1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月二十六日(木曜日)
午前十一時九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中村 正雄君
理事
波多野林一君
村尾 重雄君
委員
石川 榮一君
上原 正吉君
九鬼紋十郎君
一松 政二君
小林 政夫君
早川 愼一君
菊川 孝夫君
堀木 鎌三君
国務大臣
労 働 大 臣
厚 生 大 臣 吉武 惠市君
政府委員
労働省労政局長 賀来才二郎君
労働省労働基準
局長 亀井 光君
事務局側
常任委員会専門
員 磯部 巖君
常任委員会専門
員 高戸義太郎君
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本日の会議に付した事件
○労働基準法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○労働関係調整法等の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 只今より会議を開きます。
労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたしまして審議を続行いたします。
第一読会のときに答弁を保留されておりました質問、並びに調査を要求いたしました質問につきまして、基準局長から答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/1
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002・亀井光
○政府委員(亀井光君) 答弁の保留の問題につきましては、貯蓄金管理につきまして、労働者の委託を受けて使用者が管理する場合におきまして、その管理しまする貯蓄金を破産その他の関係におきまして、労働者に返済することが不可能になる場合における保護措置をどうするかという問題でございまして、現行法令をいろいろ検討をいたして見ました結果、現在の法律の建前から申しますると、賃金につきましては先取特権が認められるのでありまするが、この預託金につきましては、何らその保護の途がないわけでございます。ただ破産法におきまして、今回改正されました点におきまして、その預託金におきましても労働者側から申請をなされますると、それが債権として確保されるという途が講ぜられておりますのと、それから会社更生法によりまして、更正手続が行われまする場合におきましては、その手続の開始される日前六カ月間の賃金並びに使用者の預り金につきましても、同じく債権が確保されて行くという途が開かれておるのでございます。これらの遂におきましても、なお且つその貯蓄金の債権の確保を図りまするためには、やはりこれは使用者の財産に対しまして、一般債権者と同様に抵当権の設定というふうな措置を考えませんければ、最終的なその債権の確保ということは困難じやないかという結論になるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/2
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003・中村正雄
○委員長(中村正雄君) そういう点につきましてですね、例えば破産の場合に破産債権のあるということは、これは誰が考えても当然のことなんで、それは会社に対しまする一般の債権者の権利よりもですね、当然会社に対する貸借関係でなくして、金を預けているわけですから、一般の破産債権よりも優先し得るという途を開くのが一応理論的に当然じやないかと思うのです。ところが今の場合そういう途が全然開かれておらない。一般の破産債権と同じように扱われておるところに、企業の不振になつた場合の労働者の保護ということが完璧を期するわけに行かないと思いまするし、又基準法でこういう制度を設けておいて、何らそれに対する保障的な規定が基準法にもなければ、民法その他の一般の司法にもないということは、労働者の保護に欠ける点があるんじやないかと思うのです。それからもう一つ、この前の委員会でも御質問しておきましたように、一般の銀行でありますると、やはり銀行法なりその他の関係で預金に対する管理、その他は相当厳重にやられておるわけなんです。ところが銀行は金融業であります関係上、預金を他に貸付その他をやるわけでありますけれども、ところがこの場合は労働者の預金自体をやはり経営者がそれを事業資金に使うわけなんですね、そうしますと、金融業以上に監督をしなかつたらこれは振合いがとれないと思いますし、金融業であればやはり貸出すときにはそれ相当な条件もあろうし、責任もあるわけですけれども、これは労働者の金を預つた使用者が自分の事業に使うわけでありますから、やはり主観的にものを考えやすい、一般的に見ればそういう事業は危いということでも、本人ならばこれはやはりこういうふうにしなければ会社が不振の場合は、更生できないと思えば、労働者の金であつても一か八かの事業に投資する可能性がある、こういう面に対する労働者なり或いはその他の監督というものはどこに置いておるか、監督を厳にしなければ、こういう基準法という法律によつてそういう途が開かれておることが、労働者の保護にならないので、却つて労働者の預金を危くするという結果になるわけで、その管理監督についてはどういうふうにお考えになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/3
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004・亀井光
○政府委員(亀井光君) 今のお話御尤もでございまするが、ただ強制貯金ではございませんので、組合のありまする場合は、その組合の過半数を代表するもの、ない場合にはその労働者の過半数を代表するものとの自由契約と申しまするか、契約に基きまして貯蓄金を使用者は管理するわけであります。従いまして強制貯金でない以上、その契約の際におきまして労働者側におきまして、その会社の経理の状況、或いは将来の事業の見通し等からいたしまして、そこに危惧の念がありますれば、これは労働者としまして何ら拒否をして差支えないものでございまするし、従いまして、これはやはり一般の債権の保護と申しまするか、一般民法上の債権の保護というものと、やはり本人の自由意思に任せられておりまする以上同一のものじやないだろうかというふうに我々は実は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/4
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005・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 次に、菊川君の質問の保留になつておるいわゆる遊興飲食店あたりの労働基準法の監督とか、適用状況について答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/5
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006・亀井光
○政府委員(亀井光君) これは委員部から資料が差上げておると思いますが、これにつきまして従来も監督を実施いたしておる次第でありまして、この資料にございまするように、昭和二十五年におきましては、十四号関係の事業、即ち接客、娯楽の事業でございますが、この事業に対しては昭和二十五年六千百十件、二十六年に五千三百五十一件監督を実施いたしております。二十六年中におきまして、検察庁へ送検いたしました事件の総数は六百二件でございますが、その中でこの接客、娯楽の事業に関しましては四十一件の送検をなしておるのでございます。又これを二十五年の実績でみますると、二十五年では送検の件数は九百六十件、その中で接客、娯楽の事業としましては四十四件であります。その比率は二十五年より二十六年のほうが監督の結果多く送検しておるような状況になつております。その送検の内容を見ますと、これは極く悪質なものの摘発の結果送検に至つておるのでございまして、中間搾取の排除の関係の違反、或いは前借金相殺の禁止の違反、或いは強制労働の違反というようなものがその内容の主なるものを成しております。極く通例の細かい内容につきましては、お手許の資料に別表としまして詳細に掲げてございます。これを御覧頂きますればおわかりになると存じます。又全体の数字としましては、一番最後の表にそれぞれ掲げておる次第でございまして、この問題も我々としましては引続き監督の手をゆるめずに今後実施して参りたいというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/6
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007・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その資料を私も頂きまして、内容をよく見せてもらいました。併し表面に現われた事犯が割合に少いわけでありまするけれども、実際問題としてはもつともつと僕はある。ということはなぜそういうことを申上げるかというと、端的に言つて私たちが地方へ出、旅行して見ました場合に、やはり労働委員という職責上からも勤務時間を個人的によく聞いてみるわけです、夕飯の際だとか、朝飯を食べながら聞いて見ますと、どこへ行つても本当にこれでは基準法というものは事実こういう業者には存在しておらないと言つても過言でないくらいの状態であると言えるのであります。これはむしろ一流の観光ホテルであるというような所ならこれは別といたしまして、相当その町でも優秀な旅館においてさえも、女中さんあたりの労働時間なんというものは極めてひどいものだと言つて過言でないと思うのですが、これらについてもう少し労働時間を厳重に守らせるようなことが母体保護とか女性の保護という点から私は大事だと思うのですが、ところがもう因襲的になつておりまして、あそこの旅館に女中に行くことはむしろ光栄だというようなところから、あそこで使われておればというところから親もそこへやる、やられたらこれが普通だということになつて働いておる者がたくさんあるわけであります。小さいことを申上げるようですが、これは一松さんよく言われることでありますが、君ら労働者は、大きな労働組合なんというものは実は労働特権階級なんと言つておるのだが、私は全然一松さんの意見をとやかく言うのではないけれども、我々として特に労働委員会あたりがこの基準法の実施に当つて考えなければならんのは中小企業であるとか、これの実施が完全に行われておらない、にもかかわらず、最近においては資本家側のほうからは、この労働基準法が少し日本の今の経済事情から考えてちよつと高過ぎるから、もう少し下げるように、標準を下げるようにしたほうがいいんだというような意見も出て来ているのであります。にもかかわらず、実際には中小企業あたりにおいては極端な、言葉を換えて言いますと、共産党の諸君のような表現になるかも知れんけれども、奴隷労働というような、これはまあ極端な表現かも知れませんけれども、そういう嫌いがあるところもあると思うのであります。あの表に現われているものを、必ずしもこれだけが本当に違反しているのだというふうに安心することはできないと思うのです。この点について、これを一つ基準監督局としてはこういうところに主として主力を注ぐ必要が私はあると思うのでありますが、それについては相当やはり陣容の整備も必要だと思うのでありますが、こういうふうな点も一つあなたのほうでは今計画しておるか、又考慮されておるか、この点を最後に一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/7
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008・亀井光
○政府委員(亀井光君) 基準法の施行も今年の九月で五年になりまして、今までは専ら大企業のもの、或いは中程度のものに重点を置きまして監督を施行して参つたのでございまして、従いまして、限られた人数におきまして、小規模の事業につきましての監督が十分手が廻りかねたということは、これは率直に私は認められる、止むを得ないことと思うのでありますが、併し、本年度の監督の実施方針としましては、すでに我々各地方の局署に通牒をいたしておるわけでございまして、本年度におきましては、中小以下の事業の監督に重点を置きまして、これを実施するような方針をすでに確立しまして、地方に流しておるわけであります。逐次この問題もそういう面からいたしまして改善されて行くことと私確信をいたしております。又そういう方向に向いまして、今後も引続き努力したいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/8
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009・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 菊川君、ちよつと関連質問の要求がありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/9
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010・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これだけ一つ関連して……占領軍がおりましたときには労働課というものがありまして、あそこの権威をまあ労働官僚諸君も或る程度利用すると言うては語弊があるかも知れませんけれども、まあそういうこともでき得まして、割合に基準法違反あたりについては資本家連中も少しうるさかつたことは事実であります。基準法についてこれを違反事件として摘発されることについては、相当神経過敏であつたことも事実でありますが、ところがあれがなくなつてしまつた。もう結局本当に自主的な労働省だけの力で似て労働基準監督署だけがこれをやつて行かなければならんので、違反事件のひどいのがあつた場合に、これは直ぐ地方の進駐軍あたりの事務所からも呼ばれてやられるものでありますから、資本家側ももう基準監督署に摘発されるとうるさいぞと言つておつたけれども、日本の裁判所にかかるくらいなら大したことはないというので、非常に最近になつて来るとこれを軽視しだした嫌いがあるのであります。従つて、労働省の権威というものをこの際信用しない限りにおきましては、今までは虎の威を借る狐で以て相当やられたこともあると、この点は基準監督局長も、私が言うのはちよつと極端であるかも知れませんけれども、まるきり否定はできないと思うのです。これは実際問題として又日本の各方面でこれを利用し合つたことは事実でありまするけれども、お互いに連中を利用してそうしてやつたことは、これはもう今から考えてみると誠に滑稽な話であつて、これはもうどうしても自主的にやつて行かなければならんと思うのでありますが、こういう根本的な頭の入替えということは大事だと思うのでありますが、この切替えについて基準監督局は毅然たる態度で臨む方針ができて、そうしてどういう方針で今後これについてこういう頭の切替えを行おうとするか。これは極めて口に言うことは易いけれども困難だと思うのであります。
もう一つお尋ねしたいのは、各地へ出て調査をしてみますると、ややもすると、まあどこでも起る事犯でありまするけれども、基準監督署ではこういう監督関係では起つておるかおらんか、今まで起つておつたらその件数、どのくらい起つておるかという点を特に私お尋ねしたいのでありますが、これは各官庁とも公務員の汚職事件というものが跡を絶たない。遺憾ながら国会の各委員会におきまして質問したときには、大臣は善処を誓いまして、相当善処されることになつておるはずでありますが、次から次へと大きな事件が摘発されまして、警視庁あたりの情報を聞いてみますると、まだまだ幾らでもあるのだけれども、重点的に今年は一つ某省をやろう、次には某省をやろうというくらいにして行かんことにはとても、どこへでも手をつけだしたらなかなかとどまらないような、大変だというようなことさえも情報としてありますが、我々耳にしておるのでありますが、基準監督関係におきまして、今日までそういういわゆる資本家が違反行為を行うことを黙認したことによつて監督官が贈賄を受けた、そういう不祥事件が今日まであつたかなかつたか、あつたとするならばどのくらいあつたか。今後こういうことはますます起り得る危険があると思うのでありますが、これが取締に対してどういう処置を講じるつもりであるか、その点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/10
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011・亀井光
