1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十一月二十七日(木曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 坪川 信三君
理事 小金 義照君 理事 河野 金昇君
理事 今澄 勇君 理事 永井勝次郎君
大倉 三郎君 大島 秀一君
高木吉之助君 辻 寛一君
中峠 國夫君 福井 順一君
宇田 耕一君 山手 滿男君
伊藤卯四郎君 山口シヅエ君
田中織之進君 木下 重範君
出席政府委員
通商産業政務次
官 小平 久雄君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 石原 武夫君
委員外の出席者
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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十一月一三日
委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
永井勝次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
委員木下重範君辞任につき、その補欠として風
見章君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員風見章君辞任につき、その補欠として木下
重範君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
永井勝次郎君が理事に補欠当選した。
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十一月二十二日
公共事業令失効に伴う特別措置に関する請願(
越智茂君紹介)(第三六号)
電気設備等の復元に関する請願(川野芳滿君外
五名紹介)(第五〇号)
中小企業等協同組合法の一部改正等に関する請
願(山下春江君紹介)(第一三六号)
の審査を本委員会に付託された。
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十一月十二日
電気設備等の復元に関する法律制定反対の陳情
書(第
七五号)
同(第七六号)
同
(第七七号)
中小企業等の振興に関する陳情書
(第七八号)
旧香里火薬製造所の復活反対に関する陳情書
(第七九号)
同月十四日
日中貿易促進に関する陳情書
(第一七一号)
産業活動活発化に関する陳情書
(第一七二号)
賠償解除国有機械類処分に関する陳情書
(第一七四号)
電気設備等の復元に関する法律制定の陳情書
(第一七五号)
電気料金の地域差撤廃に関する陳情書
(第一七六号)
火力発電用炭に対する政府補給金制度の設定等
に関する陳情書
(第一七七号)
只見川電源地帯開発に関する陳情書
(
第一七八号)
東北地方の電力施設強化に関する陳情書
(第一七九号)
東北地方の電源開発と国有鉄道電化促進の陳情
書(第一八〇
号)
同十九日
営業用乗用自動車の計画輸入に関する陳情書
(
第二四五号)
営業用乗用自動車の輸入促進に関する陳情書
(
第二四六号)
バス、トラツク輸入に関する陳情書
(第二四七号)
鹿児島県金鉱山助成に関する陳情書
(第二四八号)
本流案による只見川電源開発促進の陳情書
(第二四九号)
只見川の電源開発早期実現に関する陳情書
(第二五〇号)
電源開発の促進等に関する陳情書
(第二五一号)
電気設備等の復元に関する法律制定反対の陳情
書(第二五二
号)
同(第二五三号)
同月二十一日
電気事業法の制定に関する陳情書
(第
三六〇号)
中央卸売市場法改正に関する陳情書
(第三六一号)
本流案による只見川電源開発促進の陳情書
(第三六三号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
理事の互選
参考人招致に関する件
電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案
(内閣提出第三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/0
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001・坪川信三
○坪川委員長 これより会議を開きます。
本日の日程に入ります前にお諮りいたします。去る十一月十一日理事永井勝次郎君が委員を辞任され、十三日再び委員に選任せられました。つきましては永井勝次郎君を再び理事に選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんかり
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/1
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002・坪川信三
○坪川委員長 御異議なければさよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/2
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003・坪川信三
○坪川委員長 それではこれより電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案を議題といたし、質疑に入ります。質疑の通告がありますから、順次これを許します。高木吉之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/3
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004・高木吉之助
○高木(吉)委員 本法案は臨時措置法で、やがて本格的法案の提案を予想しておるのでありますが、本法案の暫定期間をどのくらいに予定しておられるか。また恒久立法に対していかなる構想を持つておられるか、さらに旧公共事業令中、現状に対し最も不適当と考えられるおもなる点はいかなる点であるか、右についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/4
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005・石原武夫
○石原(武)政府委員 お答えをいたします。御質問の第一点の暫定期間につきましては、われわれといたしましては約一年間の猶予をいただきまして、その間に本法律案にも出ておりまするが、通産省に法律改正の審議会を設けまして、民間等の意見も十分参酌いたしまして、次のと申しまするか、明年の暮れから始まる通常国会の当初までに成案を得て御提案をしたいというふうに考えております。
第二の御質問は、新しく法案をつくります場合における問題点ということかと思いますが、現在は御承知のように公共事業令ということで、電気、ガスについては一本の法律で規定しております。もちろん内容によつて個々の規定が設けられている点もございますが、一本の法律となつておりますので、その点について法の体系といたしましてもわれわれといたしましては気とガスとわけて、おのおのその特性に応じて立案する方が適当ではないか、また現在旧電気事業法等を公共事業令で準用をいたしまして、保安の規定が全然別個の古い規定でそのまま残つておりますが、これらにつきましても、保安につきましては別個の規定、三本建にすることがあるいは適当ではないかということで研究をいたしております。さらに内容につきましてはいろいろ今後研究をいたさなければならぬと思いまするが、たとえば地域独占の規定が現在ございます。これがはたして現在の規定でよいか、あるいはそれに何らかの例外を設けることがよいかどうか。それから現在の水火力調整金等の制度についてさらに再検討し、今のままでおきますか、あるいはその辺を何か別の考え方を入れて行くかというような点につきまして十分検討をして行きたいと思つておりますが、まだ現在のところはつきりした結論を出すまでには至つておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/5
