1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月十八日(土曜日)
午前十一時十八分開議
出席委員
委員長 關内 正一君
理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君
理事 松井 豊吉君 理事 原 彪君
理事 川島 金次君 理事 鈴木 仙八君
岡本 忠雄君 徳安 實藏君
山崎 岩男君 臼井 莊一君
岡部 得三君 松原喜之次君
山口丈太郎君 熊本 虎三君
館 俊三君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 石井光次郎君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁選挙部
長) 金丸 三郎君
運輸事務官
(航空局監理部
長) 粟澤 一男君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 廣瀬 駿二君
専 門 員 岩村 勝君
専 門 員 堤 正威君
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七月十七日
紀勢西線に通学列車増発の請願(田渕光一君紹
介)(第四五六五号)
明石、姫路間に国鉄電車運転の請願(岡田五郎
君紹介)(第四五六六号)
栃木県における国営自動車の一般貸切自動車事
業新規免許に関する請願(高瀬傳君紹介)(第
四五六七号)
新湊市、富山市間国鉄海岸線を予定改良線に編
入の請願(内藤友明君紹介)(第四五六八号)
国有鉄道新湊線復活に関する請願(内藤友明君
紹介)(第四五六九号)
歯だ製ろう及び原料の鉄道運賃改正に関する請
願(西村直己君紹介)(第四五七〇号)
自動車免許制度撤廃に関する請願(三木武夫君
紹介)(第四六二九号)
水難救済に関する法律制定の請願(熊谷憲一君
紹介)(第四六八五号)
武豊線に列車増発の請願(早稻田柳右エ門君紹
介)(第四六八六号)
山田線復旧工事促進に関する請願(鈴木善幸君
外一名紹介)(第四六八七号)
東北本線大宮、仙台間電化の請願(船田中君外
十三名紹介)(第四六八八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
日本航空株式会社法案(内閣提出第六八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/0
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001・關内正一
○關内委員長 これより会議を開きます。
日本航空株式会社法案を議題とし、質疑を続けます。山口丈太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/1
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002・山口丈太郎
○山口(丈)委員 昨日に引続きまして、私は航空行政の面から、運輸大臣が見えておりませんので、事務的な面について御質問を申し上げたいと思います。
きのうの運輸大臣の答弁によりますと、日本の航空事業については、その発達助成のためには、将来この国際線だけではなくて、国内におけるローカル線も大いにこれを助成しなければならぬ、こういう考えを持つておることが表明されたわけでありますが、そこで私は、そうなりますと、そのこと自体は非常に好ましいことではありますけれども、だんだんとたくさんの会社ができて参りますと、その新設会社に対しましての認可の問題が、当然大きく浮び上つて参ると思うのでありまして、これもやはり将来の問題として、私は等閑視しておくわけには参らないと思いますので、この際事務当局にその方策をお尋ねしておきたいと考えるのであります。たくさんの会社が競争会社として設立の認可申請をやり、現在も行つておるのでありますが、それに対しての認可の方法をどういう手続によつてやられるか、一応その方針をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/2
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003・粟澤一男
○粟澤政府委員 大体認可の方法といたしましては、御承知のように昨年から施行しております航空法という法律がございまして、それに準拠いたしまして認可いたしております。航空事業と一口に申しましても、いろいろと内容が多岐にわかれておりまして、大ざつばにわけましても、たとえば今回問題になつております国際線、これは定期航空であります。それから国内の定期航空運送事業、その中でも幹線とローカル線とわけられるかもしれません。そのほかにも、最近よく東京あたりでもお見かけになると思いますが、宣伝ビラをまいたり、あるいは写真測量をしたり、あるいは漁群探見をするといつたようなものを、航空法では航空機使用事業と申しております。大ざつぱにわけましても、国際線と国内のローカル線の問題、航空機使用事業等の問題、この三つぐらいにわけられると思います。
国際線につきましては、先般来大臣からも御答弁がありましたように、今回法案を提出しております日本航空会社が中心になつて、しかも政府も十億の出資までして、これを大いにもり立ててやつて行くのだ、こういう御方針がきめられておるわけであります。幸いにいたしまして、国内の申請希望者と申しますか、日航のほかにも二社ほどございますが、それが現在日航の増資で全部一本になつておるのでありまして、国内の希望者、あるいはそういう方に多少経験を持つており、今まで相当準備もしたというものが全部一本になつて力を結集して国際航空競争場裡に乗り出そうという態勢を現に整えつつあります。国際線につきましては、この会社を少くとも当分は政府もできるだけ援助いたして行きたいと考えております。
それからその次の国内の定期航空、主としてローカル線でございますが、これにつきましても、大体昨日大臣からお話のございましたように、現在航空関係につきまして相当の造詣があり、あるいは相当の見識を持つておられるという方々にお集りいただきまして、先般航空審議会というものをつくつております。これは航空法に基く機関でございます。その航空審議会の答申にも、大体日本としましては現在ローカル線は二社程度で精一ぱいだ。あるいはそのときにも、むしろ最初は一社もあれば十分ではないかという御意見もございましたが、答申といたしましては、大体二社程度国内ローカルがあれば、競争のために共倒れになるという心配もなく、やつて行けるのではないかという答申もございまして、運輸省といたしましてはその御答申にのつとつて、大体ローカル線の会社は、今言つたように国内は一社ぐらい、しかもある程度の分野協定をいたしまして許可するそうしてその二つの会社をできるだけ政府も援助して行きたいと考えております。
それから最後に宣伝ビラ等をまいております使用事業と申しておりますのは、現在すでに十五社ほど免許になつております。なおあと数社申請も出ております。いずれも相当の資力があり、事業関係もある程度これならやつて行けるだろうというふうな見通しのできたものから免許いたしております。私どもといたしましては、現在まだ共倒れになるほどの激甚な競争をやる状態には達していないと思うのでありますが、これがそれなら三十ならいいのか、あるいは五十ならいいのかという点につきましては、その検討をいたしておりませんが、今のところまだ五十社の申請が出るという状況には達しておりません。幸い現在事業を始めておりますものは、ある程度その事業を遂行いたしております。まだ創業当初でございますので、事業面で相当成績を上げるというところまでは至つておりませんけれども、この種の会社としてはある程度実績を上げつつ、乗員の養成、あるいは器材の拡充ということまで努力しておる現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/3
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004・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そこで私はお尋ねいたします。これは今のところでは国内におきましては主要幹線、それから国際線を受持つということでありますが、将来この会社がローカル線を持つ必要を感ずるような事態が招来されはしないか。この点についてどのように考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/4
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005・粟澤一男
○粟澤政府委員 私どもの考えとしましては、大体国内幹線と国際線をこの航空会社にやらせたい。その根拠といたしましては、先般もちよつと申し上げたかと思いますが、国際線に出る飛行機は、現在日航の使つておりますDC4クラス、あるいはそれ以上のものでなければ、安全性から申しましても、あるいは国際競争場裡に進んで行くという点から申しましても、とうてい間に合わない。従つて今度できる新会社といたしましては、少くともDC4クラス以上の優秀機をもつて、この事業を遂行するということになると存ずるのであります。一方国内のローカル線といたしましては、御承知の通り現在相当の飛行場がございますが、アメリカの空軍が使つておるものもございます。そのうちで今のDC4クラスの使える飛行場と申しますと、そうたくさんございません。従いましてローカル線が開設されて、地方の主要都市を結ぶ程度のローカル線ということになりますと、勢い飛行場の規模あるいは滑走路の長さ、その他の制約を受けまして、大飛行機ではおそらく使用不可能だというところが相当出て来るだろうと思います。なお事業面といたしましても、今の六十人乗りというような大きな飛行機をローカル線にまわしましても、これが十分お客をとり得るという時期にはなかなか参らぬと思います。従いましてローカル線の会社は、お客の数から申しましても、ある程度採算のとれるような中型あるいは小型の飛行機でなければならぬ。従いましてやはりそうした中型、小型の飛行機を持つた会社が、ローカル線の会社として適当である。日本航空がローカル線に出ようということならば、今の機種以下の、もう少し小さな機種を持たなければならないということになりますので、この新会社は国内の幹線、国際線という、大型機をもつて行う路線に重点を置いて行くべきで、ローカル線まで小さい機種をもつて入るということは、不適当だと考えております。従つてローカル線は、やはり別の会社の、先ほど申しました二社程度の会社が、ローカル線という使命一本やりで、あくまでも統一的な中型、小型の機種で、その方面に十分力を伸して行くという方が適当ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/5
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006・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私はこれをきわめて重視いたしておるわけであります。それではこの会社は、ローカル線運航の必要が生じた場合にも、国内においては将来にわたつてもローカル線を開設しないという方針なのか。あるいは必要になれば、ローカル線に適当な航空機を整備して、国際線と連絡をとり得るような措置をとつて、国内の主要都市と国際線とを結ぶようなローカル線を考えておるか、こういう点をもう一つ明確にしておいていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/6
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007・粟澤一男
○粟澤政府委員 ただいまのわれわれの考えでは、現在以上にこの新会社に新しい機種を持たしてまで、ローカル線をやらせようという意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/7
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008・館俊三
○館委員 関連して伺いますが、今のローカル線を将来やるかやらないかという質問に対してのお答えでは、やらないつもりであるということでありましたが、法文の八条に「政府は、会社に対し、その行う定期航空運送事業のうち当該路線の性質上経営が困難なものにつき公益上必要な最少限度の運送を確保するため、予算の範囲内において、補助金を交付することができる。」とありますが、これはローカル線をやるかやらないかということにも関連があるのではないかと思いますし、もし将来ローカル線をやらないということであれば、こういう補助金というものは政府が考えておる新会社の大路線——国内大路線、国際大路線の間にも、補助金の必要性が起きて来るという考え方でありますか。それともまた今質問のあつたように、どうしても培養線としてのローカル線が必要になつて来たときの関係でありますか。この補助金をやらねばならぬという第八条の想定は どういうところを想定してこういう項目が入つたか、聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/8
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009・粟澤一男
○粟澤政府委員 第八条の関係は、立案当事者といたしましては、国内のローカル線を考えておる条文ではないのであります。しからばどういう点を考えておるかという御質問でございます。非常に仮定的と申しますか、将来あり得る事態を考えて規定しておるものでございます。はたして例が適切であるかどうか疑問でありますが、たとえば沖縄、台北線というものをやらなければならぬというような事態を想定いたしますと、沖繩から日本へ参ります旅客はそうたくさんないかもしれぬ。しかし日本としては、この沖繩、台北線はやはり公益上やつておきたいということも考えられるのですが、その場合に、会社としましては採算がとれないから、やりたくないというような事態もあり得ると思います。しかし政府としましては、当然日本航空かどこかにやらしておくというような必要も考えられますので、その場合には、補助金を交付してもその線を確保きせるということを考えて規定しておるのであります。しからば実際に沖繩、台北線が、そういうように旅客が少くてやつて行けるかということになりますと、私ども必ずしも現在沖繩線あるいは台北線がやつて行けるかどうかというような研究の結論を出しておるわけではございません。ただそういうこともあり得るということで規定しておる条文でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/9
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010・山口丈太郎
