1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十二日(金曜日)
午前十一時八分開会
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出席者は左の通り
委員長 小泉 秀吉君
理事
岡田 信次君
高田 寛君
小酒井義男君
委員
入交 太藏君
植竹 春彦君
一松 政二君
小野 哲君
高木 正夫君
中村 正雄君
前之園喜一郎君
国務大臣
運 輸 大 臣 石井光次郎君
政府委員
運輸政務次官 木村 公平君
運輸省海運局長 岡田 修一君
運輸省船舶局長 甘利 昂一君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 細田 吉藏君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
常任委員会専門
員 田倉 八郎君
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本日の会議に付した事件
○外航船舶建造融資利子補給法案(内
閣送付)
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
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001・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) これより運輸委員会を開会いたします。
先ず外航船舶建造融資利子補給法案を議題といたします。政府より提案理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/1
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002・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 只今提案になりました外航船舶建造融資利子補給法案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申上げます。先ず提案の理由について御説明申上げます。
日本経済の自立達成のためには、国際収支の均衡を保つことが基礎的要件でありまして、一方において貿易の伸暢を図ると共に、他方貿易外収入の大宗である海運の拡充を一段と推進することが必要であります。そのためには、日本外航船腹を拡充いたしますことは、喫緊の要事と言わねばなりません。
戦後の我が国海運の実情は、戦災によりましてその保有船腹の大半を喪失し、而も海運再建の主軸となるべき戦時補償が一切打ち切られました結果我が国が必要とする商船隊の再建につきましては、その所要資金の殆んどすべてを、国際的に見て極めて高利な借入金によつて賄わざるを得ない状況であります。更に建造船価の高騰、税負担の加重等も海運経営の負担を増加しておりまして、このような脆弱且つ不安定な経営基礎は、最近のごとき世界的運賃市況の悪化に遭遇いたしますと、忽ちその欠陥を露呈せざるを得ないのであります。これらの事情は、我が国における今後の船腹拡充計画の遂行に重大な障害となつておることは御承知の通りであります。
本来海運業については、その経営基礎をできる限り国際水準に追随せしめることが肝要でありまして、而も先に述べましたような我が国海運の実情をも考え合わせますと、我が国海運が国際競争に伍し得る基礎的條件を整えるためには、政府の積極的な施策が極めて緊要であります。この法律案は、それらの施策のうち、最も急を要するところの利子補給制度を先ず実行に移すことを目的といたしておるものであります。
この法律案は、政府が金融機関と契約を結び、船舶建造のために金融機関が必要資金を融資するときは、その融資について利子補給金を支給し、日本経済の自立達成に資するために必要な外航船舶の建造を促進しようとするものであります。
次にこの法律案の概要について御説明申し上げます。先ず政府は、金融機関と契約を結び、外航船舶建造のために融資せられた融資残高について、その金融機関が船舶設備資金等を貸出す場合の利率と、財政資金の利率の七分五厘との差額の利率を限度として、利子補給金を支給することができることといたしております。
この利子補給金は、契約によつて政府から金融機関に支給せられるものでありますが、金融機関は当然にその受けただけの利子補給金に相当する利率だけ実際の利率を引き下げなければなりません。従つて、実際の支給は金融機関に対してなされるのでありますが、これによつて船舶を建造した船主が、その船舶についての経費をそれだけ引き下げられるという利益を受けるのであります。
予算上の措置といたしましては、今年度の補正予算に、国庫債務負担行為として、今年度の追加建造分の貨物船約五万総トンについて、将来七カ年度に亘り総額三億三千五百五十三万八千円を要求いたしておりますが、これは財政法に規定されております国庫債務負担行為の限度である三年を超えますので、その特則を設ける意味から、利子補給金を支給する年限を八カ年度と規定した次第であります。
なお、附言いたしますならば、この利子補給制度は昭和五年から実施されておりまして、昭和十四年に船舶建造融資補給及損失補償法として立法化され今日に至つておるのでありますが、昭和二十四年度以降は新しい契約ができないこととなつております。従いましてこの法律案におきましては、同法を廃止いたし、その利子補給制度のみを復活しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案の理由と概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/2
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003・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/3
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004・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 海運局長より提案理由の補足説明がありましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/4
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005・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) 只今大臣から説明のありました提案理由に附加えまして、少し補足さして頂きます。
