1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年三月十九日(木曜日)
午前十一時十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 菊田 七平君
理事
石村 幸作君
館 哲二君
中田 吉雄君
委員
堀 末治君
宮田 重文君
加賀 操君
小笠原二三男君
曾祢 益君
岩男 仁藏君
国務大臣
国 務 大 臣 本多 市郎君
政府委員
法制局第一部長 高辻 正己君
自治庁次長 鈴木 俊一君
自治庁選挙部長 金丸 三郎君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
法務省刑事局長 岡原 昌男君
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本日の会議に付した事件
○国会議員の選挙等の執行経費の基準
に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出)
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001・菊田七平
○委員長(菊田七平君) それでは只今より委員会を開会いたします。国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/1
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002・中田吉雄
○中田吉雄君 昨日緑風会の館委員が御要請になつたのですが、国警、法務省その他法制局、御出席でしようか、その点伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/2
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003・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 本多国務大臣から今日お話して頂こうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/3
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004・中田吉雄
○中田吉雄君 そうしますと、お述べになるのは、国警やその他と打合せられて、最終的な見解でもう動かすことができんということになるのでしようか、その点を先ずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/4
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005・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 代表して承知しておると思うのです、本多国務大臣のほうで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/5
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006・中田吉雄
○中田吉雄君 では御見解を御披瀝になるまでに、そのことを一つ昨日の経緯もありますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/6
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007・菊田七平
○委員長(菊田七平君) それでは本多国務大臣にその点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/7
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008・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 昨日御質問のありました今回の選挙に衆議院議員の候補者を有しない政党の政治活動の制限ができるかどうかという御質問に対しまして、政府部内で打合せをいたしましてその御意見を本日政府の方針を申上げることになつておりましたのでこの際それを申上げさせて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/8
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009・中田吉雄
○中田吉雄君 そうすると、いずれお述べになる見解は、国警、法務省、法制局等とお打合せで、もう統一したもの、選挙が始まりましても混乱は起らない取締りというふうになつておりますでしようか。ちよつとその点を伺いたい、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/9
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010・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 混乱を生じないように話し合いを付けてございます。ただ一点附加えておきますが、本当の最後的な法律解釈というような問題になりますと、これは又裁判所の意見にもよることでございますので、その点だけは政府で最後的にどうということは申上げることはできませんが、政府部内としての意見というものは統一いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/10
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011・中田吉雄
○中田吉雄君 ではまあ一応承わりますが、なかなかこれは解釈上のなにもあり、印刷物を配つて、それをよく見せさして頂きながら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/11
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012・菊田七平
○委員長(菊田七平君) それでは本多国務大臣から説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/12
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013・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 印刷物を差上げることは今準備中でございますので、でき次第に配付いたしたいと思います。問題の点に関しまして打合せました政府の見解を申上げたいと存じます。
公職選挙法第二百一条の五は、規定上は衆議院議員の総選挙における政党その他の政治団体の政治活動を制限するものでありますが、これは総選挙が単独に行われる場合の規定であり、同時に参議院議員の選挙が行われることを予想したものではないと考えられるのでございます。ところが参議院議員の選挙については適用がないとすれば、衆議院議員の候補者を有する政党その他の政治団体が、その政治活動について制限を受けることと比較考慮して、選挙の理念たる公平等の原則に、反することとなつて来て、極めて不合理な結果を招来することになりますから、衆議院議員の候補者を有せず、専ら参議院議員の候補者を有している政党その他の政治団体といえども、これらの政党その他の政治団体と同一の条件を以て政治活動を行うべしということが条理であり、そのように自粛されることは政治道義上望ましいと考えるのでございます。併しながら若しそのような線を超えて政治活動が行われた場合に、それが本条に違反するものとして処断することができるかと言いますと、やや疑問の存する向きもございますが、違反になるものとは考えておらないのでございます。又衆議院議員の総選挙後若干の期間を置いて、参議院議員の通常選挙が行われるような場合、その期間は政党その他の政治団体の政治活動については法律上何ら規制がないと言わざるを得ない状態になると考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/13
