1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十五日(月曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 奧村又十郎君
理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君
理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君
理事 佐藤觀次郎君
上塚 司君 大泉 寛三君
小山 長規君 中田 政美君
西村 直己君 宮幡 靖君
三和 精一君 加藤 高藏君
笹山茂太郎君 吉田 正君
久保田鶴松君 坊 秀男君
出席政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 白石 正雄君
大蔵事務官
(主税局長) 平田敬一郎君
水産庁長官 塩見友之助君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税制第
一課長) 泉 美之松君
農 林 技 官
(水産庁漁政部
漁船保険課長) 伊藤 茂君
農 林 技 官
(水産庁生産部
海洋第二課長) 増田 正一君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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十二月十三日
昭和二十七年産米穀についての超過供出奨励金
等に対する所得税の臨時特例に関する法律案(
坂田英一君外二十五名提出、衆法第一号)
米穀の売渡代金に対する所得税の特例に関する
法律案(内藤友明君外二十一名提出、衆法第一
〇号)
造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案(
内閣提出第二八号)
同日
揮発油税軽減に関する請願(小林かなえ君紹
介)(第八一二号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第八一三号)
同(重光葵君紹介)(第八八四号)
同(木村文男君紹介)(第八八五号)
同(本間俊一君紹介)(第八八六号)
同(山手滿男君紹介)(第八八七号)
税制改正に関する請願(小川半次君紹介)(第
八一四号)
政府資金の統一運用に関する請願(伊藤郷一君
紹介)(第八二〇号)
同(後藤義隆君紹介)(第八二一号)
同外二件(松野孝一君紹介)(第八五六号)
同(黒金泰美君紹介)(第八五七号)
同(黒金泰美君紹介)(第九一〇号)
鏡台に対する物品税撤廃の請願(西村直己君紹
介)(第八四九号)
勤労所得税軽減等に関する請願(中村高一君紹
介)(第八五〇号)
元大阪陸軍造兵廠石見製造所のか働再開に関す
る請願(櫻内義雄君紹介)(第八五一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会要求に関する件
昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法
律案(内閣提出第四号)
漁船再保険特別会計における漁船再保険事業に
ついて生じた損失を補てんするための一般会計
からする繰入金に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第九号)
漁船再保険特別会計法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一一号)
造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案(
内閣提出第二八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/0
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001・奧村又十郎
○奧村委員長 これより会議を開きます。
一昨十三日、本委員会に付託に相なりました造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案を議題として、まず政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。大蔵政務次官愛知揆一君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/1
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002・愛知揆一
○愛知政府委員 ただいま議題となりました造幣局の特別会計法等の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
第十三回国会におきまして公共企業体等労働関係法が改正され、国の経営する造幣、印刷その他の企業についても、政令の定める日の翌日以降同法が適用されることになりますが、その結果これらの企業に従事する一般職の職員につきましては、国家公務員法の大部分の規定、一般職の職員の給与に関する法律の規定等の適用が排除されることとなり、給与支給に関する法律の規定を欠くことになりますので、これらの職員に対する給与の支給について、各特別会計法の一部を改正して所要の規定を設けようとするものであります。
すなわち造幣局、印刷局、国有林野事業、アルコール専売事業及び郵政事業の各特別会計におきましては、これらの特別会計を管理する各省大臣、またはその委任を受けた特定の機関が、当該企業に従事する職員に対して給与を支給するために、給与準則を定めることとし、この場合においては一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の給与、民間事業の従業員の給与、その他の事情を考慮するとともに、特に行政機関職員定員法に定められる常勤の職員の給与準則については、予算に定められる給与の総額を越えないように定めなければならないこととしようとするものであります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるよう御願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/2
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003・奧村又十郎
○奧村委員長 本案に対する質疑は次回に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/3
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004・奧村又十郎
