1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十日(水曜日)
午前十一時三分開議
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議事日程 第八号
昭和二十七年十二月十日
午前十時開議
第一 国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
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001・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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002・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
この際お諮りいたします。
内閣委員長から、行政機構改革後の地方行政機関の業務運営等に関する実地調査のため、広島県及び兵庫県に上條愛一君、成瀬幡治君、栗栖赳夫君を、本月十一日より二十日までのうち七日間。
文部委員長から、新潟大学の整備統合問題に関する実地調査のため、新潟県に木村守江君、相馬助治君、梅津錦一君、三好始君、岩間正男君を、本月二十日までのうち三日間の日程を以て、それぞれ派遣されたい旨の要求書が提出されております。各委員長要求の通り議員を派遣することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/2
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003・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて各委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。
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004・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 去る三日、内閣 総理大臣から、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員小林孝平君より同審議会委員辞任方申出があつたので、その後任者を指名せられたい旨の申出がございました。
つきましては、この際、日程に追加して、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/4
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005・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認 めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/5
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006・菊川孝夫
○菊川孝夫君 只今の積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/6
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007・相馬助治
○相馬助治君 私は只今の菊川君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/7
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008・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 菊川君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/8
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009・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は積雪寒冷単作地相振興対策審議会委員に清澤俊英君を指名いたします。
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010・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(米価審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/10
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011・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る六日、内閣総理大臣から、米価審議会委員に衆議院議員足鹿覺君、同植木庚子郎君、同川俣清音君、同綱島正興君、同寺島隆太郎君、同三浦一雄君、本院議員片柳眞吉君を仕命することについて、本院の議決を求めて参りました。以上の七君が米価審議会委員に就くことに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/11
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012・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て七君が米価審議会委員に就くことができると議決せられました。
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〔岡田宗司君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/12
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013・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 岡田宗司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/13
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014・岡田宗司
○岡田宗司君 私はこの際、鹿地亘君の拘禁問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/14
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015・相馬助治
○相馬助治君 私は只今の岡田君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/15
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016・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 岡田君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/16
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017・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。岡田宗司君。
〔岡田宗司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/17
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018・岡田宗司
○岡田宗司君 私はここに、最近社会の耳目を動させたアメリカ軍による鹿地亘君の不法逮捕並びに監禁事件につきまして、政府に対して以下数点に亘つて政府の所信を質したいと存ずる次第でございます。
数奇の運命に弄ばれました鹿地亘君は、在学時代、私も彼と共に学生運動を一緒にやつておりました。その後、絶えて久しく会わず、二十数年ぶりで昨夜我が党の代議士猪俣浩三君の宅におきまして彼と会い、本件の真相の一端に触れることを得たのでございますが、私が今ここに彼の身辺に起りました事件を取上げて国会の問題といたしますことは、誠に奇しき縁と申さなければならんのであります。彼が如何なる思想を持ち、或いは又如何なる傾向を持ち、又過去において如何なる運動をしたかということは別といたしまして、今次、彼の身辺に起りました事件というものは、誠に、日本の独立の保持並びに日本国民の人身並びに自由に対する侵害の問題として我々は重大なる関心を払わなければならんものと考えるのであります。
