1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年七月二十六日(土曜日)
午前十時四十七分開会
—————————————
委員の異動
七月二十五日委員前之園喜一郎君辞任
につき、その補欠として木内キヤウ君
を議長において指名した。
七月二十六日委員木内キヤウ君辞任に
つき、その補欠として大隈信幸君を議
長において指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 梅原 眞隆君
理事 高田なほ子君
委員
石黒 忠篤君
高良 とみ君
山本 勇造君
荒木正三郎君
棚橋 小虎君
大隈 信幸君
矢嶋 三義君
岩間 正男君
衆議院議員
若林 義孝君
政府委員
文部政務次官 今村 忠助君
文部省初等中等
教育局長 田中 義男君
文部省大学学術
局長 稻田 清助君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
法制局側
参 事
(第二部長) 岸田 実君
説明員
文部省大学学術
局教職員養成課
長 玖村 敏雄君
—————————————
本日の会議に付した事件
○産業教育振興法の一部を改正する法
律案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/0
-
001・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) これより文部委員会を開きます。
産業教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。最初に産業教育振興法が実施せられてからの状況を当局から御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/1
-
002・田中義男
○政府委員(田中義男君) 産業教育振興法が実施されまして以来、只今までに当局といたしましていろいろ努めて参りましたその経過について御報告を申上げます。
新らしい法律が実施せられましてから、法の命ずるところによりまして、直ちに中央産業教育審議会を結成をいたしまして、第一回の総会を昨年の十月末に開会いたしまして、以来只今までに十三回を開いております。その間において主なる審議事項を申上げますならば、第一に中学校、高等学校における産業教育上の施設、設備の基準をいろいろ審議いたしまして、これについてはすでに去る二月にその答申を得ております。それからそれに基いて更に各それぞれの学校等に補助いたしますための補助金の配分の方針についても、同じく同審議会において審議を経ました。第三番目には産業教育関係の教員の養成並びにその資格等が問題でございますので、それらの点についての審議を目下継続中でございますそれから第四番目には、中学校の産業教育について如何にあるべきであるか、こういう一般的な、そうして基本的な問題につきましても只今審議中でございます。それから更にもつと広く産業教育に関する全般的な総合計画を樹立する必要がございますので、その総合計画につきましても只今同審議会において審議中でございます。第五番目には、職業指導の制度化につきましても、事柄の性質上これの十分なる成果を得る必要がございますので、これ又中央産業教育審議会において審議中でございます。
特に以上申述べましたうちで、第一の設備基準について、それから第三番目に申しました教員養成並びに資格の問題と、それから第四番目に申しました中学校の産業教育の問題につきましては、それぞれ部会を設けまして、その部会において審議をいたし、まだ審議中なのでございます。そうしてその設備、施設の基準或いは補助金の配分方針等によりまして、すでに議会において協賛を得ましたこの補助金の予算総額は六億六千六百万円でございましたが、それらについての個々の配分について当局におきまして本年の初め以来いろいろ準備をいたし、綿密なる計画の下に具体化いたしまして、すでにそれぞれの各府県等に示達いたしたのでございまして、その内訳の概要を申上げますと、これはすでに予算を議定願います場合に、その内訳としてそれぞれ掲げておつたところで御承知のことでございますが、簡単に概要を申上げますと、先ず高等学校の産業教育のための設備の補助といたしまして、これが殆んど大半を本年度は占めたのでございますが、その総額は五億六千五百余万円と相成つておるのでございます。それからその次に、高等学校の共同実習のための遠洋漁業の大型漁船につきましてこれを補助の対象といたしまして、これが三千万円でございます。それかも高等学校の産業教育の研究指定校として、その指定いたしましたものに対しまして補助をいたします。これは定額補助といたしておるのでございまして、この総額が四百六十万円と相成つております。それから中学校の産業教育のための研究指定校に対する補助金といたしまして、これは二分の一の補助といたしておりますが、総額において二千七十万円と相成つております。それから公私立の短期大学に関しまして、その地方の産業振興のために特に必要なるものにつきましての補助として、農業、工業に関しまするもので大体総額三百五十万円といたしております。その次には、産業教育の共同実習所設備についての補助でございまして、これは農産加工、機械、電気、この三種類について考えておるのでございまして、その補助金の総額は千七十万円と相成つております。最後に、産業教育に特別に秀でた先生がたの更に研究を深めるための内地留学生の制度をとりまして、その学生に費用の補助といたしまして、旅費、学生経費等に関しまして総額において六百七十万円を計上いたしたのでございます。これが私どもの所管として今回の補助金についての内容の極く項目的なあらましでございます。なお、各都道府県とも産業教育振興につきましては、非常な熱意を示しておりまして、各都道府県及び五大市におきましては、すでに法律が規定いたしておりまするように地方の産業教育審議会もできまして、それぞれ産業教育振興計画の具体化に努めておるような現状でございます。以上が大体大まかな経過の御報告でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/2
-
003・矢嶋三義
○矢嶋三義君 只今法施行後の概略について御報告を頂いたわけでありますが、その報告について若干の質問をいたしまして、それから只今提案されておる修正案について御質問申上げたいと思います。
先ずお伺いいたしたい点は、中央教育審議会の発足によつて委員の任命が行われたわけでございますが、この法案審議の過程において、中央教育審議会の委員をどういうふうに構成するかということは相当論議されたところでございます。それらの委員確定後において我々委員会は何ら通報に接していないと思いますが、あの審議の過程においていろいろ希望を申上げ、決定したならお知らせ願いたいということを要望しておいたのでございますが、私は少くとも承わつていないのですが、如何でございますか。若し我々に報告していなかつたならば、至急にプリントして頂きたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/3
-
004・田中義男
○政府委員(田中義男君) 若し御報告をいたしておらないとすれば誠に恐縮でございまして、手落であつたと思いますけれども、只今お手許に差上げました資料の中に、実は念のためにと思つてプリントして差上げてございますのでございますが、それによつて御了承頂けますれば大変仕合せと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/4
-
005・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今私は初めて拝見しましたが、こういうのは私は常に天野文部大臣にも要望しておるのでありますが、質疑応答の時には約束するのですが、どうも忠実に守つて頂けない点は非常に遺憾に思います。確定直後において我々に必ずこの資料として出して頂きたいと申しますことは、我々が審議の過程においていろいろ要望した点が果して行政府において受入れられておるかどうかということを我々は十分注意を払わなければならんと思いますので、是非今後そう願つておきたいと思います。今これは頂いたばかりであつて、果してこの人員構成が我々審議の過程において意見として出され、更に要望された線に沿つておるかどうかということは、今出されたばかりで批判できませんので、これはあとに譲りたいと思います。
大臣は来ていないのですが、局長から大臣に伝えて頂きたい。これと関連しておるのですが、中央教育審議会の委員の構成については、これにもましたいろいろな要望、意見が出されておつたのですが、殆んど我々の国会の審議の過程の経過というものは尊重されないような傾向が一般に私は見えるような感じがいたしますので、これに関連してそういう声があつたということを、今日実は大臣においでが願いたいのですが、御多忙のようですから、その点は勘弁いたしますが、局長からその点をお伝え頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/5
-
006・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今矢嶋君から質問になつておる問題に関連しておるのですが、中央教育審議会委員選任の問題、これは私は相当不満です。そこで若干お聞きしておきたいのですが、地域別な考慮というのは全然払われていない。これは地域的考慮というものをそう重視する必要はありませんけれども、そのことは考慮の中に入れなければならん。日本の産業教育、産業の中心は必ずしも東京にはないわけです。ところがこの中にそういう教育の実際家の中からは関西からは一人も出ていない。これは文部政務次官にも言つて、文部政務次官はその点は十分考慮しますと、こういうことであつたから、私は実現されておると思つておつたのですが、何ら改善されておらない。それからこの中に労働関係からの委員を入れる。私はここに入つている人よりもつと適当な団体もあるし、人もあると思います。ここでは労働のほうでは実際家としては、国鉄関係から斎藤君、金鉱関係から原口君が出ておりますけれども、併しもつと産業教育に直接関係のある団体もあるし、そういう点、私は殊更に偏見を以てこれが人選されているのじやないかというふうな気持がするのです。そういう点一つ文部省の方針を伺つておきたい。いわゆる産業教育というものについて地域別な考慮というものを考えておらない。これはどういうわけですか。それから労働代表としてこれ以上適当な者があると考えます。この人たちが不適当であるとは言いませんが、もつと適当な人があると思います。そういう点について意見を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/6
-
007・田中義男
○政府委員(田中義男君) 地域的な点についての配慮がなされておらないという御批判でございますが、多少当局としてもいろいろお気持から言いますと、御不満かも存じませんが、全然考えておらなかつたわけではございませんで、地域的な、東京以外の地方のかた、教育界として関西は入つておらないようでございますけれども、大阪のかたも一人加えましたし、又長野のかたも一人加えましたし、多少の考慮は払つておるつもりなのでございますが、併しなおそれらの点について相当考える必要があるのじやないか、こういう御意見に対しましては、私どもも決してそれをないがしろに考えておるわけじやございませんので、なお一つ今後の問題として考えさして頂きたいと思います。それから産業関係の真の代表者に人を得ておらんじやないかという考えでございますが、これもいろいろ見方もおありと思いますけれども、決して特別な偏見を以てこれを処置したり考えたりしているということは、これは全然ございませんのでありまして、いろいろ私どものほうにおいて相談をいたしました結果、かようなことになつておるのでございまして、ただ先ほども御意見ございましたように、皆様がたと十分なる連絡を図らなかつたというような点については、これはいろいろ御批判もあるかと思いますので、なお十分注意したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/7
-
008・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私は産業教育ということを考える場合に、これは殆んど関東に限定されているような形になるのですが、これは近畿にしても、或いは九州にしても、それは大きな産業の中心地があるわけです、鉱工業の……。そういうことはやはり私は十五名か二十名か知りませんが、相当数ある中で考慮できないはずはないと思います。だからこの点を十分再考願いたいと思います。それから私先ほど労働組合関係を言つたのは、この人が不適任であるというわけじやございません。この法案を審議する場合に、私は具体的に言つて、具体的に出たのですが、日本教職員組合の関係からやはり一人は入れるべきであるという意見がかなり大臣にも質問されたのです。私は日本教職員組合関係を必ず入れろという意見ではないんですけれども、全然考慮してないんですよ。これは実際そういう方面から推薦するということが妥当な措置だと思うのですがね。そういう点私は御検討願いたい、こういうことだけを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/8
-
009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 只今委員の選任について議論なされたのでございますが、最近私は我が国の行政府の一般的な動向を見ておるというと、立法府で立法なされた後においてそれを運用する面になつては、少し行政府は立法府の意向というものを無視する傾向もあるやに私は、文部省に限らず全般的にそういう感じをいたしております。法を運用するに当つては、行政府は国会でその法律案の審議の過程における速記録を詳細に熟読されて、そうして立法府の意思が十二分に運用行政の面において現われるように、特に今後配慮することを私は法律案審議に先だつて強く要望いたしておきます。
次に、先ほど局長から説明がございました問題について、小さいことでありますが、機会がございませんので、この際若干承わつておきたいと思います。一諸に言いますから、メモしておいて頂きたいと思います。
先ず第一番にお伺いいたしたいことは、補助配分の方法をどうすべきかということです。もうちよつと申上げますと、補助を行う場合に一つの基準を設けて、その基準以下の学校には補助することができないというように、地方を束縛するやに承わつておるのでございます。従つて地方はその自主性によつて適当なところに配分いたしたいと思つても、文部省の補助配分の原則的な指示のために、地方教育委員会の思う通りにならない。従つてその結果というものは、比較的施設、設備のいい学校はますますよくなるし、レベルより低いところの、早急に施設、設備を図らなければならない学校には、基準があつて補助金が配分されない。従つてそのでこぼこがますます激しくなる。従つて各県において補助配分をする場合には、その県の自主性と申しますか、県の意向が相当大きく取入れられて補助配分ができるように、是非ともそういうようにしてもらいたいという声を各方面から私は承わるのでございますが、そういう角度から現在文部省がどういう態度をとられており、更に今後どういうようにされるつもりかということを承わりたい。
それから次に承わりたい点は、研究指定校、これは高等学校並びに中学校、両校でございますが、どういうようにして選定されて行くのですか。その大体の学校というようなのはどの程度になつておるか、一校当りにどのくらいの予算が来ておるか。
それから第三点としまして、公私立短大の一部に、特に必要と認めた場合に農工関係に三百五十万円とされておりますが、この選定方針並びに学校数、それからその学校に補助配分されておるおよその金額。それから第四点として承わりたいのは、内地留学生の費用補助でございますが、これは何人くらい補助しておるのか。それと関連して、最近この職業教育に限らず、一般教育面で内地留学生を地方教育委員会でやられるようになつておる傾向は、非常に結構な傾向だと思うのですが、産業教育に従事する教職員の内地留学についての特に非常に御熱心な地方がございましたら、その地方と、それからどういうような方法でやられておるかということを参考に承わりたいと思います。以上についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/9
-
010・田中義男
