1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月二十二日(月曜
日)
午前十一時三十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 山崎 恒君
理事
瀧井治三郎君
徳川 宗敬君
三橋八次郎君
東 隆君
委員
小串 清一君
西山 龜七君
宮本 邦彦君
加賀 操君
楠見 義男君
島村 軍次君
藤野 繁雄君
羽生 三七君
岩崎正三郎君
鈴木 強平君
衆議院議員
青木 正君
政府委員
大蔵政務次官 愛知 揆一君
農林省農林経済
局長 小倉 武一君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
説明員
農林省農地局管
理部管理課長 河井大治郎君
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本日の会議に付した事件
○湿田単作地域農業改良促進法案(衆
議院提出)
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001・山崎恒
○委員長(山崎恒君) これから農林委員会を開会いたします。
第一に湿田単作地域農業改良促進法案を議題といたします、本法案は去る二十日本委員会に本付託になりましたので。本法案については衆議院農林委員会において、お手許にお配りしておきましたような附帯決議が行われております。
前回楠見委員の要求によりまして、大蔵省生計局長の出席を要求しておりましたが………。ちよつと速記をとめて。
(速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/1
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002・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 速記を始めて下さい。
只今次官が、次長が連絡をいたします。それまでの間何か質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/2
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003・楠見義男
○楠見義男君 質疑の前に衆議院の農林委員会で、本会議の場合には附帯決議じやなかつたわけですね。この衆議院の農林委員会で附帯せられた決議案はどういう趣旨でできておるのか、その趣旨を説明して頂いたほうがいいのじやないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/3
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004・青木正
○衆議院議員(青木正君) 只今お尋ねの衆議院農林委員会における附帯決議が提出になりました経過並びにその気持を簡単に申上げてみます。いろいろ審議の過程におきまして、こうした特殊立法が雪のを初めとして、急傾斜の問題、そし又今回の湿田単作地域等、ここへ出て来ることにつきましていろいろ議論があつたのであります。而して食糧自給促進法案が来国会に出るということも睨み合せまして、むしろ総合的にやつたほうがいいのじやないかというお話もあつたのでありますが、現在すでに雪の特別立法があり、又急傾斜については特殊立法があり、而して食糧自給促進法は提案されておりませんので、やはり湿田地帯という特殊地帯に対しましてはいろいろ雪の地帯と同じような特殊立法を制定する必要があるのじやないかという点で、その点は是認されたのでありますが、将来の問題としまして、できることならば、こうした特殊立法は将来におきましては、むしろ総合的にこれをまとめる必要があのじやないかというような見解も表明せられまして、そのことを第一段に謳つたのであります。それから第二段の点はこの委員会におきましても一昨日論議された通り、湿田の指定範囲、これをできることならば三反なり、五反なりそうした小さなところまで指定すべきである。併し現実問題とすればなかなかそうもいかんさればと言つて、現在雪の地帯におけるがごとく二十町歩を単位とするということも、これも少し広きに過ぎるのじやないか。予算の関係等もあろうと思われるが、できるだけこれを一つ最高限度に拡張すべきである。つまりもつと狭い単位の湿田に対しても適用すべきであるということが大体各委員の一致した意見でありましたので、決議の後段のようなことを載せた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/4
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005・楠見義男
○楠見義男君 この後段の点なんですが、「指定基準面積をできるだけ引下げて、」とこうあるのですが、この法律では、この指定基準面積というものを制限するような条文はどこにもないように思いましたけれども、それは間違いないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/5
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006・青木正
○衆議院議員(青木正君) 法文の上から申しますと、これは結局審議会においてどこを指定するか決めるわけですか、実際問題になりますと、審議会で指定する場合に大体二十町歩単位というようなことになつて来るのじやないか。その二十町歩ということでは困るからもう少し下げるように、こういうふうな気持でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/6
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007・楠見義男
○楠見義男君 審議会で決める場合は、これは私の法文の読み方が或いは間違つておつたかもわかりませんが、県全体の指定地域、即ち県全体の計画についてそれを承認する、こういうふうに私は読んでおつたのですが、審議会は個々の事業について、地区の事業についても、これは審議会が決定するごいうことになりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/7
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008・青木正
○衆議院議員(青木正君) 第二条の第三項にありますように「都道府県知事は、農林大臣が湿田単作地域農業改良促進対策審議会の議決を経て定める基準に従い」これで一応基準を定め、これによつてしたい、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/8
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009・楠見義男
○楠見義男君 一番最後の「湿田単作出域の指定範囲を最高限度に拡大すべきである。」こういう意味は、この法律で行くと、指定湿田単作地帯というと都道府県の地域になつておる、第四条及び第五条から見ると。そうして昨日か一昨日伺つたときには、第二条で「都迫府県の区域」という都道府県というものはこの都道府県から洩れる都道府県があるかと伺つたら、それは全国どこの県も洩れない。ただ運用上は積寒地帯は別の法律で行く、こういうふうに承知しておつたのですが、湿田単作地域の指定範囲の最高限度という意味はどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/9
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010・青木正
○衆議院議員(青木正君) この文面だけ御覧になりますと、確かにそういう御疑問が出ると思うのであります。経過を申上げますと、指定範囲をどこにするか、雪の指定された以外を全部含むかどうかという問題が論議されましたときに、農林省の事務当局として一応考えておる指定範囲はどういうものであろうかという質問があつたのであります。それに対しまして農林省の事務局から、急傾斜の立法に大体準拠してその基準をきめることになるのじやないかと、こういう話があつたのであります。その急傾斜の法律によるということになりますと、湿田の面積が一府県のうちで一定の面積以上ならば、指定せんというふうに、窮屈になつて来るわけです。まあ解釈と申しますか、そういうふうな例になるわけです。それでは困る、そういう急傾斜の場合のような考え方でなしに、いやしくも湿田のある地域は、これはもうこの法律の適用されるように、最高限に拡げる、こういうことがここに出て来たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/10
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011・楠見義男
○楠見義男君 それから最初の、これはむしろ政府委員に、政府のほうにお聞きしたほうがいいかもわかりませんが、「現行土地改良法を再検討し、」云々とこうありますが、これは現在の土地改良法においての欠陥というか、総合的な農業計画の下に土地改良事業を効率的に行う場合の、現行土地改良法の欠陥というか、改善を要すべき点というのはどういう点になつておるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/11
