1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月三日(水曜日)
午後三時十九分開議
出席委員委員長 船田 中君
理事 富田 健治君 理事 熊谷 憲一君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 武藤運十郎君
大西 禎夫君 岡田 忠彦君
砂田 重政君 田中 萬逸君
森 幸太郎君 笹森 順造君
粟山 博君 鈴木 義男君
吉田 賢一君 和田 博雄君
辻 政信君
出席政府委員
総理府事務官
(恩給局長) 三橋 則雄君
宮内庁次長 宇佐美 毅君
外務政務次官 中村 幸八君
委員外の出席者
専 門 員 亀卦川 浩君
専 門 員 小関 紹夫君
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十二月一日
委員根本龍太郎君辞任につき、その補欠として
熊谷憲一君が議長の指名で委員に選任された。
同月三日
委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として鈴
木義男君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事根本龍太郎君の補欠として熊谷憲一君が理
事に当選した。
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十二月二日
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇号)
同月一日
軍人恩給復活に関する請願(重光葵君紹介)(
第二七七号)
同(石坂繁君紹介)(第二七八号)
同(小林かなえ君紹介)(第二七九号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第三〇七号)
同(加藤常太郎君外一名紹介)(第三〇八号)
同外二件(後藤義隆君紹介)(第三三〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二日
元軍人関係恩給の一部即時支給の陳情書
(第
五〇一号)
軍人恩給の復活に関する陳情書
(第五〇二号)
元軍関係の恩給審議に関する陳情書
(第五〇
三号)
恩給法改正に関する陳情書
(第五〇四号)
を本委員会に送付された。
本日の会議に付した事件
理事の互選
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇号)
日本国憲法第八条の規定による議決案(内閣提
出、憲議第一号)
恩給に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/0
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001・船田中
○船田委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたしますが、理事でありました根本龍太郎君が委員を辞任せられ、その補欠として熊谷憲一君が選任されました。つきましては熊谷憲一君を理事に御指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/1
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002・船田中
○船田委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/2
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003・船田中
○船田委員長 本日は先ず昨日付託になりました外務省設置法の一部を改正する法律案、内閣提出第一〇号を議題といたし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。中村外務政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/3
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004・中村幸八
○中村(幸)政府委員 外務省設置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
海外移住に関する行政事務は、外務省の所管事項として外務省設置法に明記いたしているところでありますが、海外移住者は漸次増加の傾向にあり、現に二、三の関係諸国においては、日本移民誘致について具体的な計画を進めつつあります。この際わが国といたしましては、優秀な移民をますます多くかつ円滑に送り出すよう努めなければなりません。このため、移民に必要な教養を与え及びその渡航手続をあつせんする機関として、神戸移住あつ旋所を設置し、これを運営する必要があるわけであります。
以上が外務省設置法の一部を改正する法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あらんことをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/4
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005・船田中
○船田委員長 これにて提案理由の説明は終了いたしました。本案に対する質疑は次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/5
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006・船田中
○船田委員長 次に前会に引続き日本国憲法第八条の規定による議決案、内閣提出憲議第一号を議題といたします。なお本案につきまして事務局において整理番号議決第二号とされておりましたが、これを憲議第一号と改められましたから、さよう御了承いただきます。
本案について質疑の通告がありますからこれを許します。鈴木義男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/6
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007・鈴木義男
