1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月十日(月曜日)
午前十時三十九分開議
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議事日程 第二十号
昭和二十七年三月十日
午前十時開議
第一 住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第二 葉たばこ收納代金前渡しに関する請願(二件)(委員長報告)
第三 揮発油税軽減に関する請願(四件)(委員長報告)
第四 満二十年以上の旧陸軍共済組合甲組合員に年金下附の請願(十四件)(委員長報告)
第五 所得税軽減に関する請願(委員長報告)
第六 被接收船舶に対する補償等の請願(委員長報告)
第七 福島県浅川葉たばこ收納所復旧に関する請願(委員長報告)
第八 電気冷蔵庫の物品税軽減に関する請願(委員長報告)
第九 ラジオ受信機等の物品税撤廃に関する請願(二件)(委員長報告)
第一〇 ラジオ機器の物品税撤廃に関する請願(委員長報告)
第一一 清涼飲料等の物品税撤廃に関する請願(二件)(委員長報告)
第一二 閉鎖機関整理委員会職員の転用に関する請願(委員長報告)
第一三 火災原因調査用器材の物品税免除に関する請願(委員長報告)
第一四 捜査鑑識資材の物品税免除に関する請願(委員長報告)
第一五 理容美容業に対する所得税適正化の請願(委員長報告)
第一六 帶広市に国民金融公庫支所設置の請願(委員長報告)
第一七 加工用金地金の自由販売制施行反対等に関する請願(二件)(委員長報告)
第一八 呉市に国民金融公庫支所設置の陳情(委員長報告)
第一九 在外公館等借入金支拂促進に関する陳情(三件)(委員長報告)
第二〇 国税改正に関する陳情(委員長報告)
第二一 年度末金融打開に関する陳情(委員長報告)
第二二 捜査鑑識資材の物品税免除に関する陳情(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/0
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001・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/1
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002・三木治朗
○副議長(三木治朗君) これより本日の会議を開きます。
この際、日程に追加して、国会法第二十九條但書の規定による国会の議決に関する件(国際捕鯨委員会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/2
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003・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。去る二月十八日、内閣総理大臣から、国際捕鯨委員会委員に本院議員小滝彬君を任命することについて本院の議決を求めて参りました。本院議員小滝彬君が国際捕鯨委員会委員に就くことに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/3
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004・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て小滝彬君が国際捕鯨委員会委員に就くことができると決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/4
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005・三木治朗
○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、外国為替管理委員会委員長の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/5
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006・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。去る一日、内閣総理大臣から、外国為替管理委員会設置法第五條第二項の規定により、木内信胤君を外国為替管理委員会委員長に任命することについて本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/6
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007・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意を與えることに決しました。
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〔松浦清一君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/7
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008・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 松浦清一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/8
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009・松浦清一
○松浦清一君 私はこの際、漁業問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/9
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010・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私は只今の松浦清一君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/10
