1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月八日(月曜日)
午後一時五十七分開会
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出席事は左の通り。
委員長 山崎 恒君
理事
瀧井治三郎君
三橋八次郎君
東 隆君
委員
西山 龜七君
宮本 邦彦君
藤野 繁雄君
羽生 三七君
岩崎正三郎君
小林 亦治君
衆議院議員
中馬 辰猪君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
説明員
農林省農地局建
設部災害復旧課
長 堀 直治君
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本日の会議に付した事件
○農林水産業施設災害復旧事業費国庫
補助の暫定措置に関する法律の一部
を改正する法律案(衆議院送付)
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001・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 只今から農林委員会を開会いたします。
本日は国鉄貨物等級改訂の件及び農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を予定したのでありますが、国鉄貨物等級改訂の件につきましては、都合によりこれを延期することにいたしましたので、只今から農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案の審議に入ることといたします。
先ず提案者及び農林当局から法律案の内容、関連事項及び配付資料等について説明を求めることにいたしたいと思います。衆議院の提案者代表の中馬代議士であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/1
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002・中馬辰猪
○衆議院議員(中馬辰猪君) 実は前国会におきましてこの法律案の提出を予定いたしまして、各党各派挙げて御賛成が願えておつたのであります。たまたま抜打ち解散によりまして、この法律案が日の目を見ることができなくなりましたので、改めて今国会におきまして提出をいたした次第でございます。提案の理由につきましては、すでに先般の当委員会におきまして御説明を申上げましたが、改正の第一の要点は、いわゆる超過事業というものの観念を、これは災害復旧におきましては非常に聞違つた観念であるから、この超過事業という観念を抜き去りまして、原形復旧等超過工事というものに対しましてはすべて六割五分の国庫補助をいたしたい。前の国会において、この法の改正以前において、例のルーース台風がございまして地元の負担というものが非常に過重でございますからして、これを何とか高額を補助しなければいかんというので、例のスライド式の高額補助というものの一部改正案が通過いたしたのでございますが、当時におきましても原形復旧と超過工事という二つの概念がございまして、原形復旧に関しましては、例の高額補助制度が制定せられましたが、超過工事に関しましては、依然として五割の補助金ということに相成つております。これではとても農民諸君が災害復旧に関しまして非常な負担と相成りまするので、この原形復旧と超過工事、二つの観念というものを一緒にいたしまして、両方に六割五分の補助をいたしたいということが第一点でございます。
第二点は御承知の通り今まで一箇所の工事の費用が十五万円以上のものが補助の対象と相成つておりましたけれども、これを改正いたしまして一箇所の工事の費用を十万円以上ということにいたしたのであります。これによつて今まで補助を受けることのできなかつたいわゆる小規模の災害復旧というものが非常な恩典に浴するわけであつて、二つともに全国農民、町村或いは府県市町村においても非常に熱望いたしておつた改正案でございます。どうか皆さんがたの満場の御賛成をお願い申上げたいと思います。
なお予算その他につきましては御質問に応じてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/2
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003・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 農林省の農地局建設部災害復旧課長の堀さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/3
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004・堀直治
