1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月三日(水曜日)
午前十時四十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
木内 四郎君
委員
黒田 英雄君
西川甚五郎君
小林 政夫君
杉山 昌作君
森 八三一君
波多野 鼎君
松永 義雄君
菊田 七平君
政府委員
大蔵省主税局長 平田敬一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 泉 美之松君
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本日の会議に付した事件
○昭和二十八年度分所得税の臨時特例
等に関する法律案(内閣送付)
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001・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは只今より委員会を開会いたします。
本日は前回に引続きまして、昭和二十八年度分所得税の臨時特例等に関する法律案につきまして審議を続行いたします。泉課長が見えておりますので、後ほど平田主税局長も参るはずでありますが、一つ御質問をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/1
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002・木内四郎
○木内四郎君 ほかのかたありませんから、私は時間塞ぎに一、二伺いたいのですが、今度の補正予算を出すについて、財源として非常に自然増収を見込まれたようなんですが、どうも何だか我々、見込が余りにも杜撰であつたような気がして、それを我々として非常にどうかと思つておるのですが、自然増収になつた理由を、それを本当の自然増収であつたということを一つ説明してもらいたいのです。計算違いとか見込違いということであつたのか、本当の自然増収であつたのか、そこのところを一つ聞いておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/2
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003・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 御質問の通り本年度の補正予算におきましては七百一億八千百万円の自然増収を計上いたしたのでございますが、その内訳につきましては、先般お手許にお配りいたしております「租税及び印紙収入補正予算の説明」という小さな冊子のほうの総説の所と、それから各税別にそれぞれ細かく、どうして自然増収になつたか、その原因を御説明申上げておるのでございますが、かいつまんで申上げますと、自然増収のうち最も大きいのは源泉所得税の六百六十億でございます。尤もこのうち九十五億五千八百万円は今度の給与ベースの改訂によるはね返り分でございますから、これを除きました五百六十億程度が本音の意味の自然増収ということになるわけでございます。そのほか酒税におきまして七十一億、砂糖消費税で五十八億、揮発油税で二十九億、物品税で三十三億、関税で四十四億程度、それぞれ、自然増収を見込んだのであります。それに反しまして申告所得税におきまして二百三十三億の自然減収ということになるわけでございます。
なぜそれではそういつた自然増収なり或いは自然減収が生ずるかということにつきましては、木内委員も御承知のように、最近毎年自然増収が大分出ておるのでございますが、これは毎年予算を編成いたしますときにおきましては、例えば二十七年度の予算でございますと、二十六年の十一月頃の経済情勢に基きまして、それまでの実績を基礎にし、又将来の見通しも若干立てて見込を立てるのでございますが、最近のように経済事情がいろいろ変化いたしますと、当初予想しておりましたよりもいろいろ経済事情に変化が参るのでございます。それで例えば源泉の所得税で申上げますと、当初におきましては、昨年の九月の民間給与の定期的賃金をべースにいたしまして、本年の三月の定期的給与を一万一千二百八十一円というふうに推計しておつたのでございます。昨年の九月の実績を申上げますと、それは一万九百三十一円、尤もこれは旧指数でございますから、新指数にいたしますと一万円を切れまして九千八百円ぐらいになるのでございますが、その指数を基礎にいたしまして、本年三月の金額を一万一千二百八十一円と、こういうふうに見積つておつたわけでございます。ところが実際の本年の三月の統計に現われまする給与額のうち、定期的給与の額は一万二千百九十二円というふうに増加いたしました。それから又本年九月の定期的給与の額も一万二千八百五十五円、こういうふうに当初予算でまあこの程度であろうと見積つておりました給与の額を超えて賃金が上つたのでございます。他方におきまして、やはり同じ資料に附けておきましたが、消費者物価指数のほうを御覧になりますと、これは昨年の一年平均に対しまして本年の九月は五%七上つておるだけであります。それから又昨年の九月をベースにいたしますと二%三しか上つておらないでございます。そういつた点を御覧頂きますと、勿論当初予算に見込んだ給与の金額が実際と違つておる結果を示したということは事実でありますが、単に見込違いで起きたというよりも、予想しておつたよりも物価は余り上らないで賃金が上つて、給与の実質的な改善が行われたと、こういう事情に基いて自然増収が出ておるように見受けられるのでございます。それから又酒税初め物品税なんか間接税の自然増収につきましては、やはりこういつたふうな賃金の上昇もありまして、それに伴つて消費が或る程度増大した、そのためにこういつた間接税の収入が殖えたのではないかというふうに考えられるのでございます。御承知のように昭和二十六年度におきましては、実は法人の収益が一番大きく膨脹したのでございますが、昭和二十五年度におきまして八百数十億円でありました税収が、一躍殖えまして、千八百億を超える収入になつたのであります。ところが二十七年度になりますと、法人の収益のほうはそれほど殖えませんで、むしろ増税をいたしましたけれども、税収自体としては昨年の実績とそう変らない、本年の予算額千八百七十億円程度と見積られるのに対しまして、最近の事情は遅れておりました給与がだんだん殖え、それに伴いまして消費の増大が見られる、こういうような現象になると考えられるのでございます。自然増収が生じた点につきましては、我々が十分経済情勢を見通し得なかつた点もございますが、決して不健全な事情によつて自然増収が出たのではなくて、健全な事情に基いておるものと、かように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/3
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004・木内四郎
○木内四郎君 今のこの給与のベース・アツプの関係ですね。それよりもこの源泉所得に対するところの所得税の殖え方のほうが非常に多いように思うのだが、どうですか。千三百三十億の六百六十億も殖えるというのは、ちよつと今のベース・アツプの点だけじや首肯しかねるのですが、どうでしようか。今度のべース・アツプによつても、あなたのお話によると、はね返りが九十五億しかない。そうするとここにそれだけのものしか見込み得ないから、千三百三十億のものが六百六十億というと五割でしよう。ちよつとベース・アツプの点だけでは首肯し得ないのだが、何かそこのところを細かく説明してもらえんかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/4
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005・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 給与だけではもとよりございませんで、本年の夏に支給されます賞与の額が、当初見込んでおりました金額に比べまして約五割ほど殖えます。その賞与の殖え方と給与の殖え方、この両方によつて五百六十億の自然増収が出るのでございます。これは木内委員も御承知かと思いますが、成るほど給与が殖えましたのは、元に対して二割程度、或いは賞与でございますと五割程度でございますが、そういうふうに殖えるのでございますが、そうすると現在の所得税の建前からいたしますと、控除税率の刻み方で、給与の殖え方が二割程度でありますと、税額の殖え方はその倍近く殖えて参るのであります。例えて申上げますと、給与の額が二十万円でありまして、基礎控除、扶養控除なんかいたしまして、まあ仮に十五万円控除されておるといたしますと、五万円だけについて課税されております。而して給与の二十万円が二割殖えますと四万円殖えることになります。ところが課税所得からいたしますと、従来課税所得が五万円であつたものか九万円になる。実はそれに税率との関係が両方絡み合うものでありますから、税額としては五万円に対する二〇%の一万円というのが、九万円に対しては二万円を超える税額になる。かような関係になりますので、給与の殖えます率よりは税額の殖える率というものは多い。かようになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/5
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006・木内四郎
○木内四郎君 その点も容易にわかるのですがね。それなら今度のベース・アツプで今あなたの言われたように五十億ぐらいのはね返りしか予定できないという、その辺がちよつと納得できないが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/6
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007・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 今度のはね返りによりまして本年度、二十七年度の収入に約九十五億を見積つておるのでございますが、これは国家公務員については三ヵ月分でございますが、地方公務員については三ヵ月分でございませんで、二ヵ月分、而もまあ収入を見積りました際におきましては、いろいろな関係からいたしまして、全国の地方公共団体の職員のうち八割が今度考えておるようなベース・アツプの実施によつて年内に給与の引上の影響を受ける、かように見積りましたので九十五億ということに相成るのでございます。従いましてこれが少いということにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/7
