1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十日(水曜日)
午後一時四十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事 大矢半次郎君
委員
岡崎 真一君
西川甚五郎君
小林 政夫君
杉山 昌作君
森 八三一君
松永 義雄君
堀木 鎌三君
木村禧八郎君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵省主計局法
規課長 白石 正雄君
食糧庁長官 東畑 四郎君
中小企業庁長官 岡田 秀男君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
参考人
日本開発銀行理
事 松田 太郎君
商工組合中央金
庫理事 門司 政信君
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本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○食糧管理特別会計の歳入不足を補て
んするための一般会計からする繰入
金に関する法律案(内閣送付)
○食糧管理特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣送付)
○金融並びに租税一般に関する調査の
件(中小企業金融に関する件)
○本委員会の運営に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/0
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001・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは只今より委員会を開会いたします。
最初に連合委員会に関する件についてお諮りをいたします。去る大日本委員会に予備審査のため付託されました公共企業体等労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、いわゆる専売裁定に関してでありまするが、本件はその性質上労働委員会と連合委員会を開くことが適当と考えられ、又労働委員会におきましても去る八日同様の趣旨の下に本委員会と連合委員会を開くことを議決いたしておりますので、この際本委員会におきましても本件については連合委員会を開くことに決定をいたしたいと存じまするが、御異議はございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/1
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002・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないようでございまするから、さよう決定をいたします。なお連合委員会の日時等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じます。それではさように日時はいずれ決定いたしまして又御通知をいたすことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/2
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003・中川以良
○委員長(中川以良君) 次に食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題に供します。
先ず政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/3
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004・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今議題となりました食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
この法律案は、今国会において、別途御審議をお願いいたしております補正予算に伴うものでありまして、食糧管理特別会計において昭和二十七年度に生ずることが予定される歳入不足百十四億六千万円を補てんするため、その不足額を一般会計から同会計に繰入れることができることとしようとするものであります。即ち、昭和二十七年産米の消費者価格及び生産者価格の改訂措置等に伴つて生ずる不足金七十八億円余、昭和二十七年産麦の売買差損二十一億円余、昭和二十六年産米につき昭和二十七年度において奨励金等を支払つたことによる不足金十億円余、その他学校給食用輸入小麦の売却に伴つて生ずる不足金十四億円余等の合計額から、加工米等の売払に伴う歳入増加見込分九億円余を差引いた差額百十四億六千万円を昭和二十七年度において一般会計から本会計に繰入れることができることとしようとするものであります。
何とぞ、御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/4
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005・中川以良
○委員長(中川以良君) それから引続きまして食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題に供し、引続き政府側より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/5
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006・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
現在、食糧管理特別会計法において食糧の買入代金の財源に充てるため、食糧証券を発行し及び借入金等をすることのできる額は、通じて最高千七百億円となつておりますが過般、昭和二十七年産米の政府買入価格が七千五百円に引上げられたこと等の理由によりまして、食糧買入代金の増加が予想され、その結果、昭和二十八年一月末において、本会計の負担に属する食糧証券の発行等は、約二千二百億円程度に達するものと見込まれるのであります。従いまして、この会計の運営を円滑にするため、食糧証券を発行し及び借入金等をすることのできる限度額千七百億円を二千二百億円まで引上げることとしようするものであります。
何とぞ、御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/6
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007・中川以良
○委員長(中川以良君) 引続き内容説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/7
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008・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) 先ず最初に歳入不足補填のための法律案の内容説明をいたします。食管特別会計に一般会計から百十四億六千万円の繰入をいたしますに関しました法律でございます。その内容を申上げますると、百十四億の内訳でございますが、先ず二十六年産米関係で十億五百七十万六千円の繰入をいたすのであります。この内容は、昨年産米価格決定以後、供出等も思わしくなかつたために、政府におきまして年度途中におきまして供出完遂奨励金、或いは超過供出奨励金等を支出いたしまして集荷の促進を図つたのであります。時たまたま消費者米価等はすでに八月に値上げを決定しておりましたので、それが約十億程度の赤字になつたのであります。なお十億のうちには卸、小売のマージン調整を若干いたしましてそれが含まれておることを御了承願いたいと思います。
次は二十七年産米の赤字補填でございますが、その大きな内容の一つは本年供出完遂いたしました農家に対しまして石当り百円の完遂奨励金を報奨的に出すのございます。これが一応予算上二千五百五十万石を予定いたしておりますので、二十五億五千万円というものを一般会計で補填して頂きたいというのが一つであります。もう一つは今回の補正予算で一月から十キロ六百八十円という米価にいたしております。現在六百二十円という米価でございますので、六百八十円と六百二十円の差額を十二月の末までに今年産米によりますものが、これは安売りの赤字でございます。約九十六万七千トンばかりの米を本年産米を十二月までに売るわけでございます。その赤字が五十二億六千三百万円程度でございます。この五十二億六千三百万円の安売りのものと、先ほど申しました完遂奨励金二十五億五千万円を加えましたものが二十七年産米の赤字でございまして、七十八億一千三百万円ということになつております。その次は麦の関係でございますが、麦は本年の食糧管理法の改正に基きまして生産者価格、消費者価格を決定いたしたのでございます。その間若干の差損が出るのでございます。これが大麦、裸麦、小麦、今年の買入数量をほぼ決定いたしまして、約十億六千万円程度の赤字が、売買差損が出て来ます。そのほかに二十六年産麦の追加払いというのを本年はやつております。来年からはこういう制度はありませんが、それが約十億七千万程度でありますので、両方を合せまして二十七年産麦の赤字が二十一億三千九百万円程度になつているのであります。その次には学童給食でございまして、生活改善のために学校給食費のうち原麦で半額を政府のほうで負担をいたしております。来年の三月までに一年間で九万トン程度が食糧特別会計から学童給食用に売られる予定であります。これの原麦価格の半額を負担するという金が約十四億九百四十万円ということになります。
以上申上げました数字は赤でございますが、酒米等の販売益が九億八百余万円程度、これは黒字になるのであります。これを差引きまして百十億六千万円というのが食糧管理特別会計の二十七年度における赤字でございまして、この歳入不足を一般会計から繰入れて頂くというのがこの法律でございます。なお検査手数料等が収入がございまして、これは一般会計から又特別会計に入るのでございますが、これは先般の国会で検査手数料の繰入等は特別会計法の本法でできることになりましたので、今回は歳入不足分だけの繰入の特別法を提出しておると、こういう事情でございます。
それから借入限度千七百億を二千二百億に直しましたのは、先ほどの提案理由の御説明の通りでございまして、米価等が値上りをいたしましたこと等にからみまして、どうしても従来の千七百億では最高限度が足りませんので、一月の借入と収入支出の差額二千百五十億程度を予定しておるのであります。丸めまして二千二百億程度がどうしても借入の最高限度になります。供出等は一応二千五百五十万石、超過供出は本年度は二百五十万石と合せまして二千八百万程度を実は予定をいたしまして、それの単価の値上げ、月別の借入価格を計算をいたしまして、二千二百億の糧券発行を必要とするというのでありまして、そのほかに御説明いたすことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/8
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009・中川以良
○委員長(中川以良君) 本日は引続いて中小企業の金融の問題につきましていろいろ御審議を願うことになつておりまするので、質問は次回に延ばしたいと存じます。但し資料の要求等がございましたら、この際お願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/9
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010・小林政夫
○小林政夫君 補正予算書の八十六頁に食糧買入代金の減少が二百四十七億となつておりますが、これの内訳を知らしてもらいたい。
それから貸借対照表によると、期末に食糧の残が金額的には出ておる。これが当初予算と補正後の予算とでは数字的には殖えておるが、数量的にはむしろ減つておるのじやないか。或る程度食い潰しが行われてはおらんかということを知りたい。そこで数量的に、単価が上つておる、金額は殖えておりますが、数量はどうなつておるか、それを知らしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/10
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011・東畑四郎
○政府委員(東畑四郎君) これは資料でお出しいたします。主たる原因は麦の買入が非常に少くなつております。それが主な原因になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/11
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012・中川以良
○委員長(中川以良君) 成るべく速かに御提出を願います。
それでは只今の両法律案に対しまする本日の審議はこれを以て打切ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/12
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013・中川以良
○委員長(中川以良君) 続いてお諮りをいたしまするが、かねて小林委員、木村委員等より御要求がありました、目下の急務でありまするところの中小企業金融に関する件をこれから議題にいたしたいと存じます。
