1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十一月二十七日(木曜
日)
午後二時三十四分開会
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委員の異動
十一月二十六日委員田村文吉君辞任に
つき、その補欠として杉山昌作君を議
長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
菊川 孝夫君
委員
黒田 英雄君
平沼彌太郎君
小林 政夫君
小宮山常吉君
杉山 昌作君
菊田 七平君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵省主計局長 河野 一之君
大蔵省主税局長 平田敬一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 泉 美之松君
大蔵省銀行局特
殊金融課長 有吉 正君
水産庁漁政部漁
船保険課長 伊藤 茂君
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本日の会議に付した事件
○小委員会設置の件
○小委員の選任の件
○小委員長の指名の件
○昭和二十八年分所得税の臨時特例等
に関する法律案(内閣送付)
○国民金融公庫法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○漁船再保険特別会計における漁船再
保険事業について生じた損失を補て
んするための一般会計からする繰入
金に関する法律の一部を改正する法
律案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/0
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001・中川以良
○委員長(中川以良君) これより委員会を開会いたします。最初に小委員の設置についてお諮りをいたします。本委員会におきましては、従来毎国会請願、陳情の審査を便ならしめるために小委員を設けて審査をいたして参つております。本国会におきましても、小委員を設けまして審査の迅速を期したいと存じまするが、御異議はございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/1
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002・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。よつて請願及び陳情に関しまする小委員を設置いたしますることに決定をしました。
次に小委員の数並びに小委員の選定及び小委員長の選任方法についてでありまするが、いずれも従前の例によりまして、小委員の数を六名といたし、委員長において小委員及び小委員長を御指名することに御一任願いたいと存じまするが、御異議はございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/2
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003・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。小委員に尾崎委員、伊藤委員、菊川委員、松永委員、菊田委員、木村委員を、小委員長に伊藤委員を御指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/3
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004・中川以良
○委員長(中川以良君) 次に法律案の審議に入りまするが、実は本日は一番初めの委員会でございまするので、是非大蔵大臣に御出席を願いまして、ここで提案理由の御説明を承わることにいたしておつたのでありまするが、参議院の本会議が延びました関係上、参議院の本会議終了後直ちに衆議院の本会議が開催せられまして、只今大臣は本会議場におりまするので、誠に遺憾でありまするが、本日は御出席ができないそうでございまするので、愛知政務次官がその代りに見えておりまするような次第でございまするので、さように御了承を頂きたいと存じます。
昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を議題といたします。
先ず提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/4
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005・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今議題となりました昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案ほか二法律案につきまして提案の理由を御説明申上げます。
先ず昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案につきまして説明いたします。政府は、すでに数次に亘り減税を行い、昭和二十八年度におきましても、租税負担の軽減合理化に努め、国民生活の向上と資本蓄積とに資するため、税制の一般的改正を行う考えでありますが、差当り、昭和二十七年度補正予算に関連いたしまして、所得税負担の軽減合理化を行うため、臨時特例を設けることといたしまして、ここに本法律案を提案いたした次第でございます。
その概要を申述べますると、先ず、昭和二十八年一月から三月までの間に支給せられまする給与所得及び退職所得につきましては、明年度に改正を予定しておりまするところの控除及び税率によつて計算いたしました源泉徴収税額によつて源泉徴収することといたしたのでございます。即ち、この源泉徴収税額は、基礎控除の額を現行の五万円から六万円に、扶養控除については最初の一人につき現行二万円から三万五千円に、勤労控除の最高限を現行の三万円から四万五千円に、それぞれ引上げると共に、社会保険料控除の制度を設けまして、更に税率については、特に低額所得者に対する負担の軽減を図りまするためその引下げを行なつて、計算いたしておるのであります。
このうち社会保険料の控除は、特に昭和二十七年分の所得についてもこれを認めることといたしまして、本年一月に遡つて控除することといたしておるのであります。以上のいろいろの控除及び税率の改正によつて所得税の負担は相当軽減されるのでありまして、例えば、月収七千円の独身者の場合について申上げまするならば現行の負担額月三百五十六円が九十一円となりまして、約七四%の軽減と相成りまして、月収一万五千円の夫婦の場合には、現行の負担額月千三百九十六円の税額が七百八十一円になります。約四四%の軽減であります。又月収二万円の夫婦と子供二人の場合におきましては、現行の月千七百五十円が九百八十一円となりまして、約四三%軽減されることになるのでございます。
最後に、昭和二十七年分の所得税につきましては、申告納税の一層の改善充実に資するために、従来確定申告書の提出期限及び第三期分の納期限が二月末日となつていましたのを、三月十六日まで半月聞延期することといたしたのであります。
以上本法律案の大要を申上げたのでありますが、これらの改正によりまして、源泉徴収の所得税において約二百二十九億一千百万円、申告納税の所得税において一億二千百万円、合計二百三十億三千二百万円の減税となるのでございます。
次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を説明いたします。
国民金融公庫は、昭和二十四年六月に発足いたしまして以来、国民大衆の旺盛なる資金需要に応ずるため、数次に亘る増資と資金運用部資金の借入を行いまして、本年十月末で資本金一〇〇億円、資金運用部借入金四〇億円の資金量を以て、二五〇億円の貸付を行いまして、鋭意その目的の完遂に努力して参つたのであります。特に本年度予算に計上されました一般会計からの出資金三〇億円は、九月末までに貸付を終りまして、資金運用部借入金の二〇億円も、その大部分は十一月までに貸付を終る見込でございまするので、十二月以降は、殆んど既往の貸付金の回収金のみに依存せざるを得ない状態であります。一方年末を控える等の事情もございまするので、本年度内における資金需要は、相当の額に達するのでありまして、更に遺家族等援護国債の受領者及び成年に達しない子女を持つ母子家庭に対する事業資金の供給も、現下の経済情勢に照らして極めて緊要と考えられますので、この際これら遺家族等に対する一〇億円、母子家庭に対する五億円の資金を含めて、本年度内の新規所要資金を五〇億円と見込み、本年度補正予算に一般会計からの出資三〇億円及び資金運用部借入金二〇億円を追加計上することといたしたのであります。これに伴いまして、公庫の現在の資本金一〇〇億円を一三〇億円に変更するため資本金の規定を改正いたしますると共に、年末金融対策の一環といたしまして早急に資金手当をする必要がありますので、補正予算に計上された資金を見返といたしまして、補正予算の成立前におきまして、二〇億円を限つて一時借入金をすることができまするように昭和二十七年度限りの特例を設けることといたしたのでございます。
次に漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
旧漁船保険法の規定によりまして、拿捕、抑留等の事故を保険の目的として特約いたしました特殊保険につきましては、昭和二十六年度に保険事故が異常に発生いたしましたため、漁船再保険特別会計における再保険金の支払が著しく増加いたしまして、多大の損失を生じたのであります。この損失は、その事故の性質に鑑みまして、一般会計からの繰入金を以て補てんすることが適当であると考え、第十三回国会の議決を経まして、取りあえず昭和二十六年四月一日から同年十一月末ままでに確定した損失に充てるために、一般会計から八千万円をこの会計の特殊保険勘定に繰入れることといたしたのでありますが、更に同年十二月以降発生いたしました損失が一億百八十一万六千円と相成りますので、その損失につきまして、前回と同様にこの会計の特殊保険勘定に繰入れることができることといたしたいというのでございます。
以上がこの三法律案を提出いたしました理由でございます。何とぞ、御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/5