御承知の通り日本海運の国際競争力上一番弱点になつておりまするのは、建造船価の借入金に対する利子の高い点でございます。例えば只今作りまする新造船で北米西岸から日本への小麦を運ぶといたしますると、そのトン当りの運賃原価といたしまして、大体十二ドル七十セントくらいかかるわけでございます。そのうち金利が四ドル二十セントを占めております。約三分の一が金利になつております。これを英国船の場合について申上げますると、英国船では九ドル三十セントぐらいが運賃であるというふうに考えているのであります。このうちの金利が約一ドル二十セント、ここに三ドルの差があるわけでございます。如何にこの金利か高い点が日本海運の競争力上弱点になつているかということがこれでわかるわけでございます。小麦一トンを運びまする運賃の中で、約千円以上の差が日本船と英国船の間に金利の面だけで開いて行く。こういうことであります。で、今回の利子補給制度はこの差を全部埋めるというほどのものではございません。この利子補給によりまして下りまする率は約六十セント、こういうふうになつております。従いまして、これ行ないましてもまだまだ英国船との競争上不利ではございまするが、今日の財政事情、その他国内他産業との関係等から見まして、この程度で止むを得ないのではないかかように考えられるのであります。運輸省といたしましては日本海運の競争力強化のために、御承知の通りこのほかに鋼材補給金を実現して、建造船価を下げるというふうな案を持つております。更にこの金利全体を引下げるために、まあ海運界としては財政資金の金利を五分程度までに下げる、従つて市中金融機関の利子補給もその金利が五分程度になるところまで持つて行きたい、こういう強い要望があるのでございますが、先ほど申上げましたような理由で、第一段階の措置としてはこの程度に落着いておるということでございます。
次に、簡単にこの法案の各條について、御説明さして頂きたいと思います。
第一條は、この法律の目的でございまして、この利子補給制度を実施することによつて外航船舶の建造を促進して行く。
第二條は、日本の船舶を所有することのできる者、これは船舶法で規定してございまするが、日本人、又は同重役が日本人である会社というふうなものでございますが、こういうものが外航船舶を建造する場合、その外航船舶は近海区域を航行するのでなくて、遠洋区域を航行する資格を持つた船であります、遠洋区域と申しますと、大体西のほうはうングーン以西になるわけでございます。それから南のほうは濠洲方面、東はハワイ以東になるかと思います。これはあとで図面を差上げたいと思います。或いは私の説明が、ちよつと区域が違うかとも思いますが、大体その辺と御見当願えればいいと思います。で、運輸省令で定める規格、これは何ノット以上というふうな速力、それからこの利子補給は、今度の予算では貨物船だけを対象にしておりますので、従つて貨物船であつて何ノット以上の船、こういうふうな制限を設けております。まあそういう一定の速力を持つた貨物船で、遠洋区域を航行する資格を持つた船、こういうものの建造をこの日本の造船所で作らせる場合、こういう場合にこの利子補給をする。その次に政令で定める範囲の金融機関、これは銀行、信託、保険会社、こういうものを規定する考えでございます。勿論日本銀行とか、開発銀行とか、こういう政府機関、或いは政府機関に類するものは除く考えでございます。その次に、政令の定むるところによりといいますのは、その利子補給金を補給する補給の対象、その計算の時期、或いはそれを支給する時期をいつにするか、こういうことを政令で定めております。そしてその利子補給についての契約を金融機関と政府がする。
で利子補給金の支給の年限ですが、これには八年となつております。で当該契約をした会計年度以降八年以内、財政法では三年以上になる場合には、別に法律を必要とすることになつておるわけでありますが、この法律を出しましたのも、三年以上に亙るものでございますので、この法律を出さざるを得なくなつたのでございます。で先ほど大臣の説明の中に、国庫債務負担行為は七年ということを説明しておりますが、今度の国庫債務負担行為は今年度内に作る貨物船五万総トンを対象にしておりまして、その五万総トンにつきましては、それの関係する会計年度を七年とすると、こういうふうに言つておるわけでございます。併しタンカーのごとき長期の建造を必要とするものについては、八年以内とする必要がある。と申しますのは、この融資は船が契約をして、それで竣工すると、これまでにまあ八、九カ月、或いは一年タンカーのごとき、大きいタンカーになりますと或いは一年以上、これは一応タンカーは対象にしておりませんけれども、仮に将来タンカーを対象にするといたしますと、一年以上になる。ところがこの償還年限は竣工してから五カ年間に払うということを建前としておりまするので、相当長く建造期間のかかるものを考えまして、余裕をとつて八年以内、こういうふうに規定したわけでございます。
その次はこの利子補給金の総額は国会の議決を経たその範囲でしなければならない、こういうことになつております。
それからこの利子補給の対象になりまする融資というのは、その船が造船業者から注文者に引渡された後二カ月以内になされた融資について行う。で、船の支払は竣工のときに最後の支払をいたしまするが、多少それが遅れるものがあり、或いは乗出費用というもの、即ち船舶建造に関連していろいろ要る金、或いは工事の後始末に要る金、こういうものを融資を受ける必要があります。そういうものが多少引渡しから遅れることがありまので、二カ月くらいの余裕を見て、その間に出されたこの船舶建造のために必要な融資について利子補給を行う。で、その融資の率は、その金融機関が普通そういう造船融資なり、そういう長期設備のための長期融資を行う場合の利率と、それから七分五厘の差の範囲内で運輸大臣がきめた利率で行う。従つてその金融機関が一割二分という利率で一般に行うと、それから七分五厘というふうにいたしますと、そこで四分五厘、併しその四分五厘を全部やるというのじやなしに、その範囲で、運輸大臣が予算その他の関係で三分八厘しか支給できないというふうに考えますると、三分八厘ということを告示できめて、その三分八厘を支給する、こういう考えでございます。
で、その補給する方法なり、その計算の方法でございまするが、その船が竣工したのちの融資を受けておる額を五カ年間に毎半年ごとに、何と言いますか、均等償還する、こういう建前です。仮にそれだけの償還をしてなくても、均等償還されたものとして計算した融資残高を対象にして利子を補給する、こういうのでございます。例えば千万円借りております。そうすると半年賦均等償還ということにいたしますると、百万円ずつ毎半期に返さなければならん。ところが、その半年に五十万円しか返してないという場合でも、百万円返したものとして、その次の半年はその九百万円について利子を補給するということであります。で逆に海運業者が百万円返すべきものを百五十万円返しておつたということになりますと、そのときはその残高の八百五十万円について利子を補給する、こういうことであります。
それからその次は、金融機関はその融資の利子の補給を受けると、その利子の補給率だけ引下げた利率で海運業者に貸付けなければならないという規定であります。
その次がこういう利子補給の恩典を受けておる海運業者に対しては、恩典を受けておる間に一方においてむやみに利益を配当するということでは、折角国家がこれによ。て競争力を附与しようというのに、徒らに株主のほうに流れるということになりますので、そういうものに対しては利益配当をもう少し抑制したらどうかという勧告を出すようにいたしております。
それから八條はそういう恩典を受けておるものにつきましては、十分会社の経理状況を運輸大臣として知つておく必要がありますので、そういうものについては貸借対照表その他の書類の提出を求めるというふうになつております。
第九條は金融機関がこういうこの法律に規定しておる規定による契約に違反した場合には、その補給金の停止若しくは返還を求めることができる。