○政府委員(田中義男君) 最初の配分の方法に関する御質問でございますが、これは本年度といたしましては、何しろ最初の年であり而も限られた予算でございますので、ともかくできるだけ早くその実効を收めたいというようなことから、必要欠くべからざるものであつて、而も早急にその効果が現われるものというようなことで、いろいろ配分基準を考究設定いたしましたので、勢い少数の範囲にとどまるようなことになつております。併し本省におきまして指示いたしましたその基準は、一応全国的なこれは原則を示したものでございまして、それでなければ絶対に融通のきかない、動きのとれない標準としておるわけではございませんで、特別な事情のある場合、特に或いは災害を受けたとか、その他止むを得ざる特別なものに関しましては、例外を認めてもおりますし、なお現実に配分を決定いたします場合にも相当な例外に亙つた学校もございますので、この点はいろいろ実状に即するように御相談をいたしておるのでございまして、抜き差しならない基準としてこれを固執しておるものではないのであります。ただお話のようにいいものはますますよくなり、悪いものはいつまでも下積みで恵まれないというようなお話もございまして、これもしばしば学校当事者或いは教育委員会等からも私どもも聞かされておるのでございますが、最初申しましたようなことから、本年度は止むを得ずそういうような措置にいたしておるのでございまして、だんだん予算がとれるようなことに相成りますれば、広く一つ及ぼして行くことにいたしたいと思つておるのでございます。
それから第三点の研究指定校についての選定でございますが、これもそれぞれ特殊な特定の研究科目について特にその地方の産業伸展の上に非常に有意義なもの、その他研究としても相当な成果を期待し得るような特殊な研究もいたしておるというようなものにつきまして、地方から推薦を頂きまして、そうして地方の教育委員会ともよく御相談の上で、学校を指定いたしたようなことでございます。これも予算の関係で、高等学校においては二校、中学校においては漸く三校というような誠に微々たる数でございまして、而もその額におきましても、中学校において三分の一補助として一校十五万円、高等学校において額をきめて五万円というような誠に微々たる現状でございます。
それから短期大学に関しましては、大体公私立の比率を大よそ公立二、私立一の割合として考えて参りました。総額三百五十万円でございますが、まだこれは只今のところそれぞれの学校名、並びにそれに対する補助金額については只今いろいろ相談中でございまして、確定はいたしておりません。併し当初は大体三校ずつを予定いたしましたけれども、少しお話合がまとまりますなら、学校数を殖やして、そうして金額も多少殖やしたほうがいいのではないかというように只今相談を進めておる現状でございます。
それから留学につきましては、非常に熱心に希望をいたしておる地方は北海道、福島、山形、大阪、佐賀等が私どもに認められるのでございまして、当初本省で考えましたよりも、もつと割当を増加しろというような非常に熱烈な要望もございますので、これらにつきましては、できるだけの御希望に副うようにと思つて努力いたしております。大体最初予定いたしましたのは、各地方委員会ごとに、府県ごとに約十人、大体十人の先生がたに十カ月留学をして頂きたい。それで補助といたしましては、旅費について三分の一、学習経費として一定額補助をいたそう。こういうことで、その総額六百七十万円と相成つておりまして、只今その準備進行中なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/10
-
011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 只今の答弁で、第一点として補助の原則というものが簡単に説明できるならば、簡単に説明して頂きたい、それが一つ。それから次にお尋ねいたしたい点は、産業教育の振興については逐次盛り上りつつある情勢にあつたわけでございますが、この立法化と同時にその速度は急速に上つたと思うのでございます。先ほどの局長の説明でも、各県にそういう空気が澎湃として起つておるという意味の答弁があつたわけでございますが、若し資料がございましたら、この法律案通過後において、国として六億六千六百万円確保いたしたわけでございますが、地方公共団体において産業教育面に向ける予算というものが急速に増大した県を確認しておるわけでございますが、全国的に縦断的にどのくらいふくれたかというような資料がありましたら参考に承わつておきたい。それは今の答弁に対する再質問でございます。
それから次に質問するのは、あなたのさつきの説明に関連してでございますが、地方教育審議会の答申が施設、設備の基準についてあつたという御説明がありましたが、これは今日答弁頂かなくて結構でございますから、資料として出して頂きたい。そうして若しもその基準を完成するのには予算がどのくらい要る。従つて国庫はどの程度の予算を組まなければならん。それから地方はどの程度の予算を要するということを資料として早急に出して頂きたい。
それからもう一点さつきのあなたの説明に対しての質問があるのでありますが、それは教員の養成資格については現在検討中ということでございますが、これにつきまして、現在の職業課程の教員の養成はどういうふうにされておるか、計画養成はどういうようにされておるかということと、それから需給関係はどうなつておるか。それから今後当局としては如何なる対策を以て優秀な教員を確保されようとするところの構想を持つておられるか、この点は今答弁して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/11
-
012・田中義男
○政府委員(田中義男君) 最初基準の概要をお話申上げます。基本的な方針といたしましては、さつき申しましたように、最も限られたる補助金において最も効果的な使用効果を挙げるということに眼目を置きまして、今回はその設備の補助でございますから、少くともその設備を補助して実効を挙げ得る施設を一つ持つていてもらいたい。この施設を持つておることと同時に折角物的な設備が整いましても、教員組織が不十分でございますと、どうにもなりませんので、更にそれに相応する教員組織を持つていること、而もなお第三には国が補助いたしますのは御承知のように三分の一が原則となつておりまして、従つて本年度は幸いに起債がほぼ五億でございまして、三分の一はそれに負うことができますというようなことになりましたけれども、ともかくいずれにいたしましても地方が三分の二を負担するようなことになりますので、それぞれ学校設置者等においてそれだけの経費負担を確実にこれを果し得るというようなことを大体一応根本的に考えた次第でございます。その他いろいろ細かくございますけれども、主な点をそういうふうな点といたしまして、なお補助金の対象となりますその課程に関しましては、先ほど申しましたように特別な例外なのは別にいたしまして、原則として同じ課程の中で現有の設備が大体中位以上である。而もその設備は先ほど申しました設備基準からいたしますならば、五〇%に達しないもの、こういうふうな実は狙いを持ちまして、大体各地方における総数の点については、専門課程を三十単位以上持つておりますものの中でほぼ半数以内にとどめよう、こういうふうなことを一応予算の限度から止むを得ず一応の目標といたしまして、それぞれ更に細かい点まで設定をいたしまして、その基準によつて実施をいたして参つたのでございます。それからこういうふうな国家補助に関しまして、少くとも三分の二は地方で負担しなければならんということから、従つて地方における産業教育に関する経費は相当増加いたしていることは間違いございませんので、随分相当無理をいたしましても産業教育に関する予算を増額いたしているのが各地方の実情と考えておりますが、その金額等の数字をちよつと只今手許に整理いたしておりませんので、これは後ほど御返答申上げたいと思います。
それからその次に、教員養成の問題についての御質問がございましたが、私どもとしてはいろいろ実際衡に当つておる学校のかたがたから聞いておりますことは非常に教員になるための御承知のような課程、特別なる負担がございまして、特に産業教育等の面倒な、而もうるさい、恵まれない仕事に従事するそのための先生となる特別の負担に耐えられないというような声をしばしば聞いておりますし、なお又技術教員としては従来試験、検定のあつたものがなくなつております。その不自由さ、特に又実習教員等については相当その資格が緩和されておりますが、なおその狭きを訴えておられるというような実情でありまして、これらの点につきましては、先ほど申上げましたように、地方教育審議会におきましても、教員養成並びにその資格について熱心な検討を只今続けておりますので、審議会としても恐らく答申を出すことと思いますので、それによつて処置をいたしたいと思つておるのでございますが、なお現状等については、教員養成課長も見えましたから、そのほうからお答えを頂いたら適当かと思います。それからなお、将来の計画等についてどうするかというお話がございましたが、これも一応教員養成課長のほうからお答え願うほうがよいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/12
-
013・玖村敏雄
○説明員(玖村敏雄君) 今局長が申上げたことに附加えまして、私のほうからちよつと現状を申上げます。今矢嶋委員から計画養成はどうしておるかというお話でございましたが、原則として義務教育に関するものについては、計画養成をいたしておりますが、高等学校教員のほうは自由養成、つまり各大学で一定の単位をとればそれで教員になり得るという制度でございます。現状は従つて各大学におきまして、工業に関するもの、商業に関するもの、農業に関するもの、水産というふうにそれぞれの専門の課程につきまして、一定の単位をとつた人が教職に関する単位を僅かとれば教員になり得るということでありまして、現に教師課程を受けつつある学生の数は相当たくさんあるのであります。この意味から申しますと、免許状を持つておる学生の数は必ずしも悲観すべき少い数じやありませんけれども、併し問題は、そういう免許状を持つていても教員になつてくれない。これは産業に関するものにつきましては、教員になるよりも他の実業社会に出て働くほうが給与がよいといつたようなことが多い関係があるかと存じますが、併し現在の日本の給与の基準から申しますと、特に産業教育に従事する者の給与を高くするということは不可能でありますので、この点が結局問題の一番重点になるのじやないかと思うのであります。
それから第二は現在の養成法によりますと、大学の専門教育という点では申し分がありませんが、併し高等学校の現場の教育に適応する教育や教科内容を十分に自習して、そうして学生の実習、実技というようなことの教育に対しては必ずしも十分でない学生が出つつあることはこれは事実であります。この点につきましては、免許自体は工業に関する科目とか、商業に関する科目とか言いまして、何らの内容的制限を加えていないのです。ですから、大学当局にして若し高等学校にはこれこれの学科が必要だからというなら、そういうふうなカリキユラムを組んで学生に実習さして下さるならば、それができるようにしてあるのですけれども、これは決して我々の希望通りには動いていないのじやないかということを心配いたしております。現在の需給関係につきましては、何と申しましても、工業及び商業に関する教師が不足最も甚しく、現状で申しますと、これは職業教育課のほうの推定も入りますが、高等学校において乙号表の場合え基準にして考えてみても、農業の教員が約三百五十名、工業が七百名、商業が約八百名、水産が二十名不足しておるというような実情でありまして、これはいつまでも放置しておくことのできない実情だと思います。来年の四月になりますと、新旧大学の卒業生が同期に多数出て参りますから、一時しのぎの意味でならば、来年の四月には相当数の産業科の教員が得られる、これは数の上でであります。併し質的に産業教育振興の重任を背負つて立てるような人というものが一体どれほど養成されているかということについては、なお疑問の余地があると思われます。今後はどうするかと申しますと、一つの方法はすでに農業についてはやつておるのでありますが、大学を指定いたしまして、農業の場合ですと、十の大学を指定いたします。そこで特に教員養成に重点を置いたカリキユラムを組んでもらつて養成をしているのであります。工業についても今年度極く僅かそういう指定校を作りましたし、商業についても今考えております。来年度はこれは何とかブロツクに一つずつという程度に産業科の教員の養成をする学部を指定いたしまして、そこに特別に施設をし、人の力を貸してうまく行くようにしたい。今申上げましたように本年は僅かに芽を出したばかりでありますが、来年はもつとこれが組織的に行くようにしたいと思つて、今予算のほうの折衝をいたしております。それからもう一つは従来の産業教員の臨時養成所というふうなものには、一方で給費があり、一方で義務教育年限というものがありましたが、義務教育ではありません、就職義務或いは勤務義務というものを課したのでありますが、このことが今日は不可能なのでありまして、つまり義務を課して養成するわけに参りませんので、これが非常に困るのです。労働基準法が改まらない限り、併しこれは如何ともし難い。そこで止むなく来年度の育英会の学資貸与をこの産業科教員になろうとする者については特に別枠の予算をとりまして、これを今小学校と中学校の教員に適用しております。教育奨学生制度の中に包括してこの産業教育に従事してくれる学生に特別の便宜を図るということをいたしたいというふうに考えましてこのことも今予算を作つているところであります。以上簡単にお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/13
-
014・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私、どうしてこういう点をお伺いいたしますかと申しますと、今度の修正案の中に産業教育に従事する教職員の待遇に関してはこの特別な考慮というような項目がございますのでお伺いしているのでございますが、確かに産業教育の振興に当つては施設、設備もさることながら、やはり適格の教育者を得るということは私は非常に大きな要素になると思うのでございます。只今お伺いいたしましたところ、さすがは主管課長だけありまして、随分と御研究、計画的な考慮をされて、非常に敬意を表すと同時に立法府のものとして感謝申上げるわけですが、この点について私もう少し質問させて頂きたいと思います。今の大学で教員になるために教職課程を修めている学生は相当数あるので、その数の面からは心配ないというような御発言がありましたが、職業課程の教員になるべくその教職課程を受けている学生さんは全体の大体何%くらいあるのか、それに一応伺いたいと思います。それが一点でございます。
それから参考に承わるのでありますが、その教職課程というのは何単位を要望されているのか。曾つて私どもが学生時代には或いは商科大学とか、工業大学、或いは高等工業、或いは高等商業、高等農林、各種の専門学校に職業科教員の養成所というのがありまして、その養成所の生徒諸君は一般学生と同じ講義を受ける以外に教員養成所の学生なるが故に、格別に教職課程の講義を受けておつたわけですが、従つてその当時かなりその教員養成所の学生諸君は一般学生に比しまして負担が重かつたわけでございますが、あの当時と現在の大学における教職課程を受ける学生の負担の加重というものは同じ程度なのか、どういうふうになつているのか、その点伺いたいと思います。
それからやや基本的になりますが、先ほど課長のほうからの御説明によりますと、指定校制を試みにやつてみて今後これを推進しようと考えている、予算折衝中である、こういう御見解を承わつたわけでございますが、これは曾つての大学或いは専門学校に附設されておりました職業科教員養成所のような性格のものか、或いは今の大学はどうも皆さんがたが所望されるようなカリキユラムの構成をやらないので、そういうふうに指定せられたカリキユラムの構成を皆さんがたがかくあるべきだとお考えになるような線によつてカリキユラムの構成をして頂くように指定されようとするのか、いずれかということを御答弁頂くと同時に、後者のような行き方と、それから戦前とられておつたところの大学或いは各種専門学校に附設された教員養成所、ああいう形で職業科の教員を養成するのと、新らしい時代における教員養成のあり方としていずれが可なりと、よろしいと専門家としてお考えになつていらつしやるかという点を伺いたいと思います。なぜ今私こういうことをお伺いいたしますかといいますと、職業課程の教職員に優秀な人を確保するということは過去においても困難でありましたが、現在においても過去に劣らない程度に私は非常に至難な問題ではないかと思うのです。従つて若干理想から外れ、筋が通らないようなことでも、確保するためには、言葉が悪いかも知れませんが、一つの方便的な方法も又止むを得ないという点もあるのじやないかと思いますので、専門的に御研究なさつている課長さんのほうにその点承わりたい、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/14