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014・中田吉雄
○中田吉雄君 只今本多大臣の御説明で政府の御見解はわかつたのですが、問題はそういうふうな際に、それとやや独立性を持つている警察等の取締りというようなものが、実際現状で選挙をやります際には非常に大きな問題になりますし、更にそういうことが問題になつた際に、警察当局がどうするかというようなことも問題になるのですが、その関係をお伺いせんと困るのですが、どうなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/14
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015・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) これは国警との意見の調整をいたしておるのでございまして、そういう面から統一的な取締りと申しますか、そういうこともできると思います。又選挙につきましては、それぞれ選挙管理委員会が中心となつて、運動期間中の運動等をすることについて自主的に打合せもせられることでございますので、そうしたことによつて是非同一条件で行われるようにまあ希望いたしておるわけでございまして、その場合これに反して行われた場合に、違反として廼断ずることができるかという点について、これは一部衆議院議員の選挙においてはという意味を、選挙の行われる場合においてはというような意味に解したりする向きもあります。併し我々の見解といたしましては、そういうふうに解釈するのは無理であつて、違反になるものとは考えないと言わざるを得ない、かような見解をとつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/15
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016・中田吉雄
○中田吉雄君 皆さんもお忙しいことと思いますし、私自身も、只今提案になつておる法案の採決を引延ばそうという意図は毛頭ないわけでありますが、非常に混乱を来たすのじやないかと思いますので、大体の御説明で趣旨はわかりましたが、印刷物をもらつてそれをもう一度見せてもらつてやるというような形にして頂いたらと思うのですが、すぐできないものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/16
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017・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 午後にはできるのじやないかと思いますが、ほんの一枚の謄写版刷のものでございますから、意見調整をやる間にいろいろ訂正した点がございますので、それを刷り直しておるだけでございます。その内容は只今私が申上げましたのと全然変らないものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/17
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018・中田吉雄
○中田吉雄君 どうでしよう、皆さんの御賛成を得れば、それができ次第にやつて結論を出して、そうして只今の御提案を問題としてすぐ処理するというふうにしては如何ですか。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/18
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019・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 只今の中田先生の御意見に賛成ですか。ではそういうふうにいたしたいと思います。では午後から開会いたすことにいたします。一時でよろしうございますか。それでは午後一時に開会いたします。
それじや午前中はこれで休憩いたします。
午前十一時二十八分休憩
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午後一時五十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/19
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020・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 休憩前に引続きまして開会いたします。国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案の質疑を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/20
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021・小笠原二三男
○小笠原二三男君 このプリントについて質問してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/21
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022・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/22
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023・小笠原二三男
○小笠原二三男君 今頂いたばかりで、ちよつと眼に触れたのですが、一、二、三の中の二の三行目「やや疑問を存する向もあるが、違反になるものとは考えられないといわざるを得ない。」こういうことで実際各関係当局の取締りなり選挙執行に紛らわしさをもたれてはいかんから、文書で何とかということになつたのじやございませんか。未だに「やや疑問を存する向もあるが、」というようなことでは、これではどうも困ることなんで、ここを抹消して処断することができるかというと違反になるものとは考えられないとなぜ言えない、この「やや疑問を存する向もあるが、」というようなことになると、或る特定の警察はこつちのほうだと解釈する。他の警察当局はこちらだと解釈する、その取締り自体がまちくになる最も根本のところだと私は思いますが如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/23
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024・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 全く御指摘の通りその点が悩みのある点でございます。これは事実その疑問を持つ向もあるのでございます。併し政府の見解としては、これはその違反などということにはならないとお答えせざるを得ないというのが、違反になるという法的な根拠が明確でないというところにあるわけです。併し疑問を持つ向もあるというのは非常に広い範囲内でございまして、最後的には御承知の通り裁判によらなければはつきりはしないわけでございますので、そういうことを残しておりますけれども、政府といたしましては違反にならないものとお答えするほかはない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/24
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025・小笠原二三男
