1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十七日(金曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 關内 正一君
理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君
理事 松井 豊吉君 理事 原 彪君
理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君
理事 鈴木 仙八君
岡本 忠雄君 高橋圓三郎君
徳安 實藏君 南條 徳男君
山崎 岩男君 有田 喜一君
臼井 莊一君 岡部 得三君
松原喜之次君 山口丈太郎君
熊本 虎三君 館 俊三君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 石井光次郎君
出席政府委員
運輸政務次官 西村 英一君
運輸事務官
(航空局監理部
長) 粟沢 一男君
委員外の出席者
専 門 員 岩村 勝君
専 門 員 堤 正威君
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七月十六日
東海道線刈谷、安城間に依佐美駅設置の請願(
小林かなえ君紹介)(第四二五七号)
民間定期航空路開設並びに施設整備に関する請
願(相川勝六君外五名紹介)(第四二五八号)
農業協同組合貨物自動車運送事業に関する請願
(足鹿覺君紹介)(第四三三二号)
若桜線バス複数化に関する請願(足鹿覺君紹
介)(第四三三三号)
岩井線バス複数化に関する請願(足鹿覺君紹
介)(第四三三四号)
水先法の一部改正に関する請願(岡田五郎君紹
介)(第四三三五号)
赤間地内に簡易停車場設置の請願(熊谷憲一君
紹介)(第四四四九号)
喜米鉄道全通促進に関する請願(黒金泰美君外
一名紹介)(第四四五〇号)
福島より飯坂を経て米沢に至る間に鉄道敷設の
請願(牧野寛索君紹介)(第四四五一号)
水難救済に関する法律制定の請願(關谷勝利君
紹介)(第四四五二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
日本航空株式会社法案(内閣提出第六八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/0
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001・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 これより会議を開きます。
委員長不在でありますので、理事の私が委員長の職務を行います。
日本航空株式会社法案を議題といたします。關谷委員より本案に対し修正案が提出されておりますので、この趣旨説明を求めます。關谷勝利君。
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日本航空株式会社法案に対する修正案
日本航空株式会社法案の一部を次のように修正する。
第九条を第十一条とし、以下二条ずつ繰り下げ、第八条の次に次の二条を加える。
(債務保証)
第九条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、会社の債務について、保証契約をすることができる。
(政府所有株式の後配)
第十条会社は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第一条の規定にかかわらず、毎営業年度における配当することができる利益金額が政府以外の者の所有する株式に対し毎百分の八の割合に達しない場合は、政府の所有する株式に対し利益を配当することを要しない。
2 会社は、政府以外の者の所有する株式に対し年百分の八の割合をこえて利益の配当をする場合は、その割合をこえて配当することができる利益金額を、政府以外の者の所有する株式に対しては一、政府の所有する株式に対しては五の割合で配当しなければならない。但し、政府の所有する株式に対する利益の配当が年百分の十の割合をこえることとなる場合は、この限りでない。
新第十二条中「第九条第一項」を「第十一条第一項」に改める。
新第十六条第二号中「第十条」を「第十二条」に、同条第三号中「第十二条」を「第十四条」に改める。
新第十七条中「第十三条」を「第十五条」に改める。
附則第十九項中「第十三条」を「第十五条」に改める。
附則第二十項を附則第二十一項とし、以下一項ずつ繰り下げ、附則第十九項の次に次の一項を加える。
20 政府が第九条の規定に基き債務を保証することのできる限度額は、昭和二十八年度においては、会社がその事業を経営するために必要とする借入金の金額三十四億四千六百万円及びその利子額五億一千七百万円とする。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/1
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002・關谷勝利
○關谷委員 修正案はすでにお手元にお配りをいたしてあります原文によりまして、御承知を願いたいと存じます。
修正の理由を簡単に御説明いたしますと、政府の原案によりますと、新設の日本航空株式会社に対しまする保護育成措置といたしましては、会社設立の際に政府が十億円を出資をいたします。また必要がある場合には政府が補助金を支給し得るように規定されておるのでありますが、航空事業の発達がきわめて著しい諸外国でさえ、政府はこの事業の特殊性を認めまして、つとに事業の育成にあらゆる努力を傾注いたしておりますことは、皆さん方御承知の通りであります。これらの諸外国におきまする積極的な助成策と比較いたしますと、この程度の助成策では、戦後七年間の空白を経て立ち上つて行こうといたしておりまするわが国の民間航空の国際航空への進出は、とうてい望み得ないような状態であります。よつて、さらに助成策の「端といたしまして、債務保証及び政府所有株式の後配制を設けまして、この事業の発展を促進しようとするものでありまして、何とぞこの点皆さん方の御賛同を得たいと存じます。
きわめて簡単てありますか、御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/2
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003・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 修正案に対し質疑の通告がございますから許します。臼井唯一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/3
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004・臼井莊一
○臼井委員 私は本案の修正に対しまして、特にこのものに対しての質問というよりは、これに関連して当局の御意見をちよつとお伺いいたしたいのであります。
ただいま關谷委員から本案に対しての説明がございましたように、外国と比べて非常に遅れている、これをとりもどすのに、航空事業の発達を促進する一つの方法として、日本航空そのものにも援助というものが必要だろうと思うのですが、将来におけるこのほかの援助並びに航空事業の発達に対してのお考えを、この機会にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/4
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005・粟沢一男
○粟沢政府委員 先日も岡本委員から御質問がございまして、内容を若干触れているのでございますが、そのうち特にただいまの御質問の趣旨に沿うような事項を取上げて申し上げてみますと、たとえば現在通行税というものが二割、旅客には全部課せられております。これが免除になりますと、少くとも旅客はその分だけ運賃を支払わなくてもよろしい。従いまして旅客の利用という面から考えますと、相当低い料金で航空が利用できるというふうな結果になると思います。それからなお、現在はございませんが、乗員の訓練というふうなものが、航空といたしましては現在非常なネックになつておりますので、できれば私どもは官設の養成所というふうなものを設置いたしまして、必要な機器、特に航空機を備えて、そこで優秀なパイロットその他の技術者を養成しまして、民間航空の発達に寄与したいということを念願しております。しかし遺憾ながら本年度予算ではこの案が大蔵省に認められません。五千万円の養成補助だけ今年度認めるということになりまして、それは今回提出の予算に盛り込んでございます。なおそのほかにも、消極的ではございますが、地方税の減免というようなことも考えております。これは現在固定資産税あるいは事業税の形式で、航空事業にかけられております。固定資産税は千分の十六、事業税も税率は同様でございます。しかして飛行機というものは非常に金額がかさばりますので、千分の十六でも相当な負担になります。また事業税は、交通事業であるがゆえに、収益課税でなくて、全収入に対して課税されております。これなども非常に不合理な税金ではないかと思います。こういうものを免除してもらえれば、これも消極的ではありますが、航空事業の発達に非常な援助になる、かように考えております。また現在は御承知のように、戦争前にありました航空研究所といつたものがないのでございます。航空機の発達、機器の改良その他には、ぜひとも研究所あるいは試験所といつたような機関がほしいのでありまして、これも例年大蔵省に予算要求をいたしておりますが、まだ研究所といつたようなものを正式につくる時期ではないというふうなことで、若干機器の改良等に試作奨励その他の補助金を出すという程度の金額が認められおります。われわれとしましては、できるだけすみやかにそういう研究所のようなものをつくりまして、飛行機その他の改良進歩に寄与しセい、かようこ考えております。そのほか速達郵便を全部航行機に積んでもらうとか、その他いろいろ考えおりますが、こまかくなりますので省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/5
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006・臼井莊一
○臼井委員 以前あつた航空研究所というものが現在ないのを、至急に復活したいというようなお考えでありますが、これはぜひそういう方向に——今度の修正予算でもたしか科学振興費というものが、ある程度確保できたはずでございますので、何かそういうものに関連して、ことに最近は日本製の飛行機をつくろうというような機運もあるようでありますので、これはぜひともお願いしたいと思います。
なお航空税のお話が出ましたが、国際航空の方の税金は、現在外国の航空会社のものが内地に入つて来ましても、全部外国の方の収入になるのでありますか。また日本のものが国際航空に飛ぶ場合、それとの関係をちよつとお話いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/6
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007・粟沢一男
