1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月八日(水曜日)
午前十一時五分開議
出席委員
委員長 關内 正一君
理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君
理事 松井 豊吉君 理事 原 彪君
理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君
岡本 忠雄君 高橋圓三郎君
徳安 實藏君 岡部 得三君
山口丈太郎君 森 清君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 石井光次郎君
出席政府委員
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 植田 純一君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 細田 吉藏君
委員外の出席者
日本国有鉄道総
裁 長崎惣之助君
日本国有鉄道理
事
(施設局長) 江藤 智君
専 門 員 岩村 勝君
専 門 員 堤 正威君
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七月七日
二俣、佐久間間鉄道敷設の請願(戸塚九一郎君
紹介)(第二八九九号)
岩内、黒松内間鉄道敷設の請願(苫米地英俊君
紹介)(第二九〇〇号)
五百総トン未満内航船舶の建造許可制存続に関
する請願(關谷勝利君紹介)(第二九〇一号)
掛川、御前崎間鉄道敷設促進の請願(戸塚九一
郎君紹介)(第二九〇三号)
湯之尾、粟野駅間に駅設置の請願(池田清志君
紹介)(第二九七〇号)
宇和島市、近永町間に国営自動車運輸開始の請
願(井谷正吉君外二各紹介)(第二九七一号)
江川崎、窪川間鉄道敷設促進の請願(井谷正吉
君外二名紹介)(第二九七三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
地方鉄道軌道整備法案(關谷勝利君外三十九石
提出、衆法第九号)
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三七号)
西日本の豪雨による関門隧道の被害に関する件
地方税法の一部を改正する法律案に関し修正意
見申入れの件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/0
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001・關内正一
○關内委員長 これより会議を開きます。
地方鉄道軌道整備法案を議題といたします。これより討論に入ります。通告があります。川島金次君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/1
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002・川島金次
○川島(金)委員 地方鉄道軌道整備法案の採決にあたりまして、私は日本社会党を代表して若干の意見を申し上げておきたいと思います。
本法の提案趣旨といたします点につきましては、私どもといたしましても格段の異議を持つものではございません。しかし本来でございますれば、私どもの立場から言えば、もう少し日本の交通政策という大局の観点に立つて、国内の交通網に関する一切の諸施策をこの機会に再検討し、国鉄を中心として張りめぐらされております交通網に対する今後のあり方を基本的に検討することが、日本経済の再建、文化の開発の上につきましてもきわめて必要なときではないかと思うのであります。しかしながら当面の交通政策を円満に遂行いたしまするためには、当面の現実の諸問題もありますので、その当面いたしました現実の諸問題を、当面の立場として一応解決して行こうではないかという考え方につきましても、私は必ずしも異論をさしはさむものではないのであります。そこでそういう立場から、本法案に対する究極の眼目といたしまする問題につきましては、賛成をいたしておるものであります。しかしながら私どもにとつてこの法案の最も重点とみなされる法文は、いわゆる第三条の、運輸大臣が今後地方鉄道の助成をいたします場合にあつて認定、あるいは大改良をいたします承認を与える場合において、やりようによりましては運輸大臣一個の独断においてこれが決定をなし得るという注文になつておるのであります。しかしながら法律がそういうことであつたといたしましても、今日の諸情勢は、必ずしも運輸大臣がかつて気ままに、自由にこの法律を運用する、極端な言葉で申せば、濫用するということは不可能ではありましよう。しかし場合によつてはそういうことが可能であるということも、この法律から申し上げると言えるのであります。かりにこの法律が当面の問題となつておりまする何線かを局限して、これに対して助成を与え得る云々という法律でありますならばまた別でありまするが、この法律は広く抽象的な法律になつておりますので、今後政府あるいは運輸大臣が、自分の欲するまま、あるいは一地方の陳情等を基とし、あるいは何らかの勢力の運動に押されて、その結果として運輸大臣が第三条に基く承認あるいは認定をなすことができるという、実に幅の広い権限を運輸大臣に与えました一つの立法である。この立法に対しまして、私どもは本来でございますれば、何らか適当の審議機関を設置いたしまして、その審議機関の諮問を経まして、最後に運輸大臣がその認定あるいは承認を与えるという民主的な方法をもつて行うべきであるという建前をもちまして、私どもは本来でありますれば若干の修正を加えたいと、かように考えておつたものでありますけれども、諸般の事情等を勘案いたしまして、この法律自体の修正につきましては、後日に期したいと考えた結果、ここに私は本法案の採決にあたりまして、またその採決に賛意を表するにあたりまして、附帯決議の動議を提出するものでございます。
