1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月二十八日(金曜日)
午前十一時三十一分開議
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議事日程 第二十五号
昭和二十七年三月二十八日
午前十時開議
第一 松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
第二 森林火災国営保険險法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
第三 郵政事業特別会計法及び電気通信事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/0
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001・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/1
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002・三木治朗
○副議長(三木治朗君) これより本日の会議を開きます。
この際、日程第一、松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、森林火災国営保険法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院提出)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/2
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003・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長羽生三七君。
〔羽生三七君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/3
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004・羽生三七
○羽生三七君 只今議題となりました松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
戰後松くい虫が異常に蔓延して森林資源に相当な被害を與えたので、第七回国会において現行法の成立を見たのでありまして、現行法施行後松くい虫等のせん孔虫類の防除事業は着々その効を奏しているのであります。然るにその後松くい虫以外の森林病害虫等の蔓延著しいものがありまして、年を逐うて増加の傾向さえあるのであります。ところが現行法においては、松くい虫等以外の森林病害虫の駆除予防は政令によつて一年を限り行い得ることになつており、実情に副わないところがありますので、年々継続してなし得るよう改正するのが本法律案提案の理由であります。而してこれに関連して次のような改正が加えられております。
その一つは林業種苗に対しても防除に必要な措置をなし得ること、第二は、防除の方法について新たに種苗の焼却及び薬剤による防除を加えること、第三は、防除の措置を行なつたことによつて生ずる損害を補償すること、第四は、森林病害虫の発生、蔓延の震れのあることを認めた者は都道府県知事又は市町村長に通報しなければならないもの上すること、第五は、法律の題名を森林病害虫等防除法に改めること等の諸点であります。
委員会におきましては、先ず提案者から提案理由の説明を聞き、政府委員から法律施行後の状況、森林病虫害発生の事情、明年度予算の措置等につき、詳細に亘つて聴取いたしたのでありますが、その審議の詳細は会議録に譲ることにいたしたいと思います。
かくして質疑を終り、討論採決の結果、全会一致を以て本法律案を可決すべきものと決定いたしました。
次に、森林火災国営保険法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。
森林火災国営保険は昭和十二年から開始いたしているのでありますが、その内容は、火災の危険の最も大きい林齢二十年以下の幼齢林に対して国営の保険を行うというのでありまして二十年以上の壯齢林等については民営保険に委ねるという趣旨であつたのであります。然るに壮齢林の火災被害も年年相当の面積に及ぶにかかわらず、民営保険は期待するほどの発展を見ていないのが現状であり、昭和十三年の現行法成立当時、国会においても、将来この法律の適用を壮齢林にも拡大するという附帯決議があつたのでありますので、今回この林齢の制限を廃止して、人工林全般に亘つて保険の目的とし得るよう改正せんとするのが本法律案提出の理由であります。その他この機会に若干の改正が加えられましたが、その一つは、損害填補の方法を比例填補の方法に改めたこと、第二は、無事戻の制度を廃止したこと、第三は保険事務を森林組合及び森林組合連合会にも取扱わせることができることとしたこと等であります。
委員会におきましては、提案者から提案理由及び法律改正の要点について説明を聞き、政府との間に実施上の問題につき質疑を重ね、愼重審議を行なつたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと思います。
かくして質疑を打切つて討論に入り、片柳委員から、政府の予算と関係ある法律案は今後政府提案とすること、保険料率引上の要ある場合は、他の類似の事業と同様森林所有者のみの負担に帰せしめないことの二点の希望を附して賛成する旨の発言がありました。続いて採決の結果、本法律案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。
右御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/4
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005・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本法案の採決をいたします、両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/5
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006・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