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012・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) 現行の土地改良法におきましても、農業経営の合理化、農業生産力の増進ということを目標として、総合的に実施をするようにということが考えられておるわけであります。そうして事業の内容になつておりますものは、この法案でも書いております第九条の第一項のようなものが土地改良法の中にもそのまま規定があるわけでありまして、ただ土地改良法のほうではそう申しておりますけれども、土地改良をやりますと同時に、農業技術の改善は、勿論努められておりますけれども、それを計画的にやるという点が、土地改良法のほうでは、土地改良法に基いてそれらの事業をやるということになつておつて、その中では農業技術の改善というものを併せ計画的にやるというまでのことは表現されておらないわけなのであります。で、そういう点においてこの附帯決議の趣旨は併せて効果を挙げるようにやるべきであるという御趣意であろうというふうに私は思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/12
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013・楠見義男
○楠見義男君 そうすると、この十条との関係なんですが、この改良計画が認められてそれを実行する、その事業主体は十条によると、「都道府県その他のものが実施する」と、こうなつておつて、一昨日の説明で行くと、土地改良局その他を予想している、こういうふうになつておるのですが、計画自体が下から盛上つて、地区の計画をやる場合に、これはどういう意味でしようか。県営事業或いは土地改良局の事業と、こういうふうに仕事の、事業分野の大小によつて県営事業になつたり、或いは法人事業になると、そもそも法律の最初の説明によれば、今までのような行き方で行くと、結局その国営事業、或いは県営事業というものが重点を置かれて、法人営或いは個人営の分はあと廻しに取残される虞れがあると、こういうことからこの法律案が一つの大きな立法、存在理由といいますか、基調が強調されたように思つたのでありますが、その辺の関係はどういうふうになりましようかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/13
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014・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) この法律によつてやります場合においては、この条文の趣旨から申しますならば、国営事業は一応入らないだろうということはわかります。県営のものをどの程度まで実施し得るかということは、具体的な問題としているくあると思いまするけれども、土地改良法のほうでは、都道府県営もあるわけであります。都道府県営の改良と、それから都道府県営において行いまする幹線と申しますか、排水の幹線の改良というふうなものと、これに相加わりまして、効果を一層高くして行くような支線なり、末端の改良というものが計画的に行われるということが現行の土地改良法のほうでも必要でありますけれども、その点に欠くるところが従来あつたわけであります。そこでこの法律によりますると、そういうものが併せ考えられて、而も農業技術の改善というものをそこで併せ計画をして行くと、これは十分の例にはならんかと思いまするけれども、湿田の地帯の排水の改良をいたしますると、場所によりましては農機具まで変つて来る、そして従来の単作が家畜を導入し、或いは他の裏作を入れるというふうなことで、用います農機具までも変つて来て、農業の経営に相当大きな影響がございますけれども、従来の土地改良法によつてやりますのは、そこまで一つの計画の中で処理をされておらなかつたわけであります。従つてこういう場合につきましては、都道府県営が一番まあ大きな程度になりますけれども、必ずしも都道府県営でやるということには具体的にはならんと思いますが、都道府県営以下のものと関連をせしめて実施をする、こういう形体に相成ろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/14
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015・楠見義男
○楠見義男君 最後に一点だけ、この法律を施行してすぐに要る費用ですね。金、予算、例えば改良促進対策審議会というものを設けなければならん、こういうふうに、すぐに要る、而もまあ大体年度内に要る金というものはどの程度になりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/15
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016・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) 金額の点は、まだ計算をいたしておりません。費用の出し方につきましては、先例によりますと、予備費で審議会の費用は出しておつたように一記憶いたしております。或いはまあ国会との関係もあると思いますけれども、要すればそういう措置も講ぜられるもの、かように思います。金額のところは今計算をいたしたものを持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/16
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017・楠見義男
○楠見義男君 実は、その点を明かにしてもらいたいと思うことは、そういう金額が、どこの予備費から目当にしておるのか。それから又その予備費から流用できるのかどうか、こういう点を大蔵省当局に質したいと思つているのです。ところが大蔵当局に来てもらつて質問するときに、一体この法律については何ら連絡も受けておりません、或いは金額のお話もありませんから、答弁のしようがありませんというのじや、これは審議にならないものだから、その点を明かにしてもらいたいと思うのですがね。ということは、若し農林省の要望がかなえられれば、先般の櫻井部長の説明でしたか、一応現在の明年度予算に要求中のいろいろの金の中で特殊三法の分を除いた三十七億というものが一応この対象に予算が通ればなり得る。まあそつちのほうに廻せるというようなお話があつたのですが、そのほうは一応のめどが、予算が通るか通らないかわかりませんけれども、一応の見当はついていると思うのですけれども、計画としては差当りこれは公布の日から施行するということになつて、幾ら要るのだか、出発のめどもつかないというのじやちよつと困りますから、ちよつと至急に計算にしてもらいたいと思います。そうしないと、大蔵当局に来てもらつても、質問のしようがない。
それからもう一つ、これは先般も再再くどいように私申上げたのですが、こういう法律ができて、そうして中央から市町村に指示が行つて、それで計画を立てる。今までの特殊立法の場合でもそうなんですが、市町村はすぐにそういう計画が認められるような、これはまあなんといいますか、欲気も伴つて、そうしてあちらこちらから人も雇つて、厖大な資料を作るのですね。ところが実際は金は一向来ない。だからむしろこの特殊立法を作ることによつて市町村は毒ぶよりも、むしろ国なり、主として国、或いは国会を怨嗟の的に考えるようになつてくることを私はまあ恐れるわけなんです。そこでですね。市町村にこの法律に基くいろいろの指示が行つた場合に、市町村が農業改良計画を立てる。その農業改良計画を立てるに当つての費用に対する補助、これはどういうふうに考えているのか、どの程度にお考えになつておるのか。これは又私の読み方が間違いかもわかりませんが、法律の第五条の二項による一と、「農業改良事業を実施するために必要な経費」。「実施するために必要な経費」とあつて、計画を立てるために必要な経費というものはどこにも規定されておらない。従つて従来と同じように、この計画に対しては政府は補助を考えておらないのじやないかというふうに思われるのですが、その五条の二項の「農業改良事業を実施するために」という「実施するため」の中には、計画を立てるために必要な経費も入つているのかどうか、先ずその点をお伺いすると同時に、そういう計画に対する、計画樹立に対する費用及びこれに対する補助というものを考えているとすれば、どの程度の金額を予定しておられるのか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/17