○粟沢政府委員 外国の関係でございますが、これは条約にも関係ございまして、現在国際民間航空条約では、航空機あるいはその積んで参ります油、部品等は、国内に持つて参りましても税金はお互いに課さないということになつております。それからただいまの御質問の点は、おそらく通行税等の問題だと思いますが、外国の国際機には通行税は課せられておりません。実は変な関係になるのでございますが、日本の国内で旅客を輸送する場合には国内の輸送になりますので、ほんとうは通行税がかかるのであります。従いましてたとえば札幌から東京へ出て、東京からサンフランシスコに参る切符を札幌で買いますと、札幌・東京間は通行税がかかります。ところがアメリカの方でサンフランシスコから東京まで乗つて来て、乗りかえして札幌まで参るという切符をサンフランシスコで買いますと、日本の通行税はアメリカでは徴収いたしません。東京・札幌間の通行税はいらないというふうな状況になつております。国際的には通行税はかけないという原則になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/7
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008・松井豊吉
○松井(豊)委員長代理 楯君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/8
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009・楯兼次郎
○楯委員 それではこの修正案に対して二、三お尋ねしたいと思いますが、きのうの大臣のお話では、現在の日航の経営の面において赤字が出ておらないというようなことを私ども聞いたのでございますが、現在の経営状態を簡単に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/9
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010・石井光次郎
○石井国務大臣 日航の経営状態は、今までは毎月の経営は大体赤であつたのが、多分三月ごろに黒になつたのではないかと思いますが、まだほんとうの決算ができていないので、どういうふうな状態になつておるかということはわかりません。ただその月だけの集計を見ると、四月は確かに黒字になつております。三月も黒字になつたということを言つておつたと思いますが、まだほんとうの決算ができていないので、なお詳しいことは聞いてから申し上げたいと思います。大体のことは、ようやくかつこうがつき始めて、国内の幹線だけやつておればペイするような状態になつて来たということを、会社の責任者が言うておるわけであります。きのう申し上げたように、福岡が一回が二回になり、北海道が一回が二回になるというようなことで、だんだんと時間も正確になり、そして乗客も利用することが時間的に便利になつて来たので、お客がふえて来て、見込みが立つて来たという状態だと思います。これ以上詳しいことは、必要がありましたらなお調べましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/10
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011・楯兼次郎
○楯委員 私はこの修正案に対しての質疑に関連をしてお伺いするわけですが、今ここではつきりした経営状態の説明がないわけでございますので、どういうことになつておるかという断定はできないわけですが、相当有望な会社であるということはわかるわけであります。こういうような会社に対しまして、政府が十億出資をする、それにプラスして債務保証をするとか、あるいは政府の所有株式の後配をするという、きわめて特例を持つたところの修正案でありますが、こういうことをやつて参りますと、これに匹敵するような他の重要な産業があると思いますが、そういうものとの関連性において、非常に不合理ではないかというふうに考えるわけであります。提案者はどうしてこういう将来性があり、相当資本が集まるであろうと思われる本航空会社に対して、このような飛躍的な特例の設定をされるのか、ひとつ御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/11
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012・關谷勝利
○關谷委員 ただいまはこういうふうなことをせぬでもいいではないかというお話でございますが、私が動議を出しておりまする航空事業の債務保証の点につきましては、これからいろいろ資金計画をやりまして、現在借り入れなければならない二十八年度の計画におきましても、三十五億程度のものがいるのでありまして、それの金融措置をいたしますそためには、債務保証をしなければできないということは、これは常識的に判断のできることであります。ぜひとも育成しなければならぬ航空事業でありますので、その金融措置を円滑にするための債務保証であります。それからいま一つは、ただいま楯君のお話では資金が集まるであろうというふうなお話がございましたが、資金の出資が非常に困難である。その場合、政府が十億出した場合、これを後配株といたしまして民間株を優先する、こういうことになりますと、資本が集まりやすいということで、この制度を設けたのであります。こういうことにしない限りにおいては、やがて民間出資を二十億にするというような計画がありますので、そういうときにはおそらく資金の獲得ができないであろう、こういうふうなことから私たちはこのような法案を提出したような次第であります。
なおただいま運輸大臣が、この三月とか四月かに黒字であつたというようなことを申されましたが、その月だけをながめますと、そのようなことにあるいはなるかもしれませんが、しかし従来の繰越しの欠損もあるはずでふります。なおまたこれが六月とか十一月という場合の決算期ごとの計算をいたしましたならば、大臣の言われるような安易な経理状態ではないと私はけつきり考えておるのでありまして、これは資金の獲得の面を容易ならしめろための修正案でありまするし、なおまたこれに助成策といたしましては、もう少ししなければとうてい育成することができないのではないか、こういうふうに考えておるのであります。それからまた諸外国の航空事業はすべて補助政策が行われておりますが、とうていわが国ではそのような助成策ができないという程度のところまでやつておるのでありまして、その間に処して行く事業といたしましては、国際競争力の面から申しまして、もう一段の助成策がなされる措置がいるのではなかろうか、こういうふうに私たちは確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/12
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013・楯兼次郎
○楯委員 今のお話のような航空の必要性から、なお政府がそうした育成策をとらなくてはならないという精神についてはよくわかるわけでありますが、私たちが一番心配をいたしておりますのは、今は航空だけでありますが、おそらく海運関係その他、他の産業に対する関連性であります。航空会社に非常に手厚い育成の方策をやつておいて、次に他の産業からこういう夢語があり、かつ産業が相当必要な産業であると認めた場合には、同じような方法によつて育成をして行かなけれげならないというような問題が出て参りまするので、その点を心配しておるわけであります。従つて特にこの航空会社が、ただいま提案になつておるような特別な育成を要する点を、いま一回簡単にひとつ御説明願いたいのと、こういう事例がはたして過去においてあつたかどうかという点を承りたいと黒います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/13
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014・關谷勝利
○關谷委員 過去におきましての航空事業というものは、ほとんど政府の補助政策によつて立つておつたことは、楯君も御承知の通りだと思います。軍の関係その他郵便逓送等の関係で、非常に恩恵を受けておつたことは間違いはないのであります。なおまた国際競争力の点から申しまして、海運関係におきましては、これよりなお一層もう少し進歩いたしましたところの助成策がとられておるのでありまして、航空事業と海運事業とを比較いたしました際には、海運の助成策の方が航空よりもなお手厚いものがあるということだけは御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/14
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015・楯兼次郎
○楯委員 次に、ちよつといやなことを言うわけですが、うわさに聞きますと、今まで日航はアメリカの中古品の飛行機を買つておつた。そのためエンジン等に非常に損傷があつて、中には使いものにならない飛行機さえある。従つてそのほとんどを日本の工場に入れて修繕をしておる。昨日大臣から、安いからといつて命を捨てに飛行機に乗るような人間はおらないというようなお話があつたわけですが、そのような重大な航空機について、優秀機は昨日の御回答では相当先に行かなくちや入らない。現在あるところの飛行機は中古品であつて、中には飛べないような飛行機もあるといううわさを聞いておるのですが、この点についてわかつておりましたならば、そういう事実があるかどうか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/15
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016・石井光次郎
○石井国務大臣 今国内に飛んでおります飛行機は、みんな飛べる飛行機ばかりであります。使えずにしまい込んでおるのは一つもありません。ただ年中飛行機をいい状態において飛ばすには、整備を絶えず怠らずやることであることは、御承知の通りであります。それで絶えず整備を怠らないようにいたすために、あるいは数日飛ばずに修繕をしておるということは、当然あるわけであります。飛べない飛行機はありません。それからちよつとさつきのことですが、今の経営状態は、三月までははつきりしませんが、四月ごろはいい状態である。このままで行けば国内の航空はだんだんよくなるであろうという見通しを持つております。しかしこれは国内ではほかのものは許さない方針でありますので、これが充実いたしまして、客の利用率もだんだんよくなりまして、国内だけやつておれば私は今の状態で済むと思います。しかしこれが一緒に国際線をやつて行きますと、国際線は御承知のように非常に競争の激甚なところであり、その中に立つて行くには、機体そのものもいいものでなければならないし、そのほかいろいろな整備もいるのでありますから、競争の上では、経理の上では少くともここしばらくは、苦しい状態が続くであろうと思います。それには飛行機等もだんだん買わなければなりませんし、またそのためには資本金だけではいけないので、借入金ということが問題になつて来る。資本金の払込みの状態はこの間も申し上げたと思いますが、日本航空が四億の資本金を十億に増加した結果はどうであつたかと申しますと、非常に出資が出渋りまして、六億のうち一億五千万円くらいが失権株になりました。それはそれでほかで処理し得るのでありますので、これがもう少し増資をして行かなければならぬような状態にこれからなるときに、なかなか出資ができにくいことになるのじやないかということを心配しております。そういう事実だけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/16
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017・關谷勝利
