1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月二十四日(水曜
日)
午前十一時五十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
菊川 孝夫君
木内 四郎君
委員
岡崎 真一君
黒田 英雄君
上西川甚五郎君
平沼彌太郎君
小林 政夫君
小宮山常吉君
杉山 昌作君
森 八三一君
松永 義雄君
菊田 七平君
堀木 鎌三君
木村禧八郎君
衆議院議員
中馬 辰猪君
小山 長規君
国務大臣
外 務 大 臣 岡崎 勝男君
政府委員
大蔵省主税局長 平田敬一郎君
大蔵省主計局法
規課長 白石 正雄君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 泉 美之松君
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本日の会議に付した事件
○国際連合の決議に基く民生事業のた
め必要な物品の無償譲渡に関する法
律案(内閣送付)
○昭和二十七年産米穀についての超過
供出奨励金等に対する所得税の臨時
特例に関する法律案(衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/0
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001・大矢半次郎
○大矢半次郎君 これより第十六回大蔵委員会を開会いたします。
国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品の無償譲渡に関する法律案、右について質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/1
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002・菊川孝夫
○菊川孝夫君 昨日外務省の事務当局のかたがたに詳細についてこの法律案の目的とするところについて御説明願つたのでありますが、今日は大臣に最後にお尋ねしたいのは、この難民救済やら児童の救済のために物資を無償で提供した場合に、現実的には南鮮側のほうへ全部品物が行つてしまう、こういうように思うのでありますが、そうしますと、一番隣国であるし、曾つては同胞であつた連中が今両派に分れてやつておるところへ南鮮ばかり品物が行つてしまうというのは、将来の日本と朝鮮との関係に悪影響を及ぼすようなことはないかどうかという点について一番心配するので、この点について第一点お尋ねしたいと思うのです。
その次には、昨日も、とにかくこれは南米の端のほうであるとか、アフリカあたりでやつておるときとか、或いは洪水や天災地変のために国際連合でやるということと違いまして、現実がこの戦争をやつておるときにおいて、一方で救恤物資を送るということになつたら、たとえこれは国際連合の区域であり、且つ又国際連合の区域は、平和条約の精神からいつても、これを受諾した以上は従わなければならん、成るべくこれには協力するということになつておるのですが、これは義務だと言えばそれまででありますが、併し戦争をやつておるところに一方的に片方ばかりそういう応援物資が行くということになつたら、中には又昨日も薬品であるとか、そういう医薬品をも送れるというお話でありましたが、そういうことになると、戦争を助けるというような印象を与えることになるのじやないか、こういうことをお尋ねしましたところ、協力局長は、いや、もうそれは現にこちらで基地も提供しておるし、それから作戦には大いに協力しているのだから、品物を送つたくらいなことはもう大した問題じやないので、もつと大きな協力を実質的にはやつておるのだから、そういうことは心配する必要はないと、こういう御答弁でありましたが、外務大臣もやはりそういうつもりでおられるかどうか、この二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/2
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003・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 協力局長はどういう答弁をしましたか、私聞いておらんのでございますが、私の考えている第十六号はこういうふうに思われるのです。第一に、今の韓国政府なるものができましたときの状況を見てみますると、あれは国際連合の決議によりまして、朝鮮を統一する目的で、全朝鮮に対して選挙を行なつて、その結果多数を得た者が政府を組織する、こういうことで国連の監視員が行つて選挙の構成を監視するということで選挙が行われたわけでございます。ところが、事実上は三十八度線以北には国連の連中も行かれませんし、又三十八度線以北では選挙を拒否したために、結局建前は全朝鮮ということでありましたが、実質的にはいわゆる南朝鮮だけで選挙が行われて今の政府ができた。併し国連側では、まだあの政府は本来から言えば朝鮮全体に対する政府でない。ただ北鮮で選挙が行われなかつたために、又北鮮に力が及ばないために南鮮だけにやる。北鮮のほうの選挙が仮に同時に行われたらどういう政権ができるかはこれは別としまして、国連の目的としては、そういう全朝鮮の一つの政府ということでやろうとしておつたわけであります。事実上はそれができなかつた。そこで今度の朝鮮の救済、再建等に関する計画につきましても、これはやはり国連としては、建前は全朝鮮と考えておるのであります。事実上ただ戦闘が行われておつたりしまして、又国連の救恤ということ、何と言うか、救済ということについては、北鮮側では少くとも、国民はどうか知りませんが、北鮮の政権は別な考でおる。従つて受付けないような態度も見えないことはない。そのために事実上は送れませんけれども、建前は北鮮側にも送つて無論差支えないものだ、従つて国連の総会としては、どちらをというのではなくして、これは一つの政府なり或いは他の政府なりを援助するとか或いはその間の軍事その他の援助というのではなくて、朝鮮の国民に対する、非常に困つておる国民に対する援助であり、こういう国民に対する援助というものは、できればどこへでもやり得るものであることは、例えばアメリカが共産政権とは非常に反目しておつた当時、第一次欧州大戦のあとで、フーバー・コンミッシヨンというのがソヴィエトに行つて、ソヴィエト側の救済をやつておつた。難民の救済等ということについては三十八度線の以北、以南を区別すべきものではないので、可能ならば恐らく北のほうにもこういうものをやる措置を講じ得る、講じたいと思つておることは、私は間違いないと思います。ただ、現実の事態として、今それができていないということであろうと考えます。従いましてそういう計画に対して日本もこれを援助するということは、私は差支えないことであり、又逆に仮にこれが南鮮にしか行かないとしても、南鮮にしか行かないのだから、難民を救済するという事業に対しても参加しないということでは、我々従来同じ国民としておつた間柄でもありまするし、できないものは仕方がないが、できる範囲の援助はできる限りこの範囲内においてはむしろ進んでやるべきものではないかと考えておるのです。又、これは国連の総会等できめられまして、軍事行動とは全然別個にやつております。例えば軍事行動については安全保障理事会とそれから総会の勧告によつて行われておりますから、軍事行動自体は安全保障理事会に報告されても、こういう救済計画のほうはこれは別でありまして、総会に出される。従つて実際の統一司令部と言いますか、ユニフアイド・コマンドに依頼してこの事業を行なつてはおりまするけれども、中身を見ますると全然別な組織であり、全く別個のものでありまして、軍事行動とは関係ないと私は考えております。又薬品等にしましても、これは難民に対する救助でありまするから、これも私は軍事行動とは関係ない。要するに非常に今困つておる人々に対してできるだけの範囲で援助の手を差し伸べる、こういうことと考えておりますので、私はむしろ進んでもこれはやるべきものであろうと、こう思つておるようなわけであります。
〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/3