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011・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 松浦君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/11
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012・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。松浦清一君。
〔松浦清一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/12
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013・松浦清一
○松浦清一君 私は、国民が久しい間の待望でありました北太平洋ブリストル湾におきまする母船式「かに」漁業が、出漁直前に急遽中止になつたことに関しまして、所管大臣のおとりになりました措置並びにその実相についてお伺いをいたしたいと思います。
昨年十二月仮調印せられました日米加三国の漁業條約は、日本政府が終戰後初めて完全な主権国として、且つ主権のある国の立場において招集いたしました国際会議でございまして、その結果は、その後に来たるべき日本と米加以外の諸国との間に締結されることを予想されまする同様條約の先例となる條約であるという点において、国民はその会議の経過並びに條約の内容に対し、極めて深い関心を持つておつたのであります。全文十一條、附属書、附属議定書等によつて構成されておりまするこの日米加漁業條約の内容につきましては、本日質問の主題ではございませんから、これを問題とはいたしませんが、講和條約が発効し、これらの漁業條約が発効したのちにおきまする国民の日本漁業に対する関心というものは、一つには、この島国である日本の沿岸周辺にまで迫り、日本の遠洋漁業に致命的な制限を加えておりまするマツカーサー・ラインが解除せられまして、北洋にも東支那海にも自由に出漁ができるということであつたのであります。昨年二月七日に、吉田首相とダレス特使との間に取交わされました書簡は、戦争前には日本の漁業が外国の特権と見られる漁業資源を侵略したこともあつたので、これを深く反省をいたしまして、将来は世界との共同責任において、世界の漁業資源を温存し、世界の永続的な漁獲全体量の増大を図ろうとする意図に出たものでありまして、我々も又この態度に対しては共感をいたしておつたのであります。ところが、この書簡の趣旨に基いて日米加漁業條約を締結し、この條約に仮調印し、三月の下旬又は四月の上旬にはこの條約が講和條約と共に発効することを予定して、政府は北太平洋水域のブリストル湾における母船式「かに」漁業及び西経百七十五度以西の「さけ」「ます」、底曳網漁業の可能の見通しを立てまして、業界はこの政府の見通しを信頼し、相当多額の費用を投資して準備をしていた模様であります。
ところが昨今新聞の伝えるところによりますと、本年度はブリストル湾への「かに」工船出漁はできないとのことであります。その理由とするところについて私の質問いたしたいのは、外務省が総司令部の外交局を通じて米国側の意向を照会いたしましたところ、第一には、日本のブリストル湾へのかに工船の出漁は、平和條約発行後といえども吉田・ダレス書簡に基いて三国漁業條約の正式調印及び批准の完了するまでは出漁ができない。第二には、漁業條約の批准が終るのにはなお相当の時日を要するので、かに工船の出漁時期は遅くとも四月の三十日頃までであるから、この時期までには到底間に合わない。第三には、戰後ブリストル湾に出漁しておる米国の工船は三船団に上り、かなりの收獲を挙げておるので、すでに「かに」資源は漸次枯渇していて、採算上の危險が強まつておるという理由のようであります。併しこれは政府の正式な声明ではありませんから、真偽のほどは別といたしましてこれらの情報を基礎として私は政府の所信を伺いたいと思います。
先ず第一に、日米加の三国漁業條約が正式に調印せられ、批准が完了するまでは出漁ができないということは、初めからわかつていたはずであります。政府は、そのことがわかつていながら、なぜ確定的に出漁できるということを業者に指示したのか、或いは又これは單なる予想と推測によつて指示したのか、その点をはつきりと伺いたいのであります。
次に、政府が講和條約やこの漁業條約の発効は三月の下旬又は四月の上旬であると踏んでいたことは、この本会議のほかの機会において吉田総理もたびたび言明したところでございまして、かに工船の出漁許可方針も、この予定される時期を目安にして、出漁時期の四月二十日頃までには完全に出漁ができるという見込で、船団は一船団、日水、大洋、日魯三社の共同出漁という具体的な指示までしていたのに、今になつてから間に合わないということは、それは政府の見込み違いであつたのか、それとも、ほかから何かの事情が起つたのかということについて、どうも納得のできない疑問があります。政府の方針があいまいになつて来ると、口の悪い連中もおりまして、これは三社の調整に失敗した廣川農相や塩見水産庁長官が、ネヴイル総司令部漁業官にひそかに頼んで下ろしてもらつた一幕だと言つている者もおりますけれども、私は別にそのようなことを問題にしようとは思いません。併しながら、終戰後長い間、南氷洋捕鯨を除くのほかは、日本の近海、即ちマ・ラインのうちだけの狭い海域に蟄居していた日本の漁業が、初めて北太平洋に進出する、このように重大な転機に当つて、ただ簡單に政府の見込み違いであつたということだけでは、それで行政府の責任は免れるものではありません。又、八日の衆議院の水産委員会で、外務省の土屋欧米局長は、「米国政府の見解として、日米外交全体の問題として、政治的、大局的な観点から、本年の出漁は見合わすべきである」と言い、塩見水産庁長官は、「結果的には我々の判断が誤まつていたことが、情勢の急変によつて知らされた」と言つているのでありますが、その土屋局長の「日米外交全体の問題として」とか、塩見長官の「情勢の急変」ということは、一体どのようなことを指しているのであるか、その点、明確に農林大臣の御説明を願いたいと思います。
