1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十二日(水曜日)
午後三時十七分開議
出席委員
委員長 關内 正一君
理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君
理事 松井 豊吉君 理事 楯 兼次郎君
理事 川島 金次君 理事 鈴木 仙八君
岡本 忠雄君 木村 俊夫君
高橋圓三郎君 徳安 實藏君
南條 徳男君 山崎 岩男君
臼井 莊一君 正木 清君
山口丈太郎君 館 俊三君
出席政府委員
運輸事務官
(鉄道監督局局
長) 植田 純一君
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 細田 吉藏君
委員外の出席者
日本国有鉄道理
事
(経理局長) 高井 軍一君
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七月二十一日
左荒線等敷設の請願(牧野寛索君紹介)(第四
八三七号)
倉吉、二胡線バス複数化に関する請願(足鹿覺
君紹介)(第四八三八号)
賀露線バス複数化に関する請願(足鹿覺君紹
介)(第四八三九号)
河原循環線バス複数化に関する請願(足鹿覺君
紹介)(第四八四〇号)
三陸沿岸国道並びに縦貫鉄道敷設等に関する請
願(鈴木善幸君外一名紹介)(第四八四一号)
国営自動車の路線外団体貸切輸送免許に関する
請願(世耕弘一君紹介)(第四八四二号)
仙山線電化の請願(牧野寛索君紹介)(第四八
四三号)
志布志線の延長工事施行に関する請願(伊東岩
男君外五名紹介)(第四八四四号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
東北本線の複線化早期実現に関する陳情書
(第一〇九八号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二二七号)
港湾運送事業法の一部を改正する法律案(岡本
忠雄君外七名提出、衆法第三三号)
地方税法の一部を改正する法律案に関し修正意
見申し入れの件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/0
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001・關内正一
○關内委員長 これより会議を開きます。
港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題とし、まず提出者より提案理由の説明を求めます。岡本忠雄君。
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港湾運送事業法の一部を改正する法律案
に、又は前項の規定により命令を受けたときはその日から二十日以内に、当該運賃及び料金を変更する手続を行わなければならない。
第十条中「前条」を「第九条」に改める。
第十一条第四項但書及び第五項中「三十日」を「六十日」に改める。
第十六条中「港湾運送を引き受けた場合には、」を「その引き受けた港湾運送を行う場合には、運輸省令の定めるところにより、」に改める。
第十七条第一項中「各号」を「第一号、第三号又は第四号」に、同条第三項中「事業の施設で、運輸省令で定めるもの」を「事業の施設につき、運輸省令で定める事項」に改める。
第十八条を次のように改める。
(相続及び合併)
第十八条 港湾運送事業者が死亡し又は合併したときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その協議により事業を引き続き営むべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人(以下「相続人等」という。)は、死亡又は合併の日から三十日以内にその旨を運輸大臣に届け出なければならない。
2 相続人等は、第四条の規定にかかわらず、当該港湾運送事業者が死亡し又は合併した日から六十日聞は当該事業を引き続き営むことができる。その期間内に第五条の規定により登録を申請した場合において、その申請について登録をした旨又は登録を拒否する旨の通知を受ける日までも、同様とする。
3 相続人等が当該港湾運送事業者の死亡又は合併の日から六十日以内に登録を申請するときは、第八条の規定にかかわらず、手数料を納めることを要しない。
第十八条の次に次の二条を加える。
(公益命令)
第十八条の二 運輸大臣は、災害の救助その他公共の安全の維持のため必要な港湾運送であり、且つ、自発的に当該業務を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、第十五条の規定にかかわらず、港湾運送事業者を指定して、左の各号に掲げる事項を命ずることができる。
一 運輸大臣の指定した貨物の取扱又は運送をすること。
二 貨物の取扱又は運送の方法又は順位を変更すること。
2 前項の規定による命令で次条の規定による損失の補償を伴うものは、これによつて必要となる補償金の総額が、国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内で、これをしなければならない。
(損失の補償)
第十八条の三 前条第一項の規定による命令を受けた者に対しては、その命令を受けたことによつて通常生ずべき損失(その命令を受けなかつたならば通常得らるべき利益が得られなかつたことによる損失を含む。)を補償する。
2 前項の補償の額は、運輸大臣がこれを決定する。
3 前二項に定めるものの外、損失の補償に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第十九条を次のように改める。
(私的独占禁止法及び事業者団体法の適用除外)
第十九条港湾運送事業者が他の港湾運送事業者とする施設の共用に関する事項を内容とする協定、契約又は共同行為(以下「協定等」という。)については、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)及び事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の規定を適用しない。但し、不公正な競争方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に運賃及び料金を引き上げその他利用者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
第十九条の次に次の一条を加える。
(協定等の届出)
第十九条の二 港湾運送事業者は、前条の協定等をしたときは、運輸省令の定めるところにより、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。協定等を変更したときも同様とする。
第二十一条第一号中「前条」を「第十八条第一項又は前条」に改める。
第二十二条第一項第二号中「第一号又は第三号」を「第一号、第三号又は第四号」に改め、同項に次の一号を加える。
三 港湾運送事業の登録を受けて正当な理由がなくて六箇月以内に事業を開始しないとき。
第二十四牟第二号中「引船」を「引船その他の船舶」に改める。
第三十一条を次のように改める。
(運輸審議会への諮問)
第三十一条 運輸大臣は、第七条第一項の登録の拒否、第九条第四項(第三十三条の二第二項及び第三十三条の三第三項において準用する場合を含む。次条第一項において同じ。)、第九条の二第四項後段(第三十三条の二第二項及び第三十三条の三第三項において準用する場合を含む。次条第一項において同じ。)若しくは第十一条第四項(第三十三条の二第二項において準用する場合を含む。次条第一項において同じ心)の規定による運賃及び料金若しくは港湾運送約款の変更に係る事項、第十八条の二第一項若しくは第十八条の三第二項の規定(これらの規定を第三十三条の二第二項及び第三十三条の三第三項において準用する場合を含む。以下本条において同じ。)による命令若しくは補償の額の決定又は第二十二条第一項(第三十三条の三第三項において準用する場合を含む。) の規定による処分に関しては、運輸審議会にはかり、その決定を尊重」て、処理しなければならない。但し、第十八条の二第一項の規定による命令をしようとする場合において、緊急やむを得ないときは、この限りでない。
第三十二条第一項中「第九条又は第十一条」を「第九条第四項、第九条の二第四項後段又は第十一条第四項」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(はしけ等に関する表示)
第三十二条の二 港湾運送事業者は、港湾運送又は第三十三条の二第一項の運送に使用するはしけ又は船舶に、その氏名、名称、登録番号その他運輸省令で定める事項を見やすいように表示しなければならない。
第三十三条第二項中「引船」を「引船その他の船舶」に改め、同条の次に次の二条を加える。 (指定区間においてする木船運送の特例)
第三十三条の二 木船運送法(昭和二十七年法律第百五十一号)の規定は、一般港湾運送事業者又ははしけ運送事業の登録を受けた者(以下「はしけ運送事業者」という。)が当該事業の登録を受けた港湾を起点又は終点とする指定区間においてするはしけ以外の木製船舶による物品の運送(自己の引き受けた運送を他の者に下請をさせる場合を含み、一般港湾運送事業岩については一般港湾運送事業に相当する事業の一部として行う場合に限る。)については、これを適用しない。一般港湾運送事業者又ははしけ運送事業者が死亡し又は合併した場合において、第八条第二項の却定により引き続き事業を営む者についても、同様とする。
2 第九条から第十二条まで、第十四条、第十五条及び第十八条の二から第十九条の二までの規定は、前項の運送について準用する。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/1
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002・岡本忠雄
○岡本委員 ただいま上程されました港湾運送事業法の一部を改正する法律未の提案理由を、提出者を代表して御説明申し上げます。
昭和二十六年六月本法が制定施行されましてより、港湾運送事業の秩序の確立と改善について相当の成果を上げて参りましたが、二箇年の実績に徴しよしてなお多くの改善を要する点を認めるとともに、昨年七月より施行されふして木船運送法との問に調整を要する点を生じて参りましたので、所要の弘正を行い、港湾運送事業のより健全なる発達をはかろうとするのが、本改正案提出の理由であります。
なおこの際改正しようとするおもなる点を御説明申し上げますと、まず第一に本法の適用範囲の拡張と木船運送港との調整についてであります。現行法ぞは、はしけ運送事業及び沿岸荷役事業は、海上運送に直結してその港湾内で行われる場合に限られておりますが、港湾内における一場所から他の場所のはしけ運送、港湾とその隣接港湾間またはその港湾とつながる河川との間のはしけ運送、並びにこれらに伴う沿岸荷役は同一の港湾運送企業下で行われ、同一の施設を使用して行われているのが実際の業態でありますので、これらを本法の適用範囲に含めるとともに、木船運送法は一定の制限の木船による運送を一応網羅しておりますから、本法との間に抵触する点を生じましたので、これを調整しようとするのであります。
第二に本法適用港湾等の指定についてであります。本法の目的は、大部分が中小企業である港湾運送事業の健全なる発達をはかり、能率を上げることにあるのでありますから、できるだけ多くの港湾に施行することが望ましいのでありますが、現行法におきましては、関税法の開港のうちから政令で指定することになつております。本法を施行する港湾は、関税行政の見地からでなく、運送取扱い貨物の実際の量その他港勢によつて港湾を指定する方が、本法適用の客体として実態に即するものと考えられますので、所要の改正をしようとするのであります。
第三に登録基準の明確化であります。港湾運送事業の登録について、現行法には登録拒否及び取消しの規定がありますが、登録基準が明確でない欠陥がありますので、この際これを明確にしようとするのであります。
第四に公平なる運賃料金の設定についてであります。運賃料金については、現行法は確定運賃料金の方式をとつておるのでありますが、いかに経済事情の変化があつても、業者の発意に基かない限り変更ができないようになつておるために、かなり業者と利用者との関係が均衡を失しているのであります。経済事情が著しく変化した場合、従来の確定運賃料金が適正なりやいなやについて、利害関係人及び運輸大臣に対しこれを検討する機会を与え、その変更をなさしめる道を開こうとするのであります。
第五には公益命令及びこれに伴う損失補償の問題であります。緊急事態に際して港湾運送の公益性を確保すると同時に、海上運送法では航海命令が出し得るにかかわらず、その両端において公益命令が出せないという現行法の欠陥を補い、一面この場合公益命令によつてこうむる損失の補償をしようとするのであります。
第六に施設の共同利用についてであります。港湾運送事業の施設の改善、能率の向上をはかるために、施設の共同利用について公正な協定が行い得るように、私的独占禁止法及び事業者団体法の適用除外の規定を設けようとするのであります。
以上六点のほか、本法実施上整備を必要とするもの、または疑義を生ずる若干の点について改正をいたすのでありますが、なおこの改正案提出に至りました経緯につきましては、本法実施以来、業者も行政庁も種々の不備欠陥を経験いたしまして、全国港湾運送業者の協会におきましては、二十数回にわたる協議の結果結論を得て、別途衆参両院に対し請願書を提出しておるのでありまして、私ども提案者はその意向を検討すると同時に、この際政府の意見を十分に参酌いたしまして、確定運賃料金の変更の勧告、公益命令の条項等をも加えてこの改正案を提案いたしました次第であります。
なおこの法案は、前国会におきまして各派共同提案になつておりましたけれども、解散のため審議未了になりましたので、その原案をさらに検討いたしまして、以上申し上げました事項のうちの運送料応の問題に関する項、さらにこまかい点でありますけれども、はしけの営業者の名前、はしけの番号等を書いておけという規定を入れることにしておるのが、前回の提案とは異なつておるのでございます。そのほか異なつているところはございません。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/2
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003・關内正一
○關内委員長 港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。
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004・徳安實藏
○徳安委員 私はこの際動議を提出して、皆様の御賛成を得たいと思います。すなわち目下地方行政委員会において審議中の地方税法の一部を改正する法律案に関し、自動車税率のすえ置き、事業税の課税標準を所得額に改めることにつき、運輸委員会としてただいま朗読いたしますような修正意見の申入れをいたしたいと存じます。
自動車税並びに自動車運送事業に対する事業税について
目下貴委員会において御審議中の地方税法の一郎を改正する法律案によれば、自動車税の標準税率を五割引上げることとなつているが、現行の自動車税はすでに過重であり、特に営業車については担税力の限界を越えるものと考えられる。また自動車運送事業に対する事業税は、収入課税であつて、他の一般事業に比し差別的高率課税であり、事業の健全なる発達を阻害すること大なるものがあると考える。
よつてこの際、自動車交通の発達並びに税負担の均衡を期するため、自動車税率のすえ置き並びに自動車運送事業に対する事業税の外形標準架税を廃し、課税標準を所得額に改めることにつき、特段の措置を議せられるよう要望する。
案文は以上のようであります。何とぞ皆様の御賛成を切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/4
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005・山口丈太郎
○山口(丈)委員 地方税法の一部を改正する法律案に関し、徳安委員からただいま自動車税及び自動車運送事業に対する事業税について修正意見申入れの動議がありましたが、私は地方鉄道、軌道の現状にかんがみ、地方鉄道軌道業に対する事業税を収益課税とすること、鉄道用地及び線路施設に対する固定資産税の免除及び電気ガス税を免除することが必要であると考えますので、これらの点について同様当委員会として地方行政委員会に修正方申入れされんことを望みます。申入れ案文を朗読いたします。
地方鉄道業及び軌道業に対する地方税について