なおこの際お諮りいたしますることは、只今日本開発銀行の理事松田太郎君、なお引続いて商工組合中央金庫理事門司政信君、これは追つて出席される予定であります。この御両名が本日は来られることになつておりますが、いずれも参考人といたして御意見を伺うことにいたしたいと存じまするが、御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/13
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014・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めまして、よつてさように決定をいたします。
松田開発銀行理事にはわざわざ御出席頂きまして有難う存じました。本日は開発銀行のお立場といたしまして、特に中小企業に関する金融の問題についての御所見を承わりたいと存じます。どうぞお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/14
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015・松田太郎
○参考人(松田太郎君) それでは只今から日本開発銀行といたしまして中小企業融資の仕事を最近始めましたので、それに対します大体の方針並びに融資の手続等につきまして大体の御説明を申上げたいと思います。
御承知のように、開発銀行といたしましては、従来は復金の債権を承継いたしました関係からいたしまして、当時復興金融金庫といたしましてもいわゆる中小企業に対して融資をいたしておりましたので、その管理回収のほうの仕事を開発銀行といたしましては、中小企業関係においていたしておつたのであります。ところが先般見返資金につきまして、全部開発銀行のほうにこれを承継することに政府の方針がおきまりになりまして、その結果見返資金のうちで中小企業の関係は、海運関係と一緒に十月の十九日に見返資金の承継をいたしたのであります。そういう関係で従来は見返資金として日本銀行のほうが貸出しの仕事をおやりになつておりましたのを、そういう関係からして今後開発銀行として新規に中小企業に対する貸付の事務をいたすように相成つたのであります。なお開発銀行といたしましては、見返資金の承継は十月十九日でございましたが、その日本銀行当時における事務の停止と、開発銀行に移りました間の事務上の円滑を欠かないようにという意味で、実際は九月の十六日以降申込の受付をいたしておつたような次第であります。然らば開発銀行といたしましては、中小企業融資に対してどういう方針で臨むか、中小企業の融資の問題につきましては前国会或いは前々国会等におかれましても、開発銀行のような性格のところで中小企業の融資を担当することがいいかどうかということについては、いろいろ御議論もあつたやに承わつておるのでありますが、いずれにいたしましても開発銀行といたしまして、政府の方針に従つて中小企業融資を見返資金の承継と共に開始いたします以上は、できるだけ実情に即した融資方針をきめ、又手続もそれに即して参りたいという考えで現在進めておるのでございます。その一つの現われといたしましては、先ずこの中小企業融資の貸付方法につきましていろいろ検討いたしました結果、原則といたしましては、日本銀行当時にもおやりになつたように、いわゆる一般の市中の金融機関にお願いをしまして、いわゆる代理貸しの制度を原則として参りたい。止むを得ない事情にあります場合には、開発銀行といたしまして直接貸しもいたすことにいたしておりますが、原則は代理貸しの制度にして参りたい、こういうことであります。この問題はまだ今日日本開発銀行といたしましても、発足日もそう長くないのでありまして、従つて十分いろいろな面で審査をして参りまする上において、陣容的にも完璧とは申せられんのであります。特に中小企業はいろいろな面でそれぞれの特徴がおありになるのであります。従つて最も企業の実態を常時把握しておられるところが、これに直接御関係頂くことが大事じやないか。それから又御承知のように、中小企業に関しては一層そうだと思うのでありますが、この設備資金のみならず、運転資金と相待つて中小企業としての完全な育成ができて行くわけだと思いますが、従つてこの運転資金について絶えずその供給に関心を持つておられる、又それを通じて企業の経営等について御協力を申上げている金融機関というところに御願いすることが実際上の問題として実情に即し、而も速かに中小企業融資の目的を達成せられるのではないかというような観点からいたしまして、この代理貸付の制度を原則といたしまして、特に中小企業者としてお取引先の銀行がないとか、そういう特殊の事情があるような場合には私のほう直接でお貸付をするということも考えておりますが、今申しましたように建前といたしましては代理貸付制度を原則といたしておるのであります。
然らばこの代理貸付の方法についてどういう方法を考えているかということにつきましては、大きく申しまして二種類を考えております。第一の種類はいわゆる単独融資方式と名付けていいと思うのでありますが、全額を当開発銀行の資金によつてその金融機関の全責任において貸付をして頂く、こういう形であります。それから第二がいわゆる協調融資方式と名付けていいと思いますが、この方式は又従来日本銀行においておやりになつたいた方法でありますが、いわゆる受託金融機関と開発銀行との協調融資による貸付の方法であります。大きく申しましてこの単独融資方式と協調融資方式との二種類に分けることができると思うのであります。なお単独融資方式のうちに更に甲方式とか、乙方式とか言つて分けてございますが、これは私のほうと金融機関との間の手数料その他回収不能のような場合に対する責任の帰属の範囲というような点で分けているのでありますが、どこまでも借主のほうに対する関係におきましては、今申しました大きく言つて二つの方式に分かれているとお考え頂いて結構と思うのであります。
それでは単独融資方式につきまして、先ず第一に中小企業の融資の範囲をどう見ているか、ということにつきましては従来日本銀行当時におかれましては、資本金又は出資金を五百万円以下の法人又は個人という工合にしておりましたが、最近の中小企業の実情等から考えまして、この資本金又は出資金を一千万円以下の法人又は個人ということにいたしました。それから従業員は原則として三百名以下、従いまして、資本金の場合と違いまして従業員につきましては三百名が多少殖えましても中小企業としてお取扱いするごとにやぶさかではないのであります。なお融資限度につきましてはこれも従来は五百万円以下、一口五百万円以下となつておりましたが、これも最近の事情を勘案いたしまして、一千万円以下と倍額に増額をいたしたのであります。なお中小企業等協同組合の共同施設というようなものに対しましては、従来とも普通の融資の倍額を考えて限度としておりましたので、今回も普通の融資が限度を一千万円以下にいたしましたので、協同組合の共同施設につきましては、二千万円以下ということにいたしております。尤も追加融資と申しますか、従来復金時代、或いは見返資金当時からこの財政資金に対して融資を受けられて、まだそのままになつているというような場合に、それが仮に金額が現在残額として五百万円であるとすれば、千万円から五百万円を引きました残りの五百万円を限度として追加融資の場合には考えるということにいたしております。それから第二に使途につきましては、これは開発銀行法にもございますように、開発銀行の性格から申しまして、設備融資に限定いたしております。それから第三が対象業種でございますが、これも大きく分けまして輸出産業と、それから重要基礎産業の関連産業、例えば鉄鋼でありますとか、或いは電気産業でございますとか、そういうような重要基礎産業自体には貸付はいたしませんので、そういうほうといろいろな関連にある下請業者といつたような、そういつた関連のある産業に対して貸付をする。それから生活必需物資産業という工合に分けております。できるだけ輸出産業、重要基礎産業との関連ある産業、生活必需物資産業というものの解釈は実情に副うように考えて参りたいという気持でやつております。それから第四は償還期限でございますが、これは一年以上五年以内、なおその中で一年以内の据置期間を認めるようにいたしております。それから貸付利率は年一割ということにいたしております。なお担保の問題でございますが、これも従来の日本銀行当時のお扱いにおきましては、財団乃至は不動産というような抵当権の設定せられる物件のみを担保物件の対象としておられたようでありますが、今回はそのほかに動産その他の資産につきましても担保と見ることができる、担保にすることができるということにいたしております。なお、保証人とか保険等のそういう問題につきましては、従来の見返資金の大体やり方に習つております。なお、このこういうことが大体の條件でございますが、こういつた単独融資につきましては、今申しました代理店が融資をするかしないかということについては、今申しましたような條件がかなつている以上は代理店の専決事項になつておりまして、代理店がそれを決定せられて開発銀行のほうにその結果資金を廻わしてもらいたいというお話があれば、私のほうとしては審査をいたしませんで資金を廻わすという形にいたしております。この点が従来の行き方とは相当開発銀行といたしましても考慮をめぐらして、中小企業の融資についてできるだけ円滑に迅速に融資ができるようにして参りたいという考えの一つの現われと申上げていいかと思うのであります。
それかられの次の行き方が、いわゆる協調融資の方法でございまして、これは七割を開発銀行、それから三割を受託金融機関、いわゆる資産の割合で協調融資をするということにいたしております。貸付利率につきましては従来見返資金でおやりになつておつたと同じような意味で、貸付利率は年七分五厘、受託金融機関のほうはその都度金融機関の従来のやり方に任せるということでございますが、大体七、三の割合でございますので、一方が七分五厘、片方が一割を超えましても大体平均いたしますれば、まあ一割ほんの前後くらいのところに収まるのではないかと考えております。それから融資の決定につきましては、先ほどの単独融資の場合と異なりまして、本行のほうで七割を持ちます関係上、融資決定等につきましては必ず個々のケースについて開発銀行と御相談を願つてきめて頂くという工合にしております。以上が大体私のほうで融資をいたします場合の代理貸付の場合の方式でありまして、なお直接貸付の場合につきましては今申しました代理貸付の単独融資方式に準じてやりたいと考えております。
以上が大体貸付の行き方でございまして、多分お手許にお配り、いたしておきました資料のうちにもこの点について詳細に記してございますので御覧頂きたいと思います。
然らば一体開発銀行といたしまして本年度どの程度融資をするつもりでおるのかということになると思うのでありますが、本年度日本銀行から見返資金として引継ぎをいたしましたのが先ほど申しましたように十月の十九日でありましたが、その当時日本銀行として本年度お使いにならずに残つたものとして私のほうに引継ぎましたものが約二十五億ほどでございます。本年度の見返資金の中小企業に対する大体の予定は二十億、それに昨年度来の繰越が約十二億というので三十二億あつたのだそうでありますが、そのうち先刻引継ぎましたものが二十五億引継いであります。二十五億引継ぐと申しますか、融資残として今後使えるものを二十五億頂戴したのでありますが、我々のほうといたしましては中小企業融資の償還等のことも考えまして、回収金等の点から大体引継ぎました以降、つまり十月から明年三月まで三十億くらいにして考えて参りたいという方法で只今融資をしておりますが、場合によりますれば事情の許す限りもう少し増額をしなければならないのじやないかというような考えも持つております。私のほうが引継ぎましてから先月末までに申込まれた件数は約二百件ございます。金額にいたしまして九億二千三百万円ほどになつておりますが、そのうちでやはり十一月末で貸付の決定ができましたもの百四十八件、金額にいたしまして六億八千六百万円ほどございます。丁度件数にいたしましても金額にいたしましても偶然の一致かと思いますが、申込に対して七四%程度に相成つております。そのうちでやはり今申しました単独融資方式が遙かに多いのでありまして、決定されましたものを見ましても単独融資方式によりますものが九四%ぐらいを占めておりまして、残りの六%程度がいわゆる協調融資の方式になつております。それから又業種について考えて見ますというと、やはり十一月末で資金の決定になりましたもののうち約五一%が重要産業との関連産業ということになつております。それから四四%が生活必需物資産業ということになつております。残りの五%程度が輸出産業ということになつておるのでありますが、やはり今日の時勢を反映しておるかと思いますが、輸出産業が何と言つても誠に軽微な形になつております。
大体以上が大ざつぱに申しまして開発銀行といたしまして中小企業に関係をいたしましてからいたしております方式なり方法でございますが、なお足りません点は御質問等につきましてお答え申したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/15
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016・小林政夫
○小林政夫君 今の単独融資ですが、その銀行とあなたのほうとの関係はどういうことになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/16
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017・松田太郎
