1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十日(水曜日)
午後二時二十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 竹下 豐次君
理事
上原 正吉君
横尾 龍君
松原 一彦君
委員
河井 彌八君
中川 幸平君
成瀬 幡治君
上條 愛一君
栗栖 赳夫君
政府委員
外務政務次官 中村 幸八君
外務省欧米局長 土屋 隼君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○外務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/0
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001・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 只今から内閣委員会を開会いたします。
中川幸平君及び成瀬幡治君から理事の辞任願いが出ておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/1
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002・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 異議なしと認めます。御異議がございませんでしたが、本委員会の理事の数は三名でありますのに只今全部欠員となりましたので、理事の補欠互選をいたしたいと思います。ちよつと言い落しましたが、鈴木直人君が参議院をおやめになりましたので、持つておられた理事の資格が自然と消滅したわけであります。三人とも欠員に相成りました。
理事の補欠選挙をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/2
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003・中川幸平
○中川幸平君 理事の補欠選挙は選挙手続を省略して委員長において指名せられたいとの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/3
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004・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/4
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005・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 異議ないと認めます。
それでは横尾龍君、上原正吉君、松原一彦君を理事に指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/5
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006・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 異議なしと認めます
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/6
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007・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 本日の議事日程の第一に日本国憲法第八条の規定による議決案が掲げてございますが、これは先ほど開会前に御懇談申しましたような事情によりまして、本日はこの審議を差控えまして後日適当な機会に延ばしたいと思います。御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/7
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008・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 異議なしと認めます。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/8
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009・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) 次に外務省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。これは予備審査であります。外務省の欧米局長土屋隼君が御出席になつております。外務政務次官の中村幸八君もお見えになつております。政務次官から本案の内容及び提案の理由の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/9
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010・中村幸八
○政府委員(中村幸八君) それでは只今議題となつておりまする外務省設置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
海外移住に関する行政事務は、外務省所管事項として外務省設置法に明記しているところでありますが、海外移住者は漸次増加の傾向にあり、現に二、三の関係諸国においては、日本移民誘致について具体的な計画を進めつつあります。この際我が国としては、優秀な移民をますます多く且つ円滑に送り出すよう努めなければなりません。このため、移民に必要な教養を与え及びその渡航手続を斡旋する機関として、神戸移住斡旋所を設置し、これを運営する必要があるわけであります。
以上が外務省設置法の一部を改正する法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御採択あらんことをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/10
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011・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 この前に外務省設置法案の審議のときに、移民とかその他について欧米のほうへ持つて行くか、アジアのほうへ持つて行くかという問題が出ましたときに、暫定的に欧米のほうへくつつけておこうと、こういうことになつたのでございますが、ここにこの問題もございますので、或いは暫定、取りあえずということであつたかと思いますが、外務省としてどういうお考えを持つておられるか。この審議に入るに先立つてちよつとお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/11