○政府委員(亀井光君) 官吏の不正事
件、特にまあ監督官の不正事件のお話と思いますが、これにつきましては、毎年やはり二、三件のものが我々のほうにも実は出ておるわけでありまして、この問題につきましては、非常に私らも慎重にその対策を考えて、又実行いたしております。その根本としましては、やはり基準行政の職員が戦後寄せ集めで構成されました関係上、そこに職員の質の問題が私相当影響があろうかと考えております。その再教育を今計画的に実施をいたしております。取りあえず今年度は三百三十六の監督署長の研修を目下実施をいたしております。これが済みますると、監督官に就任をいたしまする際には、新任の監督官の研修を約一月間やるわけでございまするが、これは専ら実務を中心としまする研修でございますので、精神的な面と申しまするか、そういう不正を起さないようにするための再訓練につきましては、引続きまして実施いたしたい。これによりまして、この違反の防止というものを図つて参りたいと思つておるのでございまするが、傾向といたしましては、逐年減少の傾向にあると私は考えております。数はそう多くはないのであります。ただ我々の関係でよく問題になりまするのは、むしろ労災の保険料、或いは保険金、これらの使い込み、それが年にやはり五、六件出る場合もございます。これらにつきましても、監督官のそういう民間の経営者に対しまする贈収賄等の問題のほかにもう一点あると思います。これらの問題につきましても、同じく同様の再訓練、或いは事務的な監査の徹底というふうな方法で防止をして参つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/11
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012・一松政二
○一松政二君 委員長ちよつと関連質問……今菊川さんから労働基準法のことでいろいろお話がありましたが、私は多少その点は意見が少し異なつておるかも知れませんが、労働基準法が現在の日本の現状に即して、殊に敗戦後の日本の国民生活一般の基準から見てこれが高過ぎるということは、私は国民一般の常識であろうと思います。そこで大企業においては私は比較的労働基準法の問題は少なかろうと思います。問題は今菊川さんも挙げましたように中小企業にある。殊に又この接客婦あたりの問題になりますと、これは私はその経営者のみを責めるわけに行かんと思うのです。ということは、来るお客さんがそういう無理なことを言わなければ、私はもう喜んでそこのそういう主人公はそれを守るであろうと思うのです。でありまするけれども、夜遅く来た場合だつたら、どうも厭だとは思いながら、いろいろなことを言われまして、ついそれに対応するだけのいわゆる心遣いをしなかつたら、そういう料理屋、及び接客業は成立つて行かない。これはやはり結局いわゆる主人公だけにそれをやかましく言つても、国民一般がそれを守つてくれれば、それを了とするだけの教育ができていないところに徒らに法律を励行されたり、私は今日破防法が、破防法それ自身の現われたる文句はいいけれども、それを濫用する虞れがあるということで皆さんが非常に反対しておる、でありますから、この基準法にしても一般に国民生活よりも基準が高いと考えられているものが、これ又法律通りにどんどんやられたら違反者が出るのみならず、それじや行過ぎになると私は思う。基準法も結局は労働者も栄え、経営者も栄え、国民生活の一般の基準がそれによつて上つて来るということが目的でなければならんと思うのです。日本は結局昔からそうであるけれども、殊に戦後においては貧乏人の子だくさんであります。貧乏人の子だくさんが生きて行く途はどこにあるかということは、これはおのずから問わずして明らかであると思うのです。独立の生計を営み、人に雇われていたいものならば、深夜に働こうと、どこで働こうと、これはどこからも咎めはないと思うのです。中小企業はそれに少しの一人か二人、或いは四、五人の人間を雇用して、そうして業を営まなければならん、或いは一人でもそうでありますが、そうすればもうそういうことが成立つて行かんというようなことになりますと、結局角を矯めんとして牛を殺すの愚に堕しては私はならんと思う。でありますから、法は法でありますけれども、適用するものはその人にあると思う。その寛厳よろしきを得ることが非常にむずかしいから今日破防法が問題になつておるわけです。労働基準監督署の署員が皆達識の士ばかりであればいいけれども、今も基準局長が言われたように、なかなかそうも理想通り行かない、そうすると、一方に刃物を持つておつて、そしてむやみにそれを振り廻されては困るわけです。そういう点については私は菊川さんの議論もよくわかる。国民一般がその基準まで達しており、それで日本国民全体がその標準で生活ができれば違反もなくなるであろうし、国民生活も向上するわけなんです。それに負けた日本なんです。でありますから、私はそういうことは法は法でありますけれども、目的は国民生活が向上するということでなければならん。でありますから、この基準法を中小企業と言つてもこれ又幅が広い、ぴんからきりまである、これを一律の法律で取締るということそれ自身が私は無理があると思う。でありますから、これの適用は私は難事中の難事だと思う。違反者が多いということは結局それは一方においては無理だということの証明にもなる。どうかこの取締の任に当る者に対しては円満なる常識の発達した人間を特に採用し、その観点からこの基準法の運用に誤りなきを期せられたいということを私は特にこの際申上げて質問に代える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/12
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013・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 只今の菊川君の御質問は、労働基準法に対しましては、大企業等においては大体労働組合等の関係で十分これ以上のものも確保できるけれども、中小企業が非常に危い、今までは占領軍というものがおつた関係で、或る程度それによつて基準法が守られるという一つの圧力と申しますか、威力があつたけれども、今後そういうものがなくなつた場合はこれの監督は労働省にすべてかかつて来ている、特に中小企業等に対して基準法を完全に適用するように今後労働省としては監督を厳にしなくてはいかんという菊川君の質問でありますが、一松君のほうは、現在の基準法は中小企業に対しては非常に荷が重過ぎる、従つて中小企業に対する適用については考慮しなくてはいけないという正反対の質問であると思うので、これに対しまして、労働省はどう考えているか、答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/13
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014・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) この問題は、お二人がたの御質問は御尤もだと思います。それでGHQの指導があつたからよかつた、なくなつたからという点については私はさほど心配しておりません。それは決して占領下中GHQがやかましく言つたからやつて、いなくなつたからやかましくなくなるということは考えてはおりませんし、事実そういう何もございません。ただ問題は大企業は労働組合も発達しておりますし、又同時に労働協約の内容が基準法できめられておりますようなもの以上のものが多い、それからまあその点はお二人がたも御心配になつていないようですが、問題は中小企業であります。そこでこの監督を緩くするというような考えは持ちませんが、往々にして監督が杓子定規に何もかも法律を盾にとつてやるということになりますと、一松さんのおつしやつたように中小企業はやつて行けない、そして従つて基準法のどこを改正してくれここを改正してくれという声が相当強くなる。それで私は常に基準法を作る時から言つておつたことでありますが、この労働法の中には基本的なものと、それからさほど基本的でないものとあるわけであります。基本的なものと言えば、つまり最低年齢の制限があるにかかわらず子供を使うとか、強制労働をするとか、或いは子供を深夜に使うとか、そういうような基本的なものというものは、これは大企業でありましようとも、小さい企業であろうとも、企業によつて斟酌すべきものでない。従つてこういうことは私は厳重にやらなければならんと思う。ところが労働法の中にはいろいろな細かい手続的なものであるとか、或いは些細なものがあるわけであります。労働者にそう実質的に影響があろうとも言われんようなものがあります。それを一々やかましく中小企業に言いますと、結局違反が多くなります。違反が多くなると、おおつぴらにやつてしまう、法を無視するというような態度になりまして、この点はつまり社会の風習なり、或いは労働に対する観念のだんだん高まるのを待ちませんと、これを一挙にやりますというと、頭から今度は法を無視することになる。ですからそういうことは指導に重きを置いて、そういうものはこうしなければならんものだぞというようなことで、だんだんと引張つて行くというようなことが私は必要だと思う。併しただ全部指導々々ということで行きますと、なあに違反しても挙げられやしないのだということで、先ほど申しましたような労働法の基本的なものまで、なにやつておればいいということになると困りますから、私はそういうような基本的なものは厳重にやる、そうでないものは指導によつてだんだん引張つて行くというふうな行き方をとつて行きたい。そしてこの基準法の法律で制定されたものはできるだけ維持して行こうと思つております。これは社会がだんだん進化して行けば必ずそれが完全になつて来ることは、これは私時間の問題だと思う。現在は一松さんのおつしやるように、正直に言つて小さい企業に対して法律を全部杓子定規にやるといつたら恐らく悲鳴を上げるでしよう、上げるからといつて、それじや中小企業の全部守れるような法律に今ここで直すということは、私は国民の文化水準というものを下げるということになりますから、この法律はどこまでも維持する。そうして無理なところはだんだんと指導で引張つて行くというふうな私はつもりで指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/14
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015・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 今の労働大臣の御答弁はちよつと両者の質問より外れておると思う。菊川君の御質問、一松君の御質問は手続等の問題でなくして、勤務時間その他の純然たる労働条件について、菊川君のほうは中小企業こそこれを十分監督しなければいかん。一松君のほうはそういう労働条件をそのまま適用されては困るから、これはやはり適当にやらなければいけない、こういう正反対の御質問なので、従つてこういう労働条件について労働省はやはり中小企業の実態に即して適当な監督によつて指導的にやられるのか、菊川君の言うように中小企業こそ必要なのであるから厳格に監督しなければならないとおつしやるのか、この点の御答弁を要求しておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/15
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016・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 私は一々の具体的な事例については申上げなかつたのですが、私の申上げました基本的な観念から推して行けば御了解になると私は思います。労働時間の具体的な例はとりませんでしたが、労働時間にいたしても、深夜に亙つて仕事をするということは基本的な問題になりますので、これは私は放つておけない、併しながらちよつと三十分とか一時間延長した違反があつたから、これも杓子定規に一々やるということになりますと、先ほど言つたようなことが起るのであります。併しそんなものをいつまでも放つておくわけに行きませんし、今ここで中小企業について僅か二人か三人しか雇つていないのに、どうも三十分違反したからといつてすぐ挙げてそれを起訴するというようなやり方をとりますると、国民のほうで遵法しなくなる。でありますから、先ほど申しました点は、私、具体的には申上げませんでしたが、基本的な観念について一つ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/16
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017・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 菊川君御了承願いましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/17
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018・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私は一松さんのような政治家がおられるからこそ危険なんだ。で基準監督署はそういうまあ厳重に成るべく一つ守つて行こうとして努力しておつても、こういう大政党の幹部が行つて、何だ、円満なる常識という美名の下に基準法違反を黙認せよということなんだ、率直に言うと。表面は円満なる常識を働かせるということだけれども、基準法違反事件を見て見ん振りをせいという、まあ率直に言葉を換えて言えば私はそうだと思う。こういう政治家がたくさんおつて、而も一松さんの属しておられる党は大体演説なんかのときにも大分そういう御意見が多いように思います。この人たちが二百名三百名おつて、いずれも地方の有力者なんです。それが行つて基準監督署に対していろいろ圧力をかけるということになると、私は大問題だと思うのです、実際問題として。僕らのように言うのは少いのです、今のところは。一応毅然たる態度で臨むということが少いということになりますと、労働組合もおりますから、そう極端なことはないはずである。少し脱線の嫌いがございますが、端的に言つて私はこう考えるが、だんだん常識化して来るに従つて極めて私は危険だと思います。で、厳重にやるという方針で行つてもいい加減なものでありますから、ましてや一つ円満なる常識の美名の下に基準法違反を黙認せよということが一つの政治勢力としてこの監督官に圧力が加わるということになると、私は極めて危険な状態にだんだんなつて来るのじやないかということを惧れるわけでありますが、これに対してそういう政治勢力には一切左右されないように基準監督署で善処を願わなければならん、如何なる政治勢力にも左右されないように、これが一つであります、そのためには或る程度身分保障ということを考えられなければならないと思うのでありますが、ところがこれは公務員の一般の身分保障としてはこれは公務員法によつて保障されております。これはもう申上げるまでもないが、そのほか基準監督官が特にこういう危険な状態、圧力の加わる危険があるというような嫌いもあるのですが、そのほかに身分保障を何か考えておるか、又現行法にあるかどうか、この点を基準監督局長にお伺いしたい。
それから第二に、或いは行政機構の改革の名の下に基準行政のほうの機構並びに人員の縮小ということが頻りに問題になつて、機構改革を担当せられる国務大臣のほうでは先ず一番先に目をつけられておるようでありますが、この前の国会に提案されました定員法の改正の際にも、基準行政の人員縮小が先ず一つ大きく狙われておつたわけでありますが、現在の人員でもなかなか各職場を守つて、基準法違反がされておらないかどうかということを監督したり、且つは又いろいろの提訴があつた場合に実際にどうなつておるかということを調査するということには非常に忙しいということを言われて、なかなか手がつけられない面が多いというような状態だと言つておるのでありますが、今の各基準監督署における業務の状態でございますが、実際に今の人員で今の機構で以て相当まあ満足すべき程度まで監督行政が行届いておるかどうか、今の機構と人員が十分であるかどうかということを一つお尋ねしたいのと、更に十分でないとすれば、能率を挙げるようにやつて参らなければなんとおつしやるでしようが、今後の機構改革等においても、せめて今の線だけは最低線として守らなければならんと思つて、これは基準監督局長が十心一つ肚を据えて守る決意を持つておるかどうか、今の現在の状態で。そういう機構改革という名の下に大分圧カが加えられる状態にあるわけでありまして、あなたのほうはどうだかわかりませんが、少くとも今の状態で皆を訓練してやつて行くとすればやれるということをあなたが考えておるかどうか。更に今後これだけはせめて最低線として毅然たる態度で守ることができるかどうか、この二つについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/18
