1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年十二月四日(木曜日)
午前十時二十八分開議
出席委員
委員長 坂田 英一君
理事 野原 正勝君 理事 原 健三郎君
理事 平川 篤雄君 理事 井上 良二君
理事 足鹿 覺君
青木 正君 秋山 利恭君
大島 秀一君 小笠原八十美君
高見 三郎君 中馬 辰猪君
寺島隆太郎君 松野 頼三君
金子與重郎君 高倉 定助君
高瀬 傳君 川俣 清音君
芳賀 貢君 山本 幸一君
中村 英男君
出席国務大臣
農 林 大 臣 小笠原三九郎君
出席政府委員
農林事務官
(大臣官房長) 渡部 伍良君
農林事務官
(大臣官房会計
課長) 増田 盛君
農林事務官
(農業改良局
長) 清井 正君
農林事務官
(畜産局長) 長谷川 清君
農林事務官
(蚕糸局長) 寺内 祥一君
食糧庁長官 東畑 四郎君
委員外の出席者
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 部 藤井 信君
—————————————
本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定
措置に関する法律の一部を改正する法律案(中
馬辰猪君外二十六名提出、衆法第三号)
農政の諸問題に関する件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/0
-
001・坂田英一
○坂田委員長 これより農林委員会を開会いたします。
この際お諮りいたしたいことがあります。寺島隆太郎君より農林金融に関する小委員を辞任いたしたいとの申出かあります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/1
-
002・坂田英一
○坂田委員長 御異議なしと認めます。つきましては、この補欠、及び先般委員の異動に伴い欠員になつております畜産に関する小委員の補欠を委員長において指名いたしたいと思いますか、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/2
-
003・坂田英一
○坂田委員長 御異議なしと認めます。それでは農林金融に関する小委員に大島秀一君、畜産に関する小委員に寺島隆太郎君を指名いたします。
次にこの機会に念のためにお知らせいたします。昨日中馬君外二十六名提出、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案が本委員会に付託になりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/3
-
004・坂田英一
○坂田委員長 これより昨日に引続きまして農林大臣の御説明に対する質疑を行います。平川篤雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/4
-
005・平川篤雄
○平川委員 私はきわめて抽象的な問題について、この施策の点につきまして質問をいたしたいと思うのであります。
先日の農林大臣のお話は大体食糧自給を中心にする長期計画を中心にいたしておるようでございますが、この第一次五箇年計画の概要というものを見ますと、単に食糧がどのくらい不足するかということをまずはじいて、今度はそれに当てはめて、それにおつついて行くような増産計画をお立てになつておるにすぎないように見られるのでありますが、一体このような簡単な考え方でおやりになつておるものであるかどうか、この計画自体はあらゆる方面に用意をせられなければならないと思いますが、一体どういう点をお考えになつてお立てになつたものであるか、それを明らかにしていただきたいと思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/5
-
006・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 ただいまお尋ねの点でございますが、一応そういう案を実地に即して立ててあるのでございまするけれども、しかし現実に行います上には、一日も早く食糧増産の実をあげるようなぐあいに参りたいと思いますので、私の言葉で昨日御説明申し上げたうちに、予算を毎年確保する措置をとると一緒に、その効率的運用をはかるということを申し上げたのでありますが、言いかえますと、今お話のように、大体総合的に持つて行きますが、一番効果のあがる分を先にどんどん持つて行きたい。しかし国でございますから、一定の計画は立てなければなりませんので、その計画はここに立てておるのでありますが、多少そのときに応じまして一番効果のあがるものからやつて参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/6
-
007・平川篤雄
○平川委員 先日御退職になりました前通産大臣から、国全体の自立計画、長期計画というものは、実際はそんなに立てられるものでもない。あるけれども、とても皆さんにお目にかけるようなものではないというふうにおつしやつておつたけれども、食糧の問題につきまして、当然輸入あるいは大臣もお話になりましたように国際情勢、あるいは為替貸借関係であるとか、そういうような問題も含み、かつ根本的には人口の問題を基盤にして考えられなければならないことを考えますと、国全体の計画が立たないのに食糧増産のみかかる厖大なる予算を出してやるという計画自体が、私にはどうも納得が行かない点があるのであります。一体どれだけの確信を持つておやりになつておるのか、これが現在の吉田内閣の一つの基本的な性格であるといたしますれば、五箇年間の計画をいたしましても、任期がそれだけ続くわけでもございますまい。結局は国全体の納得のできる計画が立てられて、初めて現在野党である政党が政権をとりました際にも、これが引継がれて行くべきものであろうかと思うのであります。ところがただいまおつしやるように、何でもとにかくさしあたりこれをやつて行くのだというようなことになりますれば、これは五箇年計画などというものはお立てになる必要はない。よく世間で評判をいたしておりますように、選挙の前にこれが発表せられたようでございますが、一応選挙対策として御発表になつたとかいうような——おそらくないでありましようけれども、かような意地の悪い詮索をするものもおるのですが、そういうような気がますますしてならない、そういうような点につきまして大臣の御所信をはつきりお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/7
-
008・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 選挙に関してこうこうというようなお話が、ございましたが、私はこの選挙で初めて出て参つた次第でありまして、この計画についてはさような考えは毛頭持つておりません。これは日本の国の食糧自給計画がきわめて大切なものであつて、国策の大きい基をなすものである。従いましてある程度の年次的計画を必要とし、ある程度の総合的計画を必要とするので、一応の目安をやはり置かなければなりません。一応の目安を置くのでそういう案が立つておるのでございまするが、さつき申しましたように、この目安のもとに最も効率的に運用いたしまして、今ちようど平川さんからお話があつたように、こういう食糧を入れるために国際貸借の上にも大きなマイナスになつており、また民生安定も妨げており、またこれがために非常な財政負担もしなければならぬ状況でありますから、この財政負担を免れる見地から申しましても、たとえば外米を入れるために年々約三百億近い損をする。そうしましたらこれを資本化する意味合いでこれに投資いたしますことも相当強く考えられます。計画というものはそのときによつて多少かわつて来ることは免れません。これは平川さんよく御承知だろうと思う。五年前に立てた計画を五年後も同じようにやれといつたつて、それはやれるものではございませんので、そのときのよろしきを得なければならないことはもちろんでございますけれども、しかし案を立てますときには一応の目安がいります。また一応の目安で計画を立てておる次第でございます。また増産そのものにつきましては、これはぜひともこれくらいの増産を得たい。それで昨日も井上さんのときもお答えいたしましたように、畜産その他を強く取入れまして増産の目的を達したい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/8
-
009・平川篤雄
○平川委員 計画の目安という点につきましては、それはごもつともであろうと思うのでありますが、しかしながら、まずそれでは具体的に一つの例をとつてお聞きしたいと思うのでありますが、ここに厚生省人口問題研究所の推定による人口増加数の一つの目安をお立てになつておるのでありますが、農家人口というものがだんだん減つて行く度合いというようなものは、これは単なる数字の面だけで見るわけには行かないのでありまして、現在農家の人口というものは一体いかなる性格をもつて変化しつつあるかということは考えてみなければならない。たとえて申しますと、農家の人口がいわゆる兼業農家というものになつて、だんだん他産業に吸収されつつあるか、ないしはどんどん都市の産業に吸収されつつあるか。しかりとすれば、ほんとうの労働力の中心になるべき青壮年というものが失われつつあるのではないかというようなことは、当然考えてみなければならないことであります。そのような事実があるとしますれば、これはたちまち生産に響いて来る問題であります。またさらにその根本に、そうした人口の異動というものの原因で、農家の経営が成り立たない、経済的な不安というもの、あるいは問題になつておりますところの相続法等による農地相続の問題から、そういうことが起るものであるか。あるいは日本の経済全体が工業の方面に進展して行くという発展過程の上で動いて行くものであるかというようなことを、一つ一つにらみ合せて行かなければならないのであります。そういうようなことを抜きにして、もしこの数字だけでこれだけの増産をやろうということになれば、戦争中の増産とちつとも違わない。一つの目標を立てて、これに相当の国家資金を投入するでありましようけれども、それは働け働けでしつかりこれだけの目的に到達しろということでかり立てる。実質的には、労力の上から申しましても経済の面からいいましても、非常にたえがたい負担を農民にかけるというような結果が現われないとも限らない。一つ人口の点をとつても、そういうようにわれわれは想像するのでありますが、この点についてあなたはどういうふうにごらんになつておるか。一つ人口増加、農家人口の異動というものについてのお見通しをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/9
-
010・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 ただいまお話の点は、まことに私も御同感に感ずる点が多々あるのでありますが、しかし私は農家の次三男対策としても開墾、開拓等の問題が非常に必要なんじやないかというふうにも考えておるくらいでありまして一番人口の増加しておるのは御承知のように農村部門でありまして、農村部門に向うものも迎えるようなぐあいに参らなければならないのではないか。それには土地の生産力を増加して、農村が経済的にもゆたかになるということが一番必要ではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/10
-
011・平川篤雄
○平川委員 もう少し最近の農家人口、農家労働力の根本の問題に触れてお聞きしないと、その次に私はお聞きしたいことがたくさんあるのでありますが、発展しないのでありますが、どういうふうに、ごらんになつておるか。これはほかの専門の政府委員の方からでもけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/11
