1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月十六日(水曜日)
午前十時二十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小野 義夫君
理事
宮城タマヨ君
伊藤 修君
委員
左藤 義詮君
鈴木 安孝君
長谷山行毅君
岡部 常君
内村 清次君
一松 定吉君
羽仁 五郎君
衆議院議員
鍛冶 良作君
政府委員
法務府検務局長 岡原 昌男君
民事法務長官総
務室主幹 平賀 健太君
事務局側
常任委員会専門
員 長谷川 宏君
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
最高裁判所長官
代理者
(事務総局第一
課長) 桑原 正憲君
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本日の会議に付した事件
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
全保障条約第三条に基く行政協定に
伴う刑事特別法案(内閣送付)
○住民登録法施行法案(衆議院提出)
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関
する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/0
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001・小野義夫
○委員長(小野義夫君) これより委員会を開きます。
本日は先ず日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法案を議題に供します。
この際政府の逐条説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/1
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002・岡原昌男
○政府委員(岡原昌男君) 本法案の立法の大体の考え方と、それから併せまして逐条の御説明を申上げたいと存じます。
この行政協定の細則となりますか、施行の実際の面を担当いたしまする法令といたしましては、刑事の実体法規並びに手続法規が特別に制定されなければならんということに相成つたわけでございます。ところで我々の考え方といたしましては、原則として日本国の法令は全部国内のものに及ぶ、たといそれが外国からやつて来たものであつても及ぶ。ただどうしても安全保障条約或いは行政協定によつて排除しなければならんものだけ特別な規定を置く、或いはその行政協定によつてどうしても制定しなければならん程度の法令はこれを置くというふうなのが第一の方針でございます。その第二の方針といたしましては、行政協定の文言が非常にはつきりしない面がありまして、私どもこれに基いて立案する際に大分苦しんだのでございますが、これを成るべく明確化すると共に、成るべく我がほうに有利に解釈するということでありました。次に第三の方針といたしましては、この行政協定の文言からは、必ずしもそうは読めないけれども、事の性質上こうでなければいかんというふうな点がございましたので、さような点は行政協定の成文を離れて我がほうに有利に解釈いたしてその特例を作つたというところもございます。これを要するに、成るべく立案の範囲を少くする。原則として我がほうの法令を全部かぶせるというふうな基本方針に則つた次第でございます。
逐条説明でございますが、法案で御覧になりまする通り、第一条は定義でございます。この定義は大体安全保障条約及び行政協定の趣旨をそのまま取入れたものでございます。特に大した問題はないものと存じます。
次に第二条から第九条までは実体規定でございまして、これを順次申上げますと、第二条は「施設又は区域を侵す罪」これは刑法第百三十条の特則的なものでございます。御承知の通り刑法百三十条におきましては、人の看守する邸宅、艦船その他のものに侵入した場合というものが規定されておるのでございますけれども、行政協定の十七条三項(C)或いは三十三条の趣旨から考えまして、このほかに向う側で立入禁止した場所に立入るのは、向う側の軍の安全を害するという意味におきまして保護する必要があるのではないかということからして、刑法百三十条よりも若干軽い法定刑を持つたこの第二条の規定を設けた次第でございます。ここに申します「合衆国軍隊が使用する施設又は区域」というのはこれは行政協定に基く用語をそのまま持つて来たのでございましてその範囲は合同委員会において決定される事項と存じます。次に「入ることを禁じた場所に入り、」この意味は、その当該区域について正当な権限を持つておる合衆国軍隊の機関からその旨表示される場所と、かように解釈しておりまして、実際の問題といたしましても、さような立札が立つか、或いは明確にする何かの表示が出るはずでございます。次に「正当な理由がないのに、」というのは刑法百三十条の「故ナク」と同じであります。なお「その場所から退去しない者」これは刑法の概念をそのまま持つて来たものでございます。特に申上げたいのは但書でございますが、例えば立入禁止区域内に刑法第百三十条に該当する建物があつた、そこに入つた場合には、この刑法第百三十条のほうを適用して行くということがこの趣旨でございます。なお軽犯罪法にも似たような規定がございますけれども、これはこの第二条のほうが特則でございますので、優先的に適用されることになると思います。
第三条でございます。証拠を隠滅する等の罪、この証拠隠滅につきましては、刑法百四条に規定がございますけれども、これは我が国の裁判所の事件についての証拠隠滅でございましてアメリカ合衆国の軍事裁判所における事件については適用がない、というのは事の性質上当然でございます。そこで向う側の裁判の正確を期する意味におきまして、行政協定第十七条三項の(e)の趣旨に則り、この本条を置いた次第でございます。文言は殆んど刑法第百四条の文言を使つておりまして若干制限漢字その他の関係で字句は異なつておりますけれども趣旨は全く同一でございます。
次は第四条偽証でございます。
なお申上げますが、この法案の中に二カ所ほどミス・プリントがございまして、この際訂正させて頂きたいと思います。第四条の今申上げました偽証の罪というのは偽証等の罪でございます。ついでに申上げますると、第十三条の第一項の最後から四行目でございまするが、「裁判官からするものとす。」とございますが、「するものとする。」というのが正確でございます。実はあとのほうがミス・プリントでございます。私どものほうから最初差上げましたのは正確なんでございます。御訂正置き願います。この第四条に含まれまする偽証、虚偽の鑑定、虚偽の通訳等につきましては刑法第百六十九条、百七十条、百七十一条、この三条に規定がございます。先ほど申したと同じ理由で合衆国の軍事裁判所の事件には適用がございません。証拠煙滅と同じような趣旨でこの規定を設けた次第でございます。
次に第五条でございます。「軍用物を損壊する等の罪」合衆国軍隊の軍用物を損壊する等の行為につきましては、特に規定がない場合には刑法第二百五十九条と三百六十一条の規定が適用されるわけでございます。ところが行政協定の二十三条の趣旨から考えて見ますると、これらの規定のみでは合衆国軍隊の財産の安全及び保護を確保するには不十分である、そこで特に「合衆国軍隊に属し、且つその軍用に供する兵器・弾薬、糧食、被服その他の物」これらに対してこの特別の規定を置いた次第でございます。ここに言う属するというのは、所有する場合並びにそういうことがあるかないか知りませんけれども、合衆国軍隊が借用しておる場合というのがこの属するという言葉の意味でございます。次に「軍用に供する」というのは、合衆国軍隊の用に供するということでありまして、現に軍隊において使用中のものは勿論、使用中でなくとも倉庫に保管してあるもの、或いは集積所に集積中のもの、輸送中のものというものも包含する趣旨に立案いたしました。但しこの軍隊の構成員一人一人の軍人さんがその日常生活のために使用するものというものは軍用に供すると言えませんのでさようなものは入りません。なお合衆国軍隊の発注によつて民間工場で製造したものは、たとえそれが半製品でありましても合衆国軍隊に引渡されるまでは属するものでもないし、その使用に供せられておるものではない、かように解しておる次第でございます。行為の態様は刑法の概念をそのまま持つて参りました。なお軍用物の損壊でございますが、その手段方法がその他の罪に当る場合、例えば放火とか、溢水とか、爆発物を取締る罰則に触れるような行為といふうな場合においてはその重いほうの刑が科せられることになると思います。なお航空機等の場合につきましては現在のところほかに規定がございませんからこの本条の適用を受ける、かように解釈いたしております。次は第六条、七条、八条の合衆国軍隊の機密を侵す罪でございます。合衆国軍隊の機密についての保護は、行政協定の第二十三条に基いて何らかの形でこれを規定しなければならんということになつたのでありまするが、事柄の性質上いろいろと困難且つ微妙な問題を含んでおりますので、この条文によつて保護される合衆国軍隊の利益と、又この法文によつて取締られる日本国民の立場とを適当に調節いたしまして妥当を期さなければならんというのがこの法案の最も苦心した点でございます。そこで先ず保護の対象たるべき合衆国軍隊の機密の意義、種類及び範囲を法律上明記することにいたしました。