1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年二月二十三日(月曜日)
午後一時五十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 山崎 恒君
理事
徳川 宗敬君
三橋八次郎君
委員
石原幹市郎君
小串 清一君
西山 龜七君
宮本 邦彦君
森田 豊壽君
清澤 俊英君
岡村文四郎君
衆議院議員
野原 正勝君
政府委員
農林大臣官房長 渡部 伍良君
事務局側
常任委員会専門
員 安樂城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
説明員
農林大臣官房総
合開発課長 庵原 文二君
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本日の会議に付した事件
○農林政策に関する調査の件
(農業金融疎通に関する件)
○海岸保全法案に関する件
○海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案
(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/0
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001・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 只今から農林委員会を開きます。
去る二月十八日の委員会において御了承願いました農業金融疎通に関する件について、政府に対します再申入は只今お手許にお配りいたしましたような案文で御了承願いたいと存じまするが、一応朗読いたします。
農林大臣 廣川 弘禪殿
大蔵大臣 向井 忠晴殿
農業金融疎通に関する件(案)
この件に関し昨年十二月二十四日附当委員会からの申入に対して去る二月十一日附二八農経第二八六五号を以て報告がありましたが、右の報告は極めて抽象的で当委員会の申入に対する報告としては顧みて他を言うようなもので余りに期待に外れ甚だ遺憾とするところであります。
去る二月十八日の当委員会において右報告に関し
「再建整備の実施状況を勘案して」、とあるが「再建整備の現段階において当局は如何なる見解と見通をしているか」との質問に対して当局から「現状までは比較的順調であつたが今後は困難を加えるものと思われる」旨の答弁があり、又「今後の具体的対策について慎重に考慮中」とあるが「現在当局においては如何なる方向に向つて如何ほどの作業が進められているか」との質問に対する答弁によれば一定の方向に向つて検討が進められているようでありますから、これらの事情からしてこの際速かに当委員会の申入に副い且つ二月十八日の委員会の模様を考慮して具体的方策を確定し改めて御報告煩したく
なお右報告は速急御取運び願いたく、
右重ねて申入れます。
右様の案文を以ちまして、農林大臣並びに大蔵大臣に再申入をすることに案文を作りましたので、御異議ございませんか、お諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/1
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002・岡村文四郎
○岡村文四郎君 異議はないが、「なお右報告は速急御取運び願いたく、」こう書いてあるが、日にちは今まで入れておりませんか、こういう気長な話ですか、今までの申入は……。考えられる余裕を与えて日にちを明示して何月何日までに返答しろとこういうふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/2
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003・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 従来の申入は日にちをきらないで申入れしたそうですが……。ちよつと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/3
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004・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 速記を始めて。
それじやこの案文の通り申入れることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/4
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005・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 御異議ないようでありますので、さよう取計らうことに決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/5
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006・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 続いて海岸保全法案に関する件を議題といたします。本法律案については昨年十二月二十四日の当委員会において第十三国会に提案せられた原案の通り速かに再提出を期すべきを申合せ、その実現について宮本委員に御斡旋を御依頼いたしておりましたところ、今回提案の運びとなつたのであります。ところが今回提案のものと先般提案のものとは、その内容が相違しておるようでありますので、今回の提案について提案者及び農林当局からそれぞれ説明を聞き、その上において建設委員会に連合委員会を申込むかどうかの今後の取扱について協議をいたそうと予定いたしておりますが、未だ提案理由の説明等の配付資料が整つていないようでありますから、この問題は明日に廻すことといたしますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/6
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007・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 御異議ないようでありますから、明日にこの問題をお廻しすることにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/7
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008・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 次いで海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案を議題といたします。本法律案はかねて予備審査のため付託せられておりましたが、去る二十一日衆議院の本会議において全会一致で可決せられて本院に提出、当委員会に本付託となりました。本法律案につきましては、すでに提案理由及び配付資料の説明を終りましたので、これから法案の内容の説明を聞き、直ちに質疑に入りたいと思います。なお事情が許せば、本法律案は明日委員会を開き、採決をいたしたいと存じますから、あらかじめ御了承願いたいと存じます。では本法案の内容につきまして、提案者の野原さんから御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/8
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009・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案につきましては、すでに提案理由で申上げた通りでありますが、なお只今委員長から特に内容の説明ということでございまして、実は農林省の事務当局のほうから詳しく説明してもらうほうがいいと思うのでありますけれども、一応私からこの法案がなぜ非常に急いで成立を望まれておるか、又如何に重要であるかというふうなことに対しましての概念的な問題を申上げてみたいと思うのであります。