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006・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは最初に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案について、内容の説明を聴取いたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/6
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007・有吉正
○説明員(有吉正君) 国民金融公庫におきましては、本年度当初におきまして、出資三十億円及び借入金二十億円を新たに新規資金として投入いたした次第でございます、然るに先ほど提案理由の説明にもございました通り、すでに増資分三十億円は、これを九月までに貸付を終りまして、借入金につきましても、すでに十二億円を貸付けまして、八億円を余すのみとなつた次第でございます。一方資金事情は極めて窮迫していると同時に、最近の申込額につきまして申しますと、非常な激増を加えておりまして月四十四億円平均の申込額を算する次第でございます。更に十二月及び年度末の資金需要期を考慮に入れますと、今後今年度末までの申込額は三百億近くに達するものと考えられる次第でございます。これに対しまして、先ほど申しましたように、新規資金は殆んど枯渇しておる次第でございますので、十二月以降は専ら既往貸付金の回収金に頼らざるを得ないという状況に相成つた次第でございます。従いまして本年度補正予算におきまして、一般会計より三十億円、資金運用部借入二十億円、計五十億円の資金を計上いたしました次第でございます。この三十億円の増資に関連いたしまして、現在の公庫法の百億円の資本金を百三十億円に改めたいと存ずる次第でございます。
次に附則につきましては、公庫法におきまして、公庫が借入をなす金額につきましては、予算に定められました限度内という限定がございます。然るに先ほど御説明いたしましたように、年末に際しまして特に資金需要が多く、又資金といたしましては新規資金を殆んど有していないという状況でございますので、一刻も早くこれが借入を考えたいという次第でございます。そこで、補正予算成立以前におきましても一時借入金ができますように、附則の二項を加えた次第でございます。この一時借入金二十億円は補正予算に計上いたされますところの借入金二十億円を見合といたす次第でございます。この法律が通り次第、直ちに一時借入金として二十億円借入れるという体制にいたしたい、かように存じまして、特に加えた次第でございます。なお一時借入金は昭和二十七年度内に償還しなければならないという規定を置きまして、一時借入金であるということを明確にいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/7
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008・中川以良
○委員長(中川以良君) 一応あとの法律案につきましても全部内容の説明を聴取いたすことにいたします。
続いて漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、これについての内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/8
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009・伊藤茂
○説明員(伊藤茂君) 漁船の拿捕、抑留を保険対象といたします特殊保険は、旧漁船保険法の一部改正を行いまして昭和二十六年度より実施した次第でありますが、我が国の置かれた特殊なる環境と、国際情勢の変化からいたしまして、昭和二十六年九月から非常に事故が激増いたしまして、提案理由にも御説明がありました通り、二十六年の十一月末日現在におきまして拿捕、抑留その他の事故が発生いたしましたのが二十七隻ございまして、それに対する支払再保険金が一億八百六十四万六千円ばかりに達しました。これに対する支払財源たる純再保険料が二千八百四十六万六千円ばかりでございまして、差引八千十八万円ばかりの不足を生じたのであります。これは本年度の当初予算に八千万円の一般会計からの繰入れを組んで頂きまして一応埋めてありますですが、その後十二月以降更に同じく二十七隻の拿捕が出まして、これに対する支払再保険金が一億二千百五十九万二千円ばかりでありまして、合計いたしまして五十四隻の拿捕船が出まして、それに対する合計支払再保険金が二億三千二十三万八千円ばかりであります。これに対する年間の収入純再保険料が四千八百四十二万一千円ばかりでありまして、結局一億八千百八十一万六千八百十七円の不足を生じたのであります。第一回の繰入八千万円を差引きまして一億百八十一万六千八百十七円の不足額を生じたわけでありまして、これを第二次の繰入れとして、必要とする次第であります。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/9
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010・中川以良
○委員長(中川以良君) 続いて昭和二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律案について内容の説明を聴取いたします。これについては平田主税局長に御説明を願うつもりでおりましたところ、只今予算委員会に出席をしておられまするので、泉主税局税制第一課長にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/10
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011・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 先ずお手許に差上げております資料から申上げたいと存じます。お手許に法律案のほかに二つ資料を差上げておると存じます。一つは昭和二十七度年補正予算に伴う税制改正の要綱と申しまして、二枚ほどに亘る簡単なものでございます。もう一つは昭和二十七年度租税及び印紙収入補正予算の説明といたしまして、二十五頁に亘る横書のものでございます。先ず要綱のほうに関連いたしまして法律案の内容を申上げたいと思います。二十八年分所得税の臨時特例に関する法律案の内容について申上げる前に税制一般の改正のことを簡単に申上げておきたいと思います。政府といたしましては、独立後の税制をどういうふうに改正して参るかにつきまして、慎重研究を続けておるのでございまして、昭和二十八年度におきましては所得税、法人税、富裕税、酒税、砂糖消費税等、各税に亘りまして相当広汎な改正をいたすような考えを持つておるのでございますが、そうした一般的改正は昭和二十八年度から行なうことといたしまして、差当り現在最も負担の重いと認められます所得税につきまして、今回の補正予算に関連しまして、特に臨時特例を設けることにいたしまして、今回法律案を提案いたしたような次第でございます。
それでこの法律案の内容は大きく分けまして、三点に分かれるのでございます。
第一点は昭和二十八年の一月一日から三月三十一日までの間に支給されます給与所得及び退職手当につきまして明年改正を予定いたしておりまする控除及び税率によつて源泉徴収をすることにいたしまして源泉徴収税額の軽減を図るというものでございます。こうした措置はすでに昭和二十五年の一—三月につきまして、又昭和二十六年の一—三月、二十七年の一—三月、それぞれそうした特例を設けた次第でございまして、従来のやり方と同様な考えに立つております。それで源泉徴収税額の軽減の仕方といたしましては先ず基礎控除を現行の五万円から六万円に引上げるのでございます。それから扶養控除を最初の一人だけに限りまして現行の二万円から三万五千円に引上げるのでございます。従いまして扶養控除は三万五千円、二万円、二万円となりまして、それから四人以上が一万五千円ということになるわけでございます。
その次は勤労控除につきましては控除の率一五%は変更いたさないのでありますが、最高限度を昭和二十五年の四月に三万円にきめまして後変更いたしておりませんのでその後の給与の上昇及び物価の騰貴等を考慮いたしまして三万円から四万五千円に引上げることにいたしたのであります。即ち約五割の引上げになつております。
それから新らしく社会保険料の控除を設けることにいたしたのであります。この社会保険料と申しますのはいわゆる社会保険と言われております健康保険、国民健康保険、厚生年金保険、船員保険及び失業保険の保険料のほかに国家公務員共済組合の掛金、恩給国庫納付金、それから法律又は条例によりまして地方公共団体の職員について設けられておりまする退職金制度、或いは退職一時金又は共済制度と、こういつたものにつきまして地方公共団体の職員が負担する費用も含むことにいたしておるのであります。なおこの社会保険料は所得者が負担すべきものに限つておりまして、事業主が負担いたしますものは従来からその事業主の事業所得或いは法人の所得の計算上必要経費又は損金に計算いたしておるのであります。ここで特に今回保険料の控除の中には入れないことになるわけであります。なお社会保険のうち労災保険につきましては事業主負担だけでございまして、勤労者が負担するものがありませんのでそれを含まないことになるわけであります。それから社会保険料の控除によりましては、給与所得者のみならず申告納税の所得者も国民健康保険に入つております場合と、或いは曾つて給与所得者であつた当時、社会保険に入つておりましてその後退職後も引続き任意加入をいたします場合におきましては、やはり控除されることになるのでございます。