-
015・玖村敏雄
○説明員(玖村敏雄君) 只今御質問の高等学校の教員となるべきものが教職課程をとつている人数でございますが、これは私が統計を持つていたつもりでございますが、中学校の分しか持つておりませんから後刻別に申上げます。今の教員養成の場合におきましては、高等学校ですと、大体教職課程は原則は二十単位なんです。教職は専門以外にですね。ところが職業に関する或いは産業に関する教員の場合にはこれをこの前の国会で十単位に減しました。従つて産業科教員の得難いということを緩和するために教職課程を半分に減らしたということは、やはり特別に考慮をいたしたつもりなんであります。ところがこの十単位を更になくしてもいいじやないかという議論も或いはおありかとも存じますが、併し御承知のように新制高等学校の新時代の青年の教育というものにつきましては、単に知識を持ち、技能を持つているということだけでそれを教育することは随分無理ではないかと考えるのであります。最近御承知のように大学でいろいろと問題が起るとかいうことをよく申しますけれども、それの基盤というものは現在のいわゆる高等学校教育に重大な問題があるのだ。このときに当つて青年の心理を承知し、教育の本義を理解し、或いは自分の専門に教える教育の方法について十分な識見と技能とを持つておることがやはり私は是非必要だと考えまして、教職課程はなくてもよいという議論にはどうも賛成しかねるのであります。そこで問題は、そういうような特別の教職課程を要求するのならば、別個な形で教員養成の単科の大学を作つたらどうか、例えば産業教育大学とか、或いは農業教育大学とか、工業教育大学とかいうものを作つたらどうかという案もあり得るのでありますが、そうなりますと、今度は又昔の師範学校が孤立的な教員養成をやつたと同じ弊害を生ずる危険性が多分にある。でき得ますことでしたら、やはり一般の他の学生と共に生活を共同にしながら、我々はあえて教育界に身を投ずるのであるからと言つて、この十単位の教職課程をとるほうがよいのではないか、この点については他の要素がこれに含まつて参りますので、そう簡単に結論は出ないかも知れませんが、少くとも孤立的な養成政策というものはとりたくない。然らばその次は今度は今の養成法はいわば軍隊語ですと、伍間増加法、つまりほかの学生のなかに、伍間に増加して入れておいて、教職課程だけ特別にとらせる、こういうやり方、この伍間増加法というのは教員になるために特に必要なカリキユラムの編成を困難にさせるということでちよつと困るのです。そうしますと、問題は今度は教員養成の目的を持つてその産業教育学部に入つていながら、而も独自な養成のカリキユラムに従つて学修のできるような組織を作つてやる。これをやるためには各産業の教育に従事しておられる学部がそういう態勢をとつてくれるように産業教育に対する十分な理解が必要である。最近幸いなことに農学部はすでにそういう十分な理解に達して、独自のカリキユラムを作つております。極く近く工業教育の面もそのことに着眼されまして、工業教育のほうでも本年度中には何とかそういう研究をして、来年から新らしい組織に行くようにしたいものであるという熱意を現わしておられます。これには若干のその方面の教授の陣容の強化ということも必要かと存じますので、そういうことは来年度の予算の上でこれをやらなければならないかと考えます。
要するに産業教育の教員養成というものは非常に困難な、複雑な問題でありまして、あながちに産業教員の不足ということだけにこだわつて特殊部落見たいなものを作ることはよろしくない。もう一方では計画養成というものを徹底させればさせるほど、クローズド・シヨツプ・システムになりますので、他の産業の学部から出た学生が教員になれないということはよろしくないことである。ここらのところが今度の非常に重大な問題でありまして、私はむしろこれは問題の中心は産業科の教員の待遇問題であるというところにあるのじやないかというふうに考えております。大変お答えすることがむずかしくて、事態そのものが非常に複雑でありますから、すつきりした線を申上げられなくて恐縮であります。今数字が見えましたから、ちよつとお答えしますが、農業について申しますと、学生総数の大体一二%の学生が教職課程を履修しております。一割ですね。例えば一万三千二百五十四の農業の学生がおりまして、その中で、千六百五十四人が教職課程を履修しております。それから工業の場合で申しますと、二万四千二百三十五のなかで三千五百三十一が、つまり一五%の者がこれを履修しております。商業の場合は七万八百四十五の学生のなかで二千八百九十九、四%が教職課程を履修しております。大体そういうようなパーセンテージであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/15
-
016・矢嶋三義
○矢嶋三義君 結局今度の法律案の第三条の三というのは産業教育振興のための教員の確保難の悩みが第三条の三に現われて来ておると思うのでございますが、従つてこの点を抜本的に解決しなければ、教員を確保する場合に若干の待遇をよくして、よその畑から引張つて来ようというような考え方では確保できないのじやないかと考えるのであります。只今の答えの数字によりまして、まあ商業が四%で一番少いというようなところ、なかなかみな慎重だと思うのですつこれらの単位を履修しておる諸君が皆様教職に就かれたならば、さつき課長のほうから答弁がありました乙号基準ぐらいは充足できるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/16
-
017・玖村敏雄
○説明員(玖村敏雄君) 大丈夫でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/17
-
018・矢嶋三義
○矢嶋三義君 乙号基準は、御承知のように最低のものですでに甲号基準に達していなければならないようになつておりながらも、いろいろな事情で未だに乙号基準が充足されない状況にあるのでありまして、その点から申上げても私は相当問題があるのじやないかと思います。
もう一点、これに関連して伺いますが、先ほど局長のほうからも検定制度というものがちよつと言葉に出たのですが、曾つて文部大臣は、検定制度も育成したいというような極めて漠然とした御発言を本委員会でなされたことがあるのでありますが、教職員養成課長として、検定制度というものをどういうふうにお考えなされ、更に現在の、これもまあ職業教育の教員だけに限らないのでしようが、一般的に教員の質的、量的確保という立場からどういうような御研究の過程にあるのか、それを承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/18
-
019・玖村敏雄
○説明員(玖村敏雄君) いわゆる検定制度、試験制度の得失につきましては、いろいろな面から検討いたして参りまして、最近教員養成審議会のほうの意見も徴した結果、現在達しております結論は、これは併しまだ決定と申上げかねますので、やがて中央教育審議会というものが発足いたしますと、そのほうに諮つて、文部省の政策としてこれを決定して頂かなければなりませんので、そういう段階にあることを御承知願いたいのですが、現段階におきまして、私どもがこれならばと思つておりますことは、従来のようにただ一度試験を受けて、或る種の免許状を一遍に取るということには弊害があるのじやないか。そこで例えば六単位とか、四単位とかいう程度の試験を「回にやる。そうすれば負担が非常に軽くなりますので、本職をおろそかにして試験勉強するということがなくなると思います。そういう単位を与えつつ検定をやつて行くというやり方は如何でしようか。そうしてこれを各大学に委託して、検定料をとつてでもいいから委託して実施すれば実施は割合に早くできる。そうして今の認定講習というふうなものによつて単位を得られるばかりでなくつて、この自学自習に基く検定によつて単位がだんだん得られれ上級に行くことができるということになると、非常に仕合せじやないか、こう考えまして、先ほど申上げました中央教育審議会の御賛成が得られるならば、私どもとしましては、二十八年度の予算にこれを現わしたい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/19
-
020・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は先ほどの局長の一般的な法運用に関する説明に関連いたしまして質問をここまで続けて参つたわけでありますが、先ずこの補助配分についての原則、並びにそれに伴うところの学校差を生ずるという点については、局長から飽くまでもこれは原則であつて、而もこれは本年度止むを得ずとつた方針であつて、でこぼこのできつつある点は認め、それを何とかしなければならないという答弁を頂きましたので、これについては今後或る程度原則でございますから、中央教育審議会の裁量の範囲をできるだけ拡げて運用されるように一つして頂きたい。
それから教育養成の問題についてお尋ねしたわけでございますが、これについては中央産業教育審議会においても答申すべく只今検討中ということを承わりましたし、なお文部省の所管課においても鋭意研究されているようでございまして、やや具体的な構想も承わつたわけでございますが、ともかく現状からして質的、量的に十分確保できるように早急に審議会の答申も促進させると同時に、文部省内におきましても研究対処して頂きますよう切に要望いたしまして、田中局長の一般的説明に対する質問を一応打切ります。教職員養成課長、時間があつておいで願えるならば、今質問するのは余り適当でないと思いますので、後ほどもうちよつとお聞きしたい点がありますので、差支えなかつたら暫くおいでを願つて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/20
-
021・岩間正男
○岩間正男君 私は簡単に一点だけお伺いしたいのですが、それはこの国庫補助分の六億六千六百万円、すでにこれに対して配分の方法が決定されたということでありますが、これに対するその裏付としての地方財政の負担、これはどういう方法で而もどういうふうにですね、地方のほうでは果して国庫負担分に対してこれに見合うところの地方の財政的な補助をやつて行くのかどうか、こういうことはどうなつているのか。それからこの補助金の交付時期はいつになるのか、そうしてそれはやはり一県々々というふうに分けてやるのか、それと関連しまして、地方財政のほうではどういうふうにそれを負担するのか、そういう点について具体的な大体検討はされたと思うのですが、そういうことについてあらましの点をお聞きしまして、それについてもう二、三質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/21
-
022・田中義男
○政府委員(田中義男君) 本年度は幸いにして地方起債を約五億円認められましたので、国庫補助三分の一、三分の一は起債、それ以外の純地方財政負担が三分の一、ほぼ当初予定をいたしておりました実を挙げ得たと総括的には考えております。それで私どもがそれぞれ地方に割当を決定いたします場合に、最初方針として申上げましたように、三分の二地方負担については確実に地方の予算においてこれが保証し得るものか、その確実さについてはよほど慎重に要求もし、又調査もいたしたのでございまして、それぞれ地方予算にすべて計上いたしてその議決を経ているものが大部分でございますので、地方において負担をするその確実さにおいては間違いなかろう、かように見通しているのでございます。それでなおこの地方財政におきましては御承知の平衡交付金制度もございまして、従いまして間接ではございますけれども、起債が三分の一、更に又地方の財政についてのまあ間接的な平衡交付金というものもそれぞれの補完作用をしてくれることと考えているのでございます。それから国としてはすでに先般最終的な割当の通知を各地方に出しまして、従つて国としては間もなくそれぞれの交付を始めることになるのでございますが、それは先ず最初の四半期に約五〇%、それから随時その次に四〇%、最後にこれは年度末になると思いますが、まあ一〇%、こういうふうに三回に分けまして国としては補助金の交付をいたすことに相成ると思つておりまして、第一回はそのうちもう近く確定次第交付することに相成ると予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/22
-
023・岩間正男
○岩間正男君 まあ大体内訳は地方起債のほうで五億というようなことになりますと、地方財政の負担部面はまあ八億四千万円ばかりになりますね。そういう配分になりますね。そうしてそれがすでに地方の議会では殆んど議決されて確実にその裏付ができるというところにありますか。そういうようなものはまあ地方と照会でもして、そうしてはつきり確認でもきせるという手段をとられたかどうか。それからこの交付の仕方ですが、これはどうなんですかね、今のような場合のように、まあこれは国家の交付の仕方はこういうことで、一応四半期ことに分割するというようなことがすでにまあ行われていると思うのですが、これは受けるほうの側になると非常に煩瑣で、そうしてそこで施設を総合的にやることが非常にまずくなるのじやないか。無論これは地方財政のほうで一時賄つておいて、その補助を見越してそうして一時繰り越すとか、そういうようには措置はとつていると思うのですが、もつと何というか、これだけの非常に少額の補助、それを又分割して五〇%、四〇%、一〇%というようなやり方をすると、非常に事務的にも煩瑣になるので、そういう点からいろいろ施設を十全にやる点で支障が起るというようなこともあり得ると思うのです。こういう点についてもつと何か方法がないのですかね。具体的にこういう点はどういうふうに検討されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/23
-
024・田中義男
○政府委員(田中義男君) できますなら、全部一括早く交付いたしますることが最も適当なのでございますけれども、まあ国の收入自体も御承知のように月々分れて入るようなことで、もう全般の補助金、交付金等がそれぞれ分割して交付されている実情は、これは御承的の通りでございますが、ただ具体的の問題については、特に地方の先ほど申しましたように議会等においてはつきりと予算を議決し、而も確実に間違いないというようなもので、特殊な場合においては必ずしもこの原則を守らなければならんというようなこともない、個々の場合におきましては、これはできないこともないかと思うのであります。併しこれは他との関係もございますから、よほど慎重にやりませんと、公平の原則を失することになるかも知りませんが、併し先ほど申しました総額においての総補助額としての割当につきましては、大体まあすでに第二四半期、第三四半期、第四四半期と分けてやることになつておりますので、その中での操作については多少考えられないことはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/24
-
025・岩間正男
○岩間正男君 これは六・三制の補助の場合すでに試験済の問題だと思うのです、今の問題は……。六・三制の校舎建築の補助がやはり分割されまして、そうしてなかなかどうも最初の予定通りそれが入らない。そこへ持つて来て御承知のように物価の変動が非常にあつた。こういうことで、実際地方の財政にとつては非常に迷惑を与えておる。あの時分よりは物価の変動の線というものはよほど安定しておりますけれども、それにしても物価の変動というものはあるので、こういう点からやはり今の問題を、殊にそれほど大きな額でもないのに分割で補助されるという点が起つて来ますと、なかなかやりにくい。実際その局に当る面になりますと、県との交渉とか、それから文部省との折衝、大変なことだと思うので、そういうことでも僅かばかり施設を増加するために一人か二人かかりきりにならなければならないということで追込まれるのは非常にまずいと、こういう点から私は心配しているのでありますが、こういう点はやはり文部省でもこの交付金の交付について何とか考える方法はないか。殊にそういうところは、産業教育の中央審議会あたりがもつと、殊に財界人なんか入つておるのですから、もつとこういう点を何とか国庫の補助というものが一応決定されたら、それを裏付けとしてもつと有効な方法で操作の面をうまくやるということは考えられると思うのです。こんな点でやはり文部省は政治性を発揮すべき問題だと思うのですが、こういう点を検討して頂きたいと思うのです。
