1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十日(金曜日)
午後一時五十分開議
出席委員
委員長 關内 正一君
理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君
理事 松井 豊吉君 理事 原 彪君
理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君
理事 鈴木 仙八君
岡本 忠雄君 高橋圓三郎君
南條 徳男君 山崎 岩男君
臼井 莊一君 岡部 得三君
正木 清君 松原喜之次君
山口丈太郎君 館 俊三君
出席政府委員
運輸政務次官 西村 英一君
運輸事務官
(海運局海運調
整部長) 國安 誠一君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 植田 純一君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 細田 吉藏君
運輸事務官
(自動車局長) 中村 豐君
委員外の出席者
専 門 員 岩村 勝君
専 門 員 堤 正威君
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七月九日
委員大久保武雄君辞任につき、その補欠として
青木正君が議長の指名で委員に選任された。
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七月九日
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(楯兼
次郎君外七名提出、衆法第二五号)
台町外二箇所に踏切番設置の請願(中村高一君
紹介)(第三二一六号)
仁堀航路の延長並びに寄港に関する請願(關谷
勝利君紹介)(第三二一七号)
伊予北条駅整備拡張の請願(關谷勝利君紹介)
(第三二一八号)
江川崎、窪川間鉄道敷設促進の請願(三木武夫
君紹介)(第三二二〇号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
水先法の一部を改正する法律案(内閣提出第七
五号)
鉄道敷設法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一三八号)
道路運送法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一三九号)
戦没者遺族靖国神社参拝旅行取扱に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/0
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001・關内正一
○關内委員長 これより会議を開きます。
戦没者遺族靖国神社参拝旅行に対する取扱いについて、政府より発言を求められておりますのでこれを許します。細田政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/1
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002・細田吉藏
○細田政府委員 戦没者遺族の靖国神社参拝旅行に対する取扱いにつきまして、御報告を申し上げたいと存じます。前国会におきまして、三月十三日でございますが、当運輸委員会におきまして、戦没者遺族の国鉄運賃割引に関する件の決議がなされまして、運輸大臣あてに委員長から書面をいただいたのでございます。その後運輸省、国有鉄道が中心になりまして、関係の厚生省あるいは靖国神社等と種々方法につきまして打合せをいたしておりました。大分おそくなりまして恐縮でございますが、ようやく成案を得まして、実施に移す段階に至りましたので、御報告を申し上げる次第でございます。
靖国神社に合祀されておりますのは、約百七十万柱でございます。形式的には一応昭和二十年の十一月に、名前やその他もわからないままに合祀になつておるのでございます。それを逐次詳細に調査をいたしておるようでございまして、昭和二十七年の十月までに、名前その他がはつきりいたしまして、霊璽簿というのがあるそうでございますが、霊璽簿に登録いたしましたものが約三十六万あるそうでございます。この百七十万のうち三十六万ははつきりいたしておるわけでございますが、この余の方につきましては、逐次これを取調べをいたしておるところだという話でございます。今回の運賃割引につきましては、この百七十万が一応対象になるわけでございます。昭和十九年までに合祀になりました戦没者につきましては、すでに割引の特典を実施いたしておりますので、昭和十九年までに合祀したものを除きまして、靖国神社参拝旅行に一回限り適用いたすことにいたした次第でございます。遺族の範囲でございますが、これもいろいろな範囲のきめ方があるわけでございまして、厚生省と十分相談をいたしたのでございますが、戦傷病者戦没者遺族等援護法第三十五条の定めるところによりまして、遺族の範囲を決定いたしたのでございます。
それから次に旅客の運賃でございますが、国鉄の鉄道、航路、自動車はもとよりでございますが、私鉄の方も協力を願うことになりまして、本委員会の決議では国鉄ということになつておつたのでございますが、連絡社線というふうに範囲を拡張いたした次第でございます。割引の区間でございますが、これは居住地のものよりの駅と東京都区内の各駅相互間の往復、実は従前は往復だけであつたのでございますが、今回は特に回遊というものも新たに加えることにいたした次第でございます。回遊と申しますのは、たとえば関西なら関西の方が靖国神社に参られて、帰りに信越線なら信越線をまわり善光寺をお参りになるといつたような、別な経路でお帰りになるというものも適用を拡張いたしまして、遺族の方々の御便宜をおはかりするというふうにいたした次第でございます。料金は三等にいたしました。遺族の数は、戦没者お一人について二人ということにいたしたような次第でございます。
一番問題になりますことは、非常に数が多いわけでございまして、百七十万——もちろんこの百七十万にはまだわからぬ方がたくさんあるわけでございますが、いずれにいたしましても百七十万でお二人ずつということになりますと、三百四十万ということになるわけでございます。これを国鉄輸送力の関係、その他からいたしまして、どの程度出して、またどういう方法でこれを出して行くかということが、一番問題であつたわけでございます。そこでこの割引証を出す方法としまして、いろいろ考えました結果、靖国神社の方で一応合祀の通知というものを逐次出すことに相なつておるわけでございます。合祀は一応二十年の十一月に一括合祀という形をとつておるわけでございますが、それをあらためて合祀の通知をはつきり出すわけでございます。さしあたりましては、間もなく約六万というものに合祀の通知を、府県市町村を通して出すわけでございまして、この六万という方を対象にいたしまして割引証を出す、こういつた形にいたしたのでございます。これが今後、本年度におきましてもこれだけでなくて、あるいはさらに靖国神社の事務がはかどりまして、もつとふえるという可能性もあるわけでございますし、また来年度はあるいは十万とか二十万とかいうふうにふえる可能性もあるわけでございます。これに対しまして輸送力の関係とどういうふうに調整するかということにつきましては、今後逐次打合せをいたしまして、輸送力の許します限り出したいということに考えております。ただ問題は割引証を配りまして、実際にどういう形で利用されるかというようなことは例もございません。戦争中までやつておりましたのは、大祭のときに、おいで願う日がきまつておりまして、一ぺんに出て来られるものについて割引をいたしておりました。今回はそうでなく、五割引の割引証を、あとで出て参りますが、二十八年七月十五日まで約一年間有効な、いつでも使えるという割引証を出すわけでございますから、どういう形で輸送上現われて来るか、おそらくは四月、五月あるいは十月、十一月といつたような、春秋の旅行の好季節に集中されるのじやないかと考えられるわけでございますが、必ずしもそうとも言えません。今後これはどういうふうに利用されるかという状況によりまして、そういうことも考え合せて、今後の枚数についてはきめて参りたい。できるだけ輸送力の許します限り多くなりますように努力はいたしたい、かように考えておるわけでございます。さしあたつては六万人の分の十二万枚をさつそくに出すということにいたしたわけでございます。
割引証は、この資料の二枚目と三枚目にございますが、こういうものを国有鉄道で印刷をいたしまして、調整をいたし、先に申しました十二万枚というものを、一括厚生省に渡すわけでございます。厚生省が都道府県を経由いたしまして、市町村に交付いたしまして、市町村長から遺族に配付していただく、こういう方式をとつておるのでございます。期間を非常に長くいたしましたのは、いろいろな御事情もありましようし、御都合もあるだろうということを考えまして、遺族の方が、せつかく出しましても御利用ができないことでは困りますので、十分利用していただけるようなゆとりを持つた期間にいたしておる次第でございます。なお遺族の方に手渡しますまでに、住所の変更その他でかなり時間もかかるのじやないかというようなことも考慮いたしまして、こうした非常に長い通用期間にいたしたような次第でございます。大体以上で報告を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/2
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003・岡田五郎
○岡田(五)委員 今運輸省の鉄道部長が御報告になりました戦没者遺族靖国神社参拝旅行に対する取扱い方要領につきまして、一点だけお聞きしたい点があるのであります。この五割引ということになつておりますのは、もちろん十二才以下の子供の半額の場合には、その半額の五割引ということだろうと私は考えるのでありますが、さようでありますかどうか。
それとも一つ、団体の場合には団体割引というものがあるのでありますが、かような団体割引とこの割引とどういう御計算に相なるのか、ちよつと疑問に存じましたので、御説明を願つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/3
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004・細田吉藏
○細田政府委員 子供の割引につきましては、御説の通り半額のまた半額ということでございます。
それから団体につきましては、これと団体割引が併用されるということではございません。団体の割引よりもこちらの方が当然率が高くなつておるわけでございます。個人割引の五割ということになつておりまして、その上にさらに団体の一割引とか、二割引ということはございません。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/4
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005・關内正一
○關内委員長 次に道路運送法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。岡田五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/5
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006・岡田五郎
○岡田(五)委員 それでは道路運送法の一部改正につきまして、二、三御質問申し上げたいと申します。道路運送法の第三条の六号で、一般小型貨物自動車運送事業の使用する小型貨物自動車のトン数については運輸省令で定める、こういうことになつておるのでありますが、最近オート三輪車、すなわち小型自動車と称するものが相当多くなつて来ておるようでありまして、ものによつては二トン積みのもの、あるいは三トン積みの小型貨物自動車が出て来ておるようでありますが、そのような小型といいますか、中型と称しますか、その貨物自動車につきましては、どういう分類に入るのか、その点疑問をただしたいと思います。
〔委員長退席、關谷委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/6
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007・中村豐
○中村(豐)政府委員 一般小型貨物自動車運送事業のトン数は、運輸省令で定めたいと申うのでありますが、ただいまの考えでは二トン程度にとどめたいと思つております。ただお話のごとく、将来二トン以上三トンにも及ぶような小型自動車が発生いたしましたような場合には、その輸送単位が非常に大きくなつて、区域貨物自動車運送事業とその経済価値が非常に近くなる事態の起ることが予想されますので、そのような場合には三トン程度のものはどのように分類するかということは、そのときになつてもう一度研究し直そうと思つております。ただいまの考えでは二トン程度というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/7
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008・岡田五郎
○岡田(五)委員 最近の貨物自動車の傾向を見ますと、大型貨物自動車は、大体四トン車の方に傾向が強く向いておるようでありまして、昔の二トン積みの大型自動車というのはだんだん少くなつて来ておるようでありますが、まだ相当二トン積み中型貨物自動車が営業用自動車として営業に従事しておると私は考えるのであります。しかも現在三輪車の二トン積みの小型自動車というものは、相当の勢いをもつてふえて来ておるというような過渡期にあるわけでございます。ただ小型自動車の構造上からいいまして、走行能力というものもおのずから大型の貨物自動車と違いますために、営業範囲あるいは営業についての競争というような面においても、おのずから違つて来ておると存じます。この間に相当複雑な問題が出て来るのではないかというように考えるのでありますが、いわゆる大型の二トン積みの貨物自動車というものは現在どの程度あるか、また三輪車の二トン積み貨物自動車はどの程度あるのか、参考のためにお聞かせ願いたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/8
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009・中村豐
○中村(豐)政府委員 トン数で普通自動車と小型自動車とわけた統計はないのでありまして、ただ道路運送車両法によつて、定格出力等によつて、普通自動車と小型自動車とをわけておりますので、そのような車両法に基く分類はあるのでございます。ところが今お話のように、車両法では、つまり技術的、設計的には普通自動車に該当しますが、積載数量は二トン程度のものがまだあると思うのであります。しかしお話のような統計分類はただいまのところ実はしていないものですから、お答えできないのを残念に思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/9
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010・岡田五郎
○岡田(五)委員 現行道路運送法によりますと、小型貨物自動車運送事業として、括弧して、最大積載量一トン以下の自動車のみを云々とありますので、小型貨物自動車といえば一トン積みというように限定されておるようでありますが、このたびの改正案によりますと、そのような積載量の制限がございませんので、先ほど申したような二トン積み貨物自動車の最近の増加傾向等をも御勘案願いまして、早急に適時適切なる方途を講ぜられんことを希望いたしまして、この問題に対する私の質問は一応、打切ります。
次に第六条の免許基準でありますが、過般の国会におきまして、いわゆる免許基準の緩和ということを大きな主眼として、当委員会において道路運送法一部改正に関する小委員会を設けられまして、この緩和の方策が立てられ、このたびの道路運送法一部改正もその目的に沿つて改正されておるようでありまして、満腔の敬意を表しますとともに賛成いたす次第でございますが、ただこの第六条二項で、特定運送につきましては、従来の免許基準よりも非常に厳格になつておるというように感ぜられるのであります。ことに第二号によりますと、「当該運送需要が一段自動車運送事業によつて満たされることを適切としないものであること。」こういうことでまず特定運送を免許する前に、一段自動車運送事業でやれるかやれないかということを先に認定して、その上でなければ特定運送を考えないということで、一般自動車運送事業第一主義になつておるように私は考えるのでありまして、私たちといいまするか、先輩議員が考えられたのは、自動車免許の各部門についてできるだけ緩和をして、そうしてできるだけ自由競争といつては言葉は強過ぎまするが、競争させ、しかも交通秩序を維持し、かつ事業の発展を期し、一方運送業者としてのサービスの向上をはかろう、こういうことで目的を達するために法案の改正を出されたと、かように考えるのでありますが、その傾向と逆に特定運送につきましては、特定免許につきましては従来よりも厳重になつた、こういう点につきましていろいろ御説明を願いたいと存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/10
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011・中村豐
○中村(豐)政府委員 特定運送事業について、免許基準を一項起しまして第二号のような表現をしたために、あるいは特定に対する処分の方法が厳重になつたのではないかという御懸念をお持ち願つたようでありますが、決してそうではございません。特定事業というものは、あくまでも特定のものの需要に応じて、特定の旅客または貨物を運送する事業でございますから、その特定の関係が明らかになつて、そのために特別な設備であるとか、特殊な作業に習熟しておるとか、その他特に特殊な事情のあることを必要とすると思うのであります。そのような場合に初めて特定が認められるのでありまして、そういうものでなくて、一般の条件を具備しているような場合には、むしろ一般事業の免許を受けるわけであります。ところが現在までのやり方では、とかく一般の免許が、処分か厳重に扱われたために、どうしても最初から一般免許がとれない、そのためにやむを得ず一般免許へ行くための段階として、過渡的な手段として、さしあたり特定をもらつておつた。そうしてだんだんと業績を上げて、一般に切りかえるというふうな段階的な手段に使われることが、相当あつたように見受けられるのでございます。それは実際の法律の精神に合わないのでございまして、特定はあくまでも特定という特殊関係のある場合だけに限ることにしまして、一般も必要ならば今度改正された条件に従つて、一般免許を必要なものには差上げるということにした方がよいのではないか、かようにいたしてむしろ問題をすつきりさせたというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/11
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012・岡田五郎
