1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年六月二十七日(土曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 小島 徹三君
理事 青柳 一郎君 理事 古屋 菊男君
理事 長谷川 保君 理事 堤 ツルヨ君
越智 茂君 加藤鐐五郎君
助川 良平君 田中 元君
寺島隆太郎君 安井 大吉君
山口六郎次君 中野 四郎君
山下 春江君 萩元たけ子君
柳田 秀一君 岡 良一君
杉山元治郎君 亘 四郎君
出席政府委員
厚生事務官
(保険局長) 久下 勝次君
厚 生 技 官
(公衆衛生局環
境衛生部長) 楠本 正康君
委員外の出席者
厚生事務官
(社会局施設課
長) 鶴田 寛君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
専 門 員 山本 正世君
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六月二十五日
理容師美容師法の一部改正に関する請願(赤松
勇君紹介)(第一六九九号)
遺族弔慰金支給に関する請願(大上司君紹介)
(第一七〇一号)
同月二十六日
国立らい療養所職員の増員並びに待遇改善に関
する請願(山花秀雄君紹介)(第一七六九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五〇号)
厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第五一号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七二号)
九州地区の豪雨による被害状況に関する件
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001・小島徹三
○小島委員長 これより会議を開きます。
まず健康保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。
なお、この際お断りいたしておきます。本日大臣に出席を求めたのでありますが、さしつかえがございますので、他日大臣に対する総括質問は一両日にわたつて行いたいと思いますからして大臣に対する質問のおありの方は、質問を留保していただきたいと思います。柳田秀一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/1
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002・柳田秀一
○柳田委員 厚生年金保険法について少しお尋ねいたします。政府の方でこの厚生年金制度をこのたび一部改正されましたが、本法は戦時中の立法であり、本法を制定した当時と、社会的の背景が全然異なつておる関係上、すでに各方面から全面的改正の意見も出ておるのでありまするが、これらに対して政府はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/2
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003・久下勝次
○久下政府委員 現行の厚生年金保険法は、ことしから数えますとさようど十一年前に制定公布せられておるのであります。ただいま御質問の中に、戦時中という言葉がありましたが、その意味では戦時中ではあろうと思いますが、問題の焦点は、それよりもむしろ終戦後のインフレ時代におきまして、貨幣価値の下落に伴いまして、厚生年金保険制度につきましては、数次の改正が行われたのでございますけれども、結果におきまして、インフレに対処する応急的、臨時的な措置だけがなされてまして、今日に至つておる次第でございます。そういう意味合いにおきまして、前々から厚生年金保険制度を根本的に再検討をすべきであるということは考えておつたのであります。一方におきまして、本年末に坑内夫の一部の方々に養老年金の支給が開始せられる予定がありますので、厚生省におきましては、昨年来厚生年金保険制度の根本的な改訂をいたすべく、いろいろ準備をして参つたのであります。簡単に経過を申し上げますと、昨年の秋厚生省としての一応の案ができましたので、私の方に所属しておりまする社会保険審議会に、懇談の形式で各界の意見を伺つてみたのであります。十数回にわたりまして審議会を開いて論議をいたしました結果、結局十二月末に至りまして、各界の意見が帰一するところがございません。私の方の厚生省の試案に対しましても、ほとんど根本的に相いれないよう意見がございましたので、最後的にはもう一応厚生省としても各方面の御意見を参考として考え直したいということで、一応懇談の式の審議会を打切つたわけでございます。そうしてその後私どもの事務当局といたしましては再検討をいたしまして、ほぼ成案を得る段階に至つておる次第ございますが、まだ成案として決定するまでには至つておりません。母上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/3
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004・柳田秀一
○柳田委員 本法は大体労働者の福祉立法であることは間違いありませんが、ただいまの局長のお答えにも、改正案について非常な各方面の意見があつたということは、それはまつたく利害の相反した意見があつたと思います。それはいわゆる労働者側から出ている案と、資本家側から出ている案だと思うのです。特によくこの厚生年金保険には、日経連が再三圧力をかけていると聞くのでありますが、政府としてはこのような労働者福祉の立法に対しては、本法を全面的に改正する場合に、どういうような根本的精神でされるのか、いずれそのような改正案にもお目にかかるであろうと思いますが、そういうような心構えだけなりともひとつはつきりお示し願いたい。少くとも労働者福祉立法なら労働者福祉立法として、そういうあらゆる勤労階級の意見を十分取入れて、日経連の圧力に屈することなしに、労働者の利益を多分に織り込んで立法せられるか、そういう根本的精神をまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/4