○小笠原二三男君 何人も黙つているのに検察当局の告発により、或いは国民の誰かの告発によつて裁判の問題になるというのならともかく選挙を執行するのは最終的に責任は政府にある、或いは取締りということでも、警察当局についての最終の責任は、しよつ中この責任を負いたい、負いたいと言つていますから、政府に最終的には責任がある。そのほうにおいて少くとも警察の取締り或いは選挙管理委員会における法の一義的な解釈の統一、こういう点から言えば、これは政府の見解で一義的にきまるものだと私は思うのです。それを「やや疑問を存する向もあるが、」ということは、部内において、政府のそれぞれの執行機関において、疑義があるのだというふうに解せざるを得ない、そういうことになれば選挙執行は、或いは取締りは、ばらばらになる。司法機関のほうがいろいろその裁判の判決においてですね、この通りになるかならんかということは、それは司法機関の独立しておる限りそれはそれでいいでしようが、検察から警察から或いは選挙管理委員会からは、最終的にはこれは政府の責任として、広く行政機関の仕事なんですから、その中で「疑問が存する向もあるが、」ということで部内の統一がとれないということでは、これは選挙をやつて行く政党なり、或いは候補者なりはえらい迷惑なわけです。その点において、その部内だけでもどうなのかということを私としてはお伺いしたい。如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/25
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026・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 取締りに当りまする警察との意見の調整は、これは違反にならないものと言わざるを得ないということになつておりますから、直接の御迷惑をかけるようなことは起きないだろうと存じます。更に又その法律の疑義について、政府は最後的な意見を決定することはできないのでございますので、そうした意見もあるのでございますから、それはそういう意味に解釈してやつて頂きたいということでございます。これは政府部内と申しますと、自治庁とか、国警とかというものの間には、違反にならないものと言わざるを得ない、こういうことになつておりますが、更にそれじや違反にならないということを、政府が法の解釈の最後的な意見をはつきり言うことができるかと言いますと、幾分でもそういう疑義がある場合には、政府としては自分の見解では違反にならないと思う、最後的なその見解は裁判によるほかはない、こういうほかはないというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/26
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027・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それならば「違反になるものとは考えられないと言わざるを得ない。」という「と言わざるを得ない」は要らんことで「違反になるものとは考えられない」ここまででもこれはいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/27
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028・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) これは第一項のほうから受けている文章でございまして、是非平等公平な条件でやつて頂きたい。それでも併しそれに反したことをやられた場合にどうするか、誠に残念ながらそうしたときには取締れるものなら同一歩調に持つて行くために取締りたいのであるが、違反にならないものと言わざるを得ない。これはつまり第一項を受けての、誠に残念であるという表現でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/28
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029・小笠原二三男
○小笠原二三男君 本多さんは法律の最後的な解釈を一義的に言うことはできないと、誠に謙虚なお話でしたが、ところが法律以上広汎な問題の、政治道徳上のことは、政府はかれこれといろんな判断を下すんですね。私はおかしいと思う。一の一番お終いのほうは「そのように自粛されることが政治道徳上望ましいと考える。」そんなことは政府として余計なことですよ。それこそが政府としては余計なことだ。政治道徳上とやかくというようなことは、政党としてそれはそれぞれが考えられることで、行政機関である一政府が政治道徳上望ましいとか望ましくないとか、そんな判断をすることなんか余計なことです。聞きようによつては、そんな判断さえもするくらいの政府が、当面の法律を正確に執行しなければならない義務を負つていながら、その法律の執行について、「疑問を存する向もあるが、」「といわざるを得ない。」というような不明確な立場というものをとられる。行政府としては法律の執行を確実にすることを義務付けられておるはずなんだ。その立場に立つての解釈というならば、はつきり政府の見解はこうであると断定して何が行き過ぎであるか、私は行き過ぎだとは思わない。政府部内の意見が統一しているということなら統一している見解がここに出されることこそが望ましいので、余計な政治道徳上のことなどは言う必要はない。先ず義務付けられているほうについて明確な判断を表明すべきであろうと思いますが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/29
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030・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 第一段の「政治道徳上望ましい」ということにつきましては、はつきりした政府としては信念を持つておるのでございます。これは小笠原さんの考えと逆でございまして、選挙というものを考えました場合に、その選挙期間、同一機関の同一候補者、つまり同一議院の候補者が争う選挙については、選挙の本旨から考えましても同じ条件で行われることが最も望ましいという見解は、これは間違いないものと考えておるのであります。然るに今回の問題が起きましたのは、衆議院議員の選挙における制限をしたのが、たまたま参議院議員の選挙と重なり合つて来たというところに問題が起きたのでありまして、全く重なり合う場合を立法当時予想されておりましたならば、適当な選挙を公平に行わしめる措置が行われていたことと存じますけれども、そうした場合の考慮が落ちておつたのではなかろうかと考えられるのでございます。従つて選挙の本旨から考えました場合に、同一条件を以て行われることが望ましいのでございますから、でき得る限りさようにして頂きたい、それに反した場合どうするか、それは誠に残念なことであつて、それが違反であるとは言えないのであつて、違反ではなかろうというほかはないと、こういうまあ苦しい弁明になりますが、事情でございますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/30
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031・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 今日見えています政府側の名を申上げます。国務大臣本多市郎氏、自治庁次長鈴木俊一氏、選挙部長金丸三郎氏、国家地方警察本部刑事部長中川董治氏、法務省刑事局長岡原昌男氏、内閣法制局第一部長高辻正己氏、以上の方々がお見えになつておりますから、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/31
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032・小笠原二三男