○岡田(五)委員 自動車局長の御説明は、まつたくごもつとものように存ずるのでありますが、大体特定免許は特定の旅客、貨物と直結して、これを免許を受けるのが私は特定免許の本来の姿であり、免許を出されるものの実態であると考えるのであります。さような特定の旅客、特定の貨物と直結した特定免許を免許するにあたつて、何も一般自動車運送事業によつて満たされない云々という文句を入れる必要がないと思う。それは一旦特定免許の手段をとつて、輸送力が余る、ために一般旅客貨物も扱いたいというのは次の段階である。一般自動車運送事業の免許の基準に基いて、そのときはそのときで査定すればいいのでありまして、特定免許をする際において、一般自動車運送事業のことまで考え合せてこれを免許する、これは要するに特定免許を与えない方向に、しかも一段自動車運送事業を擁護する方向に、非常に考え方が向いておるように私は考えるのでありまして、今までかような特に特定免許について、厳重なこの免許基準がなかつたにもかかわらず、免許基準を緩和しよう、こういう際に、わざわざこれを挿入せられるにあたつては、相当の特定免許業者の実際の行動において、許すべからざる実際的な行動があつたために、特にこういう際にかかわらず厳重にされたのかどうか、今自動車局長が言われましたような事態を憂うるがために、ただこういうことをされたのかどうかという点につきまして、もう少し具体的にお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/12
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013・中村豐
○中村(豐)政府委員 現在の道路運送法によりますと、特定免許をとろうとされましても、第六条の条文によりまして、一般免許と同じような審査を受けるのであります。一号から五号まであるところの条項に該当しなければ、特定免許も差上げられないのであります。たとえば需要供給の関係であるとか、その開始が公衆の利便を増進することであるとか、事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであるとか、その他二、三一般と同じような審査を受けるのでございまして、今申したような条項は特定には必要がない。むしろ特定の旅客、荷主との結びつきさえはつきりしておればよいという趣旨でもつて、むしろ特定は特定だけの筒単な審査をしようということで、そういうふうにわけたつもりでございまして、決して他意はないのでございます。ただしかしながらこの二号にありますようなことがあつたために、一般事業を擁護するような感じにとれますけれども、これはそうではなくて、二号によるようなものは、むしろそういう申請人は一般免許をおとりになればよいのであつて、特定という段階的な仮面をかぶらなくてもよいのだということのつもりでわけたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/13
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014・岡田五郎
○岡田(五)委員 なるほど一般自動車事業になりますと、一般旅客、公衆の利便あるいは公益上適切であるかどうかというようなことは、一般自動車運送事業だから当然これを差上げる。これを免許基準の基準に入れることは理の当然だと思いますが、特定免許それ自体は特定の旅客、特定の貨物と直結しての特定の輸送でありまして、一般旅客、公衆の利害得失という問題は、もちろん自動車運送事業としては考慮せねばなりませんが、一般自動車運送事業のごとく一般旅客、公衆の利益云々は、特定運送についてはそれほど考えるべき問題ではない。言葉は多少足りないかもしれませんが考えるべき問題ではない、かように私は考えるのであります。また特定運送になりますと、特定の旅客、特定の貨物が免許する台数と輸送需要と輸送能力がマツチするかしないかは、免許を与える場合に六条の四号なり五号なりあげておられるこの基準によつて査定されるのは当然のことであります。かような基準を査定されるにもかかわらず、わざわざ二項で一段自動車運送事業に支障を与えない場合は与える、こういうことは一般自動車運送事業偏重にあらずして何ぞやと、こう私は言いたいのであります。いろいろと言い訳はございましようが、この条文を見て一般自動車連送事業偏重にあらずと考えない人は、おそらく十人のうち一人か二人しかない、大部分の方はこの条文を見て一般自動車運送事業偏重というか、重点主義である、かように考えると思うのでありますが、その点はどういうふりな御意見を持つておるか、御質問申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/14
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015・中村豐
○中村(豐)政府委員 そのような誤解をお持ち願うことはまことに残念でございますが、事業の形態としては一般事業の方が望ましい。つまり旅客、荷主が不特定で、だれが来ても需要に応ずる方が望ましいのであるから、それを第一義的に考えて、特定はあくまでも特定の関係がはつきりした場合だけにしたいというわけであります。その意味から特定は第二義的に特殊なものとして見おるわけであります。ただ一般事業を擁護するから特定も押えてしまうというのではなしに、特定で十分の理由のあるものは特定を差上げるし、特定の理由の少いもので、一般の理由が立つものは一般の事業免許を差上げる、こういうことで、先ほど申しましたように、二つの事業の性格をすつきりさした規定にしたというだけのことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/15
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016・岡田五郎
○岡田(五)委員 特定自動車運送事業は、特定自動車運送事業の特質があり、また利点がある。一段自動車運送事業もまた利点もあるかわりに欠点もある。なぜかといいますと、数十台の車を営業本位、採算本位にぐるぐる運転いたしておるのであります。特定免許は特定の旅客と貨物と直結して、その間を何回往復するかは自由だという一つの特典がある。特典がある以上は、この特典を生かすようにしなければならぬと私は思うのでありまして、ことにこうやつて免許基準が一、二とあがつている以上は、免許するにあたつては、一も二も同じように重点を置いて免許を与えられる場合に査定せられると思う。ことに現在一般自動車運送事業が、むしろ輸送力が需要よりも余つておる、こういうような現代の段階においては、ことに一般自動車運送事業が、集荷にお互いに競争し、奔走して、何とか自動車の積載効率を六〇%でも七〇%でも上げたい、車よりも荷物が少い、こういうような現状において、この二項のような条項を置きましては、おそらく特定免許を与えられるものは一件もなくなつてしまつて、いわゆる特定運送としての特質を生かす荷主の利便というものが、非常にそこなわれる傾向を憂うるのであります。ことに一般自動車運送事業の輸送需要が輸送能力よりも余つているという時代ならばかような弊害は起りませんが、一段自動車運送事業が、不景気のために輸送量が輸送力に伴わないという現在の事態において、かような条項を置かれるということは、先ほど申し上げましたように、いわゆる特定免許に対して門戸を閉鎖いたしまして、一般自動車運送事業の横行閥歩を許す法案になる、かように強く信じておるのでありますが、その辺についてのお感じをもう一度お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/16
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017・中村豐
○中村(豐)政府委員 六条の第一項と第二項の二号とを対照してお読み願つたときに、そのような御疑問が出るのだと思いますけれども、これはあくまでも別々の、性質の違うものを取上げて審査する場合に適用する基準であるわけでございます。従つて一項で需要供給の関係をうたつてあり、二項で需要供給の関係をうたつてありません。しかも二項の二号のような条文があるために、一項で需要供給が十分満たされている、需要供給のバランスが十分とれておる場合には、二項三号の適用はないものだ、特定は認めないのだというふうに、数量的におとりになつたのかもしれませんけれども、そのような需要と供給の比較による数量的なことは二項では考えていないのでございます。かりに一項で輸送力があり余つておりましても、特定の必要があれば特定は免許する、そういう気持ははつきりとあるわけでございます。そのような供給力との対照による数量的な問題は、二項では考えておりません。あくまでも、特定だから特定の必要性があるものでなければいけない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/17
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018・岡田五郎
○岡田(五)委員 お話のほどもわかりますが、この法案を読みますと、数量的なことがうたつてないということは考えられない。二項に御承知のように、「当該輸送需要が一般自動運送事業によつて満たされることを適切としないものであること。」こういうことになつておる。結局輸送需要があつて、それで特定免許を計さなくとも、一般自動車運送事業によつて満たされるという場合は、特定免許を許さない、こういうように読めるのでありまして、数量のことは言つていないとおつしやいますが、完全に当該輸送需要がまず一般自動車運送事業によつて満たされるか、満たされないか、満たす方が適切であるかどうかというようなことを判断した後において、しかる後に特定免許を考える、こういう法文になつておる。ことに特定免許の基準を与える場合に、一項だけまず考えて二項は考えないというようなことでなく、一項も二項も両方あわせて勘案して特定免許を与える、また法律を適用する、こういうのが実際の適用の面ではないかと考えるのでありますが、言葉は非常に巧みに使つてあります。「事業によつて満たされることを適切としないものであること。」と非常にまわりくどく言つてありますが、完全に裏を返して見れば、一般自動車輸送事業を保護する考えで特定免許を許さない、こう解釈せざるを得ないのであります。また今までの免許基準によりますと、何も一般自動車運送事業と特定自動車運送事業と免許基準は一つも違つていなかつた。同じ基準によつてやつておつた。しかも特定の特質に基いて免許されておつたにかかわらず、免許基準を緩和しようというときに、何をわざわざ特定免許だけこうやかましく言わなければならぬのか。非常に不正不当な競争が特定免許業者から行われた、だから自動車運送事業の秩序を保つために、どうしてもそういう不正不当な輸送ダンピングを抑制しなければならないという、やむを得ざる現実の事実に基いてこういう条項ができたのならば、私は万やむを得ず納得いたしますが、そういう事態もなく、先ほど申されたように、特定免許を受けて、すぐまた一般自動車の免許を受けに来る、こういう手段に使われるから、こうやかましく言うのだという、ただ単なる机上の一杞憂に基いて、かような厳重な規定を設けられるのはどうか、私はかように考える次第であります。この点につきまして、はなはだくどいようでございますが、もう一ぺん御所見のほどを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/18
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019・中村豐
○中村(豐)政府委員 なかなかまわりくどく書いてあるために、十分に意思をくみ取つていただけないようでございますが、数量的に満たされるということを言つておるのではないのでありまして、満たされることを適切としないという性質のものであると、性格論を言つておるつもりでございます。そのような特殊な性格の場合には特定で行つていただく、従つてその場合には需要供給の関係なんかは問題にしないのだ、まだ現在ありますような公衆の利便ということには関係のないことで、そういうことは問題にしないのだ、あくまでも荷主、旅客との特殊な関係を見るのだ、こういうことに考えて規定してあるわけであります。従いまして輸送の施設とか、あるいは輸送の作業の特殊性というものがあるかどうか、そういう性格が適切であるか、一般事業では満たされない性格のものであるかを見たい、こういうわけでありまして、そういうことが一般的な普遍的な性格を持つている場合には、特定でなしにむしろ一般で免許しよう、こういう趣旨でございます。あくまでも制限的、抑制的な意味ではなしに、性格によつてはつきりとわけて、一般は一般でとつていただく、特定は特定の特殊なものだけとつていただく、こういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/19
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020・岡田五郎
○岡田(五)委員 あまりしつこく食い下るのもまことに申訳ないのですが、どうも自動車局長のお話が、頭が悪いせいですかびんと参りませんで、はなはだ申訳ありませんがしつこくもう一ぺん承ります。輸送需要については、数量のことは言つていない、主として輸送の性質というものについてうたつているがごとく御答弁になりましたが、この輸送需要はもちろん性質のこともございましようが、数量のことが大部分のことでございます。そういうように非常に輸送需要について特殊な解釈をなさいますならば、そういう特殊な解釈を、政令でもよろしゆうございます、自動車局長達でもよろしゆうございますが、その免許を与うるにあたつて十二分に自動車局長の意が浸透いたしますように、万遺漏のない行政処置を講ぜられんことを特に切望いたす次第でございますので、さような行政処置のない限りにおきましては、私は今御質問申し上げましたような結局特定免許の門戸をとざして、一般自動車運送事業を堂々闊歩させる結果に相なることを憂えるのでありまして、こいねがわくば今自動車局長が考えられておるようなことを、十二分に行政処置であやまちないように御処置あらんことを切望いたしまして、私の質問はこの程度にいたしまして、次に移りたいと存ずるのであります。
次に道路運送法の第二十四条の禁止行為の問題でございます。「事業区域を定める自動車運送事業を経営する者は、発地及び着地のいずれもがその事業区域外に存する旅客又は貨物の運送をしてはならない。」、この条文につきまして私の疑問といたしている点を質問したい、かように存ずるのでありますが、この事業区域というものは、大体どういう範囲におきめになるおつもりでありますか、その点をまずお伺いいたしたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/20
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021・中村豐
○中村(豐)政府委員 事業区域といいますのは、通常自動車でもつて営業のできる事業運営の範囲であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/21
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022・岡田五郎
○岡田(五)委員 それは非常に抽象的なお言葉で、私が承つておりますのは、そういう抽象的な御解釈を承つておるのではございませんで、現行の道路運送法にも事業区域ということがあるのでありますが、現在の事業区域は大体どういう基準でおきめになつておるのか、それを承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/22
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023・中村豐
○中村(豐)政府委員 現在の事業区域は、大体自動車の行動範囲を考えまして、たとえばトラツクならば百キロ以内とか、タクシー、ハイヤーならば百五十キロ以内とかいうふうに考えまして、それで大体のサークルを描いて、それに入るような市町村の行政区画でもつて表現しておる、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/23
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024・岡田五郎
○岡田(五)委員 一応ハイヤー、タクシーの問題についてお聞きしますが、聞くところによりますとタクシーの事業区域は、営業所を中心として八十キロの円を描いた区域内をおきめになつて、現在はやつておられるように承つておりますが、さようでございますかどうか、お話を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/24
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025・中村豐
○中村(豐)政府委員 ちよつと訂正させていただきたいと思いますが、先ほど事業区域の範囲をタクシーで百五十キロと申したのは、五十キロでございますから訂正しておきます。それで大体営業所を中心にしまして、通常その営業所からお客さんまたは貨物を運んで行つてその日のうちに帰れる範囲ということで押えておるのでございます。ところが自動車運送事業の特質として、それよりもさらに遠出をしまして遠くへ行くことがあり得る。従つてその日のうちには帰れないことも予想できるのでありますが、そのようなものを無制限に認めますと、隣りの事業者の地盤とぶつかり、日本全国が全部事業区域になつてしまうということになりましては、各地を主たる事業区域としている事業者との間に摩擦が起りますので、一応そのような事業区域を考えたのでありまして、それ以上に出る場合には区域外運送の許可といつて、特別の許可を要することに現行法はなつておるのであります。これは非常に煩雑で、いかにも自動車の行動に合わない感じがするものでありますから、そのような区域外運送の許可という制度を今度はやめることにいたしまして、通常予想せられる行動範囲を押えてそれを事業区域にしまして、それにまたがるところの区域外運送はできる、特別の許可を必要としないということにいたしました。ただ事業区域を定めますから、それ以外の地域で、つまり他の事業者のなわ張りでもつて営業することは、これはお互いに勢力分野を尊重しなければなりませんから、それは禁止してできないことにする、こういうふうにしたのが今度の改正の要点でございます。発地及び着地のいずれもがその事業区域内に存するものはよろしいが、発地及び着地のいずれもがその事業区域外にあるもので、他人さんの地盤内で営業することはお断りする、こういうように改めたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/25
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026・岡田五郎
○岡田(五)委員 私はなはだ不勉強で申訳ないですが、現行法においての事業区域の制定は政令できめられるのでありますか。法律でこの事業区域あるいは事業区域外ということをうたつていますが、この事業区域は陸運局長がおきめになるのでありますか、その点念のためにお尋ね申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/26
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027・中村豐
○中村(豐)政府委員 法律でも政令でも省例でもきめるのではございませんで、経済、交通の実態に合いますように陸運局長に処分のときに定めさせようとしております。その定め方はあくまでも実情に合い、交通の実態に即するようにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/27