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004・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に賠償問題、これはまあ金額からいたしますと大した金額ではないのでありますが、今、賠償をよこさないから、はつきりしないから、先般もフィリピンのほうではモンテンルパで拘禁をしているんだというようなことを盛んに言つているらしいのでありますが、そうしますと、この賠償もまだ払えないようなところが義捐金の募集に応じるということはちよつと矛盾をするんじやないか。そこで、これぐらい義捐金にさえ応じ得るような国力が回復しているのなら、早く賠償をたくさん払えというような要求が出て来る心配があるんじやないかと思うのでありまするが、こういう点については全然影響がないのであるかどうか、それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/4
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005・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 賠償の問題はこれは私は別だと考えております。なぜかと言えば、仮に我々は非常に困窮しておつて賠償が払えない状況であるにしても、今までの同胞であり、すぐ海を隔てた向うにいる人々が非常に困窮しておるというときには、それこそ身の皮を剥いでも助くべきであるからして、仮に賠償が払えないとしても、援助をするということはこれは私はむしろ当然……と言つたら余り語弊があるかも知れませんが、やるべきものであろうと考えておるのでありますが、賠償といえども私どもは決して払えないと言つておるわけではなくて、現に新聞でもこの頃出ておりまするように、賠償を実行するつもりで話を進めておるのです。そして相当程度のことをいたしたい考えでおりますので、この点においても差支えない。又、賠償を必要とする国々から言えば、あり余つているような国が賠償をするのじやなくて、やはりこの戦争によつて非常な経済的の打撃をこうむつた、その経済的の打撃を幾分にても責任あるほうから賠償として実行をさして、その戦争損害の再建を促進したいという考え方であります。そういういわば戦争によつてやはり求償国といえども経済的には困難を感じておるのでありますが、そういう国々も、例えばフィリピンとかいうような国もたしかこの朝鮮の救済事業には醵金しておると思うのです。で、我々もこういう人道的のものには醵金をいたすべきが当然であり、殊に非常に遠い見ず知らずの国とは違つて、今まで同じ国籍を持つた国なんでありますから、なお更できるだけのことはいたすべきじやないか。結論といたしましては、私は賠償には特に影響はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/5
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006・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に、こういう国際連合が民生事業のために物資の供出を決議する場合には、よくわからないのでありますが、戦争やこれに類似したような事件によつて難民ができた場合にやるのでありますか、それとも天災地変等の場合にもこれは適用されることになつているか、その点を一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/6
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007・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 天災のときは、まあ非常に大規模なものがあればこれも考えられるでありましようけれども、多くの場合は国際連合としてやるようなことは少いと思います。それは天災の場合は各国ともに醵出をいたして援助もいたしましようけれども、主としてはこれは戦争とか或いは領土の変更に伴つて、こつちの領土にいた者が大量にこつちへ移るとかいうようなことが多いと思います。併しこれは戦争自体とは私は直接関係がない、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/7
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008・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に、国連加入はこちらも非常に強く要望しておるんだけれども、未だに国連の加入を認めない。拒否権の問題で認めないのでありますが、国民感情として、仲間入りもさせないで義務だけ負わす、それにやすやすと乗つて行くということは大体弱腰ではないかというような感情が起きて来るのじやないかと思うのでありますが、この点についてはどう考えられるか、やるのなら自国の名においてやるということも考えられると思うのですが、国際連合を通じてやるということについては、これはなぜかと申しますと、こういうことをまあ黙つて聞いて、成るべく協力しておつたならば、国連加入もやがては早く実現できる、こういうふうな見通しを持つておるかどうか、それを一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/8
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009・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは私は別な観点から考えておるんでありまして、つまりまあこう言うと又誤解があるかも知れませんが、日本は少くとも国民の教養の程度からいつても、或いは衰えたりといえどもこの経済力、工業力からいいましても、人口の点からいいましても、やはり世界のうちに伍しては相当の地位のある国であると考えておるのです。従いましてそれだけの発言権を与えられる代りにそれだけの国際的な義務をみずから負うべきものであろうと思います。例えば日本に直接関係のないような遠い所にある問題でも、日本としては世界平和維持とか或いは各国との間の理解を深める方法とかいうことについては進んで、直接利害関係がなくても、世界のために努力するだけの考えを有するのが当然だろうと思つております。そこで国連に加入する取引条件等とは私は考えておりませんで、まあこれは特に近い所でありますから別でありますが、こういう目の前に非常に気の毒な状況があるときは、日本としては国力の許す限りの援助をすべきが当然である、こう思つておるのであります。これによつて国連加入を結果においては促進されるかも知れませんけれども、これを国連加入の手段として使うというような気持はないのであります。又こういう救済事業は、国として自分が恩を着せて、相手国に恩を感じさせるような方法をとらない、つまり普通の寄附でも、自分の名前を出して寄附するのと、無名で寄附する方法もありましようけれども、その人道的な立場に立つてやるのであつて、その多寡よりも、又自分の名前を出すとか出さんとかというよりも、その気持を現わすべきであろうと思いますので、国連というような名前で各国がその適当と思う額を寄附して、その方面に寄与するというほうが、むしろこういう救済事業については適切であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/9
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010・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それではこの赤十字の活動ともよく似た点があるのじやないかと思うのでありますが、将来この赤十字が若しもそういう活動をやる、これは赤十字がやる場合には、どちらかと申しますと、両圏内へ働きかけることは赤十字だとできるのじやないかと思うのでありますが、赤十字ができるかどうかということと、もう一つ赤十字から申入れがあるような場合には、政府はこういう処置を考えるつもりでおるかどうか、用意があるかどうか、この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/10