それからこの法律によりまして、この附則では従来ございました船舶建造融資補給及損失補償法を廃止しております。これは政府の方針といたしまして、実質的な効力を失つておる法律は形式上廃止してしまう、こういう建前をとつて、法案の整理に当つておるのでございます。この船舶建造融資補給及損失補償法は、昭和十四年から十カ年間の存続期間ということが規定されておりまして、二十四年にその期間が切れております。実際は終戦後この法律は動いておりません。従いまして形式的にこの法律を廃止する。併し現在この法律によりまして利子補給並びに損失補償の契約をして、その契約が生きているものがございます。そのものについては、この法律によつてそのものだけ、その契約だけ、従来通り生かして行くというふうなことでございます。
法案の内容は大体以上の通りでございます。よろしく御審議をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/5
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006・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 大臣は先刻ほかに差支えがあつて退席されましたけれども、従つて質疑は先刻御承認を得たように、今日は次回に譲つておりますが、何が海運局長に本案に関して御質問があれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/6
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007・小酒井義男
○小酒井義男君 本式の質問じやなしにですね、今局長の説明の中で鋼材補給金の問題も運輸省としては考えているというお話があつたのですが、確かにこの船舶の建造の一番ネックになる問題として、鋼材の価格が高いということが大きい隘路になつていると思うのですが、大体この鋼材の価格を考える場合に、現在の日本の鉄鋼価格というものが、これ以上引下げる余地がないものかどうかというような点について、専門的な立場で検討をなさつていると思うのですが、そういうことについてお話を承わりたい。それと今運輸省として考えておられるものは、大体どのくらいの補給金を出す必要があるというふうにお考えになつているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/7
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008・甘利昂一
○政府委員(甘利昂一君) かねて差上げました説明資料にも書いてあると思いますが、大体現在造船用鋼材はトン当り五万円で造船業者と製鉄業者との間に話がついておりますが、実際は業者の間の支払條件等によつて四万九千円の場合もあります。特に輸出船の場合には支払が非常にいいものですから、四万七千円程度でやつている場合もありますが、併し一応両者の間で協定された値段は五万円でございます。それではこの五万円を今後どの程度に下げるかという問題でありますが、これはまあ通産省の重工業局の所管ではありますが、我々も鋼材のほうに関心を持つておりますので、常に原価計算等についていろいろ調査いたしておりますが、やはり内地の鉄工業の設備或いは技術等の後進性に基づく理由で、容易には下らんと思います。まあやはり製鉄業者にしますれば、鉄鋼価格の高い原因が原料の高い点、或いは運賃の高い点というようなことを言つておりますが、鉄鋼の運賃が鋼材価格に占める比率は約七%程度であります。今の七%と申しましたのは、運賃が十四ドル程度の場合でありますが、現在七ドル程度に下つておりますので、約三・五%ぐらいしか響いておりません。従つて五万円の三・五%と申しますと二千円、トン当り二千円足らずしか差がないわけでありますが、運賃が相当下つても鋼材の価格はそう下らないというふうな見解を持つております。それで目標といたしますところは、大体イギリスの造船用鋼材の価格が現在トン当り八十三ドル、日本の五万円をドルにいたしますと百三十九ドル、約五十六ドルの開きがあります。邦貨に直しますと約二万円になるのでありますが、これだけの差を縮めることは容易じやないと思つております。特にその二万円高い差が出て来ているうちの大部分は、要するに造船用鋼材が、特に巾の広い、長さの長いもの、例を申しますと、普通鋼材が巾四尺乃至六尺、長さが八尺乃至十尺と言つているのに、造船材は巾六尺乃至八尺、長さが三十尺乃至四十尺、非常に長尺物の中の広いものを使つております。これらに対する規格料がトン当り約三千円だと思つております。それから特に強さ或いは伸びとかいうものに対して国際的の規格がありますので、その規格に合うためにこれらもやはりトン当り四千円程度規格料として取られております。そのほか最近鎔接船を作るようになつてから従来の鎔接船に使つておつたようないわゆるリミド鋼と称しておりますが、それを使わないで、セミ・キルド鋼或いはキルド鋼という特殊の品質のもの、これは要するに製鋼時間が非常に長くかかりますし、その鋼板の中に含まれておる不純物が非常に少い、そういう点鎔接鋼材として非常に適当なものでありますが、これらに対して一般造船材の価格に更にトン当り一万円ぐらい、製鉄所によつてはトン当り二万円ぐらいの差を付けておる。而もそれらの鋼材は全部鋼材に適用されるものではありませんので、例えばキルド鋼は全体の使用量の中の五%、セミ・キルド鋼については五〇%というのでありますから、これらの使用率を勘案しますと、それらに対する割増料、或いは先ほど申しました寸法、品質等をみんな入れますと、特殊規格材に対して割増料として大体一万円程度取られておるわけであります。ですからほかの残りの一万円程度に対しましては鉄鉱石、粘結炭、運賃等が下り、それから製鉄所の技術の向上ということによつて或いは下り得るかも知れませんが、今の規格料と称するものについてはそう容易に下らないと我々は見ております。従つてできればイギリスとの差額の二万円もそういう技術の後進性に基くものでありますから、特殊規格材の助成金として出して頂きたい、どうしてもそれが予算上無理であれば今の割増料に相当する一万円程度でも出してもらいたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/8
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009・小酒井義男
○小酒井義男君 この鉄鋼補給金を考えていらつしやると言いますが、具体的にそれでは二十八年度の予算に運輸省として補給金を要求せられるというようなお考えがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/9
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010・甘利昂一
○政府委員(甘利昂一君) 補正予算では通りませんですが、来年度予算に対しては内地船三十万トン、輸出船十万トン、四十万トンに対する補給金を一応出してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/10
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011・小酒井義男
○小酒井義男君 それからもう一つ八次後期の着工はこれはどういう見通しになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/11