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028・岡田五郎
○岡田(五)委員 その点私多少疑問に思うのでございますが、大体国民の権利を——この法律で禁止する区域を法律できめない、政令できめない、ただ陸運局長だけでこの区域をきめるということは、少し私はおかしいじやないかと思うのでありますが、大体法律で事業区域外ではこういうことを禁止するとこう言つておきながら、その事業区域は陸運局長がかつてにきめるのだ、こういうことになると国民の権利はあやふやになつしまつて、これほどあぶないことはないとかように考えますが、こういう点についての法律論というものはどういうことになりますか、一応政府委員の御説明をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/28
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029・中村豐
○中村(豐)政府委員 法律で事業区域というものはこういうものであるということを定めるのが、いかにもはつきりしているようでございますけれども、これは各地の事情によつて、とうてい画一的、形式的には定められない問題でございまして、法律で書くとすれば、付表、別表ででも置いて、各中心地をどこと仮定して詳しく定めなければいけないことになりますので、法律の書き方としては、どうしてもそのように具体的にきめてしまうことは無理ではないかと思うのでございます。そこで実情に適するように陸運局長をして定めさせると申しましたけれども、そういう言い方は間違つておるのでございまして、むしろこれはあくまでも事業を計画する人が申請をする際にみずから考えて、自分の事業計画の内容に盛り込んでしてもらうのがほんとうでございます。それを受けて、はたしてそれでさしつかえないかどうかを判断して、別にそれでさしつかえなければその通りをお認めする、これがほんとうの姿であると思うのであります。私が陸運局長をして定めさせると申しましたのは、そういう受身の心構えで行くべきことは当然でありまするけれども、ただその場合に、どうしても判断に困つた場合、あるいは事業者、申請人からどういうふうにしたらいいかということを相談をかけられた場合、または相互にいろいろと協定をしたり、その間の調整をするような場合には、陸運局長が経済、交通の実情に沿うように定めて御相談をする、こういう気持であくまでもいなければならぬということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/29
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030・岡田五郎
○岡田(五)委員 私が聞きたいのは、今事業区域を法律できめて、事業区域外においては発地といわず着地といわず、運送事業をしてはいけない、かようにきめられる以上は、この事業区域は、この法律できめられなくても、法律によつて委任される省令によつて、あるいはまた法律によつて委任される政令によつてきめるというような立法手順をおとりになることが、法律の形態からいつて適切ではないかと私は思う。なぜかといいますると、この事業区域外においては、旅客、貨物輸送はできないという禁止をするのである。営業行為を禁止するのである。かような禁止規定がある以上は、禁止されるその事業区域については、法律または法律の委任に基く省令その他においてきめることが、立法手続上適切である。かように私は考えるのでありますが、この点はひとつ十二分に御研究を願うということにいたしまして、これ以上触れません。ただ今ここでお尋ね申し上げたいことは、タクシーにつきましては営業所を中心として五十キロの範囲内を事業区域としておるというお話でございまするが、開くところによりますと、五十キロか八十キロか知りませんが、この事業区域の中で、陸運局長名をもつて、あるいは行動区域と称し、あるいは営業区域と称して、区画を御制限になつておるかのように承るのでありますが、さような事実がありますかどうかということをまず承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/30
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031・中村豐
○中村(豐)政府委員 事業区域の中で中心区域というものを考えまして、営業所を中心に事業運営の区域を現在定めておるのでございまして、現在そのようなやり方をいたしております。今後のやり方につきましては、必ずしもその中心区域というものを墨守するのでもございませんし、さればとて非常に範囲を広くした事業区域をそのまま取上げるということも無理なことが起ると思うのでございます。免許基準にもございますように、需要供給の関係を彼此勘案するということになつておりますので、はたしてその地区にどれだけの需要があるかということを見る場合には、おのずからそこに一つの区域を頭に置かなければ考えられないことになります。日本全国の需要ということで免許基準を適用するのでは、これは事実ナンセンスになりますので、おのずからある一定の交通、経済圏というものを頭に置いて、そこでどれだけの需要があるであろうか、その需要に対して、それではタクシー、ハイヤーあるいはトラツクの供給輸送力はどのくらいあるだろうかということを彼此勘案して、免許の可否をきめるということになりますから、そのような区域をある程度頭に置かなければどうしてもやれないということだけは、ひとつ御了承を願いたいと思うわけでございます。その区域を定めるにつきましては、たびたび申しましたように、実情に合うように十分な研究をいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/31
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032・岡田五郎
○岡田(五)委員 まず現在の事業区域内の区分一のことをお話願いたいのでありますが、聞くところによりますと、現在の営業所中心の五十キロの範囲内に行動区域というのがあつて、それを今自動車局長は中心区域だとか言つておられますが、何か営業区域という狭い範囲がきめられている。しかもこの営業区域内の営業、すなわちここに発地と着地がある場合はいい。行動区域内にお客を乗せて行く場合はいいが、帰りはからで帰つて来いというようなことが、いわゆる自動車局長といいますか、陸運局長といいますか、その達をもつて下級官庁の方に御通達になつているようでございまするが、そういう事実があるのかないのか、抽象論の御説明はともかくも、実際の現在ある姿をまず御説明願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/32
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033・中村豐
○中村(豐)政府委員 現在は、法律上の事業区域というものを考える場合には、行動範囲を頭に置いて考えるわけでございます。そうしてその中に中心というものはおのずから考えられるわけでございまして、それは営業所を中心にしたそういう事業運営の区域を考えているわけでございます。事業運営の中心地というものだけに行動営業が制限されるのではなくて、事業区域内ならばどこで営業してもよろしい、こういうことになつております。中心というのは、営業所を置ける地域というようなつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/33
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034・岡田五郎
○岡田(五)委員 非常にしつこくお尋ね申し上げまするが、それでは行動区域と中心区域とは、営業者についてはどういうふうに違うのでございますか。ただ役所の都合上で中心区域ときめ、行動区域ときめているだけで、その間かつてに——かつてという言葉は悪いのでありますが、いわゆる行動区域内でお客を拾つて行動区域外へお客を運び、またそれを運び返すというようなことをやつてもいいのか。または行動区域内だけでそれを許して、行動区域外へお客を運んで行つて、帰りはからで帰つて来いというように、行動区域と中心区域で自動車営業者がやる営業行為に差をつけておられるのかおられないのか。つけておられないならば、何も行動区域だとか中心区域だとか、同じ事業区内で差をおつけになる必要はない。何か差をつけている、つけているから行動区域とおきめになつたり、中心区域とおきめになつているのだと考えるのでありますが、今の自動車局長のお話では、全然差がない、ただ便宜的に中心区域をきめ、行動区域をきめているのだというお話でありますが、ほんとうにさようでございますかどうかということをお尋ね申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/34
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035・中村豐
○中村(豐)政府委員 事業区域というものは、自動車の行動範囲でございます。営業の行動範囲でございます。それから中心地域というのは、その区域内容ならば営業所を置いてもよいというところでございます。それでトラツクとかハイヤーの場合には、営業所というものが事業経営上非常に意味があるわけでございます。つまり運送の申込みを受けたり、あるいは運賃の支払いをしたり、運送契約を締結する場所でございますから、その営業所を置ける範囲というものが非常に意味ができて来るわけでございます。従つて事業区域の中にさらに小さく中心区域があつても、それはそれで意味があるわけでございます。ところがタクシーになりますると、御承知のように流し営業でございますから、営業所というのはただそこで事務をとる場所である、あるいは車を置く場所にすぎないのでありまして、事実上の運送契約を締結するのは、流しをしておる街路上至るところでございます。従つて行動を許されておる事業区域全箇所で営業行為ができますから、あまり意味がなくなつて来る、こういうことが言えると思うのであります。そこで現行法を運営してみまして、二年ばかりの経験でございますが、事業区域というものを自動車の性質に合うように相当広く考えてみました。たとえば先ほどのようにトラツクは百キロである、タクシー、ハイヤーは五十キロであるとかいうサークルをとつて考えてみて、その中では自由に営業をしてよろしい、しかしそれから外に行く場合には許可をとらなければいけない、こういうふうにしてみたのでありますが、百キロ、五十キロという考え方自身も実は狭かつたのでありまして、御承知のごとく自動車の特質から、数日をかければ日本の端つこまで、何百キロでも何事キロでも行つてしまうことができる。だから行動範囲ということを考えれば、陸地が続く限りは日本全国が行動範囲であります。従つて行動範囲を事業区域と考えるならば、日本全国陸地の続く限り事業区域だ、こういうことになるわけでございます。そこでその中で自由にどこででも営業してよろしいということにしますと、各地にできておるところの他の同業の事業者とお互いにぶつかり合うようになつて、それで摩擦を起す。これはおもしろいことではない。お互いに地盤があり、なわ張りというものを尊重しなければならない事情もあるのであります。そこで考えましたのは営業をする範囲、それを事業区域と考えまして、その事業区域は従つておのずから狭い制限のあるものにする、しかし先ほど申したようにどこへでも行かすのが自動車の特質に合うわけでございますから、営業区域である事業区域を越えてもどこまで行つてもよろしい、しかしそれはお互いにまたがり合つてはならない、また遠くまで行つて、から車で帰ることを強要することはこれまた不経済であるから、帰る車を利用して元の自分の地盤である営業区域、すなわち事業区域にもどつて来るのはよろしい、そのようなまたがりはよろしい。しかし他の地盤にまで張り出して行つて、その他人の地盤の中でちよこちよこと営業することは、これはやめてもらおうじやないか、こういう精神から改正をしたのでありまして、現行法二年間の運用の結果、実情に沿わない点がありましたので、むしろ実際に合うように直したというのが改正の精神でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/35
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036・岡田五郎
○岡田(五)委員 二十四条を前国会の道路運送法の改正の小委員会の結論以外にお加えになりました運輸省のお気持のほどはよくわかります。また立法の精神のほども納得はできるのでありまするが、今私が質問いたしましたのは、事業区域のわく内において、行動区域と、いわゆる中心区域をおわけになつておる。その中心区域——貨物についてはそういうことは考えられるかもしれませんが、今の御答弁によりますと、その中心区域というのは運送契約、運送行為を行う区域であつて、行動区域は自動車が走りまわる区域だ、こういう話なのでありますが、何がゆえに事業区域としてきめておきながら、そのわく内でただ自動車が走りまわる区域と、そのまたわく内のもう一つ縮められた狭い範囲内においてしか自動車運送契約を結ぶことができないというような制限を加えられるかどうか。これは貨物と旅客とおのずから趣を異にいたしますが、今の御答弁の模様を見ますと、タクシーにおいては行動区域内における運送行為は自由にやれるのだ、こういうようなお話のように承りますが、タクシーについてはいわゆる行動区域、あるいは中心区域というものは一応きめてあるが、実際は何も違いはないのだということに理解していいのでありますか。その点念のためにお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/36
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037・中村豐
○中村(豐)政府委員 現行法では事業区域すなわち行動区域と、中心区域の二つにわけて考えておりますが、現行法ではタクシーについては別に実質的な差異はありません。しかしそのような事情のために、実はいろいろと問題が起つたのであります。むしろはつきり実例を申し上げた方がおわかりになるかと思いますので、ひとつ実例を申し上げてみたいと思います。たとえば東京のタクシー業者の事業区域は東京都のみならず、千葉県、埼玉県、神奈川県にまでも及んで、自動車の行動区域として広いものを事業区域に認めておるわけであります。そうして営業所を置ける場所として、たしか東京都を中心とするというような、いわば中心区域の観念をつくつてあります。ところが事業区域の中では営業所は置けませんけれども営業は自由にできます。し、またタクシーは街路上でお客を拾うことができますから、横浜でも営業ができるわけであります。そこで東京にたくさんできたタクシー業者が、東京では車が多過ぎるのでなかなか商売ができないというので、横浜まで出つ張つて朝から晩まで横浜だけで営業をしていたのであります。その数が非常にふえましたので、横浜市を中心とするタクシー業者と非常な摩擦が起りまして、血の雨が降るといいますか、そういうけんか沙汰までたびたび起つたのであります。これはよく考えてみると、お互いに一応営業地盤があるはずであるのに、その営業し得る範囲を広くしたために、その端と端とでぶつかつてしまつた。つまり営業区域という円と円の端がぶつかつた。そこがダブるという程度ならいいのですが、大きな円を描いたために、一方の円の端つこが他の円の中心地に入り込んでしまつた。東京から言えば横浜市内というものに入り込んで、そこで専門に営業をして、夜になると寝ぐらの車庫に帰るというような業者がたくさんできてしまつた。これは日本全国あるいは関東一円をなわ張りとするということではなくて、今までの自然発生的に大都市、中都市を中心にしてタクシー、ハイヤーの営業が発生したのであるし、またお客もそういうような源から発生するのであるということを考えれば、各中都市ごとぐらいには地盤をつくつてやつた方がいいと思うものですから、そのような実情も考えて、今回はこのように事業区域という範囲の広いものと、中心区域という範囲の狭いものとの二つの円を描くという考え方はやめまして、両方が歩み寄つた一つの円に合致させよう、従つて従来よりはおそらく事業区域は狭くなると思うのでありますが、それによつて相互の商売の営業分野を調整しよう、こういうふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/37
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038・岡田五郎
○岡田(五)委員 なるほど実例を御説明していただきまして、交通調整の面からの陸運局長の御苦心のほどはよくわかるのでありますが、そういう輸送実例につきましても、大体営業を免許せられる場合に、その事業区域内の輸送事情を十分勘案されて、いわゆる台数増車の問題にしても、免許を与える場合に十分御勘案なすつておるはずだ、免許を与える場合には事業区域内の輸送事情を十分勘案ずるという現在の規定においても、事業区域内の輸送需要というものを十分調べて免許になつているはずなんです。にかかわらずたまたまそういう事態が起つたからといつて、またそういう事業区域内のいわゆる輸送需要の査定が誤つておつたがために、そういう特例が起つたがために、が何ゆえに事業区域を縮めなければならないのか。こういう点につきましてもう一ぺんお話を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/38
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039・中村豐
○中村(豐)政府委員 お説のごく事業区域内における輸送需要を判断する場合に、事業区域という広い範囲を頭に置かずに、狭い範囲を頭に置いて、たとえば東京都内というものの需要はどのくらいあるだろうかということを算定をして来たのでありまして、その点が免許基準を適用するにあたつて、事業区域と中心区域ということをはつきりとかみわけずに処分して来た傾向が確かにあつたのでございます。それが今申したような問題のもとになつたとも思われますので、今後はその二つの円を描かずに、一つの円だということで需要供給の関係を算定して行くのが実情に合う、またそうしなければ広い区域ではとうてい需要が算定しにくいと思いますから、円を一つに合わすということにさしていただきたいと思います。但したびたび申しますように、円を一つに合わすために、円が狭まることが起りますけれども、またがりは決してさしかえないのだということによつて、実情を逸脱しないようには十分努力しているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/39
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040・岡田五郎
