこの戦災、或いは災害の実態を調査をいたしたのでございまするが、お尋ねのようにこの点につきましては一日も早く復興をしなければならんと、かように存じております。でございますからこれに対する対策といたしましては別な方法を考えて処置いたしたいと、かように思つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/106
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107・荒木正三郎
○荒木正三郎君 別な方法によつて処置したいという、その別な方法というのはどういう方法でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/107
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108・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 地方財政法第五条に戦災並びに災害については国が二分の一を負担するということがきまつておるわけであります。でございますが、何せ予算が伴うものでございますので、この予算を獲得するということが先決問題でございます。そういう意味合におきまして今後努力して行きたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/108
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109・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今のお話ですと、或いは戦災、或いは震災とか、風水害、そういうものによつて校舎が破損を受けて、損壊を受けたという場合に、地方財政法第五条によつて二分の一を負担する、こういうふうに決定になつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/109
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110・内藤誉三郎
○説明員(内藤誉三郎君) この点ちよつと事務的な問題でございますので私からお答えいたしたいと思います。地方財政法の中には、戦災及び災害につきましては国は全部又は一部を負担するということがはつきり規定されておるのであります。ただその負担区分につきましては昭和二十八年三月三十一日までに法律又は政令で定めなければならない、かような規定がございますので、この法案から外れた場合には他の法律又は政令を以てこの負担区分をきめなければならないですからこれは昭和二十八年の三月三十一日までには何らかの措置をしなければならない。大体義務教育については現在負担率がきめてございませんが、その地方財政法の趣旨を汲みましてほぼ半額程度の予算措置をしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/110
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111・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この災害復旧の問題についてはまあたびたび風水害も起つておりますし、又先年、去年、今年でしたか、北海道に大地震があつて、それの復旧は渉々しく行つていないわけです。それから学校施設に対する国庫補助も極めて他に比べて少額です。そういう点から非常に復旧が遅れておるのが現状でないかと思うのですが、それが法律に明確にきまつていないために、こういう事態が私は起つておると思う、ですからこういう点につきましてもやはり相当考えて行かなければならないと私は思うのですが、こういう点も原案からは削除されて、修正案には全然ない、こういうことでありますが、只今お話を伺いますと別な法律でこれをはつきりして行きたいのだと、こういうお考えのようでございますので、この点は一つ実現のために努力を願いたいと思います。私は非常に簡単でございましたが、今日は附帯決議に関係した問題で一応質問を打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/111
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112・高田なほ子
○高田なほ子君 ちよつとお伺いいたしますが、先輩の甲木議員に特に私として腑に落ちない点が矢嶋委員の質問を通して多々ございまするので、この点を明確に知らして頂きたいと思うのであります。お断りしておきますが、私は議員の生活が非常に浅いので、議員の提出法案の性格というものについて非常に疑義を持つている一人なんです。そういう疑義の上にこの修正案が出されましたので、矢嶋委員の質問を通していよいよ疑義を深めおるわけです、こういう点を御理解下さいまして、特に私の納得の行くような御答弁を頂戴したいと思うのですが、先頃自由党議員さん十六名のお名前で出されました原案と本修正案を比べてみますと、誠に非常な隔りがあるようであります。勿論議員提出の法案は与党内の統一的な理論の上に立たなければならないということはこれは当然だと思うのでありますが、前に出されましたのと今度の出された修正案と非常に違うということは、与党内の統一理論が破綻した結果ではないか、こういうふうに思うのですが、その破綻した点の、最も与党として不用意な点がどこかあつたからこういうことになつたのではないか、つまり与党としておつしやりにくいことだとは思いますけれども、今後の討議の参考として最も不用意であつた点、修正案を出さなければならないに至つたという最も重要な点を挙げて頂きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/112
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113・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) お答えいたします。議員立法といたしましては、財政面につきましては一応責任はないのでありまして、そういう意味からして立案はいたしましたが、後に至りまして政府側の予算、財政面から見まして本法の原案を施行するということは不可能になつて来たのでございまして、それで大体修正案が出ましたのですが、先ほど申上げた通り、理想としましては原案を私どもは主張いたしましたが、何せ今の国の財政上からみますると、本法の原案施行ということは不可能になつて来たということを御了承願つておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/113
