1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十一日(火曜日)
午後二時四分開議
出席委員
委員長代理理事 關谷 勝利君
理事 岡田 五郎君 理事 楯 兼次郎君
理事 川島 金次君 理事 鈴木 仙八君
岡本 忠雄君 高橋圓三郎君
徳安 實藏君 南條 徳男君
山崎 岩男君 臼井 莊一君
岡部 得三君 正木 清君
山口丈太郎君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 石井光次郎君
出席政府委員
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 植田 純一君
委員外の出席者
専 門 員 岩村 勝君
専 門 員 堤 正威君
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七月二十一日
委員三和精一君、持永義夫君及び山中貞則君辞
任につき、その補欠として木村俊夫君、南條徳
男君及び青木正君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員青木正君辞任につき、その補欠として戸塚
九一郎君が議長の指名で委員に選任された。
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七月二十一日
港湾運送事業法の一部を改正する法律案(岡本
忠雄君外七名提出、衆法第三三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二二七号)
港湾整備促進法案(内閣提出第一六三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/0
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001・關谷勝利
○關谷委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が不在でありまするので、理事の私が委員長の職務を行います。
港湾整備促進法案を議題とし、まず政府より提案理由の説明を求めます。運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/1
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002・石井光次郎
○石井国務大臣 ただいまから港湾整備促進法案の提案理由について御説明し上げます。港湾は大まかに見て、船舶に対する施設と船積貨物に対する施設の二つに区分することができます。船舶に対する施設としては、防波堤、泊地、岸壁、物揚場等がありますが、これらは公共事業費により逐年整備されて来ております。これに対して貨物に対する施設である上屋、荷役機械等は、公共事業費の対象とならず、その整備が放置されておるのであります。上屋、荷役機械等は戦後一時公共事業費の対象とされたことがあり、そのときは整備が進んだのでありますが、その後収益性があるというゆえをもつて公共事業費が打切られてからは、何らの施設が講ぜられずに今日に至つております。
言うまでもなく港湾は、船舶に対する施設と船積貨物に対する施設とが並行的に整備されて、初めて港湾としての機能を十分に発揮できるのでありまして、上屋、荷役機械等は港湾の機能をつかさどるかぎであります。港湾において船舶の稼働率を高め、港湾諸掛を軽減することは、上屋、荷役機械の整備によつて初めて可能になるのであります。
さらに上屋、荷役機械と並んで港湾が直面している重要な問題として、港湾用地がございます。日本においては地理的条件から、港湾周辺に工場をつ持つことが有利でありまして、現に日本工業の約八〇%は港湾に集中しているのであります。しかるに現在港湾周辺には、利用し得る土地はほとんど残されておらず、土地を求めるとすれば、海面の埋立てによつて造成する以外はないのでありますが、土地の造成についても何らの施策がなされていない状況であります。上屋、荷役機械、港湾用地等の整備は、公共事業費の対象となつていない現在では、港湾管理者の責任となるわけでありますが、港湾管理者の財政状態では、とうていその責任を全うすることができない状況であります。このため上屋、荷役機械、港湾用地の整備を促進するためには、国庫から港湾管理者に財政資金を融通して、その費用に充てしめる以外はないのであります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/2
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003・關谷勝利
○關谷委員長代理 本案に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/3
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004・關谷勝利
○關谷委員長代理 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。徳安實臓君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/4
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005・徳安實藏
○徳安委員 大臣はお急ぎのようでありますから、逐条的でなしに、大臣に特にお聞きしたい点を申し上げて質疑を行いたいと思いますが、まず第一に伺いたいことは、四十四条の第二項の問題でありますが、勤労意欲を高揚するために必要な箇条であるかのごとくには考えますけれども、一面においてこの条項があるために、将来労使の間に紛擾を起しやすい種をまくのではないかということを懸念されておるようでありますが、こうした点に対しまして運輸大臣の御所見を伺うことができればけつこうだと思います。すなわち能率の向上による収入増加であるとか、経費の節減による利益、こういうものを臨時特別の給与としてやることができるという条項でありますが、この労使間におきましては、お互いに理解し合つて協力し合いますならば、紛争は避け得られると思います。しかるに最近の傾向を見ますと、労働者の方は経営者側の利益の多い少いというようなことはまつたく度外視して、そうして要求をするような場合があり、何かそこにきつかけがありますと、そのきつかけが紛争の原因になる場合があるのでありまして、こういう条項を置きますことは、むしろ労使双方間に将来の紛糾あるいは争議を刺激せしめる原因をこしらえるのではないかということを憂えている方も相当あるようであります。この点についての大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/5
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006・石井光次郎
○石井国務大臣 これはその規定の示す通りでありまして、収入が予想以上上つた場合、経費を予定よりも節減した場合には、特別の給与、賞与と申しますか、給与することができるというのであります。今まで国鉄の規定は、すべて予算にはつきり縛られておりまして、あらゆる給料も賞与も、それ以上には出ないことになつておるのでありまするが、従つてそれにはどんなに働いても、またどんなに節約をしても、そのことが特別の場合には臨時的な賞与が出ることがあるかもしれませんが、全般の人に対しまして、全体で上げた収益あるいは支出減というものに対しての報いる方法がなかつたのでありますので、こういう規定を設けますれば、おのずからみんな励みになつて、むだづかいもしないということになり、そうして収益を上げることにも、あらゆる努力をみんながそろつてするということで、より能率増進の上に非常に力を与えることになるのではないか。ただいまお話のような点も逆に考えてみますと、まことに今日のいろいろな情勢から見ると、かえつて問題を引起すのではないかという御心配もごもつともでありまするが、私はみんなが一生懸命この仕事を能率的にやつて行くということに努力したために、それによつて出たものは、多少にかかわらずみんなに何とか給与するという方が、この仕事が役所仕事らしくなく、能率的と申しますかビジネス的な経営の方向に進んで行つていいのではないか、そういう意思で私は賛成したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/6
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007・徳安實藏
○徳安委員 御趣旨はこの条文でもよくわかりますし、今の大臣の説明でよくわかりますが、この能率の向上による収入の増加と申しましても、あるいは経費を予定より節減したと申しましても、おのずから経営者側の見るところと、あるいは使われている組合、従業員の方から見る場合と、異なるものが生じて、そこに一つの争いの起きる原因が生ずるのではなかろうかということを、非常に憂えるのであります。一升ますで、一升、二升とはかるようなぐあいに、たれが見ても、これだけの節約ができるというような、はつきりわかる状態でありますといいのでございますが、おそらくあの複雑した国家の経理面において、その両方が納得の行くような、両方が一致する基礎に基いてのはつきりとした剰余金がわかるはずはないと思う。かりに節約の面にいたしましても、石炭のことにしても、あるいは仕事の能率上におきましても、やはり第三者から見る場合には、これは当然の節減で、特別に国鉄が最大の努力を払つたと思われないようなことでも、あるいは国鉄ではこれは節減したものだと言うかもしれません。しかし一般国民から見れば、これは当然経営者としてやるべきことで、別に賞与をあげるほどの節減でもないではないか、そういうふうに見る場合もあるのではないか、そういうぐあいに国鉄の従業員と経営者との間に多少の逕庭があり、さらに組合と経営者側との間にそうした点において金額の見積り、あるいは根本観念において相違を来すような場合においては、お互いに気まずい紛争を、これがもとになつて続けることがあるのではないか。ですから、この文字は非常に抽象的のように考えますので、もしもつと明確に、はかりではかつて当てられるようなものがはつきり出ていれば、問題はないと思いますが、この文字はあまりにも抽象的ではないかと考えるのですが、いかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/7