鹿地君は昨年十一月二十五日、神奈川県下鵠沼におきまして、米軍の諜報機関でありますCICの者に誘拐されましてその後一年有余の間、拘禁或いは軟禁の状態の下に置かれまして、数カ所を転々としておりましたが、本月の七日の夜、世間がやかましくなりましたので、遂に都内最後の拘禁の場所からジープで連れ出されまして、彼の居宅の近所の町の中におきまして釈放されたのであります。彼の声明によりますれば、初め、彼が日本共産党員であるとかソ連のスパイであるとかの自白を強いられ、彼らの意図に従つて米軍スパイになるか、それとも誰にも知られないうちに死を選ぶかを迫られたということであります。彼は十一月二十九日には、死を以て抗議するために自殺さえ企てたのでありますが、この自殺に失敗して生きながらえ、それから一年間の拘禁生活が始まつたのであります。その後CICの雇人でありました山田善二郎なる人が、この鹿地君の状態に義憤を感じ、生命の危険をも顧みず本事件を明るみに出しました。又、猪俣代議士の献身的な努力によりまして、遂に米軍も鹿地君を本月七日釈放せざるを得なくなつたのであります。彼の逮捕より釈放に至るまでの詳いし経過は、本日衆議院の法務委員会に証人として喚問されております鹿地君、山田君らによつて明らにされるでありましようが、本事件は、いやしくも独立国においてはあり得べからざる奇々怪々なる事件と申さなければならんのであります。
本月八日、在日米軍司令部のスポークスマンは、本事件に関して、米軍は一九五一年末取調べのため彼を短時間拘禁したが、その後如何なる米軍当局によつても拘禁又は取調べをしたことがないと述べておるのでありまするが、これは全く実際を曲げたものでありまして、単なる言訳に過ぎないのでありますが、如何に打消しをいたしましようとも、米軍が、この鵠沼におきまして散歩中の鹿地君をキツドナツプし、そして講和発効後の今日まで引続き拘禁し続けたものがアメリカ軍の機関であるCICであることは明瞭なる事実であります。CIC即ちシヴイル・インテリジエンスコーアは、その名の示すごとくアメリカ軍の諜報機関で、占領中各都道府県に公然と事務所を持ち、広汎な諜報活動を行なつていたようでありますが、目ぼしい日本人の思想行動の調査をかなり深くやつていたようであります。併し講和の効力発生後も引続き国内に存在し、依然として活動し続けておりまして、鹿地君もそのために拘禁をされたものと思われるのであります如何に占領時代から引続きのものとは言え、今日独立後の日本の国内に他国の軍の諜報機関が公然と存在し、日本国民を対象として活動しているということは、独立国としては断じて認められないことなのであります。アメリカは占領中、我が国の民主化を促進すべく我々に高遠な民主主義の理想を説き、近代的な法治国家たらしむべく努めて来たようでありますし、又、日本との関係を極めて友、好的ならしむべしと強調していたのでありますが、個人の過ちや或いは悪意によつたものではなくて、アメリカの国家機関の一部でありますところのCICによつてかようなことが行われましたことは、以上私が申上げましたアメリカの当時の占領政策或いは対日政策というものが、全く上つ面のことだけで、実は、アメリカが日本を実際には従属国と見、日本の法律を無視し、日本国民の人権を蹂躙して顧みるところがないのではないかと、日本国民に不安と疑惑の念を深からしめるものがあると考えられるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
そこで私は先ず吉田首相にお尋ねしたいのであります。第一に、本事件は明らかに外国が我が国の独立を侵し日本国民の人権を蹂躙し自由を奪うものであるが、首相は本事件をさようにお考えになるかどうか、首相の御見解を承わりたいのであります。第二に、首相は常に日米友好関係を強調し、アメリカの日本に対する友好的態度を非常に感謝しておるのでありますが、本事件は日本を侮辱し、極めて非友好的な態度であるのでありますが、首相は、これを日本に対する侮辱であり、非友好的であるとお認めになるかどうかを承わりたいのであります。第三に、この日本の独立を傷け、日本を侮辱し、日本の国民の人権と自由を蹂躪した事件に関し、首相は独立国家の権威と体面を維持するためにアメリカに対して如何なる措置をとられるか。これをお尋ねしたいのであります。
次に、私は岡崎外務大臣に次の諸点をお尋ねしたいのであります。第一に、外相はすでにアメリカ側に対して調査方を要求されたというのでありますが、それは軍に対してなされたものであるか、又アメリカ大使館に対してなされたものであるか、又その回答はすでに受けられたものであろうか、それらの交渉経過について承わりたいのであります。第二に、講和条約の発効後も依然としてCIC即ちアメリカ軍の諜報機関が公然存続して活動しておるのでありますが、外務大臣はこの事実を認められるのであるか、そして、これは行政協定等によつて政府がその存在、活動を認めているものであるかどうかをお伺いしたいのであります。第三に、外務大臣は本事件に関しアメリカに対して謝罪並びに損害賠償を要求し、又かかる不祥事件が再び起らないことの保障を要求すべきであるが、外相は近くこれを行うつもりであるかどうかをお伺いしたいのであります。
次に、私は、犬養法務大臣にお尋ねしたいのであります。第一に、本件については我が党の猪俣代議士がかなり突込んで調査をいたしまして確実なる証拠をいろいろ握つておるのでありますが、国といたしまして、検察庁並びに国警本部等は、本事件について別に調査しておるかどうか。若し調査をしておるとすれば、本日までにどの程度まで明らかになつたかをここに公表されたいと思うのであります。第ニに本事件はたまたま有力な証人が現われて明るみに出たために大問題になつたのでありますが、果してかかる事件は、この鹿地亘君一人の問題にとどまるのか、或いは他にも類似の事件があつて闇から闇へ葬むられておるということがあるのではないか、かかる疑いが生ずるのでありますが、政府はこれについても調査したことがあるかどうかをお伺いしたいのであります。第三には、講和発効後の今日もなお米軍のCICが引続き公然と活動しておるが、法務大臣はこの事実をお認めになつておるか、又それをどうお考えになるかを承わりたい。第四に、本事件は明らかに日本の独立を傷け、日本国民の人権と自由を蹂躙し、法を無視したものでありますが、法相はそうお認めになられるか。又行政協定によつてアメリカの軍人が区域及び施設内でなした不法行為であるから、日本側は調べるわけにも行かず、又裁判にかけることもできないから、どんなことをされても泣き寝入りをしなければならないものとお考えになるのかどうか。その点を明らかにされたいのであります。
最後に、政府はなお身辺の危険があるとも考えられまするところの鹿地、山田君らの保護につきまして十分なる措置を講じられるかどうか。お伺いしたいのであります。
これを要しまするに、本事件は我々国民を憤激せしめると同時に、非常に不安の念を高からしめるものであります。政府はここに独立国としての権威を保持するために、国民の納得の行くような、しやんとした措置を講じなければ、国民の憤激はいよいよ高まり、不安の念は一層募るばかりでございます。今までのごとく、アメリカに対しましては、ろくに物も言えないようでは困るのでありまして調査中であるとか、善処いたしますとかで、問題の解決を回避し、うやむやのうち過ごしてしまおうという態度は、この際断じて国民の許さざるところであります。
以上の諸点につきまして政府は明確なる御答弁をされたいことをお願いしまして、私の質問を終える次第でございます。(拍手)
〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/18
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019・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 総理大臣に代つてお答えをいたします。
鹿地亘君の拘禁事件は日本の独立を侵害するのではないかという第一のお尋ねでありますが、まだ事実の真相が明らかになつておりません現在、独立を侵害したとかどうとかということは言明を差控えたいと存じております。
次にCICの活動は行政協定において認めておるのかどうかという御質問であります。およそ軍隊が駐留しておりまする限り、軍の安全のために必要な情報活動は当然に随伴いたしまするものであつて平和条約発効後におきましても、米軍の一機関としてのCICは存在しておる模様でありまするが、これは行政協定違反でもなく、独立の侵害でもないと考えるわけであります。