又政府の見込み違いであつたとすれば、このことによつて業界に與えた損害について、政府はどのような責任を負うのであるか、或いは又負わないのか、この点についても大蔵大臣の御見解を伺いたい。今日は大蔵大臣御欠席でありますから、後刻御答弁を煩わしたいと思います。
最後に問題となりますのは、終戰後ブリストル湾には米国の工船が三船団も出漁していて「かに」資源は枯渇しつつあるということであります。この情報が若し真実であるとしますると、その枯渇の状態、程度というものが、日米加漁業條約の魚族の保存措置の規定に該当する程度であれば、北洋の「かに」漁業は本年だけ中止をしたことではなくて、来年からも出漁ができないということになるが、この点、実情はどのようになつているのでありますか。来年からは、資源の状態も、いわゆる外交上の関係からも、條約の関係からも、支障なしに出漁できるのかどうか、その点を明確にして頂きたいと思います。
又戰争のために殆んど壊滅状態になつていた日本の産業経済の立ち直りに対して、米国が多くの援助を與えて来たその厚意に対しては、国民はひとしく感謝をいたしております。併しながら、最近起つている冷凍「まぐろ」に対する関税問題といい、今度の「かに」漁業の中止といい、日本の水産業に関する限りにおいては非常に強い抑制を加えられているような感じがするのであります。私がここに持つておりまするこの書物は、外務省が刊行いたしました日米加三国漁業会議の議事録であります。この第一頁の「はしがき」の所に、「日米加三国漁業会議は、日本政府が終戰後初めて完全な主権国の立場において且つ主催国として招集した最初の国際会議であつて、その結果は、将来日本と米加以外の諸国との間に締結を予想される同様條約の先例となる取極めをする極めて重要な会議であつた。」ということが記されてあります。表面的には主権国対主権国の立場において條約は締結されております。併しながら実際はアメリカの強力な主権の下に日本の主権は誠に弱体で隷属的であります。漁業條約の正式調印前に出漁する北太平洋の「かに」漁業が、外交上、政治上の問題であるというより、日本の冷凍「まぐろ」に対する新らしい関税の設定が、より大きな外交上、政治上の問題であります。日本の漁業は、国内的には食糧確保の立場から、又国際的な関連経済の中における外貨獲得の立場から、太平洋の全域に、日本海の全域に、東支那海の全域に、太く大きく伸張しなければなりません。それは国際的な通念である公海操業自由の原則に基くものであります。外務大臣であられる吉田総理はこれらの点に関してどのような信念をお持ちでありますか。防衛戰力問題もさることながら、日本の漁業が他のいずれの国からも抑圧を加えられないよう、強い御信念を持つておられるかどうか、明確にお答えを願いたいと思います。吉田総理も本日は戰力問題で予算委員会に出ておられまするから、後刻この点に関する明確な御答弁を要求いたしまして、私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣廣川弘禪君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/13
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014・廣川弘禪
○国務大臣(廣川弘禪君) 只今の北太平洋のブリストル湾における「かに」工船出漁の問題についてのだんだんのお尋ねでございまするが、講和條約発効後、三国漁業協定が発効するまでの間における右出漁は、吉田・ダレス書簡によりまして法律的に可能であると共に、右程度の規定ならば、過去の実績に基く資料から判断いたしまして、資源保存上も悪影響を及ぼすものと認めていなかつたのであります。右のような前提の下におきまして出漁が可能であることを條件といたしまして、当業者間に共同体制による出願の協議が行われて来ておつたのでありますが、この協議はなかなかはかばかしく進行していなかつたことは御承知の通りだろうと思うのであります。ところが最近帰国いたしました総司令部の外交局の漁業官のネヴイル氏よりもたらされました情報によりまして、右の業者間における協議の状況等が意外に米国の漁業者の感情を刺激したという情報を我我は受取つたのであります。そのほか、最近におきまして、農林、外務両省会議の結果、かく調印された三国漁業協定が正式に効力を発生する前に出漁いたすことは、大局的に見て得策ではないという判断をいたしたようなわけであります。三国漁業協定の発効後は、資源保存の立場を守りまして、過去の経験を活かして右漁業の出漁を行うことは、決して差支えないと私は考えておるのであります。
なお、私の立場を糊塗するために、特に天然資源局におられたネヴイル氏に我々が何か頼んだのぢやないかというようなお尋ねでありまするが、さようなことはございません。
なお又、業界に対しまして、この日本の「かに」工船の出漁に対しまして我々といたしましては指示をいたしたのではないのでありまして、皆さんからそういう声が出て参つたので、我々はこういうこともあろうかと考えまして、三船団というお話であつたのでありますが、一船団にまとめたらどうかということを示唆いたしておつたのであります。又米国の「かに」工船が三船団くらい出ておるということも、これも向うから帰つて来ましたかたがたから極く最近我々は聞いたのでありますが、それによつて資源がどうなつておるかは、まだ我々といたしましては承知できていないのであります。條約発効後におきましては、先ほども申上げましたように十分これは出漁ができると思つておるのであります。
大体私に対する質問にお答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/14
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015・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 吉田総理大臣及び大蔵大臣の答弁は他日に留保されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/15