海岸の砂地地帯はすでに提案理由で申上げたように、海岸線の非常に長い我が国といたしましては、この地帯に属するものがかれこれ十五万町歩余りもあるのでございまして、この地帯における農業経営が特殊な考慮を以て対策を立てなければ、理想的な営農が確立し得ないという状態でございまして、その一番大きな問題は、何としましても災害の防止という問題であるのであります。海岸砂地の飛砂と砂丘の移動は、住民の生活と経済を根こそぎ破壊するという暴威を振つておるのであります。これが対策として、当該地帯の保存と農業生産力の向上を図ることは論を待たないのであります。海岸の防災林は古くから先覚者によつて造成されておつたのでありますが、国家的援助がなされるようになつたのは明治中期からでございます。併しながら防災林の整備の状態は、今なお必ずしも十分なものではなく、広大な不毛地と、農業生産に不安定な耕地が存在しているのであります。たまたま戦時と戦後を通ずる数年間の混乱時代にありましては、海岸防災林の造成は著しく遅延しておると共に、非常に無計画な伐採なり、入植開墾といつたようなことが相次ぎまして、相当の面積が荒廃に帰しまして、これらの地帯においては砂丘は再び活動を開始し、飛砂或いは潮風による災害というようなものが年々増大をしておるような状態であるのであります。国土の保全を図るためにも、又内陸耕地の農作物に与える被害を防止するためにも、荒廃に委ねられておる海岸防災林の整備が緊急な事件となつておるのであります。かような海岸防災林の整備の問題、もう一つは広大な海岸不毛地及び農業生産不安定の砂耕地が、人口のはけ口として注目されておるという事実も我々は指摘したいのであります。長年に亙り沿岸漁業の不振に伴いまして、近代的漁業に従事する一部の漁民を除く他の幾多の漁民は生活の根拠を砂地に求めることを余儀なくされておるのであります。その結果として最も身近かな就業方策として、農業への移行を企図し、従来は野菜を作つた程度のこの沿岸漁民の農業経営が、彼らのもつと主要な農作物までも作る、つまり自給自足をするところまでも持つて行きたいということで、いわゆる農業経営に転換するというような必要が順次起つて参りまして、そうしたことから海岸の砂地、比較的今まで放任されておつた、或いは又低位の生産を続けておつた海岸砂地に対してのそうした要求が非常に強くなつた、そうした問題がございます。もう一つは内陸農村の人口問題、農村の二、三男対策、或いは増産等を必要とする、或いはいろいろな開拓を必要とするような内陸地帯の農村の人口対策、これに対するはけ口、これは山の地帯にも勿論行つておりますが、と同時に又先ほど申しましたような理由で、比較的低位生産に残されておつた海岸砂丘地帯に向けられて、海のほうからも、陸のほうからも、両方から向けられておるといつたような点においてこうした問題が考えられるというようなことで、海岸砂丘地帯というふうなところの農業生産を高めるということは、こういう意味においても大きな問題であります。
それから又同時に海岸砂地地帯の開発ということは、さつきも申上げましたように、非常に農業生産上低位生産地帯である、こういう地帯に対しまして潅水事業、畑地潅漑を行うとか、或いは又客土を行なつて土壌の改善を行うというようなことを行うならば、それらの農業地帯が非常に見違えるような農業生産の地帯にこれが変つて参ることは、これはもうすでに幾多の事例がこれを立証しているのであります。こうしたようなことを考えたときにおいて、我々が今日国内の食糧自給態勢の問題として取上げておりますのは、土地改良事業或いは耕地の改善というふうなことによつて、政府当局においてもいろいろ行なつております。又今後行わんとしていろいろとその態勢を整えつつあるのであります。我々農業政策の立場から、比較的手近なところで見忘れておつたと言つては語弊があるかも知れませんが、取残されておつたような地帯が十五万町歩の海岸砂丘地帯、これらに対する対策こそは極めて重要な問題ではないかというふうなことで、実はこの法案が今回準備されたというようなことでございます。いろいろ又細かな内容的なことに立入つては、御質問に応じまして見解を申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/9
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010・岡村文四郎
○岡村文四郎君 本法案は非常に重要な法案であり、今まで残された地帯を何とかしようという法案でありまして、我々は頗る賛成でございますが、なかなか困難な事業だと思う。今までいろいろな法律が出ましたが、なかなか困難であると思いますが、防災林の不十分な地帯が五万六千町歩あるように今説明されておりますが、防災林のある所は今までの事業で処分ができますからそれはいいといたしまして、先ず以て防災林におきましても木を植えて、それが大きくなつて風を防ぐということは、実は御承知のようにあの砂地地帯はなかなか生い立ちが遅い。私もこの間鳥取、島根を見て来ました。非常な広大な砂地のあることをよく見て参りまして承知いたしておりますが、防災林に対する方法をどういう方法でおやりになるという現在のお考えか、野原さんはしつかりしたことはおわかりにならんかも知れませんが、農林当局に聞くのですが、私は不満を持つている。どうしたらいいかということ、それからその案がよければそれでいいのでありますが、そうでなければ、こういうことはどうだということを考えている。単に木を植えるということでは駄目だと思いますから、それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/10
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011・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 非常に事が専門的な問題に亙りますので、或いは十分御満足の行ける答弁はできないかと思います。御承知のように海岸防災林の造成と一品に申しましても、非常に林業の技術的な立場においてこれはむずかしいことだろうと思います。今までやりましたことを見ますと、先ず以て飛砂の防止というような極く簡単な何と申しますか、そういう一時的な施策を行いまして、そうして杭を打ち、或いは竹その他の材料を以ちまして防止するとか、その他附近に生えているいろいろな自然の利用できる茅とかというようなものを利用いたしまして、そうして飛砂を防止するような措置を講ずる、その背後の地帯に対しまして、その砂の上に適当な木を植えるわけでありますが、この砂が殆んど土壌を含んでいないというようなところに、黒松であるとかその他のものを植えましても活着ができない。そういう場合に少くとも活着し得る程度の條件を与えるために、適当な土壌を局部的に客土いたしまして、そうして植栽、活着條件に備えるというふうなことにするわけでありますが、植栽すべき樹種はいろいろございます。海岸に対しましては、まあ松類で申しますれば、大体赤松は適当でない、黒松を植えるわけでありますが、黒松の類にいたしましても、最近では特に御承知の通り仏印の海岸松というようなものが、海岸の地帯の黒松でありますが、これは成長が非常によろしいので、或る程度日本へ持つて来ても非常に良好な成績を挙げ得る見通しが技術的についておりますが、これは仏印との今後の交渉を待たなければ大量に樹苗、或いは種子を持つて来るということは困難であると思いますが、この機会にできればいい樹種を入れるということを考えたい。或いは又極端に貧弱な地帯に対しましては、松は少々無理だ、ねむの木であるとか或いはアカシヤの木であるとか、その他の海岸の地帯に十分活着できるようなものを選んで植栽をする、又木を植えるということのみならず、やはり草を植えるということが大事なことであります。木を植えるばかりでなしに或る程度防止するために茅であるとか、海岸のこの潮風に強いような性質を持つておる雑草類等もときにはこれを植えるというようなことを講じて、一定の幅を持つたそういつた砂防林を作りました背後地帯には、ときに応じてはその他のもう少し耐乾性の高い優良な樹種を混植するというようなことも必要であろうと思うのであります。すべてこれらのものは林野庁において林業試験その他ですでにいろいろ長年調査もできております。実地についても技術者も相当あるように伺つておりますので、まあその点実地の問題につきましては、それらの技術者がその全知能を傾けて動員されるであろうと信じております。林業に対する学術的な研究等は我が国は比較的進んでおりますので、恐らくこの海岸砂丘地を如何にして最も経済的に、効率的に、急いで、技術的に防災林を造成するかというような点においては、恐らく国家の財政予算の許すことならば、技術的な問題での困難は恐らくなかろうと私は確信をしておりますので、その点は技術当局農林省側の努力に任せたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/11
