1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月二十日(土曜日)
午前十一時十四分開議
出席委員
委員長 船田 中君
理事 熊谷 憲一君 理事 富田 健治君
理事 大矢 省三君
上塚 司君 大西 禎夫君
川島正次郎君 砂田 重政君
橋本 龍伍君 松岡 松平君
松村 光三君 明禮輝三郎君
山本 正一君 横川 重次君
笹森 順造君 粟山 博君
原 彪君 辻 政信君
出席国務大臣
国 務 大 臣 木村篤太郎君
出席政府委員
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房賞勲部長) 村田八千穂君
保安政務次官 岡田 五郎君
保安庁長官官房
官房長 上村健太郎君
委員外の出席者
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小関 紹夫君
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十二月二十日
委員鳩山一郎君及び森幸太郎君辞任につき、そ
の補欠として上塚司君及び明禮輝三郎君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員内田信也君、岡田忠彦君、田中萬逸君及び
平塚常次郎君辞任につき、その補欠として松村
光三君、横川重次君、川島正次郎君及び松岡松
平君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
保安庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二四号)
保安庁法の一部を改正する法律案(栗山長次郎
君外十一名提出、衆法第一五号)
栄典法案(内閣提出第三三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/0
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001・船田中
○船田委員長 これより会議を開きます。
本日は公報をもつてお知らせしておきました通り、保安庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)、保安庁法の一部を改正する法律案(栗山長次郎君外十一名提出、衆法第一五号)並びに栄典法案を議題といたしますが、保安庁関係二法案の討論採決は午後二時半からといたし、これより栄典法案の質疑を行います。質疑は通告順によつて行います。山本正一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/1
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002・山本正一
○山本(正)委員 きのうも当局の説明を一応伺つたのでありますが、申し上げた通り位の問題についてはなお判然としないものがあるのであります。資料は相当いただいておるのでありますが、いずれも勲章に関する資料が非常に豊富でありまして、位に関する資料というものはまことに乏しいのであります。伺つた御説明の範囲もまた位に関する限り十分とは考えられないのであります。結論として、どうも釈然としないものが少くない。それで伺いたいと思いますことは、従来の説明の程度、現に提供なされておる資料の程度で、これを私どもに判断をしろというお考えであるとするならば、この判断は非常に困難である。願わくは、現に勲章について説明を与えられる資料を提供された程度にもう少し懇切、詳細なる判断の資料を得て、その上に適当なる判断をすることが適切ではないか、当局はそういうことについて何か考慮されておるか、それを一応伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/2
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003・村田八千穂
○村田政府委員 位につきましての資料は、差上げました範囲では非常に不備でございまして、おわびを申し上げます。これにつきましては位の沿革とか、現に有している人の数などについてなお資料を差出したいと考えております。月曜までにはある程度ごらんに入れることができるかと思います。それから位を持つている人の数も、現在のところつかむのが非常に困難でありますが、大よそ六十万から七十万人くらいではないか、こういうふうに推定される状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/3
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004・山本正一
○山本(正)委員 その御考慮があるということはよく了解いたします。ただ願わくは、昨日も他の委員の方からお尋ねがあつたところでありますが、位にはどういうものがあるかということです。位の本質とも申すべき点について国民をして十分理解納得させるに足りるだけの資料を、そういうことに主眼を置いて御用意を願えたら仕合せと思います。それからきのう御説明の中にお言葉が入つておつたのでありますが、この位を認定、処理するところの機関の構成です。これをもつと民主的に構成し、運営することによつて、官尊民卑の弊風、弊害というものは十分避けられるであろうという御趣旨に伺つておるのであります。その構成、運営についてもあとう限りそういうおそれがないということを理解し得るような資料がありまするならば、これまた審議上仕合せと考えておるのであります。なお若干質疑したい点がございますが、いずれただいまのお一話の資料を拝見した上でお尋ねいたしたいと思います。きようはこの程度にして終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/4
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005・村田八千穂
○村田政府委員 位につきましては資料も十分差上げておりませんが、その本質は何かというお尋ねについては、従来の位につきましてはいろいろの変遷もしておるようでございまして、その本質を簡単には言いにくいと考えておるのでございますが、これからの位というものは一つの称号制度、こういうふうにして行くという考えでございます。たとえばその点においては語弊がございますが、特権を伴わない爵というふうな一つの称号であると考えております。これの運営については、その原則あるいは内規というようなものを栄典審議会にかけて、その決定を待つてやつて行きたい、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/5
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006・船田中