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018・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) 市町村に対しまする計画費の補助というものは、只今のところこの法律に対しましては特に計画をいたしておりません。これは事業全体につきましても、先ほど御質問の中にもございましたが、二十八年度で予定をいたしておりますものは、この法律に基くものとして特に計画をいたしたものはないわけでありまして、この法律が通過いたしまするならば、この中で充て得るものという意味のお答えをいたしたのだと思います。ここで計上いたしておりませんが、内容が土地改良のほうについて申しまするならば、公共事業費に関係をいたして参りまするものは、都道府県で実施をいたします計画については、一部都道府県にその補助をいたしますることに相成つているわけであります。そうして土地改良法のほうの規定によりますれば、土地改良を計画いたしまするものが必要といたしまする場合には、都道府県から事実上の援助を求めることができるようになつておりまして、実際上そういう面からの計画に対しての援助と申しますか、助力はできると思いますが、特にこの法律のためにはまだ補助費というふうなものは計画はしておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/18
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019・楠見義男
○楠見義男君 これは実は私の私見になるかもわかりませんが、同時に又参議院のこの農林委員会としては、第一回の国会以来持続して来た一つの伝統があるのです。これは私が委員長をやつているときから、そういう伝統をずつと今日まで続けていると思うのですが、それはできるだけ農村に迷惑をかけるような立法はよそうということなんです。尤も計画を立てて、その計画が認められて、その結果その市町村内における土地改良もできるという場合には、初めは実は投資、言葉は悪いが投資みたいな、計画に相当な金がかかつても、これはのちになつて市町村も怨むところはないと思うのであります。ところが全国的に言つて湿田単作地帯というのは至るところにある。そうして附帯決議のように、これは恐らく一団地という意味じやなしに、その市町村の区域内における湿田単作地帯の面積をできるだけ下げようという御趣旨だろうと思うのですが、そういうことになつて来れば、全国至るところに湿田単作地帯はある。計画自体から言つても二分の一しか五年間に認められない。それも予算がうまく通つての話だ。そうなつて来ると恐らく誰もが、至るところに湿田があるのですから、全国の市町村は、これはこの法律ができることによつてその計画を立てるだろう。その計画を立てるに先ほど申上げたように相当の金を使つて正確一な資料を作ろうと思えば思うほどそういう金がかかるのです。而もそれはいつ来るやら、いつ認められるやらわからない。これが今まで農村が不平を言つておつた点なんです。その点を、まあ法律を作つた立場から言えば、これはそういうものができたのだから、あとは政府が悪いとか何とかということだけで済むかもわかりませんが、肝心の費用を使つた町村というものは、どこへも持つて行き所に迷惑をすると思う。従つて少くともそういうものについては何らか助成の途がなければ、或いは大体その助成をするというような見当がついたときに、お前のほうは一計画を立ててみろというのなら、こういうのならまあいいと思いますが、助一成をするのかしないのかわからないの一に、とにかく計画を立てさして、その数字を中央に持込むということは、これは農林委員会の従来の伝統から言つても、どうかと思われるだけじやなしに、具体的にやはりそういうものを政府のほうで考慮してもらいたいと思うのですが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/19
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020・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) 計画費の補助の問題ということになりますと、まああえてこの湿田単作に対しまする改良計画のみ問題ではないわけでございまして、現在土地改良法によつてやりますことにつきましても、実は農民の側から申せば、手続としては非常に複雑な手続をやつておるわけでございます。それに対しましては、現在これも或る意味においては計画費なんでございますが、そういうものに対しまする補助は、現在のところまだ行届いておらないわけでございます。それでこの法律によつてやる場合におきましても、土地改良法、或いは農業改良助長法のほうにおいても、都道府県と国が協力して土地改良を行うという点において、まあ費用の負担があるわけでございます。それが末端の町村まで改良普及費の形でいろいろ出おる。土地改良のほうにおきましても、先刻申上げましたように直接に計画費の補助というものはいたしておりませんけれども、相当技術上の内容について計画を進めるのに困難があるわけでありまするし、費用が要するわけであります。ての点は都道府県の援助を求めることかできるというふうになつておりまし、その都道府県において負担するもの、又都道府県に対しては、国におい、もその事業の量に応じまして事務費というものを補助をいたすという形を現在とつておるわけでございまして、このものにつきましても只今のところだと同様の運営がなされるであろうというふうに考えるわけでございますが、特に市町村において一計画を立てて、それが実行されないと……、国のほうでも予算の許す範囲において費用を計上するということになつて、下から上つて来る計画と国のほうの予算との間がうまく調整がとれない点に、まあ難点があるという御趣旨だと思います。この点は私どもも従来の特殊の立法についても、そういう点を非常に運用上の問題点として、まあ考えておるわけでございます。ただ土地改良について申しますならば、増産計画を立てて参りまするので、その予算が実現をいたしますることと併せて運用をいたしまするならば、完全とは参らんかも知れませんけれども、相当只今のお話の点は、緩和したと申しますか、もう少し行き届いた行政の運用ができるのじやないかと、又そういたさなければならんものだとかように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/20
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021・楠見義男
○楠見義男君 私はなぜそういうことを強調するかというと、先ほども申上げたように、この委員会としての従来の伝統、而もその伝統は私は国会としては非常にいい伝統だと思つているのですが、その伝統のほかに、こういう立法で特別の注目を惹く点は、食糧自給促進法についても同様でありますが、この法案についても又同じことが言えると思いますけれども、一定の計画を以て、例えば五年間に半分やるとか、或いは五年間に千七百五十五万石を殖やすとか、そういう国の食糧自給に関する一定の計画を以て、国の計画を実行するために食糧自給促進法とか、或いはこういう法律を作ろう。従つて衆議院の青木さんに、なぜこの法律をこの食糧自給促進法と同じように面積或いは年次計画のようなものをおきめにならんのかということを申上げたのも、実はそういうつもりなんです。今までのように補助金を貰うほうは貰えば貰い得だ、結構、だとこういう一方的、一方的という言葉は適当でないが、むしろ希望的な分野が非常に多い。申請と違つて、むしろこれは国の計画を達成するのに必要な、それに即応した計画を下から盛り上げて来ようと、こういうので、通り一遍の補助金政策とは違つた、私はこれは意味があるところに土地改良とか或いは食糧自給促進法の重点があると思うのです。そういうことであるならば、それだけにむしろ国がやる計画、国が企図しておる目的を達成するために、むしろ市町村に計画を立ててもらう、具体的に立ててもらうというような気持ちでなければならないのだから、普通の補助金行政とは違つた観点をこういう立法には盛り込まなければ、或いは運営の上においてそれを考えなければ、それは政府自体が、実は何といいますか、精神統一していないのじやないかという気がするのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/21
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022・青木正
○衆議院議員(青木正君) 楠見さんのお話は御尤もでありまして、そこで私どもが考えておりますのは、第二条、第三条の関係におきまして、この法律が出た、そこで何とかこれによつて湿田の改良ができるのじやないかということで、町村のほうが目当もないのに、そういう計画を立てるということ一になりますると、非常に御迷惑になりまするので、農林大臣が先、ず府県の知、事に指定を通知して、それから府県のほうで今度はどの町村ということを公示しまして、その該当の、その公示を受けたところが、今度は農業委員会と相談して具体的の計画を立てる、いやしくも具体的の計画を立てる場合は、もう公示を受けまして、大体この土地はこの法律によつて、この法律の対象になり得るという或る程度めどがついてから計画を立てさせる。そうしませんと、お話のように計画ばかり立てて、あとでこれは駄目だなんて言われるとお気の毒だということも考えまして、二条と三条の関係におきまして、そういう点の間違いのないようにしたいと、こういう考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/22