我が国の戦前の軍機保護法によりますと法律ではこれを命令に委任するということになつておりまして、命令で、施行規則でかなり細かくその範囲が規定されております。さようなことでは一般国民が納得し得ないと思いましたので、法律でこれを別表として出したわけでございます。この別表に掲ぐる事項につきましては後ほど簡単に触れたいと思いますが、我々としては一体アメリカの軍隊にどういう機密が今あるかということについて実はまだはつきりした知識を持ちませんし、聞いて見ましたところで余りはつきりした返事も得られませんでしたので、そこで多少漠然とはいたしますけれども、別表のような事項に細分いたして見ました。そこで大体向う側の保護は十分だろうといつた見当で立案をした次第でございます。なお次に注意いたしました点は、犯罪構成要件の定め方につきましても必要の最小限度にとどめたということでございます。即ち罪となる行為の主なる態様といたしましては、機密の探知、収集及び漏洩ということでございますが、これも戦前の軍機保護法のように何でもかまわずに処罰されたということのないように、探知、収集につきましては、一定の目的又は方法を持つてする場合にこれを処罰することにいたしました。漏洩につきましても何でも引つかけるのではなくて、それが特殊の機密であるところの認識がある場合だけと、さように限定したのでございます。のみならず、前にありました過失漏洩というものを取止めまして、故意犯に限定したのでございます。なおこれらの探知、収集及び漏洩の行為につきましては、未遂、陰謀、教唆、せん動を処罰する規定を設けましたが、本来かような機密の保護というものは飽くまでも機密の外部に漏れることを防止するということにありまするので、その機密が外部に漏れ、又は外部に探知、収集されるという段階に至りましてはもはやこれまでとなりまするので、その前段階において防止し得るものはこれを防止しようというのがこの規定の趣旨でございます。この点につきましては戦前の軍機保護法のスパイ団体の結成罪を侵しておるというようなものと相対応するものでございまして、我々といたしましても十分諸般の情勢を検討いたしまして結論付けた次第でございます。次に考えましたことは法定刑につきましても重きに失しないように妥当を期したのでございます。即ちその行為の態様如何にかかわらず刑の最高限は十年の懲役というふうに定めまして、その最低限は設けなかつたのでございます。その点は旧軍機保護法の刑の最高は死刑或いは無期というようなことと著しくその様子を異にいたします。なお最低限も前の軍機保護法にあつたのもございますが、さようなことは一切外したのでございます。次にこの機密の探知、収集、漏洩等に関しまして特に私どもが心配をいたし、そうしてその法律が実施される場合に万が一でも濫用がなからんことを期しましたのは、この憲法の保障する言論の自由等の関係でございます。特に第六条第二項の機密漏洩の点につきましては、言論等からいろいろ心配されておる向きがあるやに前々から承知いたしておりましたので、その点を十分にこの法案で検討いたした末に盛つてあるつもりでございます。合衆国の軍隊がどの程度のものを機密にするかということにつきましては向う側の話を開議すると、いろいろ段階を分けて機密があるそうでございます。併しながら我々が普通目に入るものは向う側としては機密の取扱はしていない、大体そういうことが言えるということだそうでございます。従いまして一般の言論機関等におきまして普通の取材活動の対象となり得るものは一応機密にはならないというふうに我々は考えられるのでありまして、而も新聞、言論界がその最も常識的なるセンスを働かせて報道するところの限りにおきましては、さような機密に引つかかるというふうな問題は起らんものと私どもは考えておるのでございます。そこでただそういうふうに抽象的に申しましても何にもなりませんので、機密の範疇からすでに公けになつているものというものを除外したのでございます。即ち何らかの公刊物に一度でも掲載された限りにおきましては、それがどんな経緯によりまして掲載されましたにしましても、もはやそれをこちらのほうで取上げることは本条に該当しないというふうな解釈でございます。例えば新兵器がどんな種類のものが現われた、原子爆弾の性能、ジエツト機の威力といつたようなものが新聞に掲載されましても、恐らくその殆んど全部は、アメリカの新聞雑誌なり、或いは我が国のさようなものに載りましてそれが紹介されたというのが普通の事例だろうと思います。従いまして全然公けになつていない機密を取上げるというふうなことは実際上は殆んど考えられないのではないか、いわんやただ一般の噂といつたようなものは、いわゆる公けになつているものというものに当る場合が多いでありましようし、又純然たる噂ということになりますと、これはいわゆる情報とかで情報とかいろいろございますが、機密の概念には根本から外れて行くということになるだろうと思います。又漏洩の点につきましても、事この機密に関する限り、或いは合衆国の別表に掲げる事項に関する限りすべて当るということにいたしますと、非常に広い場合が出て来るのではないかというので、この点を次のようにしぼりました。即ち「通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないような」機密というような文字を使つてございます。この点も非常に苦心をしたのでございまするが、要するに普通の人が普通の常識で考えて見て、それが「不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないようなもの」であるというふうな認識を必要とする。要するに普通にいつて目に触れたというようなものは勿論入らないというふうな趣旨でございます。なおそれらの点につきましては、後ほど更にちよつと触れて見たいと思つております。なおこの目的の点に限定いたしまして、合衆国の機密を、合衆国の「安全を害すべき用途に供する目的をもつて」という文字を使いまして、さような特殊目的を持つている場合、かような場合において又違反になる。かような目的と方法において不当な或いは不法なものをここで取締る、かように限定してあるのでございます。一般言論界が、さようなものに、法に触れるというふうなことは恐らくあるまいと私どもは見ております。
次にいささか詳細に亘りますけれども、特に問題のある事項と思いますので、細目に亘りまして若干説明を加えますると、第一合衆国軍隊の機密の概念は先ほど申しました通りに、別表に掲げる事項並びに別表に掲げる事項に関する文書、図画、物件ということになつております。つまり別表に掲げる事項に直接関する文書、図画、物件を入れまして、単に事項のみならず、それに関する例えば写真とか、レコードをしてあるテープとか、或いは図書というふうなものを同時に保護しようというのでございます。次に「公になつていない」というふうなこの二つの要件を備えて初めて機密に相成るのでございます。次に「公になつていないもの」ということでございますが、これは公けにされたもの或いは公表されたものというものとは違うのでございます。旧軍機保護法の下におきましては、その施行規則の第一条におきまして「軍事上秘密ヲ要スル事項又ハ図書、物件」として指定されたものであつて、法規又は官報によつて公示されたもの、陸軍又は海軍において公表したものはこれを除くというふうな文句を使つておるのでありまして、法規又は官報で公示されたもの或いは陸海軍が公表したものは除くけれども、その他は全部機密であるということになつておりましたけれども、この条文におきましては「公になつていないもの」という表現をとりまして、それが軍の権限において発表されると否とにかかわらず、すべて一旦公けになつたものはこれを除く、かようなことにしてあるのであります。即ち公けになつた事由の如何を問わず、何らかの径路又は方法によつて不特定多数人がこれを知るに至つたという場合は除外されるという趣旨でございます。次に探知という概念でございますが、これは一つの無形的な事項、即ち事実又は情報を知ろうという意思を以て進んで探り知るということでございまして、こちらから積極的に探り知るというところに意味があるのでございます。たまたま軍の施設に何かの用で、公用で行つた、或いは私用で行つた、或いは労務者が働きに行つて、そのついでに耳にしたというふうなことはこれに入らないのでございます。又こちらが聞かないのに向うのほうがべらべらしやべつて知らせてくれたことも入らんのでございます。次に収集と言いますのは、有形的な文書、図画、物件を集める意思を以て進んで集めとる行為でありまして、例えば机の上にあつた本を持つて来る、或いは何かの動員計画の書類を持つて来るということを意味するのでございます。単にその机にあつた動員計画の書類を読んでくるというのは探知のほうに入つて来るのでございます。次に「合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供する目的をもつて」という語句でございますが、これは合衆国軍隊の装備或いは財産或いはその軍隊の人員の生命、身体等人的、物的の構成要素の安全を害する場合を申します。一国の軍隊にとりましては、その機密が現に敵対関係にあるか、或いは近い将来に敵対関係を生ずる客観的可能性のある外国、或いはその他合衆国軍隊の安全を害する意図を有するものに知られるということは、合衆国軍隊の安全にとつて極めて危険なことと言わなければならないのでございます。そこで、かような安全を害する目的でやる場合は当然探知、収集を罰しなければいかんというのがこの考え方でございます。