1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十六日(火曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 船田 中君
理事 熊谷 憲一君 理事 富田 健治君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 大矢 省三君
理事 武藤運十郎君 大西 禎夫君
岡田 忠彦君 田中 萬逸君
笹森 順造君 粟山 博君
吉田 賢一君 辻 政信君
出席国務大臣
国 務 大 臣 木村篤太郎君
出席政府委員
法制局次長 林 修三君
保安政府次官 岡田 五郎君
保安庁次長 増原 惠吉君
保安庁長官官房
長 上村健太郎君
外務政務次官 中村 幸八君
外務事務官
(大臣官房審議
室勤務) 中村 茂君
引揚援護庁次長 田辺 繁雄君
委員外の出席者
外務委員長 栗山長次郎君
議 員 谷川 昇君
総理府事務官
(恩給局審議室
長) 井下田孝一君
保安庁課長
(長官官房総務
課長) 山上 信重君
保安庁課長
(長官官房法規
課長) 麻生 茂君
外務事務官
(欧米局第一課
長) 高橋 明君
専 門 員 亀卦川 浩君
専 門 員 小関 紹夫君
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十二月十三日
保安庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二四号)
同月十五日
保安庁法の一部を改正する法律案(栗山長次郎
君外十一名提出、衆法第一五号)
同月十三日
軍人恩給復活に関する請願(千葉三郎君紹介)
(第七九四号)
同(新井堯爾君紹介)(第七九五号)
同(池田清君紹介)(第八九二号)
同(三池信君紹介)(第八九三号)
同月十五日
軍人恩給復活に関する請願(西村英一君紹介)
(第九一二号)
同(中馬辰猪君紹介)(第九三六号)
運輸審議会委員の任命に関する請願(山口丈太
郎君紹介)(第一〇一六号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
軍人恩給の復活に関する陳情書
(第
七〇一号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇号)
保安庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二四号)
保安庁法の一部を改正する法律案(栗山長次郎
君外十一名提出、衆法第一五号)
恩給に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/0
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001・船田中
○船田委員長 これより会議を開きます。
本日の日程は公報をもつてお知らせいたしておきました通り、外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出第、一〇号、保安庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号、保安庁法の一部を改正する法律案栗山長次郎君外十一名提出衆法第一五号、及び恩給に関する調査ということになつております。
まず外務省設置法の一部を改正する法律案につきましてお諮りいたします。御質疑はございませんですか——別に御質疑がなければ、討論を省略し、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/1
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002・吉田賢一
○吉田(賢)委員 私は希望だけを述べておきたいと思いますが、よろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/2
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003・船田中
○船田委員長 よろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/3
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004・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それは外務省の方に対しまして、今後の運営につきましてぜひ御注意を願つておきたいのであります。御承知の通り私どもの郷里の近くでありまして、あすこの斡旋所は以前から海外渡航の根拠地になつておりまして、神戸が外国人の出入り、あるいは外に出る等の重要な港でありまする関係もあつて、移民を目当てにするいろいろな悪徳業者などが跋扈いたします。それで幾多の悲惨な悲劇まで生じまして、あるいは渡航することができず、犯罪を犯して監獄に行く人もでざ、そのために一家離散したような実情も従来は多々あつたのであります。戦後まことに風教道義の地を払つた一面のある今日の状況でありますので、特にこの移民のふところを目ざしまして、神戸では幾多のブローカーとか宿引きとかその他が暗躍するということか想像し得られる状態であります。私も状況を知つておりまするが、りつぱば設備もあるのでありますから、ひとつできるだけこれを活用なさつて、そうした悪徳な者が暗躍する余地がないように、万全の措置をとつていただきたい、これだけはひとつぜひ希望申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/4
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005・船田中
○船田委員長 他に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/5
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006・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 私前会失礼をいたしましたので、あるいはどなたからかお尋ねがあつたかとも思いまするが、この移住あつ旅所の現状についてでございます。戦前のことは幾分知つておつたこともありますが、戦後の状況等につきましては、国民がほとんど知らないこ思います。そこで、できれば現在の概況を一応説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/6
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007・中村茂
○中村(茂)政府委員 神戸移住あつ旋所引は、ごく最近まで移民が実際に海外に渡航するに至つておりませんでしたりで、入国管理庁病院等に貸与いたしまして、閉鎖されておつたのであります。しかるところ、最近南米方面に対する移民が実現いたすことになりましたので、去る十月二十九日から神戸移住つ旋所といたしまして、事実上再開いたしまして、十一月一日には呼び引せ移民十一名、十二月二日には同三十二名を種々訓練、教養あるいは海外渡航のための手続等をあつせんいたしまして、送出いたしたのであります。移民あつ旋所におきまして行つておる事務は、大体左の通りであります。相子国の入国法規に従つて体格検査、レントゲン検査、種痘、予防注射、トラホーム及び寄生虫の駆除などを行うこと、また軽症の病人がおります場合には、渡航前にこれを治療いたしまして、健康体として渡航せしめること、さらに移民のために旅券の申請、査証、通関、乗船など複雑な渡航手続をあつせんいたしまして、役所でこれを援助してあげること、それからさらに第三といたしまして、相手國に入国後り現地社会への同化と、適切なる営農を促進するために言語、地理さらに現地の風習、農業事情、宗教、入植方法等について、簡単な教養の実施を行うことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/7
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008・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 さらに伺つておきたいのですが、この機関は、御説明によりますと、移住することが決定した者のみのあつせんのようでありますが、戦前においては、広く移民せんとする者の教養等にも当つておつたように聞いておりましたが、今後そうする考えがあるかどうか、重ねて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/8
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009・中村茂
○中村(茂)政府委員 現在のところ、収容施設等の関係から、移住が決定した人たちのあつせん、教育等を行う方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/9