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023・楠見義男
○楠見義男君 今の提案者からそういう法律の運用上の問題についてのお話があつたのですが、法律ができると、これは執行するのは政府機関なんですから、政府のほうでその点よく留意しておいて頂きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/23
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024・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/24
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025・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/25
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026・藤野繁雄
○藤野繁雄君 この農業改良計画の技術上のことについて、三条と四条と五条との関係をお尋ねしたいと思つております。先ず五条から行きますというと、五条では農林大臣は農業改良計画を立てる場合においては、県が立てたところの計画を勘配して、審議会の議、決を経て湿田単作地域をきめる。そうしてそれで国の農業改良計画を定めると、こういうふうになつているのであります。第三条では市町村が、市町村、長が農業改良計画を立てる場合においては、あらかじめ当該市町村農業委員会及び当該地区内における灌漑排水施設、その他農業用施設を管理する者の意見を聞いて定めると、こう書いてあるのであります。然るに第四条では、都道府県知事が定める場合においては、市町村長が定めたところのものを勘配して都道府県の農業改良計画を定めると、こういうふうになつて、大臣は審議会の決議を経、市町村は関係団体の意見を聞いて定めるが、都道府県知事だけは関係団体の意見も何も聞かずしてみずから定めるというようなことになつているのであります。この県の計画を決定する場合において、如何なる方法で都道府県知事は農業改良計画を立てさせる、或いは立てる計画であるか、若し具体的の案があつたらば一つお示しをお願いしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/26
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027・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) 第四条の規一定によります具体的の改良計画の案というものを只今のところ手持ちいたしておりませんが、御質問にございました第五条においては、審議会の議決を経る、三条においては市町村の市町村長が農業委員会、それからその他特にここに書いてございまするような関係を有しますものの意見を聞くということになつておるのでございますが、積寒法等におきましては公聴会を開くような規定になつておつたと思います。でこの法律におきましては、その点の手続をできる限り簡素化したいということが法案の一つの趣旨と思いのであります。で、市町村におきましても、公聴会を開かずに、市町村の農業委員会というものが持つておりまする機能というものを、これに関連をいたさせまして、その意見を聞くというふうに
いたしたものと考えるのであります。それで第四条のほうは、特に都道府県農業委員会の意見を聞くという規定を持つておらんわけでございまするけれども、この法律の趣旨は、場合によりましては建議案に及ぼすようなものも予想されるわけでありますけれども、市町村の区域というふうなものについての、単作地区について、計画をされ
るということが骨子となつておりまするので、その市町村における計画というものに市町村において関係者の意見を聞き、それを計画をして、都道府県においては計画を、国のほうにおきまして特に改良促進対策審議会の議決を経ることにいたしますことは、国のほうの予算を、これに基いて必要なる経費を計上するという点もございますので、特にその点は審議会の議決を求める、こういうことにされておるものと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/27
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028・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうしますというと、都道府県知事が県の計画を定める場合においては、必要があれば県の農業委員会その他の意見を聞くけれども、必要がなかつた場合においては、知事が勝手に自分の意見によつて決定する、こういうふうに承知すべきものでありましようか、更にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/28
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029・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) 都道府県は市町村が定めて参りました計画を斟酌して、これをきめるということになると思います。都道府県が定まりました「もので、又国がこれを斟酌してきめるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/29
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030・藤野繁雄
○藤野繁雄君 その魁酌ということが市町村長或いは関係団体の意見を聞いて斟酌してきめるだろうと思うのでありますが。都道府県知事だけがただ勘酌してということであつたらば、知事一の意見でどうでもなるというようなふうに考えられるのでありますが、その一斟酌の意味を聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/30
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031・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) 都道府県が市町村で計画されましたものの趣旨に、殊更に異るようなことを持つた計画ができるというものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/31
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032・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうしますというと、市町村長が定めたところのものは、全部大体においてそのまま府県の計画に入れる、こういうふうに承知して差支1えないものでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/32
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033・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) 大体はお言葉の通りと存じますが、市町村は市町村としてきめますので、県として考えまするならば、両村に跨る、或いは両村の計画を更に按配調整をするというふうな必要はあると思いますので、その範囲においては魁酌をされることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/33
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034・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから次は湿田単作地域における湿田調、雪積寒冷単作地帯を除く、この表によつて見まするというと、関係の府県が五つに区分されてあります。そうしてその区別によつて見るという数がいろいろ違つております。又湿田の、或いは半湿田の面積もいろいろ違つておるのであります。而してその関係の都道府県は三十二に達しておるのであります。こういうふうに広範な区域になつているのでありますが、第十二条の審議会の委員を決定せられる場合においては、七から十まで及び十二の委員を選出せられるのには、全国に万遍なく行くというようなことから考えれば、さつき区分してある五ブロックに適当に按分するというようなことも考えられるし、面一積の多いところに割当てるというようなことも考えられるのでありますが、委員の任命はどういうふうな構想を以て任命せられるお考えであるか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/34
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035・河井大治郎
