1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年二月十九日(木曜日)
午前十時四十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 藤森 眞治君
理事
藤原 道子君
山下 義信君
委員
草葉 隆圓君
長島 銀藏君
井上なつゑ君
堂森 芳夫君
谷口弥三郎君
委員外議員
松原 一彦君
国務大臣
厚 生 大 臣 山縣 勝見君
政府委員
文部省大学学術
局長 稻田 清助君
厚生省医務局長 曾田 長宗君
厚生省保険局長 久下 勝次君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
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本日の会議に付した事件
○国民健康保険再建整備資金貸付法の
一部を改正する法律案(内閣送付)
○派遣議員の報告
○小委員会設置の件
○社会保障制度に関する調査の件
(インターン制度に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/0
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001・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 只今から厚生委員会を開きます。日程によりまして国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/1
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002・山縣勝見
○国務大臣(山縣勝見君) 只今議題となりました国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申上げます。
御承知の通り保険者の診療報酬の未払を解消し、国民健康保険の再建整備を助成するため、第十三国会におきまして国民健康保険再建整備資金貸付法が議決せられ、公布施行を見たのでありましたが、更にこの貸付金額を増額し、再建整備計画を促進致しますために、この改正案を提案する次第であります。
改正の第一点は、現行法では昭和二十六年度末までの診療報酬の未払を昭和二十九年度までの間に解消することになつておりますのを、昭和二十七年度末までの診療報酬の未払を昭和三十年度までの間に解消するように改める点であります。
改正の第二点は、貸付対象額は、現行法では未収保険料の百分の五十となつておりますのを、百分の八十に引き上げて貸付金を増額し、これに伴い、保険者が未払診療報酬の支払に充てるべき自己資金が、現行法では貸付金額と同額となつておりますのを、貸付金額の四分の一相当額に引き下げ、保険者の負担の軽減を図るように改める点であります。
改正の第三点は、昭和二十七年度における貸付金の予算額は、約四億五百万円でありますが、現行法により現在までに貸付の決定した金額は約一億八千六百万円であり、これは貸付金額が少いためでありますので、本改正案におきましては昭和二十七年度の貸付につきましても、前に申し述べました改正に倣つて、その貸付対象額を増額することができるように改正いたしたいと存じます。
以上がこの改正法律案の要点であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを御願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/2
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003・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 引続きまして保険局長から補足の御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/3
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004・久下勝次
○政府委員(久下勝次君) それでは只今大臣から提案の理由の御説明がございましたが、補足的に御説明申上げたいと思います。
只今大臣の説明にもございましたように、貸付制度が昭和二十七年度から実施になつておりまして、本年度の予算総額は四億五百四十三万八千円になつたのでございます。併しながらもともとこの貸付制度というものが一方におきましては将来の赤字の解消を図るような措置がとられまして、そのうらはらとして過去の赤字の解消といつたようなことでもともと出発をいたしたいと考えておつたのであります。昭和二十七年度におきましては将来に対する赤字の解消策としての給付費に対する国庫補助の実現をみることができませんために、片手落の制度にもなつておつたのであります。なお又貸付の條件が厳格でございまして、特に只今提案理由の説明にもございましたように、政府から貸付けました金額と同額のものを、苦しい財政の中から自分で調達をしなければならない建前になつております関係もありまして、私共の想像では現実に五千余の保険者のうち二千三百程度の保険者は、この貸付は資格條件に該当するということを見込んでおつたのでありますが、実際に貸付を申請して参りまして、今日まで貸付を決定いたしました保険者数は五百八十七保険者に過ぎないのでございます。その金額は一億八千六百六十七万二千円でございまして、四億五百四十三万八千円の予算額と比較いたしますると、二億二、三千万円の予算が不要額として残ることになつてしまう状態であります。そこで来年度及び本年度の考え方といたしまして、まず来年度におきましては一方におきまして御案内のような給付補助が実現をいたしまして、まずまず将来に亙つての赤字の生じないような保険財政の経理ができる見込がつきました。そこで過去の赤字につきましては、現行法では昭和二十六年度末に存在する赤字を対象といたしましたのを、昭和二十七年度末に存在する赤字まで解消して行くというような予算措置が、政府部内におきまして承認をせられました次第でございます。
その金額を御参考までに申上げてみたいと思うのでございますが、私どもの方で推算をいたしてみますると、昭和二十六年度末に存在をいたしました赤字のうち、本年度の貸付金によつて解消します部分を差引きますと、四億二千七百八十七万九千円、これが昭和二十六年度末に存在することになる赤字であります。将来に持込まれるものと見込んでおるのでございます。それから昭和二十七年度に新たに単価の値上り等で発生いたします赤字が六億六千二百二十二万七千円でございまして、この両者いずれも保険料徴収割合が七〇%以上のものだけを拾つておるのでございます。合計いたしまして十億九千十万六千円というものが、昭和二十七年度末に本年度の貸付金を差引いて残る金額ということに見込まれるのでございまして、その八割相当額は八億七千二百万円でございます。これを提案理由の説明にございましたように、三年間二十八年度、九年度、三十年度にわけまして、本年度分として四億六千八百九十万六千円が計上されておりますわけでございます。結局くどいようでございますが、三年間に亙つて総額八億七千二百万円の貸付をいたしまして、これによりまして、少くとも徴収保険料の徴収成績七〇%以上の保険者につきましては、過去の赤字はこれによつて解消されて、将来に亙りましては給付費の補助が実現いたしましたことによりまして、安定した保険財政が期待されると考えておるのでございます。なお本年度の予算の不要額になる見込は、これも申上げましたように一億二、三千万円出て参りまして、財政当局と折衝いたしました結果、現行の貸付法を改正をいたしまして、本年度中に御審議を煩わしまして得たる法律に基いて、本年度すでに貸付けました、先ほど申上げました一億八千万円、五百八十七の保険者に対しましても、十分の五を十分の八まで上げて差額を貸付けたい、こう考えております。同時に又貸付の資格のありますもので、まだ申請して参りません者が多数あるように見受けられます。今年度の三月末までの間に新らしい申請を受付けまして、そうして私どもとしては今年確定しております四億五百万円の予算におきまして、金額を貸付け得るように措置いたしたいと考えておる次第でございます。と申しまするのは、四億五百万円という既定予算につきましては一応繰越の御承認を得ておるのでありまするけれども、併しながらこれは三月末までに債務が確定いたしませんと繰越ができず、従つて不要額になる虞れがございますので、この際昭和二十八年度以降の今申上げましたような方針と同様に、本年度の貸付につきましてもその方針に準じまして、貸付額を増額するような措置を御承認を頂き、これに基いて本年度中に貸付債務の確定をし、予算の繰越をいたすようにいたしたいという考え方で、本案が仕組まれておる次第であります。
以上補足的に御説明を申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/4
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005・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 本案に対しまする質問は次回に譲ることにいたしまして今日はこの程度にいたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/5
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006・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) それから引続きまして先般の議員派遣によりまする派遣議員の報告を求めます。第一班は藤森眞治、第二班は井上なつゑ君から報告願うことにいたします。それでは第一班は私から第一班の視察の報告をいたします。
第一班は、藤森、常岡、河崎三議員が多田専門員、齋藤法制局主事を帯同して一月十日から六日間奈良、京都、和歌山の三府県につきまして、社会保障制度主として同和問題、生活保護法の実施状況、国民健康保険の現況、母子福祉対策の状況、その他社会福祉施設について視察いたしました。