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012・岡村文四郎
○岡村文四郎君 防災林に木なり或いは草なり植えるということは野原さんがおつしやる通りでありますが、御承知の通り砂地で育つておる草を見ますると、なかなかのびのびと言つておりますのは稀なんで、いびり込んでしまつて、まるで盆栽のように変つておるのが大方なんです。ですから簡単に植えて造れんことはわかりますから、それに今お話にあつたような方法を講ずる、それでなかなか林野庁のほうでも御研究なさつておるので、私はその点は心配いたしておりません。それで問題は防災林を造るその木なり草なり植えますが、それが防災林になる場合には、金のかさむ措置であります。それらに対する予算がとれるかどうかという見通しなんでございますが、例えて申上げますと、これから東海道のほうに参りますと、神奈川県あたりにおきまして海のふちになんか五、六寸か、一尺にはまだなつておりませんが、一つの盆栽のようなものがございます。ですからあれだけでなくて、鉄道が雪の垣をするようなことを私は当然すべきではないか、日本の現状から見てこの食糧の足らないときに、又この地方のかたがたはあらゆる困難を捧げておられまするから、そういうことも施して防災林の成長するのを待つ。植えると同時にこういう措置をするのは困難じやなかろう、それは莫大な金にはならんと思いますが、そういう予算を見ておられますかどうかということをお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/12
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013・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 大変積極的な御意見で、非常に我々としても同感でございます。まあただそういう徹底した施設をするほどの予算が果してとれるかどうかということは、これは今後の問題なんでございますが、我々の見通しとしましては、正直なところ今までは非常に海岸防災林の造成というものに対しまする予算は少なかつたのであります。本年こうした特殊な法案をも出さなければならんような情勢等を十分主張いたしまして、本年から、法案ができてからと言わず、只今からでも相当の予算的措置を講ずる必要があるということを主張いたしまして、二十八年度予算では或る程度増額ということが考慮されたわけでございますが、それを以てしましても到底問題にならないような予算でございまして、この法案で我々が考えておりますのは、相当の、年間十億程度、これは防災林と背後地と農業振興地帯に対する客土、或いは潅漑事業その他の各種の総合施設も含めて大体年間十億円以上の予算が実は必要だと考えられておりますが、果してそれだけの十分な予算が獲得し得るか否かは今後の問題なんであります。我々としましては、御説のように単に一時的な施設だけでなしに、予算の事情が許すならば、お話のように相当しつかりした施設をして、そうして植林が相当の成長を見るのを待つまでもなく、すぐにも或る程度背後地帯の農業改良に乗り出せるようなところまで行きたい。実は食糧増産というような緊急なる問題を考えるときには、それまで徹底した施策を実は考えるべきではないか、かように考えておりますけれども、その予算の問題等につきましては、一つ今後の問題として我々もここにおいてその点を主張いたしておりますが、一つ大いに御協力を頂くようにお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/13
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014・岡村文四郎
○岡村文四郎君 野原さんは、議員提案の農業に関しまする今度の振興法案については非常な御努力を願つておりまして、感謝をいたしておりますが、どうも私の非常に遺憾といたしておりますことは、議員立法で今まで出して通過をいたしております。その法案に対する政府の処置、これは毎年度予算の範囲内でこれをするということになつておりますから、どうも取りつく島がないように見えることで非常に残念でございますが、書くならこう書くより方法がないと思いますから、これはまあ仕方がないとしても、法案が通過をいたしますると、それに対する農民の考え方というものは実に積極的でございます。ですから私は残念に思つて、まだ今度の国会ではその話を余りぶらぶらしておつてやつておりませんので、余り何でございますが、最近通りました急傾斜地の問題なり、湿田対策の問題なり、非常に受けるほうの側では重要視いたしておりますにもかかわらず、今まで議員立法で出した法律でどうにか曲りなりにも、不満はありますが、どうにかなつておると思いまするのは、雪寒地帯の振興法案、これは御協力によつてどうにか曲りなりにも実は行つております。ですが、この法律を作るだけではなしに、何とかそれを振興させようというのがお互いの目的でございますが、急傾斜地の問題などを聞きますと、一億八千万しかない、というとこちらも大変なのですが、そこで肝腎な薬師寺さんに実は昨日文句を言つて参りました。けしからん、あんなことを言つて農業について熱心にやつたから君は落選するのだ、こういうことになると思うが、という話をしましたが、どうも向うも頭が上らないで、体が弱くてあれを出しても駄目なんだ、これは宣伝が不足しておつたという話でありましたが、あの法律もそうでございますが、これも気慰めに、その地方の人の気慰めであつては申訳ない。一番陳情の多いのは鳥取でございます。鳥取に行つたところが、つかまえられて参議院の緑風会は余り関心を持たないが、という話を聞いて、緑風会に言つたのだが、それは関心を持つているとこういうお話だつたから、至急にやつてくれ、こういうお話がございましたが、私は法案は幾つでも通して差支えないが、それに基くものがなければ事業の振興もできないので、そこを我々は今まで失敗しておるから、補助率、それから政府の腰の入れ方、それをはつきりつかまなければ駄目だ。ところが急傾斜地の問題は池田大蔵大臣に来てもらうことに四日かかつて、そうして私一人がそこで質問して、写真までとつた案がたつた二億二千万円では実行できない。ですから本当に我々の通す案が、お互いに参議院ばかりでなく、衆議院のほうでも予算を確実にとつて渡すから事業をやれと、こういうふうに一つ本腰を入れて行かなければ、私は本当に法案は通すが予算はわかりませんぞと、こういうなら別でありますが、そんな人気取りじやいかんと思うのです。ですからほかのことは余り言うことはございません。私はもう予算の問題で、野原さんが農林部長として一体どこまでやつておられるかがもう最初の問題でして、これに反対をする人はこれは全然知らん人が反対する。それは無理ありませんが、農業というものに関心を持つあの地帯、ここにたくさん書いてございますが、そのうちの島根、鳥取が一番です。ですからああいう地帯がどうなつておるかということは、最初が一番肝腎ですから、実は野原さんに部長をして頂いて御迷惑をかけておると思いまするが、これはどこまで政府に迫られる御自信があるか、それは二十八年度の予算では到底これは大きなことはあるまいが、多少入つておるというようなお話でございますが、補正予算でもある時期には必ずこれは追加をして、そうしてこの法案が活きるように御尽力を願われるという御自信があるかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/14
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015・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) いろいろ御鞭撻を頂きまして、もとよりこの法案の成立できました暁におきましては、我々も厳重に政府に交渉いたしまして、これに対して見合う予算的措置を講じてもらうように努力をしたいと思います。