○説明員(河井大治郎君) これは間もなく担当いたしておりまする所管の官庁の人が出て参ると思いますので、そのほうからなお足らざるところは補足して御説明を申上げると存じますが、今までできておりまする特殊三法と申しますか、或いは急傾斜地帯等につきましても、この地域、お話のございました区分は、これは農地事務局の管内で便宜上区分をいたしておるようでございます。そういう地域について、知事が一方において出られるときは、一方においては都道府県会議長を出すというふうな、或いは市町村長を一方において出すときには、市町村議長を片方のほうに当てるというふうな、おおむね地域を考慮いたしまして委員の人選をいたしておるように私は承知いたしております。なおこの問題につきましては、どれほど何を進めておりますか承知いたしませんし、私の只今申上げましたことも私のおおむねの方針として承知いたしておることでありまして、ほぼそういう組合せによりまして、それぞれの地域からの意向が反映し得るような構成というものには注意をして人選をしておるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/35
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036・楠見義男
○楠見義男君 私は十二条を読んでいるうちに、ちよつと思い付きのような疑問が起つたのですが、一体こういう審議会というものは主として技術的な、或いは経営指導的な点に重点がおかれていると思うのですが、一体こういう審議会に衆議院議員とか参議院議員、こういう者を加えなければならない理由というのはどういう理由なのでしようか。これは今までの経過から伺つてもいいのだけれども、特殊立法から……。知事とか議長、市町村長とか、こういう人々もどういう理由でこう入つておるのだろうかとまあ自問自答して、結局これはどうせ全額国庫補助じやなしに、地方財政の関係その他もあるから、そういう点からの意見の反映とかいう意味もあつたのだろうと思いますが、そういう意味から言えば、国政全般というので衆議院議員、参議院議員というのが入つて来るんだろうと思いますけれども、これは少し縁が遠いように思うのだけれども、どういうものなのでしようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/36
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037・青木正
○衆議院議員(青木正君) お話のようにその点は実は大体雪の場合と同じようにとつたのであります。そうして雪の場合にこうした衆参両議員からも意見を出して頂くようにきめましたところが、やはりお話のような議論が出まして、むしろ国会議員が行政府のいろいろな言に従うようになるので、おかしいので除くのがいいのじやないかという議論がありまして、そうして急傾斜のほうには衆参両院議員を除いているのであります。ところが実際の今日までの経過から見ますと、やはり現実問題として、常に中央におる衆参両院議員のかたが委員に入つておつたほうが、この問題を推進するのに非常に便宜だ、それから中央との連絡も便宜で、やつぱり入つておつたほうが、実際問題として便宜だということなのであります。そういうことから急傾斜には除いたのを、これには又入れたほうがいいだろうということで入つて来たのであります。急傾斜のほうにおきましても、知事は入つておりますが、衆参両院議員が入つていないのです。ところがやつてみると、やはり知事だけですと、なかなか中央に常に参ることはできませんし、やつぱり衆参両院議員が入つたほうが便宜だから、そう修正すべきだという議論も一部にはあるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/37
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038・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 午前中はこれにて休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
手
午後三時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/38
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039・瀧井治三郎
○理事(瀧井治三郎君) それでは開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/39
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040・楠見義男
○楠見義男君 大蔵省のほうにお伺いしたいのですが、それは只今この委員会で審議をしておりまする湿田単作地域農業改良促進法案に関運してでありますけれども、この法案は御承知のように衆議院議員の青木正さんほか多数の方々の提案にかかる法案でありますが、実はこの委員会で審議をしておる際にもいろいろ問題とした点は、御承知のように従来議員立法による特殊立法が随分多いのでありますが、法案はできましたけれども、これを裏打するところの予算的措置がない、従つて法案ができたために又その法案が施行されたために、地方で次の法案の狙うところ経つているくの計画を立てるが、併し今申しますように、予算的な裏打がないために、却つて法案ができたために、極端なことを言えば、地方の町村民は非常に迷惑をすら感じておるというような事態も中には出て来ておるのであります。従つて我々は法案を審議するに当つては、そういうような轍をできるだけ踏みたくない。延いてこれは国会の権威にも関する問題でありますから、できるだけ慎重にそういうような見通し等も持つて法案の審議に当りたいと考えておるようなわけでありまして、そこで当面の湿田単作地域農業改良促進法案でありますが、この法案の内容、狙つておるところについては、ここで大蔵当局に申上げることは避けますが、要するにこの法案が執行されるに当つては相当の金額、予算を必要とするのであります。その予算は当然明年度予算以降において計上せらるべきものでありますけれども、差当り本年度内の問題としても、この法案が成立しますと「公布の日から施行する。」ということになつておる。従つて年度内にこの法律を施行するに必要な、少くとも当面の経費くらいは必要になるわけなんであります。差当りこの法案ができますと、まず中央に湿田単作地域農業改良促進対策審議会、こういうようなものができまして、この議会でいろいろ基本方針を決定し、これを府県を通じ町村にまで及ぼすようなことになるわけでありますが、こういうようなこの法律が施行されて、その施行が円滑に行くような当面の金額くらいは、ここに裏打がなければならないと思うのでありますが、これに対する大蔵当局の御用意といいますか、或いはこの法案全体についての御意見でも結構でありますが、そういつた点について御意見の点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/40
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041・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 只今のお話は全く御尤もでございまして、大蔵当局としても非常にこの点は最近における議員立法とそれから財政当局との立場において常に苦慮しておるところでございます。この関係は非常に微妙だと私は思うのでありますが、そうかといつて国会は国家の最高の機関なのでありまするから、一々事前に大蔵当局の意見を聞かれて予算化するということの言質をおとりになつてから立案をするというのであつては、結果において財政当局というものを国会の上に立たせるような結果になる、又延いては国会の予算の審議権というものをみずから自繩自縛してしまうというようなことにもなると思うのであります。従つて本件につきましても、私はあらかじめこの御審議の過程において、大蔵省が財政当局としてどういう態度をとるかということは、大蔵当局としても申上げかねると思いまするし、又国会の側から一政務官の言質をおとりになつてみたところで、却つてそれは場合によつては国会のためには私はとらざるところではなかろうか、私は非常に率直に申上げますが、こういうふうに考えるのであります。併しそういう本質論は別にいたしまして、私もその根本論として四角張つて申上げることはこの程度にいたしまして、然らば本件についての意見はどうかというお尋ねでございますが、この内容についてはこれは私共は意見は申上ぐべきじやないと思うのであります。ただ今日の日本の国策として食糧の増産、それも画期的な速かな大増産、その中心をなすものは農地の改良、灌漑排水といつたようなところにあるということは私共も承知を十分しているつもりでございまして、そのために裨益するところは多大であろうと思うのであります。