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114・高田なほ子
○高田なほ子君 議員立法は財政面については直接責任がないというお話であるとするならば、財政的な負担を最も多くかけられるような附帯決議がされたということ、これは議員がたによつて附帯決議をされたのであつて、ただやたら無性に附帯決議がされるとは私には考えられないのであります。即ち財政面の措置についても附帯決議をされるに当り、この法律が成立するまでについては内々与党であられる皆さんがたが十分に私は御折衝されておるものと思うのでありますが、その議員立法は財政方面について責任がないということはどうも私わかりません。そうだとすると、こんな附帯決議なんというものは、修正案をお出しになつてこういう附帯決議を出すなんということは非常に国民を愚弄している結果になるように思うのです。その点について御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/114
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115・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 先ほど申上げました財政的責任がないという意味は、まあ結論として終局的な一つの決定権を持たないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/115
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116・高田なほ子
○高田なほ子君 勿論終局的な決定権はこれは大蔵大臣にあるのだろうと思います。結局与党内の理論の不統一からかかる若林議員も言われるごとくに、卵の白味と黄味を抜いた穀のようなものだというような非常に御不満の御意見をお持ちになつておるのでありますけれども、全く私は長い間御苦心になられた若林さんのお言葉としてむりからぬことだと思う。事そこに至つた大きな原因はこれは地財委、大蔵並びに政府、この三者の三巴のいわゆる意見の相違の中からこういう悲劇が生まれて来たと思うのですが、地財委、政府、大蔵の中で最もこういう修正案を出させるに至つた、品の悪い表現ですが、元兇、その元兇は一体どこだというようにあなたはお考えになつていらつしやるんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/116
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117・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 党内の不統一とよく聞きまするが、私どもはそうは感じておりません。物事というものは古い殻から抜け出るというのには何事でも私は陣痛があると思うのです。こうした画期的な一つの道を迫るについては、必ずこれは党内であろうと、或いはまあ大きい意味から言いますれば国内的にも、或いは一つの摩擦が出て来て初めてそこに新なるもののいい意味が生まれて来ると思うのでございます。そういう意味合いからして私どもの党内といたしましては、先ほど申上げたように、もつと理想的なものを作り上げたいとは思つておりましたが、どうしても今の日本の財政上から見ますると困難があるので、まあ止むを得なずこういう程度で提出いたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/117
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118・高田なほ子
○高田なほ子君 誠におつしやりようは御尤もでありますし、私も御了解申上げないというわけではありませんが、成るほど画期的な一つの法律ではございましよう。併し画期的だ画期的だと申しましても、この第一条に示されたように、妥当な規模と内容とを保障することによつて初めて画期的な法律である……。内藤さんあんまりそこで扉をやらないで下さい。まだ私が申上げないうちから……、(「内藤君の意見は又あとで聞きますから」と呼ぶ者あり)妥当な規模と内容とを保障するために、原案と申しましようか、原案の第三条は、これはその心臓部ともいうべきものであつたと私は思うのです。尤もまあ私たちの考え方から言わせれば非常に不満はあるにしても妥当な規模と内容とを保障するための原案の第三条ですか、ごそつと抜けて、果してあなたが心からおつしやるように画期的なものだということは、私は非常にむずかしい考え方じやないかと思うのです、というのは、結局この法律の実を結ばせるのは、現政府が教育に対してどういう熱意を持つているかという、その熱意に私はかかつているのじやないかと思うのです。ところが甲木さんのおつしやりようは、日本の経済状態ではまあこれで以て最大であるというふうにおつしやられておるようでありますけれども、それは立場が違うから、それは議論になるかも知れませんが、再軍備予算、警察予備隊の費用などには本当にもう惜しみなく出しておられる。それにもかかわらず妥当な規模と内容とを保障するための最も心臓部分を削除して行つたのは、口で回期的にと言いながら、それを本当に保障するための熱意があるかないかということについてはいささか疑義を挾まざるを得ないのであります。この点についてまだ一年生の私に納得のいくように一つお話を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/118
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119・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) お説誠に御尤もでございます。私どもといたしましてもお説の通り感ずるのでございますので、どうか一つ今後も是非御協力のほどをお願い申上げる次第であります。(「名答弁だね」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/119
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120・高田なほ子