それからもう一つお聞きしたい点は、いろいろ今度の補助が決定されて、最初は二分の一というようなことで期待しておつたのが三分の一ということで、それも最初の原案では三分の一にもなりかねると、五分の一くらい、それが何とか三分の一になつたのですが、非常に多くの要望が出て来たと思うのですが、その要望に対して今度補助を決定したら全体の要望のどれだけのパーセンテージくらいになるか、その要望は全部は出揃わないと思うのですか、併し一応そういうものは意思が表示されたと思うのですが、そういうものに対して大体何パーセントくらい今度の交付金として要望が満されることになるのか、この点は押えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/25
-
026・田中義男
○政府委員(田中義男君) 最初に、補助金を折角交付いたしますなら、その目的に副つて成るべく地方に支障を来さないように更に考慮すべしという御意見でございますが、誠に御尤もでございまして、私どもできるだけそういうような御趣旨に副うように将来も考えたいと思います。
それから地方の実際の需要額でございますが、これは確か当初百数十億の要望があつたと承知いたしております。従つて、現実の配付は誠に僅かでございまして、なかなかこんなことではその目的を達し得ないと承知いたしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/26
-
027・岩間正男
○岩間正男君 それからこの要望もそうですが、大体この計画は、年度計画というようなもの、そういうものは文部省は立てておられるのですか。それから大体一つの水準に達して、最低限度でもこういうような産業教育をやる設備、施設をどの程度にはつきり確立することができるかという計画ですな、そういう計画というものは、やはり現実はその通りとても行かないのだが、併しそれを進めて行く上に非常に大きな目安になると思うのですが、そういうものはできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/27
-
028・田中義男
○政府委員(田中義男君) だんだん予算その他の折衝をいたして、現実に即して修正変更しなければならない実情ではございますが、当局において最初立てました計画は二百億、それを五カ年計画でやりたいという実は計画を持つたのでございますが、これは相当更に修正の余儀なき実情に至つております。
それからなお施設、設備の基準でございますが、これらも最初申しましたように、中央産業教育審議会において先般答申がございまして、その答申による設備基準等について予算を計上いたしますというと、およそ中学校において五百億、高等学校において二百五十億も要ろうかという誠に莫大な費用を要する現状にあるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/28
-
029・岩間正男
○岩間正男君 もつ一点伺つておきます。それでは今度の補助金の交付内容は産業別にどういふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/29
-
030・田中義男
○政府委員(田中義男君) 今回の補助として支給をいたしますものの仮定数を申上げますと、農業において四百二十八件、金額を申上げますというと、国庫補助金としては総額において一億百万余円、それから工業において四百七十九でございましてこれが三億二千五百万余円でございます。それから商業において三百二十一、その補助金が六千万余円になります。それから次に水産は、五十五の仮定数で、その補助額が千二百余万円です。それから最後に家庭科でございますが、これが仮定数において五百五十五となりまして、金額において五千二百万余円でございます。さように相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/30
-
031・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/31
-
032・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記を始めて……。それでは休憩いたします。
午後零時十一分休憩
—————・—————
午後一時五十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/32
-
033・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) これより文部委員会を再開いたします。
産業教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。質問のおありのかたは御質疑を願います。
ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/33
-
034・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/34
-
035・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 私は提案者のかたがた並びに政府に、文部省に質問をいたしたいのでありますが、今回第三条を改正されたのでありますが、この第三条の改正ということは、結局国が産業教育というものの振興を図ることに努めなければならんということを新らしく入れられた。以前はこういうものに対して、地方公共団体のそういうものに対して産業振興のためにやるというものを、それを改正して「産業教育の振興を図るように努めるとともに、」ということを特に入れられたのであります。これは私は恐らく日本の今後の経済自立上、産業教育というものが非常に重要であるということのために、殊更にこういうふうに改正をされるのであると思いますが、どういう目的を以てこういうふうに改正をされるのであるか、その点を提案者の御意見を伺いたい。併せて文部省の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/35
-
036・若林義孝
○衆議院議員(若林義孝君) 御質疑になりましたお気持を我々は十分体しておるのでありますが、そういう意味におきまして、全般的な日本の教育施策というものは、他の施策に比較いたしまして、非常に低位にあることだけは事実であります。これは如何なる部門の差別なく、全部私は非常に低位にあると考えるのでありますが、無論この全体を高めて行くべきものだと思います。併しながら特に産業教育というものに優先して力をいたすべきだというこの気持を表面に具現するという意味におきまして、この今度の第三条の改正になつたのでありますが、同様にそれに加えまして、国の責任ということを明確にいたしたい、国がやはり先頭に立つて産業教育の振興を図るべき責任があるということを一つ明確にいたしたい、こういう意味で特に改正をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/36
-
037・田中義男
○政府委員(田中義男君) 文部省の立場においてこの改正案を見ます場合に、御承知のように第三条は地方公共団体がいろいろ産業教育振興のためにいたしますその施策について奨励をしろということになつておりまして、国自体が直接みずからなすことについての規定ではございませんので、かような規定を改正することによつて産業教育の振興は国自体においても当然みずからのやるその施策の中においてその振興を図らなければならない。こういうふうに規定されるのでございまして、私どももそういう意味において承知いたしたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/37
-
038・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 提案者の説明は私はちよつと了承ができないのですが、何だか国だとか、或いは産業振興とか、産業振興法なんであるのだからと、そんなことは当然な話なんで、どうも意味がはつきりしないのですが、文部省の今の御意見は地方の公共団体に対してまあ助成をするということのみであつたが、今度は国も直接やると、こういうことで、そういうことなんだろうと私も実は思うのですが、そこで私は今国内におけるすべての重要産業、或いはすべての産業の中心になつて本当に技術的の中心になつておるのは、元の専門学校の卒業生があらゆる場面において技術の中心になつて、而も日本の産業の振興というものはそれによつてできておるということは皆様がたよく御承知だと思う。ところがそれらの専門学校がことごとく大体新制大学、大学に昇格した、新制大学の形をとつておる。ところが現在の実情を見ると、元の専門学校のときよりも遥かに劣つている。殊にそのいずれの専門学校においても一つの特色を持つて、そうしてその卒業生というものがその会社の非常に大きな力になつて結び付いておつたのだ、最近においては大学にはなつたけれども、その実質たるや非常にお粗末で而もいろいろな設備があつてもそれはもう全然見本に過ぎなくて実験はされていない、実験はできないのである。そういつたような形にあるので、実際面において今後日本のいわゆるすべての産業を経済自立の上から、又いろいろな賠償の問題の上から、これほど技術のやかましく言われておるときに、一概に大学だと言うて片付けるのじやなしに、やはりここに新らしく第三条に改正を加えられたということは、国が直接産業教育に力を入れるのと併して、一方地方公共団体のものにも助成して行くと、こういう意味からこの特殊の、いわゆる新制大学は国立であるからというようなことでやらないで、これも或る程度この振興法によつても考慮すべきであると思うのでありますが、その点に対しての御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/38
-
039・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 只今御質問のお言葉のうちにございました御意見、誠に我々といたしましても適切に考えておるわけでございまして、新らしい制度によりまして高等教育を変革いたしましたけれども、この新らしい大学はもとより職業人、社会人という養成に重点を置くわけでございまするので、殊に技術教育の面におきましては、産業界の進歩いたしまする実情に伴い、或いはこれに先んじて教育するところがあるべきであるということは我々常に念願いたしております。ただ財政その他の状況によりまして、御指摘のごとく今日技術教育関係の学部の施設その他非常に不十分でございまするけれども、こういう点におきましては、国においても十分力を努めますると共に、実際に産業界の御意見等も十分教育計画に反映いたしまするように考究いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/39
-
040・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 まあそういう答弁でありましようが、併し実際今後の事業というものの進歩の状態から考えてどうしても或いはまあ昔で言つたら甲種程度、つまり中学程度、今で言うと高等学校というのですか、そういう程度のものでこの各種事業の進歩のいわゆる速度に合わして、そうしてそこに本当に世界各国の技術に伍して推進して行くということはそんな程度のものではできない。実際今までの専門学校程度でもまだ不十分であるのです。然るに現在はもう、……全国の専門学校というものは非常なそれぞれ特色を持つておつて、そうして事業そのものがあの学校によつて生み出されて行くといつたようないわゆる非常な権威を持つておつた。ところが最近はもうその権威はすつかり失墜してしまつて、どれもこれも一律に新制大学であつて、何らの特色を持たないようなふうになりつつある。ここに力を入れないで日本のいわゆる技術水準を上げて行くのだ、或いはこの日進月歩の時代に処してこの産業を推進して行くなんということは考えられない。小学校を卒業して、いわゆる今の高等学校程度のそこにえらい期待をしてもそれは恐らくできないのだ、そこらでは一つの基礎学をやるのだ、それから進んでその基礎学を基にして本当にいわゆる最近の時代の進歩に即して研究を進めて行くということは、結局もう一つ上の学校でなければならないのだ。その学校が設備もできない。あたら設備もそれは錆びてしまつてただ見本に過ぎないというようなことになつておる現状は勿論当局もよく御承知であると思う。これに力を入れないで、えらい技術でやるとか、或いは世界のこの進歩の状態に伍して行くというようなことを考えられることは私は非常におかしなことではないか、こういうような考えを持つので、それで折角のこういう振興法ができておつて、而も第三条が改正されております。その点に対してもできるだけ力を注いで行く途を開いて行くということは当然なことである。これはもうとにかく本当に中等学校程度のものよりやらないのだなんということを考えておるそのことが私はおかしい。ところが半面から言うと、予算云々ということを言われるけれども、予算というものはこれは今年の予算は今年の予算、来年はそれは又必要に応じてやられればよい。私はそう狭い範囲に考えられることは……、産業教育なるものはもつと真剣に考えらるべきものじやないかと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/40
-
041・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 只今のお言葉の御趣旨のように私お答えいたしたつもりであつて、決して今日の不十分な設備を以て満足しておるものではないのでありまするし、又各技術関係の大学学部のそれぞれの特色を発揮するように持つて参りますという点につきましては、文部大臣もしばしばいろいろな機会にその方針を述べておられまするように、例えば浜松の工学部がテレビジヨンにおいて特別にぬきんでるとか、或いは山梨の工学部が醗酵工学に特色を持つとか、それぞれ産業界に対して権威ある一つの力となるような、工学に特色をつけるようにますます発展いたしたいと考えております。更にこれを実際工業部門と……例を工学にとりますと、工業教育と密接な連関を持たしめるというような点につきましては、最近工業教育研究集会の実業界のかたと、学校の研究者或いは教育家のかたがたに共に御相談する機会を作りまして、本年におきましては各地区々々に、又全国的にこうした実際家と学校のかたがたと相寄り相協議いたしまして、如何なる方向に工業教育を指向すべきかということについて十分御協議願うという態勢を今日作りつつある次第でございまして、只今お話の御趣旨のような方角に、我々といたしましても今後とも努力をいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/41
-
042・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 最後に一言お聞きしますが、そうすると何ですか、この産業教育振興法の一部を改正する法律案の中の第三条の一部をそういうふうに変えられたことは、結局大学というようなものは、ここからは全然除外するのだ、こういう前提の下に私は産業教育の振興を図ることに努めるということで特別にこれを入れられたということは、それはどういう意味でここへ入れられたのですか。それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/42
-
043・若林義孝