そういつたような点から、仮にこの立法というものがお考えになられなかつた場合におきましても、おそらく農林省の当局としても、積雪寒冷地帯とか或いは急傾斜地帯とかいうような特殊のカテゴリーに含められないものであつても、農地改良等のために適切な場所があるとすれば、当然農林当局としても予算は要求なさるでありましようし、又査定に当る大蔵当局としてもその意見は十分に尊重せざるを得ないと思うのであります。況んや国会が最高の意思の決定として衆参両院を通じて超党派的にこの只今審議中の法律案を法律として制定をされるということになりますれば、大蔵省といたしましても、できるだけの御協力を申上ぐべきことは論を要しないところだと考えるわけであります。そういうふうな意見でございますので、私共の気持というものを御了察願いたいと思います。
それから最も具体的な当面の問題でありますが、本年度内にこの法律が制定施行されるということになりますれば、お話の通り少くとも審議会を急速に発足させなければならない。併しいろいろ前例等を勘考いたしますると、審議会の設置とこれを年度内に動かすための経費というものは、今の予算の規模等から申しますれば比較的に少額なものであります。私共の今の考といたしましては、特にこのために一つの予算の款項を起しませんでも、予算の流用でもつて、財政法その他の許し得る限りにおいて、又予算の既定の、農林省に対する予算の枠内において、私は十分に処理し得るものと考えるのであります。大体今のお尋ねに対しまして以上お答えを申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/41
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042・楠見義男
○楠見義男君 議員立法とこの裏打ちの予算の問題に関する根本的な点については、私は実はこの委員会でも私見を述べたことがあるのでありますが、これはいろいろ譲論があります。議論がありますが、最高機関としての国会の意思決定に基いた法律の施行に要する経費について、或る程度行政府に対する拘束力というものは、これは私は持つて然るべきものじやないか、こういうふうに思つておるのでありますが、たまたま法律の中には、従つて私はいつか自分で立法をいたしました際においても、今回のこういう法案のように予算の範囲内というような言葉を実は書かずに、真に継続的な実行をさせるためには、そういう制限的な条文を入れることは、却つてこれは自分自身の、国会の自分自身の企図するところが達せられないというので書かなかつたことがあるのです。それはそれとして、この法案においては、あらかじめ行政府に左右されることも実は考えて、財政の許す範囲内という言葉も実は出て来ておると思いますが、これは別な問題として、ただ問題はそういう根本論を抜きにして、予算流用の技術の問題に当面の問題はかかつておると思うのであります。例えば先ほど申上げた審議会の点になりますと、予備費から流用するという問題になつて来る。予備費の流用ということになると、これは事務的な問題と言いますか、大蔵当局の意向によつて左右されることになるわけであります。予備費の点は、それでは現在のこの法律ができた場合の執行機関である農林省の農地局に予備費があるかというと、そういう予備費は一文もない。そうすると国全体の予備費の中から、そういう流用の問題を考えて行かなければならないということになれば、これは一つの技術的な問題になつて来る。そういう技術的の問題になつて来れば、根本的な予算編成権なり、或いは審議権の問題というようなことは別に、大蔵当局の意向を確かめておくことが、この法律がすぐ滑り出す場合において一番当面の問題になつて来るわけです。そういう意味で実は根本的な問題なり、或いはこの法律が狙うところの土地改良の問題、云々の問題はあとの問題にしましても、少くとも審議会の問題だけは何とか滑り出しをしなければいけないのではないか。それについて大蔵当局としては予算流用のこの技術的の問題について同意を与えられる御用意があるかどうか。私が何故こういうことを更に申上げますかと言えば、現にこの委員会でも、これは私ほかの委員会に所属しておる間にできた法律案ですが、急傾斜地帯或いはその他の特殊立法で、つい、国会のこの農林委員会でも法律を制定した趣旨が一向達成されておらないということで、総理大臣及び大蔵大臣或いは農林大臣にこの委員会が申入れをしたようなことがあるわけであります。こういうことはお話になつたように、又私も申上げたように、国会の権威を失墜すること甚だしいと思いますが、実際はそういうほうに動いているのです。誠に遺憾ながらこの現状なんです。そういうことをあれこれ考えた場合に、少くとも審議会の費目流用くらいのことは技術的の問題として大蔵当局がお考えになつて頂けるかどうかということだけは、法律を潰そうとする場合にはこれは問題がありますが、通すという場合には少くともそれくらいの裏打ちだけは、我々握つておかなければならないのではないか、別に言質をとるとかいうような意味でなしに、お互い国会の立法機関としての権威を維持する上から言つても至当じやないかと、そういう意味で伺つたわけですが、そこで今のお答えを頂いた点について、私の了解したところが違つておるといけませんから申上げるのですが、こういうふうに了解していいでしようか。それは少くともこの審議会の運営については事を欠かさないように大蔵当局もできるだけの協力をする、こういうふうに了解いたしてよいかどうか、その点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/42
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043・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 先ほど私は非常に率直に考えを申上げたのでありますが、大体今の話で非常によく楠見さんのお気持もわかつたと思います。私は共鳴するところ多大でございます。そこでその当局の問題でございますが、これは私からこういうふうに了解したいと思うのでありますが、要するに予備費その他すでに国会が審議を了されて、きめられて、行政府の予算として与えられておるものの範囲の中から流用することは、これは行政府の問題である。従つてその限りにおいて行政府はこの法律が実現された場合にどこまで協力するか、こういうお尋ねと了解をいたしまして、その場合には国会がお作りになる法律の事項について、我々の与えられたる仕事の範囲内においては全幅的に御協力を申上げる。又申上げざるを得ない、こういうふうに考えております。
〔理事瀧井治三郎退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/43
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044・岩崎正三郎
○岩崎正三郎君 今政務次官から巧い答弁があつて申上げざるを得ない、この申上げざるを得ないということは、国会できまることであるから当り前であるが、大体こういうふうに湿田地帯の改良が巧く行かないのでやつてくれと言うが、併しそれはさまつたことは、これは大蔵当局がこういうものについて熱心になれば、こういうことを言わなくても、やつておるはずです。農林関係当局でも勿論これは初めから熱心にやつておると私は思つておる。ところが大蔵関係がなかなかその金を出してくれないので、恐らくこういうふうに今度の枠をはめられた。僕から見れば、大蔵関係がいつもこの方面に、土地改良のほうにやつてくれないので、こういうことを出して枠をはめて来たと思う。だからこれはこの法律が限定しておるということは、大蔵関係がこういうものに対して認識不足だということを証明されたと私は思つておる。だから大蔵関係がこの法律が通つたらやると、国会は国権の最高機関ですからやりますということは、これは言わなくてもわかつておることです。こういう法律が通つたとすれば、当然やるのだけれども、併しこれは通つても、金がないと結局やらないのが普通であるから、今度出されるということは、すでに大蔵関係が不認識、こういうものに対して不認識であると私は考えておるが、そういうふうに思うか思わないか。而もすでに単作地帯の問題が審議途中にあるから言うのですけれども、こういうものに対して認識がすでにあつて、今後ともこういうものについて予算をくれるかどうか。国会だから勿論やりましようというのではなくて、そういう深い認識があるかないかということを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/44
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045・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) ちよつとこれは大蔵省の認識が足りないので、この法律を立案されたのかどうか、これは私からお答えする筋道でないと思います。併し私はさつきも申上げましたように、議員立法と予算の編成ということが非常に微妙な関係にあるということを、私は最近における私どもの体験から申上げただけでございまして、それはそれといたしまして、この問題については重要だということで、単行の法律ができれば、勿論これに御協力申上げなければならないということを申上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/45
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046・岩崎正三郎