○説明員(堀直治君) 御説明申上げたいと思います。この法案は只今提案者のほうから御説明がありましたように本年度から施行いたしたいというので、適用の第一項に二十七年度一月一日以降の災害に適用するというふうに書いてございます。これは十五万円を十万円に切下げますのは一々現地の査定或いは富真等による机上査定を一地区、一地区やる必要がございまして、過年度に遡りましたものはそういうことを事実上やることが困難であるというために本年度から施行するということにいたしてあるわけであります。本年度と申しましても融雪災害、十勝震災等ございますが、大体本年度からはこういつたような方向で進みたいという希望がございましたので、一応各地区とも調書をとりまして十万円以上十五万円未満のものについて調べてございますので、この法案が通りますれば直ちに事業の査定をいたしまして、査定額で大藏省のほうに予算の要求ができるという段取になつております、そういう関係で本年度からにいたしてあるわけでございます。
その次の超過工事を本年二十七年の三月三十一日以降の分にだけ適用いたしますのは、すでに補助金を出してしまいましたものにつきましてはなかなかこれをもう一度取上げましてやり直しをするということが事実困難でもあり、又そういうふうに補助金を先に出しましたものはそれだけの事業を早くやつたとか或いは金融のほうも返済ができたとかいうような利益も受けてあることでもございますので、これも書類の手続上本年度以降に残つたものだけについて補助金を出したいということになつておるわけでございます。それでこの改正によりましてどの程度予算が増額いたしますかということにつきましてはお手許に差上げました表の「農林水産業施設災害と公共土木施設災害との比較」の、その次の「本法律改正に伴う国庫補助金要増加経費」、この欄に大体載せておきましたが、十万円から十五万円までのものにおきまして、農地の関係におきましては五億三千十七万一千円、それから林道の関係におきましては八千二百二十二万三千円、漁港はこれは一個所が割合に大きいものでございますからありません。只今のところ合計いたしまして六億一千二百三十九万四千円に本年度の災害において増額になるという見込みでございます。これは本年度災害が約百四、五十億になつておりますので、利子といたしましては金額的には五%程度になるというふうに考えております。
それから第二点の超過工事を廃止いたしまして、例えば公共施設におきましては全部六割五分の補助率を適用する、従つて前の現行の法律におきましては五割でございますから一割五分の補助金が上るわけでございますが、こういう改正に伴います金額は二十六年度までの工事について二十六年度までに起りました災害について調べましたところ、農地が六億六千八百三十九万四千円、林道が五千六百七十万九千円、漁港が一千二百六十九万一千円、合計七億三千七百七十九万四千円ということになつております。なおこういつた十万円から十五万円に増額すること並びに超過工事を廃止することによりまして高率補助の適用が変つて参るわけでございます。これは二十六年度以降の災害だけでございますけれども、この適用は変りまして今まで補助の適用を受けなかつたところが一部受けられるようになるということが一つと、もう一つは補助率は多少増嵩いたします。その関係で農地におきましては三億三千八百七十七万五千円、林道におきましては二百二十一万九千円、合計三億四千九十九万四千円の増額になるということになつております。
なおここに表に現われておりませんけれども、二十七年度の災害におきましてもやはり同じく超過工事の廃止によりまして、補助金が増額いたしますが、これは目下調査中でございまして、今のところ約農地、林道合せまして五億程度増額になるというふうに計算されております。それで予算的にはこの法案が幸い通過いたしますと、本年度の災害につきましては只今補正予算で二十億の増加要求をいたしておりますので、この二十億の増加要求の中に一緒に当嵌めることが可能となります。従いまして十万円から十五万円の増額につきましては、今後大蔵省と折衝いたしまして、補助金が出して頂けるということになつております。なお超過工事の分につきましては、只今のところ高率補助の一部、三億四千万ちよつとのものが補正予算で要求してございますけれども、これにはこの法律改正に伴う分が入つておりません。従いまして事実間に合いませんものでございますから、二十八年度以降においてこれを要求するということにいたしたいと考えております。
簡単でございますが、以上を以て説明を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/4
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005・山崎恒
○委員長(山崎恒君) では質疑に入りまする発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/5
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006・岩崎正三郎
○岩崎正三郎君 この十五万円を十万円に引下げたということについて、これは七万円くらいがよかろうというような意見もあつたように聞いておりますが、十万円にしたいという根拠、それを承わりたい。それからこれは建設関係のことであるかと思うのですが、こういう小さい災害における災害復旧については、箇所の距離によつて五十メートルとか百メートルとか、そういうことによつて何か制約を受けているようですが、この方面にはそういうことは全然ないわけですか。その二点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/6
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007・中馬辰猪