○奧村委員長 次に前会に引続き、昭和二十八年分所得税臨時特例等に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/4
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005・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 平田主税局長にお尋ねしたいのですが、先日も同僚議員から相続税が非常に高いということが問題にされましたが、私の伺いたいのは、文士の著作権の相続税が非常に高い。実は先般もそれがために相続できないような事情が起つておるのであります。泉鏡花という人がありますが、この人の著作権の相続税も高いので、とても払えぬということで、相続ができぬような事情もございます。こういう点について大蔵当局はどういうふうにお考えになつておられるか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/5
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006・平田敬一郎
○平田政府委員 先般も申し上げましたように、どうもまだ相続税は中間のところが少し高過ぎるのではないかと感じておりますので、この次の国会にはぜひともそのようなことをできる限り直す法律案を出したいと思いまして、目下研究いたしておるところでございます。御指摘の著作権につきましては、結局著作者がなくなられますと、著作権による収入があとで相続人に入つて来ることになりますので、これはやはり一種の財産的価値のある権利といたしまして、相続開始のときの時価を評価いたしまして相続税を課税する、こういう筋合いになるわけでございますが、いかに著作権を評価するかという問題はなかなかむずかしい問題でありまして、その後において一体どのくらい存続するか、これは法律的に割合に明らかでございますが、存続するといたしましても、はたして出版が継続されましてどのぐらい売れるか、この予想を立て、適当な評価をする。それを立てるにつきましては、過去においてどのくらい売れたか、将来著作権の相続期間中にどの程度売れる見込みがあるか、基礎は結局そこになるわけでございまして、この状態の評定がなかなか困難であるようでございます。そこで実際問題といたしましては、いろいろな実例等も調べまして、できる限り実情に即した評価をやるように指導いたしておるわけでございますが、個別的に個々の著作権によりまして違いますので、なかなか問題が簡単ではない。従いましてこういう際におきましては、できる限り当該出版社の意見なり、また一般の出版界の意見などを徴しまして妥当な評価をする。もちろん相続人ともよく話合いをした上できめることになるわけでございますが、見解の差が出て来る場合も実際問題としては相当あるような次第でございます。しかし、あくまでも個別的に妥当を期するという方針で適正化をはかるべきものだと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/6
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007・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 先般菊池寛氏の遺族が莫大なる著作権の相続税に困つた例がございますが、文壇方面におきましては、もう相続しないというような意見がありまして、われわれもそういうような遺族の人のことを考えますときに、税務署の考え方と実際とは相当違いがありまして、生きておるときは高価であつても、死んでから後に大蔵省が査定されるほど出版というものが売れないというような状況が非常に多いわけであります。そういう点について、こういう不定期な仕事については、何か便法を設けてもらう方法はないかと考えておりますが、いかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/7
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008・平田敬一郎
○平田政府委員 たとえば恩給とか年金みたいなものにつきましては、これは存続期間がはつきりしておりまして、その期間に幾ら受取るかということが明らかでありますので、相続がえのときも法定評価を簡易な方式でやつておるのです。この年金のような場合は、あと何年生きられるかということがわからないのでありますから、年齢によつて実は評価しておるというようなラフな方法もやつておりますが、著作権については、そのような簡単な評価方法を行うことはなかなかむずかしいのじやないか、やはりあとどれだけ売れるかというこの見込みが、その中の一番の中心になるわけでありますが、それをどのように実際に応ずるようにするかということが中心でありますので、いろいろな事情を調べまして、そういうような無形の権利につきましては、無理な評価はすべきではないと私は考えております。しからば具体的にどういうことになるかというと、これは個々のケースごとに片づけるよりほかしかたがないという状態でありますので、御趣旨の点はよく考慮いたしまして、妥当を期するように今後とも一層努力いたしたいと思います。何か一定の簡単な標準でもあればと思うのですが、小説でありますと、ある程度あと売れるかもしれませんが、非常な時局物的な出版物でありますと、かりに著作権がありましても、すぐ売れなくなるというような場合もありますし、教科書等も相当売れるものもありますが、なくなればたちまち売れなくなるというようなことがあるわけでありまして、実際なかなかむずかしいだろうと思います。やはり今後はできるだけ出版界なり、あるいは文芸家協会等の意見も聞きました上で、妥当な結論を下すように持つて行くのがよろしかろうと思いますが、そういう点を配慮に入れまして、適正化に努めるようにいたしたいと思います。なお相続税を一時に納める場合は、やはりある程度財産を処分してもらわなければならぬ場合も出て来るのでありますが、不動産の多い場合は十年、その他の場合は五年ぐらいの延納の期間も認めておりますし、いろいろな措置を考えまして、評価の妥当を期し、相続税が円滑に納まるように努めて行きたい、御意見の点は私どももよくお聞きしまして、勉強したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/8