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006・高木吉之助
○高木(吉)委員 この二つの法令は十月の二十五日から効力を失つたのでありますが、その間における臨時的な措置はどういうふうな方法をとつておられるか、お尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/6
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007・石原武夫
○石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましてお答えを申し上げますが、概括的には行政指導によつて、原則としては公共事業令等で許可認可等を要しますような事項につきましては、あらかじめ当局の承認を受けるように処置をいたしておるわけでございまして、事実上におきましては、対事業者との関係におきましては、従来の法律がありましたとほぼ同じような行政指導をいたしております。
そこで問題になるおもな事項について申し上げますと、第一には料金の問題でございます。料金は御承知のように認可制になつておりまして、現在認可制の料金がそのまま継続しておるわけでありますが、公共事業令が失効いたしましたので、まつたく政府の規制がないわけでありますから、これは事業者によく指示をいたしまして、従来の通りの料金をそのまま維持するということにいたしております。
それから第二番目には、電力の制限等を行わなければならぬ事態に近ぐ—あるいは現在多少そういう部面も出ておりますし、近く当然そういうようなことが予想されるわけでありますが、さような面につきましては、従来は公共事業令に基きます規則によりまして、これを実施して参つておつたわけでありまして、先般すでにその規制の告示等も出ておつたのでありますが、これも今後は法的な効力がございませんので、現段階におきましては政府の指示によりましてこれを実施して行きたいというふうに考えております。その根拠といたしましては、供給規定の中に、法令または行政官庁の指示によつて制限をすることがあるという規定を置いておりますので、その私契約を根拠にいたしまして政府で電力会社に規制の内容の指示をいたして、その指示に従いまして、その供給規定を基礎にいたしまして会社が規制をして行くということに相なります。従いまして法的な根拠はございませんので、これに違反をいたしても罰則がかかるということには相なりません。ただ私契約であります。供給規定違反ということに相なりますので、極端な場合を考えますと供給を停止するというようなところまで行き得ると思いますが、これは各需用家に、会社からさような規制の内容を示して、御協力を願つて行きたいということで考えております。ついでに申しますと、現在は今申しましたような政府の指示で規制しておりますところはございません。ただぼつぼつ水の状況が悪くなりまして、何らかの措置を講ずる必要がありますので、現在ではたとえば東京でも一部やつておりますが、事業者が自主的に各需用家に協力を要請してやつておるような状況であります。ただごく最近東北におきましては、二十五日から地方の通産局がある程度の指示をいたしまして、規制をいたす予定にいたしておりましたが、二十五日から雨が降つて参りましたので、これはまだ実施に移しておりませんが、近くさような段階にどうしても入つて行くのではないかというふうに考えております。その場合はただいま申しましたような、中央あるいは地方の当局から会社に対して規制の内容を指示いたしまして、それに基いて会社を通じて規制して行く形に考えて行きたいと思つております。
その他会社の経理等につきましては、今まで相当厳重な監督規定を置いております。これはもちろん法的効力はなくなりますが、対会社との関係におきましては、通牒等によりまして、法令があつたと同じような運用を現在行つておりますので、その点は支障がないように思います。
なお会社の経理に関する問題の一つといたしまして、公共事業令の中に社債の一般担保に関する規定がございますが、これが失効いたしております関係上、現在出ております社債は無担保という形になつております。なお二十四日以後本公共事業令が失効いたしましても、十一月の社債は発行いたしておりますが、その場合には無担保ということで実は発行されておりまして、社債発行としては非常に不利益でありますし、まつたく困つた事情になつております。これは関係の方々の御協力を得まして、現在まではまだ社債の発行につきましても一応計画通りの発行をいたしております。無担保の社債は形式上は問題でありますが、実際上は電力会社が破産するというようなことがない限り、一般担保社債の規定がなくても実害はないと存じますが、今後引続きまして社債を発行するという場合におきましては、いかにも無担保ということは、募集をいたします場合にも困難でありますので、その面からは関係の銀行等からもできるだけ早く担保付に直すように処置をしてくれという強い要望を受けておるような次第であります。その他こまかい点につきましてはいろいろございますが、問題として取上ぐべき事項としては以上のような処置で現在までのところほぼ問題なくやつておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/7
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008・高木吉之助
○高木(吉)委員 電気事業は昨年五月一日各地域に独立採算制の発送配電一貫経営の九電力会社が発足して一年半たつております。その間において株券もそれぞれ株主の手に交付された模様であるが、現在再編成業務中残務となつておるものはどのような仕事か、またすべてを終了するにはどれほどの時日を要する予定でございますか、その点についてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/8
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009・石原武夫
○石原(武)政府委員 ただいまの再編成関係の残務でございますが、会社自体の再編成は御承知のように済んでおるわけでございますが、なお再編成をいたしました関係で不動産の登記が実はまだ済んでおらぬ状況であります。それで今回の法案におきましては、再編成令は原則として全面的に準用をいたしておりませんが、現在必要な事項については今回の法案にも引用をして、なおその効力があると申しますか、その例によるという規定を置いておるわけであります。それは一つは再編成の関係で、各会社が取得いたしました不動産についての登記が完了いたしておりません。それの登記については免税の規定がございますが、その規定を今回も生かすような措置をとつております。これは非常に件数が多いものでございますから、登記所の仕事の方の能力の関係もございますし、また会社の方のさような点もございますので、まだ済んでおりません。現在までのところこれらの関係は七五%くらい済んでおるというふうに大ざつぱに言つてさしつかえないと存じます。
それから同じ登記に関係しまして、官庁の嘱託登記という簡便な方法がございますので、これもいまの登記と関係いたしまして今度の法案でさらに引用をいたしておりますが、この二つが現在残務として残つておるわけであります。なお日発の清算がまだ現在全部完了しておりません。大部分は済んでおりますが、まだ多少処理をするような財産がございますので、これは今のところいつ済むか、いずれ取調べて御返事申し上げたいと思います。大部分は済んでおりますが、一部残つておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/9
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010・高木吉之助
○高木(吉)委員 次に法案の内容についてお尋ねいたします。審議会の構成でありますが、附則5によりますと、新立法のために通産省内の電気及びガス関係法令改正審議会を置くということになつておりますが、その会議の大体の構成員の数と人選方法等についてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/10
