1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年二月二十二日(金曜日)
午前十時四十四分開議
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議事日程 第十五号
昭和二十七年二月二十二日
午前十時開議
第一 皇室経済法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/0
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/1
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
この際お諮りいたします。山内卓郎君から十三日間、櫻内辰郎君から八日間、それぞれ病気のため請暇の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/2
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003・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/3
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004・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、皇室経済法の一部を改正する法律案、日程第二、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/4
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005・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
〔河井彌八君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/5
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006・河井彌八
○河井彌八君 議題となりました皇室経済法の一部を改正する法律案と皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、この両案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を報告申上げます。
両案は関連しておりまするから一括して申上げたいと思います。委員会は二回開会いたしました。そして、そのうち一回は予備審査でありました。昨日質問を終了いたしまして、討論を省略して、全会一致を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。
この両案は非常に複雑な書き方がしてありまして、甚だ了解しにくい点があるのでありまするが、私は両方を通じまして、できるだけ簡明に説明を申上げたいと思います。
今後の改正案の要点は大別して二つとなります。それは、皇室に財産を讓り渡し、又は皇室が財産を讓り受け、若しくは賜與する場合、これは国会の議決に基いてしなければならないという点、即ち財産の收授に関するものが一つ、次に内廷費の増加及び皇族費の増加その他の改正、この二つであります。その第一の点、即ち憲法第八條に関する点は、皇室経済法第二條において、これにつきまして個々に議決を要しない額を定めてありまして、その場合を区別した規定が設けられてあるのであります。今回の改正は、これまで実施した経験に基きまして、一定額を法律で以て規定して、その制限を廃止しようとするものであります。施行法によりまして、この点は、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間において天皇及びその家にある皇族のなすところの賜與の額は総額を三百七十万円ときめたのであります。又その讓り受ける額は百二十万円を限度とするというように定めてあるのであります。それから、その他の皇族の賜與及び讓受額は十五万円と規定してあるのであります。この三百七十万円、又百二十万円、これは天皇及びその家にある皇族のなす額でありますが、それと、それからその他の皇族の額十五万円というものは、これは従来のものと変更がないのでありまして、ただこれを法文にかように規定いたしたに過ぎないのであります。
なお附加えて申しますが、そのほかに通常の民事上の売買或いは交換等によるところの財産の得喪に関しましてはかような制限はないのであります。これは現行法に規定してあるままであります。
第二の点、内廷費の増額につきまして申上げます。内廷費は、平たく申しますれば、これはいわゆるお手許金とも申すべきものであります。これが年額二千九百万円でありましたものを三千万円に改めるというのであります。で、この増額は、物価騰貴ということもありますが、その他やはり天皇の御身分にふさわしい額としては、この増額はとにかくよほど節約されたものだと考えられてよろしいのであります。これにつきましては、曾つて内閣委員会におきまして、一国の象徴であられるところの天皇に対する天皇の内廷費というものは余り少いことはよろしくないという意見がありまして、内閣委員長からこのことを議場に報告したこともあるのでありますし、この額は相当に遠慮した額と認められるのであります。これは昭和二十七年度の予算を見ましても内廷費として計上されてあるのであります。
もう一つの問題は皇族費に関する改正であります。これはどういうことかと申しますと、従来は皇族費を支出する場合について二つの規定がある。その一つは、皇族が身分相応の生計をなすために受けるところの年額、私はこれを歳費と申しますが、その年額。それからもう一つは、皇族が皇族たるの身分を離脱するときに一時に支出する金額。こういう二つの皇族費がきめてあるのでありますが、ここに改正を加えまして、新たにもう一つ加えることにいたしたのであります。即ち皇族が初めて独立の生計を営むに当つてその身分を保持するために必要なる一時金額を出すという規定であります。それで、独立の生計を営むという認定はどうするかと申しますれば、皇室経済会議の議を経てこれを決定するのであります。そうして、その金額はどれほどかと申しますれば、基準額の二倍とするというのであります。
次に、皇族費の年額支出算定の基準の改正がせられたのであります。独立の生計を営むことを以て基準とするというふうに改めたのであります。従来はこの点は、既婚、未婚、成年、未成年という区別に従つて基準を立てておつたのでありまするけれども、これは実際宮家としての生計を立てられておるところのその事実に副わない点があるのでありまするから、ここにこの基準を改めまして、独立の生計を営むことを以て基準とすることといたしたのであります。而うしてその額は、皇室経済法施行法の改正によりまして年額七十三万円を百四十万円に改めたのであります。そこで、その結果どうなりますかと申しますれば、独立の生計を営んでおりまする親王は百四十万円、親王妃はその二分の一、又、独立の生計を営むものといたしましての内親王は基準額の二分の一ということになります。又独立の生計を営まざる親王、親王妃、内親王は基準額の十分の一とするのであります。更に又、王、王妃、女王はこれに準じて計算を立てまして、その十分の七とするのであります。現在の宮家についてこれを申上げますれば、秩父宮、高松宮はおのおの従来は百九万五千円であつたのが二百十万円となるのであります。又三笠宮は従来は百八十二万五千円であつたのでありますが、二百六十六万円になるということであります。いずれもこれは年額であります。この皇族費の総計が六百八十六万円でありましてこれが前に申しました宮廷費と同様の取扱を受けまして、昭和二十七年度の予算に計上されてあるのであります。更に皇室費の年額基準を改正いたしましたことに伴いまして、攝政たる皇族の受ける年額は五倍を三倍と改正いたしましたのであります。それから又皇族たるの身分を離脱するための一時金を支出するその額は、その基準額の十五倍から十倍に低下することにいたしております。これは併し実額はいずれも若干の増加を示しておるのであります。更に又、皇族費の年額がかようにきまりましたが、従来はその算定の方法が明確でなかつたのであります。例えば年度の中途にこういう支出を要する場合、或いは支出の必要がなくなつた場合というときの算定の方法をここにきめてあるのであります。かようにいたしまして、この改正案は、法律となりまするならば、昭和二十七年四月一日から両案の実行を見るということに相成るわけであります。大体これが両案の趣意及びその内容であります。
審議に当りまして若干の質疑がありました。その主なことを申上げますれば、皇族費として受けるところのこの金額に対して課税せられるかどうかという質問であります。これに対しましては、所得税法によつてこれは所得税が免除せられてあるという説明であります。但し皇族費で受けるもの以外の財産からの收入等につきましては、これは免税の限りでないというのであります。次にもう一点、皇族費の支出の基準の計算につきまして男女の区別のあることはよろしくない、即ち平等の原理に欠けるという質問であつたのであります。これにつきましては更に考慮せられるであろうと認めたのであります。
かような次第でありまして、討論を省略いたしまして、全会一致を以て両案とも可決すべきものと議決いたした次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/6
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007・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/7
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008・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時一分散会
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○本日の会議に付した事件
一、議員の請暇
一、日程第一 皇室経済法の一部を改正する法律案
一、日程第二 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X01619520222/8
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