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008・植田純一
○植田政府委員 確かにそういう点につきましは、いろいろと運用上非常に不備な点はあろうかと思いますが、ただいま大臣が申されましたような趣旨におきまして、能率の向上のため、運用を十分慎重にやつて行きたい、かように考えているわけであります。なお国鉄当局と組合と申しますか、それだけでこれがきまるのではございませんで、運輸大臣の認可ということ、またこの予算の定めるところによりということで大蔵大臣とも協議をいたしまして、給与を支給するということになつておりますので、この点は十分慎重を期して行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/8
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009・徳安實藏
○徳安委員 これ以上この問題については質疑をいたしませんが、将来むしろ国鉄と運輸省との間においてすらも、見解の相違が生ずる場合もあるのではないかと想像される点があるように思います。その運用にあたつては、そうした紛議を起さないように、国民も納得し、あるいは鉄道のいう利益と称するものが、運輸大臣もこれを納得して了承できるような、一つのわくと申しますか、はつきりしたものを定められて、あまり将来に禍根を残さないように考えることが望ましいと思います。こういう点について十分御配慮を願いたい。
それからこの条項に関連いたしまして、特に一言大臣の御所見を伺いたいと思いますが、国鉄と運輸省の関係であります。私どもが聞きますと、これはひとり国鉄ばかりではないようであります。役所から離れてこういう組織になつたものには、元の役所におられた諸君の給料と出た方々、国鉄で申しますと、運輸省におる人々と、運輸省から出て国鉄に行つた人たちの給料が、不均衡だということであります。同じ大学を出て、同じに勤めて、同じく本省で、一方は運輸省に残り、一方は国鉄に入られた。そうすると、国鉄に入られた方が給料が高いということを聞いてもおりますし、事実見てもおるのでありますが、ひとつ適当な例がございましたならば、お示し願いたいと思うのであります。これは恩給についても、退職した場合には今もらつている給料が基礎になつて恩給がきまりますから、同じ大学を出て、一緒に運輸省に入つて、一方は運輸省、一方は国鉄に行つたということになりますと、二十年、三十年もおつてやめた場合には、給料が安いばかりでなく、恩給にも非常な差があるということで、おそらく運輸省の方々は、あげて国鉄に転出されることを希望するという傾向があるということを聞いているのであります。これは給与の面と非常に関連した問題でありますから、ひとつそういう顕著な例をお聞かせ願えればけつこうだと思います。ただいまなければ、あとでけつこうであります。
〔關谷委員長代理退席、岡本委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/9
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010・石井光次郎
○石井国務大臣 片一方は官吏であります。片一方は公共企業体の仕事に従事するものであります。どちらかと申しますと、国鉄におる人たちの方が役人よりは給与がいいだろうと思いますが、これは国鉄はいつも民磯の事業というものも片一方に振り返り、また官吏の面も振り返るというような状態で給与がいつもきめられるので、そのたびごとにいつも国鉄の従業員諸君が不平を持つて、私どもにいろいろ陳情されることがあるのであります。もつともだと思う場合もあるのでありますが、なかなかそうも行かない場合もたくさんあるのであります。大体におきまして国鉄の方が、今のお話のようにいいだろうと思います。しかしどのくらいな、どういう極端な例があるか、私もそういう材料を持つておりませんが、何とか調べましていずれお知らせしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/10
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011・徳安實藏
○徳安委員 私の聞いておりますところでは、非常に大きな差があるのであります。そこで運輸省の有用の材は、機会さえあればあげて国鉄の方に走ろうということで、一生懸命になつておるということでありまして、おそらく運輸大臣のもとには弱卒ばかり残つて、国鉄総裁のもとに勇将が走つてしまう結果になつては、とんでもないことです。むしろ運輸省が優位な立場にあつて指揮監督せねばならぬ。従つてりつぱな人材をうんと集めなければならぬところが、人事の交流なんということで、運輸省に行くよりは、年限を限つて、一年だけ、二年だけ何したならば、必ず国鉄に帰すというような条件付で帰つて行く。また帰るのをしびれを切らして待つておるというような状態であるということを聞くときに、この点はほかにも例のあることで、ひとり国鉄と運輸省だけの関係だけではございませんけれども、日本の全体としての立場から、役所というものとああした公社という立場から考えまして、何らかひとつ考えなければいけないのじやないかというように考えるのであります。それで今後国鉄に入つて来る者、運輸省に新たに入つて来る者、新たに入つて来る者は、おのおの承知の上で入つて来るのだからいいと思うのですが、そうではなくして、役所の都合でお前は国鉄に行け、お前は運輸省に残れといつて、かつて運輸省に一緒に手をつないで入つた諸君が右、左にわかれた場合に、運輸省に残つておる方々は、国鉄に出ている諸君と何らか差がある。昔は勲章でももらえばそれを多少誇りにして、給料が安くても勲章がもらえるからということでありましたが、今はそうしたようなこともないようであります。大した誇りもないようでありますから、身の不運をかこちながら運輸省におるというような状態であることを聞いておりますが、運輸大臣は何か親心でこれを救済してやる方法はないでしようか、ひとつ御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/11
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012・石井光次郎
○石井国務大臣 私は運輸省に約一年近くおる間に、まだ国鉄の方に移つたり、また国鉄から私の方に今お話のような臨時的な気持で入れかえをした例はないのであります。若いところにあるかしれませんが、謀長くらいから上にはなかつたように思うのであります。いずれにいたしましても今お話のように、昔の役人と違いまして今日の役人は、何らの恩典という恩典は特にないのでございます。はなはだ報いること浅く、求めること多いのでいつも恐縮はしておりまするが、今の運輸省の陣営は、決して御心配になるような貧弱な陣営と私思つておりません。今ので十分運輸省の仕事はやつて行き、その他国鉄を監督することもできておるのだと存じております。なかなか至らぬところも多いと思うのでありますが、皆そうやつて気持よく仕事をしてもらつておりますが、さらばそれに対してどういう待遇をするかということは、役人というものは残念と申していいかどうか知りませんが、全体としてどこの役所もみな一体の取扱いしか受けない。給与はまことに低いのであります。特別の待遇ができないのがはなはだ申訳ないのでありますが、あまり働かして済まないので、背中一つたたいて御苦労さんと言うのが、精一ぱいこれに報いるくらいでまことに恐縮いたしておりますが、仕事の上においては御心配ないくらいにやつているものだと私は存じております。今後もこの人たちの心持は、運輸省の仕事の重要性を考えてしつかりやつてくれるだろう。一日も早く国鉄に移りたいとか、給与のためにどうといつてうずうずしておるようなことはないと私は思つておりますが、少し甘い見方かしれませんが、そういうことはないように思つております。幸いにみな一生懸命やつておりますから、その点は御安心をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/12
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013・徳安實藏