-
012・渡部伍良
○渡部政府委員 お答えいたします。ただいまごらんになつておる表そのものは、将来の人口の増加趨勢がどうなるか。こういうのを都市と農村にわけておるのであります。これは都市におきましても農村におきましても、増加趨勢は今までのような勢いでは伸びない。これは都市も農家も同じに推定されております。さらに次の問題でありますが、農村から都市にどれだけ移るとか、あるいは資産相続の均分相続による農地の細分化、こういう問題でありますが、終戦後は非常に農村に都市から人口が流入しておりましたが、最近はむしろ多少流出の傾向も見えております。それから資産相続の問題は二年目にアンケートを配りまして非常に綿密な調査をやりましたが、ほとんど分割相続というのは行われておらないようであります。たまたま行われておるのは、非常に大きい規模で当然わけても成り立つというものは、相続の法規によりまして分割しております。それがまた新しい問題を提起しておるのでありまして、その農地の相続を受けなかつた次三男がどういうふうな方向に行つておるかという問題がある。これはただいま大臣からお話がありましたように開拓地に入るというのもありますし、都市の商工業の方に出て行くのもあります。いずれにしても、御承知のように農地面積に対する農家人口の比率が非常に大きいのでありまして、この問題は一つだけの手段で解決することはなかなか困難でりまして、農村内部のうちで、たとえば新しい品種の改良であるとか、土壌の改良とか開墾であるとか、あるいはホリドールのような新しい農薬を使う。あるいは保温折衷苗しろのようなものによつて裏作を広げる。そういうふうに農業の内部でいろいろの問題を解決をして行くと同時に、やはり外に向つても移民の問題もありますし、商工業に吸収してもらうとか、各方面で農業に対する過剰人口の問題を解決して行く、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/12
-
013・平川篤雄
○平川委員 ただいまの御説明はもつともなことで、いろいろなところで言われておる通りであります。ただ私がお聞きしたいと思つておりますのは、そのようないろいろな条件というものの上にこの五箇年計画というものを立てられておるかどうかということなんです。私がお聞きしたいのは、内部はこうだ、外部はこうだということをお聞きしておるのではないのでありまして、いわゆる大臣の言われるような、私の最初に申しました、これは感じでありますが、これははなはだ失礼な感じだと思いますけれども、ただ人口の異動状況をずつと見て、それが一人当り〇・九五四石を食べるとして、そうしてそれにはどれだけ耕地をふやせばよろしいとか、あるいは改良すればよろしいとかいうような安易な御計画であるのかどうかということを大体私はお聞きしたい。これが中心なのでありますが、ただいまのような御答弁によりましてそういう外部的な考え方は全然ない。またきのうも井上君からお話がありましたように、畜産の奨励だ何だというような方面で次三男対策というものを考えたい、こう言われますけれども、その後の計画も実は具体的に立つていない。要するに米、麦がどれくらい足りないかということからの五箇年計画にすぎない。こういうように理解したいような感じを私は持つておるのでありますが、これは間違いございませんか。それとももつと真剣なものがあればお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/13
-
014・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 米麦の不足が一番大きいものでありますから、今の輸入の関係上こうやつておりますが、これにつきましては総合的に物を見ておるのでありまして、昨日も井上さんに答弁しましたように、畜産は非常に重く見ておつて、それからまた食生活の改善、粒の食物のみによるようなことでないように持つて行く点も相当大きく考えております。従いまして、たとえば学童給食に対しましても、年十億以上の所管会計から支出をいたしまして、つまりだんだんと食生活の改善に行くように持つて参つておるのでありまして、ただこの一事をもつてのみ日本の食糧問題を解決しようといたしておるのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/14
-
015・平川篤雄
○平川委員 ちよつとほかのことを聞くようですが、けさの新聞を見ますと、農林大臣は今度通産大臣の専門におかわりになるというお話であります。午前中にでも発令があるというように聞くのでありますが、どうでございますか、それをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/15
-
016・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 まことに答弁に困る問題でありますが、さよう発令があるかどうか、そういうような問題については、私は承知いたしておりません。私自身は農林大臣としてできるだけ最善を尽して行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/16
-
017・平川篤雄
○平川委員 それでは、国務大臣としてはおやめになるだろうとは思いませんから、国務大臣としてお聞きしておきたいことがある。それはここに相当の国の財政投資及び資金の融通をぜひとも必要とするということを農林大臣として昨日おつしやつたのであります。ところがこの相当の国の財政投資及び資金の融通は、これは第一次五箇年計画を見ますと、これはやはり相当なものであります。そこで私は前から自由党の農業政策というものについて確かめておきたいと思つておる問題があるのであります。一体あれだけの投資をするということについて、基本的に日本の農業というものを、現在の政府はどういうふうにお考えになつておるかということをお聞きしたいのであります。占領中でもいろいろのことがありまして、たとえば税金の問題でも、土地改良等の補助の問題でも、あらゆる点にそういうような議論が繰返されて来たのでありますが、いわゆる個人の企業として、ある場合には税の問題や補助金の問題等いろいろ御答弁になるかと思いますと、ある場合には農業を一つの大事な国がめんどうを見なければならぬ産業として、ごらんになつておるという面もあろうかと思われるし、どうやらはつきりいたさないのであります。そこで今度の農林委員会でも逐次問題になつて出て来ることがたくさんあろうと思いますが、それがいつもぶつかりますのは政府の根本的な態度なんですが、これだけの思い切つた財政投資、資金の融通をおやりになるからには、そこに農業をどう見ておるかということがあろうかと思うのです。その基本的な態度を国務大臣たるあなたの立場として——どちらにころがつてもよろしゆうございますが、政府あるいは自由党の考え方をお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/17
-
018・坂田英一
○坂田委員長 ただいま予算委員会の方から大臣の呼出しがありまして再三の呼出しでありますので、その点皆さんにあらかじめ御通知を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/18
-
019・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 ただいまの問題でありますが、私ども政府といたしましては、農林特に食糧増産等に重きを置きますことは、当然でもあり、またこの間の総理の施政演説のうちでも、その点は最も強調いたしておるのであります。従いまして、農林行政というものは、農村民の幸福をいつも主眼としてやつておるのでありまして、この食糧増産計画のごときも、それに基いてやつておる次第でございますから、特に総理の演説中にも、予算等の措置をとつてこれを実行すると御説明申し上げておるのでございます。単純な食糧増産をやるのだということでなくして、年次的に予算等の措置をとつてこれをやるのだということが書いてあるのであります。しからばこういう大きな、たとえば国家支出が五箇年間に三千二百七十六億というようなことができるかどうかという問題についてでありますが、これは年々の財政状況も多少違いますので、現在の財政状況におきましては、少し過大に見えるかもわかりませんが、さつき申しました通り、年々輸入食糧のために三百億も国が負担するというようなことでは、やり切れるものではございませんから、財政負担、国際貸借の点からも、これをどうしてもやり遂げる必要がありますので、少し言葉が悪いかもしれませんが、一時石炭に傾斜生産方式をやりましたごとくに、食糧に最も重点を置いた政策に指向すべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/19
-
020・平川篤雄
○平川委員 お急ぎのようでありますから、こまかいところに行かないで質問をいたしたいと思います。ただいまのは言葉が悪いのじやなしに、私がお伺いしたこととまるではずれておるのでありまして、私の問い方が悪かつたかもしれませんから、もう一度具体的にお話を申し上げます。
たとえば一つの例をとつてみますと、土地改良の問題なんですが、要するに、土地改良をいたしましても、国有地というようなものはないのでありますから、土地改良をすれば自然増産ができる。増産の利益というものは個々の農家に入るわけです。そうすると、それに対して米価が支払われるといたしますと、収入はふえて来る。つまり個人の収入というものが結局ふえて行くわけであります。そこでそんなことをするならば、中小企業者の店舗の改造等にも、同じように国庫補助を出さなければならぬかというりくつが出て来るわけであります。今までのいろいろな施策を見ておりますと、たとえば山林の税金の問題一つを取上げてみても、やはり山林所得であるからというので、あたりまえに大蔵省は所得税をおとりになるわけです。そこに国の森林資源としてそれを養おうという気持が一つもないのではないかと思われるような節々が、ちよいちよい出て来たわけです。今の土地改良の問題にいたしましても、それが全部の理由ではないでしようけれども、たとえば規模の問題ですが、あるいは二十町歩なり三十町歩なりという大きな限界をつくられる。そこには一つの広い公益事業であるという観点を出そうと思つてのお考えであろうと思いますが、そうやりましても、結局個々の農家の収入増になつてこれが現われて来るわけであります。そういうような点を考えてみますと、すこぶるあいまいなところに立つて、いつも御都合主義に、政策があつちに行つたりこつちに行つたりしておつたのが、今までの実情ではないかと思います。
そこで私がお聞きしたいのは、相当なる国の財政投資及び資金の融通をいたされようとするならば、この際農林当局としては、あるいは国務大臣であるあなたというものは、どういう観点に立つて日本の農業を助長し、あるいは振興し、あるいは食糧増産をやつて行こうとせられるのか、そこの態度をはつきりせられていただきたい。このことは御承知のように、米価の問題や、いろいろな税金の問題や、あるいは自由販売か統制かという問題に全部関連する問題でありますので、ひとつ責任のあるはつきりした御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/20
-
021・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 食糧自給促進法を用意いたしておりますのは、根本的に申せばそういう点からであります。なお農業の経営規模が小さい関係もございまして独立企業としては相当困難な部分もあることはよく私どもわかるのでございますが、しかし国家の財源には限りがございまするので、その限りあるものの中からでき得るだけ農村の部分に向けたい。それが私どもが強く食糧自給を叫んでおる根本であり、これが結局農村問題解決の根本であると考えて、予算では、さつき申した通り年次的、多角的にやるということを首相の演説にも言つてあるのでございますけれども、なおこういう点から、私どもは食糧自給促進法というものを制度的につくり上げて、ぜひこれを実行して参りたい、これこそ農村問題の根本だと私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/21
