1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十一月二十四日
佐藤觀次郎君が理事に当選した。
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昭和二十七年十一月二十五日(火曜日)
午後一時二十七分開議
出席委員
委員長 奧村又十郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君
理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君
理事 佐藤觀次郎君
上塚 司君 大泉 寛三君
大村 清一君 佐治 誠吉君
中田 政美君 西村 直己君
西川 貞一君 宮幡 靖君
加藤 高藏君 笹山茂太郎君
中崎 敏君 吉田 正君
小川 豊明君 久保田鶴松君
坊 秀男君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 向井 忠晴君
出席政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税制
第一課長) 泉 美之松君
大蔵事務官
(銀行局特殊金
融課長) 有吉 正君
国民金融公庫総
裁 櫛田 光男君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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十一月二十五日
委員松村光三君辞任につき、その補欠として西
川貞一君が議長の指名で委員に選任された。
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十一月二十四日
昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法
律案(内閣提出第四号)国民金融公庫法の一部
を改正する法律案(内閣提出第八号)
漁船再保険特別会計における漁船再保険事業に
ついて生じた損失を補てんするための一般会計
からする繰入金に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八号)
昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法
律案(内閣提出第四号)
税制及び金融制度に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/0
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001・奧村又十郎
○奧村委員長 これより会議を開きます。
本日は、まず昨二十四日本委員会に付託されました、昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案及び国民金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。向井大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/1
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002・向井忠晴
○向井国務大臣 ただいま議題となりました昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案外一法律案のうち、まず前者についてその提案の理由を御説明申し上げます。
政府は、すでに数次にわたり減税を行い、国民の租税負担の軽減合理化に努めて参つたのでありまして、昭和二十八年度におきましても、この方針を継続し、国民生活の向上と資本蓄積とに資するため、税制の一般的改正を行う考えでありますが、さしあたり、昭和二十七年度補正予算に関連して、所得税負担の軽減合理化を行うため、臨時特例を設けることとし、ここに本法律案を提案いたした次第であります。
本法律案の概要を申し述べますと、まず、昭和二十八年一月から三月までの間に支給される給与所得及び退職所得につきましては、明年度改正を予定しております控除及び税率によつて計算した源泉徴収税額により源泉徴収することといたしました。すなわち、この源泉徴収税額は、基礎控除の額を現行五万円から六万円に、扶養控除については、最初の一人につき、現行二万円から三万五千円に、勤労控除の最高限を現行三万円から四万五千円にそれぞれ引上げるとともに、社会保険料控除の制度を設け、さらに税率については、特に低額所得者に対する負担の軽減をはかるため、その引下げを行つて、計算いたしておるのであります。
このうち社会保険料の控除は、特に昭和二十七年分の所得についてもこれを認め、本年一月にさかのぼつて控除することとしております。
以上の諸控除及び税率の改正により、所得税の負担は相当軽減されるのでありまして、たとえば月収七千円の独身者の場合について申し上げますと、現行の負担額月三百五十六円が九十一円となつて、約七割四分の軽減となり、月収一万五千円の夫婦の場合には、現行の負担額月千三百九十六円の税額が七百八十一円になつて、約四割四分軽減され、また、月収二万円の夫婦子二人の場合には、現行の月千七百五十円が、九百八十一円となつて、約四割三分軽減されることになるのであります。
最後に、昭和二十七年分の所得税につきましては、申告納税の一層の改善充実に資するため、従来確定申告書の提出期限及び第三期分の納期限が二月末日となつていましたのを、三月十六日まで半月間延期することといたしました。
以上本法律案の大要を申し上げたのでありますが、これらの改正により、源泉徴収の所得税において約二百二十九億一千百万円、申告納税の所得税において一億二千百万円、合計二百三十億三千二百万円の減税となるのであります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
引続きまして、国民金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を申し上げます。
国民金融公庫は、昭和二十四年六月発足して以来、国民大衆の旺盛な資金需要に応ずるため、数次にわたる増資と資金運用部資金の導入により、本年十月末で資本金百億円、資金運用部借入金四十億円の資金量をもつて、二百五十億円の貸付を行い、鋭意その目的の完遂に努力して参つたのであります。特に本年度予算に計上されました一般会計からの出資金三十億円は、九月末までに貸付を終り、資金運用部借入金の二十億円もその大部分は、十一月までに貸付を終る見込みでありますので、十二月以降は、ほとんど既往貸付金の回収金のみに依存せざるを得ない状態であります。一方年末を控える等の事情もあつて、本年度内における資金需要は、相当の額に達するのであります。さらに遺家族等援護国債の受領考及び成年に達しない子女を持つ母子家庭に対する事業資金の供給も、現下の経済情勢に照してきわめて緊要と考えられますので、この際これら遺家族等に対する十億円、母子家庭に対する五億円の資金を含めて、本年度内の新規所要資金を五十億円と見込み、本年度補正予算に一般会計からの出資三十億円及び資金運用部借入金二十億円を追加計上するごとといたしたのであります。これに伴い公庫の現在の資本金百億円を百三十億円に変更するため、資本金の規定を改正するとともに、年末金融対策の一環といたしまして、早急に資金手当をする必要がありますので、補正予算に計上された資金を見返りとして、補正予算の成立前におきまして、二十億円を限り一時借入金をすることができるように、昭和二十七年度限りの特例を設けることとしたのであります。これがこの法律案の提案の理由並びにその概要であります。
何にとぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/2
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003・奧村又十郎
○奧村委員長 ただいま説明を聽取いたしました両案に対する質疑は次会に譲ることとして、次に、国政調査の一環として、税制及び金融制度に関する件を議題といたします。本件に関しましては、質疑の通告順にこれを許します。宮幡靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/3
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004・宮幡靖
○宮幡委員 ただいま議題となつております税制等に関しまする国政調査としての案件でありますが、ただいまも提案理由の御説明のありました昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案、これはあくまでも臨時措置であると同時に、提案理由にも書かれておりますように、二十八年度の全体の税制に対しまして、当然滲透すべき案件であると存ぜられるわけであります。従いまして本審議の場合におきましては、当然将来来るべき税制全般について、一応きわめて概括的でよろしいのでありますが、大蔵大臣の所信を一、二お伺いいたしておきたいのであります。御承知のように、私が申すまでもなく大蔵大臣は財界御出身の方でありまして、しかしていろいろの経済団体、あるいは財界一般の方からは、今度の特例をかりに明年度の税制の中に加味し、あるいは修正し、あるいは追加いたしたいといたしましても、決してこれに満足しておらないという声が相当強いように見受けられます。もちろん税金でありますので、安い方がよいというのが、これは納税者の立場でありまして、この声も、一概にわれわれ全面的に取入れようとするような不用意は繰返さないつもりでおります。しかし国民の声によつて行いますところの民主主義政府であります以上、当然この声も尊重しなければなりません。そこで、まず財界方面、あるいは産業界方面からあがつておりまする税制改革に対する要望、こういうことにつきまして、大蔵大臣があるいは次の国会、あるいはいつの国会という時期的な制限はいたしませんが、大蔵大臣の財政演説の中にもほの見えますように、日本のほんとうの安定経済というものには、五年くらいの基礎固めが必要だと発表されております。かりに五年間かかつても私は決してルーズな気持で言うわけではありませんが、その施策のむずかしさから言いまして、期間の点は必ずしもこれを制肘申し上げるものではない。しかし考え方としてどういうふうに思つておりますか、これを伺いたいのであります。