第一に、同和問題につきましては、奈良、京都、和歌山の三府県とも熱心な関心を示しており、全面的解決の態度でのぞんでおります。併しながら、限られた地方団体の財政を以てしては、これが十分な解決を期することは至難といわざるを得ない状態でございます。今回の視察により感じましたことは、同和関係部落に対する差別感は、一般的感情の中に、又行政の中に存在し、意識的に或いは無意識の中に行使されてきており、現在においてなお存在している状態でございます。差別感は観念の中に存するのでなく今日の部落の実体のうちに存在しているのでございます。かかる部落に対する差別感がなぜ存在するかということは、歴史的に理由のないことであり、徳川氏によつてとられた封建政策の一の現われであつたものが、今日の気の毒な部落の発生となつたのでございます。発生的に理由のないにもかかららず、しかも新憲法の現在において尚一般人の感情の中に又、行政の中に事実として行使されるということは、この部落特有の経済的貧困状態、密集している住宅、不衛生な環境、非文化的生活、無教育こういつたもののマイナスがマイナスを生む結果となり、かかる生活をする部落の人に接する人に必然的ともいうべき差別感を生ずることになるのでございます。これら部落の人口は、奈良県では約五万三千人、京都府では約五万二千人、和歌山県では約五万七千人でございます。今回部落の現地を視察いたしましたのは、京都の養生地区、和歌山県御坊町の園地区でございますが、いずれも密集した住宅であり、大半がこわれかかつており、ひどいのになりますと二畳間に六人で生活している家もありました。最近にいたり当局の協力によりまして、道路は一部拡げられましたが、その外はいずれも歩くのがやつとであるという密集地に住居しており、一度火災が生ずれば部落ことごとく焼失の運命にさらされておる状況でございます。これら部落の人々の職業と申しますと群小の小商工業者と零細農家と日雇労務者が大半でございます。今和歌山県御坊町の園地区の実体調査に徴しますと、その面積は、全町の二%であるにかかわらず、人口は二〇%であり、一人当りの畳数は一、三枚であり、生活保護法による被扶助者数は、全町の総人口一万六千四百二十六人うち八百五十二人を算え、教育面におきましては、長期欠席児童は、小学校においては、就学児童数四百五十八人うち四十七人、中学校では百九十三人うち四十五人、高等学校に就学している児童の数は僅に二人という状態でございます。又環境衛生面におきましては、上水道は全然布設されておらず、下水道の普及も十分でないことから衛生的には全く考慮されておらず、その結果七〇%がトラホーム患者であり、診療の結果発見されて相当進行している結核患者数は三千三百人うち百十四人であり、ヒロポン患者は三千三百人うち二百五人であり、これらはいずれもマイナスがマイナスを生むという結果の現われであり、最早このままの状態は一刻も放置しておかれない現状に到つております。
この問題に対する県当局と同和関係者の対策といたしましては、県によつてその対策を異にいたしておりますが、積極的にこの問題をとりあげて解決すべきであるという考え方(奈良県、和歌山県)と、一般行政面において例えば住宅政策とか教育或いはその他の行政を通じて改善して行くという考え方(京都)と二通りございます。部落に対する差別感が単なる観念の中にあるのでなく、今日の部落の実体の中に存するということから、部落の実体を改善することによつて徐々にこの差別を除いて行こうとするのが後者の考え方であり、直接部落問題をとりあげ、研究し、この際解決しようとするのが前者の考え方でございます。又同じ同和問題の研究に従事している者の中にも、例えば京都の如き同和連盟と部落解放委員会という主義を異にする二派がございます。県当局においても、これが解決のためにそれぞれ同和問題研究機関を設置して研究しており、それぞれの面から何んとかこの際問題の解決を期している状態でございます。その現われは、今回視察いたしました養正地区におきましても或いは園地区におきましても道路の改善に公衆便所の設置等に現われておりますが、限られた県の財政のみではほとんど問題にならない状態でございます。国として現在、同和事業対策費を特別地方財政平衡交付金として交付しておりますが、和歌山の如きは、二十七年度は国の示した規準によれば千三百万円の交付を受けていることになつているのにかかわらず、これが市町村に参りますと、その使途が不明確になつている現状でございます。従つてこの際国の責任として積極的にこの問題をとりあげ解決策をなすべきであるというのが一致した意見でございました。以上は同和問題に関する大略でございますが詳しいことは専門委員室に資料が備えてございますから何とぞ御覧願いたく存じます。
第二に、生活保護法の実施状況といたしましては、京都府におきまして問題としておりますのは生活保護法と外国人(朝鮮人)との関係でございます。稼動能力があると思われるにかかわらず外国人(朝鮮人)であるため言語の不理解とその他の理由で生計の実態を把握することが出来ず認定が困難であります。地方の意見としては生活保護法は本来、日本国民にのみ適用されて然るべきであるにかかわらず、これを外国人(朝鮮人)にも適用するのは矛盾であり、一部地方団体の負担において保護するのは妥当でなく、これに対する何らかの対策が望ましく、これら外国人に対しては、全額を国の負担にするように特別法を制定してもらいたいということでございました。現在京都におきましては朝鮮人の数は三万七千百三人であり、そのうち被保護者数は、一万二千六十七人でございます。和歌山県におきましては、特別勤労控除のわくを引き上げるべきであるということでございました。現行法のままですと特別勤労控除額が低いため自立更生の意欲に燃えて努力する者に薄く、かえつて家計のやりくりの下手な者や生計維持に十分努力しない者等に厚くなつており、その結果勤労意欲が減殺されるおそれがございます。現在和歌山におきましては一人につき百五十円の勤労控除を行つておりますが、この額を倍額に引き上げることによつてかかる一般社会通念に反する結果の生ぜざることが望ましいということでございました。
第三に、国民健康保険につきましては、その普及が低調であり、その保険料の収納率は悪くいずれの府県におきましても赤字の状態でございます。和歌山県におきましては、保険者は二千七百万円の赤字を示しており、奈良県におきましては、昨年九月末現在の調査で五百万円の赤字を示し、京都におきましては、三千四百八十三万円の赤字を示しております。このままの状態では、国民健康保険の事業は休止するほかないという状態に到つております。これが未施行の他の市町村に影響いたしまして普及率低調となつております。和歌山県の調査による赤字の原因を事項別にみますと、保険料が低いためというのが七三%、保険料徴収が悪いためというのが一五%、診療施設の運営が悪いためというのが六%、過年度の保険料等未収の多いためというのが三%その他が三%となつております。各府県とも県費の補助により昭和二十七年度は、一応その危機を脱しましたが、受診率上昇による給付費の増加は確定的であり、加うるに一点単価の値上等により更に赤字が増大するものと予想され、ここにおいて乏しい県財政より逐年の補助は不可能であるので、目下実施されている奨励交付金、長期貸付金の枠を拡大すると共に給付費に対する国庫補助が必要とされる状態でございます。
第四に、母子福祉対策といたしましては、奈良県における母子世帯数は、約二万八千六百世帯でございまして、母子福祉対策として昭和二十六年度より実施しております。同県におきましては、生業資金の貸付として一母子世帯に対し二万円以内、利率年三分、貸付期間五年で昭和二十六年には二百三十七人に金額にして四百万円、昭和二十七年にはこ百五十四人に金額にして五百万円を貸付けております。母子福祉教育資金の貸出しとして、母子家庭の子女であつて高等学校に在学する者一人に月七百円以内を無利子で貸出しております。その他内職の斡旋、女子母子相談員の設置、未亡人会の指導の育成を行つております。京都府におきましては、母子世帯数は約二万三千人で、そのほとんが生活に困窮している者でございます。昭和二十五年に京都府母子福祉対策委員会を設置し、昭和二十六年度において予算百八十二万円で各地方事務所に母子相談員一名宛計十一名を環境を同じくする未亡人中より採用して母子家庭の相談にあたらせております。又昭和二十七年度には京都府遺児奨学資金貸付規則をつくりまして、高等学校在学者で学費の支弁の困難な者に対して必要な資金を貸出しております。和歌山県におきましては、母子世帯は一万六千で、これらの世帯に対しまして、生業資金及び奨学資金の貸付を行つており、又母子家庭の相談に応ずる母子相談員を設置しております。生業資金の貸付といたしましては、八百五十五万円を計上し六百二十九名に(一世帯約三万円以内)貸出しており、奨学資金としましては、三十六万円を計上し、七十一名に貸出しております。
以上大略を申しましたが、母子福祉対策としては、奈良、京都、和歌山の各府県とも非常な熱意をもちましてこれが対策に当つております。加うるに今回制定をみた「母子福祉資金の貸付等に関する法律」によりまして母子世帯に対しまして、明るい希望が見えて参りましたが、各府県とも全般的な母子福祉法制定の要望がございました。
以上のほか、各府県から厚生行政に関する要望がございましたが、ここにとりまとめて申上げますと、奈良県におきましては、遺族国庫債券担保貸付資金割当額の増額、児童厚生施設の設置及び青少年保護育成対策費に要する国庫補助、元軍人恩給復活に伴う職員の配置予算、国立公園に対する補助、入院患者に対する加配米の増加、公的医療機関の整備に対する起債認証額及び国庫補助額の増額、上水道補助金及び起債認証額の増額、改良便所の補助金交付、麻薬取扱事務の地方移譲、公定書及び公定書外医薬品の許可取扱事務の地方移譲について要望があり、京都府におきましては、社会福祉主事の任用についての国家試験、社会福祉法人の監督権の府県移譲、災害救助法の改正、戦傷病者に対する更生医療制度の一般身体障害者への適用、国外よりの寄贈物資の輸送費の国庫負担、遺族国庫債券担保貸付資金の増額、引揚者住宅の払下緩和、民生委員法の改正、児童福祉措置費の国庫補助以外の負担額を法定措置権者が負担するよう児童福祉法の改正、児童福祉施設設備費に対する国庫補助の獲得、青少年保護育成事業費に対する国庫補助、戦犯刑死者の遺族に対する援護、未復員者及び特別未帰還者の給与額の増額、結核及び精神病床増設の起債、水道條例及び下水道法の改正、鼠族昆虫駆除及び予防接種の補助、汚物掃除法の改正、公衆浴場法の改正、環境衛生法の制定、理容師、美容師試験の延期、簡易水道に対する国庫補助、肢体不自由児施設費の国庫補助の増額、入院患者に対する主食米の増配、栄養改善法の改正について要望があり、和歌山県においては、遺族国庫債券担保貸付資金の増額及び早期買上、引揚者の更生資金の国庫支出、福祉施設に対する国庫補助、国民健康保険の事務費の全額国庫補助についてそれぞれ要望がございました。
次に奈良県未亡人大会に出席いたしました。この大会は昨年通過いたしました「母子福祉資金の貸付等に関する法律」の制定の祝賀を兼ねた母子福祉対策確立のための会であり、県下二千五百名の未亡人が出席し非常に盛会裡に挙行せられたのでございます。同大会の席上全般的な母子福祉法制定の要望と共に目前の問題としてれ母子寮の増設、内職の斡旋、生活保護法の適用を受けざる母子世帯に対する医療扶助、自立による授産場の設置援助、固定資産税の減免等につきまして要望がございました。
最後に福祉施設の視察といたしましては、奈良県の福祉法人養老会、奈良市立授産場、京都の府立洛北寮、京都府立母子寮、同鴨川保育所を視察いたしました。京都の洛北寮は、主体を養老施設においていますが、それに更生救護施設、医療施設、授産施設等をも併置しており、収容人員は養老施設二百四人、更生救護施設百四十四人であり、これら収容された者は、授産施設において働けるものは働き、働けない者には安心して保護が与えられることになり、疾病にかかれば医療施設が併置されているので、医療を受けられるようになつております。奈良市立授産場につきましては、主として縫工技術の就得施設でございますが、そこで受ける賃金は一人当り一ケ月千円から三千円程度であることは、職業補導のみを目的とする施設であれば仕方がないが、それによつて生活をして行くというのであれば問題であります。このことは授産場一般についての研究すべき問題であり、もつと生活し得る程度の賃金を与えられる技術を修得する必要があるのではないか。しかしながらこれらの福祉施設は、いずれも府、県、市の補助の下に、漸次内容の充実をみつつあり、且つ、収容されている者にとつて不満はないものの如く見受けられましたが、財政的に限られている現状においては、かかる施設に収容されている人の数は、入所希望者のほんの一部の者である事を思えば、社会的に不利益な状態にあるこれらの人々を収容する社会福祉施設の積極的な大規模の拡充こそ望ましいことであると考えられる次第でございます。
