1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十七日(水曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 坂田 英一君
理事 野原 正勝君 理事 平川 篤雄君
理事 井上 良二君 理事 足鹿 覺君
青木 正君 秋山 利恭君
大島 秀一君 高見 三郎君
中馬 辰猪君 金子與重郎君
川俣 清音君 中澤 茂一君
芳賀 貢君 中村 英男君
出席政府委員
農林事務官
(農林経済局
長) 小倉 武一君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局金
融課長) 林田悠紀夫君
農林中央金庫副
理事長 江沢 省三君
農林中央金庫理
事 更級 学君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
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十二月十七日
委員池田清君辞任につき、その補欠として中馬
辰猪君が議長の指名で委員に選任された。
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十二月十六日
農林省統計調査部の昇格等に関する請願(坂本
泰良君紹介)(第一〇四四号)
同(木下郁君紹介)(第一〇四五号)
同(松前重義君紹介)(第一〇四六号)
同(赤路友藏君紹介)(第一〇四七号)
同(成田知巳君紹介)(第一〇四八号)
大井川流域干拓に関する請願(戸塚九一郎君紹
介)(第一〇八五号)
治山事業の予算増額に関する請願(灘尾弘吉君
紹介)(第一〇八九号)
西臼杵郡を急傾斜地帯に編入の請願(川野芳滿
君紹介)(第一〇九〇号)
国有林野所在町村に対する交付金増額の請願(
川野芳滿君紹介)(第一〇九一号)
入院患者用配給米増配に関する請願(山口丈太
郎君紹介)(第一一四七号)
農村の電柱敷地補償に関する請願(山田長司君
外三名紹介)(第一一五三号)
同(中澤茂一君外五名紹介)(第一一五四号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
早場米供出期限延期に関する陳情書
(第八五八号)
本年度産米の消費者価格の現行据置に関する陳
情書(第八五九号)
二十七年産米の供出割当減額補正の陳情書
(第八
六〇号)
食糧自給促進法の立法化実現に関する陳情書
(第八六一号)
農地改良等促進に関する陳情書
(第八
六二号)
西津軽土地改良事業に関する陳情書
(第八六
三号)
積雪寒冷単作地帯農業振興に関する陳情書
(第八六四
号)
急傾斜地帯農業振興臨時措置法による補助率に
関する陳情書(第
八六五号)
農業災害補償制度に関する陳情書
(第八六
六号)
果樹及びそ菜園芸に対する災害共済制度設定の
陳情書(第八六七号)
国有林野所在町村に対する交付金に関する陳情
書(第
八六八号)
木炭県営検査の強化に関する陳情書外十件
(第八六九号)
ドッグレース法制定に関する陳情書
(第八七〇号)
かんきつ類に対する災害共済制度適用の陳情書
(第八七一号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
農林漁業金融公庫法案(野原正勝君外五十六名
提出、衆法第一一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/0
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001・青木正
○青木委員長代理 これより農林委員会を開会いたします。
委員長が委員長会議に出席中でありますので、しばらく私がかわつて委員長の職務を行います。
まず農林漁業金融公庫法案を議題といたし、前会に引続き審査を進めます。本案に関し質疑または意見のある方は発言を許します。通告順によりまして井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/1
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002・井上良二
○井上委員 こんな大事な問題があるのに、次官が見えておらないのですが、どうしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/2
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003・青木正
○青木委員長代理 次官はただいま連絡しておりますが、提案者がおりますので、提案者に対する御質問等がございましたら、御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/3
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004・井上良二
○井上委員 それではこまかい点から伺いますが、まず第一に伺いたいのは、現在政府は特別会計によつてこの金を扱つておりますが、新しく金融公庫をつくるという。しかし問題は、上層機関であるこの公庫の総裁、理事、監事、こういうものをもつて一つの公庫が中央にできて、そうして実際の仕事は農林中金に委託してやらすということになつている。現在も農林中金に委託してやらしていると思いますが、ことさらに独立機関として設けなければならぬ理由というのは、今後融資します金額が非常に大きくなつて、取扱い件数がふえる、そういうところでどうも特別会計でやつても実際上仕事がうまく行かない、こういう考え方のようでございますが、この点に関して事務当局としましては、現在特別会計でやつた場合にどういう点で大きな支障があり、またこういう新しい一つの中央機関を別につくることによつてどれだけ事務的に能率的に運営できるか。要はこれを借り受けます農民及び関係団体が、こういうことにすることによつてさらに能率的に事務が処理され、かつまたそれだけ早く金を借りられる。またいろいろな事務もきわめて敏速に行く、こういう何か特別な目立つた効果が、これによつてどう現われるかという点を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/4
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005・小倉武一
○小倉政府委員 特別会計で処理いたしますことが不ぐあいな点はどういう点であるか、またそれに対して公庫にすることによりましてどの程度の事務の簡素化あるいは能率化が期待できるかという御趣旨の御質問でございましたが、最初の、現在の特別会計でぐあいの悪い点について申し上げますと、御承知の通り特別会計によります資金のボリユームが、当初特別会計として発足した当時に比しますと、相当の金額に増加して参つておるのであります。従いまして、特別会計をもちまして現在二十四名の定員でもつて処理するということは、なかなか困難になつて参つたのであります。しからば人員を増加するということも考えられますけれども、何しろ資金量も多いし、それから事柄の性質上相当長期にわたる仕事でございますので、現在の役所の組織をもつてしては、なかなかそういう仕事に歩調を合せることがむずかしいのではないか。要するに責任の所在が不明になるというおそれがある。それが一つでございます。それからもう一つは、役所がやるということになりますと、これは大した理由にはならぬかと思いますが、実情を見ると必ずしも侮りがたい点は、多くは補助事業と並行してこの融資が行われておるという実情があるわけです。従つて補助金を出すところが同時に融資をするということでは、融資と補助ということが若干混迷を来しはしないか、こういうことをおそれておるのであります。それは資金量が大きくなるに従つて、その点の危惧が、危惧として放置することは許されないのではないか、かように考えるのであります。それから役所の財政ないし会計の法規に関することでございますが、御承知の通り金の出し入れについては、形式的に非常に手続が厳重になつておりますので、金融といつたような弾力的な、機動的な措置をするという事項につきましては必ずしも適当でない。たとえば債権を回収するというような場合におきましても、財政法等の制約がございまして、適宜な措置が講じ得ないということがおそれられるのであります。そこで、特別会計でやるのはどうもぐあいが悪い。しからば公庫ということになるかというと、必ずしもそうはなりません。たとえば特定の金融機関に貸付から管理、回収まで全面的に委託するということも一応考えられると思います。しかし、その点についてもやはり若干不ぐあいな点があるのではないか、かように思うのであります。と申しますのは、第一点は、何と申しましてもこれは農林漁業の生産力の維持向上という点にございますので、農林行政と不可分の関係があります。従いまして全面的に民間機関に委託してしまうということについては、これはやはりその間の関連があまりに薄くなるということでぐあいが悪いのであります。それからまた現在の受託の関係におきましては、受託機関が二割の保証責任を持つておるのでありますが、二割の保証責任でもつて貸付の決定までを受託するということになりますと、八割は国が責任を持つということになりますので、そこに貸付が若干ルーズになりはしないか、こういうおそれがやはりあると思います。それからまた現在委託しておりますのは農林中央金庫、それから地方銀行五十四でございますが、このたくさんな銀行——大部分はもちろん中金でございますが、たくさんな銀行に貸付の決定をまかすことになりますと、あらかじめ資金のわくを各行々々にきめなければならぬ。そういうことは現状では事実上なかなかむつかしい。それならば一つの銀行あるいは中央金庫といつたものに集中するかと申しますと、これまで委託しておつたところをやめなければならぬ。そうなりますと、これはその銀行にとりましていわば信用の問題にもかかわる、かようなことになりまして、やはり問題がむつかしくなりはしないか。かような両面からいたしまして、現在の特別会計ではぐあいが悪い。またある特定の金融機関に全面的に委託するというのもぐあいが悪いということになります。