○鈴木(義)委員 宮内庁の御当局に承りたいのですが、この土地は私の郷里に近いところにありまして、村民からも熱心な陳情もあり、私を通してよく事情を明らかにしていただきたいということで質問申し上げます。
この今回福島県に下賜されようという土地が明治四十年に有栖川宮殿下が別墅を営むために付属地として、当時の宮内省でお買上げになつた土地であるということは争いのないところであろうと思うのであります。ただこの村は山間の村でありまして、非常に土地が狭い、耕地も少い。それで山林に依存しておる村でありますから、この山林を当時公簿面積で百二十町歩というものを買い上げられるということは百戸ほどの農家にとりまして非常に苦しいところでありますので。極力——率直な言葉で言えば抵抗したのでありますが、この買収に当られました当時の宮内省の役人、それから福島県知事、村の助役等が買収委員というものになりまして、言うことを聞かなければ山林を焼き払つてしまうというような乱暴なことを言い、あるいは言うことを聞かぬやつは留置するというようなことを申して相当強圧を加えて、当時時価一段歩三百円はしておつたのを五円ないし十円でお買上げになつた。こういう事実を今生き残つておる老人たちが異口同音に話しておるのであります。宮内庁の御当局としては、そういうこまかいことまではおそらく引継ぎはないでありましようが、とにかく当時相当強制的にお買上げになつたものであるということをお認めになるでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/7
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008・宇佐美毅
○宇佐美政府委員 ただいまの御質問でございますが、明治四十年当時のことでございまして、私ども詳細なことは存じておりませんが、この買収につましては、相当いろいろ議論のあつたことは伝え聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/8
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009・鈴木義男
○鈴木(義)委員 そこで前回も大正十四年に有栖川宮様から高松宮殿下にお譲りになられまして、そうして十四年に高松宮殿下が御成年になつたというので、その祝意を表するためにこの山林の一部を解放されまして、福島県に下賜されたということも歴史的な事実になつております。八十町歩を下賜された。それをそのときにこの村々の元の地主にどうか返してもらいたい、元の農民に返してもらいたいということを再三高松宮殿下にも、また県知事にも陳情いたしたことは、過般この委員長あてに提出されました陳情書の付属書類に明かなのでありますが、その結果県におきましても、農民の要求はもつともであるということで、それぞれあるいは賃貸契約の形にして使わせるようにいたしました。あるいは原野は無料で使用収益をさせる、山林は分収林契約で元の地主に収益を与えるといようなことにいたしたというようなことは御存じでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/9
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010・宇佐美毅
○宇佐美政府委員 有栖川宮家でこれを買収せられまして、大正二年に高松宮様に御贈進になることにきまつて、御成年になられますまで当時の帝室林野局がこれを管理をする。大正十四年になりまして、この御料地の整理がございまして、御別邸として必要な土地以外は県に下賜せられた。その下賜せられたものを旧所有者にどういうように処置をするかということは県の裁量に委す。同時に御料地内の使用収益権というか、地上権、まぐさ刈取り権等のいわゆる特殊条件付の御料地につきましては、漸次授権をするという方針で整理せられたのでありますが、その県有地になりましたものは、分収林として地主と県で措置をいたしまして、造林計画は県でする、旧地主の利益を十分保障するというようなことが記録に残つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/10
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011・鈴木義男
○鈴木(義)委員 そういたしますと今度の御下賜についても、できるならばやはり宮内庁としては地元の農民の立場も御考慮くださいまして、県にただ無条件で下賜するということでなく、元の所有者であつた農民諸君の利害というものを考慮して、適当な処置をするような何か条件をつけて下賜されるようにあつてほしいと私どもは思うのでありますが、そういう点については、何らかの考慮がなかつたのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/11
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012・宇佐美毅
○宇佐美政府委員 ただいまのこの議案は、土地、建物は高松宮家個人の御私有の財産でございまして、ただ法律上これを賜与される場合に、十五万円を越しますと議決を要するという趣旨から、これを提案をいたしたのでございまして、その賜与はだれに賜与する、どういう方法でやるということは、高松宮家個人のお考えによるところだと思います。従つて宮内庁、政府といたしまして、これにどういう条件をつけてほしいということを積極にいたしますことは、どうかと思うのでございますが、こういう御希望のあることは十分宮家にもお伝えをいたしたいと思います。それから聞くところによりますと、県に下賜された後におきましても、元地主、借地人に対する従来の慣行はそのまま承認して行くということを書いておるわけであります。そういう点につきましては、御議論のありました点は十分お伝え申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/12
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013・鈴木義男