まず日商等を中心といたしましての税革の要望の第一点は、御承知の通り、あくまでも所得税であります。その中で、まず全般的に申せば、だれでも言いますのが基礎控除の引上げという問題でありますが、これはあえて大蔵大臣の所信を伺わなくても、なし得られる財政事情となりましたならば、当然国民生活の安定のために、あるいはまた社会政策的な意味も考慮せられまして、断行せられるものと私の方で推察申し上げますので、その点は避けますが、たとえて申しますと、預金と金銭信託利子に対する源泉所得税の税率を引下げろ、こういう声が強い。また無記名定期預金の源泉課税を軽減しろ、これはあるいはこまかい事務的なことで、大蔵大臣には御無理かと存じますが、そこで、これは引下げた方がよいか悪いかという方針だけをお示し願いまして、その余の細部のことは、政務次官あるいは局長等から伺いたいと思うのであります。まずこの一点につきまして、大蔵大臣の経験ゆたかな、財界人としてのお気持から大筋を聞かしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/4
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005・向井忠晴
○向井国務大臣 ただいまの御質問の源泉選択の課税ということ、そういうことは、原則としましては引下げることに私はしごく賛成でございます。但しその程度等のことは、私も新米であつてどうにもわかりませんけれども、私は今おつしやる通り、財界から出て来まして、税の高いのにはうんざりしておる人間ですので、安くなるに越したことはない。その点は御同感であります。
〔「簡単にやれ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/5
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006・宮幡靖
○宮幡委員 野党の方から、与党はあまり質問するなという御注意もあります。これもよく尊重して参りたいと思います。簡単な言葉で申しますが、株式の譲渡所得税を廃止しなければならないということは、財界の要望のみならず、一般的の空気であります。ただ実施の時期だけであります。そこでその方法でありますが、大臣はどうお考えになりますか、ごく簡単でよろしゆうございます、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/6
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007・向井忠晴
○向井国務大臣 これはお話の通り、一般にこの税はなくなしたいという希望がありまして、その方向に進みますつもりであります。そのかわりということはないのですが、株式の名義書きかえ手数料ですか——移転税というふうなものをとる。これはかわりにはなりますまいが、そういう意味の考えをただいま持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/7
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008・宮幡靖
○宮幡委員 その点ははつきりいたしました。次は、同様にこまかい問題で恐縮ですが、お尋ねします。株式配当金及び剰余金の分配の源泉課税を廃止しろ、おそらく大臣御関係の団体からもこういう声が出ておるのであります。委員会でありますから、私的な御意見を承るのではなく、大臣としてどういうふうにお考えになるか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/8
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009・向井忠晴
○向井国務大臣 これは、私はやはり大したことはありませんが、とられていやな方でございます。しかしこれをなくなしますと、配当というものについて少しも税のとりようがなくなつてしまうおそれがありやしないかと思います。ですから、やはりこれは置いておいた方が、私とられる人間としてもいいように思いますし、大蔵省としてもとりたいだろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/9
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010・宮幡靖
○宮幡委員 その点については、いささか大臣の御説明に私は納得しかねるところがある。税はとれるようになるのでありますが、しかし源泉でとつてよいかどうか、こういうことは、政務次官あるいは局長から後刻伺いますが、せつかくの大臣の御答弁でありますが、この点には十分満足ができない、これだけをひとつ申し上げておきます。
次は、法人税のうち、ほんの一、二を承りますが、いわゆる法人税の一律課税ということが問題になつておる。事業の規模の大小、あるいは資力その他の条件によりまして、法人税の税率はただいま四二%でありますが、これを軽減するもの、あるいは重加するもの等、適当に企業の負担力に応じて、法人税の課税は一律にしない方がよい、こういう声が強いのであります。これに対しまする大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/10
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011・向井忠晴
○向井国務大臣 これも皆さんと同じ考えを私は持つておるのでございまして、いかにも税が重いだけでなく一律一体にとられるので、これは大蔵大臣として申し上げてはおかしいのですが、とられる方は困つておるのです。しかしながら、これをどういうふうにやるかということについて、私はこの役を勤めます前から考えてみましても、ちよつと方法を講じ得なかつた。どうもただいまの段階においては、これをどう改めるというふうな考えもありませんし、やはり現在のままで当今は行かなければならないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/11
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012・宮幡靖
○宮幡委員 大臣の御答弁としては、さよう承つておく以外に、ただいまのところいたし方がないことを了承いたします。こいねがわくは、安定に要する五箇年の期間でもよろしゆうございますから、こういう一律課税の持つておりまする納税の負担ということをお察しくださいまして、御在任中は、努めてその方向が将来長く政治力に浸透するように、御努力を切にお願いいたします。
その次は、これもごく簡単に要点だけをお伺いいたしますが、第三次再評価というものを法的措置によつておやりになろうとしておられるかどうか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/12
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013・向井忠晴
○向井国務大臣 これも、私は実行する方がいいと思うのでございますが、方法等について目下研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/13
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014・宮幡靖
○宮幡委員 関連して政務次官に一言伺いますが、再評価積立金を別途積立金として留保する道を開かれるお考えがあるかどうか、大臣の御明言に関連いたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/14
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015・愛知揆一
○愛知政府委員 ただいまの御意見も、私ども研究の課題とはいたしておりますが、今ただちにお答えする段階にまだ立ち至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/15
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016・宮幡靖
○宮幡委員 大臣も他に御約束の時間がありまして、たいへんお急ぎのようでありますから、今まで法人税と所得税しか伺つておりませんが、相続税その他の点については、また他日大蔵委員会においでを願いまして、その折に大方針を聞き、その余のことは、常時御出席を願う政務次官、局長その他の政府委員に確かめて参りたいと思います。一応今日はこれで私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/16
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017・奧村又十郎