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011・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 赤十字でもこの両方の圏内に自由に出入できるかどうか、今のところは疑わしいのであります。併しながら例えば赤十字の当面の仕事としては、これはいろいろ広範囲にありましようけれども、例えば負傷者の手当とか或いは病人の手当、普通の市民でも……、こういうことでは国際赤十字がやる場合があります。又それが有効である場合もあるのであります。将来そういう問題が起りますれば、又これは好意的に日本としても考えるのは当然だと思います。ただ今すぐにはこういう機関がありますし、これは一般各国の赤十字の一部も朝鮮戦線では出して援助している国があります。ありますが、これはむしろ傷病兵の手当というようなほうではやつておるようでありますが、こういう一般の市民の救済、而もかなり大掛りのことでありまして、これには統一した方針をとつてやらないと、一部には厚く一部には薄くということでもいかんようでありますので、只今のところでは国連が主宰してやつておるわけであります。これと併立してほかの方法があれば、これも決して拒絶すべきものではない。従つて我々としては、そういう問題がございますれば、将来とも好意的には考慮をすべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/11
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012・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それと直接密接な関係はないかも知れませんが、国内に今居住しておりまする朝鮮人の中には北鮮系と南鮮糸とあるわけでありますが、こういう計画がと申しますか、この法律が通過するということになりましたら、北鮮系の人たちがいろいろの又運動を起すというような心配はないかどうか。今そういう動きはないかどうかということと、現在日本にいる朝鮮人の中で、北鮮系と韓国系と一体数にしてどのくらいあるか、これを一つ。それと直接は関係はないかも知れませんが、すぐ又これで変な運動が、変なと言うか、反対運動がほうぼうに起り出すことになると思うので、余り芳しくないと思いますので、この実情はどうですか、外務省には調査と言いますか、情報の入つておる範囲内において一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/12
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013・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは初めにも申した通り、若し北鮮系でもこれを受入れるということになれば、国連としては喜んで北鮮側に出かけて難民救済はやるのだ、従つてこの点で国内の北鮮系の人たちが反対を起すというようなことはちよつと考えられませんし、今別にそういう動きは認められません。それから国内の北鮮系、南鮮系、初めは非常に何と言いますか、北鮮系のほうに国内の朝鮮居住民を持つて行くような積極的な運動が随分ありまして、そのために登録された数はたしか北鮮系が圧倒的に多かつたと思います。例えば六十万のうち四十五万くらいは北鮮系とかということになつておつたかと思いますが、その後だんだんわからなくなつて来ました。今実際の正確の数はわかりませんけれども、北鮮系の働きかけといいますか、そういうものが警察等で不当な者は抑えられて来ましたために、初めに北鮮系として登録した人でも変つている人があるようであります。政府としてはこれに対して特に登録されればそのまま受付けますが、或いはただ朝鮮人として登録しても、これは北鮮系であるか南鮮系であるか追及しませんために、正確なところはわかりませんが、当初に行われたよりは大分数が違つて来ていると想像しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/13
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014・菊川孝夫
○菊川孝夫君 じやもう一つ、今新聞でも国際連合の斡旋と言いますか、努力によりまして、捕虜の送還問題を国連にも要請をしておりますし、国連もやつてくれているということが伝えられて、最近は中共に日本の赤十字から代表を送るというようなことを今日の新聞でも伝えられておりまするけれども、それらと関連いたしまして、やはりこういうこの民生事業に協力するから捕虜を帰してもらうのだというようなさもしい感情を持つわけではありませんけれども、やはりこういうことに協力していれば、向うも熱意を持つて捕虜の送還等についてもやつてくれるのか、或いは又これを若しも断わるというようなことになつたら、そういうことは非常にだんだんと熱意が冷めて来るものであるかどうか、この国際的な影響を一つ第一にお伺いいたしたいのです。
次に今月の文芸春秋でしたか、死刑の判決を受けた、而も自分では死刑の判決を受ける覚えがない、というのは上官が皆責任を部下に転嫁して自分の責任を逃がれている、そういう戦犯で、而も死刑の判決を受けて苦悶をしておる人が現に巣鴨の拘置所の中にもおるし、或いはモンテンルパにもこれがおるであろうと思うのでありますが、こういう人たちの身の上を何とか……、気の毒な人たちを一日も早く救済できるような要請を国連を通じてやるのが一番いいと思うのでありますが、こういう義務だけはきまつたときには協力をさしてもらうが、これに正式に加入を認められていないからして要請することができないものであるかどうか。それとの関連において一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/14
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015・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はこれに仮に協力しなくても、国連のほうの捕虜の引揚げの特別委員会等の努力が冷めるとは思いません。国連側の捕虜関係の委員会等は非常に熱心でありまして、これはこれで人道的な立場からやはり考えておるので、これをやらなければ片方をどうする、そういうことはないと思います。従いましてこれはこれだけでお考えになつて頂いて結構だと思います。
なお戦犯の問題につきましては、国連側の何か努力というようなお話がありましたけれども、国連の中には国は、あれは六十カ国余りですか入つておりますが、戦犯等の関係の国は全部で幾つありますか、十か十一だと思います。従いまして多くの国は直接関係がないのでありますが、それとは別に、平和条約の規定によりまして、我々は戦犯者に対する措置は十四条でありましたか、こうこうするという規定をしておりますから、その平和条約の規定に基いてやるのが適当であり、折角規定があるのにそれを乗り越えて他の機関にアツピールするというようなことは、この規定がどうしても動かないなら別でありますが、現に動いておる部分もあり、又近く動きそうに思われる部分もあり、又全般的には非常に感じがほぐれて来ておる現状でありますから、むしろ私は平和条約の規定通り各国に対して勧告をやり、そしてそれを催促して、できるだけ早く善処してもらうという方向に行くべきであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/15
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016・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじや国連ではそういう現在何ですか、不実の罪といいますか、実際身に覚えのない罪を着せられている、捕虜よりも気の毒な死刑囚に対しては、別にこれについて関係国に何らかの解決のために助力をするというような、憲章の中に或いはその他の定めの中にあるのかどうか、難民の救済と同じような性質のものだと思うのです。これらを何らかの処置をとることになつておるか、そういうものは全然タッチしないことになつておるのか、ただ戦争が起きた場合にこれを解決する、これが主となるはずであるか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/16