○高田なほ子君 どうもいたみ入つた御答弁でございますが、おつしやるまでもなく私どもはそういう考えの下にこういうことを申上げておるのであります、というのは、大体私のこの法律が立案過程において地財委の考え方なんというものは甚だ私は怪しからん考え方だと思うのであります。一部の少数官僚ボスが実質の政府与党二百八十名の議員を向うに廻して、こういう骨抜きの修正案を作らせるに至つたというのは、やはり一つの官僚ボスが非常に力を持つておるということを私は意味しておると思う。こういうものが跋扈しておる間は、私はこの法案第二条第一項の中でも非常に重要な部分を政令で定めるということになるわけですが、そうしたその政令で定めるというような場合に、この悪辣な、教育なんということについてはいささかも良心を持たないこういう連中が政令で定める場合には必ず喙を入れる。(「言い過ぎだ、そんなことを言つちやいけない」と呼ぶ者あり)それらか大蔵省の我々の熱意を十分に(「あんまり生意気を言うな」と呼ぶ者あり)御了承されることは、これは保障できないのであります。こういう大事な部分を政令で定めるということになると、やはり私は不安を持つのでありますが、その政令できめる、そのきめるときに、ちようどこの法律が、原案が修正案に転落したような道を通るような危険性を私は予感として持つのであります。そういうことがなければよいのです。そこで甲木さんにこういう政令で定める場合に、又こういう官僚どもの喙によつて意に反した方向に行つてしまうのではないかということも言えるわけでありますので、その点の見通しを承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/120
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121・甲木保
○衆議院議員(甲木保君) 私どもといたしましては、この本法が施行された暁には十分監視して、今後とも一段の努力をしておきたいと、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/121
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122・高田なほ子
○高田なほ子君 それでは私は各条項に亙りまして伺いたいことがたくさんありますが、総括的な質問でありますから、岩間さんもお見えになつておりますから一つあとに譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/122
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123・荒木正三郎
○荒木正三郎君 もう今日はこの辺で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/123
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124・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 総括質問をやつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/124
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125・堀越儀郎
○堀越儀郎君 先ほど矢嶋君から質問になつた点の理由ですね、あれについて法制局の意見なりを伺つておきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/125
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126・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/126
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127・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それでは速記を始めて。
それでは義務教育費国庫負担法のこの提案の理由について法制局から御意見を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/127
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128・岸田実
○法制局参事(岸田実君) お答え申上げます。従来議員発議の議案は一院で可決されますと、その院の提出案として他院に送付されるわけでございます。その場合にその発議案の理由につきましてどういう取扱いをしておるかと申しますと、大体政府提出案と同様な扱いで慣例上つけて来ておるわけでございます。従いまして一院で発議されまして、その内容が更にその院の内部手続において、進行中に修正を見ました場合におきましても、理由は元来議案の内容では、ございませんので、理由まで修正をするというような手を加えないで、そのままその理由を付けまして他院に議員提出案としてその理由を付けて送付されて来ておるというのが従来の慣例上の取扱いでございます。で今回のこの問題になつておりまするこの法案におきましては修正が非常に全面的でございますので、この理由と内容が異なるという点から申しまして、非常におかしなことになるわけでございますが、恐らく衆議院のほうでそのまま理由を付けて参られましたのは、従来のそういう慣例上の取扱いをそのまま、何と申しますか、深くお考えにならないで取扱われて来られたのではないかというふうに想像されるわけでございます。従いまして今回のような場合におきましては、案の内容と理由の文言とが非常に喰い違いがあるというような問題がございますので、これは一つ大きな反省の機会を与えられた問題だと存じますが、従いましてこの理由の扱いについて今後どういうふうにしたらいいかということにつきましては、両院の事務局及び法制局等で十分に検討を加えなくちやならないというふうに考えておるわけでございますが、これを純法律的に申しますと、政府提出案におきましても議員発議案におきましても、この理由は議案の内容ではございませんので、ただ議員が審議いたします場合にその内容を簡単に把握し得るような便宜を与えるという意味で、法令上の根拠も明確でないのでございますが、ともかくも理由を付けて来ておるという慣例的な取扱いになつておりますので、この理由が違法であるとかどうであるとかいう問題にはならないと思います。ただ内容を表わしておらないという点で非常に妥当でないというような点はございますと思いますが、規則違反であるとか或いは法律上違法の法律案の送付であるということまでは言えないというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/128