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019・亀井光
○政府委員(亀井光君) 監督官の身分につきましては、基準法におきまして保障しております。監督官を罷免しますのは分限審議会の議を経まして罷免しなければならんという身分保障がございます。それから現在の定員、機構で十分かどうか、或いは将来これに対していろいろ縮小等の場合に十分頑張れるだけの自信があるかどうかという御質問と思います炉、現在御承知のように局が四十六と署が二百三十六ありまして、約定員が八千名でございます。行政はやはり人の数の問題ではなくして質の問題ではないかと思うのであります。従いまして、昨年の行政整理におきまして、多少の人員が減つたわけでございますが、それに代りまする質の向上を図りまする措置として、先ほども申上げましたように、先ず監督署長の再訓練を今いたしておるわけでございます。これが大体本年の十二月で完了いたします。そういたしますると、一応の監督署におきまする行政運営の態勢というものが私は実質的に向上して参るのじやないかという気はいたしております。更に又この再訓練は引続きまして個々の監督官に及ぼして参りまして、専ら質の向上によりまして、一人で監督いたしまする能率を挙げることによつて行政運営の能率を挙げて行きたいというふうに考えておる次第であります。
それから機構の問題につきましては、いろいろ行政機構の改革の際にも御議論がございましたが、結局は国際的な基準法の性格からいたしまして、又国内的にもその重要性を認識せられまして、一指もこれに改正を加えられなかつたのでございまするし、又今後も私としましては、そういう疑義が起らないとは存じますが、若しそういう疑義が起りました場合には、十分納得して頂まするよう努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/19
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020・一松政二
○一松政二君 もう一点だけ……、余り菊川さんと議論はしたくないのです。だけれども、一応言つておかなければならんと思うことは、人に雇われた労働者が或る基準を以てそれ以上働いてはいけない、それで国民生活が十分にやつて行ければ私は何も異存はないのです。この点は菊川さんと一つも意見は変らんと思います。ただ問題はそういうことで日本国全体の生活水準が上つて、そうして果して企業が成立ち、国民生活が向上して行くか行かんかというところに恐らく問題の分れ目があるだろうと思うのです。で、人を雇わない独立の人なら深夜に幾ら働いても、どんな貧乏な暮しをしても、石に噛りついても食つて行つておる人がたくさん日本におるのです。人に雇われれば非常に楽な生活ができるということなら皆人に雇われたくなると思う。こんな気楽なものはないのです。そういうことで日本国家が背負つて行かれるであろうかどうか、労働基準法の問題につきましても、国民生活の標準より私は出ずることは、仮に出ておつても又抑えられるか、その法律を改めるとか、或いは何かの方法で必ずそこに来ると思う。でありますから法律を厳重に施行しようということに対しては表向きは議論の余地はないのです。併しながら翻つて物をお互いの個人生活から考えても私はわかるのです。必ず法律の通り我々は行動しておるかどうかというと、これはクリストが、人の女房に石を投げるとか何とかいう喩のごとく、私はみずから顧みて忸怩たるものがあると思う。であるからひとり労働基準法のみが日本全体、或いは国民道徳をかけ離れて、そうして私は励行はできないと思う。これを励行しようと思えば必ず今度はそれに対してさつき大臣も言われたように、正面から反抗が起つて来る。労働基準法をもつと国民の実際生活に適応する程度に直せという声も随分あるけれども、これは又国際間のいろいろな事情にもよつてそうもできないこともあるし、貿易の面も考えなければならんということで一応は了承しておると思うのです。これ以上私は菊川さんに関連して議論をしようと思いません。私は菊川さんと議論は同じだと思う。私はただ雇われた人間だけが天国に住んで、そうして独立した人間はみじめな生活しかできないような結果が起らんように、そういう風潮の起らんようにしてもらいたいということだけを申上げて、一応特に基準監督局長の参考に意見を申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/20
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021・小林政夫
○小林政夫君 私は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/21
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022・中村正雄
○委員長(中村正雄君) ちよつと……今の問題になつておることについてお願いしたいと思います。新たなのであれば今のを済ましてから次に移りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/22
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023・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もう一遍だけ……。私も議論したくはないけれども、それはそういうつもりで今の一松委員の御意見を御無理御尤もとして聞いて、基準監督局長はひつ込んでもらつては困るのでありまして、やはりそうなつて来ると、政治の問題にまで発展して来るのだろうと思います。そういうことになつて来ると、国の政治、立派な政府があつて物資も相当統制しておつた時代においても待合や料理屋は檜作りで赤坂、新橋あたりに建つ、一般のまじめに働いておる人は未だに防空壕に住んでおるというような状態では、本当に政治あり、政府があるのかと言わざるを得ない。そういうところまで発展して来るのではちよつと理論の飛躍ではないかと思うのです。要は使われておる人と自由業者との間には自分の意思によつてやるということと、強制されること、これは使われた以上はどうしても強制されるのだ、従つていわゆる賃金或いは雇用関係等において強制されて、鞭で打たれて働くということになつてはいかん。そういうことでは人間の上に人間を作るということになつて、民主主義社会において許すべからざることが自然のうちに公然と生まれて来るから、それは取締らなければならん、こういうことが原理だと思う。そこに大きな食い違いがあつて、例えば学生が入学試験或いは学期試験のときにおいて徹夜で勉強するのもいかん、勉強時間は八時間ときめて、その時間以上は勉強しもやいかん、運動しなければいかんということを言い出したり、或いは政治家が演説をやるのも八時間労働でやる、それ以上演説をやつたら労働時間超過だというようなことを言い出したのでは議論の飛躍になつてしまいまして、議論の余地はないと思いますので、ただ自由意思によつてやることと、それから人から強制されて、いわゆるそういう無理な労働を強いられておるというところに大きな違いがあるだろうと思います。自由にやることは自分の健康その他を考えてやるようにすればいいし、それで生活できないという場合には生活保護法等の手続き、或いは社会保障等でやはり政治の裏付けで行くべきである、それが政治じやないかと思うのであります。そういう点を履き違えないように、大政党の幹部たちがそういうような常識論をお吐きになつた場合に、一応御尤もの点があるだろうと思うけれども、私はやはりそういうのに余りに拘束されんように、勿論貴重な御意見として十分聞かなければならんことは事実でありまして、欠陥のある点は直さなければならんでしよう。併しながらそれに余りにとらわれ過ぎまして、この基準法を完全に実施されておるかどうかということを今後監督して行く立場にあられる基準監督局において手を加えられて、それに押されるというようなことになつたら私は重大な問題だと思うのであります。なぜそういうことをくどく申上げるかというと、今度の改正の際に、例の十六歳の坑内労働というやつがあるわけです。これは成るほど技術養成ということだけで本当の……私はこの間出張のみぎりに特にこれが問題になつておりましたので、労働委員の有志がさそい合つてそうして或る炭鉱を視察して参りました。そういう相当歴史も古い、それから大企業の炭鉱におきましては、実際問題として本当に鶴ばしを振う坑夫を養成するためにやるのじやなくて、そこへ行つてこの地質は手を付けてもいいかどうか、危険状態でないかどうか、或いはガスの虞れがあるかどうかというようなことを検査するのになかなか熟練が要る。従つて若いときからそこへ入れて訓練さしておいて、こういう連中はそんな長いことそこで働かせる、筋肉労働をやるために養成するのじやなしに、技術者として養成するためにやりたいのだ、決してあなたがたの心配するようなことはございませんし、いつ検査されても、仮にこの改正案が通つても完全に改正案の趣旨に副つた運用をやります。いつでもおいで下さいと言つておる。こういう所を僕らは心配するのではなしに、そうではなしに、お隣りに又小さい山があつて、婦人を使つちやいかんという所でも公然と婦人がもつこを担いで腰をかがめてしまつてえびのようになつて坑内に入つて、毎日々々どんどんやつておる。こういう所は見て見ぬ振りをしておるが、一方優秀な山に入るとそうであります。これなら我々も大体納得できなくもないようなところもあるのであります。従つてここに大きな違いがあるのではないかと思うのであります。今回の改正案にちよつと質問が離れたようでありますけれども、決して離れておるのじやないのでありまして、そういう点を十分こういうところの運用をしつかり考えよというのだつたら一松さんの御意見もわかるのでありますが、一松さんはそうではなしに、小さい所はそれでも満足してやつておるから見て見ぬ振りしてというような円満なる状態ということになつたら大問題だ、こういうことを申上げておるのでありますから、この点はき違えのないように、監督局長においてもこれは又十六歳の問題のときに論じることがあると思いますから、この場合は一応これで以てこの前の保留になつておつた点についての関連質問を打切りまして、次のかたに譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/23
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024・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 只今問題になりましたことにつきましての関連質問があれば発言を許したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/24
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025・村尾重雄
○村尾重雄君 ちよつと問題は外れるかも知れませんが、中央労働基準審議会で政府の諮問に応えて答申されたときに、附属して出された家内労働の問題ですね、やはりこの問題と関連があると思うのですが、経営者のほうは零細企業を援助するためにこの家内労働に法規を制定せよという意見であつたように……、労働者側の立場から言うところは今議論になつておる中小企業、特に零細企業の基準法を守らすために家内労働に対して法を制定せよという意見であつたと思うのです。これは基準局長でもよろしうございますし、それから労働大臣でも結構ですが、政府としてこの家内労働をどう考えておるか、簡単な意見でいいですから伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/25
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026・亀井光
○政府委員(亀井光君) お話の通り中央労働基準審議会として建議として現われておるわけでございますが、然らばこの家内労働というものは如何なる範囲のものであるか、又どういう実態のものであるかということにつきましては、まだ十分の調査が行届いていないわけでありまして、我々としましてはこの答申、建議を受けまして、目下その調査をいたしておるわけでございまして、その範囲なり、その業務の内容なり、或いは労働の条件なり、いろいろな面の調査が完了いたしましてからこの問題を取上げてみたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/26
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027・一松政二
○一松政二君 私は今の菊川さんの議論の中に雇われておる人の意思を無視してという言葉がありました。人に雇われているときには時間を長くやつたり何か仕事を特に頼むというと、いやなんだけれども、押付けられているから強制労働だというような議論でしたが、全体として私はそういうことは一般論としては成立つけれども、個々の企業におきましては、非常に事情が違うと思う。殊に給料が、一家非常に人数が多くて、自分の定時間の収入だけでは支えられない、帰つて又夜なべをしなければならん。そうして又別の夜なべの仕事を考えて暮しておる人々が相当あると思うのです。そういう人は時間を延長してもつと居残りたいと思つても、こいつはこの基準法で許されないのだ。従つて人に雇われておる人といえどもですよ、その人が承諾の上でそういうことができればいいけれども、そうではない結果、そいつは基準法で許されていないのであるから、そういう人に対しては長く働いて収入を増したいという希望者はあつても、それは今の基準法が禁じておるのであるから、殊に中小企業においては……。であるからこれが全部強制労働だというふうなことを考えられると、そこに労働者自身の幸福のためにも私は多少そこに食い違いの起ることを一応注意を喚起しておきたいと思います。雇われている人は必ず雇つておる人の強制によつて働かされておるのだという観念は、私はそいつはかなり修正して考えてもらいたいと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/27
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028・小林政夫
○小林政夫君 それに関連をするのですが、基準署の職員の身分等の問題についても話がございましたが、この地方の労政事務所長、或いは基準監督署長等が労使の紛争に調停斡旋等のために乗り出す場合があるのです。そういうことが労働省として許されておる、官吏として、そういう職務を持つた官吏としてどの程度のことが許されておるか、どういう場合に許されるか、それを説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/28
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029・亀井光
○政府委員(亀井光君) 監督署長には何らそれらの紡争に介在いたしまして処理をするという権限は全然ございませんし、過去におきましてもそういう行為は我々として禁じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/29
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030・小林政夫
○小林政夫君 絶対に禁止しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/30
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031・亀井光
○政府委員(亀井光君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/31
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032・小林政夫
○小林政夫君 それでは労政事務所長は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/32
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033・亀井光