それからその次に税率を引下げることとしたのであります。税率につきましては、八万円以下従来は二〇%であつたのでありますが、これをやや細かくなりますが、課税所得二万円以下は一五%、二万円を超えて七万までは二〇%、七万円を超える金額に対しまして二五%ということにいたしておるのであります。この結果、七万円から八万円までの間におきましては、従来二〇%でありましたのが二五%になりますので、一見税率を引上げたことになるわけでありますが、これは二万円以下につきまして五%引下げました影響が大きいために、七万円と八万円の間で五%殖えましても、結局におきましては税率の軽減が著しいことになるのであります。更に先ほど申上げましたように、控除が殖えますので、従来課税所得七万円でありましたのは今度は課税所得三万円とか四万円というふうになるわけでございますので、その点からも軽減になるわけでございます。なお税率につきましては、明年度一般的な税制改正を行いまして、富裕税を廃止することを考えておるのでございますが、その際におきましては、最高税率の五五%というのを六五%程度に引上げることに考えておるのであります。その関係で明年度におきましては、そういつたところにおきましては、若干税率が殖えることになります。これが第一点でございます。
第二点は今申上げましたうち、社会保険料の控除だけに限りまして昭和二十七年分の所得につきましても控除する。而も本年一月以後支払つた社会保険料につきまして遡つて控除するということにいたしておるのであります。控除の方法といたしましては、本来ならば社会保険料の控除は毎月給与を支払います際に計算してその際控除することにいたしておるのでありますが、昭和二十七年分の所得につきましては、一月に遡つて控除を認めます関係上、給与所得者につきましては年末調整の際一括して控除をいたすのであります。申告納税の所得者につきましては二十七年もその後におきましても確定申告において控除するということになるわけでございます。
改正の第三点は所得税の申告納税成績が例年芳しくなく、いろいろお叱りを受けるような事態も生じておるのでありますが、これはいろいろ検討いたして見ますると、現在のごとく二月末日を納付期限といたしておりますると、その間税務署の調査が十分に行かないというような点からいたしまして的確な所得が把握されない、そういつた憾みがあるのであります。従いましてこれをできるだけ延長したいという考えを持つておるのでありますが、他方歳入に相当影響することにもなりますので本年度におきましてはこれを約半月間延期するという意味合におきまして、三月十六日まで確定申告書の提出期限を第三期分の納付期限を延期することにいたしたのであります。本来ならば十五日といたすべきでありますが、十六日といたしましたのは、十五日は日曜日になりますのでそれを避ける意味でございます。
以上の改正によりましてどういうふうに所得税の負担が軽減されるかと申しますと、要網のほうの資料に負担額の調べが出ております。只今お述べになりましたように、独身者の月収七千円の者でございますと、現在の負担が月三百五十六円でございますのが、明年一月以降は九十一円になりまして、二百六十五円の軽減、即ち七四%四軽減されることになります。又一万円の月収の独身者でありますと、現行の八百六十六円の税額が五百四十九円の税額になりまして、三百十七円軽減、三六%六の軽減に当つております。それから一万五千円の夫婦者の場合でありますと、現金の負担月額は千三百九十六円が七百八十一円になりまして六百十五円、つまり四四%の軽減になります。更に夫婦子二人で月収二万円の場合を計算いたしますと、現行の千七百五十円の税額が九百八十一円になりまして七百六十九円、つまり四三%二の軽減になります。又月収二万五千円の夫婦子二人の場合でありますと、現行の三千百六十六円の税額が千九百十二円になりまして千二百五十四円の軽減、つまり三九%六の軽減ということになるのでございます。
なお本年社会保険料の控除いたします結果は、社会保険に加入している範囲によつて若干違つて参るのでありますが、結局その社会保険料の額に上積税率を適用した部分だけ軽減されることになるのであります。例えば月収二万円程度のものでありますと、その社会保険料の額は月およそ八百円程度でございます。年にしまして九千六百円になります。そうすると九千六百円に上積税率であります三〇%或いは三五%という税率を適用した額だけ軽減されるということに相成るのでございます。なお控除を引上げました結果給与所得の免税点がどういうふうになるかということにつきましては、やはり要綱の今申上げました負担額調の下のところに示してあります扶養親族二人の場合でありますと、従来でありますれば十万五千八百三十三円まで所得税はかからなかつたのでありますが、これが十四万七百五十九円までかからなくなり、更に扶養親族四人の場合でありますると従来十四万七千五十九円までかからなかつたのでありますが、これが十八万三千五百九十九円まではかからない。従いまして夫婦子供三人でありますると月収一万五千円までは課税にならないということになるのでございます。
なおこの次の頁に昭和二十七年度租税及び印紙収入補正予算額というのを掲げてございます。これは当初予算の六千三百八十一億七千七百万円に対しまして……お手許に或いは間違つた数字のものが届いているかと思いますが、六千三百八十七億となつておりましたならば、御面倒でございますが、六千三百八十一億七千七百万円と御訂正を願いたいと存じます。当初予算はそういうふうになつておつたのでありまするが、これは簡単に申上げますと、昭和二十五年の課税実績などを基礎にいたしまして、昭和二十六年の十一月頃にその当時までわかつておりました経済指標を用いまして推計をいたしたのであります。その後昭和二十六年分の課税実績が判明いたしましたし、又その後の経済情勢は当初予算の際に見積つておりました情勢より若干変化いたして参りましたので、その結果最近の数字に基きまして、歳入予算の見積替えをいたしますると、七百一億八千百万円の自然増収が出て来るのであります。尤もこの中には今回補正予算によりまして、公務員の給与ベースを引上げることに伴いますはね返りの分といたしまして、九十五億五千八百万円が含れているのでございますが、そういつた自然増収が見込まれますので、その自然増収の一部を財源といたしまして、今回二百三十億三千二百万円の減税を行うことにいたしたのであります。二百三十億三千二百万円の減税額の内訳は本年の、二十七年度分の所得につきまして、社会保険料の控除を設けることによります減収額が百二十一億百万円、その百二十一億百万円のうち、源泉所得分が百十九億八千万円、申告納税の所得分が一億二千百万円ということに相成るのであります。その他の百九億三千百万円というのが明年一—三月の間の源泉徴収税額を軽減することに伴う減収であります。なお百九億円と申しますのは、国家公務員につきましては会計規則の関係で、一月、二月、三月分の給与について軽減されたものが全部本年度内の減収として現われて参るのでありますが、一般の民間給与所得者につきましては、徴収した月の翌月の十日までに納税する関係からいたしまして、一月分と二月分しか本年度内の減収になつて現われて参らないのであります。従いまして百九億三千百万円というのは全部の給与所得者につきまして平均いたしますと、二・一二ヵ月分、二ヵ月分と極く僅かというふうなことになるのであります。従いまして、明年一—三月の減税措置を年間に引伸ばしますと、約六百億円の減税になるのであります。これに申告のほうにつきましても同様に基礎控除、扶養控除、社会保険料の控除などを行いますので、合計いたしますと所得税の減税のおよその額は明年度において八百億円を超えるということに相成るのであります。
以上本法律案につきましてその概要を御説明申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/11
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012・中川以良
○委員長(中川以良君) 以上を以ちまして三法律案の内容の説明を一応聴取いたしたのでありますが、引続き質疑を行いたいと存じますが、これは本日続いて行いますか、或いは改めて行いますか、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/12
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013・黒田英雄
○黒田英雄君 簡単な質問ですから今してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/13
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014・中川以良
○委員長(中川以良君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/14
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015・黒田英雄
○黒田英雄君 泉さんに伺いますが、来年の確定申告の日が、三月十五日が丁度日曜日に当るのですか、それで十六日にしたということですね。来年はこれでいいですが、所得税の確定申告のこれから毎年やる期限ですね、それから第三期分の納税期限というものは、これは三月十五日と定めるのですか。来年だけ三月十六日なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/15
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016・泉美之松
○説明員(泉美之松君) お答えいたします。明年だけに限りまして、丁度この法律案は明年だけ適用になりますので、丁度日曜日に当ることがはつきりわかつておりましたものですから、三月十六日にいたしたのでございます。更にこれを明年改正いたしまして、恒久法にいたします際は三月十五日にいたしたいと、かように考えておるのでございますが、更に申告納税制度を今後どういうふうに持つて行くかという見地からいたしますれば、必ずしも三月十五日という日がそのままよいかどうかということをいろいろ検討いたしておるような次第でございます。ただこの次に所得税法の一般的改正を行います際は一応三月十五日にいたしたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/16
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017・黒田英雄
○黒田英雄君 それでは現行の二月一ぱいまでに申告するということを変えようというあれがあるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/17