○岡田(五)委員 行政官庁の御失敗を私は追究することは非常に心苦しいのでありますが、現在の免許基準の第三にちやんとあります事業区域内において供給輸送力が輸送需要量に対して著しく不均衡とならないものであるということ、そういうことを重要な免許基準として査定をなすつた。しかも数年来この基準でやつて来られた。やつて来られたということは、今から飜つて見ると、今までの免許基準はでたらめであつた、言葉は悪いかもしれないが、でたらめであつたということを裏づけていることになる。免許を許してもらえるかもらえないかということは、その事業区域内における輸送が過剰であるかないかということがいつも論点になつて、いわゆる免許基準を緩和しろ、しないということになつておつた。にかかわらず今になつて事業区域の輸送量の査定が少し広過ぎて間違つていたと言うことは、これは行政官庁の上部の失敗と言えば失礼でございますが、まあ間違つておつたことをあつさりとお認めになりました。この点は非常に多といたしますが、私は事非常に重大であると考えるのであります。前々国会以来滿尾代議士が口角泡を飛ばして議論しておつたのもこの点です。それを今ごろになつて、いや、こう間違つておつたと言われるに至つては、滿尾君何の顔ありやと私は言いたい。そういうことは過去のことで論じたくありませんからあまり論じませんが、結論的に皆さん方政府委員の気持をそんたくいたしますと、今までの事業区域よりも今度は縮めて、そしてごく狭い範囲の事業区域内に縮めてしまうのだ、今までタクシーの行動範囲と称して許されておつた行動区域も限界ができて、その中では一人のお客さんも拾ないというようなことにこの二十四条はなるのでありまして、この規定そのものは私は相当重大であるとみえます。結論的にお尋ね申し上げますが、従来の事業区域よりも今度の改正案における事業区域は、ずつとお縮めになるつもりでございますかどうか、ひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/40
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041・中村豐
○中村(豐)政府委員 比較的に申しますと、従来の範囲よりは相当縮まることになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/41
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042・岡田五郎
○岡田(五)委員 それではお尋ね申し上げますが、たとえば一例を大阪市なら大阪市にとる。大阪のタクシーが神戸にお客を運ぶ場合、おそらく今度の事業区域は、大阪の営業者は大阪市内ということに限られると思います。そうすると西宮までお客を運んで参ります。そこでお客をおろす。ところが乗るお客さんは、これが大阪のタクシーであるかハイヤーであるか、そんなことはかまいません。流して行く自動車のうち、向う側を通つているものでもとめて、飛び乗つて行先まで一刻も早く運んでもらうというのが、お客の気持だと思う。そこで西宮なら西宮まで大阪から運んだお客を、そこで急にとめられるが、この法律ではたとえば神戸なりあるいは尼ケ崎なんかにおろすこと自体は禁止されている。お客さんが尼ケ崎まで行つてくれと言うのを、法律で禁ぜられているから、お客さんおりてくださいというようなことは、事実上運転手としてはできない。結局来せて行かなければならぬ。法律違反と心得ながら乗せて行かなければならぬ。お客の心理と運転手の法律によつて縛られた実際行動とはまるきり沿わない。こういうようなことがはたして現在のハイヤー、タクシーにおいて行われるかどうか。法律を施行する以上は、これが実施されることを目途としなければならない、そういうことはどうお考えになつているか、承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/42
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043・中村豐
○中村(豐)政府委員 具体的な例をお示しでございますが、そのような場合に私はお客さんなり運転手が間違つていると思うのであります。法理的にやかましく言えば、タクシーを拾う場合には、道路上でタクシーをとめて、そこで運送契約が結ばれる。つまり運送の申込みと引受が行われるのでございますが、運送契約の最も重要な要件は、運送目的地がどこであるかということと、運賃が幾らかということであろうと思う。ところが運賃はタクシー・メーターをつけているということであれば、お客もそれでわかつているから、特にその点を確かめなくてもよいし、運転手も営業者の代理人として、そのメーターによる運賃によつて運ぶということを暗黙に表示しているのでございますから、運賃について特に争いのない限りは、運送契約の重要なる要件である運賃であつても、特にその点について交渉が行われないでもさしつかえたいと思います。しかしながら目的地がどこであるかということの契約申込み及び引受がなくて、ただ乗つてしまつたからそれを運んだ、途中で違反だからおりろと言うことはできないというお話は、これは法理的には契約が成立してないことでございますので、そのようなことをしないようにするのがあたりまえでないか。しかしそういうことはタクシーの実際に合わぬ、そんな法律的にうるさいことを言われると困るというお話でありますと、ちよつと困るのでありますが、そこはひとつ契約でございますから、運送目的地ぐらいは互いに確認し合つてやつていただく。そうなればたとえば大阪のタクシーが神戸まで出張つた場合に、帰り車で大阪のタクシーの事業区域でないところの西宮まで行けと言つたときには、運転手は経営者の代理人として、私はそれを運ぶ権利は持つておりません、お断りいたしますと言うて、お断りをしていただきたいのであります。そのような場合には、それではお客さんが不便ではないかという問題があると思うのでありますが、そのようなところにはタクシーをさらに免許すればいいのでありまして、それは需要に対して供給の輸送力が足りないことであると思うのでございます。お客さんはがまんして、そのような大阪に帰るタクシーは、兵庫県内で使わないで見送つていただいて、兵庫県のナンバーをつけた車が来るのを待つていただきたいと思うのでございます。車のナンバーには兵庫県とか大防とか、標示も幸いにしてついておりますから、その辺はあまり実情に合わないとお責め願わずに、先ほどの地盤ということをお互いに尊重し合う、これが交通行政の大きな見地でもあるということを御了承願つて、御理解願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/43
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044・岡田五郎
○岡田(五)委員 自動車局長のお話は非常にごもつともですが、現実の状態からいたしまして、お客さんにそういうことを期待するということも無理であり、また運転手の現在の素養と言つては言葉が悪いのでありますが、段階においてそういうことを言わせることも無理であるし、これはまつたく現実を離れた机上の理想論であり、法律論であると私は思う。運送契約だへちまだ、運転手はそんなこと一々考えておりません。そんなことを考えておつたら、自動車事故を起してたいへんだと思う。運転手はお客を運んでお客に喜んでもらい、いわゆる自分の収入を多くするのが現実の運転手です。お客さんとすれば、運送契約かもしれませんが、一時も早く自分の目的地に運んでもらいたいというのがお客さんの姿だ。その現実の姿に即して法律をこしらえる、規則をこしらえるのが、生きた法律である。そんな運送契約だへちまだと机上の法律論は、国会においてこれはいろいろ論議する点もございましようが、そういうことで私は質問しているのではない、現実のそういう事態でどういうようにお客にサービスをし、運転手にいわゆる自動車事業をやらして行くかということについて、どういうようにお考えになつているかということであつて、先ほど自動車局長が言われたように、あるいは名義貸しで営業に行つているのか、そんなことは知りません。朝早くから横浜へ飛び込んで、一日中飛びまわつて営業している。あしたも出かける、あさつても出かけるという、いわゆる営業的に他の地域に行つてやるような行為は慎ませるべきであるが、偶然にして偶発的に起つた輸送のこういう面は、大いにやらせると言つては語弊がありますが、ガソリンの節約の面において、お客のサービスの面において、また運転手の収入をふやす面において、これを許すのが当然であり、許すことが実際の世相に合つた規則である、かように私は考えるのでありまして、私は何もこの法案を全部やめはしまえ、交通行政はどうでもいい、またどんどん横浜へ飛び込んだり、大阪へ飛び込んだり、神戸へ飛び込んだりして、その土地のトラツク業者なりハイヤー業者の営業を乱すような常続的な、不当な営業は禁止すべきであると考えるのでありますが、いわゆる偶発的な、偶然的な行為は許すべきである、かように私は考えるのであります。その点について自動車局長はどういうように考えておられますか。そういうような偶発的な必要性のあるものも、一部に起る不正のために全部禁止してしまうという、しやくし定規の法律で全部取締つてしまうという、かたい決意をお持ちになつておるのであるか、その点を明確に御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/44
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045・中村豐
○中村(豐)政府委員 偶発的、偶然的な事例をあげての御質問でございますれば、これはまた事態が違うと思うのでありまして、われわれとしてはそれを常時業ととして行うような場合、たとえば先ほど申しましたような東京のタクシーが横浜で朝から晩までかせぐということは正非常に問題になりましたし、それはお互いに勢力分野尊重の意味からとるべきことではないと思いますので、このような改正をしたのであります。従つて偶発的、偶然的なものにまで一々しやくし定規にこのような取締りを励行するかということになれば、それは実情に応じて考えなければいけない問題だと思うのでございます。さればとて、そのようなことがあるからといつて、このような条文を置かないでおくということになりますれば、もつけの幸いとばかり、先ほどのような常時常習犯でやるような行為を今度は正当化することになりますので、われわれはあくまでもそのような常習的な、勢力分野を逸脱する行為を禁止するというつもりで、この規定を置かさしていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/45
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046・岡田五郎
○岡田(五)委員 それで大体自動車局長の御意図のほどはわかりましたが、この法文を見ますと、そういう偶発的なものも全部やつてはいかぬ、こういうことです。そうすると結局悪人を捕えんがために、善人も一緒に網にひつかけてしまうという結果になる。従つて悪人だけをとつつかまえる、とつつかまえるという言葉は悪いのでありますが、とつつかまえるならとつつかまえるように、この法文にも書きようがあると思う。そういうことを常続的に、営業的にやつてはいけない、こういう文句さえ入れればそういうものは禁止できる。この条文だけでは善人も悪人も、偶発的なものも偶然的なものも、全部ひつかかつてしまう。また運転手はそういう気持になつてしまうということで、もし陸運局長がそういう御意図ならば、営業的にとかあるいは常続的にとか、賢明なる頭脳をお持ちになつた政府委員には巧妙な文字が現われて来ると思う。どうかそういう意味合いの御趣旨ならば、そういう意味合いの文句をこの条文にお入れになることが、明確にして、しかも善良な運転手を——法律というと身の毛のよだつほど彼らは恐れおののいています。そういう善良なる運転手に対して、明るい気持でそういう行為ができるようにしてやることこそ、私は親切な法律であり、また法律のあるべき姿だろう、かように考えるのでありますが、政府委員はどういうようにお考えになつておりますか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/46
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047・中村豐
○中村(豐)政府委員 法律の条文なり法律の規定の仕方になると、なかなかむずかしいのでございまして、常習犯ではいけないけれども、偶発的なものはよろしいということを規定するということも相当問題はあろうと思いますので、このような禁止行為の規定がある、従つて十分その趣旨をわきまえて行動してもらいたい、こういうことで運用というか解釈というか、実行において弊害を起さないようにしていただけばいいのでないかと思うのであります。そのような気持も入れまして、二十四条のこれには罰則はつけなかつたのでございます。しかしそれが常習的になつて、目に余つて非常に逸脱がひどいということになれば、行政処分で事業の停止あるいは免許の取消しということで、後の条文にひつかかる、すなわち行政処分にひつかかるわけでございますが、たまさかの場合に決して罰則でまで追究するという気持はないことを御了承願たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/47
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048・岡田五郎
○岡田(五)委員 私はこの法文でもともと疑問に思いまして、後ほど質問しようと思つたのですが、大体禁止規定を設けておきながら、これを犯した者に対して罰則を設けないということ自体がおかしいと思う。そういうことなら禁止しなければいい。そうして常習的にやるようなものなら、ここに常習的にとか、あるいは常続的にとかいうようなものをかぶせて、そうして罰則の方では常習的にやるものには営業停止をする、こういうことをやるべきで、偶発的に善意をもつてやつているものもこの法文があるがために禁止される、運転手になつてみれば、罰則がこわいから法律に違反しないという面もありますが、あの繊細な神経を働かして、むずかしい道路を運送しなければならない運転手に対しては、できるだけ変な神経を刺激しないように、善意がある運転手に対しては刺激を与えないような法律をつくることが私は必要だと思うのでありまして、常習的にやるものを禁止する適切なる言葉をうたえば、偶発的にやつたものと悪意を持つて常習的にやつたものとわけようと思えば、たくさん言葉があるのでわけられる。何もむずかしく考えられる必要はない。常習的にこういう行為をやる者には禁止する。常習的にやる者にこういう罰則を与えてこそ、禁止規定と罰則というものがぴつたり来ると私は思うのでありますが、そういうような点でもう少し私はゆとりを持つて——せつかく偶発的なものについては非常に好意のある、また私の考えと同じような答弁をなさつて、ここに適切なる言葉をお使いになつて、善人と悪人に区別をおつけになるのであるから、悪人の常習的な行為はどこまでも厳罰をもつて禁止して行く、善人の偶発的な行為はどこまでも擁護して行く、こういうことであつてほしいと私は考えるのでございます。はなはだくどいようでございますが、もう一度お尋ねを申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/48
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049・中村豐
○中村(豐)政府委員 御趣旨のような点はよくわかるのでございます。ただそのような例外的、偶発的なことを考えずに、最も極端な例を頭に置いてこのような条文を考えたのでございます。横浜における先ほどの例は、実際現行法の盲点をくぐつて波瀾を起した問題でございますので、そういうことを押えなければいけないこういう趣旨から出たものでございます。悪性のひどくないものについては追究する意思がないというつもりで、お気に召さないでしようけれども、禁止規定を置いても罰則を置かずに、趣旨だけを明らかにしたという法制にしてございますから、このような字句でもつて御了承を願えればまことに仕合せだと思うのであります。もしこれをいろいろと考えて修正するということになりますると、なかなか表現がむずかしいというだけではなしに、その境目や適用方が非常にむずかしくなると私は思いますので、今までの私の説明でもつて、御心配のようなことは起さないということで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/49
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050・岡田五郎
○岡田(五)委員 どうも自動車局長に食い下りまして申訳ないのですが、適用がむずかしいから法文をこのままにしておくのだということは、これははなはだ一般業者に対して不親切であると思うのです。やはりできるだけ法文を——二条になつたつて三条になつたてかまわぬ。親切に法文をつくつてやるところに政府当局者の態度がある。適用がむずかしいから善人も悪人も同様に網にひつかかつてしまうという行き方は、はなはだ不親切だと私は思う。何も法文にとらわれる必要はない。あらゆる角度から分析して、二条になつても三条になつても、三百条になつたつて国民のために親切ならやつてもいい。適用がむずかしいからできないとは、はなはだもつて遺憾とする次第でございます。ひとつその辺はもう少し法文にとらわれないで、せつかく出したから無理やりに通そうという、しかつめらしい考えでなしに、ゆとりのある方で臨まれんことを切望いたす次第でございます。あまりしつこく言いますとおかしくなりますので、私の質問はこの程度のことを申し上げまして質問を留保し、他の委員の質問に関運いたしましてまた質問申し上げたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/50
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051・關谷勝利
○關谷委員長代理 本案に対する質疑を一時中止いたしまして、次に鉄道敷設法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより討論に入ります。討論の通告があります。これを許します。川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/51
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052・川島金次
○川島(金)委員 私はこの法案に賛成するものではありますが、賛成するに先だちまして日本社会党を代表して、一言この敷設法の運用に関して当局に希望を申し上げておきたいと思うのであります。
その希望と申しますのは、昨日も私の質問の中で大体申し上げたものでありますが、この敷設法の別表によりまして、今日すでに百八十有余本という厖大な予定線が、法律の上では一応明らかにされております。きのう申し上げましたように、日本国鉄の厖大な計画は、この予定線を見ただけの範囲におきましては、実に堂々たる雄大な構想であるように見られるのでございますが、問題は何と言いましても、この日本の国内における経済、文化の発展を目途といたしまする交通網の完備はいかにして促進すべきか、またいかなる計画をもつてこそ初めてその目的が完全に達成せられるかという大局的な立場に立つて、よろしく今後とも慎重なる予定線の立案をされんことを、まず第一に強く希望するのであります。
従つてこの意味におきまして、鉄道建設審議会の従来の審議の仕方につきましてもややもすれば、私どもの満足するような審議の経過をたどつておるとは、必ずしも考えられない点が若干見受けられます。たとえば審議会の議に入ります前には、一地方の政治的あるいは選挙区的な政治のもとに行われる場合もあるだろうし、あるいは一地方に限られた土地ブローカーのいわゆる地価引上げに利用せんがために、こうした運動が行われる場合も断じてないとは言えないのでありまして、しかもこの審議会の議を経て一たび鉄道敷設法の別表に載りまする以上は、その該当地方民は、この予定線が必ずや近き将来において実現するであろうと期待するのは当然のことであります。しかしながら鉄道当局におきましては、予定線には指定したけれども、長期的な計画はない。いわんやその長期の計画に基く裏づけとなる資金計画すらも、当分の間はないといたしまするならば、いたずらに地方民は、予定線という描いたぼたもちをながめながら、惑つていなければならないというような事態も起り、また反面には、ただいまも申し上げましたように、弊害といたしますればいたずらにその予定線を対象としての、地価引上げのブローカーが暗躍する温床とならぬとも限らぬのであつて、国鉄が将来の大計画を策定するために必要だと感じてやつておることが、かえつて地方民を惑わし、あるいは地方の経済関係を混乱させるというような弊害も、出て来ないとは限らないと私は考えるのであります。どうぞその意味におきまして、審議会方面における審議につきまして、今後とも一層慎重を期せられることを、私といたしましては強く希望するものでございます。