○徳安委員 そうした不平、不満は大臣の耳に入らぬというお話でございますが、ほんとうにそうだとすればけつしうなことでございます。しかしおやしこわさに入らないのであるとすれば、あるいは裏の方で不平があちらこちらから出るかもしれませんが、これは国鉄と運輸省だけの問題でありませんで、他にもやはりこうした関連のある役所と公社があるのでありますから、政府としまして、国務大臣として、将来の一つの研究課題としてお考えおきを願いたい、かように考えるのであります。私どものしばしば見聞するところによれば、必ずしも今大臣のお話になつたようではない。国鉄に帰ることを相当に希望され、あるいは国鉄から運輸省の方にでもかわらぬかといえば、びくびくしておる状態だというようなこともしばしば聞いておりますが、しかし人事の面において、そうした交流は絶対にしないのだということであれば別問題でありますけれども、私は交流は今後においても多少される必要があり、過去においてもあつたように思います。どういう規定によつて交流されるか知りませんが、おそらく将来においても運輸省の方が国鉄の方の部長になり、課長になり、あるいは局長になる場合があると思います。理事になつた方が帰つて来ることはないと思いますが、理事以下の人であれば今後ある場合があるのではないでしようか。かりに一例をあげていいますと、あの細田さんのごときも——利は和圧さんから匿いたことはありませんが、何だか期限を切つて頼むから行つてくれということで行つたとかどうとかいう話もありますが、私は本人から聞いたわけではありませんが、一年とか二年とかうわさも聞いております。そういう例もあるのではないかと思います。でありますから、そういう点については気持よく働けるように、私は私して国鉄の今の給与が高いから、それを低めて運輸省の方を高くしろというのではありません。国鉄の方も決して高いとは考えておりません。しかし同じ一つの腹から出た国鉄の従業員と、それから運輸省の職員とが、あまりにも同期生で、しかも同じ勤めをしておる者が、結果においてはたいへんな給料の差があり、恩給に差があるというようなことも考えてみると、やはり一応将来考えておかなければならぬことではなかろうか、かように考えまして大臣に質問したわけであります。どうか国務大臣として今後ひとつ御研究を願いたいと思います。
次にこれはあまり芳ばしい話ではございませんが、国鉄総裁に聞いた方がいいかと思いますが、大臣がおられますから大臣にちよつと聞きたいと思います。
先回の参議院議員の選挙のときに、さすがは運輸省の方は私どもから見ましても、別に非難されるようなことはなかつたように思いますけれども、国鉄の現場の方におきましては、ほとんど顰蹙するに量るいろいろな問題が起ぎたようであります。あるいは先輩を思うのあまり、行き過ぎ等のことがありましても、多少のことは勢情のほどばしるところやむを得ないと思いますが、職権を濫用して打明けて申しますならば配車をしてやるとか、あるいはまたトンネルをつけてやるとか、あるいは用地を貸してやるとか、あるいは票の出ぐあいによつてやるとか、あるいは留置料を勘案してやるとかいうようなうわさが、相当巷間に伝わつております。おそらくこれは大臣のお耳にも入つておると思いますが、選挙前後を通じまして、本庁内においても、ある課のごときはほとんどあげて出張しておつたというようなことも、当時新聞に出ておりましたし、また私どもが地方の方を歩きますと、現場の方々が職を利用して選挙運動を相当になさている形跡があるようでありますが、これは私どもあまり行き過ぎではなかろうか。先輩を思い、後輩が先輩を援助する意味において、多少の行き過ぎがあつても、これはやむを得ぬかと思いますが、票の出ぐあいによつて、配車をしてやるとか、トンネルをつけてやるとか、用地を貸してやるとか、あるいは留置料を負けてやるとかいうようなことを、地元の責任者等に打明けられたようなことが——これは違反として出ているわけではございません。大部分が表面に現われておるわけではございませんけれども、国鉄の今度の行き方は、全般的に行き過ぎをしておるのではなかろうか。それがために綱紀が弛緩するのではないかと私ども憂えるのでありますが、運輸大臣はこれに対して国鉄の方から何か報告でも受けられたか、あるいは心配のあまり警告でも発せられたか。あるいは今後さようなことのないように御注意でもなさつたような事実がありましようか、ひとつお聞かせ願いたい。この点については、なぜこれが問題にならないのだろうかということを、ふしぎがつておる人々が多いようである。私どもも同じ選挙をしたものでありますから、選挙というものをよく知つております。それと同時に私どもにも違反が起きております。私どもはこれは決していいこととは思つておらぬ、ほんとうに申訳ないと思つておりますから、そういうことがないように今後進めなければならぬと思つております。しかしながら単なる金をちよつとやつて買収したという問題よりかも、一つの国の職権を濫用して票を獲得するというような行き方が、全般的に公に行われたとするならば、この問題はただ百円や二百円で一票を買収したという、多くの買収事犯と同日に論ずべきではないと思う。こういう点につきましては、私どもは過去は問いませんけれども、将来においては、国鉄の当局は十分戒心をして、そういうことがないようにしていただくことが必要ではなかろうか。さらに私は最近もそうした例を聞きましたのでただしたのでありますが、そういう約束をしなかつたと言つてほおかむりをしているところもあります。従つてほおかむりをしている者とこれを責める者との間に、民間側と局との間において、摩擦の生ずることは明らかであると思います。また施設費等につきましても、そうした面が今後利用せられる憂いがあると思います。これらにつきましても十二分の監督をしていただくと同時に、適正な予算の執行をしていただかなければならぬと思いますが、ひとつ運輸大臣のこれに対する御所見を承れれば非常に仕合せだと思います。
〔岡本委員長代理退席「川島(金)
委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/13
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014・石井光次郎
○石井国務大臣 この問題はまことに私どもの心痛いたしておる問題でございましていろいろな話が出まして、国鉄総裁にもこの問題についての善処方を要望いたしておるのでございます。訴追にまで進展したのがたくさんありまして、それがまだ終了前というよりは、まだ調べの途中にあるような状態でありますので、それについて急にどうということはできないで、様子を見ておるような形でございます。但し仕事の上に影響を及ぼしてはならないので、現実にその人が仕事をとれないような立場に置かれておる場合には、人を入れかえてその職に当らせておるというわけで、仕事の上では現にやらせておりますが、責任問題と関連いたしまして、どういうふうに扱うかという最終的なところまで至つておらないのは、まだ訴追が一段落していないものもあるからでございます。これにつきましては、今までの経過等はときどき私どもは報告は承つておりますが、詳しいことはいずれまた国鉄の責任からお答えいたすと思いますが、国鉄の方でも恐縮いたしております。私どもといたしましては、監督者の立場上、将来そういうことのないように十分の注意をするように、総裁まで申し伝えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/14
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015・徳安實藏
○徳安委員 事犯としてすでに検挙されておる者に対する責任の所在は、裁判ではつきりするのであります。私どもはそれをあれこれするわけではありません。それはそれにまかせればけつこうだと思います。ただそういう表面にまだ現われていない問題が幾つもあるようであります(これは結局綱紀の弛緩だと考えておるのであります。それを引締めるためには、そういうことは今後してはならぬのだということを、総裁なりあるいは管理者の方から厳に戒めるような方法をとつていただきたい、かように私は考えるのであります。
私の大臣に対する質疑は以上で一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/15
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016・楯兼次郎
○楯委員 先ほど徳安委員から四十四条についての御質疑がありましたので、それに関連して大臣にぜひお聞きいたしたいという建前から、質問を申し上げたいのであります。私は徳安委員とは立場がかわりまして、四十四条の第二項をここに改正追加されました点につきましては、十分ではありませんけれども、一つの進歩を現わしたものであるというふうに考えております。しかしそうではありましても、この条文がきわめてあいまいなるために、後日労使間に紛争が起きるという点については、徳安委員と私は同意見であります。従つて以下二、三の点を御質問申し上げまして、はつきりここで規定をいたしたいと思いますので、お答えを願いたいと思います。
まず第一にお伺いをいたしたいことは、総括的に言つて四十四条の二項は、国鉄の場合死文になるのではないかというふうに、私は憂慮をいたしておるのであります。それはどういうことかといいますと、同じ公共企業体である専売公社であるとか、あるいは電通はまだ未知数ではございますが、なるほど職員が努力をいたしますれば、それだけの収益が上ると思います。また二十七年度の実績を見ましても、専売公社においては約三十億の利益金を上げております。ところがその反対に——とれははつきりした数字は記憶いたしておりませんけれども、大体現在の日本の再建方式というものは、昭和十一年か十二年が標準になつて立てられておるわけでございますが、当時の作業量に比較いたしまして、現在の国鉄の状態は相当上まわつておる。言葉をかえて言いますと、当時と比較いたしまして少い人員で、同じような作業量を上げておるということが、統計に出ておるのであります。従つて国鉄の職員が能率を向上するために相当努力をいたしましても、専売公社あるいは電通のような実績が上らないと思います。その証拠には、昭和二十七年度の実績というものは、大体二十七億の赤字になつておりまするので、このような現状において、この四十四条の第二項をここにつけえましても、これは国鉄の場合死文であるというふうに私は考えておりまするが、この点について当局のはつきりした見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/16