それから次に、政府はアメリカ側に対して今後如何なる抗議、要求をするのか、するつもりかという御質問でありまするが、真相を調査した上でなければ今のところ何とも申上げかねます。(「何だ何だその答弁は」と叫ぶ者ああり、拍手)
〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/19
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020・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。
第一は、米国に対しての調査方等の要求は、軍にしたのか大使館にしたのか、又その交渉の経過はどうであるか、こういう御質問でありますが、米国側に対しましては、大使館にもいたしておりまするし、又直接、軍側にも話をいたしております。今まで国会等に提出されました資料とか、或いは国会内の論議とかを十分先方に伝えまして、この問題が深刻な様相を帯びておることを理解せしめ、速かにこれらの資料に基いて十分なる調査をするように要求いたしております。
なおCICにつきましては、只今官房長官からお答えがありました通りでありますが、講和後におきましては、従来のC工Cは、北海道と東北の一部のほかは、独立した事務所は閉鎖しておりまして、で、これらの部隊は各地の駐屯部隊の司令部の中に移りつつあるのであります。又この事件について米国側に謝罪とか、かかる事件の再発防止とか、損害賠償等もやるかというお話でありますが、これは只今副総理からお答えしましたように、事件の真相が確実に判明いたしますれば、勿論十分なる措置をとるつもりでおります。(拍手)
〔国務大臣犬養健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/20
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021・犬養健
○国務大臣(犬養健君) お答えを申上げます。
第一には、法務当局又は国警当局で鹿地亘君の失綜以来どういう調査をしておつたかと、こういう御質問でございます。御承知のように、昨年の十一月二十五日に失踪されまして、その後今年の十一月十二日に至りまして、奥さんから藤沢市警に手紙で以て、主人の鹿地亘氏が失踪している、捜査してくれという捜査願が出たわけでございます。率直に申上げますと、失綜されましてから捜査願が出るまでに殆んど一年経つておりますのと、普通の場合は、大体奥さんが御自身で悲歎にくれられて、俗に言う駈け込まれるようなことが多いのでありますが、手紙で言つて来られたというので、何か遠慮をされながら、つまり隠密の間に調べてもらいたいというような感じを受けましたものですから、余り露骨な捜査の仕方をして、御本人に或る種の迷惑がかかつてもいけないのじやないか、或いは奥さんと違う意図において、何か失踪というのですか、姿を隠されておるのではないかと、いろいろな想像を実はいたしたわけであります。それで、従つてそういうような心構えで、実は捜査を続けていたことを率直に御報告をいたす次第でございます。そんなわけで、誠に無能と言えば無能かも知れませんが、(笑声)今日まで手がかりがありませんでした。率直に申上げます。ところが十一月の八日朝、警察の者が、かねてから捜査願が出ておられることでありますから、鹿地亘氏の留守宅を見廻りましたところが、奥さんが、昨夜遅く帰つて来た、併し非常に疲れているんで誰にもお目にかかりたくないというお話でありましたので、この事件の性質上、無理に面会を強要するというようなことは遠慮したほうがいいという考えでやつておりましたので、まあ気分の向いたときに、一つ捜査願の出ていたことでもあるし、事情を聞こうというわけで引揚げたわけであります。その後どなたも会つたことがないままの状態が続いておりましたところが、只今岡田君からお示しのありましたように、昨夜、猪俣代議士と面会せられ、引続いて本日、多分今頃、衆議院の法務委員会に出席されて、証人としての証言をしておられるのではないか、こういうことであります。本日の衆議院の法務委員会の御当人の証言の結果、何らかの事実が御当人の口から発せられますならば、これが最も最近における確実な事実の参考材料となりますので、これを根拠に更にいろいろのことを調査いたしたいと考えております。私どもとしては、猪俣氏や岡田さんの言を信用しないのではありませんが、当局の手において調査をいたしまして、その結果、更に処置を講じたいと存じております。仮に不在監禁のような事実がありますならば、外務当局を通じて先方に申入れたいという考えを持つております。
それから第二は、類似の事件がままあるのじやないか——これは十分気を付けて調査をしておりますが、今のところ類似の事件がここにありという材料はまだ入つておりません。併し十分気を付けたいと存じております。
それからCICの活動の問題でありますが、まあ今岡崎外務大臣から答弁せられましたように、CICが駐留軍自体のいろいろの自衛とか、その他の資料収集のために活動せられているものと思うのですが、それが協定以外の不法行為がありました場合は、勿論こちらから厳重な申入れをしたいと存じております。
アメリカの軍人が区域内でやつたことは泣き寝入りしなければならないのかと、こういうお話でありますが、そういうことはございません。違法行為のありました場合は、只今申しましたように、外務省を通じて厳重な申入れをいたしたいと考えております。又仮に不法行為が明らかになりました場合は、民事訴訟も可能であると存じております。
念のため申上げますが、当局といたしましては、御当人の思想如何によつて取扱を左右することはございません。人権擁護の立場から冷静に公平に処置をいたしたいと考えております。(拍手)
〔岡田宗司君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/21
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022・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 岡田宗司君、何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/22
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023・岡田宗司
○岡田宗司君 再質問したいのです。まだ時間が残つておりますので、再質問を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/23
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024・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 僅かに時間が残つておりますから、再質問を許します。岡田宗司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/24
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025・岡田宗司
○岡田宗司君 緒方官房長官にお尋ねをいたします。只今のお答えですと、CICの活動は行政協定で認められておる、こういうふうに私どもには受取れたのでありますが、この活動が単に米軍の機密保持或いは米軍のための直接の活動を超えまして、只今起りました事件のように日本人の自由或いは人権に直接関係のあるような事態が起りましても、これもなお、その活動は認められたものとして御解釈になるのかどうかを、もう一遍念のためお伺いしたいと思います。
〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/25
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026・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたします。個々の場合につきまして実際の調査をいたしましてきめる以外に途はないと考えております。(「答弁にならんじやないか」「責任問題だよ」と呼ぶ者あり)
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〔原虎一君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/26