さらに第三点といたしましては、以上申し上げました基本的な考え方によりまして、きのうも申し上げましたように今後国鉄におきましては、これらの予定線を予定いたしまする場合には、これを基本として確固たる長期の計画を具体的に立案すること、その立案は単なる机上の立案にあらずして、長期の資金計画をもあわせた具体的な計画を立てられまして、いやしくもこの鉄道敷設法の別表に載つた以上は、何年何月ごろには必ずこの予定線は実現するものなりという、具体的な希望と方針が明らかにされるような方向に持つて行くことが、私は絶対に必要であろうと思うのであります。そのことは財政も伴うことでありまして実に困難なことでございましようが、その困難を達観して努力をいたしまして、そのようにできるだけ持つて行くことの方が私は望ましいことであろうと考えますので、今後この鉄道敷設法の中の別表にさらに追加せられるものも毎年出て来るのであろうと思いますが、現にここに予定されたものを基本としての長期計画、そしてくどいようですが、長期的なそれに伴うところの資金計画をつくり、そして今後敷設法の別表に新たに追加せられるものにつきましては、そういつた確固たる方針に基き、一たびかりそめにも敷設法の別表に追加される以上は、それがやがて実現されるのだという裏づけの具体的なものがあるのだということを明らかにするものでなければならぬということを強く希望をいたしまして、本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/52
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053・關谷勝利
○關谷委員長代理 館俊三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/53
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054・館俊三
○館委員 私も今川島委員が言われたような条件付の賛成でありますが、言われなかつた点についてちよつと申し上げておきます。
鉄道だとか軌道だとか、あるいは自動車路線の新設の要望というものが非常に国民から多いのでありまして、地方の市町村あるいは公共団体がこの請願、陳情のためにおびただしく上京して来て、政府はこれらの請願、陳情に対して、市町村の費用をいかに多く使つておるかということがおわかりのはずである。しかし政府はこの請願、陳情をほとんど無視しておるのが現実の状態であります。これらの人たちは、ようようその市費、村費というようなものを使つて、こぎつけたところはどこか。敷設法の別表にこれを挿入するところで一息つくのであります。ところが敷設法の別表に挿入された状態はどうかというと、これもまた政府の計画性のないために、ほとんど別表はたな上げの形になつておるのが現状なんです。こういうことの原因、私はこれは政府の地方請願に対する審査がきわめて厳密であつて、なかなか通過しないとか、審議会が非常に厳密に査定をやるので通らないとか、そういうことを言うのではなくて、政府の財政経済政策が、われわれがいつも言う軍事的方面にのみ使われておるのである。そのためにこういう平和的な産業方面に対する国民の要望が、常に踏みにじられておるということを私は言うのであります。この点の根本的な改革がなければ、審議会にいたしましても運輸省にいたしましても、国民の要望をかなえるわけには行かないと私は思う。鉄道敷設のような国家的事業、しかも開発をどんどんやつて行かなければならない国際環境に置かれた日本の現状といたしましては、実にそういう根本政策の建て直しが私は必要でないかと思うのであります。それだから常に市町村の要望、国民全体の要望が、せいぜい敷設法の別表までにこぎつかされておる。こういうことであつては、実に敷設法の存在の価値がないと私は言わなければなりません。しかしながら私がこれに賛成するゆえんのものは、できるだけ今後も請願が多数、現実も出ておるわけでありますから、その請願の趣旨を厳密に調べる上よりも、もつと多くの請願を出させて、それをどんどん敷設法の中に繰入れて、敷設法の別表をたくさんこさえ上げて、これをもつて政府の財政計画に対する一つの圧力として行きたい、私はそう考えて、この敷設法に賛成をするのでありますが、さつき川島委員が言われたように、この敷設法の別表中に建設中のものもあれば、あるいはまたすでに十数年も前に計画されて、経済状態、国内状応の変化のために、そう急でなくなつたものもできておつたり、いろいろなことが別表の中で、こまかく審議したらばあるのじやないかと思つておる。それと一緒に、まだ計画が現実に立つておりませんがゆえに、建設の年度割その他についても、非常に不明なものがあるのではないかと考えます。この点については後日事務的に十分に研究し、追究をしてみたいという考えでおるのであります。そういう意味においての発言をいたしまして、とにもかくにも国民の要望を十分にいれて、別表に入れることをとやかく言うような詮議立てをすることは、審議会としても政府としても、根本が財政計画なんだから、ことさらに厳重なる審査をする必要がない。どんどん入れて、そうしてさらにその全体についての計画性ある建設のやり方をやつてもらわなければならない。なお労働組合の経済的方面に寄与する比重が、現段階において非常に大きくなつていることを考慮して、鉄道敷設法第六条第六号の建設審議会委員中に、労働組合代表一名を含むべきであります。
以上申し上げまして、一応この敷設法に賛成をするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/54
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055・關谷勝利
○關谷委員長代理 これにて討論は終局いたしました。
これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/55
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056・關谷勝利
○關谷委員長代理 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお本案に対する委員会の報告書については、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/56
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057・關谷勝利
○關谷委員長代理 なければさよう決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/57
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058・關谷勝利
○關谷委員長代理 道路運送法の一部を改正する法律案に対しまする質疑を続行いたします。楯兼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/58
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059・楯兼次郎
○楯委員 私しろうとでわかりが悪いのでありますが、どうも私たちがこの条文を見ますると、きわめて重複をした感じがあるわけであります。ただいま第六条の第一項につきましては、岡田委員からいろいろ御質問がございましたが、私は第六条の第三項で御質問いたしたいと存じます。
第三項の免許の申請を審議する場合の項目でありますが、この項目は過日各党の小委員が出まして慎重に検討をされました百三条の内容と、きわめて重複をしておるように考えられるわけであります。従つてこれは、いかなる場合に、たとえば運輸大臣自体がこの審査をする場合があるとか、あるいは協議会が違つた目的でもつてこうした審査をする場合があるとか、その点をひとつわかるように御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/59
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060・中村豐
○中村(豐)政府委員 第六条の第三項でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/60
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061・楯兼次郎
○楯委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/61
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062・中村豐
○中村(豐)政府委員 これは前回も議員提案で、各党一致で御提案願つたあの条文と、ほとんど全面的に同様の字句であります。前回の御提案の趣旨を全面的に取入れさしていただいたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/62
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063・楯兼次郎
○楯委員 この条文については、私今かれこれ言つておるのではありません。ただ運輸大臣がこれを審査するときには、次のような条件でやるということをいい、かつ百三条の協議会が審議をするときにも、同じような条文がうたつてあるわけであります。従つて運輸協議会が対象とする問題と、運輸大臣が対象とする問題と、二通りあるのかという点をお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/63
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064・中村豐
○中村(豐)政府委員 百三条は陸運局長の諮問に応じて、陸運局長の権限に属する事項に関して主として協議する自動車運送協議会に関する規定でございます。それで六条の三項は、運輸大臣の権限に属することを処分するときの運輸大臣の心構えをうたつておるのでございますので、対象とする事柄が大臣と局長というふうに違つておるわけでございます。なお百三条の自動車運送協議会は、個々の案件に関しては協議いたしません。根本方針についてだけでございますかと、そこでもまた対象とする事柄が違うわけでございます。別個の問題になつているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/64
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065・楯兼次郎
○楯委員 そういたしますと、たとえば免許申請をして来た、そういう場合に、その申請をした問題に対して協議会が同じような考え方のもとに審議をし、かつ運輸大臣が同じような考え方のもとに審査をする。そのことをここにうたつてあるのか、あるいは全然別の問題を二つにわけてここにうたつてあるのか、その点に私は疑問があるわけであります。一つのことを、協議会も同じような考え方に立つてやれ、運輸大臣も同じような考え方に立つて審査をせよ、こういうことと解釈をしてさしつかえないのかどうかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/65
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066・中村豐
○中村(豐)政府委員 これは全然別の事柄を規定してあるわけでございます。もう一度申しますと、第六条は運輸大臣の権限に属する事項、例をあげますと、バスの免許をする場合に、このような心構えでやれということを書いてあるわけであります。百三条以下は陸運局長の権限に属する事項について、陸運局長の諮問に応じて、しかも基本的な一般方針についてだけ、いろいろと協議をしてもらうというわけでございますので、討議する事項は全然別の事柄であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/66
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067・楯兼次郎
○楯委員 わかりました。次に第八条でちよつとお伺いしたいと思いますが、第八条の二号並びに四号を見ますると、差別的取扱いをしてはいけないとか、あるいは不当な競争を引起してはいけない、こういうようなことが書いてあります。ところが第三項へ参りますと、定額制といいますか、確定額を定めて、そうして「運輸大臣の指定する種類については、最高額及び最低額をもつてこれに代えることができる。」こういうぐあいに書いてあります。そういたしますと、先ほどの二号と四号に書いてありまするところの不平等な差別的取扱いとか、あるいは不当な競争を引起すという問題と、非常に今度は反対的なとりきめがしてあるというふうにとれるわけです。たとえば同一路線において業者が二以上ある場合に、片方は極端な場合最低額をきめ、片方は最高額をきめる、そこに不当競争あるいは差別的な状態が出て来るというふうにとれるわけですが、私よく読んでおりませんので、その事柄と違うかわかりませんが、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/67
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068・中村豐
○中村(豐)政府委員 同一路線でも、バス事業の場合は、定額一本運賃でありますから、その問題は起りません。ただ同一路線で路線トラツク事業の場合には、今度の改正の八条第三項でそのような疑問が起ると思うのでございますけれども、路線トラツク事業については、ただいまのところでは、運輸大臣の指定する種類というものにせずに、定額運賃一本で行つてみたいと思つております。従つて御質問のような路線事業では、バスでも路線トラツクでも定額運賃で参るつもりでありますから、御心配のような問題は起らないはずでございます。ただ御質問は路線事業についてだけでありましたから、起りませんが、路線でない区域トラツクのような場合には、今度の改正で最高最低運賃制をとることができることになります。そうすると、今のような差別待遇であるとか、不当競争という御心配のような問題が起り得るわけです。しかしながらそれにしても、これは不当な差別待遇をしてはいけないということでありまして、荷主との関係、お得意さんであるとか、特にその荷主と長い間、また大量に契約をしておるというような場合には、多少その間に差をつけても、それは不当な取扱いではないと思いまするし、また不当な競争を他の業者と起す心配ということがあれば、それは運輸大臣なり陸運局長が認可をするときに十分注意をして、そういう心配のある運賃は認可しない、公正競争になるように運賃を直させるということはできるわけでございます。この八条は、運賃は認可するときに、運輸大臣がそういうことまで注意してやれという規定でございますから、区域事業についてもそのような御心配は起らないと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/68
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069・楯兼次郎
○楯委員 これは先ほどの禁止条項でいろいろ論議されましたので繰返しませんが、禁止条項をはつきり法律で設けて、これに違反したものの罰則がない、こういうようなことでは、常識的に考えてこれは有名無実である、何にもならないというふうに私たちはとれるわけですが、ただいまの第八条の問題も、そういう事態が起らないように行政的な措置をするというふうに局長はおつしやるわけですが、われわれ第三者がこの八条の条文を読んだ場合には、どうしても最低あるいは最高というものがきめられる、しかも一路線に二以上の業者がある場合には、どうしたつてそういう状態が私は起り得ると思います。しかも第二号、第四号にはつきりとこの点をうたいつつ、いくら善意的に解釈をしても、そういう事態が起るという条文をここに入れなくてはならないという点が、私たちとしてはどうしても了解できない。なぜこういう条項をうたわなくてはならなかつたかという点について、もう少し詳細に、この法案制定の経過を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/69
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070・中村豐
○中村(豐)政府委員 定額運賃制という考え方は、経済の公正な競争をする場合に、必ずしも妥当な観念であるかどうかには疑問があると思うのであります。つまりだれに対しても、またどの業者もまつたく一本の運賃で行くということは、これは何というか、あまりにも統制主義的なことではないかという疑問さえあるのでございます。ですから望ましいことは、むしろ相手方によつて最も妥当な運賃、それが違つてもいいから、妥当な運賃で行くためには、事業者が違うごとにみんな違う運賃である方がいいようにも考えられるわけであります。ところが一方不当競争であるとか、差別待遇の禁止というような事柄を考えますと、そのように荷主や業者によつてみんな運賃が違うことも、これまた困ることになりますので、その中間をとつてどういうふうにしたらいいかということは、非常にむずかしい問題になつて来るわけでございます。わが国だけではなしに、外国の例などを見ましても、自由運賃にするか、定額運賃にするか、あるいは最高最低運賃にするか、運賃の建前は各交通機関ごとにいろいろと議論の多いことは御承知の通りでございますが、その辺のことはいろいろ考えまして、現行の法律——二年前につくつた法律では定額運賃制をとつてやつてみたのでありますけれども、この二年ばかり実施した結果を見ますと、これ一本で押して行くのも必ずしも実際に合わない、無理に統制をとり過ぎるような感じもしますので、区域事業については最高最低運賃をとつてもよろしいし、定額なら定額でもよろしいという二本建にして、弾力性をちよつぴりと置いてみたというわけでございます。この辺は経済の実態に合すようにといいますか、事業の性質に合すというか、いろいろと考えた末にこういう制度をとつて、余裕を置いてみたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/70
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071・楯兼次郎
○楯委員 どうも局長の言われる競争をやれば自然によくなつて行くという点、これは了解できますけれども、しかしこういうような制度を設けますれば、どうしたつて大きいのが小さいのを吸収して押しつぶして行つてしまう、そういう結果しか現われないと私たちは考えておるわけです。今立案者にこの条文をかれこれせよと言つたところで、相当むずかしい問題であると思いますので、そういうことのないように今後措置をしていただきたいと思います。