○参考人(松田太郎君) 大体私のほうで銀行のほうと委託契約を結びます場合に甲方式、乙方式、丙方式というような言葉を使つております。甲方式、乙方式が先ほど申上げました単独融資方式になり、丙方式が協調融資方式になるのであります。それで甲方式の場合は全責任を受託金融機関が持つて頂く。従つて危険が到来いたしまして回収が完全にできないというような場合には、その受託金融機関がその残りにつきましては開発銀行に対して債務を持つと申しますか、責任を持つ、言い換えればあらかじめ全額について受託金融機関が開発銀行に対して補償の責任を持つということになつております。従いまして他方そういう意味で、私のほうとしては手数料についてはいわゆる平均残高の五%というものを手数料として差上げる。言い換えれば手数料の面については、先に申します乙方式の場合よりかよくしております代りに、全責任を持つて頂くということにいたしております。それから乙方式というのは、これはどうしても回収が完全に行かんというような場合には、その融資額の七割を受託機関に責任を持つてもらつて、残りの三割は開発銀行のほうで背負うという形になつております。併しながらそれと並行して今の手数料は三五%ということにいたしておるのであります。そこが甲方式、乙方式との違いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/17
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018・小林政夫
○小林政夫君 この甲とか乙とかにするのはどつちがやるのですか、甲方式によるのか、乙方式によるのかは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/18
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019・松田太郎
○参考人(松田太郎君) この問題はいずれも受託金融機関のお考えによつておきめ願えばよろしい、こういたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/19
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020・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、甲方式で五%も銀行に手数料をやると見返資金のほうに対するあなたのほうの金利の支払いは五分五厘でしたか、四分五厘でしたか、マージンがないということですか、開発銀行としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/20
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021・松田太郎
○参考人(松田太郎君) 全然マージンがないとまでは言えんかと思いますが、その辺はできるだけ今申しました受託金融機関に全責任を持つてやつて頂いて、而もあとの回収等についても全責任を持つて頂く以上は、ここで却つて私のほうでそういうほうを渋つて全体から見てまずい結果が出るよりは、こういう方法をとつたほうが協調融資という点からいつてもいいでありましようし、又全般的に見ても開発銀行のほうとしてもそのほうが確実な融資ができるのではないかという気持でこういう方式をとつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/21
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022・小林政夫
○小林政夫君 御趣旨はよくわかりますが、実際問題として見返資金特別会計のほうは金利は五分五厘でしたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/22
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023・松田太郎
○参考人(松田太郎君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/23
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024・小林政夫
○小林政夫君 だから結局甲方式による場合は五厘だけのマージンということですね。開発銀行のほうはそう了承しているわけですね。そうして融資申込が十一月末で二百件で九億二千三百万円、本年度内に融資可能とあなたのほうで推算されておるのが、回収金を含めて三十億ということになると、この申込受理について何か特別の期限をきめておられる関係でこうなのか。どんどん申込んで下さい、一応窓口は拡げておつて、現在九億二千三百万円の申込しかないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/24
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025・松田太郎
○参考人(松田太郎君) その点につきまして、今少し詳細にお話をいたしたいと思いますが、大体一括いたしましては、何分にも中小企業に対する融資の額をどの程度にするかということについては相当検討を要することだと思うのでありますが、本年度におきましては先ほどお話申上げましたように、十月以降、来年の三月まで三十億というようなことを一応目安にいたしておりますが、これについては明年度又如何ほどにするかということが、当然検討しなければならんことだと思いますが、その際にやはり融資の額についても、全体から申しますと制約を受けますので、従つてただむやみやたらに出して参るということもできません。従つて大体各四半期ごとに各金融機関のほうから、この一四半期のなかにはこの程度の融資をしたいと思うという、融資額の申入をして頂くようにいたしたいと思つております。それで引継ぎをいたしました十月は、引継ぎ後間もなくでございますし、又そういうほうの準備もできませんでしたために、十月につきましては各金融機関に申入があつたその額について、私のほうから資金をつけるということにいたしまして、大体十月末において資金をつけるごとに決定いたしましたのが、四億六百万円ほどございました。それから十一月、十二月につきましては、先ず手始めという意味で二ヵ月間に、最初のことでございますので約十八億ほどの資金枠を考えまして、その十八億を受託金融機関として現在約百五十ほどございますが、そのなかでいわゆる資本金とか或いは預金の状態とかいうような点を調べて、又日本銀行当時からおやりになつておつた金融機関をそのまま大体引継ぎまして、そうして今の十八億何がしというものを金融機関に配分をいたしたのであります。従つて何分にも百六十もございますので、特に今申しましたような資本金とか或いは預金等の少いところにつきましては、二ヵ月で五百万円程度の資金枠しがなかつたということも少なからずございます。これはまあ事案でございますが、そういうふうにいたしておりまして、そうして各金融機関のほうから今の枠内で申込を、申込と申しますか、甲方式、或いは乙方式、或いは丙方式によつて私のほうに御連絡を頂くことにいたしているのであります。それが今日までにおきましては、大体お話が出て私のほうに連絡のありましたものが約五億ばかりございます。先ほど申しました四億とそれから今申しました五億というものを入れますというと、大体九億何千万円というものが、申込んで来られた数になつているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/25
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026・小林政夫
○小林政夫君 そうすると十月の四億六百万円というのは全額まあ申込があつたということですね。そうして十一月、十二月の割当が十八億のうちで現在十一月末までに五億の申込だ、こう考えていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/26
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027・松田太郎
○参考人(松田太郎君) はあ。最初のやつは四億六百万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/27
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028・小林政夫
○小林政夫君 それは一ぱいになつたわけですね。申込は全部……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/28
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029・松田太郎
○参考人(松田太郎君) 十月までのは枠をつけませんで、もういわゆる申込まれたやつは全部つけて見ようというのでいたしましたのが四億六百万円、十一月、十二月は今申しましたような枠をいたしているのですが、それが今のようなものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/29
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030・小林政夫
○小林政夫君 その枠はそれでいろいろ今お話のように受託金融機関の従来の実績とかその他の條件を考慮されて割当てられたわけですが、必ずしも資金需要とマツチしないと思うのですが、その枠がコンクリートなものであつて融通性はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/30
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031・松田太郎
○参考人(松田太郎君) この点につきましては、只今のところは今月の十五日を一応境といたしまして、十五日までに貸付先がきまらなくて相当額残つたというところも、銀行によつてはおありじやないかと思います。又銀行によつては、足りなくて困るということをお申込のところも、私のほうには相当ございます。従つてそういうところに対しましては、一応十二月十五日を境として一度精算をいたしまして、そうしてその再配分をしたいということは、もうあらかじめ各金融機関のほうにもお話をしているのであります。お話の筋でございますが、現在百五十行ばかりございますうちで、まだ三分の二ばかりの銀行は、全然貸付をやつておいでにならんところが多いのであります。恐らくそういうところも相当慎重に、全責任がかぶるような制度になつておりますから、お考えになつていることと思いますので、或いは十二月のことでございますから、これからは相当一時に参りはせんかと思つております。なお明年度以降につきましては、何分にも今度は初めてのことでございますので、今のような形式的な基準によつてやりましたが、今後はその銀行の本当にお貸付になつたのを見て、よくやはり信用力等を考えて、立派に熱意を持つてやつておられるというようなところについては、やはり枠を殖やして行く、そうでないところは枠を減らして行くというようなことを、今後の実績を見てやつて参る、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/31
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032・小林政夫
○小林政夫君 銀行としては、今の甲方式による場合でも乙方式による場合でも資金コストはゼロで、五分の手数料をもらうということでありますが、五分で例えば中小企業を相手の、而も長期資金に対して責任を持つ、全責任を持つということが、手数料五分でペイするかどうかという点ですね、これについて何か意見は言つておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/32
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033・松田太郎
○参考人(松田太郎君) この点につきましては、銀行筋直接から別段意見というものはございません。銀行筋のほうからは五分じや少なすぎるという声は、少くとも今のところは入つておりません。無論先ほど小林さんからお話ございましたように、少し五分は甘すぎるのじやないだろうかというようなお話が、多少他の銀行あたりからお話がございますが、先ほど申しました中小企業に対する融資を、円滑にやつて行きたいという意味から、多少先ほどお話のような点もございますと思いますけれども、やつておりますので、今のところは五分で少くて困るというところはないようでございます。従つて先ほど申しましたように、甲乙丙全体を見ますというと約九六%がその単独融資方式、なおこれを内訳を申しますというと甲方式が八〇%、乙種方式が一四%というような形で、やはり銀行としては甲方式を選ばれる銀行が多数のように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/33
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034・小林政夫