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011・石原武夫
○石原(武)政府委員 お手元に参考資料として「電気及びガス関係法令改正審議会設置要綱の概要」というのがお届けしてあるかと存じますが、それにも今御質問の点を掲げてございます。これは一応試案でございまして、もちろん政府として御決定を願つておるところまで参つておりませんが、現実にわれわれが考えておりますところの範囲内でお答えをさしていただきたいと思います。通産省に法律改正の審議会を設けまして、その構成としては一応事務次官を会長といたしまして委員には電気事業者、これはいわゆる九電力会社のほかに県営の電気事業もございますので、県営の電気の方も出ていただきますし、また自家発電もありますので、自家用のものもここに含めてそれらの代表となるべき方に委員になつていただごうと考えております。その次には電気使用者、これは需用者でございます。それからガスにつきましてはガス事業者、ガス使用者、それから一般の広く学識経験者、それから先ほど申しましたように地方公共団体、これは別に書いてありますが、これは主として県営電力をやつておられますので、そうした関係も当然法案の適用を受けますので、それらの意見も聞くということで地方公共団体の代表の方、それから関係官庁ということで、現在のところは約四十人くらいで構成をしたらどうかというふうに考えております。なお必要の範囲内におきましては専門委員ということで専門の方々もおいでを願つて十分審議をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/11
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012・高木吉之助
○高木(吉)委員 次にお尋ねいたしますが、公共団体の株券の取得の方法でありますが、旧再編成令第八條は今回の法案では削除されておりますから、国または地方公共団体は今後電力会社の株券を自由に取得することができることになつておる。これに対して弊害を生ずることはないか。また旧令ではこれを禁止しておりますが、その理由はどういうところにあつたのでありましようか、その点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/12
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013・石原武夫
○石原(武)政府委員 旧令におきまして公共団体が電力会社の株を新しく取得することを禁止する規定があつたのでありますが、今回はその規定は準用いたしませんで、今お話のございましたように、公共団体も電力会社の株を持ち得るというふうにいたしたのであります。まず第一に従来電気事業再編成令にさような規定が入りました趣旨につきましては、当時私関係しておりませんでしたので詳しくは存じませんが、そのころは司令部の非常に強い要請があつてさような規定が入つたというふうに聞いております。元来公共団体が株を持つに至りましたのは、日発、配電の統合の結果出資をいたしました関係で持つことに相なつたのでありますが、公共団体が民間会社の株を持つ、電力会社の株を持つということは、公共団体のインフルエンスが不当に電力会社に及ぶおそれがあるのだという趣旨で多分あの規定が入つたのだと思います。しかしながら現在すでに従来の関係で公共団体におかれては株を持つておられます。先般会社が増資をいたします際におきまして、公共団体が割当てられた部分を持つということは経済上当然であると思いますので、それらを禁止する理由はないのじやないかと思います。また今後公共団体がさらに新しく電気事業の株の持たれても、それによつて別に弊害を生ずるということもないと思いますので、特にかような規定を存置する必要はないという考えで引用しなかつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/13
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014・高木吉之助
○高木(吉)委員 旧公共事業令の第八十五條によりますと、事業会社の従業員が電気及びガスの供給を正当の理由なくして取扱わず、または不当の取扱いをしたときは、三年以下の懲役または五万円以下の罰金に処せられるということになつておりますが、もしこの事業会が復活されますならば、今回の電産のストというものはこれによつて処罰することができるか、それとも正当の争議行為は、この八十五條というものは適用することができないのか、この点をお尋ねいたしますとともに、さらに今後の新しい立法にあたりまして、停電ストを防止するというようなことに対しまして、何らかの措置をお考えになつておるか、この点について御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/14
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015・石原武夫
○石原(武)政府委員 まず第一にお尋ねの第八十五條がかりに有効であるとして、今回の電産ストの関係でありますが、八十五條は今お話がありましたように、正当の理由なく云々というように書いてありますが、正当の労働行為であれば当然これの適用外に当るのであります。不当な労働行為が行われた場合に、初めて八十五條が問題になるということでございますが、今回の争議の中に不当労働行為があるかないかによつて、この規定の適用があるかないかということになるわけであります。そこでお尋ねの停電ストは、違法な労働行為であるかどうかという点がいろいろ問題になるわけでありますが、従来昭和二十五年の当時におきましては、政府としては停電ストは違法の行為であるという解釈をいたしておりまして、それに基いてさような事件が起きた場合に告発をいたしております。しかしながらそれらの事件につきましては、刑事事件になりましたものについては、ほとんど無罪の判決がございましたので、現在におきましても停電行為が違法な労働行為と認むべきやいなやについては、実は政府部内でも現在のところはつきりいたしておりません。従いまして今のお尋ねについてはつきりしたお答えを申し上げかねるのではなはだ恐縮でありますが、不当労働行為であるということになりますれば八十五條違反になりますので、この規定が有効でありますれば当然これは違反行為を形成し得ることになります。さような判決等の例によりまして—停電ストも個々のケースによつては判例でありますので違うかと思いますが、判例に無罪になつておるようなケースでありましてその判決が正しいといたしますれば、たとい八十五條がありましてもこの規定の違反にならないというふうに相なると思つております。
それから次の新立法の際に停電スト等についていかように扱うかというお尋ねでございますが、新立法の点につきましては、なお今後十分各方面の御意見を参酌いたしまして考えたいと思つておりますので、今の、新立法と離れましても停電ストをどうするかという点につきましての扱いについては、非常にむずかしい問題で、ございまして、ちよつと事務当局の方からお答えいたしかねるのでございます。今後十分研究をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/15
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016・高木吉之助
○高木(吉)委員 今後の電力行政のあり方でありますが、独立回復間もない電気、ガスの主務官庁を通産省に移して、電気事業の再編成をやつた公益事業委員会を廃止したことは、今後の電力行政のあり方、企業形態について再検討を必要とすることを物語るものと思うのでありますが、今後の事業は自由放任かあるいは統制を強化せられるか。現在の電気事業は国家管理から解放されて、自由企業に移されたとはいえ、その公共性の強いためにいまだに事業の自主性が与えられることがはなはだ少いのである。旧公共事業令を見ても、許可、認可事項があまりにも多く、事業者の自主性はほとんど顧みられていない。また旧公益事業委員会の業務も事業者と需用者間の調整にあると称しながら、実際は事業者の指揮に終始していたようであります。政府は今後電気事業に対して公益性と私企業的採算性のいずれを重視するおつもりであるか。従来の許可、認可事項を大幅に縮小して、自由企業の色彩を一層濃厚にする方向に導くのか、それとも電気事業の公益性の重大さと電力不足の現状とにかんがみまして、あくまで統制強化の方針を進めるか、その点についてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/16