政府の機関であり、しかも政府とは独立の公庫といつた組織が最も望ましいのではないか、かような結論を得たのだと思います。しからばこの公庫によりまして、どの程度従来特別会計がやつておりました事柄が改善されるかと申しますと、これは公庫のあり方に非常に関連があると思います。今回提案になつております公庫法案を拝見いたしますと、この公庫がどの程度の仕事をするかということについては、法案自体には現われていないのでありまして、従つて公庫の運営の方針ということに関連すると思うのでありますが、役所の方で考えておりますのは、もしこの法案が成立した場合に、運用の方針とすべきものを考えてみまするに、第一は、公庫が本店から支店と申しますか、主たる事務所から従たる事務所まで全国的に整備いたしまして、全面的にいわば金融機関らしくみずから仕事をやつて行くということが一つ考えられます。もう一つは、ちようど特別会計が現在やつております仕事のようなものを主として担当して、他はやはり従来通り農林中金その他の銀行に委託するといつたようなやり方が考えられると思うのでありますが、そのどちらをとるかということについては、私どもは系統金融組織あるいは組合金融といつたようなものに及ぼす影響等もございますし、また全面的に公庫が仕事をするということになつて参りますと、物的なあるいは人的な施設の相当のものを必要とするということでございますので、これは一挙にしてはできがたいという実情もございます。少くとも末端の業務と申しますか、実際の事務の審査とか、あるいは債権の回収とかいつたようなこと、従いまして、現在特別会計が中金等にお願いしております事項は、公庫が今後は特別会計にかわりまして中金にお願いをする、あるいは銀行にお願いをするといつた方がよくはないか、かように考えております。そういう方針に基いてどの程度事務が改善されるかということを考えてみますと、末端業務は従つてこれはほぼ現状通りということに相なろうかと思うのであります。異なるのは農林省と中金、あるいは農林省の中におきます各局との関係が異なつて来るという点が大きな点ではないか、かように思うのであります。また公庫になりまして、大蔵省との関係もございますが、農林省と大蔵省との関係ということであります。
そこで公庫になりまして、今申しましたような方針で運用する場合に改善されます点は、従来貸付の決定が大蔵省と農林省にあつたわけでありますが、その点が今度は公庫に一本化される。また農林省内におきましては、各局とのいろいろな相談といつたようなことがあつたわけでありますが、そういう点が不要になる。従いまして東京と申しますか、中央官庁及び中金との関係、こういう点は、これはまつたく実質上も形式上も一元化される、かように考えております。従いまして、その点につきましては、従来の仕事のしぶりが相当能率化される、あるいは迅速化されると期待してよいのではないか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/5
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006・井上良二
○井上委員 そうすると中央機関としての公庫の本店をお持ちになつて、各都道府県には支店または支所を持ちますか。またそうなりますと、この公庫の予定しております職員は全部でどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/6
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007・小倉武一
○小倉政府委員 支店、出張所といつたようなもの、あるいは従たる事務所というようなものは、おそらく全国的に設置するということは、先ほど申しました趣旨によりますならば必要はない、またすべきではないというふうに考えております。本店と申しますか、主たる事務所に限られると思いますが、その人員は今のところ考えておりますのは、百二十人程度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/7
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008・井上良二
○井上委員 そうすると大体本店と申しますか、中央機関だけを設けて、都道府県末端は中金に仕事を委託してやつてもらう、こういうことらしい。そうなりますと特別に現在やつております貸付業務の能率化といいますか、あるいはサービス化というものが見られるかどうか。この法案をきめることによつて、ただ長期資金と短期資金の扱い方が性質上異るから、ひとつ頭だけ別にしておこう、しかし末端は同一の金融機関において扱わさす、こういうことになつておりますので、そうなりますと現在やつております貸付業務なり、サービスというものが、この法律によつて別に新しく改善される。借り受ける農民及びその団体が、この法案ができたからということで、特別に利便を受けるということは、めだつてはないと考えますが、そう考えてさしつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/8
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009・小倉武一
○小倉政府委員 貸付を受ける側から見ましてどういう点に利点があるかということでございますが、第一といたしましては、先ほど申し上げましたように、中金、農林省、大蔵省といつたような関係が非常に簡素化される。その結果それが直接に利点になるということは間違いないと思いますし、その結果たとえば農林省と府県との関係といつたようなこともある程度簡素化される。農林省が府県に対しまして、貸付、融資について特別の具体的な指示をするとか、あるいは府県から農林省に対して具体的な案件につきましていろいろの意見なりあるいは希望を申し出るといつたようなこともおのずからあまり必要がなくなる。融資は公庫一本になることによつて事務が簡素化されると思います。
それから貸付資金の管理の面でございますが、この点も先ほど申し述べましたように、財政法並びに会計法といつたようなもののそのままの適用が排除されます結果、債権の管理面においても若干の弾力性が期待できる、かように考えておるのであります。なおまた特別会計は、これは役所そのものでございますが、公庫となりますれば、その点につきましても、若干雰囲気と申しますか、気分も異り、農林漁業者ないしその団体の利便ないしサービスといつた面も相当強く強調されて行き得るのではないか、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/9
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010・井上良二
○井上委員 末端でも支所または支店等ができまして、一本の命令のもとに業務監督なりまたいろいろの運営が行われるということになるならば、今お話のような点も了解は行くと思いますけれども、何分自分の命令系統にない他の金融機関の人をお願いをして事務をとつてもらうということになりますから、またその委託を受けた農林中金にいたしましても、やはり貸付その他においてそれだけの責任をもつて処理をしなければならぬ関係があつて、そう簡単に扱えないことになろうと考えます。そういう点で私は、これは行く行くはやはり末端の方まで一本化された金融組織として発展して行くべきでないかという考え方を持つておりますが、また当然そうなつて行くじやないか。これは借ります方の農民側の要求が非常に強くなつて、末端で扱つております場合に、たとえばその支所なり支店なりへ参りますと、ものすごい分量の仕事をしておりまして、なかなか事務が簡単にはかどらぬ。そこでしようがないから中央の本店へやつて来て、実は中金へお願いをしてこういう書類を出しておりますけれども、なかなか簡単に審査その他が進まない、こういうことを本店へ申し込んで来る。そうすると、本店の方はやはり自分の責任に関することですから、その陳情、要求に対して何とか処置をしなければならない。そこに自分の使用人でない他の金融機関の者に対して、一応はいろいろ事務的処理についての話合いをされると思いますけれども、まあこれはよそから委託された業務であり、これは本来の任務の金融業務である、こういう考え方が自然発生的に起らないということは言えないと思います。そういう点から、これはやはり末端までの一貫した組織を持つべきでないかということになつて行くでないかと私は考えます。そういう点がここに一つの大きな問題になるでないかと考えております。これらの点は十分検討せなければなりませんが、この際ちよつと伺つておきたいのは、この二百億余りの資金を年間に取扱うことの委託を受ける農林中金の方では、このことによつてどれだけの所要人員を必要とし、また現在予定しておる所要人員で事務を処理するとして、申込みから金を貸してやるまでの間の審査期間は、一体平均的にどれだけ経過をしておりますか、これを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/10
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011・江沢省三
○江沢説明員 井上さんの御質問でございますが、昨年この制度がしかれましてから、私どもの方としても、できるだけ現在の人員でこれをやつて行くという建前で努力しております。これがもし分離された場合にどのくらいの人間がいるかということは、的確に申し上げるのははなはだ困難だと存ずるのでありますが、昨年はこの関係の仕事のために職員が非常なオーバー・ワークになりまして、各事務所において毎日十時、十一時まで仕事をするというようなことで、病人が非常にふえたわけであります。これではいかぬということでございまして、昨年は中途において五十名ばかり採用をいたしました。今年はさらにそれを見込みまして普通の必要人員以上に相当新規卒業者を採用することを予定しております。そういうようなことで、私どもの方の仕事とあわせて行つております関係上、この仕事の関係でどの程度の人員が必要であるかということは、私どもは責任をもつて申し上げられないと存じます。それから貸付の申込みがありましてから貸付決定までどのくらいかかるかということでございます。これも案件によりまして種々雑多でございます。非常に審査に手間をとりますもの、そうでないもの、いろいろございますが、私どもの現実の数字で申し上げますと、早いのは大体二十日ぐらいで処理できるようなことになつております。なおもし御必要でございましたならば、私どもの事務の方でよく調査いたしまして、書面で報告申し上げてもさしつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/11