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017・植田純一
○植田政府委員 実はこの四十四条の第二項は、ただちにこれをもちまして将来、将来と申しますか、たとえば本年度この規定の発動があつてどうなるか、あるいは全然死文になるかということは、実は予測できないのが実際でございます。しかしこの規定ができました精神と申しますか、その趣旨から申しまして、この規定を全然活用しないということであれば、こういう法律の改正はいらないと思います。この規定改正になります以上は、先ほど大臣からお話がありましたようなそういう趣旨でございますから、必ずしもこれが死文に終るというふうに断定することはいかがか、むしろこういう事情が起きます場合には、十分その規定を活用してしかるべきものではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/17
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018・楯兼次郎
○楯委員 将来のことにつきましては、私も過去の実績においてそうなるのではないかというふうに言つておるのでありまして、はたして私の杞憂が当るかどうかということはわかりません。しかし私はまあこの条文以外のところであとで御質問を申し上げたいと思います。出されました改正案を見ますと、今日国鉄の独採制を行われておる建前上、職員の努力をして、この条文の適用を受けるというようなほかの面の改正がなされておりません。具体的に申し上げますと、たとえば社会政策上、定期はほとんど原価の半分であるとか、あるいはいろいろな割引がある。その他私はここにあげ来りますれば、相当大きな問題があると思います。前国会におきましては、それらの原価を下まわるところの金額は、おそらく三百三十億くらいになるであろうということを、私は本委員会において政府委員から聞いておるわけでございますが、これらの点についても、他の条文で、交付金を打切る、こういうような条文がありまするので、現在のこのような改正をされましたこの国有鉄道法では死文になる。今私が申し上げましたような点をあなた方の方で改正をして行くということになれば、これは別でありまするが、いただきました改正案の法文関係においては、職員は努力しても決してこの四十四条にうたわれ、ておるような報酬が望み得ない、そういうふうに私は考えておるわけでございますが、ただいま私が申し上げました国鉄のそうした社会政策上より来るところの赤字というものについて、今後何らかの手を打つて行くというようなお考えでありましようかどうかということを、もう一回承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/18
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019・植田純一
○植田政府委員 ただいまのたとえば定期券等の例におきまする問題、これはなるほど定期券の割引が社会政策的に非常に高率の割引をしておりますことは事実でございます。しかし公共企業体といたしまして、国鉄が合理的運営によりまして、公共の福祉を増進する大きな目的を持つておるわけでありますが、公共企業体といたしましては、採算ということはもちろん十分考えて、関心を持つて行かなければならぬ事柄でありますが、同時にまた非常な公共性をも持つておる。こういうような観点から、必ずしも採算ということのみを考えても行けないという面もあるわけでございます。こういうような立場から、いろいろと社会政策的な割引であるとか、あるいはまたそういうような公共的の見地からの施策ということもやつて行くということが、公共企業体としての国鉄に課せられた使命ではないか、かように考えておるわけであります。ただ具体的の問題といたしまして、あるいは定期券の割引が多過ぎはせぬかという点、議論としてはいろいろございましてまたもつともな点もあろうかと思いますが、根本的に国鉄が置かれておりますところの立場、つまり公共性ということも、依然として非常に強く要請されておる公共企業体の立場から考えまして、ただちにこれが間違いである、是正しなければならぬということにもならないのではないか。実際問題といたしまして、この採算性というものと公共性というものとの調和を、どういうようにはかつて行くかということになりますと、非常にむずかしい問題がいろいろな面において存在しておると思います。またそういうような点につきまして、さらに私どもも十分検討して行かなければならぬと思いまするが、そういうように必ずしも採算も無視できない、公共性も十分加味して行かなければならぬという性質を持つておるという大前提を置きまして、すべての考え方をしなければならぬと思います。
交付金の条項を削除したというようなお話もございましたが、この点につきましては、交付金の制度をやめまして、収益がありました場合、あるいはまた損失があつた場合、ただ単に国庫に納付する、あるいは国庫から交付金を受けるというのではなくして、この企業的な立場をこの面におきましては強く打出しまして、納付あるいは交付金制度をやめまして、むしろ能率的な運営ということをはかつたわけでございまして、この点につきましては、必ずしも改正の趣旨が一貫しないということはない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/19
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020・楯兼次郎
○楯委員 関連質問でございますので、私は四十四条だけにとどめて、具体的な質疑に入りたいと思います。あとで総括的な大きな問題については、さらに質問いたしたいと思います。簡単にただいままでのあなたと私の論議を集約してお伺いしたいのでありますが、この第二項は一体能率の向上ということが主になつておるのか、あるいは収入が予定より増加するこもが主になつておるのですか、私にはわからないわけです。今までの国鉄の実績から行けば、現行法においては職員がどれほど努力しても、赤字という数字しか私は出て来ないと思います。そういう中において、なおこれ以上職員が努力をする。しかしながら収入は期待するほど上まわらない。そこに私はこの条文のあいまいさがあると思います。ので、簡単にいずれの方を主とした条文であるかという点を御回答願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/20
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021・植田純一
○植田政府委員 これはこの法律にございますように、両方要件を満たさなければならぬ問題だと思つております。ただ職員の給与の問題は、いろいろの面から考えなければならぬ問題であります。従いましてその点につきましても、職員の能率の向上ということに伴いまして収入がふえた、あるいはまた節減できたという場合における考慮というものが、従来法的には払われていなかつた。この点を改善いたしたわけでありまして、この点、そのほかの給与全般の問題と関連いたしまして、全体の能率の向上を期し、また職員の給与の改善をはかる、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/21
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022・楯兼次郎
○楯委員 どうも答弁があいまいでありますので、さらに御質問申し上げたいと思いますが、他の関連もあつて非常に答弁が単純に行かないと思います。従つてその質問はまたほかに譲りまして、私は徳安委員が心配をされたような事態が起るであろうという点を考慮に入れつつ、具体的に一つ質問いたしますので、御回答願いたいと問います。
まず第一に、「収入が予定より増加し、」こういう文句が使つてありますが、予定とは、一体年度予算における運輸収入であるか、あるいは実行予算における収入であるか。それから「経費を予定より節減したときは、」というふうに、ただ経費と書いてありますが、一体これは具体的に言つて何をさすのか、この点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/22
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023・植田純一
○植田政府委員 これは終局的に申しますと、予算に組まれたところの収入あるいは経費であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/23
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024・楯兼次郎
○楯委員 これはきわめて重要と思いますが、それでは次に飛んでお伺いいたしますが、一体ここに「節減額の一部」と書いてある。これは大臣にも聞いて回答していただかなくちや困るので、これは後日相当紛争が起ると思います。「節減額の一部に相当する金額」こういうようなことがうたつてありますけれども、一体節減額の一部とは、これは紛争の起るものだと思いますので、この定義をはつきりしておかなくてはいけないと思います。またここに「運輸大臣の認可を受けて、」こういうようなことが書いてありますが、一体運輸大臣として、この条文が実施された場合に、どのような程度まで認可をするつもりであるか、そういう点についてお伺いしたいと思います。私たちは運輸大臣の認可というようなものは、いらないのではないかというふうに考えるわけでございますが、この点についてひとつはつきりと御回答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/24