○鈴木(義)委員 大体それで御趣旨はわかつたのでありますが、形式の問題としては、ここであまり立ち入つた議論をすることはいかがかということは、私もよく承知いたしておるのでありますけれども、これは今後村及び村民と県との間にいろいろな——あるいはスムーズに交渉が行くかとも存じますけれども、あるいは相当深刻な争いのようなものが起ることがあつてはいけない。それでやはりこの委員会において相議慎重にいろいろなことが考慮されたということを、ぜひひとつ記録にとどめたいと存じまして、あえて申し上げますが、むろん高松宮家個人の財産の処分であると言われればそれまででありますけれども、道義的には、そういう事情がおわかりになつた以上は、できるだけこれを処分せられます際に、希望として、ただいま申し上げたようなことをひとつ県当局の方に伝わるように御配慮を願いたいこういうことをひとつ希望しておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/13
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014・宇佐美毅
○宇佐美政府委員 ただいま御希望の点につきましては、高松宮家によくお伝えをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/14
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015・船田中
○船田委員長 他に御質疑がなければ、討論採決は次回に譲りたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/15
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016・船田中
○船田委員長 次に恩給に関して調査を進めます。前回におきまして、三橋恩給局長よりいろいろ御説明をお伺いいたしましたが、それにつきまして何か御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/16
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017・吉田賢一
○吉田(賢)委員 前回の委員会におきまして、橋本委員から、審議会の経過について、委員の意見の模様を知り得るような資料の提出を要求されておりましたが、これはどうなりましようか。法律案ができるころまでには何かつくつて出し得るようなことを答えておられましたが、答申ができるまでの審議会の意見の概要とか、あるいは重要な資料とか、この建議の前提になつているような対象者の生活の状態だとか、そういつたようなものについて何か資料が集まつていると思うのですが、お出し願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/17
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018・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 先日の委員会におきまして、橋本委員からお求めがございましたのは、審議会におきます審議の際において論議されたおもなことについて、大まかでもいいから、ひとつ材料を出してもらえないだろうか、こういうようなことでございまして、それは法案を出すときまででけつこうだというお話でございました。それに対しましては、私は承知いたしましたということをお答えいたしておきました。これは当然私たちの方から今まで整理しておかなければならなかつたことでございますが、私といたしましては、事務必要なことはちやんとしておりますけれども、しかしここへ資料として出すには、なお検討も加えなければいけないこともございますので十分検討いたしました上において御参考になるものは出すようなふうにとりはからいたい、こう考えておるものでございます。必ずこれをお出しするようにいたします。それから一般的にいろいろ恩給のことを御研究くださいます上において参考になるような資料があつたならば資料を配つてもらえないかというのが今の御質問の趣旨じやないか、こういうふうに思うのであります。それにつきましては、御参考になるようなものは私の方でできるだけそろえて差上げるようにいたしたいと思つておりますが、何と申しましても非常に広汎な問題でありますので、なおお気づきの点がありましたならば、おつしやつていただきますれば、私の方で考えましてでき得るだけの資料はそろえるようにいたしますから、どうぞお気づきの点がございましたら具体的におつしやつていただきたいと思います。ただ今お話のございました受給者の生活につきましていろいろ調べたものがあればと、こういうふうなお話もございましたが、受給者の生活につきまして具体的に調べたものはございませんが、制度の沿革とかいろいろなものにつきましての資料は、とりそろえましてできるだけすみやかにお手元にお配りするようなふうにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/18
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019・吉田賢一
○吉田(賢)委員 資料をお出し願えるのでしたら、この問題を審議します上に、財政的な見地から見まして、大体この建議の趣旨が通りますと、国の一箇年の支出はどのくらいになるだろうというような点、あるいは職別によりますこの建議の対象者の現在数などはどういうふうになつておるかという点、これもあわせて資料をお出し願えればいいと思います。
なお進んでお等ねいたしたいのは、一般恩給制度の根本的な建直しの問題につきまして、恩給局においては何か考慮がないか。といいまするのは、憲法二十五条の国民の権利としての文化的な生活をなすこと、それらの目的を達するために社会保障あるいは社会福祉等の増進などについての国の義務の規定もありまするので、そういつた大きな見地からも、さらに社会生活の公平の見地から見ましても、ひとり軍人とかあるいは国家の公務員などに対する恩給制度というようなものに対して、かなり批判が行われておるときでありまするので、さらに広く民間の被用者等につきましても、また公益的な性質を持つた産業の従事員などに対しましても、恩給制度について何かお考えになるといつたような、そういつた根本に触れた新しい恩給制度の施策があるかないか、この点をひとつ伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/19
