1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月八日(月曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 船田 中君
理事 熊谷 憲一君 理事 大矢 省三君
理事 武藤運十郎君
大西 禎夫君 砂田 重政君
田中 萬逸君 橋本 龍伍君
平塚常次郎君 森 幸太郎君
平川 篤雄君 粟山 博君
鈴木 義男君 吉田 賢一君
辻 政信君
出席政府委員
宮内庁次長 宇佐美 毅君
外務政務次官 中村 幸八君
外務事務官
(欧米局長) 土屋 隼君
委員外の出席者
専 門 員 亀卦川 浩君
専 門 員 小関 紹夫君
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十二月八日
委員大麻唯男君辞任につき、その補欠として平
川篤雄君が議長の指名で委員に選任された。
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十二月四日
軍人恩給復活に関する請願(宮澤胤勇君紹介)
(第三七三号)
同(加藤鐐五郎君紹介)(第三七四号)
同(原茂君紹介)(第三七五号)
同(木下重範君紹介)(第三七六号)
同(石坂繁君紹介)(第三七七号)
同外二件(丹羽喬四郎君紹介)(第三七八号)
同(山下春江君紹介)(第三七九号)
同(丹羽喬四郎君紹介)(第三八〇号)
同(柳原三郎君紹介)(第四五二号)
同(西村英一君紹介)(第四五三号)
同(勝俣稔君紹介)(第四五四号)
同(星島二郎君紹介)(第四五五号)
同(笹森順造君紹介)(第四五六号)
同外十五件(小平久雄君紹介)(第四五七号)
同外十件(秋山利恭君紹介)(第四五九号)
同(重光葵君紹介)(第四六〇号)
元軍人、軍属遺族の扶助料復活等に関する請願
(柳原三郎君紹介)(第四五八号)
同(關谷勝利君紹介)(第五〇二号)
軍人恩給復活に伴う加算年限等に関する請願(
西村英一君紹介)(第四六一号)
在日朝鮮出身傷い軍人、軍属の軍人恩給復活に
関する請願(正木清君紹介)(第四九八号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
元軍人恩給復活に関する陳情書
(第六〇一号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、第一〇号)
日本国憲法第八條の規定による議決案(内閣提
出、憲議第一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/0
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001・船田中
○船田委員長 これより会議を開きます。
本日はまず日本国憲法第八條の規定による議決案、内閣提出、憲議第一号を議題といたし、討論の後採決を行いたいと存じます。討論の通告がありますから、これを許します。鈴木義男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/1
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002・鈴木義男
○鈴木(義)委員 これは高松宮家から福島県に無償で下賜されるということでありまして、それ自身には別に問題はないのでありまするが、ただこの土地が明治四十年に有栖川宮家に買い上げられましたときには、半ば強制的に時価の十分の一くらいの値段で買い上げられておるという事情、及び東北地方は概して農民が自由にできる山林、原野が非常に少い。ことにこの村は一面が湖に面しておりまして、耕地面積は非常に狭く、山林、原野だけが唯一の農業の基本になる村でありまして、もしこれを下賜されるならば、元の所有者が利用されていただきたいということは非常に熱烈な希望であるのであります。そこで先般この委員会におきまして宮内庁当局にもそのことを申し上げ、高松宮家に適当に助言してくださるという言質を得たわけでありまするが、なお福島県知事に対しましても、本来この委員会に出席を願いまして、確たる言質を得たいと存じたのでありまするが、遷延いたしまするから、人を介しまして、書面をもつて福島県知事に下賜せられた後の処理方法について意見を求めたのであります。林谷県会議員を介しまして御返事がありまして、十分買収したときの事情を了として、観光ホテル等に使用する分についてはいたし方ないけれども、その他の山林、原野については、できるだけ元の所有者に使用、収益せしむるように努力するつもりであるから、さよう御承知を願いたいというお言葉があつたのであります。ゆえにこれを信じまして、本員といたしまして、またわが党といたしましては、下賜後に元の所有者たる農民が、少くとも使用、収益について十分利便を得ることができるということを信じまして、本案に賛成いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/2
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003・船田中
○船田委員長 熊谷憲一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/3
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004・熊谷憲一
○熊谷委員 私は自由党を代表いたしまして本案に賛成いたします。自由党といたしましても、この翁島の高松宮御用邸の賜与に関しまして、憲法第八條の規定による議決に関しまして、何らさしつかえないものとして賛成をするものであります。ただこの審議の状況を見ておりますと、私どもといたしましては、この賜与になりました後に、賜与の目的の趣旨に沿いますように、福島県におきまして、あるいは観光、あるいは厚生、練成の施設、あるいは迎賓館の施設等に円滑に利用せられまして、その目的を達するように希望をいたすものであります。と同時に、この御用邸の昔からの沿革を調べてみますと、いろいろ因縁があるようでありまして、そういうふうな向きにこの御用邸を使います場合におきまして、不用なものができたり、また将来におきましてそういうものが生じまするならば、福島県と地元民との円滑なる交渉によつてこれが十分うまく行くように希望いたしまして、自由党は本案に賛成いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/4
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005・船田中
