1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月二十二日(月曜
日)
午後二時開会
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出席者は左の通り。
委員長 岡部 常君
理事
長谷山行毅君
鬼丸 義齊君
委員
郡 祐一君
中山 福藏君
宮城タマヨ君
齋 武雄君
政府委員
法務政務次官 押谷 富三君
法務大臣官房調
査課長 位野木益雄君
法務省保護局長 齋藤 三郎君
法務省人権擁護
局長 戸田 正直君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 眞道君
説明員
最高裁判所長官
代理者
(事務総長) 五鬼上堅磐君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局総務
局第一課長) 桑原 正憲君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局人事
局長) 鈴木 忠一君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局人事
局給与課長) 守田 直君
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本日の会議に付した事件
○検察官の俸給等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣送付)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣送付)
○戦犯者釈放に関する請願(第八九
号)
○福島県石川町に簡易裁判所設置の請
願(第一五九号)
○東京拘置所拘留被告に対する人権じ
ゆうりん問題に関する請願(第四六
八号)
○戦犯者の釈放等に関する請願(第七
二二号)(第七二三号)
○青森県大湊簡易裁判所存置に関する
請願(第九三二号)
○大分家庭裁判所新築に関する請願
(第九四八号)
○鹿児島市に福岡高等裁判所支部等設
置に関する請願(第一〇〇九号)
○国民指紋法制定に関する請願(第一
〇七一号)
○大阪府布施市に大阪地方裁判所支部
設置の請願(第一二六三号)
○戦犯者の釈放に関する陳情(第六八
号)(第九四号)(第一二号)(第
二〇六号)
○死刑撤廃に関する陳情(第六九号)
○戦犯者の釈放等に関する陳情(第八
九号)(第二五三号)
○戦争宣伝禁止法制定に関する陳情
(第一二三号)
○戦犯者の減刑等に関する陳情(第一
九九号)
○戦犯者の助命等に関する陳情(第二
九四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/0
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001・岡部常
○委員長(岡部常君) これより法務委員会を開きます。本日は前回に引続き法務大臣に対する質疑を行う予定でございましたが、質疑者の都合によりこれは更に次回に延期いたしたいと思います。法律案の審査を先ず行います。
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、以上一案を便宜一括して議題に供します。両案につきましてはすでに提案理由の説明は聴取いたしておりましたが、なお政府委員より詳細説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/1
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002・位野木益雄
○政府委員(位野木益雄君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、この大綱につきましてはすでに提案理由で説明がありましたので、法案の順序に従いまして逐條的に御説明いたします。
先ず裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、これについて御説明いたします。
これの第一の改正点は第九條中第一号から第十八号までを第一号から第十六号までに改めている点であります。第九條におきましては、認証官以上の裁判官の俸給及び退官手当以外の給与につきまして、特別職の職員の給与に関する法律第一條の第一号から第十八号までに掲げてあるものの例に準じて支給するということを規定いたしているのでございます。ところがこの特別職の職員の給与に関する法律に改正がありますので、これに伴う法文の整理をしたものであります。これを少し詳しく申上げますと、この法律の第九條の第一号から第十八号までには特別職の中で常勤になつておる職員が掲げられていたのであります。ところが去る第十三回国会におきまして行政機構の改革に伴う法律の改正がありました結果、この特別職の中の常勤職員は第一号から第十七号までになつたのであります。そうしてこれまで第十八号に掲げられておりました秘書官は第十七号になつたのであります。ところが今国会に提出中の特別職の職員の給与に関する法律の改正案によりまして、特別職中の秘書官については他のものと異つた取扱をなされることになつたのであります。というのは、勤勉手当が支給されるということになつたのであります。その結果他の常勤の特別職の職員と異つた取扱がされることになりましたので、これを除外して第十六号までといたしたのであります。これが第一の改正点であります。