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129・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは私は今法制局からの意見を承わりましたが、杓子定規の典型的なものだと思う。運用を誤まつたということになると思う。これは一つの法律案が出て、そうしてその理由が付いておる、字句を修正するとか、或いは何条かを削除し或いは追加する、そういうような場合には、法案の骨子というものは変らないのだからそれでいいでしようけれども、内容が変つたときまでそのままでいい、そういう運用をしてよろしいというのは私は慣例ではないと思う。ただ運用を誤まつたということだけは肯定しなければならんと思う。一体議員諸公はどうかと言えば、選挙区に帰るとき、この理由を持つて帰る、法案が通過したときに新聞記者諸君はこの理由によつて書くのです。それから雑誌社などが十三国会の成果を発表するときにはこの理由をちやんと載せる。そうした場合に、この災害復旧の場合には国庫がその経費の二分の一を負担するとか二十七年度の給与費の算定については特定な定めをする必要があるということが全部雑誌に出て、法律を見たらそれが内容にもないということはお話にならないと思う。だから私はこれは運用を誤まつた典型的なものだと思う。だから今後こういうことを絶対してもらつては困る。それから衆議院の諸君は、これは速記に載つて通しておるんじやないかと思う。だから私は町のどこかの本屋にでも行つてみたら恐らくどの雑誌かにこういうものが出ておりはせんかなあと、まあ参議院のほうが通つておらんからまだ出ておらんかもしれませんが、参議院が通ればこのまま出るにきまつておる。であるから、あなたから慣例ということを承わつたけれども、その慣例の運用を参議院のほうで誤まつたということが私は言えると思う、それを肯定しますか。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/129
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130・岸田実
○法制局参事(岸田実君) 運用が誤まつたかどうかということをはつきり言えというお話でございますが、法制局といたしましては、法制的な立場の御説明を申上げたわけでございまして、その取扱が適当であつたかどうかという点は、これはむしろ事務局の所管の問題になりますので、(笑声)議案を扱つておる担当の事務局の関係の部長なりの御意見をお聞きになることが妥当ではないかと思うのでございますが、ただ私の個人的な意見といたしまして、今回のこの案につきましては、従来我々が先ほど御指摘がありましたように、杓子定規にこの理由という問題も考えておりまして、今までこういう問題があるということは至極明確に自然に考えておらなかつたという点は確かでございまして、その点では我々も今後事務局と一緒になりまして、議員発議法案についての理由の取扱いをどういうふうにするかという点については、今後十分に検討して参りたいと思うのでございます。この点は、これも私の個人的な意見でございますが、政府提出法案につきましても、例えば一院が非常に大きな修正をいたしますと、それが他院に送付されて参ります場合には、法案の内容はその理由と非常に異なつた内容になつて来るということはあり得るわけでございます。併し、これは政府が提出いたしましたときの理由といたしましては、その理由はその内容を示すものとして正しかつたのであつて、それが一院において、先議の議院において、こういうふうに直つたということでありまして、その際には内容を非常に改めたからと言つて理由までその一院が修正して送付するという必要はないのではないか、これは政府提出の法案と、それから議院の一院の修正というものとを御覧にたりましたならば、むしろ手続の沿革的な意味におきましてもはつきりわかるのでございますからいいのではないかというふうに考えるわけでございますが、議員発議の法律案につきましては、議員が発議いたしまして、その院で議決するまでは、一院の内部手続きである。そうしてその院で議決されましたときに、一院のハウスの提出案として他院に送付されるという関係がございますので、発議議員の作りました理由と異なつた内容に改めた場合にはハウスとしての理由を、ハウスが更に提出する法案としての理由を何らかの形で修正して表わすということが適当なのではないかというふうには私は考えておりますけれども、従来はともかく理由は議案でないという形で最初に議員が発議しました理由は、そのまま付けて廻つておつたという取扱いになつて来ておりますから、これ以上のことは一つ実際にその責任の掌にある者の意見をお聞きになるというようにして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/130
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131・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一点ですが、私は結局現実的なことを申上げておるのです。この法律案が通つた場合、国会で成立しました、こう言うて選挙民に渡せない。如何なる慣例があろうとも、私は過去のことを責めなくても、今後こういうことをやつてはいけないということが確認されなければ私は下れない。私自身が法律案をたくさん勉強するのに困るし、それから国民に対しても、この法律案が通つたと言つて渡せない、そういうような印刷を国会で今後も配付されるというようなことは、私はどうしても許されないと思う。従つて議案課あたり呼んで、今後こういうようなやり方をしないということさえはつきりすれば、これはこれだけで結構である、そういうふうにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/131
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132・岩間正男