○船田委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決を行います。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/5
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006・船田中
○船田委員長 起立全員。本案は可決いたしました。なお本案についての委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/6
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007・船田中
○船田委員長 次に外務省設置法の一部を改正する法律案、内閣提出第一〇号を議題といたし、質疑を行います。欧米局長より先般の説明についての補足説明を求めます。土屋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/7
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008・土屋隼
○土屋政府委員 外務省設置法の一部を改正する法律案につきましては、政務次官からすでに簡単に法律案の提案理由を申し上げたわけでありますが、補足的に今回提出をいたしました法案の趣旨といたしますところを説明させていただきたいと思います。外務省が神戸の移住あつ旋所というものを持つておりましたのは、元をたどりますと、昭和七年に拓務省がこれを設置した機関でございまして、戦争前には大体南米方面に移民いたします者の教養と健康診断等に当つていたのであります。戦争中はもちろん戦後におきましても約十年間移民の送出を停止いたしまして、従つてその間は神戸移住教養所というのは運行を停止したわけであります。その間建物自体は兵庫県の非現業共済組合連合会がこれを使用して最近まで至つたのであります。ところが戦後最近に至りまして南米、特にブラジル、アルゼンチン方面に日本移民の要請、またはその実現方が促進されて来ました。そのうち特に新聞などによく出ております上塚さんの計画にかかるアマゾン五千家族の移民の問題は、これは昨年の十月にブラジル政府の許可を受けております。またパラグアイでも農業移民計画、これも約百二十家族でありますが、正式に許可を受けております。また最近には長くブラジルにおられました移民関係の先覚者である松原安太郎氏の四千家族の農業移民計画も同様ブラジル政府の許可を受けたのであります。そのほか現地におります日本の在留民から就職の保証をいたしまして、それによつてブラジル、アルゼンチンなどに参ります移民、いわゆる呼寄せ移民でありますが、その数も年々増加を加えている実情であります。従つて今後の大体の見通しから申しますと、一年間に二千人ないし三千人の海外移住の方が出られるということになると思います。このアマゾン計画にいたしましても、また松原氏の送出計画にいたしましても、外務省といたしましては慎重に研究考慮をいたして来ましたが、現在すぐこの計画をそのまま実施しますのには現地の受入れ態勢がまだ完全には整備していないという心配がありますので、本格的の送出はおそらく来年度からということになると思います。来年度においてそれではどのくらい出るかということになりますと、大体上塚さんの案によるものが三百七十家族くらい、松原さんの計画によるものが二百家族くらい許可されておりますが、これが出ておるのであります。但し本年も何もしないというわけではありませんので、行きたいという人、並びに現地からの再三の催促もございますので、第一回のアマゾン移民の一部の十八家族は本年の十二月二十七日に神戸を出帆いたします。大阪商船のサントス丸で送り出すことになつておりますし、パラグアイの移民も近く具体化の運びになつております。そこで政府といたしましてもこれら移住希望者が相手国の要求するような健康と、それから相手国の要求するような條件を具備しておるということを見定める必要があります。またこれのあつせんをする必要もございます。また渡航いたしますにつきましてはふなれの方について旅券の査証その他いろいろ手続上のやつかいもあるわけであります。また現地に着きましたあとで現地の事情を知らず、現地の言葉を知らず、風俗を知らずいろいろの問題を起すということも心配にはなるわけであります。そこでこういつた出発に当つて、あるいは現地に着いてからの移住者の生活をより心配なく、また安易に出発ができるようにしてやりたいというので、政府といたしましては神戸移住教養所といつて前にありました機関を、この際あらためて外務省付属機関といたしまして法律的根拠を与え、そうしてこれを、神戸移住あつ旋所といたしまして、実は本年十月二十六日から事実上の再開をしているわけであります。そうして十一月一日には呼寄せ移民約五十一人をすでに出しております。十二月二日にもまた三十二名を送り出す予定になつております。
神戸移住あつ旋所の行います仕事の概略を申し上げますと、第一に相手国の入国法規に従つて体格検査、レントゲン検査、種痘、予防注射、トラホーム、寄生虫の駆除を行つております。また軽い何か疾患がございまして出発前に治療するならば、なおるという見込みのつきますものはそのあつ旋所において治療も加えております。
第二には移民のために旅券の申請、査証、通関、乗船など複雑な渡航手続が必要でありますが、これをあつせんいたします。
第三にはこのあつ旋所におります間に、相手国に入国いたしましてから現地の社会と同化できるように、また適当な仕事ができるように、特に営農するわけでありますから、農業を営むにあたつて適当なる準備ができておるようにというので、そういう見地から現地の言葉とか、地理だとか、慣習だとか、宗教、農業の事情、入植の方法、労働の計画、こういうものについて一般的な講習を行つているわけであります。これが今回外務省が提出いたしました設置法の一部を改正する神戸移住あつ旋所の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/8
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009・船田中
○船田委員長 ただいまの御説明につきまして御質疑ございませんか—。他に質疑がございませんければこの問題は次会に譲り、なお恩給問題につきましては次会に調査をすることにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後十時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00519521208/9
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