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012・井上良二
○井上委員 妙なことを聞くようですけれども、この政府資金の委託を受けまして貸付業務を行う、この場合の委託手数料といいますか、それは年間どのくらいを中金はもらつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/12
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013・江沢省三
○江沢説明員 これは農林省の方からあるいはお答えすべきことかもしれませんが、私どもの方でちようだいしておる事務手数料は、これも金額によりましていろいろになつおります。最近一千万円未満は三分、それから金額が上るに従いまして率が減りまして、一等少いところでは三厘七毛五糸、今申し上げましたのは初年度の料率であります。次年度からは一千万円未満は年に二分五厘、最低のところでは、一億円以上でございますが、これが年三厘一毛一糸、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/13
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014・井上良二
○井上委員 相当いい手数料ですね。今お話を承つておりますと、今度五十人ほど増員をされて、できるだけ能率的に処理するということにされておるようですが、問題はこの金を借りるまでの——これは短期資金でも、長期資金でもそうですが、この前にもこの委員会で私申し上げたことがあると思いますが、政府資金の借入れにあたつてやつております現在の手続を見ておりますと、対人信用は第二にして、書類信用——これこれの書類を出して来いということで、ここに百万円なら百万円、二百万円なら二百万円の金を借ろうとすると、少くとも五、六十ページに匹敵するくらいの書類を集めて来なければ、金を借れる段取りができないということで、厳重をきわめておるのです。ところがこれは農民側にとりましてはたいへんな仕事でありまして、なかなか簡単に借れない。またその書類を審査する方におきましても、これだけの書類を提出させました以上は、その審査にまたたいへんな時間と手数がかかろうと思います。そういうことからして、もう少し対人信用というものを中心に扱われたらどうかということを、たびたび私は申し上げたことがありますが、依然として改まつておりません。たとえばその村へ入りましてその村で一体どういうふうに共同施設なり、共同事業なりが計画され、運営され、その責任はだれが負つており、その人は一体どういう資産状態なり、また取引上その他の信用があるかということはすぐわかるのです。そういうことから組合なり個人なりに対する信用が私は一番中心でなければならぬと思う。ところが日本の金を貸しておる、特に中金その他の内容を見ていると、それは第二になつておると思う。この証拠書類、この証拠書類というような証拠書類ばかりぎようさん集められて、その書類審査によつて金を貸している。従つて借りた方は、その書類によつてパスさえすれば、あとはその金がどういうぐあいに使われておつて、どういうぐあいにそれが運営されて、それがどういうぐあいになつたら返されるかという事後の監査はほとんどされていない。だからいろいろな書類審査によつてやりますけれども、どこかにミスがあつて、焦げつきを生ずるというのが、日本の金融の大きな欠陥ではないかと私は考えておるのであります。これについてどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/14
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015・江沢省三
○江沢説明員 今の井上さんのお話にお答えいたします。最初のお話は、手数料がたいへん高いのではないかというお話ですが、これは厳格な原価計算によつて、農林省、大蔵省その他とよく御協議の上きめていただきましたもので、本所、支所を通じまして、ふやしましたのは六、七十名でございますが、実際ほかの方からさきまして、直接これに携わつている人員は百八十名ぐらい、間接的人員を入れますと、五百名くらいに上る人員が、これらのために動いておりまして、決して不当な手数料というものではありません。これによつてできるだけ農山漁村の方にいい、長い金が低利で入れば、私どもの方はむしろマイナスになつてもさしつかえないという気持で仕事をしておりますので、この点は御了承をいただきたいと思います。
それからもう一つは、書類が多い、人的信用というものをもう少し考えろというお話でございます。これはまことにごもつともなことでございますが、この資金は十五年、二十年という長期にわたるものが大部分でございます。こういうような長い金を、いやしくも政府の金でございますから、できるだけ間違いないように、慎重な態度をとらざるを得ぬのでございまして、市中の金融機関にいたしましても、長期の金を出す場合には十分審査し、はなはだしいのは半年、一年というのが普通でございます。市中の金融でまかない得ますのは、二年とか三年とか、この長期の十五年、二十年というものに比べれば言うに足らない短かい期間の金融をいたします場合にも、この程度の時間をかけて十分に審査をいたしております。これはある程度やむを得ないことと御了承をいただきたい。そしてそのためにもし設備関係の資金の運用が遅れておるということであるならば、私どもは大いに考えて、もつと迅速にやらなければならぬと思うのでありますが、数字は、差上げてございますように、初年度における百二十億、これは全部決定して貸出しをしております。それから今年度におきまする二百億、これも最近までの数字では百五十億程度決定しております。比較的無理をいたしまして、私どもの方ではこういうようなことをやつております。私どもは正確と迅速の調和という点が最も大事であると思つておりますので、この辺は御了承をいただきたいと思うのであります。
それから最後に、事後の監査がよろしきを得ないということを申されましたが、これは私ども最も大事な点だと思います。日本の全般の金融にとりまして、貸し出すときには非常に厳重であるが、しかし貸したあとはもう知らぬというようなことがきわめて多いのでありまして、今の井上さんのお話は、金融界全般を通じて深く考え、またその御趣旨に沿うように私どもやらなければならぬと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/15
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016・青木正
○青木委員長代理 井上君にちよつと申し上げますけれども、本日午後一時から大蔵委員会との連合審査会がありまして、それに臨む前にぜひ質問をしたいという方が二名ほどございますので、非常に恐縮ですが、ひとつ簡潔に御質問を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/16
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017・井上良二
○井上委員 の御発言でございますけれども、この委員会で十分審査した上で連合審査に臨む態度をきめるべきでありまして、この委員会がまだ審査を済ませないうちに、午後一時から連合審査をやるからもういいかげんに質疑をしておけなんてそれはいけません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/17
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018・青木正
○青木委員長代理 一応午後一時に予定しておりますから、なるべくそれに間に合うようにひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/18
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019・井上良二
○井上委員 次に伺いたいのは、農林漁業資金の貸付先でありますが、御存じのようにこの資金は、わが国農業生産の向上に絶対必要な資金として各方面からの要求が非常に多いのであります。第一に本年から来年へかけて、政府の予定しているものを相当上まわる要求額が出ておるだろうと思います。そこでこの貸付先に対しては相当厳重な査定が行われて、適正な貸付をされておると考えますが、ここに「貸付決定状況」という資料をいただいておりますが、この中に「共同利用施設」の「その他」の欄で百三十七件というのがございます。この「その他」というのは、特に目立つ共同施設としてどういうものがありますか。この点を一応伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/19
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020・小倉武一
○小倉政府委員 この「その他」とありますのは、たとえて申しますれば農産物の加工処理、水産物の加工処理、あるいは農村工業といつたようなものなどがその中に入つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/20
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021・井上良二
○井上委員 製糖会社に貸していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/21