○山口(丈)委員 日航はローカル線はやらない。もしローカル線をやらせるとすれば、他の会社にこれをやらして、日航は国内幹線と国際線を結ぶ特定の航空路だけをやらせる、こういうことでございましたが、最初の質問のときに答えられ、またこの提案の御説明の中でも、航空機を現在購入する場合におきましては、非常に多額の資金を必要とする。そうしてその償却度は、陸上の交通機関のものよりも非常に大きい償却度である。従つて政府が助成をしなければ、あるいは政府の方で資金の裏づけをしてやらなければ、航空の発展は期し得られないということが大きな理由で、この法案が出されておるのであります。そういたしますと、これはローカル線におきまして、やはり五十人、六十人という国際線に使用するような大きな航空機でなくて、少くとも十人ないし二十人というような中型もしくは小型の飛行機を使用して、ローカル線の会社をつくるといたしましても、これまた厖大な資金を必要といたすのであります。そういたしますと、それは単に民間資本のみをもつてしては、とうてい満足な会社をつくるわけにも参りませんし、まも航空の発展上から申しましても、満足な発展を期すこともできないと思いますが、その点について政府はいかなる見解もしくは計画を持つておられるか、ローカル線に対する助成の方法等についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/10
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011・粟澤一男
○粟澤政府委員 まことにおつしやる通りでありまして、国際線に乗り出す会社が非常に大きな政府の助成と申しますか、補助と申しますか、そういうことがなければやつて行けない。同様に地方のローカル線の会会社につきましても、相当程度の助成をしなければ、少くとも創業当初は相当困難であると思います。しかし一応翻つて考えますと、たとえば航空機の問題にいたしましても、この会社の使いますDC6は六億か七億、あるいは部品まで入れると八億という金額になります。地方のローカル線を希望しておる会社の考えております程度の飛行機ですと、大体一機五千万円程度の金で手に入る。それで十人程度のローカル線としては、一番適当な機種が手に入ろ。そういう関係で現在三社なり四社なりが、とにかく自分たちのところに許してもらいたい。政府の助成はさておいて自分たちが資金を集めて、十分やつて行けるのだということで出願しておるのであります。私ども実際内容を調査してみましても、多分に免許かほしいために有利に解釈して、資金計画その他をつくつておるということも見受けられるのでありますけれども、とにかくそういう必要程度の資金は十分こういうふうに集められる、こういうふうに集めてやりたいのだという熱意を示して、ある程度の説明をつけて、現在出願しておるのであります。ただちにそんなことを言つてもお前できないだろう、政府が補助してやるのだというふうなことを、こつちから言う段階ではまだないように考えるのであります。ただ私どもとして考えますれば、やはり将来できるだけの補助をしてやらなければならぬのではないかという心配を持つております。まだ助成金を出すとか、政府出資までしてやらなければならないという段階ではないように思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/11
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012・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そこが問題でありまして、一方においては、国際線に乗り出すために、わざわざ特殊の法律までつくつて助成をして行く。ところが国内のローカル線に対しては、純然たる民間の資本のみに依存してやらぜる。そういたしますと、政府の言われております日本の航空事業に対する将来の助成方法としては、きわめて片手落ちな政策といわざるを得ないのであります。もう一つは、日本の航空事業を急速に助成したいという、その点は了解できるのであります。しかしながらそれを急ぐのあまり、将来ローカル線の会社の非常な濫立に対しまする調整の問題と、またこのような特殊な会社の国家的な助成に対して、一方においてはますますはげしくなりまする国内ローカル線の競争会社の出現に対して、これの調整と助成に対しては、現在においては政府において何らの計画性を持たないといたしますると、私は非常に将来に問題を残すと思いますが、その問題は起きないという考えでおられるのか、あるいは多少の摩擦はあるが、しかしそれは忍んで、今の問題としてこの法律によつて国際線を助長するということだけに努められようとされろのか、これは重要な問題でありますから、ひとつこの際明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/12
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013・粟澤一男
○粟澤政府委員 御指摘の通り、相当育成をしなければローカル会社が発達しないだろうという点は、私どももそのように考える次第でございます。従いましてでるきだけ助成策は講じたい、また講ずるのがわれわれの義務ではないかというふうに考えております。ただ非常に微力なために、必要方ことができないでおるという現状でございましてこの点のお上がりはいただきましても、ことに申訳ない次第でありますが、その通りと申し上げる上りほかないのであります。おつしやるように、この会社ばかり助成して、ローカル会社の分はめんどうを見てやらないのかという点でございますが、私どもはできるだけ見たい、また将来必ずそういう必要があるだろうと考えております。それから先ほども申し上げましたが、少くとも現段階で補助金よで考えてはおらないと申し上げました。これは一応考えようにもよりますので、初めから補助金を交付するぞというようなことで、手取り足取りやつてやる方がいいか、実際自分の自力でやらしてみて、ほんとうに一生懸命やつてもなおできないというときに、それでは国家がこういう方法を考えるという方がいいのかということに、考慮の余地があるかと存じます。なお現在としましても、もちろん何にもしておらぬわけではなく、ガソリン消費税の免税とか、関税の免税とか、あるいは間接になりますが、飛行場の整備、乗員の訓練というようなことにも、できるだけ助成はいたしております。なお将来できれば航空機の研究所といつたようなものをつくりまして、航空機の発達にも努力いたしたいということは念願いたしておりますが、いかんせん微力のために、いずれも十分な計画が実現できませんことは申訳ないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/13
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014・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私はどうも今の答弁では納得できない点が多いのであります。私がなぜこういうふうに申し上げるかと言いますと、陸上の交通などにおきましては、その器具においても多少の整備の不足、あるいは老朽器物の使用におきましても、ただちに人命に関係をするというような重大なことは万々あり得ないのです。ありましても、それはきわめて少いのでありますが、事航空に関しましては、将来たくさんの会社が濫立をして競争をやる。その場合に、政府が航空に関しまして今のような計画性のないことで許して参りますと、弱小会社のむやみな濫立的な競争によりまして、器具の整備不足あるいは老朽器具の使用等によりまして一たび事故が起きますと、それは単に会社の責任としてだけでは済まされない問題でありまして、当然政府におきましても重大な政治責任も追究されるわけであります。でありますから、よほど将来に対しての国内航空については、十分なる計画性を持ち、しかも会社の内容等につきましても健全なものでなければ、航空交通の発達をすることができ得ない、このように私は考えますが、そういう点でなおこのような無計画な状態で進もうとされるか、それとも将来とも十分に計画性のちる事業として発表さして行くようにする方針なのか。これはゆゆしい問題でありますから、私は十分に運輸大臣にも聞きたいのでありますが、事務当局からもその方針は明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/14
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015・粟澤一男
○粟澤政府委員 まことにおつしやる通りでございまして、私どもも、航空局に奉職しておりますわれわれの使命の第一は、航空機の安全を保つことであるというふうに考えております。何ものをおいても航空機を安全に飛ばす努力はいたさなければならぬ、こう考えております。従いまして航空法にも規定してございますが、航空機の安全検査、あるいは乗務員の試験といつたようなものは、非常に厳密にやつております。その結果、航空事業を補助育成するという使命を持ちながら、安全の面あるいは検査の面で、かえつてその発達助長を妨げているのではないかというような、非難と申しますか、あるいは自分で考えてもそういう矛盾に陥ることさえあります。その現われとしまして、たとえば先ほど申し上げました、ローカル線も二社程度といつた話もしておりますけれども、これも現在の航空機の程度、あるいはその会社の持つております乗務員の訓練程度、あるいは能力といつたようなものを厳密に調べまして、現在の段階では二社はおろか、一社でも無理ではないかというふうな判定のもとに、まだ許可をいたしておりません。従いまして、いやしくも旅客を乗せて定期に日本の空を飛ぶという会社につきましては、航空法あるいは国際民間航空条約に基きまして、厳密な検査をし、乗員の訓練をしてその上で初めて許可を受けるという状態になるわけであります。乗務員の訓練につきましても、ただに試験をするというだけではなく、教官まで派遣して、実際にその訓練を手伝つてやらしております。そういう状態でございますので、旅客を乗せて定期に航空事業をやるものを、無計画に許可するといつたようなことは、少くとも現在やつておらぬつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/15
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016・山口丈太郎
○山口(丈)委員 運輸大臣が見えましたから、さつそくですが御質問を申し上げたいと思います。私は主として航空事業の計画性と安全性について質問をしておるわけでありますが、まず会社の育成というか、それについての計画性等については、今お答えをいただいたのでありますが、それは了承することといたしまして、私は地上の航空施設の完備こそ、日本の航空事業に対して一番重要な安全の保障の問題だ、かように考えるわけでありますが、現在におきましては、日本の空を飛ぶ日本の飛行士でも、英語ばかりで連絡をしなければならぬというようなことが、非常にわが国の乗員を養成する上においても、あるいは操縦士を採用する場合においても障害がある。これ声取除くように努力をするという言明けいただいたのであります。十分の質問をしておりませんが、ただそれだけではなくて、このように航空事業というものに熱意を示して今濫立のおそれのあることまで私は危惧をいたして、当局に質問をいたしたのでありますが、その熱意を持たれることは非常にけつこうであります。しかし一方におきましては、今申しましたように航空安全施設に対しましては、ほとんどアメリカの管理下に置かれておるという状態でありますが、一刻も早くこれを完全に日本の管理下に返してもらうことが、日本の航空事業を発展させる先決問題と思うのでありますが、将来運輸大臣はこのアメリカとの折衝をどのように進めて行かれるか。何年ぐらいたてば、日本の国内航空の諸施設を、完全に日本の手で管理することができる計画をお持ちになつておるのか。その計画があれば明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/16
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017・粟澤一男
○粟澤政府委員 ただいまのお話は航空交通管制の問題だと思いますので、数字等を私より御説明申し上げます。結局管制要員が日本には今のところないために、現在米国人による航空管制が行われておるわけであります。これは先日も申し上げましたように、アメリカとの話合いで、日本側の訓練ができましたら、こちらで完全にそのサービスがやれることになつておりますので、現在航空局でその養成をいたしております。まず済みましたのは十八名、現在やつておりますのは二十一名であります。本年度予算では百五名の要員に増加かいたしております。これらがいずれも済みまして、また来年度も予算を要求するつもりでございます。現在の程度に計画通り順調に行きますれば、来年度一ばいくらいで、何とかこれを引継いで、日本の手で管制ができるというふうな見通しであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/17
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018・山口丈太郎
○山口(丈)委員 大体管制の問題につきましては了承いたしました。そこで私はもう一点お尋ねしておきたいと思いますが、どうもさつきからの事務当局の答弁におきましても、国内幹線に対して——ローカル線に対しては別の会社でやらして、日航にはやらせないのだ。別の会社でローカル線は運航させるようにする方針たということを言われたのであります。そしてまたそのローカル線の助成についても、政府はやはり初めからそういう助成をしてやるということではなくて、その会社が運営してみて、どうしてもうまく行かないというような場合には、国家助成という方法も起り得るだろうという答弁であつたと記憶いたします。しかし私考えますのに、そういうふうにして次から次へと国家助成のもとに、利子補給とか、あるいは資金の融資とか、いろいろなことをやらなければならないことは、これは火を見るよりも明らかだと思うのであります。そしてまた航空機の発達そのものよりも、私は航空交通によるいわる公共の福祉というもの、これは文明国家の交通機関としては、ただ旅客を運ぶというだけではなしに、あらゆる部面にわたつて公共性を持つておると考えるのであります。そうしますと、この航空会社ができるだけでも、これは大きな国家投資を必要とするのでありますが、そのこと自体私は、国家がそれだけの投資をやつてでもこれを助成しなければならぬところに大きな公共性を持つことを証明するものであると考えるのであります。ところが運輸大臣の御答弁によりますと、自由経済下におけるような純民間会社の状態に置いて、民間人の知能を十分に使うことの方が有利だ、こういうふうにその会社の運営上の問題については答弁をされておるのであります。しかしながら、一方においてこのような大きな公共性を現実に認めて行きながら、他方においては、この修正案に提出されておりますように、ただ国家の投資に対しては後配もできる、そうして民簡の投資に対しては、航空を助成する意味において優先配当を行う。これは運輸大臣の答弁によりますと、今ただちにそういうようなことを考えても、配当もできないのであるから、現実の問題としては、ただ条文上にそれを表わすだけだ、こういうふうな答弁もあつたのでありますが、私はそういうことだけでは治められない問題だというふうに考えるわけであります。このような高度な公共性を持つならば、運輸大臣の昨日の答弁におきましても、役人が直接その運営の衝に当つても、それはうまく行かない。官僚的な考え方でこれを運営するということは、さらにその限度も考えられるというようなことで、民間にまかした方がいい、こういうふうな答弁も承つております。しかしそのような考えだけでこれを律して行くことはできない。こういう特殊の法律までつくつて運営を民間にやらせるよりも、むしろ私は今の国鉄やその他電信電話公社のごとく、やはりコーポレーシヨンの性格を強く出して運営する方が、国家がその企業を助成するという意味に合致するように思います。今まで質問をして参りました点から見ますと、国内における航空交通の将来にわたる競争の激化等から考えましても、この会社案と照合してみますと、きわめて均衡を失する、しかも日本の国内航空の面におきましては、十分にこれを助成発達させることが必要になる。しかもそれは非常に公共性を持つものでありまして、当面する利益だけを追求して行くわけには参らない、きわめて高度な公共性を持ち、しかも社会性を持ち、そして人命に関する重要な問題を扱わなければならぬ特殊なものでありますから、どうしてもこの性格を将来にわたつてかえるような考えをもつて当らなければならぬのではないかと思いますが、そういう点について行政面からの運輸大臣の御所見をもう一度承つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/18