それから次に簡単なことでありますが、お伺いしたいことは、この百三条の運送協議会の委員でありますが、私たちはよく労働組合からいろいろな委員の構成について、従業員の代表を入れよ、こういう要請を受けておるわけであります。事業者の方はここにはつきりと書いてあるわけでございますか、従業者の代表を入れようとする意思があなた方にはあつたのかなかつたのか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/71
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072・中村豐
○中村(豐)政府委員 これはこの前議員提案の案を練られたときにも議論があつたところでございますが、御趣旨の点もごもつともと思いますので、そういう方にも入つていただいた方がいいと思うのでございます。しかしそれは条文としては学識経験ある者という中に考えて行つていいのじやないか。わざわざその点を労働者代表というか、そういうふうにいわなくてもいいのじやないかということで各党とも御了承願つたはずでございますので、その通りの言葉にしてあるわけでございますい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/72
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073・楯兼次郎
○楯委員 そういたしますと、局長としてはやはり大きいこの事業を動かす国体であるところの労働者の代表の参加することが望ましい、
〔關谷委員長代理退席、松井(豊)委員長代理着席〕
そうは考えておるけれども、この明文では「学識経験のある者」というところに、この表現を含まして行くというふうに解釈しておいてさしつかえないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/73
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074・中村豐
○中村(豐)政府委員 学識経験、ことに経験のある人が多いわけですから、その中に入るという解釈で、そのように運用して行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/74
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075・正木清
○正木委員 簡単に局長にお尋ねしたいと思うのですが、局長の御答弁ですでに速記にも残つておるものですから心配はないとは存じますが、国民全体の福祉のために行われる公のこうした交通事業に対して働く立場に立つ従業員の代表が、こうした協議会の構成の面に参加することは絶対的に望ましいことではございますが、法文上から申しますと学識経験というわくの中に入るわけでございまして、実際に局長の運営いかんにおいては、ただいまここで局長が述べられたこと現実に実行に移らないきらいは私はあり得ることだ、こういうように考えるわけでございます。そこで私のお伺いしたい点は、この法律案が議会を通過して実際に実行に移される場合に、あなたとしては運営にあたつては、この問題になつておる点を十分勘案して間違いのないようにというような局長の通達か何らかの方法で、ここで論議になり、今あなたが答弁された精神が、現実に運営の面で生きるような処置をおとりになられてはどうかと思うのでありますが、この点に関して重ねて局長から御答弁を願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/75
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076・中村豐
○中村(豐)政府委員 この前議論になりましたときも、通牒でそのような趣旨をうたうということに御説明してございますが、このような方法をとりたいと思います。ただ言葉はよくわかりませんが、労働者代表といいますか、勤労者代表といたしますか、その辺は十分考えてみたいと思うのでありますが、たとえば御要望の趣旨が自動車事業者の従業員ということであれば、それは困ると思うのであります。ということは、自動車運送事業の経営者の方から委員は出るわけでございますから、経営者に雇用されておる従業員の側はそういう特殊なものではなくて、一般の利用大衆という意味で勤労者といいますか労働者という側の人に出ていただく、こういうことならいいと思うわけであります。その点は通牒で明らかにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/76
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077・楯兼次郎
○楯委員 時間が来ますので次に一点お伺いしたいのは、三十四条に、災害等があつた場合に公益命令といいますか、緊急命令で云々という条項があるわけですが、ストをやつておつた場合に、この三十四条は適用されるのかどうかという点をお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/77
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078・中村豐
○中村(豐)政府委員 三十四条の問題は、今度の改正ではない、現行法のそのままでございますが、この解釈でございますね。それは御質問のような場合にも適用できるという解釈でございます。しかしながらこれを適用した事例は一つもございませんし、適用することにはきわめて慎重な態度をとろうと思つております。今まで適用したことは一度もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/78
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079・楯兼次郎
○楯委員 三十四条の場合、適用することができるということについては、これは相当疑義があると思います。だから局長の今の適用するという言明を聞いて、われわれは納得することができませんので、ひとつよく研究した上で、もう一回答弁をしていただきたい。これは答弁保留です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/79
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080・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 次に松原喜之次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/80
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081・松原喜之次
○松原委員 私は直接この改正法律案の各条文に関連することではありませんが、自動車運送ないし運転、広い自動車運転行政についての二、三の質問をいたし、政府のお考えを承りたいと思うのであります。
そこで最初にお伺いしたいことは、聞くところによれば外国自動車を輸入いたしますに必要な為替割当等については、運輸省もまたこれに携わつておられるということでありますが、これは運輸省で携わつておられるのかどうか、それはまだどの部局でやつておられるのか承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/81
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082・中村豐
○中村(豐)政府委員 外国自動車の輸入に関して、運輸省は利用者の立場といいますか、利用の見地からその案の決定に携わつております。その関係部局は自動車局整備部でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/82
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083・松原喜之次
○松原委員 そこでお伺いしたいのでありますが、そういたしますと為替割当に関連して、自動車に関する限り輸入の計画の策定は、おそらく自動車局でなさると思うのであります。従つてそれの実施の状況についても、責任を持つて多分トレースしておられることと思いますが、われわれの聞くところによりますと、せつかく貴重なドル為替あるいはポンド為替等を割当てられておりながら、その業に携わつておる人の状態が、はなはだ遺憾千万な点があるやに承つておるのでありますが、そういう点について当然運輸省としては、何らかの取締りあるいは管理、監察をしておられるだろうと思いますが、最近において輸入された外国自動車が適切にこの運輸省の目的に従つて配分されておるかどうかというような点について現状を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/83
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084・中村豐
○中村(豐)政府委員 外国自動車の輸入の計画には携わつておりますし、通産省に対して強い要望を出しております。従いましてその実施の結果についてもトレースをしております。ただ昨年でございましたか、配給統制が撤廃になりまして、どこのだれだれに売られたということについてはまつたく自由になつておりますので、その点のトレースはできておりません。ただデイーラーといいますか、輸入業者がどのような車種を何台入れたかということについて承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/84
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085・松原喜之次
○松原委員 その輸入するための為替一割当に先立つて行われるところの計画には、おそらくその輸入された車をどういうふうな方面にどう使うかということを、およそお考えになつた上でその計画が立つものであると私は考えるであります。従つて貴重な為替がほんとうに有効に使われるため、あるいは運輸省で立てておられる自動車交通行政に関連するところのさような計画が完全に行われるように、これを監視する必要があると私は思うのであります。従つてむやみやたらに自由にするのか、自由経済にするのだといつて、せつかく輸入したものを野放しにするという法は適切ではないかように私は思うのでありますが、そういう点についていかに考えられますか。また野放しにした結果、相当な弊害が起つておるように思いますが、それを認識になつておられるか。もし御認識になつておられれば、それに対する適切な処置をいかにとろうとしておられるかという点についえお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/85
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086・中村豐
○中村(豐)政府委員 ただいま運輸省が関与いたしておりますのは、どのくらいの台数を輸入すべきであるが、またその車種はどのような車種がよいかということについてだけでありまして、そのわくの決定以後、どのような輸入業者に何台分為替を割当てるかは、通産省の仕事にまかしておるわけ。あります。運輸省は通産省に対して年女をつける立場に立つております。てれ以上の権限は、遺憾ながらただいまの各省の権限の分配においては与えられていないのであります。ただ注文は絶えずつけておりまして、このように国内に乗用車が払底しておるのであるから、一台でもよけい外国の自動車を入れるように、またそれができるだけ大衆に使われるようにということを要望しております。ところがアメリカの車に関しましては、いまだに輸入車の八割はアメリカ関係だけで、日本人には二割しか割当てないということを通産省は厳守しておるのであります。これに対しては運輸省は絶対に反対しておりますが、まだ意見が一致しないために、決定権のある通産省のその方針のままで続いておるわけでございます。欧州の車については、それほど欧州の外国人の要望と日本人の要望とぶつかることもなく、日本人も比較的買える立場にありますので、そのような割合の制限は現在ありません。通産省もそのような割合を制限することはやつておりませんから、あまり問題はないと思います。ただ今度は日本人に向けられる車を、一般大衆用のタクシー、ハイヤーにまわすか、あるいは自家用車にまわすかという問題が一つあるわけでございますが、これについては運輸省としては、一般的には営業用にできるだけまわすようにという希望を絶えずいたしております。しかしそれを一つ一つ販売のときにトレースするところまではまだ行つておりません。ただ、たとえばアメリカの中古自動車の輸入について今準備中でございますが、これは全部日本人向けでして、そのうちの八割は営業用タクシー、ハイヤーにまわすべきであるということを強く要望し、その通り通産省と意見が一致しております。それからそのような事務を行うについて、いろいろと問題があるというお話はわれわれも承つおりますので、われわれの同僚、部下に対する関係においては、違法の三とのないように厳重に戒告をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/86
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087・松原喜之次
○松原委員 そのアメリカ車に割当てられる為替のうちの、日本人に売られるという二〇%の部分について、最もいまわしい問題が起つておるのでありますが、さらにこの中古車につまましても、最後のユーザーに対する価格を非常に引上げまして、中間業者、すなわち為替の害当を受けた業者を中心とする中間業者が、不当な暴利をむさぼるおそれが十分あるということが、過去の経験に徴して明らかなのであります。しかしながらそれらの点については、いずれこの自動車行政に対する他の部面の質問ともあわせて、通産大臣が御出席のとまに通産省にお尋ねすることといたしますが、ただここで運輸省に一言だけお聞きしておきたいことは、実は御承知のように米国車は約二十種、英国車も二十八種ぐらい輸入されております。あわせてスエーデンの車まで入れて六十五種類ぐらいの外国車を日本は入れておる。これは世界の壮観であります。こんなばかばかしい多種類の車を入れておるような、そうしたけつこうな、ぜいたくな国はあまりないはずである。にもかかわらずわが国がこれを入れておるのだから、実にだれが一体輸出入についての目を明いているのだと疑いたくなるような状況を呈しておる。従つてそれを取扱う取扱店に至つては、八十四社に及んでおるのであります。これは直接運輸省の権限内ではないにしても、やはりやがては運輸行政と関連して来る問題でございますから、こういう点についてはひとつ大いに考えておいていただきたいと思うのであります。これは私の希望であります。
そこで、それに関連した問題でありますが、私は昭和八、九年ごろから、日本の国産自動車の育成ということについて相当に考えて参り、またいささか寄与して参つたものでありますが、通産省へ行きまして、日本の自動車工業の育成ということについてはもとより、その工業の総合工業であるという点、あるいはその他その事業自体としても重要工業である点等にかんがみまして、これが育成に相当熱意を持つておられるやに思いますけれども、このユーザーの立場を代表しておると申しますか、直接に関係をしておられる運輸省がその点について非常に不熱心であつて、むしろ逆の立場をとつておられるように考えるのであります。ユーザーとしてはそういう立場をとるのも無理からぬ点もあるのでありますけれども、やはり事は国家全体の政治として考えなければならないのである限り、運輸省もまたこの自動車工業の育成ということについて相当考えられまして、いたずらに先ほど申したような多種類の自動車を世界至るところから輸入するというような、そういう乱雑なことに対しては相当警戒をしてもらわねばなりませんし、進んではこの自動車工業の育成ということについて大きな関心を持つて、いろいろの運輸行政の実施、運営にお当り願いたいというのが私の熱望でございますが、これらの点について運輸省と通産省は常に意見が違うと承つておる。従つてこの際、これは運輸大臣に聞くことかもしれませんが、国産自動車工業の育成についてどういうふうなお考えを持つておられるか、一応承つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/87
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088・中村豐
○中村(豐)政府委員 最初のお話の、外国自動車の多数の車種が輸入されておるということは、まつたく乱脈きわまるわけでございまして、この点は私も同感でございます。決して賛成しておりません。これは運輸省のあずかり知らないうちにあのようなことがされたので、まことに残念に思つております。従いまして最近はその車種を減らすように、優秀なものだけに限るようにという運動を展開しておりますし、それについて関係の利用者業界の方にいろいろと御意見を承つて、その意見を十分に取上げて通産省と交渉しておるのでございます。今後もその方向にますます努力いたしたいと思つております。
国産自動車の育成に対する考え方でございますが、国産工業を維持育成すべきことは、これは国家として当然のことでございますので、かりにユーザーの立場に立つ運輸省としても、もとよりその精神においては一歩もひけをとるものではございません。むしろ自動車工業については、運輸省と申しますか、その前の鉄道省と申しますか、この関係は、多年にわたつて援助育成に非常に努力して参つたのでありまして、国産自動車の今日あるのは、その一部は鉄道省以来の応援のたまものであると言つてもさしつかえないのではないかと思うのでございます。そこでバスとかトラツクというような車は、私は技術的に十分な認識は持ちませんが、まずまず一応のレベルに逹して、これならば国内で使用を奨励してもいいのじやないかというふうに考えておりますので、外国製のトラツク、バスを無理に輸入する必要は認めておりません。ただ今後の試験研究のために、モデルとして一部入れることは必要でございましようけれども、大量に入れる必要は認めていないのでございます。ただ乗用自動車については大分問題が違うと思うのでございまして、この点は外国製乗用車と国産乗用車とを比較してみますと、これは御専門の松原委員は十二分に御承知の通り、はるかに国産は遜色があるわけでございます。率直に言えば、悪かろう局かろうというのが国産自動車であろうと思うのであります。そこでそのような車を無理に消費者に押しつけるかどうかという問題になるわけでございますが、運輸省としてはユーザーの立場に立つ限りは、そのような悪かろう高かろう国産車を無理に押しつけることはできるだけ遠慮して、反対に、安かろうよかろうという外国製乗用車をできるだけ多数入れたいという立場に立つて努力して参つたのであります。ところが松原委員も仰せられるように、国産工業の育成というまた別途の大きな要望というか方針も、これまた十分考えなければいけないものでありますから、ただいまのところ運輸省としては、国産乗用自動車に関する限り、しいて国産車に対して非難攻撃を向けるのではなしに、国産車は国産車で十分立つて行くことを考え、なおその足りない部分は外国乗用車を入れるという立場に立つておるのでございます。これをもう少し具体的に申しますれば、この一年間に乗用自動車というものが、営業用、自家用を通じ、廃車補充用、新規増車用を合せて一体何万台あるかを計算しまして、それを補充するためにはどうしたらいいかを考えておるわけであります。そこで国産車が通産省の言うように本年は七千台できるというのでございます。そこでその七千台はまるまるお買いしましよう、使うという計画で、百パーセント承認しておるわけでございます。そこでそれを引いた足りない部分だけを外国乗用車を入れる、こうすれば全部が売れるのだから何も抑圧することにはならないから、こういうことで最近は通産省と交渉しておるのでありまして、全体の所要台数というものについて争いがあるたけでございまして、国産車を百パーセント使うということについてはただいまは何ら争いがございませんので、その点では国産工業の維持育成の大方針には決して抵触しておりません。むしろその消費を認めると同時に、優秀な外国車を輸入することによつて国産車に非常な刺激を与え、絶えず進歩改良をはからすということが必要である、このような立場に立つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/88