以上をもちまして第一班の視察報告を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/6
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007・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 第二班の報告、井上なつゑ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/7
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008・井上なつゑ
○井上なつゑ君 第二班の視察状況を私から概略御報告申上げます。第二班は重森委員と私、専門員室から長谷川調査員、法制局から三嶽参事が同行して、一行四名で去る一月十三日から一週間に亘りまして、兵庫、岡山、広島の三県の状況を視察して参りました。最初草葉委員も御参加なさる予定に相成つておりましたが御差支えのため御参加頂けなかつたのは残念でございました。
一行は去る十三日の夜東京を出発いたしたのでありますが、途中関ケ原附近で大雪に会いまして列車が何べんも立往生いたしましたので、遂に約五時間も延着いたしましたため、兵庫県下における視察は予定通り実施することが出来なかつたのは誠に遺憾でございました。
次に調査項目に従いまして三重県下の概況を申上げます。
(一) 生活保護法の実施状況
(1) 兵庫県の概況
昭和二十七年十月末現在、県人口三百三十万余(七十一万世帯)の内被保護者数八万二千余人(千人につき二四・八人)世帯数三万三百余(千世帯につき四二・八世帯)で、同年十月中に支出した保護費総額は約一億二百万円となつております。
被保護者数は本法施行当時十二万五千余人あつたのが、その後漸減して二十三年十一月には七万六千余人となり、相当期間横ばい状態を続けていたが最近は八万人台となり、今後におきましても減少の兆候は認められないそうでございます。
(2) 岡山県の概況
昭和二十七年十一月現在の被保護世帯数は一万八千百九十で人員四万九千五百余人、保護費は約六千万円、保護率が二九・五でこれは全国基準から見ても高率となつております。
被保護人員の動きは横ばい状態でありますが保護費は漸増し特に医療扶助費の増加が目立つようであります。
生活保護法に基く保護施設は県下に三十五カ所ございますが、そのうち岡山市内にある有隣会授産場を視察いたしました。本授産場は昨年四月社会福祉法人として認可され、収容人員五十名で繊維品の縫製加工(依託加工)を行い、従業員の月収は平均五千円位ありまして、円滑に運営されております。
なお児童福祉施設マリヤ園を視察いたしましたが、本園はカトリック教会の経営で、乳児院と養護施設とがあり、設備もよく整然として堅実に運営されております。
(3) 広島県の概況
昭和二十七年十一月現在の一斉調査の結果によりますと、本県被保護世帯数は一万八千九百九十世帯、人員四万八千三百七名、保護費六千二百余万円、保護率二三・二と相成つておりまして、世帯主を性別に見ますと男世帯四三・八%に対し女世帯が五六・二%を占めております。又保護費につきまして、生活扶助費(二千七百余万円)よりも医療扶助費(二千九百余万円)の方が上廻つている点は注目を要すると存じます。県下における生活保護法関係の保護施設は三十三カ所で約千六百名収容しておりますが時間の都合で実地視察を割愛いたしまして、その代り児童福祉施設六万学園を視せて頂きました。本園は精薄児の養護と教育を兼ねた施設でありまして、去る昭和二十六年十月天皇皇后両陛下の行幸啓を仰ぎまして以来、園長以下職員一同その光栄に感激しつつ、赤字に悩みながらも職務に専念しつつある実情を拝見して胴を打たれた次第であります。
(二) 母子福祉対策について
(1) 兵庫県の概況
昭和二十七年九月一月現在の一斉調査による推計によりますと、本県の母子世帯数は二万九千五百八十世帯で、これを原因別に比率を出しますと、一般病死に因るものが最も多く五〇・八%を占め、戦傷病死に因るものが第二位で二八・一%と相成つておりまして、母子世帯の児童数は零才以上二十才未満のものが約六万三千人となつております。本県におきましては既に一昨年あたりから母子福祉奨学資金貸与規程、未亡人生業資金貸付規則等を制定いたしまして、昭和二十七年度におきましては約二千万円の県費を計上して、これら資金の貸付、(奨学資金は無利子、生業資金は年三分)未亡人団体の育成指導、内職の斡旋等を実施いたしております。
昭和二十八年度事業計画の構想を申上げますと、
(1) 母子福祉資金の貸付等に関する法律の施行
(イ)資金貸付
予算額 八千六百万円
(ロ)母子相談員設置(各福祉事務所に一名宛) 四百万円
(2) 低家賃更生母子アパート設置
一千万円
(3) 母子福祉センター設置
五百五十万円
(4) 母子福祉月間の実施 百万円
(5) 未亡人団体の育成指導
三百万円
以上計約一億一千万円の予算を計上する計画をもつております。
丁度神戸市に到着いたしました日に、市内で未亡人代表者の会合がございましたのでちよつと顔出しいたしましたところ、田村会長から一同を代表して、「母子福祉資金の貸付等に関する法律」の制定に関する参議院の努力に対しまして深甚なる謝意を表明された次第でございました。
(2) 岡山県の概況
本県の母子世帯推計数は一万六千余でありまして、本県におきましても早くから生業資金、奨学資金の貸付規程を設けまして、これを実施しておりますが、昭和二十七年度におきましては生業資金(貸付利率年六分)二百二十万円、奨学資金(無利子)四百七万円の県費を計上して貸付を実施いたしております。
本県下の未亡人会の結成は種々の事情により遅延しておりましたが、既に七割程度設立され今春には県未亡人会連合会が設立される予定のそうでございます。
(3) 広島県の概況
昭和二十七年度における本県母子福祉対策の概要を申上げますと
(イ) 生業資金の貸付
予算額は五百万円で、一世帯に対し三万円以内、連帯の場合は二十万円以内を無利子で貸付けています。
(口) 未亡人援護県委託事業
予算額百八十万円、広島県連合未亡人会に対しまして、母子生活相談事業、技能習得講習事業、機関紙の発行事業等を委託しています。
(ハ) 奨学資金の貸付
予算額三百万円、その他母子保護施設の増設整備、及び未亡人団体の育成指導等を実施いたしております。
(三) 国民健康保険の運営状況
国民健康保険の財政危機が叫ばれ、医療費に対する国庫負担の実現を図ることは焦眉の問題でございますが、次に三県下における国保の概況を申上げますと
(1) 兵庫県におきましては、事業継続中のもの百四十八のうち活動状況活発なもの(保険料収納率八〇%以上)七十六、やや活発なもの(……収納率七〇%以上)二十二、普通のもの(……五〇%以上)三十二、不振のもの(……五〇%以下)十八と相成つております。保険料の負担状況は被保険者一人当年額、最高三千円、最低四十五円、平均二百五十二円となつておりまして、保険料調定額八千五百九十余万円に対して収納済額が四千六百余万円で収納率が五四%(二十七年九月末現在)となつております。又診療報酬の支払状況を見ますると昨年九月末現在におきまして、支払義務額九千八百八十余万円に対して、支払済額が七千九百六十余万円、未払額が一千九百余万円と相成つております。
(2) 次に岡山県におきましては、国保の普及状況は他県に比し著しく低調でありまして、昭和二十七年十月末現在におきまして保険者数僅かに七六で県下市町村総数三百二十八に対しまして普及率が二三・二%という実情でございます。これは同県が農業県であるため、農民の生活が比較的に安定して国保に対する関心が乏しい故であるそうでございますが、県当局におきましては目下国保の趣旨の普及徹底に鋭意努力中のようでございます。
(3) 広島県におきましては、事業実施中のもの百五十一、二十八年度中に事業再開見込数百四十九、計三百でございますが、事業実施中のものも経済的には楽観を許さず、その原因としては、診療単価の引上げと、受診率の増嵩による保険給付費支出の増大が保険経済に多大の影響を及ぼしており、一方市町村民の経済力は、最近いわゆる金詰りが反映して納付義務者の担税能力も限界に達した感が見受けられ、徴収金の徴収は一段と困難の度を加えたため、保険者側はこれら滞納、未納の整理に日夜頭を悩ましこれが事業運営上大きな支障となつているので、県当局におきましては、これらの険路打解のため目下鋭意努力中とのことでございました。
(四) 同和事業の現況
今回の同和事業の調査は、一般厚生行政に関する調査事項の一環として調査に赴いた次第でございましたが、地方における同和事業関係者は、これに多大の関心と期待を寄せ特に広島県におきましては、解放委員会の代表者は県で作成した視察日程に不満の意を表し、日程一日延長方を県に対し強硬に主張したため、県当局との間に意見対立して相当紛糾を来し、夜を徹して折衝を重ねた結果漸く大原知事立会いの上、われわれ一行に対し日程一日延長方を懇請されることに決着いたしましたので、われわれもその熱意を諒といたしまして、予定の日程を一日繰り延べまして詳さに部落の実情を視察することにいたした次第でございました。
三県とも先ず県当局から同和事業に関する県の施策の概要を聴取いたしましてから、同和事業代表者と懇談をいたし、部落を実地に視察いたしたのでありますが、そのあらましを申上げますと
(1) 兵庫県の概況
昭和二十三年三月現在の調査によりますと、兵庫県下の同和事業関係部落数は三百四十六、戸数三万一千三百二十七、人口十五万九千九百五十六人うち農家戸数が一万三千六十五で平均耕作反別は三・三反と相成つております。昭和二十七年度の同和事業関係県予算額は七百万円でうち六百三十万円が部落対策費でありまして、これは部落の環境整備施設、文化的施設、経済的施設、衛生施設及びびその他の施設に対して、一ケ所当り十万円を六十カ所に補助し、トラホーム治療所は一カ所当り五万円を六カ所に補助しておりまして、残額七〇万円が啓蒙指導費に当てられております。
同和事業関係の代表者二、三名と懇談いたしたのでありますが、その際聴取いたしました事項を要約いたしますと、「同和事業の重点は、部落民の経済力を涵養して環境の改善、生活の向上を図ることが根本問題であり、併せて啓蒙指導の徹底と同和教育の振興により差別思想の是正と文化の向上を図ることが最も肝要である」とのことでございました。
本県におきましては時間の都合上部落を実地に視察することができなかつたのは甚だ遺憾でございました。
(2)岡山県の概況
昭和二十七年七月の調査によりますと、本県下の同和事業関係部落数は三百十三、世帯数が一万五千百二で大部分が農業を営み他は行商、日傭等に従事し、一般に生活困難で生活保護法の保護を受けている率は一般民の五分二厘に対し部落民は一割二分強の高率となつております。
昭和二十七年度同和事業関係の県予算額は約八百万円でございます。
本県におきましても差別事件が相当多く二十七年度は十月までに三十六件を数えています。同和事業関係の代表者から実情を聴取し種々要望もあつたのでありますが、これにつきましては最後に一括して申上げることにいたします。