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008・木内四郎
○木内四郎君 そのほうの見積りは少くしておいて、又自然増収が出るということになるのかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/8
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009・泉美之松
○説明員(泉美之松君) その点は国家公務員については法案通り実施されますれば問題ないわけであります。地方公共団体について全国の八割の職員が政府の考えておりますような給与ベースの実施を受けるかどうか、その見通し如何にかかると思いますが、現在の地方財政の状況を以ていたしますれば、全部が全部必ず直ちに給与引上の恩典に浴するものとは認めがたいような事情がありまするので、やや手堅く見込んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/9
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010・木内四郎
○木内四郎君 あなたがたの立場上、ベース・アツプの計数を基礎にして正確にやられること、手堅く見積られることはよくわかるのでありますが、その場合にはここ数年間絶えず相当に飛躍的な自然増収が出たということであれば、単に公務員のベース・アツプの数字だけを基礎にして見積るということは何か欠点があるのじやないか、そこにそういう傾向があるなら、もう少し大巾の増収を見込んでおいても手堅いといい得るのじやないかと思いますが、そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/10
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011・泉美之松
○説明員(泉美之松君) これはまあいろいろ御意見はあろうかと存じますが、租税収入といたしましては、現在の経済情勢を基礎にいたしまして、それから見通される経済情勢を推測いたしまして、それに基いて自然増収を見積るということになるのでございますが、それは少し危くてもよいから大目に見込んでおけという御意見かとも思いますが、これはまあ財政の均衡を保持するという見地からいたしまして、なかなか困難ではないかというふうに考えるのでございます。最近自然増収が特に多くなるようなお話でございますが、実は経済上の変動が著しい際におきましてはやはり常に自然増収が出る。その代り逆に経済情勢が余り芳しくないと自然減収が出るという状態でございまして、御承知のように、第一次大戦当時の大正六、七、八年当時におきましては、年々予算額に対しまして決算額は四割とか七割増の自然増収になつておるのでございます。それが昭和六、七年の不況時代におきましては逆に自然減収が生ずる、こういつたまあ歴史的な経過にもなつておるのでございます。お話のように、最近自然増収が二十五年以降引続いて出ておるのでありますが、そうかと言つて、経済の見通しを余り甘くいたしまして歳入を見積るということは如何かと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/11
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012・木内四郎
○木内四郎君 別に私は危つかしくてもかまわんから余計見積れという意味じやないのです。単に公務員のベースだけを基礎にして見積ることが、まあ何と言うか、堅過ぎるので、もう少し経済一般の情勢を加味して自然増収を見込んでもいいのじやないか。とにかく今税金が非常に重いので、少しでも早くできるだけ減税してもらいたいというのが国民の要望だろうと思うのです。
それをまああなたがたのように堅く見積つておけば、あとになつて取過ぎて、あとで減税するということになるのだけれども、できるだけ早くできるだけたくさん減税してもらいたいという国民の要望もあるのだから、あなたがた税収を見積られる場合には、単にはつきりしたところのベース・アツプをやるところの基礎だけによつてやるということは、むしろ正しいとばかりは言い得ないのじやないかという感じがしているので私は質問したのですが、その点も考慮に入れて税収を見積つてもらつたほうがいいのじやないかと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/12
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013・泉美之松
○説明員(泉美之松君) まあお話のように、公務員のべース・アツプがあつた場合に、それが民間給与のほうに影響いたしまして、民間給与のほうがどの程度上るかという問題は、確かに木内委員のおつしやるようになろうかと思いますが、今回の公務員給与ベースの改訂は、民間給与とのずれを調節するという意味が多いのでございます。従いまして、民間給与が公務員の給与ベースが上つたと同じ程度直ちに上るというふうに見通すことは、非常に危険ではないか。従いまして、私どもは来年度の予算におきましては、公務員の給与ベース改訂の影響が民間給与にも若干現われまして、民間給与が来年度におきましては、現在の九月の水準から相当上るものという見通しは立てて見積りたいと、かように考えるのでございますが、本年度収入におきまして、直ちに民間給与もすぐ同じ割合で上るというように見積ることは危険である、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/13
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014・波多野鼎
○波多野鼎君 手許に配られた資料ですね。「米価及び運賃の値上りと税制改正の勤労者の生計費に及ぼす影響調」というものがありますね。補正予算の説明にも、米価の値上りというものは全部大体において説制改革によつて影響は帳消しになると、だから米価値上りは国民生活の負担を加重するものではないという主張がこの説明の中にも繰返されておる。今指摘した資料にもその点が数字的に出されておるのだけれども、まあこれを見ておりまして、非常に何というのか、机上の計算のような感じしか受けない。というのは、一般に米の値段というものの国民生活の上に占める位置というものか、まあ心理的な効果というものが非常に大きなものだし、すべて米の値段によつて、例えば賃金にしたつて何にしたつて規律されて行くという国民習慣ですか、そういつたようなものを考慮に入れて行くと、米価の値上げということが国民生活の上にいろいろな波紋を及ぼして来るということは、当然これは予想しなければならない。その波紋の度合いをこの数字的な計算だけではどうしてもカバーし切れない、現わし得ないというふうに僕は思うのだが、それともう一つ、この低額所得者ですね。まあ税金を納めないような連中、こういう人が非常に多い。こういう人に対しては減税というものの効果は全くなくて、米価の値上りだけが純粋な負担となつて覆い被さつて行くということは、これはもう明白なんだが、従つて又生活保護費の問題などについて考慮するのが当然じやないかという気もするのだが、そういうような点について大蔵省ではどんなふうに考えておつたですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/14
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015・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 先ず最初にお手許にお配りしました資料について申上げたいと考えますが、これは所得税の軽減のほうは、今度の臨時特例によりまして、一から三月の間基礎控除、扶養控除、税率、それから社会保険料控除、勤労控除の限度引上げ、こういつたいろいろな改正を行うことによりまする負担額の軽減を現わしておるのでございます。そのところで、年収十二万円、給与月額一万円で夫婦、子一人のところで、現行税引手取額に対する割合が二%〇三しか軽減になつておらなくて、この階級が如何にも軽減が少いように現われておりますが、これは現在の税負担額が百九十九円しかないのでございます。改正によつて、この一万円で夫婦、子一人の場合におきましては、二十八年一月一日以降は税負担額がなくなりますので、幾ら軽減しても百九十九円以上は税金によつて軽減することはできない。従つて負担額の軽減の率が低くなつておるという点を御了承願いたいと思うのであります。
それから、これに対しまして米価の値上りによつて生計費にどの程度影響を及ぼすかという調べは、これは農林省の調査に基きまして、あとの備考にも説明してございますように、現在十五日米の配給があるわけでございます。そのうち十日分が内地米、外米が五日分というふうになつておるのでありますが、米の値上げの関係におきましては、外米の先日分のうち三日分は準内地米、カナダ米とか台湾米とかいつたような準内地米に扱いまして、その値上率は内地米の値上率と同様の六百二十円から六百八十円になりますのですが、この率で十三日分は六百二十円から六百八十円の値上率、外米の二日分だけは五百五十円から五百八十円、いずれも十キロ当りでありますが、そういつた値上率で計算したものであります。それにまあ運賃の値上げを一〇%二七、これはまあ全国の運賃の平均の値上でありまするが、これを加味して生計費に及ぼす影響を見たのであります。お話のように、米価が上り運賃が上りました場合に一般物価にどういう影響を及ぼし、その結果生計費がどのようになるかということは非常にむずかしい問題であろうかと思います。ただ数年前と違いまして、最近の経済情勢からいたしますと、米価が上り運賃が上りましても、まあ最近の一、二年間の統計によりますと、物価はさほど上らない。これは波多野委員も御承知のように、最近のCPS小売物価、卸売物価を御覧頂きますとおわかりのように、米価の改訂、運賃の値上げによつてさほど影響を受けておらないように見受けられるのでございます。従いましてまあ今申上げましたような経済事情を予測することが困難であるということと、まあ最近の情勢から以てすれば、それによつて余り物価に及ぼす影響はなさそうだというふうな見地等からいたしまして、数字的にはこういうふうにだけ現わしておるわけでございます。勿論一般物価がどういうふうになりますかということは、十分我我も関心を持たなければならんのでございまして、今後の動向を注目して行く必要があろうかと考えるのでございます。