○岩間正男君 今の問題、慣例上と言われるけれども、これは慣例として今までの大幅な修正を認めるということになれば、これは悪い慣例じやないか。改めなくちやならん慣例じやないか、今のようなやり方で残すと、それで政府提案の場合も、それから議院の、ハウスとしての何とか云々という、そこを改めてもいいじやないかというあなたの御意見でありましたけれども、現実にはとにかく原案の出されたときの要旨を付け加えて来るわけです。そうすると私たち解釈するのに二つあると思う。これは慣例が悪いから慣例は改めなくちやならないということを指しておるじやないか。若しそうでなくて慣例はどこまでもこれは正しいと言えば、そうすると修正というものは範囲が限定されて来るわけですね。この提案理由から逸脱したものの修正でなくて、これは原案差戻しとか再提出するとか、そういう形をとらなければならないということになる。どちらかなんです。そうでしよう。そうでなければ実態に合わないと思う。そこで我々から見ると、修正というのは大幅に起り得るのだし、そうして現実的にはそういうことはしばしばあり得る。そうすればそういうものに対して大幅に修正がなかつた時代の慣例というものをよく生かす、そういう慣例が現実に合わないならば、そういうものをいつまでも固執するのはいけないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/132
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133・岸田実
○法制局参事(岸田実君) 先ほど申しましたようにいわゆる提案理由というのは、最初に提出いたしましたときの理由なのでございまして、その後いろいろ修正があつて、法律案の内容というものは動きながら最後に決定になるわけであります。そこで一部の意見といたしましては、法律上議案に提案理由の印刷を付さなくちやならないというような法律上根拠はないから、議案についてはこういう理由を付けなくていいじやないか。むしろ提案理由を説明なり何なりではつきりしたらいいじやないかという意見もあるくらいなのであります。結局そういうことで初めに出したときの理由はこういうものであつて、それから一院が修正し又他院が修正するということになつて法律案が変つて来ると……変つて参りまして法律案が成立いたしましたときには、この理由というのは、この審議過程における内部の便宜のためにできているのでございまして、これを外部にこの法律案の理由はこれであるとして発表すべきものではないのでございます。結局官報に載ります場合には勿論本案の法律案だけが官報に載るのであつて、この理由が付いて廻るわけではないのです。で、その点は、同じように印刷に付してありますから非常にこの理由というのが重要なふうに見えますけれども、議案の内容でないという考え方で付けたわけであります。従来の、少くとも事務当局の取扱いはそういうふうに考えてやつて来ているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/133
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134・岩間正男
○岩間正男君 そう言われるけれども、審議要録が出ていますよ。理由がね。第十何回国会審議要録というものが出ているのですよ。それを我々は見ているのです。やつぱり公式のあれを持つのでしよう。そんならあんなものを出す必要はない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/134
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135・岸田実
○法制局参事(岸田実君) 私どものほうで作つております審議要録は、提案理由を出してあります。従いましてこの理由は出してありません。提案理由を取上げてあります。結局会議録によりまして提案理由の説明がございます。その内容を写してあるわけでございまして、この法案に附してある、この理由を附しておるというわけではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/135
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136・岩間正男
○岩間正男君 これはいずれにしろ併し現実に合うということが一番いいので、過去の慣例がどうだこうだと言つてそれにこだわつているのは……、そうなればいつどこで我々は尻尾を落したのかわからないがそういうことになるので、尻尾を落してしまつたほうがいいのじやないかと思うのだがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/136
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137・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは義務教育の振興を図るためにということになつておればいいですよ。それならいいですよ。それから修正が一部修正で、その修正された部分と修正部分を除く原案について我々が審議するのならいいですよ。ところが予備審査で来たのがお払い箱で、それが衆議院の院議として出て来る。それで予備審査で貰つたやつは反故になつておる。それだけを審議するということになつて、そこへ持つて来てこういう勿体ないことが書いてあつてはおかしいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/137
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138・木村守江
○木村守江君 ちよつとお伺いしますが、今までの話を聞いていますと、結局政府提案の法案については、これは政府が提出してそうして一議院においてそれは修正されたというところで、政府の意思はやつぱりその法案について修正されておるものもある。それで差支えないのだと、ところが議員提出のものは議員が出して議員が書いたのだから、それだから議員が書いたときに新らしい法案のような恰好になるのだ。それで議員提出の法案についてはこの理由も変えるべきではないかというような疑いを、まあ疑問を持つんだというのが法制局の御意見なんでしよう。私はそういうふうに解釈するのですがね。やつぱりそういう点なんです。これは再提出とそれから別な法案を出したということと結局同じことで、政府のやつだつたならばこれは飽くまでも政府の初めからの肚で、一院がどういうふうにきめようが初めからの提案理由で結構なはずですね。だからそこにはちつとも疑義がない。たまたまこれが議員提出だつたから、内容が変つているぞ、けしからんという恰好になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/138