○政府委員(亀井光君) 労政事務所長はさような場合にやらなければならないという規定もございませんし、又やるように規定してもございません。なお又やつてはならないという規定もないわけでございます。御承知のように労調法の立場は労使双方が自主的に物事を解決付けて行くというのが基本の立場であります。併しながらどうしても労使双方だけでは話合いがつかないときには第三者が入つてやるというふうな建前をとつておるのであります。従いまして、そのときの第三者のやり方には斡旋と調停と仲裁とがあるわけでありまして、その斡旋というふうな段階におきまして、労使双方が、例えば労政事務所長は平素からその事情に明るいところがあるのでお願いしようということになりますれば、その労政事務所長がやること自体は労調法におきましても、誰がやつてもいいということになつておりますので、労政事務所長がやるということは差支えない、かような立場をとつておるのであります。更に又労働委員会の中におきまして斡旋の制度を設けております。この斡旋委員に地方の労政事務所長を指名しておる労働委員会が相当あるのでありまして、東京都のごときもさような取扱いをいたしております。そのときには労使双方から誰か斡旋委員を推薦と申しますか、お世話願いたいというふうな意向がありましたら、或いは労働委員会自体がこれは労働委員会がみずからやるよりも斡旋がよろしいというふうな場合に、その地方におきます労政事務所長であつて、斡旋委員に指名されております者に斡旋をするようにというふうな意向がありましたときに、労働委員会の指導の下に斡旋をやる、かような事実はあるわけでございます。大体におきまして無理に労政事務所長という立場で入りましたり、或いは労政事務所長なるが故に……これは労政事務所長は御承知のように何の権限も持つていないのでありますが、割込んで参りまして、何となくそういう事件に干渉がましいような態度に出ることにつきましては、そういう態度はとるべきではないという注意をいたしておりますが、現在までのところはまあおおむね労政事務所長の斡旋は、その土地の事情にも通じておりますので、有効な結果をみたものが多いように聞いておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/33
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034・小林政夫
○小林政夫君 私は労働者側の一方的な意見を受けまして、労政事務所長が紛争に介在をして、労使円満に話せば解決がつくにもかかわらず、労政事務所長が如何にも労政事務所長という肩書を持つて使用者側等々とあたかも労働組合の弁護士のごとき立場、態度をとつて交渉に当られた具体的な事例を知つております。どいてくれということを言いたいのだけれども、使用者のほうでも労政所長という職務に憚つて遠慮しておるというケースがある。併しこれは私の知つておるのは労働者側の弁護士というふうな態度をとつておる。併し場合によつては使用者側から一方的に頼まれて、労働組合を圧迫するということがあり得るのじやないか。そうすると一方的に依頼を受けた場合に、労政事務所長が争議の中に介在するということは甚だ面白くないと私は思うのです。その点についての見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/34
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035・賀来才二郎
○政府委員(賀来才二郎君) 先ほど労働省といたしましての基本的な考え方、或いは労調法のとつております基本的な立場というものは、労使双方が自主的に納得付でお互いに話合いを付けることが基本的な行方であると、かように考えておると申上げたのであります。従いまして、労政事務所長はこれは先ほど申しましたように、何ら権限は持つていないのでありますから、これが出ました場合に、使用者側が公務員なるが故にというような、何か古い考えでも持つておるならば別でありますが、労政事務所長が出ましたから、何となく断わりにくいという気持を持つておられる人があるかも知れませんけれども、我々といたしましては、さような基本方針を持つておるわけであります。従いまして、恐らくその場合における労政事務所長は軽い気持で斡旋というふうな意味で話をしたのかも知れませんが、若し御指摘のような態度に出るというふうなことがありますことは我々といたしまして、これは適切でないと考えておるわけでありまして、なお機会がありましたならば、我々の方針が徹底していないという状況でありますならば、注意をいたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/35
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036・小林政夫
○小林政夫君 その私の知つておる具体的な事例においては、そう軽い気持ではない、執拗なんです。最後には俺の顔を立ててくれという話振りで、全く労働組合と一心同体でやつておるというような事例であつて、甚だ行過ぎであるので、十分御注意を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/36
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037・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/37
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038・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 速記を始めて下さい。
午後一時三十分に再開することといたしまして、それでは暫時休憩いたします。
午後零時九分休憩
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午後零時九分休憩
午後二時十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/38
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039・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 午前に引続き只今より再開いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/39
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040・村尾重雄
○村尾重雄君 私は先日の基準法についての質問に引続いてもう少し問題を明確にしたいと思いますので、七十条の年少者の入坑問題に関連して数点お伺いいたしたいのであります。
先ず最初にお尋ねしたいのですが、ここには鉱山監督局のかたは見えていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/40
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041・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 見えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/41
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042・村尾重雄
○村尾重雄君 そこで坑内の問題ですが、最近の六月中に新聞紙を通じて報ぜられただけにおきましても、かなり大きな坑内災害というものが四回に亙つて報ぜられております。六月の十日には、長野県の米子鉱業が落盤によつて重傷者が一名死者が二名、その上生存者が、奇蹟的な精神力というのか、非常な落着きにおいて生存せられたというような事件が起つております。又続いて六月の十八日にはこれは出水だということでありまするが、水のために坑内においてやはり十名の死傷者を出したという岩手県の松尾鉱業所の事件が報ぜられております。又続いて六月の二十日に福岡県の田川における江田鉱山においてやはり坑内におけるダイナマイトが漏電によつて発火し、これが爆発によつて十一名の犠牲者が出たということが報ぜられておるのであります。なお又続いて六月の二十二日に佐賀県のこれは明治炭鉱なんでありまするが、炭車の故障から逆行してこれ又二名即死、五角の重傷者というものを出しておるという事件が報ぜられておるのであります。このように新聞紙を通じて表面的に報ぜられた炭鉱の災害においても非常に大きな被害が報ぜられておるのであります。私はこういう調子に世間に報ぜられない、新聞紙なりラジオによつて報ぜられない坑内の災害というものは、もつと随所にあるのではないかと思います。このような点で、こういう坑内におけるところの災害については、労働省としては関係外のことではありまするが、こういう災害については何か監督関係から最近の災害の統計と言いまするか、率についてお知らせ願いたいと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/42
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043・亀井光
○政府委員(亀井光君) 鉱山保安の問題は、御承知のように通産省の所管でございまして、私のほうに統計も実はないわけでございますが、絶えず連絡しながらその動きは一応見ておる次第でございます。直接の監督権がございません関係上、止むを得ない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/43
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044・村尾重雄
○村尾重雄君 ただこうした新聞紙に報ぜられた以外に、例えばもつと……、これは大体大きい鉱業所は明治くらいのもので、他は中小企業と言つても相当上位のほうの中小企業の鉱山だと思うのでありますが、これ以外の例えば細かい炭鉱業者というものは全国に恐らく幾ら数があるか知りませんが、その坑内で起る災害というものはもつと随分多い、災害が恐らく毎日どころか、時間的に一時間に一件とか二件という事件が起つておると思うのですが、その点はどう思つておられますか、災害については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/44
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045・亀井光
○政府委員(亀井光君) 炭鉱の災害につきましては、私のほうで災害補償をいたしまする責任上、補償の面に現われておりまする数字は明確につかんでおるわけでございます。これは昨年来炭鉱は非常に安全の設備、或いは安全の運動に努力いたしまして、昨年一年間に相当の災害の減少を来しております。その結果本年度の労災保険の保険料率も引下げられたような状況でございます。最近続発しまして大きな事故が起りましたので特に非常に目立つてはおりまするが、一年間を通じてこれを眺めますると、むしろ一昨年あたりから比べますると減少の傾向にあると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/45
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046・村尾重雄
○村尾重雄君 これはこうした直接災害による被害だけではなしに、坑内にはこうした直接災害によらないやはり人体に及ぼす弊害というものは、これはもう甚大なことはお認めになつておると思うのです。まして炭鉱だけではなくして、全鉱山等における与える被害というものは、例えば硅肺等を通じて職業病の最悪なる現象を出しておる、職業病というものが鉱山関係において非常に多いということはこれは事実だと思います。そこでこの七十条の、たとえこれが技能養成を名目としても、やはり十八歳未満十六歳以上の年少者を坑内まで下げることをば認める、拡大したということはこれは非常に重要な私は問題だと思います。そこで私はこの問題で少し結論を得たいことがあるのです。それはこういうことなんです。例えば今度は重要なことは年少者の坑内作業を技能養成を名目として認可制を届出制に変えられたということです。もとより衛生上その他危険有害な業務に使用する場合においては、やはり認可を受けなければならんという建前にはなつておりまするが、法
の建前が原則的に届出でいい、今までの認可制が届出制に変えられたということは非常に重要なことだと思います。この点でまあ事務の簡素化のために由来の認可制を届出制に軽く変えたと仰せられておるが、原則的に届出制に変えられたということは、何といつても技能養成にとらわれ過ぎて、年少者を坑内へ下げるというこの狙いを実現するための経営者の何というのですか、個人的な利害から割出した年少者の坑内作業というものに便宜を図られたという嫌いが十分あると思うのですが、こういうふうな点をやはり十分考慮せられてこの法の改正に当られたかどうか。この点について詳しくお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/46
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047・亀井光
○政府委員(亀井光君) 先ず従来の技能養成の認可制を届出制に改めたことに対しまする趣旨をもう少し御説明申上げたいと思います。これは一つには手続の簡素化という問題から取上げられたのはいうまでもございませんが、もう一つの大きな原因としましては、技能養成というものは徒弟排除という目的からスタートはいたしておりまするが、現在におきましてはそれ以上のの積極的な意義を持つて参つておるわけでありまして、即ち中堅の技能工を養成いたしまして、日本における技術水準を向上して行こう、こういう大きな目的にだんだんと変つて参つて来ておる次第であります。こうなりますると、このことは日本の自立経済の達成の上から申しましても、できるだけ急速にその向上を図らなければならんところでございますので、そういう手続きの面において円滑を欠いておるところがあるとすれば、これは或る程度直していいのじやないかというのが趣旨でございます。併しそれかと言つてこれを野放図にすべての認可制を届出にいたしますることは、その技能養成を受けまする職種によりましては危険有害なものがございまして、そのことが年少労働者に肉体的にも或いは精神的にも悪い影響を与えるというふうなこともございまするので、今回の法律の改正におきましても、そういう趣旨から衛生上有害なもの或いは危険なものにつきましては、引続き認可制をとりまして、その内容を審査いたしまして、これを認可するかどうかを認めて参るということになるわけであります。そこで技能養成審議会におきまして、然らばどういう職種をこの認可を受ける職種として規定すべきかという問題を昨日まで実は検討して参りまして、昨日その結論が出たのでございまするが、現在百二十職種に亙りまして技能養成を認めておりまするのでございますが、その中で安全衛生規則において、危険又は衛生上有害な業務として指定されておりまする業務を除きまして、いわゆる技能者養成におきまして、防護基準と申しておりまするが、防護基準の必要でない職種、これは十七職種目でございます。これは基準法上危険でもなければ、衛生上にも有害でない職種でございまするが、こういう職種だけに限定をして、届出制を認めて行こうというふうな決定を実は昨日技能者養成審議会でなされたわけでございます。従いまして、只今御心配の点は一応昨日の技能者養成審議会の決定におきまして、なくなるものと我々は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/47
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048・村尾重雄
○村尾重雄君 ここでもう一応この問題でお伺いしたいのは、例えば有害な、又衛生上危険、有害なことについては但書の条項については当然そうあるべきであろう、当然のことを謳つたに過ぎないと思うのですがこの法律上届け出なければならないという、原則上届出制に変えられたというのを、認可制を共に置いておかれると誰つて置いた場合とどう違うのでしよう。認可制をここへ残して置いたほうがよくはないでしようか。届け出なければならないというのは、届け出又は認可という条項をダブつて残して置いたほうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/48
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049・亀井光