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007・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 日程第三、郵政事業特別会計法及び電気通信事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。
〔平沼彌太郎君登壇、拍手〕
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/7
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008・平沼彌太郎
○平沼彌太郎君 只今上程されました郵政事業特別会計法及び電気通信事業特別会計法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
改正しようとする第一点は、郵政事業特別会計及び電気通信事業特別会計に所属する固定資産について評価替えできることとし、固定資産評価積立金勘定を設けて計理しようとすることであり、第二点は、両特別会計所属の作業資産について、政令で定める計理上の必要がある場合、価額の改定ができること、又事業の用に供した後不要となつたものは再び作業資産に繰戻すことができることとし、これらについて物品価格調整引当金勘定を設けて計理しようとすることであります。そのほか財政法及び会計法の改正に伴う所要の改正をなし、前渡金計理の特例を設ける等、両特別会計の経理の合理化を図ろうとするものであります。
本案は、質疑の後討論に入りましたところ、菊川委員より、今回の法律及び規則等の改正に当つては、再び汚職事件を起さぬよう、又電気通信会社、国際通信会社等の設立が伝えられているが、不祥事件は絶対に発生せしめぬよう十分に善処されることを強く要望して本案に賛成するとの意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
右御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/8
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009・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/9
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010・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/10
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011・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 日程第四、国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員会理事郡祐一君。
〔郡祐一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/11
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012・郡祐一
○郡祐一君 只今上程せられました国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案の経済安定委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。
本法案の内容は、国民経済の健全な発展を図ると共に、国際経済の円滑な運行に寄與することを目的として、第一、国際的に供給が不足するため條約、協定その他の国際的取極により、割当、使用の制限又は禁止その他の需給調整措置がなされている物資。第二、国民経済の運行を確保するためその輸入が特に必要なる物資であつて、国際的に供給が不足するため、その輸出国において輸出の制限を行なつているもの。第三、国内において供給が特に不足する物資であつて、一その需給調整を行わないときは、国民経済の正常な運行に著しい支障を生じ、公共の利益を害する虞れがあるもの。この三種類の物資を対象としまして、割当又は配給、使用、譲渡、譲受又は引渡の制限又は禁止、以上の方法ではなお国民経済の運行を妨げ、公共の利益を害する慮れのあるときは譲渡を命ずることを方法としてその需給調整を行おうとするものであります。但し割当又は配給を命ずることのできる物資は、この法律の別表に明示したものに限つております。その他これらの措置に関連して、不服申立、報告及び検査、権限の委任、罰則等を規定し、又物資の需給調整に関する方策を審議する物資需給調整審議会の設置を定めているものであります。なお現行の物資統制の根拠法規である臨時物資需給調整法が本年四月一日にその効力を失いますので、同法の規定により、現在統制されている石油類、砂糖、外国自動車等の統制を経過的措置として六月三十日まで続けることをも併せ規定しているのであります。
本法案の政府の提案理由は、終戦後の物資需給が極めて逼迫していた昭和二十一年に臨時物資需給調整法が制定され、重要物資の需給を調整し、産業の回復を図つて来たが、その後物資の需給状況は緩和して来たので、政府は大部分の割当配給統制を撤廃して来た。然るに朝鮮動乱の勃発に伴う国際情勢の緊迫化と、海外諸国の軍備の強化に伴い、重要物資の国際的需給の逼迫を招いたので、これに対処するため本法を制定して、国際割当物資及び輸出統制物資等の一部及び特別の場合の国内供給の特に不足する物資の需給調整を図り、以て国民経済の健全な発展を図ると共に、国際経済の円滑な運行に寄與しようとするものである。なお臨時物資需給調整法は主務大臣の命令に委任する範囲が極めて広いが、このような広汎な権限はすでに必要がないので、本年四月一日限り失効させるという趣旨でありました。
本法案につきましては、通商産業委員会との連合委員会を開き、又数次に亘る本委員会において熱心な審議が行われたのでありますが、これらの審議における主なる質疑応答について申上げます。