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017・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは国連として一般的にはそういう務めは無論あるわけでありましようけれども、平和条約の規定によりますると、今おつしやつたような、事実裁判について非常に疑問のある点があり得るとは思いまするけれども、平和条約の規定によりまして、日本は各国で行われました戦争裁判の判決を受諾するということにいたしております。従つて条約で受諾するといつたものを、今更あの判決はおかしいのだからやり直すべきであるというような議論はちよつと考えものじやないかと思うのであります。又仮にそれを、主張しても、時間が非常に掛りましようし、それから又裁判を更に行うとしましても、証人がどうなつておるか、証拠がどうなつておるか、なかなかこれは裁判はむずかしいのじやないかと思います。非常に時間が掛つて、その裁判の結果がどうなるか、これもわからない状況であるならば、むしろ実際的解決としては、平和条約の規定に基く仮出所とか減刑とか、釈放とかいう方面を促進すれば、すでに多くの人は七年なり六年なりおる人でありますから、少くとも仮出所の待遇は受け得る人がかなり多いのであります。又減刑等が行われれば、それに基いて又仮出所のパーセンテージが非常に多くなつて来るのでありますから、私は実際上の解決としては、むしろ平和条約の規定を促進して、これを各国の善処に待つというほうが早いのじやないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/17
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018・小林政夫
○小林政夫君 本法案とは直接関係ございませんが、外務大臣が見えたので、この委員会に関係のことでちよつと御質問いたしたいと思います。
昨日当委員会において上げた租税の特別措置法の中で、外国からの技術援助契約により外国に対して支払う使用料について二重課税防止の条約ができて、その後六カ月の間免税をする、こういう措置をきめたのでありますが、二十七年一月から十月まででもそういつた外国に支払う技術の使用料は十八億六千九百万円に上つておる。そうしてその一〇%の税収を上げるとして一億八千万円の税金が上がるわけだ。これが二重課税防止の条約ができないために課税することを躊躇しなければならん。実際問題としてそれを課税するとすれば、相当のやはり技術を導入した我が国の国民の負担においてその税を払わなければならんという結果になるので、止むを得ず免税措置をすることにしたわけでありますが、この二番課税防止についての条約の締結についてどのような外務大臣としては今積極的な御努力をなさつておるか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/18
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019・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは原則としては我々も承知しておりますが、個々の問題には非常に技術的な問題でありまして、先般も大蔵省の専門家をアメリカに派遣しまして、アメリカ当局と話をさして来たのでありますが、なかなか私どもにもよくわからないような技術的な細かい問題があつて、時間を取つておるのでありますが、我々の希望としては、アメリカなりその他主要の国とはできれば来年中にはそういう協定を作上げたいと思つて、いろいろ各国におるこちらの大使等に訓令をいたしまして研究をさしております。先のことでまだはつきりわかりませんが、アメリカ等とは相当早く話合いが付くのではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/19
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020・小林政夫
○小林政夫君 問題は該当件数又金額等においてもアメリカが一番圧倒的に多いわけでありまして、もうはやその交渉を始められてから一年近くもなるわけであります。今日まできまらないということは、非常に技術的な困難性に……、まあ両方の対立しておるという点は、先般主税局長から我々も聴取したわけであります。そのほかに該当国がまだ八カ国あります。これと一々そういつた条約を締結するためについては、アメリカとの交渉振りから考えると、相当の年数を要するのじやないか。尤もアメリカのほうで一つのモデル・ケースができれば、それに似せてやるというわけに行つて、多少は早くなるかも知れませんが、併しこれは相当日数がかかるのじやないか。技術的な問題は別として、外務大臣としてその条約締結に熱意を持たれ、積極的に推進するというふうなお気持でやつて頂きたいと思うのですが、その点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/20
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021・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これはまあ不用意と言えば不用意かも知れませんが、アメリカとの話をしてみますと、いろいろ主義上の問題が出てきます。この点をどう日本としてきめなければならんかというようなことはなかなか細かい問題でありますが、やはり主義上の問題を含んでいるのがあつて遅くなつております。が、こういういろいろの点を今アメリカとの間の話で非常に検討して来ましたから、この協定ができますると、恐らく日本としてはいろいろの問題についてこうやるべきものだという方針はでき上る、そうしますると通商航海条約のようなもので国々によつてそのやり方は違いまするけれども、少くとも日本の方針というものがきまりますると話は非常に早くできるわけでありますから、この問題もアメリカとの話がきまれば、あとそう遅くなくできると思います。私は勿論できるだけ早くこういうものは作り上げるべきものだと考えておりますから、今後とも十分努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/21
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022・小林政夫
○小林政夫君 こちらが新技術を導入するほうでありますから、どうしても受身であつて、非常に該当国と我々のほうで、導入したいこちらのほうの者とが折衝をする場合には、どうも我々のほうが弱いわけであります。そこで、こういう二重課税防止の条約ができた、としても、なかなか実際の交渉においては当方が不利をこうむるという、事実上向うの払うべき税金までこちらから出すような使用料を課せられるかも知れない例があるわけでありまして、日本の経済再建のためにも一つ是非促進をして頂きたいと思います。
それから次は行政協定の第十一条によつて合衆国軍隊とか軍属等はその使用する物資についての関税を免除されることになつておる。ところがこの規定を濫用して、又日本において物品税のかかる物品等についての物品税は取らないということになつておるけれども、その取らないという手続等の関係もあり、相当この協定で限定された趣旨を逸脱してかなりの物が外国から輸入されておる。それは具体的に申しますと、カメラ或いは陶器製品というようなものが輸入されておつて、今までは日本から買つておつたのを買わなくなつたという事例もあるわけでありますから、これについては行政協定第十一条の趣旨等について、この状態についてどういうふうに外務大臣としては今お考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/22
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023・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは締結当時から非常に懸念されたのでありまして、例えばアメリカの軍人なり何なりが買うというために無税で輸入しましても、その軍人が日本人と親しくて、頼まれてそれを買つてそれを渡すというようなことで、非常に脱税的な行為が多いのじやないかと、こう懸念されたのであります。併し表面この理窟から言えば、軍人等が使う品物に対しては、これは無税で入れてやるのが至当でありますから、協定ではそういたしたのであります。その当時からこの問題は先方にも注意し、我々のほうでもできるだけこれについては注意すべきであると考えております。そこでずつと今までの実績を調査しておりまして、この一年間の状況を見て、行政協定は一年たつて、別に改訂の協議をする約束はしてないのでありますから、刑事裁判権については一年たつたら協議をしろということになつておりますが、あとはただどつちかの政府が申出て改訂の必要があるというときは協議をするということになつて、一年ということはありませんけれども、我我のほうは大体一年を目標にして実績をこう集めて見て、例えば或る種の品物が非常に多く入つて来て、そうして軍人たちがそれを皆買つたと思われないような節があれば、それを調べて、そうして先方の反省を促すなり、或いは何かの改訂を申入れるなりの資料にいたしたいと思つております。もう暫らくの状況を見まして、これは善処したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/23
