1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年七月二十三日(水曜日)
午前十時三十二分開議
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議事日程第六十九号
昭和二十七年七月二十三日
午前十時開議
第一 警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
第二 自治庁設置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第三 自治庁設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第五 郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第六 昭和二十七年度における行政機構の改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 小笠原諸島への帰島に関する請願(委員長報告)
第八 講和会議協力国代表を貴賓として招請するの請願(委員長報告)
第九 在外同胞引揚促進等に関する請願(委員長報告)
第一〇 在外同胞引揚促進に関する請願(委員長報告)
第一一 戰犯者の内地送還等に関する請願(委員長報告)
第一二 阿蘇北部、外輪山一帶の米軍演習地使用調達反対に関する請願(委員長報告)
第一三 爆撃演習地の施設地域指定除外に関する請願(委員長報告)
第一四 千島列島の帰属に関する陳情(委員長報告)
第一五 真珠貝採取事業に関しオーストラリア政府と漁業條約早期締結交渉の陳情(委員長報告)
第一六 沖繩に在外事務所設置の陳情(委員長報告)
第一七 海外抑留戰犯者の内地送還等に関する陳情(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/0
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
〔高田なほ子君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/2
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003・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 高田なほ子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/3
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004・高田なほ子
○高田なほ子君 私はこの際、防空演習に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/4
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005・相馬助治
○相馬助治君 私は只今の高田なほ子君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/5
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006・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 高田なほ子君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/6
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007・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。高田なほ子君。
〔高田なほ子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/7
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008・高田なほ子
○高田なほ子君 私は、防空演習が今日行われておりますが、このことについて御質問をいたします。
去る七月の八日、外務次官名を以て、国警本部長官、地方自治庁長官宛に「在日合衆国軍施設において行われる防空演習に関する件」の通牒が発せられまして、これに基いて一昨七月の二十一日から三日間全国的規模の上に防空演習が行われております。占領中はこれまでもしばしば地方的にはこれに類する演習が行われて来たようでありますが、これは占領下という特殊事情に基くものでありまして、独立国家として今回行われました防空演習とは全くその本質を異にするものであります。平和條約による独立後幾ばくもなく、突如としてこういう事態に直面した国民の不安というものは如何ばかりでございましよう。特に戰時中家庭の直接の防空責任者として日夜を分たぬ苛烈な訓練と、子供をおんぶしながらも死を賭して燒夷彈と鬪つた多くの婦人たちは、忘れようとしても忘れ得ぬ深刻な恐怖感に今日又直面いたしまして、どうすればよいかという深刻な焦躁にかられておりますのは、当然のことと申さなければなりません。この際、私はかかる国民の不安を一掃し、飽くまでも国民の納得を希望いたしまするが故に、以下吉田首相に対しましてお尋ねをいたします。
先ず第一に、防空演習が行われるというこの事実は、その規模の大小如何にかかわらず、いずれの国かの飛行機が、焼夷彈なり、爆彈なり、或いは原子爆彈のようなものを積んで日本のどこかを目標として空襲爆撃にやつて来るという、いわゆる仮設の敵に対する戰争状態を想定して行われる一つの軍事行動であるという前提の上に立つものと考えなければならないのであります。この場合、国民の意思如何にかかわらず、防空演習という軍事的既成事実を通しまして、国民を一つの武装団体に形成して行くという危険性は、結果として招来されることでありますが、このことは武力放棄と戰争不介入を規定いたしました日本の憲法の精神と非常なる矛盾を生むと思うのでございますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)この点については十分なる御説明を頂戴したいと思うのでございます。たとえ吉田・アチソン交換公文による日本の根本的な方針が確立されていると御解釈になりましようとも、独立国家としての日本の憲法はあらゆる意味においてこの精神が優先するのは申上げるまでもないと思うのでございます。次に、国民不安の要素はいろいろあると思うのでございますが、その最大の要素は、先ほどの水豊ダムの爆撃、更に最近頻りに行われます平壤その他北鮮基地の爆撃等、日本に基地を持つております極東空軍の活動について、イギリス、インド、フランス等、世界の国々はひとしく戰争拡大の危機に関しまして重大なる関心を持つておるのであります。而も、私どもとしての最大の関心事は、若し報復爆撃が行われた際は当然米空軍基地がその目標になるでありましようが、その際、安全保障條約によつて軍事基地を提供しております日本国内の空襲爆撃は、国民自体の意思如何にかかわらず、これ又自動的に行われるのではないかという純軍事的な立場に立つところの不安であります。この不安を裏書するような今回の防空演習の性格こそ極めて重大なものでございますが、一体これは如何なる根拠に基いて米極東各車が日本政府に防空協力を申入れて来たのでございましようか。その法的な根拠はどこにあるのでございましようか。行政協定二十四條に示される日本区域内の防衛のため必要な共同措置の一環として行われたものであるのでしようか。この措置についての法的限界は、日本区域内において敵対行為の急迫した脅威が生じた場合と規定されておりますが、緊急事態の発生の虞れありという判断に基くものでありましようか。六月二十五日、衆議院外務委員会の席上において、政府は、防壁演習の今後の措置について、朝鮮事変なり、国際情勢の推移によるものと思うという意味の見解を答弁しておるのでありますが、防空演習というこの事実は明らかに国際的軍事的脅威を前提とした結果と考えられますが、日本側の協力の範囲は、実施地域、方法など、かなり詳細に亘るものでありますが、一体どのような国際情勢の把握に基くものでございましようか。而も今回の南部、中部、北部に亘る計二十数カ所の地域の決定に当りましては、空襲予定地としての基地又は施設に限定せられるやに伝えられているのでありますが、日本の国土の一部が空襲予定地として想定されたということは誠に重大な問題でありまするが故に、行政協定二十四條とこの実施区域、それを決定するに至りました情勢把握との関連については、特に詳細なる御説明をお願いいたしたいと思うのでございます。