すなわち本法第三条の規定によつて運輸大臣が認定または承認をする場合には、必ずそれら関係路線その他の関係方面の意見を聴取するなど、慎重にしてしかもあくまでも公正、妥当を期さなければならぬ、こういう意味のものであります。そこでここに動議として出しまする附帯決議の案文を朗読いたしますので、どうぞ満場の皆様におかれましては、私どもの意のあるところも十分に御賢察賜わりまして、この附帯決議にも御賛成あらんことを、私から特にお願い申し上げる次第であります。
附帯決議
本法第三条の規定による認定又は承認を行うに当りては、政府は広く関係方面の意見を聴取する等飽くまでも公正且つ妥当を期すべきである。
これが決議案の全文でございます。私は日本社会党を代表いたしまして、本法案に賛成をいたしますと同時に、あわせてこの附帯決議の動議を提出する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/2
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003・關内正一
○關内委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。本法案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/3
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004・關内正一
○關内委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
先ほど川島金次君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、採決いたします。川島君の動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/4
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005・關内正一
○關内委員長 起立総員。よつて本案に対し附帯決議を付するに決しました。
なお本案に対する委員会報告書については委員長に一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/5
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006・關内正一
○關内委員長 なければさよう決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/6
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007・關内正一
○關内委員長 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より補足説明を求めます。植田政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/7
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008・植田純一
○植田政府委員 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の内容につきまして説明申し上げます。
改正法案の条文の順序によりまして、まず第三条でございますが、これは日本国有鉄道の業務に関する規定でございます。この規定に新たに投資ができるという条項を加えたわけであります。現在日本国有鉄道が投資しております事業は、帝都高速度交通営団のみでございます。これは同営団法に特に日本国有鉄道より出資できる旨の規定がございまして、それに基きまして投資されておるのでありますが、このほかにも運輸大臣の認可を受けて、業務に直接関連し、かつ業務の運営に必要なる事業に投資できるということを、新たに追加いたしたわけであります。きわめて限られたる範囲におきまして投資ができる。なおこの投資につきましては、あとの三十九条の四に出て参りますが、予算総則におきまして、投資の目的及び金額を掲げることになつておりまして、国会の御審議を経ることになつております。
次に第二章九条以下の従来の監理委員会を経営委員会に改正する条項でございます。この点につきましては、法律案の提案理由の説明にもございましたように、現在日本国有鉄道につきましては、監理委員会が日本国有鉄道の業務運営を指導、統制する権限と責任を有するということになつております。しかしながらこの監理委員会の性格が不明確な点がありますので、今回これにかえまして、その権限をより明確にいたしまして、業務運営に関する重要事項の議決機関といたしまして、経営委員会を設けることにいたしたい、かように存ずるわけであります。従いまして第九条から第十一条までにつきまして、この点の改正をいたしたわけであります。その議決事項といたしましては、第十条の第二項を設けまして、ここに掲げました基本的な事項につきましては、経営委員会の議決を要することにいたしております。またその組織につきましては、現行の監理委員会と同様、五人の委員と一人の特別委員とから構成いたしております。
次に第十二条の経営委員会の任命につきましては、現在の監理委員の任命の方式を踏襲いたしまして、運輸業、工業、商業または金融業につき、広い経験と知識を有する者の中から、国会の同意を得て内閣が任命するということにいたしておりますが、政党の役員及び日本国有鉄道と取引等のある法人の役員等に関しまして欠格条項が現在ございますが、そのうち任命の日以前一年間においてこれらに該当した者を含むということになつておりまして、こういう方々は委員になる資格がないというのが現在の建前でございますが、この制限を除きまして、広く適格者を選び得るということにいたしております。
次に第十三条の委員の任期でございますが、現在五年になつておりますのを、それを四年といたしました。経営委員会の最初に任命される委員につきましては、附則におきまして一年、二年、三年、四年と任期をかえまして、一時に全員が交代することのないように考慮いたしております。
