1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月三日(月曜日)
午前十一時五分開会
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委員の異動
二月二十九日委員小滝彬君辞任につ
き、その補欠として、徳川頼貞君を議
長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 小野 義夫君
理事
伊藤 修君
委員
左藤 義詮君
長谷山行毅君
岡部 常君
齋 武雄君
一松 定吉君
羽仁 五郎君
政府委員
法務政務次官 龍野喜一郎君
法務府行政訟務
局長 小澤 文雄君
事務局側
常任委員会専門
員 長谷川 宏君
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した事件
○証人喚問に関する件
○連合委員会開会の件
○工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を
改正する法律案(内閣送付)
○国の利害に関係のある訴訟について
の法務総裁の権限等に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/0
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001・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それでは只今より委員会を開きます。
先ずお諮りいたしたいことがございます。先般発生しました東大事件につきまして、一、特高警察的なものの存在の有無。二、学園の自由と治安のためにする捜査の限界。三、人権蹂躙の問題等を中心として調査を行いたいと思います。
つきましては、明四日十時より委員会を開きまして、証人として矢内原東大学長、尾高東大教授、吉川東大学生自治会中央委員会議長、中村東大法学部学生大会議長、大野東大法学部緑会委員長、野口本富士警察署長、以上を証人として呼出します。なお田中警視総監を参考人として、それぞれ出頭を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/1
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002・左藤義詮
○左藤義詮君 証人と参考人とどうして区別されるのですか。警視総監だけをどうして参考人にするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/2
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003・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/3
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004・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて……。只今左藤委員より御発言もありましたが、田中警視総監を証人として出頭を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/4
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005・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/5
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006・一松定吉
○一松定吉君 そこで明日の証人を喚問する前に当つて、この大学の問題と警視庁の問題の相剋摩擦の原因は、いわゆる文部省の次官通牒というものに端を発したものと思います。その解釈の見解如何。そういたしますと、我々国会議員としては文部省の次官通牒の内容を明らかにしなければ、この事実について判断するところの資料というものに欠けるところがあると思いますから、先ず証人尋問に入る前に文部次官を喚んで、次官通牒の内容を一つ説明させるということについて御考慮を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/6
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007・小野義夫
○委員長(小野義夫君) さよう取計らいます。私の考えでは印刷物、今我々の手に入つておりますが、その次官通牒の印刷物を提示してもらつて、証人から証言を求むる前に、これを文部次官から一つ説明することを第一段に取計らいます。それでいいですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/7
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008・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議ないと認めます。そういたしますと、それでは繰返してもう一遍申上げますというと、証人として矢内原東大学長、尾高東大教授、吉川東大学生自治会中央委員会議長、中村東大法学部学生大会議長、大野東大法学部緑会委員長、野口本富士警察署長、田中警視総監、以上を証人として出頭を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/8
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009・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に連合委員会についてお諮りいたしますが、只今申上げました東大事件の調査につきまして、文部委員会において連合委員会を開きたいとの意向もございますが、文部委員会において当委員会と連合委員会を開く旨決定いたした際は、明四日東大事件について法務、文部連合委員会を開きたいと思いますが、如何がでございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/9
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010・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議ないと認めます。なお念のために申上げますが、明四日は政府よりは法務総裁、文部大臣、文部次官、特別審査局長、大学学術局長の出席を求める予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/10
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011・左藤義詮
○左藤義詮君 文部次官とおつしやつたのですが、文部次官は政府委員になつていないんじやないですか。それでも議事規則の上で喚べますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/11
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012・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 説明員として喚べます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/12
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013・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に議案の審議に入ります。工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案、これは予備審査であります。政府の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/13
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014・龍野喜一郎
○政府委員(龍野喜一郎君) 只今議題となりました工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を説明申上げます。
企業金融の重要な担保制度である財団抵当の利用が近時急速に増加して参りましたが、御承知のように、この制度は明治三十八年の工場抵当法により初めて我が国に創設されたものでありまして、その後今日に至るまで制度的には見るべき改正が全く行われませんでしたため、今日においては利用上不都合、不便を感ずるに至つた点が少くないのであります。例えば現行法によりますと、工場財団は、その所有権保存の登記後二カ月内に抵当権設定の登記を受けないときにはその効力がなくなることになつておりますので、現在の金融事情の下で担保附社債信託法による抵当権設定のため財団を設定しようとする場合などには、右の期間が短きに失するきらいがあり、又財団に設定された抵当権が消滅すれば、財団もこれによつて直ちに消滅することになつておりますので、抵当権の消滅後その財団を他の抵当権の目的とすることは不可能でありまして、この場合には多額の費用と複雑な手続により改めて財団を設定し直さなければならないことになるのであります。更に現行法の下では財団の分割合併が認められておりませんので、財団の余剰担保価値を利用するためには、その財団から組成物件の一部を分離し、これを以て新たに別個の財団を設定し、又はこれを他の財団に追加するごとき複雑な手続を要するのであります。以上の諸点に鑑みまして、この法律案はこれらの不便不都合を除き、財団抵当による金融の便宜を増進するために、工場抵当法の一部を改正することにいたしているのであります。
主要な改正点を申上げますと、第一、財団の所有権保存の登記は、その登記後三カ月内に抵当権設定の登記を受けないときにその効力を失うものとして、所有権保存の登記の効力の存続期間を一カ月延長することとし、第、二、財団は抵当権の消滅によつては消滅せず、原則として抵当権の登記の抹消後三カ月内に新たな抵当権の設定の登記を受けないときに初めて消滅するものとし、第三、一定の要件の下に財団の分割合併を認め、これに関する所要の規定を設けることといたしております。なおこの法律案は、鉱業抵当法の一部をも改正することといたしておりますが、それは現下の鉱業経営の実情に照しまして、鉱業関係の工業所有権を鉱業財団の組成物件に加え、又財団に属している採掘権に租鉱権を設定することを認める必要がありますので、この点につきましてその趣旨の改正を加えることといたしたのであります。
以上この法律案につきまして概略説明申上げたものでありますが、何とぞ愼重御審議のほどをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/14
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015・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 本案に対する質疑は次回より行うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/15
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016・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に、国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。