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019・石井光次郎
○石井国務大臣 国内航空にいたしましても、国際航空にいたしましても、安全第一に運航すべきことは当然のことであります。そういうことで行けるような十分なる注意を、組織の上にも設備の上にも払わなければならぬと思います。きのうから申し上げておりました日本航空会社の、今度提案しておりますものの性格は、あなたにも申し上げたし、それからまたそれの補足的な意味におきまして、熊本さんのお尋ねにも申し上げたのでありますが、私が考えておりますことは、もう少し平たく申しますと、会社が最も適当だと思う人を首脳部にすえて、その人のもとで一元的なりつばな運行ができるような組織をしたい、こう思います。それからまた役所でやるとか、あるいは公社組織でやつたらどうかというお話に対しましては、私はこれはどうも一般会社の組織の方が、生き生きとした活動がしやすいと信じております。公社の例は、私どもずつと前に商工省の仕事を扱つております時分、いろいろな公社ができたころでありますが、アメリカさんの命令によりましてたくさんの公社ができましたが、この行き方は、結局それは人の問題、組織にいろいろな欠陥があつて、公社組織の悪いという点ばかり言われておつたのですが、それだけが公社そのものの本質ではないという声が出て来たのでありますが、実際やつたのはみな失敗でございます。何もうまく行かない。それはまあ短期間でありましたが、みんなその短期間の間にほかの組織に移行したわけであります。今度のような場合を考えますと、そういうことも一応考えられるし、外国においてもそれに近いような例もいろいろあるのではないかということ等もありますが、私は日本の現状からしますると、この会社組織によつてりつばな社長ができ、その下で働いて行くということが好ましいことである、こういうふうに思つております。
国内のローカル線の問題でありますが、ローカル線がそろばんに合わぬかもわからぬ、おそらく合わぬじやないか、そういう点、今政府が考えているのは、ただ何でも政府がやつて行こうというのでは、よく伸びないのじやないかという御心配のようでありますが、これは私どもも初めどういうふうな状況で進むか、あなたの言われますように、初めの間はなかなか困難じやないか、こう思つております。かといつて、初めからこう行かないからこれだけのものをこうするということをきめてしまうと、自分の力で働いて、組織をかえてりつぱに経営して行こうとする努力を薄らがせるもとにもなりますし、大体のところ日本を二つにわけて、ある地域だけをその一社が定期をやるということでありますれば、私は経営よろしきを得れば両方とも立つようになるだろうと思う。初めのうちはどういうことになるか、あるいは数年は困るかもわかりませんが、まあ立つだろうと思つております。そういう心持でおります。初めから何でもかでも援助して行くということは、控えた方がいいのじやないかと考えております。しかし健全な発達のためにどうしたらよいかということは、国内の問題につきましても国際の問題につきましても、私ども絶えず注意しながら、それを指導して行かなければならぬと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/19
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020・熊本虎三
○熊本委員 関連して……。一昨日かと思いますが、私、エール・フランス等の経営機構並びにその運営等についての資料を求めておきましたが、まだ提出がございませんから、至急に御提出をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/20
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021・粟澤一男
○粟澤政府委員 いずれこれは書類にいたしましてお配りいたしますが、一〇〇%政府出資の例として、イギリスのBOAC、フランスのエール・フランス、これを調べて参りましたが、BOACで申しますと、役員の数は正名ないし十一名、これはいずれも規則を調べましたので、現在何人おるかわかりませんが、民間航空大臣の任命になつております。政府の監督といたしましては、資金調達等は大蔵大臣の承認を受ける、あるいは積立金、利益金等の処理については大蔵大臣の同意を要するというような関係になつてむります。エール・フランスの方は、十六名の理事が役員になつております。うち半数の八名は政府が任命する。残りの八名の半分の四名はフラゾス政府以外の株主が任命する。規定はこういうことになつております。残つた四名は会社の従業員中から選任することになつております。それから五〇%の例といたしまして、スエーデン等、スカンジナヴイア半島のSASという会社がありますが、これはスエーデン、ノールウエー、デンマーク三国の会社が共同してつくつておる会社であります。各三国の会社が一社ずつでございますから、政府出資は五〇%ずつでございます。これはスエーデンの例を見ますと、大体重役が十名ないし十四名、これを半数は政府から、他の半数は民間から出資しておりましてその株主の割合で選任しておる、そういうことになつております。いずれ後ほど書類にいたしましてお配りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/21
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022・松原喜之次
○松原委員 関連してお伺いしますが、イギリスの場合には一〇〇%政府出資であつて、その重役は政府の任命になつている、こういうことでありましたが、そうすると、それは公企業の形態になつているのか、日本の法律とすればどういう形態と解釈すべきものでありますか、ちよつとお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/22
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023・粟澤一男
○粟澤政府委員 コーポレーシヨンという名称を使つております。これがはたして普通の会社であるか、日本でいわゆる公社であるか、その点まだ研究不十分でございまして、わかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/23
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024・松原喜之次
○松原委員 もう一点、フランスの場合に政府出資が一〇〇%であるにもかかわらず、法律では四人だけ政府以外の株主の選任による重役ということになつておつて事実と法律とは違うわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/24
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025・粟澤一男
○粟澤政府委員 これは規定がそういうふうになつておるのでございまして、またエール・フランスの会社の人にも聞きましたが、大体建前はできるだけ政府株は民間に放出するという建前になつております。その度合いに従いまりて、民間株主からも選任する、こういう規定だそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/25
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026・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私はもう時間も相当行つておりますし、昨日から本日にかけていろいろ質問をしておつて、政府の今考えておられる全貌は、ほぼ了解のできるお答えをいただきました。ただ当初はこのようにして出発いたしましても、実際には会社機能として、利潤を上げて行くには、相当の長年月を要するものと考えるし、大臣の答弁におきましても、英国においてもようやく最近に至つてその利益を上げられる程度に来ている状態だ、こういうことでありますから、私は日本の国民性から申しますると、このようにいわば気の長い事業であります。この会社をつくるにいたしましても、そこまでに利潤を度外視して、そうして運航のみに専念し得るかといいますと、これは資本で行くのでありまするから、事業なるものは決して慈善事業でもなければ、奉仕事業でもないのであります。そういたしますると、勢いそこに利潤というものを追求しなければならない結果を生じて参ります。さなきだに未完成の国内において、航空機の生産もできないような現在の実情におきましては、このような純然たる会社組織による組織というものは、日本の国情と、国民の忍耐というような感情から申しまして、非常に不適当ではないかと思うので、もし将来に対して、ほんとうに日本の航空事業というものを発展させるためには、むしろ私は英国の今御説明なさつたようなコーポレーシヨンの性格において発足させて、そうして将来の問題としてこの組織を考える方が適当ではないか、このように考えますが、政府の考えておられる二とは逆で、一度民間の合併会社にやらせてみて、どうしても行かない場合にはコーポレーシヨンもしくは国営という形をとろうというように、逆のような考え方に見えるので、そういたしますると、会社組織なるものをまつたく試みに使用しているというそしりが、将来起きないとも限らないと思いますが、そういうことではなくて、あくまでもこの組織というものに自信を持つておられるかどうか、ひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/26
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027・粟澤一男
○粟澤政府委員 ただいまのお話もございましたし、先日原先生からも御質問がございまして、会社の経営状況の点で御参考になると思いますから、ちよつと申し上げておきます。
大体ただいま考えておりまする会社の収支関係でございますが、三年度まで一応計画してみたのでございますが、第一年度では、一億五千三百万円の赤字、それから第二年度では三億八千四百万円の赤字、第三年度へ行きまして八千万円の赤字、但しこの第三年度は上期、下期にわけて考えてございますので、下期は大体六千万円黒字になつております。従いましてこの順序で行きますれば、四年、五年と行きますごとに、黒字になつて来るものというふうな見当がつくわけであります。この中には地方税でございます事業税四千万円、固定資産税二千万円が含んでございます。従いまして、もしかりにこの事業税が免除されまするならば、最後の三年目の赤字は二千万円にとどまる。下期はもちろん相当黒字になる、こういう計算になるのであります。しからばこの計画はどの程度信憑性があるかという問題でございますが、たとえばサゾフラゾシスコ線というものを考えますと、大体二十五人お客が乗つてくれれば、こういう計算になるという計算に基いております。二十五人という数字でございまするが、ただいま羽田で統計に出ておりますのは、大体毎週六十人以上くらいが、日本人がアメリカへ羽田から飛行機で立つております。そのうちで二十五人ずつ二便でございますので、五十人くらいは日本人が乗つてくれるだろうという計算であります。もちろん大いに優秀性なども宣伝しますし、外人も乗つてくれると思つております。一週二便で二十五人ずつ五十人という日本人の予想は、そう甘いものでもないように思います。いずれも予想収支でございますので、多分に未確定な要素はございますが、一応こういう見積りを立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/27
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028・山口丈太郎
○山口(丈)委員 収支面からする将来性については御説明があつたので、その通り行けば非常にけつこうなことだと存じますが、しかし予定の計画を実現させるためには、やはり航空機に対する信用度というものが一番必要であります。もし航空機に対する安全度を伴う信用度が高められなければ、いくら日本人が海外に旅行すると申しましても、日本の会社の飛行機には乗らないことになりますから、従つてこれらの航空機の向上、整備及び航空管制につきましては、十分なる注意を払われるよう希望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/28
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029・關内正一
○關内委員長 館俊三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/29
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030・館俊三
○館委員 今山口君の質問の途中で関連質問をしたがつたのでありますが、山口君の質問が続いているうちに、私の聞きたいことも大体質問されたようですから、関連質問でなく、私の質問の番にしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/30
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031・關内正一