次に「不当な方法で」という文句でありますが、これは社会通念に照しまして妥当だとは認められないような方法ですることを言うのでございます。例えば機密の存すると思われるような立入り禁止の施設又は区域内に入つて行く、或いはその附近までは立入りができても実際には普通の人が入つていけないところの扉を開いて室内に入つて行つて他人の話を盗み聞きするというふうな場合とか、或いは詐欺、脅迫等を用いるとか、或いは誘惑的な手段を用いるというふうな、普通の方法ではない、何かこう社会通念に照して妥当ではないというふうな方法でやる場合を称するのでございます。従いまして、単に飛行基地の近傍に行きまして飛び立つ飛行機の数を勘定しておると、これが毎日続きましても、それ自体は不当な方法でということにはならんと、かような解釈でございます。次に第二項に入りまして、合衆国軍隊の機密を漏らすほうの漏洩罪のほうでございます。この点につきましては、先ほどの一項の文字を裏から参りまして、通常不当の方法によらなければ探知し、又は収集することができないというような機密という文字を使つてございます。これは合衆国軍隊の機密のうち、その性質、内容、或いはその存在態様、或いはその存在の場所等に鑑みまして、通常の一般人を標準として考えて、これは不当な方法を用いなくとも知り、又は集め得るようなものは除外するという趣旨でございます。簡単に申上げますと、そんじよそこらにころがつておるというふうなものはどうせ機密じやないだろうから、そういうものは偶然知つても、漏らした者は何にもならない。ただどうも机の上にほかの本との間にこう挾まつて隠してあるような、而もその内容たるや何か動員計画の機密に亘るような何かの紙片があつたと、それを盗み見て来るということは、普通一般の人はそういうことは知り得ない、普通の方法では知り得ないことなのでありまして、それがそういうふうな方法でなければ手に入らんものだという認識があつて、而もそれをよそに漏らすという場合には、これに入つて来ると、かような見解であります。従いまして、この第二項によりましては、たまたま情報の入手の径路については何ら不当又は不法なことがない、目的も別になかつたのが、たまたま自分の耳に入つて来た、即ち第一項の探知、収集には入らんけれども、自然と耳にした事項、それが普通ならばこれは手に入らん情報だという認識を持つてこれを漏らす場合には、この第二項の漏洩罪に当る場合があり得るわけでございます。これは理論的でございますが、あり得るわけでございます。この点は、ともすると非常に危惧の念を持たれる点ではないかと思いまするけれども、我々といたしましては、この最終判断は裁判所がやりまするから、恐らく心配ないと思いますると同時に、かような事件の判断等につきましては、十分事前にその趣旨の徹底を図りまして、いわゆるどれが不当であり、どれが不当でないか、又妥当線をどこに引くかといつたような問題につきましては、具体的に考えられるあらゆる事態を事前に考え併せまして、十分現地のほうには指示いたすつもりでおります。なおこの点につきまして、第二項を過失も罰する趣旨ではないかというふうにお話になつたかたもあるのでございまするが、これは過失は勿論全然含めませんで、刑法の原則に従いまして、故意のある者、犯意のある者だけを処罰すると、かような趣旨でありまするので、なおこの点につきましては十分御審議願いたいと存ずる点でございます。次に、他人に漏らすというのは、自己以外の者に対して機密事項を口頭で告知する、或いは文書、図画、電信等によつて伝達する、或いは機密事項にかかる文書、図画、物件を交付するということを考えております。次に第七条の関係で、陰謀、教唆、せん動、これらの処罰規定がございまするが、これは先ほども申しました通り、機密の保護の本質は飽くまでも機密が外部に漏れることを未然に防止するということにありまするので、その行為の着手前の段階においてこれを防止しようというのがこの制定趣旨でございます。陰謀、教唆、せん動等は既成の概念をそのまま借用したのでございます。第八条は、それらの罪に対する刑の減免の規定でございます。第九条は、制服を不当に着用する罪でございまして、合衆国軍隊の構成員でない者がみだりに軍人の服装をするということになりますると、軍に対する信用を失墜するのみならず、何かの不正手段に使用するという場合が数多くあり得るのでございます。そこで、かような場合を取締ろうという趣旨でございます。軽犯罪法の第一条第一項十五号に類似の規定がございまするが、それを以ては賄い得ないので、特にこの特殊な構成要件を定めて、罰則は軽犯罪と同じ拘留、科料という軽い罪にいたしております。以上を以ちまして実体規定を終り、次は刑事手続でございます。この刑事手続につきましても、先ほど冒頭に申上げました通り、現行の刑事訴訟法並びに刑事手続法が全体としてかぶると、従いまして、どうしても賄い切れんところだけを拾い上げました関係上、規定が若干飛び飛びになり、或いは不足しておるのではないかという御心配もあるかと思いまするけれども、大体これに載つていないものは全部現在の刑事一般手続法で賄えるという私どもの見解でございます。先ず第十条でございますが、これは合衆国の施設又は区域内で逮捕する場合の規定でございます。行政協定第十七条第三項(b)によりますると、「合衆国の当局は、合衆国軍隊が使用する施設または区域内において、専属的逮捕権を有する。」ということに相成つております。併しながら、いわゆる専属的逮捕権とは書いてありまするけれども、実際問題として向うが承諾した場合には入つて行つてこちらが捕まえてもよいじやないか、又事実上その必要もあるのではないかという点から、この点を若干修正いたしまして、第十条では、向うの権限ある者の承認を受けて、若しくはこれに嘱託してこれを行うものとする、こういうふうな規定に改めたのでございます。このいずれをとるか、みずからやるか或いは嘱託するかということは、こちらの官憲が自由に選択し得るものでありまして、その事態々々に応じましてそのよきに従えばよろしい、かような趣旨でございます。この嘱託に基きましてあちら側が逮捕した場合には、直ちに身柄をこちらに移す、かようなことに相成ります。次に第十一条は、行政協定十七条三項(a)の前段に基く規定でございます。合衆国軍隊の使用する施設又は区域外において刑事訴訟法の規定によつて逮捕された者について、その者が合衆国軍隊の要員であることが確認されたならば、これを合衆国軍隊に引き渡すということ、手続を規定したものでございます。勿論アメリカ人を捕えて見たら日本の裁判権に服するものであつたという場合には引き渡すべきではないのであります。そのまま一般の刑事訴訟法に乗つて行くのでございます。ここに「確認したときは、」と特に文字を使いましたのは、ときどき贋軍人が現われまして、身分証明書を偽わつて持つておるという者もあり得ると考えましたので、「確認」という字をここに使つたのでございます。次に「刑事訴訟法の規定にかかわらず、」というのは刑事訴訟法第二百三条から二百五条に時間の制限があるわけでございます。例の警察の四十八時間、検事局の二十四時間、合せて七十二時間というところでございますが、その規定にかかわらず直ちに向う側に引渡すという趣旨でございまして、勿論捕えたときにやつたのかやらんのか、或いは弁護人のほうはどうするかといつたような一般の刑事訴訟法の規定はそのままかぶります。次は第十三条でございますが、これは行政協定の十七条第三項(b)又は(c)によつてあちら側が引渡したものをこちらで受取るときの手続規定でございます。この点は大して問題がないと思います。ただ第四項に「第一項又は第三項の規定による引渡があつた場合には刑事訴訟法第百九十九条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。但し、同法第二百三条、第二百四条及び第三百五条第二項に規定する時間は、引渡があつた時から起算する。」この但書の趣旨は普通の逮捕と違いまして、あちら側で逮捕したのでございまするから、刑事訴訟法はあちら側の逮捕に関する限り直接の適用はないわけでございます。そこで身柄がこちら側に移つたときから真正面に刑事訴訟法がかぶつて参りますので、その時間もその辺から起算いたしませんと、こちらとしては責任が負えない、さようなことからこちら側に身柄が来たときから起算するというふうにいたしたのでございます。そういたしますると向う側に不当に、いつまでも抑留、拘禁される場合があり得るのではないか、実際はそういうことはないという打合せでございますが、そこで一番最後の第二十条で刑事補償の規定を置きまして、さような場合、刑事補償法の適用については刑事訴訟法の抑留又は拘禁とみなしまして若しあつたらそれを補償してやろう、こういう配慮でございます。次は第十三条でございますが、これは施設又は区域内の差押、捜索等に関する行政協定第十七条三項(g)に基く規定でございます。この点につきましては大体第十条の規定と規定の建前が同じようになつておりまして、こちら側でやるか、或いは向うに嘱託してこれをやるというふうな建前になつております。なおこの点について特に私どものほうで規定を明らかにし拡げましたのは、第二項但書でございます。この「被疑者を逮捕するため捜索する場合、逮捕の現場で差押、捜索若しくは検証をする場合、又は行政協定第十七条第三項(a)に従つて逮捕することができる合衆国軍隊要員についてその事件の証拠を収集するため差押、捜索若しくは検証をする場合は、この限りでない。」ということで我がほうの権限を拡大してあります。