○船田委員長 他に御質疑はございまんか。——他に御質疑がなければ、これにて暫時休憩いたし、二時半より再開いたします。
午前十一時二十分休憩
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午後三時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/6
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007・船田中
○船田委員長 これより再開いたします。
保安庁職員給与法の一部を改正する法律案及び保安庁法の一部を改正する法律案を一括議題とし、両法案に対する討論を行います。討論は通告順によつて行います。富田健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/7
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008・富田健治
○富田委員 ただいま議題に供せられましたこの二つの法案でありますが、先日来政府委員の説明もあり、また各委員からも御熱心に質問がありまして、それに対して答弁があつたのであります。元来保安庁職員給与法の一部を改正する法律案は、説明にもございました通り、職員の給与額の引上げが第一点でありますが、これは一般職の職員との均衡上、当然さようにいたさなければならぬものだと思われるのであります。またこの機会に給与制度の改正ということも考えまして、あるいは宿日直手当、期末手当、勤勉手当というような制度も今回設けたのでありますが、これも他の一般職との均衡上、当然なことだと考えられるのであります。その他数箇所の点につきまして改正せらておりまするが、それはいずれも一般職の職員給与の改善につきまして、今回異論なくその改正案が可決されてる現在におきましては、本員といたしましては、全幅的に賛成をいたしたいと思います。
いま一つ、保安庁法の一部改正に関する法案についてでありますが、これは先般来外務委員会におきまして、日米船舶貸借協定に関連して、いろいろ質疑応答がなされ、また本委員会におきましても、いろいろな論議が繰返されたように聞いておるのでありますが、その委員会の論議の中心になりましたことは、軍艦であるか船舶であるかということであつたように思うのでありますが、これに対しましては、先日来政府当局の答弁によりまして、軍艦でない、船舶であるということでありまして、われわれもこれを認めたいと存じます。そこで船舶であるとするならば、海上における人命安全に関する国際条約でありますか、それから国際電気通信条約というような条約との関連におきまして、これとの関係はどうであるかという質問もあつたようでありますが、元来警備隊に所属いたしまする船につきましては、これは国家機関に所属いたしまして、特別の公共の任務を遂行する船舶なのでありますから、一般法たる船舶安全法あるいは電波法などをそのまま適用することは、必ずしも妥当でないという政府当局の説明でもありましたし、私もこれに全面的に賛成いたすものであります。ただ外務委員会の経過、また本内閣委員会の質疑応答の経過をみましても、なるべくならば疑義の生ずるようなことはこれを避けて、整備をした方がいいではないかというような御論議があつたようであります。でありますから、各委員のそういう御趣旨にも従うへく、栗山長次郎君外十数名の方によりましで、保安庁法の一部改正に関する提案がなされたものなのであります。そこで私も、ぜひこの際これらの両案につきましては、原案の通り採決せられますように希望いたすものであります。
私の賛成の趣旨は以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/8
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009・船田中
○船田委員長 大矢省三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/9
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010・大矢省三
○大矢委員 私は日本社会党を代表いたしまして、残念ながら両案とも反対の意思を簡単に表明したいと思うのであります。
まず第一に、保安庁職員給与法の一部改正法律案でありますが、これは説明にも明らかなように、今回一般職員の給与改善が行われて、それに伴うて行われたものでありまして、給与引上げそのものに対しては反対すべきものではないかもしれませんが、その内容、経過において、はなはだ遺憾でありますが、反対せざるを得ないのであります。と申しますのは、この保安庁の職員は、一般職員と違つて、特に特別職として大きな制約を受けておることは御承知の通りであります。一般職には団結権なりあるいは団交も持ちまするが、特別職は特に職掌柄そういつたことは禁じられておりますので、これらの給与の問題については、特に権威ある人事院の決定によつて、たえず改訂が行われておるのであります。今回のこの人事院のこれらの給与の勧告によりますると、これを五月一日から実施する。さらにまたこの給与の額においても、政府の今回提出した案と勧告案とは相当の隔たりがあるのであります。私どもは平素この行政を円滑にし、ほんとうに身を挺して、これらに従事する人々には、安心して生活を送れるところの最少限の生活を保障すべきだということを絶えず主張しておりますが、その建前から行きまして、あらゆる制約を受けておるこれらの人々に対しては、私は人事院の勧告というものは万難を排して実施すべきだと思う。しかるにこれをいろいろな理由のもとに実行ができないということで拒否し、過般の本会議におきましても、われわれ野党三派によるところの修正案が否決され、この人事院の勧告を尊重すべしというこのことが否決されたのであります。近くまたわれわれがこれに対する改正案を出すということを今計画しておりまするが、こういう立場から行きまして、あくまでもこの人事院の勧告を尊重すべしという建前を一貫しておるのであります。特に制約を受けておるところの特別職においては、さらに一層そのことを痛感するのでありまして、そういう意味で、私どもは今度のこの給与の改訂については反対を表明するものであります。