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025・石井光次郎
○石井国務大臣 これは実際の場合どういうことになりますか、経費の節約、あるいは予定より収入が多かつた、という場合に、これをみんな支給するということにいたしますと、かえつて問題が起る。たとえば一億円余つたという場合に、計算的には八千万円分配したが適当だと国鉄総裁が思つた場合は、その程度で納めてよいと私どもが考えたらそれに賛成するというので、一部にしたということは、かえつてそれは全額分配しなければならぬとか何とかいう問題が起らないようにしてあるものであると私は想像いたしております。
それから運輸大臣が認可せぬでもいい、国鉄の商売や経営の上で、国鉄総裁がやつたらよさそうに思うのでありますが、これは予算の問題につきまして、すべて運輸大臣がこれを認め、大蔵大臣が承認しなければいかぬという点まで監督を受けている公共企業体でありますから、国鉄総裁がかつてにやらないで、運輸大臣の認可を受けるというくらいにしておく方が適当ではないか、私はこういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/25
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026・楯兼次郎
○楯委員 そういたしますと、この一部という解釈は、やはり総裁に大体の判定権がある、そういうふうに解釈をしておいてさしつかえないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/26
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027・石井光次郎
○石井国務大臣 原案作成者であります国鉄総裁が、イニシアチーヴをとることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/27
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028・楯兼次郎
○楯委員 それで私がわからないの、は、「節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、」とあるのですが、一体この辺の解釈はどういうふうになるでしようか。これを読んで私はわからないのですが、はつきりひとつ定義をくだしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/28
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029・植田純一
○植田政府委員 「予算の定めるところにより、」と申しますのは、この金額の出し方その他を予算総則をもつて書く、そういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/29
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030・楯兼次郎
○楯委員 それでは大臣を対象ということでありますので、まだ質疑が残つておりますが、保留いたしまして、大臣の質問の方に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/30
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031・川島金次
○川島(金)委員長代理 臼井旺一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/31
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032・臼井莊一
○臼井委員 一点だけちよつとお伺いしたいのですが、第三条の改正についてであります。第三条は、国有鉄道が業務を行うについて具体的にこまかく規定されているのですが、さらに第三項に「運輸大臣の認可を受けて、その業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」となつておりますが、これは具体的に言うと大体どういう事業が必要なんであるか、またどの限度までこれをお許しになるのか、その点をちよつとお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/32
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033・植田純一
○植田政府委員 この投資につきましては、現在帝都高速度交通営団、いわゆる地下鉄に投資をいたしております。これは営団法の別の法律においての規定があるわけであります。そのほか、国有鉄道といたしまして業務に直接関連し、かつ業務の運営に必要な事業について投資できるというように、条項を設けたわけであります。国有鉄道は広汎な務業を行つておりますので、関連する事業ということになりますと、非常に広汎でございますが、国鉄がみだりに投資をするということにつきましては、これはかえつていろいろの弊害も考えられるということで、この業務に直接関連し、かつ業務の運営に必要な事業というふうに、この法の精神は非常に限定した意味でありまして、運輸大臣といたしましても、この投資する業務が国鉄の業務に直接関連がするかどうか、あるいはまた国鉄の業務の運営に必要であるかどうかという点を十分考慮いたしまして認可をする、非常に限られた範囲におきまして投資を認めるという精神であろう、かように考えられますので、そういうふうに認可にあたりましては慎重に考えて行きたい、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/33
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034・臼井莊一
○臼井委員 私のお伺いしたいのは、この法律案を追加するということについては、何かこういうことをやるとき不便であつたので、やはりこういう法律が必要であろうということでおそらくできたので、漫然とこの法律案をつくつたのではないと思います。何かそういう点について具体的な問題があつたのかどうか。なお今小委員会等で何か調査をやつております鉄道会館、ああいうものとか、最近はステーシヨン会社が各駅へ大分できておりますが、これらも対象の一つになるのかどうか、その点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/34
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035・植田純一
○植田政府委員 国鉄としての考え方は、多少あるいは別かもしれませんが、私ども運輸省といたしましては、確かに停車場会社と申しますか、ターミナル、ステーシヨンといいますか、そういうものについて投資した方がいいという場合も、その所々の状況によつて考えられるとは思つております。鉄道会館のお話が出ましたが、これは確かに国鉄の業務に直接関連し、かつ菜務の運営に必要な部分があるということは事実であります。従いまして、こういうような面だけとつて考えますと投資ができると思いますが、ただ鉄道会館の場合におきましては、大部分がビルの貸付等に予定されておるようであります。従いまして鉄道会館全体として、あの大規模な構想全体が業務に直接関連し、なお業務の運営に必要であるかどうかを考えますと、むしろここにいう投資の対象としては適当ではないのではないか、かような感じがいたします。そうではなくて、直接業務に関連しあるいは業務の運営に必要な部分が大きな部分を占めておる。あるいは付属的な部分が他に貸されるという、いわゆる停車場等をかりに想定いたしますと、投資の対象としまして考えられるのではないか。私ども認可する立場としましては、そういうふうな感じをもつております。ただもう一つは財政その他の見地からも、あわせて考えなければならぬことはもちろんでございますが、直接関連しかつ業務の運営に必要な事業というものの解釈というか、考えとしましては、私どもといたしましてはそういうふうな感じでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/35
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036・臼井莊一
○臼井委員 結局解釈いかんで、いろいろな問題が生れるわけであります。たとえば今の御答弁によると、現在の鉄道会館は適当でないというふうにもおつしやつておるし、部分的に必要である、あるいは場合によつてはしなければならないであろうというふうにもとれるし、結局解釈いかんで将来非常に広範囲に運用される可能性もあるわはであります。たとえば一つのステーシヨン会社にこれが適用されるということになると、これが先例となつて月々に拡張される。それはできることは必ずしも根本においていかぬというのではない。ただお話のように非常に資金が限られておる。改良工事も新線の建設もなかなか予定通りに行かないという現在、国鉄にさらにそういうような投資があつて、相当の資金がそちらの方にとられるということになりますと、国鉄本来の業務が、資金の面で非常に不自由しはしないかということを私ども心配するのであります。もちろん予算の総則においても、当初において参書いてあるようでありますから、考慮されるでしようが、本来の業務がないがしろにされるということになつてはならないと思つて、それをお尋ねしたわけであります。この点については、いろいろほかの方方からも御質問があるかと思いますが、現在新線においても足りないのですが、鉄道公債を出すとか、あるいは新線建設においては国家的見地から開発するのだから、むしろ政府は援助を積極的にしろ、こういうことを主張しておる建前上、資金がその方に多額に流れるということになつては、その点非常に矛盾を来すことになることを憂えておるのでありまして、その点についてのお考えをもう一ぺんお伺いできればけつこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/36