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010・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 私前会欠席しましたので、たいへん失礼ですが、これは重要な問題でありますので、ちよつとお聞きしておきたいと思います。移民政策はわが国の重要政策の一つでございまして、現下国民の間には、移住したいという考えを持つておる人々も少くないと思います。しかしながら、政府の方針がはつきりしていないのと、広く普及されていない関係上、躊躇逡巡しておる感があります。そこで国民に政府の移民政策あるいは相手国の考え方等について、広く知らせておく必要があると思いますので、本委員会を通じて国民に知悉せしめるようお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/10
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011・中村幸八
○中村(幸)政府委員 お答えいたします。移民の問題につきましては、終戦後非常に国民の間にも移民熱が勃興いたして参りまして、特に近親者の呼寄せ移民につきましては、終戦後いち早く昭和二十二年ごろにアルゼンチンから許可がありまして、なおブラジルにおきましても、やはり同じように近親者の呼寄せが許可になつておるのであります。今日までアルゼンチンにつきましては約三千名、またブラジルにつきましては一千名程度の移民が渡航いたしております。この呼寄せ移民のほかに計画移民すなわち農業計画移民というようなものがアマゾンあるいはその他のブラジル中部地区に相当進出し得る見込みでありまして、すでに今日までアマゾン移民につきましては五千家族の許可もとりつけております。そのうち約三百七十家族につきましては来年度ぜひともこれを渡航せしめたいと考えております。なおそのほかに中部ブラジル地区には、これまた四千家族の許可を得ておるのであります。このうち来年度は約二百家族の渡航をさせたい、かように考えております。そのほかフランス政府からニューカレドニアの鉱山労働者の移民を要請して参つております。これも約二千名近いものであります。そういうように計画移民も着々許可になり、また渡航しつつあるのでありまして、本年十二月二十九日にはアマゾン移民が第一回の渡航をする予定に相なつております。
かようにいたしまして、移民がますます盛んになりつつありますことは、まことにけつこうだことと考えるのであります。しかしながら移民をもつて人口問題を解決するということは、それほど人口問題の解決には大きな役割を演ずるとは考えられないのでありますが、しかし一面におきまして、ある程度の人口問題の解決に資するとともに、そのほか私どもの考えといたしましては、移住相手国の産業開発に貢献する、そうして同時にみずからの活を求める、こういう考え方で進んで行かなければならないのじやないか。従つて正しい移民すなわち相手国の社会状態その他にまつたく同化し、移住先の土と化するというような意気込みを持つて移住するところの正しい移民を送り出したい、かように考えておるのであります。そのためには従来戦前におきましては、二、三の民間移民会社に募集あるいは選考をゆだねておつたのでありますが、欧州各国において行われておりますように、政府みずからが募集をし、選考をする、かようにいたしまして移民の質を厳選して行く、ほんとうに正しい移民を送り出すためには、どうしても政府の手で選考する必要があるのじやないか、こういう考え方で進んでおります。なお今回御審議をいただいております神戸移住あつ旋所こういうものをつくりまして、もつともこれは戦前にも神戸移住教養所というものがあつたのでありますが、戦前あるいは戦時中を通じまして、約十年間というもの移民の渡航が中止せられておりました。従つて神戸移住教養所もその機能を発揮いたしておらなかつたのでありますが、今回御審議を得まして、神戸移住あつ旋所を正式に外務省の付属機関として設置いたしたいと考えておるのであります。なお渡航費等につきまても、最近は非常に船賃が高いのでありまして、横浜からブエノスアイレスまで十四、五万円の渡航費がかかるのであります。この渡航費を移民に負担させるということは非常に困難であります。さりとてこれを政府の補助によつてまかなうということになりますと、政府の財政の都合も勘案しなければなりませんし、さらにまた重大なことは、移民の独立自営の気風を失わせるおそれがありますので、今回十二月二十九日に送り出します第一回のアマゾン移民、十八家族、五十四人につきましては、全額長期の資金を貸し付ける、こういうことにいたしております。なお移民につきましては、移民送出前におきまして、神戸移住あつ旋所に収容いたしまして、正しい移民としての心構えを教え、あるいは言語、習慣、宗教、現地の農業事情、こういうようなものをよく教え込みまして、移住地のほんとうに正しい移民となる心構えを教えたい、かように考えておるのであります。なお渡航につきましては非常に渡航手続が煩雑、でありますので、この神戸移住あつ旋所におきまして、そういう煩雑な手続等をかわつてしてあげることにもなつております。なお旅券の発券手数料等につきましても、移民につきましては特にこれを減額いたしまして、千五百円の発券手数料を五百円にいたし、また旅券の再交付の手数料等につきましても、これに準じて減額いたしておるような次第であります。
以上いろいろ政府におきましても、将来ますます移民が盛んになりますように各種の手段方法を講じて、移民の奨励に努めておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/11
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012・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 現在呼び寄せられんとしておる移民各位が現地へ到着せられたあかつき、永住するのに支障のない配慮が相手国で行われておるかどうか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/12
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013・中村幸八
○中村(幸)政府委員 相手国におきましても、ただいま申し上げましたアマゾンあるいは中部ブラジル移民につきましては、相手国の方でも非常な関心を持ち歓迎いたしておるのでありまして、移民があちらへ到着いたしますと、あちらの低利資金等も貸し与えてくださるように承つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/13
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014・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 大体政府の意のあるところは了承いたしましたが、将来に関する移民計画等、もし立つておりましたならばその点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/14
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015・中村幸八
○中村(幸)政府委員 将来の問題の一つの例といたしまして、戦前は一隻千二、三百人収容できる移民専門の移民船が十隻程度あつたように聞いております。ところが現在におきましては、わずかにオランダの二、三百人収容程度の船を持つてしておる現状であります。今後ますます移民が盛んになりますといたしますれば、どうしても移民専用の船舶を建造する必要があるのでありまして、七、八百人くらいは収容ができる船舶を建造したい。しかしながらなかなか移民専用の船舶は企業的には非常に困難なように考えますので、場合によつては政府の補助金あるいは低利資金等も考えなければならないんじやないか、かように考えております。またあるいは移民金庫制度というようなことについても、十分考慮しなければならない問題じやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/15
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016・船田中
○船田委員長 他に御発言ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/16