それからもう一つの成るほど所得税の軽減によつて米価の値上りをカバーするものは相当多いだろうけれども、米価の値上げを所得税の軽減でカバーできないクラスがあるのじやないかというお話、御尤もでございまして、これにつきましては所得税の軽減だけでカバーするということは、これは到底所得税を納めておらないのでございますからできがたいのでございます。これらにつきましては、生活保護費或いは失業対策費等によつてカバーするということを考えなければならんものと思うのでございます。
それからなお中小の常業者につきましては、これはまだ確定しておらないのでございますけれども、本年の事業税の基礎控除は三万八千円でございますが、来年におきましては所得税に合せれば五万円に基礎控除を引上げなければならん、こういつたことによつても軽減を受けるクラスが出て来ようかと思うのでありますが、いろいろな措置によつてそういつた階級を救つて行かなければならんということはお話の通りだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/15
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016・波多野鼎
○波多野鼎君 で、僕の言いたいのはですよ、生活保護費、特に減税の恩恵に浴し得ない、まあ生活を保護されておる人たち、こうした人たちは米価の値上りを全面的に負担として受取る、そういう地位にある、そうした人たちに対して今度の補正予算では何らの措置も講ぜられておらないという点は、非常な片手落じやないかというふうに思うのだが、単にこれは生活保護を受けておる人たちだけじやない、それ以外にも相当の収入があつても、税金を納めるに至らない人がたくさんある、そういう人たちに対しても何ら手が打たれていない、特に生活保護を受けておる人たちに対して野放しになつておるというような問題について、大蔵省では討議したのかどうかということです。それを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/16
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017・泉美之松
○説明員(泉美之松君) お話の点は実は主計局の所管に属するので、私からお答えするのは如何かと存ずるのでございますが、そういつた点をいろいろ討議いたしまして、主計局でその措置を講ずるということに相成つているのでございますが、どういうふうな措置を講ずることになりますかは、主計局のほうの責任者からお聞取り頂ければ仕合せと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/17
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018・波多野鼎
○波多野鼎君 主計局でも大蔵大臣でもいいわけですがね、あなたから何も聞くことはできないわけだな、いや、それは結構です。これは保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/18
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019・小林政夫
○小林政夫君 大臣はいつ出席してもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/19
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020・中川以良
○委員長(中川以良君) 本日は大臣の出席も要求いたしておりまするが、丁度衆議院で予算委員会をやつておりますので、そちらのほうに出ておりまして、どうしても手が放せない。それから平田主税局長も是非本日は出るように要求しております。これは丁度答弁をいたしておりますので、この答弁が終つたらこちらに出席するという回答でございます。なお本日も大臣は時間があれば是非出て来てもらいたいと思つておりますが、若し本日出られなかつたら、次回でも出てもらうように要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/20
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021・波多野鼎
○波多野鼎君 どうだね、本会議もやつてるだろう、だから一遍休憩して……やはり答弁する人が揃つてからしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/21
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022・中川以良
○委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/22
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023・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/23
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024・小林政夫
○小林政夫君 法人税について価格変動準備金、退職給与積立金、企業合理化促進法による特別償却、租税臨時措置法による特別償却、これらによつて一体その適用を受けることが何件あつて、法人税がどのくらい減税になるか、その減税額です。それからできればその法人の階層別にやつてもらえればいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/24
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025・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 階層別というのは、それから何件というのは、ちよつともう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/25
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026・小林政夫
○小林政夫君 階層別というのは、大体そういう陳情もありますが、私らの考えでも、少額所得法人は余りそういうた特別償却の特別減税の恩恵に浴してないと思います。それが見たいと思います。大体のものでもいいのです。そう詳しくなくてもいい。いわゆる中小企業者と言われている、中小企業に属する法人は、こういつた価格変動準備金、退職給与積立金とか企業合理化促進法による特別償却、租税臨時措置注による特別償却、こういつた手段によつては余り減税の恩恵に浴しておらないのじやないかという気がするものですから、一遍資料的に確かめたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/26
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027・泉美之松
○説明員(泉美之松君) お話の租税特別臨時措置法というのは、特別措置法のことでございますね、措置法の中の五割増し償却の問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/27
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028・小林政夫
○小林政夫君 はい、そうです。それからもう一件、委員長も問題にされておりましたが、物品税に関する資料をお願いしたいのです。昭和二十六年度の物品の税品目別の課税実績、それからこの説明書にも分けて書いてありますが、昭和二十七年七月から八月までの品目別の課税実績と、それから昭和二十七年九月以降昭和二十八年七月までの課税見込額があるのですね、総額が……、それを恐らく品目別に積上げているのでしようから、品目別の課税見込、それからこれは私のほうで調べてもわかるのだけれども、まあついでに調べてもらいたいのは、公務員の給与ベースが勤労控除の最高額を三万円で押えた後に、大抵二十五年の四月からだつたんじやないかと思うが、それから後に公務員の給与が何回か上つてますが、その値上り率を一遍出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/28
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029・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか。……それでは只今暫らく休憩の御意見もございましたが、休憩することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/29
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030・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは暫らく休憩をいたします。
午前十一時二十一分休憩
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午前十一時二十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/30