本県におきましては同和地区の下内田部落を視察いたしました。本部落は世帯数百五十二(内朝鮮人世帯十二)人口五百七十七名(内朝鮮人四十名)でありますが、住宅が密集し建物が狭隘且つお粗末で大修理を要するもの三十二、修理不可能のもの五十八、便所のない世帯が七十余もあるという実情でございました。
次に広島県の概況を申上げます。
(3)広島県の概況
本県における部落の実態調査については、昭和二十五年以来実施しているそうでありますが、未だ部落全般の正確なる実体は把握できないとのことでありまして、昭和十四年調査の概数によりますと、部落数四百二十六、世帯数九千二十二、人口四万七千六百八十名となつておりますが、その後相当増加している見込とのことでありました。
部落民の生活状態はおおむね劣勢で大多数は貧農、小規模の漁業、手工業、日傭労務者、獣肉皮革関係の業務に従事し、その業態はいずれも不安定で、しかも定着性に乏しく精神的にも自己卑下の気持や前途に希望を持たない諦観的人生観に捉われている者が尠くないそうでございます。
住宅その他の環境も極めて非衛生的なものが多く、郡部におきましては、電灯のない部落、井戸がないため小川の汚水を飲んでいる部落、或いは排水設備がないため下水が井戸の周囲に浸潤して井戸水が混濁し、これをこして飲んでいる部落等がありまして、一般に健康状態は著しく不良とのことでございました。又本県におきましても差別事件の発生は相当多く、昭和二十六年度三十五件、二十七年度は十月までにすでに五十件も発生した由で、人道上から見て誠に歎かわしいことだと存じます。特に考慮を要することは、かねてより問題の特殊婦人の八〇%は、これら同和関係部落よりの出身であることであります。
県当局が今後行わんとする施策の概要を申上げますと
(A) 精神面への運動
(イ) 指導者層の啓蒙
(ロ) 人材の登用
(ハ) 保育所、公民館等の増設
(ニ) 県民運動の展開
(B) 生活環境の改善
(イ) 不良住宅の改善
(ロ) 電灯の架設、飲料水設備の改善
(ハ) 道路、橋梁、下水設備の改善
(ニ) 共同浴場、共同便所の増設
等々でありまして、昭和二十七年度におきましては、同和事業費八百四十余万円をもつて諸施策を実施いたしておりますが、部落関係者は、この予算額に対して著しく不満を抱いているようでございます。
次に広島市役所を訪問いたしまして、市当局からその実施している同和事業関係の諸施策につきまして縷々説明を聴取いたしましてから、同和地区の実地視察に赴いた次第でございますが、視察いたしましたところは次の通りでございます。
(1) 広島市福島地区
(イ) 太田川改修河川敷に原爆罹災者約三百九十世帯が仮住しているが、都市計画による戦災復興事業の推進並びに太田川放水路開さく工事の進展と併行して不良住宅の改善建設が計画されている
(ロ) 屠殺場の視察
(ハ) 福島隣保館において地区代表者と会見実情を聴取した
(2) 江田島切串地区
大部分が漁業に従事しているが、漁獲物の販売は一般民が行つている。
(3) 福山市内の市区(瀬戸地区)
(4) 芦品郡府中町地区
府中町内の隣保館で関係者から実情を聴取した。
以上の通りでありますが、この同和事業につきましては、鳥取県からは岡山へ、山口県からは広島の方へそれぞれ代表者を派遣して両県下の実情をわれわれに訴えしめるという熱心さでありましたことを申添えておきます。
最後に三県の要望事項を一括して御報告申上げます。
国会並びに政府に対する要望事項
(一) 民生部関係
(1) 朝鮮人に対する生活保護法の適用については何らかの措置を講ぜられたい。(兵庫、岡山)
(2) 生活保護法関係の平衡交付金の算出基礎には医療扶助人員をも加味せられたい。(岡山)
(3) 福祉事務所を整備強化するため相当額の国庫補助をせられたい。(兵庫)
(4) 老人福祉法を制定せられたい。(兵庫)
(5) 街頭無宿者に対する保護指導のため特別法を制定せられたい。(兵庫)
(6) 身体障害者の自立更生を援助するため単独の更生資金貸付制度を設けられたい。(兵庫)
(7) 戦傷病者、戦没者遺族等援護法の施行に関し、昭和十六年十二月八日以前の発病であつても、同日以後死没した者には弔慰金を支給されたい。(広島)
(8) 国民健康保険医療費に対する国庫負担の実現方に関し一段と努力せられたい。(兵庫、岡山、広島)
(9) 同和事業は国策としてとりあげ、これに要する経費に対しては国庫より「ひも附」で補助することとし、特に左記事項の実施に努力せられたい。(兵庫、岡山、広島)
(イ) 不良住宅の改善を図ること。
(ロ) 環境衛生を改善すること。
(ハ) 同和教育を振興して文化の向上と差別観念の是正に努めること。
(二)衛生部関係
(1) 病院給食用主食の増配方を考慮せられたい。(兵庫)
(2) 日本医療団清算剰余金の地方還付実現に努力せられたい。(広島)
(3) 保健衛生関係予算の確保に努力せられたい。(岡山)
以上をもちまして第二班の報告を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/8
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009・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 今の報告について別に御質問も何もございませんか。御質問ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/9
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010・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 私はこの際簡単に動議を出したいと思います。これまで第十三回国会までございましたらいに関する小委員会、これがあつたのですが、今それが杜絶しておりますので、らいに関する諸種の調査を行うために、らいに関する小委員会を設けまして、その数、小委員の指名及び小委員長は厚生委員長の指名としたいという動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/10
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011・井上なつゑ
○井上なつゑ君 只今谷口委員の提案の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/11
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012・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 只今谷口委員の動議が成立いたしましたが、このらいに関する小委員会設置の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/12
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013・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。それではらいに関する小委員会を設けることに決定いたしました。その数、委員の指名、小委員長はのちほど指名いたすことにいたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/13
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014・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/14
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015・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 引続きまして日程の社会保障制度に関する調査につきまして、今日はインターン制度についての政府側の今日までのいろいろの経過その他を承わりたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/15
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016・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。
それから今日は委員外議員として松原議員が御出席になりまして、委員外議員の発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/16
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017・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。
なおちよつと申上げておきますが、今日は医務局長と、それから文部省のほうから大学学術局長に御出席を願つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/17
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018・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) それでは簡単に只今までのこの問題の進捗状況を御報告申上げます。