次に、今後の見通し並びに政府の対策についてでありますが、今後の国際情勢の成り行き如何によりましては極めて重大な政治問題として発展するであろうということは、政府の口をおかりするまでもなく、朝鮮休戰会談不成立のような不幸な事態は、時として一瞬にして来ることも予想されましようし、特に六月の上旬にはリツジウエイ大将は、事態の緊迫とこれに対する日本側の防空体制の不備について指摘されたと聞きますが、この恐るべき事態に対する対策は決して一瞬にしてできるものとは考えられないのでございます。防空壕一つなく、手放しで燈火管制に国民が自主的に協力したとは言いながら、安全に国民が死なされたのでは、たまつたものではありませんが、この対策はどう考えられているのでございましようか。若し方針ありとすれば、米空軍基地の防衛によりまして制空権を確保するところに重点を置こうとするものであるか、或いは日本人の生命財産の防衛に主力を置こうとするのか、この方針の誤差は将来日本の国民の大きな問題として残りますが故に、明確にこの方針を示して頂きたいと思うのであります。
次に、外務大臣にお伺いしたい点は、米当局からの申入れの手続或いはその具体的な協力方法と二の程度の問題でございますが、どのような構想の下に米当局は日本政府に申入れをなされ、日本政府はどのような構想の下に協力範囲をどう決定されたのでございましようか。その方針は一体どこにあるのかという点でございます。米軍基地半径五マイル以内の区域が今回の演習区域と定められたようでございますが、衆議院の政府側答弁によりましても、米空軍を敵の手から守るため演習の便を図ることになつている結果、第一義的には米空軍の基地の安全保障のみが考えられているようでございますが、日本人の生命を守ることを第二義とした協力などということは、独立国家としてはあろうはずはないではございませんか。国民の不安の最大の原因はここにあると思うのでございます。
更に、この協力の仕方でございますが、占領下ならいざ知らず、各地方地方に個々に直接に当局から申入れられたというような点も見受けられますが、この協力は個々の要求であるのか。全体的な要求なのであるのか。全体的な要求とするならば常に外務省がその任に当るものなのか。而も情勢の推移によつて現状不変の方針に基いて今後も協力をして行くというのかどうか。米空軍の申入れに対しては常に一方的に協力を受諾して行くという立場に立つのであるかどうかという点であります。
第三点としましては、現実問題としては、本日の毎日新聞の報道によれば、西日本の防空演習は福岡及び北九州各市で行われたのでありますが、市民の関心は非常に低く、散々な成績であつたと報じております。これは国民の心理状態を如実に示すものでありまして、現実としては何の役にも立たないことをやらせ、ただ国民に不安のみを與えるという、こういうやり方は、防空演習そのものを狙つているのではなくして、国民に再軍備の必要性を合法化するための手段として行われているのではないかという危惧をすら感ずるものでございます。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)敷布を繋いで遮光幕を作り、暗闇と異常な騒音の中で、泣き出す赤ちやんを抱いて心配する母親の身になつて、この点については、しかと御答弁を願いたいと思うのであります。
次にお伺いしたいことは、防空演習に対する国警本部の協力の態度及びその方針はどうなつているかという問題でありますが、占領下に行われました立川市の防空演習については、警官がメガホンを持つて相当強力に押し付けたと聞いておりますが、警察又は消防隊の協力態度如何によつては太平洋戦争当時の再現が予想されないとは限らないのであります。現在の憲法下においてのこの取扱は極めて重大なる問題でありまして今日の演習は飽くまで自発的協力という形をとつているようでありますが、警察という権力の形がここに介在した場合に、果して国民の自発的協力の姿がとれるかどうかという点については甚だ危惧を持つものでございます。この点の方針、方法について御答弁を願います。
最後に、今日までの防空演習に際しましては、国民にその方法を知らせる手段といたしまして、回覧板が各隣組のような組織から廻されたと聞きますが、すでに隣組制は廃止されておるはずでありますが、今日又このようにして現実には名称の変つた隣組組織が復活いたしまして、準公けの機関として行動しておりますが、これは防空演習の立川方面における過去の実績でございます。たとえ防空演習と切り離しましても、このような組織の復活は法的には許されておるのかどうか。これを容認しておるということは、鉄則の下に日本の国民の自主性を縛つて行き、そうして中央集権の形においてこの防空体制に遮二無二国民を突つ込んで行くというような危惧をすら感じられるのでございますが、この隣組の復活に対して木村法務総裁はどのような見解を持たれておるのか。この点についても御答弁を煩わしたいと思うのでございます。
以上非常に不利不相応な問題が増大しておりますので、明細な御答弁を煩わしたいと思うのでございます。(拍手)
〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/8
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009・吉田茂
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。
防空演習参加については、七月七日合同委員会を通じて関係市町村の自発的協力を期待する旨の申入れがあつたので、七月八日の閣議に諮つて住民の自発的意思に基き、特定の地域において、できる限り民業に影響を及ぼさざるような方法で、これに協力するということにいたしたのであります。同日外務省より、地方自治庁、国警本部を通じて、関係市町村に連絡方を依頼いたしましたが、本件は行政協定二十四條とは何らの関係がないのでございます。
又防空法の制定というような法的措置を講ずるかどうかは、それまでの必要は未だ差迫つておると考えませんので、未だ考えておりません。
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本会議に驚きまして、菊川議員、栗山議員並びに曾祢議員から私に対する御質問の答弁が留保されておりますので、この際お答えいたします。
先ず国際自由労連からの書簡に関連して労働法の改正及び破防法案を撤回すべきではないかとのお尋ねでございましたが、破防法はすでに国会の議決を経て制定いたしました。又労働関係法案は先進国の例や国際労働條約を十分に尊重して立案したものであり、又その趣意とするところは決して労働組合の正常なる労働運動を抑制するものではないということは、しばしば所管大臣から説明いたした通りであります。
次に、中共との貿易に如何に処するかというお尋ねでございますが、これにつきましては、外務、通産両大臣もすでにお答えいたしてありました通りであります。過日国際連合への加盟について国会の御承認を得ました趣意からいたしましても、国際連合の方針に協力して行く所存であります。
次に、国連軍が引続いて日本に存在するための協定がまだ結ばれていないことについて外務大臣及び内閣の責任如何とのお尋ねでございますが、すでに外務大臣からお答えをいたしました通り、国連軍が日本に存在いたしますことは、七月二十六月以後といえども、吉田・アチソン交換公文により、別段の支障はないものであります。政府としては同協定が速かに成立することを希望し、鋭意折衝中でありますが、万一その成立が遅れたからと申して、外務大臣及び内閣がとかくの責任を負う必要はないと信じます。
お答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/9
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010・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 只今の御質問のうち、防空演習に関するアメリカ側の申入れの手続、協力の方法、限度等につきましては、只今総理大臣から御答弁があつた通りであります。(「なつていない」と呼ぶ者あり)
なお、この問題につきまして、直接地方で連絡したりして地方の新聞等にいろいろの情報が流れて来たのは、恐らく地方の各部隊がこれを実施するに当つて、中央の趣旨に応じて地方においていろいろ話をいたしましたのが誤まり伝えられたものだと思いまするが、政府といたしましては、先ほど総理の御答弁の通り、合同委員会を通じて各種の話合いをいたしているのであります。
なお、防空演習自体につきましては、これはアメリカでもしばしばやつておりまするし、その他ヨーロッパの各国でもやつているのでありまして、(「ヨーロッパではやつていないよ」と呼ぶ者あり)これは予防の意味から申しますと、差当り危險があるなしにかかわらず必要なことでありまして、日本においてもこれをやつても何ら差支えないのみならず、むしろやるべきであると考えておりまするが、ただ我が国におきましては国民の間にまだ戰争中の不安がありますので、不必要なこういう不安を更に與えたくないという意味で成るべく差控えているような次第であります。併しこれは勿論そういう意味でありまするから、朝鮮の事変等には全く関連のないことであります。米軍は独立前も演習を行なつておりまして、附近の国民もこれに協力しておつたのであります。今度も同様の演習を行なつているのでありますが、これは地上における普通の演習と同様でありまして、これが日本において行われているからと言つて、それが日本に対する空襲の危険と関連するものであるとお考えになるのは当らないと思つております。
なお現在の防空演習は別段の法的根拠はないのであります。従いまして自発的に行なつているのであります。従つて、先ほどお話のように、九州地方で成績がよくなかつたということもあり得ると思いまするが、これは自発的に行なつている関係上致し方のないことであります。