地方鉄道業及び軌道業は、公益性のきわめて強い事業であるが、他の交通機関との競争関係上、運賃の値上げも制約せられ、欠損を生じている会社が多数に達している現状にかんがみ、これが維持発達をはかるため、目下貴委員会において審議中の地方税法の改正にあたり、地方鉄道業及び軌道業に対する課税標準を所得額に改め、鉄道軌道用地及び線路施設に対する固定資産税の免除、地方鉄道業及び軌道業に対する電気ガス税を他の免税業種と同様免除することにつき、特段の措置を講ぜられんことを要望する。
以上でございまして、いろいろの理由があるのでございますが、理由につきましてあらましを申し上げますと、現在の地方鉄道の会社数は百五十三社に及んでおるのでありますが、その中で約五十桂というものは赤字に苦しんでおる実情でございます。また戦前におきましては、鉄道に対します税金は主として車両等に課せられておつたのでございますが、特に標準課税ということでかけられますと、きわめて重い税額になつて参るのでございます。まつたくこれは戦前になかつた税金でございます。また固定資産税におきましても、非常にその利率は加重いたしまして、これを再評価額に直して参りますならば、とうていその総資本をつぎ込んでも、各社ともに負担ができない現状でございます。また電気ガス税に走りましては、これも戦前にはなかつた税金でございまして、戦後あらためてこの税金が課せられたのでございまして、これに要する費用は総税額の約九〇%にも及ぶ現状にございます。以上の理由がありまして、私鉄といたしましては今非常な苦境にある実情にございまするので、以上申し上げました理由によりまして、何とぞこの申入れに対して御賛同いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/5
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006・關内正一
○關内委員長 徳安君及び山口君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/6
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007・關内正一
○關内委員長 御異議なしと認め、動議のごとく決します。
なお申入書に関しましては、委員長に一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/7
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008・關内正一
○關内委員長 なければさよう決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/8
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009・關内正一
○關内委員長 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。徳安實藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/9
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010・徳安實藏
○徳安委員 昨日は大臣に質疑をいたしましたが、きようは大臣でなくてもけつこうでありますから、二、三お答え願いたいと思います。
まず第一に第三条でございますが、第三条の三の投資の問題であります。昨日も二、三の委員の方から質疑があつたようでありますが、そのような条項をお加えになります以上は、当然投資の対象というものも相当にお考えになつていると考えるのであります。現在地下鉄だけにやつているが、ほかにも必要じやなかろうかという漫然たるお気持じやないと思います。従つてできることならば、この投資の対象を明確に承われればけつこうだと思います。言葉をかえて申しますならば、かつて投資しておりました通運事業であるとか、あるいはまた荷役会社であるとか、あるいはガード下を利用してやつております倉庫会社、こういうものを対象にせられるか、あるいは手小荷物会社とか、鉄道に附属したいろいろな事業がございますが、こうしたものに対する将来の投資を、この条文によつて対象にしておりますかどうか、それをひとつ承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/10
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011・植田純一
○植田政府委員 投資につきましてどういうものを考えておるか、かようなお尋ねでございますが、運輸大臣が認可をいたすことになつておりますので、運輸大臣としての認可いたします場合の気持というものを申し上げたいと思うのでありますが、この法律にございますように、業務に直接関連し、かつ業務の運営に必要な事業、鉄道の業務と申しますと、あくまでその主体は旅客、貨物の輸送である。その業務に直接関連するということと、その業務の運営に必要な事業、こういうことがございます。従いまして昨日も停車場会社はこれに該当するかどうかというお尋ねがあつたわけでありますが、停車場会社でも、たとえばターミナル・ステーンヨンと申します小、国鉄と私鉄が一緒に入つておる、そのターミナルの停車場をつくる。一つあるいは二つ以上の私鉄も出資する、国鉄も出資するというような、ターミナル・ステーシヨンと申しますか、そういう場合には、この合同出資の停車場をつくるということは適切ではないかと思います。また鉄道の施設を使いました倉庫会社というようなものも、その状況によつてはあるいは投資するのに適切なものも考えられると思いますが、この文句にございますように、この範囲をみだりに広くすることは、決してこの法の精神でもない、かように考えまして、運輸大臣としましては、この二つの条件を非常にかたく解釈して、認可するかどうかを判断しなければならぬと思います。なお財政上の見地から投資することが適切であるかどうか、そのときどきの財政の状況ということも、これも大きな問題でございます。従いまして今日の財政状態から見ましては、この条文ができたからといつて、そう積極的に投資をすることにはならないかと思いますが、いずれにいたしましても、投資の目的及び金額というものは予算総則に掲げることになつておりまして、個々の場合につきまして国会の御審議を願う。さらにさき申しましたような運輸大臣の認可ということによりまして、その点は慎重にやつて行けるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/11
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012・徳安實藏
○徳安委員 もちろん、この条文にありますように、その精神をくんで御決定になるのでありまして、それを逸脱されるとは私どもは考えておりません。同時にまた国会の承認を求めることになつておりますから、おかしなものが出て来るとは考えていないのであります。ただ私どもの聞きたいことは、現在どういう意図を持つておられるかということであります。こういう条文が出ます以上は、そこに多少の意図があるだろうと思うのでありますから、ひた隠しにされずに、ざつくばらんに、こういうものとこういうものにやりたいのだというお話をいただいた方がいい。これは各方面に注目されておりますから、お示し願えるならお示し願いたい。ひた隠しに隠されるようなことでなく、お考えがあるならば、お示し願つた方がいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/12
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013・植田純一
○植田政府委員 ひた隠しに隠しているということは実はございませんので、あるいは国鉄としては何か考えがあるかと思いますが、少くとも運輸省といたしましては、さき申しました典型的な場合といたしましてターミナル・スナーシヨン、そういうものが現実の問題としてあるかどうか私どもよくわかりませんが、かつこうとして最も適当だと考えられますようなものはそういう場合でないか。あるいはそれ以外の停車場会社、あるいは倉庫会社におきましても、適切な場合、投資することによりまして、国鉄の財政の足りない分を幾分でも補つて、しかも公共の福祉を増進できるというような場合等も考えられます。ただちに投資の問題が具体的に直面しているという点につきましては、別にひた隠しに隠しているという意味ではございませんので、私まだその点につきましてははつきり承つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/13
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014・徳安實藏
○徳安委員 運輸省の方の御意見はそうであるといたしますれば、ただいま御覧明になりましたように、あるいは国鉄の方には何かまたお考えがあるかもしれませんから、機会がありましたならば、国鉄の方にその質問をすることを留保させていただきたいと思います。
さらに私はこの際お聞きしたいと思いますが、運輸省なり国鉄が投資のできない関係から、これに付属した特殊の機関から各方面に出資されているものがあります。こういうものが将来肩がわりされるおそれはございませんか。これを一応お聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/14
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015・植田純一
○植田政府委員 あるいは的確なお答えになつていないかと思いますが、そういうような問題がただちに起きるとは考えませんが、そういう投資の問題がかりに起きました場合には、さつき申しましたように、今日の財政上の状態からしますると、そう投資をじやんじやんやるということも考えられませんし、またなるほど非常に適切であるというふうな事例で、国会の御承認も得るというような事例が起きますならば、運輸大臣が認可する。しかしみだりにこの条項によりまして認可するということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/15
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016・徳安實藏
○徳安委員 投資の対象が未知数だというようには私は考えられないのであります。多少はそこに根拠があるのではないかと思うのですが、経理局長も見えておるようでありますから、もし許されるならばそちらの方からでも御答弁が願えればけつこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/16
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017・高井軍一
○高井説明員 ただいま徳安委員から、具体的に国有鉄道として考えておるものはないかというようなお説と思うのであります。私ども抽象的には、先ほど監督局長から御説明がございましたことく、ターミナル・ステーシヨンあるいは倉庫というようなものを考えておるのでありますが、具体的にさしあたりといたしまして、たとえば本年度の補正予算があれば、すぐ織り込む意思があるかどうかというようなせつぱ詰まりました具体的な問題といたしましては、現在のところ考えておりません。しかしそういう道を開いていただきますれば、そういうような考え々をもちまして、これから企画いたしたい、さように存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/17
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018・徳安實藏
○徳安委員 先ほどちよつとお聞きしましたら、弘済会等——共済組合といいますか、あちらの方から相当出資されておるものがありますが、そういう方面のが、結局国鉄が肩がわりして出資の形になるような、そういう目途はないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/18
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019・高井軍一
○高井説明員 共済組合の方と国有鉄道の方とは全然別でありまして、共済組合といたしましては、そういう資金の運用の面から考えておるのでありまして、共済組合でいたしておりますものを、こういうような投資ができるからといつて、それに肩がわりするというようなことは考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/19
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020・徳安實藏
○徳安委員 私ども、あるいはひが目かもしれませんが、最近御投資をなさつておられるものの内容をときどき聞きますと、国鉄や運輸省で出せないのだから、お前の方で出せというようなことで、そちらと国鉄あるいは運輸省が関係を結ばれる関係から、みずからは出せないが、その付属機関である共済組合から出させるというような行き方をされておるのがあるのじやないかと思うのです。かりに一例をあげれば、ある会社の株を百万株持つ、あるいは二百万株持つ、それは国鉄は持てないが、その組合の方に一応持たせておく。その組合は国鉄と会社とのつながりを強くして、そうして非常に強い発言権を持つ、そういうようなことが過去においてもあり、今後においてもなきにしもあらずと思うのです。そういう点に対して、この投資ができるようになりますと、国鉄みずからが肩がわりをするなりして発言権を持つというようなことがあるのではなかろうかということを世間でも言うておりますから、この際そういう点を明瞭にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/20
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021・高井軍一
○高井説明員 お説のごとく現在共済組合から投資いたすものにつきましても、もちろんこの国有鉄道の方の負担金というものも、その資金の中の構成内容というものになつておるのでありますから、国鉄との関係ということにつきましては十分考えておるのでございますが、共済組合の資金運用につきましては、あくまで堅実なる資金の運用という考え方から参つておるのでございます。従いまして今度国鉄から投資する場合に、そういうものとの関連はどうかということになりますと、この考え方といたしましては、先ほども御説明が政府委員の方からありましたことく、どうしても国鉄が資本に対する発言権を持つていなければいけない、もともと国鉄がやりたいというようなもので、資金の関係からでき得なかつたものにつきまして考えるのでありまして、その間共済組合の投資の考え方と国有鉄道の投資いたしますものの考え方とは、そこに根本的に違つた見方で十分検討いたして参つておると存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/21
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022・徳安實藏
○徳安委員 それではもう一点、端的に質問いたしますが、通運事業に対してはそういう御意図はございませんか。さらにまた現在大きい都市には手小荷物扱い会社を、鉄道を退職された人たちでおつくりになつておるのでありますが、それに対する投資というようなことはお考えになつておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/22
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023・高井軍一
○高井説明員 通運会社に投資するということにつきましては、現在のところ考えておりません。それから手小荷物会社につきましても、現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/23
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024・徳安實藏
○徳安委員 それではあまりくどくなりますから、この問題については、この程度にとどめておきたいと思います。
次に経営委員会のことでありますが、この規定によりますと、「運輸業工業、商業又は金融業」という文字が十二条に使つてあるのでありますが、ほかの方のこうした委員会の委員の選任方法の条文を見ましても、一例をあげますれば電信電話公社のごとき、委員は両院議員の同意を得て内閣が任命するというようになつております。鉄道は商売であるからといえばそうですが、特にこうした文字を加えなくても、私は常識上、電信電話公社のような条文だけでけつこうではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/24
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025・植田純一