○關谷委員 関連してちよつと……。大臣に先にと日本航空は三月か四月に黒字が出ておつたというお話でありますが、日本航空は二十七年の十月から二十八年の三月三十一日までは、欠損が四千三百十九万九千円というものが出ておつて、現在一億三千二百万円程度の繰越しの欠損が出ておるのです。どこで大臣が答弁せられたような黒字が出ておることになつておるのですか。大臣はどういうふうな資料に基いて言つておられるのか、その点をはつきり御答弁願いたい。大分答弁せられることと事実が違うようであります。
〔松井(豊)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/17
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018・石井光次郎
○石井国務大臣 さつき申しましたように、四月の一月の成績が黒字になつたということに、そこの重役から聞いておるということを申し上げました。これははつきりしないのでありますが、三月もあるいはそうであつたかもしれぬ。一期間にするともちろん成績は赤字であります。それから今後のものはどうなるかもわかりません。ただ一月にそういうことが出て来て、そういう一つの関係においては数字的に有望なる情勢を示しておるとも言えるというだけでありまして、まだそれも期末になりますといろいろなものが出て参りますので、はつきりしないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/18
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019・楯兼次郎
○楯委員 私はこれで質疑を打切ります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/19
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020・關内正一
○關内委員長 松原喜之次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/20
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021・松原喜之次
○松原委員 ほんの少しばかり修正案に対して質問をいたします。この修正案の十条の二項によりますと、一割配当までは特別の取扱いをすることになつております。今日民間会社が二割とか、ひどいのは五割というような配当をやつておる。これは貨幣価値の違つた時代の資本をベースとしておるから、高配をやつてもあまり不適当でないというような考え方から高配をやつておりまして、戦後の投下資本に対する配当であるならば、これは銀行利子とにらみ合せて、やはり戦前と同じように、八朱配当といえばあまり悪くないという程度だ考えるべきではないか、かように私は考えます。従いまして八朱までは保証するというのはやや甘いけれどもまあよいとして、それ以上の場合にも特別の取扱いをするというのは、少し甘やかし過ぎるのではないかと思うのでありますが、この点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/21
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022・關谷勝利
○關谷委員 一割の配当をするとは限らないのでありまして、百分の八でありますので、八分の割合を越えた利益を配当する。八分までは後配当で、政府の方へはやらないで、八分までは民間株にやる、こういうことになつております。八分を越えて参りますと、今度その越えた部分を按分いたします際には、これは政府出資の方に五、民間出資の方に一という割合で、その超過部分は政府出資の株の方にいわゆる六分の五をまわし、六分の一というものが民間会社の方にまわる、こういうことになりますので、かりに数字で申しますと二割の配当があるごとになりますと、これは政府の方の株とそれから民間株とが一割ずつをとるというような結果になつて来るのでありまして、決してそれ以上のものまで特別の恩恵を与えておる、こういうわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/22
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023・松原喜之次
○松原委員 八朱以上に特別の扱いをしてやる、その特別の扱いをする必要はない。つまり八朱以上になれば全部政府に配当を与えて、そうして八朱まで政府に配当ができるようになつた上で、今度は平等に配当するというようなことにしまして、八朱以上に特別の処置をするほどのこともないではないか、こういうふうに私は考えるのであります。但しそれは五分の一でありますから、計数上からいつて非常な問題がそこにあるというわけではございませんから、たつて私は主張するわけではありませんが、しかしそこまで何も特別の扱いをするほどのことでもない。これは経済の常識上そうではないか、こう思うのであります。従つて小さな計数でわざわざ特別扱いをしない方が、今後他の産業の育成等にあたつての一つの突破孔になりますから、何とかこれは撤回してもらつた方がいいのではないか、こう思うのであります。
第二点といたしまして、これは修正提案者をも含めて現政府にもお伺いするのでありますが、造船産業といい、あるいは海運事業といい、運輸省に関係する事業に対して、航空事業とともに特別な育成の方途を政府として講ぜられるのでありますが、やはり国民の税金からまかなわれるところのかような特殊の恩恵的処置に対しましては、国家は国民を代表してできるだけその誤りなからしめるという措置を講じておかなければならない、従いましてこの日本航空株式会社に対しては、もちろん代表取締役の選任だとか、あるいは重要なる資産の処置だとか、あるいは利益配当とか、いろいろなものに対して認可権を保留してありますけれども、しかしさらに必要なる場合には監査権の発動をなし得るがごとく、この法文を用意しておいた方が納得が行くのではないか、かように思うのでありますが、これに対してお考えを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/23
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024・石井光次郎
○石井国務大臣 私は海外航空の問題も、海運造船の問題と同じような関連を持つと思うのでありますが、それはこれによりまして外貨支出を一方に押え、外貨の獲得の道も開けるということが一つ、経済的の面だけ考えればそういうことが言えるのであります。それには航空事業そのものがりつぱな発達をし、そうして日本航空の飛行機は安心して乗れる飛行機だという状態に持つて行かなければならないと思うのでありまして、それにはその会社の経営がしつかりしておつて、そこの会社ならば、非常にけちけちして、そのために飛行機そのものが不安定の状態になるようなことはないという安心感を与えるような経営状態であることが望ましいのでございます。その意味においてやつて行きたいと思うのでありますが、今のお話の特に監督の面でありますが、もつと必要な場合には監督を強化し得るようなことを考えたらどうだという御説明でありますが、ごらんくださいますように、いろいろな条項の中に運輸大臣あるいは大蔵大臣等の監督の範囲もきめておりますが、私どもは普通の経営の場合の行き方といたしましてそれを見る場合に、きのうもちよつと熊本さんにも申したように、この人のもとでやつたならば、確かにうまく行くだろうというような人をなるべく置いて、そうしてその人がその仕事にできるだけ腕を振えるように、そうしてほんとうにりつぱな会社にしてもらうように——まあ役所は、それて行くときには押えて、その中でやつておるときには、いやこちらの方がいいとか、そちらに曲つた方がいいなどと言わない、そのくらいの程度の方が、スタートするときの監督としてはちようどいいのではないかと思つておりますが、もしそれが実際に運用してみまして、ここをこうすべきだというような問題が起れば、またそのときに考えて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/24
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025・松原喜之次
○松原委員 この際ちよつと申し上げておきたいことは、運輸大臣が事業を官僚的に運営することに反対であるという意見を明確にせられましたことは、私も賛成であります。しかしながらその際に官僚というものの定義が問題になるのであります。きのう熊本委員からお話がありました国営あるいはコーポレーシヨンにするということに対して、そうなれば、それはすぐ官僚経営になるからだめだというお話でありましたが、これはとんでもない間違いでありまして、それは現在の官僚が悪いということで、あるいは従来の官僚的運営が悪いということであつて、もとよりコーポレーシヨンあるいは国家直接の経営になれば、これは官僚であります。しかし今運輸大臣がおつしやるように、その責任者が生涯その事業に打ち込まれるような運営方法にし、そうしてあまりわけのわからぬ連中が、法律やその他のものをたてにとつて干渉せないような方法にさえすれば、それでいいのであつて、国家経営にすれば必ずそうなる、いわゆる官僚経営になるのだということを考えておられるとするならば、それはわが党が常に考えておりますところの民主的な経営、あるいは社会化ということとはおよそ遠い事柄であつて、われわれが主張するコーポレーシヨンとか、あるいは国有国営とかいうようなものは、大臣のおつしやるのと同じその経営の施策であるということを、御認識願いたいのであります。
さて先ほど申した監査権の問題については、もちろん株主である限り一般株主とともに、会社の経営に対して監査権を持つておることはわかり切つたことであります。しかしながらこれは考え方の問題でありまして、その一般株主とは違うということで、もとよりいろいろの認可権を保留しておるのでありますが、しかしさらに必要な場合にはこの事業の監査をやれるのだ。これは商法上株主は持つておるのだけれども、それ以上に特段な事業の監査権を持つておる、必要な場合にはそれを先動ずるのだという「一つの象徴的なそういう規定を置いておくということが、この会社に対する政府の補助がきわめて公正であり、そうしてきわめて責任を重んじた考え方であるということで、私はこの監査権の問題を出すのであつて、むやみやたらに監査権を振りまわせという意味ではないのであります。そういうふうな考え方でこれはやつておいてもらいませんと、今後鉄鋼であれ、電力であれ、あるいは肥料であれ、いろいろな重要基幹産業に対して、おそらくこの助成の問題が起つて来るのではないかと思うのであります。外貨を獲得するとか、あるいは国際収支を改善するということであれば、たとえば化繊の問題だつて同じことであり、そうすればソーダでも同じだというふうに、そういうものは幾らもあり、五十歩百歩です。そういう問題が起つで来ますから、それらの問題ともにらみ合せまして、できるだけ厳格であり、公正であるというような規定を置いておく方がよいと私は思うのでありますが、これに対するお考えを伺いたいと思います。なお修正提案者においても、特段の恩専的措置をとるよう修正されるのでありますから、こういう点についてはなおさら慎重なる御考慮を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/25
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026・石井光次郎
○石井国務大臣 松原君の御説、私もしもつともと思います。この会社法の規定のほかに、御承知と思いますが、航空法の中に運輸大臣がいろいろ命じ侍るような事項が相当規定されております。それによつて相当立ち入つた監査ができると思います。それとあわせぶして、あなたのおつしやるような御趣旨を達成し得るだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/26