-
022・平川篤雄
○平川委員 問題をそらされていけないのですが。どうも予算委員会に呼び出されてそわそわしておるのかと思いますが、私のお聞きしている意味をおわかりいただけぬでしようか。全然ピントがはずれております。私がお聞きしたいのは、くどいようでありますが、結局農業を個人企業としてお考えになるのか、あるいは特殊な一つの国家的な性格を持たせた産業としてお考えになろうとしておるのか。これはどちらもあるのでありますけれども、一つの政策として、基本的な政府の態度として、どちらをお持ちになつておるのかということをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/22
-
023・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 私どもは農業は独立の企業として見ておるのでありますが、但し食糧増産等相当国家のためになつておる部分が多いのでありますから、この点は国家としてはでき得るだけのものをいたしたい、こういうように考えておるのであります。これを公的企業と考えておるわけではございませんで、独立の企業としては考えておりますが、しかし多分に国民生活安定のために必要な部分をになつておられるのであるから、これに対してでき得るだけの補助、助成等の道を講じたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/23
-
024・平川篤雄
○平川委員 これは国家企業とはだれも見ないわけであります。そこで今、独立の個人の企業であると基本的にお考えになるということでありますが、そうなれば、この食糧増産の計画自体に、もう少し農家の経営ということの考え方が、当然入つて来なければならぬはずなんだ。そして経営ということを考えれば、その経営が成り立つように、農業資材であるとか、あるいは根本的な米麦の価格等の問題であるとか、ないしは税金の問題であるとかいうものにだんだんこれが波及して来るわけですが、私がお聞きしたいのはそこなんであります。たとえば今日一つの例でお話した方が一番いいと思いますが、昨日税金の問題が井上委員から出ました際に、米に対する所得税の減免問題がありましたが、その場合にでも、自分の食い米をさいて出すのであるから超過供出に出すという考え方、この根本的な思想は私どもはとらない。あなたのお示しになるような、こういう莫大な国の財政投資、資金の融通をなさり、あるいは現に米の供出という制度をお持ちになつている以上は、国が相当力を入れておると見なければならない。そういたしますと、そうした食い米を出してしんぼうするから、超過供出米のみに出そうというような考え方でなしに、われわれが考えておるように、どうしても米価の適正化ということと、それから供出全量に対する所得税の免税というものが、当然理論的にひつぱり出されて来なければならぬと私どもは思う。ここにあなた方と私どもの態度の違いが出て来るわけであります。そういう一つの例について、もう少しただいま言われたことを明らかにせられたい。どこまで今のように国の要請としてお考えになるのか。どこまでを個人の責任としてお考えになるのか。これは自由党の今後の農業政策の根本問題であろうと思いますから、お聞きしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/24
-
025・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 お尋ねは、今の米価は安いではないかということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/25
-
026・平川篤雄
○平川委員 これは例として私は申し上げたのでありまして、その個々の問題につきましては、また農林大臣がおかわりになりましたら、その方にお聞きいたしましようし、また事務当局にお聞きするつもりであります。私がお聞きしたいのは、今こういうふうな考え方の開きが出て来る。そのいずれにあなた方はお考えになつておるのかということを確かめたいだけなんであります。ほかの例でお話くださつてもけつこうであります。税金でなくともよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/26
-
027・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 この問題につきましては、私どもは食糧増産が大切であるからこの問題を大きく取上げて、それによつていろいろな問題を解決したいと思つておるのでありますが、しかし日本の農家が負担しておる今の公の部分が多いのであるから、そこで食糧自給促進法案等にも今度は税制その他のことも織り込んだものを実は用意しておるのでありまして、国としてできるだけのことはいたしたいと私は考えております。しかしこの価格はどうだとか、こういう事柄については、今ちよつとここで御答弁を差控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/27
-
028・平川篤雄
○平川委員 私は、わかりやすいことを話しておると思うのですが、どうもはつきりしない。やはり何というか、遠慮しておいでになるのだろうと思います。そういたしますと、食糧増産が可能なためには、今の、たとえば大蔵省におきましては税制の体系をくずしてはいけないというでしようし、それから通産当局では、商業ベースをくずしてはいけないとか、いろんなことがあるでありましようが、現在の政府は、食糧増産のためならば、そういう原則を曲げてでも、農家の個々の経済にそれが触れる点があつても、万全の措置をとられる御用意があるというふうに承つてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/28
-
029・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 私どもはさつき申した通り、食糧自給こそは自立経済の根本だ、こういうふうに考えておりまするから、あらゆる障害を乗り切つてこれをやるべきであると思います。しかし、それでは財政その他の問題を考えないかということになつてもいけませんので、そこは総合的にものを考える必要が国家的にはあるということは、これは私が平川さんに申し上げなくてもおわかりのことと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/29
-
030・平川篤雄
○平川委員 それでは私はまだ足鹿君もお待ちでありますから、残余は今後に譲りたいと思いますが、ただいまお聞きしたことによりまして、食糧増産第一次五箇年計画というものの正体が、大体わかつたような気がいたすのであります。これではとても今度の新内閣のゆたかな農業政策として受取るわけには参らぬと思います。どうか国務大臣たる小笠原さんは、今後もひとつあらゆる大臣との折衝を続けられまして真にこれがあなた方のりつぱな増産計画として受取れるようになることを、私は期待申し上げておる次第であります。
それでは私は今日はこれだけにして、あとに譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/30
-
031・足鹿覺
○足鹿委員 三つの問題について、大臣にお尋ねいたしたいと思います。第一は、農産物の価格並びに農業生産資材に対する政府の価格政策の基本、第二は、農業生産力増強政策に対する基本的な考え方、第三は、農業政策の推進にあたつての組織と申しますか、機構とでも申しますか、それらに対する農林大臣の御所見、以上の三つをお尋ねいたしたいのであります。
まず第一の農産物価格並びに農業生産資材に対する政府の価格政策についてでありますが、農産物の大宗でありまする米価の問題を最初にお伺いいたしたいと思います。政府は本年産の米価につきましては、七千五百円の価格を決定しました。この米価の価格形成につきまして、政府のとつた構想は、やはりパリテイの方式に基いておるようであります。このパリテイによつて算出されました価格は、石七千百六十三円と昨日も農林大臣は御答弁になりました。ここに特別加算額三百三十六円をお加えになつておるのでありますが、これにつきましては、この加算額はパリテイ方式に対する一つの修正の方式だと私は思います。従つて政府の米価算定方式には、従来のパリテイ方式を放棄して、新しく一つの特別加算額というものを、制度化してはおらないが、事実上において参酌しておるということは明らかであります。この方式については、農林大臣は純粋のパリテイ方式としてお考えになつておりますか、それとも修正パリテイ方式として、生産費に近からしめんがための特別加算額をお加えになつておるのでありますか、その点について、米価の価格形成の基本方式についての農林大臣の御所見をまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/31
-
032・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 パリテイ方式を採用しまするほかに、特に再生産の確保をはかる、こういうことが目的とされておるのでありまして、パリテイ指数は、昨日井上さんに答弁しましたように米価石当り七千百六十三円となるのですが、しかし、再生産の確保をはかるということを頭に入れておりますので、この加算額をいろんな点から見まして、肥料等の物的資本の投下量の増加率六・三%、また都市の実質消費水準と農村の消費水準との均衡をはかるための調整比率三・九%、これを考えて、三百三十六円加えて七千五百円といたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/32
-
033・足鹿覺
○足鹿委員 これは二十七年産米について、かような方式をおとりになつたのでありますが、昭和二十八年予算も、聞くところによれば、今月中旬には大蔵省の査定に入るというふうに聞いておりますが、政府の二十八年産米に対する価格形成の方式については、本年の産米に対する方式を踏襲される御方針でありますか、どういう考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/33
-
034・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 二十八年産米については、まだこれは米価審議会との関係もありまして、それらの御意見もいろいろ参酌しなければならぬと存じます。だが農林当局としてとつております方針は、やはりパリテイ計算に再生活の確保をはかり得るだけの程度のもので行くというのは、これはその再生産の確保をはかるという点で多少数字には情勢によつて違いがあるかとも思いますが、その点を農林当局としては考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/34
-
035・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、米価審議会にはかつて、予算米価算出の基礎を御決定になるというふうに、ただいまの大臣の御答弁を承つてよろしいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/35
-
036・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 米価審議会は御承知のごとくに決定の機関ではございませんので、米価審議会の御意見につきましては、十分これを参酌いたしますが、米価審議会の御意見のみできめるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/36