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005・久下勝次
○久下政府委員 各部門にわたつての根本的な態度まで触れますことは、ただいま私にはできない段階でありますが、従来の経過にかんがみまして、まず基本的な点についてだけ所見を申し述べてみたいと思ます。
まず第一点は、先ほど申し上げました社会保険審議会の懇談の機会に、経営者側から出来ました意見として、私どもが一番根本の問題と考えておりますのは、企業及び労働者の負担を絶対に増さないように、言葉をかえて申しますと、保険料率及び標準報酬の引上げには根本的に反対であるということでございます。柳田先生もおつしやいましたように、現在の養老年金は平均月額百円、年額千二百円を支給し得るにとどまつておるのでございまして、かような問題につきまして、これを適当な金額にまで引上げることについては、各界意見が一致していると考えるのであります。しかしながらこれはどの程度まで引上げるかということが問題の焦点でありまして、この辺はまだ最終的結論を得たわけではありませんけれども、当時私どもとして考えましたのは、勤労者の報酬に比例をして四、五割から最低二割程度そういう若干の勤労者の報酬に比例して幅をつけ、しかも今日の社会生活の状況から見て、この程度ならば勤労者の方々にも年金として御納得がいただけるであろうという線を出してみたわけであります。これに対して経営者側の意見といたしましては、ともかくどういう給付をするにしても、今日の日本の経済の実情におきまして、企業の経済的負担能力は頂点に達しておるので、絶対に保険料なりあるいは標準報酬の引上げについて納得ができないという態度であります。この点は、今日でも非公式でありますが、かわつていないように聞いておるのでございます。制度の根本的改正につきまして、この辺が一番問題の点であると考えておるのであります。私どもといたしましては、何分にも保険の制度でありますので、給付に必要な資金の大部分は勤労者及び事業主の負担という従来の精神をこの制度の中に生かして行くべきであると考えております。そうしますと、相当額の給付をいたすためには、必然的に現行の保険料率なり、あるいは標準報酬なりの引上げをせざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第であります。そのほかの細部の点もございますけれども、私どもとしては、そうした経営者側の意見に対しまして、今申し上げたような態度をまず基本的な問題として案を進めている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/5
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006・柳田秀一
○柳田委員 配付されましたこの資料を見ますと、昭和二十七年度で六百四十八億ほどの積立金があるように相なつております。この調子で参りますと、今年度末に約八百億ぐらいになるであろうと思うのです。この金は現在資金運用部に預託されておると思うのでありますが、この金そのものの性質は国家資金であるか、あるいは労働者の——資本家も出しておりますが、要するに保険の社会福祉資金であるのか、その点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/6
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007・久下勝次
○久下政府委員 積立金は原則的には国家資金として取扱われております。ただ各界の要望といたしまして、そのうちの一部分を、あるいは言葉をかえて申しますれば相当な部分を、勤労者の福祉に還元融資をすべきであるということもありましたし、私どもとしてもさように考えまして、昭和二十七年度におきまして、勤労者の医療施設に六億、住宅施設に十億の還元融資が行われました。昭和二十八年度におきましては、ごく最近資金運用部の運用計画が決定をいたしまして、大体今申し上げたような両方の施設に、合せまして二十五億程度の還元融資が行われるように決定いたした次第であります。そういう意味合いにおきましては、勤労者の積立金でありますので、一部分その福祉のために還元するということも行われておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/7
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008・柳田秀一
○柳田委員 取扱いとしては国家資金としてあることは了承しております。現に戦争中は日本の戦争遂行に大いに役立つておりましたし、取扱いが運用部を経るか経ないかは別の問題でありまして、そうではなくこの積立金本来の性質がどういうものであるかということを聞いておるのです。その取扱いが国家資金として取扱われることには、私はまた異論があるので、あとから申しますが、積立金本来の性質はどういうものであるかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/8
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009・久下勝次
○久下政府委員 積立金本来の性質は、申すまでもなく将来の年金給付に必要な財源として積立てておるわけであります。それ以外の何物でもないと思います。ただこれを管理運用いたしますために、そういう労働者に対する約束をいたしておるわけであります。従つてその資金の管理運用につきましては、最も確実に運用できる必要があると思うのであります。その意味で現在の建前としては国家資金として運用することによつて、場合によれば運用上の金利等は他に比して安いことがありましようけれども、確実に管理をして行くという建前で、国家資金として運営しておる。こういうふうに理解しておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/9