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027・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 原虎一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/27
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028・原虎一
○原虎一君 私はこの際、炭労、電産両争議に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/28
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029・石川清一
○石川清一君 私は只今の原君の動議に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/29
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030・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 原君の動議に御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/30
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031・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。原虎一君。
〔原虎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/31
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032・原虎一
○原虎一君 年末に迫りまして、炭労、電産の争議はいよいよ深刻化して参りまして、国民の生活不安は日に日に増大しつつあります。政府はこの重大なる事態に対して如何なる自信と方針とを似て処理されんとするのでありますか。私は日本社会党第二控室を代表して質問をするものであります。
先ず石井運輸大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、国鉄輸送は明日より平常運転の三三%が削減せられまして、再び敗戦直後の交通地獄が出現することになるのでありまするが、運輸大臣は如何なる処置をとるのでありまするか。国鉄貯炭は去る九月末において六十万一千トン、約三十八日分しかなく、平常運転を続けるときは十一月八日頃には全線停止となることは明らかであつたのであります。然るに運輸大臣はこの事実を御存じなかつたのでありましようか。又御承知であつたとすれば如何なる対処をされて来たのでありますか。明十一日より三三%の運転制限をして、今後幾日間運転継続ができるのでありますか。明確なる御答弁を要望するものであります。
次に小笠原通産大臣に質問をいたします。ガス用石炭は、本月十五日に至りますれば、東京瓦斯会社は七日分、大阪瓦斯会社は三日分、名古屋東邦瓦斯会社は十四日分という貧弱なる貯炭状態となつていたことは一カ月以前から明らかであるにもかかわらず、前通産大臣の池田勇人君は、極めて事態を楽観して何らの対策も講じておりません。その後において、国鉄輸送制限、電産ストによつて、中小商工業者の経営は全く麻痺状態に陥つております。セメント産業は十一月は三万トン生産減となり、出荷は六万トン減となつております。又、日本製鋼室蘭工場は平炉七〇%を停止しており、神戸製鋼、川崎製鉄もそれぞれ熔鉱爐の使用を停止しておるのであります。かくのごとき事態につき、小笠原通産大臣は如何に善処されんとするのでありますか。仮に数日中に炭鉱、電産争議が解決いたしましても、石炭生産部面におきましては、平常に復帰するのは今年中には困難であると何人も認めるところであります。大臣は年末年始に亘るガス生産並びに中小商工業対策に如何なる方針と確信とを有せられるのでありますか。明快なる御答弁を要望するものであります。
次に労働大臣並びに吉田総理大臣に質問いたします。その第一点は、今回の電産、炭労の争議が二カ月になんなんとしても解決することなく、ますます深刻化して行くところの原因については、それぞれの見解がなされるでありましようが、吉田総理並びに戸塚労働大臣は如何なる観察を有せられるかをお伺いいたしたいのであります。第二点は、労働大臣の責任において如価に善処し、早期解決を図られるかをお伺いいたしたいのであります。
特に吉田総理大臣に質問いたしますことは、第三次吉田内閣は去る第十三国会におきまして勤労大衆の強い反対にもかかわらず、独立日本の労働対策上必要欠くべからずとして強引にも労調法を改正し、総理大臣に労働争議の緊急調整権を持たしめたのであります。即ち労調法第三十五条の二には、争議行為により当該業務が停止されるときは国民経済の運行を著しく阻害し、又は国民の日常生活を著しく危くする虞れがあると認める事件について、その虞れが現実に存するときに限り、内閣総理大臣は緊急調整の決定をすることができる条文を設け、緊急調整が決定いたしますならば、争議行為は五十日間禁止せられるのであります。我々はかくのごとき権力と法によつて労働争議を抑制することは当を得ないばかりでなく、却つて事態を悪化せしめる結果を来たすものであることを主張し、強く反対したものであります。然るに政府はその反対を押切り、あえて法律の改正をしておきながら、今日の状態はどうでありますか。昨日の閣議において、本法の適用は見合せると決定したとのことであります。吉田総理は、我々の主張するごとく、権力による緊急調整の決定が真に争議を解決するものではないということを今回悟られたのでありますか。又は今日の事態は国民生活を著しく危くするものではないという認識をされたのでありまするか。吉田総理大臣の明快なる御答弁を望むものであります。
答弁によりまして再質問の権利を留保いたしまして、一応質問を打切ります。(拍手)
〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/32
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033・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたします。
炭労、電産の両争議につきましては、政府といたしましても、事の極めて重大なることに関心を持ちまして、その早期解決のために努力をしておりまするが、現在両争議とも重大且つ微妙な段階にありまするので、政府といたしましては事態の推移に即応いたしまして善処いたしたいと考えておりまするが、只今のところ、緊急調整をいたすつもりはございません。(「してはいけない」と呼ぶ者あり、拍手)
〔国務大臣石井光次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/33
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034・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。(「歩かせるつもりか」と呼ぶ者あり)
石炭のストライキが始まりまして、折角例年よりもたくさん貯蔵いたしておりましたのに、お話のように九月末六十万トンというのは例年にない非常に大きな数量でありましたが、これがだんだんと減つて参りました。そのうちに解決するものだと私ども期待いたしまして先月に入つたのでありますが、先月のだんだん半ば過ぎまするに連れまして、どうにもやりくりが困難になつて参りました。毎日入つて来る石炭の量と、出て行く、消費する量とがだんだん違つて参りまして、幅が違うようになつて参りました。(「算術を聞いているのではない」と呼ぶ者あり)現在では、今日では二十三万トンというような状態になつております。今度第三次削減をすることになるのでありますが、それによりますと、旅客で二八%、貨物で三三%を減じなければならないと思うております。こういたしますと、今毎日一万トンずつの石炭が入手できておるのでありますが、この第三次をやりましてなお且つ日に四千トン余り足らない状態になるのであります。これが解決が更に遅れますれば、下旬になりますと、もう少し減らさなければならん。というのは、貯炭が約十八万トンぐらいは最低限に持つておらなければならん数字だと思われますので、そういたしますと、そこに達しますと、その後は入手できる石炭の量以上には運行ができないということになるのでありますから、一万トンで運行すると、仮に今のままから推して行きますと、五割見当の削減ということになるのではないかと心配いたしているのであります。これに対しまして、私どもは、長引きます様子がありましたので、外国からの石炭の入手ということも考えて手配をしてもらつたのでありまするが、その石炭、台湾又はインドから来るような石炭が一月以後に手順が遅れますので、(「外国に依存するからいけないんだ」と呼ぶ者あり)これは実際今月に間に合わないというようなことであります。交通機関といたしましては、足りないものは、できるだけ近距離は自動車、遠い所は船舶というようなものの援助を受けて、(笑声)輸送をできるだけ助けてもらいたいということを狙つておるのでありますが、この非常に苦しい状態でありますが、その中から、生活の必需品であるというようなものは、これは一〇〇%最後まで輸送を確保するということで行きたいと思うておるのでございます。