○衆議院議員(中馬辰猪君) この法が制定されたのは二十五年ですね。あの当時の十五万円は今の物価に換算して大体十二万円程度だと思います。二割上つたといたしましても二割差引きますから……、従つて十万円といいましてもやはり七万円程度になるのじやないかと思います。これが第一点であります。第二点は堀さんからお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/7
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008・堀直治
○説明員(堀直治君) 第二点につきましてはこの農林水産業施設の災害補助法におきましても、やはり一件については箇所別に規定がございます。それは本案の第二条の七項に規定してございまして、こういうものにつきましては、一箇所五十メートル以内の間隔で連続しておるものは一つの工事とみなす、或いは又災害にかかつた箇所が五十メートルを超えておるもの又は二つ以上の施設に亘る工事でこれを切離して工事を施行することが当該施設の効用上困難又は不適当なものは一箇所の工事とみなす、こういうことが規定してございまして、土木の災害と殆んど同様な取扱を実はしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/8
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009・岩崎正三郎
○岩崎正三郎君 了解しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/9
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010・三橋八次郎
○三橋八次郎君 この十五万円から十万円に引下げるということによりまして、全国的に工事箇所数がどういうふうな変化になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/10
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011・堀直治
○説明員(堀直治君) 実は只今その箇所数を調べた表を持合せておりませんので、正確な数字は後ほど調べて御提出申上げたいと思いますが、大約十万円から十五万円のものは工事費に直しまして、この経費が九億円程度、五億三千万円が約九億円程度だつたと思つております。それで一箇所当りの平均が十二万円程度になりますので、約九千近くの地区数になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/11
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012・東隆
○東隆君 土木の災害復旧の補助の関係では、たしか北海道の八割くらいの例があると思います。それから特別の震災関係その他によつて八割以上或いは農林漁業施設なんかが南海震災などでそういう例がありますが、この際この超過事業関係を全部除いてしまいますと、災害関係では北海道は全国と一律になつてしまうわけですね。この関係から行くと……。そうだといたしますと、非常に北海道の場合には困難が起きて来ると思います。というのは一戸当りの経営面積が非常に大きいものですから、災害にぶつかつた場合に数カ所十万円以下とゆうものが起きて来る場合がある、又十万円以上のものがが一戸の農家の中に出て来たりする、こういうことがたくさん出て来るわけです。それは五反や六反くらい持つておるところや、或いは府県の場合に、一カ所でいつても隣り近所と一緒に災害を受けた場合に、そういう場合に全然趣きが違う、そういうような場合には非常に一戸当りの負担が実は非常な額になる、こう思いますが、それを救済するために私は土木関係と同じように、北海道関係についても補助率を超過事業の関係を除いたといたしまするならば、一般の場合に当然考うべきじやないか、こう思いますが、そのようなことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/12
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013・中馬辰猪
○衆議院議員(中馬辰猪君) 詳しいことは堀さんから御説明があると思います。ただ前回に改正をして例の高額補助を適用した場合においては農家の戸数に農地の八万円というのですか、八万円掛ける農家戸数というので、実は一戸当りの耕地面積が広いところのほうが高い補助が出ることに相成つております。実は私ども鹿児島県におきましては非常に耕地面積が農家当り三反、五反で狭いものですから、従つて高額補助が来ないというので実は問題になつたのですけれども、この点は我慢してもらつて、一戸当り耕地面積の広いところのほうが高額補助が適用されるということで、実は貧農の多いところが却つて補助が少いという逆の結果になるというので、随分この点は問題になつたところでございます。あとの十万円の問題については堀さんのほうからお答えがあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/13