○衆議院議員(若林義孝君) この国立大学のものにつきましては、国が責任を持つておるのでありまして、この振興に関しましては、当然国立大学設置法に伴うそれぞれ法的根拠を持つて設備が拡充して行かれるのであります。この点は将来政府として大いに力を入れなければならんのであり、恐らく今、局長からの御答弁は、その線において大いにこの予算獲得にも又設備の拡充にも努められることを話されたのだろうと思うのでありますが、只今御審議を願つております産業教育振興法なるものは、地方公共団体並びに私立学校等が行いますところの教育であつて国から補助を受け、又国の産業教育に関するところの施策を及ぼす法的根拠がないために、この法案を作りまして、補助を与え、促進をして行くということを規定したいのでありますが、併し今度この改正をいたしまして、国が産業教育振興を図るように努めるということを入れましたのは、地方公共団体だけに責任を持たすのでなくて国としても地方公共団体のものを国のものと同じように一つ力を入れて行くべきである、責任を持つて地方公共団体が行う学校の産業教育にも積極的に力を努め、努力すべきだということ、国の責任を法的に現わして明確にしたほうがよいと、こういう意味で入れたのでありまして、国立大学その他につきましては、堂々と国の責任がきめられてあるわけであります。この法案が産業教育振興法というものになり、如何に産業教育を重視しなければならないかということが澎湃として今度政府から出されました僅かな金ではありますけれども、各府県の隅々の学校の中にも植えつけられて行くわけでありまして、これに伴いまして、産業教育の如何に重要なものであるかということが恐らく国民一般にも滲透しつつあると思うのであります。この機運によつて今御発言になりましたように、貧弱極まる甚だ大学の施設としては、設備としてはこれはお話にもならない設備を、これから拡充して行かなければならないという局長の言われたことも、私は国家として先ず大いに取上げるべき機運になつて来た、こういうように考えるのでありまして、勿論必要なこつとはわかつておりますけれども、一つこの世論というものが起つて、この産業教育振興法ができた。これができることによつてより以上産業教育振興の機運が高まることによつて、国立大学の施設というものが拡充されて行くようになる、こういう念願を持つておるのでありまして、ここでこの改正をしましたのは、地方公共団体の行うところの学校施設も、国家として相当責任を持つべきだと、努力すべきだということで、ただ地方だけに任しておくのじやなく、国家も積極的にこの振興に努めるべきだと、これを明確にするためにこの改正になつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/43
-
044・矢嶋三義
○矢嶋三義君 提案者並びに政府委員のかたにお伺いいたしますが、今度のこの改正法律案の骨子というものは、産業教育について国が或る程度の責任を持つという、それを明確にした事柄だと、そういうようにも考えられる。問題は本法律案が昨年の国会において通過するときに問題になりました実験実習により生ずる收益、教員の資格、教育用図書、この三点の改正に私は主眼点があると思うのであります。つきましては、この産業教育振興法を先般の国会において審議するときに、これらの三点については当時法律案の提案者におきましても、又政府委員におきましても、十分な構想というものは持つておられなかつた。従つてなお研究の余地ありというので、私ども参議院においてはこれを保留した形になつておるわけであります。ところが法施行後一年にしてこの三点についての修正案を提案されて参つたわけですが、私この際承わりたいのは、その後どういう御研究をなされ、どういう結論に達せられておるか。もうちよつと具体的に申上げますならば、その当時一体、「教員の資格」云々、或いは「特別の措置」とあるが、一体どういうことをお考えになつていらつしやるのかというようなことについては、具体的な答弁を頂かなかつたのが、先般の国会で保留になつた最も大きな原因になつておりますので、これらの三点についてその後研究された結果、それに現在持たれておるところの構想をですね、そういう点を提案者並びに政府に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/44
-
045・若林義孝
○衆議院議員(若林義孝君) 提案者といたしましては、前回この産業教育法を提出いたしました時、それより以上強くその必要を感ずることには変りはないのであります。当時におきまして非常に御慎重を期して頂いたのでありまして、我々提案者としての不行届の個所がありとするならば、それを補つて頂く意味で御研究を願つておつたのであります。大体御研究の結果その必要性をお認め下さるということになつたのでありますが、私たちとしてはむしろこちらのほうで御提案を願いたいような感じをも持つておつたのであります。そういう意味におきまして、これがこう変つたからこうしてくれというお願いをするというのでなくして、いよいよこれを実施いたしてみましてこの三点をお取上げ願つて御審議を願いたい、こういう意味でありまして、提案理由の説明にもありますように、具体的のことにつきましてはそれぞれ当局から一つお話願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/45
-
046・田中義男
○政府委員(田中義男君) 改正案の中で第三条の三の問題に関しましては、大学学術局長が見えておりますから、いろいろ御説明願うのが適当と思いますが、実は今朝来教職員養成課長が見えまして、いろいろ御説明になつたようになかなかいろいろ問題がございままして、私どもも何らかの改善措置が講ぜらるべきとは思いますけれども、まだ結論を得ておりませんのと、他面只今丁度これも今朝申上げましたように、中央教育審議会においても教員養成並びに資格の問題として特に部会を設けまして、そうして折角具体案を得るためにその部会において研究中でございますので、その点現状だけを申上げておきます。
それから第三条の四といたしまして、教科用図書の問題でございますが、これもすでによく御承知のような現状でございまして、何らか特別なる措置をいたしませんというと、採算のとれないこの産業教育用の図書は営利会社においては出版を期待することができません。取りあえずの措置といたしまして、文部省におきましては本年度の予算として、現在の実情は御承知のように一万部以下の発行部数を持つておるものが全書籍の二百二十三の中で六四%も占めておる実情でございますので、取りあえずその中の十七種類を文部省の直接特別な措置として、みずからの編纂において十七種類、予算から申しまして三百八十万円頂戴いたしておるのでございますが、それらを使つて然るべき適当なる編集をいたしまして、そうしてその出版ができますような計画をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/46
-
047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 第三条の四については、少しちよつと今私明確に聞取れなかつたのですが、十七種類に対して三百八十万円の予算であなたのほうで編集される、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/47
-
048・田中義男
○政府委員(田中義男君) 編集を文部省においていたすつもりでおります。出版は別にそれぞれの手続を経て会社から出版させることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/48
-
049・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それがいわゆる天野さんが言つておつた標準教科書の意味になるのですか。それとね、十七種類というと、職業課程に分けるとどういう割振りになつておるのか。それから編集する場合に編集員というものはどういうふうにされるのですか。それからそれとも関連しますが、特別の措置を講ずるというのは、そういう形で三、四百万円の予算で今後やつて行きたいということを提案者においても政府委員においても考えられておられるのか、その点明確にして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/49
-
050・田中義男
○政府委員(田中義男君) 編纂の教科書の内容は農業、工業、水産に関するものでございまして、なお文部大臣の言われる特別なる文部省による編纂云云のお話でございますが、あれとは全然これは別でございまして、この産業教育に関しまする教科用図書の編纂は全く当初から特別なる計画の下にやつておりまして、これははつきり混同のないように御承知おき願つておきたいのであります。なお、私どもはこれによつて教科書が十分に出て行くとは思いませんので、何かそこに発行に関する一層の強力な助成も必要じやないかとも考えておりますが、未だ着手の時期には至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/50
-
051・矢嶋三義
○矢嶋三義君 現在までにやられておるその措置では不十分だ、更に何かをやりたい。その何かということをどういうことをお考えになつていらつしやるかということを伺つておるわけです。そうでないと、ただ漠然と特別の措置というのでは審議のしようがないわけですね。昨年もやはりそれが問題になつた。それを提案する以上は何か考えを持つておるだろうと思うのですね。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/51
-
052・田中義男
○政府委員(田中義男君) 提案者の側に更に具体的なものがおありか存じませんが、文部省として実はこの計画を立てましたこともその特別なる措置の一つなのでございまして、ただ更に附加えまして、何かいろいろこれは検討の余地は残されておりますけれども、先ほど申しましたように発行助成等もいたすことが万全であろうと実は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/52
-
053・若林義孝
○衆議院議員(若林義孝君) 矢嶋議員は教育の実際面に御関係でございますので、私たちよりこの点は詳しいことだと思いますから、駄弁を弄する必要はないと私は考えるのでございますが、併し提案者どういう気持を持つておるかということでございますので、そういう立場にあるから一つ申上げるのでありますが、教育科目によりまして教科書がいろいろに専門的になつて参りますと違つて来ると考えられます。素人考えでありますが、テレビジヨンその他新しいところのものが教科として考えられて来るときに、これを発行するのに編纂はできたが、発行するのに図面、写真その他を入れますために高価につくようなことがある、そういうものに関係しておる生徒、学生に対して余りに教科書だけに重い負担を課するという場合、出版費その他を発行会社に援助することによつて、又これはそういうことでもしなければ採算がとれん、引受けてくれればそれはいいと思いますが、とてもこれは儲けにもならず、買手もなし、いつこしらえたやつを全部買うてくれるかわからない、相当の部数を作つておくが買手はいつ付くかわからないということも考慮の対象になるのではないかと思います。或いは諸外国にできておりますものを買入れて、これを一つ学生、生徒に使わすというようなことも考慮の対象になるのではないか。いわゆる輸入書籍として、これを個々一人々々の学生、生徒に負担さすということも過重になるような場合、相当これは考慮すべき対象になり得るのじやないかと考えるのであります。これらのどういうものがその対象になるかということは、中央のいわゆる審議会、或いは地方の審議会において御検討願えることだと思いますので、何かこの措置を講ずることのできることたけはしておかなければならんという感じがあるのであります。差当つて産業教育関係のかたたちの強い要望が、今局長からお話のありました事柄が実施されつつある一半だと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/53
-
054・矢嶋三義
○矢嶋三義君 職業課程に就学している学生生徒自身が教科書を割高に入手しなければならない状態に置かれているということは、これは否定できない事実だと思うのですか、私がこの際承わりたいのは、恐らく当局に対してはかくかくにして欲しいというような要望がいろいろな関係筋から提示されておるのじやないかと思うのですが、特別な措置を講ずるにしてもいろいろな方法があると思うのですが、おおまかに言つて、大体の要望の線というものはどういうところが出ておりますか、どういうふうにして欲しいというような……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/54
-
055・田中義男
○政府委員(田中義男君) 教科書の問題について、高いから然るべき措置を講じてくれというこの声は非常に強いのでございますけれども、更にその中に入つてどうしてくれという細目についての改まつたお話は、私ども余り実はまだ承知いたしておらんのであります。それでともかくやはりそれぞれ他の方面との関係もございますし、又すべてやります以上、生徒自身の立場も考え、よほど教育的にそれが実施できますようにいろいろな点を考慮した上で、ともかく教科書が安く手に入りますように措置してやりたいと、いろいろ考えて来ておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/55
-
056・矢嶋三義
○矢嶋三義君 非常に抽象的で、具体的な答弁を殆んど頂けないのは、遺憾に思うのですが、万一この法が通過した場合の、或いは編集とか、或いは発行会社に補助するという発行会社の選定の仕方とか、補助の仕方とか、随分これは運用面に私は問題が残ると思うのですが、昨年来の問題ですし、文部省のほうではもう少し積極的に是非こういうふうにしたい、こういうふうにすれば民主教育確立のためにも結構なことだし、更に先生がた並びに父兄、生徒諸君の要望にも副えるのだというところの結論らしきものを早く私はつかんで頂きたいということを要望して、これはこれで打切ります。
第三条の三ですが、これについては、或いは教育の資格とか、或いはこれは養成との関係がありますが、定員とか、そういう点については午前中に若干答弁して頂いたわけですが、特別の措置という点について、先般の懇談会にもちよつと出ましたように、或いは待遇とか、或いは手当とかいう言葉が出ておるわけなんですね。そこで少くとも提案者或いは政府委員のほうでは確たる私は研究の結果のやはり結論を持つておるだろうというのでお伺いしたわけですが、逐条審議に入つて聞くべきかも知れませんが、私は一応ここで承わりたい点は、提案者並びに政府委員、殊に政府委員は実際に運営して行くので大事だと思いますが、一体この待遇と手当はどういうふうに違うのか、そうしてどちらが望ましいのか、これは職業課程の学校だけで考えてはならんでしようし、全般的にやはり高等学校教育という広い視野から考えなければならんでしようが、そういう立場から公平に考えた場合にいずれが望ましいのか、いずれによつてより以上産業教育が振興できるのかという角度から、待遇と手当の相違、並びに望ましいのはいずれかという点について御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/56
-
057・田中義男
○政府委員(田中義男君) 先ほどの御質問にちよつと関連いたしまして、先にお答えをいたしますが、先ほど教科書の問題につきましては、ここにございますように、編集、検定につきましては、それぞれ実際のかたがた、或いは学識経験のかたがた等を編集委員にお願いをいたしまして、そうして只今すでに綿密なる計画の下に慎重審議を進めておるのでございます。
それからなお只今の待遇と手当の問題でございますが、待遇と申しますと、私どもの解釈では非常に広うございまして、いわゆる身分上の問題と、そうして給与の問題、その他物質上のそれぞれの問題は、広く言つてこれは待遇だと存じます。手当と申しますと、狭義における基本給等を除きまして、何らかの給与が与えられる場合にそれを手当とこう申しますのでございまして、公務員につきましては、御承知のように公立と国と両建でございますけれども、教育職員のあの特別法によりまして、公立学校の職員の給与等については国立のそれに準ずることになつております。国家公務員法の規定によりますと、如何なる待遇、物質的な給与といえども、ことごとくそれが法律に規定がなければ、いわゆる給与準則に規定がないものは一切支給してはならんとなつておりまして、それによつて手当とは如何なるものか、それぞれ具体的な規定がございますので、それらの規定に新たな改正を加えませんというと、実は出すわけには参らないことになつておるのであります。そこでここに言う特別措置の問題でございますが、従つて単にこの法律で規定するのみならず、遡つて国家公務員法にいう給与準則、或いはその給与準則によつてきめられておる政令を改正いたしませんというと、その実が挙りませんので、それらの調整を更にいたしませんと、直ちに具体的な問題にならんのではないかと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/57
-
058・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私の後段の答弁がないのではないですか。相違の点を主として述べられたと思うのですね。いずれが望ましいとお考えになつておるかという点について、もうちよつと足りないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/58
-
059・田中義男