○政府委員(亀井光君) これはこの法律改正法の中でも同じように認可の場合と届け出の場合と二つあるわけであります。然らば、その範囲をどうするかということにつきましては、命令でこれを定めることになつております。従いまして、只今申上げましたように、昨日の技能者養成審議会で坑内労働とその他安全衛生規則におきまして危険有害と指定されておりまするものは、すべてこれは従来通り認可制で行くという方針にきまつたわけでございます。それで危険有害でない業務につきましては、現在の基準法でも年少労働者につきまして使用することができるのであります。特別の条件で。従いまして技能養成においても当然使用をしていいじやないかという結論になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/49
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050・村尾重雄
○村尾重雄君 私は坑内の問題に少しこだわり過ぎておるような前提があるのですが、これを受けた七十三条の問題になつて参りますが、七十三条において、「使用者に対し同条の規定による技能者の養成を三箇月以内の期間を限つて中止すべきことを命じ、又第七十一条第一項但書の認可を取り消すことができる。」という今度の改正案ですが、例えば災害率の非常に高い中小炭鉱内において、技能者養成を一つの仮の名目として、年少労働者を多量に坑内に下げて仕事に就かすということは危険があり得ると思う。そこで一応技能者養成審議会ですか、これで一つの枠をきめて、こういう条件の下においての技能者養成を認めるという一つの命令が出るとすれば、その命令に従つたということで、坑内に技能者養成を名目として、その命令外のものでも、命令に則していない坑内に少年労働者を相当就労さすという場合があり得ると思う。その場合に、これをどうして発見するかということ、どうしてこれを取締るかということですが、これは例えば従来如何なる災害が起つても、鉱山監督局の監督下に行われて、ただこの基準法によつてのみ労働基準局の手において監督され、これが処理されるというのか。先ほど中小企業の問題で、定員の関係から監督署の数の問題で十分手が廻るかどうかという話があつたときに、局長はこれは質の問題が第一であるというお話があつた。そのお考え方はわかるのですが、今日坑内作業を技能者養成で認めた場合に、今まで一つの枠で認可制である場合においては別個ですけれども、而も坑内に下げるのですから、その坑内におけるその命令が遵奉されておるかどうか、その施設は行届いておるかどうかということのこれが監督ということは、これは相当今後問題になり得ると思う。それに対処してやはり基準監督署の例えば今後の定員とか、なお予算ということについて十分の考慮が払われておるかどうか、こういう点について御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/50
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051・亀井光
○政府委員(亀井光君) 坑内の監督の問題でございまするが、現在の鉱山保安法によりますると、一般的監省は勿論通産省の所管でございまするが、この技能者養成につきまして、この法律が成立いたしまするならば、その部面につきましては、当然労働省が監督権を持つわけでございます。従いまして、先ほども申上げましたように、坑内において技能養成をすることは認可制になるわけでございまするから、その認可の際におきまして、十分そこに縛りをつけまして、危険のない、或いは有害でないもののみを認可をして参る行政方針になります。従いまして、それを以てなお且つそういう条件に合致したが故に認可をいたしまするなら、認可に対しまする当然我々の責任がございまするから、その認可に従つて技能養成が行われておるかどうかということにつきましては、十分監督の措置を講じて行きたいと思います。ただこの問題につきましては、人員を増加するかどうかということにつきましては、来年度の予算におきまして十分検討いたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/51
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052・村尾重雄
○村尾重雄君 これは私の記憶の間違いか知れませんが、例えば、坑内で一つの基準、技能者養成審議会においてこういう職場は危険であるから認可制であると、そうでないのは坑内は届け出で技能養成の者まで下げることができるのですか、坑内はできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/52
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053・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 実は文字がこうなつておるので、そうおとりになることも無理からんと思いますが、実は立案の趣旨としては、抽象的に「命令で定める危険又は衛生上有害な業務」としてありますけれども、坑内作業はすべてこれを危険業務としておりまするから、つまり坑内作業については認可を要するぞと書いたと同じことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/53
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054・村尾重雄
○村尾重雄君 そう解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/54
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055・亀井光
○政府委員(亀井光君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/55
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056・村尾重雄
○村尾重雄君 そこで、この七十三条においての違反に対する処置でありまするが、これに対して「三箇月以内の期間を限つて中止すべきことを命じ」ということになつておりますが、例えば、その違反に対する行政処罰ですね、それは単に三カ月の期間に中止命令を出すという暫定的な処分でなくして三カ月中止を命じて改善さすというのですか、三カ月の中止ということだけでそれが一つの処分になつたわけですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/56
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057・亀井光
○政府委員(亀井光君) この中止命令を出しまするのは、法文が多少その点おわかりにくいかと思いますが、中止命令を出しまする場合は届け出の場合に限るのであります。認可をいたしましたものにつきましては、まあその認可の取消しが行われるわけでございます。従いまして、坑内労働につきましては、結局認可取消しという処分が残るだけでございます。この中止命令は先ほど申上げましたように、危険又は衛生上有害でない業務につきましては、できるだけ直して是正さして、そうして技能養成の正鵠を期して行きたい、こういう趣旨でこういう取扱をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/57
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058・村尾重雄
○村尾重雄君 これは私が坑内作業のみに余り先走つておつた考え方から私の質疑は少し間違つたと思いますが、ではこれは一般技能養成に対しての行政処分として三カ月間の中止命令を命じて、その間に改善さす、こうとつていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/58
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059・亀井光
○政府委員(亀井光君) 届け出のものだけに限定されるわけであります。届け出のものは先ほど申上げましたように、危険又は衛生上有害でないものだけでございまするから、直ぐに改善し得るような性格のものでございます。従つて、改善をさしてやつて行く、それに応じない場合に初めて中止命令を出して、なおそこで改善さして行く、こういう趣旨であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/59
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060・村尾重雄
○村尾重雄君 今の三カ月以内の期間を限つて中止すべきことを命じとある。そのことだけでその後の処分はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/60
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061・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) お尋ねの点はこういう点だと思うのですが、坑内労働についていろいろな条件を附するわけですね。その条件について違反した場合にはそれはいかんから許せないということで中止若しくは認可を取り消すのですが、その違反の中に、お尋ねのは恐らく実質的な違反と申しますか、実質的、形式的とは言えないにしても、例えば法律の他の条項において禁止しているような問題がございますね、ただ坑内だけじやなくて基本的な……。そういうものに触れればそれは勿論その法律の条項に違反ですから処罰その他の問題が出て来るわけです。併しこのほかの条項には触れないで、いろいろな条件を附けておるものそれ自身はそれはもうそういう条項に従わなければあとは許さないぞということになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/61
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062・村尾重雄
○村尾重雄君 私は坑内作業だけでなくして、技能者養成を名目として、今後その技能者養成に行政官庁が違反的な行為があるということで、いわゆる前のような徒弟教育の一番弊害のあるような面が非常に多いということで、一旦届出さした場合、それを摘発して、それにまあ行政処分を加える場合、三カ月間に改善するための処分を行なつて、それ以上の処分はないわけだと、こう受取つていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/62
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063・亀井光
○政府委員(亀井光君) これは認可を中止いたしまして、なお且つ是正改善されないとすれば、更に中止命令を出せまするし、場合によりましてはその止命令を聞かずに技能者養成をやつておりますと、一般の基準法自体の問題になりまして、年少労働者の保護の問題から、各条項に従いまして監督の措置が講ぜられるという段取になつております。そうしてそれによつて罰則が加えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/63
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064・村尾重雄
○村尾重雄君 罰則は別個として、この条文だけを見ますと、三カ月以内の期間を限つて中止すべきことを命じとあれば、そのことでなお違反が重なつた場合に、三カ月以内に改善されなかつた場合に、なお又三カ月以内の期間を限つて中止せしめるというこのことを対象とするだけでほかの処分は受けなくても済むわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/64
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065・亀井光
○政府委員(亀井光君) 先ほど申上げましたように、三カ月以内にまだ直りませんければ、もう一度中止命令を出すこともできます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/65
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066・村尾重雄
○村尾重雄君 三カ月以内の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/66
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067・亀井光
○政府委員(亀井光君) はあ。その処置もできます。それで本人が中止命令を聞かずに技能者養成を続けていますと、今度は基準法上の各法文上の違反になります。従つてその関係から違反の問題が生じて来るわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/67
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068・村尾重雄
○村尾重雄君 どうも私この法律はぴんと来ないのですが、三カ月期間の中止すべきことを命じて、期間を限つてなお改めない業者に対してこの基準法の基本的な罰則は、これはもう当然だと思うのですけれども、技能者養成に基いての違反に対してこれ以上の罰則はないのじやないですか、これだけの罰則じやないのですか、これは私の頭が悪いのかもわからないが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/68
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069・亀井光
○政府委員(亀井光君) 法律で今度の改正の百十九条にございますが、これにまあ該当いたしまして、四号にございますが、読み替えしております。「第七十一条第一項の規定により届出をし又は認可を受けた」これの違反した場合、当然罰則の適用はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/69
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070・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 七十条から七十三条につきまして、これに関連する御質問ありませんか……なければちよつと基準局長へ尋ねますが、さつき村尾君の質問に対しましての答弁のうちで、大体現在技能養成の職種といいますか、百二十あるうち、今度いわゆる原則として、危険有害な職種は原則として認可制にするというのが法の建前になつております。ところが実際届出になる職種と認可制になる職種を今御説明になつたわけですが、届出になるのは百二十のうち十五、あとは認可、そうしますと、法文の精神は原則が届出で、例外が認可になつているが、実際面においては今までの通り認可が原則で、例外は僅か一割くらいしかないということになれば、そうなればこの条文をこう直した根拠がどこにあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/70
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071・亀井光
○政府委員(亀井光君) この問題につきましては、技能者養成審議会でもいろいろ議論がございますが、今すぐ指定を認可から届出に指定をするとすれば、十七職種は問題ない。従いまして、今度は残りました職種について合同審査の結果、技能者養成審議会において科学的な検討の結果、逐次差支えのないものは殖やして行くという一応の結論が出ております際であります。従いまして、それがどの程度拡がつて参りますか、今私申上げることはできませんのでざいますが、だんだん殖やして行こうという意思は持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/71
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072・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 私は殖やして行くことに賛成じやない。反対のほうですが、もともとこの法律を作るときに技能者養成審議会に何ら諮らずに労働省が勝手に作つたから辻褄の合わないことになつたのと違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/72