又只今補正予算等に対するお話でございましたが、補正予算を組むような時期が出て参りますれば、私どもはこの次のそういつた機会を、機を逸せずにこの問題に対する緊急性に鑑みまして、予算的措置を要求いたしまして、その実現に努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/15
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016・岡村文四郎
○岡村文四郎君 今度は事業のことをちよつとお聞きしたいのですが、これは私は実は恥をかいて帰りましたが、島根では非常に熱心にやられておりまして、県の畜産処理場がございます。そこでここに書いてある事業の四番目の「農畜産物の生産、加工、販売その他処理についての共同施設の整備に関する事項」とこう書いてございますが、実はあちらでもやつておりますから、あすこだけはいいかも知れませんが、農畜産物の生産は結構ですが、加工と言われると、よほど今後は県が本腰を入れてやつてもらうなら別でありますが、そうでなくて若し協同組合なんかでおやりになりますようになりますと、非常な考えものでございます。ですからいい加減苦慮されておりますところでございまするから、その県が主になつてやつてもらわねば、今やつておりまする島根はうまくやつております。これは県がやつておりますから……。ですから儲けるとか、損するとかいうのでなくてやつておりますから、畜産処理については利益がないようであります。どういうようにおやりになるつもりか、一応お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/16
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017・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 第五條における農業振興計画の事項でありますが、まあ一、二、三、四、五と羅列してあります。その中にある御指摘の第四において「農畜産物の生産、加工、販売その他処理についての共同施設の整備に関する事項」というようなことがございますので、まあいろいろこの振興計画なるものに対してそこまで行くことに対してはいろいろ検討の余地があるという御意見、至極御尤もでございまして、ただ私どもとしましては、まだ具体的にこうした畜産の、農産物の加工だとか、そういつたことの処理というようなことに対して具体的な実は案があるわけではないので、つまりそうした農業振興をやるべき地帯においてまあ普通の農村が行い得るいろいろな施設について、普遍的な見地からやはり一応項目を並べたのでありまして、その中でその必要が起つた場合にはそういつたものも行う、つまりあえて振興計画の中に除いておく必要はない、入れておいても、それらの立地の條件等を十分勘案いたしまして、審議会の答申を待つて行うということに相成るのでありますから、これも初めから何々は行わないというような制限をすることは誠に意味がないと、やはりその必要に応じては十二分にあらゆる施策が行い得るというふうにしておくほうがよかろうというふうな考え方から、実はまあ法文が成り立つております。その点は一つ実情に即して適宜処理することと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/17
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018・清澤俊英
○清澤俊英君 砂地面積が大体十五万町歩、こう言つておられるのですが、これは全部が国の所有地、若しくは公共団体の所有区域と、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/18
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019・庵原文二
○説明員(庵原文二君) ちよつと細かく数字を申上げたいと思います。これは資料の中にございますが、海岸砂地面積分布表という表を前にお配りしてございますが、念のため数字を申上げますと、不毛地の面積が約五万三千町歩ございます。その不毛地の内訳を国有、公有、民有別に申上げますと、国有地が約一万八千町歩、公有地が約八千町歩、それから民有地が二万七千町歩、それから林地が約四万町歩でございます。そのうち国有地が約一万二千町歩、公有地が約七千町歩、民有地が二万二千町歩、それからもう一つ砂耕地がございますが、これは現在田、畑或いは樹園地になつておるものでございまして、この面積が約六万町歩でございます。その内訳は田が二万町歩、畑が三万町歩、樹園地が約五千町歩、そういう内訳になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/19
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020・清澤俊英
○清澤俊英君 それでこの法案から言うと、振興計画を立てて都道府県知事から通達するような形になりますですが、公有地や国有地の場合は大して問題は出まいけれども、民有地等にその計画に若し賛成し得ない者がある場合の措置がどうも、まだしつかり見ておりませんが、ないようですが、そういう場合はどういうふうにするようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/20
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021・庵原文二
○説明員(庵原文二君) この法律に基いて事業を行います場合には、例えば土地改良事業でありますれば土地改良法に基いて行います。或いは造林等につきましては森林法を適用して行います。この法律自体が事業執行の上のいろいろな制約はこの法律では謳つておりません。それぞれの事業関係の法律で行うということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/21
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022・清澤俊英
○清澤俊英君 そこの関係です。これは相当強力な方法を以て防災、保全、開墾潅漑排水等々雑多のことがやられるのですが、その際にそういう仕事の計画を一応して、それをその計画のでき上つたところでこれを振興地帯として農林大臣が指定するのでしよう。その場合、その指定を受けた地区において民有地等があつて、いずれ受益者負担金等の問題も出て来て、それに対して問題が生じた場合に、反対ですな、その振興の計画に対する反対の意見があつた場合にはどう処理するか、これをお伺いしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/22
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023・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) そういうような場合も或いは起り得るかも知れませんが、この法案の性格がその地帯の農業振興のために役立つような施設を国ができるだけ多くの財政投資を行なつてやるという建前でございまして、まあ言換えてみれば、その土地を持つている所有者のためにも利益であると私どもは考えておりますので、恐らく、特定の個人だけから見れば或いはどうも反対というかたがあるかも知りませんが、まあ恐らくその地帯全体の農村のかたたちがやはり話合いで、少々の反対等がありましても、円満にその地帯の全体のために土地を提供するというようなことに相成るのではないか、まあそういつたどうしても聞き入れないというような場合が起れば、遺憾ながら振興地帯には指定にはなつたが、実施が遅れるということになりますれば、勢いその地帯の人たちの利益が確保されないというふうなことになるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/23