次に第十六条の議決の方法でございますが、従来は特別委員でありますところの総裁は、監理委員会におきましては議決に加わることができなかつたのでございますが、今回その監理委員会を経営委員会こ改めまして議決機関といたしましたので、特別委員たる総裁も議決に加わることができることにいたしました。そのほかは現行の監理委員会の原則と同様であります。
次に第三章の役員及び職員に関する規定のうちで、第十九条、これは役員の職務及び権限を規定する条項でございますが、現行法におきましては「総裁は、監理委員会に対し責任を負う。」という条項がございます。しかし経営委員会は監理委員会と異なりまして、重要事項に対する意思決定機関である旨を明確に規定いたしましたので、この決定された意思に従つて総裁が業務を運営いたすことに相なることは当然のことでありまして、この字句を削除することといたしました。
また二十条につきまして、役員の任命でございますが、総裁の任命に関しましては、従来は「監理委員会が推薦した者につき、内閣が任命する。」こういうことになつておりますのを、「経営委員会の同意を得て、内閣が任命する。」ということに改めました。
以下は第四章の会計に関する事柄でございます。三十七条のこの事業年度の規定におきまして、決算の期限を「七月三十一日」とありますのを「六月三十日」に改めました。それは企業の成果を早くはつきりさせることによりまして、日本国有鉄道事業の能率的運営に役立たせたいと考えておる次第でございます。
次に三十九条といたしまして、新たに予算の弾刀性を与える規定を設けましたが、これは事業体の予算といたしましては当然こういうある程度の弾力性が含まれてしかるべきものである、かような考えから出ておるのでありまして、この弾力性の内容につきましては、予算総則に掲げるということになつております。
次に三十九条の二でございます。予算の作成及び提出についてでありますが、現行法と大きくはかわつておりませんが、日本国有鉄道の予算は、国有鉄道から運輸大臣に提出いたしまして、運輸大臣はその予算を検討をいたしまして、適当と認めるときは土蔵大臣に送付する。大蔵大臣はその予算の送付を受けたときは必要な調整を行う、こういう建前は現行法とかわりません。ただこの調整を行う場合に、大蔵大臣が運輸大臣と協議するという条項が追加になつております。
次に三十九条の三に規定しておりますところの予算の内容につきましては、現在はこの予算の内容につきましては政令によりまして、予算総則、歳入歳出予算、債務負担行為、こうきめておるのでありますが、これに今度新たに設けますところの継続費を加えまして、法律をもちまして予算総則、収入支出予算、継続費及び債務負担行為と、明らかに示すことにいたしました。
また三十九条の四の予算総則につきましては、これも現在政令で規定いたしておりますことを法律で明記いたしたのでありますが、総括的規定といたしまして、前に述べました予算の弾力性に関する規定、また日本国有鉄道の投資の目的及び金額、予算の繰越しに関する経費の指定等の規定を新たに追加いたしましたが、そのほかは現在の政令で規定しております点を、法律にはつきりと明示いたしました次第でございます。
三十九条の五の規定は、収入支出予算の区分の規定でありますが、資本勘定、損益勘定及び工事勘定の別に区分し、さらに項に区分するということにいたしております。
次に三十九条の六の予備費でございますが、これにつきましては現行法と内容的に特に大きなかわりはございません。
次に三十九条の七につきまして、新たに継続費を設けまして、日本国有鉄道の事業の円滑なる遂行に資するため、国の予算におきましても継続費という制度がございますのと同じように、継続費という制度を新設いたしまして、数事業年度にわたつて支出することができるようにいたした次第でございます。
次に三十九条の八から三十九条の十三までに規定しておりますところの債務の負担、予算の議決、予算議決の通知、追加予算、予算の修正及び暫定予算につきましては、若干字句の修正がございますが、内容はほば現行法と同様でございます。
次に三十九条の十四に規定しております予算の流用等について申し上げます。予算の実施にあたりましては、流用等については原則的に日本国有鉄道にまかせることにいたしまして、特にこの予算で指定いたしましたものにつきましては、運輸大臣の承認を要するということにいたしております。また予備費の使用につきましても、特にこの予算流用につきまして指定いたしました経費に使用するときは、運輸大臣の承認を要することにいたした次第でございます。
次に三十九条の十五、予算の繰越しでございますが、現行法では契約等がございまして、そういう契約等の支出の原因となつた行為をしたもので、そのうち支払い義務をその年度において生じなかつたものに限つて、実施することができるということになつておるのでありますが、これを支出予算の中で支出を終らなかつたものを原則として繰越しすることに改めました次第であります。また新たに設けましたこの継続費につきましても、この完成年度まで順次繰越して使用することができるように定めておる次第でございます。
三十九条の十六、三十九条の十七に規定しております資金計画、収入支出等の報告につきましては、若干字句の修正もございますが、内容的には現行とほぼ同一でございます。
また四十条から四十条の三までの決算の規定につきましては、現行法では決算の添付書類として提出しておりました財務諸表、これを決算書類として提出するということに改めましたほかは、現行法と同じ趣旨でございます。
次に第四十一条の利益及び損失の処理等につきまして申し上げます。現行法におきましては、日本国有鉄道は経営上利益を生じた場合におきましては、予算で定める場合を除きまして、その利益は政府の一般会計に納付する、また損失を生じた場合におきましては、政府は必要と認めるときは損失に対しまして交付金を交付することができるという建前で、利益の場合の規定と交付金の規定とがあるのでありますが、これは日本国有鉄道の経営意欲の減退、ひいては独立採算制の本旨にもとるではないか、かように考えまして、損益計算上利益を生じたときは利益積立金とし、欠損を生じたときは繰越欠損金として整理するということにいたしまして、これによりまして従来ありました政府の交付金は廃止することにいたした次第でございます。なお資産再評価による評価益等、資本取引によりまして生じましたものは、資本積立金として整理し、資本の実体的維持をはかることにいたしました次第であります。