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022・小倉武一
○小倉政府委員 製糖会社は入つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/22
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023・井上良二
○井上委員 この貸付の要綱の中に、イからチまで貸付の項目が書いてありますが、漁業共同施設の中に水産加工というものは入るのでございますか。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/23
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024・小倉武一
○小倉政府委員 水産物の処理につきましては、協同組合が共同で加工するというものは入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/24
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025・井上良二
○井上委員 次に、この金融制度に関連して一つ伺つておきたいのは、協同組合の信連が各県とも非常な焦げつきを終戦以来かかえておりまして、これの金融処置を何とかせないと、単協においてはまさに危機一歩手前にある状態が至るところに伝えられております。信連において全体でたしか百三十億ぐらいじやないかと思いますが、これが借りかえあるいは金融措置を執拗に要求されておりますので、これに対して政府としてどう処置をお考えになつていますか。この際伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/25
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026・小倉武一
○小倉政府委員 ただいま御指摘の信連の固定化債権と申しますか、不稼働資金と申しますか、百三十億に上つておるというお話でございますが、その程度のものはありはしないかと私どもも存じております。そのために信連の経営全体につきまして円滑な資金の疏通を欠くというおそれもありまするので、対策はいかんという御質問でございまするが、その点につきましては、もちろんいろいろ考慮しなければならぬ問題があると思いますが、やはり問題の根本は、事業をやつておりまする協同組合が健全に運営されて行く、仕事が順調に乗つて行くということが基礎であろうと思うのであります。その点になりますると、現在協同組合の再建整備法によりまして、せつかく昨年度から再建整備をいたしておりまするので、その面とも考慮しまして問題を考えなくてはならぬではないか、かように存じておるのであります。ただいま具体的にどうするという案は持ち合せておりませんが、さような点につきましても、信連の方から何らかの措置があるいは必要ではないかということにつきましては、井上委員の御指摘のように私どもも考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/26
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027・井上良二
○井上委員 これはぜひ早急に政府としても実情を調査されまして、今お話のように、農協の再建整備の線に沿つて対策を考慮願いたい。
最後に一点伺つておきたいのは、この金融公庫の設立に伴つて、いよいよ農林金融というものの線が明確にされて参ります。問題はそういう一つの組織を確立するとともに、一つは資金をできるだけ豊富に持つということが必要でありますので、これに対する政府として、たとえば本年は二百億でありますが、来年はこの資金をこれこれにふやす、また再来年はこうするということで、短期資金とともに長期資金に対しましても御考慮願いたい。他の鉱工業あるいは商工業等の資金の状況と農林業の資金の状況を見ていると、まつたく農林業は今まで問題にされていなかつたのであります。これは政府みずからもその説明で一点申し述べておりますように、土地が開放されまして、経営が零細化されて、ただ農地が自分のものになつたという名目上の土地所有者であつて、土地の生産力を高め、全体の農業生産力を国際的水準まで引上げて行くという資本的投資をするだけの蓄積を農家は持ち得ない現状にあります。蓄積はますます減る状況にはなりましても、蓄積がふえて行くという状況にはなり得ないのであります。そこに国として農漁業に対する国家の財政的支出を積極的に推し進めなければならぬという基本的な条件が横たわつておるのでありまして、何としても今後政府が一方で計画しております食糧庫給の促進に伴つて、農林金融に対して積極的な手を打つて行かなければならぬと考えておるようなわけでありますので、政府といたしましては現在の資金要求額から勘案しまして、二十八年度に対する所要資金あるいは二十九年度に対する所要資金というものに対して、どういう計画をお持ちでございますか、この点伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/27
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028・小倉武一
○小倉政府委員 長期資金に対しての将来の計画でございますが、これは最も大きなものは土地改良、その他食糧増産に伴うものでございますので、それにつきましては、御承知のような農林省としての計画がございますので、大体の裏打ちができるという限度を目当てにして計画を立てておるのであります。来年度予算につきましては、もちろん全体の関係もございますので、決定はまだいたしておりませんけれども、農林省として一応当局の方に要請いたしておりまする分は、四百八億の資金額を要求しておるのであります。二十九年度につきましては、具体的な金額はまだ決定しておりませんが、今申しましたような趣旨で、食糧の増産計画というものにつきましては、大体資金のめどもあるのでございますので、それに応じて考慮して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/28
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029・青木正
○青木委員長代理 足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/29
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030・足鹿覺
○足鹿委員 井上さんの質問と重視する点はできるだけ避けて、私は簡単に五つないし六つの点についてお伺いをいたしたいと思います。
まず政府に伺いたいのでありますが、このたびの公庫の設立ということは、農林金融制度の上に画期的な意味を持つと思うのであります。しかし必ずしも完全とは考えませんが、この際に系統農林金融についての、特に機構の問題について根本的に検討する必要はないでしようか。その点についての政府の御所見はいかがでありますか。これは大臣なり、政務次官がおいでになつたときがいいと思いますが、もし伺えたら事務当局としての所見も伺つておきたい。特にこのたびの法案がもし成立いたしますならば、中短期のものと長期のものがこれによつて明確化して来ると思うのですが、そのことは政府の方針として、中短期のものと長期のものを明確に区分して、専門分野を確立して行くという考え方でおやりになつているかどうか、その点を最初にお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/30
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031・小倉武一
○小倉政府委員 農林金融全体の機概につきまして何らか改善と申しますか、考えているかという点でございますが、これはいろいろ制度上の問題につい議論のあることもわれわれ承知しておりますし、また中には傾聴すべき議論もあると思います。またこれはひとり農林金融だけに限りませず、金融機構全体の問題も相関連して参りますので、われわれとしては事務的には少し研究をいたしております。しかしこの農林漁業金融の中枢と申しますか、この中枢を占めます組合金融につきましては単協、信連、中金といつたような、すでに長い間の歴史によつてでき上つておりますので、ただ金融といつた面からのみこれを早急にとやかくするということはなかなかむずかしい事情があるのではないかと考えております。従いましてこの公庫との関連におきまして、組合系統金融について根本的な改革をする、さようなことは考えておりません。これはもう少し先の問題として取上げらるべきものではないかと考えているのであります。
それから長期金融と中短期金融とが、公庫といつたようなもので将来画然と区別されるかといつたような点でございますが、この公庫あるいは特別会計が対象としておりますのは、長期はもちろんでございますが、しかもこれは政府資金でなければできないような事業、すなわち実質的にいえば収益性の少い、しかも公共的な事業というふうに考えておりますので、単に長期金融機関というふうには広くは理解できないのではないかと思います。従いまして組合金融ということでまかない得る範囲の長期金融は、やはり系統金融機関にお願いしなければならないのではないかと思います。その点につきましては、農林中金が農林債券等の発行を通じて、若干の長中期資金についての資金の供給をするという役目を、今後とも果していただくことが必要ではないか、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/31
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032・足鹿覺