又これも総理からお答えがありました通り、今回の防空演習等は、行政協定の二十四條にいうような、いわゆる必要な共同措置というような問題では全然ないのであります。(「何でやつた」と呼ぶ者あり、拍手)
〔国務大臣木村篤太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/10
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011・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。
隣組制度の復活は決して政府において強制もしておりません。又勧奨もしておりません。全く任意にやつているのであります’。併し隣保共済扶助のために任意にかような隣組制度を復活するということは、これは一面から見て頼もしいことであります。又法的に見てこれは決して憲法に違反するものではないと確信しております。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手〕
〔政府委員斎藤昇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/11
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012・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 先般から今日までに行われておりまする米軍の防空演習に協力するに関係をいたしましての警察の態度といたしましては、この演習に自発的に協力をいたしまする市町村側と米軍側との間における警報の連絡にとどめておるのであります。直接民衆に対しまして指導員訓練をするというような行き過ぎのないようにということを、特に注意をいたしております。(拍手)
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013・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第一、警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長西郷吉之助君。
〔西郷吉之助君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/13
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014・西郷吉之助
○西郷吉之助君 只今議題となりました警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
本法案は衆議院提出にかかるものであります。而して、本法案の目的とするところは、職務によらないで警察官等に協力援助した者が、そのためにこうむつた負傷、疾病、癈疾、死亡等の災害につきまして、療養その他の給付を行おうとするものであります。なお、協力援助が、一、国家地方警察の警察官に対するものである場合、二、都道府県公安委員会の要求によりまして援助に赴いた自治体警察の警察吏員に対するものである場合、三、国家非常事態の布告のあつた際に派遣を命ぜられました自治体警察の警察吏員に対するものである場合、以上の三はいずれも国が、上述の二、三の以外の場合の警察吏員に対するものである場合には当該地方公共団体が、給付の責に任ずるわけであります。又給付の種類は、療養、傷害、遺族、葬祭、打切の各給付のほかに、特別の場合における休業給付とすること等が、その内容の主な点であります。
地方行政委員会におきましては、衆議院議員川本末治君及び政府委員側との間に質疑応答を重ねましたが、そのうちで、本法案の規定と集団不法事件の場合との関係如何との質問に対しまして提案者側より、本法案による協力援助は、個々の事案について行われるものであつて、集団不法事件において多数の者が警察官等の一隊に集団的に協力援助するという場合は考えていないという意味の答弁がありました。
かくいたしまして本月二十一日討論に入り、採決を行いました結果、全会一致を以ちまして本法案は原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/14
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015・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/15
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016・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/16
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017・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第二、自治庁設置法案、
日程第三、自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、
日程第四、郵政省設置法の一部を改正する法律案、
日程第五、郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令の整理に関する法律案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/17
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018・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
〔河井彌八君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/18
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019・河井彌八
○河井彌八君 議題となりました自治庁設置法案以下四葉の内閣委員会の審査の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず以て申上げますが、自治庁設置法案と、自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案を第一に申述べまして、次に郵政省設置法の一部を改正する法律案及び郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令の整理に関する法律案を一括して御報告申上げます。一昨日の本会議におきまして、行政整理全般に関しまして私が申述べましたその趣意に基きましてこの報告をいたそうとするものであります。あらかじめ御了承を願つておきます。
自治庁設置法案及び自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案について申述べます。
第一に提案の越意でありますが、今回自治庁設置法案を提出いたしまして、地方自治庁、地方財政委員会及び全国選挙管理委員会を統合いたしまして、これを以て、これまでの国政民主化の基盤であるところの地方自治の拡充強化と公職選挙の普及徹底を図るために、この仕事を一つの自治庁に統合しようという考えであります。その内容について申述べますれば、第一に、自治庁の任務でありまするが、自治庁は地方自治及び公職選挙等に関する各種の制度の企画、立案並びにその運営の指導に当ると共に、国と地方公共団体相互の間の連絡協調を図ることによつて、地方自治の本旨の実現と民主政治の確立に資することを任務とするとなつております。第二に、自治庁の所掌事務でありますが、自治庁は現在地方自治庁及び地方財政委員会の所掌する事務と、現在全国選挙管理委員会の所掌する事務の中で、参議院全国選出議員の選挙の管理に関する事務を除いた事務を合せて処理いたすこととなつております。第三に、自治庁の組織について申しますれば、自治庁は国務大臣を以て長官といたしますると共に、地方公共団体の長及び議会の議長の各全国的連合組織の代表者並びに学識経験者を参與といたしまして、その定員を十名といたし、自治庁の庁務全般に亘つて意見を聞くということになつております。又別に地方公共団体の長及び議会の議長の全国的各連合組織から共同推薦した者より任命された委員三人並びに学識経験者のうちから任命された委員二人を以て組織する地方財政審議会を置くことになつているのであります。
地方財政審議会につきましては、先ず第一に、自治庁長官が、地方財政平衡交付金の配分等、地方財政に関する事務を処理するに当りまして、あらかじめその議に付して、その意見を尊重しなければならないという規定を設けております。第二に、地方財政平衡交付金の総額の見積りに関しましては自治庁長官に、国、都道府県及び市町村相互の間における財政及びこれに影響を及ぼす諸関係の調整について自治庁長官及び関係機関に対して、意見を申述べることができることとなつておるのであります。