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024・清澤俊英
○清澤俊英君 それは確かに利益が中心になつた法案でありますから、そう反対する場合はたくさん出て来ないと思うのですが、戦争後食糧増産等のことを中心として、相当我々が見ても、これらを防災保安林として残すべき場所が相当地域開墾等をせられて、非常にまずい開墾等がせられておる。こういうようなものを仮に計画としてそれを再び防災保安林を造つたほうがよかろうと、こういうような計画がそこにできますと、ここにもう食違いができます。そこが私有地であります場合には、そういうような場合のこれに対する強制措置がこれには余りないようですが、こういう場合に対するやり方はどうするのであるか、こういうことをお伺いしているのです。これは実際問題として相当広い範囲で個人の私有地と何か食違いを来す場合が相当私はできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/24
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025・庵原文二
○説明員(庵原文二君) 事業の執行につきましては、先ほど申上げましたように、それぞれの特別な法律で行うことになるのでありますが、この法律に基きます農業振興計画を立てます際に、県知事が立てるわけでございますが、関係の市町村の意見を十分に聞きまして、その上で反対のあるものはいろいろ調整するとか、或いは除くとかいつたようなことをやりまして、その上で計画を都道府県において立てる。そうしてきまりましたものを農林省へ、政府へ出しまして、そうして政府で更にこれを調整いたしまして、予算措置、或いは金融措置等を講ずるということになりますので、事業の前提になります計画が政府に提出されます前に、できるだけそういうような問題は処理されるのではないかということも考えます。なお詳細ないろいろそういう問題につきましては、それぞれ土地改良法等の適用によりまして、これが解決を図つて行くということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/25
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026・清澤俊英
○清澤俊英君 くどいようですが、折角これだけの単独法を出して、海岸砂丘地帯の防災、保全と、なお積極的な開発と振興を図る、これだけの計画をしておられるが、又大分最近などは松林など不足しているために、相当有力の保安林地帯と思われる所をどんどん伐つておりますけれども、事実伐つているのであります。これらは残しておいたほうがよかろうと思う所を非常な大木を伐り倒しているというような場合に、実際の問題としてそういうものか等閑に付せられれば、次の災害を受ける危険がある。だから新らしく海岸防災林や防潮林を作るということも必要であるが、今現在あるそういつたようなものを保全するということも私は非常に重要だと思つている。それに対して一つも何らかの措置が講じられてなく、そこに、自己の所有地にある林だからといつてぶつぶつと伐つて行かれたら、右のほうでは非常に條件の悪い所でその災害の防災の造林を行い、左ではどんどん有効なものを伐つて行くというようなことでは、これはいたちごつこになるが、それらの点の考慮が非常に足らんと思うが、何かこれに対する補足をおやりになるお考えがあるか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/26
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027・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) この海岸砂地地帯農業振興法案それ自身には、今御指摘のようなものはまだ入つておりません。併しながらすでに御承知の通り森林法が改正されまして、その改正の際に、海岸防災林等は皆それぞれ保安林に指定になつておるはずであります。保安林地区に指定されましたものに対しては、その管理、経営については国の基本計画に基いて適切なる処理が行われることになつておるのでありまして、濫りにこの極端な伐採等が行われることは森林法において十分規制されておるはずでありますので、その点はそういうことはなかろうかと私は思うのでありますが、事実清澤さんの御指摘のようにそういう場所も相当あるということを伺いますと、甚だ残念に思いますが、その点は別途森林法による規定によつて、森林法を実施する段階において忠実にこれをやるということになりますれば、それらの弊害というものは相当程度救われるのではないか。この海岸砂地地帯農業振興法案にこうした森林法と抵触するような制限規定等を入れることは、これは蛇足ではないかと私は思うのであります。又別な問題としてこれは当然解決するように努力しなければならんと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/27
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028・宮本邦彦
○宮本邦彦君 細かいことを承わるのですが、今までの単行法は、これに似たような単行法で湿田単作地帯、急傾斜地帯というのは五カ年になつておつたのですが、これもこれらと同じような事業をやる法案でありますけれども、工事が主体になつておつたら、予算さへつけば五カ年ということも考えられるのですが、この法案は防災林というようなものがあるのですが、海岸のような、あういう木の育ちにくい所で七年間ということで一応の目的が達せられる年限でございますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/28
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029・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 七年であの條件の悪い海岸の所に対して立派な海岸林が造成されるということには実は参らないのであります。七年ぐらいの間に先ず植栽を完了するという建前でございまして、その事後の処理につきましてはやはり森林法によつての管理、維持、培養が十分承け継がれる。この特別な措置を待たずとも、先ず海岸地帯に対して植栽すべき所に対してはことごとく植栽をする、そうしてその後に対しては適切な管理、経営は別途これを考慮して行くということにいたしたいという考え方であります。正直なところを申上げますと、本当は七年ぐらいでは徹底を欠くので、もつと長くというようなことも考えたのであります。ただ農業振興の他の法案等の事例がありまして、余り極端に長いことはいけないので、これは七年ということに相成つたわけであります。その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/29
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030・宮本邦彦
○宮本邦彦君 今野原提案者から森林法その他によつてそういつた維持、管理の団体に維持してもらう、そういう措置を講ずるというお話でございますが、森林法ではこれを保安林に指定すれば、維持、管理の費用を負担して維持、管理しなければならないという義務がないように思うのですが、これは別途何かお考えになるという意味なんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/30
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031・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 保安林指定地区になつたものに対しましては、その指定の條件によりますけれども、その必要があれば維持、管理のための国家の補助金等が出し得るという途が開かれておるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/31
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032・宮本邦彦