御承知のように、この制度は戦後設けられた制度でございますが、この考え方としては戦前からも必ずしもなかつた考え方ではなかつたと存ずる次第であります。殊に戦争後に卒業して参ります新しい医科大学及び医学専門学校の卒業生の医術、医学に関しましての力というようなものがどうも不十分であるというようなことから、その卒業後におきましても実地修練を受けさせることが必要であるということになりまして、その実地修練を経て初めて国家試験が受けられるということに定められたわけであります。で、勿論これは戦争中において教育が非常に不十分であつたということに基く特殊な事情にもよるというふうに考えられますが、更にもう一つ大きい問題は、戦前におきましてもこの医師の教育というものが、従来大学或いは医学専門学校で以て行われました程度のもので、果して医業の実地に従事するに十分であるか否か。学校においては相当講義は聞いておりますし、一応の実地講義等も受けておるのでありますけれども、この臨床の実地ということになりますと必ずしも十分でないというようなところから、どうしてもこの医学校の教育で以て十分尽せないところを卒業後において実地に補わさせるということが必要と考えられて、この制度が生まれたと思うのであります。ところが実際に実施いたしますと、この制度がまだ新しい制度で十分熟しておりませんために、折角修練生が実地修練の病院に参りましていろいろと勉強をしようということになりましても、必ずしも自分たちが期待したような指導を受けることができないということが一つ。それからこの新しい学制によりまして、医師になるという医学教育が普通の他の方面における教育よりもかなり長い年限を要して卒業いたしておるわけでありますが、その上に更に実地修練の期間を一年とられるというようなことは、非常に一人前の医師になるということのために時間を費やすことが余りに多過ぎるというようなところから、何とかこれをもつと短縮することが考えられんかというようなことがその面から考えられて、又そういうような点からいろいろ医学生の中にも経済的に困難しておる者もありますために、経済的になかなかやり切れないというような点。こういうようなものが幾つか合わさりまして、更にもつと申しますれば、この実地修練生というものが、これが学生であるか或いは医師であるか、そのいずれでもない、そうして医師の診療を多く見習うにいたしますにしても、どの程度のことがその本人たちにやることを許されておるのか、或いは一々指導者の即ち先生と申しますか、こういう人たちの責任でただ単に一々細かく指示されたことだけをやつて行くというだけのものであるかというような身分の問題、こういうようなものに不安を感ずるというようなところから、現在の実地修練に対して鋭い批判を向けて参りました。そしてそのうち一部の人たちは、むしろこの際インターン制度を全廃したらどうかというようなことにさえなつておるわけであります。そういうようなことで、厚生省におきましてもこの問題の重要さということを十分認識いたしまして、この制度を更に再検討するということで、医師試験審議会、そのうちの実地修練部会というものを設けまして、それぞれこのインターンの教育に当つておられるいろいろな施設及び医学関係の方々に委員となつて頂きまして、いろいろ意見を伺つておるわけであります。これと同時に日本医師会におきましてもインターン制度委員会というものを設けられて、それぞれ適当な委員を委嘱されてこの問題を同時に御研究になつております。私どものほうの実地修練部会の審議もこの医師会のインターン制度委員会の進行と相並行して、又よく連絡をとりましていろいろ審議を進めて参つておるわけであります。
で結局今日までいろいろ議が進んで参つておりますことは、この実地修練の内容を充実しなければならん、今のままでは学生も不満を申しますし、又大きい目で見ましても決して十分とは考えられませんので、この実地修練の制度をおくとすればこれを十分に充実して行かなければならんということになるわけであります。こういうようにこの点に、そのほか先ほど申上げましたようないろいろな点において欠陥があるというようなことは認められますが、今日においてこのインターン制度を廃止するかどうかということになりますと幾多の欠陥はあるけれども、これはやはり必要なのではないかというふうに言われておるのであります。勿論この場合には学校におきましての医学教育というものが改められまして、そしてこの実地修練の内容を医学校の教育のうちに十分摂取されて参りますならば、必ずしもこの実地修練の制度というものは必要なかろうけれども、今日の医学校の教育内容としては、やはりそのうちの実地修練の必要というものはどうしても否定できない。で、この制度の欠陥を何とか改めて参るということで、この措置を講ずべきであるという結論に一応到達しておるわけであります。
そうなりますと、この改善案になつて来るわけでありますが、これは第一には実地修練の内容を充実するということでございまして、このためには実地修練を委嘱しております病院というようなものが果して適当であるかどうかというようなこと。又各病院におきまして如何ような内容の教育を、或いは修練を行わせるかということの細かい規定というようなものを更に検討する必要があるというようなこと。又今日の国家試験におきましてもただ単に本だけ読んでおればそれで以て試験に合格するというようなことではなしに、実地修練の成績というものを十分反映して得るような試験を行うというような措置をとるべきではないかというふうに考えられております。又修練生の待遇と申しますか所遇の問題につきましては、これもいろいろと問題がございまして、この点についてはまだ十分な結論には到達しておらんのでありますけれども、一部分の考え方としては、これは成るほど経済的にも修練生にかなりな負担を与えるのであつて誠にお気の毒な事情はあるのでありますけれども、只今のように国民の健康をあずかる医師の資格としては、ただ単に学校の教育だけではなしに、実地修練を経ることが医師の資格として必須の條件であるといたしますならば、これは医師になろうと志す人たちが或る程度の、犠牲と申してはおかしいかも知れませんけれども、それだけの資格のあるものにならざるを得ないのでありまして、その資格を得るように各人の責任において勉学につとめるということにならざるを得ない。これはほかのあらゆる職業についても同じことでありまして、ただ、医術、医業というものは、国民の健康をあずかるというような非常に崇高と申しますか公的な性格を持つた仕事でございますので、決してこれで以て産をなそうというような種類の仕事ではないということは言われますけれども、とにかく国から特別な補助を与えて教育養成をしなければならんというような類のものとは認められないではないかというような意見が一部にございます。又それに対して今申上げましたように、医業というものの特殊性からこれは国或いは公の何らかの機関を通じまして、この医師の養成ということにはもつと積極的に努力をしなければならん。即ちこの医師の養成ということに対しては、積極的に何らかの経済的な補助を与えるという方法を講ずる必要があるのではないかというような考え方も出て来るのでありまして、この二つの問題がまだ十分に結論には到達し切つておらないというような状態でございます。
それからもう一つは今申上げましたような根本問題が解決しないとしても、現実に実地修練生が相当に経済的にも困つておりますし、或る程度同情すべき点も多々ございますので、実地修練を行なつております病院において、できるだけインターンというものに対して経済的にもいろいろな便宜を図つてやるということもできはしないだろうかという考え方でありまして、これに対しては丁度看護婦の見習生の場合と或る程度似たような点もあるのでありますが、インターン生がその病院におりますということによつて、或る程度診療についていろいろな手伝いをさせることができるのではないか、又手伝いになつておるのではないかというような考え方でありまして、勿論インターンはその病院で以ていろいろ教えてもらい修練を受けておるのでありますけれども、又その施設に対しても或る程度のサービスをしておるとも考えられるのではないか、幾分の手助けになつておるとも考えられるのではないか。こういうように考えますれば、その施設のほうからも或る程度このインターン生に対する何らかの報いるところを考究してもいいのではないかという点が強く一部からは述べられまして、そういうような意味においては何か国の施設だけでもそういう措置をとつてみたらどうかというような考え方も出ておるわけであります。そのほかにこれは文部省の関係等にもなりますけれども、学生ではないかも知れないけれどもまだ一人前の医師にもなつておりませんので、学生時代に享受しておりました奨学試験を受けるというようなことの便宜をできるだけ続けさす、又その範囲を拡げて頂くように御処置を願うというようなこともお願いしたいというふうに考えたりしております。
甚だまとまりが悪いのでありますが、今申上げましたように厚生省に設けられました国家試験審議会の実地修練部会と、それから日本医師会のインターン制度委員会においてはなおこの御審議を願つておる最中でございますので、今のところまだ最後的な結論を御報告申上げるわけには行かないのでありますが、大体この考え方の進んで参つておる状況を申上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/18
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019・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 文部省のほうで稻田大学学術局長より御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/19
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020・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) インターンの制度が論ぜられますたびに、必然の関係といたしましてその基盤になる医学教育が論ぜられます。従いまして文部省所管にありまする医学歯学委員会も厚生省所管の医師国家試験委員、或いは医師会の医学教育委員と共同し、ときに合同会議等を開きながらこの問題について研究して参つたのであります。この点について常に問題になることは非常に学習及びインターンを通じる年限が長いので、本人及び家庭の負担が多いのではないかという問題であります。その点について医学教育に関して今まで関係者が研究いたしましたところ、医学教育それ自身の目的から見て、又今日の高等学校の教育の状況等を見、又単にアメリカばかりでなくヨーロッパまでかけて、世界各国の医学教育の現状等から見まして、現在の六年の大学の教育というものをこれ以上縮めるという意見は、まだ研究の上に出ていないのでございます。ともあれ終戦後のできました大学教育の制度は、先般発足いたしました文部省の中央教育審議会の議を経ませんと、改革いたしますにいたしましても実際に着手しがたいものだと思つております。いずれ中央教育審議会等におきましても、他の教育制度と同様に、この問題も論議せられることだと思つております。
更に又、今医務局長からのお話もございましたが、このインターンにおける医育実習を四カ年の医学部の教育計画のうちに完全に取入れるかどうかという問題でございます。御承知のように、医学部の教育におきましては、基礎及び臨床の学習のほかに、医学実習、いわゆるポリクリと称するものはやつておりますけれども、今国家試験がインターンにおいて期待するあの程度の実習を医学部の制度のうちに取入れるということが可能だという見込は、今のところ立つていないのでございます。従いまして、一種の臨床科として、国家試験があれだけの実習を必要とするならば、今のところやはりこれは卒業後インターンというような制度において、その目的を十分に達成するように実施について改善を工夫してやる以外にはないのではないかということが、只今までの文部省関係の委員会その他の意見でございます。
それから更に、只今医務局長から言及せられましたこのインターンの人々に対する経済的の援助として、日本育英会の貸付金があるわけでございます。で、私どもといたしましても、成るべく多くの方々に、成るべくこの単価を上げて貸付金を今日の経済状況から見て考慮いたしたいと思つたんでございます。で、育英会の貸付金も今年の予算よりは明年度要求いたしておりまする予算の方が約五億余り殖えてはおりまするけれども、主としてそれは単価の値上の故にいたしましたので、一般に人数を殖やすという点につきましては目的を達成せられなかつたのでございます。この点インターンにつきましても、予算の人数は本年度計上いたしましたのと同様でございます。併しながら恐らくこれは厚生省のほうで数字は出て参りまするけれども、実地練習生は恐らく絶対数において昨年よりは従いまして、比較といたしましては、まあ余計なパーセンテージを貸付し得るという結果がまあ逆に生ずるのではないかと思うのでございます。いずれも私どもとしては不十分だと思つております。更に又実際問題にいろいろ研究の余地があると思つております。で、この点につきましては主務省である厚生省と協力いたしまして、文部省も十分今後努力いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/20