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024・小林政夫
○小林政夫君 アメリカ国内においてはアメリカ軍人というものは、例えばドイツ等から品物を入れて買入れる、アメリカが外国から輸入する物品について関税をかけられたものを購入するわけですか。或いはアメリカ国内においても軍人が使うというものは輸入品について、アメリカとしての輸入品について免税の措置を受けることになつておるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/24
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025・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは私もはつきりは知りませんが、軍の建物の中で、例えば兵営等の中で、酒保その他の場所で売る品物については免税をされておるのではないか、併し売る品物は、恐らく私の想像では国内製品であつて、特に輸入品などは多少はありましようけれども、余り売つてないのじやないかと思います。従つてカメラ等も、ドイツのものその他は一般の市中の店で買わなければならんのじやないかと思う。そうすれば無論税金がかかつて来る。併し同様にしてアメリカがドイツから例えばカメラを買つて、こちらへ送つて来て、軍の施設の中で売るのでありますれば、アメリカ軍は、ドイツから買うときは政府と政府の間ですけれども、アメリカの軍から大蔵省に対して税金は払うのです。その払つたものをこつちへ持つて来て、そうして日本には無税で入れる。やはり先ほど申した二重課税を防止するというような意味も入つておるように私は了解しますが、それにしても、その安く売つた物が、つまりアメリカの費用で安く、つまりアメリカの軍の費用で税金は払つて、そうしてこちらへ持つて来た物は、税金だけは軍人に対しては除外して安く売つてやる、こういうことになるのでありますが、それを若し日本の国民に、アメリカの人が買つて売つてやるということになりますと、その間には一つは闇の値段が出て来る。もう一つは、アメリカとしても政府が税金を払つて安く持つて来た物を日本の国民に売つてやるならば、日本の国民に対してアメリカ政府が税金を負担することになるじやないか。日本としても面白くないが、アメリカとしてもつまらん話じやないかというふうに私は考えて、そういうふうに話を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/25
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026・小林政夫
○小林政夫君 この行政協定の趣旨は私どもこの審議をするときは、大体においてアメリカから持つて来る物については免税の措置をするということを考えておつたのでありますが、直接こちらの駐留軍がドイツ或いは中華民国その他から輸入して、そうしてそれが免税の措置を受ける、こういうことはおかしい。今のアメリカを経由して来るならば、当然軍の会計において税金、関税を払うか、或いは直接購入者が払うか、国内においては関税を払わなければならんものが、直接日本の駐留軍が当該国から輸入をすることによつて免税の措置を受けるということは、少しこの行政協定の範囲を逸脱しておるのじやないか。協定の精神を逸脱しておるのじやないかというふうに考えるのですが、その点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/26
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027・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これはアメリカのほうでも非常に実際的に考えておりまして、我々もそうなんでありますが、一々その品物のオリジンをどうするか、こうするとか調べるのも煩瑣であります。アメリカ側の良識に待つほうがよろしいと思うので、又アメリカ以外の国から輸入されるものも、アメリカでは場合によつては、この日用品であり、或る場合には必需品である場合もあるのですから、一々そう咎め立てすることはないと思いますが、併しそれが大量に入つて来る、又日本の用内に安く流れるということになれば、これは問題にせざるを得ない。そういうことがなくて、本当に軍人だけの闇に使われる少量のものであるならば、理窟は多少おかしいかも知れんけれども、不問に付してもいいじやないか、こう思つておりますから、むしろ実質的の問題で、国民に対しての品物が余計流れるような場合がありましたら、これはチェックすべきである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/27
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028・小林政夫
○小林政夫君 いや、こちらへ流れる一合大臣の御指摘のような事例も勿論困ることですが、更に積極的な意味で、普通に税金がかかるならば、アメリカにとつての外国製品を買わなくても、日本の国内でそれ以上に優秀な製品或いは比肩し得る製品が作れて、日本の品物を当然買うであろうにもかかわらず、今のような直接駐留軍がアメリカ以外の外国から買うことによつて、免税措置によつて、当然日本の品物が売れるべきものが売れないという現象が起つておるわけなんです。曾つては相当買つたものが、今のような手を使うようなことになつたために売れなくなつた。要するにまあ前に大臣の指摘された例で言つても、日本の産業が圧迫されるわけですが、私の申上げる事例は、当然ドル等が稼げるものが稼げない、こういうことになるので、これによる日本産業に対する打撃というものが非常に大きいわけです。その点についての御配慮も願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/28
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029・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) その点も十分調査いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/29
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030・小林政夫
○小林政夫君 すでに大蔵省の主計局長名を以て合同委員会に対して抗議を申込んでおると、こういうことでありますので、外務大臣も一つ傍観せずに積極的にアメリカに対して抗議を申込んで、速かに解決をしてもらうように御善処を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/30
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031・松永義雄
○松永義雄君 簡単に国連の姿についてどういうふうに見ておられるかという点をお聞きしたい。国際連合に対して平和条約で国際連合の原則を重視する、原則において平和的手段においてやるということは改まつて聞くこともないのでありますが、この国際連合の原則というものは今もう破れているんじやないか……、一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/31