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031・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは休憩前に引続きまして開会いたします。
平田主税局長が御出席されましたので御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/31
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032・小林政夫
○小林政夫君 私は前回も申上げたように今度の改正案については相当我々の意見を取入れられておるので、提案された案そのものについては大して異論もなし、その質問もないものでありますが、将来の二十八年度の本格的な改正をやるということでありますので、それに備えて質疑又は資料の要求をしたいと思つております。
ただ今度の改正の場合で、一点名前の問題ですが、今まで勤労控除ということを言われておつた。これは前回の際に私大蔵大臣にも勤労控除という名前は適当でないのじやないか、給与所得控除という名前にしたらどうですかという意見を言つたところが、大蔵大臣も非常にいい名前だと言うて、恐らく速記に載つてあるはずですが、賛成をされました。是非次回の二十八年度において、どうも勤労控除ということは、筋肉労働者とか筋肉労働による所得のみについて控除をするというような考え方で、例えば中小企業のほうにおいてもこれは又別の観点から考えなければなりませんが、大部分を勤労によつて、事業所得しておつても、勤労控除を考えろという、名前だけで公平を考えられるというような意見も出て来るので、そういうふうに改正されては如何ですかと思うのですが、主税局長の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/32
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033・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) お話の点は一つの御見解だと思いますが、所得税法では、実は別に勤労控除という言葉を正式に使つておるわけではなくて、俗にそう申しておるわけでございます。ただ極く簡潔に言うためにそういうことを言つておる場合もございまして、今度の改正のほうにもそういう言葉を使つておりますが、所得税法の本来の控除の規定の部分には、給与所得の所得の計算方法のところに一割五分控除するということにいたしておるわけでございます。お話の通りそういうことにすることによつてほかの問題が実質的に解決するかどうかということになりますと、これは又いろいろ問題があろうかと思いますが、まあ考え方といたしましては、私ども理論的にはやはり中小商工業者や或いは農民の所得の中にも勤労所得が相当多いという事実は認めておるわけでございます。こういうふうにどこかに勤めまして、業主としてでなく、全く附随、従属的な労働による収入というものが、これはなかんずく一番担税力が弱い、それと課税の実際等のこともございますが、そういう点を考えまして控除いたしておるわけでございまして、今のお話は一つのお考えだと思いますが、法文の上で特に或いは給与所得控除といつたふうにするのも、その辺よくもう少し考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/33
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034・小林政夫
○小林政夫君 この法文自体には確かにございませんが、例えばあなたのほうで出しておられる、今度の分にあるかどうか、前の分なんかには、見出しに勤労控除とちやんとあるのですよ。それからあなたのほうの公文書でも、簡単に言われるときには必らず勤労控除という、或いは納税者が申告する場合の解説書等についてもちやんと勤労控除と言うてある。そういうのを一つこれは私の思いつきだけれども、給与所得控除、これはお考えになつて適当にその名前を変えられたほうがいいのじないかと思うておるわけです。只今の中小事業者等、主として勤労によつて所得を上げるという階層は担税力は弱いが、併しこの勤労給与所得に対する控除というものは、そういつた担税力の面よりは、まあシヤウプさんの理論によれば、理論的には控除の余地はない。実際の課税能力、課税上の理論的でなしに、実際上の問題から控除する必要があるというような観点でありまするので、是非、そういう意味から行くならば、なお更勤労控除という名前でなしに、給与所得控除、硝子張りの所得者に対する或る程度の目こぼしという意味において、緩和という意味においての給与所得控除ということが望ましいことと思つております。是非お考えを願いたいと思います。
それからそれに関連して、主として中小事業者の問題になるわけでございますが、家族労働者を使用しておる業者が、給与支給者が別になれば所得は勿論合算される、又それぞれ基礎控除も受けられるが、自分の親父に仕えると、やはり一体となつて所得がかかつて、これは計算して見ても確かにそのほうが重くなるわけであつて、親父から給料をもらつて勤める、親父の仕事を手伝うという点においてはその人間、息子自体から考えても又その家から考えても税が重くなつて来る、従つて例えば漁業労働者等については、親交の、船に乗つて沖へ出る、それは使用人と同じ仕事をやつておるが、雇われて行けばうんとその家としては税が軽くなり、親父の仕事を手伝うと非常に税が重くなつて、結局からだを張つて船に乗り込むのは馬鹿らしい、そうして岡のほうで適当に遊んでおるほうが命の危険もないだけ得だというようなことも言つておるわけで、これは何も漁業労働者に限らず、農民、農家のほうにもそういう例があろうと思いますが、そういう点について多少基礎控除を上げるとかというようなことを考える必要があるのじやないかと思うのですが、見解は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/34
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035・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 最初に給与所得の控除でございますか、或いは勤労控除でございますか、この問題についてちよつと補足して申上げておきますが、私どもの理論的な見解といたしましては、この控除をいたしまするのは、一つは給与所得が担税力がほかの所得に比べまして弱いということと、もう一つは必要経費の、厳密な意味における必要経費を細かく計算して控除していない、ほかの所得は所得を得るために必要な経費は一切引かれるわけでありますが、給与所得につきましては収入金額そのままを取入れまして、いろいろな費用を、要るか要らないかいろいろ人によつて違いますし、議論もございますが、とにかく引かない、そういうことにいたしております。その二つが勤労控除と申しますか、そういう特別控除を認める理由にいたしております。この見解は今日といえども変えていないことは御了承願います。併しなおそういうことをきめます際に、併せまして課税の実情が一体どういうふうになつているか、そういうことも事情として頭に入れまして判断するということは、これは勿論私否定するものではないのでありますが、控除をする理論的根拠はその辺のところに求めておるということは、これは誤解のないように繰返して申上げておきたいと思います。
それからもう一つは家族労働をどう見るかという問題でありまして、これは率直に申しまして、日本の企業体は非常に家族労働に依存しておる、経済がほかの先進国に比べますと、企業の経営のあり方が遅れておる、非常に小企業が多くて、その中におきましては本来の資本主義的な、合理的な企業の形態からいたしますと、ほど遠い企業の形態がたくさんある、そういう場合にどうするという問題でありますが、これは理論をつかみますと実はむずかしい問題の一つだと考えております。そういう際におきましては、お話のようにいやしくも家族であろうと、世帯主のために労働を提供して、それによつて何か一緒に暮しておる、理窟を申しますと、なにがしかの報酬を払つてもいいはずだ、それは又業主の所得を見る際に引いてもいいはずだ、これは確かに理論的に考えますと、一つの議論であるということは私ども否定するものではないのでございますが、ただ今の日本の実態はどうかと申しますと、実はそういうものが非常に多くて、どの程度働いておるか、これは人によつて違うと思いますが、自分の家で手伝うと同時に、暇なときにはよそに働きに出ておる人もおります。半分は手伝いをしており、半分は家事をやつておる人もあります。いろいろ区分、限界となりますと、非常に程度も千差万別でありまして、それを所得税法でどう扱うか、これはなかなか厄介なのであります。そこで私どもは青色申告をいたますれば計算が非常にはつきりいたしまして、又どの程度働いたかも記帳その他で明らかになりますので、そういう人につきましては引くことにしよう、ただこれも同族会社と同じことでありまして、引くとしますと、現実に給与を払つたから現実に認めてしまうと申しますと、引く額は基礎控除の額と同額に頭を抑えておりまして、今年なら五万円を引こう、こういうことによつて一つの解決を求めておる。従いましてそのことによりまして、同時にそれはほかの企業に認めない意味におきまして、青色申告に対する相当な優遇措置だと私は考えております。併しそういう青色申告はなかなかむずかしいから、一般に拡げてくれという要望もございますが、家族の中に一緒に従事する人がいる場合には、私は余りそうむずかしいことを要求しないのだから帳面を付けてもらつてもいいんじやないか、こうお答えしておるのですが、その辺で若干の解決を図ろうとしておるわけであります。この問題は日本の企業体が将来もつと経済的に進歩し、それから生活の実態もいろいろ変つて来ますれば、又解決方法があろうかと思いますけれども、今のところはあの程度の解決が精一ぱいのところじやないかと実は感じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/35
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036・波多野鼎