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017・石原武夫
○石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねはいずれ新立法に際しますまでに十分検討いたしたいと思つて、各方面の御意見を拝聴いたしてきめたいと思つております。一応お尋ねがございましたので、私個人の見解を述べさせていただくことをお許し願いたいと思います。
ただいまお尋ねのございましたように、再編成ができましてから、一応独立採算という形にはなつておりますが、まだ御承知のように追加調整金がございますとか、一部につきましては電力会社相互間に経理上も全然独立採算という程度までには至つておりませんし、料金も認可制をとるということで、もとよりこれをまつたく自由にまかすということは公益事業であるという観点からいつても不可能であろうと思います。そこで公益性と自由性とどちらを尊重するかというお尋ねにつきましてはお答えがむずかしいのでございますが、公益事業という以上は公益事業として必要な監督はやはり今後といえどもやつて参らなければならぬと思いますので、かような見地から必要な統制と申しますか、許可、認可等の規定は存続をいたしたいと思います。ただ現在の公共事業令によりまして、は、お示しのように少し細部に入り過ぎております点もなきにしもあらずというふうに考えられますので、その辺につきましては新立法をする際に、できるだけ必要な監督はやめて行きたいと考えおります。われわれが現在運用いたしておりましても、電力会社が借入金をいたします際に全部許可をいたしております。かような点はむしろ会社の首脳部にまかせて政府が一つ一つ関与するほどのことはないのではないかと考えておりますが、さように個々の事項につきましては十分検討して不必要な統制は解除いたしたいと思いますが、これを今大幅に許、認可を削除するということははなはだ困難ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/17
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018・高木吉之助
○高木(吉)委員 現在の電気の供給区域は独占だということでありますが、今後ともそのままこれを行つて行かれるつもりか、それとも十分供給を認めて、自由競争を認められるのであるか。特に大口需用家の重複供給あるいはまた山間僻地等の未点燈の地域におきましては、単独事業をお認めになりますか。この点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/18
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019・石原武夫
○石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねの点も、今回法律案を改正いたします際の非常に大きな論点の一つになる問題でございまして、ちよつとただいま結論を申し上げかねるわけであります。現在の法律は、御承知のように、未点燈地域の独占を明確にうたつてありますので、まつたく一機関の独占になつておるわけでありますが、電力事業の歴史を見ますると、競争を認めることが適当だということで、東京、関東あたりでは、二大電力の非常な争奪戦が行われたという時代もございまして、確かに独占の弊害がございまするが、かつて競争をやらした場合の結果を見ましても、これはまた必ずしも非常によろしかつたというわけでもないのであります。一時競争が非常に激烈に行われましたが、結局は東京府におきましても、市におきましても、当事者間の妥協がついて競争がなくなつた。一時的な競争が行われたことはございますが、それが継続的に行われるということでなく、やはり電力会社といたしましても、不当な競争によつて非常に打撃を受けて、結局は何らかの妥協によつて競争を排除したというような結果になつておるようでございますから、たとえば独占に例外を設けるといたしましても、あまり大幅にやりますと、二重供給ということにもなりますし、よほど慎重にやらなければならぬと思いますので、今のところ、まだ大口につきましても結論を持つておらぬようなわけであります。
なお小口につきましても、今お話がございましたが、これは従来までについて申し上げますれば、電力会社が十分に供給ができないというような地域—現在でも離島等については、さようなことを行つておりまするが、特殊な地域については、ある程度の例外を考えることも必要ではないかというふうにも考えておりまするが、この点につきましても、今後十分研究をさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/19
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020・高木吉之助
○高木(吉)委員 最後に、本年度の本格的な渇水期におけるところの電力の見通しについて、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/20
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021・石原武夫
○石原(武)政府委員 本年度の下半期渇水期にどの程度の状況になりますかは、もつばら水の状況いかんによりますので、的確なことはもとよりお答えいたしかねます。本年上半期は非常な豊水に恵まれておりまして、全国平均をいたしましても一割二分程度の豊水であつたわけでありますが、この十月以降は水の出水の状況は必ずしもよろしくございませんで、平水を下まわるような状況でございますので、この下期にはたしてどの程度になるかはちよつと予測がつきません。長期の天気予報等を見ますると、必ずしも状況がよろしくないように伺つておりまするが、もしかりに平水であるといたしましても、やはり下期におきましては、たしか一割弱くらいの需給のアンバランスを生ずる予定でございまするので、ある程度の規制はやむを得ないのじやないかというふうに考えております。
なおただいま資料等を持つておりませんが、もし必要がございますれば、一応数字をあげて詳細に資料にでもして、この次の機会に差上げることにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/21
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022・坪川信三
○坪川委員長 山手滿男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/22
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023・山手滿男
○山手委員 私は簡単に三点、次官及び局長にお聞きをしておきたいと思います。この暫定法が出されましたのは半年も前だつたと思いますが、電気事業再編成令及び公共事業令が平和條約の効力発生の日から六箇月をもつて完全に効力を失うことがわかつておつて、その当時政府側の方からも、それに対処する立法をして出て来る、今日見られるような、法律が全然ないという状態を防ぐ意図に出ておられた。ところが私どもの方は、そういう事態が起きているくトラブルもあるであろうから、早急に根本的なものをつくつて国会に出すべきではないかということを言うておつたのでありますが、何の理由かわからずに与党側によつて伏せて来られた。そうしてとうとう無法律状態に電気産業がさらされてしまつたのであります。こういう事態についての与党側の今日までの見解なり立場なりを、政務次官から少し御説明を願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/23