○植田政府委員 どうもこの点につきましては、従来からございます文字でございまして、特に国鉄につきましては、広汎な仕事の性質上、各般の方面に関係があるわけでありましてこういう列挙しておるような仕事と特に密接だということを現わしたのであります。いずれにいたしましても、従来からございます規定でございまして、おそらくこういう字句を入れておることが適当であろうということでお定め願つた問題だと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/25
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026・徳安實藏
○徳安委員 私はむしろもつと選任方法については制約を受けずに、広い範囲で自由に選任できるような行き方の方がいいのではないかと考えておるわけなんであります。あとからできましたものの法律を見ますと、大体そういうことが多いようでありまして、特に国鉄だけにこうした職業別なものが羅列してあるということは、かえつて適材適所、りつぱな人を選ぶのに困るのじやないか、かようにも考えるので、実はごの質問をしたわけであります。この点につきまして、あとからでもけつこうでありますから、そうした意思が全然ないのだ、やはり業種別で適任者を選ぶのだ、こういうことであればそれでもけつこうなのでありますが、私はさようなことでない方がいいのじやないかという気持で質問をしたわけであります。
次に委員の議決権の問題でありますが、第十六条によりますと、委員長かあるいはこれを代理する人、そのほか二人、三人出れば会議が成立して、そうして過半数によつて議事をきめる、こういうことになつておりますが、三人出ました場合には、委員長あるいは委員長を代理する者が議長になると思うのです。そうすると残るのは二名であります。ほかの法律では多少そういうこともあるようでありますが、委員長が全部会の決に加わつて、そうして同数の場合にはさらに議長が採決するという行き方に出れば、三人出ればあるいは二対一になります。しかしそうではなくて、委員長はあくまでも採決のときだけ表決権を使用するのだということになると、委員の間では一対一にしかなりません。非常に重要なこの委員会が三人出て、委員長が一人議長になつて、二人が両方に意見が君かれたというような場合には、あるいは議長の採決できめるのでありましようか。これまでの監理委員会の経緯もありましようが、ひとつ例をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/26
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027・高井軍一
○高井説明員 現在やつております議決の実際を申し述べますと、現在の監理委員会におきましては、やはり各委員が御賛成と申しますか、意見が合致いたしますことが常になつておりまして、これがいろいろ問題になつておりますときにつきましては、これは一応保留いたしますとか、検討をいたしますとかでやつておりますので、何対幾つの決議というような実際はないのであります。それで私から国有鉄道として申し上げるのはいかがかとも思うのでありますが、今度の経営委員会の議決にいたしましても、これはおそらくそうした少数の、特に委員長以下二名の御出席のときにおきまして意見がわかれるということがありますれば、これはさらに慎重に審議をいたされまして意思決定をしていただけるもの、さように行くのが普通じやないか、さように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/27
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028・徳安實藏
○徳安委員 他の委員会の規則を見ましても、電信電話公社あたりの方は参考として出て来ておりますが、やはり可否同数のときには委員長がこれを決するというふうなことが書いてあります。今度は国鉄の方にはそれがないのであります。従つて常識によつてやるのだとおつしやれば別でありますし、ただいまのように異議がまつた場合には留保しておいて意見をまとめるのだというのなら別でありますが、必ずしも重要問題の決定にはそうばかりも行かないのじやないか。かりに総裁に対して同意を与えるときにいたしましても、二十条によりまして四人以上の出席がなければいけない、こういうこと」なつておりますが、四人になりますこ、結局座長が席につけば二対「になるときもありますから——その同意を与えるか与えないかというような場合は、委員長が加わらないので、一名賛成する者と違つた意見を持つ者がありますれば二対一の表決になりますかつ、二の方が勝つのか、こういうようは点は、ただ話合いで円満に解決がつれと思うからというだけでなくて、あり程度はつきりしておくことが必要ではなかろうか、かように考えるのであります。過去の監理委員会はむしろあまり偉い人ばかりで、なれ合いみたいなことで、まあようござんしようというくらいな行き方ばかりやつていたのではないか、私はそういうことも考えられる。もしそうだとすればこの監理委員会とか、あるいは経営委員会というものも、今後再検討しなければならぬ。わずか三八くらい出て、座長が一人出てどちらかにきまつて行くのだ。もし一対一というようなことになつてきまらなければ、また会議を開くのだということになつて、最後にはお互いだからこれはかんべしんなさい。まあよかろうというような、なれ合いばかりやつているのなら、こうした市要な問題を託するに足る委員会ではなかろうと思うのです。諮問機関なら別です。これは諮問機関じやない。非常に重要な意思表示をする機関でありますから、さようななれ合いばかりではいけないと私は思う。こういうことにつきまして、できることならば過去の監理委員会における経過、何回開かれてその間に何人出て、そうしてその採決はどうであつたかということを、将来の参考としてお示し願えれば仕合せだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/28
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029・植田純一
○植田政府委員 ただいま高井経理部長の話は実際の運用につきましての話だつたと思いますが、この十六条の経営委員会におきまして、いろいろ考え方によりまして議論はあるかと思いますが、議決の方法につきましては疑問はないじやないか、さように思つております。可否同数のときはやはり委員長が決するのであります。なお監理委員会につきましては資料を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/29
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030・徳安實藏
○徳安委員 可否同数のときは委員長が決すると言われましたが、そういう場合には、委員長は委員としての権限を行使する場合には加わらないのでありますか。加わつてさらに委員長としての採決をするのでありますか、それをひとつお伺いしたい。ものによりましては委員長が、委員として賛成とか反対の票を入れておいて、そうして可否同数の場合にはさらに委員長が委員長の特権でどちらかに決するという場合もありますし、今の地方議会のごときは議長は全然投票しません。議案に付する賛否をきめずにおいて、可否司数のときだけに議長の権限を行使する、こういう行き方であります。それはどういうぐあいになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/30
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031・植田純一
○植田政府委員 委員長は投票議決に加わらないのが慣例になつておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/31
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032・徳安實藏
○徳安委員 私はよく考えていただきたいと思うことは、非常に大きな重要な責任を持つ委員会でありますから、三人出て委員長が採決のときだけは採決権を行使する、委員としての議決には加わらないということになりました場合には、三人出て議長が席につけば、あとは一人一人もし意見がわかれた場合には賛成、反対になる。そうすると委員が六人あつて、三人出て、結局二人ですべての決議が行われておるというようなことは、そんなことはあり得ないじやないか、常識上そんないがみ合うようなことはないのだからといえばそれまででありますけれども、しかしほんとうに真剣に考える場合には、そういうこともあり得るのではないか。またあり得るくらいの真剣さがあつていいのではないかというふうに考えるのでありまして、この点につきましては、特にひとつ当局の方で今後格段の御考慮が願いたいと思うのであります。
私の質問は大体以上で終りますが、最後に二十四条の代表権の問題でありますがこれはどういう場合に必要なんでございましようか、お示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/32
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033・植田純一
○植田政府委員 この代表権は、やはり国鉄の契約等の場合に必要とする、かように考えられるのであります。実際の場合の例につきましては、ちよつとわからないようでありますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/33
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034・徳安實藏
○徳安委員 契約の場合等のことを考えるときには、総裁、副総裁等が関係するような会社から物を買うというようなことはあり得ないことですから、こういうことも私はちよつとおかしいと思うのです。どうせ私は控室に帰る都合もありますので、そういう点につきましては、あとでけつこうでございますから御研究の上で、これはどういうときに必要なんであるかということをお示し願えばけつこうだと思います。
それからもう一つ伺つておきたいと思いますが、きのう大臣に所信を伺いましたが、四十四条のことです。これは事務的に経理局長にお伺いできればけつこうだと思います。かりに石炭が一トン七千五百円で予算に計上した、それを「生懸命交渉して七千円で買い入れることになつたというような場合においても、その浮き上つた五百円というものは経費を予定より節減したという金額に加わるので、ございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/34
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035・高井軍一
○高井説明員 今の御設例のようなことは考えておらないのであります。これはもつばら能率と申しますか、労働と申しますか、そういうようなことを予定いたしたのでありまして、いろいろ規格その他の問題もございましようが、そうした購入の技術とかいうようなものをここには考えたものではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/35
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036・徳安實藏
○徳安委員 その点はよくわかりました。
最後にもう一つお聞きしておきますが、これが通過いたしましたら、経営委員会に切りかえる点もございましようが、大体いつごろ公布されて実施する予定でございますか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/36
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037・植田純一
○植田政府委員 この法律は公布の日から実施いたします。従いまして法一的には経営委員会も公布の日からでございますが、大体そういうことで発足し得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/37
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038・徳安實藏
○徳安委員 予定としてはいつごろ公布になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/38
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039・植田純一
○植田政府委員 それは成立してからでないとちよつとわからないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/39
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040・徳安實藏
○徳安委員 もう会期は今月一ぱいで、かりに延びましたところで一週間も出ずして済むことはわかり切つているのでありますから、むしろそんなことははつきりとお示しいただいて、この国会において通過すれば、いつごろ実施して、経営委員会はいつごろには発足するのだ、もし国会が開会中でなければこういう方法でやるのだということを、はつきりお示しになつた方がすつきりとしますから、あまり御遠慮なさらずにおつしやつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/40
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041・植田純一
○植田政府委員 成立いたしますと、できるだけ早く公布されるのが慣例であります。従いまして、公布は従来の慣例でできるだけ早く公布されると思います。従つて経営委員会につきましても、手続その他の関係もあるかと思いますけれども、できるだけ早く発足する、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/41
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042・徳安實藏
○徳安委員 これで私の質疑は打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/42
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043・關内正一
○關内委員長 楯兼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/43
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044・楯兼次郎
○楯委員 まず冒頭に一つお伺いいたしたいのは、この改正案を見ますと、将来国鉄は独算制でやつて行こうということが見受けられます。そういう前提に立つて私が心配をいたしますのは、昨正も少し触れたのであります。か、現在の国鉄の経営からいつて、当局者、経営者が考えているような方法で行つた場合には、行き詰主つてしまうのではないかという点をおそれているわけでありますが、もしこの改正案か通つて実施されて、将来だんだんと赤字が出て参りました場合には、いずれの点に突破口を求めようとされているのか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/44
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045・植田純一
○植田政府委員 もちろん国鉄は国有鉄道法の一条にございますように、能率的な運営によりまして公共の福祉を増進するということであります。公共企業体になりました趣旨の一つの大きなものは、やはり能率的運営であろうご思います。そういうような面から、さらに今回の法律改正も、能率的運営ということを眼目にいたしておりますことは事実でございます。ただ必ずしも独立採算ということが十分徹底されているとも言えない面ももちろんございますが、少くとも能率的運営ということを目ざして今回の改正を行つているわけであります。従いまして、その経営上能率的な運営をはからなければならぬことはもちろんであります。またその独立採算と申しますか、自己の収入をもつて経営を何とかやつて行けるように考えるということが、一つのねらいであろうと思います。そういうような点を瞑目とすることはいいのでありますが、そのためには、あるいは場合によりましたら、運賃というものも考えなければならぬ、そういう問題が当然起つて参ると思います。ただ国鉄という現在置かれている立場、また採算制ということに必ずしも徹底しておらぬ公共性の面からの、いろいろな国策上の線に沿うて行わなければならぬという面もたくさんある。今後もまたそういう面がたくさんあるであろうということも事実なのであります。そういう面の調整によりまして、いろいろと経営上の今後の対処すべき問題が起つて来ると思います。運賃と申しましても、おのずから限度があろうと思います。あるいはまた合理的運営ということにつきましても、おのずから限度があろうかと思います。何と申しましても、国鉄が合理的な運営によつてますますその事業を発展せしめる、こういうために、いわゆる公共企業体としての立場上必要であるという場合におきましては、独立採算ということを目途にいたしておりましても、いわゆる国家的な保護といいますか、そういうものも当然必要であろうと思いますし、そこら辺のところをいろいろかみ合せまして、今後の国鉄の運営というものが考えられて行く、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/45