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027・松原喜之次
○松原委員 戦時中ありましたけれども、公団とか営団とかいうものをこしらえて、そして政府の監督が行き届かりして、でつち上げられた弊害がたくさんあるのであります。平時だからそんなことはないといえばそれまででありますけれども、そういう経験も殷鑑遠からず見ているのでありますから、とりあえず事業の鑑査権を大臣の手元に保有して、必要なる場合には大臣の命ずるところをもつて帳簿を調べたり、あるいはその他の監査権の行使ができるというふうな一項を入れる方が、穏当であると私は考えるのであります。この点に対して大臣のぜひ御譲歩を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/27
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028・關谷勝利
○關谷委員 この十一条で大蔵大臣に協議をするというふうなことは、会社のいろいろなことについてもそうなつておりまして、十二条では財産目録その他、営業年度終了後にはすべてそういうふうな書類を提出することになつておりますので、私はこの程度で十分ではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/28
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029・關内正一
○關内委員長 松原君、よろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/29
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030・松原喜之次
○松原委員 不満足だけれども、しようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/30
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031・關内正一
○關内委員長 川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/31
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032・川島金次
○川島(金)委員 私この修正案と原案に対する質問も若干残つているのですが、その前に大臣にこの機会に緊急的な問題として、さらに重ねてお伺い申し上げたいことがありますので、お答え願いたいと思います。それは先般私はこの委員会の席上で大臣にもお伺いをし、大臣からも御答弁があつたことでありますが、例の国鉄職員に対する夏季手当の問題でございます。今や国鉄の労組の諸君は、この問題に重点をかけて必死の態勢をとつていることは、大臣も十分に御承知のことと思うのであります。ことに最近におきましては遵法闘争を開始いたしまして、昨日のごときは東海道線の貨物列車三本が、そのためであるかは別といたしまして、運休のやむなきに至るような事態が惹起されております。これと申すのも、究極においては夏季手当の問題が、政府において、出すかのごとく出さざるかのごとく、きわめてあいまいな態度で今日まで推移をしておるというところに、重大な原因があるのではないか。ことに先般の予算委員会におきましては、改進党を加えた野党四派において、〇・二五を繰上げ夏季手当として支給せよとの決議案が決定されたことも、大臣まく御存じの通りであります。しかも今や本日をもつて二十八年度の一般会計、特別会計を通じての総予算案は衆議院を通過する、大修正ではありますが、成立をするという時期に達して参りました。遠からずこの修正案をもつて参議院にも送付され、同時に参議院においてもおそらく月末までには成立を見るということになるのではないかと、一部では期待しているわけであります。そこで国鉄労組との団体交渉の経過、あるいは院内と政府との関係等から見ましても、少くとも最低〇・二五くらいの繰上げ支給は可能であろうということがわれわれにも期待され、また特に当面の国鉄労組四十万の諸君にとつては、絶大の期待がこれにかけられておる状態であるということも、大臣は十分に御察知のことと思うのでありますが、今や予算成立を前にいたしまして、この国鉄職員に対する〇・二五の夏季手当の繰上げ支給の問題が、一体可能であるのかどうか。もはや政府といたしましてもこの段階においては、いいかげんなことを言つておるときではない。そこであるいは閣僚の一人として、あるいは国鉄の監督者であり、最高責任者であるところの石井運輸大臣のこの問題に対する明確な所見と見通しとを、この機会に発表していただきたい、こういうことを重ねて私は大臣に希望するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/32
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033・石井光次郎
○石井国務大臣 この問題はこの前一応お答えをしたのでありますが、ただいまお話のようにだんだん日がたちますので、なるべく早くどういうふうにか政府の態度を決定すべきものだと私も思います。但しきようも実は先ほど閣議の席で私はこの問題に触れて質問をし、みんなと話し合つたのでありますが、この前から政府は問題にしておるのでありますが、予算案が通らなければ、また少くともここらでよろしいというはつきりした見通し等ができて、そして実際上の取扱いができることにならなければ、どれだけのものをいつ出すということは、正確にきめられないままで今日まで来ておりました。今日の話では、要するに今度は大幅の修正がありましたが、いずれにいたしましてもこの予算が通らなければ、話はきめられない。どういうふうな点にするかということについては、大蔵大臣の案もあり、いろいろあるのでありますが、もう少し話し合つてきめるというようなことで、私といたしましては、今あなたのお話のような国鉄の情勢もありますし、一番早くきめられ得る機会をつかまえて早く決定したい、その話合いをつけたいということを申してわかれたのであります。一番早い機会として考えられますのは、予算が衆議院を通つたときが一つの機会でありましよう。あるいはそれだけではいけない、予算というものは衆議院も参議院も通らなければ成立するものでないということでありますれば、月末なら月末に通つたときにただちに決定ということになるかということでありますが、私どもはできれば衆議院を通つたあとでも、なるべく早い機会にきめるような方向に進めぬかというような話等をいたして、まだはつきりせずにきようはわかれたわけでございます。なるべく早い機会にどういうふうにかきめたいということだけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/33
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034・川島金次
○川島(金)委員 今のお話を伺いまして、さようでございますれば、私どもといたしましてはこういうふうに大臣の言葉を理解してよろしいかどうかを、念のために伺つておきます。今の大臣のお話によれば、まだ衆議院は現実において予算案が通過をしたわけではない。しかしながらこの問題についてはきわめて重要な案件であるから、最短限度においては予算が衆議院で成立した直後において、具体的に考える。しかし一方もしそのことが不可能ないろいろな状況だとすれば、いか李る最悪の事態でも予算案が正式に成立すると同時に、この問題は具体的に発表できるということになる、こういうことに理解してよろしいのかどうか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/34
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035・石井光次郎
○石井国務大臣 結論がどうなるかは別といたしまして、筋は今お話の通りにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/35
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036・川島金次
○川島(金)委員 それではそういう筋道を通しまして、とにもかくにも夏季手当の〇・五プラス・アルフアという何らかの形は出る、こう理解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/36
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037・石井光次郎
○石井国務大臣 プラス・アルフアということは、今私としては申し上げかねます。どうなるかは結論を出すと申しましたが、それは今まで各委員会等において、副総理あるいは大蔵大臣等が何かいろいろ、私それをはつきり知りませんが、申しておりますから、プラス・アルフアになるだろうと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/37
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038・川島金次
○川島(金)委員 大臣のお言葉はきわめて微妙かつあいまいなんです。何か大臣には見通しのあるかのごとく、受取りようによつてはないかのごとくにも受取れる言葉で、まことに微妙をきわめ薫つて、われわれのような勘の鈍い者にはわかりませんが、いずれにいたしましても、閣議の中でも重大な問題の一つとして取上げられておるであろうということは、われわれは想像をいたしておる。しかし今の大臣のお話によると、衆参両院を通過して予算案が成立したということになりますれば、最短限度においても本月の末、あるいは最悪事態が起れば八月の一日か二日に予算案が成立しないとも限らぬ。そうすると、今まだ十七日でありますから、月末までにいたしましてもなお余すところ二週間あります。しかもこの二週間という長い時日の間において、労組関係では、全国に遵法闘争か展開されておる。しかもこの夏季手当を中心とした要求スローガンを掲げておる遵法闘争であることは、まぎれもない事実であります。そしてしかも貨物列車の運休などという事態が出ておつて、またさらに、これが蔓延的な展開を見るようなことがありますれば、輸送上の問題といたしましても、きわめて大きな問題として取上げられなければならぬような事態が起らぬとも限らぬ。その事態を目の前に置いて、どうも政府としては出すかのごとく、出さざるがごときような態度であると、一層事態を私は悪化せしめることになりはしないかと思う。そこで私は大臣にこれを強く要求することは無理であるということも、若干は承知でありますが、しかしこの段階ではもはや当局は、たとい具体的な金額あるいは具体的な事実は別といたしまして、この要求に対する何らかの回答を与える、こういうことは今日の段階ではきわめて必要でないかと思う。そういうことが可能であるといたしますならば、数日来展開されておつて、だんだん悪化するであろうと懸念されますところの、全国の国鉄を中心とした輸送状況というものも、これは急速に元にもどるという可能性の望みがあるのではないか、こういうことを私は考えますので、この機会にそういう必要があるという私の考え方に基いて、大臣の確固たる回答でなくともよろしい。何らかこの四十万の諸君に、不満足ながらも、おぼろげながらもつかみどころのあるような回答が与えられてしかるべきではないか。そのことによつて今日の事態を急速に元に返して、二層職員各位においては、輸送の増強に大いに精進してもらう、こういう形に返して行くということがきわめて必要だ、こう思うのですが、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/38