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024・小平久雄
○小平政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話がありました通り、公共事業令及び電気事業再編成令が失効になり、無法律の状態に立ち至りましたことにつきましては、まことに遺憾に存じます。政府といたしましても、御承知の通り第十三国会におきまして、その有効期間の伸長に関する法律の提案を申し上げたのでありますが、不幸にして議決に至りませず、継続審議ということに相なつておりました。ところが第十四回国会が開会早々にして解散になりましたような関係で、遂に廃案となつてしまつたわけであります。そこで政府におきましても、衆議院の解散後に招集になりました参議院の緊急集会に提案をしたならばどうかということも研究いたしましたし、あるいは別に緊急集会にかけたらどうかということも研究をいたしたのでありますが、総選挙が十月一日に行われ、両令の失効が十月二十四日ということでございましたので、この間に相当の期間はあるという関係からいたしまして、はたして緊急集会に提案することが適当かどうか、その緊急性ということが認められるかどうかということにつきまして、いろいろ研究いたしたのでありますが、むしろ新しい国会に提案することが妥当ではないかという結論に達しましたので、この十五国会開会早々に提案を申し上げたような次第でございます。お話の中に、これらの法律を新しくして提案してはどうかというお話がかねてあつたそうでありますが、先ほど公益事業局長からお話申し上げました通り、これらの新しい法律は、その内容におきまして、新しい立場において、現在の事態に即応するようにあらゆる衆知を集めてやる必要があるという関係からいたしまして、今回はとりあえずただいま御提案申し上げているような臨時措置の処置に出たわけでありますので、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/24
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025・山手滿男
○山手委員 次官から御説明がありましたが、その間のいきさつは、例の公益事業委員会と政府との間の意見の食い違いそのほかがあつて、実際には公共事業令の改正そのほかも七月の終りに行われております。やろうと思えば当然やり得たこの法律が今日ここまでほつたらかしにされて来ているし、また現在こういう事態がある。特に現在起きている事態は、電気事業にとつてはたいへんな大騒動でありまして、当然予測されるであろう事態であつたわけでありまして、これはどうひいき目に見ても、政府与党の責任は免れることはできないのだと思うのであります。ところがさつきからの石原局長の御説明を聞いておりますと、恒久的なといいますか、現在の事態を収拾するような根本法については、まだ一年くらい研究をして一年くらい先に提案をして来ようというようなお話であります。私は十三国会のときにも、この問題の提案理由の説明をされていろいろ議論をしかけた当時、まあまあゆつくりしてくれという与党側の発言に対して、私どもは今日のこういう事態が起きるのではないかということは、もう言つておつたのであります。しかしそのままに伏せて来られて、しかも今日年末を控えてこういう事態が起きておりながら、さらにもう一年先に問題を持越して行こうという政府の意図は、私は了解に苦しむのです。おそらく年末から二、三月にかけては、来年も同じような事態か起きる、その事態のまつただ中に再びこういう提案をして来て、事態をさらに紛糾さすような結果になるであろうと私は思うのでありますが、その点について次官はどう考えるか。一年もまだ延ばしておくつもりであるかどうか、この点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/25
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026・小平久雄
○小平政府委員 現在行われております電産スト、こういつた事態は当然予想されたのではないか、それにもかかわらず新しい法案の提案が遅れて無法律状態にあつたことは遺憾だというお話だと思いますが、電産のストにつきましては、御承知のようにこの法律が有効であつたら起きないとか、なかつたら起きておるという関係ではないと思うのであります。また公共事業令と電産ストの関係につきましても、特に問題になりますのは、先ほどもお話のありました第八十五條でありますが、その関係だと思うのでありますが、これにいたしましても、直接スト自体を目当にしてつくられたものではないと存じます。かようなわけでございますので、本法令が無効になつておつたということと、電産のストとは直接の関係はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。また今後つくられますところの法令にいたしましても、これはむしろそういつた争議関係とは別個の立場でつくらるべき性質のものであると考えます。なお内容につきましてはいろいろ検討する点がございますので、相当の期間をいただきたいものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/26
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027・山手滿男
○山手委員 今の次官の御答弁はちよつとおかしいと思うのです。今お話が出た八十五條で、いわゆる不当労働行為であるかどうかというふうな問題、あるいは先般司法当局において無罪になつた停電スト、電源スト、こういうものに対する事態を恒久法において疑義なからしめるように国民が要望しておることは事実であります。これをやらずして恒久法を出すとか何とかいうことは意味がなくなる。全国の中小企業者は、この停電によつてこうむつた損害に対して、政府はどういうふうに償つてくれるのかという要求をしておる。全国の主婦たちは十一月後の電気料金はもう払わないと言つておる。こういう問題について政府はどう対処して行くのか。やはり見解を明らかにして行かなければならない。それでこういうように当然効力がなくなつておる事態でありますから、ほんとうの恒久法、実体法を通じて、政府が態度を明らかにし、電気産業のあり方を明示して行くことは、そういう全国の中小企業者や主婦たちが心配しておることに対する大きな示唆を与え、解決点を教えてやることになるだろうと思うのでありますが、今の次官の御説明によると、何らそういう問題には触れて行かないのだというようなことで、関係ないというような御説のように聞えるのですが、その点についてもう一ぺん御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/27
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028・小平久雄
○小平政府委員 お答え申し上げます。先ほども申し上げましたように、電気事業法なりガス事業法なりその内容となりますものは、私は直接には労働争議関係、それを取扱うものではないという意味において申し上げたのでありまして、旧公共事業令の八十五條におきましても、これは単に公益事業に従事する者が云々と書いてあるわけでありまして、争議を予想して書かれたものではなかろうと思う。むしろ争議自体として考えますならば、労働関係法令の改正という方向に行くのがよろしいのではないかというふうに考えるのであります。なおまた停電ストというような問題につきまして、各方面において非常に御迷惑を及ぼしておるということは万々承知いたしておるのでありますが、これらの対策につきましても、現在のところにおきましては、その影響がなるべく少くて済むように、こういう面で対処いたす以外には通産省の立場から申しますとないというようなかつこうになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/28
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029・山手滿男