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037・植田純一
○植田政府委員 投資の効用と申しまするか、国鉄として必要な施設でありますが、国鉄の財政の現状において、なかなか所期の目的を達成するに十分な資金を得るのに困難である。そういう場合の解決の一助として考えられるわけであります。もしこの投資によりまして、民間資本を活用することができまして、そして国鉄の使命達成に役立つことであることは、御説明申上げるまでもないわけであります。従いましてこれはあくまでも業務に直接関連し、かつ業務運営に必要だという、非常に限られた財政的の事由が許すならば、国鉄がみずからの経費で全部やつてもしかるべきような施設ということに私どもは考えておるわけであります。それを投資することによつて、民間の事業を助けるというような意味は毛頭含まれておらないもの、かように考えております。従いましてこの事業の範囲も、ただいま申し上げましたように、国鉄が直接やるのにふさわしい仕事に、きわめて密接な関連を持つた仕事というふうに解釈しておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/37
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038・臼井莊一
○臼井委員 直接に関連しておるか間接かという問題は、むずかしい解釈になると思うのですが、私がお聞きしたいのは、具体的にこういうものをやる上において、過去においてこの条項があれば非常に便利だつたのだ。鉄道の発展の上にも非常によかつたのだ、こういうような投資をしたがつたような事例があつたのかなかつたのか。もしあつたならばその事例をお聞きしたいということなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/38
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039・植田純一
○植田政府委員 現実に投資いたしております東京の地下鉄のごときは、最も典形的な例だと思いますが、そのほか所によりましてあるいは停車場あたりに考えられるのじやないか、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/39
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040・臼井莊一
○臼井委員 今停車場の例が出たのですが、停車場をつくる上において一番不便だつたというふうにうかがわれるので、今後こういう方面にこの条項が一番適用されるのじやない、かというふうに思う。これが適用されることがいいか悪いかということは、私自体もまだ判断ができません。そうすると非常に厖大な資金がいるのではなかろうか。まだまだ戦災の被害から復旧できない駅がたくさんあります。これをステーシヨン会社でやるということも確かに一つの方法でありますが、鉄道がどの限度までにおいて投資することがいいか悪いか。これはいろいろ問題があろうと思うのです。それでその事例をというふうに伺つたのですが、今のお話によると大体それらが一応目標になつているようであります。一応質問はこの程度で打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/40
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041・川島金次
○川島(金)委員長代理 山口丈太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/41
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042・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私は大臣にちよつと質問をしておきたいと思います。四十四条について今楯委員から質問がありましたが、私も関連してひとつ質問を申し上げてみたいと思います。
なるどほこの四十四条については、前の法律から申しますと、確かに進歩しておると考えるのですが、先ほどの答弁を聞いておりましてもあまり明快にはなつていないと私は思うのです。「その収入の増加響又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、運輸大臣の認可を受けて、」こういうことになつておりますが、それはあらかじめ出されまする収入の予算額並びに支出における予算額のすべてを含めて、当初に設定される、その年度初めに設定されまする予算額、これから増加もしくは経費の節減をされた場合に、その節減額に対してのことをさすのであるかどうか。こういう点をはつきりしておきませんと、これは問題を将来に残すと私は思いますから、もう一度運輸大臣からその見解を明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/42
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043・植田純一
○植田政府委員 先ほどお話申し上げましたように、予算を組みました基礎になつておりますところの収入あるいはまた経費、そういうものをさしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/43
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044・山口丈太郎
○山口(丈)委員 どうもまだ私はこの点についてははつきりしないのですが、こういうふうに了解していいのですか、ひとつ御質問申し上げたいと思いますが、それは当初私が申しましたように、当初予算に組まれる予算額、これは当然収入の面も含めてでありますが、その収入の面で申しますと、あらかじめ予定されております収入額というものは当然計画の中に織り込まれてそうして公表されておるもの、それをさし、しかもまた支出の面におきましては、当然国会等に提出されまする予算、これが必要になるわけですが、その予算をさすのかどうか、もう一度その基本になるものをはつきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/44
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045・植田純一
○植田政府委員 基本になるものは、やはり国会の承認を経た予算であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/45
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046・山口丈太郎
○山口(丈)委員 運輸大臣にひとつ見解をお尋ねしておきたいのでありますが、もちろん国家の経営でありましても、いついかなる場合における経営でありましても、私は経営自体が経営の努力をしないで、赤字でそのままでいいとは考えられないのでありますが、しかし一方国鉄という性格から申しますと、だからといつて一般の資本会社と同じように、ただ利潤の追求だけをもつていたしましても解決のでき得ないところに、この国鉄の国営としての性格があると私は思う、かように存ずるのであります。すなわち資本による利潤の追求をもつてしては、いわゆる公益性というものは守れない。そこでその純資本的に考えた利潤というものを、ある程度資本主義社会においては削減をして、そうして公益を守り、国家の産業開発あるいは公共の福祉を守るために、いわばそのための犠牲的な線も多くあるわけでありまして、そこに国鉄としての性格がある、私わかように考えておるわけであります。そこでこのようにして慫慂をし、そうして従業員を督励して、その業体の収入を増加して行く、これは一面においてはけつこうでございますけれども、他面におきましてはそのために、あまりにも利潤を追求するということのみを主眼に置いて考えられます場合におきまして、この公共性、少くとも公共の福祉としての国家事業と、民営における単純なる利潤追求事業としての性格、この二つの問題というものはきわめて他の公共事業に及ぼす、あるいは公衆に及ぼしまする影響が甚大であろうかと思うのであります。そういう点に対してこれをそのままに推し進めて参りますと、あるいはそういう私が申し上げましたような性格を離れて、単なる利潤の追求の具にこの国家施的設がなるというような危険性はないものかどうか、私はこういうことが生れて来はしないかということをおそれるのでありますが、これについて運輸大臣はどのように見解を持たれるか、まず第一にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/46