○小笠原二三男君 この内閣はいつまで続くものとも限らない不確定な内閣ですから、その主管大臣からぎりぎりのことを聞こうとしたことは、私の方が少し行き過ぎだつたかも知れないけれども、第一項の場合で申しましても、衆議院なら衆議院の選挙の場合に、衆議院の候補者が同一条件で争うということを、参議院はやはり同一条件で争うということを、それがダブつて来たからといつて、条件には変化はないのです、法が厳格に施行さるる限り。ただ取締上紛らわしいというような技術的な問題から、いろいろ問題を起して来ているわけなものを、そこのところは棚上げにして置いていて、どつちかの選挙の同一条件のほうに合致すべきものが政治道徳上正しいのだというようなことは、必ずしも私は賛成できない、それが政府の信念だからこそ、こんな政府はぶつ潰れてしまつたのです。私は法律は厳格に施行さるることを望む、而も又選挙は衆議院、参議院それぞれ同一の条件で行われて来るわけです。参議院なら参議院議員の選挙という状態においては同一条件なんです。だから私はその点についても問題を残しますし、ましてやこの二の問題についても問題を残しますが、従つてこれ以上この文章の訂正はできないという事情も考えられないわけではないので、速記にだけは正しく残しておきたいので、これは選挙管理委員会関係も同じ意向である、それから国警、自治警を通ずる警察関係の選挙取締りにおいても同じ解釈であると了解してよろしいのかもう一度、さつきはそうだと申しましたが、もう一度御答弁を伺つておきたい。それから法務省のほうの関係においてはこの解釈はどうお考えになつておられるのか。この点は別途関係者にお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/32
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033・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 政府の機関でありまする国家地方警察のほうにはこれは打合せもしておりまするし、見解も一致しておりますので、十分連絡ができます。地方自治警察については指揮命令はできませんけれども、十分連絡をして同じ歩調でやつて頂くように努めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/33
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034・岡原昌男
○説明員(岡原昌男君) お尋ねの点でございますが、実はこの点はざつくぱらんに申しまして、解釈上かなり疑義があるということを最初に申上げたいと存じます、と申しますのは、この規定をお読み頂きますとおわかりの通りに、これは御承知の通り衆議院の選挙の特例に関する条文でございまして、参議院の選挙が同時に行われるというようなことはまあ予想しなかつた規定であるのでございます。そこで今回のごとくその運動期間がかなり切迫してダブつたような場合におきましては予想せざる事態が起きて解釈上いろいろな疑義が生じたことも、新聞紙上等で御承知の通りでございます。実は私どもの当初考えました見解といいますのは、この二百一条の五と申しますのは、もともと選挙の際に政治活動が無制限に行われるということになりますると、ともすれば選挙運動そのものと紛らわしい状態においてこれがなされる、結局選挙運動のほうで幾ら取締りの規定を設け、そうして一定のレールに乗つけてやろうと思つても、政治活動という名の下にいわば抜け途が幾らでも考えられるというようなところがこの立法趣旨であるやに聞いておるのでございます。その精神から申しますは政党の政治活動というものはそれ相当の制限を受ける、原則としてできないけれども二十五名以上の立候補者を擁する政党においてはこれができるというような一定の条件においてこれができるということになつておるのでございます。ところで今回のようにこれがダブるということに相成りまするとこれは可なり問題が錯綜して参りまして、当初申上げました通り予想せざる事態になつたわけでございます。そもそも政党或いは政治団体の政治活動というものには、特定の候補者のための政治活動或いは選挙運動、これはちよつと区別ができません。若し特定の候補者に対する応援演説であればこれはもう当然選挙活動そのものであつて、それはたとえ政治団体がやつてみましても選挙運動の実体を具えておる限りにおいては選挙の演説会の制限その他もこの選挙運動の制限に従わなければならん、かようなことになるのじやないだろうか。従つて又特定の候捕者等を予定していないということになりますると、その選挙の際における政治活動というものは参議院のための政治活動、衆議院のための政治活動ということも、これも又ないはずである。まあ理論上でございます。従つて政党の政治活動というものは参議院のためのもの或いは衆議院の選挙のためのものというのではなくて、その期間内において政党の政治活動が或る形で行われるということになつて来るということになるのじやないだろうか。それを更に論理を進めますと、さような政治団体の政治活動が或る選挙の期間内に行われるということで、それだけで、定の制限がずつと被つて来る、衆議院の選挙の期間内にほかのどんな選挙がありましてもやはり同じように被つて来るのではないだろうかというふうな疑問と言いますか解釈をいたしたわけでございます。ところがこれを又別の面から申しますると、やはり或る選挙の際における政治活動というものは特定の選挙を目当とする政治活動だという、まあこれは実質論でございます。その議論が出て参りましてその面から見ますと、参議院の選挙については特例がないのであるからして、参議院の候補者のための、ためのと言つてしまうと少し強くなるのですが、参議院の選挙のための政治活動というものは、本件には二百一条のことは全然関係がないという議論が一つ成立つのではないだろうか。ここの二つの問題でございますが、私ども検討いたしまして、字句上はどうも前説のほうが強いのではないだろうか、ただ実際の運用の面からこれを見ますとこれはいずれの説をとりましても可なり或いは致命的な矛盾をそれぞれ蔵しておるのでございまして、例えば前説をとるといたしますると、もう一切できないということになりますると、衆議院に全然候補者を送らん政党等においてもたまたまその期間がだぶるということで非常な制限を受ける、ところが後説をとりましてそれに一切関係がないということになりますると、逆に今度は例えば衆議院に全然候補者を送らん政党は自由自在に活動ができるけれども、一人でもそこに送つておる政労はもう一人でも、まあ二十五名以上出せば一定の制限の下に活動ができますけれども、一人でも送つておりますともう全然やれなくなる、こういうふうな矛盾が出て参ります。そこでこの二つの見解のいずれがいいかということについて実は私共も悩み抜いておる次第でございまして、根本的にはこの規定の建て方並びにそれが参議院の選挙とダブつた場合の措置等についての考え方等について若干規定上に不備があつたのではないだろうかというふうなことを考えまして、先般の選挙制度の改正の意見を徴せられました際には二百一条の五は削除すべしという意見を私のほうから出したような次第もございまして、さような次第でございまして実は私共も真正面から聞かれますと、弱つてしまう。文字の上からはどうも前説のほうが強いのじやないだろうか、併し実質的な面も見なければいかんし、という非常に困つた状態にあるわけでございます。で、それから先のことをお尋ねだろうと思いますので、それでは取締りの面でどうするのかと、こういうお尋ねになるだろうと思うのでございます。これはまあ我々一番困るところでございますが、およそ法律というものはそれぞれいろいろな疑義が生ずるものでございます。その疑義が大きければ大きいほどその運用等については慎重なるを要するものでございます。本件等につきましてもその運用については実質的には相当慎重なる考慮を払わなければいかんのではないだろうか、今みたいな問題もございますから、そういうふうな態度をとりたいというふうに考えておるのでございまして、その意味におきましては今日配られましたようなことは大体線が似て来るのじやないだろうかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/34
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035・小笠原二三男
○小笠原二三男君 その大体似て来るのじやないだろうかというところが私の聞きたいところなんで、似るということをそれを削除してこれと同一一線になるのかどうか、これは法務省においても的確な解釈をとつて頂きたいと思います。少くとも法務省である限りは政府部内なんです。それで同じ政府部内においてこうして国会の問題になつておるのに、意見の統一がこの文章ほどにでもないということは、誠にまあ遺憾であると言わざるを得ないので、もう一歩進めて御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/35