○山手委員 私は電気産業の関係法規というものは、さつき御説明のありました関係法令改正審議会設置要綱に出ておりますが、委員の構成なんかも電気事業者、それから使用者、公共個体、関係官庁とか、経験者とかいうようなものを入れてこの審議会を構成されるような御趣旨があるようでありますが、公益事業という性格は、使用者である一般大衆、需用者側の立場を非常に尊重しなければいかぬというのが、公益事業の特殊性であろうと私は思うのでありますが、新聞なんかにも報道しておりますきようあたり起きている事態は、主婦などが相当なのろしをあげているために、家庭には野放し送電をする。そうすると大口の企業に対しては電力を抜打ち的にどんどん止めて行くという事態が起きる。溶鉱炉なんかを持つておるところで、現実に何百万円ぐらいかの原料がふいに吹つ飛んだ、こういう事態がこれからさらにどんどん起きて行くのに対して、次官の御答弁によると、公益事業の本質というものと政府の立場というものとは、対策がきわめてぼけて来ておるし、問題の核心を国民の前に明らかにして行こう、そうしてどういうふうに行くべきかということを明示して行こうという気魂というか、お考えが全然認められないように思うのでありますが、大口需用者の立場が、抜打停電などによつてしばしば大きな迷惑をかけられ、損害をこうむるような場合にはどうするつもりか、そういう事態をまだもう一年ぐらい先に持ち越しますといつてほつたらかしておくつもりかどうか、その点についてこの際明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/29
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030・小平久雄
○小平政府委員 お話のような事が態起らないことをわれわれは希望しておるわけであります。万一にもそのような事態が起りました際におきましては、労調法のいわゆる緊急調整という道も開けておるわけでありまして、一般国民生活をはなはだしく危うくする、あるいは産業をはなはだしく危うくするという事態にまで行きますならば、緊急調整の措置に出るということも当然予想されるわけだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/30
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031・山手滿男
○山手委員 その問題はまだこれから先へ議論を少ししなければならぬので、このくらいにいたしたいと思いますが今の審議会の構成でありますけれども、電気事業者、使用者、学識経験者、公共団体というようなものが構成のメンバーになつているようでありますが、やはりこれには労働関係の被使用者、労働者側の代表も入れておいた方がいろいろな意味から—法律の改正にいろいろな立場の人を入れる意味においてもいいだろうと思うのであります。そういう点については局長はどういうふうにお考えになつておられるか、その点をまずお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/31
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032・石原武夫
○石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねの法律改正の審議会に労働者関係の方を入れたらどうかというお話につきましては、まだこの構成については一応の案で、最終的に決定をしておりませんので、御意見として十分拝聴いたしますが、実はこれは少し最近の例も見ましてつくつたわけであります。なお御趣旨の点は、一応今のところは法律改正については労働者代表を入れるという例が最近はあまりないかと思いましたので、そういうことにしておりまするが、なおその点についてはよく研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/32
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033・今澄勇
○今澄委員 この暫定法律のスタートになるべき電気事業の基本的な構想がどこにあるかというような問題については、後ほどあらためて御質問を申し上げることにして、ただこの際お聞きしておきたいのは、電気事業の九分割というのは政令で行われたのであつて、ポツダム政令であるから、ときの与党の自由党の意思ではなかつたということで、通産委員会が三度にわたつて握りつぶした。この九分割の法律が、政令で出たということは、新政務次官も御承知の通りであります。そこでこの政令を独立した日本の法律に直すという際において、これまた通産委員会にかけられたのであるが、握りつぶしにあつたということも御承知だと思います。これは要するに、当委員会は電気事業再編成令並びに公共事業令という二つの法律については、与野党を問わず反対の機運が濃厚であつたということを物語るのであるが、今日の段階において、この九分割の政令が、日本の現経済の有様をながめて妥当なりやいなやという問題は、この法案提出にあたつてまず説明されなければならない問題であると思います。政務次官から簡単でけつこうでありますから、御見解を承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/33
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034・小平久雄
○小平政府委員 お話の通り今回の臨時措置法案によりまして、元来ポツ勅に発足するところの両令の例によるといつたような立場をとることになりましたことにつきましては、われわれといたしましても遺憾に存じておるのでありますが、先ほど来申しましたようないきさつによりまして、現在が何と申しましても無法律という状態にあるということでありますので、暫定的なとりあえずの措置としてどうしてもこう行かざるを得ない、と申しますのは、これまた先ほども局長から御説明申し上げました通り、従来の両令につきましてもいろいろ検討すべき点が多々ございます。その検討につきましては、どこまでも衆知を集めて慎重にやる必要があろう、こういう際でありますので、とりあえずの暫定措置として一応御提案申し上げた次第でありますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/34
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035・今澄勇
○今澄委員 政務次官におかれては、電気事業に関する法律並びに日本の電気事業のあり方は、重大な日本の基礎産業であり、原動力である関係上、今後ひとつ慎重御検討を願つて、政府の電気事業に関する基本的な考え方をなるべくひとつ早くわれわれにも知らせていただきたいと思います。
そこで、局長にお願いをいたしますが、私どもはこの電気事業再編成令の審議にあたつて、電気の復元の問題をも込めて、新しい電気事業会をつくろうというので、当時神田君なり村上君なりがいろいろ意見を述べておりましたが、それで実は待つておつたのであるが、この復元に関する公益事業局としての態度、会社の自家発電、府県営の復元、こういうものについての公益事業局の考え方をひとつこの際お述べを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/35
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036・石原武夫