○小林政夫君 そうすると受託金融機関も渋々やつているわけではない。むしろ或る程度進んでやつてもいいという気持があつて、中小企業貸付を扱つているならば、申込は今のような、割当はあつても全体で或る程度枠の融通も再配分ということも可能である、だから必ずしも自分の枠内においてセーブするという考えはない、うんと申込があれば、あなたのほうへ無理を言つて再配分を受けるという途も開かれているのには、総額十八億の割当に対して五億程度しか現在ないということは、一般の中小企業の金詰りという声から行くと、非常に我々としては奇異な感じを受けるわけで、こういう途が開かれたということになると殺到して、例えば国民金融公庫等においては僅か十億、申込額の三割しか融資できない。それと比べれば非常な差なんですね。この原因はどういうふうにお考えになつているか。開発銀行の目的にかなつた設備資金の需要がないのかどうか、どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/34
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035・松田太郎
○参考人(松田太郎君) その点につきましては、少くとも現在の段階におきましては今お話のように、我々としましても多少奇異な感じがいたすのでありますが、一つには或いは私どものまだこういう方向による宣伝と申しますか、周知ということも足りない点がありはせんかと思います。併しこの点については各金融機関にも又商工会議所とかそういう方面にもお話をいたしまして、できる限り周知の方法はとつでおりますが、なお従来日本銀行等においておやりになつておりました場合の、その協調融資の方式でありますとか、それから或いは資本金或いは融資限度等の点等がまだ頭にあつて、なかなかこの申込をしてもどうだろうかというようなお気持が或いは中小企業者としてはおありになるのではないかといつたような懸念もいたしております。現に大阪府の役人さんからも私のほうにお話がございまして、大阪府のような、特に中小企業の非常に盛んな所であつて、なお且つ今度の融資申込が非常に少いのはどこかに欠陥があるのではないかと思うので、自分のほうとしても、そういう欠陥がどこにあるかをいろいろ検討している、従つてその研究の結果ができたら、又開発銀行のほうに相談に行くから、一つそういう点について十分今後も検討してもらいたいというような、非常に熱心にこの事態を見守つて頂いているところもあるようですが、いずれにいたしましても、今申しましたような、まだいろいろ足りない点はあると思いますが、この方法が徹底されて参りますれば、相当私はこれが殖えて行くのじやないか。のみならず今日まだこの制度が始まりまして二ヵ月余りでございますが、特に、この十二月も今十日でございますが、この十二月の半ば過ぎからは相当一斉に申込が殖えて来るのじやないかというような気もいたしております。それから又、恐らく金融機関の内部におかれましても、いろいろ内部関係の御方針がおありになると思います。例えば銀行によつては丙方式を原則としてやりたい、又銀行によつては甲方式を原則としてやりたいというような、いろいろ方式なんかにつきましても、又銀行内部で、その利害得失をいろいろ研究しておられるところもあつて、銀行筋としても貸付の場合、その辺を業者側のほうともいろいろ御相談になつている向きもありやせんかと思いますが、その辺がはつきり甲方式によることが最もよいというような点が更に金融機関におかれましてもわかつてくれば、ますますこういつた方式によつて出て来るというようなことも考えられると思うのでございますが、要は需要は誠に多いのでございますが、要するにその辺の程度について、開発銀行としましても、或いは金融受託機関のほうとせられましても、又中小企業自体とせられましても、お互いにもう少しそういう点についての連絡が密になれば、又この方法が更に周知徹底されれば、もつと、もつと申込は出て来るのじやないかと思います。なお又この問題について設備資金よりもむしろ欲しいのは長期運転資金なんだ。何か運転資金を開発銀行のほうから貸してもらえんだろうかというような声が、直接中小企業者のほうからは非常に強いのでございます。これは先ほど申しましたように現在の法制の上におきましては設備資金だけに限定されておりますものですから、そういうところにも多少の問題はありはせんかと思います。さように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/35
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036・小林政夫
○小林政夫君 最後に触れられた点が私は一番問題だと思うのです。長期運転資金が中小企業としては問題である。設備資金はこれは一部の中小企業の金融需要であつて、本当は普通の市中銀行は、短期運転資金も余り気持よく扱わないが、まあ長期運転資金においては……。併し中小企業の実態からいうならば、長期運転資金が欲しいので、設備資金は自分の力でやるが、常時固定する運転資金が都合がつかないので、無理をして高利に走つたりして、ますます経営を苦しくなさしめているというようなところが今の中小企業金融の一番の問題点じやないかと思うのでありますが、そこで一般の金融機関のほうにおいてもこの中小企業に対して長期運転資金を今のような御認識なれば開発銀行が扱い得るようになれば扱つて見たいというふうなお考えがおありと考えてよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/36
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037・松田太郎
○参考人(松田太郎君) この点は開発銀行がそういう長期運転資金も扱つたほうがいいのじやないかということは、これは私は開発銀行全体の性格としましてよほどこれは研究しなければならん問題である。従つて率直に申しますると、そういう問題も含めて中小企業金融というものは或いは特殊な金融機関が必要ではないかということも、これは私個人でありますが、考えております。私の先ほど申上げましたことは、今の開発銀行の性格としては設備資金に限定せざるを得ないと思いますが、併しながら実際の中小企業者の声としては長期運転資金等に非常な関心を持つておられる。それがこれに対する融資申込が割合少い理由じやないかということを考えております。直ちに私のほうが中小企業に対する長期運転資金も取扱つていいかどうかということについては、よほど私は慎重に研究しないと結論が出ない問題かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/37
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038・小林政夫
○小林政夫君 大体の考え方としては全く私も同感でありまして、そもそも見返資金の債権債務を、私企業投資分の債権債務を開発銀行が継承するときに、中小企業に対する貸付を開発銀行が引継ぐということが我々は無理だと思うのです。併し一応今そういうことで滑り出したので、その折角中小企業金融部門ができたとすれば、将来は私は何らかの形において分離するのが筋だと思いますが、この中小企業に限つて開発銀行が長期運転をするのを扱うということならば、全体の開発銀行としての建前を崩すわけでもないので、中小企業融資部門ができたということがすでに開発銀行としては或る意味においてはすつきりしない点なんですが、そういうことをやつている範囲においては併せ長期運転資金を扱つてもそう全体の建前が狂うという問題じやなし、中小企業融資の根本の狙い、而も或る程度政府資金で以てやらなければならん点は、長期運転資金のほうにより問題が多いということならば併せ扱われてもそう無理とは思えないのですが、研究を要すると言われるが、そう今の中小企業の現状からいつて長く研究々々で放置することもできないし、即座にやれるような措置を講じて著しく不都合がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/38
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039・松田太郎
○参考人(松田太郎君) その点につきましてはやはり私は率直に申しますれば現在の日本開発銀行法というものの改正が要るのじやないかと思うのであります。これはもうはつきり設備資金と申しますか、長期資金に限定するように法律に挙つております。従つてむしろ法律を改正してまでやるという場合には、最近私どもも新聞等にいろいろ拝見しておりますが、今日もこちらに中小企業庁長官が見えておるようでありますが、政府とせられまして、もつと高い見地から中小企業に対して、或いは設備資金、或いは運転資金、特に長期運転資金等についてどういう角度からやることが最も中小企業者にとつていい制度であるかということをお考え頂くことが私は筋じやないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/39
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040・小林政夫
○小林政夫君 全くそのお考えとしては同感ですが、忽ち今中小企業の非常に危機に追い込まれておる、特に金融面からの危機が大きいところであつて、速急にやるという場合に、例えば一部に言われておるような中小企業融資特別会計というようなものを作つて、或いは中小企業金融の特殊政府機関を作つてやるということは私は相当暇取る話であつて、幸い勿論その開発銀行法の一部改正をしなければ長期運転資金が扱えないということは承知いたしておりますが、その法律の改正をやつて、そうして直ちに長期運転資金が、少くとも中小企業部門については長期運転資金が扱えるということにした場合において、あなたのほうでそれを十分こなしますという自信がおありかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/40
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041・松田太郎
○参考人(松田太郎君) この点については勿論そういうほうに国会の御方針で法律の改正ができ、而もそれを少くとも当分といつていいのかどうか知りませんが、開発銀行のほうでやれということになれば、開発銀行としましてもその点についてはできるだけの努力はしなければならんと思つております。併しながらやはり行き方といたしましては先ほど来申しましたような現在の実際をよく認識しておられますところの金融機関を通じてやつて参るということがやはり私は必要かと思つておりますが、それはいやしくもそういう工合に法律が改正されて、開発銀行で而もそれをやらなければならんということになれば、勿論できるだけの努力はいたしますが、今小林さんのお話のように、もう痒いところに手が届くようにするということにつきましては、今後よほど私のほうとしても現在の行き方につきましても研究しなければならん問題だと思いますが、そういつた大きな問題につきましては私どもも現在与えられた範囲におきましても、できるだけ欠陥等を逐次是正いたしましてやつて参りたいと思つております。今のようなお話の点については、そういう際には私からそういうことをお答え申上げていいかどうか知りませんが、開発銀行全体としてもよほどその辺の観点を新たにして更に研究しなければならんかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/41
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042・中川以良
○委員長(中川以良君) 今の小林委員の御質問に関連いたしまして岡田中小企業庁長官から一つ御所見を承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/42
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043・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 長期設備資金もさることながら、長期運転資金が欲しいということにつきましては、もう私どもも十分承知いたしております。例えば最近福井等からの陳情がございますのでありますが、これは短期の金で設備しておるやつを長期に直してくれという問題と、その他長期運転資金が欲しいということで随分やかましく陳情が来ておるのです。私どもといたしましてもその点につきましては極力勉強いたすつもりでおりまして、中金が現在貸出しております総貸出高の中で、長期資金として貸しておりまするものが二割弱程度に過ぎないのであります。少くとも中金だけに対しましてもこの長期の金を極力出すように、又中金の理事者におかれましても長期資金を少くとも最近において二、三割、行く行くは五割程度まで殖やしたいというような決意を示されておるわけであります。私どものほうでも差当り商工中金を活用いたしまして、長期の金を極力出すように努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。今度補正予算におきまして商工中金に二十億の貸付金が出ておるのでございます。これを二十億だけで使いますれば大した金額でございません。これを仮に出資に振替えるといたしますれば、四百億の債券が発行できる。但しその債券が如何にして消化できるかという問題をこれはよく考えなければいけないと思う。現在商工中金は十億程度の債券を毎月発行しておりまするのが、現在資金運用部の引受け程度ではこの十億がせいぜい山のように思われるのです。資金運用部においてどの程度の債券が今後更に増額して引受けられるかというようなことも検討いたさねばならんと思つております。この二十億を商工中金に貸付けた事実を一つ着目いたしまして、これから最も有効に資金が活用できるような工夫をこらして、そうして一層中金の長期資金貸出能力を殖やす方向に持つて行こうというので、大蔵省と目下鋭意折衝中の状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/43