次に、この保安庁法の一部を改正する法律案でありますが、これは昨年の七月三十一日に公布されました保安庁法の第八十七条、八十八条、八十九条、すなわち船舶安全法、船舶職員法、それから電波法、これを適用除外しております。そのことが問題になりまして、フリゲートの貸借条約の承認について、外務委員会あるいはまた予算委員会で問題になりまして、これを改正しようとする、しかもこれは議員の提出案であるのであります。ところがこの今問題になつておりまするところの海上における人命の安全のための国際条約というものは、「二十七年の十一月十八日に、国際条約として、政府が公布されたものでありまして、すなわちその以前にできた保安庁法案というものは、その条約に基いて、当然政府みずからが、これの改正案を出すべきであります。それは明らかに憲法の九十八条におきましては、日本国が締結した条約は、これを誠実に遵守するということになつておりまするから、この条約があとからできたのでありまするから、この条約を否定するような、遵守しないような規定がありまするならば、政府みずから進んでこれを改廃することにしなければならぬにかかわらず、そのまま放置して、そしてこれを今度の議員提出によつたということは、私どもどうも納得が行かぬのであります。従つて法的に言いまするならば、当然行政府として処置をしなければならぬものを、議員提出によつたということが一つ。いま一つは、政府がしばしば答弁におきましてこういうことを言つておる。こり法律は改正しなくてもよろしい。そこで条約を遵守するためには、命令、規則、訓令によつて十分遵守できる。従つてこれは改正する必要はないのだということを一貫して答弁をしておるのであります。そういう意味から行きまして、そういうふうないわゆる命令、訓令、規則等によつてこれが十分遵守できるものならば、改正する必要もないとも言えるのでありますが、しかしこれは誤解を生ずるために、これはしておく方がかえつていいということが、説明あるいは質疑応答の中にありましたから、これはあるいは改正することが必要かもしれませんが、その政府みずからが今日の態度を改めず、しかもこういう行政府においては、憲法において規定されておる国際条約を遵守するという立場から、当然政府みずからが出し、出さなくても、遵守し、むしろ進んでこれに協力しなければならぬにかかわらず、こういうことを言つておるということを聞いておるのであります。法制局においては、これは一体議員諸君がこの法案に対して賛成したのじやないか。賛成して通しておきながら、今これがいかぬといつて改めるということは、はなはだ立法府の権威にかかわる。議員の真意を疑うというようなことを言つておるそうでありますが、これはもつてのほかである。私どもはこれに対して、一貫して保安庁法の制定当時から、反対しておるのであります。従つてわれわれは、最初から第八十七条、八十八条、八十九条、これらの規定というものに対して、これはやはり当然適用すべきにかかわらず、これを適用しないと書いてあるところに異議があるからして、特に今度のこの審議の経過において、これはここであまり論議されなかつたのでありまするが、外務委員会で、今度のフリゲート艦は軍艦ではないのだ、そうしてまた商船でも船舶でもないのだということで、どつちかあいまいな、わからぬような、いわゆる一貫した政府の態度というものは、はなはだ私は遺憾に考えるのでありまして、これはいずれかを明らかにしなければ、しばしばこの種の問題が起ると思います。そういう法案の出て来たところの動機、あるいは経過、政府の態度、あるいは当然政府の出すべきものを議員提出によるということは、これは最近流行語の、筋が通らないという意味からして、私どもは残念ながらこれに反対をするものであります。
以上簡単でありまするが、反対の理由を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/10
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011・船田中
○船田委員長 原彪君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/11
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012・原彪
○原(彪)委員 私もこの両法案には反対をいたすものでございます。理由はただいま大矢議員の言われた点と同じでございますが、さらに私どもからつけ加えて申しまするならば、この両法案のうち、特に保安庁法の一部を改正する法律案の上程されるに至りましたいきさつから見まして、非常に不明朗なものを感じ、ただいまも大矢議員の言われましたように、この問題については外務委員会で、はしなくも軍艦かどうかということから、憲法違反ないしは国際条約違反ということが論議になりまして、たまたま当時政局が非常に緊迫して、あるいは政変が予想されるのではないかといつたようなことすらもとりざたされておる当時でございまして、そのときに与党である自由党と、改進党の諸君との間に、時局の緩和をはかる一つの方策としてこの問題の妥協を画策せられたその結果が今回のごの法案の議員提出になつて現われて来たやにわれわれには受取れる節がある。そうした不明朗を手続上感ずるのみならず、私どもは最初から保安隊そのものは否定いたしております。これは形のかわつた戦力であつて、憲法違反である。この存在そのものが憲法違反であるというのですでに違憲訴訟までも起したくらいでございますので、前提となるべき実体そのものの性格を私たちは否認いたしております。そうした意味合いから申しましてもこの両法律案には賛成しがたいのでございます。従つてそれと同じような理由において職員の給与法の改訂法案についても同時に反対いたし、両法案ともわれわれといたしましては反対の意思を表明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/12
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013・船田中
○船田委員長 討論は終りました。
まず保安庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決を行います。本案について賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/13
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014・船田中
○船田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
次に保安庁法の一部を改正する法律案を採決いたします。本案について御賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/14
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015・船田中
○船田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
ただいま可決いたしました両法律案についての委員会報告書の作成は、委員長に御一任を願います。
次会は月曜二十二日午前十時理事会、十時半委員会を開きます。本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504889X01119521220/15
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