次に第十四条でございますが、日本国の法令による罪に係る事件についての捜査ということになつておりますが、これは一般的な規定を置きまして捜査権限が我がほうに全部あるということを明らかにしておる次第でございます。なおこれに関しまして第二項では、この捜査に関する裁判所又は裁判官の権限を附随して規定したのでございます。次に第十五条は合衆国の軍事裁判所の審理の際にこちらから証人を呼ぶ場合がございます。そこでさような場合には行政協定第十七条第三項の(e)によりまして、こちら側にその手続に対する協力の義務がございますので、又考えようによりましては、日本人が被害者の事件でございまするので、それが相当ございますから、こちらから進んで協力すべきものでありまするからしてかような場合には証人の出頭、或いは宣誓証言等について義務を規定しました。これらの違反の際には行政罰を科するというのが十五条でございます。これは刑事訴訟法の建前と違いまして科料及び罰金というふうなことをせずに、過料一本にいたしましたのは、合衆国軍事裁判の実際のあり方等につきまして日本国民は末だ馴れていない、従つてたまたま何か間違いがあるかも知れんので、これは刑事罰というものでは苛酷に失するのではないか、であるからしてせいぜい行政罰でこの義務を確保しよう、義務の履行を確保しようという、かような考え方でございます。次に第十六条は前条一項による出頭命令に応じない証人についての勾引の嘱託があつた場合の勾引状の発付の規定でございます。つまりどうしても大事な証人が出て行かない、併しそれを調べなければ事件の真相が判明しないという場合にはこの十六条によりまして勾引状の発行を求めて事件の審理をし協力する、かような趣旨でございます。
第十七条は書類又は証拠物の提供についての協力義務でございます。この点は特に問題はないと思いまするが、ただ何にも制限をかぶせておきませんと、向うのほうからこんな書類が必要だ、あんな証拠物が必要だと言つて何か難題をふつかけて来るかも知れない。そこで合衆国軍事裁判所又は合衆国軍隊というようなものが来た場合だけ、而も向う側の刑事事件の審判又は捜査のために必要であるというふうな場合だけに限定しまして、かような証拠物の提供等の義務を課したのでございます。
次に第十八条並びに第十九条は、これは「日本国の法令による罪に係る事件以外の刑事事件」、言い換えますると、日本の刑事実体法規には触れない事件、さような刑事事件につきまして協力をする場合の規定でございます。今まで第十条以下申述べて来ました我がほうの捜査、或いは押収、捜索等の手続規定はいずれも日本国法令に違反する罪でありまするから刑事訴訟法がそのまま働いて来るのであります。ところが第十八条、第十九条につきましては、日本国法令に違反の罪ではないのでありまするから、刑事訴訟法はそのまま乗つて来ない。従いましてこれについて特殊な手続規定を要するのでございます。いわば何と申しますか、司法共助と申しますか、共助の規定でございます。十八条は第一項がさような事件についての逮捕の要請を受けた場合の規定でございます。これは行政協定第十七条第三項(a)の後段に基くものでございます。次に第二項は捜索の規定でございます。次に第三項は第一項の規定による逮捕があつた場合の、あちら側への引渡しの規定、第四項はその場合の通知の義務でございます。これはいずれも大した問題がないと存じます。
第十九条は、これ又向う側からさような事件について、協力の要請があつた場合の参考人の取調べ、実況見分その他の協力規定でございます。この点につきましては、やはり行政罰を第四項において科しましだ。その履行の確保を図つた次第でございます。
以上が大体行政協定に伴う刑事特別法の逐条の御説明でございます。
なお詳細の点につきましては御質問に応じまして順次お答えいたしたいと存じます。それからなお資料等の御希望がございましたならば、できるだけのことはいたしたいと思います。
それから別表につきまして簡単に御説明を申上げます。
最初の「防衛に関する事項」でございます。この「防衛」と申しますのは、安全保障条約第一条に書いてありますが、「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するため」の手段、方法を総称いたします。即ち又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によつて起された日本国における大規模の内乱及び騒じようを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて」日本国援助のためにする手段、方法をも含む趣旨でございます。なおここの「防衛の方針若しくは計画の内容又はその実施状況」というのは防衛のためにとるべき手段、方法の基本方針或いはこれに基く作戦計画の内容、これは勿論完成したもののみならず目下策定中のものも含む趣旨でございます。「実施状況」というのは、その方針と計画を順次実施に移されるその程度、内容、方法等を言うのであります。「部隊の隸属系統、部隊数、部隊の兵員数又は部隊の装備、」これらは大体問題は余りないと思います。「部隊の任務、配備又は行動」、これも大体読んで字のごとくであります。次に「部隊の使用する軍事施設の位置構成、設備、性能又は強度」、「軍事施設」というのは、各部隊が使用する具体的な施設を申します。それがどこにあるか、又例えば飛行場でありますれば滑走路の長さは幾らであるか、その方向はどうなつておるか、又は設備がどんなものがあるか、例えば離着陸の標識、或いはレーダー、器材の倉庫、或いは弾薬庫等がどんなふうに設備されているかというようなこと、或いは「性能又は強度」というのは、それがどのような性質を持つて、又、これが外部からの力に対してどの程度の強度を保つものかといつたようなことも含むと思います。次に「部隊の使用する艦船、航空機、兵器、弾薬その他の軍需品の種類又は数量」、これは大体各部隊の使用している具体的な艦船その他を申します。
第二の「編制又は装備に関する事項」でございまするが、ここに「編制」というのは全体としての合衆国軍隊の組織というふうな意味でございます。従いまして軍隊の区分、各単位の部隊の編制或いは配置、それらを示してございます。「装備」というのは全体としての合衆国軍隊に装備されているところの物的の戦闘力及び対自然力、即ち寒暑、風雨に対するもの、即ち兵器、被服の割当を申します。次に「編制若しくは装備に関する計画の内容又はその実施の状況」、これは先ほど申した計画の内容、実施の状況と同じでございます。それから「編制又は装備の現況」、これは現在の状況がどうなつているか、次の(ハ)はこれも各部隊が現に使用しておりまするそれらの武器、弾薬等の構造或いは性質、能力を言うのでございます。
第三の「運輸又は通信に関する事項」と申しますのは軍事輸送の関係でございます。つまり合衆国軍隊の要員や貨物を軍事目的を以て移動するためにする輸送がどういう計画に基いてやつているのか、これを申します。それが具体的に又どういうふうに実施されて行くのか、こういうことでございます。次の軍用通信の内容と申しますのは、有線無線を問わず合衆国軍隊が立入りをするところの軍用通信の内容を申します。(ハ)の軍用暗号は通常祕密事項の通信に用いられるものであります。暗号自体を祕密とする必要がある場合を、事項をここに掲げてある、かような次第でございます。
なお第六条には別表に掲げる事項及びこれらの事項にかかる文書、図画物件等でございますので、この別表に掲げた事項及びそれに関係を持つところの文書、図画、物件、即ちそれらのものが文字又はこれに代わるべき符号を以て表示されておるところの文書、或いはその形を表示したところの図画、これには写真、映画のフイルム等も入りますが、さようなもの、或いは物件とはあらゆる有体物、これらのものが併せて入る、かような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/2
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003・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 本案に関する質疑は次回にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/3
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004・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に住民登録法施行法案を議題に供します。御質問のかたは逐次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/4
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005・伊藤修
○伊藤修君 本案について一、二点お尋ねしておきますが、この第三条のですが、法の施行の日から五日以内に転居した場合は、前住所において届出をしなかつたときは新住所において届出を要するかどうか。この場合法第四条八号に掲げられる事項の届出をする必要がないか、この点について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/5