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044・小林政夫
○小林政夫君 今委員長から尋ねられたのは先ほどの開発銀行の長期運転資金の問題で、関連してあなたの御見解を聞かれたと思うのですが、今のお話を聞くと商工中金にうんと長期資金を扱う比率を増大させて、開発銀行のほうに私が今言つたような長期運転資金を扱わす必要はないというふうに聞えますが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/44
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045・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 現在のところ私どもといたしましては開発銀行法を改正いたしまして、これに運転資金を扱つて頂くということにつきましては、計画を持つておらんのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/45
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046・小林政夫
○小林政夫君 あなたは計画を持つておられなくても、国会で我々がやるかも知れないのです。望ましいか望ましくないかということをお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/46
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047・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 私どものほうといたしましては、若し長期運転資金をどこかで相当大掛りに扱つて行くということにするといたしますならば、例えばこれは政府の方針としてきまるかどうか知りませんけれども、中小企業庁が提案いたしておるような、例えば特別会計等のような構想が実現いたしますならば、それによつて長期運転資金を運用して行くという方向のほうが望ましいと私個人としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/47
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048・小林政夫
○小林政夫君 それはそういうふうに行くことが先ほどの私と開発銀行当局との質疑応答によつても我々もそう考えておるわけですが、当面する中小企業の金融難の速急な打開ということで行くならば、補正予算にもあなたの構想は出ていないのだし、そうして取りあえず速急にその長期運転資金を解決して行くということであれば、今考えられる早途としては開発銀行に扱わせるというよりほかに敏速にやれる方法はないのじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/48
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049・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 当面差当りの問題といたしましては、先ほど申しましたように組合金融に限定はされておりますけれども、中金のほうは現在の態勢におきましても或る程度の長期運転資金を扱い得る態勢になつておりますから、差当りといたしましては中金に極力勉強してもらうようにしたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/49
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050・小林政夫
○小林政夫君 中金も勿論うんとやつてもらつて、併し中金も今お話のように二十億増資をして債券発行限度は拡がりますが、この運用部資金によつての消化等ももう今度の補正予算を見ると、殆んど従来の繰越額にうんと食い込んで先ず本年度内においては余力は乏しい。そうすると今までの融資比重を変えて行つて長期運転資金を商工中金が扱うようにしても、今の開発銀行との質疑応答によつてお聞きのように、三十億年度内に融資する予定である。而も十一月、十二月には十八億を予定して、それに対して僅かに五億の申込みしか今なつておらない。せいぜい殖えてもまだ余裕がある、開発銀行には。そういうようなところに目をつけて、或る程度これを長期……、多少でもプラスになればいいのです。而も商工中金のあり方として、必ずしも開発銀行のような行き方とは違つて来て、商工中金の今までの運営のし振りを見ておりますと、市中銀行に近いようなニユアンスがあるわけです。これはあとからよく聞きますが、そういうことから言つて開発銀行的なセンスをもつた長期運転資金を出すことが中小企業にとつては最も必要なことではないか。それでまああなたは政府委員としてはつきりそうやつてくれとかいうようなことが言いにくいから、今そういう御答弁をなさるのか知れないのですが、できたとしたならば望ましいことじやないですか。開発銀行が長期運転資金をやるということになれば、中小企業庁としても望ましいというか、望ましいかどうか。中小企業のためにはいいことじやないでしようか。非常に著しくあなたのほうに行政上の観点から考えられて何か差支えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/50
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051・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 私のはうといたしますれば、要約すれば中小企業者の要求しております資金が円滑に供給されることに相成りますれば、そのルート等は多少、どのルートから参ろうともかまわん、概括的にはさように考えられるわけであります。ただその場合にできますことなら一番素直な方法が望ましいということになりますけれども、併し開発銀行が長期運転資金を扱うことはまかりならんというふうな考えを持つておるわけではございません。ただ開発銀行がお扱いになるといたしましても、先ほど松田理事からお話がありましたように、代理店を活用して行くという形をとりたいとおつしやつております。そうしますれば、結局貸出すか貸出さんかの決定をいたしますのは普通市中銀行なり、それぞれの金融機関でございまするから、中金がやりまし……私大いにやらしたいと申したのでありますが、やり方がそう変るやり方ではないのじやないかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/51
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052・中川以良
○委員長(中川以良君) 私から松田理事に伺いたいのでございまするが、今お話があつたのは見返資金関係の問題でございまするが、開発銀行は復金の債券を受継ぎになつておられるので、復金債券に対する回収分というものは逐次あると思うのでありますが、これに対する運用はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/52
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053・松田太郎
○参考人(松田太郎君) 先ほどお話を申上げました日本銀行から引継ぎをいたしました場合に、まだ余裕金と申しますか、今後見返資金として使い得るのが二十五億ほどございましたのですが、それを三十億程度にいたして本年度の中小企業に対する融資枠を考えましたのも、今お話になつたようなそういう回収等も頭に入れまして三十億というようなことを考えたのであります。明年度以降につきましてもそういうような点も頭に入れまして枠を決定して参つたらどうか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/53
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054・中川以良
○委員長(中川以良君) なお復金の回収は大体予定通りの額が回収をされつつございますか。それから更に中小企業に出された復金融資というものは、再び中小企業に還元をするという原則をお守りになつておるのかどうかの点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/54
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055・松田太郎
○参考人(松田太郎君) 復金時代の回収は相当順調に行つておりまして、十一月に回収されます予定のほうにつきましても、目標に対して大体……復金時代の分につきましてはちよつと私御説明を思い違いしておりましたが、六〇%か六四五%くらいのところが回収になつておりますそうであります。見返資金として日本銀行時代から貸しておりました分については、現在十一月分についてたしか九七%くらいの回収になつております。私どもといたしましてはこの回収のものも中小企業のほうに成るべく回して参りたいと思つておりますが、これらの点については、やはり年度全体の傾向と言いますか、大蔵当局のほうともいろいろお打合せをしなければなりませんので、はかとりとどの程度ということができるつきいうことは今申上げるわけに行きませんけれども、我々としましてはそういう気持でできるだけ進んで参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/55
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056・中川以良
○委員長(中川以良君) この点につきましては、前大蔵大臣の池田さんにこの委員会で以て申上げまして、中小企業に出した分は再び中小企業に還元をするという原則を厳守して頂くように申しまして、はつきり御答弁もあるはずでございまするから、どうぞ一つその原則をお守りを賜りまするようにお願いをいたします。それからもう一点私から伺いたいのでありますが、先ほどの御説明を伺いますると、今までお出しになつた四十八件で六億八千六百万円というお話を承わつたのでありまするが、そういたしますとこれは一件約四千五百万円くらいの見当……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/56
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057・松田太郎
○参考人(松田太郎君) 百四十八件です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/57
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058・中川以良
○委員長(中川以良君) 百四十八件で金額は六億八千六百万円。そういたしますると一件当り約四千五百万円くらいになるのでありまするが、大体の規則としては一件が一千万円、又組合は二千万円というふうになつておりまするが、それは私この額では非常に少いと思うのでございますが、従つてこれは実情に即応して余計にお出しになつておられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/58
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059・松田太郎
○参考人(松田太郎君) 六億八千六百万円で百四十八件ですから、五百万円足らずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/59
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060・中川以良
○委員長(中川以良君) そろばんの間違いでございました。撤回いたします。
それでは次に商工組合中央金庫理事門司政信君より、商工組合中央金庫のお立場よりいたしまして中小企業の金融に関する御所見を承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/60
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061・門司政信
○参考人(門司政信君) 先ず商工中金の業務の近況から申上げたいと存じます。
本年の一月から五月頃までの商工中金の業務は、どちらかと申しますと、横ばい的な様子を呈しておつたのでございますが、六月以降相当のスピードを以ちまして貸出は増加をいたしておるのでありまして、六月から十一月末までの増加をいたしました金額は八十八億、約九十億円ほど増加をいたしておりまして、十一月末におきまする貸出の残高は二百九十五億八千九百万円ということに相成つておりまして、一月平均にいたしましてその間約十五億円程度の増加を示しておるのでございます。これに対しまして資金源のほうの主なるものを構成しておりまする債券と預金の点について申上げますると、現在におきましてはすでに商工債券のほうが資金の大部分を構成する状況にありまして、十一月末においては発行高百五十二億八千万、これに対して預金のほうは百二十四億五千万の程度でございます。而もこの百二十四億の預金のうちで、業界からの預金、つまり組合関係の預金は僅かに四十億を少し上廻る程度でございまして、あとは国庫余裕金の預託及び府県或いは市というような地方公共団体の預金というものが加わつておるのでございます。