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047・石井光次郎
○石井国務大臣 これは国鉄法の総則にも書いてありますように、国鉄そのものの経営が公共の福祉を増進することを目的としておるのでありますから、その心持をもつて経営に当らなければなりませんが、同時に、規定の中にもありますように、能率的な運営によつてこれを発展せしめるという言葉もありまするが、この能率的な運営によつて発展して来て利益が出た、収入が増すとか、支出が減るとかいうような問題等があつたときに、それに関与しました国鉄の従業員に賞与の形でありますとか、奨励金を出すということは、国鉄のほんどうの目的を達する上に非常にいい方法である、私はこういうふうに思つております。今までのでございますと、公共の福祉を増進することが目的であるということが強く考えられて、ちようど今のあなたが言われたような心持であると思いますが、それを強く通するために、利益が上つたら利益の上りつぱなし、そのかわり損したときもそれはしかたがないというのでありましたが、しかし今度は規定の趣旨にも沿いまして、能率的な運営によつてうまく経営ができました部分は、何がしかのものを従業員に与えるというふうなことの方が、みんなの心持をしてますますその事業に忠実に、熱心に、公共のためにやつてくれるもとにもなるというふうに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/47
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048・山口丈太郎
○山口(丈)委員 適切な答弁を得たと思いますが、しかしなおこのことについて私が心配をいたしまするのは、今申し上げますように、利益本位にこれを運営するような性格に、この法案の内容を見ると、かわりつつあるように思うのでありまして、それでは総則とその内容とに非常な矛盾を来して参ると思うのであります。まず第一として、第三条の三項の投資の問題であります。「日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けて、その業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」これは今局長が答弁されたところによりますと、関連事業としてはきわめて縛つておる、範囲をきわめて縮小しておる、こういう御答弁がございましたが、しかし縛ると申しましても、たとえば今問題になつておりまする国鉄会館のごとき、あるいは各所においてステーシヨン会社が続出するがごとき、これらもまたその業務に必要なと言えば必要なんでありますが、直接間連する業務として必要はと言えば、国鉄の駅の周辺に客を誘致する施設をたくさんつくる、そういうことも国鉄の業務運営上その収益をふやすという点においては、直接の関連性を有するものであります。そうなりますと、これは無限のものでありまして、あたかもこれは資本投下会社が資本の投下をして営業しておるのとまつたくかわらない、こういう性格になつて行くのでありますから、これはこの国鉄法に言つております総則の問題と、非常に矛盾を来して来る。そうしてだんだんと資本会社の性格にかわつて行くおそれがあるわけでありまして、それは国家の資本を背景といたしまして、民間企業の大いなる圧迫になり、ひいてはそれらのことは、この企業が赤字であるにもかかわらず、その流動資本をさらに大きく無限に投下すりような結果になりまして、まつたくこれは容易ならぬことに相なると私は思うのであります。運輸大臣はそれらに対して、将来どのくらいな制約をもつて臨まれる覚悟があるか、またこういうような投資に対してどのような監督権をもつて運輸大臣はこれに臨んで行かれる覚悟があるか、これについてひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/48
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049・石井光次郎
○石井国務大臣 国有鉄道が、ここに書いてありますような何か仕事をする場合に、これに対して投資をする際、運輸大臣の認可を受けるということになります。これは国鉄が運輸大臣の認可を受けて仕事をやつて行くということで、運輸大臣も責任を持ちますが、国鉄そのものもいろいろ仕事をする上において、運輸省と相談をしながらやつて行くということになつて、万遺漏なきを期することができやすいと思います。ただこの国有鉄道法の改正について、ずつと通した精神でもう一つ御了解願つておきたいと思いますのは、これは公共企業体であり、また同時に独立の企業体であるという精神を、だんだん織り込んで行きたいということが私どもの心持でありまして、そんなことを言つたつて、こんなものではまだまだ不完全じやないかと言われるかもしれませんが、日本国有鉄道はだんだん独自の企業体に近づけたいというのが四十四条の精神で、これはさつき楯君から、こんなものは空文に終りはせぬかと言われますし、私どももあるいはそういうおそれなきにしもあらずと思うのでありますが、こういうことにして、少しずつでも近づけて行くことができればいいじやないかという気持があるのであります。それならば、ここなんかも何も運輸大臣の認可を受けなくてもいいじやないかということになりますが、今まででありますと、たとえば東京の高速度鉄道、あの地下鉄の問題みたいに、一つ問題を出しますと、独立の法律をこしらえなければならない。あれは独立の法律によつて、ここには何もひつかからずにやれるわけです。それにはこういうものを一本置いておいて、そして運輸大臣の認可を受ける、また国鉄がほかに出資する場合は、国会の承認を経なければならないということになつておりますので、そういうことによつて、万が一国有鉄道が少し違つた方向に進もうとしても、それを矯正することができるわけで、両々相まつてりつぱな方向に進むことができるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/49
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050・川島金次
○川島(金)委員長代理 鈴木仙八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/50
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051・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 運輸大臣にごく簡単ですが御質問をしたいと思います。第五章監督というところに、第五十二条「日本国有鉄道は、運輸大臣が監督する。」第五十三条「左に掲げる事項は運輸大臣の許可又は認可を受けなければならない。一、鉄道新線の建設及び他の運輸事業の譲受。二、日本国有鉄道に関連する連絡船航路又は自動車運送事業の開始。三、営業線の休止及び廃止」この三点になつておりまして、これから見ますと、ただいま臼井君なんかからもお話があつた停車場株式会社とか、あるいは鉄道会館とか、駅舎の増改築、新設などということは、国銭の方で運輸大臣に相談をしなくてもいいというふうに解釈できますが、この点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/51
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052・石井光次郎
○石井国務大臣 それは国鉄総裁が自由にきめられるわけであります。運輸大臣の認可、許可はいらないことになつおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/52
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053・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 そこで先般来からいろいろな問題があるのです。今の日本の国有鉄道のやつている仕事は、輸送力増強というよりも、おもにそれよりも重要でない駅舎などに非常に金をかけたり、設備をしたりする傾向があるようです。そうしていろいろ諸般の問題をかもし出すのですが、私はどうもこの点非常に遺憾に思うのです。これに対して運輸大臣の御所見をお尋ねしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/53
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054・石井光次郎
○石井国務大臣 駅はもちろん私どもが見てもきれいだと思うところもありますが、これはお客の輸送、出入りの便宜を考えますると、どうしても非常にスムーズに旅客がはけるような道を考えなければならない。その面から考えますると、実はまだまだ駅の設備は、全国由に見ると最も遅れておる鉄道の部分の一つじやないかと私は思うのです。もちろん輸送力を増血する、駅はおそまつなものでいいという大体の筋は、私も全然その通りと思います。しかし今までの駅が——何か特殊なところが少しあると思いますが、大体から見ますと、そうけばけばしいものというよりは、輸送に便宜なようにということを考えながらやり、これから尤もそうやるべきものだ、こういうふりに思つておるのであります。どちらも決してほつておけない問題であります。駅が旅客並びに貨物をはくことに便宜で十分でないと、どうしても十分な輸送力を発揮することができないということは私どもも考えております。にだぜいたくになるようなことは厳に恨んで行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/54