○石原(武)政府委員 今お尋ねの復元の問題はいろいろ関係するところがありまして複雑な問題もありますし、重要な問題で、私も現在の公益事業局に参りましてから、いろいろ各方面の意見を聞いて研究いたしたのですが、いまだ結論を得るに至つておりません。実は先般国会に出ております復元法案を拝見しておりますが、あの法案でそのまま実施することは、政府と申しますか行政官庁で決定すべきことが非常に多くて、あのままの形ではちよつと実施が困難ではないかと感じております。と申しますのは、どの程度のものを復元として認めるか、この価格をどうするかということは一切あげて行政官庁に譲られておるような形でございます。かりにこれを政府が何らかの形であの法律によつてきめるといたしましても、この間に当事者間の十分な納得を得ることは非常に困難である。従つて係争問題になりまして、長年の間当事者いずれかの不満なる方が訴訟を起すことになりますと、その間その施設はどちらに最終的に帰属するか不明確になりますので、さような状況では十分な運営がむずかしいのではないか。もしかりに何らか復元の措置を講ずるとすれば、法律で明確に決定をしていかぬ限り、先般のような広汎な委任法律では、われわれとしては行政上も非常に困りますし、かりに何らかの行政処分をするといたしましても、電気事業のために好ましくない結果を生ずるのではないかということもございますので、先般も議員提出で法案が出ておりましたいきさつもありますし、十分各方面の御意見を拝聴いたしまして、今後措置をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/36
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037・今澄勇
○今澄委員 議員提出になつておりました電気事業復元の法律は、継続審議をいたしておりましたが、国会の解散でついに流れたのでありますが、われわれはこの提出に参画しておつたわけではない。ただ一言聞いておきたいのはもとより今国会には提案されておらぬのであるが、政府としては、あるいは内容はかわつても、電気の復元に関する法案をこの次の国会—来年の通常国会を含めて、出される御用意と検討をしておられるのか、そういう意思はないかということを一言だけ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/37
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038・石原武夫
○石原(武)政府委員 これはまだ通産省といたしましても大臣の御決裁を得ておりませんので、事務当局の意見ということでお聞き取り願いますが、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、先般の議員提出法案が出ました以降、復元の問題をいろいろ研究いたしております。かりに、復元を何らかの形で実行するのだということが政府としてきまれば、どういう案を考えるべきかということを研究はいたしております。しかし、まだその結論も出ておりませんし、事務当局として来るべき次の国会にそれを提案するというような考えは、現在のところ持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/38
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039・田中織之進
○田中(織)委員 今の公益事業局長の答弁ですけれども、かりに復元の何らかの処置を講ずればということを前提として、その場合には価格その他あらゆる問題を行政当局にまかす形のものは困る、こういう意思表示でありますが、私は今澄君が質問しておるところの問題はむしろそういうことではなくて、日本の電気産業全体の観点から見て、この前議員提案の形で出て来たような、たとえば自家発電というようなものを、復元という形においてもどすことが適当であるかどうか、こういう電気産業全体の観点とまたその運営の見地から、通産省としては意見をまとめなければいけないと思うのです。そういう観点から考えて、通産事務当局として広いそういう総合的な視野から、この復元の問題を考えなければならぬ。さしあたり政府として次の国会あたりに提案をする考えはないということはわかりますけれども、もし電気産業全体の通常という見地から、あるいは関連する化学工業等の関係から見て、復元という処置を講ずる方がいいか、講じない方がいいか、こういう見地からこの問題の結論というものが出されなければならないと私は思うのですが、そういう角度から検討しておるのですかどうですか、また今後そういう角度において検討するつもりなんですか、その点を明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/39
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040・石原武夫
○石原(武)政府委員 私の答弁がはなはだ言葉が足りなかつたと思いますが、今われわれが検討しておると申しますのは、今お話の通りの観点でございます。もしこれをある程度、自家発電にいたしましても公営にいたしましても、復元をいたしてみました場合に、その他の部面におきます全般的な電力の需給の問題でありますとか、それが料金に響いて来て、従つて一般の需用家の負担がどうなるというような問題を中心に検討いたしておるわけであります。それで個々の復元を検討するという観点は、今お話がありましたような観点から検討して行くということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/40
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041・今澄勇
○今澄委員 それできようは簡単にしておきますが、私はこの臨時措置法なんていうものは、少くともこの前の解散前の国会なら政府もわからなかつたということも言えるのだけれども、その後半年も経過して、なお今日このような臨時措置の法律しか通産省は出すことができぬということは、通産省がもう根本的な政策に欠け、勉強しないということの現われであつて、国民の失望これより人なるはないと実は思うのです。問題の只見川の水利権をめぐつての現在のあの状況をながめてみるときに、一体電気の九分割が理想的であつたのかどうか。その九分割からさらに復元をして、二十数分割にもする方が一体いいのかどうか。消費制限による現在の九分割と、改進党が唱えておられました五分割、わが社会党の全国一社案というようないろいろの問題があるのに、これらの問題を審議会にかけて案は一年間もこれからまた論議をするというようなことは、きようは次官、局長にそう申し上げませんが、通産省は電気事業に関する根本的な見解を持つておらぬのではないか。そこで石原事業局長にお聞きしたいのは、せつかく公益事業委員会を廃止したのだけれども、それは公益事業委員会がやつたやり方について、どうも気に入らなかつたというところが多々あつたわけてあろう。なければ何もこれを廃止することはない。そこで公益事業委員会を廃止したのは、事務当局としてはどういうところがまずかつたからやめたのであるか、そして通産省の中に公益事業局を設けたのは、今度はどういうところを改めて行こうとするのかという点について、公益事業局長から概略の御方針をひとつ承つておければ仕合せであります。事務当局としてほんとうに検討しておるのかというような例を一つ申し上げておきます。その例はどういうことかというと、たとえば地域差の問題。地域差については、火力調整金制度は昭和三十一年に全廃するという方針で漸減主義で進んでおる、こういうふうに聞いておるが、かつてこの地域差を減少するために、九分割の際に約束したいろいろの問題を公益事業委員会は行わなかつたが、この地域差についてはどうするのか、地帯間融通や開発会社についてはどうするのかというような点について、事務当局としてできる限りの見通しをひとつ述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/41
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042・石原武夫