本案に対する政府の説明はすでに聴取しておりますので、これより質疑に入りたいと思います。御質疑のおありのかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/16
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017・伊藤修
○伊藤修君 今の議題になりました法案に対して提案理由を伺つただけのように記憶しておりますが、説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/17
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018・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それじや……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/18
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019・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) この国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限に関する法律の改正箇所は、すでに前に提案理由の際に説明のありましたように非常に簡單な点でございますが、従来国に関する行政訴訟の中で、行政庁が形式上の当事者になつております訴訟につきましては、法務総裁は訴訟を管理し、訴訟の指揮をすることはできるのでありますけれどもそうして又法務府の職員を指定代理人にしてその訴訟を行わせることも必要に応じてできるのでございますけれども、弁護士を選任してその訴訟を行わせる途がなかつたわけでございます。これは恐らく当初の考え方では、法務総裁の訴訟指揮、行政庁に対する訴訟指揮を通じてなせばそれで十分ではないかといつたような考えで、このような制度ができたのじやないかと思いますけれども、その後この法律の施行の経験によりますというと、やはり行政庁自身がその職員で訴訟を遂行するのに力が足りない、而も弁護士を選任してやるというときには、その弁護士の選択、それから選任の手続等に意外に時間を要しまして、そのために期日のきまつた訴訟等について急速に適切な措置をとるということができにくいような例もあつたのであります。それですから、そういう場合には行政庁に対する訴訟指揮を通じて間接に適当な弁護士を行政庁をして選任させるというよりも、必要に応じて法務総裁自身もそういう場合には適当な弁護士を選任して直ちに訴訟に対する応訴の態勢を整えるということが必要なことになるわけでございまして、そのためにこのような改正をしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/19
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020・伊藤修
○伊藤修君 選任する人は誰ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/20
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021・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) 法務総裁が選任いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/21
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022・伊藤修
○伊藤修君 そうすると、それは法務総裁の選任書ですか、委任状を渡すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/22
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023・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) 選任した場合には選任書を出す取扱になつております。従来も行政庁が選任した場合或いは法務総裁が行政訴訟についてみずから弁護士を選任する場合、いずれも民事訴訟法の要求するところに従つて書面でその権限を渡さなければならないわけでございますが、その形式として選任書というものを出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/23
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024・伊藤修
○伊藤修君 そうすると、その選任書の授権の範囲はどこまで入るのですか。私のお尋ねするのは、いわゆる一般弁護士に対して授権をする場合の、あの授権方法と同様に解釈していいのですか、特段の制約があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/24
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025・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) これは現行法の第七條に規定がございますが、副代理人選任以外の一切の権限を委任することができることになつております。それで実際におきましても、この法務総裁が従来選任しておりますときには、この七條で許されておるすべての権限を委任しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/25
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026・伊藤修
○伊藤修君 特段の明記のない限り、この七條による授権行為一切を含むところの選任書と、こういうように解釈していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/26
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027・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) これは実際の取扱として従来はそういたしております。ただ勿論法務総裁が選任するわけでございますから、若し何か特段の理由があつてその代理権の内容を制限する必要があるといたしますれば、制限するのは差支えないと思いますけれども、実際が今までこのような例に出会つたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/27
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028・伊藤修
○伊藤修君 そうすると、七條のほうは関係していませんが、和解とか、そういう権限まであるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/28
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029・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) それもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/29
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030・伊藤修
○伊藤修君 これは訴訟物の抛棄はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/30
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031・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) 特に民事訴訟法の規定に従つて特別の授権をする場合には、訴訟物の抛棄もすべてできるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/31
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032・小野義夫
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/32
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033・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 速記を始めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/33
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034・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) 先ほど伊藤委員の御質問に対しまして、弁護士の権限につきまして、現行法第七條を引用いたしてお答えいたしましたが、それは私の思い違いでございまして、七條は法務総裁の指定する指定代理人の権限でございまして、弁護士の権限につきましては、專ら民事訴訟法の規定によつてその内容を定めております。そうして実際の取扱といたしましては、選任した弁護士の権限はやはり第七條の規定する指定代理人の権限と同じように、副代理人選任の権限以外の権限は一般に全部授権しておる取扱でございます。勿論先ほど御質問のありましたように、請求の認諾とか、或いは和解とかの権限につきましても、民事訴訟法に規定する通り、特別の授権をすればできるわけでございますし、現在まではやはり全部の権限を委任しておる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/34
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035・伊藤修
○伊藤修君 そういたしますと、結局私のお尋ねしようという趣旨は、七條によるところの授権行為ではなくて、いわゆる一般民事訴訟法によるところの授権行為である。従つて特別授権行為は同法によるところの授権手続がなかつたならばできないのだ、こういうように解釈してもいいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/35
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036・小澤文雄
○政府委員(小澤文雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/36
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037・小野義夫
○委員長(小野義夫君) ちよつと速記を止めて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/37
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038・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それでは速記を始めて……。
今日はこれで散会いたします。
午前十一時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X00919520303/38
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