○波多野鼎君 ちよつと局長に聞きたいのですが、今度は又べら棒に多いのですが、租税の自然増ということの法律的な性格はどういうことなんですか、つまり予算を我々が議決した場合、これだけの租税は政府が取ることを認めたわけなんです。それ以上のものが入つて来た、これは国会の議決とどういう関係があるか、一遍一つ考えて見たいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/36
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037・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) この問題はもう波多野先生にお答えする必要はないと思いますが、(笑声)法律的には税金というものは、要するに国会でおきめ願いました税法に従つて、それを適切に運用しまして徴税する、予算を適正に執行するならば、大体どれくらい収入が入つて来るか、その見積りをいたしておるわけであります。従いまして最初予算を作りました当時に予想しました事情と、課税物件の消長が変つて来ますと、そこに自然増収になり、或いは場合によりますと減収を生ずるということになる。そこで問題は、果して適正な執行をやつた結果であるか、見積り当時に比べまして事情が変つたか、その辺が自然増収がどうして生じたか、その問題になつて来るのではないかと思うのでありまして、事柄自体は、税金はあくまでも法律に基きまして徴収するわけでございまして、予算はそれをもとにいたしまして一つの見積りをいたしておるのに過ぎませんので、それを超えたり、或いは場合によりまして不景気になつて減つたりするようなことがありましても、その徴税方法自体に問題はあるかと思いますが、それは別段欠陥がない、或いはできるだけのことをやつているという場合でございますれば、これはどうも結果におきまして自然増収、自然減収を生じましてもいたし方がないことではないか。成るべく的確な見積りをいたしまして、成るべく結果におきまして合うような予算を作ることに努力いたしておるのでございますけれども、過去の実績から申しましても、相当の差があるようでございます。
なお、念のため大分そういう御質問を最近受けましたので、ちよつと古い時代からの自然増収を調べて見ましたので、ちよつと御参考に申上げておきます。この前の第一次のヨーロツパ戦争の時代は、やはり予算を作りました当時に比べまして、経済界が尻上りに上つて来ましたために、毎年自然増収を生じております。御参考に申しますと、大正五年頃から増収が出ておりますが、六年になつて激しく出ておりまして、三億四千二百万円の租税収入の予算に対しまして、実績は四億八千三百万、つまり四割一分の一億四千万の自然増収になつておる。その次の年の大正七年も、予算は四億八千九百万に対しまして、決算は六億六千六百万、やはり三割六分の自然増収、それから更にその次まで続きまして、大正八年におきましても、予算が六億三千七百万円に対しまして九億三千三百万、四割六分の増収、その次が少し落ちまして、その次の大正九年には六億八千二百万に対しまして、決算は八億一千三百万と一割九分、十年になりますと殆んど同じになりまして、予算が八億四千三百万に対しまして、決算は八億七千七百万、たつた四%の増収、こういうことになつて来ております。それから逆にこの前の世界恐慌の不況のときに、これは自然減収を四年間に亘つて生じておる。昭和でございますが、昭和五年には予算で九億八千四百万見積りましたのが、決算は九億五百万で八%の減収、その次の年も同じくやはり六%、昭和七年が一番多くて、十二%の減収、こういう自然減収と言いますか、これは見積りました当時に比べまして、経済の情勢が下降いたしましたために、決算においては赤字を出しておる。それからその後満洲事変以後におきましては御承知の通り、毎年毎年経済が尻上りに上つて行きましたために、毎年若干の自然増収が生じておるようでございます。例えば昭和十四年が一割一分五厘、十五年が一割四分八厘、十六年が九分五厘、十七年が一割四分五厘、こういうような自然増収を毎年生じておるのであります。それが終戦後におきましてもインフレのために途中たびたび予算を変更せざるを得ないような、その税の見積りを変えざるを得ないような情勢になつたことは御承知の通りであります。最近におきましては、昭和二十四年度におきましては大分経済が安定し、或いはしまい頃にはデフレと言つて大分騒がれたときでございますが、そのときは辛うじて予算を確保しまして、〇・四%だけ予算を超過した。予算の五千百五十九億に対しまして決算は五千百八十一億で、二十二億ほどオーバーしておる。〇・四%。二十五年はそれよりも若干又上廻りまして、予算の四千四百五十億に対しまして決算は四千五百六十三億、二、五%。昨年は四千三百二十二億ございまして、自然増収が七・七%。尤も最初に見積りました予算に対しますともつと多い数字になりますが、そういう情勢になつて来ておりまして、今年も六千百億に対しまして約七百億ほどの自然増収を見たわけでございます。この主たる原因は先般もちよつと御説明申上げましたが、昨年予算を見積りました当時に比べまして、当時の予想に比べまして、実は給与所得が思つたより上つた、それに伴いまして今年になつてから消費が上つて来た。消費水準が少し上りますと、御承知の通り税のかかるようなものはどつちかと申しますと、中間的な消費財が多いものでありますから、弾力性がより以上に強いと考えられますから、物品税のごときは前年の上期に比べますと、四割ぐらいの消費の増になつておる、そういう状況でございます。大体通観いたしますと、最近は昨年一年が朝鮮動乱のために生産と物価が急激に上りまして、企業の収益が著しく上つて、昨年は法人税の自然増収を生じまして、約一千億ぐらい前年度に比べまして結果において増収になつた。今年は法人税のほうはとまりまして、遅れて給与等が上り、消費が上つて来た、大体このように歳入の数字も関連して来ておりますが、これは今後どういうふうになつて行くか、いろいろ考えておるのでありまするが、今までに現われました大体の状況はそういうふうになつておりまして、それがまさに税の最初の見積りましたものに対する増減の数字が、大体これと同じような結果を辿つておるような次第であります。自然増収の問題を大分聞かれますので、少し詳しく申上げました次第でありまして、事情は大体そのようになつているということを詳しく申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/37
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038・波多野鼎
○波多野鼎君 給与が予想以上に上つたからと言われますが、現金給与の総額というものは租税及び印紙収入補正予算の説明によると、去年の十一月が大体一万二千百四十四円、今年の九月が一万三千六百三十八円、約一割見当ですね。給与の上つたのは……。ところが所得税のほうの源泉のほうを見ますと、源泉所得税、これは主として給与所得だと思うのだが、これの上りかたは、増収のし方は約三割、千三百三十億円に対して、自然増が六百六十億、源泉所得は六百六十億自然増でしよう。当初予算で千三百三十億、三割近く上つております。この開きが少し大き過ぎるから僕は疑問に思うのだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/38
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039・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これはお手許に配りました資料によりまして御説明申上げますが、所得が殖えますと、所得が殖えた以上に税額が殖える。これは基礎控除の関係と累進税率の関係でございます。で今御覧になりました歳入予算の説明というものに基きましてちよつと申上げますが、この六ページをちよつとお開き願いたいのですが……。ここで御説明申上げますが、その真中よりちよつと下のほうに、十行日くらいでございますが、給与の支給、支払給与見込という数字がございます。下から十行目のところでございます。要するに給与を幾ら支払つているか。その支給総額でございます。それが一兆六千七百六十七億四千三百万この数字でございます。これが給与としまして払われる総額、これに対しまして実はいろいろな控除をしているわけでございますね。先ず勤労控除が千九百八十余億、基礎控除が四千四百六十億、それから扶養控除が二千八百三十余億、生命保険料控除が八十六億、合せて九千三百六十三億というのが実は各種控除で、課税所得の計算から引く額でございます。それを差引きまして、課税所得は七千四百億、つまり給与の支払総額に対しまして約六割以上のものが各種控除で控除するところで給与が幾ら殖えたか、今も御指摘になりました統計は、最初の支払給与の見込額が幾ら殖えるか。それに対応するものでございまして、この金額が例えば一割殖えますと最後の課税所得の金額は勤労控除だけは少し殖えますが、その他の控除は殖えませんから、二割以上殖える。正確に計算しますと、出て来る勘定でございますが、まあ一割、場合によつては二割以上、二割五分殖える。こういう結果になると思います。
もう一つは所得が殖えますと、累進税率の結果、高い税率の適用を受けることになる。この事情のために所得の増減以上に所得税の収入は猛烈に増減する。これは単に給与所得だけじやなく、申告所得者の場合も同様でございますが、所得が二割殖えますと、税額は四割くらい殖える。更に大きいのは控除の関係と累進税率の関係、二つの関係でございますが、そういう事情がありまして、従いましてちよつと所得の見積り方が狂いますと、歳入に相当大きく響く、こういう関係に相成るわけでございまして、従つて給与が予想以上に若干上りますと、結果において相当収入において違つて来る。なお今の数字ちよつと正確に申上げますが、つまり定期的給与は、昨年の平均を一〇〇としまして、今年の九月は一二になつております。昨年の九月を一〇〇としまして、今年の九月が一年間に一七・五、一七・五%の増加でございます。これに対しまして、消費者物価は大体最近は横這いで安定しております。即ち昨年を一〇〇としまして、今年の九月は一〇五・七、昨年九月に対しまして最近は二・三の騰貴ということになつておりますが、この一年間くらいは朝鮮動乱による好影響が遅れて、どうも給与のほうに大分現われて来ているのじやないか。私はそういうふうに見ているのでございます。そのような事情と、今申上げました税収入は所得が殖える以上に所得税のコンストラクシヨン、構成の関係からなつている、この二つの関係からこのようなことになるという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/39