○奧村委員長 内藤友明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/17
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018・内藤友明
○内藤(友)委員 大臣がお見えでありますから、お尋ねしたいと思います。私のは大づかみなお尋ねでありますので、どうか初めてのことでありますので、御親切にお答えいただきたいと思います。
それは一つは、ほかでもございません。前の大蔵大臣のときにもお尋ねしたのでありますが、いつの国会であつたか存じませんが、政府がいろいろ予算を編成する、財政経済のことを考えて行く、その根本方針はどこにあるのかということをお尋ねしました。そうしましたら前の大臣は、それはわが党の政策である資本主義、自由経済がその基調である、こういうはつきりしたお答えであつた。なるほどいろいろ国会にお出しなされる議案を見ますと、そういうにおいがはつきりと出ております。ところが、大臣に初めてお目にかかるのでありますから、私個人のことを申し上げなければならないのでありますが、私は、実は長い間百姓の世話ばかりして参つたものであります。そういう自由主義経済のもとにありましては、農業なり水産業なり、こういう原始産業というものは、どうしてもこれは成り立ちません。戦争前の自由経済の非常にはつきりと出ておりました時代におきましては、この原始産業である農林、水産業というものは、見る影もない状態にたたき込まれました。そこで私ども農村、漁村におきましては、小さな経済を持つております者どもを集めまして、協同組合というものでようやくその生産をささえて参つたのであります。そこで戦争後になりまして、日本経済はいろいろ変化があつたのでありますが、この前の池田さんに対しまして、あなたはどういうお考えでありますかとお尋ねしましたところ、先ほど申しましたように、資本主義、自由主義、これが自由党の主張であつて、忠実にそれを守つて行く、こういうお話であつたのであります。今度われわれがまたお迎えいたしました新しい向井大蔵大臣は、そういうことに対してどういう御方針であるか、自由党の掲げておられるそういう方針を堅持されるのであるかどうか、まずそれをお尋ね申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/18
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019・向井忠晴
○向井国務大臣 この点は、資本主義、自由主義経済と言いますが、それを簡単に二つの言葉でもつて言い表わしたのでは、ずいぶん不完全なものだろうと思うのでございます。しかし農林とか水産とかいうものが、まつたく自由に放置されてやつて行けなかつたという例も、私はいろいろ見ておりました。現にそういう事業に対して、相当な助け船が出ておるというふうに私は存じておるのですが、その点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/19
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020・内藤友明
○内藤(友)委員 どうも妙な現象で、大臣が私のような者にお尋ねなさるのは何でありますが、お尋ねでありますから、私ははつきりとお答え申し上げます。
過去の皆様の自由党のやられておりました政治におきましては、その点はいささか不明確であり、私どもにとりまして不満足であります、今日農村において非常な大きな注文がいろいろ出ておりますのも、そういうために出ておるのであります。一例を申し上げますると、以前の吉田内閣におきましては、米の自由販売ということを、これはお約束でありますからおやりになられたのでありますが、とうとうそれがひつ込められました。自由党というのが、そういう道を歩いておられる。これはしかたがない。選挙で約束せられたのですから、それは忠実に歩くのはあたりまえなんです。そういうふうな歩き方をしますれば、今日日本の農村は平均の耕作面積が七反歩です。こういう小さなものを、強いものが強い力で押しまくつて行くという、そういう世の中にどうしてもすることができない。そういうふうなことを私どもは村におつて、ことに今日痛切に感じておるのでありますが、大臣は大きなお店の大きな仕事をおやりになつておられたのでありまして、こういうことはちつとも現実にごらんになつておらぬと存じます。実は私ども、あなたを大蔵大臣にお迎えしまして、うれしいやら悲しいやら、悲喜こもごもという気持がしたのであります。でありますから、どうか私どものこの今度の大蔵大臣は、ほんとうに農村のためにやつてくれる人だというふうなところまで百八十度——ひとつ自由党のそんなものは、もうこれは時の流れでありますから、今にまた少数党になるかもしれませんが、大きな目で今日の農村をながめていただきたい。私は思うのです。どんなに産業を発達させようといたしましても、日本の産業の得意の七割が農村であります。この得意の七割の農村をほつたらかしておいて、日本の産業がどうして発達しますか。どんなに金をかけてめんどうをみましても、しよせんそれはもうだめです。でありますから、ほんとうに日本の国の産業を考えるならば、日本の農村というものを考えなければ日本の産業はない、こう私は信じ切つておるのであります。でありますから、どうかひとつ大臣は、私御案内いたしますで、村の非常に苦しんでおるところを見ていただきたいと思うのであります。重ねてお尋ねいたしますが、大臣はどういう御方針で、これからわれわれのごの悩みに対処せられるのか、率直に御意見を承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/20
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021・向井忠晴
○向井国務大臣 御趣意はよくわかりました。私は商売人でございましたが、必ずしも商売人のもうけを擁護するごとばかり考えておつたのではないことは、はつきり申し上げておきます。従つてあなたのおつしやいました、大きなところで育つているからほかのことはわかるまいということでございましたが、わからないことはあるかもしれませんが、大きいところの都合ばかりはかつておつたということは、ひとつお考えにならないようにお願いいたします。そこで今おつしやいましたような、農村をなくなしては日本がなくなる。イギリスの例あたりを見ましても、農村を軽くしましたために、外国からものを買わなければならない。食いものを買うその金がなくて今困つているような状態でありますから、決してこれを軽視すべきものではなく、十分に農村の発育を助けるべきものであるということは、私がいまさら申し上げないでも明らかだろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/21
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022・内藤友明
○内藤(友)委員 その問題はそれくらいにして、あとから大臣に具体的に申し上げたいと思うのであります。
それからもう一つあります。幸いきよう国民金融公庫というものが議題になりましたから、これに関連して大臣にひとつ伺いたいのであります。それは結論から申しますると、財政と金融というものを切り離したらどうかという考えを私は持つておるのであります。普通の予算の中にこういう貸付金などを計上しておくのは、私はどうかと思うのでありますが、これを改められるような御意思がおありかどうか。つまり農林中金であるとか、あるいは商工中金でありますとか、あるいはこの国民金融公庫であるとかいうところに流しておられる一般会計からの金を預金部の金で流して行く。これは一般経費に計上しない、損失のあつた場合は、法律で一般経費の方に計上して行く、こういうふうなやり方にせられた方がいいのでないか。借金は借金と思うのでありますが、これにつきまして池田さんに一、二度お尋ねしたことがあるのでございますが、池田さんなかなか心臓が強いものですから、何だか私どもの尋ねるのをゆがめられて御返事せられて、そのままになつておるのであります。今でも私はそう思うておるのでありますが、いかがでありましようか。これは予算編成の大方針に関することでありますから、予算委員会等でも質議があろうと思うのでありますが、きよう初めてお会いしたのですから、平生私どもの考えております疑点を大臣から、それはわかつた、来年から切り離す、いやそうじやない、このままやつて行くのだ。そのどつちかの御返事を願えればけつこうだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/22
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023・向井忠晴
○向井国務大臣 私は、この点については前に詳しく考えたこともございませんが、今おつしやるような点をちよつと考えたことはあるのでございます。今の御質問は端的にイエスかノーかということでございます。私は立場上も御明答を差上げるわけに行かないのですがしかし御趣意について十分に勉強いたしまして、断案を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/23