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012・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) 只今大蔵省、経済審議庁、それから開発銀行と打合をいたしておりまして、大体今週はもう明日でございますから、来週中にははつきり金のめどをつけたい、かように考えております。そういたしますと、そのあとで金のめどがつきましてから更に如何なる方法で申込をとるか、こういうことを開発銀行と打合をしたいと思つておりますが、併しいろいろ手続の関係、それから今度は開発銀行の貸出になりまするので、開発銀行が主として審査なさいます。それの審査がやはり相当の期間かかると思います。従いまして現在の見通しでは一月の末、若しくは二月の初め頃に着工の運びになるのじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/12
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013・岡田信次
○岡田信次君 この法律は買う船には適用されないのですか、新らしく作る船だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/13
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014・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) これは新造する場合だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/14
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015・岡田信次
○岡田信次君 そうすると、大体今年度の後期以降にこれを適用するようにも考えられるのですが、もう今までにすでに作つた船というのは相当、二百万トンくらいになるらしいので、それの率のほうが大きいのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/15
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016・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) これは運輸省といたしましては、過去に作つた船につきましても利子補給制度を適用したい、かように考えております。来年度の予算におきましては、二十六年度の新造船で現在借入金の残つておるものに対しまして二十八年度からこの利子補給制度を適用したいと、かように考えておるのであります。若しその予算が成立いたしますれば、この法律もそういう趣旨で多少訂正しなければならないかと存じます。お説の通り過去の船に遡つて利子を補給すれば、その額は相当の額になりまして、それだけ船会社の負担が軽くなる一面において、それだけ国家財政に負担をかける、こういうことになりまして、まだ来年度予算の本格的折衝には入つておりませんが、非常に難航を予想されます。大体今正確な数字は持つておりませんが、今度作ります五万トン契約で来年度に実際に出ます利子補給額は三千万円、ごく僅かです。まだ建造の途中であります。それから来年度の貨物船二十三万トン計画を実施するといたしまして、それに対する利子補給、これは大蔵省は当然今後のものでありますから認めると思います。これで来年度中に実際に出るであろうと考えられる金が四千万円ほど、併しこれを二十六年度の船に遡りますと、約九億二千万円くらいの予算になると思いますが、ちよつと数字が或いは一、二千万円ずつ違うかも知れませんが、大体の見当はさようでございます。と申しますのは、二十六年度それから本年度の今まで作りました船には財政資金の融資率が大体平均して四割二、三分であります。市中資金のほうは五割六、七分くらい出ております。市中資金の融資率が多いわけでございます。これからのものは財政資金が七割、市中が僅かに三割でございます。従いましてその率が過去のものは市中融資率が大きいのであります。それからトン数が非常に大きいのであります。大体両方合せまして貨物船だけで二十六年度建造、それから二十七年度のこれまで作りました建造の貨物船、合せて約五十万総トンくらいに上るだろうと思います。その建造トン数が相当多いのでございます。市中の融資率が割合が多かつたということでございます。従つて利子補給額も多くなる。併し船会社のほうから見ますと、是非ともそれをやつてもらいたい、こういうような不況になりまして、非常に金利の何と言いますか、支払いに事欠くというような市況になりますと、そういう負担は是非とも軽減してもらいたいと、こういう要望も非常に強いわけであります。私どもも国際競争力、特に英国船との競争の関係から言つて是非とも実現したいと思うのでありますが、これは実際問題としてむずかしいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/16
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017・岡田信次
○岡田信次君 これは甚だ愚問なんですが、これは各金融機関の利率というのはこれは同率なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/17
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018・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) 大体一緒になつております。併し多少違う点がございますが、大体一般市中金融銀行でございますね、例えば千代田とか第一とか、帝銀とか、こういうものが造船に貸出す金が一割一分くらいであります。それから興銀は例の興銀債を発行しまして、それで金を集めて、貸出しまして、まあ興銀債の利廻り等から行つて貸すものですから、多少一般市中より高いようですが、一割一分六厘程度でございます。で私どもはこれを平均いたしまして一割一分三厘から三厘五毛くらいと踏んでおるわけでありますが、従つて今度の補正予算の利子補給額の計算も、三分八厘五毛というふうなところでこの市中融資額に対してその額を掛けたものを予算に組んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/18
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019・一松政二
○一松政二君 今の局長のお話ですと、つまり二十六年度の建造の問題は今折衝中だというのですが、二十六年度以前に建造したやつの残つている借金についてはもう全然考えていないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/19