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017・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 本案に賛成でありますが、一つ希望しておきたいと思います。先ほど来の御説明で政府の移民に対する方針あるいは御覚悟のほどもうかがわれるわけでありますが、わが国の人口、食糧問題と関連して、これはきわめて重大な問題でありますので、政府はすみやかに積極的移民政策を確立されたいと思います。同時に従来移民が棄民になりがちであつた観がありますが、移民はあくまで民を捨てるというようなことに相ならぬように、最善の御留意あらんことを希望いたしまして私は賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/17
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018・船田中
○船田委員長 これより討論を省略し採決いたします。本案について賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/18
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019・船田中
○船田委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
なお本案についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任をお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/19
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020・船田中
○船田委員長 次に保安庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、政府より提案理由の説明を求めます。木村国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/20
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021・木村篤太郎
○木村国務大臣 ただいま議題となりました保安庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びにその要旨を御説明申し上げます。
政府は、御承知のごとく先般一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、保安庁職員は、特別職でございまして、その給与につきましては保安庁職員給与法の定めるところになつております。従つて今回一般職の職員の給与改正の趣旨に準じまして保安庁職員の給与を改正いたすこととし、本法案を提出した次第でございます。
次に本法案の要旨を申し上げますと、第一に、職員の給与額の引上げでございますが、これは実質的に一般職の職員との均衡を考慮して決定いたしました。なお、この際新たに保査長以下の保安官並びに警査長以下の警備官に対しましても扶養手当、石炭手当、寒冷地手当を支給することにいたしたのであります。
第二に、一般職の職員の給与制度の改正に対応して、保安庁職員についても、これに準じて宿日直手当、期末手当、勤勉手当の制度を設け、また俸給の特別調整額を認めることとしたのでございます。その他昇給期間に応ずる昇給間差額、休職者の給与等につきまして所要の改正を加えたことも一般職の職員の場合と同様でございます。
第三に、保安大学校の学生に対する手当月額二千五百円を三千円に引上げました。
第四に、これらの改正に関連いたしまして、俸給の支給方法、国家公務員の石炭手当、寒冷地手当の支給に関する法律につきまして必要な改正を加えることといたしました。
なお、以上のほか、部隊等に勤務する事務官等の俸給の支給期間、国家公務員災害補償法の準用規定について所要の改正を行いました。また職員の療養等及び国家公務員共済組合法の適用の特例につきまして改正を行つておりますが、これは退職した保安官及び警備官に対して国が療養の給付または療養費の支給を行い。また共済組合がこれらの者に傷病手当金を支給することができるようにいたしたのであります。
本法案の施行期日等につきましては、それぞれ一般職の職員についての場合に準じて規定いたしております。
以上本法律案の提案理由並びに要旨を御説明申し上げました。
何とぞすみやかに御審議の上御賛成くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/21
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022・船田中
○船田委員長 これにて提案理由の説明聴取は終りました。質疑は次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/22
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023・船田中
○船田委員長 次に昨日本委員会に付託されました保安庁法の一部を改正する法律案栗山長次郎君外十一名提出、衆法第一五号につきまして、栗山長次郎君より提案理由の説明を求めます。栗山長次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/23
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024・栗山長次郎
○栗山外務委員長 御審議を煩わします保安庁法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたしますために、提出者の栗山長次郎並びに谷川昇の両議員が出席をさせていただいております。提案者にかわりまして、提案理由の説明の一部分として、御審議をなぜ煩わすようになりましたかという事情を少しく述べさしていただきまして、成規の提案理由の説明書は、委員長のお許しを得て政府委員の諸君に説明員になつていただきまして、説明員の方に朗読をしてもらうことにさせてあります。日本の海岸線を警備いたしますための船六十八隻をアメリカから借りる日米両国間の船舶貸借協定承認の件が外務委員会で目下議題となつております。もし国会においてこの貸借協定を承認いたしませば、借り受けた船は、御存じの通り保安庁法の律するところになるのでありますつ従つて借りる船と保安庁法との間には、今申しましたような関係がありますので、保安庁法の方に疑義がありますと、借りて来た船を律する上に支障を来しはせぬかということで、貸借協定の審議が円滑を欠くわけなのでありますが、現に保安庁法で条約に関係ある国内法の適用を除外しておりますので、借りて来た船が律せらるべき法的根拠に不備がありはしないかという疑念が遺憾ながら外務委員会で起つたのでありまして、これに対し政府は、かりにそういう不備の疑義があれば訓令をもつて補うから、その点は安心してほしいということで一応終つたのでありますが、法律の一部改正までしておけばすべての疑義は一掃でき、その方がさらによくはないかということで、船舶を借り受ける貸借協定を一日も早く促進したいと考えております外務委員会の委員同僚が、それでは保安庁法の一部を改正する法律案をわれわれ議員から出と、貸借協定の審議を促進しようじやないかということになりまして、政府委員に資料を集めてもらい、説明員になつてもらつて、ただいま御審議を煩わしますような法案を提出させていただいた次第でございます。政府が出すべきではないかという御意見もないではございませんでしたが、外務委員会では、私どもが全委員の方に非公式にお諮りをいたしましたときには別段の異議にわたるような御発言もなく、きわめて円滑に、外務委員会としてはその中の一部議員たちが名を連ねて促進を早めたいというので皆様の御審議を煩わす段階になつた次第であります。先ほども申しましたが、委員長にお願いを申して便宜をおはかりいただきたいのは、私ども提案をいたしましたのは議員でありますけれども、便宜上政府の人たちをしてこの法案に関する説明員としてひとつおとりなしを願いたく存じます。成規の提案理由説明書は説明員の方から御朗読を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/24
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025・麻生茂