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024・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 今度所得税の臨時特例に対しまして、先ほど大蔵大臣から説明がございましたが、資本蓄積の名において、今度新たにまた税法の特例をお設けになりまして、新しい法律をつくられるわけでございますが、実際先日文書課長から説明をちよつと聞きましたが、これほど一般の国民が税金に困つているのに、自然増収と称して数百億の金が国家に余つておるというようなことは——非常に今の中小商工業者、あるいは俸給生活者、農民などが倒れて行くような形になつておるときに、国家がこれほど莫大な金を、自然増収という名のもとにおいて持つていいものであるかどうか、こういう問題について、大蔵大臣はどのように考えられておるか、承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/24
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025・向井忠晴
○向井国務大臣 この点につきましては、自然増収と申しますものは、給与が引上つたとかもうけがふえたとか、そういうもので出た税でございます。ひどく苛斂誅求をした結果ということはないと私は思うんです。従いまして、自然増収のありました見返りに、所得税の減税ということを実施もしましたし、今後も考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/25
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026・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 今大蔵大臣から苛斂誅求という言葉が出ましたが、むしろ今日におきましては、末端の中小商工業者は苛斂誅求で困つているわけでございまして、今中小商工業者は税金が払えなくて、差押えその他いろいろなひどいことを——中央ではわかりませんが、地方においては非常に苦しい税金に泣いておるわけであります。今日の税法の改正の中にも、国民生活の向上ということがうたつてありますが、実際は今日末端におきましては、むしろ徳川時代の末期のように、苛斂誅求という言葉をわれわれが使つていいほど非常に困つておる状態でございます。どうかそういう点につきまして、現在の税金が非常に過重であるということだけは、これは申すまでもなくみな知つておるわけであります。こういう点について、大蔵大臣は今後どのような方法で、国民生活の向上のために税金を楽にする方法を考えておるかどうか。もう一点お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/26
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027・向井忠晴
○向井国務大臣 低額の所得者に対しては、なるべく税を軽くする。それから特に徴税方法について、決して無理のないように、税関係の官吏に心得をさせるということが大切だと存じますが、そういうことに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/27
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028・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 大蔵大臣は実業家の経歴を持たれておるので、今までの池田さんのような税務署出身ではないのでありますから、そういう点はわかると思いますから、どうかそういう点において今後日本の中小商工業者や、一般の苦しい生活をしておる人のために、ぜひひとつ税法の考え方を改めていただきたいということをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/28
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029・宮幡靖
○宮幡委員 大臣にお伺いいたしました基本的な線に沿いまして、少しこまかく同つてみたいと思います。先ほど申しました株式の譲渡所得の問題であります炉、これは別に大蔵省の責任であるとか、前大蔵大臣の責任であるとか、そういう言葉は用いませんが、何か昭和二十七年の一月一日にさかのぼりまして、この税が廃止されるのだということがどこともなく流れて参りました。その点について、大蔵省は何か関知せられたことがあるかどうか。この点を明らかにしていただくと同時に、そういうことが現在の租税制度の中において考えられることであるかどうか。これを端的に御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/29
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030・愛知揆一
○愛知政府委員 譲渡所得税の廃止を本年一月にさかのぼつて実施することはいかがかという問題を、大蔵省部内において研究いたしましたことは事実であります。しかしながら、諸般の関係を十分検討いたしました結果、これは適当でないという結論に達しましたので、明年の一月から実施をするということに考え直したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/30
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031・宮幡靖
○宮幡委員 明年の一月から実施いたすのに、二十八年分の特例で可能ですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/31
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032・平田敬一郎
○平田政府委員 御承知の通り、譲渡所得税の課税は源泉課税と違いまして、来年度課税の第一回の納税は、来年七月の予定申告で課税するということになるのでございます。申告納税の分は、年間を通じまして、そのように課税いたしますので、この次の国会におきまして一般の税制改正と同じく提案いたしますれば、来年一月一日から実施することについて支障がないものと考えます。今のところは、大体そういう方針で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/32
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033・宮幡靖
○宮幡委員 その点は明確でありますが、そこでどうもちまたに、譲渡所得税が廃止になるというようなことを特に証券界あたりが考えておりますと、何か納税意欲が減退して来る。納税意欲という言葉は間違いであつて、納税責任を回避するような空気や行動が流れておることはいなめない。これは一般納税者から考えると、税はあくまでも均衡を得なければなりません。そういう点から見まして、何か廃止を予想されまして、課税に手加減でもあつたような誤解を一般の納税者から受けやすいのであります。実は私は、現在それを受けて指摘しておるわけではないが、そういうことになりやすいのでありますから、これらの点に対しまして、こういう過渡的空気の中におきまして、大蔵省は譲渡所得税の正常なる把握ができておるかどうか。その御信念を私は承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/33
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034・平田敬一郎
○平田政府委員 譲渡所得税の調査がなかなかむずかしい問題でありますことは、宮幡委員よく御承知の通りでありまして、従来から相当な努力を重ねておりますが、なかなか実績が上つておらない。その結果、そういう状態で長く置いておきますと、かえつて不公平になるおそれが多い。そういう点もあわせ考慮いたしまして、実はむしろもう譲渡所得税をやめまして、移転税にした方が結果においてはいいのじやないかということで、将来とも考えておる次第でございます。ただしかし税法があります間におきましては、その税法を的確に実施いたしますのは当然の責任でございますので、納税者の申告を特に期待いたしつつ、そのようなことで運用して参りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/34
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035・宮幡靖
○宮幡委員 今の言葉の中で、きわめて私は大蔵省の立場を信用して参りたい。申告を百パーセントと申すと、弊害があるかもしれませんが、極力信用してやつてもらいたい。このことは私の漏れ聞きましたような、あるいは伝え聞きましたような空気の中におきまして、ともすればそれにこたえるために、納税者に対して過ぎた調査、また過ぎた申告を強要するおそれがある。これらのことが農村とか漁村におきまして行われたといたしますならば、あるいは内藤委員、佐藤委員等の御質問の大綱的な要旨において問うべきところの問題だ。そこでどうかなるべく、というよりは最大信用のできる申告を慫慂すると同時に、その申告をあくまでも信用してやるという心構えで、譲渡所得税廃止から移転税創設に至ります案を行政の上においてたくみに操作されんことを、私どもは——自由党と申しますと語弊がありますが、われわれ同僚の各委員はさように考えておりますので、これを内容にして運用せられるようお願いいたしておきます。