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046・楯兼次郎
○楯委員 長い御回答をいただいたわけですが、どうも抽象的で私にはわかりません。私はもつと端的に私の問わんとするところを要約いたしますと、現在の公共企業体における国鉄が、現在の公共性から生じて来るところの赤字といいますか、そういうものが、今あなたがおつしやるような職員の能率の向上によつて補い得るかどうかという点を御質問申し上げておるわけです。あなたの方に、職員の能率の向上あるいは企業の合理的運営によつて、現在実施されておる公益性から来るところの欠陥を将来補つて、なおかつ設けられましたほかの条文を生かして行くという自信があるかどうかという点をお伺いしておるわけです。この点について簡単に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/46
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047・植田純一
○植田政府委員 もちろん国鉄全般の能率の向上ということが必要でありますが、これだけで国鉄が公共の福祉を増進するのに十分であるとは考えておりません。能率の向上ということももちろん必要でありましよう。またそのほかの職員の能率だけではどうにもならぬ、つまり資金の面であるとか、あるいは国のいろいろの保護であるとか、そういうような点につきましては、十分考えて行かなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/47
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048・楯兼次郎
○楯委員 再度お伺いしたのでありますが、文字上の抽象論であると思います。この問題は今日においては大きな問題になつておらないと思いますが、やがて近き将来、例をあげて申しますれば、再度運賃の値上げをしなければならない、あるいはほかの方面において何らかの手を打たなくてはならないというような事態が、必ずや起きるであろうというふうに私は憂慮をいたしておるわけでございますので、どうかこの点をひとつ十分研究になつて、この法案が最も合理的に運営をされるように御検討を願つておきたいと思います。
次にお伺いをいたしておきたいことは、今度の改正案は財務会計制度の改正のみでありますが、私がしろうと考えで、現在ある、改正前の法文を一読いたしましても、きわめて公共企業体としての不合理な法文があると思います。従つて財務会計制度をば改正するならば、なぜ他の不合理な条文を改正しなかつたか、この点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/48
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049・植田純一
○植田政府委員 財務会計の改正というものが、国鉄の能率的運営上特に必要であると考えたのでありまして、それ以外に特別に緊急に改正しなければならぬというふうにも考えていなかつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/49
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050・楯兼次郎
○楯委員 考えておらなかつたということは、管理者として今の御回答では私は非常に不満であります。従つて私はこの改正案に盛られておらないところの、たとえば他の人事制度その他の点について、二、三御質問を申し上げたいと思います。
まず第一に、これは私が議員立法として提案をいたしましたので、ここであなたと論議はしたくないのでありますが、当然与えられた公民権というものを不当に侵害しておりますところの二十六条の改正等は、あなた方が率先をして改正すべきであるというふうに私は考えておつたわけでありますが、なぜこの条文を等閑に対しておつたか、その点を御回答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/50
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051・植田純一
○植田政府委員 この点につきましては従来からいろいろの御意見があり、またごもつともな御意見もあるということは十分承知いたしておりますが、政府としても改正をなすだけの意見が実はぎまつておりません。そういうような状況で出なかつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/51
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052・楯兼次郎
○楯委員 それではこの点についていま一点お伺いいたしますが、私は総裁であるとか、あるいは所属長というような人たちが、作業に支障があるので兼職はできないというような国鉄部内におけるところの制約ならば、まだ話がわかると思います。それを法律をもつてこうしたわくをはめて行くということは、非常にけしからぬことであるというふうに考えます。従つて政府の方にはいろいろな関係から異論があると思いますが、ここらあたりを断固勇気を持つて国鉄の経営者は改正をするのが、私は最もよき官僚ではないか考えておるわけでありますが、その辺の見解を承りたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/52
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053・植田純一
○植田政府委員 私も政府の一人でありますが、政府として意見がきまりかねております問題でありまして、そういうような状況でございますので、法の改正というところまで行つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/53
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054・楯兼次郎
○楯委員 それではいま一点、同じ公住であるところの専売公社は制限がございません。それから電信電話公社においては、市会まで兼職することが認のられておるわけでありますが、実際国鉄の場合、私も常識的に考えまして、県令であるとか国令であるとかについては、いささか作業に支障があろうというふうに考えますので、少くとも他の公社と同一に、市会までくらいは当然これは許すべきであるというふうに考えるのでありますが、監督者としてはたして国鉄の職員が市会議員になることが、支障があるかどうかという見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/54
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055・植田純一
○植田政府委員 支障があるかどうかというお尋ねでございますが、支障のある面もあるかと思います。またそうでない面もあろうかと思いますが、要するにに国会でいろいろ御審議の結果ういうふうなことになつておるので、私どももそういうふうに了承いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/55
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056・川島金次
○川島(金)委員 今楯君の質問に対して、何か支障があるかのごとくあらざるがごとく言われましたが、今兼職者は、御承知の通り県会議員以下市会議員、町村会議員がおります。ごとに市会議員以上の者がおることにおいて、現実の国鉄の運営と事業に著しい支障のある実例が現にあるのかないのか。私はこれが一番問題だと思う。私の見るところでは、その人たちが兼職しておることによつて、その職場が仕事の運営の上において著しい障害が起つておるという具体的な事実を、われわれは知らないのであります。さしたる支障がないとわれわれは理解しておるのですが、その点はいかがでございましようか。非常に重要なことなので私からもお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/56
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057・植田純一
○植田政府委員 私御答弁申し上げましたのは、非常に抽象的な答弁でありますが、実は抽象的な答弁を申し上げる程度の知識しかないのでございます。確かに支障のある面もありましようし、あるいはプラスになる面もわれわれわれは抽象的には考えられると思いますが、具体的にどういう支障があつたというような例がありますかどうか、これは国鉄に十分聞きまして御答弁いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/57
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058・楯兼次郎
○楯委員 次にお伺いいたします。これは改正案ではございませんが、先ほどの続きであります。二十七条の任免の基準から、三十一条の懲戒に至るまで、これは公共企業体労働関係法における第八条の、いわゆる団体交渉の対象であるというふうに解釈いたしておるわけでございまするが、公労法を片方で生かし、団体交渉を認めながら、法律のわくによつて団交を妨げておるという点について、あなたは非常に不公平な取扱いであると思わないのかどうか、御回答願いたいと思ヒます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/58
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059・植田純一
○植田政府委員 この程度の事柄は、公共企業体の性質上あつてしかるべきじやないか、かように考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/59
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060・楯兼次郎
○楯委員 あつてしかるべきであるということは、一体公労法における団交の対象として——あなたは運輸省の方でありますので、労働組合との団体交渉はやられておらないかもわかりませんが、私が今まで聞いておりまするところでは、これらの基準についても団交が現実に行われておるようなことを聞いておるわけであります。そういたしますると、片方では法律のわくで縛り、片方では、幾分かは知りませんけれども、団交の対象として話合いが行われておる。これでは労使間におけるところの真剣なる団体交渉というものも行われないし、ひいては企業の経営あるいは能率の向上というような面についても、支障があると私は考えておりまするが、その両方にまたがつておるという現実に対して、あなたはどういうふうにお考えになるか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/60
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061・植田純一
○植田政府委員 この法律によつて団交を禁止しておるということでありますが、当局といたしまして団交を別にこれによつて阻止しているわけでもございません。またこういうような問題につきましては、たとえば給写の問題にいたしましても、さらにいろいろと団交を必要とする内容の大きな部分が残されておるのじやないか。法律でこの稚度のわくと申しますか、規定を置いておりますことは、決して不都合ではなかろう、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/61
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062・楯兼次郎
○楯委員 今ここであなたと討論をしても、平行線でありますので、結論は出ないと思いまするが、これは明らかに不当であると私は考えます。従つて、なまいきなことを言うようであのますが、よくお考えになつて、他日の機会に改正をしていただきたい。
それからいま二つばかり改正案以外にお尋ねしたいことは、三十二条でありますが、服務の基準というところの第二項に、きわめて大時代的な、封建的な字句が使つてあるわけであります。それは「職員は、全力をあげて職務の遂行に専念しなければならない。」全力をあげてとは何を意味するのか、ひとつお教えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/62
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063・植田純一
○植田政府委員 「全力をあげて職務に専念しなければならない。」この文字通りのことだと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/63
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064・楯兼次郎
○楯委員 こういう説明のできない字句は、これまた他日機会のあるときに削除をしていただきたいと思います。でなかつたならば、はつきりと万人が納得するような説明のつくようにしていただきたいと思います。
次に三十三条でありまするが、ここに労働基準法によるところの例外規定があります。しかしこの中の第三号の、列車が遅延をいたしましたときには、無条件に超過勤務させることができる。これは明らかに労働基準法の精神に違反した条文を盛つておるというふうに考えておるのでありますが、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/64
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065・植田純一
○植田政府委員 列車の運行というものが、国鉄の業務の中心の一つの業務でありますので、こういうことを規定したのでありまして、この点につきましても、この規定がありまして不都合だということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/65
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066・楯兼次郎
○楯委員 私はこの法律によつて縛らなければ超過動務を職員がやらない、そういうことを言つておるのではありません。もちろん列車が遅延した場合、あるいはその他の場合においては、超過勤務をすることは当然でありまするが、これは労働基準法の三十六条によつて、協定を締結してからやらせるべきが、基準法の精神であるというふうに考えておるわけです。機関車乗務員はなるほど機関車に乗つておりますので、列車が遅延した場合に、途中で下車するということはできないと思います。しかし駅の従業員であるとか、同じ機関車でも地上勤務者であるとか、その他関係者が非常にたくさんおるわけでございまするが、ただ列車が遅延をしたときをもつて全職員を拘束して行くということは、明らかに労働基準法の違反であると私は思います。従つてこれもあとでよく調べていただければわかることと思いまするので、他日機会のあるときにこの項も改正をするように御要望申し上げておきます。