質疑の論点を列挙しますと、大要次のようであります。(「簡単」と呼ぶ者あり)第一現行物調法の代案としての意味と、国際的要因に基く供給不足物資の需給調整とは木に竹を継いだごとくで、将来の解釈の疑義をはらむと思われるがどうか。第二、国内的な需給調整手段のみで、輸出入に関する措置を含まない本法によつて結果的に国際経済の運行に寄與するためには施行後の運用方針はどうするか。第三、国民経済の正常な運行に著しい支障を生じ、公共の利益を害する虞れのある場合にのみ需給調整措置の発動されるいわゆる第三号物資を具体的に例示せよ。第四、駐留軍、予備隊の需要或いは電源開発等、政策的に物資の優先確保を必要とするとき本法を適用するか。これらの質問に対しまして周東経済安定本部総務長官を初め、各政府委員のこれに対する答弁は次のごとくでありました。第一及び第二に対しましては、国内経済の発展を図ることが第一義であつて国際経済への寄與は間接的なものである。運用に当つては十分留意する。又モリブデン、硫黄のごときは、別途できるだけ生産増強を図つて需給調整にまで至らないようにして行きたい。第三に対しましては、いわゆる第二号物資は緊急異常なときにのみ需給調整を行うので、例えば昨秋のごとき異常渇水による電力不足に対して、火力用炭を電力会社へ譲渡せしめる場合のごときである。これ以外には具体的な例は予想していない。第四に対しましては、政策的な優先確保のため本法を発動することはない。但し割当配給の際、予備隊用、電源開発用等として発券割当を行うことはあり得る。又駐留軍については行政協定による合同委員会の協議によつて国民経済に支障のないよう、時期的、数量的に調整して行くかち差支えない。
その他の質疑応答は速記録に譲りまして、かくて討論に入りましたところ、須藤委員より反対、小滝委員より賛成の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
右御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/12
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013・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。須藤五郎君。
〔須藤五郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/13
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014・須藤五郎
○須藤五郎君 私は日本共産党を代表いたしまして、只今上程されました国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案に対し、簡単に反対の意見を述べたいと思うのであります。
先ず第一に、この法律案の第一條についてでありますが、この法案の目的とするところは、国民経済の健全なる発展を図ると共に、国際経済の円滑な運行に寄與することにありと称し、又その提案理由とするところは、社会的公共的利益を守るためとされておりますが、これはまつかな僞わりであります。実は硝煙の香り高き戰争準備の法案であります。この第一條に言われる国際的という字句は、政府当局の解釈によりますと、アメリカを中心としたドル圏を指しているのであります。我々が普通国際的という言葉を使う場合には全世界を意味するのでありますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)吉田内閣、自由党諸君の国際的という言葉は、地球の半分しか意味しないことを責任ある安本長官の口から聞くに及びまして、私は唖然たらざるを得なかつたのであります。(「反国際的だ」と呼ぶ者あり)これでは前段の国民経済云々の字句も、国民の一小部分を指していると判断せざるを得なくなり、これだけを見ましても、すでにこの法案の本質は明瞭だと思うのであります。政府は国際親善を口にしながら、先に国際経済会議に日本人の参加するのをなぜ拒否し妨害したのか、その本意を理解することが困難でありましたが、安本長官の説明を聞きまして、やつと私はその真意がわかつたのであります。即ち吉田政府には、アメリカ以外魂の安住の地がないということであります。何という偏狭卑屈、何というばかげたことでありましようか。世界は広い。ドル圏にないものでもソ同盟や中国にはあり余るほどあり、政情は異なつても有無相通ずるべく国際経済会議を開いて相談しようと言つているのに、何を好んでちつぽけな殻に閉じこもり、不自由な生活をやろうと言うのか。君たちこそ国際的窮乏と混乱を図り、人類の幸福なる発展を阻害するものではないか。ここに挙げられている不足物資、即ちニッケル、コバルト、タングステン、モリブアン、白金は、政府のいわゆる国際的には供給不足の物資である。併し我々の言う国際的には決して不足してはおらないのであります。タングステンは中国へ行けば幾らでもある。一九四八年の生産高を見ましても、中国は世界総生産高の四四%、一万三千トンを生産しているのに対し、アメリカの生産高は三千六百トンであります。我が国のごときは年産僅か五十九トンに過ぎず、今後我が国の機械器具の輸出が旺盛となれば、当然多量の輸入を必要とするのでありますが、中国と貿易する以外この需要を充たす途は全くないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)朝鮮でのばかげた戰争がとまり、タングステンを掘れば、ここからも輸入は可能となります。日本産業の発展の途がどこに通ずるべきかは、識者なれば誰でもわかるはずでありますが、一人わからんものは憐れむべき現政府のみであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)モリブデンにおきましても同じことが言えると思います。一九四八年におきましては、アメリカの一万二千トンを第一として、ソ連においては僅か五百トンに過ぎなかつたものが、二年後の一九五〇年には三千四百トンを生産し、アメリカに次ぐ生産国となり、その躍進振りには世界資源年鑑一九五二年版が驚くところであります。ニツケルにしましても、白金にしましても、又噴射式飛行機には絶対的に必要な金属チタンにしましても、ソ連には十分過ぎるほどある。(笑声)にかかわらず、不足しておるのは政府の言うところの国際的のみであります。又この法案は世界再軍備のため重要原料の不足が予想されたため、アメリカの要請によりでき上つたものであります。ところが世界の現状はどうかというと、アメリカにおきましても、昨年度の軍需生産の予想外の遅滞から、今年度は軍事支出の枠を月五十億ドルに抑制し、再軍備の完成を一九五五年に延期しており、英、仏におきましても再軍備強化は重大な経済危機に直面し、世界的に再軍備の停滞と景気の逆転が起つておるのであります。従つて重要原料の過剰傾向が起つておる今日、本法案を提出することは、政府の頭がこの世界情勢と大きなズレがある証拠であります。この点委員会におきまして、安本長官に質しましたところ、法案を作つてもその必要がなければ発動しないだけだとの答えでありました。今月必要のない法案を何を好んで作る必要があるのか。何のために準備をしなければならないのか。