次に第四十二条でございますが、業務にかかる現金の取扱いについて申し上げますと、現在業務にかかる現金は原則として国庫に預託するということになつておりまして、この原則は現行法と変化ございません。従来は現金をこの例外といたしまして、現金を安全に取扱うため、日本銀行の支店または代理店を簡便に和用できないときは、特に政令で定める範囲内におきまして、郵便局または市中銀行に預け入れすることができる、こういう規定になつておるのであります。これを例外といたしまして、郵便局または銀行に預け得る場合を、業務上必要があるときは政令で定めるところによりまして、郵便局または銀行に預け入れすることができるということに、若干拡張いたしたわけであります。それは鉄道債券と民間資金の調達に基きまして、普通銀行を利用する場合もございますので、業務上必要がある場合ということに、従来の例外の場合の制限を幾分拡張いたしました。いずれにいたしましても、具体的には政令で定めるということにいたしたわけであります。
次に四十二条の二、借入金及び鉄道債券についてでございますが、借入金は現行法におきましては政府からのみ借り入れることができるということになつております。これを政府からという字句を削除いたしまして、民間からの借入れの道を開いたわけであります。また第五項以下に鉄道債券に関しまして、その消滅時効、あるいは鉄道債券の発行事務を銀行または信託会社に委託できる旨の規定、またこれに伴いまして委託会社の権限等につきまして、商法の規定を準用する旨の規定を新たに設けている次第であります。またこの借入金の未借入額及び鉄道債券の未発行額については、翌年事業年度に繰越し得る旨の規定を設けた次第であります。
次に四十四条、給与準則に関する規定でございます。現行法におきましては、この四十四条におきまして日本国有鉄道がその役員及び職員に対して支給する給与について、給与準則を定めなければならない。この場合においてこの給与準則は、予算の中のいわゆる給与総額の範囲内でなければならない。給与総額の範囲を越えるものであつてはならないという旨の規定があるわけであります。これに今回第二項を追加いたしまして、この給与総額の範囲内でなければならない場合の例外といたしまして、能率の向上により生み出された収入の増加、または経費の節減により生じた金額の一部を、予算の定めるところによつて運輸大臣の認可を受けて、特別の給与として支給する場合にはその給与総額の範囲を越えた給与準則を作成することができる。こういうふうにいたしまして、こういう特定の場合の金額を特別の給与として支給する。それによりまして日本国有鉄道の能率の向上を期待したい、かように考えた次第でございます。
次に第四十五条、大蔵大臣に対する報告でございます。現在の規定につきましては、大蔵大臣は実地監査を行うことができるという規定がございますが、大蔵大臣の実地監査権を削除いたしまして、大蔵大臣は予算の実施に関する報告を運輸大臣を経て徴し得るということにきめた次第でございます。
また次に四十七条、これは運輸大臣がこの法文にありますところの承認あるいはまた認可をいたす場合に、大蔵大臣と協議を要する事項に関する規定でございますが、大蔵大臣と協議を必要とする場合は、資金に関係あるもののほかは、会計規定の基本事項の認可にとどめまして、日本国有鉄道に関する財務監督を整理いたしたわけでありまして、既定経費の流用、あるいはまた決算の承認の場合等におきますところの大蔵大臣との協議を削除いたしたわけであります。
最後に本法律は、公布の日より施行することにいたしておりますがしかし予算及び決算の規定につきましては原則として二十九年度より適用するということにいたしておる次第でございます。この点につきましては附則に明示いたしております。
以上をもちまして本法律案の内容の説明を終りたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/8
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009・關内正一
○關内委員長 次に岡部委員より西日本水害による被害状況につきましての質疑の通告がありますので、これを許します。岡部得三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/9
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010・岡部得三
○岡部委員 御承知のように西日本の水害に対しまして、輸送が円滑に行くことが当初から非常に問題になつておりましたのですが、何にしましても緊急の場合に輸送が杜絶したり、または輸送が円滑に行かないということは問題でありまして、本州と九州の動脈でありますところの関門トンネルが浸水した。また路線が浸水のために遮断され、決壊しておるのでございますが、その点につきまして保線の要員の人たちや鉄道員の人たちは非常によくやられておる、この点私は感謝しておるのでございます。この復旧に非常に努力されている点は私どもは多とするのでございますが、この関門隧道に関しましては、原因はどこにあるのか。三千トンくらいわき水があるということは聞いておるのでございまして、それに対する施設はあつたが、上から入つて来る、また不時の場合に大きな漏水があつた場合の対策がなかつたのではないか、こういう点が考えられるのであります。