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009・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これは相続税と違いますが、実は小説家というのは、筆一本でものが書けるように思う人がありますが、文学者としてめしを食うということは、やはり一万人に一人ぐらいの非常に珍しい商売でありまして、数が少い。一般普通の商売と違いまして、相当長い間の手練がなければ、文士いうものはなかなか一家を保つことができないのであります。そういう点で、先日も平田政府委員から、文士が遊興した場合にこれを取材費として認めるかどうかということのお話がありましたが、これは非常に特別な状態でありまして、最近は出版界が非常に悪いので、文学者が原稿料をもらうはずであつても、出版社がつぶれてとれないというような例が非常に多いのであります。なおいろいろな点で、文士で食えない人がたくさん出て来たのでございますが、こういう点について御配慮いただけるかどうか、お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/9
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010・平田敬一郎
○平田政府委員 文士の所得計算は、御指摘の通りなかなかむずかしい問題があることは、私ども承知いたしておるのでございまして、旅費とかあるいは外に出て種をとるための費用、こういう費用をどの程度に引くか、これは実際問題としてなかなかむずかしい問題でございます。どこへ旅行をするにしても、それが全部所得を得るための経費だという御主張もございますし、中にはどうもそういうように見えない場合もありますし、なかなかむずかしいので、最近は協会等の意見も聞きまして、よほど甘い目に認定するという方向で指導しているのでございます。それにいたしましても、なおかつ所得税が全体として重いということから来る負担の重さは、私どもいたし方ないと存じておりますが、経費の見方等につきましては、よく実情に即るすように今後もできるだけ善処いたしたいと思つております。
それから所得の少い人というお話でございますが、少い人の場合でありますと、おのずから所得税が低い場合も出て来るわけでございます。従いまして特に所得の低い人に対しては、経費を多く見るか見ないか、これは結局個別的な事情の問題であろうと思いますが、よく実際を調べまして、実情に応ずるように一段と勉強いたしたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/10
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011・坊秀男
○坊委員 相続税について、平田局長に関連質問をいたします。相続財産がほとんど山林の場合、相続税を納めるためにはほかに財産がないので、どうしても材木を切つて相続税を納めなければならない。ところがこの所得に対して所得税がかかつて来る。そうすると、時期的に見て相続税と所得税とほとんど同時に納めなければならない場合が起る。しかもこのごろ山林の値段は非常に高いから、相続税において五〇とか五五とか、あるいは七〇というような税を納めなければならない。同時にまた所得税において五五とか、あるいは改正されるであろう六五というような高率の税を納めなければならぬ。このような場合に納税者は非常に困るわけでございますから、何らか救済の方法を考えていただきたいと思いますが、局長の御意見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/11
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012・平田敬一郎
○平田政府委員 山林の相続の場合におきまして、材木を伐採して相続税を納めようとするときは、所得税と相続税と両方かかつて来ることになるわけでございますが、今の税法の上からは、処分して納める場合には、今まで所得税がかかつて来ていないわけでありますので、やはり所得税を納めてもらうよりほかないのではないか。たとえば相続開始前に山林を処分して、その後相続した場合におきましては、そのようなことになりますので、これはその建前自体をくずすことはいかがであろうか。ただ物納をする場合におきましては、いかにもこれは物納したという理由で所得税を課税し、相続税の納税に当てるのは、りくつは、抜きにしまして、実情は行き過ぎだと考えます。一時は課税していたのでございますが、昨年でございますか、改めまして、物納の場合は所得税は課税しないということにいたしておるつもりでございます。なお山林につきましては、特にそういう点がございますので、年賦期間も本年度から十年に延長いたしております。利子税も普通は四銭でございますが、相続税の物納の場合は二銭に実は軽減いたしておる。そういういろいろな措置を講じまして、できる限り実情に応ずるように努めたい。それからまた山林所得自体につきましては、一時に伐採した場合に、今変動所得の平均課税という方法を認めておりまするが、これは非常に手数も多いし、必ずしも実情に即しない場合もありますので、むしろ一定率の控除を行いまして、簡易な方法で所得税の負担を緩和するように持つて行つたらどうか、そういういろいろな措置を考えまして、できるだけ全体としまして無理を少くするように努めたいと考えておる次第でございます。ただ現実に伐採した場合に、その所得税を全然納めなくてもいいということになりますのも、少しどうも行き過ぎではなかろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/12
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013・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 先ほど坊君から関連質問がございましたが、もう一つ相続税の問題についてお願いしたいのは、実はわれわれの農家は一町歩くらいの農家が非常に多いのですが、そのために、相続する場合に自分の土地を売つてしまわなければ相続税を納められないという例が相当ありまして、最近もいなかから、相続税がえらいから何とかしてもらいたいというような陳情がたびたびあつたのでございます。現在の農村の事情を見ていただくとわかりますが、農家は大きな財産家と違いまして、物納して納めなければならぬ。物納とすれば、やはり自分の田畑を売らなければならぬが、売つてしまえば生活に困るというようなことがありまして、大分そういうような問題でわれわれは相談を受けるのであります。こういう点についてもう少し評価の方法とか、率というものについて御配慮を願えるかどうか。その点について御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/13
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014・平田敬一郎