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089・松原喜之次
○松原委員 なお同じ問題について最後にお伺いしておきたいと思うのであります。国産車の消化を考えつつ、不足分を外国車の輸入にまつという態度をとつておるということ及びその理由についての御答弁は、私も賛成であります。しかしながら多少私の御注文申し上げたいことは、日本は今国際収支の方面で非常に苦しい立場に立つておるのであります。今外国からどんどん輸入されようとしている自動車、それがなくてはやつて行けないかどうかということを考えてみますと、たとえば一九三五年、六年というような古い車は、運輸省ではおんぼろ車として問題外においておられるが、その車ですらもメインテナンスさへよければ、りつぱに二年前、三年前の車以上に使つておる方面もあるのであります。だから結局は本来申しますと、わが国のような国際収支に困つておる国は、そういう新しい車あるいは中古車にいたしましても、比較的高いものを貴重な為替を使つて輸入するのでなくして、もつとこれはメインテナンスをよくして、そしてそれだけ国際収支の悪化を防ぐという方途に出るというのが当然であると思うのであります。そこで国産自動車工業の刺激になるために外国車を輸入するという趣旨は非常にけつこうでありますけれども、私どもはどんどん新車を入れなければ、わが国の自動車工業に支障があるのだという、その考えに必ずしも賛成できないのであります。こういう点、今少しく運輸省としてお調べになりまして、現在策定しておられるような外国車を輸入し、それがために今年おそらく二千万ドルに近い金を——優先外貨を合せてではあるが、割当てる必要のないような方途に出てもらいたい。これが私の自動車と外国為替に対する考えでありますが、こういう点について御感想を承れればけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/89
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090・中村豐
○中村(豐)政府委員 貴重な外国為替でございますから、できるだけ節約すべきことは当然でございますが、そこで自動車についてもそう輸入々々と言わずに、できるだけその台数を減らすようにすべきであるというお考えにも賛成でございます。ところが運輸省は何か十台でも百台でもよけい入れることに狂奔しておるようにとられているのでありますけれども、実はこれは運輸省単独の机の上で考え出したことではなしに、利用者の方々からの要望が実に熾烈なものがあるのでございます。まず営業タクシー、ハイヤー事業関係からはもちろんでございますが、自家用車として各種の会社、工場、団体あるいは国会方面の方々、新聞報道関係の方々等、あらゆる方々から実に御要望が多いので、それの応援にいとまがない程度でございます。おそらくそのままお聞きすれば、一年間に五万台でも十万台でもさしあたりはいるのじやないかという感じがするのであります。もちろん高級車というものはできるだけ押えて、大衆車あるいは小型車をもつと輸入すべきであるという議論は、運輸省としては全面的に取上げておるわけでございます。要望だけは実に大きいのであります。現に今お話のありましたような、一九三五年といいますか、一九四〇年以前の車を、運輸省はいわばこれをおんぼろ車と称して、何とか早く一掃してしまつて、新しい車と置きかえたいという考えでいたのでありますが、それが約三万台もあるために一挙に廃車できないので、五年計画を立てて、一年に六千台という案を持つたのであります。ところが実は当委員会の席上で、そのようなまだるつこい考えでいることはけしからぬ、一挙にかえてしまえというので、三年以内に一掃するということで、一年間一万台という案を御指導願つたのであります。そういうことでわれわれとしては一体どちらをとつてよいのかわからないことにもなるのでありますが、しかし御要望の趣旨は十分わかりますので、需要は需要としてできるだけ重点的なものに限るように押えたいと思つております。しかしこれもあまり台数を減らしますと、需要が多いためにそれが取合いになつて、非常に大きなやみ値が出ておるのでありまして、あのやみ値をなくするためにも、さしあたりは相当台数を入れなければいけないのじやないかと思います。また一年として千万ドル、二千万ドル近くになるかもわかりませんが、それにしても全体の為替のわくからいうときわめて一部分であるように伺つておるのでありまして、そのほかに不要不急の比格的ぜいたく的なものの輸入を押えれば、自動車というような能率的なもので、経済、文化、交通といいますか、そういうものに非常に貢献できるようなものについては、その程度の為替はさいてもさしつかえないのじやないかとさへも思うのでございます。そのようなことを彼此勘案しまして、できるだけ能率的にむだのないような輸入計画を立てたい、そして通産省と相談をして行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/90
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091・松原喜之次
○松原委員 私のような立場におる者がさように強く要望するのであるから従つてこれは国家的見地から、一自動車のみではありませんけれども、われわれとして、国際収支について深甚な計画を立てなければならないと感じておる、これはその一環である、こうお考えになりまして、局長がそれに御賛成くださつたならば、まずもつて満足することにいたします。どうかその点はひとつ腰をすえて強くお出にならんことを希望いたします。
次に自動車の従業員に対する問題でありますが、私は根拠法をちよつと忘れましたが、自動車の従業員が常に悩んでおることは、これは運輸省と直接関係のないことですが、反則が警察官の成績の採点上の一つの根拠になるということのために、非常に正常とは思えないような取締りを受ける場合もある。しかもその都度行政処分を受けるとともに、今度は司法処分としての罰金を受ける、二重処分を受ける、ことに行政処分の方では長い営業停止を受けまして、その生活を脅かされるというような立場に立つておるのでありますが、その点についての何らかの改善の方法がないかということについてお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/91
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092・中村豐
○中村(豐)政府委員 自動車従業員の方が反則でもつて取締られるという問題は、おそらく道路交通取締法の関係で警察関係だろうと思いますので、行政管轄としては運輸省の範囲外でございます。そのようなことが非常に強いようでございましたから、運輸省としても関係の国家警察と申しますか、公安委員会の方にも十分要望をして、厳格に流れ過ぎないように話合いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/92
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093・松原喜之次
○松原委員 それに関連したことでありますが、最近東京都の銀座を中心とするところの交通規制を行うために、営業用自動車が客を乗せていても、ある路線以外には入れないというような箇所を策定するという議があるのであります。私どもをもつていたしますと、自動車のうちでもし交通規制の対象となるものがあげられるとするならば、まず第一番にあげるべきものは、あの通りを朝から夕方までわがもの顔に占用しておるあの自家用の道路上の停車というものが、まず第一番に規制せらるべきものであつて、それが一番交通の隘路をつくつておるものである、これが第一だと私どもは考えておるのであります。しかるにもかかわらず一番公衆の便利であるところのタクシー、ハイヤー等の流し営業をいたずらに禁止して、それでもつて事故を防止するというような考え方は、たいへんおかしいものだ、見当違いのものだと私どもは考えておる。御承知のようにアメリカの都会等におまましては、以前一応発達したタクシーが衰退した時代がありましたけれども、最近は非常にまた盛り返して来た。それは自家用車を道路につけられないから、そこで郊外から乗つて来た自家用をプールに置く、それから自分の目的地までは流しておるタクシーによる、こういう方法がとられるに至つたので、それでタクシーがまた復活して来たと聞いておるのでありますが、おそらく自家用を規制するという結果は、結局はそういうふうな方向になるというのが、自然の交通規制の進歩方向ではないか、かように思うのであります。しかるに東京ではそういうふうに、まつたく逆行したようなこの取締り規制方向をとつてあるやに聞いておりますから、ひとつこういう点については相当運輸省として関心を払つてもらいたいと思うのでありますが、それに対して何かお聞き及びないしお考えがございましたら、承つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/93
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094・中村豐
○中村(豐)政府委員 自動車が非常にふえましたために、特に都心部では自動車の氾濫状態で、そのために交通整理に非常に関係官は困つているのであります。そこでもちろんそのために自動車の発達を抑制し、増加を押えるべきものではないと思います。とすれば一番いい方法は道路を拡張したり増設したりして、道路の容量を多くすることが根本的な解決でございますが、これは一日にして解決できる問題ではないので、そこで自動車の氾濫状態を整理する方法として、日先に考えることは交通整理の方法でございます。その方法としてはお話のような流しを禁止したり、一方交通にしたり、トラツクとか空車は通れないようにしたりするということが、最近特に各所でとられて来たわけでございます。その仕事をやるところは、これまた道路交通取締りの見地から警察関係でございまするので、運輸省として直接それをみずからの権限によつてどうすることもできませんけれども、実情に合わないような整理方法をとるような場合には、十分要求をしたいと思つております。
そこでお話のような交通混雑の大きながんになつている乗用車の駐車問題であります。これはわれわれも長い間道路を占用しているために、道路の幅をほとんど独占して混雑させるということは、おもしろくないことであると思うのであります。そこであのようなものを道路上からなくしてしまうためには、どうしても駐車場の設備が必要になるのであります。もし駐車場さえ相当ふえれば、道路の駐車ということもなくなつて、交通緩和に非常に役立つということを痛感するわけでございます。そこで何とかして駐車場をできるだけふやすことについて、援助をいたしたいと思つておりますので、いろいろと構想を練りました上で、駐車施設の整備拡充といいますが、そういうことについてできるだけ運輸省としても助成をしたいと思つております。それについては法律的にもいろいろと対策を講ずる必要がありますので、できるだけ早い機会に駐車場、あるいはバス、トラツクの総合発着場というべきターミナルの整備拡充についての助成方策を講ずるところの法律案を提案して御審議をいただきたいと、目下準備を進めている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/94
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095・松原喜之次
○松原委員 直接交通取締りの、あるいは交通規制の問題は、行政権限の範囲でないのでということでありまするから、多くはこの点について申し上げませんが、そのプール、共同発着場をつくられるにあたつては、大きな発着場を少数につくるというようなことであると、少くともタクシー、ハイヤーに関する限りは、これはまた反則の種をまくようなことになります。タクシー、ハイヤーと小さなものに対しては、多くの駐車場をつくるという構想をぜひ持つていただかなければならないと思います。そこで駐車場について申し上げたい。これは自動車局の権限ではないと思いますが、やり方によつては自動車局で改めさせることもできると思いますので御質問申し上げます。それは国有鉄道の駅前の駐車場の問題であります。大阪等においては、われわれはほとんど業者全体に開放させた。実は私は開放する側に属しておつたのですが、それは人力車を廃止するにあたつて、歴史的に多くの犠牲を払つた少数の業者たちがあつて、非常にむずかしい問題であつたが、これを開放させたのであります。それはなぜかといえば、列車発着の時間には非常にたくさんの車がいるけれども、少い業者でこれを供給しておると、ラツシユアワーにおける供給に不足を来すので、駐車場に台数をきめて、その台数に達していないときにはだれでも入れるというような建前にする方が、乗客の方に便利である、鉄道のサービスとしてもその方が望ましい、こういう意味で開放をいたしたのであります。私はせつかく運輸省が共同駐車場をつくられようという企てのある際に、この鉄道の停車場の駐車場もまたその中に含めて、かつ一部の人が権限を持つておつて他を排除しておるために、乗客に与えておる不便等を是正しなければならないと思うておるのであります。その点についてひとつよくお考えおき願いたいと思います。これは私の希望であります。
次に、私どもの聞くところによりますと、元来電車とかバスとかいう都市交通の企業はその地方団体にやらせる、つまり公営主義というものをとつて来ると聞いておるのでありますが、その公営主義の行方は今どういうふうになつておるか、お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/95
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096・中村豐
○中村(豐)政府委員 都市の交通を公営主義にするという方針が確立していたということは、まだ私寡聞にして存じておりません。ただ都市交通、電車にしてもバスにしても鉄道にしても、高度の公共事業でございますから、厳重に監督、取締りをし、十分注意しなければいけないということはお説の通りでございます。従つて自動車に関する限りは道路運送法という法律によつて、免許によつて権利を保護すると同時に、義務と責任を十分に果さず、こういう建前にして、公共の福祉を確保するよう努力しておるわけでございます。その意味でバスは市営であろうと国営であろうと民営であろうと、すべてこれ公共事業でございまして、決して民営であるから公共性がないということではございません。もし民営で公共的な事業営ができないならば、事業者の責任であると同時に、監督者側の運輸省の責任でございます。そのようなつもりで監督しておりますので、市営主義ということ、公営主義という方針はございません。そこで個々の場合に問題になつたときには、市営であろうと民営であろうと、事業者があればその事業者をできるだけ助成、育成して行つて、義務と責任を尽させるという方針をとつておりますので、そこの地区に市営があれば民営の申請があつても、まあ市営でよければ新しい民営の免許申請はお断りするし、すでにその市に民営事業者があつて、まずまずのサービスをしておれば市営の申請はお断りする、こういうことで、まつたく平等というのは言葉が過ぎますが、対等に取扱つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/96
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097・松原喜之次
○松原委員 公営主義という名前をつけて適当かどうか知りませんが、大体世界の水準は、都市交通は都市自体、すなわち地方公共自体にやらしておるというのが実情であろうかと思う。ロンドンのバスも国営にしておりますし、ニユーヨークもそうだと思つております。あるいはシカゴ、ボストン、その他たくさんの町は、たしかバスは市営にしておると思つておるのでありますが、せつかく市営等で公共団体がやつておるバスは、あまりじやましない。不都合があれば問題ですけれども、あまりじやまをしない。なるべく大事に育ててやるという立場に立つ方が、むしろ世界の情勢にも一致する。それがきわめて良識的な取扱い方であると私は考えておるのであります。たとえば最近官庁バスを一般バスに切りかえるという問題が起つておりますが、これなどはもしそれが許されるとするならば、せつかくの既得権者である公営事業を圧迫することになつてはなはだおもしろくないのではないか、私はさように感じておるのであります。あるいはまたこういう例もあります。率直、端的に例をあげますと、私は遠まわしの言い方はあまりすかぬから言うのでありますが、大阪市で、梅田と市の端の方である加島町との間に、トロリー・バスをやろうとしておる。トロリー・バスは電車と同じものでありまして、電車並の料金を採用しようとしておるのにもかかわらず、そこの市の道路を走つておる他のバスとの関係で、電車軌道をつくれば問題ないのですが、トロリー・バスにしたために、民営バスの値段と同じように、十円のところを十五円に上げた方が適当であろうという示唆もあつたやに聞いておるのでありまして、先ほど申し上げた公営企業をなるべく大事にするという精神とは、相当かけ離れるように思うのであります。いろいろ実例を私は持つておるのでありますが、せつかく育つて来た日本の都市交通の公営方針というものは、これには過去において相当犠牲を払つて来ておるのでありますから、この際、あるいは将来においても、これが育成に特段の留意をしていただいてはどうかと思うのでありますが、かような点に関するお考えを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/97
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098・中村豐
○中村(豐)政府委員 世界各国の例をあげてのお話でございますが、お言葉を返すようで恐縮でございますけれども、私の知る限りでは、世界のうちでもワシントンとロスアンゼルスは、アメリカの中でも民営であります。その他の中都市以下はどうなつておるか、ちよつとただいま存じておりませんし、アメリカ以外の国がどうなつておるか存じませんが、そのような大都市でも、民営で一本になつておるところもあるわけでございます。それにはおのおの沿革があつたのだと思うのでございまして、そこの事業をまつ先に市が経営し出したか、民間会社が経営し出したかというような事情とか、そのサービスぶりがどうだとか、あるいはそのときの政治情勢がどういうことであつたかというような、いろいろの沿革によつたことだと思うのであります。いずれにしても、公営にしても民営にしても、ひとしく公共事業として厳重に監督もされておりますし、経営者自身もそのつもりで十二分の努力をしておるから、問題を起していないのだと思うわけでございます。それから国内の二、三の例についていろいろと御意見がございましたが、そのような問題については、実はただいま具体的に検討しておるわけでありまして、十分実際に合うような、また利用者に迷惑をかけないような解決をすべきであろうと思つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/98