例をあげて関門トンネルの場合だけを申しますると、私の聞きますところでは、二十八日の午前十一時に新聞記者の諸君が門司側トンネルの入口に行つたときには、非常にはげしかつた。また十一時二十分にポンプを揚げる要員の人たちが昇坑して来たが、このときはもうすでにひざのところまで来ていた。そうして排水が不可能であつた。また十一時二十分に通ります特急のかもめが辛うじて通過したと言つております。またしなかつたというようなことも報告されておるようでございます。しかし十一時二十分現在で、このような状態まで浸水していたということは事実であろうと思うのです。従つてこの浸水は先ほど申し上げますように、平常動いております。ポンプの排水量では、この浸水に対してこれを揚水することができなかつたということをもちまして、私は先ほど申し上げたようなことが言えるのではないかと思うのであります。また時間的に推定いたしまして、八時ころにはもうこれが判明していたということも言えるのではないかと思います。いわゆるこの浸水がはげしくなつて来る、何とか防禦方法を講じなければならぬということがわかつていたのではないか、こういうことが言えるのでございます。ところが私があそこで聞きますところでは、十一時二十分前の事態を全然無視していた。十一時半から十二時までに六十九ミリというようなかつてない豪雨が降つた。そのためにあの水を阻止することができなかつたといわれておりますが、実際は八時ごろわかつていた。それを十一時ごろの豪雨でやられたといわれますが、事実十一時には揚水がやれなくてポンプ方も上つて来ている。こういうことが八時ごろにはもうわかつているにもかかわらず、これに対する対策を講じていなかつたということは、大きな問題ではないかと思うのです。その点につきまして国鉄総裁並びにまた詳しく御事情をお知りのお方にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/10
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011・長崎惣之助
○長崎説明員 岡部議員は現地においでになりましてよく御承知と思いますので、私から申し上げまするよりも、ちようど昨日九州から施設局長がもどつて参りまして、詳しく承知しておると思いますから、施設局長から御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/11
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012・江藤智
○江藤説明員 私、九州の大水害を聞きますと同時に、現地に参りまして、関門隧道の排水並びに鹿児島本線その他の線路復旧について、現地で激励あるいは指導いたしまして、昨晩帰つて参つた次第であります。
ただいまの御質問にお答えいたしたいと思うのでありますが、このたびの関門隧道の浸水は、まつたく予期しないような山津波が非常な短時間の間に押し寄せて参りまして、またその当時非常な豪雨で、線路に並行しておる国道を流れておつた水も、それと一緒に非常に短時間の間に隧道に押し寄せて参りましたが、その瞬間の水量は関門隧道に設備してありましたポンプの能力を越えましたために、遂にこれが浸水して機能を喪失したということが結論のように私は考えております。と申しますことは、いかに早く水が参つたかということは、十一時四分に門司に着きます三二七列車という列車があるのでございますが——もちろんそのときには非常な豪雨でございまして、写真で見ますと、坑内ももうレールすれすれくらいまでは水浸しになつております。従つて非常な豪雨であつて、そこを汽車を上げることが危険であるかどうかということを心配いたしまして、公安官が一時隧道の中でその列車をとめておるのでございます。そして門鉄の局長に、これをとめておるが、どうしようかということで、指示を受けに参つたのであります。局長は、とにかく非常な豪雨であるし、やはり浸水を心配いたしまして、何はともあれ三二七列車を動かせということで、豪雨の中を、しかも入口になりますと滝のような水であつたと私は推量するのでありますが、そのためにパンタグラフと電車線との間に非常なスパークを起しまして、パンタグラフをあげておけないので、入口からパンタグラフを下げて、豪雨の中を惰行運転で辛うじて上つて参つたのであります。ところがそれから十二分遅れて門司駅を出発する特急かもめは、もうこの調子では出すのがあぶないというので、様子を見ておるその間に、どつと水が押し寄せて参つたというようなかつこうでございます。従いまして一時間足らずの間に大体七、八万——そのときの水量は技術的にはつきりはわかりませんが、少くとも八万程度の水が一時間足らずの間に流れ込んで来て、少くともポンプの機能を喪失させるようなかつこうに押し寄せて参つたということは、はつきり言い得ると思うのであります。
それでは関門隧道のポンプの能力はどの程度であつたかと申しますと、三十五馬力のポンプが全部で十台すわつておるのであります。縦坑の下に三台ずつで六台と、中央のポンプ室に二台ずつでたしか四台すわつております。平素の湧水量は大体千七百トン程度であります。この千七百トン程度をくみ出す能力は、ポンプ一台を連続運転いたしますと大体くみ出せるのでございます。実際はポンプの保守の問題、あるいは修繕の問題等のために、これを交互に運転いたしておりますから、大体三台か四台は動かしておりますけれども、しかしこういう非常時のときには、これを短時間であれば、全部動かすといたしますと、平素の湧水量の十倍程度のものは排水可能なのであります。しかしこれは一日の湧水量でございまして、一時間の湧水量にいたしますと、やはり千トンを欠ける能力なのでございます。従つて非常な短時間の間に、山津波に伴つてそこを流れておつた激流が方向を変じまして、同時にあの坑内に流れ込んだという場合には、これはただいま設備しておるポンプの能力でははけ切らないという結論になります。