又自治庁の内部組織といたしましては、長官官房のほかに、行政、選挙、財政及び税務の四部を置くことになつております。
なお参議院全国選出議員の選挙の管理事務につきましては、公職選挙法に所要の改正を加えまして、新たに中央選挙管理委員を設けまして、これに行わせることにいたし、又これに最高裁判所裁判官の国民審査の管理事務をも併せ行わせることといたしまして、これを自治庁の附属機関として置くこととなつておるのであります。このほか附属機関として、地方自治法の定めるところによりまして地方紛争調停委員を置くことになつております。
次に、自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理をする必要があるのでありまして、その法律案が提出されております。この法律案は自治庁設置法案に関連いたしまして関係法律を整理せんとするものであります。各種の法律案を一括いたしまして、一本の整理案にまとめておるのであります。従いまして、その内容につきましては、主として名称の変更等に伴う字句の整理等が大部分でありますが、公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の改正につきまして申上げますれば、参議院全国選出議員の選挙の管理に関する事務は、これまで全国選挙管理委員会が所掌いたしておりましたのでありますが、これを廃止いたしまして、当該選挙事務をば公正に執行するために、自治庁の附属機関として中央選挙管理委員を設け、これに参議院全国選出議員の選挙の管理を所掌させることとなつておるのであります。なお中央選挙管理委員の設置に伴いまして、従来の最高裁判所裁判官国民審査管理委員会を廃止いたして、最高裁判所裁判官の国民審査の管理事務をもこれに所掌せしむることとなつております。中央選挙管理委員は、委員五人を以て組織し、委員は、国会議員以外の者で参議院議員の被選挙権を有する者のうちから、国会の議決による指名に基きまして内閣総理大臣が任命することとなつておるのであります。これがこの両案の提出の理由並びに内容の概略であります。
内閣委員会は委員会を開くこと二回、このほか地方行政委員会と連合委員会を開くこと二回でありまして、この両法案について審議をいたしたのであります。その論議の中心となつたものを申上げますれば、第一は、総理府の外局である地方財政委員会を現行通り存置すべしという点であります。この点に関しましては地方行政委員会よりも強い要望が示されたのでありまして、地方行政委員諸君からは、地方財政委員会を廃止して、これを自治庁に統合することは、地方自治の精神に反するものであつて、この点はまさに旧内務官僚の中央集権的体制への復活を意味するものではないか、或いはさような点についての心配はないといたしましても、地方財政委員会をあえて廃止しなければならない理由はどこにあるかという点でありました。これに対して、委員会制度そのものは、民主政治の運営という点では誠に結構であるけれども、併し多数党の意見が反映されることを原則とする国会におきましては、地方財政委員会の意見をそのまま国会に反映させる効果は極めて薄いのである。のみならず、特に指摘すべき点は、従来の経験に鑑みまして、地方自治庁長官が地方財政の担当国務大臣であるにもかかわらず、地方財政に関する強い権限を持たないために、真に大臣の責任において閣議の上に強力な発言をなし得ない点が欠点である。従つて地方財政に関する責任と権限を一元的に自治庁長官に持たせるならば、一層地方財政の確立に寄與し得るものと考える。而して地方財政委員会を廃止して別に政府の諮問機関として地方財政審議会を設けるごとになつておる政府の原案は、地方財政委員会の持つ長所をとると共にその欠点をば是正し得るものであるという政府の説明でありました。第二点は、自治庁の附属機関である地方財政審議会の権限を強化せんとする点であります。これにつきましては、政府原案のごとく地方財政委員会が廃止せられた場合においても、地方財政の民主的運営を図るがために、地方財政審議会の権限を原案よりも強化することについて、特に愼重に考慮すべきものであるという意見見が多数の委員諸君から述べられたのであります。この二点が主な点であります。
かようにいたしまして、討論の段階に入りまして、内閣委員の多数の委員からの御意見に基きまして、内閣委員長が作成いたしました修正案を発議いたしたのであります。その修正案につきましては、ここに朗読を省略させて頂きます。
併しその要点を申上げますると、第一には、原案の地方財政審議会の権限を強化すること、即ち諮問義務、それから諮問に対する答弁を尊重すること、それから審議会に勧告権を與えること、その勧告が出た場合においてはそれを尊重しなければならんということ、その諮問に対する意見と勧告とはこれを公表すること、それが第一であります。第二は、地方財政審議会の委員の任命につきましては、全員が国会の承認を要することといたしたこと。それから第三には、その委員はすべて非常動とするという原案を改めまして、常勤とすること。第四には、自治庁長官は地方財政審議会の勧告及び意見の内容を公表しなければならないこと。第五には、原案の中央選挙管理委員を中央選挙管理会と名称を改めること。第六には、この施行期日をば、本年の七月一日となつておるのを八月一日に改めることであります。
次に、自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律に対する修正案の修正の点を申述べますれば、第一に、中央選挙管理委員は同一の政党その他の団体に属する者が二人以上にならないようにすること。第二には、原案の中央選挙管理委員をば中央選挙管理会と名称を改めること。及び施行期日を改めることであります。この修正案につきましても、その内容の説明は省略させて頂きます。
これに関しまして、反対論といたしましては、成瀬委員から修正案を含むところの両案について反対意見が述べられたのであります。即ち、地方財政委員会の廃止は明らかに民主化の基盤であるところの地方自治に逆行するものであつて、これがために、例えば地方自治活動を可能ならしめる最大の財源である平衡交付金の公正なる配分も期せられなくなる点が挙げられたのであります。又、全国選挙管理委員会を廃止いたして、その所掌事務をば全国区選出参議院議員選挙に関する事務を除いて自治庁の所管に移すことは、昔の内務省の曾つて行なつた選挙干渉と同様の危險を再びここに現出する慮れがある。而して修正案は多少この点について改善も見受けられるけれども、これらの根本的改善がなされていないのであるから、修正案を含む両案には反対であるという意見が述べられたのであります。又、上條委員からも反対の意見が述べられたのでありまして、それは、元来地方財政委員会の設置は、国政民主化の確立を目的とする行政委員会制度の設置の一環をなすものであつて、若しこれを廃止するならば行政民主化を完全に否定するものである。もとより従来委員会制度の運用については遺憾の点がないでもなかつたのであるけれども、国民の民主主義的の訓練がまだ十分にできていない我が国の現状に鑑み、又、行政委員会制度の活用に対して政府の熱意が必ずしも十分でなかつた点を併せ考えるならば、多少の困難はあつても、これを存置すべきである。又、選挙は国政の根本を決定する事柄であつて、これを自治庁の所管に移すことは、あたかも旧内務省の選挙干渉と同様な危險を惹き起す慮れなしとしない。全国選挙管理委員会の廃止がこのような弊害を生ずる危険のあることは何人も否定することができないのである。修正案は多少の改善はあるけれども、なお根本的の修正でないという趣旨を以て、修正案を含むところの原案には反対の意見が述べられたのであります。これに対しまして、賛成意見は、中川委員から修正を含むところの原案につきまして述べられました。自治庁の設置は旧内務省の再現ではなくて、又、地方自治の育成を妨げるものでもない。政治責任の明確化という点において最も適切な改正である。又、全国選挙管理委員会の廃止も右と同様の趣旨によるものであつて、選挙の公正が害せられるという弊害は少しもないという意味を以て賛成の意見とせられたのであります。なお又、竹下委員からは、地方財政委員会を廃止して自治庁に統合することは民主化の逆行であるという考え方は誤まつておる。元来、行政運営の根本は内閣の責任を明確にするにある。然るにこの点、戰後アメリカの指示によつて種々の制度的改革が行われた。併し多数の意見を反映するということは結構であり、行政委員会がそのような働きをしたことも否定し得ないが、内閣の責任の不明確という根本的欠陷はどうしても見逃すことができない。この点から政府原案は現行制度よりは優れたものであると思う。又、全国選挙管理委員会の廃止についても、政治背任の明確化という同一趣旨によつて政府の原案に賛成する。ただ政府に対して希望する点は、政府の提案が一般に国民から民主化の逆転として憂えられているのであるが、この点は、政府が公正な立場を離れて政党政派に走る傾向にあることが憂えられているからである。政府のなすことはすべて正しいと考える国民ばかりがいるわけではない。この点は政府は十分に反省して遺憾なきを期せられたいという要望を述べて修正案を含む原案に対して賛成の意見が述べられたのであります。又栗栖委員からも簡単に賛成の意見が述べられたのであります。