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039・石井光次郎
○石井国務大臣 この際はつきりしたものが出て、それを答えれば一番早いことは、当然私も思うのでありますが、今のところでは答えるとすれば、今までも各場合に副総理あるいは大蔵大臣から言つておりますように、何とかいたしましよう、またそれが進んで善処するというような言葉をどこかで使つておるようでございますが、ということがあなたの先ほどのお尋ねに対する何らかの答えになると思います。これは私は政府の責任のある言葉の一つだと思います。数字的でないだけのものじやないかと思います。私に結論はどうなると言われると、はつきりと答えるとすればわからないということを申しますが、おのずからそういうふうにわかつておるものがあるように思うのであります。これは私は一番言い得るのは、一日も早くきめてもらうことだと思う。できれば私は衆議院で予算案が通れば、それで何かやれるならばそこできめてやるか、あるいはそこいらできめて、ほんとうに支給するのは本予算が通つたときするにしても、なるべく早く、通ればこうするというようなこと等がきめられれば、きめた方がいいのじやないかと思います。そこまでしかしはつきりした数字を出すと、今度は参議院が、まだおれの方で予算が通らないのに、かつてにお前の方が使うのはおかしいということが起ると思いますが、あなたの言われたような線に近いものを早い機会に出すようにしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/39
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040・川島金次
○川島(金)委員 過般緒方副総理は、国鉄の代表者に対して、これは非公式の言葉ではもちろんあるでしようが、今の予算案がせめて衆議院を通過したときには考慮できるだろうというようなことも、一つの話として代表者に伝えておるようであります。これをまた国鉄の代表者は唯一の希望として、今日まで待つて来たという事態でもあります。たといこの〇・二五でかりに裁定がありましても、その〇・二五でもかじりついていなければならぬというのが、国鉄四十万諸君大衆の生活の実情であることは、大臣よくお認めのことであると思う。それだけに四十万の労組の諸君にとりましては、きわめて切実な問題であるということも十分御了解のことと思いますので、どうぞ今この機会において、私が無理な御注文を大臣に申し上げて、無理な答弁を求めたところにいたしても、それが実現をいたさなければ、結局においては何にもならぬことでもありますので、この点は十分大臣が明確なお話ができないということも、十分に私どもも賢察を申し上げまして、これ以上追究する気持はございませんが、どうぞひとつ四十万の諸君の問題であると同時に、全官公労並びに地方公務員のこの夏季におけるところの生活の問題として、きわめて切実な問題の一つでございますので、ことに運輸大臣におかれましては国鉄監督の最高責任者としてうそれら四十万の諸君の熱烈な、しかも切実な要求に対して、できるだけすみやかな善処をされることを強く私は希望を申し上げまして、この点は打切つておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/40
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041・關内正一
○關内委員長 熊本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/41
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042・熊本虎三
○熊本委員 まだ航空法の本体の質問があるわけですけれども、今修正案の方の質問があつたようでありますから、その面で一、二お伺いをしてみたいと思います。と申し上げますのは、先ほども松原君が言われておつたように、経営の基本的なものの考え方については昨日もお尋ねし、さらに資料を要求しておりますから、いずれ資料を出していただくことにいたしまして、なお検討をいたしたいと思いますが、ここに出されております修正案でありますが、修正案の第十条、これを見ますると、先ほど松原君から質問がございましたように、いささか民間資本に対する待遇の度合いが過ぎておりはしないか、こういうふうに考えられます。問題は第九条において、会社の債務についてこれを国家が保証する、こういうことに相なつておるわけでありますし、さらに十九項の次に一項をつけ加えまして、ただちに保証すべき金額三十四億四千六百万円、これに対する利子が五億一千七百万円、こういう数字まで明記されておるのでありまして、こういう点から考えますると、大体今度出発すべき航空会社の全責任は政府によつて負う、要するにまるがかえの感があるのでありまして、これも現在の出発すべき新航空会社としては、一応やむを得ざるものだというふうにも考えられます。しかしながら、そうでありながら利益配当については、まず百分の八までは民間が優先する。さらにそれ以上にわたつても差異をつけようという修正案でありますが、これについて先ほど松原君が言われましたように、私はこの条文の二項の三行目、「配当することができる利益金額を、」こう書いてありますところから削除いたしまして、そこに「政府所有の株式に配当し、両者平等の配当ができる期間、差額配当を認める。」こういう程度の修正によつて、ひとつ政府、民間のバランスをとつていただいたらどうか、かように考えます。もちろん私どもの方の党議の決定をまだ了承得ておりませんから、党の決定というわけではございませんが、私の考え方として御質問を申し上げておきたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/42
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043・關谷勝利
○關谷委員 この日本航空株式会社ができ上りますと、またただちに出資をしなければならぬというふうなことにもなつて来るのでありまして、これからの先の資本株の募集ということにつきましては、現在でも日本航空の株が下りつつあるというふうな状態でありますので、さらに十億を募集するというのには、非常に困難が伴うであろうと私どもは予想いたしておるにであります。そうしてかりに六分といたしましても、五分は政府の方に行く、わずか一分しか来ないというふうなことになりますので、この程度のことをつけて、少しでも株の募集がやりやすくなり、できるだけ民間資本を増強したい。できるならば、この政府出資も民間に開放したいというのが政府の意図でありますし、当然そうあるべきでありますので、私たちは当初民間に株を募集いたしますることを容易ならしめるためには、この程度のことをするのがいいのではなかろうかというふうに考えておりまして、他にこれは帝都高速度交通営団でありましたか、そういうふうな際にもこういうふうな条文になつておりますので、大体他の場合と同じような、権衡のとれたものにするというふうな意味で、このようにいたしておるのであります。ことに資金の調達がむずかしかろうという現在におきましては、日本航空の株の下つておるというふうな状態になりますと、株の募集の先行きと申しますか、それが非常に困難であるということで、こういうことによつてでも、私は株の募集を容易ならしめることが最善の方法ではなかろうか。このように考えて提案をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/43
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044・熊本虎三
○熊本委員 いろいろやはり多くの経営費がいるわけでありますから、民間募集についての考慮とか配慮等が盛り込まれておるであろうことは想像つきます。しかし私どもから考えますと、これから再出発せんとする航空会社が、国際及び国内幹線のいわば独占的な経営をするという方針でございますから、従つて、たとえば現在問題になつております造船計画等の場合と、この会社に対する場合とでは、民間の信頼と希望とに相当開きがあると私は信じます。従つて先ほども言いますように、たとえば十億という株の半額は民間から集めますけれども、この会社の出発当初における困難を予想しながら、一切の債務に関する保証を国家がする。そうして利益配当を優先する。こういう観点に立ちますならば、民間からの募集についてもそれほど困難ではないと私どもは考えます。従つてあまりにも国家のまるがかえ的な会社、しかも必要以上に民間資本保護というような制度は、よほど考慮しなければならない、かように考えておるわけでありますが、いずれも信念を持つて提案され、さらにお互いに考慮する必要があろうと考えますので、ここで討論をやつても始まらないと存じます。念のためもう一度文章を、今書いたものですから、法文にかなつておるかどうかわかりませんが、各委員に御記載を願つておきまして、御検討を賜われば幸いだと存じます。私の修正いたさんとするところは、十条の二項三行目、読みますと、「その割合をこえて配当することができる利益金額を、」というところから下を抹殺して、そこに「政府所有の株式に配当し、両者平等の配当ができる期間、差額配当を認める。」こういうことを記録していただきまして、各党でひとつ御相談を願えば幸いと存じます。提案者にただちに御答弁を願いましても、これは意見の相違かと考えますので、その点をよろしくお願いしたいと考えます。この機会に大臣から、かような修正案に対する再修正についてお気持を承れれば幸いと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/44
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045・石井光次郎
○石井国務大臣 私どもは日本航空株式会社法案を提出いたします前に、実はこれらの点も考慮はいたしたのでございまして、債務保証もすべきではないか、また政府所有株式の後配というものもやるべきじやないかということをいろいろ考え、検討をしてみたのでありますが、いまだどういうふうにこれが進んで行くかもわからないのでありますから、あまりに政府の方から原案といたしましてこうもしてやりたい、ああもしてやりたいということは’少し政府としては過ぎるではないだろうかというような遠慮の心持が、相当この起案の上にあつたのは事実でございます。それでもう少し様子を見て、あるいはそれでもよいであろう、たとえば政府の所有株の後配等につきましても、これももつともであるが、実際上は少くも何年間かは配当もできぬであろう。その様子を見て、皆さんのお考えでまた直してもらつてもよいじやないかというような、軽い心持でやつたのでありまして、皆さん方がこれを御決定くださいますれば、それに対して私ども賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/45
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046・熊本虎三