それではなぜそういうような山津波に対応するようなポンプ、あるいはその周囲に囲いのようなものをつくつておかなかつたかだろうかということが、今といたしましては一応の疑問となると思うのでありますけれども、御承知のようにすべてこういう構造物を設計いたしますときは、過去におけるいろいろな記録をもとにいたしまして、この付近の最大雨量であるとか、あるいはどういう災害が過去に起つたであろうかということを十分調べまして、それにその構造物の重要性に応じて安全率を考えて、いろいろ設計をするわけでございます。しかし現地に行つていろいろ聞いてみましても、また私たちがいろいろ当時の話を聞いてみましても、あのように一瞬にして門司の裏山のすべて沢という沢がひつかかれたようなかつこうに、しかもこれがほとんど同時に起つておりますが、こういうような山津波がやつて参りまして、しかもそれが関門隧道のところに直角に押し寄せるというようなことは、実は記録もございませんし、当時考えなかつたことでございます。ただ当時考えておりましたのは、一時間に八十ミリあるいは百ミリというような豪雨があの付近全般に降りまして、そのために坑内がずつと一様に水浸しになるような状態というようなことは考えまして、大体ずつと一尺程度の囲いをして、入口のところはいよいよのときには列車をとめて土俵で水を防ぐ、こういう程度のことは十分考えておつたのでございます。しかも写真でもごらんになるような状態で、やはりこの日の朝、非常な豪雨のために坑内が水浸しになりましたときには、土俵を築いて一時防水をやるというような処置もはつきりやつておるのであります。従つてそういうような点におきましては、手落ちがないというふうに私は見て参つておるのであります。重ねて申し上げますが、ああいうような山津波がほとんど時を同じくして一時に落ちて参りまして、しかもそれが隧道の方に瞬間的に直角に曲つて押し寄せて参つたということは、実は考え及ばなかつたために、遂にポンプの能力を越えてポンプを水浸しにいたしたために、関門隧道全体がこのような事故を生じたというように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/12
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013・岡部得三
○岡部委員 私、今の御説明で、技術的な面につきましてはおよそわかりましたが、実際にあそこに土嚢を築いたのは、ただ土嚢を築いた程度のもので、列車を通すために土嚢を完全に築けなかつたのではないかと思う。列車を運行する方と、あのトンネルを保護して行く人たちの間で、多少時間的なずれがあつたために、完全なあの防水ができなかつたということは言えるのではないかと思う。私は少くとも八時過ぎには、あの土嚢はつき始められたことと思いますが、横の防禦壁が一尺くらいあつたようですが、その一尺の防禦壁の下の方は、もう十時過ぎには水が越えていたと聞いております。そのときまでは列車を通しております。そうしますと列車を通すために、土嚢をついたり防水をする工事を怠つていたのではないかということが、考えられるが、この点お調べになつたかどうか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/13
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014・江藤智
○江藤説明員 今申しました山津波が参りますまで、構内が浸水をして、隧道の中に構内の水が流れ込む直前におきましては、土嚢によつて、もちろん列車運転をとめるという決心をいたしまして、応急の土嚢を築いて水をとめておることは確かでございます。これはただいまここに持つております写真に出ております。それから間もなく今度は、山側の方から両壁を越えまして、滝のように水が流れ込んで来ておる。それから現地で聞きましたら、ポンプの要員は刻々と水が増して参りまして、もうポンプが水浸しになつて来る。そこで門司側の方におりましたポンプ・マンは、保線区長に指示を仰いで来ておりました。いよいよ水浸しになつて来てあぶないからどうしようか、そこでそれでは引揚げよう。それから下関側の方は、門司の保線区長の配下でございますが、電話が通じないので、下関の工事事務所長の元配下におつたものでありますから、その事務所長に電話をいたしまして、やはり同様なことを言つておりますので、下関の工事事務所長は、豆トンネルに至るゲートがございますが、それを開いて上つて来いということで、これもそういう処置をとつて上つて来ておるというようなわけで、列車が通つておるときにもう滝のように水が入つて来ておるとは考えられないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/14
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015・岡部得三
○岡部委員 お話でおよそわかりました。私の尋ねておりますのは、ポンプ方が上つて来たのは十一時半前、豪雨の前でございます。もうその前に水が入つていたのです。それから中の軌道と軌道の間の排水溝は、十時過ぎにはもうあふれて、レールの上に水が上つていたと言つております。その間、上の方の防水工事が完全に行われていない。その間おそらく一時間くらい防水するひまがあつたのではないか。私はトンネルの重要性を考えますときは、あらゆるものを犠牲にしてもトンネルを守るということが必要じやないかと思う。私は何もこれを責めてどうこう言うのではありませんか、事実こういう事態が発生するということにつきまして、今後は何とか予防措置を講じていただきたいということが目的です。そのために申しておるのです。実際にああだつた、こうだつたと言えば水かけ論になりましようから、これ以上追究するつもりはありません。しかし少くともやればできたのではないかという点が非常にあるのです。それと今後に対する方策をどういうふうにお考えになつておるか。それから現在関門トンネルを閉鎖しておるために、輸送状態はどうなつておるか。現在関門における滞貨状態はどうなつておるか。それからいつごろまでに完全に開通することができるのだという見通し等について承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/15
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016・長崎惣之助