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012・土屋隼
○政府委員(土屋隼君) 暫定的にこの海外移住の問題につきましては、欧米局の第二課、ここは中南米を主として所管している課でございます。そこに、海外移住の問題は従来所管をして参りまして、今後単に中南米関係でなく東南アジア方面にも海外移住者がたくさん出て行きますというような時期が参りましたら、この問題は外務省といたしましては、単に中南米関係の仕事をしているところに実質的に便利であるから持つて行つたという従来の行き方は考え直さなければならないところだと考えます。一応海外移住の問題も徐々に本筋に乗つて参りますので、アジア方面に出るということになりますと、恐らく移民課というものを特設いたしましてこれを東南アジア地方に主力を置くか、中南米地方に主力を置くか両者に跨がる問題でありますので、場合によつては外務省の官房事務として官房に持つて行きたいというように、この問題を考えて見たいと思いますのですが、今のところアジア方面には現実に海外移住の問題がまだ出て参りませんし、東南アジア方面地方との国交関係もまだすぐというわけには参りませんので、差当りは依然として中南米関係を取扱つております欧米局の第二課に主管させておきたいと思つております。行くいくの問題は勿論アジア方面の問題が出て来ました際又御審議を頂いた上で別途考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/12
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013・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 神戸に特に置かれるということの趣意は、やはりそういうこの中南米のほうの関係からも置くという趣意であるか、或いはアジア方面を予想して置かれるという趣意ですか。どつちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/13
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014・土屋隼
○政府委員(土屋隼君) 神戸は大阪商船その他海外中南米関係に対して海外移住をしております船の出場所でありますので、神戸に従来神戸移住教養所というものが昭和七年以来あつたわけです。その建物を受継ぎました関係もあり、しばしば船があそこから出でます関係でここに置いてございますが、行く行くは東南アジア方面に移住民がたくさん出るということになりまして、どこかほかの所に仮に創設する必要があれば勿論そうしなければならないと思います。ただ今宙に考えまして恐らく今後とも神戸から出るということは各方面から見て一番便宜ではないか、つまり日本全国から集まる移住民でありますので成るべく船着のいい、集まり場所のいい場所がどうかと考えますので、この点は今後とも、神戸ということを適当に今のところ考えております。ただ将来の問題につきましては勿論そのときにいい所を考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/14
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015・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 移住斡旋ということは非常に私は結構だと思いますが、具体的方法或いはどういうような予備交渉があるのか。若しおわかりであればお話頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/15
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016・土屋隼
○政府委員(土屋隼君) この移住につきましては、終戦後私ども成るべく早い機会に海外移住をしたいということを考えまして、目的はいろいろありますが、日本の人口を解決するという意味から見てみますと、中南米方面の移民の点その他から見て人口問題の解決に直接に役立つというふうには今のところ考えておられないと思います。ただ終戦後四つの島に閉じ込められまして国民としても何となく海外移住というものが自由に行かないということから国民の士気にも沮喪を来たします関係もありますので、この意味から海外移住というものが、少くとも一日も早く出したいという考えを外務省としては持つて来たわけであります。その見地から具体的にブラジル政府、アルゼンチン政府と特に交渉を重ねて来ました。その間現地に関係のあります民間の有志、例えば上塚さんだとか松原さんだとか、上塚さんはアマゾンの移民関係で約五千家族を昨年の十月にブラジル政府の許可を得たわけであります。一方松原さんはブラジルに長く移住されて四千家族の農業移民計画を同じくブラジル政府から許可を取られた。そこで我々といたしましては一日も早く出したいと思つていろいろ現実に方法を考えて見ましたが、船賃の問題、又現地の受入態勢、こういう問題もありまして、遺憾ながら本年は本格的に送出の段階にまでまだ達しておりませんという断定を下しましたので、本格的送出は来年度から実施することになると思います。今のところ上塚さんのアマゾン関係で大体来年度送出できると予想いたしておりますのが三百七十家族になります。五人家族にいたしまして、三百七十に五を掛けたものが送出数となる。又松原さんの関係につきましては大体二百家族になります。これも五を掛けますから大体千人くらい、総合いたしまして中南米関係が大体年間内輪に見積つて二、三千程度が今のところ差当りの数字ではないかというように考えております。ただ戦前のように移民という恰好で出て来た人を何でも送るということはその後の事態、実情等に鑑みまして相手国にも迷惑を及ぼしまして日本人社会にも必ずしも好ましくない関係もありますので、今後の海外移住につきましてはそういう点を十分考慮に入れまして、現地に行つて勿論生活ができるということが第一条件であります。同時に、行つた相手国に対して日本人として立派に貢献し得る、経済的にも或いは文化的にも貢献し得るというような人を送りたいというので、この点につきましては今後十分慎重に考慮を加えて行きたいと考えております。又それ以外にも例えばパラグワイの農業移民計画約百二十家族がございますが、これもパラグワイ政府から正式の許可を得ておるというのが現状であります。で、この各国政府との交渉は今後ますます活溌になつて行くと思いますので、中南米方面の海外移住につきましては明るい見通しが全体としてついておると考えております。