-
037・足鹿覺
○足鹿委員 どうも今の大臣の御答弁は少しあいまいになつて来ましたが、米価審議会にはかつて政府の方針をきめる。米価審議会の意見を聞く、聞かぬは、政府のこれは諮問機関でありますから御自由としてやむを得ないと思いますが、とにもかくにも予算米価を予算に計上されるにあたつては、その米価形成の基本方式というものについては、米価審議会にあらかじめはかつてもらいたいというのが、従来からの米価審議会の強い要望で、幾たびか政府に要望いたしました。しかも今まで一ぺんもそのような形式をとられたことはありません。今回の本年産米価につきましても、米価審議会の意見を無視するのみならず、米価審議会を開くまでに政府はその基本方式をきめておるのであります。少くとも新大臣が御就任になつたのでありますから、従来のようないわゆる駐留軍にお伺いを立てる必要もございませんし、少くとも米価審議会の自主性、その権威のためにも、その基本方式についてまず意見を徴せられる。そしてその意見の取捨選択は政府がおやりになるといたしましても、それに基いて昭和二十八年の予算の単価をおきめになることが妥当だとわれわれは思うのでありますが、さようなふうに今の大臣の御答弁はお取扱いになるものだと解釈してよろしいのでありますか、その点もう少しくどいようですが、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/37
-
038・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 私はさように申し上げておりませんので、米価審議会にこれをお諮りをいたしまして、米価審議会の御意見は十分承りますが、しかし財政負担その他各種の問題等もございますので、これは政府としての方針は、やはり二十七年産米にとつたような従来のパリテイ方式に再生産の確保をはかることを旨とした織込みをするということに——どれだけのものを織り込むかということにつきましては、これは米価審議会等の御意見につきましても、相当考慮しなければなりませんが、米価審議会は、今足鹿さんが言われたように、これは決定の機関ではございませんので、十分参酌するということにとどめたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/38
-
039・足鹿覺
○足鹿委員 ただいまの大臣の御答弁では非常に不満足でありますが、これ以上申し上げても押し問答になりますから、多くは申し上げません。少くとも米価審議会の存在理由というものを新大臣はよく認識をされまして、その答申に対しては十分尊重されると同時に、その運営にあたつても、予算米価決定前に少くとも米価審議会をお開きになるよう、すなわちすみやかに米価審議会をお開きになるように、特に強く要望申し上げておきたいと思いますが、ただいまの大臣のお話を承りますと、七千百六十三円を算出したパリテイ方式に、再生産をはかることを旨とするために特別加算額三百幾らというものを組んだ。大体この方針をもつて昭和二十八年にも臨みたいというふうな御意向でありましたが、いわゆる食管法第三条による生産者米価を決定する規定は「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と規定してあります。
そこでこの規定についての大臣の重大な御所見として承りたいのでありますが、この規定は個々の農家の再生産をはかることを旨とする、いわゆる個々の農家の再生産を確保するという規定にわれわれは解釈したいのでありますが、その点について大臣の御所見はどういうふうにお考えになつておりますか。個々の農家の再生産を保障しないでもつて再生産の確保という条文にはあてはまらないのでありますが、その点は大臣はどのようにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/39
-
040・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 足鹿さんも御承知のごとく、個々の農家の生産費は非常なまちまちでありまして、おそらくは最低の生産費と最高の生産費は二倍以上も違うだろうと思われます。従いましてこれの生産費はいわゆる中庸生産費をとるほかはないのでありまして、個々の農家の再生産費を確保するということは参酌するわけに行きません。その中庸の生産費を参酌する、こういうことなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/40
-
041・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、中庸の農家というものも、やはり農家の経営単位でありまして、その中庸の農家というものを政府はどうして判定をされるのでありますか。個々の農家ではない。個々の農家は倍以上にも生産費の開きがあるというお話でありますが、それはそれとして、若干の動きはあるでしよう、あるでしようが、今中庸というお言葉をお使いになつておりますが、要するに政府の言いたいのは、おそらくさような個々の農家よりも、ある一つの平均的なものをという御趣旨のようにも思いますが、その平均にしろ何にしろ、そのものを一つ捕捉するというためにも、やはり個々の農家の生産費というものをお考えにならずに、そのものは出て参りません。理論的にも実際的にも出て参りませんが、その中庸の農家の捕捉の方式というものはどういうものでありますか。この点は非常に私大事な問題だろうと思う。従来米価の問題について、私も米価審議会の末席をけがしておりまして、熱心にこの問題をやつたのでありますが、常に政府のお考えは、いわゆる最高最低の生産費農家を捕捉することはできないという一点張りであります。これは統計調査部にも資料があります。政府が一定の予算をお組みになりまして、そうして全国の米穀生産費調査を思い切つておやりになりますならば、相当これは出て来るのであります。米価審議会その他においては、その資料がないとおつしやいます。しかし今の大臣のお話を承りますと、中庸農家という言葉が出て参りましたが、それをどういうふうにして御捕捉になりますか。これは私非常に大事な問題だと思いますので、一つ御所見を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/41
-
042・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 中庸生産費の出し方につきましては、農林省におきましていつもこれを調べているのでありまして、それについてのこまかいことは、どういうふうに調べるかについては食糧庁長官より答弁さすことにいたしますが、但し今お話になつたように、個々の農家の生産費を調べるということは、おそらく人力では私は不可能ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/42
-
043・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、米穀の再生産を確保することを旨として定めるということは、個々の農家にとつてはできないということになると、ある一つの限界生産費というところに線を引いて、そうしてそのものに対する米価を保障して行くというお考えのようでありますが、そういたしますと、それ以上の生産費を要する農家に対しましての対策というものは、当然出て来なければならぬと思う。要するに七千五百円という米価で生産費がまかなえない農家もあるということもお認めになつているのでございますから、それ以上のものに対するところの、いわゆる米価に対する政府の政策というものは、当然出て来なければならぬと思います。日本の歴史的な零細農の実態から考えて見ましても、中庸を得た農家一点ばりによつて農民の再生産が確保できるものではないことは、これは明らかであります。従つてそういう解釈から行きますれば、政府の今とつておりまするところの措置は、非常に正確を欠いておると申しますか、強く言いますれば、食管法第三条に抵触しておるとも思えます。これは第十三国会において衆参両院の院議をもつて国会みずからが再生産を確保することを旨としという字句を新しく挿入したのである。これに対して忠実なる政府の対策がないということは、院議に対しましても私は忠実でないと思う。少くとも今の大臣の御答弁では、私は非常に不満足であります。もつとつつ込んで、この問題に対しては真摯な態度でもつてやつていただきたいと私は考えております。この問題はいずれ他の機会にまたさらにお伺いすることといたしまして政府の価格政策の根本についてですが、米価については以上の問題を私は申しましたが、一方において政府は本年十月二十四日の政令でもつて、供出完了後における米の自由販売というものを、誤まれる選挙の公約等にこだわつて無理なことをおやりになつておられるようであります。しかしながらこれは事実上において自由販売ではない、その内容においては自由販売ではないことは、これはもう明瞭でありますが、とにもかくにも一つの自由価格の形成方式というものを米に対しても打ち出しておきながら、一方においては、二、三日前の新聞によりますと、政府は農産物価安定法というものをつくる方針を明らかにしておいでになります。一方においては、米については自由価格の形成方式を押し出そうとし、一方においては農産物価格の安定法を制定して、これの支持価格を制定しようという、この二つの相矛盾した政策をとつておいでになるようでありますが、この点について大臣は矛盾を感じておいでになりませんか。また農産物価格安定法というものを御研究になつておるようでありますが、これはいつ成文化して、国会に御提出になる御用意でありますか、その点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/43
-
044・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 私は別に矛盾を感じておりません。米価につきましては、あれをもつて適当なりと考えております。しかし米麦以外のもの、麦の方は今買入れ価格で安定しておりまするが、しかし非常に価格の安定しないものがあります。たとえば菜種であるとか、かんしよその他のもの、従つて澱粉も入ると思いますが、そこで農民生活安定のために、できるだけこれは早くそういう措置をとりたい、かように考えておる次第でございます。しかしまだ今のところ研究の途上にありまして、大体次の国会には出し得るかと思いますが、今度はまだそこまでの用意ができておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/44
-
045・足鹿覺
○足鹿委員 ついでに食糧管理法の問題について根本的な政府の御意向をただしておきたいと思います。現在の食糧管理法ぐらい、戦時立法として立案されたものが今まで残つておるものはありません。ほかの法律はみんな国語体に直り、ひらがなに直つておるが、この食糧管理法だけはかたかなづかいで、文語体の非常に戦時立法的なきびしいものがそのまま残つておる。これがいわゆる農民の自主的な供出意欲というものに対していろいろ障害になつておる。法律全体の構想が戦時立法なんだ。これは少くとも権力でもつて収用をして行くというような構想で立てられたものでありますが、一方においては農産物価格安定法をつくつて、米の自由価格の形成について一歩を進めて行くというふうな、実質的には食管法の精神とはよほど異なつた一つの動きが、政府の一連の施策の中に見られますが、食糧管理法の民主的な改正と申しますか、大幅の改正を、現在の国情に沿うたような新たなる一つの構想のもとにお考えになる御用意はありませんか。これはこの法律そのものは問題点が非常に多く、一々これを取上げることが困難なくらい問題点を持つておりますが、大臣の御所見はいかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/45