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016・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 日程第一、住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。建設委員会理事小川久義君。
〔小川久義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/16
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017・小川久義
○小川久義君 只今議題となりました住宅緊急措置令等を廃止する法律案につきまして、建設委員会の審議の経過並びに結果を報告いたします。
本法律案は、終戰その後の極度に急迫した住宅事情に対する緊急措置の一つとして制定されました住宅緊急措置令と、同令に基く住宅緊急措置損失補償委員会官制を廃止すると共に、現に入居している居住者に対する措置、建物等の所有者に対する補償、その他所要の経過措置を講ぜんとするものであります。御承知のごとくポツダム政令である住宅緊急措置令は、終戰直後、戰災者、海外引揚者等のために住宅を緊急確保することを目的としたものであります。同令によりまして、罹災建物その他の空き建物等について、公共団体、同胞援護会、住宅営団、その他のために設定して、これを住宅に転用する途を講じ、又いわゆる余裕住宅に対してはその一部を住宅困窮者に貸付けさせるために勧奨又は命令することによつて、当時の緊迫した住宅緩和を図つたものであります。
今、同令施行以来の実績を見ますると、転用住宅に收容した世帶数は九千九百余で、本年一月十日現在なお居住している世帶数は一千七百七十六戸で、東京、神奈川が大部分を占めております。又、余裕住宅については、昭和二十五年末までに入居した世帶数は五万六千六百五十戸、同年末現在居住者五千四百十八戸でありますが、命令の結果による入居はそのときすでに全部解消いたしております。
以上のような状況に対しまして、政府は、最近の住宅事情が終戰直後に比しますれば、かなり緩和しましたので、今回同令を廃してその善後措置を講ぜんとする次第であります。
法案の要旨は、第一、建物使用権の存続期間は昭和二十八年三月三十一日までとして、それまでに居住者を立退かせ、所有者に返還すべきものとしたこと。第二に、建物返還を促進するため必要な場合には、都道府県知事は居住者に対して明渡しを命令することができること。第三に、適当な立退先のない転用住宅居住者又は余裕住宅の入居者に対しては、公営住宅の優先入居を認めたこと。第四に、返還建物については、起業者又は特に必要がある場合は都道府県が原状回復又はその費用を補償することとし、国はその費用の一部を補助すること等であります。
本法案に対して、建物委員会は、提案理由の説明を聽取し、政府関係当局との間に質疑応答を重ねて愼重審議をいたしました。詳細は速記録によつて御承知を願いますが、主なるものを挙げますれば、その一は、使用権設定について建物所有者のその後の事情と居住者の状況、その二は、居住者を公営住宅に優先入居せしめるについてその見込数、又これと公営住宅建設計画との関連、この優先入居と一般入居希望者との関係、その三は、広く住宅問題の一環として、転用住宅と同様の事情にある引揚者住宅の現状とその改善策、又本法による優先入居との関係、その四は、建物所有者に対する損失補償の問題でありまして、特に旧令による補償が甚だ不十分であつた状況と、又今回の措置による原状回復又はその費用に対する国の補助五百三十三万円計上の基準とその予算関係等であります。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、田中委員から、「ポツダム政令を廃止する本法律案には賛成するが、その善後措置については次の事項を強く要望する。一、昭和二十八年までは、転用住宅を処理するためにはこれに対応する公営住宅の建設計画を推進する必要がある。然るに東京都のごときは昨年度も本年度も建設省の割当戸数の一つ部を返上した実情であるので、転用住宅の大部分を占める東京、神奈川に対しては特に建設計画の進捗を図ること。二、公営住宅の建設が十分に進捗しないのは地方団体の財源関係によるもりであるので、国の補助又は起債については十分に考慮すること。三、転用住宅の中には形式的には任意契約によるものがなお残つておるので、これに対しても補償の途を図ること。四、転用住宅の経営によつて起業者も実際上相当の損失を生じたものがある。これに対しても昭和二十八年度予算又は別枠を以て補償をすること。以上の四つの條件を附して本案に賛成する」との発言がありました。次いで採決の結果、全会一致原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/17
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018・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/18
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019・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/19
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020・三木治朗
○副議長(三木治朗君) この際、日程第二より第十七までの請願及び日程第十八より第二十二までの陳情を一括して議題とすることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/20
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021・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事菊川孝夫君。
〔菊川孝夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/21