〔国務大臣小笠原三九郎君登壇、拍手〕〔「どうするか答えてくれ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/34
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035・小笠原三九郎
○国務大臣(小笠原三九郎君) 炭労及び電産ストの産業及び家庭生活に対する影響の深刻化しつつあることは、只今お話の通りであります。炭に対しまして、私どもは当面の対策といたしましては、特に逼迫しておりまする原料炭、発生炉用炭約八十万トンを緊急輸入することにいたしまして、すでに契約を了して、着々輸入しつつあります。そのほか更に輸入者に対して外貨の優先割当をする等、輸入の増加を考えておるのでございまして、これで当面の不足に備えたいと考えておるのでございまするが、根本といたしましては、両争議が一日も早く解決することを念願いたしまして、中労委の斡旋の結果、両当事者の良識に基く妥結の一日も速かならんことを期待いたしておる次第でございます。(拍手、「町の人と同じじやないか、そんなのは」と呼ぶ者あり)
〔政府委員福田一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/35
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036・福田一
○政府委員(福田一君) 大臣に代りましてお答えを申上げます。
炭労、電産の両争議につきましては、独立後におきまする日本の労使の関係のあり方は、何と言つても平和的民主的に解決さるべきものである。このように考えておりますので、この意味から考えましても、政府が争議に介入をするようなことは成るべくこれを避けるべきである。労働組合の健全な発達の意味においてもこれは避けるべきであると私たちは考えておるわけであります。従いまして、只今までは、できるだけこの方針によりまして、紛争が労使双方の合意によつて解決することを希望し、若しそれがどうしてもできない場合におきましては、これは中労委のいわゆる公平なる第三者の裁定によつて解決することを希望いたしておつたわけでございます。以上のような状況におきまして我々としては努力をいたして参つたのでありますが、電産につきましては、すでに裁定が下されまして、これに対して経営者側はこれを呑みましたけれども、組合はこれを拒否いたしました。併しながら東京電力におきましては、関東労組が大体この案について両者の間で話合いがもう付いておる状況であります。又中部電力におきましては、別個に会社との間に解決案を今練りつつあるような状況でありまするが、いずれにいたしましても、我々としては、電産の問題はここ数日中が非常に重要な段階にあるのではないかと考えておるわけであリます。
なお炭労の問題は、御承知のことと存じまするが、実は中労委の裁定に対しまして、経営者側はこれを呑みましたけれども、(「呑みやしないじやないか」呼ぶ者あり)組合側のほうといたしましては、これを拒否することに相成つておりまして、まだ拒否したという報告は受けておりませんけれども、そういう段階に立つておるわけであります。以上のような状況でございますが、この両争議とも非常に今重大な段階にあると我々は考えております。これについての見通し如何というようなお話もございますけれども、これについては私たちはまだこれを申上げることができないと考えておるわけであります。(「無責任だよ」と呼ぶ者あり)なお緊急調整の問題につきましては、緒方国務大臣から御答弁が、ございましたので、私も又同意見でございますから、これを似て私のお答えといたす次第であります。
〔原虎一君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/36
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037・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 原虎一君の再質問を許可いたします。
〔原虎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/37
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038・原虎一
○原虎一君 緊急調整の問題について、私はやるかやらないかということを総理大臣に伺つてはおりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)我々が権力と法律によつて労働争議を抑制するという考えは間違いであるという、この根拠に立つて反対したにもかかわらず、緊急調整という法律を作つておきながら、今日の事態に対しては如何なる考えを持つておるかということをお伺いしておるのであります。即ち我々の考え通りに、法を発動しても、争議の調停、斡旋、解決は不可能な事態であるという考えであるか。或いは国民生活に重大なる、著しい不安を与えていないというお考えで発動しないのであるか。この点を明確に願いたい。こう申上げておるのであります。法を発動するかしないかということについて私は伺つてはおりません。
次に石井運輸大臣は、今後の見通しは輸入石炭等に待たなければならん。当分の間、輸送制限を五〇%続けなければならんと言つておりますが、かくのごとき事態に対して、一体総理大臣は如何なる考えを持たれておるのであるか。その点をお伺いしたいのであります。(「能なしだよ、あるならお目にかかりたい」と呼ぶ者あり)
通産大臣は同様に、輸入石炭によつて、ガス、セメント、製鉄その他、日本経済並びに国民生活に重大なる影響を及ぼしておる事態を、石炭輸入によつて応急に手当が付くかのごとき御答弁であるが、先ほども第一次質問に申上げましたごとく、仮に本日炭労争議が解決いたしましても、今年中に正常生産能率を挙げることは不可能であるということは明確であります。従いまして、争議の五十日、六十日まで長引くごとき事態に放任しておつたという責任を政府は感じないのであるか。これが問題であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
次に労働大臣並びに総理大臣にお伺いいたしたい点は、事態がかくのごとく深刻になつて参りました争議の原因はどこにあるかということをお考えであるか。そういうことをお伺いしておるのであります。事態をどういうふうに解決するために努力しているかということを労働政務次官からお聞きしなくても、私は存じております。併しながら努力されることは当然であります。問題は一体、電産、炭労の争議が六十日間も継続されまして国民生活に重大なるところの影響を及ぼし、なぜかくのごとく相成つたのであるかという原因について、総理大臣並びに労働大臣は如何にお考えであるかということをお伺いしておるわけであります。即ち禍を転じて福とされなければなりません。私に言わせますならば、一言にして申しますならば、吉田政府に労働政策がなかつたからと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)争議が深刻化して参りますと、中労委に斡旋をさせておるから何とかなるであろうと、中労委に責任を一切転嫁し、これにおぶさつている態度であるから、問題は解決いたさないのであります。勿論、権力、法によるところの争議の斡旋調停というものは失敗に終ることが多いということは申すまでもないのであります。でありますればこそ、中労委というものに権威を持たせるところの、権威ある調停ができ得るように、ふだん調停機関の充実というものを図つておかなければなりません。(「時間々々」と呼ぶ者あり)調停機関に、電産、炭労、私鉄、こういう争議が一遍にかかるとき、如何に才能のある会長といえども、如何に徹夜をいたしましても、労使とも納得せしめ、世間を納得させるところの調停は不能であると言わなければなりません。労委は、これらの基幹産業、全国的組織を有する労働組合の動向に絶えず注意を払い、いつ何どき問題が起きましようとも、社会を納得せしむるだけの、調停できるだけの準備ができていなければなりません。然るに政府は、中労委を一般官庁事務当局と考えて、行政整理の場合におきましてはこれを整理し、会長の希望する予算すら考慮いたしていないではありませんか。かくのごとき無策を続けておいて、深刻なる争議を未然に防止することは不可能であります。かく考えるときに、先ほども申しましたごとく、総理大臣並びに労働大臣は、争議の原因に対して如何なる観察をなされておるかということを、我々は国民を代表して聞きたいのであります。