-
046・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 今お話のごとくに、そういう点もございますが、大体食糧管理の法律につきましてはこれはこれの基くところは主要食糧の集荷配給だとか価格の全面的統制というようなことがもとになつていろいろな案が出たのでありますが、その後各種の、たとえば麦、雑穀等の統制が撤廃されるとかいろいろなことで、大体法の内容も少しかわつて参つておりますので、まあ今後におきましては、さらに今申し上げたような買入れの範囲を広めるとか、いろいろな問題が伴つて参りますと、これらについてもいわば発展的に多少これを改めるという必要を生ずるかとも思いまするが、率直に申し上げると、私はこの間空白状態にあつたのですから、こまかいことは食糧庁長官より説明させるよういたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/46
-
047・足鹿覺
○足鹿委員 それではあとで食糧庁長官から伺うことにいたします。これは価格の問題とも関連がありますが、米の点についてもう一点伺つておきたいと思います。第十三国会において葉タバコの賠償価格に対して四割以内の無利息概算前払い制度が立法化され通過いたしております。現在政府は食糧増産推進法を御計画になつておるようでありますが、問題はこの生産力の増強の面においてももちろん大事なことでございますが、価格政策が一方において裏づけされない限り、どのような増産政策を推進いたしましても、これはびつこになります。現在農業手形の状況を見ましても、肥料手形が事実上においては農家の生活費にほとんど使われておる。そういうような実態から、米に対して価格政策一点ばりで補うことができないとするならば、もう少し新しい角度から農家の増産意欲を高揚して行く面を考えて行かなければならぬと思うのであります。従つてタバコに行われることが私は米に行われないことはないという考えから、現在の農業手形の欠陥等も補いましてこれを半額以内、来年度産米に対しては四月中に半額を前払いする、そうしてその出したものに対しては政府が予約買上げの制度を進めて行く。そうしてこのタバコに類するように、やはり現在の肥料手形よりもずつと利息を下げ、でき得べくんばタバコのように、これを政府が補償して、利息は全部これを免除して行くという方向が、価格政策を補つて行く面において考えられるのではなかろうか、かように考えておりますが、この点は食糧管理政策の問題と切り離して、農林金融の面からもぜひお考え願いたいと思つておりますが、大臣はその点について、突然でありますので確たる御答弁も承れないと思いますが、大体の感じでけつこうでありますから、承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/47
-
048・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 大体の感じを申し上げますと、葉タバコの方は専売の特別会計からやつておるのでありますし、またああいうふうに非常に収益の多い、利益の多いものでありますので、そういう点があるかと思いますが、現在米について、現在の食管会計からそういうことをすることは少しむずかしいのではないか、こういう感じを持つのであります。しかし今のお話の点につきましては十分検討いたしまして、さらに何かいい案が出ましたら、御協議を申し上げることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/48
-
049・足鹿覺
○足鹿委員 いろいろこまかいことについては、食糧庁長官に伺うごとにいたしまして、第二に肥料の問題を一、二点だけ御質問申し上げたいと思います。農相は就任直後において、事務当局が考えておつた肥料購買資金法に反対をされたために、購買資金法が流産をしたというふうに新聞は伝えておりますが、もしそれが事実といたしますならば、農相の肥料価格に対するところの基本的な御所見はどういうものでありますかそれが一つ。
それから昨日も他の委員からも御質問がありまして、くどくは申し上げませんが、朝鮮その他に対するメーカーの出血輸出が問題になつておる。しかも内地の農民には相当高価なものを購買せしめて、外地の農民の犠牲に内地の農民がなつておるというような傾向が最近非常に著しい。そしてこのメーカーの出血に伴うところの損失金は、伝え聞くところによると、俵八百円というものに一つの平均コストを求めて、そのものの差額を業者の共同負担によつてこれをまかなつておるというふうに私どもは聞いておりますが、その八百円が妥当であるかいなかということは別問題といたしまして、そういう一つの方式というものが、一種のシンジケート的な方式、あるいはカルテル的な、同一企業体内におけるところの横の連絡を強化して行く傾向が、非常に強く出ておる。考え方によつては独禁法にも牴触するのではないかというふうな感じも私は持つものでありますが、そういう場合に、肥料工業はどうなつてもいいという考え方ではなしに、このものはこのものとして存立せしめなければならないが、だといつて内地の農民を肥料メーカーの犠牲に供するということは、われわれ農民の立場からどうしても忍ぶことはできません、従つて、物の不足の当時においては、ある程度の統制方式というものを常に政府はお考えになるが、物が余つて来た場合、特に肥料のような場合には、一体肥料の安定帯の形成方式というものをどこに求めておいでになりましようか。輸出共販会社の方式をとろうというお考えでありますか。あるいは輸出するものに対しては、これはとにかく政府が管理をして、政府の責任において輸出して行くという一つのお考えに立つのでありますか、この肥料の安定帯形成について、特に米価に見合つて行かなければならぬということは、私は非常に大事な問題だと考えておりますが、最近伝えられているところの輸出共販会社の構想について、政府はどういうふうにお考えになつておるか。もしその方式以外に政府がお考えになつている構想があるならば、この機会において伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/49
-
050・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 お話のように、硫安の需給状態が、今のところ非常に供給過剰の傾向にございますので、二十七肥料年度で申しますと、大体四十万トン余るのではないか。それが国外輸出に向けられるということに相なつていることは、御承知の通りであります。ところでこれがよその国との関係上、相当いわゆる出血をした輸出になつておりますが、しかしこの出血を、日本の農村の肥料の価格の方へ持つて来られるということになりましては、日本の農家の経営に非常に大きな影響があります。従いましてたとえば春肥のごときものについては、そういうものを持つて来ないということは、昨日すでに申し上げましたが、しかし日本の硫安工業の現状をもつてしますと、この会社が維持されて、生産を続けて行くことができませんと、ひいて国内の肥料の需給状態にも大きな影響を及ぼずことになると思うのであります。従いまして、硫安工業の実態についてよく調査するとともに、今後どうするかということについては、よく農林省それから通産省及び経済審議庁が入りまして、この問題を十分根本的に解決したいものだと、こういうように考えておるのであります。また安定帯価格を今どうするかということでありましたが、これは日本の硫安の値段は自由になつているのでできませんので、製造業者と全購連の間で相談し合つて、その協議の上で今の安定帯価格はきまつておるのでありますが、これらにつきましても、国内の需給状況とか価格の点等から見まして、さらにこういう点を協議させたいと思つておりますが、これはきわめて率直な話でありますが、私はまだ事務当局の話を十分聞いて結論に達しておりません。従つて結論的なことは、もう少し検討した上で申し上げさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/50
-
051・足鹿覺
○足鹿委員 十分御検討を願いたいのでありますが、現在のメーカーが行つております出血輸出に対するところの損失補填は、共同計算制というものによつてやつておる。このものは、全然メーカーの自主性においてやつておいでになるのでありますが、しかしこういう施策が行われておるということは厳然たる事実であつて、政府もこれを拱手傍観しておいでになるはずはないと私は思います。何らか肥料政策の上から御相談になつておられるでしようし、またいろいろと内部的にもタツチしておいでになるのじやないかという感じもありますが、かりにこれはまつたくメーカーの自主性において行つておるものといたしましても、とにもかくにも内地の農民を犠牲にしない、そして肥料メーカーも存立をして行かなければいけないという、この非常にむずかしい二つの問題を解決して行くためには、少くとも国家がこれに対して一歩乗り出して行かないことには、私は解決がつかないと思う。これは具体的な問題でありますが、現在業者が行つておるような、いわゆる輸出共販会社の性格を持つ方式を、現在やむを得ずとして政府はこれをお認めになつておりますか。何らかこれに国が乗り出して来て、対策を講ずるというふうにお考えになつておりますか。その点に対するところの御所見でも承わればけつこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/51
-
052・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 私としてはまだ、輸出共販会社をどういうふうにやつて行くかということについて承知いたしておりませんので、ちよつとお答えができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/52
-
053・足鹿覺
○足鹿委員 しかしこれは重大な問題ですよ。大臣御存じないということでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/53
-
054・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 いや重大な問題と存じますが、まだ承知しておりませんので、率直に承知していないということを申し上げて、同時にさつき申し上げた通り、農林、通産及び経済審議庁でよく相談をして、最後の結論にすみやかに持つて行きたいと考えていることは、先ほど御答弁いたした通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/54
-
055・足鹿覺
○足鹿委員 それでは、御存じないそうでありますからいたし方ございませんが、とにもかくにも日本の農民を犠牲にしない面に立つた肥料の安定帯の形成方式というものについて、農林大臣としては全力を傾けていただかなければならぬ問題だと思いますので、特に御配慮いただきたいと思います。