○平田政府委員 普通の農家に相続税をかけるか、かけないかということは、実は重大問題でございます。私どもといたしましては、建前としては、たとえば一町歩前後の不動産を持ち、自分の家屋敷だけを持つておるという農家には、相続税はかからなくて済むような免税点及び控除にしたいという考え方で、実はことしも、昨年まで十五万円でございましたのを、三十万円に基礎控除を上げました。そのほかに相続人がおりますと、またいろいろな控除もございますので、それこれ入れますと、四十万近くまでは相続税がかからない場合が多いのでございます。本年の当初におきましては、そこまで行きますと、大体御指摘のような一町歩前後田畑を持ち、家屋敷を持つているくらいのところでございますれば、相続税はかからないのではないかということで実は引上げたわけでございます。ただ最近土地の値段が大分毎月上りつつありまして、農地は比較的急速に上つた方かもしれませんが、最近においてなおやはり上る傾向にあるようでございまして、これでも少しきゆうくつではないかと現在でも考えております。従いましてこの次の国会には、その辺のところをよく考えまして、今御指摘のような程度の農家は、相続税に関係なからしめるような相続税法にするということで、目下いろいろ検討中でございますので、その点御了承願いたいと思います。おそらく最近皆様方に持ち込まれるケースは、昨年あるいは一昨年あたり相続開始をした者が現実に今問題になり、非常に苦しんで訴えられるものと思いますが、私どもは、そういう点は確かに従来はあつたように思うのでございます。今後はそういうことのないように、抜本的な解決をはかるように努めたいと考えている次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/14
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015・奧村又十郎
○奧村委員長 次に、漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案及び漁船再保険特別会計法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/15
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016・淺香忠雄
○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となりました両案につきましては、質疑も大体尽されたと思われますので、この際、右両案につきましては、質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/16
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017・奧村又十郎
○奧村委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/17
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018・奧村又十郎
○奧村委員長 御異議なしと認めます。
それでは漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案及び漁船再保険特別会計法の一部を改正する法律案の両案につきましては、以上をもつて質疑を打切り、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。右両案をいずれも原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/18
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019・奧村又十郎
○奧村委員長 起立総員。よつて両案は、いずれも原案の通り可決いたしました。
なおただいま可決いたしました両案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任を願います。
しばらく休憩いたします。
午前十一時十八分休憩
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午前十一時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/19
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020・奧村又十郎
○奧村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
この際、ちよつと連合審査会開会の件についてお諮りをいたします。ただいま農林委員会において審査中の農林漁業金融公庫法案につきましては、本委員会の所管とも関連がありますので、右案に関し本委員会より農林委員会に連合審査の申入れをいたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/20
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021・奧村又十郎
○奧村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお開会の日時、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/21
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022・奧村又十郎
○奧村委員長 次に昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案を議題といたしまして、質疑を継続いたします。宮幡靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/22
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023・宮幡靖
○宮幡委員 税法に対します総括質問も大体終つて参りましたが、今度の臨時措置に伴いまして、大蔵当局の御説明を伺いますと、大体証券の譲渡所得税というものは明年度から廃止する、こういうような御意向が示されております。これにかわつて証券譲渡税、あるいはかつての有価証券移転税であるかもしれません。そういうものが設けられると伝わつておりますが、現在のところどういうふうに廃止または移行せられるか、この点につきまして概要を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/23