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036・岡原昌男
○説明員(岡原昌男君) 実はさような相当複雑な問題を伏在しておる条文でございますので、私どもとして実は逃げたわけではございませんが、この取扱い等については自治庁にお任せしようかというふうな話もございました。で、実際に違反ができたらどうするかというふうな問題につきましても、我々最高検ともいろいろ話はいたしてあるのでございます。ただ法律の解釈等につきましてそのいずれをとるのが最もいいかという問題は、これは政府部内の統一的な意見として若し述べろということでございますれば、最も適当な機関としては、内閣法制局が法律顧問的な立場にございますので、第一次の行政的な解釈としてはさようなことになるのであろうかと思いますが、すべての法律についてさようでありますように、さような法律の解釈運用等については、まあまあいろいろ細部の点につきましては問題がある場合もございますが、これはなお今後十分研究して行きたいと思つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/36
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037・小笠原二三男
○小笠原二三男君 研究して行きたい方向は大体似て来る方向になる、こう了解しておいていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/37
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038・岡原昌男
○説明員(岡原昌男君) その点先ほどもちよつと申上げました通り、余り御追究頂きますと私どもも困るのでございますが、といいますのは、どちらの説をとりましても不合理の面が出て来る、この不合理の面をどちらかで割切るというのはこの際如何なものであろうか。結局私どもとしては、最後は、先ほど大臣からもお話がありました通り、裁判の決定に待たなければいかんことだろうと思いますけれども、その運用等についてはその疑義があるということを十分斟酌して行きたい、かような立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/38
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039・中田吉雄
○中田吉雄君 本多長官にお尋ねしますが、「やや疑問を存する向もあるが、」ということを抜いて頂いたらどんなものでしようか。それは例えば政府が戦力の解釈について最終的な決定を発表されております。内閣法制局と打合せて、日本の軍隊が、あれが戦力であるか、憲法の第九条であるかということは、こんな解釈以上に、朝日や毎日の輿論調査を見たつて、あれは軍隊だ、はつきり違憲だという輿論調査が出ている。それにもかかわらず、そういうことについては社会上その他非常に大きな疑問があるが、戦力という解釈になつていない、はつきりと。これは戦力ではない、憲法違反ではないというにかかわらず、ここでは非常に慎重になつているのですが、特に末端に十分に自治庁の趣旨が徹底せずに、やはり警察なんかがいろいろ検挙される、成るほどあとでは不起訴になつたといつても、選挙中は非常に大影響を選挙運動に及ぼすので、いろいろ疑問のような点はあつても、やはり政府の解釈としては違反になるものではないというところを重点をおいて「やや疑問」というようなことは抜いてもらつたらいいと思いますが、これは如何なものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/39
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040・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) 中田委員のお話は御尤もですが、併しこの事情を明らかにするためには、又置いておくことも意味があると思います。(笑声)必ずこの問題については疑問を持つ向もあろうと思います。そうした人が現われた場合、そういう疑問を持つているものであるけれども、政府の見解としては違反にはならないものと言わざるを得ない、かように考えているのだということで、そういう疑問を持つ人が現われた場合に、それでもこういう見解をとつているのだということが明らかになつて又いいのではないかと思います。(「名答弁」と呼ぶ者あり、笑声)これは第一段の通り、何とかして選挙で等しい条件の下に競争して頂きたいという、まあ選挙の本旨から、重点をおいて強調したいという気持もある結果、こういう文章になつて出て、その辺の含みで一つ御理解頂くことが、選挙自体をよくやつて頂く上においてもいいのではないかというふうに考えておりますが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/40
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041・曾禰益
○曾祢益君 只今の政府のお話を聞いておりますと、どうも今法務省のほうのお考え方にやや疑問を存するという点が何だか強いような印象を受けたのでして、まあ本多国務大臣、自治庁の長官とされては、結論が違反になるものとは考えられないと言わざるを得ないという、そつちの意味にかなりウエイトをおいておられるように、どうもちよつと気分的な相違があるように思うのですが、それでまあ第一次的に政府の法律顧問としてのやはり法制局としての意見をもう一通念のために伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/41
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042・中田吉雄
○中田吉雄君 その前に一つ、曾祢さんの質問にお答えして頂く前に、法制局については一言をいたしたいと思います。そういうことを含んで、やはりはつきりして頂きたいと思うのです。私は非常に最高裁判所の態度並びに法制局の最近の法の解釈については、実に多くの疑問を持つものです。法の権威はいずこにあるかと言いたいのですが、それは特に憲法九条と憲法九十三条の解釈について非常に問題がある。例えばアメリカとしましては日本に再軍備させたい、併し憲法九条の規定があるので悩み抜いているのです。そこで昨年の七月、クリスチャン・サイエンス・モニターの報告によると、吉田総理とダレス氏が打合せて、実際の軍隊を作るのだが、再軍備反対の世論も強いし、憲法九条の規定もあるし、自衛力漸増という形で事実上の再軍備をするという話がついたということになつてるのです。ところが最近アメリカ国務省の発表によると、ダレス氏が国会において、国連の決定によつて再軍備し、国連の決定に基いて海外に保安隊を出すことは現行憲法の規定に違反しないという重大な声明をやつてるのです。その切抜きも持つていますし、それから最近の世界の四月号にもはつきり出ている。これは大きな問題です。ところがそれと符号を同じくする解釈が、日本の法制局に出ているのです。はつきりです。政府とされても、やはりこれは現在のは戦力ではないという決定をされている。日付も全部持つていますが、更に昨年の九月八日には法制局の解釈として、保安隊の海外出動も現行憲法の範囲内でできるというような、非常に大きな前進を示した解釈をしておられるわけであります。九十三条にしても、公共団体の首長の公選制廃止が違憲でない、知事のでもそうであります。これは事態が切迫すれば、市町村のだつて違反でないという解釈が、出ないとも限らないのでいろいろ事情があると思いますが、もう少し法の番人として憲法の解釈の用語については熱意を示して毅然たる解釈を一つ示してもらいたいと思うのです。いろいろ法制局とされては苦慮される点があると思うのですが、是非そういうふうに。