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020・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 今の御質問の前段の資料の点でございますが、資料の第一は財政的な見地に立つての資料の御要求であり、第二は今度の恩給の対象となる人員等につきまして調査した資料をほしいという点でございましたが、この二つの点につきましてはさつそくとりそろえましてお手元へお届けするようにいたします。
次に恩給制度の根本的な改革についての御質問でございますが、これにつきましては御承知の通り国家公務員法の規定によりまして、国家公務員の恩給制度につきましては人事院におきまして今せつかく検討を加えておるところでございます。従いまして恩給局におきまして、人事院と別個に公務員の恩給制度を根本的に改革するような案を考えていることは全然ございません。ただ一言つけ加えて申し上げたいことは、ただいまのお話では民間の一般の俸給生活者を含めた広い意味における恩給制度というものを考えられないかというような御質問であつたと思いますが、この点につきましては、御承知の通り、厚生年金保険制度というものがございますが、これが今の御質問されました線に大体沿つておるようなものじやないかと思うのでございます。官吏その他の国の公務員に対しまして恩給が給せられますのは、要するに国が使用者としての立場において、被用者たる官吏に対して退職金を給するのでございます。広く一般の者を対象としまして、すなわち官吏である国家公務員であると民間の人であるとを問わずひつくるめまして、厚生年金保険制度の対象として、これを、官吏にまで、国家公務員にまでに拡張して行くということは、一つの問題にはなるかと思いますけれども、そういうような問題につきましては今私の方で特に検討はいたしておりません。国家公務員法の定めるところに従いまして、今申し上げますように、人事院において根本的なことは考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/20
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021・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それから前回に砂田委員からお尋ねになりました戦犯に関する措置についての別の面からの質問ですが、戦犯と申しましても、これは前の木村法務総裁の各官庁への通達等によりましても、日本の国内法によつての犯罪者にあらずということは明らかにされております。あるいは仮出所をした戦犯の方々が公務員となる資格がありやいなやということについても、政府は積極に解しまして、公務員に採用もしておるのであります。ただ連合国の要請によりまして服役しておる、こういつた立場の人でありまするので、国内法的に考えますと、やはりこれは特別に扱わないで、積極的に措置をする、こういうことが適当ではないかと思いまするので、いつかわからない将来の、適当な時期というようなことにつながらすということは、一般の扱いの実情、国民感情の状態、あるいはそれらの人々の老病者といつたような実情にもかんがみまして、これは区別をしない措置をただちにとる、こういうふうになすことが適切でないかと思われまするので、その点適当な時期というのをさらに踏み越えまして、同じように同列に扱うということをされてはいかがであるかと思いますので、重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/21
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022・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 連合国最高司令官の命令によりまして抑留逮捕せられて、そして自由を拘束されておられる方々、すなわちいわゆる戦犯の方々につきましては連合国から昭和二十年十一月二十四日に政府に対し出されました覚書によりまして、軍人、軍属の恩給と同じように恩給をとめられてしまつているわけなのです。そこで政府といたしましては、軍人、軍属の恩給の問題を処置します際にこの問題を処置する、こういうふうに今のところは考えておるわけでございます。今いろいろ御質問がございましたが、それに対しまして、今私からはつきりとどうするということを申し上げかねるのでございまするが、今の御質問の趣旨は、十分よく承りままして、今後の措置をします上に参考といたしますし、また上の方にもよく伝えまして善処することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/22
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023・笹森順造
○笹森委員 せつかくの機会でありますから、一、二お尋ねしたいと思います。問題は簡単でありますが、むしろ根本的なことでもあるかと思います。それは恩給という制度、あるいは言葉、それが民主主義の根本に立つた憲法——先ほど来お話のありました最低の文化的なる水準の生活をし得るというようなお考え方からいたしますると、これは単に国家公務員であるとかいうものばかりではなくて、国民全体がやはり、賭外国の例にあるように、養老年金のようなものを社会保障の線に従つてもつとやつたらいいじやないかという物の考え方、これは単に恩給という一つのそういう制度における今までやり来つたこと以外に社会保障の線に従つて、もつと広く今まで御研究になつておつたとすれば、何かそういうところをどう広げて考えたか、あるいは諸外国の例に照してそういうことを研究中であるかないか、あるいは恩給という言葉自体がそれでいいのか、そういうようなことについてお考えになつたことがあるかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/23