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032・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これはいろいろ言われております。ソ連側圏と英米その他の自由国家群との間が国際連合の中で二つに割れておるというように言われておりますが、私はそうは考えておらないのであります。というのはああいう機関がありまするからアメリカ側も自由にそこで発言をし、ソ連側も自由に自由国家群に対して発言をして、そして世界の輿論にも訴え、各国との間の論議も戦わせるのであつて、この機関がなかつたならばどうなるかと申しますると、恐らく両陣営の間はだんだん相手国に対する疑を増し、相手国に対する意思の疏通を欠いて、それこそ非常なむずかしい事態に立ち至るんじやないかと思います。そこでこういう組織であり、イデオロギーも非常に違つておりますから、随分激しい議論もありまするけれども、その半面にとにかくこういう一つの組織があつて、そこで思切つて自分の考えをぶちまけることができるということは、これは国連だからこそできるのであります。この意味において国連は非常に大きな世界平和の維持に貢献していると考えております。やり方は、当初のサンフランシスコ会議の昭和二十年当時のような世界が打つて一丸となつてというようなこととは多少違つて来ておると思いますが、併しそれにしても国連の機能は平和維持という点では非常に大きく果されていると、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/32
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033・松永義雄
○松永義雄君 国連の総会なり安全保障理事会の会合なりでお互いに不満を漏らし合うというところにおいて平和的効果を奏するものだという点については、私としても別に否定はいたしませんが、反対に又国連を舞台として双方の謀略宣伝が行われているということもこれも否定しがたいのであります。而してその後における具体的な事実はこれ又一々私が申上げるまでもなく、朝鮮問題に関する国連軍の組織方法、あれは勿論国際連合の正式な組織的な軍隊でないことは言うまでもなく、その国連軍の朝鮮における行動、その後における朝鮮の捕虜問題に関する決裂で具体的に現われていることは、この国連からとにかく出ておる国連軍の動きというものは、だんだん国連の最初に持つていた精神と離れつつある具体的な現象ではないかと思うのですが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/33
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034・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は只今申した通りどうもそうは考えておりません。宣伝とか謀略とかおつしやいますが、その意味もあるでしようけれども、とにかくああいう公開の場所において世界の輿論を目がけて多数の国の支援を得るために、お互いに自分の立場を明白にするということは、これが一番私はフエアーなやり方であり、各国ともにどちらに支援しなければならんということはないのですから、恐らくこれをやらなければ、今申した通り非常な世界的には陰惨な形になつて来るんじやないかと思います。で、国連の機能があなたのおつしやるような点では無論完全に果されていない。併しこれは世界を統一して一つの政府ができなければ、そんな完全に、独立国がほうぼうにあるのにそれを従わせるというような機能は果せないのでして、国連といえども前の国際連盟と同じように完全にはその目的を達していないのでしようけれども、現状においては、これはもう自然の結果であり、又むしろ完全に果していないという点で却つてどこの国も押えつけて縛るということをやつておらないだけに、却つて防波堤と言いますか、何か気持のはけ口もできて、平和維持に役立つていると思いますので、決して国連本来の目的から余り離れていない、ただそれが完全にできていない、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/34
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035・松永義雄
○松永義雄君 私の言おうとするのは、国連の最初の精神から国連がこう漸次動いているのではないか、その動いている姿に対して我々はどうしたらいいかというその資料をあなたから得ようと思つてここに質問をいたしているのであります。国連を否定するとか、そういうことを言つておるのではないのであります。もう少し中へ入つて客論的な点を一つお伺いしたい。
そこでもう少し具体的な例を申上げますと、これは大蔵大臣に聞くことでしようが、国際復興開発銀行がこれ又戦争後、戦争経済を平和経済に直すためにでき上つた一つの国連の機関である。それがマーシャル・プランを経てそして後進国開発になつた。そうして後進国の生活向上を目標としておる、平和的目的を目標としておつたはずだと思う。ところがその国際復興開発銀行が最近御承知の通りに戦略物資の開発乃至政治的解決問題について手を入れつつあるという傾向が見えて来ておる。国際連合は最も平和的な機関であり、平和的産業の開発を図つて、そうして民族の生活の向上を図るというその精神から離れて、戦略物資、政治的問題に融資の途が開かれて行くという傾向を持つということは、裏のほうから国連の性格が動きつつあるということを認めざるを得ないのでありますが、その点はどうでありますか。余り時間が長くなりますからもう一つあと質問して終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/35
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036・岡崎勝男
○國務大臣(岡崎勝男君) これはどういう点で松永さんはそういうことをおつしやるか知りませんが、私も先般ガーナー副総裁に会つて何遍か話しました。ガーナー氏の考えなんかは、これは純然たるビジネスであります。金を貸して貸倒れになるようなところには貸さないという方針で、ビジネスの中に……ただ必ずビジネスではあるけれども、その中に何と申しますか——平和的な気運を促進するものをできるだけやる。そうしてそれ以外のものは手を出さないというつもりでやつておるようでありまして、今おつしやつたような傾向は、私はガーナー氏とのいろいろな話合から見ましては到底考えられないことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/36
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037・中川以良
○委員長(中川以良君) 松永委員にちよつと申上げます。折角の御質問中でございまするが、実は本日外務大臣も大変急いでおられるようですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/37
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038・松永義雄
○松永義雄君 もう一点だけです。どうせ御承知のことを否定していられるのですから、だから私はただそういうことを申上げておけばいいのであります。
国際復興開発銀行が戦略物資開発に向つていることは、国連が戦略物資開発に向つていることは、ユーゴーとか或いはイランに対する貸出しでこれは明瞭なことであります。でそのことは一々実証的に証拠を持つて来て申上げることもないと思います。証拠を出せというようなことになることは、こういう委員会の性格上極めて何と言いますか、感情的のことでありまするから、ただそういうことは私は申さない。更にイランの油田問題に関して、英イ紛争問題に関連して国際復興開発銀行が関与して行こう、これについて関与して行こうということが認められるのであります。それを私はとやかく攻撃するのではありません。国際連合の性格が動きつつある。これは国民によく知らせなければいけないと思うのです。安心してあそこに頼つていれば平和は守れるのだぞという考え方は、私は非常に間違つていると思います。それに対する態度はいろいろありましようが、とにかくあなたの言うように、否定して、そうして国際連合に頼つていればいいのだ。そうしてそこへ加入申請していればいいのだ、こういうことだけでは決して国民は安心してはおられないのであります。だからちよつと一言申上げておきまして質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/38
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039・中川以良