次にお伺いいたしたいことは、第三条の投資の問題であります。これは昨日から、一体どこへ投資をするのか、こういうような問題が盛んに論じられまして、立案者の方も具体的にはこういうところへ金を使うということは回答をされないように私は思つております。私がここで一言申し上げたいことは、現在鉄道会館が非常に問題になつております。この鉄道会館の事件とこの第三条を関連して考える場合に——私はきのうからのほかの委員と考え方が違います。といいまするのは、国有鉄道が自己に必要なる施設をつくる金にも困る。まあ困りはしないかもしれませんけれども、非常にしぼつておる。従つて鉄道の新施設に民間資本を投入をしてやつて行くというところに、私は鉄道会館のような事件が起きて来ると思います。従つてもし停車場にああいう施設をつくるならば、鉄道の資本を投下してやりますれば、これは常識の域を越えない程度の施設ができまして、あのような醜悪なる——醜悪なると私がこれを確定をしていいかどうかわかりませんが、ああいう問題の発生する余地がないと思います。これは鉄道会館ばかりではなく、その他いろいろ国鉄に関連をいたしましたところの業務がございまするけれども、国鉄自体がおやりにならないので、民間資本がそこに寄つて来る。そして第三者がやりまするので、年数が経過いたしますると、ああいうような問題が起きて来るというふうに私は解釈をいたしておるわけでありまするが、立案者としては、この点どういうふうに考えておるか、明確なる御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/66
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067・植田純一
○植田政府委員 確かにただいま楯委員の御説の点も同感でございまして、あくまでも鉄道の業務に直接関連する、あるいは業務の上に必要な部分が大部分を占めておる、もう少し部外と協力すれば、非常に国鉄の足りない面を補つて、しかも公共の福祉を増進することができる、そういうような場合に投資ということが考えられる。財政上の見地から一体どの程度やるかということは別としまして、観念的にはそういうふうに考えられる。いわゆる直接関連しあるいは業務の上に必要な部分が少くて、そうでない部分が多いというような事業は、投資する事業としては適当な事業ではない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/67
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068・楯兼次郎
○楯委員 今政府委員の答弁の通りだと思います。現在までもやろうと思えばやれたかもしれませんが、こういう規定がなかつたので、今日の東京、池袋その他のように、まるで第三者の資本を投入をして、鉄道が停車場の乗降の施設を借りておるというような結果を来しておる。そういうふうに考えますので、私はこの条文を生かして、将来よしんばこういう第三者の資本を集中したといたしましても、鉄道があくまでも自主旛を持つて運営をして行かなくてはならない、こういうふうに考えておるわけでございますので、この点も質問と同時に御要望を申し上げ、かつ先ほど来、この三条の三項においては具体的な目標が立たない、わからない、将来の問題であるというふうに承つておつたわけでありますが、私がただいま申し上げましたように、もしこの法案が改正になりましたならば、実施をしていただきたい、このように考えます。そうしますればいろいろな疑惑が——実態はこれから調査しなければわかりませんが、もしないといたしましても、いろいろな問題が起きて来るし、またそういう弊害が将来とも伴つて来るというふうに考えられますので、ぜひそのようにお願いをしたいと思います。
次に、たくさん質問がありますので簡単に御質問申しますが、私は国鉄がコーポレーシヨンとして今後円滑な運営をして行くためには、あまりにも監督機関といいますか、そういうものが多過ぎると思います。簡単にこの法文を見ましても、総裁があり、その上といいますか下といいますか、経営委員会があり、運輸大臣あり、大蔵大臣があるというように、屋上屋を架したような組織になつております。これでは民間企業に対抗して行くような、ほんとうに大衆の利便になるような円滑な運営は行われて行かないと考えるわけであります。当局者としてはこの点いかように考えられて立案をされたか、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/68
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069・植田純一
○植田政府委員 確かに屋上屋を重ねたような監督機構と申しますか、運営機構につきましては、十分考慮しなければならぬ問題だと思います。それで国鉄の運営の方針といたしまして、できるだけ国鉄に自主性を持たすという方向と、その反対の方向とがあろうかと思うのであります。少くとも公共企業体に移行いたしました精神から見まして、国鉄の自主的な能率的な運営をはかつて行くことが、その精神ではないかと考えられるのでありまして、今回の改正もできるだけそういうような方向に改正をいたしたわけであります。そういうような観点から、でき得るならば、この監督も簡素にするという考えで参りたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/69
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070・楯兼次郎
○楯委員 このような監督機関ばかり多くして、三十九条を見ますと、予算の弾力性を持したということになつておりますけれども、ただいま申しました一例によつても、私たちは一体どういう弾力性があるのかわからないのであります。従つて三十九条にいうところの予算の弾力性とは、具体的に一体どういう場合にたれがどういうふうにするのか、簡単な例でよろしゆうございますから御明示を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/70
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071・植田純一
○植田政府委員 大体予算と申しますものは、非常に数字が固定しておるのが普通の予算であります。ところが国有鉄道のような企業体におきましては、事業の分量にいろいろ変遷がありまして、事業の分量が増加いたしますると、その収入が予算におきまして予定した金額より増加する。またその半面支出も増加する。かようなことで一つのきまつた数字で押し通すということは、事実問題としまして、国鉄のような企業体におきましては非常に不都合が生ずる。そこで事業量の増加によりまして、収入がふえたというような場合、その増加する収入の一部を事業のために直接必要とする経費に充てる必要が事実起きて来るのであります。その場合当初の予算の金額とかわつて来る。こういうような性質を持たすことが予算の弾力性でありまして、実際の場合におきましては、運輸大臣が大蔵大臣と協議いたしまして、そういう変更を認めるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/71
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072・楯兼次郎
○楯委員 三十九条は、公共企業体にとつてきわめて適切な法文であると考えます。なるほど事業の能率的運営をするとか、経済事情の変動あるいはその他の面において予算に弾力を持たして、それに即応する態勢をとるというふうに書いてありますので賛成をいたしまするが、三十九条の二以下を見ますると、実際事業の監督をして行くところの運輸大臣は、最後まで大蔵大臣が予算決定権どころではない、予算の調整権まで握つておつて、悪く言いますとあたかもロボットである。実際交通機関を監督するところの最高責任者としてはロボツトのごとき感じを与えるわけでありますが、せつかくの三十九条その他の規定も、この項目によつて画龍点睛を欠いておるというふうに考えるわけであります。なぜこの点もう少し運輸大臣に権限を持たし、そうして非常事態あるいは経済事情の変動、需要の増加等に即応して、すぐ簡単に手の打てるような方向に改めなかつたか、この点についてお伺いをしたいと思います。
なおついででありますので申し上げますが、電信電話公社等はきわめて適切なる条文になつておると考えております。同じ公社でありながら、こういう不合理をなぜあなた方は改正をして出さなかつたのであるか、この点について御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/72
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073・植田純一
○植田政府委員 この国鉄の予算は、国の財政、金融という面と相当関連を持つておりますので、運輸大臣と同時に、一国の金融、財政をつかさどつております大蔵大臣とも関連が生じて来るということは、ある程度まではやむを得ないことじやないか、さように考えているわけであります。ただ、ただいま御指摘になりました三十九条の二の手続の、いわゆる予算の調整をだれがするかという問題であります。電電公社におきましては、大蔵大臣と協議をして郵政大臣が調整することになつておる、かような関係から申しまして、運輸大臣が国鉄の事業の主管大臣であるという観点から見ましても、運輸大臣が調整をしてしかるべきじやないか、かような点はごもつともでございまして、実ば私どももそうあるべきじやないかということで、事務的にいろいろと折衝いたしておつたわけであります。しかし一面におきましては、大蔵大臣が調整するのが至当であるというような意見もございまして、その間なかなか話合いがつかなかつたわけであります。結局閣議におきましても、いろいろと相談の結果、最終的に提案のような、いわゆる大蔵大臣が運輸大臣と協議して必要な調整を行うということが、至当であろうというふうにきまつたようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/73
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074・楯兼次郎
○楯委員 私はここらで勇気を持つて、そうなければならないという回答をいただきたいわけでございますが、お立場もあることでありますので、この点は留保いたしまして次に移りたいと思います。
私が全体を通じて非常に遺憾であると思いますのは、現行の四十一条の二の交付金の項を削除しておることであります。簡単に申し上げまして、前国会の本委員会において、定期券であるとか荷物の割引であるとか、あるいは先日も本委員会に出されましたところの遺族の割引であるとか、そういうようなものを総合いたしますると、的確には出ておりませんけれども、原価計算を相当下まわつた運賃で、公益性の面から輸送をしておるということを承つておるのであります。なお常に本委員会の問題になりますところの新線の建設等は、非常に地方民の熱望がありますので、全然これを押えてしまうということもできないと思います。従つて新釈た営業開始にならましても、先日来の回答では五年、長いのは十年も採算が合わない、こういうようなことを聞いております。明らかに日本全国におけるところの新線建設というものは欠損である、赤字であるということがはつきりいたしております。また最近襲いました北九州等の水害、また和歌山県等におけるところの水害などの天災地変の場合、こういう場合には、私はその程度もわかりませんし、前に申しました低賃率あるいは新線開発等は、社会公益性から行きまして当然国有鉄道がやらなくてはならない。しかしながら採算が合わない、当然これは新線の建設を命ずると同時に、私は政府がその損失については国有鉄道に補償をする、そういう前提があつてこそ、政府の新線の開発ということが命ぜられてしかるべきであるというふうに考えております。また低賃率の問題についても、これが制定される前にそれだけの補償をして、さあおやりなさい、こういうのが私は常識であるというふうに考えておりますが、現在の日本国有鉄道については、幾ら赤字が出てもなかなか補償もされない、こういう現実に立つて、第四十一条の二の交付金制度をあなた方自身の手において削除をするということは、私が冒頭に御質問申し上げましたように、やがてこの改正案が実施をされましても、国鉄の円滑なる運営と大衆の要望というものが行われなくて、やがて行き詰まるのではないかというように私は憂慮をいたしておるわけでございますが、この重要な交付金の条項をなぜ切除をして、ここに提案したかということを私は承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/74
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075・植田純一
○植田政府委員 交付金の条項は、この前の条文の利益のいわゆる一般会計に納付ということと関連いたしておりまして、利益があれば一般会計に納付する。損失が生じた場合において特別の必要があると認めるときは交付金を出す、こういうようなことになつておりまして、これが国鉄が企業のいわゆる能率的な運営をはかるという面から見まして、提案いたしておりますような処理方法が適当ではないか、かように考えたわけであります。
また御指摘の定期の割引が非常に高い、あるいはまた新線建設のお話も出ました。これにつきましてのお話につきましては、私どももそういうような感じは持つております。国有鉄道が採算の合わぬ、損をするようなことはすべきでないかどうかということにつきましては、若干疑問があります。公共企業体として必ずしも損するからしてはいかぬというふうには、ただちに結論づけられないと思いますが、新線建設あるいはまたあまりに高額の割引というものにつきまして、国鉄が社会的な政策によつて相当の負担をしておるということは、十分認めなければならぬと思います。こういう点につきましては、別途の考慮によりましてそういう問題は解決して行かなければならぬ問題ではないか。新線建設等につきましては、今までたびたび議論がございますように、その財源を政府の出資にすべきではないか、あるいは少くとも利子の補給をすべきではないかというような、有力なる御意見も伺つております。こういう面につきましたは、今後極力そういうふうに努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/75
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076・楯兼次郎
○楯委員 それでは時間もございませんので、簡単にあと二、三質問をいたしたいと思います。
この四十四条の給与準則でありますが、この条文は非常に不可解であると私は思います。給与総額をきめ、給与準則をつくつて、そうして片方では大きな労働組合を控えまして団体交渉をしておる。ところが実際は団体交渉で必要を認めても、給与準則がはつきりあつて、あるいはそれに伴うところの給与総額の予算というものがきまつておつたならば、団交を認めてはおるのでありますけれども、これは何ら効果がない。効果がないどころではない、これを逆に解釈をいたしますと、この四十四条において国鉄労働組合との団交を否認しておるというふうに私は解釈をいたすのでありますが、この点についてあなた方はどういうふうにお考えになるか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/76
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077・植田純一
○植田政府委員 この四十四条は、団体交渉を否定しているものでは決してございません。ただ公共企業体といたしまして、一つのわくが必要であるということでできておる規定である、かように解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/77
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078・楯兼次郎
○楯委員 私は予算の一定のわくをきめるということについて、これは野放しではいけないと思います。従つて国会の承認によつて予算が組まれるということについては、私は了承をいたしておるのでありますが、ならば、その予算の中で、さらに給与準則であるとか、あるいは給与総額でもるとか、あるいは何であるとかいうようにわくをはめ、区別をすることがけしからぬと私は思います。たとえば簡単な例をとりますならば、現在組合はベース・アツプの要求を出しております。やがて近く調停案が出、あるいは仲裁裁定が出るということになると思いますが、そんなものが出ましたところでこれは何もならない。あるいは手当の増額を妥当と認めて話をつけ、調印をしようにもしようがないじやないか、そういうような点を考えてみますると、こんな給与準則というものを設ける必要はないと私は思う。国会においてきめられた一定の予算のわく内において必要を認めたときには、運輸大臣なりの許可を受けて、当然総裁が他の費目の流用によるなり何なりして、組合の要求に沿つて行くよりに法文ができておらなければ、団体交渉を否認をしておるというふうに私は解釈しても、さしつかえはないということを申し上げておるわけであります。従つてこの点について、なぜ四十四条の給与準則等を削除しなかつたか、この点についてくどいようでありますが、もう一回ひとつ御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/78
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079・植田純一