次いで、先ほどの法人税の一率課税という問題について、御成案か何かすでにできたのでありましようか。これは第一国会以来、委員会においてつねに話題になつた問題であり、一時は超過所得に対する軽減税率等もあつたごとにかんがみまして、ここ数国会にわたりましてもこれの実現を強く要望して来たのであります。従いまして今はできない、これも私は了承いたしておきますが、あえて二十八年度といわず、将来にわたりまして、こういうことをやつて行くことが当然だという頭にまで大蔵省がかわつているか、それともまた昔のようなかたい頭でいるのか、これをひとつ局長さんお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/35
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036・平田敬一郎
○平田政府委員 ただいまの問題は、前国会から宮幡委員とたびたび御質疑をかわしたのですが、問題は二つあるように考えております。一つは、普通所得税と超過所得税の二段構えの税制にするかしないかということでございます。これも、いろいろそういう方がよいじやないかという意見も大分ございますが、現在の情勢におきましては、そのようなことに今持つて行くのはいかがであろうか。もちろん将来の研究問題であろうと思いますが、すぐそれをやつた方がよいというふうには考えておりません。もう一つの問題は、小さい方の法人に対しまして、特に低い税率を設けるか、この問題でございます。これもいろいろ大分議論いたしまして、もつともなところも多数あるかと思うのでありますが、一つは来年度におきまして、所得税の最高税率を、富裕税の廃止に関連いたしまして、引上げるのが妥当じやないかと考えております。その場合において一体法人の課税と負担の均衡がどうなるかということを考えますと、簡単に下の方の税率を下げるということは必ずしも妥当ではない。もう一つは、御承知の通り個人から法人になつておるのは、現在におきましてもなおかつ相当絶えません。これは表面上の税の負担の差だけではなくて、調査の方法その他いろいろ原因があるか思いますが、かようなときにおきましてやはり軽くするということは必ずしも実情に即しないおそれがある。そういう点を考えますと、この問題はやはり将来ともなお研究して行きまして、今のところすぐ結論を下すというのは早いのではないか。来年度におきまして、下の方を引き下げるというところまで、まだ結論は至つておりません。そのことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/36
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037・宮幡靖
○宮幡委員 これは平田局長さんに対しては言い過ぎになるかもしれませんが、大蔵省は進歩がないということです。特に今お話の中におきまして、個人から会社になるものが引続いて多いということでありますが、しからば世の中に流れております組合制度——あえて協同組合のみ申しませんが、個人が集団といたしまして事業経営になり、あるいは研究機関なりを設けて進んで行きたいという空気は、いかに自由党がはばみましても当然生れて来る。また自由党もはばんでいないで、これを奨励いたしまして、集団経営、集団指導という精神で貫いて参ります。そういうことから行きますと、この会社になるという形は企業の問題でありまして、そうして個人の企業というものは、きわめて零細な、きわめて限られた企業の中において存続し得るもので、いわゆる経営の手段は法人に限るとまで言えないかもしれませんが、さような精神がここに現われて来ることが私は当然だと思う。それに対しましてどうも個人の事業をやらしておいた方が税金がとりよい、そこに大蔵省の一番危険なる押しつけ課税というのがありまして、よい言葉ではありませんでしたが、大蔵大臣がたまたま言いました苛斂誅求などという言葉も、再びこの独立日本に必要な字句になつてしまう。法人になるなら法人にさしてもいい。同時に、同族会社に対します積立金課税などについて、特定な規定を設けてむしろ圧迫を加えていると思うが、これに対しましてこれを廃止しろということは強い言葉になるが、軽減するとか、あるいは同族会社でもほかの会社と同じように、しかももし脱税行為、通税行為等があつた場合には、これは一般税法によつて鋭く追及下る、こういう精神といいますか、方針をお考え願いたい。端的に申せば、同族会社の積立金課税を廃止する。個人が会社になつて行くという傾向があります以上、同族会社的な傾向を帯びて来ることは当然であります。そこで、この問題を取上げまして研究する必要があるのではないかと思つておりますが、どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/37
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038・平田敬一郎
○平田政府委員 私先ほど申し上げましたのも、企業の必要からしまして会社になるのを、しいて税でチェックするという意味ではないのでありまして、むしろ法人の課税が軽いために、税金以外の見地からはそれほど必要でないものが法人になるということにつきまして、奨励するようなことをやる必要はないのではあるまいか、こういう意味で申し上げたわけであります。その点御了承を願いたいと思います。それから今の同族会社の積立金課税の問題でございますが、これはある企業が個人経営である場合と、法人経営である場合と、今申しましたように、なるべく負担に差をなからしめようという趣旨からいたしまして、このような課税をいたしておるわけでございます。これを廃止いたしますと、やはりその関係に重大な影響がございますので、簡単に廃止するということはいかがであろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/38
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039・宮幡靖
○宮幡委員 続いて現在問題になつておりますのは、これは事業界のみではなく、一般的にいいまして、市町村民税というものを損金に取入れてほしい。一面におきましては、地方財政平衡交付金の増額措置を講じているような現在、しかも地方財政の緊縮方針もなかなか滲透して参りませんので、こういう時代におきまして、市町村民税というものは実態において決して軽減されないでしよう。法制的な課率等を変更することは別といたしましても、実際的には負担は決して軽くなつていない。こういうものを必要経費として認めない現在の税法は妥当でないと考えるが、これらに対しまして、大蔵省はどういうふうにお考えになつているか、この点もひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/39
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040・平田敬一郎
○平田政府委員 現在の制度のもとにおきましては、法人の市町村民税は、実は所得税の一種だと私どもは考えております。個人の市町村民税がやはり所得税の一種でございまして、従いまして性質が所得課税であるものは、課税所得の計算上、所得から差引かない。国税の場合におきましても、所得税を課税所得から控除するということはいたしていないのでございます。そのことは法人、個人を通じて同様な考え方がよろしいのではないか。こういう趣旨で、法人の市町村民税も課税所得から控除しないことにいたしております。それは個人の市町村民税も、同様に個人の所得課税から控除していないのでございます。その方が建前としてはよろしいのではないか、このような考え方でいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/40
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041・宮幡靖
○宮幡委員 今の法律はその通りであります。それで納得が行くならば、かような質問も出ないし、時間も使わないわけです。とにかくそうなつていることはなつている。それが所得課税という点にまず根本的な観念の違いがある。それは所得税額に対しましておおむね一定の課率、あるいは課税総所得を見合つての一定の課率、これがいわゆる地方税法であります。ですから、それが所得税だ、それによつて裏づけされてしまえば、今の通りがいいでしよう。しかしながら市町村民税というものは、その行政の恩沢に浴します住民が当然の行政費を分担する意味の応能提供の原理に基く租税原理から言いますと、これは決して所得課税でない。たとえば、所得がない人でも分に応じたものを出してもらうという観念が市町村民税の根本であると思う。あるいはアメリカ式の、あえてシヤウプ博士とは申しませんが、これの御指導を受けました当時のごときは、それでよかつたのでありましようが、やはり現在は一人の住民であります以上、その行政費の恩沢に浴したものをみずから負担して行く観念があつてこそ、これが国を守る租税であり、愛国のほんとうの精神である。かような意味におきまして、私はその盲点を開きまして、現在の法制にかかわることなく、これを同じ財政資金の中より還流をいたします平衡交付金の増額等と見合つた場合におきましては、特別な法制措置を講ずべきでないか、こういうことをお尋ねしている。その点につきましてもしお考えがありましたらお知らせを願いたい、こういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/41
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042・平田敬一郎