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014・東隆
○東隆君 今の問題は補助の額の問題でなくて、率の問題を私はお聞きしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/14
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015・堀直治
○説明員(堀直治君) 農業のほうの災害の補助率を北海道のような一戸の経営面積の大きいところが比較的災害を受ける一戸当りの災害の率が大きいから補助率を上げたらどうかというお話でありますが、この点につきましては当初この法案を作るときに相当問題になつたのでございますけれども、やはり農地の災害復旧につきましては、一戸一戸の農家の経済状態を勘案いたしまして、災害旧がなかなか、国庫補助を与えなくては災害の復旧ができにくいということが基礎になつております。従いまして一戸当りの経営の規模の大小と申しますか、そういつたようなことが実はむしろ逆に経営の規模の大きいところは自費で以て直しても直せるのじやないか、少いところのほうがその田圃なり何なりが被害を受けたときには自分の耕作しておる面積が全部災害を受けて飯米がとれなくなるばかりでなく、その翌年の耕作にも差支えがあるから、こういうところには高率の補助を出したほうが適当ではなかろうかというような意見もございまして、そういつたような段階をつけることも考えて見たわけでございますが、これもなかなか実際問題といたしましてそういうような取扱いをすることが事実上できないということで、一応全国一律に、農家を対象といたしましては災害の補助は農地については五割、農業用施設については六割五分ということに定まつておるわけございます。これは北海道の土木災害のほうがほかのものよりも率がいいこと、或いは又土地改良方面におきましても内地の土地改良の補助率と北海道のほうが違うことは多少意味が違うのではなかろうかと考えております。目下のところ北海値だけに対しまして補助率を増嵩するという考え方はいたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/15
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016・三橋八次郎
○三橋八次郎君 過年度事業の廃止による経費の増は二十六年度までに約七億三千万円ございますが、二十八年度の分は予算に要求してあるということでございますが、二十七年度の分はどのくらいの経費になりまして、又その予算的措置はどうするつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/16
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017・堀直治
○説明員(堀直治君) 二十七年度の災害につきましては目下まだ調査中のものもございまして、全体的の数字はまとまつておりませんけれども、一応農地局関係について申しますというと、農地の事業費が査定額が二十四億二千二百二十七万二千円、農業用施設におきましては百五十二億六千八百六十四万六千円、合計百七十六億九千九十一万八千円というふうになつておりまして、このうちの八、九月以降の災害を除きましては約二六%に相当する補助金が現に出してあるわけでございます。なお残りの八、九月以降の災害につきましては、目下大蔵省のほうに予算を要求中でございます。従いまして只今議会のほうにお出ししてございます補正予算の要求におきましては八、九月以前の災害の二六%と三〇%との差額を出して頂きたいということと、それから八月、九月以降の災害の分に対して三〇%だけ出して頂きたいというふうになつておるわけであります。ところが高率補助の分につきましては本年度の災害が全部まとまりませんと、これは村別に計算をしないと金が出て参りませんので、これは本年度の災害がまとまりましたら至急計算をいたしまして来年度以降の補助金の要求をしたい、このように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/17
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018・宮本邦彦
○宮本邦彦君 先ほど災害復旧課長からの御説明で以て箇所数が約九千カ所ぐらい殖えるというお話なんですが、小さいものをとつて行けば行くほど箇数が殖えることは、これは当り前な話です。これは私は非常にいいことだと思つております。ただ実際問題として、こうやつて国会で以て新らしい予算をとりますけれども、本当は大事なのは執行の面じやないかと思うのです。で、災害復旧の地帯を調べて見ますというと大体においてこの執行の面が多少ルーズの面があるのじやないか、で、その証拠には今年あたり会計検査院が現地をずつと廻つているのですがその検査の成績は余り芳しくないようですはつきり申上げますと……。で、それはどういうところに基因するかというと先ず第一番に執行の面で現場の指導だとか監督だとか、そういつた面が非常に足りないようです。一つの例を申上げますというと茨城県の取手という所に、あれは県の湖南耕地出張所という所の支所があるのですが、ここの関係、丁度昨年の災害復旧箇所が二百箇所ちよつと越しておるそうです。