○足鹿委員 必ずしも中短期と長期は戚然と区別するのではないという御説明のようであります。そういたしますと一番問題になるのは、結局現在の系統金融の場合を見たときに、単協、信連、中金という大体三段階になつております。そこへ持つて来てこの公庫ができるということになりますと、公庫自体は支所、出張所を持たないという先刻の御答弁でありますから、中金の支所あるいは市中銀行というものが、預託を受けて業務を行うということになる。今一番私どもが問題にいたしておりますのは、現在の特別会計のときにおいて行われておる状態というものが、必ずしも農村の実情に沿つておらないのみならず、それによつて非常に適期の貸出しということが困難があると同時に、またコストが高くなつておるヒとだけはいなめないと思う。これについて政府はいかようにお考えになつておりますか。この農林漁業金融公庫をかりにつくつたとしても、特別会計が農林漁業金融公庫法というものに肩がわりをして別な組織になる。一応そこにはある程度現状を改善するに役立つ点はあるとしましても、本筋においてはやはりそういう点で悩みがある。たとえば信連を強化して二段階制にして行くというような考え方も出て参ります。そのことの当否は別として、とにもかくにも簡素迅速にやらなければならぬということでありますが、その点についての具体的な御所見を伺いたい。私はその点が一番問題になると思うのです。かりに中金の支所へ出るまでに、信連でまず一つの段階を経る、中金の支所でまた審査を受ける、しかしそれはあくまでも最後決定ではない。支所をパスしたものは中金では尊重されて、それがくずれるというようなことはほとんどないと思いますが、もしそういう事例があつたならば、江沢さんにお伺いしたいのでありますが、そういう点で具体的に一番重点を置かなければならない貸付の簡素化により迅速を期するということに欠くる点があると思いますが、いかがでありましようか、お伺い申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/32
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033・小倉武一
○小倉政府委員 お尋ねの趣旨が公庫の、あるいは特別会計の融資の問題に関連をいたしておると思うのでありますが、御指摘の通りに中金あるいは支所、出張所、あるいは信連といつたようなものがいろいろ関連して、貸付の決定まで非常に遅れはしないかということでございますが、これは今の中金の支所、出張所があるために遅れるということよりも、むしろ公庫あるいは特別会計がみずからの支所を持つていない以上、むしろ中金に、ある程度地方にブランチを持つてやるということの方が、迅速に行くのではないかというように考えられると思うのであります。また地方によりましてはそういう趣旨でもつて、中金の出張所等の新設を要望しておるという向きもあるようであります。しかし要望にこたえるということは必ずしも抜本的な措置ではないということも当然考えられると思います。そうなりますと、これは組合金融機構全体の問題になります。この点につきまして、これは御指摘のように簡素あるいは迅速といつたような事務処理上の要点もございまするが、なおまた他方資金のコストあるいは信用力といつた面もあります。それからまた単協あるいは信連でありますと、特に単協においてそうなのでありますが、他の経済事業との関連ということもあります。それからまた普通の金融機関と違いまして、地方的な金融の事情に応じなければならぬ。従つて地方的な金融上のある程度の自主性ということも関連をして参ると思います。そういうことがいろいろと関連をいたして来ますものですから、ただ事務の簡素、迅速化あるいは資金コストの低下ということのみの観点から、系統金融機構の組織ないし事務所の廃止を簡単にするということは、なかなか一挙には乗り切れない問題ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/33
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034・足鹿覺
○足鹿委員 では第二点として、公庫の運営上の問題についてお伺いしたい。今の質問に関連するのでありますが、長い間かかつてもなかなか貸付の決定がなされない。それにはいろいろ個々の事情があるでしようが、しかしここに一つ線を引いて申請してから三箇月なら三箇月なお決定を与えないという場合には、自動的に貸付するようにしなければならぬ。ただやたらに資料を要求して、そうして一つ資料を出せば、またその次のそれに関連する資料を出せ、また次の資料を出せということで、借りる者はとてもたいへんなのですから、あるところで線を引いて、一月なら一月、二月なら二月というふうにして、その期間を過ぎたものは無審査で通すようにすれば、能率も上つてびつしり行くと思うのです。これは別に怠慢で遅れるというふうには考えませんが、少くとも何かもう少し能率的なことを運営上考えられぬと、私は公庫をつくつた目的は十分に達成できないと思う。そういう点が運営上の非常に重点になると思うのです。
それから公庫の収支の予想はどういう状態ですか。またその根拠となるところの財産の基礎は、一体どういう状態にお考えになつておるか。もし数字的にありましたら資料としていただいてもけつこうであります。
なお公庫の役職員は、刑法上の場合には公務員としての取扱いを受けるということが第何条かにありますが、その他の場合に公庫の役職員の法律上における地位はどういうことになりますか、その点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/34
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035・江沢省三
○江沢説明員 最初の方だけ私の方から御答弁さしていただきます。地方金融をもう少し迅速にやれ、こういうふうに、現在の機構についてお話になつたものだろうと思いますが、現在は私どもの方がじかに政府から委託を受けておりまして、私どもの方の支所がじかにお貸しするというかつこうになつております。しかしながら私どもとしては、組合の三段制というもの、特に信連を育成強化するという方にやはり力を用いたのであります。そこでこの六月ごろから信連とよく話合いをいたしまして、できる限りの信連の御協力を願うというラインを出しております。信連の方でよく調べていただけば、私どもの方はそうやかましい調べをせぬで済むようにだんだんなつて行くと思います。こういうことになりますれば、今足鹿さんのお話になりました迅速化ということもだんだん達成されることになると思うのであります。ただ根本的に申し上げますると、この農林金融と申しますのは——特に組合金融のラインで申し上げますが、ほかの金融と違いまして、いわゆる指導金融あるいは育成金融という立場に立つ場合が非常に多いのであります。それでほかの金融機関でありましたならば、これは貸出しの対象にはならぬといつて断つてしまうということがすぐできるわけでありますが、私どもの方はそうはできません。そういうふうにしていただけば貸して差上げましよう、こういうふうになさつたならばこの仕事は伸びて行くのではありませんか、そういうふうに指導しつつ金融をするので、なかなかむずかしい点があるのです。従つて金を貸す場合も、ほかの金融機関みたいに、これはいけませんと窓口ですぐ断るわけに行きません。そういう事情がございますことをよく御了承願いまして、私どもの方もできるだけ事務の簡素化、迅速化ということには努めたいと思いますので、御協力いただきたいと思います。
それから先ほどお話がありました申請して三箇月たつたらすぐ認可しろということでございますが、これは三箇月いろいろ審査をして、どうしてもできないというものについては、むしろこれは取下げていただくという形ならば、処理は容易だろうと思います。しかし、それでは指導金融あるいは育成金融の立場からどうかと思われますので、ひとつできるだけの審査なり指導あるいは育成というような立場は、この中に取入れて考えて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/35
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036・小倉武一
○小倉政府委員 公庫の貸付事務についての運営の方針でございますが、この点につきましてはただいま江沢副理事長からお話があつたような点もございますので、つけ加える必要はないと思いますが、ただ、特別会計としてただいま役所で処理いたしておる範囲におきましては、御指摘のように特別会計の所管局課、他の関係による所管局課との意見の交換につきましては御趣旨のように期限を切りまして処置をいたしております。
それからもう一点、公庫になりました場合の収支の概況でございますが、これはまだ特別会計が公庫になつた場合の公庫の予算がきまりませんので、具体的な数字は申しかねるのでありますが、大体を申しますと、公庫が貸付をする場合の金利は、仕事によつていろいろ違つていることは御承知の通りでございますけれども、それを大体平均いたしまして六分ぐらいになるようにして行きたい、かように思つております。従つてそれが収入の源になるわけであります。他方支出の面といたしましては、一般会計の繰入れについては利子がいりませんけれども、預金部資金等から借ります分についての利子がございますので、それを全体の資金について考えてみますと、大体資金の利子は三分ぐらいに当りはしないか。それから先ほどお話がありましたような中金その他の取扱い金融機関への手数料として二分五厘程度を見込んだらよくはないか。それから公庫になりました場合の金利を五厘程度といたしまして、合計六分、かように収支の大体の根本を考えておる次第であります。
それから役職員の関係は、御指摘のように刑法上公務員とみなされるわけでありますが、そういう点以外は公務員ということではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/36
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037・足鹿覺
○足鹿委員 公社等がたくさんありますが、それと大体同一の身分になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/37
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038・小倉武一