時間が参りましたので、これを以て打切りといたしまするが、一切の責任は、内閣、政府にありとして、総理大臣初め、本問題の解決のために懸命なる努力を払わるべきごとを主張いたしまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/38
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039・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 申上げるまでもなく、労働争議の性質上、できるだけ当事者双方の自主的解決に待ちたいので、政府は中労委の斡旋に任せまして静観しておる次第でありまするが、先ほど申上げましたのは、只今のところ緊急調整をいたすつもりはないと申上げましたので、緊急調整を行う場合もあり得るということを申上げておきます。
それから輸送機関の石炭の不足の問題でありまするが、これにつきましては、先ほど通産大臣からも申上げましたように、それぞれの手当を急いでおりまして、政府といたしましては一日も早く争議の解決することを念願しておる次第であります。
それから最後に、こういう争議が起る原因がどこにあると思うかという御質問でありましたが、これにはいろいろな事情もありましようが、日本の敗戦以後、まだ社会不安、経済不安がありまして、それが根抵でありますることは申上げるまでもないと考えております。(拍手)
〔国務大臣小笠原三九郎君登橿、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/39
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040・小笠原三九郎
○国務大臣(小笠原三九郎君) 当面の対策として、原料炭、発生炉炭約八十万トンを入れるほか、目下極力外貨優先等で輸入に努めておることについては申上げましたが、なお念のため申上げますと、十二月中にこのうち二十五万トン着荷することになつております。幸いに両者の円満妥結によりましてストが解決しますれば、大体二週間程度ありますれば、回復する向きが相当多いので、過渡的にはどうするかというお話に対しましては、私は国鉄とか或いはその産業の重要度に応じまして優先出荷をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。更に又輸入のことにつきまして今後努力いたしますることは先刻申上げた通りでございます。(拍手)
〔政府委員福田一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/40
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041・福田一
○政府委員(福田一君) お答えをいたします。只今中労委の充実を図つておらないために争議が非常に長引いているのではないかということと、もう一つは、その争議の長引いた根本原因をどういうふうに考えているか。こういう御質問であつたと考えるのであります。
中労委の問題につきましては、独立後の日本のこの労働問題のあり方をよく勘案いたしまして、我々といたしましてはこれが充実について、質的にも、その他あらゆる意味において努力をいたしておつたわけでございまして、そのように御了承を願いたいのであります。
なお、この争議の問題でございますけれども、先ほど申上げました通り、独立後のこの労働運動と言いますか、こういう組合の健全な発達という面から考えてみますならば、労使双方が納得ずくで物事が解決して行くというのが一番よいあり方であると私どもは考えておるのであります。この意味合いにおきまして我々は対処いたして参つたのであります。
中労委がこの問題を事前に常に察知して研究をいたしておる、そういうことにすれば解決が早いのではないかという御質問のように承わつたのでありますけれども、御承知のようにこの面につきましては、中労委というものは、争議が始まつて初めてこれが解決に当るべきものでございますからして、こういう意味合いで、私たちは運営が十分うまく行くように骨折つて参つたわけでございます。(拍手)
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〔深川タマヱ君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/41
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042・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 深川タマヱ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/42
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043・深川タマヱ
○深川タマヱ君 私は、この際、対日援助金返済問題について緊急質問をいたすの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/43
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044・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は只今の深川君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/44
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045・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 深川君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/45
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046・佐藤尚武
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。深川タマヱ君。
〔深川タマヱ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/46
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047・深川タマヱ
○深川タマヱ君 今日の朝日新聞によりますと、政府は、アメリカから、占領中に食糧その他の形で対日援助をされた二十数億ドル即ち九千百二十五億円に上る金の返済について回答を求められております。これに対し、政府では第三次吉田内閣の末期から、外務、大蔵、通商の間ですでに回答するように了解済になつているが、今直ちにこれに回答を与えますと、債務をいよいよ確認することになるし、そうなりますと、憲法第八十五条の、即ち国が債務を負担するには国会の議決に基くことを必要とするという条文に違反することになるので、さなきだに昨今の国会が日米船舶貸借協定や鹿地事件で微妙な空気の中に、新たに政治問題の種を提供することは避けたい意向で、急に八日の次官会議をきつかけにいたしまして、米国への回答を暫らく延期するような意見が強まつている様子でございます。併しすでに米国より返済を要求されるということになりますと、米国としては、この問題は明らかに日本に対する債権であつて、将来返してもらう心構えであつたということが今初めて明らかになつたわけであります。してみますと、回答を延期するとせないとにかかわらず、政府は国会に無断で負債をしていたところに憲法違反になり、而も国民に無断で、長い間、数年に亘りまして、重ね重ねて二十数億ドルもの負債をしておるということになりますと、政府の責任は免れないことになると思います。