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006・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 登録をいたしまする日の、施行します日の午前零時を以て一応全部を記載いたしまするから、仮に接近しておりましても改めて届出をさせる、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/6
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007・伊藤修
○伊藤修君 ちよつとわかりにくいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/7
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008・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 只今の鍛冶さんの御説明を補足して申上げます。この七月一日から五日以内に住所を移したような場合のことだと思いますが、その場合には七月一日の現在における届出をいたしまして、更に今度は新らしい住所地におきまして法律のほうのこれは二十二条でございますが、それによりまして転入届を更にする、そういうことに相成ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/8
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009・伊藤修
○伊藤修君 私の質問するのは、それはわかつておるのですよ、わかつておるけれども、実際上例えば一日なら一日の午前零時とおつしやいますが、その一日の日の朝ですね、移転する人が相当数あるでしよう。その場合において届出をするということは、東京都なら東京都において届出はして行かないのですよ、事実上……。そうするとその人はあなたのおつしやるようにこちらで届出して、又新たに転入するということは実際上不可能です。これはダブつて来るのじやないか。若しそれを強いてやろうとすると、そういう場合の取扱というものが、仮に今の省令かなんかでしておかないと、その点が穴ができるのじやないかと、こう思うのですが、理論はわかるのですよ、理論はわかるのですけれども、それじや鹿児島に越して行つた人が東京まで戻つて来て、新たに届出義務を履行して、転入の届出をするか、そんなことは不可能です。それなら例えば金を返せといつたところが使つちやつたものは……。その点ちよつとむずかしいのです。その点どういうふうにお計らいになるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/9
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010・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 実はそういうような場合におきましては、この調査員が実際問題といたしましては、調査期日の前にあらかじめ準備調査をするという建前になつておるので、その準備調査の際にそういう人はあらかじめ調査をしておきまして、そういう場合にはあらかじめ届出書を作らせるか、作つてもらうとか、或いはこちらで書いてやつておると、そういうことをすることによりまして、実際問題としては処理できるのではないか、そういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/10
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011・伊藤修
○伊藤修君 そうすると、そういうものは今度の調査の方法は、国勢調査のような場合のごとく事前に調査員を派遣する、こういう趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/11
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012・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 国勢調査の場合と同じように事前にあらかじめ準備調査をいたしまして、各世帯を廻り、それから調査期日が過ぎまして、届出書を集めてもらう、そういう段取りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/12
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013・伊藤修
○伊藤修君 そうすると、そういう接近した日の場合をも想像して、調査項目の場合に御注意願うことがいいと思うのですが、一日に越して行つてしまうというような場合は、事前調査をしたが実際の届出はしないで行つてしまうということがあり得ると思います。全国とすると相当数何万という人が穴があいて来るわけですね、その点は施行の上において御留意願つておきたい。それから第七条について本条の調査員と法第三十条の事実の調査を行う市町村の吏員との関係はどうなるのでしようか。調査員は法第三十条第二項に規定する質問、文書の呈示を求めることができるかどうか。若しできるとすれば、法第三十二条の罰則の適用があるかどうか。要するに調査員というものの本質はどうなるかという点を明らかにして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/13
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014・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 調査の権限を持つておりますのは、市町村の固有事務でありますから、市町村吏員に限ると思います。従いまして調査員はどこまでも市町村長の指揮を受けまして、当該吏員の補助機関と見るよりほかないのじやないかと考えます。従いまして、調査員が調べまして虚偽であるということがわかりましたら、調査員は直ちにさようなことの手続をせなんで、その市町村長に報告し、当該吏員を以てそれを更に改めさせまして、その上でないと三十二条の適用はできないのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/14
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015・伊藤修
○伊藤修君 そういたしますと、要するに法三十条第二項に規定するところの質問その他のことは調査員では職務権限としてはできないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/15
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016・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 固有の権限としてはできない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/16
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017・伊藤修
○伊藤修君 まあ事実上やられることがあるかも知れませんが、権限行為としてないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/17
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018・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/18
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019・伊藤修
○伊藤修君 ではよろしうございます。
それから昨日の省令がポ政令かにおいて御留意願う点を一つ御明示願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/19
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020・羽仁五郎