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020・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) 二十四年度、二十五年度の建造船価と、二十六度以後の建造船価を比較いたしますと、そこに相当の差があるわけです。格段の差がある。而も二十四年度、二十五年度の建造船は相当船会社のほうも償還をしている。従つて船会社の金利負担もそれ以後の建造船に比べて割合に軽いのじやないか、それを全部遡るといたしますと、大変な額になるものですから、一応そこへ線を引くとすれば、二十六年度からの建造船、こういうふうに考えたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/20
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021・一松政二
○一松政二君 この提案理由を今少し読んで見ますというと、利子補給を考えることは、結局非常に運賃市況が悪化したというのがかなりな重要な部門を占めている理由のように考えられるのですが、そういうことから起つているのですか、これは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/21
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022・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) 私どもはこの運賃市況がまあ悪化したからというよりは、先ほど御説明申上げましたように日本船が英国その他の欧州の海運国との競争をいたしまする場合に金利高というのが非常に不利である。この不利を少しでもカバーしたい、こういう趣旨から出ておるのでございます、従いまして海運市況がよくなりましてもこの利子補給制度は続けて行く必要がある。これによつて国家負担がそのまま続くわけですが、一面において利益が出ますと、その面は税金で取上げるということに考えて頂いて、この日本船と外国船の競争の基盤といいますか、スタート・ラインをできるだけ同じようなところに近付けたい、こういう念願から出ておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/22
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023・一松政二
○一松政二君 この問題は直接ではないですが、少し離れるかも知らんが、先ほど輸入船舶のこともお話がありましたが、新造船を一方において奨励……まあ過去においてはかなり奨励したと思うのですが、運賃市況が悪くなり、海運界が不況になつて、新造するよりも安い船価のもので競争したいというので、今後の船価の如何によつては輸入船の問題がかなり論議される時期が来るだろうと私は考えるのですが、今の海運当局としては、輸入船に対する考えは、これを多少チェックしようと考えるのか、或いは有利な船があれば、新造するよりも買つてもいいのだというような態度をとつておるか、その辺をどういうふうに考えておるか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/23
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024・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) 輸入船で船齢が非常に新らしくて性能がよくて、而も船価が安いというものならば、これはチエツクする理由はないのではないか。併し今まで輸入いたしました外国船の多くがまあ船齢二十五年以上のものが非常に多いのであります。或いは船齢二十年以上のものもございますが、一般的に言いまして性能が非常に悪い。それでまあ現在のような市況でございますと、新造船ですととにかく運賃を稼いで運航の経費を償う、或いは金利程度のものは稼げる。併し購入船の非常に性能の悪いものは、その燃料費だけを稼ぐのがやつと、或いはむしろ繋船したほうが有利じやないかというふうなところまで追込まれておるものが多いのです。従いましてたとえ船価が安くても、現在のような市況で運航経費を賄えないというふうなものが相当にありまするので、その内容については十分チエツクをしなければならん、検討をしなければならん、かように考えておるのでございます。従いましてまあ冒頭に申しましたように、非常に船齢が新らしくて性能が良くて、而も価格が非常に安いというものならば、これは許可して差支えないのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/24
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025・一松政二
○一松政二君 そうすると今のお話を承わると、大体優秀船なら輸入してもいいが、老齢に近い、或いは老齢な船は輸入は成るべくチェックしたいというように了解するのですが、私はそういう輸入問題の起つたときに、運賃市況の見通しなり船価なり、運航費を賄えないようなものを輸入する気遣いはまあないわけです。若しそういうものがあつたとすれば、それは運賃市況がまだ活況を続ける見込の下に買つたのだけれども、予期に反して不況が案外早く襲来したときであるということになる。併し今後は、過去の事実はそうかも知らんけれども、若し世界の国際間の平和が仮に一年でも二年でも若し続いたとすれば、又運賃市況が更に更にうんと悪化すると私は考える。それで日本の、この間も問題になつた例の鉱石の専用船なんというものを新造するというようなことは、私はもう言語道断だと考えたのですが、優秀船のみをお考えになることは、私は少し日本の海運の実情なり貨物の、日本の貨物に対しての……、例えば鉱石みたいなものを優秀船によつて運ぶことは、私は果してどうかと考えるのですが、過去において欧州第一次大戦のあとにまあ随分いろいろな問題がありまして、海運界も相当な不況に直面するし、輸入船舶の問題もあり、新造船の跡始末の問題があつたことは御承知の通りであります。それだから戦争が勃発すればとんでもない形の変つたものになるし、戦争がなければ、戦争のあとに一時活況を呈したやつが、今度はもう大不況に直面するというのが、これはもう幾たびか繰返されておるわけです。その際に私は日本に鉱石を輸入する船、殊にこれは東南アジア方面から輸入して来る船は、そうスピードの早い必要はない、積込と荷揚だけに相当な日数を要するのであるから、そう優秀船が果してそれだけ効果があるかどうか、私も実はそういう今計算をして見ないから、ただ過去の経験によつて考えるから、はつきりしたことは申せませんけれども、そういう問題が将来私は必ず起り得ると思う。であるからそういうときはやはり臨機応変に考えないと、一本調子では私は考えられないだろうと思うのです。それで、それはむしろ私の意見になりますから、御回答は求めませんが、私伺いたいのは、海運が不況になつて、そうして今造船所は海外からの船の注文をかなりの程度引受けて、辛うじて船台を空かさずにやつて来た。ところが海運が急に不況になつたために外国船の注文も、船価も急に下り、ちよつと受注が困難のように伺つておるわけですが、造船所に対する今後の新造船は、やはり計画造船を或る程度推し進めて、毎年海運の市況如何にかかわらず考えて行く予定じやないかと考えておりますが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/25