もともとその問題は、去る第十三国会以来、予算委員会のくすぶつた問題になつておりまして、終戦後日本が未曾有の食糧難に陥つたときに、米国は占領国で日本国民の生命だけは維持しなければならんというので、アリりカの余剰物資を持つて来てくれたわけでありますが、当座は政府もアメリカの好意による贈り物として大変感謝をいたし、これが対米感情をますます好きものにいたしまして、マッカーサーの進駐政策は世界歴史初まつて以来の成功だと言われるその一つの大きい原因ともなつたかと存じます。その故にこそ、第一回の米国視察に参つた日本の国会議員の挨拶にも、先ず第一番にこのことを深く感謝しております。小学校などでも、米国のお蔭でこうしたおいしいパンやミルクを恵んでもらつて、お互いの生命を保つて行けると、幼ない魂に随喜の涙を流させた問題でございまするのに、これを今更返すことになると、国民感情に及ぼす影響は極めて悪いものがあると思います。日本は講和会議を境といたしまして、いよいよ世界の民主主義陣営に協力をいたす体制を整えて来て、今後ますます米国とは親善を加えて行かなければならん立場に立つておりまするのに、今頃こんな問題で国民感情を悪化させることは好ましいことではないと存じます。又これを有力な材料にいたしまして、排米思想鼓吹の運動も一部に行われることは火を見るよりも明らかなことでございます。もともと日本は戦前においては、台湾、朝鮮の米を半分食べて生活いたした国で、終戦後は引揚者も殖えて参り、人口過剰の上に、急に朝鮮と台湾が取上げられて食糧難に陥りましたが、その困難なときに、米国から食糧の援助をしてくれることは有難いが、それを今更返すということになると、或る意味におきましては形の変つた賠償のようにさえ考えられます。更に九原則に、それに続くドツジ政策にも、明らかに赤字財政を厳重に封じられております。購買力は極度に吸い上げられたために、一般庶民は購買力はないし、中小商工業者は重税と資金難で、折角経済復興の絶好のチャンスがめぐり来ているにもかかわらず、そのチャンスを捉えることもできなかつたほどでございます。それだのに国民誰も知らぬ間に、豈図らんや、米国から形の変つた九千百二十五億円の赤字公債を背負つていたということになりますと、今更のように唖然とさされます。問題は、政府がこれほど多額の金を外国から借金をしているにもかかわらず、何故一応国会の議決を経なかつたか。(「その通り」と呼ぶ者あり)若し政府が、あれは明らかに呉れたのであると言つて米国へ突張るのならばいいけれども、債務と認めてたとえ少しずつでも返済方について回答されるということになりますと、それは明らかに憲法違反であるのですが、一体、政府はあれを債務と心得ておいでか、アメリカからの贈与と心得ていられるのか、この席で改めて明瞭に御答弁頂きたいと存じます。
池田前大蔵大臣は、予算委員会で、私が承わつただけでも二回に及びまして、あれは多分アメリカからは呉れることになりましよう。ヨーロッパの例を見ましても、あの種類の援助金は講和条約の際には棒引きになつているのでありますから、まあまあそつとしておくことが得策でしよう。講和会議のときには多分棒引きになることなんだからと答弁されておりました。それが終り頃になりますと、急に言葉を変えて、あれは債務と言われるようになつている問題であります。いやしくも二十億ドルものものを、もらつているのか、借りているのか、はつきりさせずに、なおざりにして、今日に至つて急にその返還を迫られるようなだらしのない政治では、いくら自由を重んずる自由党政府であつても、(拍手)問題が問題だけに、余りにもルーズで、怠慢で、真剣に国民に責任を持つた国政をしていたとは言われないと存じます。第四次に亘る吉田内閣の失政、ここに至つて最も大きく暴露されたと言わなければなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)なお又、若し今返すにいたしましても、あれは復金の後を受けて通貨及び財政の安定と生産の増強、輸出振興に使われておりますので、中には弁済が焦付きになつているし、してみると、国民は長年、富める大資本家の借金を代つて弁済するために、長く貧乏人がその負担に苦しみ、赤字公債の最も弊害を露骨に引受けなければならないということになるかと存じます。なお若し返さねばならんとしますと、一体、政府は具体的には如何なる方法を考えておいでか。又これが今後の日本の財政、産業に如何なる影響を及ぼすとお考えですか飽くまで米国の日本に対する贈与であると頑張つて交渉してもらわねばなりません。さてそのときに米国が我慢してくれるかどうか。その見通しについて伺いたい。又是非返すとなりますと、吉田内閣は第三次内閣に亘り長く憲法違反をされていた責任を、国会並びに国民に対してどうおとり下さるか。早いうちに米国へ返答しなければならない問題でございますので、緊急質問をいたした次第であります。どうぞ丁重に御答弁を願いとう存じます。(拍手)
〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/47
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048・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えいたします。
対日援助は米国の占領政策の一環といたしまして、終戦後の我が国の国民生活及び経済の復興を援助するとの意味で与えられたものでありまして、
〔議長退席、副議長着席〕
我が国は快くその政策を受け入れたような次第でありまするが、これが米国からもらつたものと断定する根拠もなかつたのであります。我がほうとしては、従いまして最初から借りたものと心得ておつたのであります。このことが憲法に違反になるとは(「おかしいぞ」と呼ぶ者あり)考えておりません。今後両国間の協議によりまして債務として確定いたしますれば、国会に提出いたすべきものと考えております。
それから将来の国民感情に及ぼす影響、こういうのでございましたが、将来これを返すことになりましても、我が国の苦しいときに借りたもので、それによつて民生の安定に相当役立つておりますので、この点は国民感情といたしましても十分了解が付くであろうと考えております。(「借りた根拠を示さないのか」「憲法違反だ」「苦しい答弁だ」と呼ぶ者あり)
それから国内産業に及ぼす影響のことでありまするが、これはできるだけ国内産業に重大な影響のないようにいたす以外にいたし方ございませんので、その点につきましては政府といたしまして十分努力するつもりでおります。(拍手)
〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/48
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049・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 只今の御質問のうち、副総理のお答えの部分で大体尽きておりまするが、この対日援助費につきましては、前の国会等におきまして大蔵大臣から申上げましたように、これは日本としては債務と心得ておる、こういうことでありまするけれども、只今官房長官の御答弁のように、これが確定いたしたものではないのでありまして、その内容とか或いは返還するとすれば、その方法とか、時期とか、額とか、こういうものを将来交渉いたしまして、双方の合意ができ上つたときにならなければ、一体どの程度のものであるか、又どの種皮国民生活に影響を及ぼすものであるかというようなことは言えないわけであります。従いましてまだ一般的にただ債務と心得ておるという程度でありまして、今後の交渉に待つわけであります。勿論、財政とか或いは我が国の産業とかに影響を及ぼすようなふうな返済方法はとらないつもりでおるわけであります。
—————————————
なおこの機会に、先般吉川議員からの御質問に対しましてお答えをいたします。
これは外務省情報文化局の問題でありまするが、第一は、一体文化局は何しておるかという御質問でありましたが、外務省の情報文化局は、在外公館からの各種の報告は勿論のこと、その他各国の新聞とか報道、論調、ラジオ等を集めまして、これを分析して世界情勢の把握をし、これを外交政策の立案の資に供しておるわけであります。又同時に、我が国の現状とか日本の考え方とかいうような点をあらゆる方法で外国に伝えることに努めております。又その機構はどうかというお話でありますが、これは情報文化局の中に、局長の下に四課ありまして、そのうちの二課が情報関係を担当いたしております。その仕事は今申上げた通りであります。