次に業種別に見まして、どういう業種に主として資金が流れておるか。これは十月末の情勢で申しまするが、大体これは十月末にとどまりませず、大勢を示しておるものと御了承を願いたいのでございます。先ず筆頭は繊維品の製造業つまり機屋さん関係の融資でございまして、これが二〇・八%、二位は商業関係のうちの卸売業で一六%、三位が食糧品の製造関係で一五・七%、四位は機械、器具製造業九・七%、五位が木材及び木製品関係で七・六%、大体そういうことになつております。このうちで機械、器具関係の九・七%でありますが、その半分までは参りませんけれども、半分に近いものが、いわゆる下請工業関係の組合に対する融資になつておるのでございます。
次に運転資金と設備資金に分けまして、どういう割合で出ておるかと申しますと、これは運転資金のほうが、現在におきましてはまだ圧倒的に多いのでございまして、この点は先ほど岡田中小企業庁長官から申された通りでございます。即ち数字によつて申上げますと、十月末現在におきましては、運転資金が二百四十四億、設備資金が三十六億余り、こういうことに相成つております。それから長期と短期と、つまり一年以上の貸出しと一年未満の貸出しとに分けまするというと、十月末におきましては、一年以上が一六・九%、一年未満が八三・一%ということでございます。これを六月に比較いたしますると、六月は一年以上の長期貸出しが一五・六%でございましたので、比較いたしまして一・三%長期資金が増加をいたしております。併しながら我々といたしましては、この現状を以ては甚だしく不十分と存じておるのでありまして、先ほどのお話にもございましたように、これを二割、三割というふうに、できるだけ増加をして行くようにいたしたい、かように考えております。なお昨年末の法律改正によりまして、組合のみならず組合員に対する直接貸の途が開かれたのでありますが、この直接貸につきましては、国会におきまする法律改正の際の御意見等もございまして、何でもかでも取上げるといういたし方はしてないのでございまして、組合の機能を壊さないように、又組織化を妨げないようにというふうな配慮の下にやつておりますために、急激なる増加はいたしませんけれども、それでも六月の直接貸の数字が二億六千万程度でございましたが、十月末におきましては、すでに十一億二千万というふうに増加をいたしておりまして、今後更に相当伸びて行くと思つております。なお中小金融をいたします上に、特に長期の金融をいたします上に、どうしても信用補強措置といたしまして、信用保証協会の利用、或いは信用保険制度の利用ということが非常に必要になつて参るのでございますが、信用保険制度を利用されまして融資されました総額は、十二月六日現在におきまして百八億程度でございまするが、このうちで商工中金が利用いたしました程度は五十五億余りでございまして、比率にいたしまして五一%でございます。即ち信用保険制度の半分は、信用保険による貸付の半額は、現在において商工中金が利用しておるということでございまして、今後この率はなお上昇すると思いますが、この辺の材料からいたしましてもA商工中金が長期資金の融通について相当積極性を持つておるというふうに御判断をして頂けるのじやないかと存じております。
次に十一月末現在における資金の構成を大略申上げますというと、出資金十四億六千三百万円、債券発行高は先ほど申したように百五十二億八千七百万円でありますが、このうち三年もの利付債が九十八億九千万円、割引債が五十三億八千万円という割合になつております。現在毎月利付債五億、割引債五億、合計十億を発行いたしておりますが、そのうち割引債五億のうち三億五千万円はすでに発行いたしました債券の借替に当てられまするので、割引債としての資金の純増は一億五千万円であり、長期債を加えまして六億五千万円が毎月債券発行による資金の増加である、こういうことに相成るのでございます。
それから預金につきましては、業界からの預金が四十一億九千万、政府の国庫余裕金の預託が五十三億、府県市等の公共団体の預金が二十九億、合せまして百二十四億ほどであります。なお借用金につきましては、主として日本銀行からの借入金でございますが、合計いたしまして十二億ございました。これらの資金を以て十一月二百九十五億の貸出残を示しておるのでございます。然らばこの年末におきまする資金繰りはどういうふうに予想をいたしておるかと申しますと、私どもの各地方店舗からの材料の収集によりまして、十二月一ト月間の貸出の純増は五十五億というふうに一応踏んでいるのでございます。これは新規の貸出が百三十二億で、回収金が七十七億あるだろうという予想でございます。これに対しまする資金の調達計画でありますが、商工債券発行によるものが、先ほど申しました通り六億五千万、預金の増加が三億円、そのうち半分は地方公共団体等においで年末中小金融対策として預託増をして頂けるものじやないか、こういう予想でございます。それから日本銀行からの借入金が二十二億、コール・ローン、引揚げによります八億五千万、これで四十億は賄えますが、差引十五億ほど不足いたすのであります。仮に現在問題になつておりまする政府の資金の二十億円が導入がかないまするならば償い得るという状況でございます。
なおこの際信用保険の制度につきまして、私ども現在においても半分以上も利用している、活用しているという立場からいたしまして、信用保険制度の改正につきましても、従来からいろいろと私どもの希望なり意見なりを御当局にも申上げておるのでございますが、その要点は、信用保険による損失の填補率の引上げ、それから適用を受ける中小企業者の範囲の拡大、一件当りの貸付の限度の引上げ、保険料率の引下げ及び保険事故発生後保険金請求までの期間の短縮というようなことが主なることでございますが、私どもといたしまして更に附加えて希望を申すことを許されまするならば、現在におきましては旧債の借替につきましては信用保険は適用を認められないのでございます。一般金融機関からの貸出につきましては、それほど高利というものはないわけでございましようが、中小企業者の実情といたしましては、筋の通つた金融機関からの借入がなかなかできないで、いわゆる市中闇金融に頼つて非常に苦しいやり繰りをしておられるかたもたくさんあると思うのであります。我々はできまするならば、こういう業者に正常な金融機関からの資金を供給いたしまして、不当に高い金利の負担から解放してやるということが非常に必要なことじやないか、こういうふうに考えておるのであります。現在の保険法の解釈ではなかなかむずかしいようなふうに承わつておりますが、保険制度全般を通じまして、この旧債、殊に高利債を借替える際には積極的に保険制度を活用させるというような方針を確立して頂きまするならば、中小企業界としては非常に喜ばれるのではなかろうか、こういうふうに存じます。
なお商工中金の今後の問題といたしましては、長期資金の貸出を一層積極的にやりますこと、及び現在におきましては工業資金と商業資金との割合を見ますると、おおむね八割が工業関係の資金に流れておりまして、二割が商業資金に流れておるのであります。この割合は私どもが考えましても商業資金についてももつと貸出をいたさなければいけない、こういうふうに考えまして、すでに各店舗長にも会議の節等そういう趣旨を理事長からお話をしておられるのであります。商業資金は金融的に見ましてなかなかつかみにくい面がありまして、事務的に苦労はいたしますが、その方面にも我々としては特に関心を持つているということを御報告申上げるような次第であります。
それから何と申しましても一番大切な問題は、私どもの貸出の資金源が現状においては非常にコストが高いし、又三年ものの割引債券によりまする資金のほかはおおむね短期資金で不安定である、この悩みがあるわけでございます。で、仮に資金コストの点から申しましても、人件費、物件費というようなものを加算いたしませんで、直接資金原価のみからいいましても、市中銀行の資金原価の二倍半高くなつておるような状況でございます。我々としましては、人件費、物件費を極度に切詰めましても、このコスト高は何ともし得ませんで、現在貸出金利が短期においてすでに市中銀行よりも四、五厘高いということになつておりますことは誠に心辛く感じておるような次第でございます。長期に安定をした資金源を相当大幅に導入して頂けますならば、我々もとより営利機関ではございませんし、できるだけ速かに金利の引下げも実行いたしたい、かように考えているような次第でございます。
以上商工中金の現況と我々の立場からいたしまする若干の希望とを申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/61
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062・中川以良
○委員長(中川以良君) 有難うございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/62
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063・小林政夫
○小林政夫君 最初に先ほど来開銀との話合いでもありましたように、又岡田長官もそういう考えを持つておられたようですが、中小企業の専門金融機関を作る、金融の特別な機関を作ることが望ましいということであつたが、現在農林漁業資金融通特別会計は農中が扱つておる。開発銀行が今の見返資金の中小企業融資を引継ぐときに中小企業庁、少くとも通産省側においては、あの関係の融資をこの商工中金で扱わしたらどうかというような考えを持たれたことがあるか。又持たれたとすれば、そういう交渉をされたことがあるのか、ちよつと長官に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/63
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064・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 実は私八月に長官になりましたのでございまして、当時の経緯につきましては、よく存じておりませんのであります。むしろその経緯を研究するといつた方向よりは、私が就任いたしました当時の情勢から考えまして、新らしい構想を作るというほうに勢力を集中いたしたものでございますから、甚だ失礼でございますけれども、なんでございましたら、取調べまして別途申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/64
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065・小林政夫
○小林政夫君 私はまあ新らしい専門機構を作るということもさることながら、手取り早くやるという意味において、すでに農林漁業資金融通特別会計を農林中金が特融として扱つている、そういう事例があるのですね、で、まあそれでは必ずしも満足しておらないので、農林漁業資金融通、金庫というようなものを別途作りたいといつた要望が一方に出ておるが、暫定的な措置にしても今の開発銀行で中小企業融資を扱うよりは、これで扱うほうが本筋だと思うのです、商工中金で扱うほうが。そういうようなことから考えて通産省側としてはまあ私の私見、個人的な意見は、あなたのほうがむしろ積極的に別途機関を作ることがむずかしければ、あなたのほうの管轄でもある、管轄の濃い商工中金に扱わすようなアイデアを持つ気持を持つべきじやないかという気持がして尋ねたわけですけれども、今まあ全然そういうことは暫定的に政府は考えずに別途の専門機構を作るほうに今後も主力を置かれるというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/65
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066・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 開発銀行が今年の九月の十六日に、先ほど松田理事から縷々説明をいたしました中小企業向けの貸出しをやりました時の発表文の冒頭に、開発銀行は中小企業向けの見返資金の融資は適当な機関ができるまでの間暫定的にやるのだという趣旨のことを言つておるのであります。従いまして先ほどからここで御研究御調査願いました事柄から申しましても、まあ開発銀行としては若し適当なる機関ができればこれにその中小企業向けの貸出業務は譲りたいような気持がくみ取れると思うのでございます。その点につきましては私どもも適当な機関を作つてこれをまとめるという事柄につきましてはもう賛成なんでございます。差当りこの中金に設備資金の貸出をやらせたらどうかということになりますと、この中金は組合乃至組合員以外には現在のところ融資ができがたいことに相成つておりますので、その辺と現在の設備資金の貸出を特にさような條件を付けませずに、広く代理店を通じまして中小企業者に貸しておるということとの調和がちよつと現在のところではとり難いということがございまするので、中小企業専門の金融機関全般を通じましてそれぞれの持ち味によつて金融をさして行くということを考えたい、かようにまあ思つておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/66
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067・小林政夫