○小倉政府委員 国有鉄道あるいは専売公社というのとはまた若干違つておるように思います。と申しますのは、向うの方は公共企業体ということになつておりますので、若干違うのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/38
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039・足鹿覺
○足鹿委員 そうすると、どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/39
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040・小倉武一
○小倉政府委員 この点につきましては国民金融公庫あるいは日本開発銀行とかあるいは輸出入銀行、ああいうところの役職員と同じ傾向になろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/40
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041・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、第三に、今度の公庫の場合、当初においては農地担保金融が取上げられるといつたような話もずいぶんありました。それの取扱いをおやめになつたのはどういう理由でありますか。なお閣議でいろいろと問題になつたそうでありますが、自給飼料の対策として金融を行う、サイロ等の建設資金の融通の方途を講ぜられるようになるようでありますが、このことは、今後この種の畜産関係の中短期資金を公庫の融資対象として取上げて行くという方針と解釈してよろしいのでしようか。私はあまり時間を費すことはきらいですから、メモしておいて落ちのないように御答弁願いたい。
それから特別会計は旧債の借りかえを認めていたが、公庫も同様でありますか、その点。受託金融機関に資金を交付した場合の利息、貸付までの交付金の運用状況はどういうふうになりますか。公庫から交付する手数料の率、金額。これは私あまりよくわかりませんか、古い法律に農林中央金庫特別融通及損失補償法というものがあるそうですが、これをこの際改正をして、一定のわくのものについては損失補償の道をもつと開いて行く必要があると思うのですが、最近の金融事情なり経済情勢が衰微しておるので、その点についてどういうふうに当局はお考えになつておりますか。またこの一番最後の問題について江沢さんの御所見がありましたら承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/41
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042・小倉武一
○小倉政府委員 最初の農地金融でございますが、農地金融あるいは農地担保金融と申しましてもこれはいろいろございます。御承知のように、それを担保として土地改良をやるといつたような生産的な面と、災害その他において生活資金に困つて農地を担保にして金を借りる、こういつたいろいろな面がございまして、農地担保金融をそのままこの中——この中と申しますか、長期資金の中に入れるということについては相当問題があろうかと思うのであります。生産金融の面につきましては、長期資金ならばこれは農地を担保とするということでなくても、この特別会計あるいは新しくできます公庫法といつたようなものによります金融でできはしないか、災害その他の一時的な資金の需要に応じますものにつきましては、これは従来の自作農創設のための特別会計の担保でもつてやつて行く。従つて、あの資金を増加するということでやつて行きたいというのが農林省といたしましての大体の見解であります。従いまして、農地担保金融ということでもつてこの公庫法案には入つていないのであります。
それから第二点のサイロあるいは堆肥舎さらには家畜導入といつたような中期資金と申しますか、そういう問題でございますが、家畜は御承知のような特別の措置でやつて行くことに方針が大体きまつておるようでございますので、この中に入つておりません。それからサイロ、堆肥舎といつたようなものにつきましては、農林省といたしましては補助政策で行きたい、金融では困りはしないかと考えておるのでありますが、さしあたりの問題といたしましては補助金というわけには参りませんので、やむを得ず本年度におきましてはこの資金から一億五千万円程度のものを補正予算に予定をいたしておるのであります。恒久的な制度として家畜あるいは堆肥舎、サイロといつたものを、長期資金ないし公庫などによつてまかなつて行く方針ではただいまのところないのであります。
それから旧債の借りかえでございますが、これは従来ともいたしておりません。公庫になりましてもその点はかわりがないのであります。それから公庫あるいは特別会計から中金への仮渡し金でございますが、これは日歩一銭三厘五毛であります。それから中金が業務を委託する場合の手数料につきましては、これは先日井上委員からの御質問のときにお答えをいたしておりますように、金額と、それから初年度、次年度という二つの点からいろいろと違つて参るのでありまして、平均いたしましてほぼ二分五厘程度に当りはしないかと考えております。それから特融に関係します損失補償の問題でございますが、御指摘のように以前はそういう制度がございまして、現在も法律としては残つておるようでございます。もつとも公庫あるいは特別会計によりまする資金は、政府資金でございまして、金融機関としては責任の程度は二割でありますので、補償という問題は起きないと思いますが、違つた面におきまして、そういう制度を考慮する必要はないかという点につきましては、ただいま私ども事務当局では研究中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/42
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043・足鹿覺
○足鹿委員 いろいろとお伺いしたいことがありますが、大分時間も迫つているようでありますから、でき得べくんば午後の連合審査会は延期していただきまして、午後にも引続き当委員会で質疑を続行させていただきたい希望を私は持つておりますが、これは他の委員会との関連もありますので、委員長の方でしかるべく御考慮をいただきたいと思います。
なお第四に、ちようどいい機会でありますので、短期営農資金の供給の問題について二、三お尋ねを申し上げたいと思います。農手制度の利用ができましてから年数もたつて参りまして、逐年農家経済の困難を反映いたしまして、その額は年々増加する一方であります。そこでこの短期営農資金の問題でありますが、実際農家の実情を見ますと、農手で借りたものを生活資金にまわしている場合が多いのです。でありますから現在のような金利をもう少し軽減される必要はないでしようか。たとえば十月六日から一般市中銀行も貸付金の利子を一厘引下げておりますし、もう少し短期営農資金の問題について考慮になる必要はないでしようか。これは政府なり中金の方の御意見も承りたいのであります。たとえば私は鳥取県ですが、鳥取県の特産としての二十世紀といつたものは、完全な自主統制をやつている。このものたちを短期営農資金の対象にして行く。そういう特殊なものについてもう少し範囲を広げて行くと同時に、先刻も問題にしました手続を簡素化して金利を引下げて行くというふうな点について、短期営農資金の供給なりその取扱について改善の要をお認めになつておりますかどうか。今申しましたのは一例にすぎませんが、ひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/43
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044・小倉武一
○小倉政府委員 営農資金についてのお尋ねでございますが、御承知のようにあるいは御指摘のように、ただいまのところ農業手形制度によりまして、その必要性はほぼ満たしておるのではないかと思うのであります。もつとも営農資金とは言いながら、農家の実情からいたしまして生活資金と密接不可分な関係にありますので、その点を考慮いたしまして、もちろん資金のわくも相当大きくなければなりませんし、あるいは金利も相当安くならなければならぬこともお話の通りであります。現在御承知のように農業手形は二銭五厘になつておりまして、一般の単協の貸出しの金利よりは相当程度低利になつておるのであります。従いまして現在のところ特に生活資金ということで融資をするといつたようなことは——それは特別の事情でそういう事態が生じます、たとえば病気なりあるいは災害があるとか、あるいは相続によつて農地を分割しなければならぬといつたことにおける生活資金は、先ほど申しましたような自作農創設特別会計の資金を多くいたしまして需要をまかなつて行きたいという考え方をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/44
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045・足鹿覺
○足鹿委員 私は、生活資金に金を貸せということを言つておるのでない。現存の農手等の短期営農資金の農家に入つて来た後における実態というものは、生活資金に相当まわされておるのが実情である。そういう実情から考えて見て、もう少し金利等についてもお考えになる必要はありはせぬかということを言つておるので、生活資金を出せということを私は申し上げておるのじやないのです。その点誤解のないようにもう少し御答弁願いたい。それから、今申し上げました特殊性のある地帯の実情を加味した営農資金の貸付対象の範囲拡大の問題については、御答弁がなかつたようですが、その点をもり少しはつきりお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/45
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046・小倉武一