○關内委員長 どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/31
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032・館俊三
○館委員 それでは昨日の山口君の質問の際にも、関連質問として大臣に質問をいたしました点について、もう一度吟味しておきたいと思うのです。
第二条第三項の問題で、三分の一以下の株であつても、非常にたくさんの株を持つた場合には、その会社を操作することができるはずだという私の質問に対して、それは商習慣上といいますか、あり得ることだとおつしやつたと思うのであります。そういうことになりますと、どうしても国内資本でなくて、外国資本の入る道はふさがれておらないかという点についても、大臣はそうであるというふうにお答えになつておつたかと思うのであります。ことに大臣は見通しの問題としては、航空事業はもうからないから手を引いた会社が現実にあるのであつて、今日もその見通しを持つているから、そういう心配はないとおつしやつた。さらにそのお話の中で、別の意図を持つて入つて来る場合は、あるいはあり得るかもしれないとこういうことをおつしやつたと理解しているのですが、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/32
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033・石井光次郎
○石井国務大臣 昨日も申しました通りでありまして、今おつしやる通りに私思つております。三分の一ということに航空法制定の際きめられましたものは、このくらいであれば日本航空の自主性を失うことはないという国会の御認定であつたと思うのでありますが、実際上いろいろな会社のコントロールされておる例を見ますと、きのう申し上げましたように、一割五分や二割を持つておつても、コントロールされ得る会社もあると私は思うのであります。だから日本航空会社の株を三分の一くらい持つて——ただ株を持つというだけなら何でありますが、それによつて会社に自分のところの金を貸すとか、あるいは飛行機を貸すとかいうことによつて力をつけ、これが有力となつて参りますと、これの相手方となつてただすなおに営業しておるだけの日本人だけの持株会社は、勝負に負けると思います。そういうことに似たケースになりそうな様子の願いがありまして、その出願をいろいろ情勢を見まして、日本の航空の発達のためには一つの大きな刺激にはなつても、日本の航空会社は負けることはないであろうが、どうも少しくそういうふうな勢力が入りまして、そうして日本の国内の路線をその人たちがコントロールするということになりますと、日本航空の、日本人による日本の航空の将来の発達を阻害すると思いましたので、これは私としては許さない心持の方針を持つておりました。そこにちようどこの日本航空会社という、こういう組織によつて出発するということに、私どもの間でもだんそれ話がまとまつて、ここへ提出することになりました。そこで国内の幹線は、この線一本以外には許すつもりではないのであります。国内幹線にはもう外国の者が出て来ることはないと思います。国内の支線の場合はどうかと申しますと、国内の支線につきまして私ども今いろいろ出願のあるのを見ますと、これは外国の資本は一つも入つてない出願ばかりでございます。実際上におきまして定期のローカル線は、昨日から申しておりますように、大体航空審議会の答申に基きまして、日本に二つの線しか許さない、こう思つております。この二つの線は、今出願されておるうちからだんだん育成して許そうと思つておりまするが、その中には外国の資本関係がないのでありまするから、現実の問題としては心配することはない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/33
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034・館俊三
○館委員 現実の問題としては、そういう経済投資の見通しの上に立つてはないだろうと考えてよろしいかと思います。但し将来はわかりませんけれども、法文の上から見れば食い込む余地があるように考えられますが、その点が心配でありまして、こういう質問をしておるのであります。
そこでもう一つ、この点に関してお聞きしたいのですが、航空法が制定せられたときには、やはり三分の一以下であつた場合にはよろしいということに、裏返すとなつておるように私は考えております。その当時の航空法制定の気持は、当時の吉田内閣の外資導入という力説及びその努力をしておつた時代ではないかと思う。そこでこういうふうな外資が民間産業に入る道を開いておく必要があるという関係から、裏返せば今の航空法ができたのではないかと私は考える。その当時の法案の審議には参加しておりませんのでそれはわかりませんが、諸情勢を振り返つてみてそういう考え方でなかつたかと私は考えてみたい。そこで外資導入の声は大きかつたが、とうとん失敗してしまつた。そんなにもうかる仕事があろならば、君たちがやつてもいいのじやないかというふうな表情で、アメリカの外資導入は漸次日本に入る道がなくなつて来た。そこで航空会社といたしましては、その当てにした外資導入の道が希望がなくなつてしまつて、始めた航空会社の事業経営が困難になり、そういう立場から今度はこの航空株式会社法というものが、会社自体としてもきわめて必要になつて来て、外資導入のかわりに、政府資金導入が必要になつて来たのではないか、そこでそういう要望に応じて、政府としても航空株式会社法案なるものをこしらえて、その穴をふさがなければならない実際上のはめに追い込まれて来たのではないか。もちろん日本の航空を発達させるということは、非常に大事なことであります。その半面もありますけれども、会社あるいはそういう事業主から今聞きますと、相当の年々の赤字を出しておる。この会社のやりくり算段のせつぱ詰まつた気持から、どうしても航空株式会社法案が早く通過することを、現在の日本航空会社が考えておるのではないかと私は考えるのですが、こういうものの見方は、私の意見でございますけれども、大臣としてはどういうふうにお考えになつていらつしやるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/34
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035・石井光次郎
○石井国務大臣 この日本航空会社をこしらえたのは、今の日航の救済策としてこしらえたのでは全然ございません。これは私の案でございます。日本航空会社は自分のところだけでやりたかつたのでございます。こういう政府の出資を求めず、今国内でやつているのを自分のところだけで、国際線も自分の方でやらしてもらいたいという希望であります。そのほかにもう一つ外国航路だけをやりたいという民間会社の出願があります。これも民間だけでやりたいというのでありましたが、私は日本の今日の情勢から考えまして、そしてこの航空事業というものが非常に多くの資金を要するので、民間だけでやつてはなかなかおそいと私は思います。発達がおそい。かといつてアメリカに行く線、もう一つはヨーロッパに行く線、幾つも許してもなかなかむたになる経費も出て参りますので、これは一つにした方がよろしい、それに政府も力を入れてやる、そうして資金の収集しやすいように、また借入金も信用を得てしやすいようにしてやつて、一日も早くいい状態で国際航空に来り出したいというのが、この会社の茶でございます。今の会社の救済云々とかいう問題とは別問題でございます。今の会社は今まで損をいたしております。ようやくきのう申しましたよりに、その月だけの計算においては黒か出る、これは全体といたしますと黒か出るところまで行つてないかもしれません。それは無理でありますが、いずれにいたしましても、今まで赤字を続けておりますけれども、今度この航空会社に参加するにいたしましては、この会社がそのために損も得もしないような形におきまして、特別にこの会社の評価委員会を——この規定にあるように審査会を別に設けて、その資産債務を審査するということにいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/35
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036・館俊三
○館委員 私の心配はそれで解消しておるわけではございませんが、私見であり、大臣の見解であるから、そのくらいにとどめておきます。
そこで一般民衆としてすぐ直感的に考えることは、この航空株式会社法案の内容のいかんにかかわらず、こういう法案をこしらえて、新設航空会社に十億円を入れるための法案である、こう一般の人はすぐ直感するだろうと思う。そこで私考えますのに、そういうものの素朴な考え方からいたしますと、こういう法案は通つたのだが、一体新設の航空会社というものが、今現実に漠然としてどこにあるのかわからないようなぐあいに感ぜられるのであります。どこにあるか、まだ存在しない。従つてその新設会社の定款というか事業計画というか、そういうものについてもわかつておらない。そういう際に、そういう素朴な考え方から行きまして、十億円をそこへ出すのだということのみがはつきりと浮んで来るのが、一般民衆の受ける感じであります。私も実はいろいろ御説明は聞いておりますけれども、一体新設航空会社の経営方針なり、あるいはその事業計画なり、定款なりというものについての輪廓が、御説明は受けておるとはいいながら、まだきわめて漠然とした映像しか、頭の中に浮んで来ないのであります。そこでこの法案を見ますと、附則のところでしたか、現在存しておる日本航空株式会社、免許会社とか注釈がついておりますが、これは設立委員の任命後二箇月以内に、商法三百四十三条に規定する株主総会の決議を得て、会社に対してその営業の全部を出資する、出資せしめることができるのだ、こういうことが書いてあるのですが、このことは会社自体に対して出資させるのでありますけれども、現実の航空会社を相手にしてきめたのでありますから、これは素朴な考えからいいますと、やはり航空会社の承認を得てからでなければ、こういう法案の書き方はおそらくできない。そこでこの航空株式会社法案を出す前に、現実の日本航空と政府との間に、どれくらいかの打合せか何かがあつたのではないかと考えざるを得ない。これがなかつたら、かつてにこういう法律をこしらえて、お前たちのもの全部を出資しろということを強圧的に言うことになる。そういうことはいかに法律といつても、民主主義社会に反しておるのでありますから、おそらくこの法律を出す前に、その会社当局と政府との間に相当の折衝や理解——こういう必要が会社としてはあるぞというようなことについても、お打合せがあつたかと思うのですが、そういうところからこれを十分に研究しておかないと、この法案審議のための私たちの立場がきわめてはつきりしない。そういう点について、どういうことであつたかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/36
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037・粟澤一男
○粟澤政府委員 はつきりした日取りその他は存じておりませんけれども、打合せもやつておりまして、大体向うとしましても、ぜひこの会社に入りたい、入りまして国際線を実施さしてもらいたいという意思は表明いたしております。なお会社の計画等について、まだ御疑問があるようでございますが、お手元に参考資料として御配付してございます中に、一事業計画が載つてございます。必要があれば御説明申し上げますが、それでごらんいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/37
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038・館俊三
○館委員 今の事務当局のお話の参考資料は、いただいておるのかもしれませんが、私はまだ十分に熟読しておりません。(「不勉強だ」と呼ぶ者あり)それともう一つは、もう一ぺんよく見直しておきたいので、一そろえそろえて、十分なる資料をそろえて私に送つていただきたい。これは不勉強だと言われればそうなんですが、資料を提出していただきたいと思います。私はその資料提出を望むほかに、もう一つ、資料だけでなく、今大臣に申し上げました通り、この法律をつくる前に、すでにこの六箇月の解散国会に出ておつたようにも聞いておりますが、それ以前からそういう折衝が行われておつたことだろうと私は思う。まず第一にその必要なことは、折衝の過程における記録なりその他がおありではないかと私は考えるのですが、そういうものがあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/38
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039・石井光次郎
○石井国務大臣 寄つていろいろ話をしたのはありますが、特にそのために記録はとつておりませんが、会社——今の現在ありまする日航で、向うの会社の内部の仕事といたしまして、こういうふうな新設の会社ができましたら、それにはこういう方法で入るということには、株主は異議はないというような決議等が行われておるはずであります。それはいつ行われているかということ等ははつきりわかりませんが……。そんなものを調べてから御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/39
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040・館俊三
○館委員 おそらくそういう折衝は、この六箇月国会でこれが出ておつたそうでありますが、その以前にそういう折衝が行われて、そうして会社当局と政府との間において、この法律の内容について、政府当局からお話があつたことだろうと私は思う。それに対して会社それ自身もいろいろ意見があつたであろうかと私は考える。そして会社当局の意見と政府の意見とが折衷ざれた形で、この法律案が出して来られたのではないかと考える。いずれにいたしましても、そういうふうに考えるのでありますが、私の私見ですが、国会に法案を提出される場合には、そういう折衝済みの上で、こういう法律でありますから、会社当局との折衝の上でなければ出されないことももつともでありましようが、その経緯なり折衝の過程について、ざつくばらんに国会であからさまにお話があつた上で、この法律を読みませんと、非常に何といいますか、言葉の表現を知りませんが、疑心暗鬼というようなことを一般民衆に与えるのではないかというように私は考えざるを得ないのであります。今申しました事務当局の資料提出は、ぜひしていただきたい。また大臣の言われた会社と政府との折衝経過についても、巨細にひとつこの委員会に報告をしてもらいたいと考える。もしそれほどのものでなくとも、日にちもないことであれば、書面でもいいから、ざつくばらんな経過について承知をしておきたいと私は考えるのであります。