ところが県のほうの職員の話を聞くというと全くそれだけの災害復旧を兼任で担当しておる、その支所の人は技官が一人というのです、あとに来たものは応援の形でやつておる。で、災害復旧があるというと技官の人は全部総員で出てそうして災害復旧計画を立てるのですが、中間で以て一回指導に行ければいいほうで、あとは補助金を流す関係上検査には行くと、ところがそれも旅費やその他が少いからそういう管内の出張には一日幾らと言つていましたか、何でも事務官の丁度半額の日当しかもらえない、而もそれでやつて災害というのは御存じのように予定した事業をやるのでなくして不意に出て来るものだから昼夜兼行でやつてそういう状態で、昨年の災害復旧は平均一箇所に技官が三回まで行けなかつたという結論になつておるのです。で、こういう一箇所の単価が復旧費と言いますか、一箇所の復旧費というものが十万円と下げて参りますとますます監督指導というか、それがしにくくなるのじやないか、こういう点を従来農林省ではどういう監督指導のほうを比率で指導費というものを見ておいでになるか、又今度この法案が出まして箇所数が殖えるというような場合にどういうふうにやつておいでになるか、私は現状はともかく足りないということだけは見て来たんです。で、災害復旧課長から御説明頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/18
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019・堀直治
○説明員(堀直治君) 只今御指摘頂きました点につきましては私どもも日夜心を砕いて何とか十分な指導監督をするように心懸けておるわけでございますが、何しろ災害は突発的に起りまして、県の技術陣容というものと合つたようには起つてくれません。例えば山口県のような所では耕地課の全員が僅か百数十名しかおらなかつたところへ二十六年度には百億を越すような農地の災害が起りまして、非常なオーバー・ワークになりまして従いまして技術官もろくに災害地を見て歩くことすらできないというようなことも事実起つたわけであります、こういうようなものに対しまして、至急技術官の増員をするように県のほうにもお話いたしておるわけでございますが、なかなか人事の交流が今の地方制度の下におきましては簡単に参りませんので、災害が起つたらすぐに人を廻すようなことができにくいようなことになつております。こういうような点からしましても、何か少し災害なら災害に対する予備の人員というようなものがプールされまして、災害が起つたところに至急に人を廻すことができる措置がとれないものだろうかということも実は研究もいたしておりますけれども、何とも今のところ目鼻が付いておるわけでもありません。止むを得ませんものでございますから、できるだけそういつた地方には人を増員し、又人の世話もいたしまして補給するようにはやつております。それからなお又こういつたようなことが起りますと歩く足の問題があるわけでありまして、できるだけ国から出します事務費その他で以て自動車なりジープのようなものなりを購入して、一人当りの能率を高めるようにというような指導もいたしておるわけであります。で、こういつたような費用につきましては工事費の五・五%を地方事務費といたしまして、これを府県に流しておるわけであります。従いまして府県はその工事費の五・五%に対しまして地方事務費を含めまして、国の補助率は農地については五割、農業用施設については六割五分というふうにおのおのの事業の補助率に相当する補助金を国から出すというような仕組になつております。それでこの事務費が多いか少いかという問題になつて参りますけれども、今のところはこの地方の定員の問題とか或いは総体の枠の問題とかいうことから考えますと、それほど全体といたしましては少いというふうには聞いておりません。ただ部分々々につきまして、県の事情により多少この五・五%の補助率、事務費の率が少いというようなところもございますので、そういうところは彼此流用いたしまして過不足のないように努めてはおりますが、十分というわけにはまだ参らんと思つております。できるだけそういうようなことで災害の指導を十分にやりまして、会計検査院その他から御指摘のないように努めてはおりますけれども、今申上げましたような事情で満足な点に至らんことを非常に残念に思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/19
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020・宮本邦彦
○宮本邦彦君 まあ災害復旧課長のお話でもつて御苦労の点は分りますけれども、これは御存じのように今度物価はどつちかと言いますと今日御承知のように指数は下つております。むしろ物価指数は幾らか下り目の傾向にあるというときにです。最もうるさい問題は人の問題で、中央でもそうだし地方でもそうだし、給与ベースのベース・アツプというようなことでもつてこのほうは上る一方なんです。而も災害復旧の面倒を見なければならん箇処数は多くなる、丁度逆の現象がここに起つて来ておる、こういうような法律案を出すとき、これはそういつた当然起る結果はやはり考えなきやならない。まあ五・五%がいいか或いは七%がいいかそういうことはもう一度一つ災害復旧課長のほうでも御研究頂いて、成るべくいい仕事をやつて頂くようにお願いしたいと思います。お答は結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/20