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018・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 所得税の申告納税制度が十分円滑に参りますためには従来やつておりまするようなやりかたを改めまして、本当でありますれば二月末日までに一応納税者に申告して頂いて、その後その申告が不十分なものにつきまして十分調査を行なつて更正決定を行うというふうにして行くのが本筋かと思うのでありますが、現在の段階におきましてはなかなかそういつたような理想的な運営はできません。結局申告期限前にいろいろ申告につきまして納税者のかたに相談をして申告をして頂かなければならんというような事情でありますので、ここ数年は二月末日までの申告ということは困難で、やはり三月十五日ぐらいまでにしなければならん、こう考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/18
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019・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに一般的な御質問がありましたらどうぞ…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/19
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020・杉山昌作
○杉山昌作君 国民金融公庫のほうですが、先ほどの御説明に関連してでありますけれども、今年度末までには大体申込が三百億ぐらいになるだろう、それに対しての貸付の原資としては現在八億しか残つていない、それから今後一般会計からの繰入と資金運用部からの借入と合せて五十億、合計五十八億になる。又三月末日までに回収する分もあるのですが、大体回収する分は幾らくらいになりましようか。丁度三百億の申込に対して大体何割ぐらい賄い得るというようなお見込になりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/20
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021・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今の御質問でございますが、大体本年度末までの申込の見込額というのは、国民金融公庫で想定しておりますのは三百億弱でございます。大体二百九十五億円という申込額が予想されております。それに対しまして従来の公庫のほうから申しますとその申入額に対して大体四割程度がまあいわば準適格を有するものである、併し更に一層厳選を加えると申しますか、貸出の適正ということを慎重に考えますると大体申込額の三割が融資を行なつておつて間違いがない、こういう従来の経験上の実績であります。そこでそういたしますると大体これから年度末までには八十八億円程度の資金源があればよろしいということが需要の面から一応算定されるわけであります。それに対しまして今回の法律案で申しまするならば、出資金と借入金の増加が五十億円でございます。その五十億円の中から説明の便宜上逆に申しますと、遺家族の国債を現金化するというために十億円、それから未亡人等の母子対策の関係として五億円、これが合せて十五億円ございます。で、新たに出資されるものと借入能力の五十億円からその新たなる必要のもの十五億円を引きますと残りが三十五億円、これがネットに出資と借入金で殖えるわけなんであります。それから更に回収は、やはり最近の実績を調査いたしまして回収の見込が確実と見られるものがその期間に四十五億円、そういたしますると今の三十五億円のネットの増加と、四十五億円の回収金と、更に先ほど御指摘の通り八億円の借入の能力の残がありますから、それを合計いたしますると八十八億円になりまするので、大体遺家族の問題、それから新らしい母子対策、それから年末金融の見込を加えた全体の需要量の大体はこれで充足できる、こういう計算になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/21
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022・小林政夫
○小林政夫君 今の新らしい母子対策の問題ですが、これは最近新聞で見たのですが、母子福祉に関係した立法が出る、これと裏腹というか、その裏付の意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/22
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023・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) これは小林さんの御質問の通り原則的に裏腹と考えております。ただこれはまあざつくばらんに申しますと、大体資金計画のほうをこの関係で五億円、この限度で年度末までに対策をやりたい、そのほうが先に出ておりまして、そうして具体的にどういうふうな貸付をやるかということは現在研究中でありまして、まだはつきり今日の段階ではこういうふうにやるという細目までは申上げる段階に至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/23
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024・小林政夫
○小林政夫君 そうするとその法律案の提案は政府提案でやられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/24
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025・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) この法律案は現在大蔵省としては関係当局即ち厚生省と連絡中であります。厚生省の意向としては私の承知しておる限りにおいては政府の提案でいたしたいというような考えでおるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/25
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026・小林政夫
○小林政夫君 そうするとそれは大体この国会中に提案される、細目はまだ打合中であつて、本国会開会中に提案され、成立を期しておられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/26
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027・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) そういうことを期しておりまして今一生懸命やつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/27
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028・大矢半次郎
○大矢半次郎君 この本年度の租税及び印紙収入の見込のうち申告納税にかかる分ですね。営業と農業とその他の事業とに分けて当初の予算に比べてどういうふうな工合になつておるかお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/28
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029・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 本年度の補正予算におきましては、申告納税の所得税につきましては当初予算の見積りが過大でありましたので、これを補正いたしまして、二百三十三億千八百万円の自然減収を出しております。その減収の内訳はあれでございますが、その生じた理由につきまして先ず簡単に申上げておきたいと存じます。
これは当初予算につきましては先ほども申上げましたように、昭和二十五年の課税実績を基礎にいたしまして、それは当時の状況からいたしまして二十五年の課税実績しか利用できなかつたからでありますが、それを基礎にいたしまして、生産物価の伸びで二十七年に引伸ばしまして二十七年の収入を見積つておつたわけであります。ところが最近昭和二十七年分の課税実績がわかつたのであります。これによりますと、当初予算の際におきましては昭和二十六年分の課税実績の千四十五億五千八百万円というふうに考えておつたのでありますが、実際の成績は八百五十八億六千七百万円というふうに約二百億近い減が出たのであります。その結果、主としてその結果でありまして、そのほかには当初予算の際見積つておりました生産物価の伸びがそれほどないということに基いて二百三十三億千八百万円の減収ということに相成るのでございます。その営業、農業、その他の事業及びその他の区別につきましては恐縮でございますが、お手許に差上げております資料の租税及び印紙収入補正予算の説明と申しますこの横書の印刷物について御覧頂きますと、その九頁でございますが、その前に八頁のところの一番終いに二十六年分の課税実績といたしましてずつと営業、農業、その他事業、その他、計というので千八十億七千五百万円とありまして、うち二百二十二億八百万円というのが入つております。私が先ほど申上げました課税実績の八百五十八億六千七百万円と申しますのは、この内書を除きました、内書と申しますのは源泉徴収の所得税及び配当所得の特別控除額でありますので、それを差引きました申告納税にかかる税額だけが八百五十八億六千七百万円ということを申上げるのであります。これに対しまして所得の増加を生産物価の総量と、それに申告及び能率の増を見込んで計算したものが九頁の表に出ている通りでございます。これによりますと課税見込の上からいたしまして、当初予算におきましては営業のほうの税額を八百二十六億二千百万円の課税額を見込んでおつたのでありますが、これが九頁の下から九行目あたりにありますように六百七億八百万円というふうに二百二十六億ほど減少いたすのであります。それから農業につきましては当初予算におきましては百二十五億四千四百万円を見込んでおつたのでありますが、米価の値上りと、それから豊作とによりまして、これが百七十九億二千八百万円の課税額に相成るのであります。