○平田政府委員 現在の建前を申し上げたのでございますが、現在の市町村民税の性格から行きますれば、その方が課税理論上正しいのではないか、こういう意味で申し上げた次第でございます。もちろん市町村民税のほかに、市町村の課税といたしまして、固定資産税のごときは、これは所得の有無にかかわらず課税されるのでありますが、市町村民税は所得がなければ課税しない、この原則はあくまでも貫いておるのでありまして、法人の市町村民税のごときは、まさに法人の所得の中から払うものとして実は考えている次第でございます。これを何か違つた性格のものに持つて行つた方がいいかどうか、これは一つの議論かと思いますが、今の市町村民税の考え方から行きますと、やはり今のような建前の方が正しいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/42
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043・奧村又十郎
○奧村委員長 ちよつと中途でありますが、お諮りいたします。国民金融公庫法の一部を改正する法律案に関連いたしまして国民金融公庫総裁櫛田光男君、特殊金融課長有吉正君が出席しておられますが、どなたか御質疑がありましたら……。
〔「あります」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/43
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044・奧村又十郎
○奧村委員長 それでは宮幡委員にちよつと待つていただいて、その方を先にやつていただきましよう。内藤友明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/44
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045・内藤友明
○内藤(友)委員 国民金融公庫のお尋ねをする前に、銀行局長にひとつお尋ねをしたい。
前々からの懸案になつておりますやみ金融の問題でありますが、このごろまた大分にぎやかになつて来ているようであります。これは近く何か考えるということでずつと局長がこの委員会で言い続けて来られたのでありますが、このごろたいへんごたごたしているようですが、何か考えておられますか。最近のその方の模様をひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。何やら保全会とか勧業何やらとかいうのがたいへんなものでございます。以前の物品販売のものは大分すたれたようでございますが、新たな手が新たにでき上つて来たようであります。対策はいかがか、お聞かせいただきたい。このままほうつておきますと、お隣りに櫛田さんがおられるけれども、国金融民公庫のような正常な、金融正しい金融というものがだめになる。そしてやみ金融ばかり横行する。これは嘆かわしいことであります。自由党の諸君は、自由経済だから強いやつは何でもやるのだ、こうおつしやればそれまでですが、およそ金融というものは、そういう出ほうだいなことをさせておくべきではないと思います。局長はそこまで考えていらつしやらないと思いますが、このごろ何か御対策をお考えになつておりますか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/45
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046・河野通一
○河野(通)政府委員 この問題につきましては、たびたび実は御指導をいただいておるのであります。この問題が金融全体に対して非常に影響を持つということも、われわれわかつております。また万一不始末を起すようなことになりまして、国民大衆に落して非常に迷惑をかけるということになつては相済まぬことと思い、私どもは関心を持つております。しかしながらこの問題につきましては、経済論と法律論の二つの問題がある。法律論の点からは、過去一年にわたりまして検討を続けて参りましたが、実はいまだにはつきりした結論に到達しておりません。その過程におきましては、検討いたしました経過がいろいろございますが、まだ実は申し上げられる段階に至つていないのであります。いずれにいたしましても、この問題を私どもは成行きのままに放置して無関心でおるわけではございません。できるだけ早い機会に、どういう対策がいいかをきめて参りたい。一年ばかり研究いたしました結果、だんだん問題の重点と申しますか、その箇所がはつきりいたして参つたので、どういう結論に到達いたしますか今のところわかりませんが、できるだけ早い機会に、この問題についての最終的結論に到達いたしたいということで、現在内部でいろいろ検討いたしております。大蔵省部内ばかりでなく、法務省関係、あるいは内閣の法制局、大蔵省部内でも、金融関係だけでなくて、やはり租税の関係等、非常に広くいろいろな問題が関連いたしております。これらを総合的に今検討を加えて、だんだん重点が集約されて参つておりますので、なるべく早く結論を出したいというつもりでおります。いつもそういう答弁ばかり申し上げまして、非常に恐縮に存じておりますが、別にその場限りのことを申し上げておるつもりはないのであります。ほんとうに関心を深めて検討はいたしておるのであります。まだ遺憾ながら最終的結論に至つておらぬと申し上げざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/46
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047・内藤友明
○内藤(友)委員 いつもそういうことばかりお聞かせいただいておるのであります。ところが何とか保全会なんというものは、そういう答弁をしておられる間に、十何億というものが六十億になり七十億になる。これが一朝くずれることになるとどうなりますか。今あなたの方では内容を調べることさえできない。もしできるならば、内容を調べることができる法律でもひとつお出しになつたらどうかと思うのでありますが、やはりさきのような御答弁でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/47
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048・河野通一
○河野(通)政府委員 これははなはだむずかしい問題でありまして、法律的、あるいは経済的に結論が出る前に、これに対して度を過した手のつけ方をするということは、かえつて悪い結果になる点もあるわけであります。従いましてただいま申し上げましたところを結局繰返すことになると思いますが、なるべく早く結論を出して、その結論に従つてこれを処置する。不用意にこの問題を取上げることは、かえつて公衆に対して御迷惑をかけることになるかもしれませんので、慎重に取扱わなければならぬ問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/48
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049・内藤友明
○内藤(友)委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、慎重におやりなさることはけつこうであります。今そのような行き方にしておられるのでありますが、それは、ただいまそこへ零細な金を持つて行つておる者にちつとも被害のかからないようになさるような処置でありますか。もしそれらに被害があつた場合、政府は何かそれのめんどうを見るとかなんとかいうことまでお考えになつておるのかどうか、それをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/49
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050・河野通一
○河野(通)政府委員 私どもは、ただいまのところそういうことが公衆に迷惑がかからないことを期待いたしますけれども、万一そういうことになつた場合に、そのあとを政府がしりをぬぐう、あるいは損失補償をするということまでは現在のところ考えておりません。その意味におきまして、慎重に考えるとともに、なるべくすみやかに結論を得たいということで、努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/50
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051・内藤友明
○内藤(友)委員 そのすみやかなるというのは、具体的に夏までやるとか、春までどうするとかいう——この話は一昨年から出ておるのであります。共産党の深沢君がいなくなりましたけれども、私どもわざわざこのために国政調査までいたしまして、いろいろ生の材料を相当局長に申し上げておるのであります。日がたちますけれども、お答えになることはちつともかわらないのでありましてまことに残念に思うのでありますが、いつごろまで御結論をお出しなさるのでありますか。今この程度までだけれども、しかし言えぬ、何かそこらあたりを少しはつきりしておかれませんと、さつそく三十億も櫛田さんのところへお出しになろうとするのですが、そんなものは何にもならぬと思うのです。どうもお言葉だけは真剣味があるようでありますけれども、ずつと一年半の間承つておる答弁というものは、言葉の勢いだけの真剣味でありまして、真実が出て来ないような気がするのでありますが、もうしばらく四月ごろまで待てとかなんとかいうのかどうか、そこらあたりを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/51
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052・河野通一