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026・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) 運輸省といたしましては、まあ今後におきましても毎年三十万トン程度の船は造つて行きたい、まあ日本の国際収支の改善という面から行きましても、又日本を中心とする定期航路の整備というふうな面から行きましても、どうしても毎年三十万トン程度の船を造つて行きたい。そこで計画造船という言葉でありますが、これは今日のような市況におきましても、又多少市況がよくなりましても、日本の海運業者に船を造らせますがためには、どうしても一部財政資金の融資ということが必要になるわけでありまして、従いましてその財政資金の融資ということになりますと、毎年度の予算で、船には三十万トン分ならば三十万トン分の原則としてこれだけの財政資金をつけるということをきめなきやならない。従つてその三十万トン分の財政資金をつけまして、この申込がその三十万トン以上になりますと、自然その申込の中から、今までは政府でした、今後は開発銀行が中心になつておりますが、そこでセレクトする。その適格船主をセレクトするのがまあ計画造船というふうなことで、非常に非難があるとか何とかいうので言われておつたわけです。それで併しまあその財政資金には限度があるものですから、そういう方法をとらざるを得なかつた。そこで三十万トンに財政資金をつけられる、こういう利子補給制度で海運業者ができるだけ造りやすいような條件を備えてやつて、そうして船会社に申込をなす。ところが船会社がこういう條件を与えても三十万トン応ずるだけの力がないということになりますと、自然出て来たものに、そのものが信用さえあればそのものに造らすというふうな形になる。今後開発銀行がやりますと、相当そのやり方等も変つて来るのじやないかと思いますが、この点につきましては只今開発銀行とも打合中でございまして、どういうふうな方法で選考するか、或いは申込をどういう形でとるかということを目下打合中でございます。できるだけぎごちない方法をとりたくない、まあ自然造船のような形に持つて行くにはどうしたらいいかということを目下検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/26
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027・一松政二
○一松政二君 もう一つか二つだけ伺いたいと思います。
この利子補給はタンカーには及ばない、普通の船だけのように伺つておるのですが、その理由を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/27
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028・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) これは先ほどの答弁とやや矛盾するのですが、タンカーにつきましては一応今の保有船腹で、大体日本が輸入する油の七〇%或いはそれ以上運び得るというふうなところまで来ておるわけです。一応の目標としては百%を目標としておるのでございますが、そこまで行つておれば、それほど政府が力を入れなくてもいいのではないか。だから財政資金は来年度から二割ですが、二割程度の融資をする程度にとどめて、それで船主の申込を待つというふうな程度の助成策にとどめる。利子補給というところまで行く必要はないのではないかというふうなこと、それから一面においてはタンカーが非常に景気がいい、だからそれ以上の利子補給をもつても、現在においてはこういう制度がなくてもタンカーの建造というものは進め得るのじやないかというふうな見通しから、タンカーについてはこれを適用しない。こういう態度、方針をとつておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/28
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029・一松政二
○一松政二君 そうするとタンカーは今景気がいい、そうして日本船によつてもうすでに七割或いは百%運航ができるようになるかも知れん。若しタンカー界が今度競争激甚になつて、非常に不況になつて来ないとは言えない。過去においてそういう例はあるのです。そういう場合には又利子補給のことも考えるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/29
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030・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) そのときには何らかの経営負担を緩和する方策を考えなければいけないのではないかと考えますが、只今申しましたように現在の状況ではこの利子補給制度をつけなくても船腹拡充には支障ないというふうな点から、それの適用を除外したのでございますが、その辺が幾分か先ほども申しましたような国際競争力のスタート・ラインを同じにするという点から言いますと、多少の理窟に合わないような点があるわけでございます。まあ一応眼前の船腹拡充の要請を充足するという観点からいたしますると、必ずしもこの制度をタンカーに及ぼす必要はない。かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/30
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031・一松政二
○一松政二君 そうするとその利子補給は、造船を奨励するがためにやるのですか、或いは国際競争力をそれだけ軽減しようというのでやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/31
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032・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) 両方を狙つております。国際競争力を付与して、海運の経営をやりやすいようにすると同時に、これによつて船腹拡充を容易ならしめる、こういう両方の狙いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/32
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033・一松政二
○一松政二君 非常な不況が襲来して、繋船が続出するような場合でも、やはりそういう船腹拡充を必要とお感じになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/33
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034・岡田修一