○石原(武)政府委員 ただいま御質問のございました第一点と申しますか、初めの公益事業委員会から通産省に所管がかわりまして公益事業局ができましたそのいきさつ、理由等につき託しては、私その当時のことは存じませんから私から答弁をいたしかねますので、悪しからず御了承を願いたいと思います。なお公益事業局になりましてから、従来公益事業委員会等でいろいろ取扱われました点については、実はいろいろな点についてわれわれも各方面の御意見を承りまして研究をいたしております。今例におあげになりました地域差の問題につきましても、私は従来公益事業委員会当時は、九分割をした精神から水火力の調整金というものは五年くらいでなくして行くのだというふうに伺つておりましたし、昨年五月、公益事業委員会当時行われました料金改訂においても、これを減らして行くという方法が現にとられて来ておるわけであります。それで現在のような地域差は、料金改訂前よりも現在の方が差がひどいということになつております。この点につきましては、一応事務当局といたしましては当初の方針のように、五年くらいであの水火力調整金をなくしてしまう、その結果地域差がどういうふうになるかということは別問題だというような考え方はちよつと無理ではないかと思いまして、われわれの方としては、今後水力の開発と見合つて水火力調整金を減らして行つても大して産業に影響がないという見通しがついた際に、漸減方針をとれるならとるべきだというふうに一応考えております。私個人の考えといたしましては、現在以上に地域差を広めることは不適当であろうと思つておりますので、水火力調整金を減らすかどうかという点は、今後の電源開発の進行状況に照らしまして、減らしても地域差が広がらぬということになれば減らし得ると思いますが、その点は、私が従来聞いております公益事業委員会の方針をそのまま実行することは無理でなかいということを私は考えております。一応水火力調整金及びそれに関連する地域差の問題については、今申しましたようなことで再検討し合つたあとで行きたいというふうに考えております。その他いろいろ公益事業委員会当時の方針がありまして、現在これは困るというようないろいろ個々の問題はございますが、これらはいろいろ新しい目で再検討して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/42
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043・今澄勇
○今澄委員 もう一つ、質問があとないそうですから聞いておきますが、電源開発の法律が実は国会でいろいろもみにもんで通つたことは御承知の通りでありますが、この電源開発会社法を大体電源開発の発電所の建設だけにとどめるか、それとも卸業務を重点として電力融通の役割を果して、地帯間融通その他地域差撤廃の方に行く電力界コントロールの役目にするかというような使い道があるわけですが、事業局としてはそういつた新しい電源開発の会社をどういうふうな方針でお使いになるのか、ちよつとこれをお聞きしたい。
もう一つは料金問題を聞いておかなければいかぬと思いますが、電気料金がおそらくまた近く問題になると思います。当通産委員会が電気料金の値上げのたびに、電気料金値上げけしからぬと言うて質疑応答を繰返していることはまことに不見識の限りであつて、日本の電気料金の制度の根本について、われわれは今度は、公益事業局長にいろいろお尋ねをしてみたいと思うが、この際今の日本の電気会社がとつておる料金制度というものが、一体大衆にはほとんどわかりにくい、まるで博士論文をとらなければならないような難解な構成の上にできておるということは、あなたも御承知の通りである。こういう難解な、複雑な料金制度が、たとえばそれを二割上げたからといつて、二割で済むと思つた中小企業は八割も上るというような、出て来る結論が非常に常識はずれな結果に終るのであるが、こういう料金制度を大衆にもわかるような簡単な料金制度に改めて行くというような意思はないのかどうか。事業局長に以上二点について聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/43
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044・石原武夫
○石原(武)政府委員 お答えいたします。第一点の開発会社の今後の運営の問題につきましては、これはできました施設を譲渡するとか、あるいは貸与するとか、それを自分でもつて卸売をやつて行くということが法律で認められておりますので、今後それをどういうふうに運用するかということは、御承知のように、電源開発調整審議会で最終的には一応意見がきまるものと考えております。現在までのところ新会社の運営方針を、今のお尋ねの点についてはいかがするかということは審議会でも議論しておりませんので、ちよつと今最終的に政府としてきまつておらぬ点でございますので、はつきりしたお答えをいたしかねますが、われわれといたしましては、あの法案が衆参両院を通ります際に、いろいろ御議論になりました点がありまして、特に参議院におきましては附帯決議もございますので、その辺の点は十分尊重して考えるべぎだというふうに考えております。
それから第二番目の料金制度の簡素化の問題でございますが、これは御趣旨はまことにごもつともで、趣旨としては私もまつたく同感でございます。これはいろいろ御指摘のような、中小企業の料金が非常に割高に上つておるとかいうような点は、御承知のように、今の料金が割当と関連があるもので、さような結果になつておる面もございますので、料金の問題は割当をどうするかということとあわせ考えなければならぬわけです。かりに割当制度を一本にいたしまして、割当を今のように、標準料金、火力料金ということではなく、合せて一本にするということになりますと、簡単にはなると思います。この点につきましても今われわれは考えておりまするが、一本制度にいたします欠陥については、電力会社が火力をたく意欲がなくなりはせぬか、火力をたかぬ方が得だということであります。今の制度で申しますと、火力をたいて損はない。むしろ多少プラスになるかもしれぬ。火力をなるべくたいて、電力の供給力をふやすという刺激の点が今の制度としてはあるわけであります。その辺をどう考えるかという問題。もう一つは、一本料金にいたしますと、全体の電力会社の収入、全体の料金はふえないとしても、個々の事業者としては相当のでこぼこができて来る。それを一挙にやつた場合に、使用者として、料金が下る人は問題ないが、上る部面の使用家においてさしつかえないかどうかという点も十分検討しなければならぬと思います。ことに今私が最後に申しました点は、今相当産業界としても困つておりますが、特に大口の電気の使用家においての電気料金が平均的に上るということになりますと、影響が相当多いと思いますので、その辺も十分考えて、見通しが立つた上でないとできませんので、御趣旨はごもつともでございますが、さような方向に考えたいと思います。まだ最後的結論が出ておりませんし、その時期等についても慎重に考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/44
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045・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 委員長に希望を一つ申し上げておきます。この法案を審議するにあたりまして、政府の公益事業に対する根本的な考え方を明らかにしてもらいたいと思いますので、次会に通産大臣の御出席を要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/45
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046・坪川信三
○坪川委員長 お答えいたします。ただいま伊藤委員の御要求ごもつともだと思いますので、さようとりはからいたいと思います。
他に御質疑ありませんか。—なければ本日はこの程度にいたし、次会は明後二十九日午前十時より開会いたします。
なおこの際お諮りいたしますが、明後日の委員会においては、ただいま審議しております法案に関連いたし、電産、炭労の組合側と経営者側とを参考人として、その意見を求めるごとにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/46
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047・坪川信三
○坪川委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00419521127/47
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