○政府委員(田中義男君) これはいろいろ考え方もあり、実は議論のあるところでございまして、待遇ということになりますと、他の教職員との関連が非常に面倒でございまして、ただ産業教育に関するものだけ特別なる待遇をすると、こういうことにつきましては、建前から慎重を要すると思うのでございます。そこで別にそれなら手当でどうかというお話でございますけれども、これも先ほど来申しますように、他の方面の調整措置をいたしませんと、これ又直ちに具体化するには不適当だと、かように考えでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/59
-
060・矢嶋三義
○矢嶋三義君 だからどうしたらいいかというのですが、どうも八方美人で、あなたの考えがどこにあるのかわからない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/60
-
061・田中義男
○政府委員(田中義男君) 私どもの立場としては、只今ここでそれについての待遇或いは手当等を御決定にならんで、もう少し検討させてもらいたいというのが本当でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/61
-
062・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それではあなたのほうでは自信がないからどちらでもいい。それで出たとこで検討しよう、こういうことなんですね。そう了承してよろしうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/62
-
063・田中義男
○政府委員(田中義男君) 出たとこでどうという意味でなしに、どちらにするかについての意見を発表いたしますのは、もう少し検討させて頂きたい、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/63
-
064・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はあなたから確信ある答弁を頂いて、それを重要な資料としていずれがいいか態度をきめようと思つて実は質問申上げたわけですが、最も当局である、責任の立場にある、専門的な立場にある局長から、まだ研究不足で答弁頂けなかつた点は非常に遺憾に存じます。
それから次に第三条の二についてお伺いいたしますが、これは提案者にお伺いいたしますけれども、実験実習によるところの生産費の処理という点については、ずつと前からいろいろ議論されたところであり、産業教育においてはその処理上最も重要な問題だと思うのでありますけれども、これらを、これだけ生産が上つたからこれを学生に還元するのだというように割切つて法律に成文化するということはどうお考えになつておりますか。私はともかく広く言つて教育環境を整えてやるということが私は教育の政治をやるに当つて一番大事だ、それだけでいいと思うのですが、そういう大きな環境を整えてやるという中に、当然或いは施設において、或いは設備において、或いは教授陣の構成において、それらにおいて即ち広い教育の立場において学生生徒には還元さるべきものが当然であつて、はつきりと割切つて働いた部分についてこれだけは生徒に還元するのだ、そこまで割切つて法文化するということについては若干の私は疑念なきを得ないのですが、提案者のそれらについての御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/64
-
065・若林義孝
○衆議院議員(若林義孝君) この表現の仕方につきましては、巧拙があると思うのであります。併しお気持におきましては、そのまま私たち受入れるところで、ただこれを成文化しなければならん……なぜかと申しますと、今まで大体これが府県立でありましたならば、府県の收入の中に入れられてしまいまして、大体成績を上げるためにはその妥当性を欠くような場合があつても、大体そこまで一つ上げなければならんという無理も生じて来る。折角上げてもそれはどこかへ行つてしまうというのでは困るわけであります。これを直接その收益が上つたやつを学生生徒に還元するというのじやなしに、無論今御発言になりましたような行き方でなければならん、当然各個人々々に返す、割当てるべきものでもない。実験実習がより能率的に教育の効果が上るよう、その施策の方面を完全にして行く、環境をよくして行くべきものである、これに重点を置くべきだと思うのでありますが、この表現の仕方に巧拙が私はあるのだろうと考えます。で、法文化しなければならんということにつきましては、非常に理解のある各府県当局でありましたならばいいのでありますけれども、これの理解を少し欠くようなことがあり、又逆に先ほど申しましたように無理な收益を上げて、予算面だけは充足しなければならんというような一つの拘束を受けることがあるわけであります。その理解のあるところならば法的の措置は要らんかも知れんと思いますが、やはり法的の措置を講じて置くほうが安心ができるのじやないか、こういうふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/65
-
066・矢嶋三義
○矢嶋三義君 まあ若林提案者のほうから御説明がございましたが、意見になりますから詳しく申上げませんが、親になるところの法律という立場から、法文上やはり私は疑点を払拭することはできません。施行細則であるとか、或いは規則とかいうような面に盛るのならばなんですが、親となる法律にこういう表現というのはやはり検討の余地があるのじやないかということを発言して、この点はこれでとどめます。
次にお伺いしますが、先ほどこの大学から高等学校、中学校、更に小学校とすべての階級において、この産業教育を振興しなければならないという御発言があり、その筋から先ほど白波瀬委員と提案者、或いは政府委員との間で大学関係の問題が質疑応答されたのですが、私はそれを途中から承わつたのでありますが、それに関連して少し私は御質問申上げたいと思うのです。私の承わつた範囲内では、白波瀬委員の質問していることに対する政府委員の大学学術局長、お帰りになつたようですが、その答弁はどうも平行線になつていたと思うのです。聞かんとするところに答えていないのです。大学の産業教育を振興しなければならないということは、これは何人といえども否定するところではないのでありますが、私はここで少し明確にしておきたい点は、この産業教育振興というこの法の組立ですね、体系から言つて、この法律によつて一つの予算が確保される、その予算を国立大学の産業教育振興に廻すというのは、この法の体系から言つて私はおかしいと、こう考えるのですね。国立大学の産業教育は勿論重視しなければならない。それは国立大学の予算の中で当然この法律の精神を活かして確保さるべきものであつて、この法律を裏付として確保された予算を国立大学に向けるということはおかしいのです。その点を私、ちよつと申上げまして、意見をはつきりと承わつておきたいと思うのです。私は国立大学の産業教育に予算を向けるのが惜しいからとか、そんな吝な考えから申しているのではなくて、やはり筋を通さなければならん立場から明白にしておきたいと思うのですから、このたび国の責任というものを謳つたと、それは要するにこの産業教育について国が或る程度責任を持たにやならん、特にこの公共学校、私立学校、これは公、私立の大学も含みますが、それらについて責任を持たなくちやならんということを大まかに今度の修正で規定したわけですが、この母法を見ますと、はつきりと第三章の財政的援助、そうして第一節で公立学校と謳つて、第二節で私立学校とはつきりとここに対象を謳つてあるわけなんです。国立学校というのは謳つてないわけなんです。そして第二条にこの法律で産業教育というものはどういうものを言うかという定義が書いてあるのですが、ここに大学とあるのですが、この大学というのはこの法律を仔細に読めばわかりますが、公立と私立の大学というもの、私はそれに対するところの補助並びに奨励というものを内容として私は規定していると思うのです。殊にこの第三条の前に、国の任務とありますが、そこに「地方公共団体が左の各号に掲げるような方法によつて」云々と、はつきりとここに掲げて地方公共団体ということまで書いてある。だからこれ以上申上げませんが、要するにこの母法をずつと読んでみますと、飽くまでも公私立の大学以下の産業教育の振興を図るために奨励、援助的に国庫から若干の補助をなす、こういうところに私は立法の精神があるので、従つてこの法律によつて確保された予算を国立学校のほうに向けるというのは間違いであつて、この精神に従つて、国立学校の予算内において産業教育振興の予算を確保することによつて国立学校の産業教育を振興すべきものである、こういうふうに私は考えるのでありますが、これに対する先ず政府委員の見解並びに提案者の見解、両方承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/66
-
067・田中義男
○政府委員(田中義男君) これは特に提案者のいろいろなお考えもあるかと思いまして、それを私も伺いたいと思うくらいで、ちよつとどうかと思うのでございますけれども、私の考えているままを率直に申上げますと、恐らく先ほど御質問のありました趣旨は、この法律によつて国立の大学等にも堅実な補助ができるようにという意味においての御質問であつたと思うのでございます。併しお話のように、この法律の建前は確かに公立、私立の学校を国が奨励をして行こうという建前でございまして、ただ一、二の字句を修正したからといつて、それによつてその目的にこれを運用しようというのは私は少し無理があると思います。
なお奨励をするというこの法律の大部分の趣旨から申しまして、私どもも疑問に思いますことは、国立の学校は国みずからの責任においていわゆる直轄をいたしておりますので、みずからがみずからを奨励をするというのも誠に妙な論理でございまして、その点でも実は割切れないものを感ずるのでございます。この第三条の修正案がございましたのは確かに具体的にこの法律によつて補助をしようという事柄を離れて、ともかく産業教育振興について国が単に地方公共団体を奨励するということのみでなしに、みずからもみずからのなし得る手段、方法において十分それについて努力しろと、こういう事柄として大いに意味があると、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/67
-
068・若林義孝
○衆議院議員(若林義孝君) 大体御発言になりました意味でありますが、私からも明確にいたしておきたいと思うのであります。この法律の対象となりますものは、当然受けるべきものでありまするけれども、法的根拠のなかつたものに法的根拠を与えて、振興、助成、補助、負担をすると、こういう意味でございます。そういう意味において国の財政的援助というものの対象が公立学校、私立学校というものにのみ限定をされておるのであります。国立学校におきましては、国みずからが行うのでありますから、援助或いは負担、或いは補助というような文字は使い得ないのでありまして、国自体の力によつて大いに確保しなければならん、これで大体御要求になりましたことに対しては責は充たしたと思うのでありますが、なお先ほど私がお答えいたしておりました中に補足しておきたいと思うのでありますが、いわゆるこういう法案ができ、又国から地方の公共団体が行いまする産業教育を振興することによりまして、国家自体が行うべき大学の施設も大いに拡充の機運が醸成されて来ておると、こういうお話をいたしておつたのでありますが、そういう意味において、何と申しますか、法制的に国の学校の施設を拡充しなければならんという有力な輿論が生じて来て、大学の施設もよくなることになることが望ましい、こういうことを発言いたしておりますときに矢嶋さんがお入りになつたと思うのでありますが、この法案と国立学校とは別個のものであることを明確にいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/68
-
069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あと二点で質問を終りますが、大学学術局長お帰りになりましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/69
-
070・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 帰りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/70
-
071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 帰るときには断つて帰るようにして下さい。
私はもう一点で終りますが、さつき岩間委員のほうからも触れられたようですが、私もお伺いいたしたいと思うのでありますが、これは提案者にですけれども、この産業教育振興法が昨年の国会に上程された時に、一番問題になつたのは財政面の問題であつたと思います。当時一番懸念されたことは産業教育振興の機運が醸成しておるときにこういう法律案が出るということは結構である。けれども、地方財政の実情からこれが地方財政を圧迫し、更にこの法律案に伴う地方公共団体の支出増が他の教育面にしわ寄せしてはならないというところが一番懸念されたところだつたと思う。確かに午前中の政府委員の答弁の一部からも察知されるように、国が六億六千六百万円支出したのに応じて地方公共団体も相当見るべき施設がされていると思うのですが、その結果はやはり地方公共団体に非常に重圧を加えているわけですね。当初この法律案が原案として出たときにはこの十五条のところに経費は二分の一を負担するというのがはつきりと数的に現われておつたのが、最終段階においてこの二分の一が落ちたのですが、こういう過程を考えるときに、どういうわけですか、提案者がこの修正案を出すときにこの十五条の補助のところで二分の一というような点を打ち出されなかつたか。よく問題になりますが、最近の防衛費あたりへ向けられるところの予算増あたりと比べて余りにもこれは教育予算というものは虐待されていると思うのですが、これは産業教育……あなたのところは再軍備ですけれども、私のところは反対ですが、本当に再軍備やつたら、工業なんかやつたらだんだん、飛行隊あたりに入隊さしたら、あなた随分これは能率が上るわけですからね。それから農林水産学校あたり、これを充実しておけば、食糧増産ができて、戦争をやる場合にこれは一番大事だし、水産業をやつておれば、海への訓練ができるから、再軍備、防衛力増強という立場から言つても、普通科の高等学校よりはこのほうに金を入れたほうがそれは基本的な目的を達するわけですがね。防衛力にあれを廻すのだつたら、我々の見解から言えば、これは防衛力増強と結付けられては大変だと思うのですが、あなたがたの立場から考えたら、結付けようと思つたら結付けられんことないですな。そういうことをうまいこと言つて、もう少し防衛力予算を、大橋さんの予算を文部の関係に取ることはできないでしようかね。これは少し冗談に外れましたが、経費の二分の一、この数字は原案の原案であつたときは私通して頂きたかつたのですが、どういうふうで原案を取られたのですか。更に今後お考えがあるのか、その点是非承わりたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/71
-
072・若林義孝