○政府委員(岡田修一君) これは何といいますか、この繋船の事態でも、やはり海運界というものを考えますと、如何に不況なときでもやはり多少の造船が進むのですね、船主の経営面から申しますと、不況なときは古い船は繋ぐ、併し優秀船は出すわけです。従つてそういうときには船価も安いでしようから船主として船を造る、併し融資を受けるためには非常に困難である。それで利子補給制度という国がバツクアップするような制度がありますと、金融機関が幾分か安心して金を貸すというふうなこともございますので、たとえ繋船するようなことがございましても、新造を拡充するという方策は続けて行くべきであると思います。先ほど先生からお話がありましたが、今海運界は非常に不況です。それで一番困つておるものは、外国から船を買入れた船主です。これは約三十万総トン五十二、三ばい買いまして、そのうち性能のいいと思われるのは五、六ばいくらいであります。あとは非常に性能の悪い、まさに繋船するというところまで追い詰められておる。これらはまあ鉱石だとか石炭だとか、こういうバルキー・カーゴーを対象にして運んでおるのです。非常にバンカーの消費量が多い。それから速力が遅いものですから、ちよつと時化があると殆んど速力が落ちてしまうというふうなことがありまして非常に苦しい。むしろ不況のときほど優秀船を以て経営に当る。現在でも定期航路はトランパーに比較して比較にならないほど採算がいいわけです。それでまあ十分ペイするかというとそこまで行つておりませんけれども、トランパーに比べますと非常にいいわけです。その一つの現われがニユーヨーク航路或いはインド航路に定期船が集中して問題を起すという状況でございます。これはまあ新造船でないとできないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/34
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035・一松政二
○一松政二君 そのトランパーとライナーの違いは、運賃協定やその他の問題が大きくクローズアップして来ると思うのですが、その御意見はまあ一応承わつておきまして、私から更に質疑を続行することはこの際やめて、最後に私が申上げておきたいことは、海運界というものは浮沈常ないのです。ほかの産業でもそうでありますけれども、それで景気がいいときには、まあ前の欧州大戦のときでもいろいろな話題を生んでおるのであります。過去二、三年間にかなり海運界というものは栄えたわけなんです。そうして悪くなるとすぐ手軽な何か補助的なことを要求して来るわけです。そうしてそのいいときには、まあ今回は知りませんが過去においては人の目をそばだたせるような行為なり何なりがあつたわけです。そこで国家がいやしくも利子を補給したり、相当バツク・アップしてやる産業の経営についても先ほど株主の配当を制限する或いは遠慮してもらうというような勧告をなさるという話ですが、私は株主に配当するのはむしろ奨励してほしい。それよりも従業員なり重役なりが消費する経費については私は厳密なメスが加わる必要があると思うのです。殊に今の税法の建前その他のことで、いわゆる公用族、社用族という言葉がもうどこでも平気で使われておることは、これは実に歎わしいことです。そこでとかく国が補助をしたり何かしておると、公用族、社用族と一緒になつて、いわゆる待合、料理屋等が繁昌するということがありがちなので、これが社会上甚だよくない影響をたくさん与えると思うのです。従つて国家が援助しておる限りにおいては、株主というものは、私は株主というものはむしろ保護しなければ……、株主なんてものはもう最も税金や何かの対象になるのですから、幾ら配当しましてもその配当に対しては税金が行くのです。そうして私は若しそれが有利ならばそこに資金が集つて、そうして国家の財政資金の援助が要らないわけです。そこで私は逆であると思うのです。配当なんかは若しできれば私はやつて欲しい。併しそれよりも経費に対して十分なる監督が行われていないと、それこそこういう問題については特に公用族、社用族の新聞記事の種になるようなことが起りがちになりますから、こういう問題については特に監督の衝に当られておる者は厳密な運営方を私は要望しておきたいのです。
以上を以て私は質疑を打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/35
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036・小酒井義男
○小酒井義男君 ほかの問題ですけれども、やはり海運関係の問題で資料を局長にお願いしたいのです。この前繋船の船舶の買上げをやりましたね。あのときに運輸省としては、あの買上げまでの仕事をおやりになつたと思いますが、そこは買上げまでですか、どれだけの船を買上げたのですか。そうして先ずどこの会社からどういう船を幾らで買上げたということを一つ知りたいのです。それからこれは運輸省のほうではおわかりにならんのですか、途中で払下げしたのですね。元の船の持主へ……、これがどれだけあつてあとスクラップして払下げたものはどれとどれだというような最後的な問題まで、委員長のところまで運輸省のほうから資料としてお出し願いたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/36
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037・甘利昂一
○政府委員(甘利昂一君) はあ、できます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/37
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038・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) それでは国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/38
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039・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 議事進行について。一昨日十日に、これは前日委員長並びに理事の間で運輸委員会今後の進行目標というものをお作りになつて、十日の運輸委員会に御提出になつたわけであります。非常に御苦心の跡はわかるのでありますが、十日の委員会においてはいろいろとこの進行目標について論議せられて、結局この目標というものが一部修正をされておるのですね。即ち十日の一般運輸事情に関する質疑応答は、運輸省の最高責任者である運輸大臣、国鉄の最高首脳である国鉄総裁が出席しなかつた。それでは折角この重要法案並びに運輸事情の審議をする価値が少い、徹底しない。こういうようなことで、十日の日は質疑はやめよう。十一日には午前中に運輸と労働の連合委員会を開くということであつた。これはその午後前に運輸委員会を開いて、午後に連合委員会を開催するというふうに御訂正になられたようであります。それで十一日にこの両首脳部は出られる。そうして当面する運輸状況の諸問題について十分に論議を尽すということであつたが、昨日も出て来ない。運輸大臣も来なければ国鉄総裁も出て来ないで遂に流れた。今日は出て来る、まあ大体昨日で衆議院のほうは済むから今日は出て来るということで、我々はそういうことを期待して今日は出て来ているのです。ところがこれは、私は運輸委員長を非難するわけではありません。運輸委員長の人格も手腕も私は非常に信頼しておりますから、決して非難するわけではありませんが、突如として只今御審議になりました外航船舶建造融資利子補給法案、こういうものが上程せられて半日つぶした。一昨日又は昨日の運輸委員会運営に対する根本方針というものが全くこれは変つてしまつているというような状況で、非常に私ども委員としても困るのであります。