そこで、そういうことはそれでおきまして、次にお尋ねしたいことは、三分の一の株を持つということの理由を、私は外資導入が困つたものであるからという考え方から、この法律が出たというふうに、かようなひねくれたことを申しましたが、そういうことも私見として考えておるのであります。もう一つは、三分の一がある意図を持つて入つて来る場合も心配されるのであります。そこで第四条で、「商法第二百六十一条第一項の会社を代表すべき取締役の決定の決議は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということなんですが、取締役の決定は、商法によつて株主総会で決定することになつております。そこで株主総会で取締役を決定した場合であつても、もちろん四条の規定によつて、運輸大臣がこれを認可しなければならないということなんですが、株主総会の決定を無視した認可が、運輸大臣にできるのかできないのかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/40
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041・粟澤一男
○粟澤政府委員 御承知の通り、商法の代表取締役収は、株主総会の決議によつてきまるのでありまして、この法律によりまして、運輸大臣の認可を受けなければ無効であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/41
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042・館俊三
○館委員 そこで、そういうように株主総会で民主的に決定した取締役を否認する、あるいは是認するということは、運輸大臣の手中に握られておるのであつて、非常に重大な権限を運輸大臣が持つていらつしやる。そこでこの法律を見ても、その認可をする基準をどこに置くかということを読み取るこの修正案のごときは、そういう場合の非常なバツクになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/42
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043・館俊三
○館委員 そういうことになりますと、もしこの航空会社を助けることになれば、原案によりますと、どんどん政府資金を食われて行くという形になり、一面から言うと、会社としては政府を甘く見ておるという形になつて来ると私は思うのであります。もう一つ申しますと、第五条の問題でありますが、普通の会社には、商法によつて、社債を募集するときには、会社の現在の資産というか、純利益というか、それの額を越えてはならないときめてある。これは社債を持つた人の権利をきわめて確実にするために、そういうふうに限定をされておると私は見るのであります。しかるにこの会社は、第三条によつて政府から相当の資金をもらつて、ようよう息をつないで行かなければならぬ、最初においては弱体会社でありますが、その弱体会社に対して、商法のわくを越えて、商法できめられてある額の二倍に相当する社債を募集することができるということをきめてあるのは、いよいよもつてこの会社に対して非常に甘いもののぎめ方であり、社債の募集に応じた債権者の権利の確保に、非常に困難な状態が現出するのではないかという心配もありますが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/43
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044・粟澤一男
○粟澤政府委員 この条文は普通こういつた会社については例文になつておりまして、特に新奇なものではないのでありますが、私どもこの会社は、先ほど申し上げましたように、そう成績の悪い弱体会社とも存じておりません。また飛行機等につきましても相当担保力がございますので、このくらいの補助といいますか、バツクはしてやつてもいいのではないかというのが、提案者の意思でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/44
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045・館俊三
○館委員 そこでこういう例がたくさんあるという例として、たとえば地下鉄の問題なんかをよく出されるのでありますが、地下鉄のごとき問題と違いまして、さつきも申しました通り、国際場裡で闘わしめねばならない会社なのであります。そういう会社に対して民間資本を多分に持ち込むということは、民間の債権者の権利を確保するという上において、きわめて不安心な状態であろうかと思うのであります。
その次に第六条でありますが、「会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」とありますが、この会社の財産といいますと、非常に消耗度の高いものが財産なのでありまして、非常に危険のあるものだと思う。私はその点は考えられるのでありますが、私の聞こうとするところはそういうことではない。これは私はわからぬのでお尋ねするのでありますが、会社の社債権者は政府と民間に現在あると私は思つておりますが、そうであるならば、政府の社債権は民間の社債権と同列にあるのか、優先しておるのか、あとからになるのかということをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/45
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046・粟澤一男
○粟澤政府委員 社債は商法に規定してございます社債でございまして、政府はこの会社の社債を持つことはございません。また予定しておりません。ですから社債券は民間に限つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/46
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047・館俊三
○館委員 そうすると政府の投資した十億なり、また年々投資されるだろうと予想される政府の投資金というものは、会社に対してどういう権限を持つておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/47
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048・粟澤一男
○粟澤政府委員 商法上の出資者としての権利を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/48
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049・川島金次
○川島(金)委員 私は大蔵省に伺いたいのですが、今来るそうですから、その前に航空法に関して一言お尋ねいたします。今度の日航法の修正案によりますと、政府の債務保証あるいは民間優先株式に対する待遇、こういう二項目にわたる修正案が出ております。これらの問題についての是非の事柄は別といたしまして、政府側としてはこの原案を出される前に、おそらくこういつたことも構想の中にすでにあつて、それぞれ関係省とも交渉したのではないかと私は思うのであります。ところが原案はこういつたものがなくて、原案が国会に提出された後において、別な方面からこの修正案が出ております。そこで私はこの原案を立案いたしました航空当局は、あらかじめ大蔵省とこの種の問題について折衝したことがあるのかどうか。折衝したとすれば、大蔵省側はこれらに対してどういう見解を持つておつたのか。この点について簡単にお聞かせおきを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/49
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050・粟澤一男
○粟澤政府委員 運輸省のつくりました最初の原案には、こういう条文はいずれも、表現は多少違いますけれども、こういう思想を盛り込んだ条文をつけておりました。それで大蔵省その他の関係各省と折衝したわけでありますが、ここまで政府としてバツクするという点について、主として大蔵省、またそのほかの関係省とも完全な協議がつきません。一省でも反対しますと閣議が通りませんので、やむを得ず削除いたしたという経緯になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/50
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051・川島金次
○川島(金)委員 今の折衝された過程において、大蔵当局がその問題について反対の意思表示をしたその反対の理由はどこにあつたか、その点をさしつかえなければ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/51
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052・粟澤一男
○粟澤政府委員 ちよつとはつきり記憶しておりませんので申訳ございませんが、たしか、やはり国家財政の現状から見てというふうなことではなかつたかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/52
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053・川島金次
○川島(金)委員 それではお尋ねしますが、監理部長がみずから折衝されたのではないのですか。もしみずから折衝されたことならば、さだめし御記憶があろうと思うのですが、もし部長が折衝されたのではなくて、他の方が折衝されたとすれば、その方がそこにおられましたならば、その方からひとつ御説明を願いたい。もしおられませんければ、今大蔵省当局に私は来でもらうように交渉中でありますから、間もなく来るでありましようが、その方からあらためて承りたいと思うのでありますが、もしそちらで御説明ができれば、その前にひとつ当局の説明を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/53
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054・粟澤一男
○粟澤政府委員 私も折衝いたしたのでございますが、的確に数字等をあげて、こういうわけでいけないというふうな、要するに具体的な相談ではなくて、大体こういうものは趣旨からいつて大蔵省は賛成できないのだといつたような折衝だというふうに記憶しております。非常に漠然としてはなはだ申訳ございませんが、ただいまこの席にはほかにはおりませんので、できれば大蔵省の政府委員からお聞きいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/54
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055・川島金次
○川島(金)委員 どうもせつかく直接折衝された部長が御記憶がないようで、しかも私どもが了解できるような程度の御説明がないのは遺憾であります。いずれ間もなく大蔵省側が見えますので、大蔵省側の確固「たる御意見を、この機会に承つておきたいと思うのであります。そこで大蔵省の方が来る間、一言ついでに運輸大臣にお伺いいたします。
先般の運輸大臣の説明によりますと、アメリカにすでに飛行機の購入方を契約いたした、こういうことが言われております。しかもその契約をいたしました飛行機は、普通の契約では一年、二年かかるから、別の方面で契約したものの肩がわりをして、それには特別な補償料を出して入れることになつた、こういうお話がありましたが、私は先般この話を聞いておりまして、何かもう政府がそういうことをやつておるように私には受取れたのですが、その説明の通り、運輸大臣の責任においてそういう飛行機の予約注文をされたのかどうか、それをひとつこの機会に明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/55
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056・石井光次郎
○石井国務大臣 筋は今おつしやつた通りに大体進んでおるのでありますが、これは現在あります日本航空会社の責任において話をしておるわけでありまして、私どもはこれが皆さん方の御了解を得て多分成立するであろう。そうしたならばその飛行機を使つてやるということでございますが、まだこの修正案のごときは、そういう場合の非常なバツクになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/56
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057・館俊三
○館委員 そういうことになりますと、もしこの航空会社を助けることになれば、原案によりますと、どんどん政府資金を食われて行くという形になり、一面から言うと、会社としては政府を甘く見ておるという形になつて来ると私は思うのであります。もう一つ申しますと、第五条の問題でありますが、普通の会社には、商法によつて、社債を募集するときには、会社の現在の資産というか、純利益というか、それの額を越えてはならないときめてある。これは社債を持つた人の権利をきわめて確実にするために、そういうふうに限定をされておると私は見るのであります。しかるにこの会社は、第三条によつて政府から相当の資金をもらつて、ようよう息をつないで行かなければならぬ、最初においては弱体会社でありますが、その弱体会社に対して、商法のわくを越えて、商法できめられてある額の二倍に相当する社債を募集することができるということをきめてあるのは、いよいよもつてこの会社に対して非常に甘いもののぎめ方であり、社債の募集に応じた債権者の権利の確保に、非常に困難な状態が現出するのではないかという心配もありますが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/57
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058・粟澤一男
○粟澤政府委員 この条文は普通こういつた会社については例文になつておりまして、特に新奇なものではないのでありますが、私どもこの会社は、先ほど申し上げましたように、そう成績の悪い弱体会社とも存じておりません。また飛行機等につきましても相当担保力がございますので、このくらいの補助といいますか、バツクはしてやつてもいいのではないかというのが、提案者の意思でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/58
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059・館俊三