○羽仁五郎君 大体昨日質問をしておいたのですが、実はこの二月の二十四日のニューヨーク・タイムスにイギリスの問題なんですけれども、本法案に関係のある事実が報道されておりますが、これは本法案にはその住民票というものがあつて、それにこのイギリスで最近問題になつたのは住民票ではないのですけれども、併し或る意味において関連があると思うので、こういう点についても政府の、政府というか、提案者並びに当局のお考えを伺つておいたほうがいいと思います。最近イギリスで起つた問題は、いわゆる登録、その個人を証明するカードですね。これを戦争中にカードを各人が持つているということになつておる。これは戦争中にいわゆるレイバー・ドラフト、労役提供、それから爆撃された場合の、その人が誰であるかということを確認するために、これは戦争中の必要に基いてしよつちゆうそれを携帯しておることになつておつたわけです。ところが、これがそのまま最近まで、そういうものが有効であるように考えられて慣習となつてしまつておつたらしいのです。ところが、極く最近になつて、ハリー・ウイルコフというヨークシヤイアーのビジネス・マンというから、何か営業をやつておるかたでしようが、それがこの個人が、こういうカードというものは廃止すべきものだという個人的な運動を始められた。こういうカードというものは個人の自由を脅やかし、そうして且つ又それは個人の名誉に対する侮辱であるという理由から、これは全く戦争中の必要に基いて作られたものであつて、戦争が終つたあとでこういうものを用いるべきでない。それで交通事故があつたりした場合に、そういうものの提出を警察官が求めたらしいのですが、それを求めに応じて提出しないということで問題が起つて、そうして遂にこれは裁判になつた。裁判の結果、こういうものを携帯しており、且つ官憲の求めに応じて提出する義務はないという判決になつて、事実上これは廃止されちやつたわけです。最近、これも前回に申し上げました、つまり個人の自由とか、或いは個人の尊厳ということと関係があることなんでありますが、今御提案になつております法律案は、そういうカードというものを規定するものじやない、そうではないのでありますが、住民登録票というものを作製される際に、個人の尊厳という点についても必ずや御留意があるものだろうと思う。その点で施行令の際に、個人の尊厳ということを明示せられる御意思があるかどうか、それを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/20
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021・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 只今の実例につきましては、衆議院でも相当議論がありまして、これはいわゆる再軍備のための徴用の準備でないかという議論が出た。それは恐らくその点にはまると思います。そのイギリスの例は全くそういう意味で作つておりますので、これとは全く違うので、これは末端行政上の事務のためにやるものであるから根本的に性質が違う。従いまして、個人を束縛するためにかようなものをこしらえるものでないということを明白にいたしたわけでございます。従いまして、今おつしやつたようなことも、昨日の御議論に従いまして、施行令を作りまする際に、御議論の趣旨を成るべく明瞭にしたいと思つて今内示いたしました案も持つておりますが、その際にも十分に一つ御趣旨を取入れてやるように、当局に対して進言をいたすことをここで申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/21
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022・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 只今イギリスの例を御引用なすつたのでございますが、私ども調べましたところでは、イギリスには前の大戦中にもやはり国民登録式のものがございましたのでありますが、今回もたしか一九三九年だと思いますが、ナシヨナル・レジストレーシヨナル・アクト、国民登録法というものが一九三九年にできておりまして、それが施行されておりまして、この法律を見ますというと、この法律は非常事態の必要に基いて制定したものであつて、その非常事態がなくなれば廃止するということに規定がございまして、私どもの知つております限りでは、この法律がまだ廃止になつていないと思うのでございます。只今お話の例は、多分この法律に基いたものじやないかと思うのでございますが、この法律は、個人に対しまして登録証明書を持たせるということを主眼にいたしておりまして、法律の内容を一、二申上げますと、例えば、各人は登録証明書を常時携帯していなくちやいかん。携帯を怠る場合には処罰する、或いは警官はいつ何時でもこの身分証明書の呈示を求めることができる、その呈示に応じなければ処罰する、そういうような規定が入つております。かなり厳格なものでございます。そういう点から、今仰せのような事例が出て来たじやないかと考えます。御参考までに申上げておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/22
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023・羽仁五郎
○羽仁五郎君 私が伺いたいと思つたのは、事柄の内容は少し違うのですけれども、戦時特別立法としてそういう住民登録カード、今御説明になつたその法律に基くカードですね、それを作つた。そうしてその法律自体も戦時特別期間だけに限るはずなんですが、実際上において、そういう法律を一遍作るとなかなか戦争が終つても今お示しになつたように廃止になつていない、又事実上まだ戦争が完全には終結しないというふうに言えばそういうふうにも言えますから、だからそういうように廃止しないということにも全く理由がないわけじやない。そういうように、戦時の特別の立法だというようにしてありながら、実際上において戦争は済んでもその法律がなかなか廃止されない、又そのカードの携帯の強制ということは続けて行われておるということが、結局最近になつてそういう一人の個人がそのことを問題にした。それで個人の尊厳を害するものだという意味から運動を開始され、且つそれを法廷に持ち出され、そうしてその法廷でそのカードの常時携帯ということは正当なる理由があるとは今日認められないというので、政府のほうが訴訟に破れたわけなんですが、それとは直接の関係がないように見えるのですけれども、間接的には住民登録法というものが施行されて行く場合に、ややもすればそのようにこの法が恐らく提案者においてお考えになつておる限度を超えまして、或いは個人の祕密を侵し、或いは人権を侵し、或いは個人の尊厳を侵すというようなことになつては、国民に対して我々が審議に当る者として甚だ相済まないというように考えますので、その点特に前回においては個人の尊厳という点について提案者並びに政府のお考えを伺つておかなかつたので、それを追加して伺つておきたいと思うのです。それで個人の尊厳というものは新らしい憲法によつて特に強調されておる面ですが、併しとかく末端なぞに行くとそういうふうでなく、悪いこともしないのに何かいろいろと聞かれるというような感じを国民に与えることがあると立法の御趣旨とも相反するというように思いますので、その施行令の場合に特に個人の尊厳を害しないようにという点を明記せられるほうがよろしいのじやないかというふうに思うので、その点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/23
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024・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) お説の通りでございまして、できるだけ留意してその点万遺憾なきを期したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/24
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025・羽仁五郎
○羽仁五郎君 それからもう一つ伺つておきたいのですが、各種行政、これは住民登録法のほうにも遡ることになるのでありますけれども、念のためこの際もう一遍伺つておきたいと思いますが、各種行政事務というのは若し列挙して頂けるとすればどういうことを指すのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/25
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026・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 御参考に、資料が参つておりますが、この一番終りに表を作つていろいろのほうへ使われるべきものを表で示してございますのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/26
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027・羽仁五郎
○羽仁五郎君 この表で拝見いたしますと、税務署、それから税務乃至警察に関係するものをも当然含まれるようにも了解される虞れがあるのですが、その点は如何なんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/27
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028・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) これはただ閲覧をして、必要なときにはという意味でございまして、これは事務上の問題じやないのです。何か必要があればこういうときにも間に合う、直ちに閲覧できるからという意味であります。行政事務上におけるものは他にございますのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/28
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029・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そうすると、この丸い枠で黒くしてあるのが当然の、いわゆる各種行政事務に入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/29