○麻生説明員 ただいま議題となりました保安庁法の一部を改正する法律案の提案の理由を申し上げます。外務委員会における日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定の締結について承認を求める件の審議の過程において、保安庁法第八十七条により船舶安全法の規定を警備隊の使用する船舶について、同法第八十八条により船舶職員法の規定を警備隊の使用する船舶及びこれに乗り組んで船舶職員の業務に従事する職員について、また同法第八十九条により電波法の一部を警備隊の使用する移動無線局について、適用しないこととしているので、これらの適用除外の規定と海上における人命の安全に関する国際条約及び国際電気通信条約の履行との関係について活発な論議が行われてきた。これらの適用除外規定の趣旨は、警備隊所属船舶は国家機関に所属し特別の公共の任務を遂行する船舶であるから一般法たる船舶安全法及び電波法等をそのまま適用することは不適当であり、人命の安全その他必要な事項については行政的措置により遵守せしめるという趣旨であります。ことに人命安全条約において軍艦以外の船舶については原則としてこの条約を十分かつ完全に実施すべきものであり、これがため船舶安全法もできているのであるが、警備隊所属船舶は軍艦として適用除外をするという趣旨ではなく、必要な事項は命令、規則、訓令等により遵守せしめ、条約遵守上遺憾なきを期する趣旨でありました。電波法についても国際電気通信条約及び同附属無線通信規則があり、これらは警備隊の電気通信業務についても遵守すべきものでありますが、このためには必ずしも電波法をそのまま適用する必要はないので警備隊の使用する移動無線局の特殊性にかんがみ一部の規定を通用しないことにしておりますが、これも行政的措置により必要な事項を遵守せしめようという趣旨であります。しかるところ船舶貸借協定の承認の審議の経過から見てこの際警備隊の使用する船舶等についてこれらの趣旨を明確にすることが適当であると考えられるに至つたのでここに保安庁法の関係規定を改正し、明文をもつてこの趣旨を明らかにすることとし、このための法案を提出した次第であります。
何とぞ御審議の上すみやかに可決されんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/25
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026・船田中
○船田委員長 これにて提案理由の説明聴取は終りました。
質疑を行います。御質疑はございませんか。——質疑は次会にこれを行い、なお討論採決を次会にいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/26
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027・船田中
○船田委員長 次に恩給に関する調査は、国務大臣に対する質疑が残つておりますが、これは時間を改めて行うことといたしまして。引揚援護局長が参りますので、早稲田君の発言を許します。——それでは早稲田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/27
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028・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 援護局長にお尋ねしたいと思います。さきの国会におきまして、遺家族援護の措置の一つとして、一時金、年金その他を支出することに決定したのでありますが、その後その給付状況あるいは事務の進捗状況について、一応実情を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/28
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029・田辺繁雄
○田辺政府委員 援護法によります遺族年金及び弔慰金の事務の裁定の状況を申し上げます。
今月の十二日現在で、受付けましたものは、百十七万五千人分です。戦没者数の柱数にいたしまして、百十七万五千人になつております。そのうちで裁定になりましたものが九十八万八千人でございます。裁定になつたものは、各都道府県を通じまして、各遺族に通知を差上げるわけでございますが、通知の済んだものが七十七万五千人分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/29
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030・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 ただいまの数字を伺いますと、おおむね順調に進んでおるようでありますが、ところによりますと、まだ全然支給を受けていない村とか町、あるいは字というふうに、非常に甲乙があるようでございます。そこで遺家族はこの金の来るのを待つておる現状であります。隣の村は参つておるが、自分の村には来ないというようなことで、相当物議をかもしておりますが、そういう実態を政府は知つておるかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/30
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031・田辺繁雄
○田辺政府委員 事務の取運びといたしましては、市町村を通じまして各都道府県の世話課に申達になりますると、受付けた順番に処理しております。もつとも受付けました書類の中で、戸籍関係の書類とかその他の書類で不備な点がありますと、もう一ぺんそれを市町村の方にお返しをしまして、調査をしていただくようにいたしておりますので、そういうものがありました際にはどうしてもあとまわしに止るのでありまして、もう一ぺんそれが整備されましてからやるわけで、先に出しましても書類の不備なものにつきましては若干あとにおくれる場合がございます。各府県から申達になりましたものは、それぞれ中央におきまして府県別に担任をきめておりまして、各県別に処理するわけでございます。実は先月の十日ころから援護庁内部の態勢を全面的に切りかえまして、非常措置を講じまして、残業なり、日曜、土曜も勤務をいたしまして、仕事を進めておる関係から、先月の中旬あたりから非常に能率が上つて参りまして、約この一月間に数十万の処置をしたようなわけでありますので、それ以前に比べますると、相当各府県市町村に通知の行つておるものがふえておると思います。最近におきましては、従いまして、あまり遅れておるところはないのじやないかと思いますが、なお一層督励いたしまして、今月一ぱい中には、今月の中旬ころまでに都道府県から中央に申達になりましたものは、むずかしいものは別といたしまして、各府県に御通知できるようになるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/31
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032・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 先ほど御説明の百十七万五千柱でございますか、そのうちで七十七万五千柱が裁定になつておるというのですが、ちようどこれは大体六割ばかりでございますが、この分は年内に遺家族に金が渡ることのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/32
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033・田辺繁雄
○田辺政府委員 柱数の中で、年金をもらう者と弔慰金をもらう者と、弔慰金と年金と両方もらう者がございまして、年金につきましては、私の方から郵政省の方に通知を出しまして、本人にはそれぞれ証書が渡るわけでございますが、証書が渡りますれば、すぐ郵便局へ行つて、金が渡るわけでございます。弔慰金の方は国債でございますので、現物は大蔵省を通じまして、大蔵省が国債の発行をするわけでございますが、大蔵省が日本銀行を通じまして、それぞれの支店、代理店を通じまして、本人に国債を渡すようになるわけでございます。国債の方はこういつた関係で若干手間がとれますが、年金の方は本人の手に証書が渡りますれば、すぐ郵便局で一年分をまとめてもらうということになつておりますので、すでに通知をしております七十七万五千の分は、年内に金が渡るようになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/33
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034・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 政府はさきに、八月十五日までに事務的な調査を完了する、年内には必ず遺家族の方のお手元に届くように手配する、こういうことをどの委員会であつたか、委員会で言明しておつたようであります。今承りますると、その六割がようやく裁定が済んだばかりで、まだ年内に金の渡る見通しも十分でないということは、いかにも政府が怠慢であると思いまするが、これは一体市町村役場が怠慢であつたのか、あるいは府県庁がそうした遅滞をしておつたのか、または本省で堆積させておつたのか、その辺の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/34
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035・田辺繁雄