○衆議院議員(若林義孝君) 仰せの通りでありますが、最初原案に二分の一ということが謳つてあつたのであります。その当時は司令部との交渉が必要であつた。少し内容を申してみまするというと、このときにこの二分の一を削除することを示唆された。この二分の一を削除することを示唆したときの司令部のほうの心持、又我々がこれを受諾しましたところの心持というものは、二分の一を出す負担能力のある所でなければ、二分の一を受取れない。そうするならば、これは二分の一を明記するということは財政力のある所に厚くなつて来る。先ほど岩間さんが言われたように、財政力のない所には依然として薄いというこれは極めて不公平な事柄になる。財政力の弱い所へでも相当必要ならば援助が与えられるという精神でなければならんという意味で、これはまあ最も理想的のものでありますので、私たちはこの原案から二分の一を削除することに努力をして御審議を願い、これが成案となつたわけであります。それでまあ我々の不勉強のところもあつたと思うのでありますが、これを主として、これを基礎といたしまして、大蔵当局に財政的の折衝をいたしましたときに発見をしたのでありますが、義務教育は二分の一、義務教育以外は三分の一という大原則があるのだそうであります。これは大蔵省だけの原則じやないかと僕らは思うのでありますけれども、併し鉄則のごとくこれを守られておる。で、まあ六億六千万円というものが取れたわけでありまして、これがいわゆる三分の一に相当をするということになつたわけであります。この大原則を変えるところまで私たち行かなければならんと思うのでありますが、とにかくこの三分の一ということになつた。そこで地方財政に非常な重圧を加えるという虞れがありますので、一応補助の形式はそうだが、幸いにして平衡交付金という制度があるのでありますから、この中に十分一つ加味してもらうということが必要であるという、この意味から地財委との折衝をいたしたのでありますが、地財委といたしましては、まあ非常に好意的にこれを考えまして、二分の一を平衡交付金の需要額の算定基準の中に織込んであると、これは委員会において明言をいたしております。それから他の三分の一は、まあこれを補助というわけにも行かず、平衡交付金の中にも入れることができないというので、これを取りあえずこの起債に仰ぐということでまあ骨折つたのでありますが、このことについては、関係の学校、学校教育関係のかたたちも非常に御努力をせられたのでありますが、難点になりますところの事柄は、起債というものに仰ぐものは施設でなければならんと、こういうわけです。ところがこの目標になつておりますのは、設備であります。ところが工業学校関係なんか見ますというと、火事がいつても焼けないというものもあります。設備であつても……。それから施設でも焼けたら灰になる施設がある。焼けても灰になるような施設は起債がある、焼けても灰にならないところの機械のごときものは起債の対象にならないというのは、甚だ不都合だということで、まあいろいろ折衝を重ねたのでありますが、これは私は地財委としては極めて、好意的だつたと思うのであります。非常に産業教育の重要性に好意を持つ考え方をせられまして、設備には起債の対象とならないという方針を非常に緩和されまして、産業教育設備のものに対しても、大体起債を認めるという方針で起債を認められたのであります。ところが先ほど来もお話がありましたように、各府県それが徹底を欠いておるのでありますので、三分の一は国家、三分の一は県、三分の一は地元負担、而もこの地元負担を要求されるようなことがありますというと、むしろこの産業教育振興法の成立を恨むような状態が起つて来ておるのでありますが、この点はこの立法の趣旨、財政措置の趣旨を各府県に徹底することによりまして、緩和して行くべきではないかと考えておるような次第であります。私の承知いたしております洗いざらいを申上げて、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/72
-
073・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一点……。只今提案者は二分の一を落すことについては、経済力の弱い設置者をいじめることになるから、だから経済力の弱い所も十分補助ができるように云々というような仰せがあつたけれども、昨年もそういうことを申されたと思う。非常に結構な考えだと思う。果して行政府は運用面でそういうことをやつているかどうか。私は今日冒頭に、その審議の過程並びに結果を尊重して、行政府は運用しているかどうかということを一番先問題にしたのですが、事実はそれと逆に、公共団体が強くて予算をたくさん組めば組むほど、あれは熱心だからというので出す。そうでない所は不熱心だと言つて、弱い所は弱いほど補助金が行かないというように、実際は運用していると私は見ていますが、如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/73
-
074・田中義男
○政府委員(田中義男君) 当局としてはそれぞれの地方から御提出になりました資料に基きまして、私は公平な措置をしていると思うのでございますが、ただ実際問題としては一々それぞれの学校を見て歩くわけじやございませんから、各地方からのお話によつて取捨按配もいたしておりますので、相当実情に即した配分をやつておると実は考えておるのでございますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)なお先ほど来申しますように、何も基準は石のように動かないものじやございませんで、基準の中にも例外を認めているように、ちやんと規定もございまして、なお機会あるごとに私どもも実際に即して例外の場合にはよく御相談をしましよう、こういうふうに申上げて来ておるのでございまして、適切な処置をしたと実は思つておるのでございますが、なおいろいろ御批判等についてはよく玩味いたしまして、将来の一つ参考にいたしたいと思います。なお、今朝もいろいろ御意見ございましたが私どもは皆さんからの御意見等は、一つ十分によく肚に銘じまして、将来御期待に副うようにいたしたい、これはもうすべてについて考えておりますので、さよう御承知頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/74
-
075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後に、この点は私警告を発しておきますが、提案者において、更に政府において努力の仕方が悪かつたならば、私はこの法律案を廃止する提案を後日出すかも知れない。と申しますのは、あなたがたが何と言おうが、こういう法律案は地方公共団体或いは父兄から金を搾り出すだけの道具になつている。基準を設けるときに高い基準を設けて、補助金をもらうためには何とか父兄からも寄附を仰がなければならない。公共団体も他の方面に向ける金をむりやりにかき集めて、そうして受入態勢を整えなければ頂けないというので、これによる補助を少し頂きたいためにこういう無理をしている。いわば地方税を余計とるようになつたから、父兄からは寄附は今後とらないということが条件だつたのですが、寄附をとる。地方によれば、一つのこれは国民の懐から金を搾りとるための道具になつているのですね。だから法律を作つた以上は、さつき私が午前中申上げたように、補助の対象となる基準をきわめる場合には、余り無理が行かないように、弱い所にも或るレベルに行くために補助金が流れて行くように運営し、更に政府委員としては、この立法精神を生かし、予算を確保するように努力し、それから提案者は、去年法律案を出したときには、やれ池田さん、いつまで大蔵大臣やるか知らんが、池田さんと約束があるの、何のかんのと言つて、それはあとで相当話合つて公立高等学校をどのくらい、そういう話もあつたが、非常に拡げられたのでありますが、折角こういう法律案を提案されて、産業教育の振興を図ろうという御熱意には敬意を表するわけですが、吉田内閣が続く限り、又近く野党に下るようなことがありましても、私らと共に予算の確保については、格段の努力を切に要望する次第でございます。まあそれだけ政府委員並びに提案者に要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/75
-
076・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/76
-
077・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記を始めて。本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/77
-
078・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正の御意見もございましたら、この際お述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/78
-
079・大隈信幸
○大隈信幸君 私は本法案の一部改正に対しまして修正案を提出いたします。すでにお手許にお配りしてあると思いますが、一応これを読上げて参りましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/79
-
080・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) それは読上げたことにして、あとで速記に載せることにいたしましようか。
それでは読上げたことにして速記に載せることにして、読上げることを省略して、御趣旨を説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/80
-
081・大隈信幸
○大隈信幸君 それじや簡単に趣旨を御説明申上げます。最初の「財政的援助」という項目がございますが、それを「国の負担及び補助」というふうに直しております。これは地方財政法等の言い方等に合せまして直したわけであります。従つてそれに従ういろいろな条文整理の点が、技術的な整理の点が幾つかございます。その点につきましては細かい説明は省略さして頂きます。それから第三条の二の改正規定中「又は当該実験実習に従事する生徒若しくは学生の厚生に必要な経費」という点を削ることにいたします。これは先ほど来いろいろ御意見のあつたところでありまして、結局当該実験実習によりまして生じましたものの收益は、これを当該実験実習に必要な経費に還元するにとどめようという趣旨でございます。
それから十五条の点でございますが、これは第三章でございまして、第三章の「財政的援助」というのは先ほど申上げましたように、「国の負担及び補助」というふうに整理をして行くわけでございまして、従いまして十五条の第一項の「これに要する経費について当該設置者に対し、予算の範囲内において補助するものとする」というのも、地方財政法の言い現わし方にならいまして、「これに要する経費の全部又は一部を負担する」というように改めるものでございます。
更に私立学校に対する財政的援助という問題でございますが、これは私立学校に対しては「財政的援助」ということは甚だまずいのであつて、それを「補助」というふうに改めたわけであります。
それから最後に教科書に関係する問題でございますが、産業教育に関する教科書というものは非常に部数が少い関係上、非常に単価が高くなるわけでありまして、それを生徒に如何にこれを安く配布するかという問題もありまして、私どもの修正案におきましては、教科書の発行者に対しまして政府が補助を与える、そうしてできるだけ安く生徒にこれを配布するという方法でございます。
それから最後には附則の3を削るということでございます。
以上非常に簡単でございますが、これを以ちまして、趣旨の御説明に代えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/81
-
082・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) このプリントの中にある一番終りの第三という「国は、当分の間、……」これは削るでありましようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/82
-
083・大隈信幸
○大隈信幸君 さようでございます。申し落しましたが、附則の第三という算用数字で書いた点は、これを削るのであります。削除して頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/83
-
084・荒木正三郎
○荒木正三郎君 皆さんのお手許にお配りいたしております発議者高田なほ子、相馬助治、荒木正三郎、三名の修正案をお配りしておりますので、それにつきまして御説明を申上げます。詳細はこれは印刷物になつておりますので、それによつて御承知を願うことにして、これは速記にとどめて頂きます。
それで、私からは極く概要を御説明申上げます。今度修正をいたしたいと考えた最も重要な点は第十五条の問題でございます。第十五条は「国は、公立学校の設置者が左の各号に掲げる施設又は設備で中央審議会の議を経て政令で定める基準に達していないものについて、これを当該基準にまで高めようとする場合においては、これに要する経費について当該設置者に対し、予算の範囲内において補助するものとする。」こうあるのでございますが、これを最後の部分を「これに要する経費の二分の一を負担する」、こういうふうに修正したいと考えておるわけであります。先ほどの質疑応答にもありましたように、昨年この法案が国会に提案された場合に、提案者に二分の一にしたいのであるけれども、占領軍の了解を得ることができなかつた。そのために止むを得ずかような結果になつたのである、こういうふうに説明をされておりました、その当時は若干止むを得ない点もあつたかと思いますが、今日ではそういう掣肘がないわけでありますから、当然私は提案者においてこの点が修正になるものと期待しておりましたが、併し今度の修正案においてもその実現を見ておらないのであります。で、これは私から申上げるまでもなく、産業教育の振興のために今日のような三分の二を地方で負担し、三分の一を国庫で負担する。こういう制度では、地方財政の現状から見まして、産業教育の振興の上から考えても、又地方財政に対する圧迫の上から考えても決して適当ではない。この際地方と同額の負担を国庫においてなすということが地方の産業教育の振興の目的にかなうものである、かように考えまして、この修正をいたすものであります。その他の点については「財政的援助」とあるのを「国庫の負担及び補助」というふうに変えたいというふうな点、或いは実験、実習によつて上つて来た收益を、これを実験実習の施設の充実のために使用する、こういうふうな点、或いは産業教育に従事する教職員の特殊的な事情を考慮して、その勤務に対する手当を支給する措置を講ずるというふうな点、或いは教科書の問題でございますが、この教科書の購入に対して若干の補助をなす、こういうふうな修正をいたしておるわけであります。まあ併し何と申しましても、やはり一番重要な点は、二分の一を国庫で負担するようにしたいというふうな点に重点があるのでございます。非常に簡単でございますが、以上提案の理由を御説明申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/84
-
085・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 他に御意見はございませんか。それではこれより懇談会に移ります。
午後三時二十七分懇談会に移る。
—————・—————
午後四時五分懇談会を終る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/85
-
086・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/86
-
087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 修正案発議者にお伺いいたしますが、第二十条の二行目に「政令で定めるものを発行する者に対し、」と書かれておりますが、この政令で定めるものという「もの」の内容について承わつておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/87
-
088・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) これに対しては法制局から一つ御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/88
-
089・岸田実
○法制局参事(岸田実君) これはここに政令で定めるものと限定いたしましたのは、産業教育に関する教科用図書のすべてにつきまして、この特別の取扱をするという趣旨ではないのでございまして、その発行部数の関係等から、特に発行に要する経費が多くなり、従つて生徒が購入いたします場合に、一冊の本が多額につくというような特殊の事情のある教科用図書につきましてこの取扱をする、これは予算とも関係のある問題でございますから、法律で一概にその発行部数一万冊なら一万冊以内のものというふうにきめるわけにも参りませんので、予算とも睨合せながら具体的に政令でその基準を定めるというようなふうにいたしたいという趣旨で、この政令で定めるところによりという規定を入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/89
-
090・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この問題は極めて重要でございますので、重ねて今少し具体的にお伺いいたしますが、若干の教科書に種類を絞り、或いは若干の発行会社を選択して、その特殊な教科書、それを発行する会社に経費の一部を補助するというのではなくて、現行制度の通りに各学校において教師が責任の下に教科書の選択をし、教育委員会の承認された教科書、その教科書の中の部数の非常に少くて単価が高くなる特定の、そういう特定の教科書を発行するところの会社に対して、その発行に要する経費の一部を補動ずる、こういう意味だと、こういうように私承わつたのでございますが、相違ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/90