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024・平田敬一郎
○平田政府委員 お話の点につきましては、今お話のような方向で目下研究いたしておりまして、有価証券移転税につきましても、前回廃止しまする直前の案を一番重要な資料といたして、さらにそれにどのような改変を加えるか、目下細目につきまして研究いたしておるところでございます。前の移転税は取得者と申しますか、取得者が移転税を納めることになつておりましたが、取得者の方がいいのか、あるいは売つた方の譲渡者の方がいいのか、その辺に一つ問題があるようでございます。それから税率が売買価格の千分の二ということになつておりましたが、これがはたして適当であるかどうか、そのような点につきまして目下いろいろ検討中でございますので、御了承を願いたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/24
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025・宮幡靖
○宮幡委員 株式の譲渡所得というものは非常にむずかしいもので、かなり長い間いろいろな議論がありました。二十七年度におきまする株式に対する譲渡所得税の収入見込みは、大体お立ちになつておりますかどうか。予算はわかつておりますが、実績としてどの程度になるか、お見通しでけつこうでありますから伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/25
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026・平田敬一郎
○平田政府委員 譲渡所得の方は、たくさんございまして、一緒になつておりますので、株式の分がどうかということはなかなか簡単に調べがつかないのでございますが、たしか二十六年度の課税の実績は、譲渡所得として三億円程度の査定をしていたのではないかと思います。もつともこういう調査は遅れてなされる場合もありますので、二十六年度の譲渡所得税は、今後調査の結果入つて来るものも若干あろうかと思いますが、今までの実績は大体その程度のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/26
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027・宮幡靖
○宮幡委員 ただいま日本の証券市場はまだ完全なものになつたとは申し上げかねますが、大体戦後の混乱時代がら現在までの間に、やや正常な形に伸びて来たと思います。端的に申せば、取扱いの正数においても、銘柄においても、あるいは待望の一ドル相場ができ上る。そのようなことにおきまして、新しい時代とも見るべき現在の市場の活発な動きといたしますれば、どういう意味で課税いたしましても証券の移転につきまして相当の税収がある。ただいまお話になりました千分の二とか、三とかいうような移転税をかけたといたしますると、おそらく税収の上におきましては、もちろんこちらでは十分な資料がありませんから、的確な数字を示すわけにはただいまのところ参りません。時間があればできないことはないのでありますが、大体のところで、少くとも五十億、六十億ぐらいになりそうであります。ただいま二十六年度の有価証券の譲渡所得税の収入見込みはおおむね三億程度であろうということでありますが、これは大体十倍、二十倍の税収になつて来るのであります。こういうことが、証券市場の発展あるいは民間資本の蓄積、民間投資の慫慂という面から考えて、はたして妥当であるかどうか。少くとも税率におきましては千分ということを考えるよりも、昔有価証券移転税が創設されましたときは、たしか万分台だつたと思いますが、そういうように一段階税率の考え方が違つておるではないかと思うのであります。この点についてどういう御意見ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/27
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028・平田敬一郎
○平田政府委員 宮幡さんのお話は、御意見としてよく承つておきたいと思う次第であります。ただ先ほど三億円と言いましたのは、二十六年度の課税の実績でございます。今年は年初から有価証券が立て続けに値上りしておりまするので、誠実に申告していただけるとすれば、おそらく相当な譲渡所得税があるのではないかと考えておりまするが、しかしこれは予想なり調査なりがなかなか簡単に参りにくい事情もございますので、なおその辺のところにつきましては、目下計数を取調べ中でございます。
なお税率につきましては、御意見は御意見として承つておきたいと思いますが、ただ手数料に対しまして一体どれくらいの税率になるか、その辺は私ども重要な参考資料としまして目下検討いたしております。まだその案もきまつておりませんので、今詳しく申し上げることができないのははなはだ遺憾でございますが、その程度にお願いいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/28
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029・宮幡靖
○宮幡委員 その内容につきましては、実はまだ深く掘り下げて伺いたいのでありますが、そこまで御構想が進んでおらぬというときにいたずらに質疑応答をいたしますると、またいろいろな言葉の行き違いから誤解も出るといけません。そこで御説に従いまして次の機会にいたしますが、ただ移りかわりといたしますと、譲渡所得税を廃しまして移転税式のものを設けますと、実施は大体四月一日からになり、一月から三月までの間に空白ができるのであります。これらは大体方針としてはどういうふうにお取扱いなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/29
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030・平田敬一郎
○平田政府委員 移転税は厳密な意味におきまして、譲渡所得税のかわりになるかならないか、これは理論として実は問題があるのであります。ただ実際問題としまして、心理的には確かにかわりのものと見得るところもあろうかと思いますが、理論的にそう厳密に考える必要はないのではないか。所得税は御承知の通り、みな年分課税でございまして、一月から十二月までの所得で計算して課税する。源泉課税といえども、年末調整の際にそのような計算をするわけでございます。従いまして来年度から譲渡所得税をやめるとしますと、今年の一月以後の売買の分からやめる、これは一般の通例でございまして、さしつかえないではないか。ただ移転税はその都度課税いたしますので、税法案が通りまして、実行に移してから実施する。そうしますと今のところ四月一日以降になります。そのようになりましても、別に大した不公平とか何とかいう問題はなかろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/30