○植田政府委員 四十四条の給与準則というものは、これは給与を支給する場合の準則と申しますか、給与をみだりに思いのままに支給するということがあつてはいけないのでありまして、給与を支給する場合の準則というものをきめなければならぬという規定でありまして、これはどうしても必要であろうと思います。ただ楯委員のおつしやるのは、それが給与総額のわく内でやつて行かなければならぬというように、給与総額をきめることは問題ではないか、かようにおつしやるのだと思います。給与総額をきめることが妥当であるかどうかという点につきましては、いろいろ議論もあることは承知いたしておりますが、今日の給与、また公共企業体というものの性質から見まして、やはり給与総額というものは一つのわくとして必要ではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/79
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080・楯兼次郎
○楯委員 私はある一定の基準をきめるということについては、了承いたすわけです。しかしこの四十四条の給与準則というのを見てみますと、はつきりとわくで縛つてしまつてある。融通性がないという点について、これでは真剣な団体交渉もやれないし、従業員こしてもほんとうに明るい望みを持つて、真剣に仕事に精出すことは無理ではないかという点を申し上げているわけであります。従つて、なるほど常識程度のわくは必要であるか知りませんけれども、これらの条項に即応し得るように、この会計制度の内容をかえて行くべきではないかというふうに考えているわけでありますが、時間がありませんので、あと一点だけ質問して私は打切りたいと思います。
それは、昨日私は四十四条の二項において、きわめてあいまいな字句が使われている点について質問を申し上げ、御回答を得たわけでありますが、きのうの御質問申し上げた続きについてお伺いしたいのであります。それは特別の給与ということがうたわれているのでありますが、特別の給与とはどういうものであるか、たとえば具体的な例を申し上げますと、公労法第八条にいうところの、いわゆる労働条件の対象というものは、徳安委員が心配されしおりましたように、当然団交によつときめられて行くというふうにわれわれは考えているのでありますが、その対象事項として見ていいかどうか、この点について後日紛争が起ると思いますので、立案者の見解をはつきり伺つしおきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/80
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081・植田純一
○植田政府委員 特別の給与と申しますのは、恒例的でない一時限りの給与の意味でございまして、ただいまお尋ねの公労法第八条第二項の給与であるから、団体交渉の対象となるのではないかということでありますが、そういう団体交渉の対象となるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/81
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082・楯兼次郎
○楯委員 では対象となるというふうに解釈いたします。
それでは今度は高井経理局長にお尋ねいたしたいと思いますが、昭和二十四年十二月に年末賞与金制度についての裁定が出ております。従つてこれらの対象になります金額は、今ここにうたわれております特別の給与等の金額を適用して行くのかどうかという点について、お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/82
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083・高井軍一
○高井説明員 お説の通りでありまして、あれを具現化したと申しますか、法規づけるために、あの性格をくみましてこのたびの四十四条の二というものができたものと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/83
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084・楯兼次郎
○楯委員 質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/84
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085・關内正一
○關内委員長 山口丈太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/85
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086・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私は簡単に二、三の点をさらにお尋ねしておきたいと思います。大体楯委員が質問されましたから、私は三条の三項の問題について質問をしておきたいと思います。
この関連産業に投資することのできる規定があるわけでありますが、しかしこれは単に抽象的にその業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」ということになつているだけでありまして、具体的にこの関連産業とはという規定づけもありませんし、そういたします。と、この法律を見た場合には、一体その関連産業とはいかなるものかということも一向に判明しないのですが、これについてはだれが見てもわかり得るような施行規則でもつくるつもりでおられるか、あるいはここでその説明において、その関連産業の種類の概貌でも考えておられるか、ひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/86
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087・植田純一
○植田政府委員 その点につきましては、施行規則をつくることは考えておりません。先ほど来説明申し上げましたように、運輸省といたしましては非常に狭く考えて運用して参りたい、また具体的に今ただちに問題として浮び上つている問題はありませんが、もしも事例が起きましたならば、その目的及び金額というものは、当然この予算総則ではつきりと国会の審議の対象になります。従いまして、かつてにどうするというような問題でもございませんので、その点は公明にやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/87
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088・山口丈太郎
○山口(丈)委員 もちろん予算の使用については、それぞれ監督を受けることになつておりますから、従つてそれで安心をしておればよいようなものでありますけれども、しかしこれだけの抽象的なもので行きますと、たとえばこれ以外に投資をするといたしましても、都合の悪いものはどんな方法によつてでもできるわけです。たとえば共済会あるいはその従業員に対する厚生等の名目によつて何らかの組合をつくらせ、そこに予算を流用してやる。ところがそれは名目であつて、それが他の事業に大きく投資されるというような、いわゆるかご抜け投資というようなことも考えられる。これは悪い考えでありますけれども、しかしそういうことが行われ、あとで取返しのつかぬようになるということは、私ども非常に心配をしておかなければならぬ問題だと思う。そういう意味で、実際問題として、こういうふうな簡単な規定をもつて、そういうことが防げる確信があるかどうかという点についも、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/88
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089・植田純一
○植田政府委員 日本国有鉄道は、公共企業体としてのその持つております使命から考えまして、そう逸脱したようなことはないものと私は信じておりますし、さらにまたいろいろの監督機構等、ことに財政上の政府の監督を受けております。この点はあやまちがないものと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/89
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090・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私がなぜこういうことを言うかと申しますと、これは鈴木委員なり、楯委員が先ほど質問されたような点になるわけですが、実際には、たとえば今度の鉄道会館のごときでも、これは名目は使うということになつておる。そうして国鉄が十億なれ十億を出すわけです。けれども実際的にそれを考えますと、その会館への投資であつて全体に対しての部分に使つて、あとは向うの責任において貸すのでありますけれども、しかしその内容においてはこれは非常に誤解を生ずるような問題が起きていて、今特別調査もやらなければならぬ、こういうような事態になるわけです。ですから、そういうとことがありはじたいかということを憂えるわけです。この法律で行けば、関連産業と言い切つてしまつて、それでは済まされない問題が起きて来る。ですから、そういうものについてはよほど厳重に規制しておかないと、この条文だけを規定して行くことについては、非常な危険が生じはしないかと私は思います。将来そういう問題が起きては困るので、この規定において実際にそういう問題が起きないようになるか、当局はどういうお考えを持つておられるか、これをひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/90
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091・植田純一
○植田政府委員 この規定の関係から申しますと、この規定に、関連しかつ業務運営に必要な事業というように書いてありますほかに、運輸大臣の認可も必要である。また予算面におきまして国会の議決も必要である。かような幾重もの制約がございますので、国鉄自身がこの規定を悪用してどうするということは、とうていできないことである、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/91
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092・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そのあとの問題につきましては、これは特別委員会を設けられることでありますし、鈴木委員からも御質問があろうかと思いますから、私は差控えておこうと思います。
もう一点お伺いをいたしますのは、十六条の問題でありますが、これは先ほど徳安委員から御質問がありましたが、十九条の規定によりまして当然総裁が特別委員として当ることになつておる。そういたしますと、この委員会を開催するにあたつて、二人以上の委員または特別委員の出席がなければ議事を開き、議決することができないとなつております。裏を返しますと、これは特別委員を含めて二人出席すれば、委員長と三人で開ける。これでは、一方は経営の当事者であり、責任者であります。そのほかにもう一人他人さんがちよつと入つておれば、それで会議が開かれ、そうしてこの重要な議決が行われるということは、あまりに不合理ではないか。むしろこの特別委員を除いて二人ということならば、特別委員を入れて合計四人になりますが、しかしそうでなしに、特別委員も含めて人数の中に加わつているのですから、そうなりますと、委員会としては何か変なもので、まつたくお茶飲み委員会というようなことになりかねないというふうにも考えるわけです。このように予算に弾力性を持たせ、あるいはいろピーの幅のある法律にかわつて行くのでありますから、この経営委員会が本来の使命を果すに非常に疑わしい点がある、こういう点は一体立案者としてどのようにお考えになつているのか、ひとつ承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/92
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093・植田純一
○植田政府委員 この特別委員と委員との関係でありますが、この特別委員が議決権を持つということは、今度経営委員会になりました以上、必要なことではないかと思います。そういうような意味で、委員または特別委員というふうな表現にいたしたわけであります。全体といたしまして三人、非常に少いようでありますが、大体定足数というものは半分というふうで簡単に考えたわけであります。重要な事案の議決というものは、おそらくどの委員会でもそうでありましようが、きわめてわずかな出席によりまして開くことは、法律的には別問題としまして、穏当でないということはお互いに了承しておることと思いますので、そういうことはないと思いますが、一応半数と考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/93
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094・山口丈太郎
○山口(丈)委員 この案の精神としては、この委員会の議長は、それでは特別委員である総裁がなるということが前提ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/94
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095・植田純一
○植田政府委員 そういう点は考えておりません。特別委員は委員長になれない建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/95
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096・山口丈太郎
○山口(丈)委員 委員長にはなれないか、それでは議決権は他の委員と同等に有しておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/96
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097・植田純一
○植田政府委員 その通りであります。他の委員と同等に有しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/97
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098・山口丈太郎
○山口(丈)委員 そういたしますると、同等に特別委員たる総裁が議決権を持つていて、そうして二人で会議が開ける。しかもこの委員会に意見を述べるのは、総裁の指名する説明員がこの委員会に来て説明をする、こういうことになるのですから、まつたくこの委員会は、この経営に対してほんとうに批判、検討をする能力を有するかどうかということが、また非常に疑わしくなる。このように考えますがどうでしようか。ちよつと変に思うのですが……。たとえば特別委員として出ている、そうして自分の立場にいいことを弁護させるためには、自分に都合のよい者を業務からひつぱつて来て、そうしてわずか二人しか出ていないような委員会出てどんどんやれば、これはだれだつて、どんなに意思の強い人だつて、満足にほんとうに委員の使命を果し得るような行動をとれないのではないかと思うのですが、その点はどのようにお考えになつておるか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/98
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099・植田純一
○植田政府委員 もちろん専門的な事柄の説明は、特別委員の総裁以外の役員または職員をして説明さすということは起り得ると思いますが、あくまで委員会の主体は委員並びに特別委員をもつて構成する六人の人々でございます。しかもこの委員の任命につきましては、任命の条項にございますように、広い経験と知識とを有する人、しかも両議院の同意を得て内閣が任命する、非常にいろいろな手続のこともむずかしくなつておりますので、十分この目的を達し得る、使命を果し得る、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/99
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100・山口丈太郎