○長崎説明員 今回関門トンネルの浸水を見たということは、きわめて遺憾でございますが、ただいま申し上げましたように、いろいろな悪条件が重なつておりまして、こういう結果になつたのであります。しかしながらこういうことをこのまま放置するつもりはございません。これに対していかなる方法で防雨装置をつくるかということについて十分に研究をして、できるだけ早い機会にこれを解決して参りたいと思います。何分にもあそこは電化区間でございますから、ゲートをつくるにいたしましても、何をつくるにいたしましても、相当仕事がむずかしいのではないかと私しろうとながら考えるのであります。しかしそれも全能力をあげて研究し、また外部のいろいろな識者あるいは学者、そういう人にも相談をしまして、できるだけ早い時期に完全な装置をして参りたいと存じます。
それから輸送の状況でございますが、お客さんにつきましてはそう不便をかけていないと思います。ただ乗りかえという問題がございますが、乗りかえの御不便という以外には、手荷物を三個託送ができるのが一個しかできないという程度のことでございまして、そう大した迷惑をかけておらないと思います。貨物につきましては、あそこで積みかえをいたさなければなりませんので、積みかえに不適当なものにつきましては、やむを得ず制限をいたしております。それから私どもの方で持つております船舶を二そう動かし、そのほか汽船あるいはトラック、漁船、機帆船というようなものを雇いまして、全力をあげてできる限りのことをいたしております。石炭はただいまのところ九州炭は平時の三分の一くらいしか出貨いたしておりません。幸いにして苅田港が無事でありましたから、苅田港から積み出されるものが非常に多いようであります。出貨の情勢から申しますと、九州方面からこちらへ来るものについては大した問題はないと思います。こつちから参りますものについては、ただいま申し上げましたように、多少の制限をいたしておりますが、これまた出貨が鈍つておりますので、まあどうにかやつて行けるのではないか、大体今のところでは十五日には少くとも単線の開通をするということで、懸命の努力を払つております。この単線か開通いたしますと、貨物列車は通常二十五本通つておるのが二十本通れます。二十本通れば今の出貨情勢から見ますと、そう大したことではない。ただ今後復旧、復興が進むにつれまして、復興資材の運搬をやらなければならぬのでありますが、そのころまでには複線の開通ということになりますから、そう大した混乱を起すようなことはないというふうに考え、万全の対策を講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/16
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017・岡部得三
○岡部委員 今総裁の話ですと、多少制限はしておるがというお話ですが、私の聞くところでは、少くとも千二、三百両くらいは貨物列車がとまつておるということでありますが、そういう事実をお聞きではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/17
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018・長崎惣之助
○長崎説明員 当初こつちの方に二千両ほどとまつておりましたが、六日現在で九州行はこれが千両に減りました。そのうち積みかえの可能なものが六百六十八両に減つておりますから、これは三分の一くらいになつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/18
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019・岡部得三
○岡部委員 もう一つ簡単なことですから伺いたいのですが、昔は渡航船がございまして、貨車を積んで送つておつたようですが、あのレールがとりはずされておることは、今度貨車を直送するに際して非常に問題になつておる。あれは自動車に積みかえて送らなければならぬようになつておるようですが、あれは民間会社に何か払い下げられてあるというようなことを聞いております。実際こういう緊急の場合に、貨車のまま輸送できたら非常にいいのではないかという説が強いようでございますが、復旧に急いでおる工場なり会社なんか、本州から送るのに非常に日にちがかかる、間に合わない、手持ち資材もない、原料もないといつたような部面をよくお考えいただきたい。その点につきまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/19
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020・江藤智
○江藤説明員 関門隧道開通以前に行つておりました貨車渡船を残しておいて、緊急のときに間に合わしたらいいのではないかという御趣旨のようでございますが、実は関門隧道が開通いたしましたあとの計画で、こういうつぶれるということは実は考えなかつたものでございますから、門司側は関釜の岸壁を延長するために、一部埋立てをいたしました。これは戦争のため中止して使われない状態にあります。小森江の方も非常に荒廃しておりましたから、これに金をかけたりするももつたいのうございますので、そこのけたをほかに移して利用いたしました。しかも平時は全然使わない汽船をただ国鉄が持つておつたのでは、維持修理に金がかかるばかりでございます。そこで民間の会社で、あそこの自動車航送をやりたいというので、その方に払い下げまして、それが唐戸と向うの門司の方とやつておるわけでございます。これが今度はたまたま非常に働いたというわけでございます。しかも何分にも三ぞうの相当老朽した船でございまして、これをいつ来るかわからない非常時をあてにしてずつと持つておることは——船一そう持つておりましても、乗員その他相当維持費がかかるのでございまして、非常に不経済でございます。また先ほど総裁が言われましたように、十分技術的検討も加えまして、こういうような場合でも再び今度のような災害が起らないような方法を講ずることによつて、関門隧道の輸送確保を期したい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/20