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010・柳田秀一
○柳田委員 その答弁で大体積立金の性質がそういう福祉施設とかいうものであることがわかりました。すると現在こういうものを資金運用部にまかせて行くこと自体が、大体弊害の生ずるもとである。戦争中は戦争遂行に役立つておつたことは事実であつて、法に書いてありますような、被保険者の福利施設にはほとんど使われておらない。事実今までこれが被保険者の福祉施設にどれだけ使われておるか。その統計をお示し願いたいのであります。ほとんど使われてはおらなかつた。二十四、五億還元されておりますが、これも九牛の一毛である。従つてそれならばこの資金を運用部資金から独立させて、別個の会計にせられることが望ましいと私は思うが、これに対してはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/10
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011・久下勝次
○久下政府委員 厚生年金の積立金を資金運用部から分離して運用したらという御意見は、私ども従来各方面から伺つております。しかしまだこの点について私どもは正式な結論を得ておらないのでありまして、ただいま検討中であるという以外にお答えできないのでありますが、ただ先ほど来申し上げておりますように、将来の年金給付に備える重要な資金でありますので、いかなる運用方法を考えるにいたしましても、将来の年金給付に支障の起るような、不安定な管理なり、運用なりがなされてはならないと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/11
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012・柳田秀一
○柳田委員 そういうような考え方はわかりますが、この厚生年金の積立金の問題は従来からの問題で、今から研究するではすでにおそい。多少なりとも厚生年金に頭をつつ込んだ者は、一番先にこの八百億の金が目につく、だれでも考える。これを今から考えるというのでははなはだおそいと思う。すでに十分研究され尽しておらなければならない問題であつて、大蔵省の役人が何と言おうと——局長は大蔵省の役人ではないのだから、厚生省の役人としての立場からも、もう少し積極的な御意見があるはずだと思う。あなたは大蔵省の役人ではないのでありますから、そういうような意味でもう少し積極的にあなたの思つておられるところを御発表願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/12
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013・久下勝次
○久下政府委員 私が申し上げましたのは、現在国家資金として運営をされておりますのを切り離して、別個の運用をするということについて検討をしているという意味でございます。方針として現在きまつている方針は、それを今かえるだけの理由が発見できない、その結論にまで到達していないという意味で申し上げているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/13
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014・柳田秀一
○柳田委員 ややわかりました。これ以上追究しませんが、この問題は表向きになつたときには相当むずかしい問題になると思います。簡易保険の問題でもあれだけもんだのでありますから、相当めんどうな問題になると思いますが、やはり局長にも気魄が望ましいと思います。
そこで昭和二十一年でしたか、占領軍から何かこの資金の凍結について覚書が出ておつたと思いますが、あれはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/14
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015・久下勝次
○久下政府委員 昭和二十一年に占領軍から指令が出ましたのは、資金運用部の資金の運用についてかと存じます。当時からすでに厚生年金保険の積立金は資金運用部に預託しておりましたので、資金運用部の資金が当時はいろいろな方面に貸し出されておつたのであります。これを法的な資金にのみ限定して運用すべきであるという指令が出、今日の資金運用部資金法に至つていると解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/15
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016・柳田秀一
○柳田委員 そこでこの積立金が被保険者の福祉施設に総計で今までどれだけ使われておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/16
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017・久下勝次