かくいたしまして、自治庁設置法案及び自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案を一括して採決いたしましたところ、修正案を含む両案は、多数を以て可決せられたのであります。即ち修正議決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案及び郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令の整理に関する法律案について報告いたします。
両案の提出の理由につきましては、郵政省設置法の一部を改正する法律案は、電気通信の業務をば民間に移して、これを公社及び会社に任せる。従つて電気通信に関する行政事務はこれを郵政省に統合するための改正案であります。
その内容は、第一点は、電波監理委員会を廃止いたして、郵政省の内部部局として電波監理局を、地方支分部局として地方電波監理局を、附属機関として電波監理審議会等を置きまして、現在の電波監理委員会の所掌する事務を行うこととした点であります。第二点は、電気通信省の業務が日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社へ移行することに伴つて、大臣官房に電気通信監理官を置いて、右の公社及び会社に対する監督並びに有線電気通信の規律及び監督に関する事務等を行うことといたしておるのであります。
次に、この設置法の改正に伴いまして、関係法令を整理する必要が生じましたので、その法律案が提出されておるのであります。
その内容は、第一に、現行の電波監理委員会設置法はこれを廃止すること、第二は、郵政省に附属機関として電波監理審議会が置かれることになつているので、電波監理審議会の組織、所掌事務等を規定いたすために電波法の一部を改正しようとするのであります。第三に、放送法その他の関係法令において電波監理委員会とあるのを郵政大臣に改める等、若干の当然の改正が加えられているのであります。これが両法案の内容であります。
内閣委員会は、委員会を二回、他に郵政委員会及び電気通信委員会と連合委員会を三回開会いたしまして、両案の審議をいたしたのであります。その際その審議の中心となつた点を申上げますれば、本案においては、現在総理府の外局として置かれているところの電波監理委員会を廃止する点について論議が集中せられたのであります。即ち、政府は、先に電波監理委員会を設置した当初におきましては、電波行政の公正を期する意味において、電波行政に密接な関係のある電気通信省の管轄下に置くことは妥当でないから、これを電気通信省から切り離して、電波監理委員会として、総理府の下に設置するという初めの説明であつたのであります。従いまして、かような点に照らして、委員側からは、如何なる理由に基いて電波監理委員会を今回廃止して、その所掌事務を郵政省に移管せんとするのであるか。電波監理委員会の過去の管理行政に何か著しい欠陷があつたのであるか。たとえ行政委員会制度の整理は我が国の実情から見て適当なる措置といたしても、電波監理委員会のごとき特殊な性格を有する委員会は特に委員会制度として存置するのが適切ではないかという質問が出たのであります。これに対して政府の答弁は、電波監理委員会廃止の根本理由は、行政責任の明確化、又行政の簡素化というこの政府の根本方針に基くものでありまして、電波行政につきましても、その能率的且つ公正なる運営を図るためには、電波行政を大臣の下に直轄せしむることによつて行政責任を明確にする必要がある。而して若し電波監理行政をこれと極めて関連の深い電気通信省の所轄に移すということであるならば、或いは電波行政の公正を害する憂いもなしとしないが、電気通信省は今回公共企業体に改組されるのであつて、従つて郵政省の管轄下にこれを移すことであるならば、さような懸念は解消されるのであるという答弁でありました。
討論の段階に入りまして波多野委員から修正案が提出せられたのであります。又もう一つ、栗栖委員からも修正案が提出せられたのであります。この修正案は便宜朗読を省略させて頂くのでありますが、要点を申上げますれば、波多野委員の修正案は、郵政省設置法を改正いたしまして、その中に電波監理委員会を設置しようという案であります。栗栖委員の修正案は、原案のごとく郵政省設置法の中に電波監理審議会を設置することはこれを認めて、ただその電波監理審議会の権限を強化する点を主としたものであります。この両案につきましてそれぞれ賛否の意見が鬪われたのであります。先ず波多野委員の修正案を議題といたしましたところ、中川委員から、波多野委員の修正案を含む原案に反対である。栗栖委員の修正案を含む原案に賛成であるという意見が述べられたのであります。その要旨は、電波監理委員会の廃止は民主政治に逆行するものであるという議論もあるけれども、これは政治責任の明確化と行政の簡素化という政府の方針に副つたものであつて、特に電波監理委員会廃止後においても、電波行政の民主的運営を図るために、電波監理審議会を設けて、その勧告を尊重して、複雑多岐な電波行政を行わんとする点は、最も適切なる措置であるという趣旨でありました。次に栗栖委員の修正案を含む両案に対して賛成の意見を述べております。これに対しまして成瀬委員から、栗栖委員の修正案を含む両原案には反対である。そして波多野委員の修正案を含む両原案に賛成であるという意見が述べられたのであります。特に国際情勢の緊迫化している現状において、政府が電波監理行政を中央集権的体制に置かんとすることは、政府の意図が奈辺にあるかを疑わざるを得ない。委員会行政は民主化の途上における重大な使命を持つものであるから、これを審議会に改めることは反対であるという意味でありました。次に三好委員から、行政委員会制度については存置すべきものがあるが、廃止すべきものもある。元来、国政の統一と行政民主化とは必ずしも一致しない。すべて一方のみを強調することは誤まりである。電波監理行政のごとき特殊な性格の行政は、これを外局として存置することが適切であると思う。かような点において、波多野委員の修正案を含む両原案に賛成であるという意見が述べられたのであります。更に竹下委員からは、波多野委員の修正案を含む両原案には反対であるが、栗栖委員の修正案を含む両原案には賛成である。その理由は、電波監理行政を郵政大臣の所轄の下に置き、政治責任を明確にしてこそ、従来よりも強力な電波行政が行われるのであつて、これは一段の進歩である。ただ、ややもすれば昔の官僚行政に陷る弊害が生ずるから、この点は運用に当つて誤まりなきよう十分の努力をしてもらいたいという意見が述べられたのであります。最後に、楠見委員から、栗栖委員の修正案を含む両原案に反対であるが、波多野委員の修正案を含む両原案には賛成である。即ち、行政委員会制度は、制度それ自体には民主国家の行政のあり方として適切な面もあるから、政府はその育成に努力を拂うべきであつて、設置後間もなくこれを廃止する政府の態度は反省しなければならんと思う。政治責任の明確化は確かに必要であるとしても、併し電波監理委員会の委員の任命権は政府が持つているので、又委員の任命は国会の承認を要するという、極めて愼重な仕組となつている。殊に電波監理委員会の所掌事務は、單なる技術的機能と異なつて、極めて重要なる事柄である。このような委員会を廃止することは余りにも軽率であるという意見が述べられたのであります。
かくて討論を終局いたしまして、先ず波多野委員発議の修正案二件につきまして採決をいたしたところが、可否同数となつたのであります。委員長は、国会法第五十條によりまして、これを採決しなければならんのでありまして、これを否と決定いたしました。次いで栗栖委員発議の修正案二件について採決いたしましたが、これ又可否同数でありました。委員長は同じくこれを可と決定いたしました。最後に、右栗栖委員発議の修正案を除いた原案について採決いたしましたところ、可否同数でありましたので、委員長は、右栗栖委員発議の修正案に従つて、この両案を修正議決すべきものと決定いたした次第であります。
この段御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/19
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020・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 自治庁設置法案及び郵政省設置法の一部を改正する法律案に対し成瀬幡治君から、自治庁設置法案に対し上條愛一君から、それぞれ討論の通告がございます。順次発言を許します。成瀬幡治君。
〔成瀬幡治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/20
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021・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、只今上程されております自治庁設置法案に対する修正案並びに修正部分を除く政府原案及び関係の一法案に対しまして反対をいたすものであります。