第二の農業生産力の増強政策の問題でありますが、政府の今度の食糧増産推進法の構想を見ましても、従来の政府のとつておる施策を概観いたしましても、非常に水田中心主義というような印象を受けます。そしてその結果として、既存耕地の改良に著しく重点を置いておいでになるような印象を私は持つものであります。その結果として、日本の農業経営の上に占めている畑地というものに対する御認識が、非常に軽いのではないかという点を心配いたしております。これは政府の最近の農地政策と申しますかの大きな転換だと思いますが、経済効果ということを非常に重点にしておいでになる。経済効果を御主張になることもけつこうでありますが、この経済効果をいかようにねらつてみましても、既存耕地の保護改良のみでは自給推進は私は困難だと思う。従つて今後の農業経営の総合的な発展のためにも、畑地経営というものに対してもう少し大きく手を打たなければ、真の目的は達成できない。特に有畜農業を奨励して行く場合におきましては、当然これは畑地農業というものとの関連なしには考えることはできないのであります。その畑地の場合を考えました場合には、いわゆる改革の問題を抜きにしてはこれは解決できない。すでに開拓政策がいろいろ行き詰まつたと言われるが、四十四万町歩、四国の耕地にひとしい大きな成果を曲りなりにも上げておる。このものに対する政府の最近の経済効果主義からいろいろ開拓政策に後退が見られるように感じますが、農林大臣はこういう水田偏向を是正して、少くとも畑地を取入れた大きな問題として自給計画の推進をはかつていただきたいのでありますが、そういう場合における開拓地の問題、開拓者の生活の安定の問題というものは、私は非常に大事な問題だと思つております。この点について農林大臣はどのような御所見をお持ちでございましようか、特に承つておきいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/55
-
056・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 畑地農業が大切であり、開拓、干拓等が非常に大切であることはお示しの通りであると存じます。この案のうちには五箇年間に三十七万町歩というようなぐあいに出ておるのでございますが、適当な土地がありましたら、さつき申しました通り、これは一応の調査でございますので、適地がありますれば、これに対して総合的に考えました上で、最も食糧の増産に役立つものにはそのように力を注ぐべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/56
-
057・足鹿覺
○足鹿委員 当初終戦後における開拓計画というものは、百五十万町歩を目途として立案ざれたものであります。その後漸次開拓政策が後退をいたしまして、たとえば先般の議員立法として画期的な雪寒法にいたしましても、当初の考えとはよほどその内容においてはかわつて来る。少くとも既存耕地一点張りの形式が出て、総合施策の面においては実にさしみのつま的な扱いになつておる。今度の補正予算を見ましても、わずか二億五千万円程度の寒冷単作地帯に対する追加予算しかない。そういう点から見ましても、大臣の御所見は総合性々々々ということを仰せられて、けつこうでありますが、事実の上にわれわれが見た場合には、いわゆる開拓問題、畑地問題に対して、政府の御認識が足りないと私は断じてさしつかえないと思います。もつとこの点については、強く政府としても重点を置いてお考えにならなければならないと思う。終戦後の開拓政策が相当乱暴な面もあつた。なるほど森林を伐採して不適地をどんどん開拓したというような点等で、相当林業の面からこの後退を余儀なくされておるというような感じも受けるのでございますが、そういう摩擦面は別として、現在の入植者に対するところの保護また食糧自給の対策の面からいいまして、当然農耕地の飛躍的な面積の増大の面には、この面を抜きにしては当然現在の日本の現状からは考えることはできません。この点については特に政府の開拓に対するところの不動の方針を樹立されまして、少くとも食糧自給の態勢の一環として取上げられんことを私は特に御要望申し上げておきたいと思います。
農地の問題で、ついででありますが、農地の移動の結果は、最近の政府の資料につきましても、また新聞紙について見ましても、これは非常に著しく出ておりますが、農地移動の原因、それに対するところの対策について、政府はどのような御施策を現在お考えになつておりますか、これをひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/57
-
058・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 政府委員をして答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/58
-
059・渡部伍良
○渡部政府委員 農地の移動につきましては、お示しのように相当の数が出ております。この中には戦後旧職に帰農したもの、いわゆる小さい規模のものがまたここでできて来ているのも相当あります。それから経営が苦しくて離れるのもありますが、これらに対しましては、自作農創設特別資金によりまして経営の安定をはかるとかあるいはその他の諸般の施策によつて、自作地におちついて経営ができるように各方面からやつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/59
-
060・足鹿覺
○足鹿委員 そんな抽象的なことをお聞きするなら、大臣から承ります。少くともあなたから御答弁になるなら、もう少し親切に御答弁を伺いたい。現在も自作農創設資金五千円で、農地の移動に対して、これは何の対策になります。このようなものをもつて施策としてお並べになつて私の質問に対する答弁になると私は考えません。大臣にかわつて御答弁になるならば、もう少し真剣な御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/60
-
061・渡部伍良
○渡部政府委員 ただいまのお話でありますが、農地局長が来ておりませんので、こまかい資料を私持つておりませんから、要点だけを申し上げたのでありますが、たとえば今の自作農資金の問題でありますが、これはことしは反当五千円でありまして、約八億だつたか予定しております。それでこれは補正予算でも二十八億に増加するように要求したのでありますが、補正予算の性質から来年度の予算でやつても補正予算はもうあと三箇月だから、来年度予算でやつたらよかろう、こういうような交渉の経過があります。そういうこまかい点を申し述べればいいのでありますが、こまかい資料を持つておりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/61
-
062・坂田英一
○坂田委員長 お諮りしたいのですが、農林大臣は予算の方から再三呼ばれておりますので、できるだけ大臣にお聞きを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/62
-
063・足鹿覺
○足鹿委員 それでは農地の問題についてはまたの機会に譲りたいと思います。
私は大きな問題として農業政策の推進についての機構または組織というような問題について大臣の御所見を承つておきたいと思います。それは最近の傾向として、政府が農業団体に対するところのいろいろな方針を通じても、非常に官僚支配を企図しているのではないかという疑いを多分に持つのであります。昨日来農林大臣は民主的な問題であるから、これはその当時者同士によつて決定したものを尊重するという御答弁でありましたが、少くとも今の段階においては、この両当事者の意見、たとえば農業協同組合、全国農業委員会というものの意見というものは、平行線でますます意見の相違は大きく広がつて行くようにわれわれは見受けておる。少くとも大臣の昨日の他の委員に対する御答弁とは、現実に狂つて来ておるのであります。これに対して政府はしからばその歩み寄りがないという場合には、農業団体の再編成については、現在政府が持つておられる方針で押し通すお考えでありますか。この両者の意見が合致しないのを荏苒お待ちになるということは、政府としてもありますまい。ここまで天下を騒がしたということは、政府がああいう案をお出しになるから、いろいろな点で摩擦が起き、意見の対立があつたのであります。従つてそれを収拾して行く責任は、政府にあると私は思う。両者の歩み寄りがつかないような現状を前にしておきながら、いたずらにこの農業団体の再編成の問題を、両者の歩み寄りなどというようなあいまいな態度でおられるということは、私は農林大臣として適当の御答弁じやないと思うのですが、その点についての確固たる御所見をまず承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/63
-
064・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 農業団体の再編成が食糧増産の上にぜひとも必要な点から、私どもは両者の間の自主的に歩み寄りができることを心から切望しておるものであります。しかしながらどうしてもできない場合についてどうかということにつきましては、私どもの方でも別に考えておりますが、しかし今まで出ておる農林省の案をもつて押しつけるかどうか。こういう問題はいかなる場合でも納得づくで行くべきものであつて、強制すべきものではないというのが私の信念であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/64
-
065・足鹿覺
○足鹿委員 それでは、くどいようでありますが、納得ずくというその大臣のお気持はわかるのです。われわれといえども、納得の行くものについては納得の行く方法で行かなければならぬか、少くともああいう農業団体の再編成の案をお出しになつた。前の政府の責任で、新大臣の責任ではないと思いますが、しかしながらそういうものが出て、現在その納得づくの話合いがなかなか困難だと思われる。従つて別に考えておるということでありますが、その別のお考えというものはどういうお考えでありますか。もし承ることができますならば承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/65
-
066・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 ただいまのところちよつと御答弁申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/66
-
067・足鹿覺
○足鹿委員 御答弁がないそうでありますが、別な考え方を持つておるということだけは御答弁がありましたのでそれだけを承つて一応この問題は打切りたいと思います。それから一番最後に、新しい最近の政府の構想とでも申しますか、これは政府だけではなく、民間からの声もあつたというふうにも伝え聞いておりますが、産業開発青年隊という、新しい政府の農業政策に呼応する構想として各地で御指導になつており、今度の補正予算にも若干これの経費を見てありますが、この産業開発青年隊というものは、かつての戦争中におけるところのいろいろなやり方によく似た方式のように印象づけられておりますが、産業開発青年隊というものは、政府が来年度以降において積極的にお進めになる構想でありますか。それとも、これは下からの自主性によつてそれぞれの地域において適当に進めることについて若干の手をのべて行くという程度のものでありますか、これは新しい農業政策の推進組織として注目すべき方式だと思つておりますが、その点いかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/67
-
068・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 形は同じように見えるかも存じませんが、魂は全然違つておると私は思います。従いまして政府の方でこれを指導するとかいうようなことについては、特に強い考えを持つておりませんが、この育成ができますことは心から願つておるので、その点から補助金等を計上いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/68
-
069・足鹿覺
○足鹿委員 それでは時間もないようでありますから、きようはこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/69
-
070・坂田英一
○坂田委員長 川俣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/70
-
071・川俣清音