これこそ戦争準備の法案だと断ぜざるを得ない点であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)即ち世界中の国々と平和的交際もなし得ず、肩身の狹い思いをして、いわゆる国際的仲間入りをさせてもらい、紐付の輸入を許可してもらい、その命ずるままに直接、間接軍需物産を生産し、ドル圏の再軍備に一路奉仕せんとするのがこの法案の狙いであります。そのためには第二條第二項及び第六條によつて、必要時には強権発動によつて私有物をさえ押えようという、曾つ東條たちがなしたと同様のことを繰返さんとし、違反者に対しては十年以下の懲役又は百万円以下の罰金を以て臨まんとするがごときは、我々の断じて承認することのできない点であります。曾つて徳富蘆花が兄蘇峰に贈つた歌に、「白い雲黒い雲、雲は雲でもわしや白雲よ、思う気ままに空を飛ぶ」というのがあります。吉田総理初め自由党の諸君、いつまでもドルに拘束されていないで、党名に恥じざるよう白雲のように自由に飛び廻つてはどうでしようか。諸君のいわゆる国際的には硝煙が漂よつているのに対し、もう一つの世界には平和の花が咲き乱れているのであります。(笑声)どうだね、自由党の諸君。(笑声、「自由党賛成討論しやりなさい」と呼ぶ者あり、拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/14
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015・三木治朗
○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/15
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016・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/16
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017・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
船員保険法の一部を改正する法律案
可決報告書
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/17
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018・三木治朗
○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/18
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019・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長梅津錦一君。
〔梅津錦一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/19
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020・梅津錦一
○梅津錦一君 只今議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ずこの法律案の提案理由並びに改正の要点につきまして簡単に御説明申上げます。
今回の改正の主眼とするところは、最近の船員保険運営の実績に徴しまして、船員保険制度の合理化並びに船員保険財政の健全化を図らんとするものであります。その改正の要点は、第一に標準報酬についてでありますが、船員保険における標準報酬が、従来最低が三千五百円、最高が二万四千円となつておりまするのを、最近における船員給與の実態に即応せしめると共に、適正な保険給付と保険経済の健全化を図るために、最低の三千五百円を四千円に引上げて、これを第一級とし、最高の二万四千円を三万六千円に引上げて、これを第二十一級とし、従来の十九級の区分を二十一級に区分するようにいたしておるのであります。第二に、失業保険についてでありますが、季節的に雇用される者は、一般の海上労務者と異なり、離職いたしましても、実態上失業の状態にあるとは考えれませんので、これらの船員につきましては失業保険の適用はいたさないことにいたしているのであります。第三に、現在失業保険金の支給日額の最高額を三百円としているのでありまするが、これを陸上の失業保険法と同調せしめて三百七十円まで引上げることにいたしてあるほか、若干の條文の整備を行わんとするものであります。
厚生委員会におきましては、政府当局から提案理由並びに法案の内容につきまして詳細なる説明を聴取いたしまして後、愼重審議をいたし、委員より、最近における船員の給與の実態、船員関係失業保険金給付状況、標準報酬の引上後の収支の見込等々につきまして、熱心に質問いたしましたのに対しまして、それぞれ答弁がありましたが、その詳細は速記録によりまして御承知願いたいと存じます。かくて質疑を打切り、今回の改正は妥当たる措置と認めまして、討論省略の上採決いたしましたところ、全会一致を以て政府原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/20
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021・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/21
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022・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十九分散会
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○本日の会議に付した事件
一、日程第一 松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律の一部を改正する法律案
一、日程第二 森林火災国営保險法の一部を改正する法律案
一、日程第三 郵政事業特別会計法及び電気通信事業特別会計法の一部を改正する法律案
一、日程第四 国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案
一、船員保險法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X02619520328/22
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