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139・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) これは私はちよつと申上げておきますが、今のあなたの発言の中に私は言うことがあつたのです。今までこれは慣例上こういう取扱いをして来られたということを私は是認します。そういう意味においては私は慣例的にこれをお取扱いになつたと、一方では杓子定規であるという批評も出ます。そういう点においてはいいが、ところがあなたが発言中に、今反省すべき事件が起つて来ておる。それだから今後関係者が寄つて考えてみようというお話があつたが、私はそれは非常ないい発言であると思う。これは私の希望としましては、ここで事務のかたも見えましたが、これは事務の人が渡したのですが、今あなたのおつしやつた中にこれは反省すべき事態が起つて来た。今までの慣例の例は私周到ではないと思う。そこで今後こういう問題が起つたときには、新らしい慣例が打建てらるべき、新らしい運営の方法が出るべきだと思う。それであなたがその辺は気付かれたであろうが、これは反省すべき事件が出た。で、これを今後反省をしようという意見が出ましたが、私としましては、今後こういうふうにこの事件を取扱つてもらいたいと思うておる。今実は事務のかたが見えましたからこれについての二遍お話をしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/139
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140・佐藤吉弘
○参事(佐藤吉弘君) 只今岸田部長から申上げたことで大体尽きておるわけでありますが、それから只今木村さんのおつしやつておりました内容で正しいわけでありますが、ただ今までの慣例上この理由がそのまま付いて来たのは、こういうふうに全面的に全然変つた案のように修正されてしまう例がなかつたもので、従来の取扱いとしてはそれで支障はなかつたわけでありますが、今度一つには司令部の関係もなくなつた関係もありまして、先般、たしか昭和二十六年以前の恩給の云々という法案とか、今回のこの義務教育費国庫負担法の関係は全然案が全部修正になつてしまつたような関係から、そのまま理由を付けては非常におかしな結果になつてしまつたので、こういう例から改めてこの理由をどういうふうに付けるかということは、只今岸田部長からも御説明のように検討すべき段階になつたのではないかと思います。ただ理由は、これは元来が初めは発議者の意思として発議する時に付けるものでありまして、それ以後にこつちへ、衆議院から参議院へ提出して参ります時には、別段衆議院として議決の対象或いは審査の対象にもならないわけでありまして、従つてその理由については衆議院それ自体として手を着ける手続が現在のところありませんのでこういう結果になるわけであります。将来は、或いはその理由についても衆議院の意思としてそれを変えるとか或いは理由をまあ全然付けないか、何かの方法を考究しなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/140
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141・矢嶋三義
○矢嶋三義君 研究結果を一つ知らしてもらいましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/141
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142・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) そうすれば御相談しまして、その結果を連絡をとつて御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/142
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143・佐藤吉弘
○参事(佐藤吉弘君) なお念のために申上げますが、今回法律案についての措置につきましては、従来の慣例によつたことでございますので、このままお許しを頂ければ御了承を頂きたいと考えております。将来の問題として別途考慮したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/143
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144・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは是非とも検討とた結果を印刷になりしてもらいたい、というのは私が申上げたように、国民は法律案が通つたらどういう法律かということを非常に待つておるわけです見る場合は。あなたがたどういう御意思で理由を付けられたか、付けた伝統を持たれたか知りませんが、とにかく理由を一番見るわけです。それから議員にしてみれば選挙民に対して今度はこういう法律案が通りました、と言つてお見せするわけですね。従つてこの理由というのはやはり内容にぴつたりするものでなければ国民に対して申訳ないと僕は思うのです。従つて先ほどの質問に対して提案者がちやんと訂正して修正になつたことを印刷物にしてお配りするということは、速記にも載つておるのですから、是非そうしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/144
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145・佐藤吉弘
○参事(佐藤吉弘君) それでは今回の場合はさつきお読みになつたものについて、即ちこういうふうに修正になる前の法案の理由についてもこの二分の一負担というようなことを明記する要はないわけでありますから、初めからこの理由が、さつき読まれた通りの理由であつたという旨の正誤にされればそれで従来の慣例を破らないで済むと思いますから、そういうように措置したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/145
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146・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それでは今日はこれで散会をいたします。
午後三時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X04719520708/146
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