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022・菊川孝夫
○菊川孝夫君 只今上程せられました大蔵委員会付託の請願並びに陳情につきまして、本委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
大蔵委員会におきましては、特に小委員会を設け、紹介議員からの趣旨の説明、各委員の意見及び政府の見解を十分に聴取いたしまして、その上、質疑応答を重ね、愼重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。
請願第十二号、第三百九十三号は、相当量の輸出が期待されまする福島県産葉たばこの生産資金調達のため収納代金の前渡しができるよう適切な処置を講ぜられたいとの趣旨であり、請願第三百二十五号は、浅川葉たばこ收納所焼失は地方産業に重大な影響を與えており、地方民はでき得る限りの協力をするから、速かに收納所を復旧せられたいとの趣旨であります。請願第百八十二号、第百九十八号、第二百六十五号、第二百六十六号、第三百一号、第三百二号、第三百五十二号、第三百九十四号、第四百三十八号、第六百三十九号、第六百六十三号、第六百八十八号、第七百二十四号、第七百六十一号の各件は、いずれも旧陸軍共済組合の甲種組合員について、終戰時の年齢如何にかかわらず、加入後満二十年以上を経過した者にも年金受給資格を付與せられたいとの趣旨であり、これはその他の公務員の共済組合の例から考えましても願意は適当と考えられますので、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
請願第二百号は、終戰後外地において連合国に接收された本邦民有船の返還は殆んど絶望と見られ、その損害は甚大であるから、本船の接收時の保険価格による船価の補償、並びに本船接收以来の使用料損失補償等、適切なる措置を講ぜられたいとの趣旨であり、将来研究を要するものと考えられます。又請願第百四十八号は、一般勤労所得税について、基礎控除額の引上げ、税率の引下げ等の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、将来財政事情の許す限り善処する必要があると考えられます。請願第六百十六号は、理容業收入は勤労の対価であるから、所得税の課税に当つて勤労所得者とするか、又はこれに準じた取扱をせられたいとの趣旨であり、将来これも研究を要するものと考えられます。請願第三百七十七号は、四分の一馬力以上の業務用電気冷蔵庫については物品税を免除せられたいとの趣旨であり、業務用のものに対しましては公衆衛生確保の見地からも免税をしてこれが普及を図ることが適当と考えられます。請願第四百十三号、第四百十四号、第四百四十四号、第四百五十五号、第五百三十四号は、ラジオ受信機及び清涼飲料等の物品税を免除せられたいとの趣旨であります。これらのうち大衆向のものは免税することが適当と考えられます。請願第五百九十号、第五百九十一号、陳情第二百六十四号は、火災原因調査用器材及び自治体警察の使用する捜査鑑識資材は、教育用のものと同様に物品税を免除せられたいとの趣旨であり、願意は妥当なものと考えられます。請願第五十号、第六十号、第百五十四号、第百八十一号は、揮発油税を軽減せられたいとの趣旨であり、軽減の方向に措置することは適当と考えられます。以上の各件はこれを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
陳情第百七十二号は、現行国税体系は実情に徴して不合理な点もあり、経済自立の達成を促進するためにも、資本蓄積の促進等を考慮して改正せられたいとの趣旨であり、将来研究を要するものと考えられ、特に講和條約発効に伴いまして日本の税体系を根本的に考え直さなければならない段階にも来ておりますので、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
陳情第百七十一号、第二百三十三号、第三百三号は、在外公館等の借入金の支拂を促進せられたいとの趣旨であり、請願第四百六十七号は、閉鎖機関整理委員会の職員は失業の危機に直面しておるが、その転用について適当な措置を講ぜられたいとの趣旨であり、請願第六百二十号、陳情第八十六号は、地方産業振興のために帶広市及び呉市に国民金融公庫支所を設置せられたいとの趣旨であります。陳情第二百二十号は、逼迫せる年度末金融を緩和するために金融上或いは徴税上万全の措置を講ぜられたいとの趣旨であります。請願第八百二十四号、第八百二十五号は、金の地金の自由販売制が実現せられますると、価格が上昇して、輸出陶磁器関係業者は甚大な影響をこうむるから、加工用金地金の自由販売制をとり上げないか、又は価格に一定の制限を設けるよう措置せられたいとの趣旨であります。以上の各件は、いずれも願意は妥当と考えられますので、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/22
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023・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/23
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024・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十九分散会
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○本日の会議に付した事件
一、国会法第三十九條但書の規定による国会の議決に関する件、(国際捕鯨委員会委員)
一、外国為替管理委員会委員長任命に関する件
一、漁業問題に関する緊急質問
一、日程第一 住宅緊急措置令等の廃止に関する法律案
一、日程第二乃至第十七の請願
一、日程第十八乃至第二十二の陳情発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02119520310/24
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