○熊本委員 なるほど大臣が御遠慮されて、こういう差額配当による民間資本の防衛の考慮は、御遠慮されておつたようであります。御遠慮される理由も、先ほど私が申し上げるように、非常にあるわけであります。政府のまるがかえ的なことでなければ出発できないということでありますから、大臣としてはそういう点を御配慮されたことはもつとも妥当だと思います。そこでせつかくこういう修正案ができまして、かりに私が再修正いたしましても、差額利益の配当というものが保証されるわけでありますから、従つてこれならば大臣としても、御遠慮されておつたものから、保証の面、あるいは配当差額の面、こういうものには非常に好意的な修正である、一歩前進した形であるということだけは、お認めが願えるだろうと思いますが、そういうふうに了承してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/46
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047・石井光次郎
○石井国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/47
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048・熊本虎三
○熊本委員 それでは修正意見につきましては、各位に一応御高配を賜わるということにいたしておきまして、私は次に、先般行われました提案説明の中から、二、三質問を申し上げたいと存じます。
それは提案説明の三ページでございます。「まず会社の目的でありますが、本会社は、国際路線及びその基盤となるところの国内幹線における定期航空運送事業並びにこれに附帯する事業を経営することを規定しております。」という御説明でございます。附帯事業ということになりますと、たとえばローカル線等の問題に関連して来るかと思います。さらに航空関係における附帯事業というものは、やろうとすれば限りなくあると思いますが、ここでいう附帯事業という意味は、たとえばどういうものを含んで御説明になつておりまずか、その範囲等を御説明願えれば幸いだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/48
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049・粟沢一男
○粟沢政府委員 附帯事業を御説明申し上げます。たとえばこの事業に使います航空機の整備工場といつたようなものは、非常に必要な附帯事業かと思います。それから特に外国へ出るための航空機を必要とする不定期事業、たとえば今回のマヌス島から日本に帰る方を迎えるといつたような場合の不定期事業、こういつたものも考えられるかと思います。御質問のようなローカル線をこの会社がやるというようなことは考えておりません。また航空機の大きさから申しましても、ローカルの小さい飛行場を使用できない飛行機を使いますので、ローカル線は不適当であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/49
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050・熊本虎三
○熊本委員 ローカル線については、ただいまのところこの内容には含まれておらないという御説明のようでござカル線についても、やはり会社設立後においてその経営が必要になつて来るのではないか。それからもう一つは、これに附帯する事業としてあげてみますならば、国際航空でございますから、これに付属するホテル経営の問題等も、やればたくさんあろうかと思う。そういうような意味をも含めて、この航空事業に関連する相当大幅な附帯事業を御経営になろうとする御意思であるのか。今御説明になりましたように、たとえば直接航空に必要な整備その他というふうに、ごく狭い範囲にこれを限定されて行こうとするのか。これらは考えようによつては無制限であり、附帯事業というにはあまりにも表現の仕方が適切でないような、当然の付随事業の問題とも考えられるわけでありまして、この点は非常に私どもは関心を持つておるわけでありますが、もう一つ御説明が願えれば幸いだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/50
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051・石井光次郎
○石井国務大臣 それに附帯する事業という規定の書き方は、よく会社の定款にある形でございますが、実質的に私ども考えておりますのは、ただいまのところは定期航空を中心にいたしまして、それに直接的な関係のあるような範囲にとどめておきたいと思つております。将来これが非常な発展をいたしまして、余裕もでき、世界的に伸びて行くようなことにもなりますれば、あるいはよそに日本のホテルをこしらえるというような、ほかの大きな会社かやつているようなことも考えられますけれども、今はそういうことまで伸びて行く力もありませんし、直接のもりにとどめておきたいと思いますので、その方針でやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/51
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052・熊本虎三
○熊本委員 これは他の委員から御質問があつたろうかと存じますが、この別も問題になりました航空法第四条の趣味に基く外国資本の三分の一という限定、経営に関する重要役員等は当然排除するという建前が、そのまま含まれていると了解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/52
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053・石井光次郎
○石井国務大臣 これはあくまで日本の航空会社として伸ばしてやりたいという趣旨に基くのでありまして、あなたのおつしやる通りのことをはつきり考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/53
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054・熊本虎三
○熊本委員 それではずつと先の方へ参りまして、この機会にぜひお尋ねいたしておきたいことは、本法案が通りますと、運輸大臣が会社の設立事務に関する設立委員を任命されることになる。さらに現在の日本航空株式会社を併合するにあたつて、これに対する評価が必要となつて参りますので、これに対する評価委員の任命等を、やはり運輸大臣がされることに相なつておるようでございますが、これらの任命につきましては、非常に国民的関心が検かろうかと存じます。従いまして、この問題は、だれが見ても最も公平で、しかも適切な人選でなければならないと私ども考えておるわけでありますが、これらの構成につきまして、何か大臣の方に御試案でもありまして、われわれにも一応こういう形のこういう構成を目ざしておるというようなことが、御説明願えれば幸いだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/54
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055・石井光次郎
○石井国務大臣 設立委員につきましても、また評価審査会の委員にいたしましても、御説のように非常に重大なことであります。この人たちいかんによりまして、いろいろ非難も起つて来るおそれがあるのでありますから、それには十分注意をいたしてやらなければならぬと私は考えております。評価委員は、これに関係のある各省の次官級の者、また法律問題等に詳しい人というような、専門的な立場の人たちを当てたいと思つております。まだはつきりいたしておりませんが、人数だけではこの法律の通りであります。大体そういう範囲の、そういうような心持でやりたいと思つております。
それから設立委員でありますが、これは今日の日本航空会社のできました時分は、ずいぶんだくさんな、各方面にわたつて実業界のおもな人が列しておつたのであります。その中の実行委員はどれだけあつたか知りませんが、あんまり多いとかえつてごたごたする形だけになりまして、その中の少数の人の独断になるおそれがあるのであります。あなたの心配されますようなことは、私どもも心配いたしておりますが、だれからもこの顔ぶれならもつともだといわれるような顔ぶれを選びたいと思つております。人数はなるべく少くしたいと思つておりますが、大体のところは十名見当を中心にしたくらいのところがいいのではないかと思つておりますが、まだはつきりしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/55
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056・熊本虎三
○熊本委員 大臣があらゆる問題に非常に御配慮願いまして、そうしてこれが設立完成のために心使いをされておりますことを了解いたします。繰返し申し上げますが、こういうまことに関心の深い事業であり、しかも将来これが日本の全面的な航空事業を左右するものでありますから、ただいまの御答弁のように慎重にしていただきますことを、特にお願いを申し上げておきたいと存じます。
なおこの設立にからみましては、私が御質問のときに申し上げましたこと、これに関連して松原君からお話がありましたように、将来の経営、運用の面についてすら、この設立委員会においては十分に審議されるべきことかと存じます。従つてこれにつきましては、われわれの考えておりますこと等についても十分御配慮を願うと同時に、その員数等につきましては、あまりあれもこれもというような多数をもつて議論をするというようなこと等については、いろいろの問題が関連すると思いますから、大体においては私ども大臣の御意思については一応了承いたします。なおわれわれのこれに対しまする根本的な考え方については、今も川島君から御注意を受けたのでありますが、われわれとしてもまだ態度の決定をしておりませんから、御質疑だけにとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/56
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057・關内正一
○關内委員長 山口丈太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/57
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058・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私は運輸大臣が見えておりますので、修正案が出まして、この修正案と本案で少し疑問の点がありますから、一点御質問申し上げたいと思います。運輸大臣の昨日からの御答弁並びにお話を承りますと、この会社が配当するとか利益を上げるということは、当面なかなか困難な問題だ、このように言われておつたのであります。御承知のように航空機なるものは、他の自動車や電車等、陸上の交通に利用せらるべき器材の償却とは違いまして、非常に高価でありますし、しかも償却は陸上の交通機関のものよりも相当短期、短命のものであります。従つて償却というものが非常に厖大な数字を占めると思います。そういたしますと、私はこの償却に対する相当緻密な資金計画が——よしんぱ発足いたしましても必要になる。ところがその資金を得るにあたりましても、ただ国が投資をしておるからという裏づけによつて、社債のみをもつてこれを将来やつて行くということは、正常な会社運営の方法から申してもできないことであります。そうすればこの償却に対する見合い資金として、また次に資金が必要になる、そういう場合にだんだんと政府投資を余儀なくされて来るという結果を招来いたしますと、その政府で出しました出資に対しては利益の配分にあずからない。しかし民間の投ぜられました資本に対しては、優先的に利潤を確保してやる。修正案から申しますと、こういう結果になりますから、それでは将来せつかく航空事業を発展させようといたしましても、その面からする国民的な非難を免れ得ないと思いますが、この点について運輸大臣はどういうふうにお考えになつておるか、疑問の点でありますので、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/58