○小倉政府委員 農業手形の金利の引下げの問題でありまするが、これは表として先ほどお配りしたかと思いますか、現在のところ二百五十億余りになつておりまして、そのうち日本銀行にまでお願いをいたしておりますのが約半分くらいだと思つております。そういたしますとあと中金がまかなつておむという関係がございまして、中金がまかなつておる分につきましては、いわば逆ざやになつておるといつたような関係にありまして、現在のところこの金利を下げることはなかなかむずかしいのであります。
それから営農資金の拡充の問題でございますが、御承知のようにタバコとか繭といつたようなものにつきましては、農業手形に準ずるような形でやつております。なおこういう性質のもので、特に必要があり、また担保と申しますか、信用といつたような、こういうものに準ずるものは、中金とも通絡いたしまして拡充することは十分考えられることだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/46
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047・江沢省三
○江沢説明員 今小倉局長のお話で大体尽きておると思います。農手制度ができました当時は、農村の金融が非常に逼迫しておりまして、中金自体も金繰りに非常に困つたということで出発いたしました。その当時は農手割引をいたしますと、すぐそれを日本銀行に持ち込んで金融をつけるということでございました。従いまして私どもの方で二銭で割引いたしましても、日本銀行の方で一銭八厘で再割する、結局二厘のさやで取扱いをしたということで、今のように逆ざやにはなつておらなかつたわけでありますが、最近の実情は、農業手形の範囲が拡大されるに従いまして、先ほど局長からお話がありましたように、利用者が非常にふえて、今年は二百五十億というような額になつたわけであります。その後中金の資金繰りがゆつくりして参りましたために、半分以上は中金の自己資金で抱いてまかなうというようなことになりましたので、特別のことがない限り中金でペイする程度にはなかなか行かない。これを数字的に申し上げますと、二銭の割引というのは年にして七分三厘であります。中金の資金のコストは全体をひつくるめまして安いものもあり高いものもあります。債券に至つては八分五厘以上に上つておりますが、全体で七分八厘くらいであります。ですから中金の自己資金でまかなつておる部分につきましては、年にして五厘を引いておるということであります。金額が大きいだけに中金の収支には相当マイナスの影響を与えておると思いますが、しかしこれは農村関係に非常に重要な金融機能を持つておるものでありますので、私どもの方としてはそれはやむを得ないということで現在やつておるのであります。ほかの金融機関はたとえば利下げをいたしましても、これはもう皆さん御存じのことだと存じますが、預金で歩積みというようなことをやつておりまして、二割、三割、はなはだしいのは五割、あるいは全額預金に一旦入れさせて、また貸すというようなことをやります。従つて市中の金利というものは外に現われておるほど安くないのであります。現に農村関係で私ども借入金の内訳を調べたことがありますが、この農業手形その他系統関係で借りておる分が非常に安いのであります、二銭五厘といつておりますが、その他の分も二銭七厘、二銭八厘ということでございまして、非常に安いのであります。その他の金融機関から借りておる分については、三銭、四銭、五銭というような高い金利を払つて農家は借りておるという実情でありまして、農業手形は現在においても非常に安い金利で出ておるということを実際御認識いただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/47
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048・足鹿覺
○足鹿委員 第五にお伺いいたしたいのでありますが、全般を通じての農業金融の疎通対策と申しますか、その点で農協金融の面をお伺いしておきたいと思います。農協の再建整備とからんでの問題でありますが、単協、信連、中金というようなものから借り入れております資金で、一年以上固定しておるものが相当多額に上つておるということを聞いておりますが、こういうような関係上、この赤字の組合の増資ということは、実際問題として現在再建整備で政府がおやりになつておる程度では焼け石に水で、なかなか困難です。そこで問題になりますのは、何とかこれに対して、もう少し一歩を進めた対策を講ぜられないと、特に農業金融の全般的な疏通がうまく行かないという点が心配されるのです。当局もよくお気づきのことだろうと思います。が、たとえばそれに対する対策として金融債を発行させて、国の利子補給、損失、補償等の措置をもつと積極的に講じて行くとか、そういうようなことを当面の対策としてお考えにならないでしようか。その必要をお認めにならないでしようか。また根本的、抜本的な対策として考えてみた場合に、何か農協金融の基金制度というようなものをつくつて、そうしてそれが抜本的な農業金融の疏通対策であり、あわせて農協の強化育成にも資するというふうなことが私は必要だと思うのです。今の農協再建整備の建前では、これはもう実情にマツチしておりません。従つて、先刻もお話がありましたように、百三十億程度のものを下から突き上げて、毎日々々陳情が絶えない。これに対しては何か全般的な農業金融の疏通対策として、当面の対策と、そして根本的な対策をお考えにならないと、これはなかなか解決しない問題だ思います。その点、大臣か政務次官にお尋ねすればいいのですが、事務当局としての小倉さんの御意見はどうでしようか。またこれに対して中金の方で御意見がありましたら承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/48
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049・小倉武一
○小倉政府委員 中金ないし信連の連合会と単協に対しまする貸出しにおいて、相当固定化しておるという実情につきましての対策でございまするが、この点はやはり何と申しましても協同組合の根本精神にのつとりまして、組合が自主的に再建整備をはかることが根底でなくてはならぬというふうに私は考えております。もつともそう申しましても、協同組合という制度が、いろいろ国の食糧増産なり集荷なりといつたようなことについて相当な役割を果しておりますし、また組合制度自体も健全に発達することが望ましいことでありますので、御承知のように再建整備法によりまして相当の助成金あるいは奨励金を支出して、現在その制度が進行中なのであります。再建整備法が生れましてからまだ一年あまりしかたちませんので、その成果を現在ただちにとやかく言うことはできませんけれども、このしばらくの間の実情を見ておりましても、相当の成果が上つているように認められるのであります。従いまして、私どもさしあたりの問題といたしましては、この再建整備法による再建整備ということを最重点に考えてやつて行きたい、かように考えておるのであります。もつとも、この再建整備の進行状況いかんによりまして、あるいはその他のいろいろな経済事情の変動、たとえば米の統制の撤廃といつたようなことが将来もしあり得るとするならば、これがまた組合金融にも相当の影響を与えますので、そういう事態にも対処をいたしまして、先ほどお話のような信用金融制度といつたようなことも考えられましようし、あるいは組合金融全体につきましての態勢の整備ということも考えなくてはならぬと存じておりますので、そういうことについての事務的な研究は進めておりまするが、さしあたりの信連の固定貸しにつきまして政府が特段の措置を講ずるのは、事務的に申しましてなかなかむずかしい問題がありはしないか、私はかように存じております。その問題に対して政府がなすべきことについていろいろ研究いたしておりますが、早急に対策を立てて実行するのは、なかなか実現がむずかしいように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/49
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050・足鹿覺
○足鹿委員 その答弁では私は満足いたしません。当局にしてもおわかりでしよう、もう連日のごとく全国で大会を開き、実行委員会を持ち、ほとんど陳情攻めです。かくのごときことはゼスチユアなんかでできることではありません。実際にどうにもならないからこういう運動が出て来ており、政府の措置としてはどうにもならない限界が来ておるという証拠です。これなんかは小倉さんにそれ以上お尋ね申し上げることはどうかと思いますので、次の機会に農林大臣なり政務次官に政府としての決意を伺いたいと思つて、この点は保留しておきますが、もうこれは検討の時代じやないのです。十分な対策がとれないならば、当面何らかの対策を立てなければだめですよ。こういう状態で、口に農協の育成強化などと言つておつても、それはだめです。農協はだんだん弱まつて行く。そのことは、ひいては金融面から見まするならば、農業金融に非常な支障となつて現われて参りますので、拙速でもかまわぬから、ひとつ当面の対策というものをお立て願うように、小倉さんの方で特に御努力をお願いいたしたいと思います。
最後に中金にお尋ねを申し上げて私の質問を終りたいと思いますが、私ども中金の民主化という言葉をよく聞くのですが、中金の民主化ということを中金としてはどういうふうに理解しておいでになりますか。よくそういう言葉を資料によつても見ますし、意見としても聞くのでありますが、中金の民主化ということは、そうだとすれば現在非民主的であるということになるのか、それはただ単なる中金の運営上における改善を言つておるのか、私もざつくばらんにお尋ね申し上げたので、中金当局としてのこの問題に対する真摯な御見解をこの機会に承つておきたいと思います。その問題がいろいろな点に派生して来るのです。ですからその点についてどういうふうに自己批判をされ、もしそういうような点に思い当る節があるならば、どういう具体的な措置をお考えになつておるか承りたいのであります。