○館委員 そこでこういう例がたくさんあるという例として、たとえば地下鉄の問題なんかをよく出されるのでありますが、地下鉄のごとき問題と違いまして、さつきも申しました通り、国際場裡で闘わしめねばならない会社なのであります。そういう会社に対して民間資本を多分に持ち込むということは、民間の債権者の権利を確保するという上において、きわめて不安心な状態であろうかと思うのであります。
その次に第六条でありますが、「会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」とありますが、この会社の財産といいますと、非常に消耗度の高いものが財産なのでありまして、非常に危険のあるものだと思う。私はその点は考えられるのでありますが、私の聞こうとするところはそういうことではない。これは私はわからぬのでお尋ねするのでありますが、会社の社債権者は政府と民間に現在あると私は思つておりますが、そうであるならば、政府の社債権は民間の社債権と同列にあるのか、優先しておるのか、あとからになるのかということをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/59
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060・粟澤一男
○粟澤政府委員 社債は商法に規定してございます社債でございまして、政府はこの会社の社債を持つことはございません。また予定しておりません。ですから社債券は民間に限つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/60
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061・館俊三
○館委員 そうすると政府の投資した十億なり、また年々投資されるだろうと予想される政府の投資金というものは、会社に対してどういう権限を持つておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/61
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062・粟澤一男
○粟澤政府委員 商法上の出資者としての権利を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/62
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063・川島金次
○川島(金)委員 私は大蔵省に伺いたいのですが、今来るそうですから、その前に航空法に関して一言お尋ねいたします。今度の日航法の修正案によりますと、政府の債務保証あるいは民間優先株式に対する待遇、こういう二項目にわたる修正案が出ております。これらの問題についての是非の事柄は別といたしまして、政府側としてはこの原案を出される前に、おそらくこういつたことも構想の中にすでにあつて、それぞれ関係省とも交渉したのではないかと私は思うのであります。ところが原案はこういつたものがなくて、原案が国会に提出された後において、別な方面からこの修正案が出ております。そこで私はこの原案を立案いたしました航空当局は、あらかじめ大蔵省とこの種の問題について折衝したことがあるのかどうか。折衝したとすれば、大蔵省側はこれらに対してどういう見解を持つておつたのか。この点について簡単にお聞かせおきを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/63
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064・粟澤一男
○粟澤政府委員 運輸省のつくりました最初の原案には、こういう条文はいずれも、表現は多少違いますけれども、こういう思想を盛り込んだ条文をつけておりました。それで大蔵省その他の関係各省と折衝したわけでありますが、ここまで政府としてバツクするという点について、主として大蔵省、またそのほかの関係省とも完全な協議がつきません。一省でも反対しますと閣議が通りませんので、やむを得ず削除いたしたという経緯になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/64
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065・川島金次
○川島(金)委員 今の折衝された過程において、大蔵当局がその問題について反対の意思表示をしたその反対の理由はどこにあつたか、その点をさしつかえなければ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/65
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066・粟澤一男
○粟澤政府委員 ちよつとはつきり記憶しておりませんので申訳ございませんが、たしか、やはり国家財政の現状から見てというふうなことではなかつたかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/66
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067・川島金次
○川島(金)委員 それではお尋ねしますが、監理部長がみずから折衝されたのではないのですか。もしみずから折衝されたことならば、さだめし御記憶があろうと思うのですが、もし部長が折衝されたのではなくて、他の方が折衝されたとすれば、その方がそこにおられましたならば、その方からひとつ御説明を願いたい。もしおられませんければ、今大蔵省当局に私は来でもらうように交渉中でありますから、間もなく来るでありましようが、その方からあらためて承りたいと思うのでありますが、もしそちらで御説明ができれば、その前にひとつ当局の説明を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/67
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068・粟澤一男
○粟澤政府委員 私も折衝いたしたのでございますが、的確に数字等をあげて、こういうわけでいけないというふうな、要するに具体的な相談ではなくて、大体こういうものは趣旨からいつて大蔵省は賛成できないのだといつたような折衝だというふうに記憶しております。非常に漠然としてはなはだ申訳ございませんが、ただいまこの席にはほかにはおりませんので、できれば大蔵省の政府委員からお聞きいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/68
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069・川島金次
○川島(金)委員 どうもせつかく直接折衝された部長が御記憶がないようで、しかも私どもが了解できるような程度の御説明がないのは遺憾であります。いずれ間もなく大蔵省側が見えますので、大蔵省側の確固「たる御意見を、この機会に承つておきたいと思うのであります。そこで大蔵省の方が来る間、一言ついでに運輸大臣にお伺いいたします。
先般の運輸大臣の説明によりますと、アメリカにすでに飛行機の購入方を契約いたした、こういうことが言われております。しかもその契約をいたしました飛行機は、普通の契約では一年、二年かかるから、別の方面で契約したものの肩がわりをして、それには特別な補償料を出して入れることになつた、こういうお話がありましたが、私は先般この話を聞いておりまして、何かもう政府がそういうことをやつておるように私には受取れたのですが、その説明の通り、運輸大臣の責任においてそういう飛行機の予約注文をされたのかどうか、それをひとつこの機会に明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/69
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070・石井光次郎
○石井国務大臣 筋は今おつしやつた通りに大体進んでおるのでありますが、これは現在あります日本航空会社の責任において話をしておるわけでありまして、私どもはこれが皆さん方の御了解を得て多分成立するであろう。そうしたならばその飛行機を使つてやるということでございますが、まだこの他を盛り込むという手続は必要と存じます。先ほどから私の言葉が少し足りませんで、誤解があつたかと思いますが、今回の法案は、大蔵省にはただいま問題になつておるような条文を入れたもので協議をいたしておりません。私が先ほど申し上げました大蔵省と協議を——原案に入つておるというのは、前国会に出しました案の原案であります。従いまして今回の法案はこういう条文を入れて大蔵省には折衝しておりません。その点ちよつと追加しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/70
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071・川島金次
○川島(金)委員 いずれにいたしましても、今あなたのお聞きの通り、大蔵省の主計局の関係官の説明によれば、これくこういう理由で好ましからずという見解のもとに、こういう話がかつてあつたけれども、反対したと聞いておるということを言明されておるのです。ですから、いやでもそういう見解であればこそ、係の方がこの席上で言明されたのだと、こう私は理解をしている。従つて大蔵省の見解は今でもかわりない。この原案直接の交渉過程における問題でなくても、そり前であつてもあとであつても、現実の見解は同じなんです。その見解か同じだとすれば、繰返して申し上げてしつこいようですが、この問題はどうしても大蔵省の予算的措置を必要とする、あるいはまた大蔵大臣の承認が必要である。そうなつて来ると大蔵大臣は、今の見解が引続く限り、この問題に関する限りはやすやすとは賛成ができない、こういうことになる。現実の問題として起るのです、政治というものは……。法律にはできると書いてあるが、できるというだけで、別に大蔵大臣を拘束しておらぬ。政府も拘束しているわけではない。こういうことになると、やはりその問題が具体的に議会に乗つて来ない。来なければやはり実行できないということになる。一般法律案というものは、各省とも異議なく閣議で決定されて、それが容易にできるという見通しをつけた具体的な根拠のもとに立つて出されなければならぬ。この事柄が折衝の間に手落ちで抜けておつて、あとで出したというならばわかる。ところがすでに折衝された。折衝されたから大蔵省の反対があつた。大蔵省の反対がある以上は、これを押し切つて閣議へ出して来た以上、大蔵大臣は反対せざるを得ない。反対せられるであろうと思つた航空当局は、これを削除して持つて来た。削除して持つて来たところ与党の方が、親心子心に通じたのかもしれません。いずれにしても助け舟の形でこの修正案が出て来た。修正案はよい。われわれが内閣をとつたときもそういうことかあるかもしれない。しかしそのせつかくの助け舟も、現実においてそれが実現できないような形であつては何にもならない。いやしくも与党と政府の間柄の問題である。与党がこの修正案を出したというならば、そのりくつは成り立たない。筋道は成り立たない。少くとも議会政治であり、政党政治であつて、今の内閣と与党とは一緒なんである。その一緒であるべき筋合いのものが、その与党を代表した責任閣僚である大蔵大臣は反対であつて、与党の議員だけが議員の立場で自由にこれをやられた。そうすると、現実にはむずかしいことになるのです。いかに關谷さん岡田さんが蘊蓄を傾けて説明されても、なかなか現実はそういかぬです。少くとも政府と与党なんだから、相当に折衝をされて来て、法律が空文に終らないような見通しと確信のもとにおいて、この修正案われわれに突きつけて来るようらば何をか言わんやです。ところがそういう見通しもないのに、ただこうやつておいたならば大蔵大臣を縛れるではないかということは、現実の政治の上においては通用しない。野党がさかねじ的に、レジスタンス的にこういう案を出すのならば、それはできるかもしれない。しかし現実の面においては少くとも与党と政府なんですから、その間の意見が調整されて、そうして固まつた法案を出すということか、一番好ましい形である。そうでないから今のような意見が出てしまう。そうすると、せつかくの親心子心の状態において修正案を出して来ても、現実には通用しないことになる。われわれせつかくの修正案ですから、この法案の審議に当ろうとしているわけです。だから納得のできる形で私どもも賛成したい。ところが今のような形ではなかなか賛成しにくいことになる、その点いか、がですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/71
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072・粟澤一男
○粟澤政府委員 ただいまの御意見まことに私どももそういう懸念を多分に持つておりますが、しかし実際現在ここにお立会いいただきました大蔵省の係官も、この法案が現在審議中であるということを前提にしておいての御意見であろうと思います。私どもといたしましては、こういう債務保証をすることができるという条文をかりにお通しいただければ、将来の大蔵省に対する折衝につきましては、十分理由を備えて御説明すれば、あるいはお通しいただけるかもしれない。しかもその際、この法律としてはできる道を開いていただいておるということが非常な強みではないか、その点はそういうように考えます。
それから前例としましても、造船の金融機関に対する損失補償の問題がございました。これも非常にもめましたが、結局最後にやはりある限度をきめまして、政府が補償するというところにやつとおちついたと聞いております。これもやはり回数を重ね、誠意を尽して説明をし折衝をすれば、大蔵省も納得してくれる例もあるという一つの例になるのではないかと思います。従いまして今回のやつかくの御修正がいただければ、とにかく道が開けて、私どもはこれに対してできるだけ努力をして、そのうちに大蔵省の方を説得して行くだけの目標は与えられるのじやないかと思います。従いましてこの点が別に憲法違反とか、あるいは現在の財政法上、たとい法律を改正してもできないのだということでなければ、私どもとしてはやつていただければ非常にありがたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/72
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073・川島金次