○久下政府委員 明確に福祉施設になつたと言えるのは二十七年からの還元融資だけでありまして、これは先ほども申し上げましたように、住宅施設に十億、病院施設に六億、計十六億であります。本年度はまだ新計画がきまつただけで、その内訳をどうするかということについてもきまつておりませんが、二十五億が予想されます。ただ従来の大部分の積立金というものは、資金運用部から地方債の財源として、地方のいろいろな公共事業に使われているわけであります。あるいは住宅金融公庫の資金として貸付がなされておつたわけであります。そういうようなものがどの程度厚生年金被保険者の、あるいは勤労者の利益に使われているかということは、見方が非常にむずかしゆうございましようし、今資料を得ますことも困難ろうと思うのでありますが、私どもといたしましては、そうした地方公共団体なり、あるいは住宅金融公庫なりに使われます金は、相当の部分が勤労者の利便のためにも役立つているものと考えられると思うのです。これらを分類してお答え申し上げることは、調査をいたしましても困難ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/17
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018・柳田秀一
○柳田委員 そういうような間接的にまわりまわつて勤労者の福祉施設になるということを言つては際限がないので、そんなことではなしに、直接に法の第何条ですか、これにも出ておつたと思います。これも間接的な意味で書いてあるとは思われない。やはり被保険者の福祉施設に使うというならば、直接的にどういうものに使われているか、これをひとつ示していただきたい。資料について今御答弁ができなければ、次会までに参考として今まで大体年次別に積み立てられた金額と、年次別にそういう福祉施設に還元された金額を御提示願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/18
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019・久下勝次
○久下政府委員 積立金の運用としては先ほど申し上げた通りでございますが、御質問はもつと範囲が広いようにも解釈されます。私どもは毎年厚生年金保険の福祉施設として、相当額の予算をさいて、これが積立金の還元ということでなしに、年金制度の運用として、ただいま御引例の法律の規定に基いていろいろ事業をいたしおります。この点につきましては、従来からの経過なり現在の施設の状況がただいまわかりませんので、後ほど資料で御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/19
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020・柳田秀一
○柳田委員 標準報酬は現行二千円から八千円まででしたね。その二千円を三千円に上げられるのはわかるのですが、最高八千円にとめられたという理由をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/20
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021・久下勝次
○久下政府委員 標準報酬の最高額を引上げることにつきましては、先ほどもちよつと触れました、厚生年金制度の根本改正の際に考えたいと思つておる次第であります。とりあえず今回の改正は、健康保険法の改正に関連をする部分的な改正にとどめまして、厚生年金制度の根本改正の際に考えるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/21
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022・柳田秀一
○柳田委員 根本改正の際に考えられるとしても、すでに今でも大体の腹案がおありになることはわかつておる。そういう場合に、大体どの程度までお上げになるか、これをひとつお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/22
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023・久下勝次
○久下政府委員 根本改正の内容につきましては、最初に申し上げた通りでありまして、まだ私どもとして自信のある結論を得ておりませんので、これは給付の額等に関連をして、標準報酬をどこまで上げたらいいかというようなことも、結局制度に響いて参りますので、標準報酬の改正のみで問題の解決ができない点もありますので、しばらく御猶予願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/23
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024・柳田秀一
○柳田委員 しかしこの標準報酬は少くとも厚生年金制度の根本になるものであります。私の聞くところによれば、厚生省原案は八千円をはるかに上まわつておつたように聞いておるのでありますが、やはりこういうものが日経連からの相当の圧力で押えられたように聞いておるのです。現行法にしても二千円から八千円になつているのですが、その後の賃金、物価から考えて、八千円というのは、いかにもわくを下に押えられたような感じを持つのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/24
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025・久下勝次
○久下政府委員 私どもも、現在の考え方は、八千円でとどまつていいと考えておりません。先ほども御説明いたしました昨年の秋の私どもの試案は、三万六千円に最高額を引上げるという案を出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/25
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026・柳田秀一
○柳田委員 次に、保険給付の内容をお尋ねしますが、過去の低額のものについてどういうようにいたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/26