○宮本邦彦君 それから今の問題と関連はないのですけれども、今の問題とは別問題なんですが、気のついたところをお尋ねしたいと思うのですが、この資料でお配りして頂いた「海岸砂地地帯農業の特質と振興の意義」というのがこの資料の中に出ておるのですが、米穀増産量六十二万石、麦類増産量七十三万石、木材蓄積量八十六万石、こういう目標が出ておるわけなんです。これらの地帯が開発されて、こういつた生産のあがるということは非常によいことで、特に食糧増産という問題に大きく寄与するということに対しては、事業の大事なことを裏書きするようなものですが、ただこの事業を達成するために実際にできなければ困るので、その点について二、三伺つてみたいと思うのです。
提案者の御説明もありましたように、この地帯は非常に遅れておる、後進性ということを御説明になつておられるわけなんですが、こういつた後進性の所では、事業を執行するために地元負担のあるような事業はなかなか伸びにくいのではないか、そういうことを考えますというと、又もう一つこういう事業を行うところの地帯の人たちが非常に零細農家、或いは漁業なんかとの兼業農家である、いずれにしても零細農家であり、地帯は後進地帯であるというようなことを考えますというと、ここに掲げられたような目標を達成するためには、従来のこの畑地潅漑或いは潅漑排水事業、農地の造成、客土、区画整理、農道、農地保全事業、溜池、こういうふうに主要事業が掲げられてあるのでございますが、こういうものに対して従来のような補助金といいますか、補助率程度では非常に振興がむずかしいのではないかということが考えられるわけですが、こういうものに対して補助率或いは金融の途とかいうようなものを別途にこの事業を促進されるために従来よりも特別な扱いとか、或いは幾らかでも補助率を高くするというようなことをお考えになつておいでになりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/32
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033・庵原文二
○説明員(庵原文二君) 従来補助率につきましては、海岸防災林は五分の三補助でございました。他の一般の施設に比べましてそう低い補助率とは言えないのでございます。二十八年度等におきましても、農林省といたしましては補助率は大体この程度でやつて行きたい。ほかの事業にしましても、補助率はこの法律施行後におきまして、特別な事情が出れば又できるだけ引上げよう、考慮するということでございまして、一応現行の補助率を以て実施したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/33
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034・宮本邦彦
○宮本邦彦君 農道については、急傾斜地帯の場合には積雪寒冷地帯とは補助率が変つておるわけなんです。で、この場合はどつちをとられるか。まあ私の心配するところは農道でなくて、むしろ潅漑或いは畑地潅漑、この施設のほうが従来の補助率ではちよつとむずかしいのではないかということが考えられるわけなんです。ということは、従来は比較的こういう施設をやる所が肥沃ないい耕地だつたのです。ここでは非常に瘠薄な耕地であり、而も潅漑用水だとか、或いは用水量あたりか非常に余計要る所なんです。従つて場合によつたらこういうものにむずかしい問題が出て来るのじやないかということが考えられるわけなんです。それで私のそれは考え方なんでございますが、取りあえず農道はどつちをおとりになるか、それから畑地潅漑、潅漑排水事業、これは従来の積雪寒冷地帯と同じような補助率でおやりになるかどうか、ちよつと承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/34
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035・庵原文二
○説明員(庵原文二君) 現在砂丘地帯におきます畑地潅漑につきましては、全国で二カ所実施中でございますが、これはやはり一般の畑地潅漑と同じよりに大体四割の補助率で実施いたしておるわけでございます。併し御指摘のように砂地地帯におきます畑地潅漑は非常に工事費等が高くつきますので、これは将来におきましては相当考慮する必要があるというふうに考えております。なお農道等につきましては、これは急傾斜は御承知のように相当高率の補助をいたしておりますけれども、砂丘地につきましては急傾斜地ほど工事費が高くはかからない、又工事の内容としても急傾斜地に比べては比較的容易ではなかろうかというふうに考えております。大体只今のところは雪寒地帯などと同様の取扱をして参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/35
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036・宮本邦彦
○宮本邦彦君 農林省で和歌山ともう一県どこか特別に防災の費用で以て溜池を作つておられます。これは六割五分の多分補助金が出ているのじやないかと思います。こういうような単独法案というものは、特殊事情の地帯を活かすための法案なんだから、必ずしも前例といいますか、そういつたものにとらわれずに、折角特殊法案が出るわけなんですから、この法律の内容を本当に活かすように事務的に一つ御研究願いたい。で、事務当局案が出てしまうと、どうもそれをひつくり返すことはむずかしいのです。これはこの前岡村先生と二人で大分大蔵省に当つたのですが、積雪寒冷地帯の農道が二割になつておる。そのために急傾斜地帯の法律案が大蔵省へ参りましたところが、実際に補助率が二割じやまずいということはよくわかるのだ。けれども前の法案が二割であり、農林省当局も大体四割と言えばそれでいいじやないかということを言つておられた、だから急傾斜地帯も四割でなきやちよつと困るのだと、こういう話であつたのです。これは全く理由のないところの、事務当局案が初め四割で出された、だからもうそれで我慢してくれ、それ以上はちよつと困るんだというような大蔵省の話だつた。それで岡村先生と私と、それからまだ玉柳先生も行かれた。それから三橋先生も行かれたのですが、資料を持つて行つて、まあ四割では困るんだという説明を大蔵省へしたのです。なかなか五割の線まで持つて行くことが困難でしたが、最後に事情がわかつて、特殊なものは五割まで出しましようという話になつたのです。で、事務当局がそう余り簡単に案を出されてしまうと、どうもそういう面で前例々々ということできまつてしまう傾向が多分にあるのです。前例できまるなら何も特殊法案を出す必要もないような私気がするのです。特殊法案というものは特殊法案の性格をはつきり現わすように事務当局でも一つお考え願いたい。これは希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/36
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037・清澤俊英
○清澤俊英君 今の問題ですね、この計画に対する予算の裏付はこういう将来の法律によつてと、こうなつているのですがなあ。今おつしやる通りだろうと思うんだ。それとこの予算の関連がどういうところにあることになるのですか、予算関連が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/37
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038・庵原文二
○説明員(庵原文二君) 予算につきましては、特殊立法についての勘定の別枠というものは特に設けてございませんが、土地改良費とかその他の経費につきまして、雪寒分幾らとか、或いは急傾斜分幾らとかいうような内訳の形で明示してございます。紐付きと申しますか、そういつたような形で内容は非常にはつきりいたしておるのでございますが、会計法上の款項目におきましてはつきり特殊立法別に起してあるわけではございません。それから海岸砂地地帯、この法律の関係につきましては、これはまだこれに伴う予算というものは、勿論法律も成立いたしませんので、はつきりしていないのでございますけれども、二十八年度におきまして、砂地に関連のある費用といたしましては、海岸防災林或いは畑地潅漑、或いは開墾建設というようなものを全部合計いたしますと、約三十四億の国費が国会に提出されてございます。このうちで海岸防災林等につきましては、全部がこの法律によりまして指定される所に実施されるということになるのでございますが、畑地潅漑或いは開墾建設事業というようなものは、このうちの幾らがこの法律に基く指定地帯に投ぜられるかということは、只今の段階でははつきりいたしておりません。審議会等が成立いたしまして、地帯の指定が行われ、それに基く事業計画が樹立されましてから、これに応じた配分が行われるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/38