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021・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) どなたかこれについての御発言はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/21
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022・松原一彦
○委員外議員(松原一彦君) 委員外の発言をお許し頂きましたので二、三お尋ねいたしますが、この問題につきましては、かねて論議もありましたし、実は私は学生の側から多数の数次の要望を受けておりますので、自然学生側の意見を代弁するかのごとくなりますが、これは世論に聞くという意味で一応お聞きとりを願つて御善処頂きたいと思うのであります。
第一は、インターンというものの要求は、医師になろうとする者の側から出たのか、国家が要求するのかということです。この問題を先ずお考えを頂きたい。昔は専門学校でも医者になれた、今日は相当長期の医育を受けるようにした。而もその医科大学の條件の中には、必ず附属の病院も持つておらねばならん、実地の習練、臨床の勉強は、大学在学中に当然盛り上げられている。今稻田局長は、それでは足らんと言われましたが、足らないものに何故に医学士という称号を与えてそうしてとにかく一応卒業させている。医育は卒業した、医育の課程を終つた者を医者ではないとして、そうして学生でもない、医者でもないという中途半端な身分として、これを一カ年間病院に縛りつけるその要求は一体誰がするのです。この点を一つ伺いたいのですが、医務局長なり文部省側から、それは一体誰の要求か、国が要求するのか、これを一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/22
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023・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 私どもが考えておりますのでは、他の学問でも同じでございますけれども、医学におきましても、この学問の進歩は非常に急激なものがございます。又それに基く医術というものも極めて日進月歩の姿を示しております。又、この医術及び医学の発達と共に、その内容も極めて複雑化して参つておりますので、到底数十年前の知識技術を以て、今日の国民の医療に当るということはどうしてもできないのではないかというふうに考えられます。この医学の教育の水準というようなものがおのずから高まつて来るということは、結局世の中全般の進みというものと睨み合せまして決定さるべきものであると考えるのでありますが、私もどの考えとしては、どうしても短期間の教育というものでは不十分である。そしてただそれだけではなしに、今日のこの国内の状況及び国外の医師の技術及び学問の水準から申しましても、従来の学校卒業程度のものではやはり不十分であつて、一応大きな病院における実地の習練というもの、実地の仕事の経験を積むということが一人前の医師となつて世の中に出て、国民の健康をあずかるという上においては、どうしても必要なのではないかというまあ結論に到達いたします。さように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/23
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024・松原一彦
○委員外議員(松原一彦君) 御趣旨よくわかります。日進の医学の進歩に伴つて、習練課程の延びますことは当然でありますが、それは実は際限がないのでありまして、どつかで一応の区ぎりをつけなければならない、専門学校が大学制度となり、大学制度が更に今日、他の新制大学よりも二年多い課程を求めているところに医学のむずかしさもあると思います。併しどこかで一定のけりをつけなければならん。今日の多数医師を希望する者が、卒業後においても資産の許す限り無給副手等となつて各大学に多数の者が一年じやない、二年、三年と勉強しておる。そうしなければ自信がないと言つておるのを見ましても、私は自信のある医者となる年数は必ずしも一年間のインターンできまるものとは思わないのです。これは程度の問題であつて、どこかで一定の区ぎりをつけなくちやならない。それならばむしろ大学というものの制度をば四年を五年に更に延して、学生としてこの間に十二分の勉強をさせる、訓練をする。そこに初めて医師としての国家試験もあり、学生身分の終りがあるのではないか。只今のところは、身分から申しますと、大学課程を而も二カ年普通よりも長く修めて卒業する。そうして一応医学士となるのでありますが、医師にはならない。インターンという制度によつて各病院に派遣されますが、この病院における間の身分は何かというと、医師でもなし、学生でもなし、又その病院の職員でもない。ここから生ずる幾多の苦労が学生の間には経験せられておるのであります。注射を本当はすることはできないのです。医師でない者の注射は許されない。たまたまこれが誤つた場合における責任は誰が負うか。それが先般徳島かどこかでインターンの生徒が或るヒロポン中毒患者に刺されて死んでおるけれども、これに対する補償のしようがない。学生でもなければ医師でもない、職員でもない、一体何かというと身分においても極めて不確定である。又経済面から申しましても日本の統計では給料の幾分かを支給している者は一八%で、純然たる無給が八二%、交通費の支給を受けておる者は一四%で、全然ない者が八六%、給食のある者は三九%で、これは昼飯でありますが、宿直の場合の昼飯等であつて、あとはない者が六一%、宿泊設備に至つてはある者が一八%で、ない者が八二%と、こういう状態でありまして、経済的にも非常な苦しみを今見ておるのであります。アメリカの統計というものを見ますと、有給者が九一%で、無給者が九%、一割は無給で九割は有給、給食施設はアメリカは一〇〇%、宿舎もアメリカは一〇〇%、宿舎を与え、食物を与え、更に給料の一部を与えてインターン制度がアメリカにおいては行われている。日本の貧乏な学生が他の学生よりも二カ年間長く修業して、そうして更にあとの一カ年間にかく経済的にも苦しんでおる。彼らの私どもに訴えるところを聞きますと、医者でもないためにもうびくびくものであつて、注射もしていいのか悪いのか、看護婦にも気がねして試験をいろいろやつておる。どうも身分が不確定のために落着いたる勉強ができないし、要求もできない。経済面から申しましても、身分から申しましても極めて不安定であるが上に、更にその教育内容というものが各病院によつて非常にまちまちであることは今医務局長も言われましたし、稻田局長も文部省の側からこれをお認めになつておるようである。実際行つて見て私どもそういうことをしみじみ感じますし、なおこの一カ年間が終つたあとに国家試験があつて、そこに基礎学科の試験もあるというようなことで、終りの数カ月間はもう実習は手につかない。朝から晩までもう一遍五、六年前に習つたものの読み直しをしておるというのが事実であります。誠に無駄なことをやつておるのであつて、現にこの委員に御列席の方の中には医学博士がたくさんおいでになりますが、そういう諸君も我々といえども数年前に習つたことを試験に出されては困ると言われておるのであります。卒業後の修練はこれは本人の向学心、向上心並びに経済面等から考えて一生涯続くものであつて、どこかで一応のきりをつけて、あとは自由意思によつて自由なコースをとらせるのが私は正しいと思う。そういう意味から申しましても、給食施設も、宿泊施設も、有給的待遇も与えていない、身分保障もない者を貧乏な日本でなお一カ年間引きずりつつ、その内容が極めて空疎であり、病院の側では、人が増せば水が増すで非常に消耗の面での費用がかかるというので厄介がつている。今お話の見習看護婦といつたふうに取扱われても私は困ると思う。とにかく一応国家の最高学府を卒業したる堂々たる医学士であります。やつてやれないことはない。念を入れて更に医療、衛生という重大責任を負う資格を先実するというのでありますから、二年或いは三年やつてもいいのでありますが、やつておれないものであるならば、一応の区ぎりをつけておくか、然らざれば医師としての資格は認めるが、開業の資格は一年後でなくては認めないという、いわゆる司法官の制度のようなふうに、医師の資格は卒業と共に与える。併しながら開業の資格は一カ年間の習練を経た後に与えるといつたようなふうに二段階に分けるべきものじやないか。この点につきましても私は当局がもつと親切に一つ考えて頂きたいと思う。
かようにまあ考えて参りますと、学生の側からの要求は、自由に向上の途、充実の方向を求めさせるのが本当であつて、国家が医者としての最小限の技術的な要求をするものとするならば、先ず予算面において、施設面において大いに考慮せられなければならんと思うのであります。厚生省のほうの結論は出ないけれども、中間の報告として、インターン制度の必要を認め、改善という方向をとるという御報告であつたのでありますが、改善という方向をおとりなさいますならば、私はその実のあがるようにして頂かないと、一カ年間が無駄になると思うのであります。若しその予算の充実もできず、指導の方面における内容の向上もできないとするならば、一応打切つてこの制度に終止符を打たれた方がよいのではないか。各方面の意見もたくさん集まつておりますが、廃止すべきであるという意見も随分たくさん出ております。併し「厚生情報」の本年一月号によりますと、大阪での実地習練指定病院長の意見のうち、廃止すべしというのが四に対して改善して存続すべしというのが一〇、原則として存続し多少の改善を必要とするのが三となつております。これも確かに傾聴すべき一つの統計であろうと思いますが、併し改善するならば改善するで予算面において、内容面において、制度の上において、指導監督の上においても、もつと進んだものがなければいけないのではないかと私どもは思います。こういう点につきまして、一つ今後も慎重に御研究の上によい結論をお出し頂きまするように要望いたすのであります。今直ちにお答えを頂く意味じやございません。ここにもうお目にかけてあると思いますが、何故我々はインターン廃止を主張するかという全国医大連合対策委員会の出しました本年一月のこの主張は、私は相当傾聴してよい、御覧下さつてよいと思います。これはまじめな学生たちの極めてまじめな研究であります。私はこの態度は昨年来ずつと見続けて来ております。単なるエゴイステイツクなものではないと私は見ておりますので、文部省においても、厚生省においても、どうか一つ御考慮願いたい。アメリカの輸入ではない。これは戦前からあつたものだということについても承知いたしておりますけれども、置かれたのは戦後であります。それがやはり今行過ぎを是正するという今日の日本の反省のこれは一つのやはり條件である。貧乏な国が金持の国のまねをして飛び込んだために今四苦八苦しているのに六三制の問題がある。これは今痛切にその反省をいたしております。理論においては極めていいけれども実地においては参つておる、手に負えない。ドイツはあのときに勇敢に断つて今日新しい道を歩んでおるのであります。アメリカからの指導による理想的な制度に対する反省期が今参つておるときに、このインターン制度のごときものも私は行きがかりに拘泥せずして御反省すべきときであると思う。