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024・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 私はいろいろその点につきまして皆様からも伺つておるのでありまするが、社会保障制度という言葉の内容につきましても、おつしやる方によりまして、いろいろと内容が違つておるように感ずるのでございます。従いまして私は今のところ恩給制度そのものが全廃されてしまつて、そしていわゆる社会保障制度におきまして、恩給制度にかわり得るものが確立され得るかどうかにつきましては確たる自信を持つておりません。それから新しい憲法のもとにできました、御承知の通りの国家公務員法、この国家公務員法にはたしか第百七条であつたと思いまするが、国家公務員は退職当時の条件に応じて恩給が給せられなければならないということがはつきり書かれておるのでございます。これは社会保障制度が、新しい憲法のもとにおいてやかましく論議せられ、考えるようになつてからつくられた法律でございます。こういうことを考えますと、私は国家公務員に対します恩給制度が、すぐに廃止さるべきものかどうかにつきましては、まだ疑いを持つておるところでございまして、今申されるように恩給制度をやめるという前提のもとに、いろいろなものを研究しているということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/24
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025・笹森順造
○笹森委員 今私のお尋ねしていることは、ただちに国家国務員の恩給そのものをやめてしまえという結論に行くためのお尋ねではないので、今の厚生省で取扱うような社会保障の線から考えるべき点があるのだが、恩給局としても非常に関連があるから、それを研究したことがあるかということをお尋ねしておるわけです。
それから今の国家公務員の、特に身分を保障するために、現在までのいろいろな給与の状況を考えて、恩給があるということは、私は別に異論がないことで、またこれを相当改善して行くということに進む方向にあるので、つまり恩給制度をなくすという方向へ進めという意味ではないのでありまして、それをさらに広げて、それは公務員であろうが公務員でなかろうが、国民全般の人権の尊重の意味から、すべての人間が年をとつた場合に、国家からそういうような生活の保障をされるということは、単に生活保護法とかいうものでなくて、その方面のことを同時にお考えになつたかということを聞いておるのです。つまりそれは公務員でなくても、農業者であろうが、商業者であろうが、家庭の主婦であろうが、国家に尽すということについては、何ら違いないとは申しませんけれども、やはり同じ意味において国家に尽している。こういうような意味で、もつと広げて考えることを恩給局で何かお考えになつたかということを聞いただけの話でありますが、その点を重ねてお尋ねしたいことと、それから先ほどの資料の問題でありますが、それは私どもも手を尽すと出て参りますけれども、諸外国におけるそうした一般の、国家公務員以外の、ペンシヨンみたいなものの、諸外国の例等についても、あなたの方で資料をまとめて、ひとつ同時に出していただきたいという希望をつけ加えておきます。それは私どもは今後の立法の根本的なものの考え方として、相当関心を持つている点でありますから、そういう資料をあなた方の手で出し得るかどうか、出し得たならば出していただきたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/25
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026・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 前段の御質問に対してお答えいたします。先ほど私お答えいたしましたことで、ちよつと誤解しておりましたのですが、国家公務員が恩給を給せられるのは、国民たる立場において恩給を給せられるということについては、疑いを持つのでありまして、国家から使われておる者としての立場において恩給が給せられておるのだと思つております。一国民としてすなわち国家との間において使用関係を離れた立場において、恩給が給せられているものではなかろうと私は思います。国家が国家公務員に対して恩給を給しておりますのは、国家が統治者たる行政権の主体であるという立場において恩給を給しているのではなくして、使用者として人を使う立場において恩給を給しておるのではなかろうかと思うのであります。従つて一般国民の方々が国家との間において、使用関係以外の関係において、恩給を給されるか給されないかという問題は、また別個の問題になつて来るのではないかと考えております。今のお話の農民の方々なり、あるいは一般労働者の方々に対して養老年金とか、その他いろいろの年金のことを考えなければならないというお話でありましたが、この問題は、私は一般国民たる立場において国家との関係を考えるときの問題じやないかと思います。その問題は今の行政の機構から言いますと、私の方の所管事項ではないのでありまして、これは厚生省の所管の事項でございます。もちろん笹森先生のおつしやる通り、そういうような人たちの生活を高めて行くということについては、政府が考えて行かなければならない、こういうふうに思いますし、またそういう前提に立つて諸般の社会保障制度というものが今論議され、整備されつつあるところだ、こういうふうに考えておるのでございます。
それから第二点の資料の問題でございますが、資料につきましては、私もいろいろと外国の資料を手に入れるために苦労をしているのでございますが、なかなか新しい資料が手に入らないで困つております。新しい資料として最近手に入れたものでは、イタリアのものがございます。これも非常に急いで翻訳いたしましたので、ほんとうに十分な翻訳というものには至つておりませんのですが、御参考になるかどうかわかりませんが、笹森先生に差上げるようにいたします。それからそのほかドイツの方のものも、最近ちよつとしたものを手に入れまして、翻訳を頼んでおります。これもどの程度に参考になるか、全部翻訳してしまわなければわかりませんが、そういうものもございますので、できるだけそういつた資料は御参考に差上げます。それから英米その他に関する資料といたしましては、古いものも新しいものもありますが、英国のものについては、新しいものは手に入れておりません。従つて外国のものについては、はたして御参考になるかどうかはつきりわかりませんが、お話の点もございますので、そろえて御希望に沿うように、できるだけのことをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/26