○田辺政府委員 実を申しますと、戦没者の数が、権利のある者もない者もありましようが、約二百万人近くあるように考えられる。これはざつとした調査でありますが……。しかもこの援護法によりまする権利でございますので、相当慎重に調査点検も行わなければならぬのでございます。従つてそれに伴います書類等もいろいろとあるのでございます。趣旨の普及徹底をいたしましても、各人から書類が出て来るという場合には、各人がなかなか自分で書けないという方もありますので、市町村がかわつて書く。またそれに伴いまして、戸籍の書類など整備しなければならぬという関係で、市町村の窓口に相当事務が殺到したのでございます。しかし市町村の方では相当馬力をかけまして、府県の方に十月ころまでは相当多数出ております。しかし何分にも世話課の職員は定員がふえませんので、大体臨時職員を雇いまして、これによつて仕事をするという関係上、なかなか能率が上らない。しかも中央に参りましても、中央でもこの仕事をするために別に定員がふえなかつたので、全部臨時職員でやつております。指導の職員が臨時職員を訓練いたしまして、そうして複雑な戸籍関係の仕事、法律関係の仕事をやるわけでございますので、訓練が済んで能率が上るまでには相当手間がとれるわけでございます。急ぎました結果、あとで間違いが起りますと、どうしても取消しなり訂正をしなければならぬ。そういうことになりますと、非常にあとで遺族に御迷惑をかけますので、的確にしかも迅速にということでやつて参りました関係上、能率を一定限度まで上げるまでに相当手間がとれたような状況でございます。最近ようやく習熱いたしましたので、残業等もいたしまして、間違いがだんだん少くなつてきた関係もございまして、最近はようやく軌道に乗つたという状況でございますので、今後はあまり滞留せずに済むような見通しがついておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/35
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036・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 今局長のお話を承りますと、最近ようやく軌道に乗つたということですが、私はけしからぬと思う。何となれば、先ほど申し上げたように、八月十五日までには調査を完了して、年内には必ず遺家族の方を御慰問申し上げることができる、こう言明出しておる政府であり、一方遺家族の方々は長い間待ちに待つた援護金であります。政府の意図もまた、そうした苦しい立場にあつて忍びに忍び、待ちに待つていらつしやる方をお慰めしよう、こういう気持によつて支給されることになつたこの援護金であり、一時金であるはずであります。ようやく最近に至つて軌道に乗つたというがごときことは、これは言語道断であつて、法の趣旨を踏みにじつているものだと私は思う。八月十五日までにはすでに整備できておるはずであります。私の聞いておる範囲内においては、市町村役場のごときは、政府から何らの指示をしない。新聞では、そういう施策を国会で講ぜられたということを知つたけれども、何ら指示がない。従つて手の打ちようがない、こう言うて、手をこまねいておつた町村が多かつたはずであります。今日もなお民生委員の方の声等を聞きますれば、もつと早くやつてくれてもいいのに、今ごろになつてやかましく言うというのは、一体政府は何をしておるかという、政府に対する怨嗟の声すら、各地に起つておる現状であります。幸いにようやく手配せられて、支給手続等万全を期しておると言われるから、私はそれを了といたしますが、しかし少くとも年内には給付してあげなければ、立法の趣旨はなくなつてしまうわけです。当時これはお燈明料であり、涙金であり、心ばかりであるけれども、お慰めのしるしであると、大臣も幾度も国民に誓つておる、この涙金であるわけであります。私は願わくは、一日も早くお手渡しのできるようにしていただきたいと思います。もうすでに年末も迫つた今日、あれこれ言つてもやむを得ないかもしれませんが、県あるいは市町村に速急にひとつ通達を出されまして、万全を期せられるようにお願いをいたしたいと存じます。
それからもう一つ聞いておきたいことは、そうして支給せられた年金、国債、これをただちに金にかえたいという遺家族の方が過半数であると思います。ある市のごときは、約三百人の方々が全部これをまとめて金にかえてもらいたいということで、ある市の援護課へ申し込まれた。ところがその市では、そういう方途は政府からも指示がないし、方法もないというので、にべなくこれを断つて、遺家族を憤激せしめたという現実の町村もあります。そういうような場合はいかなる方途をとるか、この点についても伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/36
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037・田辺繁雄
○田辺政府委員 弔慰金の国債につきましては、今年は総額八百余億でございますが、その利子を六分といたしまして、利子分だけを計上してあるわけであります。これはもともと非常に多額になりますので、国債で出したという関係もございます。これを全部換金措置を講ずることは、財政上非常に困難であるような事情もあつたのでございます。ただし遺族の中には非常に生活に困つておられる方もあり、またいろいろとお金が必要である方も相当多いと考えられますので、私どもといたしましては、そういう困つた方にはできるだけ早くこれを現金化できるようにと思つていろいろ努力をして参つたのでありますが、今日まで国民金融公庫を通じまして、約十億円を計上して、これを現金にかえる、これを担保として金を貸すという建前になつておりますが、なお根本的には、生活に困つた方には国債を政府が直接買い上げてやるということが一番望ましいわけでございますので、これは本年度内におきましても何とか都合いたしまして、若干でも買い上げることができるようにと思いまして、せつかく今財務当局と折衝を重ねておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/37
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038・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 今の換金方法でございますが、これなどもすでに新聞等では、政府は換金についての措置も万全を期しておると報道せられた新聞すらあるわけであります。今聞くと、ようやく大蔵当局と折衝しておるというがごときことでは、まことに遺家族に対して相済まぬことだと私は思います。すみやかにこれが換金措置のできるように手配をしてもらいたいと思います。
それからもう一つ、ついでに聞いておきたいことは、先ほどの県なりあるいは町村に対する本省の指示でありますが、今まで一体、どんな指示と通達が行つておるか、これも一応伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/38
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039・田辺繁雄
○田辺政府委員 この援護法は、国会を通過しましたのが今年の四月二十五日でございます。これは国会でも非常にもめまして、参議院におきましてまた大きく修正されたような状況であります。従いましてこれに伴ういろいろの法令等も、施行細則等もその都度かわつて参りました。五月十二日に各都道府県の責任者を集めまして、詳細な会議をいたしました。それから五月一ぱいかかりまして、各、ブロック会議を聞きまして、各都道府県の主務者に徹底をいたしたわけであります。それから各府県におきましては、市町村の担任者を集めまして、詳細説明をいたしました関係上、各市町村に対する本省の指示、通達の徹底いたしましたのが、大体六月の下旬と考えております。それから書類が出て参りましたので、ちよつと正確な記録は覚えておりませんが、早いところは七月の中旬ごろには、ごくわずかなものだけ本省に申達があつたところもございます。しかし多数出て参りましたのは九月以降でございまして、九月、十月、十一月と、こういうふうにだんだんと申達の数がふえて来たような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/39
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040・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 今の説明で政府が逐次方途をとつておられることはわかりますが、しかし八月中旬にすでに書類の出かかつておるものが、今日十二月になつてもまだ六割にも達しないというようなことでは、どう考えても怠慢といわざるを得ぬのであります。さらにひとつ、日もありませんけれども、裁定せられた分なりとも、ただちに本人に渡るように格段の配慮をせられるように要求をいたします。