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073・亀井光
○政府委員(亀井光君) これは技能者養成審議会で十分検討するということからこういう形になつておりますので、その検討の結果が、現段階におきましては十七職種、併しこれは先ほど申し上げましたように、労働基準その他から、特殊の危険のない、有害でなくて届出にして差支えないものにつきましては、届出にするという建前でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/73
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074・中村正雄
○委員長(中村正雄君) もう一つ、七十三条、村尾君が質問しましたが、中止、認可の取消上の行政処分の差異はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/74
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075・亀井光
○政府委員(亀井光君) 中止は先ほど申上げましたように、できるだけその期間に是正をさせて行こう、それはその業種は危険、又は有害でない業種でございますので、そういうことも実行可能ではないかということ。認可の取消でございますと、技能養成はできない。片一方は一定の日にちを限りまして、その日にちを限つた期間が経過いたしまするし、自動的に技能養成が再びできるというところが、行政処分が違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/75
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076・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 七十二条を見ますると、中止という行政処分は届出に対応する処分であり、認可の取消しという処分は認可に対応する処分だと
一応見られるわけなんですね。従つて又労働大臣ちよつと恐らく間違つて答弁されたと思いますが、認可のものについては中止という処分はできないものと解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/76
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077・亀井光
○政府委員(亀井光君) 法律解釈はその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/77
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078・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 実際の取扱いはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/78
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079・亀井光
○政府委員(亀井光君) 実際の取扱もその通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/79
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080・中村正雄
○委員長(中村正雄君) そうしますと、先ほど村尾君が御質問になりました届出の分なんですが、一応命令に違反した場合に、三カ月以内の期間を限つて中止する、そうして三カ月たつても依然として直らない場合には幾らでも、五回でも十回でも中止処分ができる、こういうような御答弁と解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/80
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081・亀井光
○政府委員(亀井光君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/81
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082・中村正雄
○委員長(中村正雄君) そうしますと、先ほど村尾君の質問に対して御答弁あつたうちで、三カ月の中止命令を出した。ところがその違反は直らずになお技能者養成を続けるという場合は、この中止処分という行政処分以外に労働基準法に基く罰則があるとこうおつしやいましたが、私のお聞きしようと思うのは、三カ月を限つて中止処分をやつた。現実には技能者養成は中止している。三カ月たつても全然やらない。又やると又中止をする。ところが技能者養成をやらずに、ずつと命令違反の設備なりその他を改善しない場合はどうなんですか。これは届けてあるから、今度この企業者に対しては技能養成はできないという処分はできないわけですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/82
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083・亀井光
○政府委員(亀井光君) それは先ほど申上げましたように、結局中止命令に従わないで技能養成を引続きやつておりますものについては基準法上の監督の措置で是正する、罰則あたりでやる。本人がいつまでたつても技能養成をやらないということになれば、そうして而も年少者を使用していないということになれば、これはまあ基準法外の問題になつて参ります。使つておれば、そこに基準法の違反という実体的な問題になつて来るわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/83
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084・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 年少者を使う使わぬだけが制限じやないかと思いますが、私が次に質問しようと思うのは、いわゆる技能者の身分の問題ですね。中止の場合が技能者に及ぼす身分と、認可の場合の取消しが技能者に及ぼす身分とはどうなるのですか。言い換えますと、いずれも技能者養成が停止されるわけなのですね。取消しであろうと中止であろうと……、取消しされましたときに、その技能者養成はできない、そうすると技能養成契約の当事者でありまする労務者の身分はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/84
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085・亀井光
○政府委員(亀井光君) それは契約上におきましては、そのものの使用いたしまする労働者には実体は変りはないのでございます。法上で技能養成であるがために、保護規定と申しまするか、緩和をいたしておりまするのは、年少労働者につきましてのいろいろの労働条件でございまして、従いまして青年労働者につきましては、一般の労働者と変りない。これは一般の労働基準法の適用ということで処理されましようし、又年少労働者につきましては、先ほど申上げましたように、これもその保護がなくなるわけでございます。一般監督上の問題として取扱うということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/85
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086・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 私のお聞きしておるのは保護問題じやなくて、技能養成する場合に、労働者と技能養成をやる使用者との間におきまして、契約があるわけです。期間を限つての契約が……、そしてその間におきましては技能養成という特殊の状態における保護規定もありますが、賃金その他におきましても、これは安い賃金の契約になつておるわけなのです。従つて一カ年なら一カ年という技能契約に基いて、そうして技能者養成の内容に入つて行く。技能養成の債権債務があるわけです。そのときに認可が取消しになれば、その労働者のいわゆる債権は消滅するものかどうか、中止の場合はどうか、その点をお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/86
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087・亀井光
○政府委員(亀井光君) 認可取消しの場合は、明らかにその行政処分によりまして、労働者と使用者の間に結ばれました技能養成契約というものは破棄されます。無効になります。従いまして使用者が一般の労働契約に基きましてこれを使用するか、或いはこの技能養成をやめることによつて、本人をその工場の使用からはずしてしまう、どちらかの問題だと思います。それから中止の場合におきましては、一応中止命令が出ますると、技能養成ができないわけでありますが、従いましてその期間技能養成契約というものは効力が停止されるわけであります。従つてその間において本人がその労働者を使用しようと思えば、別個な労働契約を結ばなければならぬという問題になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/87
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088・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 私がお聞きするのは、従つて今言つたように、三カ月間の中止を命ぜられても、その間技能養成を続けておるということになれば、監督上の処分ができますが、中止を命ぜられたからというので、内容も改善せず、そのまま放置した場合に、そのときの労働者の身分その他はどうなるか。言い換えれば、契約は停止されておつても、債務は残つておるわけなのですね。反対に又労働者には技能養成を受ける債権もあるわけですね。それが中止によつて停止されておるわけですが、その間使用者が直せばよろしいけれども、直さない場合には、その労務者の保護はどこに求めるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/88
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089・亀井光
○政府委員(亀井光君) これは結局監督官庁といたしましては、できるだけその違反を是正しまして、早く再開をするというところにあろうと思います。この問題はこの問題として、当然監督官庁でやらなければならないと思います。それであとの問題は、これは当事者間の契約でございますので、本人が中止命令を受けましたために、技能養成が三カ月なら三カ月できないということでその職場を離れる、これは本人の自由意思であります。或いは使用者が引続きその者の能力を認めまして使うということならば、これは別個の労働契約を結ぶという状態になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/89
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090・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 私の一番虞れるのは、年少者の場合なんですね。ほかに転向できない場合、その場合に、当然成年者であれば、技能養成をやつておる企業でありますから、当然一般の仕事がやれるわけですね。従つて技能養成が中止を食つたり、或いは取消を食えば、技術養成をやめて他の職種に転換できる。ところが年少者であればできない場合があるわけなんですね。ところがそうすれば、中止せられたことによつて年少者は行くところがない。而も監督によつて何とかするとおつしやいますが、その監督を、いわゆる指導と言いますか、指示を受け入れない場合においても、技能養成をやつておれば、これは処罰がありますけれども、やらないことは自由意思のわけなのですから、このときの労働者の保護をどうするか。もう一つ根本的に申しますと、この中止をされる事態を生じたのも、認可を取消されるような事態を生じたのも、すべて使用者のほうの責任ですね、大体におきまして。使用者の責任において技能契約が一時停止になり、或いはその債権が停止になるといつた場合に、こういう使用者の責任においてそういう損害を与えた場合、これは民法上の損害賠償があると思います。民法上の損害賠償じやなくても、少くともこの基準法に保護規定を設けて、こういう特殊規定を設けている上においては、労働省としては、何らかのこういう労働者の保護についての規定を設ける必要があると思います。その保護の規定をどこに求めておるか、これをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/90
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091・亀井光
○政府委員(亀井光君) この中止の対象となりまする業種は、先ほども御説明申上げましたように目下のところは危険又は衛生上有害でない業種であります。これは年少労働者も働ける職場でございます。従つて職場転換という問題も、年少労働者についても現在のところでは考えられるのじやないかと思つております。抜本的な保護の問題はどうかというお話でございますが、これは現在法の認可制度につきましても、同じような問題が起ろうかと存じます。これは一般の民法の原則に実は譲つておるような状況でございまして、従つて今度の改正におきましても、その問題には特に触れなかつたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/91
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092・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 私の考えますのは、大企業であれば問題はないのです。こういう徒弟制度を何とか救わなければならんというのが技能養成に関する保護規定を設けた根本理由なわけなのです。従つて中小企業者に対しまして、こういう場合においては、いわゆる労働者と使用者というものは、大企業のようにうまく行かないのです。従つて違反も相当あろうと思います。そういうときにおきまして、危険、有害であれば取消すということになれば別ですが、その中止のときは、非常に基準法違反というようなことまで行なつて、この技能者養成を続けるというよりも、基準法を違反してまでも、別な職種に転換さすような懸念があるわけなんですね。そういう面を非常に懸念するのと、それから前の認可の取消というのは、現行法ではありますけれども、私の御質問しているのは、現行法の場合でも同じだ、こういう御答弁でありますが、現行法の場合でもそれは同じだといつて、このままで放置していいという議論にならないと思います。少くとも労働基準法はこういう規定を設けました趣旨は、やはりこういう労働者を保護しようという趣旨であれば、一般民法の原則に任しておけと言つても、大企業であれば、労働組合等におきまして、それぞれ損害賠償その他の成規の手続をやるでしよう。ところが問題になりますのは、中小企業なんです。中小企業の使用主がこういう問題を起して、一人、二人の技能者が全然職種につけないというときに、使用者の債務不履行を理由に、損害賠償の請求をやるだけの能力があるかないか、これは実際問題としてはつきりとしているわけです。従つて少くとも基準監督の面から行きまして、一般民法上の保護にそのまま放置せずに、やはり基準法の建前から、労働行政の建前から、何らかの保護規定が必要ではないかということを言つているので、これに対して労働大臣はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/92