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039・小串清一
○小串清一君 この法律は非常に幅のある、そうして長い月日を要するものと思うのですが、これを臨時措置法というような意味でなく、本当の永久にやるところの法に直す必要がありやせんか、これは提案者に伺います。尤も臨時というのでも長くやつて行つてもかまわないでしようけれども、とにかく非常に幅のあるものだと思いますが、お考えはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/39
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040・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 非常に幅のある問題であり、又相当長期間に互つて農業振興をしなければならんような地帯の、又そういう施策でもあるわけであります。併しながら我々といたしましては、立法の立場においていろいろ検討いたしました際に、これを恒久的なものとして行うということになりますと、おのずから又土地改良法であるとか、或いは又今度今考えられております食糧増産のための促進法であるとか、いろんなものとの関連もございますし、こうした海岸砂地地帯を特に取上げるという点において何か特殊な事情というものを果して十分盛込めるか否か、問題になつて参ります。そこでこれのよし悪しは別にいたしまして、最近積雪寒冷地帯振興法案やら、或いは又急傾斜地の問題であるとか、或いは特殊土壌、或いは湿田単作といつたような一連の特殊な事情を考えて、その地帯における農業振興の問題を扱わんとしたまあ特殊立法がなされたわけであります。それと同じような意味においてこの法案を考えたのでありまして、それにつけても従来それらのものがおおむね三年或いは五年というような、大体五年でありますが、時限法でありますが、これを永久的なものということにも行かない事情がありますので、海岸林を造成するというような特殊な事業であります点を考えて七年といたしまして、一応その期間内に急いで海岸林の造成を行う、十分海岸林としてまだ機能を発揮するまでに至るまでの成長は勿論できませんが、植栽だけは少くも完了する、或いはその背後地帯における農業改良事業等も行うということで、その後は各種の基本法によつて処理できるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/40
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041・小串清一
○小串清一君 それでこのことについては、実は神奈川県の海岸で、もうそれに着手をしてから非常に成功している所は五、六十年たつているのですが、海岸の砂が始終飛散して、あちらにも砂丘ができ、こちらにも砂丘ができる、そういうときに海岸に垣根を作つてそうして松を植えたのですな。初めはどうも失敗していけなかつた。けれども、二、三十年あとからそれがだんだん成功して、今日ではあそこの海岸二キロ半くらいありましたかな、海岸道路を一本その真中に赤土を盛つた道路を作つて、現にアメリカ軍の演習地になつたりして、あそこは三万町歩くらいあるでしようが、今別荘地帯として非常な値打が出るようになつたのです。けれどもそれをやつた先生はもう死んでおりますが、殆んどそういうどこの補助ももらわないで苦心して成功したのです。それで今でも道路がある、その道路の先のほうへ、又海のほうへやつているのです。それが大風でめちやめちやになることもあるけれども、又成功することもある。従つてこういう法律は非常にいいことなんですが、とにかく七年か十年というのはその事業がこれは見込があるとかないとかいう見通しはつくけれども、どうしても三十年くらい見ておかなければならん。併しそういう所ばかりじやない。中には砂に囲まれていて、そうして砂を少し防ぐと水田もできるし、或いは畑地潅漑のようなこともできるだろうが、とにかくその代りに私は資金の融通を、まあこの委員がおれば委員が調べて、そうして資金の融通をしてやれば、そう補助金を余計にやらなくてもできると思うのです。それから又同時に官有地であれば、その土地をつまりその骨を折つた報酬にくれてやるとか何とかいう規定もこの措置に加えて、そうして少し長年月に亙り、又幅のある仕事であり、それから畑地のようなものにもなり、海岸砂防林にもなりするから、そういう融通の利くようなふうにしたらどうか。これは非常にいい法律だが、私は自分の長年の経験からすると、そういうことを考えているのですがね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/41
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042・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 大変積極的な御意見でございまして、非常に敬服するわけでありますが、一応先ほど申しましたような趣旨で、海岸砂地地帯に対する基本的な作業である防災林の造林と植栽というものが一応の段階に達し、それから又その背後地帯の農業地帯が客土或いは又潅漑事業その他の作業が総合的になされるというようなことが、これを努力さえすれば七年間で先ず完全とまで行かなくても十分やり得るのではないか。これをやつたあとにおいては、やはり海岸の保安林に対して森林法というものを適用する必要もありますし、又土地改良等においては改良法もある、それらの基本法によつてこれらを維持培養する、或いは管理経営するということで行きたいと考えております。又海岸林等については、特に指定されました所が国有地であるというふうな所に対しましては、この法律にも規定がございまするが、その事業に必要な普通財産を無償で貸付けするとか、或いは又譲与することができるというふうな規定もございまするので、これを真に立派な防災林として維持管理した団体、地元等に対しましては、その労に報いるというような措置もおのずからこの法律によつてなし得ると考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/42
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043・小串清一
○小串清一君 それでもう一つ、資金の融通ですな。これもやはり二十年賦とか三十年賦とかいうような融通の利くような、今の農林中金でやるか、どういうものでやるのか知らんが、資金の融通の面を非常に幅の広いものにしなければ面白くないと思うのだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/43
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044・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) これは農林漁業金融公庫法案の際に恐らく御審議を頂いたことと思うのでありますが、すでに農林漁業資金融通法によつてもうすでにやつておりますのは、造林に対しましては、二十五カ年間という非常に長期の低金利による貸付がすでに行われておるわけであります。又土地改良等におきましても、十五年の一カ年据置でありましたが、今後公庫法の改正によつて二カ年据置で十五年の年賦というような措置がすでに資金融通においてはできる途があるのでございます。この法案の趣旨から考えましても、それらの農林漁業金融公庫の融資の対象としてこれは当然考えられるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/44