それから需要におきましては、当初予算におきまして百九億七千九百万円を見込んでおつたのであります。これもやはり二十六年度分の課税実績が少くなつたことと、生産物価の伸びがそれほどでないということによりまして五十九億四千六百万円ということになるのであります。
それからその他につきましては、当初予算におきまして十億二千三百万円、そのほかに配当控除額及び源泉徴収の税額を加えまして、そのほかに二百九十八億五千万円と見込んでおつたのでありますが、それが今回の見積りによりますと十億二千三百万円が二十億四千二百万円に殖えるのでありますが、配当控除額のほうが三百十七億三千八百万円に殖えますので、差引さほど変らないということになるのでございます。その結果課税額におきまして、当初予算では千七十一億六千七百万円見込んでおりましたのが八百六十六億二千八百万円ということになりますので、収入工合は当初予算と変更を加えておらないのでありますが収入額が従つて減つてくるということになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/29
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030・菊川孝夫
○菊川孝夫君 二十七年度の補正予算に伴う税制改正の結果、二十七年度の一月から遡つてこれを社会保険料の控除なんかにやることになりましたが、その結果所得税がそれだけ少くなるのが地方税に影響してくると思うのです。今まで地方税の源泉徴収している分について、地方の税収もやつぱりそれだけ減つてくる。それから地方税の取扱をどういうふうにやるか、その関連をちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/30
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031・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 地方税の中の市町村民税は、御承知のように前年の税額或いは前年の所得を実績にいたしまして翌年課税をいたしております。二十七年分の所得につきまして、社会保険料の控除を設けます結果は、二十八年分の市町村民税に現われて参るのであります。従いまして二十八年分の市町村民税を見積る際におきましては、社会保険料の控除の結果、税額及び所得金額が減少したことに基く減収を見込まなければならないと思います。従いまして今回の法律案におきましては、その附則の五項におきまして、地方税法の一部を改正たしまして、総所得金額を基礎にして地方の市町村民税を計算する場合におきましては、二十七年分所得について社会保険料を控除した後において総所得金額を計算するのであるという改正を盛返んでいる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/31
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032・中川以良
○委員長(中川以良君) なおちよつと申上げまするが、この法律案審議の過程におきます必要な資料の御要求がございまするならば、この際お申入れおきを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/32
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033・小林政夫
○小林政夫君 所得階層別の納税順位及び納税額を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/33
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034・中川以良
○委員長(中川以良君) 主税局長も見えておりますから、何か御質疑がございますれば……。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/34
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035・中川以良
○委員長(中川以良君) それじや速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/35
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036・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 来年度の税制改正の問題は、実は来年度の予算と関連しますものを今並行しまして検討中でございまして、まだ最終的に政府としましてごうするということは勿論申上げかねる段階でございます。大体こういう問題を検討して行く、ということでございますれば、御参考までに申上げていいかと思いますので、そういう御趣旨でお願いをいたしたいと思う次第でございます。
そういう点から申しますと、一番大きな改正は、やつぱり今回提案をいたしておりますところの所得税の控除税率、これを来年度におきましては基本法に織込みまして本格改正をやる、これが最も一番事柄から申しますと重要なことであると考えております。それでその際におきまして、或いは先ほど説明があつたかと思いまするが、基礎控除、扶養控除、社会保険料の控除、勤労控除、これもいずれも今回提案をいたしておりますのをおおむねそのまま持つて行きたい。ただ税率につきましては、これは富裕税を廃止するかどうか問題になつておりまするが、目下のところは廃止説が有力でございまして、どうも実績からいたしましてやめたほうがいいのではないか。そうなりますると、所得税の最高税率五五を据置くのは適当ではございませんので、これを六五程度に引上げる、そういたしますると、地方税を加えまして最高七八%くらいの税率になります。その適用する所得階級をどの程度にするか、これはいろいろ検討中でございまして、申上げるには時期尚早でございますが、現在の税率の上に適当に二階級くらい設けましてそのくらいの改正を行なつたらどうかと考えるのでございます。これは一つの所得税に関しまする基本的な問題でございます。それからそのほかに所得税につきましてはいろいろ問題がございまするが、少し大きな問題といたしましては、有価証券の譲渡所得税をどうするかという問題でありますが、これも課税の実際等からいたしまして、やはり廃止いたしまして、その代りという意味ではございませんが、有価証券移転税を起して、売買の際に若干の課税を行うという方法がより実情に即するのではないかという意味で、大体そういう方向に研究いたしております。そうなりますと、来年法律案を出しますと、来年一月以降の分から課税になるということになるかと思います。それから、そういたしますと、ほかの譲渡所得の課税の権衡の問題もございますので、例えば森林所得、不動産譲渡所得等につきましても、現在十万円の特別控除を認めておりますが、これを更にもう少し考え直しまして、一定額の控除、一定率の控除等を行いまして、負担の緩和を図る必要があるのではないか。それに関連いたしまして変動所得の平均課税という非常に面倒な方法を採用いたしておりますが、これを成るべく簡素化する方向に持つて行きたい。そのほかにおきましては、生命保険料四千がございますが、これを資本蓄積の関連におきまして相当程度引上げる。それから源泉、申告の税率が五〇%ですが、これを或る程度引下げる。そういう問題が所得税に関しましては問題としてございまして、いずれもその方向で成るべく成案を得たいと思つて研究いたしておる次第でございます。まあその他におきましても、所得税の細目に宣りますといろいろ問題がございまするが、少し大きな問題としましてはそのような点ではなかろうかと存じておる次第でございます。
それから法人税につきましてもいろいろ検討いたしておるのでございますが、これはどうも来年度の財政事情のことを考ますと、税率を一般的に引下げるのはやはり無理ではないか。大分そういう要望もございますが、然らばと申しまして普通税を下げて超過所得税の二本建にしろという議論がやはり相当ございますが、この問題も今の段階ではどうも必ずしも適当ではないのではないか。勿論検討はいたしておりまするが、やつたほうがいいというふうには今のところ考えておりません。それから法人税のこの下のほうの税率を下げたらどうかということ、これは前国会から大分この委員会におきましても御注文を受けまして、研究いたしておるのでございますが、今回所得税の税率が上のほうが若干上ります関係もございまするし、それから法人なり何なりがやはり依然として相当多いという点から考えますと、下のほうの税率を下げるというのもやはりまあ所得税につきまして、税率がもつと今後大幅に調整できます際は別でございますが、先ず今の段階におきましてはこれもなかなか簡単には行かないのではないか。ただそのほかにおきまして、資本蓄積に資するために価格変動準備金、それから貸倒れ準備金、それから産業合理化法に基きまする特別償却、まあこういうものにつきましてはできる限り範囲の拡大限度の引上げ等を行いまして、資本蓄積に資するように持つて参りたい、その程度等につきましては目下検討中でございます。それから更にもう一回ここで再評価を認めて欲しいという要望が大分ございますが、これは率直に申上げまして認めることにして、一般に相当やられるという見通しなら私はやつていい、果してそこまで行くかどうかということが将来問題がある、が併しその際に程度なり方法をどうするかということはこれは相当問題がございます。この前の基準にいたしましたときからすでに卸売物価の水準は七割程度実は上つておるのでありますが、これは基準を今の物価水準で変えてしまうかどうか、そうなりますと今の卸売物価の水準が国際価格等から見て果して妥当かどうかというようなところまで及んで参りまするので、これはなかなか程度方法等につきましてはなお検討を要することと思いますが、これは財界がやるということを前提とした要望でございますれば考慮してもいいではないかというような意味で検討いたしておる次第でございます。まあその他法人課税につきましてはいろいろな要望がございますが、これらにつきましてはできる限りよく検討いたしまして妥当な結論を下すようにいたしたい。小さい問題はまだ結論をいずれも出しておりません。できる限り考慮を加える方向で進みたいという考えでございます。たださつき申したような情勢でございますので、その法人税の収入を相当大幅に減らすような措置はどうも来年度としてはやはり困難ではないかと、まあそういうことの成るべく少い部面におきましてできる限り経済的に有効な効果を生ずるようなうまい方法はないものかということで実は私どものほうでも目下勉強中でございます次第でございます。