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040・波多野鼎
○波多野鼎君 その点はわかつたのですが、次に予算の性格ですね。予算が法律かどうか。こういつたことがしよつちゆう議論されているのだが、税法と予算、これは法律上どういうふうな関係があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/40
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041・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 御承知の通り歳出のほうは、これは予算できまつた額を越えては歳出するということはできない、きまりました支出、それ以内でありますと、政府の権限で節約してよろしいということになつておるようでございますが、歳入のほうはそれぞれ法律がありまして、法律に基きまして適正に徴収する。予算で見積りました金額はその単純な、極端に言いますと単純な見積りにしか過ぎない。見積りが果して適当であるかどうか予算審議の大きな材料になり得ると思うのでありますが、予算に見積る額がきまつたら、その見積額は直接それに基いて税を取るとか取らないという問題ではない、やはり飽くまで税法に基きまして徴収する。それに基きまして適正に徴収すれば幾らくらい税収入が入つて来るか、それを予算に見積りまして、予算収入を出しまして、歳入歳出を合わせて予算をきめて行く、こういうことになるものと私どもは理解いたしている次第であります。従いまして、税は直接すべて法規に基いて徴収するので、予算に基いて税を徴収するものではないということは言えるかと思います。ただ全体としての財政計画、予算計画でそれじや税法をどういうふうにきめるかということは大きな予算との関連においてきまつて行く。きまつた税法は各人ごとに直接税法に基きまして適正に納税をしてもらうし、お役所も徴収して行く。そういうように筋道として相成るのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/41
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042・波多野鼎
○波多野鼎君 そうすると総予算というものは性格は二つ違つたものが含まれておるというふうに解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/42
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043・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 併し予算案全体としましては、やはり歳入に対しまして支出は幾ら出すか、それが非常に大事な問題でございますから、見積りといたしましては飽くまでも適正な見積りをやりまして、それで財政計画を立てて行く、こういう意味におきまして、歳入予算も私はそういう意味において非常に意義があると思いまするが、ただ税法の直接の執行になりますと、予算は直接に税法の執行を拘束するものでない、これは明らかなところではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/43
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044・波多野鼎
○波多野鼎君 そうするとこのような大きな自然増収というものが出て来たというゆえんは、財政計画が間違つておつたということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/44
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045・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) この前の予算を見積りました当時に比べまして状況が変つて来た、こういうことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/45
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046・波多野鼎
○波多野鼎君 その状況が変つたと言つたつて、予想し得ないような大きな変化はないでしよう。戦争みたいなことはないんだから、そう大きな変化がありますか。去年の十一月から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/46
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047・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これは今申上げました通り、給与がこれだけ上るということは、その当時安本でもどこでも予想していなかつた、それから昨年度の法人税にいたしましても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/47
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048・波多野鼎
○波多野鼎君 予想しなかつたということに問題がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/48
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049・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) そこはいろいろ問題があるかと思いまするが、その当時の国民所得の見積でも、或いは一般の経済雑誌等におきましても状況がそれほど給与が上るということにつきましては、恐らくどこでも強調するところがなかつたのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/49
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050・波多野鼎
○波多野鼎君 それはまあ去年の文献でも持出せば直ぐ分かることてすが、米価算出の場合のパリナイ指数をどうきめるかということで、我々非常に議論した問題で、必ず上ると言つて、これは非常に議論した問題なんです。政府だけがつんぼにして聞かなかつただけの話で、そういう点は非常に大きな失態じやなかつたかという気がする。そういう点は余りどうも見積り方がまずいという点からこういう大きな開きが出てしまつた、そういうことになるんじやないかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/50
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051・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) まあ見積り方はなるべく適正を期さなければならんと思いますが、先ほどもそういう問題があつて過去のデーターも申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/51
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052・波多野鼎
○波多野鼎君 過去のデーターは違う……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/52
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053・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 全体の六千何百億に対して、一分一厘正しく見積りをするということは、これはちよつと私多年やつておりますが、ちよつと不可能なことじやないかと思いますが、さつき申しましたように、昨年は予想不足いたしましたのは、実は法人税で大きな狂いを来した。本年は給与所得と消費税、これはこんなにまで今年になつてからよくなろうとは実はあの当時予算を作りましたときには、私ども率直に申しまして、それほどまでによくなるとは考えておりませんでしたし、多くの人もそう思つていなかつた、こういうふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/53
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054・波多野鼎
○波多野鼎君 まあいいや、労働組合当りではしよつちゆうやつていたのだから、こういう民主的な大きな勢力ですよ、そういう点じや労働組合などの運動の効果を低く見積り過ぎておつたということに結果はなるのですが、これは議論ですからやめておきますが、もう一つ聞いておきたいのは、この予算説明書でも言つているが、先ほどからも議論した点なんだけれども、米価の値上げということは、国民生活に及ぼす負担というものは税金を減すことによつて張消しにする、或いはカーバーできるという、この資料も我々の手許に配付されておりますが、そういうことを主張しているのだけれども、減税の恩典に浴しない国民層が非常に多くあると思う。そういう人たちに対しては、米価の植上げそのことが直接それだけの負担となつて蔽い被さつて行く。これに対しては減税措置は及ばない問題だから、ほかの方法を講じなければならない。例えばまあ一番困つているのは、この生活保護費を受けているような階級、こういう人たちはもう米価の値上りをそのまま受けてしまう。而も生活保護費が月どれくらいになりましたか、五人家族で八千円くらいじやないかと思うが、八千円くらいの生活保護費を受けているものに対する米価の引上げによる圧迫というものは非常に大きいと思う。特にあの人たちにとつては、食糧費というものはその中の恐らく六割か七割くらいを占めるのじやないかと思うんですが、そういうものに対して補正予算は何らの措置も講じていないんじやないか。聞きますと何か措置をするつもりであつたという話なんだが、どうですか、その辺は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/54