で、海外移住の人に対してどういう措置若しくは教養をしているかということにつきましては、まあお発ちになるかたが皆さん非常にお急ぎになるかたが多いし、政府としましても余りに長い間教養その他においてとめておくことも事情忍びない点もありますので、最も必要なるものは、即ち現地の事情をわからせる、又渡航先で迷惑をこうむらないようにするということで、言葉、宗教、風俗その他につきまして、一般的の知識でございますが、これを一応与えておくということが一つ、それからもう一つはいわゆる身体的な条件だとか、或いはその家族の条件だとかいうものにつきまして、後顧の憂いがないように、病気の者は病気を治し、又身体の弱い者については注意を与える、又渡航の者につきましては不慣れの者もありまして、旅券、査証の取付け等のいろいろの点について当人としては自分ではなかなかできないという点もありますので、私どものほうで全部これを引受けまして、旅券の発行、査証、そのほか相手国との交渉ということも引受けております。そうして無事にこの人たちが相手国に入国しまして、その上で新らしい土地に行くのでありますから、誰か先達者が面倒を見て上げなければいけませんので、引受けるほうにしましても邦人の中ですでにその土地に移住している人たちが、新らしく行つた海外移民たちに温い手を差延べて引受けて、二年なり、三年なり共同作業をして、その結果一本立ちになつて初めて実際上の海外移民としての独立を見るという仕組であります。
大体今のところ簡単でございますが、そういう何と申しますか、心がまえから私どもはこの神戸斡旋所を教養所と申しますか、出発前の短い期間でございますが、その間にできるだけのことをしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/16
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017・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 斡旋については或いは政府が奨励金を与えるとか、そういうようなことも考えるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/17
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018・土屋隼
○政府委員(土屋隼君) 本来から申しますと、海外移住のかたが自力でお出になつて、そうして向うに行つても多少の余力を持つて、資力を持つておいでになるということが望ましいのでありますが、今の日本の現状、それから国民経済の実情から見て、これは到底望み得ないと思います。そこで私どもといたしましては、最小限度相手国のほうからできるだけの便宜を供与してもらう、即ち相手国の港に着きまして、実際上農業に従事いたします所に行くまでの旅費を貸付けてもらうということを、行つた上で労働費を貸付けてもらうということを交渉して、これはやや明るい見通しをつけております。従つて残る問題は日本からその土地に行くまでの船賃というもの、これも馬鹿にできませんで、大体今概算では十四、五万円かかるのであります。この十四、五万円のものを当人が負担してくれればいいのですが、なかなか田舎のかたが田地田畑を売り払つたところで、五人家族のものが、それだけのものを整えるということは困難であります。それで差当り本年度十二月に出ます五十四人と、それから来年度に出ます者については、予算的措置を議会にもお願いしまして、これを貸付の形で長期に貸付けて、自分たちが独立したあとで、これを一定の利子なり何なりを付けて返して頂くということで、先ず最初の海外移住者を出したい、こういうふうに考えております。予算的措置も別途議会の御承認を頂きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/18
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019・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 では最後に予算的措置に入るわけですが、それは今度のこの臨時議会で通ります補正予算の中に含れておりますかどうか。含れておる場合にはどのくらいの数字であるかということをお示しを願いたいと思います。
なお一つこれを、斡旋所を神戸にお設けになるわけですが、これの予算的措置はもうなつておるかということを一つ併せて御質問申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/19
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020・土屋隼
○政府委員(土屋隼君) 前後いたしますが、神戸の移住斡旋所のほうから先に申上げておきたいと思います。この神戸の斡旋所のほうは大分長い間から私ども大蔵省その他に折衝をいたしましていたのですが、どうも予算的措置がなかなかうまく行きません関係上、これは臨時に大蔵省のほうから予備金支出をお願いいたしまして、差当りの復旧費、それから来年三月までの経営費及び事務費というものを一応見積つて頂いております。一方来年度までに出ます移民、今年の十二月の二十七日に第一回の計画移民といたしまして五十四人が出ますことは、先ほどちよつと申上げましたが、それに対する船賃の貸付金額といたしまして、七百八十七万三千二百円というものを、今支出方を議会にお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/20
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021・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 今の議会にお願いしておると、今度の補正予算の中に含れておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/21
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022・土屋隼
○政府委員(土屋隼君) そうでございます。補正予算の中に含れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/22
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023・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) ほかに御質問ございませんか。
別に御質問もないようでありますし、これは予備審査でありまするから、なお御質問のあるかたはこの次の機会にお願いすることにしまして、本日はこの程度にとめたいと思います。御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/23
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024・竹下豐次
○委員長(竹下豐次君) それでは本日はこれで散会いたします。
午後二時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514889X00319521210/24
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