それから相続税はこれは昨年大分殖えましたが、どうもやはりまだ少し高いようでございまするので、これにつきましては例の贈与を一生累積するということも少し再検討しますと同時に税率控除につきましてもう少し引下げる方向で研究して見たい、これは歳入額としまして僅かでございますので負担の公正という見地におきまして考えられる限りの考慮をして見たいという考えでございます。それから間接税がこれはいろいろ問題がございまするが、どうも間接税は収入が減るような改正はもう成るべく避けたい、避けざるを得ないのではないか、ただ酒類は御承知の通り密造が非常に多くて、実際に密造に煽られておりますので、税率を或る程度下げましても売行きが殖えまして収入は減らない。むしろ場合によりますと闇利潤が国庫の収入に置換わりまして収入が殖えそうだという面もございますのでこれにつきましてだけは特別の考慮をいたしたい。特に税率がほかのものに比べまして飛び切り高い点は考慮いたしまして、まあそういうような措置をとりたい。その他の間接税につきましては、実は来年度の財政事情から申上げますと所得税の相当大幅の減税をやりますれば、なかなかむずかしいのではないか、所得税が本年度二百三十億でございますが、あれをそのまま平年度化することによりまして、来年度は源泉所得税におきまして約六百億、申告所得税で二百億、合せて八百億程度、これは概算でございますが、まあ減収になる。この補正予算に盛込みましたやつを来年一年分に直すことによりまして、所得税は何をおきましても優先して軽減すべきだと思うのでございますが、その他の税はなかなかそういう点がございまして大幅に減収になるような措置はとりにくいのではないか。そういう点から考えますと、間接税につきましてはいろいろ物品税その他揮発油税その他問題ございますが、減収を来たすような措置をとることは目下のところなかなか簡単ではない。勿論これは方針を最終的にきめておるわけではございませんが、情勢はそういう情勢でございます。併し砂糖は少しまだ戦前等に比べましても税率が低過ぎるので、これは少しむしろ引上げたらどうか、そうしまして間接税としましてはできる限り収入が減らないように持つて行こう。然らばといいまして、間接税は積極的に相当増税を図つて直接税を減らすかと申しますと、それはどうも私はやはり少し行過ぎではなかろうか。将来若しも増税の必要がある場合には、間接税方面に財源を求めるというのは、これは日本の実情に適するかと思いまするが、この際に一般的増税をいたしますのはこれは少し如何であろうか。併しなかなか減税も簡単にはできない情勢ではないかと、まあこういうふうに極く大まかなところ考えておる次第でございます。併しこれはいずれも私が申上げましたことは極く簡単に申したのでありまするが、現在の段階におきまする私どもの考え方でございまして、最終的にきまつておるものではない、そういう方向で目下検討しておるという意味におきましておとり願いたいということを附加えておきたいと思うような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/36
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037・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ちよつとお尋ねしたいのですが、今お話になりました砂糖の税金ですが、これはちよつとまだ引上げる、まあ研究をされる趣きですが、砂糖の消費税を、このまあ徴収関係の何を見ればわかると思いますけれども、一体どこで徴収をして、その間僕ら聞くところによりますると、製糖会社は、非常に徴収されるまでの間かなりその社内で持つておつてそれだけでえらい儲けができるということを聞いておるのですが、そういう点がないですか。この徴収方法についてこれは検討の余地があるのじやないかと思うのですが、御説明願いたいと思うのです。例えば私素人考えに申しまして、製糖会社は出庫するときに消費税なんかとつてしまう。ところが国税局に納めるまでの間担当期間その会社に持たして置く、この税金をまとめて納めることになるからその間の徴収方法によりましてかなり利息を稼げるというようなことを言つておるのですが、そういう点が一体どういうふうになつておるか。これは間接税全般についてですが、どういうふうな……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/37
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038・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 砂糖につきましては製糖所から引取るときに課税する。但し原料等が外国から入つて来ますが、これは原料等が入つて来ます際に課税しませんで税関でも一応チエツクしまして、未納税のまま精製糖の、工場に行きまして、その精製糖の工場で精製されまして、その製糖所を出るときに納税義務を発生する。こういう建て方にいたしております。それから現実の納税は三月の徴収猶予を認めております。これは担保を提供せしめまして、これはもう昔から多年やつていた方法でございますが、まあ物品税の場合でございますと二月乃至三月、最後の納期が。それから昔ありました織物消費税、揮発油税等が大体三月となつておりまするが、まあその期間の切れました際に砂糖会社は、精製会社が現金で納付する、こういう関係になるわけでございます。従いまして売つてから少し早く現金が入りますとお話の通りその期間この金利が幾分かよくなるという点は確かにあると思います。これはどうもときによりましていろいろな場合がございますので、行政上の手加減で短くしたり長くしたりするわけにはなかなか参らない。しつかりした担保を提供いたしますれば、法律の許す範囲内におきましてやはり認めるということにせざるを得ないのでございまして、若干それによりまして金利が稼げるときと、或いはなお三月たつても現金が入つて来なくて、場合によりますと困るときと両方あると思いますが、今の制度はさようなことになつているということを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/38
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039・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その点を今考えまして、どうも最近どこで聞きましても、この三ヵ月間の間に各製糖会社、或いはその他の間接税を納めるメーカーのほうでは、倉出ししてから三ヵ月間の間預かつている金額というものは一体どのくらいになり、それが相当多額の、而も金融機関に対してもこれが大きなメーカーの力になつているということを今各方面で聞いているのですが、その保管している金額、三月間保管できる金額というものは一体どのくらいになるのですか。大体全般の間接税でわかると思うのですが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/39
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040・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 砂糖の消費税は今度の予算で計上しておりまするように、年額で百九十一億ございます。従いまして一月分が約十五億くらいでございます。それが倉を出てすぐ現金が入つて来ますと、三月猶予しておきますと三月分が金が何か使える、税金分をですね。ということになりますが、二月目に平均入つて来るといたしますと二月分が金が使える。三月目に平均入つて来るというと一月分だけが何かに使える、こういうことになるかと思います。そのときどきによつて事情が違つていると思いますが、今の情勢がどうなつているかということは今ちよつと資料がございませんので、もう少し実情を調べまして適当な機会に御説明申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/40
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041・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もう一つお聞きしたいのは、それじやそういう余裕をしておくにして、それが三ヵ月の期間内に必ず全部一〇〇%納まつて整理ができているものか、それともその間に未納になつたり、或いは三ヵ月過ぎても納まつていないというような実績はどういうふうになつているのですか。一〇〇%必ず納まつているものか、それとも担保で処分した、国庫には別に損害をかけてないことになつておりましようが、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/41
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042・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 砂糖とか、揮発油とか、ビールとか、こういう工場生産のしつかりしたものにつきましては、大体滞納のあることはございません。ただ二、三日の違いで、月末に納める分が翌月の二、三日あとになつたということは若干あろうかと思いますけれども、それ以外には殆んど滞納というものはございません。砂糖につきましても黒糖の分、それから中小のメーカーは若干ございますが、こういうものについては若干の滞納が生ずる場合があるかと思います。その他の大工場組織でやつておりまするところの砂糖、揮発油それからビール、こういうものにつきましては本当の税の滞納は最近は絶無と申上げてもいいかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/42