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030・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/30
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031・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そうしてこの細い枠でやつてあるのは必要に応じてこれらの関係についても考慮をすることができる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/31
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032・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) そこらでも便利なことがあるというわけでございます。直接の関係ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/32
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033・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そうしますと、この図表は非常に誤解を招くのではないか、又無用の恐怖を与えるのではないかというようにも思うので、若しこういう図表を、我々にこれはお配り下すつたのですけれども、一般に、或いは住民登録を施行する際に、こういうような附票をやはりお配りになるのでしようか。或いはその点伺うよりもむしろこの閲覧照会という点ですね。この閲覧照会については施行令で以てはつきりとそれが個人の利益或いは祕密というものを、或いは個人の尊厳を侵さないようにするということをこの閲覧照会の点においても特に明らかにされる御意思がおありなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/33
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034・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 閲覧を認められた場合は、これはこの法に書いてございますから拒むわけには行きません。照会を求めて来られること、事実上これはあるわけです、始終。ありますれば法律によつて義務付けられているものはこれは止むを得ませんけれども、それ以外のものに対しては当然人の祕密を漏らすようなことはいたさんつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/34
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035・羽仁五郎
○羽仁五郎君 提案者はいたさないおつもりでおられることを信ずるけれども、その施行令の際にその点を特に明白にして頂くことができるのかどうか、その点を伺つておきたいと思うのです。その各種行政事務というのは具体的には何を指し、何を指さないのでしようか、それをこの際はつきり伺つておいたほうがいいんじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/35
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036・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 実際問題といたしましては、ここで申しております各種行政事務というのは、市町村の事務を主にして言つておるわけでございます。御承知の通り市町村におきましては毎年選挙人名簿を作ります。それから就学児童を漏れなく拾いますために学齢簿を作るわけでございます。それから予防接種法の実施の関係で、予防接種台帳というものをやはり作るわけです。最も頻繁に市町村に使われますものは選挙人名簿、学齢簿、予防接種台帳が主だろうと思うのでございます。それからなお住民税その他地方税につきましても市町村役場では台帳を作つておるのでございますが、これは個人の資産だとかその他所得、そういう細かい調査が必要なのでございまして、この住民票は、これはそちらのほうには直ちには使えない、ただどういう人がどこの住民かということを知ることができますけれども、課税の標準としてはこれはもう使えないのであります。実際問題としては、今申しました選挙人名簿、学齢簿、予防接種台帳、それから個人の申請に基きまして住所証明を出すとか、或いは世帯の証明を出すとか、同居の証明を出すとかいうような場合があります。そういう場合の基礎資料になる、これが最も一般的な普通の場合であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/36
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037・羽仁五郎
○羽仁五郎君 そうしますと、ここに黒い線で囲んで示されておる選挙人名簿の調製、選挙管理委員会の関係、それから学齢簿の調製、それから予防接種台帳の調製、それからそのほかには農業委員会関係、それから寄留事務、世帯台帳事務、それから戸籍、各種の統計、それから住民税台帳の調製、これは細いほうの線ですが、これは必ずしも直接には入らない。それから謄本、抄本、証明書の発行、それから閲覧照会、これらが各種行政事務であつて、それ以外の警察関係であるとか、税務署の関係であるとか、裁判所の関係であるとか、こういうものは直接には入らない。若しそれらの関係から閲覧照会がなされる場合には、いやしくも個人の利益を害し、或いは個人の祕密を侵し、又は個人の尊厳を害するようなことが絶対にないというように施行令において御規定になるように伺つていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/37
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038・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点は、必ずしも一概にそうとも言えないのでございまして、例えば裁判所から照会があるというようなことは考え得られるのであります。例えば失綜宣告の申立があつた、その者が現在住んでいるかどうか、或いは民事訴訟におきまして公示送達をするかどうかというようなことで住所があるかどうか、そういうような照会がある場合も考えられます。それから警察なんかにいたしましても、これは成るほどお仰せの通り犯罪捜査などのために使うということは、我々としてはそれを目的にしておるわけじやないのでありますけれども、犯罪捜査以外におきましても、例えばそういう人が現在住んでおるかどうか、住所の照会なんかは、これは一般の場合にあると考えられますので、そういうものも各種行政事務の中に絶対に入らないということは、これは言い切れないだろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/38
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039・羽仁五郎
○羽仁五郎君 その点について、先日東大の問題の場合にも、そういう事実が明らかになつて問題となつたのですが、いわゆる身許調査の依頼とか、或いは照会とか、そういうことで、身許調査が大学教授に対して行われたのではないかという疑いがあつたのであります。前回にも申上げましたように、現在の日本の一般の行政関係が完全に民主化されて、そしてそういう点について中央から末端に至るまで民主主義的な革新というものが徹底しているようであるならば、私も全然こういう問題についてくだくだしく質疑を繰返さないのでありますけれども、御承知の通り、残念ながらそうでないので、どうかすると個人の尊厳を害するような虞れがあるのじやないかというように思うので、前回にもお願いし、大体御了承を頂いていたようにも了解しているのですが、その施行令の目頭においてそういう点、特に個人の尊厳ということも明記せられることをお願しておきたいと思うのですが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/39