-
091・岸田実
○法制局参事(岸田実君) 御提案の趣旨は只今おつしやつた通りであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/91
-
092・矢嶋三義
○矢嶋三義君 只今法制局のほうから承わつたのでございますが、修正案の発議者に重ねてお伺いいたしますが、只今の法制局の答弁に相違ございませんかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/92
-
093・大隈信幸
○大隈信幸君 今法制局から御説明のあつた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/93
-
094・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/94
-
095・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 速記を始めて。他に御意見はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/95
-
096・岩間正男
○岩間正男君 私はこの原案並びに両修正案に反対するものであります。
反対の理由は、これは昨年原案が通りますときに相当詳しく申上げましたから、これに譲りたいと思うのでありますが、当時我々はどういう点から反対したかと言いますと、大体左の三点についてこの論拠を明らかにしたのであります。先ず第一にこの産業教育、これは日本の教育体系に、根本的にこの産業技術の教育というものを教育体系の中に取入れなくちやならない。従つて日本のそのような基本的な体系と十分にこの問題を組み合して、そうしてそこに系統ある一つの発展的な態勢をとる、こういうような方法をとらなければ、産業教育の振興というようなことが言われ、そうして局部的に問題を解決しようとしても、現在の日本の当面する態勢の中で経済再建の最も根本的な方策であるところの産業教育を真に振興することはできないであろう。これが第一の論点であります。
第二の論点は、従つてこれに対するところの予算の裏付が十分になされなければならない。然るに現実においてはまだ六三制その他の教育改革、こういう基本的な教育の面においてさえも予算が非常に貧弱であつて、十分にその目的が達成されていない。そういうところにこの産業教育振興法案というような出店のようなものができまして、そうして而も第一に申上げましたように、体系のない形で以て問題を扱われるということによりまして、むしろ混乱が起るんじやないか、こういう点から言つて予算の面においても分散の傾向をとる。これはまずい。こういう点で而も十全に予算の裏付がこの法案にあるかというと、当時としましては、これに対して提案者の長野長廣君がこれに対して説明されたと思うのでありますが、二分の一の大体補助をする。そうして年額これは約国庫から十七億、そうして地方から同じような額を出して、約六カ年に二百億、こういうような方法を示されたと思うのであります。ところがそれに対しましては、我々はそれでもまだ十分でないと思いまして、もつとこの予算の裏付の問題を心配しておつたのでありますが、実際実施された法案を見ますというと、それが二十億に減つて、而も国庫の補助分が大体二分の一と考えられて十七億の予定であつたのが、六億六千六百万、約三分の一に削られている、こういうことになりましたので、予算の面が又最初の規模に合わなくなつている。
第三の問題としましては、この産業教育が、日本の置かれている今の国際、国内的な立場においてどういうような役割を果させられるものであろうか。それは言うまでもなく、今日日本が当面しているところの産業経済は、アメリカの軍需生産の下請的な性格を非常に持つて来ている。従つてもつと行政が窮迫して参りますれば、こういうような教育態勢というものは軍需生産のほうに使われる可能性が非常に多いんじやないか。これは日本の平和憲法を基とし、戦争をやめ、軍需生産というようなものには目もかけない。平和産業の無制限拡大ということが当然の産業政策でなければならない日本に対しては、非常にあぶなつかしいものに利用される憂いがある。こういう点を挙げて反対したのであります。ところがこれに対しまして、このたびの修正案は我々の曾つて挙げました論点を根本から変えるような修正がなされておれば、我々としては十分に考慮する余地があるのでありますけれども、何ら殆んど根本的な修正にはなつていない。殊に第二の予算の問題でありますが、これは午前中にも質問いたしましたように、私から先ほどもちよつと触れましたように、最初の三分の一という形におきまして、そのほかの面は全部あの地方財政のほうにしわ寄せされて、そうしてその結果地方起債に五億円、更に地方財政が八億四千万円くらいのこれは大幅な負担ということになりました。これは地方財政はこのためにこれを負担し切れなくなつて、地元負担というような大衆負担のほうにしわを伸して行つているのであります。こういうことになりますというと、産業教育の振興というものが実質的には大衆負担の面から先ほど問題になりましたように、むしろ大衆的な支持を受けかねる。受け得ない、こういう面が出て来ると思うのです。これは六三制でもすでに試験済みの問題でありますが、当然これは国家がなさねばならないところの一つの教育対策、更に産業政策と結びついた教育政策の大きな面でありまするが、それが大衆負担というような形で非常に生活の窮乏にさらされているところの大衆の懐ろからこういうものが三分の一程度出されるという形で果されることは、この発展のために非常にこれは望ましくない。こういうふうに考えられるわけであります。そういう点で高田君その他の提案の修正案は二分の一ということをはつきり謳つておりまして、現在の三分の一程度を、これをもつと高めようとする努力につきましては、我々はこの修正案の最も重要な骨格の部分としまして、これの、その努力には敬意を感ずるのでありますけれども、先ほど申しましたように、二分の一の負担を以てしても今日産業教育の全面的な改革、全面的な発展というものを図ることは私はできないのだと、こういうふうに考えるのであります。それでそういう点から申しまして、私はこのたびのこの修正案に対しまして賛意を表しかねるのであります。無論当面しておりまして、この職場にあつていろいろな問題に悩みつつあるところの現場の諸君の御意見もお聞きしまして、殊にこの財政負担の面、それから実收によつて生み出されましたところの費用をどう使うかということは、この前の原案の審議のときにも非常に問題になつた点でありますが、こういうようなものを実際的に解決しようとする努力、それから教員の特殊性、こういうものに対する待遇改善の面、或いは先ほど問題になりました教科書の特殊的な性格に対して何とかこれをカバーする、こういうような実施の面から起りました要求につきましては、これは成るほどと思われる点もあるのでありますけれども、このような部分的修正だけを以てしまして、私の今まで主張して参りましたところの日本の教育態勢の中に全面的にこの産業技術を取入れ、生産と教育をもつと結びつける。そうして根本的に教育態勢というものをそういう点に打ち立てるという面については何ら触れるところがないのでありまして、私はこういう点からこの二つの修正案にも、それからその他の原案に対しましても、反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/96
-
097・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 他に御意見はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/97
-
098・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は大隈君ほか一名発議にかかる修正案に反対をいたし、荒木君ほか二名提案にかかる修正案、並びにその修正部分を除く衆議院送付案に賛成の意を表明するものでございます。詳細に亙つては本会議で討論いたしますので、賛成の意思表示だけにとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/98
-
099・木村守江
○木村守江君 私は只今上程されました産業教育振興法の一部を改正する濃律案につきまして、大隈君ほか一名の提案にかかる一部改正に賛成いたし、荒木正三郎君ほか二名の修正案に対し、反対するものであります。
両法案の改正の骨子となるものは、大体において第十五条と二十条であると考えるのであります。御承知のように、大隈君提出の法案における第十五条の訂正は、これに要する経費の全部又は一部を負担するというようにありまして、荒木君等の提出にかかわる修正案は、これを要するに経費の二分の一を負担するということであります。私はこの両案を勘案いたしましたときに、どう考えてもこれは現在の状態においては、或いは経費の三分の一を国庫負担するというような表面上の問題でありまするが、地方の起債として大体に四億五千万円、又平衡交付金として五億円、大体において六億六千万円の二倍に近い計数になつておるということを考えましたときに、私はこの大隈君修正の法案に近いような現在の状態ではないかと思うのであります。これを何を苦しんで一体二分の一と限定しなければいけないかということを考えまするときに、私は不幸にして荒木君の修正案に反対せざるを得ないのであります。
その次に、二十条の、いわゆる先ほど申されました問題でありますが、私はこの法案においてのみ、産業教育のことにおいてのみ、この教科書の問題が起つて来ると考えましたときに、私は先ほど来の論議について、我々が言わず知らずの間に納得し得るものを感ずるのであります。御承知のように、この産業教育に要する図書というものは、発行会社の多いのにかかわらずいわゆる購入する生徒が少いというような点でありまして、これを非常に高価な教科書を成るべく安くして、そうして本当に産業教育の効果を挙げしむるようにすることがこの法案の狙いであると考えますときに、私は大隈君等の修正案を最も適正と考えるのであります。
なおこの問題につきましては、本会議において私も意見を明瞭にいたしたいと考えますので、この辺で省略いたして、賛成、反対を明瞭にいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/99
-
100・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 他に御意見はございませんか……別に御意見もないようでございますから、討論は尽きたものと認めて、御異議ございませんか。
〔「異議な」」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/100
-
101・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。
産業教育振興法の一部を改正する法律案について採決いたします。先ず討論中にありました荒木君ほか二名提出の修正案を議題に供します。荒木君ほか二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/101
-
102・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 少数でございます。よつて荒木君ほか二名提出の修正案は否決せられました。
次に、大隈君ほか一名提出の修正案を議題に供します。大隈君ほか一名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/102
-
103・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 多数でございます。よつて大隈君ほか一名提出の修正案は可決せられました。
次に修正の分を除いた原案を議題に供します。修正の分を除いた原案に賛成のかたの御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/103
-
104・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 多数でございます。よつて産業教育振興法の一部を改正する法律案は、多数を以て修正議決されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/104
-
105・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 私は只今修正議決されました産業教育振興法の一部存改正する法律案につきまして、次の附帯決議附をする動議を提出いたします。
産業教育振興法の一部を改正する法律案に関する附帯決議の案を朗読いたします。
本文部委員会は、産業教育振興法の一部を改正する法律案を可決するに際し、次の附帯決議を附する。
一、国立大学のうち旧専門学校令による専門学校の産業教育に関する施設又は設備を継承したものはもとより、その他の国立大学の産業教育に関する施設又は設備も、一般に極めて不十分であるから、国は、その整備充実を図るため特に努力すること。というのであります。
その大体の趣旨は御承知の通りに、今後経済自立の上においては、産業技術というものが最も重要になつて来る日本の現状であります。で、元の専門学校というものは、殆んど日本の国の産業のすべてを推進しておつたものでありまして、日進月歩の今日において、これを世界に伍して遜色のないように進めて行くということは、結局この産業教育が最も重要なことになるのであります。その専門学校が新制大学になりまして、つまり大学という名は附したけれども、戦前における専門学校時代よりも、今日の大学になつたその大学なるものは実に貧弱でありまして、いろいろな設備はあつてもそれは殆んど見本に過ぎない。又今日の進歩せる産業の中に伍して、いろいろな設備が必要であるのに、それが何ら整つていない。昔のあの特色ある、いわゆる産業技術の中心であつた専門学校が今日は実に一般から忘れられつつあると言つてもよいような現状でありますから、この際に、何としても経済自立の上からも、日本の今後を考える上からも、この国立の産業学校に対してこの設備すべてを充実されんことを希望するわけで、この附帯決議を提出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/105
-
106・木村守江
○木村守江君 私は只今の白波瀬君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/106
-
107・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 只今白波瀬君提出の産業教育振興法の一部を改正する法律案に附帯決議を附することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/107
-
108・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 多数でございます。よつて白波瀬君提出の産業教育振興法の一部を改正する法律案に附帯決議を附することに決定いたしました。
なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果並びに附帯決議を報告することとしまして、御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/108
-
109・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可決することに賛成されたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
木村 守江 草葉 隆圓
黒川 武雄 左藤 義詮
白波瀬米吉 石黒 忠篤
大隈 信幸発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/109
-
110・梅原眞隆
○委員長(梅原眞隆君) これで散会いたします。
午後四時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315115X05319520726/110
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。