○河野(通)政府委員 どうも私ども知恵がたりませんで、なかなかいい結論が出ませんので申訳ありません。しかしこれは、私口先だけで実は申し上げておるのではないので、ほんとうにこの問題と真剣に取組んで検討を加えております。ただいまのステータスはどういうことになつておるかと申しますれば、具体的に保全経済会について申し上げますと、これは、大蔵省は実は監督も何もしていないのです。できております形は、匿名組合という形で資金を集めておる。その出資でもつて貸金はやつていない。貸金をやつておれば貸金業者になりますが、貸金もやつていない。今内藤さんから御指摘のように、内容を調べる権限が今のところないのでありますからわからないのですが、聞いておりますところでは、証券、動産というものに投機をしておられる。しかもその形は匿名組合という形でやつておられる。そういつたような実態のもとにおいて、そういうものをほうつておくのはけしからぬじやないかというような御意見もあるかと思いますが、今のところ私どもは、実は全然手がつかない状態になつておりますし、監督もいたしておりません。だからといつて、私どもは全然これを無関心にほうつておるわけではない。このことは先ほど来申し上げておる通りでありますが、私どもの手が届かないところにある。従つてその問題をどう取扱うかということは、これは真剣に考えなければいけない問題であるし、かつ慎重に考えなければいけない。そういう立場から現在検討を加えております。四月までに結論を出すとか、本年内に結論を出すとかいうことをここでお約束することは、私としては申しかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/52
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053・奧村又十郎
○奧村委員長 ほかに国民金融公庫総裁に対して質問はありませんか。——次に金融関係について御質問はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/53
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054・宮幡靖
○宮幡委員 ほかになければ、一点確かめておきたいと思うのですが、これは銀行局長さんと総裁にもちよつとお聞きを願いたい。政府は国庫の余裕金を預託しております。この預託する制度を通じまして、中小企業金融の面に沿わないような方向に資金が流れておる。たとえば貸付信託に投資をしたり、あるいは日銀の第二次高率適用の高率の借入金を返済する、こういうところに国庫の余裕金が流れておる。私どもは中小企業の金融対策としましていずれ各党の御賛成を得まして、本国会において決議案を出しまして、政府を御鞭撻申し上げるわけでありますが、それに関連しまして、今の最初のお話では、せつかくする預託が中小企業金融のルートに完全に流れないで、貸付信託の有利の方へ投資をする、あるいは日銀の高率適用の借入金を返済する、こういう方向に走つておることはいなめない事実ですが、これを矯正すると同時に、国民金融公庫等を生かして行く。もちろん法律で公庫の予算、決算等は縛られまして、現在は自由ではありません。しかし、これはかりに直し得たとの前提におきまして、どういうふうに処置されたならば国民金融公庫としての庶民金融の目的を達し得るか、これに対します櫛田総裁の御所信を承りたい。同時に銀行局長の、いわゆる貴重なる国庫余裕金の預託金を、単一企業のための有利利用のみに供しておるのは大いに是正しなければならないと思うが、どういうふうにお考えになるか、これだけ伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/54
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055・河野通一
○河野(通)政府委員 国庫の余裕金を指定預金いたしておりますのは、実はいろいろな目的が入つておるわけなのであります。一般の大銀行等にいたしております国庫の余裕金の預託は、時期的に国庫の収支が租税の引上げ超過になつております場合に、それを市中へ還元するという意味でやつておる。それからもう一つは、御案内のように、中小企業の金融を円滑にするために国庫の余裕金を使用して行こう。こういうふうな二つの目的を実は持つておるわけであります。その後者につきましては、実は御指摘のように、非常に期間が短かいために十分長い金にまわせない。従つてそれをコールに出したり、あるいは貸付信託にまわしたりするような事例のありましたことも事実であります。しかしこれは、指定預金の性質が、御承知のように年度間を通じてはバランスするはずのものが、時期的に支出と収入が合わない。そのずれを矯正するためにやつておる措置でありますので、勢い期間というようなものにおのずから制限がある。しかしこれも国庫収支の見通しを見ながら、できるだけ中小金融に金が流れるようにいたしますために、従来二箇月ないし三箇月でやつておりましたものを、中小金融機関に対してはこれを六箇月にするとかいうふうにして、できるだけ、国庫収支に支障の起らぬ限りにおいて長くはいたしております。これらの措置と相まちまして、中小金融機関におきましても、この指定預金の性質を十分にわかつていただきまして、中小企業の金融の円滑に資するように極力努力をしてもらつておきます。従つて従来いわれておりましたよりも、この点は相当改善されておるはずであります。私どもも現にそういう点を聞いております。ただ百パーセント全部そういう長い中小金融のものに固定できるかといいますと、この点は、やはり将来これが回収される場合の手当ということも考えなければならぬ。そうするとある程度のものは、やはり支払い準備として短期にまわしておかなければならぬという事情もございますので、百パーセントとまでは行つておりませんが、従来よりは、相当そういう金が中小金融と直接にまわつておるという程度は、ずつと改善されて来ておると私は確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/55
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056・櫛田光男
○櫛田説明員 ただいまお尋ねの件につきまして、国庫余裕金を私の方で預託を受けるようなことが考えられるかどうかという点であつたかと考えるのであります。御承知のように、ただいまの法制におきましては、私どもの資金の源泉は一般会計からの出資と、それから予算できめられました範囲内での資金運用部からの借入金、そういうことになつております。それでこのたび予算の関係からいたしまして、年末の急場に資金的に問に合いませんので、とりあえず二十億円預金部から前借りができるように、一時借入れができるようにという特例をお認め願えればということで、今お願いいたしておるわけであります、全般的に申しまして金が足りない、人手が足りない、また店が足りないという状況は、前から申し上げております通り、依然として私どもの現状でございますので、ただいまお話の国庫余裕金の預託という点になりますと、いかがだろうかということを実は私考えさせられるのであります。と申しますのは、資金の性質から申しまして、私どものお貸出しをいたしておりますのは、御承知のように三年以内——長期というほどのことでもありませんが、いわば中期のものであります。そういつた関係からいたしまして、できますれば資金の源泉の関係におきましても、できるだけ長い安定した資金が、やはり経営の立場から申しますと望ましい、こういう感じがするのであります。そんな感じでありますので、全体のバランスをとりますと、やはり政府からの出資、あるいは預金部からの長期の借入れといつたようなことが私どもといたしましては一等望ましい、かように申し上げてよろしいかと存じます。ただいろいろな予算関係その他の関係から、金融上の繁閑に私どもの手元がうまくマツチしませんような場合に、機動的に一時借入れなり何なりによりまして、一時をつなぐ制度ができましたならば、まことにけつこうな話だと存じておるのであります。ただこの点は、恒久的な制度の問題になりますので、ただいまのところでは、とりあえず今年度に限つて特例として一時借入金の制度を認めていただきたいとお願い申し上げておる次第であります。いずれもこれは十分検討を遂げましてから、そういう点についてもしできまするならば、お考えを願つた方がよろしいのではないかというふうに、ただいまのところは考えております。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/56
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057・宮幡靖
○宮幡委員 現在のお立場からすれば、おそらくそれ以上の御答弁はいただけないと思います。しかしながら国民金融公庫の経過的な事実と、それからこれから進んで行こうという方向を見通す、と言うと言葉が大きくなりますが、ながめてみますと、どうも今の公庫という性格からはずれて行くであろう。あるいは職員を公務員のわくからはずして待遇改善をやつたけれども、人手が足りぬという言葉が偶然に出る、そういうことで能率も上らない、こういうことであります。そうして予算決算という法規に縛られる。こういう関係から行くと、どうも公庫の性格からはずしまして、そうして政府投資の半政府機関とでもいいましようか、そうして今担当しておる業務は、御承知のように昔の生業資金の貸付等ではありません。庶民金融もまかない、しかも不動灘担保金融までにも乗り出さんとしておる。その時代におきましては、もはや政府投資によります一般金融機関としての公庫の存在が必要であろう。そこで消極的に現在の法規のわくの中だけの運用を考えて——これはいずれ他日でけつこうでありますが、私は公庫の性格手変更いたしまして、真の庶民金融機関、しかも政府資金によりますところの金融機関としての存在を実現すべきであろうと考えますが、これにつきましては、委員会等の席で率直な御意見が伺われないならば、他日の機会におきまして、あるいはでき得ますならば、それに対します御構想等を秘密にお書きくださいまして、当委員会に御内示いただきたいと私は思つておるのであります。もはや国民金融公庫が過去の公庫でないことだけは、強く指摘してもあながち間違いではなかろうと考えております。ただいまちよつと年末に困る、だから予算措置にもよらず、臨時に資金運用部資金でも借りられるような手でも望ましい、しかしこれは、恒久的な施策としては必ずしも望ましいものではないという微温的な域を、総裁の賢明なる御配慮と御努力によりましてこの際ぜひ離脱していただきたい、こういうふうに思つております。本日は一般的質問でもありますので、あまりこまかいことは伺わないことにいたしますが、他日この点について、ひとつ御意見を承ることにいたしたいと思います。