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027・久下勝次
○久下政府委員 過去の低額の標準報酬のものについて、給付をどうするかということでございますが、これも根本改正の際にさらに検討をいたしたいと思います。現在の制度のもとにおきましては、厚生年金制度としては、二回にわたつて二倍にし、五倍にし、結局給付の金額を十倍に上げ、あるいはものによりましては、最終標準報酬をとるというようなことをやりまして、給付の実態を上げておる次第であります。それにいたしましても、今日の実情から見ますると、現在の養老年金、障害年金、あるいは寡婦年金、遺児年金等につきましては、年金総額がきわめて低額のものがございます。これらにつきましては、これもまだ最終的な案ではございませんけれども、根本改正の案としては、最低額を相当のところまで引上げるようにいたす考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/27
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028・柳田秀一
○柳田委員 そうすると、従来の規定によつて支給された保険給付がきわめて低額の場合にも、最低基準額まで上げるというお考えで今いろいろ進んでおるわけですね。
それから、かりに四十くらいの人がこの保険に入つて、そして二十年間かけつぱなしということになりますと、六十になりますから、そういう場合に給付開始の年限に対して、この保険が適用される年限を短縮するとか何とか便法があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/28
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029・久下勝次
○久下政府委員 現行の制度にはございませんけれども新しい制度をつくります際には、それらについても考慮いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/29
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030・柳田秀一
○柳田委員 それからこの給付内容の一部ですが、扶養加算はどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/30
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031・久下勝次
○久下政府委員 現在の制度から申しますと、一部分の年金に扶養加算がございますが、これも根本改正の際には扶養加算の額も引上げ、全般的に扶養加算をするようにいたしたいというつもりで、今案を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/31
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032・柳田秀一
○柳田委員 現在のこの法には遺族年金や寡婦年金、遺児年金等たくさんあるのですが、こういうものをもう少し一本に簡素化するわけには参りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/32
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033・久下勝次
○久下政府委員 お尋ねの点は、私どもが考えておる根本改正の点に触れておりますので、はなはだお答えがしにくくて恐縮でございますが、私どもの今の考えでは、寡婦、遺児、鰥夫年金あるいは遺族年金というふうに錯雑した観念になつておりますが、これは改正の際には一本にするようにいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/33
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034・柳田秀一
○柳田委員 ただいままで質問しておりますと、他の保険三法との見合いの関係上、本日の一部改正法はよくわかるのであります。しかしながらこういう小手先だけでなしに、ただいま質疑応答を繰り返してみても、この厚生年金制度というものが、ただいまの社会から見ると、もう少し改正の余地があるというよりは、もう少しつつ込んで言うならば、現在の社会にマッチしていないというふうにとれるし、現にまた厚生省当局としても、そういうようにお考えになつておるようであります。従つてこれに対しては、私は早急に根本的対策をお立て願いたい。同時に厚生年金だけで根本的な対策は立てにくいと思うのです。これは他の生命保険にも影響して来るでしようし、ほかの保険にも関係する。大きく言うならば、今次の内閣委員会に出されている恩給法そのものにもかかつて来るのでありますが、そういうふうに言つていれば、いつまでたつても際限がない。少くとも各省の中では、われわれから見ると、最も進歩的なお役人さんであるというふうに、われわれはいささか讚辞を呈してあげますが、その厚生省のお役人の方で、もう少し積極的にこの厚生年金制度くらいは、厚生省としても早くお出し願いたい。
なおほかに尋ねたい点もありますか、これで一応終つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/34
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035・小島徹三
○小島委員長 長谷川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/35
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036・長谷川保