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031・宮幡靖
○宮幡委員 その点はそれではつきりしてけつこうでありますが、ただそこに一つ考えなければならないことがある。移転税を創設する理論の問題で、これはまだどつちがいいかわからぬというようなお話が先ほどありましたが、移転税を設けまして、この税収を目当といたしまして、全体の財政資金の補完をしよう、こういうような御構想を持つているのか。もつと具体的に申すならば、有価証券移転税というような名前におきまして、従来の譲渡所得税よりも余分な税収を得なければならないというような二十八年度の総予算の建前におきまして考えられるのであるか、税収を確保して別に何かしなければならないということがあるのか、市場の動きによつて自然に入つて来る税で満足するのか、構想がありましたらお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/31
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032・平田敬一郎
○平田政府委員 御承知の通り、来年度の財政需要は相当の額になるようでございます。一方所得税等の負担が一般に高いから、これを極力軽減いたしたい。しかしその他で妥当な税率で課税いたしまして、収入を得得るものにつきましては、極力そういう財源を確保したいということは当然かと思う次第でございます。従いまして税率につきましてはどの程度が妥当かよく調べまして、妥当な税率の収入を確保したい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/32
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033・宮幡靖
○宮幡委員 それでは有価証券移転税のことは次の機会にお尋ねすることにして、やめます。
次に事業税に対する大蔵省の考え方、これはもちろん直接所管というわけではございませんので、それによつて方針が定まるとはわれわれ考えておりません。しかし税の大元締めでありまして、中央財政と地方財政とが一応地方自治法によりまして完全に区別されたような形になつておりますが、事実は相交錯しております。こういう事態におきまして、大蔵省の考え方が地方税である事業税その他の問題に対しまして、一つの意見になる。これはあくまでも今お考えになつている意見でございまして、決定的にこうしなければならない、こうせよという意味ではありませんが、その点につきまして二、三の問題をお尋ねしてみたい。
まず事業税は、所得税か法人税の附加税とする。これは昔の方式でありますが、この方がどうもすぐれたように考えるのでありますが、どういうふうに大蔵省は考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/33
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034・平田敬一郎
○平田政府委員 地方税につきましても、もちろん私ども国税にも密接な関係がございますので、いろいろ検討いたしておりますが、この改正は関係するところが多く、また主たる主管庁も私どものところでないという事情もございますので、あまり先走つて意見を申し上げるのは少しいかがであろうかと思います。一方地方制度調査会というものが設けられまして、最近発足したばかりでもございまするし、そのような関係がいろいろございますので、若干の意見が現在のところないわけではないのでございますが、今ここで申し上げることは差控えた方がいいのではないかと思つております。ただ法人としましては、全体として地方財政が苦しいということのほかに、財源のでこぼこが非常にはげしいように思つております。税金では独立税の課税を認めましても、貧弱なところは依然大した収入が上らない、そういうところに十分な税をとらせようとすると負担が過重になる。どのような税種によつて府県町村にとらせれば、そういうことなくしてうまく確保できるか、平衡交付金の制度は一体今のままでいいのかどうか、これはいろいろ問題があるようでございますが、最初に申し上げました通り、あまり先走つて申し上げるのはかえつて円満な解決を得る道でもないと思いますので、本日の段階におきましては、どうぞあしからず御了承願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/34
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035・宮幡靖
○宮幡委員 私の考えでは、平田主税局長は何でも知つていると思うのであります。また考えているとか考えていないなどという段階ではないと思いますが、その方が波紋がなくていいという御趣旨だと思いますから、これも極力尊重することにいたしましよう。おそらく無意見な意見がこの事業税の改正の中に侵入して参るであろうということを非常におそれております。国税的な見方と地方税的な見方というのものは非常に観察が違う。そこで何でも御承知の平田局長から何か先に教えてもらつておくと、大いにわれわれの考え方も洗練されるであろう、こういう趣旨にほかならないのであります。従つてこの際御意見もありますので、深く追究してどうという意味ではありませんが、たまたま附加価値税の廃止という問題があるわけであります。これは当分延期するということになるのかもしれませんし、あるいは廃止と決定するのかもしれませんが、実情は延期されて一ぺんも実施されない税です。そこで地方事業税に対しまして、言葉は宮幡流で適当な言葉かどうか知りませんが、附加価値税の精神を勘案した附加価値的事業税に移行すべき態勢になつているのではないかと考えるのであります。これらの点に対しましては、理論でありますから別にそれに対して今こう言つてはまずいとか、こう言うべきではないとかいうような顧慮はなく、御意見が聞けると思うのですが、どのようにお考えになつておりますか。研究の一端をぜひお漏らし願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/35
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036・平田敬一郎