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059・石井光次郎
○石井国務大臣 金が大分いるだろうというお話でございますが、こういう仕事としてはまことにそういうことに考えられます。今度持つて参りますDC6Bという国際航空に使う飛行機は、償却年限を八年と見ておるそうであります。そういうふうな状態でありますから、今言われましたように、それにかわるためにすぐ金がいるだろうということも当然考えられます。一方お話の、民間は七分でも八分でも配当を受けるが、政府は出資しながら一つも受けないということは困る、国民の税金でやる出資としてはおかしいじやないか、こう言われると、まことにそり通りだと思いますが、かりに七分なり八分なりの配当を支払い得て、かつ日本の航空が国際的にもだんだん信用を得、発展し、収益を上げるということこなれば、私は一株の申込者の方は非常に多いだろうと思います。そうした場合においては政府は当然出資をやめる。そして民間の出資だけにしてもらいます。私はそういうふうになりたいと思いますけれども、おそらくそうなるまでには相当な時を要するのじやないかと思つておるのであります。今度の出資は民間十億、政府十億でありますが、この次にかりに十億ずつ増すというようなことを考えると、なかなか民間の金の集まりは困難じやないかとさえ思うのであります。そのためにこうもしてやる、ああもしてやるというような援助方法があれば、そういう増資がないよりはしやすいだろうということを考えますから、償却が非常に短かいからこの事業は非常に困難で、損してとても成り立たぬだろうとまでも言い切れぬのでありまして、これがイギリスの航空会社の例を見ましても、ようやく本年から配当ができるような状態になつたようであります。その間は相当大きな出資を続けて参つたのでありますが、日本もある点までどうということははつきり申し上げかねますが、ある点までこの仕事が伸びて行けば、そして能率よく、頻度数も増せば、そろばんも合い得るようにだんだんなつて行くだろうと考えますけれども、それにはしばらくの時を要するし、政府の出資も相当しなければならめのじやないか、そういうように思つております。出資に関しましても今申したようなことを注意しながら、もし配当ができるようなことであれば、今あなたのおつしやつたように、政府はどんどん金だけを出し、民間だけ配当をもらつて行くというようなことにならないように、そのバランスがとれるような行き方をとるべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/59
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060・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そういたしますと、私はここでただちにこの修正案によって、政府、民間出資双方に対して、民間出資が優先的に利益を得るような、こういう修正案を出すこと自体が、時期的に適切であるかどうか。これに対して運輸大臣の所見をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/60
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061・石井光次郎
○石井国務大臣 この問題についてはさっき熊本さんに御答弁申し上げましたように、こういうものが出ますれば、この仕事がしやすくなるということは確かであるし、もし皆さんがそのように御決定願えれば、私どもはこれに賛意を表するのだということを申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/61
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062・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私はそのもの自体について、もちろん仕事がしやすくなるというように、単純に割切れればそれまでの話でありますけれども、しかし事航空に関しましては、これは国際線に関する問題として、今主要な議論がされておりますのでありますけれども、しかしそれはそういう単純なものではなくて、いわゆる他の国内線における航空事業なるものも、やはり並行して考えられなければならぬということは、けさほども大臣に質問を申し上げておいたのでありますが、それを国際線においても、このように政府あるいは国民的な資本によらなければ、とうていその発足もできない現状にあることは、この法律を出した趣旨から見ても明確だと思うのであります。そういたしますと、やはり国内における航空事業と並行して発展することのあらずんば、完全な航空事業の発展とは私は言えない、こういうふうに考えるわけであります。そうするとその国内における航空事業の発展援助のためにも、やはり私はしかるべき政府の援助を必要とするというふうに考えるわけであります。そうするとまたこれと同じような形において、政府の投資もしくは援助がなければならぬということになりますから、次から次へとそういうふうになってま参りますと、結果におきましては、私は同一の性格を帯びた何らかの規定を設けなければならぬということになると思います。もしそれをしないで行くということになりますれば、これは非常に一方的な、特定の会社のみの保護政策に終るおそれがある。このように私は思うのでありますが、その調整、調和について承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/62
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063・石井光次郎
○石井国務大臣 国内線の幹線はこの中に一緒になっておりますから、その問題ではないと思います。ローカル線の問題だと思いますが、ローカル線につきましては、またどこにどう許すというようなことはきめてないのであります。おそらく近く許すことになると思いますが、これは飛行場の整備並びに飛行上の空の設備等が不完全であるために、なかなかそう簡単には許せないだろうと思います。これに対しましてどうやって行くか。それには初めの間は保護育成をしなくてはならぬが、どの程度すべきかという問題は目下件研究中でありまして、まだそれが皆さん方にどこまでやっていただくかということについての御相談をするところまで至っておりません。地方の問題としては、今後飛ぶようになれば飛行場の整備等は、もちろんわれわれがやるのは当然でありますが、問題として考えられますのは、郵便飛行等をどこまで頼むかということであります。どの程度で立ち得るかということでございますが、あまりきゅげきな競争をせずに、私どもが考えておりますのは、大体日本を二つにわけて、二つの会社に許そうという線で行きますれば、確立し得るのじゃないかと思います。そしてどういう状態にあるかということを見た上で、何とか援助をしなければならぬということであれば、法律によって援助をお願いするということになるかもわかりませんが、まだきまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/63
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064・山口丈太郎
○山口(丈)委員 ただいま大体政府の考えておられることは、当面の問題としては私は了承するのですが、しかし現在でも航空会社の出願は、相当数に上っておることもまた事実であります。そういたしますと、将来それらの会社がローカル線として出願しあるいはそれに対するところの政府の保護等を請願する、あるいは陳情するというようなことになって参りました場合には、政府はどうしてもそれに対しては、公平な措置を講じなければならぬことはもとより当然のことでありますが、そういたしますと、その公平という意味は、私はやはりその濫立を防止することである、その必要が生まれて来る、かように思います。現在でもそういう様相を帯びておることは、大臣も御承知の通りだと思いますが、そういたしますと、一方においては企業の設立に対しては、ある種の統制を加えて参る。しかも政府の指定いたしました会社に対しては、国家投資についてもこれは自由経済主義の形で、何ら制約を加えず投資して保護育成して行く、こういうことになりまするから、そこの非常な矛盾を生じ、将来に対して、それらの事情からあるいは思わざる支障を来しはしないかということを私は憂えるものでありますが、これが将来濫立して参ることを予測し、また現在出願しておりまするいろいろの会社に対しての行政的な措置として、大臣はどういう考えを持ってこの濫立しようとする会社を統制されようとするか。またもし統制をして行くといたしますと、それについての保護助成というものについての調和は、どういうふうにお考えになっておるか、これを聞いておかないと、私は将来思わぬ不自然な障害が起きないとも限らないと思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/64
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065・石井光次郎
○石井国務大臣 濫立すれば共倒れになるということは、すべてのいろいろな仕事にもあり得ることでありますが、この航空の仕事、特にローカル線におきましては、ただいま私が申し上げましたように、日本を二つにわけまして、大体大阪から向かう、もう一つは大阪からこちらという線でありますが、そういうふうにして、ローカルの定期線は一つづつ許すという方針でおります。従って濫立はないわけでございます。
また一つになれば、それに対する保護育成はどうするかという次のお尋ねでございますが、濫立すれば非常に営業も困るでありましょうが、そういうふうに一つになれば、濫立するよりは少なくとも保護育成はやりやすいと思います。それから郵便物等の輸送も行われると思います。そういうふうに考えてやっております。それから必要なものは、今も御説明申しましたように、実際にあたりまして援助すべきものは援助するということにして、法律案を出すことによって、皆様方と御相談してやって行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/65
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066・山口丈太郎
○山口(丈)委員 これは航空会社の持株の問題でありますが、もし外国人が株式会社を設立するというような場合、あるいは外資を持ち込まれるような場合における制限等に関して、どのような措置をとられておるか。また特にこういう航空事業などの特殊性から考えまして、それが外国資本の支配に陥るような危険性があるかないか、こういう点についてひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/66
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067・石井光次郎