○小林政夫君 いや、それは商工中金法の建前から行けばお説の通りなんだが、例えばその点は農林中金についても言えることなんです。まあやはり組合金融が建前であつて、まあ大体併しあすこの農林漁業資金融通特別会計による融資というものは協同組合が多く対象となるでしようけれども、ここで見返資金による中小企業融資というものを暫定的に今の別途機関を作る、その暫定的にしろ、開発銀行に扱わすよりは、商工中金に扱わしたほうが筋だし、そうしてその場合においては特に見返資金による中小企業融資というものは組合でなしに、ただその融資事務は商工中金に扱わすということを私は言つておるわけなんです。だからその商工中金の本来の組合融資と、今の見返資金の中小企業融資、これは貸付対象が多少変つて来るということは言えますが、併しそういうことが可能でないということはない。そういう可能なように措置をすればできるわけなんで、そういう構想も一つ考えて見られる必要もある、こういう意味で申上げたのです。が、それはいいでしよう、答弁は。それから一応これによると現状はわかるわけですが、一体商工中金で扱つておられる申込ですね、申込はどういうふうになつておりますか。これは正確な資料は恐らく困難じやないかと思うが、一体借りたいということを商工中金に申入れた件数及び金額に対して貸付は実際どうなつておるのかということが知りたいのが一点。それから今の信用保険の利用について、何かえらいちよつと窮屈なような困難があろようなふうにあなたの説明でとれたのですが、一体どういう点に困難があるかということを一つ詳細にお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/67
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068・門司政信
○参考人(門司政信君) 第一のお尋ねに対しまして、これはただ口頭で借りたいと言つて来たものは含まない借入の申込書にいたしまして正式に申込んだものの件数、金額、それに対しましてどの程度貸しておるかということをこの十月一ト月の数字で申上げまするというと、借入申込は八千五百七件、金額にいたしまして百九億六千万、これに対しまして貸出の金額は八千六百五件、金額が九十四億四千万、で金額の点は矛盾はございませんが、件数がちよつと百件ほど申込より貸したほうが多いじやないかと、おかしな状況でございますが、これはそれぞれこの前月からの持越をその月に消化をしたものという実情でございますので、この一ト月だけを取上げますと今申したようにちよつとおかしなところが出て参るようなわけでございます。
それから信用保険制度につきまして私が申上げましたことは、現在の御当局の御解釈によりまするというと、旧債の借替というようなものには信用保険が付けられない。短期資金を長期資金に引直してやつて中小企業者の苦痛を幾らかでも緩和しようというような際でも工合が悪いという御解釈のように一応承わつておるのでありまして、この点が金融機関の旧債、短期資金を資長期金に中金が今度借替えさせるというような必要も勿論これもあると思いますけれども、それは別といたしまして、私が先ほど申しましたのは、いわゆる筋の通つた金融機関でなくつて市中の高利貸というようなものから借金をしておりまするものが新規に金融機関から借りてその高利債を支払つて、幾らかでも安定した経営をやるというような場合に、信用保険が全面的に活用できるならば業者も非常に助かりやしないか、こういう関係なんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/68
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069・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの申込書による申込と、それから実際の貸出ということは、もうこれは大体殆んど今の件数及び数字から考えると、大体申込書通り出してやつたと言うてもいいんですね。大体の数から言うとその申込書になるまでが相当みんな苦心しておるのじやないか、あなたのほうでいよいよ正式に、それは例えば各支所からあなたの本部へお伺いを立てるのがこの申込書であつて、その前に支所窓口で相当実情調査とか、或いは実情調査まで行けば私の知つておる範囲では相当成績はいいほうで、なかなか実情調査までやつてもらえぬという状況のように承知しておりますが、従つてどうも私今の数字はこれは全然これだけ出したという数字と変らないので、どの程度あなたのほうで一応口頭その他の申込によつて扱つておられるかという点は、どうもこれでははつきりしないですね。従つて問題は申込書になるまでの間にあると思うわけです。その点についてどうも資金量が少いためか、中小企業者からの申入れがあつて、こうやれば融資ができるのだというふうな指導的な、少くともあなたのほうは金融指導的な立場において貸出しを考えてもらいたいと思うのだけれども、あなた自身はそういうお考えがあるのかも知らんが、末端のほうにはどうも余り徹底しておらないじやないか。普通の金融機関の窓口と同じように、とにかく払い落すことに急であつて、そう取上げて何とか一つものにしてやろうというような気持が欠如しておるように見受けられる点が多いのです。その点についてどういうふうな部内における指導をしておられるかということを伺いたいと思います。そういうような意味の、そういう気持から行くと、先ほどの高利で借りておるのをこの金に置替えてやろう、それに対して信用保険を発動するということは、これは我々としても望ましいと思うのですが、その旧債の借替がいけないと言つても、旧債が、正当な金融機関からの借入金を借替えるというような場合においては、これはできるだけ新規の、新規ということは相当中小企業者の資金需要が多いのに対して供給が伴わないから、今までのものを保険のほうで救済されたのでは、保険も僅かであるから伸びないというので、旧債の借替に対しては信用保険を発動してはいけないということは、我々もここで審議したときもそういうことを言つたわけだし、今まではどうにかできるだけ多く借りておつて、支払が滞つておつてもとにかく借りておる。今それにもかかわらずどんどん中小企業の資金需要が多いから、成るべく多くこれを一つ新らしい事業に対して応じて行こうという意味でそういうことにしているけれども、そういつた高利についての借替は当然私は考えていいじやないかと思うのですが、それがいけないということはどうも運用上面白くないと思うので、差当つてどこでそういうことをなさいますか。そういうようなものがいけないということを言われる根拠は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/69
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070・門司政信
○参考人(門司政信君) 先ず窓口に申込がありました際に素つ気なく篩落しているじやないか、職員のほうに幹部の方針が徹底していないじやないかという御意見でありましたが、これは現在私どもの各店舗ともかなり手不足な実情にありますことは真実でございまして、そのために一人のお客さんに長時間委細を尽して御説明申上げ、御指導申上げるというような余裕がない場合もあり得ることであるとは思うのでございますが、併し我々幹部といたしましては、初めてのお客さんはできるだけ店舗長がみずから会つて、そうして事情をよく承わり、又こうすれば金融の線に乗るというような説明を申上げて、若し万しが一にもどうても金融の線に乗らん際には、こういう事情で現状としてはやりにくいということを、よく御納得の行くようにお話をするようにということを繰返し申して来ておるのであります。併しながらまだ学校を出まして間もないような不馴れな職員も相当ございますので、或いは部分的に只今御指摘のような欠点があつたかも知れませんが、この点につきましては今後更に更に各店舗に注意をいたさせまして、そういう非難の起らないようにいたしたいと考えるのでございます。なお書類になつて申込またもの以外に、そこまで行かないで、篩落されたものがどれだけあるかというお尋ねに対しましては、実は正確にちよつと調査ができかねますので、はつきりとお答え申上げかねるのでございますが、中小金融一般の通弊と申しますか、弊と申すのは少し言い過ぎかも知れませんが、やはりこちらがお願いするいろいろな書類なんかがなかなか手取り早くおできにならんというようなことのために、多少ひまがかかるという面もあるようであります。又お客さんによりましては、全然具体的な事業計画も資金計画も立てられないまま、一応中金の話を聞いてそれによつて考えよう、借り方も教えてくれ、金額も教えてくれというような、まあ我々が閉口するようなお客さんも中にはあるのであります。併し先ほど申しましたように、今後につきましては、一層の戒心をいたしまして、成るべく御不満のないように取扱いたいと、かように考える次第であります。
それから信用保険の問題は新規に、現実に新規資金が出るというものはよろしいけれども、旧債の借替はいけないというような、現在の法規の上でそういうふうになつておるように伺うのであります。従前と申しましても、相当前でありますが、いわゆる預金部の低利資金を以て高利債の借替をはつきり認められておつた時代もありますので、できまするならば法律的にこの辺をはつきりと規定をして頂いたらばよろしいんじやないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/70
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071・小林政夫
○小林政夫君 この点は長官のほうはどうですか。今の高利で苦しんでおるものを商工中金で救い上げてやろうというものは、これは新規の貸出と見て認めたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/71
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072・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 金融機関相互におきますところの旧債の借替は、これははつきりいかんということに相成つておるわけでございまして、甲銀行がAという人間に金を貸しておる。乙がBという人間に貸しておる。それを相互に借替えまして焦げ付を七五%だけとるということになりますと、これは保険としては問題になりませんから、金融機関に対する借替の禁止は先ほどお話がございましたように、成るべく新規の貸出を多く取ろうということのほかに、さようなもぐりを防ごうという点もあろうかと思うのであります。併し例えば或る中小企業者が原料糸を商人から買う。そうすると商人に対して借銭ができるものを銀行からやや安定した金を借りて借替えるというような場合に、これが旧債の借替ということになるといたしますれば、この保険の活用というものは非常に狭いものになるのではないか。私の今考えております考えではそういうこともよろしいと私は思うのでありますけれども、若しいけないような運用方針でありますれば改めるように進めたい、特にむずかしい事情はないようにちよつと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/72
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073・小林政夫
○小林政夫君 今の恐らく買掛金を安定したものに借替えるということでなしに、例えば財務局に対する届出だけで相当いわゆる高利貸金融業というものがあります。いろいろ会社の名前はあるが、要するに日歩十銭とか二十銭とか取つてやつておる高利貸がある。これも広い意味の金融機関である。併しそれを金融機関とあなたのほうでお認めになつて、それから日歩十銭とか二十銭という高金利を払つて借りておるものを商工中金あたりから借替えるという場合には、これは当然引受権を発動していいのじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/73
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074・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) そういうような金融機関は信用保険の中に入つておらんのでありますから、信用保険に入つておる金融機関相互の借替ということにはならないかと思うのであります。従いまして、若し現行の運用方針がそういうようなものはいかんということになつておりますれば、運用方針を改めたいと思いますし、字句の上においてそれが不可能になつておれば、大蔵省と相談いたして見たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/74
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075・中川以良
○委員長(中川以良君) 門司さん何か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/75
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076・門司政信
○参考人(門司政信君) 只今の小林先生の御質問で大体尽きましたが、織屋が糸屋に対する買掛金を払うための金融、これが信用保険に適用できることは十分了承いたしておりますし、それは実行いたしております。その場合に高利貸から金を借りてすでに糸屋には払つたが、織屋としては高利貸に借金がある、これを肩替りすることができるかできないかということが問題なんでございます。これだけは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/76