次の改正点は第九條中、「及び夜勤手当」を「夜勤手当及び宿日直手当」に改めている点であります。これは今回一般職の職員に対して新たに宿日直手当が支給されることになつたのでありますが、裁判官に対してはこれを支給しないことを定めたものであります。従来一般職の職員の宿直又は日直勤務に対しましては、超過勤務の一種として手当が支給されていたのでありますが、この方法は必ずしも実情に適したものでなかつたので、今回一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案におきまして、新たに宿直手当の制度を設けまして、宿直手当として一回につき三百六十円を越えない範囲内の金額を支給することなつておるのであります。併し裁判日の宿直勤務又は日直勤務に対しましては、従来も超過勤務手当は支給しない建前になつております。即ち本俸の中に織り込んであるという建前でありますので、これと同様、宿日直手当も裁判官に支給しないといたしたのであります。なお、一般職の職員等につきましては、今回の給与法の改正によりまして、期末手当、勤勉手当の制度が設けられました。これは裁判官についても適用されるのでありまして、最高裁判別長官及び認証官たる裁判官を除くその他の裁判官に対しましては、一般職の職員と同様期末手当及び勤務手当は別に支給されるのであります。それから最高裁判所長官及び認証官たる裁判官に対しまして、秘書官以外の常勤の特別職の職員と同様期末手当のみが支給されることとなるのであります。
なお、このほかに今回の一般職の職員の給与法の改正法案におきまして、一般職の職員中、管理又は監督の地位にあるものについて俸給の特別調整額を支給する制度が設けられることとなつておりますが、この調整額は超過勤務手当の予算の範囲内で、これに代るものとして支給される建前になつておりますので、現在のところはこれを裁判官に対して支給する措置はとらないことになつております。
次は、第十五條中の金額の改正の点であります。この第十五條は判事補及び簡易裁判所判事の、いわゆる特号の俸給月額について定めたものであります。この特号は御承知の通り別表の俸給表に定められているそれぞれの最高俸に達して、相当の年月を経過している等の理由から、この特号では不適当と認められるものに対しまして、特に支給される俸給額を定めたのでありますが、今回のベース・アップによりまして、別表と同様にその額を引上げようとするものであります。この増加の率は別表のそれと同様であります。
それから次は別表の俸給額の改正であります。この俸給額の増加の比率は二割一分八厘から三割八分までとなつております。一般職の職員のこれに対応する俸給月額の増加比率と同様であります。この詳細はお手許にお配りしてあります参考資料の第一の表を御覧頂ければわかります。ただ現行の俸給表の号俸の中には、これに対応する一般職の職員についての号俸がないものがあり、そのために正確に比較がとれないものがあるわけであります。併しながらこれも一般職の職員の俸給の近似のものと大体同じ率で増加しておりますので、全般的に申して増加の比率は一般職の職員についての場合と同じであると申して差支えないのであります。
それから次に附則でありますが、附則におきましては、この法律の施行期日及びその他の必要な経過規定を定めております。第十五條及び別表の改正規定即ち報酬月額の改訂に関する規定は昭和二十七年十一月一日に遡つて適用するということになつております。これは一般の政府職員の場合と同じ取扱いなのであります。なお今回の裁判官の給与の改訂に伴う所要経費の増加額は、本年度即ち来年の三月三十一日までの分は約二億四千二百八十四万円でありまして、別途国会に提案しております補正予算に計上されております。
次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申上げます。この法律案も大体今御説明申上げた裁判官の報酬等に関する法律の改正部分と同じであります。先ず第一の改正点は第一條の改正でありまして、「第一号から第十八号まで」を「第一号から第十六号まで」に改めるという点と、「及び夜勤手当」を「夜勤手当及び宿日直手当」に改めるという点は、先ほどの裁判官の報酬法の九條の改正点と全く同じであります。
それから第九條中「五万円」を「六万九千円に、」「一万八千二百円」を「三万八千八百円」に改めるという点でありますが、これは検事及び副検事のいわゆる特号の俸給月額の改正であります。この特号の俸給月額の増加比率は裁判官の場合及び別表の増加率と同じであります。
次に、別表の俸給月額の改正点でありますが、この増加比率も裁判官の場合と同じことが言えるのでありまして、二割三厘から三割八分までの改一訂率となつております。附則の規定も裁判官報酬法の改正法案のそれと同様で参ありまして、今回のペース・アップによる検察官の給与の増加額は今年度約一億五千四百五十二万円でありまして、これも同様補正予算に計上されております。
以上で説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/2
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003・岡部常
○委員長(岡部常君) 両案について質疑に移りたいと思います。御質疑のおありのかたはどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/3
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004・中山福藏
○中山福藏君 これは何ですか、第十五国会提出といういわゆる法務省から出たこの参考資料、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給に関する法律の一部を改正する法律案参考資料といううちに掲げてある裁判官の報酬に関する法律という法律からこれは割出してあるのですか、今別表と申しますのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/4