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093・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) さつきの御議論を聞いておりますと、先ず第一が届出と認可ということについての差を一応指摘されております。これは先ほど局長から話しましたように、軽微なものはつまり一応許す。ただ併し放つておいちや困るから届出をさして、監督の眼を光らして、そうして若し違反があれば中止をし、或いは改善をして行く、こういう行き方、従つて一応期間を限つているけれども、続けば幾らでも続けて行けるという行き方。それから認可のほうは、これは一般的には禁止されております。いけないから禁止されておる。それを認可という行為によつて有効にするという行き方をとつております。そこでそれに対する今度は違反の問題がどうなるかという問題が第二に起つて来ますが、届出の場合でも、認可の場合でも、その届出でた事項或いは認可の条件、事項に違反すれば、それは先ほど指摘しましたように、百十九条の罰則の中で、それが届出のものであろうと、認可のものであろうと、違反事項については処罰の規定がございます。ですからこれは同じであります。ただ届出、認可と分けましたのは、先ほど申上げましたように、軽微のものは一応は許すという建前で、届出の方針をとつております。片方のものは、一般的には禁止するという建前をとつて認可としておりますので、内容的違反については同じ罰則であります。それから第三の問題は、委員長から御指摘になりましたように、然らば中止した場合にどうなるかという問題でありますが、中止した後のこの養成工の保護をどうするかという問題であります。これは届出でありましても、認可でありましても、そういう違反事項については続けさせることができませんから、改善するまでは認可については認可を取消す。中止のものについては、中止中という条項になつております。でそれについてなおそれを改善しなかつたらどうするかという場合ですが、これは養成をしなければならないという義務を命ずるということであれば、違反事項について罰則で臨むことができますが、技能工の養成は、本人の申請ということを待つて許すか許さないかということでありますから、それに従わずして、以後やりたいけれども許してくれないからやらないというものにつきましては、これは罰則で強制することはできません。従つて監督行政の指導として、これはこういうふうに改善せい、早くやれ、それから養成工は放つて置いちや困るじやないかということで、御指摘のように監督上それを督促するの義務は監督官庁にあると思います。そこでそう督促いたしましても強制するわけに行きませんから、やらないということになりますと、それは中止でありましても、認可でありましても、そういう事業は行えない。仮にそういう事業をやつた場合に、その事業が他の命令で禁止されたというときの職工或いは養成工一般の原則に帰るわけでありまして、放つておいていいことじやございませんが、法律でこれに臨んでやるということはできないと思うのであります。指導監督上保護の方法を講ずるという以外にないと私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/93
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094・中村正雄
○委員長(中村正雄君) いや、私のお聞きしておるのは、労働者の保護、いわゆる使用者側の債務不履行による労働者側の損害賠償ということが、中小企業であつては、これは一般の司法の保護では実現することが不可能だという意味ですね。従つてそういう場合における保護規定を労働行政として考える必要があるのではないかということを最後にお聞きしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/94
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095・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) その点の考え方は、私も異議はございませんが、さてそれを保護する方法としては、改善すべきことを命じたにもかかわらず、改善しない場合に、これを罰則で臨んで強制させるか、改善施設を強制させるかということになると、先ほど申しましたように、技能養成それ自体を強制しないから、おれは技能養成をやろうと思つたけれども、そんな負担をかけられたのではやりたくないからやらないというやつを罰則で臨むことができない、こういうわけであります。そうかといつて、それじや技能養成ができんから、ほかの労務に働かせなければならないかというときに、それはお前が折角連れて来たのだから、ほかに働かせろということは要求はできますけれども、おれはそのほうへはもう雇わないというやつを、強制的に雇わなければいかんぞと言つて、そうさせる方法もないのじやないか。従つて結論的には、指導監督の面で保護して行くよりほかに方法がないだろう、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/95
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096・中村正雄
○委員長(中村正雄君) もう一点、中止の場合に、基準局長にお尋ねしておきたいのは、三カ月間の禁止処分を食うわけなんですね。そうするとこの間は技能養成ができない。大企業の場合は別ですけれども、中小企業の場合になりますと、指摘された違反事項を直ちに直しましても、三カ月間はやはり中止されるわけですね。そうでしよう。そうなりますと、その間中小企業にあつては、技能養成の労務者を遊ばして置くわけには行かない。又労務者にしても、遊んでおつては困るということになれば、その三カ月の間、技能養成以外のいわゆる職種で一応働かす。而もそれには労働基準法違反の起る場合が一応想定できるわけです。而もこれは技能養成契約は、債権は消滅しておりませんから、停止中でありますから、三月たつたら、それ以後になれば、やはり働かせるということになる。その間労務者を縛つておくわけには行かない、その間の弊害は監督して是正する以外にはないと思いますけれども、私の一番虞れますのはこの点なんです。反対に、今までの認可処分であれば、全部処分が取消になりますから、そこで思いきつて転職の途、転向の途があるわけなんです。ところが中止であれば、期間が過ぎれば当然違反事項を直せば復帰できる。それが復帰できるできないは別にしても、やはり養成契約の債権債務はそのまま存続しておるわけですから、その間やはり労働基準法に違反するような別箇の労務を強要される危険が非常に多いわけです。私は、届出制にすることに対してこれは危険だとうい点は、そこにあるわけなんです。而も実際を見れば、原則として届出制にしたけれども、百二十のうち十七しかない。例外が百三あるのだということになれば、一応条文の上ではそういう危険を一つ目を掩つて改正したけれども、実際上は逆効果であれば、こういう改正をする必要がないのじやないか、こういう感じを受けるわけです。これは一応希望でありますから、私の質問はこの程度に打切つて七十条、七十三条に対しましての御質疑がなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/96
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097・村尾重雄
○村尾重雄君 今の中村君の話の結論ですが、只今その問題に触れたいと思つていたのですが、そこで例えば強制処分を受けた、三カ月に限つての中止を受けた。あれは特殊の条件において、技能養成ということで技能習得のためにそれに入つておるわけなんだから、特殊な労働条件だと思うのですね。そこで三カ月なら三カ月中止を食らつた場合に、一応一年なら一年という技能養成期間というものは、三カ月なら三カ月の期間は延ばされるわけになるのです。これについての保護としても、簡単にお考えになつているかも知れませんが、やはり技能養成としてその習得のために働いている養成工にとつては、この三カ月なり六カ月の延長ということは、これは非常に重要なことだと思うのです。その間本人と例えば経営者側との間にそれは交渉を行うべきである。三カ月なら三カ月期間を延ばされた場合に、少し何とか考える余地があるのじやないかと思うのですが、こういう点については考慮しなかつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/97
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098・亀井光
○政府委員(亀井光君) 今のお話は御尤もでございますが、その前にできるだけの是正を速かにやらせるということによつて、その間のギヤツプを少くして行こうという結論で、この問題を考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/98
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099・中村正雄
○委員長(中村正雄君) それで今村尾君が質問しているわけですが、技能養成期間が三年であるという場合に、仮に三月か半年のうちにこんな処分を受ければ、技能者は思いきつてやめますが、二年たつたときにこういう処分を受けた。而も中止処分である。三カ月たてば又やれる。そういう場合に、その使用者が全然違反事項の是正をしないということになれば、二カ年間修習して、而もあと全然放置されるという結果になるのですね。私は詳しい規定は存じませんが、取消であれば、今後やらないわけですから、今までの修習に対しましての認定証か何かの規定があるわけだと思います。中止のしつ放しということはないだろうと思います。この間の矛盾、これをどうするかという問題が第二に起きて来るだろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/99
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100・亀井光
○政府委員(亀井光君) この問題は、行政の措置としまして、例えば二年間の習得を受けたものにつきましては、二年間の習得を得ました実績は、他の技能養成の職場に転換いたしましても認めるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/100
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101・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 他の職場に転換することができればいいですけれども、それを使用者に転換する義務を課しておるわけじやないし、労働基準局がそれを斡旋する義務があるわけじやありませんし、指導監督はするのでしようが、従つてこういう中止という制度を入れることによつて、技能養成の契約には非常に暗い面がたくさんできると思うのです。従つて私は、恐らくこの法律をおこしらえになつたときに、さつきも言いましたように、技能養成審議会に何ら諮らずに、いわゆる中央労働委員会の審議に基いておこしらえになつたものと矛盾ができておると思うので、もう一度僕はお考え願いたいと思う。何かほかにありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/101
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102・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) ただこの技能者養成についてのこういう感じになりましたことは、この以前は徒弟制度というものが相当あつて、徒弟と称して酷使するきらいが相当あつたと思います。従つて元の工場法時代には、徒弟に対してそういう監督の考え方が相当濃厚です。ところが戦後徒弟という文字も勿論使わないで、技能養成という文字を使つておりますが、特に日本の戦後においての技能養成というのは相当発達をしておるのです。工場におきましても、それで以前のように安く酷使するという意味の技能養成よりも、むしろ自分のところで育てまして、そこに置きたいということで、相当に力を入れておる。むしろこれについては政府が助成までしてやらしたらどうか。これは相当国際的にも響いて最近アメリカからもそれからILOからも、日本の技能養成のやり方というものは非常にいいというので、勉強に来ておる状況もあるのです。従つてそういうところから認可とか何とか、余り監督的な感じよりも、届出のように楽にして、積極的に奨励とまでは行つていないけれども、やらしてやろうという気持があつて、こういうような傾向になつておるわけで、そうかといつてたくさんの工場のことですから、技能養成という名目に隠れて、以前のような徒弟的なものもあり得るから、その点は十分監督をしなければいけない。従つてまあこれは届出、認可は別といたしまして、これを許すにつきましては、私はまだ相当条件のいいものについてということでないとですね。もう明らかにどこででもいいというふうに考えておるので、従つて届出にすることがよしか悪しかにつきましては、十分一つ御審議を頂いて、尊重いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/102
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103・中村正雄
○委員長(中村正雄君) ほかにありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/103
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104・小林政夫
○小林政夫君 この条文以外です。一つ私は新らしいから、重複する質問があつたら御注意を願いたいと思います。十八条によつて貯蓄を受け入れる利率ですね。「金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して命令で定める利率による利子」と、これはどういうふうにお考えになつておりますか、現在の情勢。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/104
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105・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) これは大蔵省とも相談いたしましてきめなければならん性質のものでございまして、今我々の考えておりまするところは、一般の市中銀行の利率というものを考えておるわけでございまするが、その最低をとるか最高をとるか、或いは中間をとるかという問題があるわけでございます。併しこれは運用まで認められておるわけでございますから、一般の市中銀行の利率の上でも最高でいいんじやないか。それが現在の一般の関係を見ますと、大体六分でございます。それから銀行の貸付利率は大体九分というふうな関係もございまして、それから又各会社の実態を見ますると、七分八厘、或いは高いところは一割二分まで出しておるところもございますが、従いまして六分程度のところがいいんじやないだろうか、これは実は大蔵省との折衝が進んでおりません。大体のところは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/105
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106・小林政夫
○小林政夫君 私は本来大蔵委員でありまして、非常にその点は関心を持つわけでありますが、万一の場合は、あなたのほうでおきめになつた利率を強制的に事業主は負わせられる。そうなると六分ということが果して適当であるかどうかということは相当慎重に考慮されなければならないと思います。一応この法律審議の過程において至急にお打合わせになる、現在の金融情勢においてどうやるかということをお示し願いたい。それから……いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/106
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107・中村正雄
○委員長(中村正雄君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/107
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108・小林政夫
○小林政夫君 三十九条の年次休暇の場合の手当ですね。平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、或いは労働協約によつて健康保険の標準賃金によるということになつております。前の平均賃金、通常の賃金というものは協約によらずして支払われる。ところが実際に労働組合と折衝する場合において、平均賃金が非常に労働者にとつて有利な場合においてはこれを強く主張し、又所定労働通常の賃金というものが平均賃金よりも上の場合、そういうときにはこれを是非やつてくれと言つて、この書き方で行くと、そういう労働組合と協定をせずして使用者が一方的にやれるような規定なんですね。にもかかわらず、実際の運用をやつて見ると、かなりこれが紛争というか、協議の対象になる。この点についてはどういうふうなお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/108