修正案と政府原案とを比較検討いたしますときは、修正案の多大の発展と進歩を認めまして、修正に努力された内閣委員諸氏に対しましては深く敬意を表するものでありますが、我々の考えとは併し離るるところ多いのでございますから、以下簡單に反対の理由を明らかにいたしたいと思います。政府は提案に際しまして、これまで国政の民主化の基盤である地方自治の拡充強化と公職選挙の普及徹底については特に意を用いて来た。現在これらに関する事務は、地方自治庁、地方財政委員会及び全国選挙管理委員会においてそれぞれ所掌されているが、これらの事務は相互に密接な関連を持ち、統一的に処理することが適当であるので、三機関を統合して自治庁を設置するというのでありますが、これでは自治庁長官が地方自治体の財政権と選挙の指揮監督権を握つて政治責任を明らかにするのだという美名に隠れて、中央集権と地方の中央依存を企図したものであつて、地方自治体への干渉、選挙干渉のみを事として来たときの曾つての内務省の再出現であります。
地方自治確立のためには、次の三点が私は不可欠であると考えます。その第一は、シヤウプ勧告によるところの地方税制であり、第二は、神戸委員会の勧告による行政事務の再分配であり、第三は、地方財政委員会の取扱つている平衡交付金制度であります。然るに政府は、行政事務の再分配につきましては、約一年前に勧告を受けているのでありますが、何らの施策を行うことをせず、徒らに中央、地方の行政事務を複雑多岐にし、国民大衆に行政事務の繁雑さから来る時間の浪費と経費の負担をかけさせ、迷惑のかけつ放しで、これが解決方に対しては何らの誠意と努力を示さないのであります。然るに、今回又ここに、地方財政の確立に大きな役割を果して来ましたところの地方財政委員会を廃止しまして単なる財政審議会に置き換えることは、地方財政について政府の発言力を強化して、地方は止むなく中央に依存しなくてはならない結果となりまして、これは地方自治の破壊であり、延いては我が国民主化の芽はついばまれ、文字通り逆コースの道を迫ることになるのであります。我が国民主化の基礎は地方自治の確立にあります。地方自治の健全な発展のために、地方財政委員会のごとく、国民の立場に立つと同時に、地方公共団体の立場を代表する民主的な機関によつて国家公益と地方公共団体の自主性との間に完全な調和を保持させて、而も地方公共団体相互間の円満な連絡調整を図ることが必要であります。即ち、現在のごとき地方財政委員会は、これを恒久化すると共に拡大強化の必要こそあれ、これが廃止とは全く言語道断と申すべきであり、逆コースであります。これが反対の第一の理由であります。
又政府は、行政委員会については審判的性質を有するもののみを存置して他は廃止すると言うのでありますが、行政委員会は曾つての官僚独善政治に対して民主的にチエツクをして行くために設けられたものでありまして、我が国民主化のために必要な行政機関であります。政府は民主化が全く成れりとして行政委員会を廃止するとするならば、それは早計であり、民主化の途上にある我が国としては、若干のロスはあるといたしましても、政府はこれが育成に努力すべきものだと考えるのであります。政府の企図せるがごとき行政委員会の画一的廃止は、全く行政委員会の妙味ある制度としての機能と使命に対する認識不足と言わざるを得ないのであります。
次に、全国選挙管理委員会を廃止して、参議院の全国区選出の事務を中央選挙管理員に残し、他は自治庁の一つの部である選挙部へ持つて行つたことでありますが、政府は如何に公平に事を処すると百万遍確約をいたしたといたしましても、選挙について有形無形の干渉が行われることは掌を指すより明白なことであります。選挙の干渉が政治の腐敗堕落を生み、政治への不信を招来したことは、すでに経験済みのことであります。選挙が公平に行われないとしたならば、それは独裁があとに残るのみでございます。政府は、国民大衆に形式的な選挙権と被選挙権を與え、裏へ廻つて干渉を事とし、実質的な独裁政治を企図しておるのであつて、吉田政府の反動性とそのファシズム性を端的に暴露したものであり、暴力と独裁を否定排除する私たちとしては、これが反対する第二の理由であります。
吉田首相は共産党が大嫌いのようでありますが、併しそのワンマン振りと、例えば全選管廃止に表明されたような考え方、即ち公明選挙はやめて選挙干渉によつて独裁を夢みるやり方は、大嫌いな共産党のやり方と全くよく似ておる点をここに指摘いたしたいのであります。(「そんなことを言つちやいかんよ」と呼ぶ者あり)
次に、郵政省関係の二法律案について、修正案並びに修正部分を除く政府原案について反対をいたすのであります。
電波は、軍事面から、又政治、経済、文化面から見て、その利用度は非常に高度なものでありますが、元来電波は国民のものであつて、政府たると国民たるとを問わず、十分に門戸が開放されて、公共の福祉のために自由に活用されて然るべきものであります。NHKの独占から今日のごとく広く一般に民間放送が行われるようになつたことは当然のことであり、本来の姿を示しておるものであります。戰争中におきましては、この電波がNHKの独占事業でありまして、これが軍閥と官僚の手に握られ、一方的な虚偽と、時の政権に都合のよいデマ宣伝に利用されまして、何も知らない無事の国民大衆が踊らされた苦々しい体験はもう十分でありまして、その再現出はまつぴらでございます。政府は今回電波監理委員会を廃止してその権限を一手に握ろうとしておるのでありますが、朝鮮休戰会談の推移と、国内における飛行基地附近の防空演習に対する協力要請などを思い浮べますときに、政府は一体何を意図しておるか、全く無関係とは言えないのであります。又、最近テレビ許可に関しまして、NHK、読売等の官営と民間との争い、それに関連して面白からざる噂の飛んでおることも又事実であります。これと又無関係であると断定いたすわけにも参りません。又、年間二十億以上の利潤を得ておる国際電信を株式会社に、ぼろで、利潤を得ておらなくては、利潤追求をのみ事とする資本家に魅力のないところの国内電話は公共企業体とりして、電気通信監を郵政省に置くというのでありますが、政府は一体何をやつておるのか、又何をやろうとしておるのか、これ又釈然としない点でございます。又事業官庁たる郵政省へ行政をくつつけておくということは、国家行政組織法上からも妥当ではないのであります。不適当であるのでございます。これは要するに、今回の行政機構改革の不純さと、不徹底さと、その不明朗さを明示するものでございます。以上が反対する理由でございます。
以上を以ちまして、自治庁、郵政省関係の四法案に対しまして、反対の討論を終わるものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/21
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022・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 上條愛一君。
〔上條愛一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/22
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023・上條愛一
○上條愛一君 只今議題となつております自治庁設置法案並びにその関係法案の改正に関する法案に対しまして私は日本社会党第二控室を代表して反対を表明いたします。
本法案は委員長報告のごとく、従来の地方自治庁、地方財政委員会、全国選挙管理委員会を廃止して、これを統合所管せんとするものであります。政府は、今回の行政機構改革の方針の一といたしまして、従来の各種行政委員会のうち、審判的以外のものはことごとくこれを廃止せんといたしております。御承知のごとく行政委員会は、新憲法下民主国家として発足するに当りまして、戦前のごとき官僚独善、官尊民卑の弊を打破して、民主政治を実現するために、国民の総意を反映してその協力を得るために、各種の行政委員会が設立せられたのであります。併し、この行政委員会は、一つは日本国民のなお民主的自覚と訓練の足らない結果と、他の行政機構との連絡協力の不十分であり、且つ政府又これら委員会の活用に万全を期し得なかつた結果、未だその成果を完全に発揮し得なかつたことは、私どももこれを認むるものであります。併しながら、かかる民主的機関の運用はかすに時日を以てせねばならんことは当然と言わなければなりません。然るに政府は、僅か数年の経験を以て、漸くその民主的運営の緒につきつつある行政委員会を全廃せんとするがごときは、我が国政治に民意を反映せしめんとするの煩を避け、国民協力の途を閉ざし、旧憲法時代のごとき官僚独善と官僚行政の強化に復帰せしめんとする意図なることは明白であります。政府はしばしばアメリカにおいても今日行政委員会は漸次廃止を見んとしつつあると弁明いたしておりまするが、米国は我が国とその実情を異にいたしておりまして、すでに民主政治が確立せられているばかりでなく、多くの行政委員会が存して、長年に亘つてその活動が行われ、行政の民主化に貢献なしつつあるのでありまして、而もフーバー委員会の勧告に基いて廃止を見んとするものは、百余の委員会のうちに十指を屈する委員会に過ぎないのであります。我が国においては行政委員会は僅か数年の歴史を有するのみでありまして、その功罪得失を断定するの時期には達しておりません。今日はこれを活用して行政の民主化に役立たしめねばならんと信ずるのであります。これを地方財政委員会に見まするに、第七国会における本多国務大臣の提案理由の説明にも次のごとく述べております。「地方自治の確立強化は、我が国再建の基本施策として意を用いて来た。