○石井国務大臣 これは航空法にきめられておる通りでありまして、三分の一以上の持株を認めていないのでございます。これはこの通りやれます。それから、それでは外資はどうだという問題でありますが、外資は、金を貸してくれてそれを払うだけの関係で、これの運営権が完全に日本にあるならば、外資は私はけっこうだとおもいますが、なかなか来そうにありません。実際上の問題として考えられまするのは、出資の形であるが、できればそれの力によって自分の国際線とつないで、そうして大きい意味において自分の利益を得たいというようなことで、国内の会社に一口乗ってやろうという計画があったのであります。しかしこれはもう大体おやめになったように聞いております。今のところはありませんが、もしやれましたら、何か外資の口でもあれば得たいと思います。
実はご参考までに申し上げておきますが、昨年アメリカの世界銀行の副総裁のガーナー氏が参りましたときに、私ども運輸省関係の問題で、外資導入について話し合ったことがあります。航空事業に対する外資の輸入はできないか。というのは、アメリカは非常にいい仕事じゃないか、金は貸すが、同時に品物を売るのだ、アメリカで品物を買って来る金を借りるだけなんだ、向うの人が非常に乗って来そうな問題だと思って、私どもも航空局長が主になって話をいたしました。ところがガーナー氏の言うのには、日本の運輸関係の仕事でインヴェストの順序からいえば、鉄道の電化というようなことが第一番に考えられるが、飛行機はだめだ。これはもうからぬ仕事で、こんなものに銀行は貸さぬと笑い話のようにして言っておりました。外資を持って来る場合は、何か腹に一物あるというような場合としか思えぬのが実際だと思っております。初め御承知のように日本航空ができたときに、南まわりのパン・アメリカが何か話に乗りかかったようなことを聞いておりましたが、それが消えまして、ノースウエストが入りまして、いろいろな援助をしてくれたのでありますが、これがだんだんと引下がって行きつつあるような状況であります。単純なインヴェストになりますと、わざわざ考えぬでもいいじゃないかということになるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/67
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068・館俊三
○館委員 関連質問…。今大臣のざっくばらんなお話を聞いたのですが、法案の第二条の第三項で読みますと、航空法第四条第一項によって、そういうことが禁止されている形にはなっておりますけれども、しかし「三分の一以上を占めることとならないようにするため、株式の譲渡を制限することができる。」という項目があるので、今の説明があったのだと思うのでありますが、100%の株のうち33%というこよになると、三分の一ですが、30%ということになると、三分の一以下になる。100%のうち30%を持つならば、この第三項には違反しないことになるわけです。しかし100%のうち30%の株式を外人が持つことになった場合は、商売のことはよくわかりませんが、その会社に対する操作力というか、影響力は、普通の場合においてかなり大きな力になるのではないかと思いますので、今の御趣旨のようならば、もう一歩進めて、法案でも三分の一以上を占めることにならないようになっておりますが、これは特別法として、全然外資関係の手に入らないようにすべきではないかと思うのですが、その点はどうですか。しかも大臣のお話にも、そろばんを置いては入って来る道理はないということでありましたが、胸に何かあるというような状態が現出しやすいときになっているのであります。そこで第二条第三項のところは、航空法に従ってこしらえてある点はわかるのでありますが、もっと厳密にこれを阻止する必要があるのではないかと考えます。外資がいろいろな形で導入するすきをここに与えている。しかもそれがそろばんを置いて入って来る場合ならば、まだ安心でありますけれども、こういう国情において何かの考えがあっても、非常に大きな操作力を持って来ると思うのでありまして、その点はどうかという点をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/68
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069・石井光次郎
○石井国務大臣 現在はそういう問題が消えてしまったように思うのでありますが、自分がやっておられまする国際線に、日本の国内の路線をつなげば、自然自分の国際線にお客が集まりやすいという、これはもちろんそろばん上の問題でありますが、そういうにらみのもとに、日本の国内の路線に散文の一くらい出資をして出て来ようとした会社があります。私どもはこれをずっと見まして、どうもその会社の世界各国の国内航空に対するいろいろなやり方を見ますると、相当強い力で出ておるのであります。これを許せばあるいは日本の国内における日本人による航空の発達を、阻害するというおそれもありはせぬかということも考えまして、結局許さない方針を持ちまして、それにいろいろ話をしておったのであります。一方この日本航空株式会社というものができまして、国内、国際一緒になって、これが政府が相当力を入れるということになりましたので、その外国の会社は政府が力を入れられるようであれば、それと太刀打ちするということは一商社の力ではできないから、私は引下がるというさっぱりした形で、民間同士の競争なら大いにやるけれども、政府のはちょっと無理だからやめますというようなことで、引下がったような形になっております。今後といえども、私ども設立するものその他につきまして、十分これを監督をし、よく注意をしながら、許可、不許可をきめて行くつもりであります。御心配のようなことは起こらないと思っておりますが、万が一そういう問題が起るような問題になりますれば、航空法そのものを改正して行くというようなところまで行かなければならぬ。ただ今のところはその必要がないように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/69
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070・館俊三
○館委員 今のお答えですが、万が一の場合はそれぞれの方法によって防げる、今のところはそういうことがないというふうなお話でしたが、私のお聞きしているのは、航空法にいたしましてもはやこれを同じ三分の一以下の場合には許されておる。この航空法自体がやはりそういう形になっておるということ、それに準拠してこの第三項ができておるということは、ここにどうしてもある機会に外資の導入を招来することのできるすきを与えておる、外資の導入が非常に必要な場合には、ここでこの項目によってもぐり込むことができる。また必要でないと考えておっても、この法律が存在しておるならば、株の譲渡は三分の一以上を、そういう航空法できめられたところへ譲渡してはならないのでありますけれども、三分の一以下ならば譲渡することもできる抜け穴になっておるのであります。株主はやはりそろばんを置いて仕事をしておるのでありますから、その時のぐあいによって、高価に株が売れる、あるいはまた株を投げ出さなければならぬ場合には、どういうはずみかで日本人自身が自由にこれを譲渡したりすることができるのであります。航空法自身にいたしましても、これにいたしましても、非常に不安心なところがある、こう思うのであります。100%の株のところを30%持ったら、これは非常にその下部を操作するのに有力なる手がかりになるのであります。その点はどうお考えになっておるかという点については、御返事がなかったようでございますが、どうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/70
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071・石井光次郎
○石井国務大臣 株の操作をするという面から見ますれば、三分の一まで至らぬでも、かりに二割を持つても、一割五分持つても、それが非常にまとまつておれば、有力な操作ができるということをよく聞くことでありますが、その意味かういたしまして、三分の一をもし保有することができれば、非常な有力な発言力を持つ。ヴオートの上においては、残りがそれの倍からあるわけでございますから、それほどではない、大丈夫ではないかといえますけれども、実際に何とかその会社に支配と及ぼそうとすると、三分の一でも決して簡単にこれを見のがすことはできはいと私どもは思うのであります。はにしてそれでは今日の日本の現状からいたしまして、そして現実のいろいろな場面にぶつかつた私もどの立場からいたしますと、この規定を別に今かえはくちやならないという己とを私は考えていないのであります。実は私、追放から解除されて、昨年の秋帰り新参で入りまして、運輸省の仕事を担任することになつて、この航空問題の出たときに、三分の一を外国に持たせるということは、こんなことでいいだろうか、実は私自身も心配したのであります。その後実際それに外国人が持つた例もいろいろあるのでありますから、それらを見、それから持とうとした人、先ほど申しましたような人々のいろいろな動き等を見まして、現在の実情から、急いでそれを改めなくちゃならぬというほどの心配をしなくてもいいじゃないかという心持でおるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/71
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072・館俊三
○館委員 運輸大臣は見通しの問題をめぐってお話になっておるので、どうもその見通しであればそれでよいのですけれども、今日本の置かれておる現状というものは、朝鮮が休戦になるとか、あるいはMSAの問題が起きる、従って再軍備の問題が実際的に持ち上がって来るという際にとっては、日本の陸上交通にいたしましても、海上交通にいたしましても、それから今問題になっておる航空の問題にいたしましても、そういう立場から見ると、非常に重要性を帯びて来るのであります。そこで今のような考え方であっては、将来危険性が私は伴ってくると感じないわけには行きません。しかし見解の相違になるのですが、どうですか。それからもう一つは航空法にいたしましても、三項の項目にいたしましても、やはり外資の導入の口をあけておかなければ、日本の産業が立たない。航空事業はうまく行かないということについて、ちょっとお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/72
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073・石井光次郎
○石井国務大臣 今のお尋ねでありますが、三分の一を外資、外国資本が入ってもいいということは、これは直接の外資そのものとの関係はないだろうと思います。外資だけの関係ならば、三分の一にこだわらないで、かりに会社が一億円の会社であって、外資を三億円借りるということでもかまわないと思います。そういうのとちょっと違うのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/73
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074・關内正一
○關内委員長 残余の質疑は次会に譲り、明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01819530717/74
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