○川俣委員 新農林大臣は、農業資材の価格の変動がはげしければ結局増産の意欲を阻害することになるので、農業経営の安定を期するために、ぜひとも価格安定をはかる措置を制度的に確立しなければならないという御説明でありましたが、制度的に確立するとはいかなる方法をもつておやりになるのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/71
-
072・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 制度というのは、今用意いたしております法律をつくつてやろうという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/72
-
073・川俣清音
○川俣委員 農業資材の価格の安定をはかる具体的な制度を確立するというのはどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/73
-
074・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 川俣さんの質問はたいへんむずかしい質問で、ちよつと困るのでありますが、いずれにいたしましても、何らかの組織とか制度がなければ確立し得ないと思うのであります。従いまして、こういうものについて確立するにはどういうふうに持つて行つたらよいかということについて制度的にものを考えたらどうか、しからばいかなる制度的にやるかということは目下検討中でありますから、ここでお答えするところまで参つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/74
-
075・川俣清音
○川俣委員 それでは今問題になつております硫安などについては、どういう制度を設けて安定をはかるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/75
-
076・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 硫安の問題につきましては、先ほど申しました通り、農林省、通産省及び経済審議庁がこの調整に当つて、その間に考えて、たとえば今の全購連とメーカーとの間に話合いをつけているあの安定帯価格などが、制度と言い得るかどうか知りませんが、一つのやり方であると思います。ああいつた方法がよいか、それとも何かここに機関をつくつて、そこでいつもその価格を決定するような、いわば審議会のようなものでもあつてそこできめたらよいことになるか、こういつたようなことについて考えてみたい、こう思つているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/76
-
077・川俣清音
○川俣委員 さらにお尋ねいたしますが、日本の硫安と外肥とは大分大きな開きがあります。今外米を入れて補給金を出している際に、なぜ外肥を入れることができないのか。あるいは将来国内肥料の価格を抑えるためにも外肥を入れるということが考えられると思うのでありますが、この点について考慮されたことがあるかどうか、あるいはこういうことも制度あるいは法律的に考えて行こうという意味が御説明の中にあつたのであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/77
-
078・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 日本の肥料政策の面から見まして、硫安というものが内地で十分供給されるのに、外国の肥料を入れるということは考えたこともないと思います。私は考えたことはございません。しからば今のように外国の肥料が安いのに、なぜ日本の方が高いのか、それは少し考えなければいかぬじやないかということにつきましては、これは日本の硫安工業というものが立ち行く点が必要であるのでありまして、立ち行くためには、川俣さんもよく知つておられる通り、多量生産をやらなければコストは下りません。従いまして、よその国、たとえばドイツなどが国内価格と輸出価格とどういうふうに区別しているか、これを今研究させているのでありますが、おそらく国内価格との間には相当開きがあるのではないか、こういうふうに考えております。従いまして、日本の肥料工業を育成して行くことも必要だが、同時にでき得るだけこれを合理化して行く。たとえば電力などがもつと安く供給されることになりますれば、もつと安い費用でできることになりましよう。そういうこともありますので、各種の点を考慮して、そうして日本の硫安をつくる工業が立ち行つて、しかも安くできるということを私どもは希望しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/78
-
079・川俣清音
○川俣委員 さらにお尋ねいたしますが、世界的に硫安が過剰を来しておる。日本のこのコスト高な硫安工業を保護して行こうということになりますと、政府が保護して行くか、あるいは農民が非常に大きな犠牲を払つて保護して行くかということになるだろうと思う。日本の米麦のコストを引下げる上からも、この際外肥を入れて行かなければならないような事態が起きないとは言えないだろうと思う。特に日本が独立後においては、世界的な市場を相手に各種の工業が営まれなければならぬ場合において、硫安工業だけを保護するために、農民に犠牲を払わせて行く方法なのか、あるいは政府は別個に硫安工業に対して保護して行く方法なのか。農業用資材の価格の安定をはかることを農業政策として打出しておるのでありますから、これらの点についてはおそらくすでに考慮が払われておるはずだと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/79
-
080・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 一時的にものを考うるべきでなくて、たとえば今のように非常に硫安がだぶついておる、こういうときのみを考うるべきでなくて、やはり日本の国としては長い目で、日本の中の硫安は日本で供給すべきである、それには日本の産業をある程度育成して行かなければならぬということは、川俣さんもさだめし御同感であろうと思います。ところでそれならば、それが農民の負担になるのか国が別に考えるのか、こういう問題になります。その点のお尋ねなんですか、この点につきましては、さつき私が申し上げました通り、私の考えがまだ熟しておりません。従いまして農林省と通産省と、またこれを調整する経済審議庁とで何らかの結論に達したい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/80
-
081・川俣清音
○川俣委員 なおこれ以上お尋ねしたい点があるのでありますが、時間がないので、省略いたします。世界の硫安工業界は、ここ数年の間において減退するような方向にはたどつていないと思う。ますますこれは競争がはげしくなる。そのはげしくなる際に、硫安工業を単に保護するというようなことは不可能に近いと思います。従つて一時的にも農民の犠牲において一年なりとも二年なりとも保護することは、日本の工業界にも非常に大きくマイナスすることであろうと思いますので、この点はあらためて別な機会にお尋ねいたしたいと思います。
さらにお尋ねいたしたい点は、米価審議会が設けられておりますことは、大臣すでに御承知の通りでありますが、これを尊重せられる態度で臨んでおられるのかどうか、あるいは将来廃止するような方向で活用せられるという考えないのか、この点お尋ねしたいのであります。なぜかと申しますと、これは決議機関ではありません。もちろん諮問機関であります。諮問機関として活用せられるならば、一体どういう方法で活用せられるお考えであるか。尊重するという言葉だけでは尊重にならないと思います。もちろん私は決議機関であるというふうに申し上げてはおりません。諮問機関である。諮問機関であるとすれば、どういうような内容をもつて尊重せられるのであるか。あるいはもうこれはやつかいなものであるから廃止するというようなお考えでおられるのかどうか。この点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/81
-
082・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 米価審議会を廃止するといつたごとき考えは持つておりません。但し尊重すると申しましても、これは川俣さんもよく御承知のように、たとえば買入れ価格をこれこれにするといつて、その価格が農林省で考えておるパリテイ計算その他の事情を織り込んだものと著しく開きがありまするときには、国の総合的に見ました見地から、これはその通り尊重して、そのまま服するというわけにも行きかねますので、その御意見を尊重するということは、その御意見を重要なる参考意見として、というようにおとりを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/82
-
083・川俣清音
○川俣委員 私は、諮問機関であつて決議機関じやないということを前提に置いてお尋ねしておる。諮問機関だとすれば、これは政策の決定の前に諮問せられるのが諮問機関としての尊重の態度であることは、私が申し上げるまでもないことであります。前内閣時代、この内閣になりましても、これは諮問機関としてまでも尊重せられていないのではないかという議論が出て来るのでお尋ねいたしておるのであります。政策決定前に意見を徴することが諮問機関として尊重せられるゆえんだと考えておりますが、大臣は将来そういうふうに活用せられる意思なのかどうか。もしもそういうふうに活用せられないとすれば、むしろ廃止した方がよろしいのではないかということになると思いますが、この点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/83
-
084・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 過去のことについては、今お話がございましたが、これは別に答弁もいらないようなお話でございましたから、お答え申し上げません。今後のことにつきましては、これは私、就任後も、たとえば今の予算等の関係上、消費者米価を内定する必要がありましたので、予算措置をとるために、ああいうふうな価格にいたしたのでございまするが、その当時においては、これは川俣さんもよく御存じでしようが、総選挙がありまして、その結果各党からの委員の顔ぶれがかわることが起つて参つておりまして、それからまたちようど期限も来ましたので、私としてはやむを得ずああいうことにいたした次第で、将来は事前にお開きして御相談して、これらの意見を重要なる参考意見とすべきであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/84
-
085・川俣清音
○川俣委員 それではさらにお尋ねしたいのですが、前の廣川農林大臣は、米価審議会の意見を大いに尊重して、将来政策の上に織り込むということであつた。従つて、米価審議会の決定は、御承知の通り生産米価については返上されている。これに対する非公式な話としては、内閣が解散したあとであるから、新内閣において、あらためて米価を検討するという意味も含まれておりますし、もう一つは解散中でありますので、将来いかなる政府ができるかわからないから、この際は返上して、あらためて検討すべきであるというふうに米価審議会の意見が、満場一致きまつておるわけです。それについて、農林大臣は返上を含んでおるということを十分お考えになつて七千五百円が至当であるとというふうになつたのか、あるいは前々から七千五百円と決定しておつたから、それを踏襲するというのであるか、あらためて検討した上で、七千五百円が適当だとお考えになつたのであるか、この点についての御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/85