そこで関連して銀行局長に——これも大きな問題でありますから、いずれあとで丁寧に聞きますが、今市中銀行等への預託金の指定預金のことを話しましたので聞いておきますが、ただいま在日外国銀行が貸付信託受益証券を買いますと非常に利まわりがよろしい、これは日本の国内の高金利と国外の低金利との差がそこに反映して来たのであつて、重大に考えなきやならぬ金融政策の根本であろうと思いますが、そこで貸付信託受益証券を買つて外国銀行が日本で操作する。一面においては、これは間接外資導入だと喜んで手をあげておる人もあるようでありますが、ひそかに反省してみますと、たまたま国庫指定預金等が流れ、これが貸付信託等へ投ぜられる、また外国銀行の資金によつてその受益証券が取得せられる。こういう一連の関係を詳しく調べてみますと、日本の金利の体系から行きましても、あるいは国庫余裕金の操作の問題から行きましても、あるいは一般の円の金融の問題につきましても、非常にむずかしい問題でもあろう。私どものように、ときたまこの問題を取上げまして勉強するのと違いまして、銀行局長は始終これにくつついているのでありますから、何かこの点について思い当つてお考えになつていることがあるかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/57
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058・河野通一
○河野(通)政府委員 ただいまの問題につきまして、別に私、思い当るようなことがないのであります。貸付信託を在日の外国銀行が引受けるということにつきましては、私、それ自体は悪いことじやないと思つております。引受けてくれれば、今お話のようにそれだけ間接的な外資が入つて来る。ただ問題は、国際金利と日本国内の金利の差というものがどうせものを言うわけであります。ものを言わせることのいい悪いは、いろいろ議論はありましようけれども、事実として存在することであるし、それを外国銀行が引受けてくれるならば、私はさしつかえないと考えております。ただ後日、元本を外貨によつて送金するという場合に、外資法との関係がどうなるかという問題がございます。これは私の直接の所管ではございませんけれども、そういう観点からは、この問題はもう少し検討しなければならぬ、しかし在日外銀が円を相当持つておりますから、その円で、向うへ外貨として送らないかわりに、ここで貸付信託の受益証券を持つてくれることにつきましては、私は特にそれに不賛成を述べなければならぬ理由はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/58
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059・宮幡靖
○宮幡委員 ただいまの答弁は思い当つておらないというのでありますから、これ以上仲のいい銀行局長と議論をしません。お互いの見方の違いでありますので、これは研究をしまして、またお尋ねすることにいたします。
ただいま、次に質問しようと思つておりましたことを先に御答弁になつたが、元本の送金というものは、大蔵省は認めるつもりでありますかどうか。大蔵省の中におきましては、認めないという説もあり、認めるという説もある、こういうように聞いておるのですが、間接外資導入を盛んならしめるという趣旨から、外資法を改正してもこれらを——奨励という言葉は過ぎるかもしれませんが、認めてやろう、こういう気持でおられるのかどうか、その根本方針を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/59
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060・河野通一
○河野(通)政府委員 御指摘のように、この点が本件について一番問題になる点だと思いますが、先ほど御答弁申し上げましたように、実はこれは私の所管でございません。ただ私が聞いたところによりますと、そういつた間接外資導入について、元本の送金を保障するか、しないかという問題につきましては、今、為替局で検討を加えておるらしいのであります。いろいろ相談はいたしておりますけれども、結論が出るところまでは来ていないというふうに考えております。正確なところは、私まだ十分にホローができておりませんので、後ほどまた調べた上でお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/60
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061・宮幡靖
○宮幡委員 今日はそれでけつこうですが、特に外国銀行が取得いたします受益証券の利回りと、一般の株式、一般貸付債券とのつり合いということに私は重きを置いて考えておる。これをもし見失つてやりますと、受益証券は二箇年くらいのものしか買わない趨勢にある。二箇年の外資投入くらいで日本の産業が根本的に生き返りはしないのであつて、むしろこれは有力なる反対理由になるであろう。これらのことも十分見合いまして、ぜひ御検討を願い、進んで当委員会に発言を求められ、御説明を願いたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/61
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062・内藤友明
○内藤(友)委員 政務次官と河野さんに申し上げたいのですが、それはこの前のこの委員会で問題になりました簡保の問題であります。あれは郵政委員会の方で向うの法律が通つておりますが、ここの法律は流れたことになつております。これはいずれこの委員会でも問題にしなければならないのでありますが、大蔵当局としてはどういうお考えでありますか。
それともう一つ、この委員会で懸案になつておりますのが公認会計士の問題であります。今日は御関係の局長さんがおられませんが、政務次官はすべての御関係でありますので、申し上げます。これはこの委員会で小委員会まで設けて研究いたした問題でありますが、大蔵当局としてはどうなさるのか。この二つを、御答弁はいりませんが、ひとつ大蔵当局の腹の中に入れて御研究をしていただきたいと思うのであります。いずれこれは委員長が理事会でもお開きになつて、適当になさるだろうと思いますが、この二つの問題がこの大蔵委員会といたしまして懸案になつております。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/62
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063・愛知揆一
○愛知政府委員 ただいま内藤さんからの御提案の問題は、実は二つともわれわれといたしましても頭を悩ましておる問題であります。まず第一の簡保の問題でありますが、これは大蔵省としての立場から申しまするならば、やはり私は資金の一元的な運営の方が望ましいと考えております。新しい内閣になり、新しい大臣を迎えましてからも、大蔵省としては深刻に検討をいたしております。その経過におきましては、大蔵省当局としては、簡保の移管には、率直に申しますが、反対であるということを表明いたしたいと思つております。しかし、これは政府全体の問題でもございまするし、まださような意見を政府としてはつきりとあらためて提案するという段階にはなつておりません。
それから第二の公認会計士の問題につきましては、これは私から申し上げるまでもございませんが、従来これは議員立法ということで考えられておりまして、従来の大蔵省の態度は、消極的にその議員立法の成行きを静観しておつた、むしろどちらかといえば、受身であつたということは御案内の通りだと思うのでありますが、この点につきましては、私どもとしてもいろいろ考えておるところもあるのでございます。いずれ早急に必要があれば大蔵省としての態度を決定いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/63
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064・奧村又十郎
○奧村委員長 ほかに金融関係の御質疑はありませんか——それでは税関係の御質疑はありませんか——なければ本日はこの程度にとどめまして、散会いたします。
次会は公報をもつてお知らせすることといたします。
午後二時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X00319521125/64
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