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055・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今の御質問は非常に御尤もな御質問でありまして、実は前の森さんからも御質問を受けた点でございますが、大体やはり或る程度納税者のほうでございますと、今度は非常に控除を上げましたので、大体もう米価の引上げくらい簡単に減税で吸収できる。むしろ三分の二は残る、こういう計算がございますが、まあ問題は所得税を納めていないような人、それから一番もつと、更にもつと底の救済を受けている人、これはどうなるかという問題でございますが、救済を受けている人はこれは解決できる。と申しますのは、生活保護費を実は米価を、その分を計算しまして支給額をかけることになつております。だからこの問題は一番底のほうの人は、従いまして米価の引上げによつて影響を受けない。一番底と税金を納めていないところのクラスで、これはどうも如何なる減税とか政府の財政措置でうまくやるというようなところができない幾人かの人がいる。これは私共も否認するわけではない。それに対しましてはまあどういうふうにするか、これは問題でございまするが、そういう人が一体どれくらいいるか、実態はどうかということを、昨年この委員会で大分つめられましたので、今年はもうちよつとはつきり説明するように、農林省とも主計局とも相談しまして、その辺の資料を調製しておりますので、できましたらその辺のところを詳しく御説明申上げたいと思う次第でございますが、そういう層があることは事実ですが、幸いにいたしまして、所得税のかからないのは大部分は農民でございまして、農民のかたがたは食糧の自給ができますので米価の値上げをいたしましても……営業者と本当の小さな労働者でございますが、その辺のところが一体どれくらいあるか、どういうふうになるか、もう少し資料をかためまして正確な御返事を申上げたいと思つている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/55
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056・波多野鼎
○波多野鼎君 もう一つだけ、それはまあ非常にむずかしい問題だと私は思うんだけれども、これを予算の説明書で減税でカバーできてしまうということを言うから問題があるんで、これは恐らくできない。そういうでたらめを言い過ぎるから私は問題にするだけの話なんで、是非そういう資料を出して説明して貰いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/56
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057・小林政夫
○小林政夫君 今のに関連して、今資料を出すからと言われたから、その資料ができればいいのですけれども、私がずつと計算してみて、余り数字が大きいので意外に思つておるのですが、今の減税の恩典に浴さない、所得税を納めていない人間を計算してみたのですよ。そうすると現在所得税において、納めているのは八百六十三万三千人、その人と、納税者についての扶養家族といいますか、扶養人員が一・六九、だからそれを八百六十三万三千人に二・六九を掛ければいいわけですね。そういうことをやり、それから申告所得税のほうで納税者は三百十七万、これの平均扶養人員は四・一五、そうすると五・一五を掛ければいいわけで、それを加えますと三千九百五十四万八千二百七十人で、日本人口八千五百万として差引くと、四千五百四十五万一千七百三十人というのが、所得税の軽減によつては何らの恩典に浴さないという数字が出るのです。大体そういうところで間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/57
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058・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 今の数字は農家の数字が入つておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/58
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059・小林政夫
○小林政夫君 入つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/59
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060・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 農家が入つていますと、農家が約五百万戸ぐらいございまして、世帯員を入れますと、約三千万人くらい農業人口があると思います。所得税の納税をしていない大部分は今は農家で、ほかのほうは比較的納めている。それで給与所得者の大都市におきましては、概ね実は納めている。地方に行きましては納めていないのがいる。それから事業者側も小さいところには納めておる人も或いは納めていないところもございますが、法律では納むべくして納めていない人もなかなかいるようでございまして、その辺なかなかむずかしい問題でございますので、私どもできるだけそういう点も資料を突合せまして、万端の材料だけは何とか御提供できるように、一つ整備さしております。その際までちよつとお待ちを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/60
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061・小林政夫
○小林政夫君 原因はざつとあなたがたの出している資料でも、農家は納税人員百二十三万、それで一人当りの扶養人員は一番農家が多くて四・八人……約五百万人ぐらいしか納めてない。約六百万人ぐらいしか納めてない。だからこの四千五百四十五万という数字の多くの部分を農家が占めておるということは間違いないと思うのです。それからまあ大体私も計算してみて意外に思つたのです。八千五百万のうちの四千五百万は所得税の軽減によつてちつとも恩典がない、霑いがない。波多野さんの御質問と同じことの気持を私は強く持つたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/61
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062・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) どうも所得税の免税点引上げで、農家が大分ひどく扱われておるというような仰せでございますが、私の見たところでは、そこまでは至つていないようでありますが、今資料を検討中でございますので、成るべく世帯別で……。それから本人は納めていないが、家族が納めているというのが大分あるのでございます。例えば常業者であつて、親父さんは零細な営業であるが、その息子なり、娘さんが納めて……、家計の足しにしておる。こういうのは勤労所得税を軽減するだけで、親父さんの分まで米価の値上りはカバーできぬ、こういうものもある。従いましてそこはいろいろ、複雑でございますので、簡単に行かぬ、それから今お話がありました所得税を納めてないものの大半は農民のクラスである。これは幸いにいたしまして、食糧を自給いたしますから、米価を引上げましても影響はない。こういう事情でございますから、その辺をよく考えまして、余り御検討を受けましても尻が出ないような資料を、目下のところ検討いたしておりますから、その資料ができましてから御説明申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/62
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063・小林政夫
○小林政夫君 いや、家族が納めているというのは源泉所得、勤人ならば源泉所得納税人員の中に入つているのですからね。まあ今ちよつと一口触れられたところにおいては、それはもう納税者の中に入つている、そういうものまで入れても四千五百万人所得税を納めていないものがある、納めてないじやない。所得税の軽減によつて負担を、米価とか、或いは運賃の値上りを吸収できない階級の人間がおるということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/63
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064・波多野鼎
○波多野鼎君 もう一つ聞いておきたいが、米を一月から上げますね、一月から三月までの米価の値上りによる国民負担の増加というものは幾らですか。これは分つているでしよう。十五日分を支給するのだから、十五日米をやるのだから、三ヵ月間でどういうことになるか、それが今度大体一割上りますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/64
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065・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これはたしか主計局で、今の米価を据置いた場合に補給金が幾ら要るか、計算したのがあつたかと思いますが、ちよつと数字は今私……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/65
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066・波多野鼎
○波多野鼎君 百億ばかり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/66