それから、これは小さいことでございますが、今度この公庫ができて支所、出張所は置かないという政府の方針のようでありますが、また運営上もおそらくそうなるでしよう。そこで最近の中金の出先の状態はどうでありますか。だんだん地元から突き上がつてるので相当支所がふえておる実情のように私は承知しておりますが、これは簡素化の一つの方途として、支所を各県別にお置きになるような御構想ですか。ただやかましく言つて来るところだけを押し上げられておつくりになるのでありますか。これは今後の公庫の運用上非常に重大な問題だと思う。問題はきわめて小さいようですけれども、運用上に重大な関係を持つと思いますが、現在農林中金の支所は何ぼあつて、出張所は何ぼあるか。最近において新しくおつくりになつたのはどういう事情で、今後はどうされるかという点を、最後に江沢さんにお伺いいたしまして私の質疑を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/50
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051・江沢省三
○江沢説明員 それではお答えいたします。最近まで中金はできるだけ現在の陣容をもつてやつて、合理化して、骨が折れてもやつて行くという気持で来たわけであります。しかし先ほど来お話がありましたように、農林漁業特別会計の仕事が非常にふえて参りまして、職員も十時、十一時まで仕事をしなければならぬような状況になりまして、そのために人員をふやして応ずるということも若干はやりましたが、なかなか応じ切れない。かたがた各地方の方から、何とか支所なり出張所なりをつくつて迅速に仕事を処理してほしいというような希望もございましたので、最近におきまして高知の馳在員を出張所に昇格いたしました。これが唯一の増設した支所であります。その半面岐阜の出張所は廃止いたしました。その他必要な方面には駐在員をふやすという処置をいたしまして、各方面の需要に応ずるようになつております。現在は支所が十五、出張所が十七、駐在員が八、こういうことになつております。さしあたりはそういう態勢でやつで行きたいと思いまするが、今後の情勢いかんによつてはまた考慮しなければならぬ点もあろう、こういうふうに存じておる次第であります。
それから中金の民主化の問題でありまするが、これはずいぶん古い問題でございます。機構の点から申しまして、政府の大きな出資を仰いでおる、また政府の大きな金を抱いておるというような観点からいたしまして、純然たる民間の機関ということではぐあいが悪いというので、役員は政府任命ということに現在はなつております。しかしながら民主化というのはそういう政府の任命であるかどうかいうことにあるのではなくて、本、支所がすべて一体になりまして、組合金融の助成あるいは農山漁村の育成ということのためにほんとうに一体になつて気持よくやるということが本質だろう、こういうふうに思うのです。従いましていろいろ出先の方で、各方面から、仕事がふえるに従いまして手が足りない、従つて取扱いもおそまつになるというようなことで批判を受けておる面も、私どもよく聞いております。これは何とかしなければいかぬというので、この八月、やや仕事の手のすいたときを見はからいまして、われわれ役員、資格は理事長の代理ということで全支所をまわりまして、私どもの考えておるところをよく聞かせて、この徹底をするように努力したわけであります。なお今後におきましても、そういう方法によりまして、中央と地方とほんとうに一体になつて、気持よく皆さん方の御希望に沿えるように努力して行きたい、こういうふうに存じております。なお、各地方々々でお気づきの点がありましたらば、どうか御遠慮なく私どもにお聞かせいただきまして、私どもも御趣旨に沿うように、地方の方も直して行きたい。こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/51
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052・金子與重郎
○金子委員 午後一時から審査会をすることを公報にも出しておりますので、ほかの委員会とのかみ合せ上、約束は守る方がいいと思いますので、私の質問が残つておりますけれども、時間がずれておりますから次の機会まで保留さしていただきまして、ただここに一、二点、次の連合審査会に対して重要な部門でありますことについて、お聞きしておきたいと思います。
小倉さんの先ほどの御答弁によりますと、井上君の質問に対しても足鹿君の質問に対しましても、この公庫というものは末端、出先と重複するように支所その他を延ばして行かないのだ、こういうお話でございますが、そうするととの法律の案にありますところの、第三条の「公庫は、主たる事務所を東京都に置く。」そして「公庫は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置く」ということは、いらぬことになると思います。御答弁ではそういう方針は持つておらぬといつても、法律にはここに従たる事務所を置くとある、大体いろいろな機関というものは、常に法律を通すときにはきわめて簡素なものであつて能率化すると言うけれども、実際問題となると、こういうものをだんだん置いて来る。そしそれはその地方の要望が強かつたために、親切のために置くということで、厖大な機構になつて行くのであります。そうすると、これは最初から削つてかかつたらどうかと思いますが、その点御意見はいかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/52
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053・小倉武一
○小倉政府委員 御質問の趣旨ごもつともだと思うのであります。私どもの行政的な方針といたしましては、従たる事務所、出張所というふうなものを全国的に網羅して、公庫が全面的に従来の受託金融機関にかわつて仕事をするということは避けたい、こういうふうに考えておりますので先ほど申し上げたのであります。法律では、なるほど従たる事務所を置くことができるということになつておりますが、これは特別な必要があるような場合を考えてこういうような法律の規定になつておるのでございまして、特にこれによりまして、近い将来に全国的に支店、出張所というものを設置するということは、私どもは考えておりません。特別な必要によつてどこか一箇所あるいは二箇所、出張所あるいは従たる事務所というものを置く必要があり得るだろうということの考慮の結果、この第三条の二項が入つておるように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/53
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054・金子與重郎
○金子委員 当分そういうふうな計画はない、しかしその要望その他必要によつて将来できるかもしれないということでありましたならば、これは法律としては削つておく、そうして法律というものは改正ができるのでありますから、その必要が認められたときに再び出せばよろしいという見解を私は持つております。この問題は後ほど討論採決等においてあるいは修正案を出すかもしれませんが、そういうことにしてこれで一応黙つておきます。なぜそういうことを足鹿委員も申し上げたし、私も申し上げるかというと、さいぜんからの質問にもあつたように、農林金融といいますか、系統組合金融というものは一段とか二段とか言いますけれども、実際の運用から行きますと、町村単位組合から始まりまして県の連合会が一段となつております。しかし実際に多くの県の事情を見ますと、郡に出張所を持つておりまして、実質的には二段である。もうそこで三段、中金の出張所で四段、それから中金で五段、その上にこれが乗つかるのでありまして、それが全部この業務をやるとは言いませんけれども、こういうような関係上、実際には非常にコすトが高くなつておる。たとえば中金なら中金の一つの出張所の陣容を持ちましても、なるほど指導的立場にある特別な金融ではあるけれども、最後にはコストが高いというのが一番経済に響くのでありますから、そういう場合にそのコストを見ましても、一つの県の中金の出張所が扱う金額なり件数というものは、ほかの金融機関に比べれば非常に少い、しかも組合の金融の場合、末端の単位機闘で一職員が扱うところの金額は少いけれども、その件数というものは非常に多い。こういうふうな農林金融全体を見ての一つの機構というものを、この際どうしても考えなければいかぬ。その際にこの法案が出て参りましたから、この法案そのものの考え方は一応わかるのでありますが、そういう点に対してこの法案を通過させ、この金庫をつくる機会に、根本的な問題まで一応は考えて、そして中金の方々にも、あるいは農林省当局の方々にも、この際一度見返つてもらう。そうして次に、どうしたら高能率な農林金融——コストの安いまた簡素化したものができるか。またそうするためには、昔の産業組合みたいにある程度まで連帯保証制度というものを強めることは、これは確かに簡素化の一つの大きな方法であります。しかし一面から言うと民主化されないとか何とかいうりくつもついて来ますが、そういう点についてこの機会に、相当強くわれわれとして掘り下げて考える必要があると思うのであります。従つてこの法案と、この法案が生れた後に来る、また現在悩みつつある問題を、この際相当掘り下げて御研究願う方がいいと私は信じておりますので、それらの質問は連合審査会が終つてからに保留させていただきまして、一応連合審査会に入つていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/54
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055・青木正
○青木委員長代理 これにて暫時休槌いたします。牛後は、先に大蔵委員会との連合審査会を開きたいと思いますから、御了承を願いたいと思います。
午後零時三十九分休憩
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〔休憩後は再開に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504988X01019521217/55
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