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040・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点は全く御趣旨の通りにいたしたいと思つております。ただこの住民票は、登録法の第四条にもございますように、法律で以て記載事項が限定いたされておるのでございます。氏名であるとか、出生年月日であるとか、男女の別であるとか、それから世帯主かどうかの別、それから住所、こういうことに限定されておるのでございまして、思想動向がどうであるとか、どういう病気を持つておるとか、そういういわゆる警察の身許調査に必要な細かい事項は全然記載してはならないという建前なんでございます。それから又、住所の点は別でございますが、そのほかの氏名であるとか、出生年月日であるとか、男女の別であるとか、これは戸籍にも載つておることでございまして、戸籍法によりますと、戸籍簿は何人でも閲覧ができる、謄抄本の請求もできるという建前になつておりまして、これは警察或いは裁判所なんかからの照会がありましても、戸籍法の建前では応じなくてはならんことになつております。とにかく戸籍にしましても、この住民票にしましても、記載事項というものは非常に限定されておりますので、その個人の祕密に亘るような事項は、これは記載してはならないという法律の精神であると思うのでございます。でありまするから、施行令の目頭におきまして、今仰せのような個人の人権の保護ということに十分留意しなくちやいかんという点を明記いたしまして、更に法務府のほうで、この実施につきまして、細かい細目につきまして、市町村に対していろいろ指導方案示すわけでございますが、その中におきましてもその点は強調いたしまして、個人の人権を侵すというような結果にならないようにということは十分注意をいたしたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/40
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041・羽仁五郎
○羽仁五郎君 御説明の御趣旨はよくわかるのですけれども、その立法提案者なり或いは中央の当局においては、今お答えになつた通りで、ちつとも心配はないと思うのです。併し私が言うのは、この法それ自体がそういうような性質を持つておるのではないとしましても、さつきもちよつと例に引きましたように、これを口実にして、そうしていろいろ押込んで来ると、或いは立入つて来ると、特定の場合にその武器にするわけであります。この間から例に上つておるように、例えば道路交通取締規則というものを楯にして集会の自由を圧迫するというようなことがあるので、本当は法律としては少し体裁もおかしいかも知れないのだけれども、実害を防ぐために私はそういう点を……、個人の人権ということをこの前申したのですが、個人の尊厳ということをそれに附加えたいという意味で、大体御了承も得たと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/41
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042・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 他に御発言がなければ、本案に対する質疑は終局いたしたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/42
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043・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議ないものと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います……別に他に御発言もなければ、討論は終局したるものと認めて、直ちに採決に入ります。
本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/43
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044・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。
なお例によりまして、審査報告書及び委員長の本会議における口頭報告の内容につきましては、委員長に御一任願います。
本案に賛成の諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
宮城タマヨ 伊藤 修
一松 定吉 鈴木 安孝
長谷山行毅 岡部 常
左藤義詮
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/44
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045・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 次に下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありのかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/45
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046・伊藤修
○伊藤修君 質疑は終局して、直ちに討論採決されんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/46
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047・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 別に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて、直ちに討論採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/47
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048・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めます。討論は便宜これを省略して、直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/48
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049・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 御異議がないと認めます。採決をいたします、
本案を原案通り可決することに御賛成の諸君の御挙手を願います、
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/49
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050・小野義夫
○委員長(小野義夫君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の内容、委員長の本会議における口頭報告の内容等は、便宜委員長に御一任を願いたいと思います。
賛成の諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
一松 定吉 内村 清次
伊藤 修 羽仁 五郎
長谷山行毅 鈴木 安孝
左藤 義詮 岡部 常
宮城タマヨ
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/50
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051・羽仁五郎
○羽仁五郎君 先ほど政府側の説明を聞きました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法案に関するのですが、これは第一には、やはり一種の軍機保護法の性質を持つておる。それから第二には、皆さんも御覧下すつたと思いますが、四月一日の読売新聞の社説で、刑事特別法の持つ危険性という社説を以てこの法律の危険を指摘しております。それで皆さんの御賛成を得てお願いをしたいと思いますのは、時間の関係もあることと思いますけれども、何とか差繰りをされて、これについて公聴会を催おされて、なかんずく言論方面の意見を聞いて立法上万遺憾なきを期せられることを切望したいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/51
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052・小野義夫
○委員長(小野義夫君) いずれ理事会においてよく相談しまして処置いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/52
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053・羽仁五郎
○羽仁五郎君 成るべく希望のようにお取計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/53
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054・小野義夫
○委員長(小野義夫君) それでは本日はこれにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315206X02419520416/54
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