併し地方自治の現状は、数度の制度改革にもかかわらず、未だ十分な成果を挙げていない。殊に地方財政の困窮とその自主性の欠如は、現在の地方自治庁の機構では救い得ない。この故に新たに地方財政に関する地方団体の強力な利益擁護機関として、国、都道府県及び市町村相互間における財政の調整を図り、地方自治の本旨の実現を推進する機関として、地方財政委員会を設置することとした。従つて地方財政委員会は、政府部内にあつて相当程度の独立権限を行使しつつ、地方財政自主権の確立を推進し、地方財政に対する一方的な国家意思の支配を排除すると共に、国家財政と地方財政及び地方公共団体の財政相互間の調整を図ろうとするものである」と述べております。然るに、かくのごとき理由と必要を以て設立せられましたる地方財政委員会は、僅か三年にして廃止せられまして、自治庁の財政、税務両部の所管とせられるのであります。而してその平衡交付金の配分、地方債の発行、その他、地方税の問題に関し、その自主性を失い、本多国務大臣の力説いたしました地方財政に対する一方的な国家意思の支配を排除し得なくなつたのであります。勿論、自治庁に地方財政審議会が設けられまして内閣委員会の修正によりましてその権限は強められたのでありますが、これは飽くまで自治庁長官の諮問機関でありますので、従来の経験よりいたしましても多くを望み得ないのであります。現に、昨年春の知事選挙に際しまして、吉田内閣の前の一閣僚は、信州における自由党候補の応援演説に赴きまして、若し諸君が社会党の候補を知事に選ぶがごときことがあれば、将来平衡交付金等について中央政府の支援が得られず、県民の不利を招来するであろうと強調いたしているのであります。すでに地方財政委員会が存在いたしておりましても、平衡交付金その他、政府、與党の勢力扶植に悪用せんとする意図を有しておりまするので、これが廃止せられました曉においては、一層地方財政が政府並びに與党のために悪用せられる危險なしとしないと信ずるのあります。
又全国選挙管理委員会の廃止は更に重大であります。なぜならば、選挙は民主政治、議会政治の根幹であり、基盤であるのであります。選挙が民主的に公明正大に行われるか否かは、民主国家の盛衰の岐路と言わなければならないのであります。従つて選挙管理は單に行政的事務であるばかりでなく、重要なる国務であるのであります。それ故に選挙管理は、一党一派に偏し、若しくは政府官僚の管理にのみ任すべき性質のものりではありません。この見地に立つて、戰前内務省が所管いたしておりましたものを、戦後内務省の廃止せられました機会に全国選挙管理委員会が設置せられ、選挙の民主的管理と公明正大な選挙の実現を期したのであります。然るに、今回の改正案を見まするに、全国選挙管理委員会の所管事務のうち、主要なる部分は自治庁の選挙部の所管に移し、又全国選挙管理委員会の指揮監督下にあつた都道府県及び市町村の地方選挙管理委員は自治庁長官の指揮監督に移され、更に参議院全国区の選挙に関する事務のみは中央選挙管理委員を設け、これに関する事務に限り都道府県の選挙管理委員会を指揮監督することといたしているのであります。
以上の内容によりまして、私どもの反対せざるを得ない第一の理由は、今日まで全国選挙管理委員会が、選挙、投票、国民審査等の事務管理、資料の收集、制度の調査、指揮命令系統について総合的一貫性を有しておつたのでありまするが、これを寸断分離して、或るものは自治庁の選挙部に、或るものは中央選挙管理委員に、又指揮命令系統も、一般選挙は自治庁長官に、参議院全国区は中央選挙管理委員に所属せしめて、複雑化するものであります。政府は、今回の行政機構改革の一目標は、事務の簡素化にありといたしておりますが、かくのごときは事務の簡素化にあらずして事務の複雑化であることは明々白々であります。
第二は、單に選挙の事務管理、指揮監督のみでなく、政治資金規正法等による政党その他政治団体の統制、国会議員の選挙執行に要する経費等の取扱等、選挙に関する重要なる業務を自治庁並びに自治庁長官に帰属せしめるがごときは、旧憲法下における内務官僚の復活と言わねばならないのであります。(拍手)戰前内務省の選挙干渉によつて、選挙は民意を代表せず、政治の腐敗を招来したことは、私どもの記憶に新たなるところであるのであります。
最後に注意を要する点は、行政委員会及び各種外局の廃止を主張する政府の理由の一つは、責任政治の確立にありとし、行政委員会や外局は、その責任の所在を不明確ならしめるものであるといたしているのであります。併しながら国家行政組織法によりましても、行政委員会や外局はいずれも総理大臣若しくは各省大臣の指揮監督下に置かれておりまして、若し現在責任政治の完遂が行われていないとするならば、それは機構の問題にあらずして運用上の怠慢であつて、政府の責任と言わなければならないのであります。(拍手)他の一つの理由は、行政の統一的運営に支障ありとしておりまするが、政治の根本は、單に官僚行政の強化にあらずして、政治は国民の総意を反映し、国民の利益と福祉を増進することに存することは明らかであります。そのために、国の行政に、国民の生活に理解を有する民間の代表者をも参加せしめて、よく国民の希望を実現せしめて、従来の官僚独善の弊を打破せんとするのが行政委員会の任務と目的であるのであります。
曾つて労働省が新設せられました際に、時の労働大臣は、労働省は労働者に対するサービス省であつて、国民の公僕たらんとするものであると声明いたしまして、国民の共感を得たのでありますが、併しながら今日の我が国の行政の実際は、国民に対するサービスを本位とし、国民の利福を忠実に擁護しつつありとは、国民の何人も信じておらないところであります。(拍手)
要するに今回の行政機構の改革は、單に機構の問題のみでなくして政治に対するイデオロギーの問題であります。即ち民主政治への前進か官僚政治への復帰かの問題であると信ずるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)吉田内閣による行政機構改革の全体を通覧するに、民主的機関たる行政委員会等の外局等の改廃によつて戦後新憲法下に前進せんとする民主政治への道を阻み、保守反動性を暴露しつつあることは、真に遺憾とするところであるのであります。(拍手)
なお、郵政省法案の一部改正に関する件につきましては、従来総理府外局でありました電波監理委員会を廃止いたしまして、郵政省の内局として電波監理審議会を設けるという案でありまして、私どもは、自治庁法案に御説明を申上げましたごとく、総理府の行政委員会としてこれを存置するということを切望するものでありまするが、併しながら郵政省のこれを電波監理委員会として存置するところまで讓歩せんといたしたのでありまするが、内閣委員会におきましては遺憾ながらこの案が敗れまして、政府の原案である電波監理審議会を多少拡充強化するにとどまりましたこの修正案に対しまして、私どもは同様に反対せざるを得ないのであります。
以上私は簡単に理由を申述べましてこれらの法案に対する反対を表明する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/23
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024・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより採決をいたします。
先ず自治庁設置法案、自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、以上両案全部を問題に供します。委員長の報告はいずれも修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/24
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025・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/25
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026・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案、郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令の整理に関する法律案、以上両案全部を問題に供します。委員長の報告はいずれも修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/26
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027・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/27
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028・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第六、昭和三十七年度における行政機構の改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。人事委員長カニエ邦彦君。