○山口(丈)委員 私はその任命の手続やシステムを言つているのではない。実際にこのような形で委員会が開かれて、そうして自分に都合が悪い、——露骨に言いますと、今度の委員会は、業務についてどうも都合の悪い問題が起きておる、こういうような場合に、何とか自分たちを合理化しようというようなことも起り得ないとも限らないのです。そういう場合にこの規定で行きますと、二人以上の者が出席しておれば、しかも特別委員を含めてもよい。そうなりますと、自分に都合のいい者を、悪く言えば、その委員の片方には速達を出す、片方には普通郵便を出しておいて、実際には自分に都合のいい委員をさつとひつぱつて来るというようなことも考えられるわけです。そうなると、ほんとうの経営委員会としての性格は出せない。しかし一旦議決してしまつたものは、どうともしようがないという結果になる。そういうことでは、実際にこの経営委員会の本来の使命は、果し得られないのではないか。そういう点もどういうふうに考えられるか。この委員会の運営をするにあたつての危惧は何も感じないでこういう原案にされたのか、ひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/100
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101・植田純一
○植田政府委員 お説ごもつともでありまして、そういうふうに国鉄が悪く悪く運用する、国鉄がその使命を没却して非常に運用を悪くするという前提で考えますと、そういうこともあるいは起る心配もございます。もしもそういうことの前提で考えるならば、経営委員会がうまく行かないばかりでなく、国鉄自身と申しますか、法全体の立場と申しますか、考え方というものはくずれて来るのではないか。しかし国鉄の運用の責任者が法を悪く悪く用うるということは、実は考えておらないわけで、そういうことはあり得ないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/101
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102・山口丈太郎
○山口(丈)委員 立案者の考え方は、あまりにも善意に解釈し過ぎておられるのではないか。私はいいことを思つてこれを言つているのですが、あまりにも善意にものを解釈されておりますと、実施してみますと、結果においては将来悪い結果を招来することも「あると考えるのであります。ですから、こういう規定をつくる場合においては、やはりそういうあらのないようにすることが必要である。どこから見ても実際にその法律が運営されるにあたつて、合理的にでき」ておるということが万人に認められるような法律を、この国会においてはつくりたいと私は考えておるのであります。そうすることがとりもなおさず国鉄を救うことになる。もしあまりにも善意な解釈によつて甘い法律をつくつておきますと、結果においてそういうことになるのではないかということを憂うるのであります。そういう点、今までの慣習から見て確信を持つておられるのかもしれませんけれども、しかし今の現実だけをもつて将来を律することは、非常に危険が伴うと思うのですが、そういう点について、少しでも疑義があるかないか、少しも矛盾がないというお考えであるかどうか、私自信がありませんので、もう一つ確たる自信を示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/102
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103・植田純一
○植田政府委員 ただいまのお話でございまするが、立案いたしましたものといたしましては、国有鉄道が非常に公共性の多い使命を帯びておる、こういう観点から、いろいろとその他の面におきましても、一歩運用を誤れば非常に重大な問題がたくさんあると思います。従いましてその問題として考えましても、十分その運用を誤らないように、この目的を達成し得るように運用できると信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/103
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104・山口丈太郎
○山口(丈)委員 それから委員は、これはどの委員も一律に四年ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/104
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105・植田純一
○植田政府委員 四年でございますが、附則にございますのですが、最初に任命されますところの委員は、一人は一年、一人は二年、一人は三年、二人は四年、附則の三項、でございますが、一どきに任期が来ないというふうにしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/105
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106・山口丈太郎
○山口(丈)委員 前の方によりますと、一年、二年、三年、四年、五年と、こういうふうにたつておりますが、かような重要な委員でありますから、従つてまた任期が長過ぎるということも、これもまた弊害を生ずることになると私は思います。しかし、だからといつて一年、二年、三年、四年というようなことにすることも私はどうかと思うのです。附則できめられるというのでありますならば、これは半数交代制にでもするというような御意思はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/106
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107・植田純一
○植田政府委員 それは一人ずつあるいは二人ずつかわつて行く。同時に多くの人が——たとえば半数交代ということになりますと、半分一度にかわるということになりますが、そうでなくして、毎年できるだけ少しずつかわつて行く、かような建前に考えておるのでありまして、そういう方が最も妥当ではないかと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/107
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108・山口丈太郎
○山口(丈)委員 今附則と言われましたが、前には十三条の三項としてこれは規定されていたものですが、この案で行きますと、附則はどこにあるのですか、どこにも見当りませんが……。今のこの法律で行きますと、附則にはどこにもこれは載つておりません。そうすると一体これはあとから附則をつけられるつもりですか。私は法案と一緒に審議しておかなければならぬと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/108
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109・植田純一
○植田政府委員 一部を改正する法律案には附則がついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/109
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110・山口丈太郎
○山口(丈)委員 これは別の資料にあるそうです。それでは大体わかりましたから、次に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/110
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111・關内正一
○關内委員長 鈴木仙八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/111
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112・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 練達堪能な各委員の御質疑に対しで、きわめて幼雅な質問かもしれませんが、事柄が専門的になるのですが、何とぞ御懇切に御教示が賜わりたいと存じます。事柄は蒸気機関車の大量廃車問題について、国鉄の当局に質問をしたい。わが国の機関車製産が過去において最大であつたのは協和十九年で、同年の蒸気機関車は、新造三百九十七台、改造六十一台、廃車四十七台で、保有台数は五千九百四十四台であると思います。なお同年度の電気機関車は新造十六台、改造十五日、廃車なしで、保有台数は二百九十二台、蒸気、電気合計六千二百三十六日となり、これがわが国の国鉄の最大保有量であつたと記憶します。その後客甲、貨物の輸送量は逐年増加をしておるにもかかわりませず、蒸気機関車の廃車が戦後おびただしく、かつ急速にこれが行われております。すなわち昭和二十年において五台、昭和二十一年八十三台、昭和二十二年に百六十四台、昭和二十三年に三百二十三台、昭和二十四年に二百七十一台、昭和二十ユ年に二百十台、昭和二十六年に三十台、以上でありまして、二十年度から二十六年度までに廃車になつた蒸気機関車は実に一千七十六台に上つております。これは国鉄財産台帳に載せてある昭和二十七年度の年度末保有台数の五千六十四台に比べると、二割に相当いたします。なぜ一千台以上もの蒸気機関車を急速に廃車にしたのか、その選定はどなたがおやりになつたのか、スクラップ化した鋼鉄はどういう始末をなされたか、それが輸送力増強に役立つたのか、昭和二十七年、二十八年度はさらに何台つぶしたのか、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/112
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113・高井軍一
○高井説明員 今詳細な資料を持つておりませんので、経理局長といたしましては、お気に召すような御回答がいたしかねるかと思うのでございますが、この戦後非常に急速にふえましたのは、御承知のように廃車いたしますにはいろいろな手続があるのでございます。車をいわゆる除籍をいたしますには、実際長い間使わずにおきまして、ほんとうにもうこれでいわゆる更生と申しますか、用途を廃止してしかるべきものかどうかというので、実際動いておりまして、使わないようになりましてから、この廃車いたしますまで、すなわち私どもではその間休んだ車を休車と申しております。それから長い間情勢を見ましてから廃車、いわゆるこの財産台帳から除いておるのでございます。そういうような関係で、戦後急速にたまりましたのは、戦時中からの老朽機関車の処理が非常に遅れておりまして、そうしてここで処理をしたのじやないか、さように考えておりますが、これはよく調査いたしまして、責任ある御答弁をさしていただきたいと思います。それからこの手続でございますが、これは各実際の部内手続といたしましては、車両の主管は工作局長の方で調査をいたしまして、実地に即しまして、この車はもう除籍すべきだ、財産台帳からもう落すべきだ、廃車すべきだというので調査をして参りまして、そうして関係箇所と会議をいたしまして、この廃車を決定いたすのであります。そしてその廃車を決定をいたしましたものを、今度スクラップとして払い下げるとか、あるいは車によりましては、国有鉄道といたしましては用途は廃止いたしますが、私鉄の方におきまして使えるような車があれば、あるいはそういうものは特別な詮議によりまして、地方鉄道の方に特売随意契約をいたしておるものもある、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/113
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114・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 よくわかりました。それでは何か確固たる資料に基いてまたお答えがあると思いますから、その資料とあわせまして、どういうふうに地方鉄道に処理されたか、それらもひとつ速急に資料を出していただきたいと思います。
この際付言をしておきますが、私ども先般鉄道会館の問題で資料を要求いたしましたが、国鉄ではその資料の要求とはきわめて違つたようなものを出されていると思います。言いかえると、全国の事故のあつた現状、いかなる場合に事故があつたというような資料が必要なので要求してある。これに対して、事故による死傷の人間の数だけしか出ていないというような状況ですから、詳細なる資料を要求いたします。
さらに蒸気機関車の新造は、昭和二十年八十五台、昭和二十一年に百十台、昭和二十二年に百二十八台、合計三百二十三台で、二十三年以降は国鉄は蒸気機関車を一台も発注していない。わが国の車両メーカーはわずかに輸出用をつくつて、施設と工員を辛うじて維持をしているという現状だと聞いております。また電気機関車の新造は、昭和二十年六台、昭和二十一年二十八台、昭和二十二年三十台、同じく二十三年二十台、二十四年と二十五年はなし、昭和二十六年二十三台、合計百七合で、一千台の蒸気機関車をつぶした代替にはなつていないように思います。国鉄の車両発注状態は、このように皆無の年度が電気で二年、蒸気は今年度も入れて六年もあり、わが国の車両工業を不振のどん底に陥れても、なおかつ駅舎、庁舎、事務室などには巨額の資金をつぎ場込んでいる状態であります。これが先般の御答弁のように、国鉄に金がなければ、民間の資本まで注入さして駅舎その他を改造したい、あるいは新造したいというお心持でありますか。さらに老朽機関車を廃車にしたというのは、これは当つていないと思うのですが、国鉄が発行した宣伝パンフレツト「国鉄のなやみ」を見ますと、車輪五十一年以上五十七台、車輪四十一年以上百九十台、同じく三十一年以上七百二十台、合計九百六十七台が車齢三十一年以上である。蒸気機関車の耐用年数は二十五年と定められており、約六千台のうちから一千台以上を廃車にして、差引約五千台が残り、その現有の五千台の中にも、一千台以上の耐用年数超過があります。別の統計によると、二十六年度の保有台数五千七十二台のうち、耐用年数二十五年以上超過の機関車は千八百四十二台、約三七%に上つております。ただいまおつしやつた老朽を理由とするなら、この千八百台もさらに急速に廃車とするのか。また代車新造の具対的の計画を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/114
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115・高井軍一
○高井説明員 最近蒸気機関車の製造を中正しておりますのは、先ほどもお話のありましたことく、電化いたしまして車両が浮いて参りました。そういうようなことで、車両の運用の面から、現在におきましては、幾らかがまんはいたしましても、ふやさないでやつて行けるようなぐあいで新製を中止いたしております。
それから非常に年齢の古いのを持つているじやないかというお話でありますが、年齢的に古いのは、そこに書いてある通りであります。しかし命数と申しましても、古いのから年度的に廃車をいたして行くのではないのでありまして、各車の状況を見、また古いのにつきましても、修繕費を加えて相当更新的にやつて行けるのもございます。そういうような関係から申しまして、個々の車につきまして実際の廃車を考えているような次第であります。
そから今後の新造計画につきましては、蒸気機関車を新製することは考えていないと思うのでありますが、これは詳細な計画を資料をもつてお答えいたした方がいいと思いますから、ここでうろ覚えの返事をするのは差控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/115
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116・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 それも資料を至急に要求しておきます。今あなたの御答弁によると、老朽車の中にも使えるものがあり、また年齢が新しくともいろいろな観点から使えない車もあるというふうなくとで、その点はわかりました。
今年の三月八日付の朝日新聞の投書欄に、C五三型の行方と題して、C五三型三気筒機関車で九十七合を廃車にする云々という質問が載つておりますが、知つていますか。C五三型は老朽車としてこれを廃車したのか、またたれが廃車決定の責任者でありますか、そしてまたこれを廃車にした理由を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/116
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117・高井軍一
○高井説明員 この責任者は、先ほど申し上げました、ことく、工作局長の方で調査をいたして、それに基きまして関係画所と会議をしてやつているのでありますが、このC五三につきましては、事専門的にわたりますので、いずれ次の機会に責任者から責任ある答弁をさすことに御了承いたいとおもいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/117