○岩崎正三郎君 それは従来その通りであるから、こういうものが出されるということは、すでに大蔵関係が認識不足だから出されるのです。むしろこれは当り前ですよ。農林関係でも食糧の増産計画だといつてやつておる。それはいつも足らないものであるから仕方がないので、こういうふうに出されるのであるから、そういう非難を受けておること自体に対する大蔵当局は反省の意がないのだ。まあ大きく言えばそういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/46
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047・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 私はそれにはむきになつてお答えすることは避けたいと思いますけれども、併し若しこれが今お話のようなことであると、これはその不信任であるということを認めるかと言われて、私が認めたとしましたところで、それでは目的は私は達せられないと思うのです。ですから、私はここにこれだけ大きな問題が提案されているのですから、これを国会も政府も一緒になつて協力して成果を上げるようにすべきではなかろうか。私はこういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/47
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048・岩崎正三郎
○岩崎正三郎君 私は何もあなたが責任をとつたからと言つて、そんなことはどうでもいいので、あなたを中心とする大蔵当局が今後もこういう問題を出されてから、決まつたからやりますというのじやなくて、初めからそういう考えを持つて下さればいいのだけれども、まあそうじやなかつたために、こういう結果になつたのだから、当然もつと本気になつて、今までよりも本気になつて下さるでしようね。こういう念を申上げたのです。よろしうございますね、その念は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/48
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049・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) それは先ほども私が申上げましたように、今の国策として農地改良問題ということが一番大きな問題の一つであるということはよく認識しておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/49
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050・岩崎正三郎
○岩崎正三郎君 それから今度は提案者にちよつと質問したいのですが、どうも審議会というのがほうぼうにできておりますが、どうも審議会というのがボス化しちやつて却つて悪いことをすることもある、こういうことを聞きますが、この審議会が何もそんなふうになるというわけじやないけれども、この審議会の委員の構成を見ますると、大体まあ政府の何とか次官というようなところは、これは決まつたような顔触れで、委員会に出たからといつて、大したものじやなく、各省を代表して月並なことを言うだけだ。県知事とか町村長、こういう諸君もそれぞれの仕事を持つておつて、たまに顔を出すくらいのものだ。これに学者先生が二人、農業団体から三人、これがまあ幾らかわかつたことをおつしやつて下さると、こう思うのです。後は衆参が五人と三人、この程度だというと、結局力が足らんということは、今言つたように大蔵関係を口説いて出させるのが目的ならば、この力が足らんのじやないかと私は思うのですよ。特に国会関係の人数が多くないと大蔵省あたりに強い苦言ができないのじやないかという感じがするので、少しその国会関係なんか少ないのじやないか。そういう意味からすれば、或いは国会関係なんか入るというと、却つて政治化していけないのじやないかという危険もありますけれども、そうじやなくて、問題の焦点が、自然土地改良の予算を余計に取つてやりたいという考えからすれば、むしろこれは少いのじやないかと私は思うのですが、どういう考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/50
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051・青木正
○衆議院議員(青木正君) 岩崎さんのおつしやるような考えで、実はこれを作りますときに、四十人くらいにしたらどうかというような我々の間で意見があつて検討して見たのです。積雪寒冷単作地帯のほうは二十五人となつております。大体あの程度でいいのじやないかということで、あの法律にならつて二十五人というふうに決めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/51
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052・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/52
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053・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 速記を始めて。
暫時休憩いたします。
午後三時二十六分休憩
幸
午後三時四十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/53
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054・山崎恒
○委員長(山崎恒君) では再開いたします。
湿田単作地域農業改良促進法案の質疑がまだございましたら、せいそれ質疑を願います。……ほかに発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/54
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055・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/55
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056・岩崎正三郎
○岩崎正三郎君 私はこの法案につきましては賛成するものであります。ただ申上げたいことは、法律を作る以上は、本当にこの法律を正しく運営するためには、よほど慎重な態度をとらなければならんということは言うまでもないことであります。そこで毎年度必要な経費を予算に計上しなければならないという、これが筋だと思うのでありますが、そういう際にはよほど審議委員が協力一致してその方向に努力しなければ、折角の法律案もまあ画に書いたぼた餅になる虞れがあるので、やはりこの審議会というものに対して、いい意味においても悪い意味においても、世間から注目されると思うのです。それではやはりこの審議委員の振り当てなどということも単なる党派の争いとか、そういうのでなくて、そこに一致協力できるような態勢を備えて行かんというとまずいと思うのです。そこで先ほどもお話があつたように、今の二十五人では少し凸凹があるように思うのであります。従いまして、積雪地関係の審議会と両方を睨み合せてこの審議委員の任免については善処されることを希望申上げまして、私は賛成する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/56
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057・楠見義男
○楠見義男君 私は緑風会を代表して、今議題となつております湿田単作地域一農業改良促進法案について賛成するも一のでありますが、この法案が成立するに当つて若干の希望を附しておきたいと思うのであります。これはこの法案について衆議院の農林委員会において附帯決議された点とも共通して関連することでありますが、本来土地関係のいろいろの特殊立法が講ぜられており、而もこれらの特殊立法は幸か不幸か議員立法でありますが、その議員立法の裏打ちとなるところの予算というものが殆んど見るべきものがない実情であります。で、本来これらの特殊立法は、こういうふうに次々と新しい特殊な立法ができることによつて、むしろ土地改良全体の総合的な或いは重点主義が失われる虞れがあると思うのであります。さいわい政府において食糧増産促進に関する画期的な立法が目下考案準備中のようでありますが、将来こういうような特殊立法はその食糧増産推進の法律との関連においても総合化せらるべきものであり、総合的な農業計画の下に土地改良事業が法律的に行われることが必要だと思いますので、将来のそういう総合化の点についての政府或いは国会自体においての、これについての御意見を検討をしなければならないし、又そのことを第一に希望するものであります。