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099・松原喜之次
○松原委員 私が公営事業を特段に取上げた理由は、いろいろあるのでありますが、一つ申し上げますと、たとえば大都市においてバスや電車をやつておる。そのときには、国鉄の悩みと同じでありまして、必ずしも採算上の点のみからこの路線をつくるわけに行かない。公共的な立場から、赤字路線もやはりやらなければなとなければならぬ。というのは、公共事業の建前だから、まさにそうすべきであると私どもは考えております。そういたしますと、民間会社であれば、もうかる線さえやればそれでよい、赤字の線などはとんでもないということで、これはやめることが当然でありますし、またやめます。それを運輸省から、ここは必要だから、損をしてもぜひやれと言うわけにも行かないことは、当然であります。しかるに公共事業だと、今申したように、赤字路線でもやはりやらなければならぬというときがあるので、これが公営事業の私営事業にまさつておる点であると私どもは考えております。そこで、そういう赤字路線と黒字路線とバランスをとつて、初めて成り立つておるところの都市公営事業に対しまして、もしそのうちのいい路線だけ民間会社がつまみ食いするというようなことになりますと、非常に有利な立場に立つて競争することができるのであります。あるいは料金においても、うんと競争することができる。こういうふうな不合理になりますから、特に一部だけの路線を切つて許すということは、相当に考えないと、そこに不合理、無理が生ずるということを、特にひとつ御注意をお願いいたしたいと思います。
それから免許の問題でありまするが、大体大都市のタクシー、ハイヤーがすでに飽和点に達して、他の理由もありましようけれども、赤字経営をやつておるところが過半に及ばんとしております。しかも一面においては、自動車の氾濫によつて、交通取締りに悩んでおるという状況が現出しておる。おそらくこの免許基準の第六条の精神がほんとうに生かされなかつたために、かような現象を来したことだと私どもは考えておるのでありますが、その点は地方によつて適切に処置をせられないと、私は将来なお一層困つた状況になるのではないかと思つておるのであります。しかし一面、この免許に規制を与えられると、一部の人が主張せられておりますように、そこから多くの弊害が出て参ります。すなわちそれがある場合には、独占の形態を備えて来るということになります。そこでそのうちに、特に実態的な弊害を今日発見しておるのであります。それはたとえば大阪等におきましては、もうほとんどハイヤー、タクシーの増車を許さない、新しい免許を許さないというような傾向になつておる。必ずしも許さないのであるかどうかわかりませんが、そういう傾向になつておる。そういたしますると、その業界において、非常に不健全な営業、でたらめな営業をやつておる。あるいはまつたく規則違反の営業をやつておる。もちろん免許をとつた人でそういう営業をやつておる。つまり悪質な営者が、今度は高い権利料をとつてこれを他に譲渡する。いわゆる免許権によつて得たる独占権に大きな価格が出まして、その価格でもつて悪質の業者が不当の利得を得るというような弊害も、現われて参るかと思うのであります。また現にその実例もあるのであります。そこでもとより先ほど岡田委員からも御質問になつた問題と関連いたしますが、その地域々々における需給状態というものを慎重に勘案しなければならないし、それに対して適切な施策が必要でありまするけれども、それから生ずるところの弊害というものについても、相当用心をしなければならないと思うのであります。それらに対してどういうふうに実情を御認識になり、それに対してどういうお考えを持つていらつしやるか、承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/99
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100・中村豐
○中村(豐)政府委員 大都市のタクシーの問題で御質問がありましたが、その前に、ちよつと現在の法律の建前で、あるいは誤解していらつしやるのではないかと思う点を一言申し上げます。というのは、バス事業にしても自動車運送事業にしても、すべて自由に、経営のいいところだけやつて、経営の悪いところはかつてにやめてしまつていいという建前には、現在はしていないのでありまして、民営バスでも、そろばんのとれない悪い路線でも、かつてにはやめることはできません。事業の廃止、休止をやるのには、一々運輸大臣の認可を受けなければいけないのでありまして、そのような申請がありましても、そこにおける需要者、お客さんの模様によつては、運輸大臣としては認可をしないのであります。赤字であつても、無理に経営さして行くという建前をとつております。従つててのような赤字路線もあわせて、黒字路線と一緒に経営して、事業全体としてバランスをとつておるということは、私営、公営を問わず同様でありますから、この点はひとつ御了承を願いたいと思います。
それから大都市のタクシーの経営の問題は、東京、大阪などにおいては、もうすでに飽和状態あるいはそれ以上の状態になつて、経営が非常に悪くなつておるということも、われわれは聞いております。従つて新規免許は絶対反対、また増車もお互いに抑制しようというように言つておることも聞いております。しかしこれはなかなかむずかしい問題でございまして、はたして経営がうまく行くかどうかという点は、われわれの調べによりましても、東京におけるよい会社は十分に利益を上げておりますし、悪い会社は台数がかりに飽和状態でなくても経営して行けないのでありまして、要は現在程度なれば、業務管理の問題で十分に経営はできるのだと思つておるわけであります。従つてその意味では新規免許の余地もまだ多少ありましようし、増車の余地もまだ多少あるのではないかと思つておるのであります。しかしこれは程度の問題で、絶対的に算術で出て来るわけではありませんから、もつと実情をよく検討したいと思います。そうして今後の問題としましては、何といつても各需要供給の関係について十分考慮しなければいけませんから、特定の地区においては、タクシーにしても、トラツクにしても、あるいはバスにしても、観光バスにしても、大体その地区では供給力にしてどのくらいの程度がいいかということを勘案して行く。簡単に言えば最高車両数というものに制限を置いて、それをオーバーした場合には新規免許だろうと増車だろうと認めない。それに足りない場合には、まだそういう免許及び増車の余地も認めるということにしておく方が、かえつて問題を簡単にかつ明朗にすることだろうと思つておるわけでございます。その場合に、これまたお説のように権利が発生して非常に高いものになるという心配はあるのでありますので、そのような方法をとりましても、名義貸しの取締りは厳重にやりますし、また性質の悪い会社に対しては監視を励行して、取締り等、事業の停止とか免許の取消しも場合によつてはしなければいけない。そうして悪い事業者を排除して、あき地をつくつて、いい業者の人の入るべき余地をつくるべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/100
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101・松原喜之次
○松原委員 最後でありますが、先ほどのバスの問題ですが、これは赤字路線も黒字路線も全体としてやつておるのであつて、そうして赤字だけ廃止するというようなことは許さないといいうことはもちろんでありますが、そうでなしに、赤字路線と黒字路線とをひつくるめて経営しておる業者のその路線へ、黒字路線だけより食いして競争線が現われたときに、これを許すというようになつたらたいへんなことになる、こういうことを申し上げたのであります。そういうことは絶対にないようにひとつお願いしたいというのが私の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/101
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102・中村豐
○中村(豐)政府委員 その趣旨はよく了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/102
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103・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 本案に対する残余の質疑は次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/103
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104・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 次に、水先法の一部を改正する法律案を議題といたし、これより質疑に入ります。通告がございます。岡田五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/104
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105・岡田五郎
○岡田(五)委員 ごく簡単に御質問申し上げます。過般横浜で水先人の乗船拒否の問題が起つたようでありますが、幸いにして最近円満に妥結いたしましたことは、まことに御同慶にたえないところであります。ただかような事実が起りまして、そのために相当公共の福祉が阻害された点を、私ども非常に憂慮をいたすのであります。これが原因は水先法の第四条の第二号に、その水先区域内において一定の期間水先修業生として修業しなければならぬという厳格な規定があるがために、かような事実が起つたと考えるのであります。従いまして水先人が二年以上千トン以上の船に船長として乗務した場合、あるいは一定の試験に合格した場合、またはその港に十数回航海した経験のある者を水先人として乗船できるようにすることが、かような弊害を除くゆえんではないかと考えるのでありますが、そのような点について政府の今後の考え方を聞きたいのでありまして、この改正法案そのものにつきましては、私何ら異議をさしはさむ点はないのであります。この点一点だけを明らかにいたしまして、私の質問といたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/105
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106・國安誠一
○國安政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいま御指摘がありましたように、六月の終りごろに横浜港におきまして二、三の会社の船につきまして、夜間の水先乗船を拒否されたような事実があつたのでございまして、この点さつそく運輸省といたしましては、関係の水先人あるいは船会社を招致いたしまして、その事情を聴取いたしたのでございます。これは船主側と水先人側の言い分にいろいろ食い違いがありまして、船主側では乗船を拒否されたと言い、水先人側では船主から乗船の要請がなかつたと言い、なかなかその事実のほどがつかみにくかつたのであります。われわれといたしましては、そういう事実は何らかの形であつたのではないかと想像はいたしておりますが、必ずしも的確な事実としてまだつかんでおらない。いずれにしてもそういうことが起りますようなことは、こういう公共の利益のために、強制制度も水先制度もつくつた上からいたしまして、はなはだおもしろくないことでありあす。水先人の方には私どもの方から、今後いかなる事情があつてもそういうことをしてはならないということを厳重に戒告いたしました。水先人側もその旨を了といたしまして、今後はそういうことは一切しないという確約をいたしております。それによりまして、今後もそういう事態は起らないということを確信しております。
それからまたただいま御指摘がありました中の、なぜそういう事態が起つたかという問題であります。これは今回の改正案が水先料金の値上げと関連をして、特に急いで作成いたしました関係上、しかも先般の国会でそれが通過いたす予定で、水先料金はあらかじめ省令で上げ得る建前になつておりますので、去る四月一日から値上げだけは実施したいという関係がございまして、一方法律の改正が遅れたために、そういうごたごたが起きたのではないかというふうに考えております。この点につきましては、一日も早く本改正案が通過いたすことを希望いたしておるのでありまして、問題はさらに根本的なところにあるいは伏在しておるのではないかと考えております。と申しますのは、ただいま御質問の中に御指摘がありましたように、強制制度はそのまま続いている。そこに持つて来て水先人の数をふやしたりする問題につきましては、水先人は修業生という制度を卒業して参らなければ、運輸省の実施する試験には合格しないことになつております。この点が強制制度のもとにおける水先人側の独占形態というような形で今日まで参つておるのでありまして、この点が船主側に対しまして、水先人側が相当有利な地位に立つて交渉に当る結果になつたのであります。そういうところからも、こういう不都合が間々起るのではないかというふうに考えております。われわれといたしましては、今回の改正案においては、料金改正というものとあわせて急いで作成した関係上、そういう強制制度そのものの問題とか、今申しましたような修業生の問題とかいうようなことは、さらに研究を重ねまして、早い機会に根本的な全面的な改正案をつくりたいというふうに考えおるのでございますけれども、そのときに修業生の問題等を一挙に解決をいたしたいというふうに考えまして、今回の改正案にはそういう点は特に織り込むことを差控えたのであります。と同時にこの水先法の改正案につきましては、水先審院会というものがございまして、政府が改正案を出すにつきましても、そういう審議会の意向を徴した上で改正いたしたいというふうに考えておりますので、今回はこの程度で次の機会に考えたいと考えておりますが、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/106
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107・岡本忠雄
○岡本委員 時間がだんだん過ぎましてはなはだ恐縮でございますが、きわきて簡単に強制水先制度についてお伺いいたしたい。これは昭和二十五年より前には行われていなかつたのでありますが、GHQの命令で行われておる、かように記憶しますが、ただいまは講和も発効しましたので、強制制度をやめたらどうかと考えますが、この点に対する運輸省の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/107
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108・國安誠一
○國安政府委員 今の強制制度は、お説の通り占領中にできたものでございまして、この問題につきましても先ほど申し上げましたように、次の根本的な改正のときに一括して考えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/108
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109・川島金次
○川島(金)委員 本案につきましては、前国会において相当審議が重ねられました結果、わが党においてもこれに賛意を表したいきさつもありますので、もちろん私も賛成でありますが、賛成いたします前に一言だけ、私門外の者でわかりにくい点が一つありますので、その点だけを理解の行くように御説明を願いたいと思うのであります。と申しますのは、きよう政府から出ました水先法の一部を改正する法律案逐条説明の書類の中の三ぺジ「水先強制免除資格者であることにより水先強制を免除される場合を改めること。」という標題の第三項、「これは船内秩序の観点からも好ましくないとともに、」云々とありますが、これは私どもしろうとにはちよつとわかりかねますので、この点を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/109
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110・國安誠一
○國安政府委員 ただいまのお尋ねにお答えいたしますが、これは現行法では航海士が船を導く場合には、水先強制免除の資格があれば強制免除されるということになつておりますが、今回は船長だけに限つたことにいたしまた。と申しますのは、大体わが国の従来からの慣習によりましても、船舶が港に出入りするときは、船長がみずから陣頭に立つた船を導いている。そこで航海士がやりましても、結局船長の責任にもなりまするし、また船長は知らずに航海士がそれをやつたというときも、船長の船内における責任の問題からいたしましても、船内の秩序といいますか、そういうものから好ましくないことで、全部責任は船長にかぶせるようにするつもりで改正したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/110
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111・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——なければ質疑を終了いたします。
これより討論に入りますが、通告がございませんので、これを省略するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/111
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112・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 御異議がなければさよう決します。
これより採決いたします。本案を原案の通り賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/112
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113・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 起立総員。よつて本案は原案通り可決決定いたしました。
なお本案に対する委員会の報告については、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/113
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114・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 御異議なければさように決します。
本日はこれをもつて散会いたします。
午後五時十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01319530710/114
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