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043・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それと同じような性質であの入場税があるわけですが、これでは大分日劇等はえらく一時問題になつたことがございますけれども、あの日劇は今営業しておるが、具体的に申上げると、ああいうようなえらい新聞に載つて日劇はもうなくなつてしまうというようなことを言つておつたが、それがその後そのままになつておるが、これは砂糖、ビール等は割合会社はしつかりしておるので三ヵ月間猶予してもらつたらかなり利子を稼いで喜んで納めるだろうと思うが、入場税もやはり同じような徴収方法になつておると思うが、これは今の滞納はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/43
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044・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 入場税はこれこそ今お話のように日銭が入るわけであつて、すぐ決済がつくのでたしか翌月十日までということになつておると思いますが、今月分を十日まで払い込む、併しそれにいたしましても平均すると二十日くらいはその税金相当分として入つて来ました分を何かに使えるということになるわけでございますが、併しこれとて毎日とるわけにも行きませんし、十五日くらいに分けて納めさせるのが一つの方法でございますが、入場税も御承知の通りいろいろな納税義務者の種類がございまして、映画館のほかにパチンコ等いろいろとございまして、この程度のことはいたし方はないと思いますが、ほかの間接税、製造場から出る場合は結局消費されて資金が元に戻つて来る場合は通常二ヵ月くらいは早くても普通の場合ならばかかるのが普通の取引でございますで、それと場合によりますと遅れる場合があるので三月の徴収猶予を認めております。消費者からすぐとる場合におきましてはそんな長いのは認めない。こういう状況で入場税は翌月十日まで納めさせる、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/44
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045・小林政夫
○小林政夫君 先ず最初に局長に、大いに我々の意見を取上げてもらつて改正案が出て敬意を表しますが、なかんずく社会保険料の控除にあつては、我我の要望通りの案を出されて非常に敬意を表します。で、ただ一点勤労控除の最高額が四万五千円、我々の前回の要望は少くとも五万円というふうに言つておつたのですが、多少その後いろいろな新聞等に発表された資料等で見て当時提出してもらつた資料の数と違うように思うので、これを四万五千円を五万円にする場合、六万円にした場合にどれだけ税収減において違うか、これを一応資料としてお出し願いたい。特に四万五千円といつて五千円値切つて出された理由は一に税収だろうと思いますが、どのくらい違うのですか。一応資料に出してもらいますが、話としては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/45
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046・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 四万五千を更に上げるという場合の税収はあとで計算して出します。四万五千円にしたのは、三万円でございますと、一割五分でございますから所得金額二十万円で今打ちとめておるわけでありまして、これはこの前、二十五年にそれをきめましたが、その後物価が、消費者物価が二割くらいにしか上つていないが、所得のほうは五割くらい一般に殖えております。従つて当時三万円の控除を受けた人は今日では三十万くらい、二十万の所得は三十万くらいの所得になつておる。その辺を押えて五割増、つまり四万五千円にしたらどうであろうか。丁度前回今までのものは二十万円でとまつておりましたのが今度は三十万円、その辺が妥当ではないか。これも必ずそうでなければならないという理窟はないと思いますが、諸般の事情等からそういうふうにきめているわけです。なお併し更にそれを引上げる場合の減収額は別途計算して提出するということにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/46
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047・小林政夫
○小林政夫君 来年の、二十八年度の税制改正の構想を承わつたが、法人税についてはかねでいろいろ私どもと議論をしておるが、低額所得法人についての税率改正については十分これにつきましてもしてもらわないと、又議論をやらなければならないということになるのでお含みおきを願いたい。
それからいずれあとで出張報告をいたしますが、先般大阪、豊岡、香住等の徴税の実情を調査いたしましたが、そのときに大阪財界人、これは殆んど一流の人といつていいのですが、集まつて話を聞いたときに大体商工会議所の財界関係の代表が集りましたが、法人税についての今の話の価格変動準備金、退職引当金、或いは特別償却を見るとかいうような個々の事例によつて税の軽減をしてもらうよりも税率を、税率で四二%をそれだけで減収、法人税の減収ということになるが、減収分を一般の税率によつて考えてもらつたほうがむしろベターだという意見が強かつたのであります。そういう点も法人税の検討の際に頭においてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/47
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048・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 仰せの点はなお今後よく勉強いたしたいと思いますが、準備金のほうは……退職引当金のほうは、相当効力を発揮しておるようであります。これは会社の企業にとりましてはそれだけよいわけでありますし、労務者にとりましてもそういうことが確保できまして相当に顕著に効果を生じておるようでございますが、その他のものにつきましては、殊に変動準備金につきましては、一事業年度ごとに二・五%ずつ殖やして行くということにいたしたわけでございますが、これは少し細か過ぎるのではないかというふうに反省をいたしておりまして、その辺は少し検討して見たい。なおその方法等につきましても問題があるようでございますので、一つ考えて見たいと思つておる次第でございます。税率の一般の引下げは、さつき申しましたようにいろいろ御議論がございましようが、来年度の財政事情と関連して決定せざるを得ないと、こういう事情でございますので、御了承願つておきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/48
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049・中川以良
○委員長(中川以良君) 私ちよつとお伺いしだいのですが、先ほど局長の御説明で、間接税に関しては来年度はこれを下げない、殆んどいじらないような御説明に承わつたのですが、物品税の問題ですが、これはいろいろ最近議論されておりまして、この税率の問題、又徴税方法の問題等につきまして幾多の不合理があるように思うのです。殊にややともすると、まじめに納める者が損をして、極めて巧妙に脱税している者か多い。これを捕捉するのはなかなか困難であるという状態であります。このしわ寄せが殆んど中小企業に寄つておりまして、今日中小企業の重要性が叫ばれております際におきまして、物品税の改正ということを是非やらなくてはいかんと思いますが、これの税率の改正、中には物品税を廃止すべきではないかという業種も私はあると思うのですが、こういうものにつきましてはどういうふうなお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/49
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050・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 物品税はなかなか実は問題の多い税金で、私どもも少々辟易しておる状態でございますが、併し間接税としまして考え方は実は物品税のような考え方が正統派と申しますか、本筋のようになつておるわけでございまして、これは比較的奢侈消費、或いは消費の必需性の弱いもの、少いもので、なくて済む消費と申しますか、中間的消費と申しますか、これは間接税を課税するにはそういうものこそ課税しなくてはならん。本当の必需品的なものに課税しないほうがいいんじやないか。取引高税はややもすると逆に何でもかんでもかけるというので、広く浅く行くわけでありまして、それはもう私ども一つの考え方だつたのでございまするが、ああいうことになりましたし、やつぱりそうなりますと間接税としましては本筋を行くのがいいのではないか、そういう点から行きますと、財源が許しさえすれば勿論問題はないと思います。余り許されないとなりますと、物品税みたいな課税は租税体系の中に取入れて行くのがいいのではないか。現にイギリスは丁度日本の物品税を、もつと高率ですが、卸段階で課税いたしておりますが、最高一〇〇%、最低が一六・五%その間に六六・六%と三三・三%という四段階の税率を設けまして、やはり消費の性格、性質に応じまして適当な課税をしており、相当な収入を挙げておるのですが、ヨーロツパ大陸が取引高税みたいな広く浅く行く方法をとつております。イギリスがまさに日本よりももつと徹底した正統派的な間接税の課税の方法をとつておる。日本の物品税はそれから比べると半分ぐらいでありますが、財政需要が成るほど減らし得るというときでありますればこれは又考えられ得るかと思いますけれども、今の情勢からいたしますと、これを全廃するということはどうも少し不適当ではないか。然らば余り歳入は減らないようにしてうまい改正ができるかというような問題でがざいますが、これも又なかなか問題がございまして、簡単に私ども結論もなかなかつきにくく考えておる状態でございます。ところが課税方法が今全部製造課税にいたしておるのでございますが、物によりましては小売業者の段階で課税したほうがよりスムースに行くものがあるのではないか。前は小売業者で課税したものも相当ございますけれども、そういうものについては少し検討いたしまして成るべく納めやすい税金にしたいということを考えでおりますが、相当に減収となるような改正はこの際としましては簡単には行かない。併しこれはいろいろに非常に要望が強いのでございますので、私どもは政務次官、大臣等ともよく御相談をいたしまして、一つ適切な結論を下すように勉強したいと思つておりますけれども、今の情勢ではそういうことでございますから、ということを私から申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/50