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118・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 大対私ども考えますのに、新型は旧型式の上に研究を重ねたものであるから、威力を増するは当然であるというふうな考えがあるかもしれませんが、新型式ができても。五三型を凌駕したというのは当らないと思うのであります。それなら、かりにC五一型、C五四型、C五五型、C五七型なども、ことごとく大型旅客用として凌駕されたことになるが、なぜC五三型のみをそのりくつに当てはめたのか、専門的にわからないのですが、それをご答弁願いたい。われわれはしろうとで、あなた方は専門家なんですから、どなたかおわかりになるでしよう。そうでなければ委員会に出て来て、答弁になりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/118
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119・高井軍一
○高井説明員 これは非常に専門的になりますので、工作局長から説明をいたすべきものであると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/119
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120・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 国鉄の二十八年度基本計画のうちに、通勤輸送力を増強するとあるが、どの程度にどうやつて増強をして行くのか、目標は何か、その具体的の計画はあるのかどうか、これを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/120
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121・高井軍一
○高井説明員 ラッシユ時の対策として、京浜東北線、山手線、中央線、横須賀線、常磐線、総武線、こういうようなところを考えておるのであります。ラツシユ時におきましては、京浜東北を八両運転にいたします。平時は五両運転であります。また山手も八両運転にいたしまして、平時は五両運転というぐあいにして参る。また中央線はラッシユ時は八両運転で行きたい。横須賀線におきましては、ラッシユ時は十一両ないし十二両運転にする。それから常磐線は、ラッシユ時におきましては六両ないし八両編成で参りたい。総武線はラッシユ時は七両ぐらいの編成で参りたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/121
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122・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 現在一日の乗客は一千万人、そのうち六百万人は国鉄電車に乗り、四百万人は列車に乗つておるような状況であります。電車乗客のうち八割はパス乗客であつて、この有業乗客、すなわちパスで乗車をする通勤通学者は、わが国の国力の最も近代的な部門を直接担当している重要な勤労者層であります。国鉄のこの人々に対する態度には、誠意を特つて通学通勤者の悩みを解消しようとする動きが見受けられないと思う。朝夕の国鉄電車のありさまは、人間をまきや砂利のように詰め込んでいる状態で、これが三十年も五十年も続いて来た結果、わが国の国民は、通学通勤のために一生涯過労で不健康に傾き、産業の能率も低下をし、学生の学力も逐次低下をしているという現状であります。これは国鉄関係者が駅の建物でもうけることばかり考えているからである。国会の委員会へ来て、国鉄法のこの関連質問にさえも、満足な御答弁ができないのが何よりの証拠であります。また国鉄自体に対して、何かこわいものにでもさわるように、まあまあというような態度の方がほかにもあるとしたら、これは大きな誤りである。輸送力が完全でなければ国は決して発展をしない。この点をどうか十分てお考え願いたいと思います。通学通勤輪送力の増強を五十年来ほつたらかしにして来たためであります。これは今言う通り、国鉄の人々がほかの方にばかり専念しておるからです。八重州口の鉄道会館に対しては、また調査委員会等で私は大いに質問をしたいと思いますが、資本金二十五億円の中で国鉄から八%、すなわち二億円を出資したことにする、わずか八%だからさしつかえないと滝口国鉄諷査役は公表したが、二十七年度の電車発注は七十台、四億九千三百三十二万円にすぎない。そのうち三十台は廃車の代替でありますから、純増加は四十台にすぎないのであります。鉄道会館に対する二億円はとるに足らぬわずかな金額だとうそぶいておりながら、国民の健康、国家の能力を左右する電車はわずか五億円足らずで、これで基本計画の第一項にあるような通勤輸送力を重視することになりますか、ただいまの御答弁のようなことでできますか。国鉄の当局はこの常軌を逸した金の使い方を一体どうするつもりですか。運輸大臣に監督権があつても、運輸大臣にこれができないというのは、一体あなた方はどう考えておるか、まずこれをお尋ねしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/122
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123・高井軍一
○高井説明員 こうした通勤輸送の緩和と申しますか、現在より何とか改善をしなければいかぬということが焦眉の急務であることは、ただいまのお説の通りでありまして、国鉄もさように考えておるのでありますが、何分にもこの限られた予算の範囲内でありますので、その有効活用というものを考えなければいけないと思つております。さらにこうした通勤輸送というようなことにつきましては、国鉄といたしましては何らか特別な予算の捻出化、御配慮を得て、この改善を早急にはかりたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/123
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124・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 さらに車両の定員について質問をいたします。車両はそれぞれ座席定員を定めており、本来は国民に残らず座席を提供して、座席定員で輸送するのが交通事業、鉄道事業の常識であると思います。またそれが本来の義務であると思います。座席定員であらゆる乗客を輸送できないくせに、駅やホテルをべたべた塗り立てても、何のサービスにもならないということは、私がこの間申し上げた通りであります。運輸省が公式にきめた定員とは、一体何をさすのですか、座席定員をある程度の起立者を加えたものを定員とするのか。座席定員で乗客を完全に輸送することを、あらゆる交通事業に対して義務として課さない限り、そこに何の基準も目標も確立されないから、わが国の交通事業は常に混乱状態を呈するほかはないのではありませんか。これについて御答弁が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/124
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125・高井軍一
○高井説明員 客車は定員は座席でありまして、電車につきましては、立席を定員に入れておるはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/125
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126・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 そこで先ほどのあなたの御答弁ですが、国が貧乏である、なかなか輸送も困難であるというふうに聞きましたが、国が貧乏だとか人口が多いからというのほ、列車や電車がわが国のように混雑をして、全国民に苦痛を与えている理由にはならないと思う。かんじんなのは交通事業の建前であつて、乗客を定員で輸送しなければならぬという義務も責任も定めていないことに出発点が存在しておる。これは起立者も定員であるというようなお考え方がいけないのではないかと思う。
そこでまた駅の建物についてでありますが、駅の建物に巨額の予算をぶち込むことは、まつたく鉄道事業本来の目的を逸脱しておるのではないかと思います。はなはだどうもなまいきなことを言うようですが、現に西ドイツでは一九五〇年以来機関車が一万四千八百台、客車が三万五千九百台、貨車が二十六万三千七百台を動かし、食堂車を連絡した優秀列車が百十五本、寝台車を連結した夜行列車が六十二本走つている。これは日本新聞協会の江尻進という人が西ドイツに行つて、マネージメントという雑誌にちやんと報道しているそうですが、西ドイツは面積二十四万平方キロで、わが国の本州とほぼ同じ人口は四千四百万人でわが国の一ちようど半分である、半分の人口に対してわが国の客車の三倍が動いているのだから、単位人口当りは六倍の列車が運行しているということになる、つまり利用効率から見て、わが国で一時間一本来る列車が、西ドイツでは十分おきに一本来る勘定になる、これは西ドイツでも、元の統一ドイツでも、フランスでも、英米国でも、駅舎よりも列車を重んじ、座席定員輸送を目標にして鉄道を再建をしているからであります。その江尻氏の報告によると、ハンブルグでもフランクフルトでも、大きな駅舎の天弁のガラスがこわれ、そのままになつており、雨がじやあじやあ漏つておると言つております。ハンブルグといえばわが国の横浜か神戸に相当する大駅であるが、ドイツ人は駅は五年でも十年でもほつたらかしにして、まず列車そのものを増強しておる。長崎総裁は官費で世界を漫遊して来たが、このような西ドイツのりつぱな鉄道経営を見て来たのかどうか、私どもは疑わしい。またあなた方は専門家であられるのだが、西ドイツの状態をごらんにならなければ、聞いて何とお考えになつているか、西ドイツでは鉄道会館がいばつているかどうか、これをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/126
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127・高井軍一
○高井説明員 駅の設備、停車場に非常に金をかける、それよりももうちよつと車両その他に向けたらどうか、まことにお説の通りでありまして、私どもといたしましても、まずそうした駅、停車場につきましてはがまん願いまして、線路の増強とかあるいは車両の改善ということに、まず第一に着手すべきであるということを考えております。しかしいかんせん、皆さんの御要求は、一般の整備とともに停車場に対しまして非常に集中をいたしまして、線路の増強とかその他の関係についてはわれわれも説明をいたすのでありますが、いろいろな都市計画の関係とか、あるいは実際の雨天の場合におきまするサービスの欠陥というものが、駅関係では端的に現われますので、そうした整備の御要求が熾烈でありまして、やむにやまれず現在のような状態になつているのであります。また総裁は西独へは参らなかつたかとと思いますが、私はドイツにおきまする復興状況について、今鈴木委員のお話の通りのことを承つたのであります。そうしてまた総裁も、駅管理施設というものは差控えて、輸送力の増強というものに主力を注ぐべきであるということは、帰つて参りましてからの方針としてわれわれにも申しておるのでございます。国鉄当局といたしましては、御混雑を願つておりますものを、何とか緩和するように、そのことは私どもの当然の責務として考えておる次第であります。そういうような意味で御支援を願いたい、さように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/127
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128・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 御答弁ではどうも納得できないのです。今御答弁の内容を聞くと、線路その他いろいろ増強してサービスしたいが、何にしても大衆の声が駅をつくつてくれというにある、そういう意味合いのことをおつしやつたと思います。これは大きな相違です。駅をつくるといつても、人の集まつて来る、ここなら商売になるだろうというようなところ、駅の使命が十分の一、商売の金もうけの方があとの九割というようなところばかり目ざして建つておるのが、現在のやり方なんです。しからばどこの駅でも改善、改革しておるかというと、どこの駅でもやつてない、そういうあいまいな御答弁ではだめです。もつと研究してください。
それから全国の交通事業に対し、もちろん国鉄を含む座席定員輸送を義務として課するような法律を制定すべき腹はないかどうか、これをお尋ねしたい。また明治三十三年三月十六日法律第六十五号として公布された鉄道営業法という法律は今でも有効なのか。無効なら、いつまで有効だつたか。有効ならば国鉄もこれを守る義務があるはずだが、その点についてお答史願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/128
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129・植田純一
○植田政府委員 鉄道営業法が生きているかどうかというお話でございますが、これは現在も生きております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/129
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130・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 明確な御答弁ありがとうございました。生きておりますね。この鉄道営業法の第二十六条に「鉄道係員旅客ヲ強ヒテ定員ヲ超エ車中ニ乗込マシメタルトキハ三十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス」と定めてある。あなた方はみな罰金か科料をとられるロだ。これが生きているなら、あなた方は全部国家の罪人だ。わが国の列車、電車はほとんど朝から晩まで定員超過で走つているが、この鉄道営業法第二十六条により罰金三十円——今は物の値上りがあり、貨幣価値が下つておりますから、これが三万円だか三十万円だか、あるいは三千円だか、とにかくあなた方は罪人だ。列車、電車の発着ごとに、駅員から総裁に至るまでこれを全部取立てるべきである。これをあなたは法律を守つて取立てたことがあるかどうか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/130
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131・植田純一
○植田政府委員 営業法はそういうふうになつておりまして、強制的に乗せてはいかぬことになつております。確かにその法律は生きているわけでありますが、現実の姿は御承知の通り、遺憾ながら超満員でお客さんも詰め込まなければならぬし、駅員も整理上何とか乗つてもらわなければはけないというように、非常に困つた状態でありまして、この点はどうも法律違反じやないかと言われますと、その違反に類する面もずいぶん起つているようなことでございますが、何しろ輸送の現状と申しますか、ある程度のことはがまん願わなければならぬような状況であります。ただ何とかその状態を解消しなければならぬということは、鈴木委員のおつしやる通りでございます。今後ともそういう点につきましては十分努力しなければならぬ。これは国鉄だけではございません。私鉄も全部そういうふうな状態になつておりまして、これを絶対にいかぬということになりますと、ただちに交通がストップしてしまうというような状況にもなりまして、私どもも非常に苦慮いたしておるわけであります。できるだけ一日も早くこういう状態を解消するということが私どもの務めであろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/131
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132・關内正一
○關内委員長 残余の質疑は次会に譲り、本日はこれにて散会いたします。
午後六時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101603830X02219530722/132
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