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067・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) いや、もつと多くなります。来年一年でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/67
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068・波多野鼎
○波多野鼎君 来年一年で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/68
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069・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) まあ今年の一月までは百十億か幾らかでございまして、これはもう予算措置は講じているわけでございます。今度の補正予算で。それを来年一年そのまま放つておいて、これを若しも負担するとすれば幾らになるか。これはたしか計算したのがあると思います。相当厖大なものになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/69
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070・波多野鼎
○波多野鼎君 これは突き合わしてみますと、例えば一月から三月までだけ取つているのですよ。減税が二百三十億なんでしよう。米の値上りによる国民の負担の額は二百三十億以上ですよ。三ケ月で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/70
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071・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 一月から三月まではそんなにならんかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/71
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072・波多野鼎
○波多野鼎君 これを計算して一つ出して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/72
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073・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) それは計算してあると思いますから、あとで適当な機会に御説明したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/73
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074・波多野鼎
○波多野鼎君 余り値上りの負担は、国民の負担にならんというようなことは言わないほうがいいのだ。言うと間違いが起るのであつて、少しほらを吹き過ぎているのだよ。まあそういうわけで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/74
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075・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) これは私が申しましたように……、併し納税者の場合は、本当に私の取りました計算は決してごまかしでもインチキでもないのでありまして、正しい計算でありまして、而も或る程度広い所得を取つておりますから、これは問題はない。中以上の所得者の場合は問題なく軽減できるというふうなことであり、問題はないので、それからもう一つは、一番裾の社会保護を受けている人たちは、これは予算措置が、米が上つたので、これができればいいので、解決がつくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/75
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076・波多野鼎
○波多野鼎君 それは補正予算に出ておらんでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/76
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077・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) それは予算措置を取ることになつておるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/77
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078・波多野鼎
○波多野鼎君 予算に出ておらない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/78
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079・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 予算額は増加しないでも間に合うのかも知れない。現実に支給する分は殖やすことになつておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/79
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080・波多野鼎
○波多野鼎君 それを一番先に聞きたかつた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/80
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081・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) それはそうなつております。とにかく主計局長にもう一遍確かめて御説明申上げてもいいと思います。そういう説明がたくさんありましたので、そうなつております。その点御疑問でございましたならば、なお確めて御説明申上げてもよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/81
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082・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの家族労働の問題ですが、私も国税調査なんかに行つての質問なんかに、あなたの先ほどの答弁と同じことを言つているのですが、併しやはり多少考えてあるべき点がありはせんかと思うのです。まあ青色申告を普及して行つて、全部青色申告をさせるということもなかなか今の情勢においてはむずかしいし、まあ対外的には納税者に対しては、極力そういうことを勧めてはおりますが、実際において、そう急速には行かないという事情において、もうすでにそういつた親も息子を働かしても、大した足しにならないし、馬鹿々々しいというようなことで、この弊害も出ていますし、多少そういう意味において考えて頂きたい、研究してみる必要があると思う。税法上来年度の改正の場合において、一応念頭に置いて、研究してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/82
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083・平田敬一郎
○政府委員(平田敬一郎君) 先に申しましたように、この問題はなかなかむずかしい問題ですが、私は日本の現状じや、理窟ではなかなか解決できない問題だと思います。それでもう一つ考えますと、合算制度を今やめちやつたからそういうことになつたのですが、合算していれば問題はないのです。で、合算をやめたということが、本当を申しますと日本の経済なり、家族の生活実態なりからすると、少しばかり実は進み過ぎたのかも知れない。併しそれは大都会における生活状態を考えますと、あのほうがいい。田舎とか、中小企業体なんかの場合に、果して適用していいかどうかは、これは問題なのでありますが、そういうギヤツプが世間に出て来ている。従いましてこの問題は、余り理窟を申しますと変なことになる虞れがあるかと思いますので、その点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/83
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084・小林政夫
○小林政夫君 爾余のは資料が出てから聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/84
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085・中川以良
○委員長(中川以良君) 他に御質問ございませんか。それじや本日はこのくらいでよろしうございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00419521203/85
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086・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは次回の委員会は明日午前十時より開会することにいたします。本日はこれにて散会いたします。
午後零時十九分散会
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