以上私の所見を述べて御参考に供します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/24
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025・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) それに対する何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/25
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026・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 只今の御意見私どもも有難く拝聴いたしました。又私どもの態度も学生からの要求というものを決してけしからん考えだとか、動きだとかいうふうには見ておりませんので、まじめな学生からの意見というものは一応率直に聞き取りまして、そうしてそれに対するいろいろな措置も講じて参りたい。ただ私ども根本的な考え方といたしましては、この日本において国民の医療を全うするためにはどういう資格の医師が要るかということが最も根本的な問題だと思うのであります。勿論この問題につきましても、具体的にはいろいろ各人各様な見解がありましようし、一がいに決定するわけには行かんと思いますが、この問題を十分に検討をいたしまして、そうしてそれに応ずる措置をとつて行かねばならんのじやないかというふうに考えておるわけであります。今お話にございました点、殊にこの改善案についてもつと細かく研究し又何らかの措置をとれという御注意につきましても、私どもも例えば予算措置等についても或る程度の努力をいたしたのでありましたけれども、十分満足できるような結果が得られなかつたような状況でございます。又今後の将来におきましてのこの方面の努力、又この予算に必ずしも触れないでも改善できますことについては、十分只今の御意見を胸に納めまして一つ慎重に又迅速に考究いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/26
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027・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 只今松原議員の御意見を傾聴いたしました。これを重要な参考といたしまして文部省といたしまして厚生省とも協力して研究いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/27
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028・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) ちよつと私からも二、三お尋ねしたいのですが、今松原さんのお触れになりましたように、大阪での数字も出ておりますが、いずれにしましてもインターン制度を置くということについては、できれば置いたほうがよいということは言い得ると思うのですが、併し先般も厚生省予算の説明のときに承りましたところでは、全く予算面においてはもう過去数年間ちつとも殖えていないと言つても差支えないような状況で、殆んど一施設に対する何と言いますか費用というような意味で見ておられますが、年額一千円、こういうことで、一般病院に対して一つの施設に対する、どういう意味か知りませんが、年額一千円というのは、これは現在においては金とは言えないし、補助とも言えないし、これはちよつとお話にもならんような少額である。これを改善して残すということになりますと、勿論改善して残すことができればもうそれに越したことはない。けれども予算面においてどうしてもこれは過去の状態から見ても予算面の裏付けが容易でないということになりますと、ここに何か一つ思い切つた方法を講じなければならんということになるのです。仮に改善して存続するという方針を各委員会でも、或いは審議会なり又厚生省の方針としてきまりました場合に、果して今後予算面の裏付が十分できるかどうかということについてのお見通しは如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/28
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029・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) お答えいたします。この問題につきまして今更このようなことを申上げるのはどうかと思いますけれども、結局はこのインターン制度というものを如何ように考えて行くかという考え方の問題にやはり行くのではないか。即ち勿論或る程度の予算は当然必要でございましようけれども、相当な予算の準備がなければ実行し得ないものであるか、或いはこれが先ほども申上げましたように或る程度この実地修練をいたします病院と実地修練を受ける修練生、この間の問題としては或る程度解決のできることではないか。到底そういうようなことでは解決のできない性質のものであるかどうかというようなことにも問題がまだ残つているのでありまして、このような点も先ほど申上げましたようないくつかの委員会というようなものに御審議を願つております次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/29
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030・松原一彦
○委員外議員(松原一彦君) 今のインターン生を委託する病院の国家から支給するいわゆる一千円の、如何にもこつけいな予算額であるということはこう前から問題になつているわけでありますが、これは少しも改良せられておらない。一方にこのレポートにもありますように、インターンの学生は非常に経済に困つて、その病院において血を売りながら食費を支えているという者が多数あるという事実もあるのであります。完全を求めればそれはもう限りはないということをさつき私申しましたが、これは御承知の通りに、新興宗教が非常に流行いたしますのはあれは医者の代りをやるからであります。一封を献納すれば万病が治るのであります。ここに非常な危険がある、医薬分業のときにこれは大きな問題となつたのでありますが、非常にやかましいことを言うと、医者のところにも走らず、薬屋のところにも行かず、結局一番安い新興宗教のところに行つてしまう。これは拝みさえすれば万病が治るというようなとんでもない結果になつているということは御承知の通りであります。私は観念的な飛躍は許されんと思う。現実の社会情勢の上に立ち、日本の国民の生活の上にすべてのものが考慮せられなければならない。経済の生活の向上等と相待つて徐々に進まなければならんので、理想論を言えばはてしがないのであります。現に家が豊かで父がすでに病院を開いているような学生は、三年も四年も五年も無給で勤めて研究もし学費も出せる。これは当然の話であります。最低の卒業を、医師としての限界をどこにとるかということにつきましては、はてしはないが、日本の現実においてはどの辺から切りだしたらいいかということについて、私は更に御研究頂かなければならん。これは理論の問題じやない、現実の問題です。重ねて申上げます。くどうございますけれどもどうぞこのレポートを是非お読み願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/30
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031・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 次にもう一つ伺いますが、只今医務局長のお答えも御尤もでありますが、なるほど病院としつくりとけ合つてやるということは、場合によつては予算のことがなくてもやれる場合もあるかも知れない。併しながらずつと修練ということで一つの修練をするという立場から見ますと、いろいろの実際の面においても利用することができましようし、又当該病院の指導官が指導するということについても、これもいろいろの経費もかかつて来ると思うのですが、何といたしましてもここに予算の裏付というものが相当ありまして一つそれで進歩したということになると、改善してこれを存続しようという考えも我々も出るのですけれども、少くとも進歩のあとがありませんと、ただ改善してというのが空念仏になつているのでは何もならない。空念仏であるならばもういいかげんにこの念仏も唱えない方がむしろいいのじやないか。学生諸君の非常にやかましく言つております実際の問題はそこにあるのじやないか。修練したいけれどもそれが十分意に満たないというところに病院側又インターン生との間にしつくり行かん点があるのじやないかというような点が考えられるのですが、そういう点でまあ私どもは過去からずつと見まして、なかなかこれは本年になつても再来年になつても修練費というものが予算の上では十分満足するような結果をもたらすようには思えないのであります。そういうことをまあ一応考えますると、ここに余ほど断固たる考え方をしないと、いつまでも中途半端の存在でいるということは、いろいろな面においてこれは一つの国家的な損失であると言えるのではないかというような気もいたすのでありますが、そういう点でまあ予算の見通しということを承わつておるわけなんでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/31
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032・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 今の御注意非常にまあ身にしみて感ずるわけでありますが、先ほど申しましたように、予算がなくてもやれる面がありはしないかということを申しましたけれども、決してそれだけで十分だとはどうしても考えられません。予算面においても増額の措置をとらなければならない面が大きく存在することは私どもも認めておるのでありまして、今後十分財務当局のほうとも折衝いたしまして、この制度を残し、改善することといたしましては、その面においてもまあ十分とは言えないまでも一歩々々この実を上げる得るように努めて行きたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/32