○川島(金)委員 道ができたと理解することが、むしろ逆な結果になりはせぬかという心配があればこそ、私は申し上げている。折衝過程でできない。大蔵省は首を横に振つてしまつた。そうして議員立法で出して来た。それで強引にやつてしまつた。それが大蔵省に対する強引な抵抗ということに実際はなるのだ。そうして大蔵省がああそうですかという気持のいい立場に立つているとは、常識のある人間が考えて想像できるものではない。むしろ逆 だ。気の強い關谷君のような人がかりに大蔵省におつたら、逆になつてしまう。そこが人情なのです。だから私の言つているのは、せつかく修正案を出すなら、もつと当局同士で折衝し、そうして今となつては大蔵省が出すのがぐあいが悪いからというので、議員立法で出て来るならば何とかしようということで、話合いができて出されるのが一番好ましい。与党と政府なのだ。野党と政府じやないのだから、どうにでも話合いがつく。話合いがついて、われわれに心配かけぬように、この議案に参画できるという形をとらなければうそだ。これは闘谷さんだつて反対できない。そういうことで私は非常に不安なのだ。それだからこそこれは慎重に、いろいろな面から審議する必要があると私は昨日から皆さんに申し上げている次第なのです。これ以上は議論になりますし、議論をいたしますとわれわれ時間がかかりますからやめますが、そういう事柄をもわれわれが心配しているのだということを、提案者である關谷君もどうぞ十分に御認識あらんことを私は特に希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/73
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074・關内正一
○關内委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/74
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075・關内正一
○關内委員長 川島君より国鉄職員の兼職問題に関し、質疑の通告があります。これを許します。川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/75
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076・川島金次
○川島(金)委員 実はこれは時間的に急ぎまする問題でありますので、まことに時間をつぶして恐縮なのでありますが、自治庁の方が見えておりますので、一言だけ私に質問の時間をお許しを願います。と申しまするのは、埼玉県の熊谷市に選挙無効事件が発生いたの他を盛り込むという手続は必要と存じます。先ほどから私の言葉が少し足りませんで、誤解があつたかと思いますが、今回の法案は、大蔵省にはただいま問題になつておるような条文を入れたもので協議をいたしておりません。私が先ほど申し上げました大蔵省と協議を——原案に入つておるというのは、前国会に出しました案の原案であります。従いまして今回の法案はこういう条文を入れて大蔵省には折衝しておりません。その点ちよつと追加しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/76
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077・川島金次
○川島(金)委員 いずれにいたしましても、今あなたのお聞きの通り、大蔵省の主計局の関係官の説明によれば、これくこういう理由で好ましからずという見解のもとに、こういう話がかつてあつたけれども、反対したと聞いておるということを言明されておるのです。ですから、いやでもそういう見解であればこそ、係の方がこの席上で言明されたのだと、こう私は理解をしている。従つて大蔵省の見解は今でもかわりない。この原案直接の交渉過程における問題でなくても、そり前であつてもあとであつても、現実の見解は同じなんです。その見解か同じだとすれば、繰返して申し上げてしつこいようですが、この問題はどうしても大蔵省の予算的措置を必要とする、あるいはまた大蔵大臣の承認が必要である。そうなつて来ると大蔵大臣は、今の見解が引続く限り、この問題に関する限りはやすやすとは賛成ができない、こういうことになる。現実の問題として起るのです、政治というものは……。法律にはできると書いてあるが、できるというだけで、別に大蔵大臣を拘束しておらぬ。政府も拘束しているわけではない。こういうことになると、やはりその問題が具体的に議会に乗つて来ない。来なければやはり実行できないということになる。一般法律案というものは、各省とも異議なく閣議で決定されて、それが容易にできるという見通しをつけた具体的な根拠のもとに立つて出されなければならぬ。この事柄が折衝の間に手落ちで抜けておつて、あとで出したというならばわかる。ところがすでに折衝された。折衝されたから大蔵省の反対があつた。大蔵省の反対がある以上は、これを押し切つて閣議へ出して来た以上、大蔵大臣は反対せざるを得ない。反対せられるであろうと思つた航空当局は、これを削除して持つて来た。削除して持つて来たところ与党の方が、親心子心に通じたのかもしれません。いずれにしても助け舟の形でこの修正案が出て来た。修正案はよい。われわれが内閣をとつたときもそういうことかあるかもしれない。しかしそのせつかくの助け舟も、現実においてそれが実現できないような形であつては何にもならない。いやしくも与党と政府の間柄の問題である。与党がこの修正案を出したというならば、そのりくつは成り立たない。筋道は成り立たない。少くとも議会政治であり、政党政治であつて、今の内閣と与党とは一緒なんである。その一緒であるべき筋合いのものが、その与党を代表した責任閣僚である大蔵大臣は反対であつて、与党の議員だけが議員の立場で自由にこれをやられた。そうすると、現実にはむずかしいことになるのです。いかに關谷さん岡田さんが蘊蓄を傾けて説明されても、なかなか現実はそういかぬです。少くとも政府と与党なんだから、相当に折衝をされて来て、法律が空文に終らないような見通しと確信のもとにおいて、この修正案われわれに突きつけて来るようらば何をか言わんやです。ところがそういう見通しもないのに、ただこうやつておいたならば大蔵大臣を縛れるではないかということは、現実の政治の上においては通用しない。野党がさかねじ的に、レジスタンス的にこういう案を出すのならば、それはできるかもしれない。しかし現実の面においては少くとも与党と政府なんですから、その間の意見が調整されて、そうして固まつた法案を出すということか、一番好ましい形である。そうでないから今のような意見が出てしまう。そうすると、せつかくの親心子心の状態において修正案を出して来ても、現実には通用しないことになる。われわれせつかくの修正案ですから、この法案の審議に当ろうとしているわけです。だから納得のできる形で私どもも賛成したい。ところが今のような形ではなかなか賛成しにくいことになる、その点いか、がですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/77
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078・粟澤一男
○粟澤政府委員 ただいまの御意見まことに私どももそういう懸念を多分に持つておりますが、しかし実際現在ここにお立会いいただきました大蔵省の係官も、この法案が現在審議中であるということを前提にしておいての御意見であろうと思います。私どもといたしましては、こういう債務保証をすることができるという条文をかりにお通しいただければ、将来の大蔵省に対する折衝につきましては、十分理由を備えて御説明すれば、あるいはお通しいただけるかもしれない。しかもその際、この法律としてはできる道を開いていただいておるということが非常な強みではないか、その点はそういうように考えます。
それから前例としましても、造船の金融機関に対する損失補償の問題がございました。これも非常にもめましたが、結局最後にやはりある限度をきめまして、政府が補償するというところにやつとおちついたと聞いております。これもやはり回数を重ね、誠意を尽して説明をし折衝をすれば、大蔵省も納得してくれる例もあるという一つの例になるのではないかと思います。従いまして今回のやつかくの御修正がいただければ、とにかく道が開けて、私どもはこれに対してできるだけ努力をして、そのうちに大蔵省の方を説得して行くだけの目標は与えられるのじやないかと思います。従いましてこの点が別に憲法違反とか、あるいは現在の財政法上、たとい法律を改正してもできないのだということでなければ、私どもとしてはやつていただければ非常にありがたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/78
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079・川島金次
○川島(金)委員 道ができたと理解することが、むしろ逆な結果になりはせぬかという心配があればこそ、私は申し上げている。折衝過程でできない。大蔵省は首を横に振つてしまつた。そうして議員立法で出して来た。それで強引にやつてしまつた。それが大蔵省に対する強引な抵抗ということに実際はなるのだ。そうして大蔵省がああそうですかという気持のいい立場に立つているとは、常識のある人間が考えて想像できるものではない。むしろ逆 だ。気の強い關谷君のような人がかりに大蔵省におつたら、逆になつてしまう。そこが人情なのです。だから私の言つているのは、せつかく修正案を出すなら、もつと当局同士で折衝し、そうして今となつては大蔵省が出すのがぐあいが悪いからというので、議員立法で出て来るならば何とかしようということで、話合いができて出されるのが一番好ましい。与党と政府なのだ。野党と政府じやないのだから、どうにでも話合いがつく。話合いがついて、われわれに心配かけぬように、この議案に参画できるという形をとらなければうそだ。これは闘谷さんだつて反対できない。そういうことで私は非常に不安なのだ。それだからこそこれは慎重に、いろいろな面から審議する必要があると私は昨日から皆さんに申し上げている次第なのです。これ以上は議論になりますし、議論をいたしますとわれわれ時間がかかりますからやめますが、そういう事柄をもわれわれが心配しているのだということを、提案者である關谷君もどうぞ十分に御認識あらんことを私は特に希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/79
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080・關内正一
○關内委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
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081・關内正一
○關内委員長 川島君より国鉄職員の兼職問題に関し、質疑の通告があります。これを許します。川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/81
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082・川島金次
○川島(金)委員 実はこれは時間的に急ぎまする問題でありますので、まことに時間をつぶして恐縮なのでありますが、自治庁の方が見えておりますので、一言だけ私に質問の時間をお許しを願います。と申しまするのは、埼玉県の熊谷市に選挙無効事件が発生いたの他を盛り込むという手続は必要と存じます。先ほどから私の言葉が少し足りませんで、誤解があつたかと思いますが、今回の法案は、大蔵省にはただいま問題になつておるような条文を入れたもので協議をいたしておりません。私が先ほど申し上げました大蔵省と協議を——原案に入つておるというのは、前国会に出しました案の原案であります。従いまして今回の法案はこういう条文を入れて大蔵省には折衝しておりません。その点ちよつと追加しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/82
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083・川島金次
○川島(金)委員 いずれにいたしましても、今あなたのお聞きの通り、大蔵省の主計局の関係官の説明によれば、これくこういう理由で好ましからずという見解のもとに、こういう話がかつてあつたけれども、反対したと聞いておるということを言明されておるのです。ですから、いやでもそういう見解であればこそ、係の方がこの席上で言明されたのだと、こう私は理解をしている。従つて大蔵省の見解は今でもかわりない。この原案直接の交渉過程における問題でなくても、そり前であつてもあとであつても、現実の見解は同じなんです。その見解か同じだとすれば、繰返して申し上げてしつこいようですが、この問題はどうしても大蔵省の予算的措置を必要とする、あるいはまた大蔵大臣の承認が必要である。そうなつて来ると大蔵大臣は、今の見解が引続く限り、この問題に関する限りはやすやすとは賛成ができない、こういうことになる。現実の問題として起るのです、政治というものは……。法律にはできると書いてあるが、できるというだけで、別に大蔵大臣を拘束しておらぬ。政府も拘束しているわけではない。こういうことになると、やはりその問題が具体的に議会に乗つて来ない。来なければやはり実行できないということになる。一般法律案というものは、各省とも異議なく閣議で決定されて、それが容易にできるという見通しをつけた具体的な根拠のもとに立つて出されなければならぬ。この事柄が折衝の間に手落ちで抜けておつて、あとで出したというならばわかる。ところがすでに折衝された。折衝されたから大蔵省の反対があつた。大蔵省の反対がある以上は、これを押し切つて閣議へ出して来た以上、大蔵大臣は反対せざるを得ない。反対せられるであろうと思つた航空当局は、これを削除して持つて来た。削除して持つて来たところ与党の方が、親心子心に通じたのかもしれません。いずれにしても助け舟の形でこの修正案が出て来た。修正案はよい。われわれが内閣をとつたときもそういうことかあるかもしれない。しかしそのせつかくの助け舟も、現実においてそれが実現できないような形であつては何にもならない。いやしくも与党と政府の間柄の問題である。与党がこの修正案を出したというならば、そのりくつは成り立たない。筋道は成り立たない。少くとも議会政治であり、政党政治であつて、今の内閣と与党とは一緒なんである。その一緒であるべき筋合いのものが、その与党を代表した責任閣僚である大蔵大臣は反対であつて、与党の議員だけが議員の立場で自由にこれをやられた。そうすると、現実にはむずかしいことになるのです。いかに關谷さん岡田さんが蘊蓄を傾けて説明されても、なかなか現実はそういかぬです。少くとも政府と与党なんだから、相当に折衝をされて来て、法律が空文に終らないような見通しと確信のもとにおいて、この修正案われわれに突きつけて来るようらば何をか言わんやです。ところがそういう見通しもないのに、ただこうやつておいたならば大蔵大臣を縛れるではないかということは、現実の政治の上においては通用しない。野党がさかねじ的に、レジスタンス的にこういう案を出すのならば、それはできるかもしれない。しかし現実の面においては少くとも与党と政府なんですから、その間の意見が調整されて、そうして固まつた法案を出すということか、一番好ましい形である。そうでないから今のような意見が出てしまう。そうすると、せつかくの親心子心の状態において修正案を出して来ても、現実には通用しないことになる。われわれせつかくの修正案ですから、この法案の審議に当ろうとしているわけです。だから納得のできる形で私どもも賛成したい。ところが今のような形ではなかなか賛成しにくいことになる、その点いか、がですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/83