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005・位野木益雄
○政府委員(位野木益雄君) 今御指摘になつた裁判官の報酬等に関する法律、これは現行法であります。この現行法の別表、これの金額を改正するというのが法案の要点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/5
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006・中山福藏
○中山福藏君 そこで一つお尋ねしておきますが、裁判官の報酬等に関する法律の第八條に「裁判官の退官手当は、一般の官吏の例に準じて最高裁判所の定めるところにより、これを支給する。但し、弾劾裁判所の罷免の裁判に因る退官の場合には、これを支給しない。」これは何ですか、これは今度の改正俸給についても同じ取扱いをなさる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/6
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007・位野木益雄
○政府委員(位野木益雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/7
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008・中山福藏
○中山福藏君 そこでお尋ねいたしますが、「弾劾裁判所の罷免の裁判に因る退官の場合には、これを支給しない。」というのは、いわゆるその罷免の原因が生じた以前の裁判官の功績に報いるという意味においても、それまで支給してやるのが当然であり、又常識的であると考えますが、この罷免の原因のあつた裁判官には前後を通じて全然一厘も退官手当は支給しないのは不合理ではないですか、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/8
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009・位野木益雄
○政府委員(位野木益雄君) 御指摘のようにも考えられますが、併し今までの退官手当の支給の建前は一般職の官吏の場合にも、例えば懲戒免職された場合には支給しないというようなことになつておりますので、そういうような建前に鑑みまして裁判官の罷免の場合にも退官手当は支給しないというような建前になつておるのであります。ただ御指摘のようなこともありますので、これは将来研究する余地はあるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/9
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010・中山福藏
○中山福藏君 私は過去に囚われずに、すべて合理的に物を判断するということが時勢の進運に対する有識者の当然の持つべき考え方でなくちやならないと私は思う。ですから仮に懲戒とか弾劾裁判所の罷免の理由が発生したと言つても、それまでに真面目にやつて来た期間に対する報酬というものは、これは私は当然払うべきものではないかと思う。従来かくの、ごとき態度をとつておつたからということだけで、それをただ不問に付するということは、これは私は時勢に副わない規定ではないかと思う。一応一つ御研究を願いたいと思う。かように思つております。
それから更に一つお尋ねしておきますが、勤勉手当というのは、もう少し詳しく御説明して頂きたいと思います。勤勉手当というのは、一体誰があの勤勉手当なるものをきめるか、これは裁判所直属の長官、或いは最高裁判所がおきめになるとは思いますが、勤勉というのはどういう労務の提供を指して勤勉と言い得るのか、それは普段の仕事の以上に超過した部分をやつたので勤勉と認めるのか、その範囲を一つ明確にして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/10
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011・位野木益雄
○政府委員(位野木益雄君) この勤勉手当というのは、今度の一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の第十九條の五という條文に規定されておるのであります。これを見ますと、「勤勉手当は十二月十五日に在職する職員に、その日以前十二月以内の期間におけるその者の勤務成績に応じて、その日に支給する。」というふうになつております。そして二項になお詳細のことが規定してあるのでありますが、大体従前賞与というものがございましたが、そういうものに似た手当でありまして、過去一年間の間における勤務成績に応じて支給するという建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/11
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012・中山福藏
○中山福藏君 この勤務成績というのは裁判所に限つては非常にこれはむずかしいものだと私は考える。事件の難易軽重によつて結果が現われて来る。そうしてただ統計的に数を稼ぐということになりますれば、これはむやみやたらに判決をするとか、或いは判決に類似の裁判処分をするということで統計に現われて来たのがこれは特別に勤務をやつたということになりますと、結果から見て原因を追及して、それによつて勤勉手当を与えるということになりますれば、むずかしい事件を担当した判事さんは、これは馬鹿を見るということになりますね。そういう点はどういうふうに御調整なさるつもりか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/12