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027・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 恩給局長がおられますので、あるいは所管が違うかもしれませんが、現実の問題でございますので、一言お尋ねいたしたいと思います。それは先の国会できまりました戦争遺家族に対する年金、一時金、お燈明料であります。政府は現在どんな方法で、どんな支給状況にあるかということが聞きたいのであります。というのは、遺家族の中には、相当生活に困つている者等もございまして、この年金あるいはお燈明料や一時金を待ちこがれておるようでございますが、現状では遅々として進まず、全国を通じてまだ支給されたものがきわめて少いように聞いておりますが、もしおわかりでしたら、現在どんなふうに支給され、どの程度まで完結しておるかという現況を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/27
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028・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 ただいまお尋ねになりましたことは、実は厚生省の方で所管いたしておりまして、私は関係いたしておりませんので、あるいはきようでも連絡がつきますれば、あとで所管の関係者からお答えするようにとりはからわしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/28
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029・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 所管が違うようで、恐縮ですが、できれば次の本委員会に、現在の処理状況をできるだけ詳しく資料をちようだいしたい。なお年内に間に合うように支給することが望ましいわけでありまして、その点委員長から所管当局へ御伝達おきをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/29
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030・船田中
○船田委員長 承知いたしました。先刻の笹森委員に対する答弁中、資料の点につきましては、委員会に必要数だけ提出されるようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/30
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031・吉田賢一
○吉田(賢)委員 議事進行についてちよつと希望を申し上げておきたいと思いますが、次会にはひとつ厚生大臣に、これは社会保障制度に関連いたしまして、かなり質疑が出て参りましたし、それから戦犯等の関係もありまするので、法務省の適当な政府委員に御出席願えるようにおとりはからいをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/31
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032・船田中
○船田委員長 承つておきまして、できるだけさようにとりはからいます。他に御質疑ございませんか。熊谷憲一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/32
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033・熊谷憲一
○熊谷委員 私はきよう初めて出ましたので、あるいはさきに質問が出たかもしれぬと思いますが、お尋ねしたいのは、今度の戦争で、国内あるいは外地で戦犯となつて絞首刑になつた人の家族に対して、この恩給法でどう考えておられるか。聞くところによりますと、絞首刑で国の内外で執行されてなくなられた人が約千名、それからもう一つの問題は、獄中でなくなられた人か百五、六十人あるように聞いております。その方々の遺族に対する扶助料といいますか、恩給関係のことはどういうふうになつておりますか、ちよつとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/33
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034・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 ただいまお尋ねになりましたような戦犯の方々で刑死せられた方、あるいはまた獄中でなくなられた方の遺族に対しましては、扶助料は給されておりません。こういう遺族の方々に対しまして、扶助料を給するかどうかという問題につきましては、軍人恩給及び軍人遺族の扶助料の問題を措置しまする際に同時に、給するあるいは給しない、給しないとすればどういうような措置をとるかというようなことをきめることに、政府の方では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/34
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035・熊谷憲一
○熊谷委員 そうしますると、これは多少私個人の意見に流れるかもしれませんけれども、この戦争がよかつたか悪かつたかは議論があると思いますが、とにかく一生懸命に戦つて、上官の命令等によつてその職務を行つて、それが裁判の問題になりまして、不幸絞首刑に処せられたというのでありまして、その方々の遺族に対しましては、少くとも私はやはり戦闘行為に原因する、敵によつて殺された者、そういうものに準じて取扱いたいような気持があるのでありますけれども、そういう点につきましても、まだお考えは何ともついていないのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/35
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036・砂田重政
○砂田委員 ちよつと今の点ですが、裁判が確定して処罰を受けた者に対して停止されているのはこれはりくつがある。今のマツカーサー司令部の命令があつたというので、それはその効力がある間はいいですが、裁判にならぬうちに獄中で死亡した者に対しては、裁判も何もないのですから、その遺族に対しても給与していないというのは、そういうものもいけないという何か命令が出ておつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/36