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084・粟澤一男
○粟澤政府委員 ただいまの御意見まことに私どももそういう懸念を多分に持つておりますが、しかし実際現在ここにお立会いいただきました大蔵省の係官も、この法案が現在審議中であるということを前提にしておいての御意見であろうと思います。私どもといたしましては、こういう債務保証をすることができるという条文をかりにお通しいただければ、将来の大蔵省に対する折衝につきましては、十分理由を備えて御説明すれば、あるいはお通しいただけるかもしれない。しかもその際、この法律としてはできる道を開いていただいておるということが非常な強みではないか、その点はそういうように考えます。
それから前例としましても、造船の金融機関に対する損失補償の問題がございました。これも非常にもめましたが、結局最後にやはりある限度をきめまして、政府が補償するというところにやつとおちついたと聞いております。これもやはり回数を重ね、誠意を尽して説明をし折衝をすれば、大蔵省も納得してくれる例もあるという一つの例になるのではないかと思います。従いまして今回のやつかくの御修正がいただければ、とにかく道が開けて、私どもはこれに対してできるだけ努力をして、そのうちに大蔵省の方を説得して行くだけの目標は与えられるのじやないかと思います。従いましてこの点が別に憲法違反とか、あるいは現在の財政法上、たとい法律を改正してもできないのだということでなければ、私どもとしてはやつていただければ非常にありがたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/84
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085・川島金次
○川島(金)委員 道ができたと理解することが、むしろ逆な結果になりはせぬかという心配があればこそ、私は申し上げている。折衝過程でできない。大蔵省は首を横に振つてしまつた。そうして議員立法で出して来た。それで強引にやつてしまつた。それが大蔵省に対する強引な抵抗ということに実際はなるのだ。そうして大蔵省がああそうですかという気持のいい立場に立つているとは、常識のある人間が考えて想像できるものではない。むしろ逆 だ。気の強い關谷君のような人がかりに大蔵省におつたら、逆になつてしまう。そこが人情なのです。だから私の言つているのは、せつかく修正案を出すなら、もつと当局同士で折衝し、そうして今となつては大蔵省が出すのがぐあいが悪いからというので、議員立法で出て来るならば何とかしようということで、話合いができて出されるのが一番好ましい。与党と政府なのだ。野党と政府じやないのだから、どうにでも話合いがつく。話合いがついて、われわれに心配かけぬように、この議案に参画できるという形をとらなければうそだ。これは闘谷さんだつて反対できない。そういうことで私は非常に不安なのだ。それだからこそこれは慎重に、いろいろな面から審議する必要があると私は昨日から皆さんに申し上げている次第なのです。これ以上は議論になりますし、議論をいたしますとわれわれ時間がかかりますからやめますが、そういう事柄をもわれわれが心配しているのだということを、提案者である關谷君もどうぞ十分に御認識あらんことを私は特に希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/85
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086・關内正一
○關内委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/86
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087・關内正一
○關内委員長 川島君より国鉄職員の兼職問題に関し、質疑の通告があります。これを許します。川島金次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/87
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088・川島金次
○川島(金)委員 実はこれは時間的に急ぎまする問題でありますので、まことに時間をつぶして恐縮なのでありますが、自治庁の方が見えておりますので、一言だけ私に質問の時間をお許しを願います。と申しまするのは、埼玉県の熊谷市に選挙無効事件が発生いたしまして、その結果遂に熊谷市の市会議員の一部選挙やり直しという形になつて参りまして、来月早々その選挙が行われることになつたわけであります。そこでその一部選挙のやり直しに関連いたしまして、先般まで在職しておりました熊谷市の国鉄職員にして市会議員を兼職きれておつた者が、今度の選挙のやり直しによつては兼職の可能性がなく、手取早く申し上げれば兼職は不可能であるという建前で、自治庁は強硬な見解を持つておるそうであります。ところがこれに対しまして国鉄側では、また本人は選挙のやり直し以前に立候補し、当選をして現に兼職しておる。公務員を兼ねておる。その公務員を兼ねておる現在の認められておるところの市会議員が、しかも選挙に違法があつて選挙をやり直した。やし直しするのですから、新しい選挙ではないのであるから、従つて国鉄法に基くところの兼職禁止の規定には該当しないのだ、従つて自分が立候補し、また国鉄の労組側がこれを立候補せしめて、当選のあかつきには当然に従来通り兼職が可能である、こういう建前をとりまして、自治庁と選挙管理委員会、国鉄側と三つ巴になつて、主張がそれぞれ異なつて問題になつておる。問題になつておりながら、すでに八月の初旬の選挙日は刻々と切迫しておるというような事柄が起つておることは、すでに自治庁も御承知のことと思うのでありますが、この問題に関して自治庁はいかなる確固たる見解を持たれておるか、その見解をこの機会に明瞭に私に聞かせてもらいたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/88
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089・金丸三郎
○金丸政府委員 運輸省で私どもと違つた考えを持つておられますということは、ただいま伺いました。実は先般埼玉県から私どもの方に照会がございましたので、いろいろと検討いたしまして、ただいま川島委員の仰せになりましたような解釈をとりますことは、実際現に市会議員になつておいでになる方に対しましては、はなはだお気の毒なことだということは市々考えるのでございます。ただ何と申しましても、昭和二十六年に改正になりました附則の第二項を読みますと、この法律が施行になりました際に、国鉄の職員であつて、かつこの法律の施行の際、昭和二十三年の三月十日からあとに行われた選挙によつて現に市会議員になつておらなければならない、そういう人だけは任期中市会議員の兼職はできる、こういうことになつておるのでございます。一部無効の選挙の結果、昭和二十六年の四月にさかのぼつて、御承知のように市会議員の職が失われる結果になりますので、今回再選挙を行います際には、すでに国鉄職員であつて、かつ市会議員を兼ねておるというふうには、どうしても法文上解釈ができないのでございます。私どもの方としましては、非常にそのお方に対してはお気の毒に存じますけれども、現行法の附則の第二項の解釈上、私どもといたしましてはそのような結論に達しまして、その旨を埼玉県に伝えたのでございます。先般熊谷市で再選挙のいろいろな手続について、こまかい点を話に来てくれというので事務官を差向けましたけれども、私どもの方でもいろいろと研究をいたしました結果の結論でございますので、その通り答弁をして帰つて来たのであろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/89
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090・川島金次
○川島(金)委員 どうも私は法律のことにつきましてはまるつきりのしろうとでありますが、国鉄法の附則におきましても、あの精神は一次の新たなる選挙以後においては兼職は不可能である、こういうふうに常識的に大ざつぱに私どもは理解して来たつもりであります。しかも熊谷における国鉄職員の場合においては、昭和二十六年五月十日以前の選挙において立候補して当選した、しかも兼職を認められた範囲に入つておるところの職員です。ところ選挙はたまたま一部無効ということになつて、やり直しということになつた。しかもそのやり直しならば、その無効の上に立つて出て来た議員の議決にも、重大な問題が起るわけだ。ところが議決の問題につきましては、それはさしつかえない、さしつかえないというにかかわらず、議員だけは新しく無効な立場になつておることは、少し矛盾ではないか。そういう立場でない議員が、引続き無効選挙によつてやり直しをして出るということは、その議決が有効であつたと同様に、これは引続き選挙が行われた、つまり以前の選挙のやり直しであつて、別に次期における新しい選挙という意味ではない。しかもこの一部やり直しの選挙によつて当選する議員の任期は、従前と同じように再来年まであるという形のものであります。この選挙によつて新たに四年継続するというのであれば、これは問題があろうと思いますが、そうではないので、これは改選の結果出て来ましても、依然として任期は再来年まで、しかも今の国鉄職員である何がしという議員は、当然以前の選挙にあるべき資格に基いて行われた選挙なんで、新しい資格を獲得する立場に立つての立候補者ではないじやないか。こういう意味合いからいいまして、これは別に国鉄法の附則に該当するところの、その次の新しい選挙によつて選ばれる議員ではない。当然に前の選挙に引続き資格を持つた議員であり、資格を持つた国鉄職員である。それがたまたまもし改選によつて当選すれば、依然として元の選挙によつて当選したと同じ形において任期が継続するものである。落選すれば別でありますが、当選した場合はそういう形になるのでにないか、あの国鉄法の附則を問題にするときには私も若干関係があつたのですが、次の新しい選挙もしくはわれわれの理解する純然たる補欠選挙、こういつた選挙によつて選出された議員には、国鉄職員は兼職ができない。しかしそれ以外の場合における議員の選挙であれば、それは兼職が可能であるという理解のもとに、私どもはあの問題に携わつたつもりでありますが、どうも自治庁の見解は、非常に法文にとらわれ過ぎて、実態に即応するというお考えが少いように私は考える。法律は法文だけでこれをしやくし定規にはかるべきものではなくて、実態にも適合した形で法というものを運用するところに、法の適用精神の大切なところがあると私は思う。その点について、どうも私はしろうとでありますから、私の議論は成り立たぬかもしれませんけれども、私にはそういうふうに考えられる。どうも実態に適合しておらぬと私は解釈するのだが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/90
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091・金丸三郎
○金丸政府委員 私は御趣旨や実情はまつたく川島委員のおつしやる通りであると存じます。ただ選挙が無効になりましても、訴訟の結果、無効という判決が確定するまでは、議員は職を失わないという規定か地方自治法にございます。その関係で、確定するまでは市会議員として議事に参与することもできますし、従いまして議決も効力を失わないということになるわけでございますが、選挙が無効になると、やはりさかのぼつて、その意味におきまする身分はなくなるというのが、選挙の無効と申しましようか、すべての選挙を通じまして私どもが従来解釈して来ているところでございます、この附則の第二項をそういうふうな趣旨で読め、読んで読めないことはないじやないかというお説であると思いますが、あるいはそのように読んで読めないこともないのかもわかりませんけれども、私ども流の従来の選挙の考えでこの規定を読みますと、どういたしましても、この法律施行の際には、正式に市会議員として当選をして来て議員になつている方にだけ適用があつて、さかのぼつて選挙が無効になりますと、この規定には当てはまらない。そういう点がどうも実情を無視した解釈じやないかとおつしやればその通りかもわかりませんけれども、私どもの従来の一部選挙の無効の理論から考えまして、そのように解釈せざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/91
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092・川島金次
○川島(金)委員 どうもあの規定から言つても、現に職にある者はこの限りにあらずとして、兼職を認めている。しかも任期は大体全国同一であつて、再来年まで四年間認めている。その四年間の中において、現に公務員の職にあつた者としてその兼職を認めた。それがたまたまいちび選挙の無効によつて、やり直しをしなければならないような事態になつて来た。そこでその人が現に職員であり、現に公務員であつたことは認められておる、またそれを認めようというのが、あの当時における政治的の情勢の中において生れた附則なのであります。現在の者だけは認めて行こう、しかもその次の総選挙までは認めて行こう、従つて補欠選挙もしくは次の新しい選挙以外では、現職の兼職というものは認めて行こうという政治的な解釈で、あの附則はでき上つた、こういうふうに私は思う。そういうことにして、初めて実際の問題と法の適用とが、そこでうまく適合するのではないかというふうに、私は常識的に判断をしているのですが、自治庁の理解によると、そこにどうも大分食い違いがあります。しかしこの問題について、私は論争しようとするのではなくて 一応参考のために、自治庁側からわれわれの納得できる明快な説明を聞きたいという立場でお尋ねをしているのでありまして、この問題の論争はいろいろあると思いますが、しかしそれをここでやることはあまり好ましいことではないと思いますし、いずれ他の法務委員会その他がありましようから、そこでこの問題は徹底的に論議をしてみる必要があるのではないかと私は思つておりますので、いずれかの委員会にこれは譲りたいと思います。これ以上申し上げることは、時間もないし、皆さんに迷惑をかけますので、私の質疑はこれで打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/92
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093・關谷勝利
○關谷委員長 これにて散会いたします。
午後一時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X01919530718/93
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