又新らしい情報機関に対して外務省の考えはどうかという点でありまするが、政府として各種の仕事をいたしております関係上、いろいろの内外情勢に対する正しい判断の資料となるようなものを十分に収集し、そうしてこれを参考にするのは、当然必要なことでありまするし、又同時に、諸外国が我が国の国情を一層深く且つ正確に認識するように努力するのは当然であります。で、新らしい情報機関というものの構想はまだ未定でありまするけれども、世の中で心配されておるような、戦時中の情報局のような言論統制とか抑圧とか、そういうことの危険は絶対にないと信じております。外務省の機関が十分に活動していないから、こういうことが起るのじやないかという点でありますが、これは在外公館、つまり在外大公使館等も設立後漸く半年を経過いたしまして、大体只今のところでは管轄地域に関する表裏の情報も入手可能である状況になつておりまするし、又外務省の情報文化局も一生懸命にやつておりまするけれども、何分にも只今の予算及び定員では必ずしも十分に機能を発揮しておると言いがたい点もあることは、これは認めざるを得ないと思います。
なお最後に、極秘の情報の収集の必要をお説きになつたのでありますが、これも勿論重要であります。重要でありますが、私の考えでは、継続的に考えるならば、いわゆる一般情報と申しますか、これを広く丹念に収集しまして、そうして分析して研究することが甚だ重要であると思つております。この種の仕事は地味ではありまするが、むしろ科学的とでも言いますか、要するに大勢を把握いたします上から言つても、又現在各国の外交が国民の輿論を反映して行われている状況から言いましても、こういう一般的な情報の収集分析という仕事が必要であることは当然でありまして、従いまして情報収集と申しますと、右申しましたような二種のものを集めることを目標といたしているような次第であります。(拍手)
〔政府委員愛知揆一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/49
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050・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) すでに副総理、外務大臣から政府の見解を御答弁申上げましたが、大蔵大臣に代りまして、念のため補足してお答え申上げます。
これらの対日援助は占領軍の占領政策の一環としてなされたものでありまして、契約による債務負担をしたものではございません。併しながら日本側といたしましては、この援助の趣旨に従いまして、従来から債務と心得ているとお答えをしているのでございます。即ち経済的な観点から見ますれば、一応債務と心得ているのであります。これが確定的な債務になるにつきましては、その内容、金額、条件等がきまつておらない状態でございまして、今後両国間の協議によつて定められるものでありまするし、その協議が成立いたしまして、我が国として支払うべき債務として確定するという場合におきましては、国会にその案を提出すべきものと考えている次第でございます。
なお、大蔵省といたしましては、そうした債務の内容が確定があるという場合におきましては、先般決定いたしました外貨債の償還、現在未解決でありまするところの賠償の問題、こういつたような対外的債務の返済との関係を十分考慮しなければならないことは勿論でございまするし、他面、国民経済の負担限度と睨み合せまして、適当な処置を講じなければならないと考えている次第でございます。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/50
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051・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 日程第一、国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長中川以良君。
〔中川以良君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/51
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052・中川以良
○中川以良君 只今議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案についての委員会における審議の内容及び結果について御報告申上げます。
国民金融公庫は、昭和二十四年六月発足以来、いわゆる中小金融、庶民金融機関として、国民大衆の資金需要に応ずるために、これまで数次に亘つて増資と資金運用部資金の借入によつて賄つて来ておるのであります。本年度予算に計上されました一般会計からの出資金三十億円は九月末までに貸付を終り、資金運用部借入金二十億も十一月には貸付が終つておるので、十二月以降は既往貸付金の回収のみに依存しなければならない状態にあるのであります。一方、年末を控える事情もあり、本年度内における資金需要は相当額に達するものと予想せられるのであります。これに加えまして、遺家族等、援護国債の受領者及び、成年に達しない子女を持つ母子家庭に対する事業資金の供給も極めて緊要と考えられまするので、この際、遺家族等に対する十億円、母子家庭に対する五億円の資金を含めまして本年度内の新規所要資金は五十億円と見込まれるのであります。この資金需要を充たすために、本年度補正予算において一般会計からの出資金三十億円及び資金運用部借入金二十億円を追加計上いたしておるのであります。これに伴い、公庫の現在の資本金百億円を百三十億円に変更するために資本金の規定を改正せんとすると共に、年末金融の一環といたしまして早急に資金手当をする必要がありますので、補正予算に計上せられた借入金二十億円を見返りといたしまして、補正予算成立前におきまして二十億円を一時借入金とすることができまするように、昭和二十七年度限りの特例を設けようとするものであります。
本案審議に当りましては、国民金融公庫の中小庶民金融に果す比重が大であるから、政府出資金を大幅に増加し、資金需要に応ずべきであること、その他、母子家庭に対する融資の手続及び金利等についての質疑が行われたのでありまするが、その詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入り、小林委員、野溝委員、大矢委員、堀木委員よりそれぞれ賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定をした次第であります。
次いで、本案に対する討論中、小林委員より次の附帯決議が提案せられました。即ち、「国民金融公庫の資金は本年度補正予算において三十億円の出資金と二十億円の借入金を追加計上をしておるのであるが、中小企業並びに庶民金融の現下の実情から見て、この程度では到底十分とは言い難い。よつて政府は速かに国民金融公庫の資金を増加するよう適切な措置を講ずべきである。」との附帯決議を、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定をいたした次第であります。
以上御報告を申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/52
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053・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/53
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054・三木治朗
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十五分散会
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○本日の会議に付した事件
一、議員派遣の件
一、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員の選挙
一、国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(米価審議会委員)
一、鹿地亘君の拘禁問題に関する緊急質問
一、炭労、電産両争議に関する緊急質問
一、対日援助金返済問題に関する緊急質問
一、日程第一 国民金融公庫法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515254X00919521210/54
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