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077・小林政夫
○小林政夫君 それはもうちよつとここで話せば、長官も了解されることで、あなたのほうももつとよく話してスムーズにやつて頂きたいと思います。それからこの長期の貸出です。一年以上のいわゆる長期の貸出となつておるものの内訳がわかりますか。一年以上二年未満と、二年以上三年未満というものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/77
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078・門司政信
○参考人(門司政信君) ちよつと今その材料は持つて参つておりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/78
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079・小林政夫
○小林政夫君 それではあとで知らして下さい。それから長官の先ほどの話に返りますが、開発銀行で長期運転資金を扱う、あなたの考えでは成るべくならば商工中金の長期貸出の比率を大にして、このほうで運転資金を賄う、こういう方法が現状では望ましいという御意見であつたのでありますが、併し今のお話のように、例外的に組合員を単位とし、大体組合の金融が建前であるということから行くと、今の見返資金をこつちに引継がん限りは、このままでやつてもやはり原則として組合の長期運転資金はできますが、今開銀へ申込んでいるような直接の長期運転資金というものは、このほうでは原則として扱えないということになるので解決つかないと思います。せいぜいおつしやるようにこの商工中金においても長期資金を扱つてもらうということが望ましいんですが、併しどうもその点では解決しない。私は中小企業金融の味方なんです。そのつもりで聞いてもらわなければならんが、大いに開発銀行で長期運転資金を扱うというようになれば、あなたのほうとしてやつてもらつては困るということは絶対ないはずで、むしろ表面的にはともかくとして、内心は喜んでもらわなければならんと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/79
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080・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) どうも速記がありますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/80
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081・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記をとめます。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/81
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082・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/82
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083・小林政夫
○小林政夫君 それから一つ、できるだけ商工中金の資金の比重を重くして行こうという、長官もそういう希望を持つておられるし、あなたも先ほどお話がありましたが、とにかく現在の窓口は大抵皆一応そういう交渉を受けていると思いますが、一応貸して下さい、こう行きますと、先ず一つ商手の割引から取引をいたしましよう、商手を一つ買つていらつしやい、それによつてやつて見て、だんだんあなたのほうのお仕事の状態がわかるから、そうしたら長いものも考えよう、こういうのがオーソドツクスのあなたのほうの窓口の今までのやり方だと思います。最初から二年とか三年とかいう話をしても、てんで受付けてもらえないというのが大部分の窓口のあり方です。そういう点については今長官の御意思もあるが、どういうふうに将来やられるか、商手の割引或いは申込は申込として、商事の割引ならばこれは回転しますが、単名の短期でも余り望まない。況んや一年二年というような長期運転資金であり、長期の金であれば、あなたのほうの窓口は望んでおられないし、最初から相手にしてもらえないというのが現状だと思います。そういう点についてどういうふうに将来改善されるか、今の長官の御意思、或いは今のあなたの御意見だと、これは当然改善があるはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/83
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084・門司政信
○参考人(門司政信君) 商工中金に来られまする業者、組合は、従来全然私どもと預金の取引もないような組合がたくさん見えるわけでありまして、そういう面から窓口のものといたしましては、一応短期の取引を開始することによつて、その業態を早くつかみたいというような考えから、只今のような状態を申上げたのではないかと思うのでありますが、併し全体の融資から申しまして、そのような扱いばかりをいたしておるわけではございませんで、現在でも初めから長期の融資をいたすものもありますし、又初めから単名の取引をいたしておるものもございますので、ただその程度が非常に不十分だという御指摘かと存じますが、今度は問題の使命に鑑みまして、長期についても当初から成るべく取上げるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/84
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085・小林政夫
○小林政夫君 或いは窓口の措置等も二年、三年のものはやらんとは申しませんが、併し一応商手から入つてもらいたいというようなことなんで、もうちよつと私の先ほど言つたように借主、借入希望者に対する企業の内部にも或る程度最初から入つて、どうしてもこれは運転資金であつても、その収益が僅かであつて、相当この完済には二年、三年かかるというようなものも、そういつた指導的な育成的な見地から、初めから受付けてもらうというふうに指導方針を、窓口の受付の気持も変えてもらわなければ、あなたがたが長期資金の比重を多くするといつても、なかなかそうならんと思うのです。現在でも是非そういうふうに窓口のほうの態勢、指導を変えるべきだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/85
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086・中川以良
○委員長(中川以良君) 長官にちよつとお尋ねいたしますが、政府の余裕金の預託金七十億を出すことに決定したそうでありますが、新聞で見て知つているのですが、あの内容は新聞の通りでございますか。一つ御承知の範囲で御発表願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/86
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087・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) これは実に私として申上げにくいのでございまして、ちよつと内談させて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/87
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088・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/88
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089・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/89
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090・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 現在の預託の状況は十一月末の現在で見ますと、商工中金が五十三億、信用金庫が七十億、相互銀行が百十四億でございまして、これらいわゆる中小企業専門の金融機関に対しまする預託の残が二百三十七億に相成つておるのであります。これは三月までは置いておくというふうになつております。そのほかに農林中金二十五億とか銀行が八十億何がしとございまするが、この点は状況に応じて或いは変化して行くかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/90
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091・中川以良
○委員長(中川以良君) そうすると商工中金のほうは今度仄聞するに四十億預託をするようでありますが、それはそれだけ三月まで残るわけですか。今返すのはないわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/91
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092・門司政信
○参考人(門司政信君) 最も最近にお返ししなければならんものは、一月の十日でございますか、五億円お返しするのだけでございまして、あとは年度末まで置くということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/92
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093・中川以良
○委員長(中川以良君) そうすると長官、三月まで据置くというのに、今のお話では一月にすでに五億お返ししなければならんというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/93
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094・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 最近私のほうで、それを最初の四十八億をこの間十月の十一日に五億殖やした、その五億の分だけは一月の十一日に取上げるということを言うておるのでありますが、私のほうは先ほど申上げましたような中金の資金繰りでございますから、それを大蔵省のほうへ話しまして、これは是非延ばしてもらうようにしようと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/94
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095・中川以良
○委員長(中川以良君) 是非一つそういうふうに御実行をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/95
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096・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの例の高利の分ですね、あなたは運用方針を若し現在商工中金の言われるようなことになつておらなければ改めると言われましたが、念のために改めたかどうかということをあとで報告してもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/96
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097・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/97
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098・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。それでは本日の中小企業の金融に関する問題はこれを以て打切といたします。誠に有難うございました。
次回は、実は衆議院のほうが予算委員会が済まないとなかなか上らないのでございまして、金曜日は午後一時から小委員会で請願、陳情を審議することになつておりますから、従つて今週は休みまして、来週から一つ大いに勉強したい、こういうことでどうでございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/98
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099・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは大体そういうことにいたします。
本日はこれにて散会をいたします。
午後四時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X00819521210/99
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