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051・中川以良
○委員長(中川以良君) 局長の御説明よくわかるのですが、ただ今日の実情等をもつと一つ御調査頂いて、非常にこれに対する要望も強く各方面から出ておりますから、もう物品税は要らないというような方針をお立てにならないで、やはり改正すべきものは改正し、整理調整すべきものは調整するように努力を願いたいと思います。この際殊に愛知政務次官は政調会においてもこの点は十分御検討を加えられておられたのですから、一つ是非熱意を以てお当り願いたいと私はお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/51
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052・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この徴税方法についても私たちはまあ今平田さんは触れられなかつたのですが、地方では国とそれから府県、それから更に市町村と、こう三段階が調べに来て面倒くさいと言いますか複雑だ。従つて国が調べたやつで一貫して、府県税、市町村税をかけるような昔の行き方がどうも一番いいのじやないかというような声が大分多いのですが、この徴税方法については全然お考えになつておらないのですか、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/52
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053・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 国税、地方税を通ずる税の改正の問題でありますと、又私が先ほど申上げました問題よりも更になお一層大きな問題がたくさん横たわつておりまして、その中の問題の一つといたしまして、お話のようなところは私個人としましては是非解決したい。余り同じようなものをあつちでも調べ、こつちでも調べ、結果においては大差がない、迷惑するのは納税者ばかり、こういうような行き方は狭い日本でやるべきことではないというふうに私個人としては考えておりますが、これは併し役所がなかなかたくさんありまして、そういうようなところで一生懸命にやつておりますものですから、その辺をうまく話合いしまして、成るべくどこか適当なところで一番能率のいいところで、課税標準は少くとも一本できめる、それにのつけましてそれぞれ必要に応じまして、税率等はそれらの団体がやつて行くのが日本の実情に即するのではないか。今申しましたような状態でございますので、方法はそういうことでよく勉強したいと思つておりますから御了承願いたいと思います。
なお菊川さんに申上げておきますが、これはいつかも説明したかも知れませんが、年末調整の税額表で前回非常にお叱りを受けたが、今年は非常に勉強させて見た、そうしたら表の恰好がちよつとおかしいのですが、結論が表に出ているのですが、形を変えたら余り厖大なものにしないでも大体誤差が僅かで殆んどなくて済むような表ができましたので、今回はその点解決しておりますからその点御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/53
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054・大矢半次郎
○大矢半次郎君 今主税局長の御説明のうちで、国税地方税を通ずるといろいろと大きな問題があるというようなお話でありましたが、大体その主要項目、それからどういう方向に向つているかというようなことを御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/54
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055・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) どうもこの問題は私のほうだけでやつているわけじやございませんので、いろいろ事情もございますので本日はちよつと申上げかねるのでございますが、地方税にいたしましても、大分財源にでこぼこがあるということが一つの大きな問題ではないか、それは成るべく少くしまして、地方の保有財源を確保するという方向で何かうまい考えはないかというようなことで実はこれは考えておる次第でございます。平衡交付金の問題にしましても大分問題があるのでございますが、これもなかなか利害相錯綜しておりますし、事柄自体も大分複雑でございますので、よく検討いたしまして、更に適当な機会によくお話を申上げたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/55
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056・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/56
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057・黒田英雄
○黒田英雄君 富裕税はもう今度の二十八年度は廃止になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/57
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058・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 二十七年度から廃止したいと思つておりますが、廃止する方向で今進めております。八年度分からですね、従いましてそのことは二十九年の二月に納める分になるわけであります。来年の二月に納めて頂く分は今年の分でございます。これはどうも現行通り納めて頂くよりほかない。これをやめますと、所得税の税率を今年に遡つて高くしなければならん。つまり富裕税は来年の二月に納めますが、今年一年分を二月にまとめて納めるという建前にいたしておるわけでございますので、来年二月からやめますと、その代り今年の所得税の税率を高くしなければならぬという結果になりまして、これはそれほど急ぐ必要はないのではないかというので、来年の通常国会に出しましてやりたい。そうしますと、二十九年二月の納めて頂く分から廃止になるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/58
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059・黒田英雄
○黒田英雄君 そうしますと今年の年末の現在においての資産負債の……あれは所得税法第何条にあつたか、あれはもう来年は出さんでもいいじやないですか。そういうわけに行かんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/59
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060・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) その問題も今検討いたしておりますが、あれは実は富裕税だけの問題でやつておるわけではなくて、実は所得税の資料というところが大分大きいのでございます。併し富裕税をやめてしまいますればああいうものを出させるということは非常に手数でございますので、これは将来富裕税をやめますればやめたい。本年度の所得税と来年三月にいたしまする分につきましては行政上成るべく少いものについてはこのようなことはしないことにいたしたいと思いますが、建前は変えない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/60
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061・黒田英雄
○黒田英雄君 随分手数がかかるものですから、もうおやめになつたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/61
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062・中川以良
○委員長(中川以良君) 御質疑ございませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/62
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063・小林政夫
○小林政夫君 次回国民金融公庫法の改正案の審議の際に厚生生大臣を呼んで下さい。今の母子福祉の問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/63
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064・中川以良
○委員長(中川以良君) 承知しました。
それでは本日の質疑はこの程度でよろしうございますか……そういたしますと、次回の委員会は来週の月曜日十二月一日に開きたいと思います。如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/64
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065・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは本日の委員会はこれを以て散会をいたします。
午後四時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00219521127/65
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