○委員長(中川以良君) ちよつとお諮りいたしますが、外務大臣はもうよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/39
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040・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの質疑で、平田さんが見えたので言つておきますが、外務大臣は行政協定第十一条による免税物品が、関税を免除する物品が国内へ流れることだけが頭にあるようでありますが、先般当委員会において問題になつた、アメリカ以外の国から駐留軍が輸入し、大量の物を輸入し、それが当然日本の物品を駐留軍が買上げるであろう量を圧迫しておる。むしろそういう意味において日本の産業を圧迫しておるという逆のケースと言いますか、積極的にドル獲得という面におけるケースについて頭によく入つておらんというように、私は質疑応答の過程において思つたのでありますが、平田さんからよく連絡をしておいて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/40
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041・中川以良
○委員長(中川以良君) よろしうございますか。……別に御発言もないようでございますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。一
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/41
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042・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めまして、それではこれより討論に入ります。
御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを頂きます。……別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/42
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043・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品の無償譲渡に関する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/43
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044・中川以良
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本法案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定をいたしました。
なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により本法案の内容、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することにして、あらかじめ御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/44
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045・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
それから本院規則第七十二条により委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
菊川 孝夫 岡崎 真一
小林 政夫 平沼彌太郎
小宮山常吉 西川甚五郎
菊田 七平 黒田 英雄
松永 義雄発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/45
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046・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは暫らく休憩いたします。
午後零時五十九分休憩
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午後七時二十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/46
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047・中川以良
○委員長(中川以良君) 休憩前に引続きましてこれより開会いたします。
昭和二十七年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税の臨時特例に関する法律案を議題に供します。先ず提案者より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/47
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048・中馬辰猪
○衆議院議員(中馬辰猪君) 只今議題と相成りました坂田英一君外二十五名提出昭和二十七年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税の臨時一特例に関する法律案に関し提案の理由を御説明申上げます。
国民食糧を確保しまするためには、一般供出割当が確保できるか否かは、言うまでもなく、最も緊要な事柄でありますが、義務供出分を過重に割当てますることは、農村の現状よりいたしまして、妥当を欠く嫌いもあり、むしろ農民の協力により超過供出等を確保することが必要であります。
而して超過供出等は、農家の保有分を割いて供出することと相成りまするので、これらにつきましては特段の措置を講じて、これを奨励することが必要であり、昭和二十六年産米につきましては、御承知のごとく超過供出奨励金に対する所得税を全免することとし、以て農家の実質手取額を保障することとせられたのであります。
昭和二十七年産米につきましても這般の事情にはいささかの変更もなく、むしろその必要性は殖えておると見るべきであります。
又、本年度においては特別指定業者による特別集荷制度も新に設けられましたので、これについても同様の措置を講ずることが当然と考えられます。
以上の理由によりまして超過供出米並に特別集荷米に対しましては奨励金並にこれに相当する金額は、その生産者の昭和二十七年分又は昭和二十八年分の所得の計算上、所得税法上の総収入金額に算入しないようにいたしたいと存じまして、ここに本法案を提出した次第であります。
何とぞ慎重御審議の上速かに御可決賜わらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/48
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049・中川以良
○委員長(中川以良君) 引続きまして衆議院において修正をされました点について説明を聴取いたします。小山衆議院議員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/49
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050・小山長規
○衆議院議員(小山長規君) 衆議院の大蔵委員会において可決せられましたところの本法案に対する修正の内容並びにその理由を御説明申上げます。修正は次の通りであります。
第一項を次のように改める。
1 昭和二十七年産米穀につき、米穀の生産者がその生産した米穀をその生産者の名をもつて政府に売り渡した場合において、当該生産者が受けるその売渡に対する代金の金額が早期供出奨励金、供出完遂奨励金又は超過供出奨励金の金額に相当する金額を含むものであるときは、その代金の金額のうち、当該早期供出奨励金、供出完遂奨励金又は超過供出奨励金の金額に相当する金額は、当該生産者の昭和二十七年分又は昭和二十八年分の所得の計算上、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)第九条第一項に規定する総収入金額に算入しない。