○長谷川(保)委員 健康保険、船員保険、厚生年金保険、さらにまた本日の議題ではありませんが、国民健康保険あるいは国家公務員共済組合その他に対しましては、相当根本的な手を入れなければならない。もうその時が来ておる。国民の徹底的な社会保障制度実地に対する要望は非常に強いのでありまして、この点すみやかに政府はその根本的な改正に対する手を打つべきであると思うのでありますが、まず第一に、今日の国家公務員共済組合あるいは船員保険、健康保険等における傷病手当金、療養給付に対しまする条件がみな違うのでありますが、これはどういうように違つておりましようか、お尋ねいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/36
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037・久下勝次
○久下政府委員 お答え申し上げます。まず健康保険の傷病手当金でございますが、現在の制度は標準報酬日額の六割を、一般疾病の場合には六箇月間、それから結核は一年半支給することになつております。今回の一部改正におきましても、この点は主として財政上の理由に基きまして、そのままのすえ置きの案になつております。それから船員保険におきましては、療養の給付期間満度まで、つまり二年傷病手当金を支給することになつております。支給の率は健康保険と同じく六割でございます。それから今回の一部改正におきましては、船員保険だけは財源の関係が許します事情もありまして、療養の給付期間を三年に延長するに伴いまして、傷病手当金も三年に延長する案になつております。それから共済組合の方は正確に記憶しておりませんので、今調べまして、お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/37
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038・長谷川保
○長谷川(保)委員 この船員保険の療養給付、傷病手当金の給付三年ということになりますならば、当然健保もそういうように持つて行くべきであると思いますが、単なる財源の問題というだけでは済まされない。民主国家におきまして、当然国民全体に対しまして公平、平等な扱いをしなければならぬ、そういうことにしておいてはならないと思いますが、これに対する政府の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/38
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039・久下勝次
○久下政府委員 この問題につきましては、政府の考えと申しますよりも、厚生省の私どもの考えをちよつと申し上げさしていただきます。確かに傷病手当金制度というものがありまする以上、疾病にかかつて休養をしております期間は、傷病手当を給付するのが本来の建前であると私ども考えております。昭和二十八年度の予算の要求にあたりましても、給付費に対する国庫負担の要求をいたしまして、これがもし承認をせられましたならば、傷病手当金は当然延長せられると考えておりました。ところがその点が遺憾ながら国家財政の都合上承認を得られませんでしたので、やむを得ず現行の制度のままにとどめざるを得なかつたのでございます。傷病手当金六箇月、一年半という先ほど申し上げたのを、療養の給付期間の延長に伴いまして三年に延ばすとしますと、政府管掌健康保険だけで三十一億ほどの財源を必要といたします。これはとうてい保険料の料率の引上げ等の不可能な今日では、先ほど申し上げたような国庫の補助がなければ実現をし得ない、私どもの財政のやりくりでは不可能の問題でございます。さように御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/39
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040・長谷川保
○長谷川(保)委員 船員保険に対しましては、国庫負担があるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/40
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041・久下勝次
○久下政府委員 船員保険におきましては、療養の給付につきましては国庫負担はございません。ございませんが、実はこういう事情があるのでございます。船員保険が両三年前から短期給付の部面におきまして——つまり療養の給付を主とした短期給付の面におきまして、財政的に赤字を生じまして、長期給付の積立金に食い込まざるを得なかつた事情がございます。そこでこの財政建直しのために、労使双方の了解を得ましたので、今日千分の十四という料率を赤字補填のために徴収いたしておるのでございます。大体私どもの計画は、当初からの計画もそうでございましたけれども、本年中にはこの料率の特別徴収によりまして、赤字は解消する見込みでございました。従いましてその後はこの料率は元にもどしてもいいりくつでございますが、この点につきまして、むしろ私どもとしては健康保険の例もありますので、傷病手当金の引上げということを相当考えたのでございますが、この特別徴収の料率を食いましても、三年間に延長してもらいたいというような話で、労使双方了解を得ましたので、この料率をとりあえず本年度は千分の四だけ食い込むことにいたしまして、さような措置が可能になつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/41
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042・長谷川保
○長谷川(保)委員 保険経済全体といたしまして、船員の方と健康保険の方とで国庫の負担に違いがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/42