なお所によりますると戸籍の関係あるいは家庭の異動等の関係で、先ほどの御説にもありましたが、何人にその権利があるかかなかなかわからないような、分が多いと聞いておりますが、こういうものに対しては家庭裁判へかけるとかまたは世話課で指示するとか、いろいろ方法はありましようが、現在どんな方法をとつておられますか、あわせて伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/40
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041・田辺繁雄
○田辺政府委員 この法律による年金、弔慰金の権利者がだれであるかわからないために、金の支給ができないというようなことは大体においてないと考えております。戸籍謄本によつておおむね確定いたしますし、さらに生計状態等を要件としておるものにつきましては市町村の証明をとつてやつておりますので、身分関係がはつきりしないために権利者が確定しないというようなものはないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/41
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042・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 もちろんこれは最後にはどこかにきまりましようが、そのきまる過程におきまして相当むずかしいものがあつて、地方では今問題になつておるものが多いと聞いております。県の世話課へ行つても、なかなかこれはわからないということで、忙しい関係から、真剣には相談に乗つてくれませんので、乳のみ子をかかえて困つておるような方もあるようでありますが、こういう者に対しましても、一応政府はその基本をお示しになつて、そうして大体県の世話課あたりで問題が解決するように、安心して受取ることのできるようにしてもらいたいと思いますが、そういう方法をとつてもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/42
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043・田辺繁雄
○田辺政府委員 終戦後七年もたつておりまするので、身分関係が相当複雑になつております。従いまして個々の例をとりますと、相当むずかしい例がたくさんございまして、おそらく市町村からいろいろ質問があつたのだと思いますが、各府県から本省の方にこういう場合はどうなるのだというたくさんの照会が来ております。それに対しましてはその都度中央でいろいろ研究をいたしまして、恩給局の関係もありまするし、また法務省との関係もありまするので、詳しく研究をいたしまして、質疑回答という形でその都度府県に流し、府県から町村にそれが流れるようにとりはからつておりますので、最近は大体典型的なおもなるものは、すべて各府県を通じまして趣旨が徹底していると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/43
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044・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 私は各地をまわりまして、随所でこの問題について悲痛な声を聞きますので、義憤を感じて政府を鞭撻したわけでありますが、今の御説明で御苦心のほども了察はできます。飢えに泣き、非常に苦しい立場に立つていらつしやる方が多い現段階でございますので、どうか一段と留意せられまして、すみやかに支給のできるように、そしてこの法の趣旨が徹底するように、格段の御配慮あらんことを重ねて要望いたしまして、私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/44
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045・大矢省三
○大矢委員 この機会にちよつとお尋ねしておきたい。私のところにこういう手紙が来ている。それは昭和十五年の十一月二十七日に戦死をしたという公報が二十二年の十一月二日に来た。従つて七年間も経過しておる。そこで、これは一時金を渡したから、今度の弔慰金その他一時金の資格がない。どういうわけでそういうことになつたかというと、その当時一時金を渡してあるから、これは再度渡すわけには行かぬということなんです。ところがもらつてないという。そこでもらつている、もらつておらぬでもめているのですが、これは河北の石仏附近で戦死したというのですが、十五年から二十二年ですから、その間七年ばかりたつておる。七年後にこういう公報が来た。しかも二十二年十二月ですから、終戦後二年余りたつたときに公報が来て、これが一時金をもらつておるから、今度の適用を受けぬという。こういう人が私は相当あるのではないかと思う。こういう場合、はたして資格がないのか。それからもし受取つたというなら、必ず受取りがあると思うから、それを示せばわかると言うと、遺族に一時金を渡してあるから、その資格がなくなつたのだという。それで、もらつたことがないから、それを見せてくれと言つたら、ないという。こういうことで実際困つておる手紙が来ておる。こういう場合に——受取りもなく、しかも二十二年十二月に公報が入つたのですが、資格があるのかないのか。戦死したのが七年前ですが、そういう公報が入つておる、こういう場合にはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/45
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046・田辺繁雄
○田辺政府委員 お答えいたします。遺族援護法の弔慰金の条項に、弔慰金を受取る方は、昭和十六年十二月八日以降において戦死した方々に弔慰金を差上げるというふうに法律の中に書いてあるのであります。従いまして受取りがあるとかないとかでなしに、戦死した時期が大東亜戦争以降であるか以前であるかによつて弔慰金を渡すか渡さないか、はつきり書いてありますので、その関係で御本人に弔慰金が渡らないのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/46
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047・大矢省三
○大矢委員 その場合に一時金も何もないのですか。しかも二十二年十二月、終戦後二年余りしてから広報が入つておる。そういう場合にもしその資格がないなら、そのときに一時金か何かを渡しておるはずだ、しかしそれをもらつておらない、しかし一方は渡しておるから、従つて資格がないという。日限も今申しましたように法律では十六年以降となつておるから、十五年十一月二十七日の者が適用にならないということは明らかになつたのですが、そういう場合に一時金をもらつていないというときはどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/47
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048・田辺繁雄
○田辺政府委員 大東亜戦争以前に戦死した方々に対しまして、終戦後において死亡公報が出されるという例があるわけでございます。そういう方には、今でも一時金と申しまして、弔慰金五万円ほどではございませんが、若干の一時金は差上げるのでございますが、とうてい五万円という万と数える金額ではないのでございます。ただ過去においてもらつたかもらわぬかということは、必ずしも法律上の要件ではございませんで、法律では第三十四条に昭和十六年十二月八日以降において戦死した方に弔慰金を差上げるというふうに書いてあるのでございます。従いまして十六年十二月八日以前の死亡者に対しましては、弔慰金は今日の法律の規定によりますと支給されないことになつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/48
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049・大矢省三
○大矢委員 七年もたつてから公報が来るということは、実際ありますか、こういう数が相当残つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/49
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050・田辺繁雄