それからもう一つは、昨年の選挙法の改正の際に、衆議院についてはあらゆる特例を設け、その際に参議院にも同じ特例を設けようとしたのに、我々が来年のことは参議院のがあるのだからそれは参議院に譲らうということになつてしなかつた。そしてこのたびは参議院にもそれをしなくてはやれないという規定で衆議院ではちやんとそれを修正して特例を適用するようにして来ているのですよ。それが通らなかつた、通らないにもかかわらず、法が命じないにもかかわらず適用しようとすることと、ああいう規定を設けたこと自体にどうにもならん矛盾があると思う。まあいずれにしましても法制局の苦衷はよく察しますが、こういう日本の転換期に一つ我々をして肯繁に値するような、政府に有利、然るに野党には不利なというような解釈にならないように一つお願いしたい、そういう気持ちで一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/42
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043・高辻正己
○政府委員(高辻正己君) 曾祢さんの御質問に関連して更に注文を頂いた上での答弁、或いはお叱りを受けるかも知れませんが、法律の解釈をいたします場合におきましても明文の規定で極めて歴然たるものと、そうでなくあいまいなものといろいろその間には程度の差がございまするが、いろいろ千差万別、又具体的な事実の認定に対してどういうふうに法の適用があるものかというようなことをすべてひつくるめまして、簡単にはつきり割り切れる場合とはつきり割り切れない場合、両方あることは御想像して頂けると思うのであります。ところがこの二百一条の五の規定でございまするが、これは私どもも今日話を承わりまして何遍も繰返しこれを拝見するのでありますが、確かに二つの考え方があるようであります。それのどちらが正しいのかという御質問の要点でございまするが、仮りに一面から考えれば全くさつきの法務省の刑事局長が言われたような一つの言説ができまするしそれから又只今御指摘のような経緯から見まするとこれは又別である。衆議院の選挙についてだけこれは二百一条の二の特例の範囲という規定には「衆議院議員の選挙については、」とございますが、そういう点を非常に強調して読んで参りますると、むしろそつちのほうに分があるというようなことも言えないことはないのでございます。要するに先ほど来しばしば関係御当局からお話が出ておりまするように、いずれもまあ正直に申上げてはつきりした解釈ができにくい一つの法文の形でございますので、いずれの論も一応は出て来る。そこで先ほども法務省の御当局からお話がありましたように、であるからこそ非常に慎重な取扱いをしなければいけない、こう言つているわけでありまして、自治庁の御提出になつた書類にもそのようなふうに出ているように伺つておりますが、正直なところその限度で、これは右であるか或いは左であるかというふうにはつきり申上げたいのですが、遺憾ながらここで結論的なことを申上げることが不可能と、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/43
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044・曾禰益
○曾祢益君 まあ御苦心のほどはよくわかりますし、問題がむずかしいこともよくわかるのですが併し選挙戦はこれは生きた闘いですし、そういうあいまいなことじや困るので慎重を期さなければならない、どういう現象が出て来るか、これはやつてみなければわからないという点もわかるのですけれども、併し現実に違反になるのかならないのかというような問題があいまいなことは最も避けるべき必要があるのじやないか、而もこういうことはあいまいであることが選挙の公正な運営に差支えるようになるのではないか、例えばここに、これはまあ例えばというと申訳ないので、却つて本多国務大臣のお話によると、少くともこれは政府の統一した見解であるということを言つておられるが、この見解である限りは違反にはならないということでそれぞれの政党なんかが選挙戦に突入し、それで差支えないと伺つておいていいのか、それともそこにやはり疑問を存する向もあるから、そこまでははつきり青信号でなくて途中で赤信号に変るかも知れないというのか、はつきりした、一つ政治的な現段階における信号をはつきりつけておいてもらいたいと思うのですがね、その点は統一した見解をもう一遍改めてお示し願えるのだつたら是非お示し願いたい。この点はどうですか、これはやつぱり本多さんにお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/44
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045・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) これはそうした議論が立ち得る向きもあるのですから、なかなかこの見解を統一して急速にお示しするということはむずかしいのではないかと考えられます。政府のとつておりまする見解は道義上そうしてもらいたいという、そのそうしてもらいたいことを実現する方法としては、地方の選挙管理委員会等が中心となつて、候補者会議等でそれぞれ具体的な選挙運動についての申合せ等もございますからそうしたところでこれは守つて頂けるように申合せなどで、できることと考えておりますが、それを破つたときにどうなるかという問題でありまして、これは選挙道徳の上からは誠に残念なことですけれどもはつきりそういう時分には違反であるという法律上の根拠を持たない以上違反にはならないと考えると申上げるほかはない、こういうことになつているわけでございます。はつきり議論のあるものを法制局で研究してもらつたといたしましてもこれははつきり疑問の余地なくこうでありますということを言い切ることはなかなか短時日を以て結論を出すことは問題じやないかと思いますので選挙の実行面におきましては今申上げた候補者会議等によつて重なる期間中はどう、重ならない期間中はどうというふうにやつて頂くように、こつちからも連絡したいと思つておりますので、そういうふうにやることを御了承願うほか、結論的には右左を申上げることは今むずかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/45
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046・曾禰益
○曾祢益君 非常に素人的な疑点で恐縮ですが、或る政治団体、特に政党の友誼団体等が衆議院に一人でも候補者をもつているような場合には、参議院の選挙だから二百一条の五に仮りに無関係だ、道徳問題は別としてですよ、やつても、それはもうやつていけない一人でも出している場合は。一人で出していない場合には今の問題になつているあいまいなことがある。その点は明確なんですか。つまり或る団体が両方に候補者を出している場合は、これは完全に二百一条の五の制限をフルに受ける。その点は全然疑点の余地はないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/46
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047・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) この場合についても、最前法務府の政府委員から説明がありましたが、同一の政党が参議院の選挙運動と衆議院の選挙運動を全くこれを無関係のものとして両方やり得ることができるかどうかということに結局なるわけでありますが、この場合は、政府の見解としては、これは衆議院に候補者を出して運動する以上、それは参議院のみの選挙運動であるというようなことはなかなかこれは判別がつかないことでございますから、制限を、そうした場合は一人でも出しておれば受けるものであるという見解をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/47
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048・中田吉雄