-
086・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 前の決定が妥当であると認めてこれを認めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/86
-
087・川俣清音
○川俣委員 もうちよつとお尋ねいたします。大臣から大分詳しくパリテイの話が出ておつたので、私はあらためてお尋ねしたいのですが、パリテイ指数は一一三・五七であるとはつきり大臣はおつしやつた。大臣は国務大臣といたしまして、農林大臣といたしまして人事院のベース・アツプについて大体同意をされておるだろうと思いますが、これは労働者の、俸給生活者の生計費が上昇したために、やむを得ず上げるのだという建前であろうと思います。あるいは、労働組合のマーケツト・バスケツト方式によつた賃上げの問題もありますければも、政府のとられたのは、生計費が上昇したために、やむを得ずとるのだという態度であろうと思います。生計費の上昇を政府としては認められておるようでありますが、このパリテイ方式の中に入つておりまする生計費は、下降いたしておる形をとつておりますが、この点について御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/87
-
088・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 食糧庁長官がおりますので、その方から答弁をしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/88
-
089・川俣清音
○川俣委員 いや、大臣にお伺いしたいのです。これは内容を聞いているのではなく、一般の生計費が上つたということは、常識的の考え方です。おそらく政府もそうであろう、小笠原さんもそうだろうと思います。ところが、パリテイを尊重せられたというのでありますが、この価格パリテイは生計費の上昇は認めていないのです。経費の増高は認めておりますが、生計費は下降いたしております。その結果出て来たのが一一三・五七だ、こうなつておるのでありますが、一体、価格パリテイにおきましては、品物の消費価格の均衡でありまするから、農村で使つておりますものの消費価格も当然上昇しておらねばならないはずである。従つて経営費が上り、生計費が上れば、もつとパリテイが上るということは、常識的に大臣も考えられておるはずでありますが、農村の生計費は、大臣は上つておると思われるかどうか、数字ではなくして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/89
-
090・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 それだけお答えをいたします。賃金については同じものが見てあるのでありますが、そのほかの生計費につきましては、上つておることが織り込んであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/90
-
091・川俣清音
○川俣委員 小笠原さんも農村の消費財は上つておるとお認めになつておるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/91
-
092・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 大体しか申せませんが、下つておるものもありますが、上つておるものもあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/92
-
093・川俣清音
○川俣委員 人事院の勧告は、そのまま認められる認められないは別にいたしまして、大体政府は生計費は上昇したというふうな態度をとつておられるはずであります。従つて農村の生計費もあるいは消費財もまた上昇しておるというふうにお考えになつておるかどうか。農村は一般俸給生活者と違つて、生活が引下げられたために消費財が節約されて下つたというふうにお認めになるのかどうか、この点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/93
-
094・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 農村の賃金の問題については、これはよく調べないとお答えができませんが、今家計費の調べをもらいましたが、この調べによると、二十五年七月から二十六年六月、平均家計費が一〇二・八六であつたものが一〇六・七九として織り込んであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/94
-
095・川俣清音
○川俣委員 大臣がそれほどこまかく言われるなら私の方もこまかく言いますが、二十五年度の家計費は八八・八二です。二十六年度は一〇七・六二です。二十七年度は一〇六・七九で下つております。あなたのところにおありになるのも同じでしよう。二十五年度から見れば二十七年度は上つておりますが、二十六年度から見ると二十七年度は家計費が下向しております。このような事態は人事院の勧告と同じような方向をとつておるかどうか。あるいは政府が今度とられた態度と同一な方向であるかどうか、この点をお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/95
-
096・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 生産者価格を決定するときには二十五年七月から二十七年六月までの平均をとつておるのでありまして、月々にして申せば今のような点もございます。しかし平均について申しますと、私がただいま御答弁いたしたように相なつておりますことは多分お手元にあるのですから、ごらんくださるとよくわかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/96
-
097・川俣清音
○川俣委員 昭和二十六年度の家計費一〇七・六二が一〇六・七九に下つておるということを私は指摘しているのであつて、こういうふうに家計費を下げているところに欠陥があるとお認めになれば、将来是正しなければならぬであろう。私どもは経営費の上昇はこれは認めます。家計費の下向についてはもう一度検討せらるる必要があると思いますが、この点についての詳しいことはあらためて御質問いたします。七千五百円というものの内容の中にはこうしたことが入つておるので、あまり自信をもつて御主張にならないように注意いたしまして、私のきようの質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/97
-
098・坂田英一
○坂田委員長 それでは残余の質疑は次の機会に続行することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/98
-
099・坂田英一
○坂田委員長 この際先ほどお知らせいたしました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたし審議を進めたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/99
-
100・坂田英一
○坂田委員長 御異議なしと認めます。それでは本案の趣旨について提出者の説明を求めます。中馬辰猪君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/100
-
101・中馬辰猪
○中馬委員 ただいま議題となりました農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して提案の理由を御説明申し上げます。
農林水産業施設の災害復旧に対する国の補助を制度化するために昭和二十五年第七国会において現行法が制定を見たのでありますが、過去二箇年にわたる本法施行の状況にかんがみまして、これをさらに合理化するため今回この改正案を提出いたした次第であります。
すなわち改正の第一点は、災害復旧事業に対する国の補助方法を合理化するという点であります。現行法におきましては、災害復旧に対する補助率は、農地、一般林道については事業費の五割、農業用施設、奥地幹線林道及び水産業協同組合の維持管理する漁港施設については事業費の六割五分を補助し、また施行者の負担が一定の限度を越える場合は、その越える部分に対してはスライドして国が補助することになつておりますが、原形復旧事業費のみを対象にしておりまして、原形復旧に要する金額を越える金額すなわち超過事業費につきましては、一般改良事業の補助率と同率の補助を行うことと相なつております。
近時災害復旧事業の激増によりまして、勢い超過工事も増加し、災害激甚な地方においては、地元負担のみによつて復旧工事を施行することがはなはだ困難な実情にあり、従いまして復旧工事の円滑な施工が不可能な状態に立ち至らんとしております。さらに理論的に考えましても、法第二条第五項におきましては、災害復旧事業の定義に「原形に復旧することが不可能な場合において、当該農地等の従前の効用を復旧するために必要な施設をすることを含む」とし、第六項においては「災害によつて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代るべき必要な施設をすることを目的とするもののうち、一箇所の工事の費用が十五万円以上のものは、この法律の適用については、災害復旧事業とみなす」としてあるにもかかわらず、第三条第五項において特に超過の補助率を規定しておりますことは、無理に費用の上から原形復旧と超過工事と二つにわけたものでありまして、合理的なものとは申せないのであります。災害復旧事業については、本来超過事業などという観念が誤りでありまして、原形復旧することが不適当な場合、これにかわる施設をすることは災害復旧事業なのであります。従いまして、今回超過事業費という言葉を削りまして第三条第一項の災害復旧事業費には、農林水産業施設に関する災害復旧事業の事業費のすべてを含むように改正せんとするものであります。
改正の第二点は、現行法におきましては、第二条第五項及び第六項において、一箇所の工事の費用が十五万円以上のものを補助の対象としておりますが、これを改正して、一箇所の工事の費用を十万円以上に引下げて国庫補助の対象とすることにいたしたのであります。これは近時の災害状態を見まするに、災害が局地に累積し、しかも十五万円以下の工事が相当多く、貧弱なる地元負担のみをもつてしては、その復旧が不可能な場合が多く、災害を誘発する結果となるおそれがあるからであります。
以上説明いたしました二点が、本改正案の趣旨でありますが、先に申し上げました第三条の改正規定につきましては、その取扱いの公平を期するため、過年度に発生した災害で昭和二十七年三月三十一日現在において、国の補助金の交付を受けていないものについても適用させるよういたす所存でありますし、後に述べました第二条の改正規定につきましては、過年災にさかのぼつて査定をし直すことは不可能でありますので、二十七年災害から適用することといたしたいと思います。
以上簡単でありますが、提案の理由の概要を申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/101
-
102・坂田英一
○坂田委員長 本案に関する質疑については次会よりこれを行うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/102
-
103・坂田英一
○坂田委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X00419521204/103
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。