第二の点は本案の審議の途中においても種々質疑応答を重ねた問題でありますが、これも従来の特殊立法において実際ずい分地方の町村では迷惑を蒙つており、立法の目的とするところが必ずしも達せられずに、むしろ地方の不平だけが残つておるような現状であります。こういうことがあつては折角の提案者のかたがたのよい意味における御苦労が水泡に帰するわけでありますので、そういうことのないように十二分の予算的な裏打ちを政府において考慮せられることが必要だと思うのであります。特にそれに関連して、これも質疑応答の際に申上げたことでありますが、各町村がこの改良地区の指定に当つて、具体的に改良計画を立てる場合にはずい分努力を必要とし、又経費を要することと思うのであります。それらのものについて、これは立法事項でなくて、予算的な運営の問題だけでも行くと思うのでありますが、それらの計画樹立に関する政府の方全な指導並びにでき得ればこれに対する予算的な補助的な援助ということが必要と思われますので、その点についても政府の善処をわずらわしたいと思うのであります。以上の希望を附しまして、本案に賛成の意見を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/57
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058・三橋八次郎
○三橋八次郎君 本案は低位生産地の日本農業の将来にとりまして極めて重要な法案でございまするので、賛意を表するものでございますが、一、二その希望条件を申述べて見たいと思います。
第一番目に、こういう特殊地帯は質疑中にもありましたように、広い面積で存在しておるところは、もはや手のついたところはたくさんあります。狭い面積でそういう環境の地帯で残つておるところはたくさんありますので、なるべく従来の二十町歩という単位を引下げまして、本当にこういう地帯で困つておるところを救済のできるように善処をして場頂きたいと思います。
第二番目には現在二毛作が可能であるにもかかわらず、単作で存在しておる地帯が相当たくさんあるのでございます。そういうような事情にあるにもかかわらず、改修をいたしまして二毛作にしたそういうところが、果して全部二毛作になつてしまうかということにつきましては、十分これは考えなければならんことであり、二毛作のできる地帯で一毛作をやつておるというようなことにつきましても、十分この二毛作の奨励をして頂きまして、土地の利用価値を増進して行く方策を立てて頂きたい。
それから第三番目には特殊立法はただ単に経済的効果ばかりを狙いまして、政府資金を出すときには、実際法の目的を達することは不可能だと思うのでございます。従いまして場合によりましては、劣悪条件の除去とその地帯の農業の経営の合理化という見地に立ちまして、経済的にはマイナスになりましても、そういう意味におきまして投資をして頂くようにしまして、この地帯の一日も早く農業の合理化、劣悪条件の除去というような法の目的を達成せられますように、考慮をされたいと思うのであります。
以上三点を述べまして本案に賛成するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/58
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059・山崎恒
○委員長(山崎恒君) ほかに御意見……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/59
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060・宮本邦彦
○宮本邦彦君 私はこの法案に賛成するものであります。賛成するに当りまして、一言希望を申上げたいのですが、元来農業というものには水というものが非常に大きな役割をしておる。で、この法案を提出された議員諸公に僕は敬意を払うものでありますが、やはり農業というものは元来平らなところが一等やりいいのであつて、この平らなところが日本の農業の指導的な役割を占める農村にならなければならないのにかかわらず、今日平らなところは湿田というものであつて、大部分がと言つていいくらいに非常にわざわいされ、遅れておるという実態であります。こういう点を提案者が特に取上げて、この問題を今回法律化されたことに対しては、日本農業の立場から私は大いに敬意を払うものであります。ただここで一言申上げたいと思うことは、従来この灘田地帯の農村は非常に遅れております。従つて単に湿田を解消するということだけであつてはなかなか効果が挙りにくいんじやないかと思うのでございます。それは従来この湿田地帯の農村が非常に遅れておつたということに起因すると同時に、この湿田地帯は非常に水を除いただけでは、これでなかなかうまく行かないじやないかと思います。それは先ほどからしばしば審議の過程において御論議になりましたいろいろな条件がある一例えば労働力の問題だとか、用水の問題だとか、いろいろな問題がある。こういつた問題を解決されなければ、本当にいい農村はできないのじやないかと思うのです。即ちこういつた地帯に農村の近代化というような構想を取り入れることが、最も日本の農業の本当の姿を、私は確立する基礎になるのではないか。これができたならば、日本の農村というものは、飛躍的ないい農村が建設されるのではないかと思うのでございますので、特にこの法律案が通りましたならば、これに各般のこの地帯の農業経営を進ませるために、各般の施設を総合的に考えて頂くということが大事なのではないかと思います。例えば労力の節約の問題に対しては、近代化というような線で思い切つて機械化するとか、そういうようなことが必要になつて来るのじやないかと思うのです。そういう点を十分御考慮になつて、そうして正しい日本の農業をこの地帯に、本当に建設するのだというような、大きな気持になられて、ややもすればたくさん出た特殊立法と同じように、あとではたくさん出たのだというようなことで、小手先でちよつと補助をつけて、それなりで終つてしまうというようなことのないように、日本の新しい農村、新しい農業経営というようなものを、ここに建設するのだというような意気込みで以て、この法案の推進をされるように希望意見を附しまして、賛成いたす者であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/60
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061・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 他に御意見ございませんか。……別にほかに御意見がないようでございますから討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入りたいと存じます。
湿田単作地域農業改良促進法案に対しましては、それぞれ岩崎委員、楠見委員、三橋委員、宮本委員から希望を附しての賛成意見でございますが、原案通り可決することに賛成のかたの起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/61
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062・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 全会一致であります。よつて本案は全会一致を以ちまして可決すべきものと決定しました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容等爾余の手続は、慣例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/62
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063・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 御異議ないようでありますので、さよう決定いたします。
多数意見者署名
瀧井治三郎 徳川 宗敬
三橋八次郎一束 隆
西山 龜七 宮本邦彦
加賀 操 楠見 義男
島村 軍次 藤野 繁雄
羽生 三七 岩崎正三郎
鈴木 強平
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/63
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064・山崎恒
○委員長(山崎恒君) ちよつとお諮りしますが、陳情、請願が、残りが十三、四件ありますが、これは如何いたしますか。委員長に御一任願えますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/64
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065・山崎恒
○委員長(山崎恒君) ではさように取計らいたいと存じます。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後四時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X01519521222/65
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