御承知のように今国鉄は電産、炭労のストで、そのために全く麻痺状態に陥つている。一部の間ではこういうような状態が続くならば、恐らく暴動化するであろう。私の国の陳情のために来ている非常に年取つた七十ぐらいの町議会の議長でありますが、これは盲腸をやつて動けない、併しどうしても帰らなければならん用事があるというので切符の入手に奔走しているが、切符は手に入つたが、特別指定券もまだ寝台券も手に入らない。寝台はやめるということでありますが、これは止むを得ないとしても、そういうような瀕死の重病人でさえ指定券を買えないという、新聞で御承知のように上野あたりでは徹夜して急行券を買うために行列をしている。これは国鉄ではないが、私鉄では梅田駅に三千人の大衆が駅長室を取囲んで非常に騒いだ。こういうような状態は恐らく各所において私は頻々として起るであろう。かてて加えて十日からいわゆる遵法闘争というものが起きて、各地の情報を我々は新聞で聞き、或いは直接入手しているのでありますが、九州あたりでは四、五時間も遅延した列車は少くない。大阪では十数線の運休をやつている、電車の運休をやつている、或いは東北においても貨物列車の運休をやついて有。こういう状況であります。電産スト或いは労炭ストで殆ど致命的な打撃を受けているにかかわらず、更に国鉄のこのストに類するところの行為によつて、殆んどこの鉄道というものは目茶苦茶だ。こういうような緊急な問題か横たわつているときに、我々はどうしてもこの問題について特に慎重に又急速に運輸当局と御協議をして、そうしてこの解決の方法を一日も早く見出さなければならん、かように我々は考えて焦慮しているのであります。ところが十日以来今日で三日、殆んどそういう機会を与えられていないのであります。お互い我々委員は運輸委員会だけの委員ではないのであります。ほかにも重要な委員をやつておるのであるが、それらの委員会を私は放棄してそうして毎日運輸委員会に出て来ておる。ところが当局の怠慢、その他事情があるか知らないが、出て来ない。運輸大臣あたり来てもすぐ帰つてしまう。国鉄総裁はその廊下を歩いておつたそうだが、ここには来ない。再三の要求をしながら出ても来ないということは、これは国鉄或いは運輸当局の委員会軽視の一つの現われであると見ることもできるのではないかと思うのであります。ですから私はこの際、どうしても国鉄の麻輝状態を打開する一つの方法を見出す手段としても、運輸省首脳部の出席を求めて行き、この運輸委員会の運営方針に従つて一つ進行して頂きたい。又私どもが強く前から主張しておりますところの、新線の決定についても非常なる風評があるのであります。或いは権力の前に屈する、或いは情実によつてやる、或いは今お話があつたが、いわゆる公用族の醜聞さえも我々は聞くのであります。饗応なり、或いはその他の醜事実もあるやに世間では吹聴いたしている。私どもの南九州では、三線もあるのが一線も入つていない。これらの事実については鉄道当局でさえ非常に非難している。同僚議員の間でも論議しておられる人もあるのであります。こういうような問題に対しても我々は運輸、鉄道当局と対決する決心を持つておるのであります。ですから、希くばどうか一つこの運営については緩急の程度を一つ委員長は十分御考慮になつて、先ず当面急を要する問題を先に一つお願いをいたしまして、そうして我々に対して十分な論議の機会を与えて頂きたい。私は運輸省に対しても国鉄に対しても何ら非難するのではないのです。建設的な意見を持つている。他の委員会でもそうでありましようが、最も鉄道に対して建設的である、或いは援助的である先輩、鉄道の先輩のかたがたが委員になつておられるというような、情誼的な美しい関係があつて、非常に建設的である。私どももその驥尾に付して、今まで決して運輸省、国鉄なりを攻撃するつもりで質問応答したことはないのであります。併しながら場合によつてはこれは対決をしなければならんことがあるかも知れません、現在の国鉄首脳部が、果して難局を背負つて行くだけの能力があるのか、ない者は速かにこれは退陣して、能力ある者に譲るべきである。こういうような問題に突進んで論議をしたい。ところが一向に、今日で三日、私は毎日来ている、三日そういう機会を与えられない。又いつそういう機会が与えられるかという目安もつかない状況にあるのであります。ですからどうか一つ賢明なる委員長、理事諸君が進行目標を定められ、そうして十日の本委員会において多少の修正を加えて、円満なる運営をしようという方向に進んでおるのでありますから、大概な無理を押しても、運輸大臣なり国鉄の総裁なりは委員会に出席せられるべきであると思うのであります。又委員長にしても、この目標を御変更になるならば、一応委員会を開会せられる前に、こういうふうな事情で大臣、総裁は来ない、この際こういうような法案を上程したいがという一応のお話があつて然るべきではなかろうかと、私は考えるわけであります。あえて私は不平を言うわけではありませんが、当面の問題、急迫せる当面の問題についていろいろと重大な問題がありますので、運輸大臣、国鉄総裁がこの委員会に出席して、我々の質問に答えられる機会はいつお与え下さるのか、そのことを一つ当局とも御協議の上、見通しをお教え願いたい。そうでないと便々として私どもは毎日出て来て、昨日も私は弾劾裁判長の選定の問題で重要な委員会があつたのだが、これにも出ないで私どもは来ている。この際一つこの運輸委員会の運営の方針に従つて御進行を願いたいと共に、それが実現ができるようにお運びを願いたいのでありますが、委員長のまあ御意見或いはお見通しについては一応一つお話を願いたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/39
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040・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/40
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041・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) それでは速記を始めて下さい。
只今前之園さんの御意見もありましたので、明日は予定の通り午前十時から運賃その他の問題に関して委員会を開くことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/41
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042・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) それから大臣並びに総裁は是非出席されるように只今副総裁並びに政務次官にお話をして、御両所ともできるだけ努力をするという言質を得ましたので、又こちらからも直接それぞれお話をしたいと思いますが、そういうことで御了承を願います。
本日はこれを以て散会をいたします。
午後零時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01019521212/42
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