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013・位野木益雄
○政府委員(位野木益雄君) 御指摘のように、裁判官の勤務成績は外形的な峯等ではなかなか判断できにくいので非常に困難な点もあるということは十分考えられるのであります。で、この法律の建前といたしましては、この一般職の給与法の建前に準じて最高裁判所が定めるところによつて支給するということになるのであります。その際の基準のきめ方によるのでありますが、この基準も具体的にはなかなかむずかしくて規定しにくいという点が多いと思われるのですが、基準のきめ方及びその適用については御指摘の点も十分斟酌されてなされるべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/13
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014・中山福藏
○中山福藏君 大体これは普通の事務であれば同一の状態というものに対して労力が加つて行く、こういう姿ですね、而してその結果が数の上に、統計の上に現われて来る、こういうふうになるのです。併し裁判官は一般事務と違いまして、只今申上げたように頗るその間に軽重があるわけです。事務の範囲並びにその事務の内容というものに……。従つて一般の法則というのか或いは基準というのか、その場合に限つては適用することが不合理じやないかと私は思う。裁判所というものはすべて合理的に行くのが裁判だと思うのですがね。それをそういう単純なことで勤務手当を、勤勉手当というのですか、これを支給するということが確立されて皆さん御不平はないのですかね。これは裁判官として割切れる立場をとられなければ、一般規則がこうたつておるからということじや、余りに単純過ぎやしませんですか。そういう考え方はどうなんですか。特別の措置に関する何か規定というものがなければならんと私は思う、裁判官に限つて或いは検事に限つてはですよ。もう少し工作の方法をとられる必要があるのじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/14
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015・位野木益雄
○政府委員(位野木益雄君) これは一般職の法律のほうでも「各庁の長又はその委任を受けた者が人事院の定める基準に従つて定める割合を乗じて得た額とする。」ということでありまして、この内容は法律としては規定されておらないのです。ですから相当官由一にきめ得る余地があるのじやないかと思います。しかし少くとも例えばその期間公務によらない原因によつて病気になつて殆んど出勤しなかつたというふうな場合には、これは差別を設けても差支ないというふうにも考えられるのでありますが、運用によつてそういうこともやれるのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/15
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016・中山福藏
○中山福藏君 私はこの出欠のいわゆる表に現われたその人の勤務状態とか或いはその統計的に現われた計数の上からの判断じやなくて、裁判官、検事の場立場を考えてみまするというと、非常に普通の一般職の場合における事務とは違つて、その事件の内容或いは事件の起りました後の環境による取調の難易というものが、非常にその人の結果において成績の上に現われて来て、そうしていわゆる勤勉手当というものを支給するということになつた場合に、この点にこれはもう検察庁でも裁判所でも非常に不平が起るだろうと思うのです。ですから私はこれ以上理窟を言おうとは思いませんが、これはむずかしい事件を担当された判検事には気の毒ですから、そういうところの不平の起らないような一つ支給の方法を、支給の準拠というものを確立して御研究になつて置かなければ、折角こういうふうないい規定が設けられても、それは却つているくな不在の起る原因を作るのじやないかと考えますから、どうか一つそういう点を御研究願つてほしい。そうしなければお気の毒です。むずかしい事件を担当されたかたには……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/16
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017・岡部常
○委員長(岡部常君) 御質問がございませんければこの程度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/17
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018・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 丁度齋藤局長が見えておりますので、資料を一つお願いしたいと思います。それは大人に関しても少年に関しましても、施設に収容されております間の一人についての一年間の経費と、それからこの保護観察中に一人について一年間に要する費用を、大体でよろしうございますから、一つ比較して出して頂きたいと思います。それから全国的に保護観察所の助成団体というものができておる所もあるし、できてない所もあるようでございますが、その実情を一つ調査して出して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/18