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021・東隆
○東隆君 土木災害の場合に、十五万円を十万円に下げた理由のその一番大きいものは、この災害にかかつた場合に十万円以下のものは直さずにそのままぶん投げておつたのが大分あるわけです。それは又この次に災害にかかつたときにそれを大きくして国でやつてもらうと、こんなような……、これはさもしい考えかも知れないけれども、そういうようなのが非常に多くある。私、そういうようなものを府県でもつて大分見ましたが、農業の場合においては、私は稼業がそれでできなくなるとこういうような関係で、これはやる希望は非常にあると思いますが、北海道のような場合には少し問題が違うと思う。それは、多少やられても、これはもう犠牲にしてそのままにしておくとそんなようなことになりますが、私は農地改革が行われた後における耕地というものは、これは農家が完全な耕作権を持つておるというだけで、最終の所有権は私は国が持つておると、こんなような考え方をするのが当然だと、こう思つておるのですが、その考え方から行くと、農地の回復或いはその他の部分についての回復に私は国が大きく助成をするのが当然であるとまあ考えて来るわけです。その場合に、北海道のような場合に、みすみす負担能力がないためにやり得ないと、こういうような場合がこれは各方面にできて来るわけです。恐らく大抵の場合に、もつと大きな助成率をやつておる場合、災害というのは、これは一番みじめな場合なんです。そういうような場合に、私はもつと大きな助成率を考えなければ、負担能力のない府県よりも、そんなに資力のない、まだ資本蓄積の少い北海道として、これはどうしても別に特別法を作るとか或いはその他でやらんければ解決がなかなか困難じやないかと、こういうことを考えますので、くどいようですけれども、大きな面積を持つておるほうが却つてやり易いんだと、こんなふうにお考えのようですけれども、これは私は却つて間違いだろうと思う。そういうふうに考えますので、その点について私の申したことに若し反対のような条件がございますならお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/21
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022・堀直治
○説明員(堀直治君) 只今のお話につきましては、別に反対意見というわけではございませんけれども、ただこの法律を作りますときが丁度アメリカ軍の占領下にございまして、農地の災害というようなものには補助金を出すべきではない、アメリカのようなところはもう災害を受けたところはどんどん捨ててしまつて違う所に行くのだというような非常に我々のほうの実情と違う観念をお持ちのかたたちと折衝をいたしましたので、なかなか制限その他がやかましかつたわけであります。その後多少緩和をして頂きまして農地の災害につきましても今まで政府が戦前にやつておりました大体のところまでは戻して頂いたわけでございますけれども、なおまだ農地につきましては五割の補助、これは多少私有財産的な意味が非常に大きいということで差別がついておるわけでございまして、この点につきましては、ほかの農作物の価格の問題とか或いは集荷の問題とか、いろいろ農業政策等の関連もあることと思われますので、よく研究いたしまして、改正する機会も又あると思われますので、それまでに十分検討して行きたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/22
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023・山崎恒
○委員長(山崎恒君) ほかに質疑はございませんか。では質疑は本法案については本日はこの程度にいたしましてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/23
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024・山崎恒
○委員長(山崎恒君) そうしますと、お諮りいたしますが、この法律は只今衆議院のほうでまだ上つて参りませんので、次の水曜日に又この法律の質疑をいたしまして、衆議院の審議の状況を勘案して、金曜日十二日に質疑をして、ここで大体上げるような方向に持つて行きまして審議を進めたい。これはもう衆議院のほうの審議の進行状況と睨み合わさなければなりませんが、そういう計画で行きたいと思いますが、御承知願いたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/24
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025・山崎恒
○委員長(山崎恒君) では本日はこれで散会いたします。
午後二時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X00719521208/25
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