○中田吉雄君 本多長官にお願いしますが、やはりやや疑点を存する向もあるから抜いてもらいたいのです。それは本多大臣はそう言われますけれども、戦力の規定で、あれほど問題があるのに政府は割切つておられる。それに比べるとできないことはないと思うのです。法制局にしても、例えば私のもつているこのジュリストの二月一日号を見ると、法制局の第一部長の高辻さんは、アメリカの戦力の解釈と同じ解釈をしておられる。アメリカのアイク大統領の最終的な見解は、国連の決定に基く日本の再軍備、国連の決定に基く地域的な集団安全保障として海外に出ることは現行憲法に違反してないという解釈をしているのです。ところが私これを読んでみると、それと殆んど符合を一にした解釈をしている。戦争の規定を侵略戦争と制裁戦争に分けてそういう侵略をやつたものを制裁する戦争に対しては海外に出兵しても現行憲法に違反してないというような割切つた法制局は解釈をしておられるのです。なぜそれでできないかということが私は非常に問題だと思うのです。それはアメリカのアイクの解釈と殆んど符合を一にしておられる。戦力の規定について多くの疑問があるが、現行の保安隊なり警察予備隊は戦力でないという解釈をしておられるなら本多長官の言われることもいいのですが、そのほうは抜いておいて、これだけはなかなか用心深いというのか、どうも主義が一貫しませんし、法制局におかれても将来はもう少し便利屋というような感じを受けんような解釈を一つしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/48
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049・高辻正己
○政府委員(高辻正己君) 今の問題も先ほど御指摘になりました点と只今の点で両方に出て参りましたので、これは本日の会議の主題ではないと思いますが、保安隊予備隊を朝鮮に派遣しても憲法に違反しないということは今まで政府筋でそういう意見はなかつたんじやないかと思います。或いはこちらの間違いかも知れませんが、若しございましたら御指摘を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/49
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050・菊田七平
○委員長(菊田七平君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/50
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051・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/51
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052・館哲二
○館哲二君 今聞いておりましても非常にあいまいな点が多々あるのですが、政府部内の見解としては違反でないということにまあ一致されておるということであります。そうしますとこれが一つ全部に徹底するように十分な手配をして頂きたいと思いますが、その点一つ十分な御努力を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/52
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053・本多市郎
○国務大臣(本多市郎君) これは前段に述べております通り同一条件でやつて頂きたいというのが政府の希望でございますので、それに反しても違反にはなりませんというのを余り強調するわけには参りませんけれども、そういうことで了解して頂くように努めたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/53
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054・館哲二
○館哲二君 大変時間をとりまして相済みませんが、政治団体の政治活動の問題について関連しまして一、二疑問の点がありますから、この機会に伺わせて頂きたいと思います。政治団体が新聞折込みで出したものはこれは制限は無論ない、これは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/54
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055・金丸三郎
○政府委員(金丸三郎君) 制限ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/55
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056・館哲二
○館哲二君 もう一つ、飛行機を使いますことにつきまして、これも無論制限はないと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/56
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057・金丸三郎
○政府委員(金丸三郎君) 飛行機については何ら制限の規定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/57
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058・館哲二
○館哲二君 個人が飛行機を使いました場合、費用の加算になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/58
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059・金丸三郎
○政府委員(金丸三郎君) 選挙運動の費用に加算いたされます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/59
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060・館哲二
○館哲二君 それから政治団体が飛行機の上からビラを撒きます、これは差支えないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/60
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061・金丸三郎
○政府委員(金丸三郎君) 差支えございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/61
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062・館哲二
○館哲二君 もう一つ、政令や自治庁令に譲つております選挙費用その他の問題ですね、これは御変更になる何かあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/62
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063・金丸三郎
○政府委員(金丸三郎君) 今回は変更いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/63
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064・中田吉雄
○中田吉雄君 ヘリコプターなんかも飛行機と同じことになつておりますか。実は全国区で出られる大新聞社の社長も、予告してヘリコプターで鳥取県のほうへ来るからよろしく頼む、それもないのですね、飛行機と同じことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/64
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065・金丸三郎
○政府委員(金丸三郎君) ちよつとお伺いいたしますけれども、特別にヘリコプターをそちらのほうへ向けて使おうというような場合でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/65
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066・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 借上げるのかどうか、普通の日航の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/66