第二項中「政府買入数量の米穀を政府に売り渡した米穀の生産者又は政府買入数量を定められなかつた」を削り、「食糧管理法」の下に「(昭和十七年法律第四十号)」を加える。
こういうのでありまして、これは超過供出の奨励金に対して免税をしようというのに対しまして、早場米の奨励金並びに供出完遂に伴うところの奨励金、これもいずれも所得税法上の所得に算入しない、つまり免税にすることが妥当である。こういう考え方でありますが、早場米は御承知のように日本の端境期における食糧の逼迫を緩和するために、特に早期の供出を農家にお願いをし、そのためには農家は非常な苦労をして出しておるのであります。でありますからして、超過供出奨励金に対して免税の取扱いをする理由と同じように早場米の供出農家に対してもこれをやるのが妥当であろうというのがその理由であります。
又供出完遂の奨励金は、これは供出農家に対しまして政府が特に供出の完遂をお願いし、そうして日本の食糧事情の緩和に役立たせんがために特に設けたところの奨励金でありますからして、これ又所得として考える必要はあるまい。こういうのが修正案を出した理由であります。
なお、これによりますところの減税の政府の減収額がどの程度になるかということは、これは政府当局を招いてお聞き願いたいのでありますが、大体のところを申上げますると、早場米のほうがすでに政府が出しました奨励金は約百十五億であります。この百十五億の中に所得税の対象になる農家はざつと三分の一見当であろう。従つて所得計算上所得に編入されるべき数字は三・十五億見当、これの先ず二〇%見当と見まして、政府の減収になる分は七億見当ではなかろうかというように推定をいたしております。それから供出完遂奨励金のほうは二万四百万石程度でありまして、二十四億でありますが、これがやはり三分の一見当が課税対象になるものと見まして、その数は八億円であります。それの二割見当が減収になるものと見ますれば一億六千万円見当ではなかろうか。それから最後の超過供出のほうは、まだ供出数量が終つておりませんので、どの程度になるかわかりませんが、仮に三百万石見当あるものといたしますれば、その総額が一石当り二千五百円でありまするから七百五十億円、この七百五十億円の所得は殆んど所得税の対象となるべきものと見て差支えないかと思いますので、この分が約十五、六億円はあるのではなかろうかというふうに推定をいたしておる次第であります。
以上を以ちまして修正の理由の説明並びに修正の案文を御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/50
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051・中川以良
○委員長(中川以良君) 御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/51
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052・小林政夫
○小林政夫君 ちよつと政府の説明と数字が違うように思うのですが、泉君から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/52
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053・泉美之松
○説明員(泉美之松君) この臨時特例に関する法律案によりましてどの程度減収になるかということは、今まで課税の実績上、早期供出金或いは供出完遂金という名目でどの程度課税になつているかという統計がございませんので、必ずしも正確でないのでございますが、先ずこの法律が通過することによりまして、早期供出奨励金のほうは二十七年分の所得のほうに響いて参ります。その額は先ほど七億くらいというお話がございましたが、まあ大体私どもの計算では八億二千八百万円くらいであろうと思います。それから供出完遂奨励金と超過供出奨励金のほうは、大部分明年の所得になるわけでありまして、二十七年分の所得には殆んど影響ないわけでありますが、この分は供出完遂奨励金のほうで二億七千六百万円、超過供出奨励金のほうにおきまして十八億円の減収になるものと一計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/53
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054・杉山昌作
○杉山昌作君 今の超過供出奨励金の分という中には、特殊の買取人に売渡すもの、それも入つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/54
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055・泉美之松
○説明員(泉美之松君) 超過供出奨励金のほうは、この法案にありますように、第一項と第二項と両方で自由販売業者に売渡すものを含めておるのでございます。私どもの予想といたしましては、二千八百二十五万石、政府が供出、超過供出及び自由販売によつて獲得するものと計算いたしまして十八億円になるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/55
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056・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/56
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057・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。……格別御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/57
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058・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。昭和二十七年産米穀についての超過供出奨励金等に対する所得税の臨時特例に関する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/58
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059・中川以良
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論の要旨及び表決の結果を報告することにして、あらかじめご承認を願うことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/59
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060・中川以良
○委員長(中川以良君) それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
小宮山常吉 菊川 孝夫
木村禧八郎 大矢半次郎
森八 三一 伊藤 保平
杉山 昌作 木内 四郎
小林 政夫 堀木 鎌三
黒田 英雄
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/60
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061・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは暫時休憩をいたすことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/61
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062・中川以良
○委員長(中川以良君) 休憩いたします。
午後七時三十三分休憩
〔休憩後開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514629X01619521224/62
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