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033・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 実際この問題につきましては過去の委員会におきましても、医療に関する小委員会を作りましていろいろまあ検討もいたしておりまして、場合によれば本委員会としても或る結論を出しても差支えないくらいの段階まで研究したことがあるのでございますが、ただ現在いろいろのこれに関する委員会或いは審議会等がありますので、その結論を見ないで我々厚生委員会で結論を出すことも如何かというようなことで、明瞭な結論も出していないようなわけでございますけれども、或いは現在のそういういろいろ関係の委員会、審議会等におきましては、只今申上げたような予算の増額等は或いは余り事情がよくわからんために御承知がないのじやないか、だからどこまでも希望的の考えから置いておこう、置いておこうというふうに推移しているのじやないかと私は考えるのですが、ここが我々が非常に当面して重大に考えなければならん点だと思いますので、これは厚生省、文部省のほうにも特にこの点を一つ十分御考案願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/33
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034・松原一彦
○委員外議員(松原一彦君) 一体いつ頃結論が出るか、蛇のなま殺しのようにいつまでたつても結論が出ない。それからここに司法制度の権威者の一松氏がおられますが、司法の実地修習生はちやんと必要があるが故にこれを置いて、而も給料をやつている。報酬を与えて、その過程を通らなければ検事にも判事にもなられないということになる。医学制度のほうで私は文部省がふみつけられていると思うが、文部省が折角あれほどの金をかけてあれほどの附属病院を持つてそうして余計に四年もやつて卒業さしておいて、そうして厚生省のほうから一人前の医者に認められんという教育をしたということでは、文部省としては面目次第もないじやないかと私は思う。更にそれが若し一人前の医者にならんならばその間の指定の病院に配置して今の試補のように開業は許さんが医者ではある、病院における指導者の下における医者であつて、そこで一定の給料を与えてそうして一カ年たたなければ独立開業は許さんというのなら話はわかる。今の予算は一向に増加をせん。いや改良しておる、どう改良するかと言うと一向にらちがあかん。これは厚生省としては大きな黒星です。文部省としてはもう少しつつ張つていいのじやないかと思うのです。一つ考えて頂きたい。いつまでたつても結論がつかん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/34
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035・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) 関連してですが、いやしくもインターン制度を国の制度としてどうしてもおくということであれば、必ずこれはおき得るだけの裏付を持たにやならんと、こういう我我は考えをするのですけれども、どうもその裏付がないということに非常な不安を覚えているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/35
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036・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) 実は少しも結論を出さん出さんとおつしやられるのでございますけれども、暫定的な結論は、結論と申しますか案は数回まあ作つておるわけでございます。ただ先ほど申上げましたように、この問題は非常にいろいろな問題と関連いたしますものですから、医師会のほう或いは文部省のほう、いろいろのほうで御審議を願いまして、十分間違いのない結論に持つて参りたい。又根本的な結論となりますと、確かに今すというぐことが申上げられるかどうかわかりませんけれども、とにかく一応の、現在よりは一歩なり二歩なり進みました案というものは数回に亘つて作つておりますので、進歩はしておることをお認め願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/36
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037・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 私ちよつとほかの用事でどうしても外さんならんことで失礼いたしましたが、このインターンの問題は実際申しますと、大体周囲の或いは学校における或いは医師会における又は学生における結論はもうできておると思うのです。それは簡単に申しますと、インターンを是非必要とするならば、十分なる予算をとつてやらせりやいいじやないか、そうでないならばインターンはもうやめて、六年間の教育で十分させて、そしてもうそれを医者にしてしまえばいいじやないか。現在のようななま殺しのあのインターンでは実際かわいそうでありまして、折角六年間もやつておいて又実地をやる。その実地をやるところへ行くと、本当にできるならばいいけれども、各病院には助手もおりますし、殊に無給の助手までおると来てくれてかえつて迷惑するというような態度をとられたりすれば、なお更折角研究に行つても苦しいし、そのように試験があるから試験の勉強をせんならんというのですからして、実際実習をやろうとしてもやることができず、又一方に試験があるからというので、そのほうも考えんならんというのですからして、この際は一つ最後の結論を早く出して、是非おくならばおくらしく十分その予算をとつて、或いは病院あたりでも設備を完全にさせて実習のできるように、そうでないなら、いわゆる教養大学で二年間やつてあと四年間あればこれでもう卒業させる。学校も名誉にかけてでも、まあ一時戦前では多数の医者がいるためにある教育は本当にうまく行つておらん所もあつたのですけれども、もう今はどこもいろいろの研究費、資材などをくれれば十分できると思うのですから、一つ一日も早く結論をはつきりしたやつを、そして大きくその手を打つてやるほうに是非進めて頂かんければ、誠にインターン生に気の毒と思います。学校は卒業した、インターン問題があるからと思つて、又中には多数の人がそのために運動をしまして、而も東京附近の者はよろしうございますけれども、我々九州とか久留米とかいうような所からわざわざもう行かんでいいと言うてもインター生はその運動のためにやつて来たりするような状況が続けば、本当の教育は実際できんと思いますから、是非これは文部省、厚生省が一つ大いに一日も早く結論を出すほうに決意をされて、或いは結論を出すための今までの審議会で不十分なら、ほかにでも一つ審議会を作つてでもやつて頂きたいと、こう思いますので、どうぞ一つそれに対して厚生省並びに文部省のお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/37
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038・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 只今お話ございましたし、先ほど松原さんからも御発言があつたのでございますが、要するにこの国家試験制度の要求をどこにおくかという点がまあ問題でございますけれども、若しそれが四年の医学部の基礎、臨床の学習の上に一定の期間一定の分量の実地の経験が必要だというのであれば、その実地の経験なるものを学校教育のうちに取入れるか、学校教育の外に出すかという問題だと思います。同じような国家の要求する就職の何といいますか資格、これは随分方々に制度がございます。例えば航海士の船に乗る免状であるとか、或いは無電の技師の免状であるとか、それは必ずしも学校の修学年限と一致しておりません。これを学校のうちに取入れる方が目的を達すると思うときには、文部省は例えば商船大学の修業年限等は延長いたしまして、学校の持つ船で船の中において学校教育をやつて国家の要求のところまで学校教育を持つて参ります。併し今の医師法の要求するところは、基礎、臨床の学習、それから勿論学校教育のうちには農学部その他と同じように医学部にも実習がございますけれども、これはどこまでも伸びる素養としての学習としての実習であつて医師法の要求するように実際の経験というものとは性質が違うのじやないか。その意味において医師法が学校で与えました学習以外に実地の経験というものを要求する以上、それが学校教育の外にありましても、別にそれは学校がその職責を果さないという意味ではないと思うのであります。併しながら只今の問題は十分よく私どもは研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/38
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039・曾田長宗
○政府委員(曾田長宗君) それからこの国家試験と実地修練との関係でございますが、御指摘の通り、今までは国家試験が実地修練の結果というものを十分取入れずに、ともすると学校の卒業試験の重複に過ぎないというような嫌いがあつたということは、関係者のほうでもいろいろ自省をいたしておるわけでありまして、本年からは、先ほどもお話がございましたが、いわゆる基礎の試験というものはいたさないことになつております。又試験の際にも成るべく実務を主にした問題を出す。勿論これは委員の或る方々が特に強く主張されておりましたのですけれども、内科にしろ外科にしろ、生理や解剖を知らずして臨床ができるものではないから、そういうことを制限されては試験委員として困るということを申されました。そのような窮屈さは勿論除かなければならんと思いますが、いわゆるただ単にそれ自身としての基礎学科の試験はいたさないことに大体なつております。
それから又今回から口頭試問を行うということになりまして、これは決して実地試験ということにはならんと思いますけれども、或る程度そういう性格を帯びまして、実地修練の期間に十分勉強しておつた人は国家試験にも比較的容易に通りやすいというような工合に、国家試験と実地修練との関連を密接に結び付けるように措置をいたすことに大体きまりました。附加えて申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/39
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040・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) ちよつと速記を暫くとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/40
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041・藤森眞治
○委員長(藤森眞治君) それでは速記を始めて下さい。他に御質問もございませんようでしたら本日はこれを以て散会いたします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514237X01919530219/41
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