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067・中田吉雄
○中田吉雄君 特別借上げです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/67
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068・金丸三郎
○政府委員(金丸三郎君) そういう場合には選挙運動の費用の中に入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/68
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069・館哲二
○館哲二君 先ほどお伺いしました自治庁の告示が変更されぬというお話でありますが、この運動の従事者、労務者の実費弁償についても御変更にならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/69
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070・金丸三郎
○政府委員(金丸三郎君) 総額はこの前の改正案では衆参両院共若干基準額が引上げられる予定になつておりましたけれども改正案が成立いたしませんでしたので、総額においては引上げないようにいたしました。ただこの前の選挙法の改正の委員会におきまして実際問題として弁当代とか、労務者の費用が現行の基準では低過ぎるので、買収等に問われたりして非常に困るからという御意見もございましたこととそれから従来の基準額で労務者に支出できるような最高基準の基準額は、労働省の告示によりまして昨年の十二月に引上げられております。そういう事情を勘案いたしまして若干引上げております。例えば弁当代は工賃四十円でございましたものを三百円にいたしました。そのほうが総額には変りございませんけれども現実に選挙運動をなさいます場合には却つて便宜ではなかろうかと考えましてそのようにいたして十八日の中央選挙管理委員会におきまして全国区の分は決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/70
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071・中田吉雄
○中田吉雄君 日曜日ですね、衆議院の投票日は。日曜日は投票率を高めるというようなこれまでの関係で、どういうふうな影響を及ぼすものか、特に日曜をお選びになつた理由並びにそういうことはどういうそれぞれの影響を及ぼすかというこれまでの大量観察の結果がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/71
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072・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 日曜日がどういう実際上の影響を及ぼすかということの判定はなかなかむずかしいと思うのでありますがまあ一つには、都市地帯、農村地帯等で若干問題が違うと思います。農村地帯におきましては、日曜日であると普通のいわゆる週間の日であるのとは余り違いはないのではないかと思いますけれども、いわゆるサラリーマン、或いはさような日曜を休みにしておりまするような場合におきましては、却つて、いわゆる生産力を落さないというような点から申しましても、日曜のほうがよろしいのではないかというふうに考えるのであります。これは特に日曜を選ぶ理由としていろいろ考られると思いますけれども、従来もさような例が多かつたのでございますし、今回もさようなことにいたしたらどうかというふうに事務的に考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/72
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073・中田吉雄
○中田吉雄君 偶然の一致ですか。まあ都市なんか花見時ではあるし、組織労働者なんか棄権も多いのではないかというような意味もないと思いますが、偶然の一致ですか。はつきり生産力の低下というようなことをお考えになつてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/73
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074・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) まあ従来から、さような工場等の生産に支障を来さないように、或いは学校の授業等にも支障を来さないように、官庁の事務能率にも影響を及ぼさないようにということを考えまして、やはり選挙民には若干の負担になりますけれども、まあ日曜のほうが国家全体の上から言つていいのではないかという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/74
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075・菊田七平
○委員長(菊田七平君) それでは「公職選挙法第二百一条の五の規定の解釈について」これは速記に入れておいてもらいましようか、如何ですか。それでは速記に入れておきます。
別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/75
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076・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、討論中にお述べを願います。
他に御発言もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/76
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077・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/77
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078・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 全会一致を以つて原案通り決定いたしました。
なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/78
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079・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 御異議ないと認めます。
本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を付することになつておりまするから、本法案を可とせられるかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
石村 幸作 曾祢 益
堀 末治 宮田 重文
館 哲二 加賀 操
岩男 仁藏 中田 吉雄発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/79
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080・菊田七平
○委員長(菊田七平君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れはないと認めます。これを以て散会いたします。
午後二時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514720X00219530319/80
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