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019・岡部常
○委員長(岡部常君) それでは質疑を終りまして、次に請願、陳情の審査に入ります。速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/19
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020・岡部常
○委員長(岡部常君) 速記を始めて。只今専門員より説明がございました戦犯者関係の請願、陳情につきまして、政府の所見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/20
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021・押谷富三
○政府委員(押谷富三君) 只今議題となつております戦犯者の釈放等に関します請願、陳情の御趣旨は、政府といたしましても十分了承いたしました。外地にある戦犯死刑囚の助命と、これらの者及びその他服役中の戦犯者の内地送還については、あらゆる機会にその実現を見るよう努力を払つておるのであり、独立後現在までに御承知の通りマヌス島より七名、モンテンルパより二名、合計九名の送還を見たのであります。現在マヌス島に百九十九名、モンテンルパに百九名(内死刑囚五十一九名)、計三百八名が帰国の日を待ちわびておるのであり、関係国の好意ある処置がとらるるよう切望しておる次第であります。その内容は全く不明でありますが、ソ連、中共に抑留中の同胞も相当数に上り、本人はもとよりその家族の悲しみは現在巣鴨及び濠州、比国にある戦犯者と全く同様であり、それを思います時まことに同情を禁じ得ないのであり、人道上速かにソ連、中共の帰還せしむる措置を要望して止まないのでありますが、現在正常な外交交渉によつてこれをなすを得ない関係にあることは御承知の通りでありますが、これ又あらゆる手段を講じて一日も早く内地送還の運びになるよう努力いたしております。
巣鴨にある戦犯者の釈放につきましては、その赦免減刑及び仮出所の勧告を行うことに鋭意努力いたし、現在仮出所適格者の大部分について仮出所の勧告を終了し、各国の同意決定を待望しております。これに対し、米国においては、先般戦犯釈放委員会が設置され、その検討の結果、現在までに計二十五名の仮出所の同意を得られたのであります。然るに米国以外の英、仏、濠、和よりは我国の勧告に対し具体的な回答を寄せてはおらないのでありますが、米国におけるこの動きは、他の関係国にも好影響を与え英国及び仏国からは近く回答が来るものと予想され、今後とも関係国の好意と理解の獲得に全力を挙げて折衝いたしたいと存じます。
なお、かかる個別的な勧告と平行して、政府は関係国に対し全面赦免の勧告を行なつておるのであります。即ち本年七月十四日仏国の革命記念日を期し、仏国関係の戦犯者につき、更に八月上旬にはその他の関係国に対してB・C級全員の全面赦免を勧告いたしました。
更に、今般行われた立太子の国家的慶事に際し、A級を含めた全戦犯者の赦免を再勧告いたしたのであります。この全面赦免の勧告に対しましては、本年十一月十五日インド国政府より、又十二月三日には中華民国政府よりA級戦犯の釈放につき、それぞれ賛成なる旨の通知を受けたのであります。
戦犯受刑者の家族に対しては、特別未帰還者給与法第一條の二によつて未復員者給与法の準用があり、本人に月額千円の俸給と扶養手当及び帰郷旅費が支給されるごとになつております。戦争犯罪者として死刑に処せられた者、又は服役中死亡した者に対する遺族扶助料の支給の件は、厚生省或いは内閣恩給局の所管であつて、適当に考慮されておると聞いております。ただ巣鴨刑務所を管理し、在所者の調査をしている関係から申しますと、巣鴨在所者の受けた判決は、戦争犯罪法廷が特殊な條件の下に行なつたものであり、又本人はすでに長期間服役しており、その間家族の困窮は誠に同情すべきものがあります。これらの事情は、死刑の執行を受けた者八百八十九名、拘禁中死亡した者六十二名といわれているいわゆる刑死者についても同様多数あるかと思われます。これらの事情はこの件を研究するに当つても十分考慮されることは当然であり、その他諸般の必要な事情を考慮して決定せらるべきものと考えます。又無罪でありながら長期に亘つて拘留されていたかたがた、冤罪であるにも拘らず戦犯者として獄舎に幽閉の生活を送らるるかたがたに対して誠に気の毒であり同情に堪えないものがありますが、この問題は平和條約第十一條によつて、いわゆる戦争裁判を受諾いたしております関係上種々困難な問題があるように思われます。慎重に研究いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/21
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022・岡部常
○委員長(岡部常君) ちよつと速記を止めて。
午後二時四十分速記中止
午後三時四十分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/22
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023・岡部常
○委員長(岡部常君) 速記を始めて。
本日はこれを以て散会いたします。
午後三時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515206X00719521222/23
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