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037・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 さつき私が獄死したと申し上げましたのは、たとえば三年の刑に処せられて、三年の刑に服役中においてなくなつた方を獄死者と、こういうふうに思つておつたのであります。今の砂田先生の御質問はそうでなくて、刑の取調べ中になくなつた方のことと思います。これらの方は私は刑は全然確定していないものと考えております。それでそういう人に対しては恩給をとめる措置は講じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/37
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038・砂田重政
○砂田委員 恩給をやつているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/38
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039・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 請求されれば恩給は給するような措置をしております。ところで軍人、軍属及びその遺族の恩給につきましては、扶助料も全部とめられておりますから、結局は全部行つていない、こういうことになつているわけであります。それから——速記をとめていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/39
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040・船田中
○船田委員長 速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/40
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041・船田中
○船田委員長 速記を始めて……。熊谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/41
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042・熊谷憲一
○熊谷委員 そうしますと、今私がお尋ねしたような事柄につきまして、恩給法の中にかりに採用していただくとして、採用するような場合において、やはりこの独立後の今日においても、関係の諸国に相談しなければならぬというか、何かそういう手続が必要なんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/42
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043・三橋則雄
○三橋(則)政府委員 私は今の考えでは、特に相談する必要はないのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/43
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044・船田中
○船田委員長 他に御質疑はありませんか。和田博雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/44
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045・和田博雄
○和田委員 今日は遅れて参りましてはなはだ済みませんが、この恩給の問題は、ただ恩給だけの問題でなくて、やはり政府の基本的な方針に非常に関係のある問題だと思うのです。再軍備その他外交いろいろな問題があると思うのですが、これはもうぜひ官房長官でも出て来ていただいて、やはり責任のある大臣との間に質疑応答をいたしませんと、これは私どもとしてもちよつと困ると思うのですから、ぜひ大臣を出してくれるように委員長の方から言つていただきたいと思うのです。技術的なことはあとでちよつと政府委員に聞けばいいのですけれども、そうでない問題の方が多かろうと思いますので、そのようにおとりはからいをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/45
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046・船田中
○船田委員長 承知いたしました。先ほど早稲田君からもその御要望があつたようですから、委員長からそういうことにとりはからいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/46
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047・砂田重政
○砂田委員 それなら大蔵大臣も出てもらつて、それに対する相当の計画があるのかどうかをやはり聞いて置かぬと、非常に大きな金高になるので…。官房長官と、大蔵大臣と、法務大臣と……。
〔「厚生大臣も」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/47
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048・砂田重政
○砂田委員 ではその三人の大臣に来てもらつたらいいと思う。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/48
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049・船田中
○船田委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00419521203/49
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