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109・亀井光
○政府委員(亀井光君) この問題は、現在は平均賃金でございます。所定労働時間に労働した場合に支払われる賃金との比率を各事業所の従来の実績につきまして広く調査をいたしたのであります。そういたしますると、平均賃金が上廻つておるものが大部分でございます。なお一部所定労働時間のほうが高い場合も、これは全部の平均ではございません。抜き検査でございますので、それを以て全体を律するわけには参りませんですが、平均賃金は、御承知のように割増賃金が入つて参ります。そういう関係上比較的高いのでございますが、ところが割増、仕事の関係で時間外勤務が少いというふうな個人の問題につきましては、或いは所定労働時間の計算でやる場合には高い場合もございますが、押しなべて現行法の平均賃金よりも労働者が不利になることはない。従つて就業規則でこれを定めるということによつて差支えないものという審議会の結論を得たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/109
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110・小林政夫
○小林政夫君 そういうことは、あなたは大体の傾向として平均賃金等が通常の賃金よりも高いとおつしやいますが、例えば昨年の電力渇水によつて相当工場は操短を余儀なくされ、労働者を六割の賃金を払つて休ましているというような場合には、平均賃金はうんと下る。而もそういうときに年次休暇を要求する。勿論事業主としてはとつてもらつたほうがいいのですが、まあ併しそういう或る特定の操短をし、休業した期間が入つた場合においては、この通常賃金のほうが平均賃金よりも上廻るのですが、そのときに問題が起るんです。併しそれはどうあろうとも、使用者の定めるところによつて強行してよろしい、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/110
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111・亀井光
○政府委員(亀井光君) これはその都度の問題として解決するんじやございませんので、就業規則その他であらかじめきめておく問題でございまするから、その点は十分それでできると考えております。それからなお統計的に申上げますと、我々の調査では、残業三十時間で大体平均賃金と通常支払いの賃金と同額というような実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/111
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112・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 堀木さん、御質問何か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/112
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113・堀木鎌三
○堀木鎌三君 それじや一つ二つだけ、今委員長から確めておいた七十一条の問題なんですが、これはまあ何らかの基準というものが明らかでないと困る。こういうことで、どういうふうなお考えであるのだろうということを、及び国際的にはどういうふうになつているかということを、この前は御質問してここへ頂戴しているわけだと思うのですが、大体ここへ頂戴している坑
内における年少者の技能者養成の総合基準について、こういうものについてはですね。何らか命令か何かでお定めになるお積りでありましようか、どうでありましようか。それだけ一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/113
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114・亀井光
○政府委員(亀井光君) 労働基準につきましては、つまり技能者養成規程におきまして細かく規定をすることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/114
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115・堀木鎌三
○堀木鎌三君 それからもう一つ、この労働基準法の審議に当つた堀君だつたかと思いましたが、進駐軍の労務者について御質問があつた。で労働大臣から、これは労働三法によるものであると、はつきり御答弁があつた。基準局のほうで、進駐軍労務について、労働基準法に従つてすべての届出の義務及び一切の報告を聴取する義務とか、すべて実行しておられるだろうか、この点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/115
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116・亀井光
○政府委員(亀井光君) お話は、直用の、進駐軍の家族、家庭或いはその他に直用で雇われる労働者ではないかと思います。この点については、家庭使用人は法律の適用を受けませんが、ホテル、PX等につきましては、法上のすべての手続をとらしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/116
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117・堀木鎌三
○堀木鎌三君 就業規則なんか必らず届が出ておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/117
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118・亀井光
○政府委員(亀井光君) 就業規則に関しまして、実は私のほうで指導してくれというお話がございまして、内容を指導したこともございます。具体的に横浜なら横浜の監督所に注意しております。今承知しておりませんが調べて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/118
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119・堀木鎌三
○堀木鎌三君 僕はこの点で特に御注意申上げたいと思うことは、今度この進駐軍労務者について、いろいろな問題が論議されるわけですね。今労働大臣の言われるように、労働基準法に基いてすべてのものが行われておれば、どういう問題のときでも、そう問題が起るはずがない、こう私は考える。まあ家庭使用人は別にいたしまして、そういう必要なことを考えると、今の基準局のほうで、その点が何と言うか、独立後の折角そういう新らしい時代に移つたときの行政が、ほんとうにそこまで行つておるのかどうかという心配をするのですよ。まああなた自身が余りよく御承知にならない状態なんですから、実際問題としては、そういう点についてもう少し、何と言うか、監督的なことをはつきりさしておく必要が、独立国となつた以上はある。それでないと、どうも大臣が三法が常に適用があるのだとおつしやつても、そういう裏づけが非常に私、はつきりしない憾みがあるのではないか、こういうふうに考えるのです。それからもう一つは、今直用の場合について言われましたが、調達庁が提供するものについても、これは国自身が結局一応雇用主になつてやつておるのですね。併しその関係については、国が雇用しようと、純然たる労働者については、公務員の身分を持つていないものについて
はあるわけだろうと思う。そういうものについても、同じようにこういう労働基準法の適用なり、その他があるわけでありますか、そういう点はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/119
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120・亀井光
○政府委員(亀井光君) 勿論基準法の適用がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/120
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121・堀木鎌三
○堀木鎌三君 そうすると、その点で僕はちよつと不思議に思うことは、まあ労働者の希望でやられておることだから余りやかましく言えないのだが、職業安定の関係から見るとどうなんですか、間接雇用だとか労務提供、供給事業になつてしまうのだな。そういう点をどういうふうに調節されているのだろうか。僕の言うことはわかりますか、御質問したところは……。それじや基準局長からお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/121
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122・亀井光
○政府委員(亀井光君) 私所管外でございますから、どうも私から御答弁申上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/122
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123・堀木鎌三
○堀木鎌三君 基準局長は所管外で、労働大臣に聞いても困るかな。それじやこの問題は法制的に見ると相当疑問があるように思うが、労働者の希望もあつて、便宜されていることだと、こう考えますので、取り立てて特別に御質問しないことにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/123
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124・中村正雄
○委員長(中村正雄君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/124
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125・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/125
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126・村尾重雄
○村尾重雄君 私は最初の問題に少し戻るようですが、私年少者の坑内作業、特に金属鉱山ですね。年少者の就労について、これは労働大臣が非常に蘊蓄が深いという話ですが、硅肺病との関係ですね。私は単にこの硅肺病対策を伺おうと思つていないのです。これは又別個の機会で、硅肺病対策というものは、やはり労働委員会としては相当真剣に尽さなければならない問題だと思つておる。ところが青年のこの十六才に年齢を下げられたということについて、やはり十六才、二才下げられたということは、例えば若い人たちの硅肺病関係の罹病の率というものが、金山から受ける率というものは相当率が高いのではないかと思うのですが、この硅肺というようなことを、青年を坑内に入れるについて相当お考えになつたかどうか。それから硅肺に対して、年齢を引下げられておることについても、労働大臣としての硅肺に対する御意見があれば一つこの際伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/126
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127・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 御尤もでありまして、硅肺につきましては、私のほうでも全般的にこれは勿論考えておかなければならない。それから研究といたしましては相当進んで参りまして、予防の方法も見通しがつかないわけでもございません。従つて今後これをどういうふうに実現して行こうかということを考えております。この病気は恐ろしい病気でありまして、知らず知らずのうちにかかつてしまうものでありますから、従つてこの技能養成につきましても、私は非常に慎重です。従つて今のところでは、恐らく相当の予防措置を講ずる見込が立たなけれ
ば、私は入れるつもりはまだございません。従つてそのほうはそう御心配ございませんが、他の面につきましても、相当私はこれを施行する上においては厳重な態度を以て臨み、いやしくも名目的にこれで以て作業をやらせるという趣旨のことでございましたら、私は許さないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/127
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128・村尾重雄
○村尾重雄君 只今の御意見ですが、この技能養成を目的としてのこの坑内に少年の就労を認める場合に、これはやはり時間的に時間を制限し、例えば場所的な点等について相当考慮を払うべきと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/128
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129・亀井光
○政府委員(亀井光君) 鉱山における技能者養成の効果という資料の二番目に、技能者養成実施に当つて考慮すべき点という問題がございますが、これはあの労働医学心理学研究所で調査しました結果でございます。この中でも遊離硅酸を多量に含む作業場においては行わない。技能養成を行わせないという条件もございまして、当然我々としましてはそういう措置をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/129
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130・村尾重雄
○村尾重雄君 その金属鉱山における硅肺病と同じように、炭山においてやはりこれと似寄つたような職業病というものはあるのですか、ないのですか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/130
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131・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 硅肺は主として金属山で、炭鉱には殆んどございませんが、若干まあ出ている……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/131
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132・村尾重雄
○村尾重雄君 これに似寄つたものは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/132
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133・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) これに似寄つたものは、職業病としてはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/133
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134・中村正雄
○委員長(中村正雄君) 本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時から地方公営企業労働関係法を議題といたしまして審議に入ります。
これにて散会いたします。
午後三時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101315289X02519520626/134
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