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045・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 他に御発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/45
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046・宮本邦彦
○宮本邦彦君 もう一点だけ、この第一條の「総合的に実施することによつて、」という字句があるのですが、何か具体的に従来も総合的に計画を立てるというようなことが各単独法案で考えられておるのですが、実施するという何か特別な具体的な方向が、腹案でおありならちよつと御発表願いたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/46
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047・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) 只今の宮本さんの御質問でございますが、この法案の特色とも申すべきものは、この海岸砂地地帯に対しまして「造林事業及び農業生産の基礎條件の整備に関する事業をすみやかに且つ総合的に実施する……」と、この表現で現われておる通りでありまして、従来ややもすると、海岸砂地に対しまして防災林の造成というと、これは林野庁所管の仕事であつて、あえて背後地の農業生産性を高める云々ということは、それは大きな大目的ではありましても、相互の関連性を十二分に持つたとは思えないのであります。又これらの海岸砂地地帯、いわゆる砂丘地に対しましての農耕の技術の問題、土地改良の問題等も、それが海岸地帯の砂防林を造成すると併せて考えるというところまで相互の関連性を持たなかつたところに、甚だ徹底を欠いておつた面があつたのではないか。そういうことに対しまして、我々は今までの行きがかり等を一切捨てて、林業の立場、農業の立場、まあ農林省の立場において、林野庁或いは農地局、或いは農業改良局等が一体となつて農業生産のための、或いはその土地に住む多くの農民の生活の安定と向上のために施策するというところにこの法案の特色があると、かように考えるのであります。具体的な実施の方法等につきましては、すでにこの法案の中にも謳われておる通りでありまして、第五條のいろいろ考えておる農業振興計画の内容というものをお考え頂くならば、これらの振興計画の事項として組まれたものをこの法案によつて確実に行うわけでありますから、それらの相互の総合的な計画というもので、この法案の持つ意義と内容というものが十分御承知頂けると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/47
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048・宮本邦彦
○宮本邦彦君 提案者の御説明で大体わかりました。この総合的に実施するということが最も私も大事なことのように思うのですが、御存じのように、最近の官庁の組織は非常に細分化されおりまして、なかなか横の連絡ということができにくい実情にあるときに、総合的に実施するということが法案の第一條に掲げられておるということは、今までの行政官庁の非を補う意味においても非常に私いい行き方だと思つております。ただ問題は、この法案を実施するものは末端であり、その末端は地方庁であります。その地方庁における運営が、この法案のように運営させるように御考慮あることを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/48
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049・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 別に他に御発言ございませんでしたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/49
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050・岡村文四郎
○岡村文四郎君 なかなか困難な事業で、これを積極的にやろうとするのは容易なことでないと思うのですが、そのうちで最も大事なことがございます。どうもこれはわからないのですが、砂丘地帯の水の問題で、砂丘地帯に嫁やるなとまで書いてあるそれは労働が激しいために人間の命を短くするので、嫁にやるなとまで書いてあるのであります。これは金がかかるのでありますが、それをやれば本当に活きたものができると思うのですが、そういう潅水施設というものは、これは井戸や溜池にあるやつを桶に汲んで担いでやるように書いてありますが、こやしならそれでもいいが、本当に外国でやつているようにずつと水を流すような計画があるのかどうか。それをやつてみて、その成績によつてこれはやらなければならん。そこの地帯にふさわしい作物を植えると、法外もなく穫れると思うのであります。そこまで一体今考えておらんのか、ただ単に少しよくして行こうというようなお考えなのか、私の今申上げまするように、動力で水を上げてどんどん流すというようにやるおつもりか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/50
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051・野原正勝
○衆議院議員(野原正勝君) どのようにして行うかというような問題につきましては、この法案が成立した後にできる審議会においていろいろ検討される事項でございます。併しながら我々の考えまするのは、単にこれはいくらかよくなるだろうというような消極的なものであらしめてはならないと、まあお話のように、思い切つて潅漑などを積極的にやつて、そのことによつて、まあ比較的気候或いは地勢には恵まれておるはずでありますから、この海岸地帯の今までの低い農業生産というものを、これを思い切つて高めて行くということによつて、各種の農産物が非常な増収を期待できるのではないか。鳥取大学ですか、あそこの研究などによりますと、実は非常に面白い結果が現われて来ておるので、まあ少くとも二倍穫れるというようなことで、いろいろ我々実は海岸地帯に対しましては新らしい分野を開くというような意味において、非常な希望を持つておるのであります。どの程度まで食糧増産が可能であるかどうかは、これは相当やつてみなければわからんことでありますが、我々といたしましては、海岸地帯は山奥の開拓とは違つて、やり方によつては相当大きな増産が期待できるであろうということを私どもは確信をしておりますので、積極的な施策を行うように努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/51
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052・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 他に御意見ございませんでしたら、本日はこれで散会いたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/52
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053・山崎恒
○委員長(山崎恒君) 御異議ないものと認めます。
当法案につきましては、大体御意見も出尽したように思いますが、でき得ますれば、明日討論採決に持つて行きたいと存じますが、さような点で一つ御勉強願いたいと思います。
これを以ちまして、散会いたします。
午後三時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101514988X02219530223/53
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