○田辺政府委員 数はそうたくさんないのでございますが、状況不明になつておりまして、その後個人々々について、その後の状況を調べて参りますと、あとで資料がわかりまして、どこどこで死んだということが確認される場合があるわけでございます。それで今お話になりましたような例が若干あるのでございまして、こういう方々にはまことにお気の毒でございますが、現在のところ弔慰金の五万円は法律の規定では出ないことになつております。ただこの法律の弔慰金を差上げるという場合に、十二月八日と限りましたのは、いろいろの事情がありますが、いろいろな過程を経まして、十二月八日以降の方々に弔慰金を差上げるということになつたのであります。当初予算がきまり、その予算の範囲内で公債と年金をあんばいするという立場に追い込まれました関係上——十二月八日以前の、支那事変当時の方には、大体弔慰金が出ておるわけでございます。支那事変以後において弔慰金が大体において出ていなかつたということで、十二月八日で押えたのでございます。確かに終戦後死亡公報が出た方につきましては弔慰金が出ておりませんことは明瞭でございまして、お話の通り不均衡であると思います。この不均衡は十二月八日以前でももらつていない方がありますと同時に、十二月八日以降においてももらつていない方も多いのであります。だれがもらつておるか、もらつていないかということは、非常に終戦後混乱しておりまして、役所の中に資料がございませんので、やむを得ず十二月八日ということで切りまして、その資格のある方にだけ弔慰金を差上げることに法律が制定されたわけでございます。御参考までに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/50
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051・吉田賢一
○吉田(賢)委員 戦犯者の遺家族について、少しお尋ねしてみたいと思います。外地においての戦死者あるいは判決以前の病死あるいは自決、そういつた人々がずいぶんあるらしいのであります。私どもの調べたところによりましても、外地のそれが約千名になつております。こういつた人々の遺家族は、実に悲惨な状態でございまして、実は兵庫県にもこういう戦没者が五十人近くあるようであります。その遺族のために明後日慰霊祭が行われる状態にあるのですがこういう全国に散在しております陰の遺族の人々に対しては、目下どういう保護の措置がとられておるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/51
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052・田辺繁雄
○田辺政府委員 戦犯者として逮捕されました後に死刑に処された、ないしは服役中に死亡せられました方々等は、援護法の取扱いにおきましては、遺憾ながら対象とはなつておらないのでございます。と申しますのは、援護法は、軍人軍属が在職期間内に公務のために死亡するということが要件でございます。戦犯者が戦犯容疑者として逮捕されますと、従来判決になつたときをもちまして復員の手続をとつておるわけでございます。従いまして復員後は在職期間と考えられませんので、在職期間として取扱つておりません。そういう方には、軍人が在職期間後において死亡された、あるいは服役中死亡されたという関係になりますので、援護法の現在の規定におきましては対象にならないのでございます。援護法は御承知の通り軍人恩給の復活するまでの暫定的な措置という色彩を多分に持つておるわけでありますので、すべて恩給法の規定をそのまま受けております。復員ということは、要するに昔の言葉で申しますれば、退職ないしは召集解除ということでありますので、召集解除になつたあとの取扱いにつきましては、在職期間内における公務という観念は及ぼしがたいように現在の法律の解釈といたしましては考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/52
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053・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それで現在援護庁におきましても、何らの保護の措置はとつておられないということなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/53
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054・田辺繁雄
○田辺政府委員 戦没者遺族等援護法の上におきましては、戦犯として判決を受けた後におきまして死亡された方方は、援護法におきましては対象として、取上げておらないということを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/54
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055・吉田賢一
○吉田(賢)委員 その援護法以外の方法によりまして、相当保護する必要があるものと思われます。やはり無実の罪もあろうし、またわれわれの法律常識から考えましても、裁判前に死んだような人は、やはり戦争に服役しておつた間の死没者として、広く公平にその遺族に保護を加えるということが必要であろうと思うのですが、何らの措置もないわけなんですか。あるいは考慮されたけれども、何かの事情で実現しなかつたでしようか。その辺いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/55
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056・田辺繁雄
○田辺政府委員 私が申し上げましたのは、戦争裁判の判決の済んだ方につきましては、さような取扱いになつておることを申し上げたのです。判決確定前に未決中に死亡された方々は、復員の手続をまだとつておりません関係上、未復員になつておる方々が相当あろうと思いますが、こういう方々につきましては、その死亡が公務ないし公務と同様の事情であるということが決定されますれば、援護法の適用があるわけであります。この援護法では、恩給と同じように、第四条によつて、軍人たる特別の事情に関連して不慮の災難により負傷し、または疾病にかかり、援護審査会において公務による負傷または疾病と同視すべきものと議決した場合には、公務として取扱うことに相なつておるわけであります。しかもそ、の場合は復員の手続きをとつておらない。つまり未決でございますので、判決が確定しない。判決が確定しなければ復員の手続はとつておらないと考えております。従いまして、軍人、軍属という身分を持つておりますので、在職期間ということになるわけであります。従いまして、同じ戦犯で逮捕された方々につきましても、未決中に死んだ方と判決があつた後の取扱いとでは、法律の解釈上取扱いが違つて来るのではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/56
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057・吉田賢一
○吉田(賢)委員 そうしますと、判決の確定以前に、逮捕後自決等で死亡した方は未復員者として保護をしておる、こういうふうにお聞きしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/57
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058・田辺繁雄
○田辺政府委員 死亡した方でございますから、現在は未復員者でございませんが、死亡した当時は未復員者ないしは軍人、軍属であつたわけであります。ただその場合に、自決その他未決中における死亡が公務と考えられるかどうかという点につきましては、先ほど読み上げました第四条で、公務と同視すべきものと援護審査会において決議がありますれば、この援護法の適用があることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/58
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059・吉田賢一
○吉田(賢)委員 ちよつと質問の言葉が足りなかつたのですが、私は遺族の問題を主として言つておりますので、当人は死亡しているからもちろん適用はないと思います。そこで援護審査会におきまして、そういう措置がすみやかに完結せねばならないと思うのです。判決によつて死亡した以外の逮捕後なくなつた人は、援護審査会にかけられて、公務の死なりやいなやの確定は、もう一切済んでおるのですか、まだですか。その状況を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/59
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060・田辺繁雄
○田辺政府委員 それはまだその手続をとつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/60
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061・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/61
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062・田辺繁雄