○平田政府委員 附加価値税はシヤウプ勧告以来大分あちこちで議論されまして、おのずから論点は尽されているのじやないかと私は思つておりますが、理論としましては、それも一つの考え方であると思います。ただその場合におきましては、これはむしろセールス・タックスと申しますか、売上税の
一種に属すべき性質のものであつて、今までの事業税とは相当性格を異にしているのではないか、むしろそういうものとして考えるべきものじやないかと考えます。しからば日本にそれを実行した方がいいかどうかという問題については、非常に意見がわかれておりますが、現在の事業税に比べまして、実際問題としてはたして円滑に行くか行かないかということになりますと、これはまつたく私の個人的な考えですが、あまり無理して実行に移すのもはたしてどうであろうか、ことにどうしても課税標準が新しくなりまして、また府県の徴税当局が納税者と新しい課税標準という点についていろいろ折衝に当るわけでございますが、やはり初期におきましては、相当なトラブルが予想されるのではないかというふうにも考えるのでございまして、従つてこの問題については、あまり積極的になるのはいかがであろうかと今のところでは考えております。しからば事業税を今のままにしておいていいかということになりますと、ここにもまたいろいろ問題がある。そういうことになつて来ますと、地方税全体について総合的にいかように考えるかということにまで発展して来る。従つてそのような問題になると、最初に申し上げました通り、いろいろ関係するところが深くて、なおまだ私ども慎重に検討する余地がございますので、附加価値税につきましても、この際ここで結論的な意見を申し上げることは差控えさしていただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/36
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037・宮幡靖
○宮幡委員 その点はそれで了承いたしましよう。しかしながら、ここにこれからの日本の税法を見る上におきまして、重大な時期に達していることが一つあります。それは皆さんもすでに御承知だと思いますが、度々出て参りますシャウプ勧告、これはそのときにおいては私はよい教えだと思います。決してこれを排撃しようとは考えておりません。しかし長くこれが適当なものであり、いつでもあてがわれる法典であるとは考えておりません。そういう点から見ますと、今度の富裕税の廃止は決定的です。富裕税と相続税の固定資産税の網の目によつて、いわゆる所得の逋脱を防止しようとするのがシヤウプ勧告の根本であります。その一つである富裕税が廃止されますと、片びつこになる。片びつこというのは俗な言葉で当りませんが、網が切れた形になります。そうすると地方税法等におきましてもこれらの問題を勘案して、税の公平を期する上には一層の考慮が払わなければならぬ。今後税の形態としては、外形標準課税ということが強くなつて来るのではないか、こういうことを私は考えざるを得ない。たとえば現在の事業税の中で電気供給業、ガス供給業、運送業等に対しては、外形標準課税を事実上やつている。その外形標準課税は廃してほしいというのが業者の熾烈な要望であります。一々あえて聞かなくても、電気供給業、ガス供給業、運送業の性質から申しまして、これに外形標準で課税される不利ということはよくわかるのであります。しかしこうしなければならない。一方においては国税としての富裕税も廃止され、シヤウプ勧告の網の目が切れている。こういうときにおいて、事業税の方面においても附加価値税の廃止ということを前提にしてみれば、やはりここに附加価値税的な事業税、外形標準課税というものが強く出て来るのではないか、こういう問題になるのであります。この富裕税廃止と、脱税という言葉は使いませんが、所得を完全に捕捉するという網の目が破れることについて、これは国税、地方税を通じてでけつこうでありますが、今後の税法の上において大蔵当局はどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/37
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038・平田敬一郎
○平田政府委員 これは私のまつたく個人的な見解にすぎないのでありますが、私はシヤウプ勧告については、非常に進んだ、合理的な思想的な一つの税制を日本に勧告したということにつきましては、一つも疑問の余地はないと思つております。私昨年大分旅行しまして、世界のあちこちの相当有名な学者にも会いましたが、シヤウプ博士のグループだけでなく、大体口をそろえてそういうことを言つております。ただ遺憾ながら、私よく考えてみますと、日本の現状からして少し進み過ぎていると申しますか、やつてみてそこが一番問題が多かつた点ではないか。日本の経済の発展あるいは納税思想、国民全体の社会的なレベルというものに対して、どうも少し進み過ぎた税制であつたということは同時に考えざるを得ない。従つてこの際ある程度後退でありましても、でき得る限り実情に即応するように改正を加えるのがいいのではないか。従つて附加価値税についても、かような見地からいつて理論上りつぱであつても、あまり無理すると、また問題が起きてやめるようなことになるのでは、慎重に考えたらいいのじやないかという感じを持つております。しかしこれは税制としては非常にりつぱなものだと考えますので、むしろ将来のゴールと申しますか、いずれ日本がだんだん進歩して参りますれば、そのときにシヤウプ勧告通りやつても、世界で最もすぐれた税制を持つ国になるのじやないかと思いますが、税制は国民にどうしても消化されなければならぬということが大事なことでありますので、漸を追うてやつて行くということにならざるを得ない。これは私の若干の個人的な反省といたしましてお聞き取り願いたいと思いますが、理論的には大分いやな思いをして改正している点もたくさんありますけれども、そういう考え方からすればやむを得ない、将来はさらにだんだんよくするということに持つて行きたい、こういう気持でありますことを御承知おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/38
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039・宮幡靖
○宮幡委員 これは個人の御意見として伺つても傾聴に値するものであると私は信じます。それ以上この問題は聞きません。