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055・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 御答弁の趣旨がちよつと違つているように思うのですが、私は現在の駅を改造するよりも、輸送力を増強する方が重要じやないか、サービスの仕方がもつとあるのじやないか、こういうふうに考えております。駅が幾らりつぱになつても、三十何時間立ちつぱなしでいるような汽車を走らせていたのでは、サービスにならないと思うのです。そこできよう大臣にお尋ねすることはこの三点「鉄道新線の建設及びその他の運輸事業の譲受」「日本国有鉄道に関連する連絡線航路又は自動車運送事業の開始」「営業線の休止及び廃止」といつて、駅をつくつていいとか悪いとかいうことは、運輸大臣に御相談をすることも何もなく、かつてにできるというようなことなのですが、運輸大臣はこういうふうなことをどういうふうにお考えになるか、これをお尋ねしたいのです。御相談をかけなくて駅や何かかつてにやつても、完全な運輸事業の発達のために何でもないのだ、それでもさしつかえないのだというふうに、運輸大臣はお考えになつているかどうか。
続いてもう一つ、第五十四条「運輸大臣は、公共の福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し監督上必要な命令をすることができる。」先般私が運輸大臣に御質問いたしましたときに、たしか経理方面は大蔵省、国鉄に対する監督は自分にあるというふうな御確答のようでございましたが、公共の福祉を増進するためには——これから鉄道会館等の小委員会もいろいろ活動をするでしようが、かりにああいうものをつくるよりも、もつとほかに公共の福祉を増進する事例があるのであるということが証拠づけられた場合は、あの建物の企画のあるものを停止することができるか、この権限を発動することができるか、これをお尋ねしたいのです。本日は鉄道会館のことには触れたくない。また私の国鉄に対する質問は別にいたしますから、明日お願いいたしますが、さらに関連しまして、さつき臼井さんが申しましたことに対するあなたの御答弁のように、国鉄には金がないので、民間の資本を導入して、駅でも何でも改造したいという御答弁のように聞きましたが、これは大なる誤り、大なる無能ぶりだと思うのです。金がないからやれない。そんなことは民間にやらせる、営利会社にやらせるということは、根本から頭を切りかえてもらわなければならぬ。そういうことから至るところに一貫した取締りがない、監督もない。池袋の停車場株式会社のあの状態しかり。これは内容がいろいろ違つている。秋葉原がしかり。きのう行きましたが、まるで場末の駅か、地方の小さな駅前のごとく、終戦直接におけるマーケットが濫立しているありさまと同じです。中にはパチンコ屋もあれば、おでん屋もある、すし屋もあれば、一ぱい飲み屋もあるというふうな状態である。しかも駅としての品位も気品もない。今度の鉄道会館はまたかわつた姿で誕生するでしよう。日本国有鉄道として一つの一貫したものがないじやありませんか。私どもはそれが重要だと思う。かつて気ままにやらせて、これはまずかつた。——日本停車場株式会社のつくつたあの池袋の駅のごときは、駅としての形は整つていません。利潤追求例外に何ものもない。このために多くの大衆に犠牲をしいて、ああいうふうになつてしまつた。現在怨嗟の中に立ちの本来の使命を全うできないじやありませんか。そういうときに運輸大臣が監督ができるならば、もつと一貫したものを示していただきたい。ただいま申し上げました第五十四条の「公共の福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し監督上必要な命令をすることができる。」という条文を、うまく当てはめることができますかどうか、この点をお答え願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/55
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056・石井光次郎
○石井国務大臣 これはその実情にぶつつからなければ、どうなるか具体的な問題はわかりませんが、規定はこの通りだと思います。公共の福祉を増進するために特に必要があるときは云々と書いてありますから、そういう状態になれば命令をすることができるということでありまして、具体的な問題はこれは別であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/56
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057・川島金次
○川島(金)委員長代理 この際高橋圓三郎君より緊急質問の申入れがあります。これを許します。高橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/57
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058・高橋圓三郎
○高橋(圓)委員 これはただいまの国有鉄道法とは関係がないのですが、最近東京都内におきまして、各官庁の間を連絡するための官吏専用のバスの許可を得ておりますある運送会社が、そのバス路線を新たに一般の旅客運送のハスにするために、許可の申請をいたしておるということであります。同時に東京都の交通局が同様の許可の申請囲いたしておるということであります。このことにつきまして運輸大臣に一言お伺いをいたしておきたいと思います。
東京都は、昭和十七年か十八年に軸心調整法というような——確実な名前はあるいは違うかもしれませんが、特別立法で、いわば法律上の命令といいますか、強制によつて、都の財政をもつて、現在の金に換算すれば約五百数十億円に及ぶ資金をもつて、東京都内のバスを全部買収をいたした。そして部外に出ておつたものは部外の会社に払い下げるということにして、法律の強制によつて、都の財政をもつて都内の交通調整をはかつたのであります。それが十年になるかならないか間に、勅たに他の一般業者に都内において、一般旅客に対するバス営業が許可されるということであると、都としては都民の負担こおいて、かつてそういう交通調整を国家の法律によつて強制せられてやつて来た。それを十年たたないりちにさらに一般の業者に許される。単二、第三、第四と許されるというここになると、この法律は一体生きてお幻のか死んでおるのか。またもう一つは都民の負担において、いわばそういフ犠牲を払つて都の交通調整をやつた都の立場に対して、当局はどのようにお考えになつておるか。この二つの申請に対して、運輸省でもかなり慎重に知恵をなさつておるようには聞いておりますが、この取扱い方については、大臣においてはどういうふうにお考えなつておるか。現在他の都市におきましても、公営のバス事業を経営しておるところでは、この問題を非常に注目いたしておるのであります。またわれわれの郷里におきましても、小さな都市で、この問題と直接関係はありませんが、一体バスを運輸省が許可されます場合に、市営のバス等を経営している市に何ら関係なく、運輸省が全然それらに無断で許可をされる、そういう場合には、実は公共団体でバス事業を経営しているようなものは、非常な迷惑という言葉はどうか知りませんが、要するに非常に混乱を来すような場合が多い。さかのぼればバスの許可を運輸省が単独でなさるということ自体に対しても、根本的の問題があるかと存じます。根本問題は別といたしましても、この問題の取扱い方にきまして運輸大臣の御方針、あるいは運輸大臣自身は、突然のことでありまして、おそらく御存じないかと思いますので、後ほどでもけつこうであります。書面ででもよろしゆうございますから、運輸大臣のお考えあるいは運輸省の方針をお示し願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/58
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059・石井光次郎
○石井国務大臣 この問題は承つておるのでありますが、これをどういうふうに扱うかということについて、私まだこれの詳しい事情を承知いたしておりませんので、今数々のお話のありましたように、万遺漏なき処置をいたしたいと存じます。特に東京都においての問題は、ただ都がやつておつて、そこに交通量がふえたからほかのものに許すという性質のものとは少し違うように考えます。その点は十分頭に置いて処置いたしたいと思います。
それから地方の問題でありますが、地方で許されているのにまた許すというような場合等には、特にこれは運輸審議会等に慎重な研究をやらせまして、そうしてはたしてもう一つ許すだけの交通量があり得るやいなやというようなことを十分研究させて、新規なものが現われたために、前のものが非常に不況に陥るというようなことは、一体やるべきでないと思つております。そういうような意味において特に注意をいたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/59
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060・川島金次
○川島(金)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。明日は午後一時から会議を開きます。
午後三時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02119530721/60
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