○田辺政府委員 これは援護審査会に各人から請求が戸籍謄本その他の書類がついて出て参ります。その請求に基きまして援護審査会に付議いたしまして、審査会の議決を得るという関係になりますので、そういつた事例が今後出て参りますれば、審査会にかけて、審査会の意見を聞くことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/62
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063・吉田賢一
○吉田(賢)委員 各人といいますと、遺族が申請して初めて援護審査会が活動する、こういう順序だと御説明になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/63
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064・田辺繁雄
○田辺政府委員 目下のところそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/64
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065・吉田賢一
○吉田(賢)委員 それは別に新しい法律とかなんとかの立法措置等の手続を用いずとも、やはり援護庁において適当に行政の運用上進んで措置をして、埋もれたそういう遺族のために保護の手を差延べるというふうに仕向けることが適当ではないかと思うのですが、それはできないのですか。したらできるのでしようか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/65
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066・田辺繁雄
○田辺政府委員 この点なお考慮してみたいと思います。これは一つでも例がございますれば、すぐ他に及ぼし得ると思いますし、また個々のケースによつていろいろ事情は違つておりますが、場合によりましては、一つだけいいといつて他が全部いいということになるかどうか議論がございますので、おもなケースをとりまして至急に研究を進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/66
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067・吉田賢一
○吉田(賢)委員 積極的にひとつ御配慮を願いたいと思います。なお最近は戦犯者、その遺族等のために世話会というものが各地にできておりますから、それらとも適当に御連絡の上、すみやかにそういう埋もれた人のなくなるように処置せられんごとを希望しておきたいと思います。
それからもう一点、現在の巣鴨に在住しておる人々の問題ですが、この中にはやはり傷病者もおりますし、いつまで生きとられるかわからぬような老衰した人もたくさんおりますが、こういつた人につきまして、法律二百五号ですか、あの法律の附則によつて特例法の八条は生きておるはずでありますが、何か行政措置としまして、恩給等に均霑させるような措置をとる方法はないでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/67
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068・田辺繁雄
○田辺政府委員 恩給局の方からお答えするのが筋かと思いますが、老齢軍人に対する普通恩給は今日停止されております。従いまして、今日のところ私どもの方の特別未帰還者給与法という法律を準用いたしまして、その留守家族には未復員者ないしは一般の未帰還者の留守家族と同じような処遇をいたすように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/68
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069・吉田賢一
○吉田(賢)委員 年末の元軍人等の老齢者に対する給与金ですが、多分補正予算で一億八千万円か組んであつたと思います。これにつきまして援護庁から各市町村長あてで給与についての申出書を出すようにという通知があつたように記憶しておりまするが、これらにつきましては、やはり適用しないということにしたのでしようか。あるいはその年末給与——二千円のはした金ですが、これは給与するということになつたのでしようか。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/69
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070・田辺繁雄
○田辺政府委員 年末の二千円は今至急に年末に際して支給しようという趣旨でありまして、実は予算もまだ確定しないわけでありますが、申込書だけはとつております。いろいろこの支給対象につきまして研究をいたしたのでありますが、戦犯の方々に対しましては、いろいろの点を考慮いたしまして、この支給の対象からは除外したようなわけでございまして、これは軍人恩給が復活いたしました際に普通恩給の支給を受ける権利の裁定された方というように限定した関係上、現在普通恩給の対象から除外されている方々には御遠慮していただこうということから、こういうような方々を支給の対象からはずしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/70
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071・吉田賢一
○吉田(賢)委員 これは法律に基く恩給法の一適用としてではない措置とわれわれ了解しまするので、そういうような場合にはできるだけ広くそういつた人にも均霑するというふうに御処置されることが、やはり今の国民感情から申しましても、また巣鴨在住の傷病老元軍人の実情にかんがみましても、あるいはまた衆議院におきまして、過日戦争犯罪受刑者の全面的釈放についての満場一致の決議が通過しておる実情にかんがみましても、あるいはまたわれわれが実際見ますると、選挙権も持つておりますし、また外へ出る人には公務についての就職権もあるようでありますから、そういう各般の点から見まして、この際適当でないかと思いまするので、これは希望を兼ねまして、ひとつさらに善処されんことを要望したいのです。これは法律によつてどうしてもいかぬという面は、法律のわくをはずして行く以外に道がないのですが、年末を越すもち代をわずかながらやろうという大きな気持ですから、国民感情上非常に大事な問題であります。しかも数はわずかで、巣鴨に恥在所しておる人なんかおそらく二、三十人もないだろうと思います。これだけ除外するということは、実情から見ると少し酷だと思いますので、もし今後予算が通過して実際に適用されるときには、特に御配慮願つたらいかがかと思うのです。なおその点につきまして御説明願うことがあれば伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/71
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072・田辺繁雄
○田辺政府委員 実は先般恩給法特例審議会におきまして、軍人恩給復活に関する基本方針について政府に対し建議があつたのでございますが、そのうちに戦犯者に対する取扱いとしましては、適当な時期において恩給を支給することを考慮するというふうに答申があつたのであります。従つて来年軍人恩給の復活の法律が制定されましても、普通恩給がただちに戦犯者に対して支給されるかどうかはまだはつきりいたしません関係上、今それがストップになつておるからまことにお気の毒であるという趣旨で出るもち代でございますので、それに累を及ぼさないことも必要ではないかと考えますので、特に手続を慎重にいたしまして、戦犯者はこれを除外したような次第でございます。こういういきさつで除外したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/72
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073・吉田賢一
○吉田(賢)委員 よろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/73
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074・船田中
○船田委員長 他に御質疑がございませんか。——なければ、本日はこの程度にいたし、次会は明十七日午前十時より理事会、十時半より委員会を開きたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X00719521216/74
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