そこで税の全体からみまして、これは二十七年度の補正予算に伴う臨時措置、来年度の税制の中にやろうといたします基礎控除の引上げ、その他の措置をやるということなので、問題はありません。しかしこれは当然二十八年度に尾を引いて参ります。そして二十八年度の全体の税収と申しますか、国の歳入というものを勘案して参りますと、従来のような楽観的な自然増収などというものは考えられないのであります。現在の補正予算をめぐりましても、野党といわず、自由党の中においてさえ相当の修正の意見もないわけではありません。しかしながら、それが恒久継続的の財源でなくて、一時的の財源によりまして恒久継続的な支出に充てようとするところの構想か、これは個人宮幡に限らず、どなたが申しましても非常に間違つたお見通しではないか。私経済においても公経済においても同じことであります。今貯金があるから使つて物を買う、あと買わなくてよいものであるならば、これはもちろんその人の嗜好と自由とによつて行うことは随意であります。しかし今は蓄積があるからといつても、それが継続的な財源を要求する支出であるならば、大いに考えなければなりません。しかも歳入といたしまして、現在の税制をそのまま推進すると仮定いたしました場合に、もはや来年度におきまして、税の自然増収などということを考える余地がなかろうと考えておりますが、この点につきましての二十八年度の予算編成の御構想も、それぞれ政府の方面では御検討が進められている。でありますから、はたして従来のように水増しだとしかられながらも、自然増収をして、苛斂誅求の取立てと言われても自然増収をあげて来た。一面におきましては二百三十億の減税も、平年度におきましては約八百億の減税になる。自由党は一千億の減税の看板を下げろと言われますけれども、皆さんほんとうに聞いてください。二十七年度補正予算におきます二百三十億の減税措置は、平年化すれば七百九十七億、約八百億と称していいのでありまして、かねて発表いたしました貯蓄国債の減税措置があわせ行われたといたしますならば、平年度におきましてりつぱに千億以上の減税が行われている。これを否定することはできないであろうと私は思う。しかしこれは議論でありまして、実際におきまして来年度からの税収か——本年度あたりまで、幸いにいたしまして二十五年、二十六年と自然増収の形でありました税が、このままの傾向で行くかどうか、産業経済その他の実態を概略検討いたしましても、自然増収にあらずして自然減収という危険さえあるではないかと思いますので、これらの点につきまして、税法に関します総括的な質問を終る立場において、一応今までのお見通しを伺いたいと思います。
〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/39
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040・平田敬一郎
○平田政府委員 ただいまのお話は、実は来年度予算に関連しまして、目下慎重にいろいろな角度から検討しているところでございます。今年の補正予算の関係は、すでに年度半ば過ぎておりまして、実績も相当出ておりますので、自然増収ということもおのずから見当がつく。私どもも今度計上しておりますが、決してこれは自信のないものではなくて、半年を過ぎました結果でも大体予想がつく。来年度となりますと、これは来年の四月以後のことでありまして、一体経済界の状況がどうなるか、賃金水準等が今まで上つて来たのが、どの程度まで上る傾向をたどるか、それに伴いまして、一体国民の消費がどのようになつて来るか。また法人の場合でございますと、企業の収益がどういうふうになつて行くか、そういうことにつきまして、ある程度の今までの実績に基いて見通しを立てなくてはならぬ、こういうわけでございまして、なかなか簡単な問題ではございません。ただ私どもとしましては、朝鮮動乱後法人の企業が非常に膨脹しまして、それに伴つて今年になつてから国民の生活が好影響を受けて、相当顕著に向上しておる。私個人的でございますが、全体としましてはそう思つております。しかしこの傾向が今後どうなるかということになりますと、これはなかなか簡単な問題ではない。それはまた政府としましてどういう政策を行うかにも依存して来るわけで、見通しはなかなかむずかしいのでございますが、願いますところは生産も若干は上り、給与なり消費も若干ずつ上りまして、同時に資本の蓄積も行われて、経済がさらにうまく行くということを願望しておるわけでありますが、願望だけでは行きませんので、よくひとつ考えまして、自然増収の見積り等につきましても適正を期したい。少し所得がふえますと、先般も申し上げましたように、税はある程度の増収が期待できるわけでございますので、七千億前後の租税収入の予算でございますから、一割ふえれば七百億、五%ふえても三百五十億、タバコを入れますと約八千二、三百億でありますので、一割くらいふえれば相当の増収になるかと思います。しかしその辺はいろいろ問題がございますので、目下実は慎重に来年度の予算と関連しまして、検討いたしておりますところでございますことを御了承願いたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/40
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041・宮幡靖
○宮幡委員 むずかしい話でありますから、それ以上は伺いません。
最後にただ一点簡単にお答えをいただきたいのは、日米租税協定が現状どこまで行つておるか、これを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/41
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042・平田敬一郎
○平田政府委員 日米租税協定につきましては、本年の一月、こちらから人を派遣しまして向うで予備交渉をやりまして、大体の基本的なところをまとめましたので、今年の九月に人を派遣しまして、細目につきまして大体案をまとめる段階まで参つたのでございます。なお若干の点につきましては問題の点が残つておりますが、この問題は遠からず調印できまして、この次の国会には、できれば条約案としまして提出する運びに持つて行きたいということで、目下いろいろな角度から検討しまして、取進めつつあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/42
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043・淺香忠雄
○淺香委員長代理 午前中はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。
午後零時八分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504629X01419521215/43
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