〔カニエ邦彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/28
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029・カニエ邦彦
○カニエ邦彦君 只今議題となりました昭和二十七年度における行政機構の改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の特例に関する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。
先ず本案の提案理由について政府の説明するところによりますと、先般の行政整理に際し、昨年十一月より本年三月までの間に退職する職員に対しては、特に従来の場合の八割増の退職手当を支給する措置を請じたのでありますが、今回においても諸般の事情に鑑みて先般と同様の措置を講ずることが適当であるとして提出せられたものでありまして、その内容といたしましては、先ず今回の行政機構の改革に関連して、又は昭和二十七年度予算実行上の要請により、本年の四月五日から十二月三十一日までの間において退職する職員で閣議で定める者に対しましては、先般の行政整理の場合と同様に、従来の額の八割増の退職手当を支給することとし、次に第二点としては、昭和二十七年度予算実行上の要請によりまして、昭和二十八年一月一日から三月三十一日までの間において退職する職員で閣議で定める者に対しましては、従来の通常の整理の場合と同様、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律附則第五項の規定により計算した額の退職手当を支給することにしようとするものであります。
本案は、去る五月九日内閣より提出せられ、同じく五月三十一日衆議院より送付されて参つたものでありますが、人事委員会といたしましては五月十四日提案理由の説明を聞き、その後、行政機構改革関係諸法案の審議状況と睨み合わせ、六月十九日以降三回に亘り質疑を行い、昨年度のみならず本年度においても更に人員整理を行おうとする理由、本案による退職手当を支給しようとする対象人員、本案施行に伴う予算措置、行政機構改革発足の延期による支障の有無等を質し、又二十二日質疑を、終局する際、千葉委員より、止むを得ざる事情により定員の整理が年内に終了せざる場合における退職者にも本改正案の第一項による待遇を與えることが当然であるが、そのために予算措置上格別の困難ありやとの質問がありましたが、これに対して内閣官房長官より、行政機構改革による整理は所定の期間内に極力終了せしめる考えであるとの答弁がありましたが、格別予算上困難であるとの意思表示もありませんでした。
かくて昨二十二日質疑を終局し、討論に入りましたところ、千葉委員より、昨年行政機関職員定員法の改正を提案した際、政府は行政機構改革に伴う人員整理は行わないと言明したにもかかわらず、今回も人員整理を企てており、又政府の低賃金政策による企業合理化促進の犠牲を受けるのは公務員であり、更に国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律によれば、この法律による退職手当や恩給法による恩給等を総合する新たな恒久的退職給與制度が制定実施されなければならないにもかかわらず、未だに臨時措置を重ね来たつているのは不都合であるとの理由により、原案には反対であるが、すでに本年度予算も実行されつつあり、又行政機構改革関係諸法案の一部もすでに議決されている関係上、少くとも機構改革発足の延期に伴う措置を必要と認めるとして、本案第一項による退職手当の特例を来年の三月末日まで延長して適用する旨の修正案を提出せられ、採決の結果、全会一致を以て右の修正案通り修正議決せられました。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/29
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030・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/30
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031・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/31
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032・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 日程第七より第十三までの請願及び日程第十四より第十七までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/32
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033・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。外務委員会理事徳川頼貞君。
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〔審査報告書は都合により附録に掲載〕
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〔徳川頼貞君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/33
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034・徳川頼貞
○徳川頼貞君 只今議題となりました請願七件、陳情四件につき外務委員会における審議の結果を簡單に御報告申上げます。
先ず請願第千二百三十七号は、小笠原諸島に限つて一般島民の帰島が認められないのは不合理であるから、速かに帰島が実現するように善処されたいとの要望であります。陳情第千三十六号は千島列島は歴史的にも国際的にも我が国の領土として認められているから、平和條約の発効を機会にこれらの島の主権の帰属について有効適切なる処置を講ぜられたいとの趣意であります。次に請願第二千六百四十二号、第二千八百二十八号、第二千七百三十七号及び陳情第千百八十号は、いずれも海外における未帰還者の引揚を促進し、又抑留中の戰犯者の内地送還、減刑及び釈放について適当な処置を講ぜられたいとの要望であります。請願第二千七百五十六号及び第二千八百二十九号はいずれも米軍演習地としての使用調達が農業又は漁業経営を窮地に追込む虞れがあるから、指定から除外された旨の請願でございます。次に請願第千五百九十八号は講和会議協力国代表を貴賓として招請するよう考慮されたいとの趣旨であります。陳情第千五十五号は、日本船による真珠貝採取のためにオーストラリア政府と漁業協定を締結されたいとの要望であり、陳情第六百四十六号は、沖縄との交通、貿易の発達に鑑みて同地に在外事務所のごとき国の機関を設置されたいとの陳情でございます。
以上の各件は、六月二十八日の委員会におきましていずれも願意を尤もと認め、これらを議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
右御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/34
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035・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/35
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036・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十五分散会
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○本日の会議に付した事件
一、防空演習に関する緊急質問
一、日程第一 警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案
一、日程第二 自治庁設置法案
一、日程第三 自治庁設置法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案
一、日程第四 郵政省設置法の一部を改正する法律案
一、日程第五 郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令の整理に関する法律案
一、日程第六 昭和二十七年度における行政機構の改革等に伴う国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の特例に関する法律案
一、日程第七乃至第十三の請願
一、日程第十四乃至第十七の陳情発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315254X06819520723/36
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