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021・岡部得三
○岡部委員 これは大臣にお願いでございますが、監督官庁の立場として、こういう災害が起つても未然に防げるのではないか、こういう大水が出ても防ぐ方法はあると私は考えるのです。そうしますと、ぜひとも今後こういう災害が来ないように、また九州と本土をつないでいる大動脈を遮断されることのないように、ひとつ適当な方策を考えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/21
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022・石井光次郎
○石井国務大臣 ただいま岡部君から、こういう不祥事か二度と起らないように、設備その他万全を期せというお話がありましたが、これは私この間現地を拝見いたしまして、特に深く感ずるわけでございます。ああいうものができない前は、できないままでいろいろな方法を講じておりましたが、できましたために、非常に大きな利益を得て、輸送関係が今日まで非常に助かつておりましたものが、一ぺんとまりますと、ことにその打撃が前に倍して大きいのであります。今説明申し上げましたように、前の設備はみなとつてある。船を出そうとしても、両岸の荷役がどうにもうまく行かない。実は私は行く前までは、だんだん山陽線の方がうまく通ずるようになれば、ありとあらゆる船を出してどんどん運んでしまおうというつもりで行きましたところが、荷役の関係がどうにもうまく行かぬというような関係で、まことに残念でございますが、その中でもできるだけのことをやつてくれということお願いして参りました。幸いにいたしまして十五日が、いま一日でも半日でも早くでき上ることを期待いたしておるのでありますが、あそこに働いている人たちは、まことに真剣に、ほんとうに昼夜をわかたず働いているのを見まして、私はものか言えないくらい感激をいたしたのであります。今度各地を見まして、どこに参りましても、国鉄の従業員諸君が懸命な努力をしてくれて、そのために自分の考えておつたよりも早く通じて、われわれは汽笛の音を聞いてほつと安心したということを聞かされました。ほんとうにその通りだろうと思つて喜んでおります。この関門トンネルの復旧が最後に残つている問題でありまして、国鉄当局の努力によつて、一日も早く回復することをこいねがうのでありますが、将来が一番大切なんで、私も現地において、今のなぜトネル内に水が入つたかという問題等は、これは世界的の報告の材料になるべきものだと思う。何がゆえに入つたか、どうやつてこれを出したかというような報告は、しつかりしたものをこしらえなければならぬから、そういう記録等をしつかりつくつてもらいたいということと同時に、現実的に一番大事な問題は、今後少くともこれ以上の水が来た場合にはどうするかという対策を、はつきり施設面なりその他においても立てておいていただくことが一番大事なことである。トンネルの中に入つておりました一列車が、非常な危険状態であつた中を無事に脱け出して、あと入つて来た特急は入れなかつたので、一人も死傷者を出さなかつたのがせめてもの幸いであります。一列車が中に沈んだままになつたならばたいへんなことだと思う。そういうことなくして済みましたが、今後はそこまで水が行かずに済み得るように、またそれに対する訓練等をぜひやつていただきたいと私からも願つておりますし、またそういう意味で督励もいたしたいと思つております。今の岡部君の御希望に対するお答えで、この間私が九州へ行きまして現場を見たことの御報告にもなるわけでありますが、こまかい問題については、もし皆さん方お聞きくださいますれば、国鉄部長と私と一緒に参りましたので、細田部長から御報告申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/22
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023・岡部得三
○岡部委員 今はその大体を聞くだけでございまして、小さい問題につきましては、報告書をつくつていただきたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/23
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024・關内正一
○關内委員長 この際お諮りいたします。ただいま地方行政委員会において審議中の地方税法の一部を改正する法律案に対し、本委員会として、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第三百四十九条の二の次に次の一条を加える。
第三百四十九条の三 専ら外国航路に、就航することを目的とする船舶であつて二、〇〇〇総屯以上のものに対して課せられる固定資産税の税率は第三百四十九条の規定にかかわらず、百分の〇、二をこえることはできない。
第七百四十九条第一項中「運送業」を「運送業(対内旅客定期航路事業以外の海上運送事業を除く。)」に改める。
以上のごとき修正意見を地方行政委員会に申入れを行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/24
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025・關内正一
○關内委員長 御異議なければさよう決します。
本日はこれにて散会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01119530708/25
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