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043・久下勝次
○久下政府委員 保険全体といたしましては、別に違つた点はございません。ただ長期保険の面において申し上げますれば、船員は、船員という特殊な勤務から、陸上の坑内夫と同様な扱いになつております。従つて傷病年金給付費の二割が国庫負担となつております。言いかえますと、船員保険におきましては長期保険の給付費の全額の二割を国庫から出しておる。この点は陸上の坑内夫がやはり同様に二割を出しております。その他の点についてはかわりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/43
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044・長谷川保
○長谷川(保)委員 この際ずいぶん困難ではあろうと思いますけれども、社会保障制度の重要な一環といたしましての健保を充実する必要が多分にありますから、これは政府におかれまして、船員保険と同様に、私どもは傷病手当金、療養給付等を健康保険に対してもなすべきだと思います。先ほど三十一億という数字が出ましたが、外の騒音のためにちよつと聞えなかつたのですが、療養の給付及び傷病手当金を船員保険と同様にいたしました場合に、年間どれだけずつよけいに必要になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/44
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045・久下勝次
○久下政府委員 先ほど申し上げました三十一億という数字は、政府管掌健康保険の年間分でございます。それだけ一般疾病の六箇月を三年にする、すなわち二年半延長する、結核に対して一年半をさらに一年半で三年に延長する、その所要額が三十一億であります。
〔委員長退席、青柳委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/45
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046・長谷川保
○長谷川(保)委員 先ほど柳田委員の質問に対しまして、厚生年金の標準報酬の改訂について日経連がある程度の圧力を加えておるやに伺つたのでありますが、これはただいま私が質問しました健康保険の給付の条件を向上させますことについても、やはり大きな反対があるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/46
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047・久下勝次
○久下政府委員 私どもといたしましては、別に私どもに日経連が圧力を加えておるというふうには感じておりません。健康保険の今度の改正につきましては、個々の問題によつて多少経営者側の意見に差がございました。まず標準報酬の引上げにつきましては、その主たる理由を、厚生年金保険の標準報酬の引上げをいたすための準備的な措置であろうというような理解のもとに反対がございました。しかしながらこれは社会保険審議会におきましては、採決の結果多数をもつて原案が通過いたした次第でございます。それから療養の給付の三年間延長につきましては問題が二つにわけて論じられまして、まず第一に、療養の給付を三年に延長いたすことはよいといたしましても、これは国庫負担をもつて行うべきであるという経営者側の主張がございましたので、これはやはり採決の結果、ごくわずかの差ではございましたが、多数をもつて、国庫負担ということをこの問題についてのみ論ずることは、この際適当でないという意見の方が強くて、否決せられました。それからあらためてその前提のもとに三年延長という政府の原案の可否について採決があつたのでございます。これはただいま申し上げた問題よりも大きな差をもちまして、やはり原案の通りに可決に相なつておるのでございます。さように御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/47
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048・長谷川保
○長谷川(保)委員 今日健康保険組合によりましては、療養の給付につきまして相当きびしい条件を付しておるところがあるようであります。私は北海道の炭鉱関係の実情の資料を持つておるのでありますが、その理由とするところは、もし組合の保険財政が赤字になりましたときには、政府管掌に切りかえられるということを条件、理由といたしまして、やつておるようでありまして、そういうようなことは不届きなことであると思うのでありますが、よもや、政府はそういうような態度をおとりにならないと思いますが、保険組合の財政が赤字になりますような場合、政府はどういう態度をおとりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/48
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049・久下勝次
○久下政府委員 ただいまお話の北海道の炭鉱の問題につきましては、具体的な事例を私承知いたしておりませんので、それを前提としてのお尋ねのようでございますので、あるいは食い違う点があるかもしれませんか、一応申し上げることにいたします。健康保険組合は、厚生大臣の認可によつて設立され、自主的な運営をしておるのでございます。しかしながら健康保険法の規定に基きまして、もしも健康保険組合が財政的に困難な状態に陥りまして、給付の実施ができず、あるいは医療機関に対する支払いができなくなるということになりました場合には、政府管掌健康保険が一切の権利義務を引受けることになつておるのでございます。それを言つたのだと思いますが、それをたてにしていろいろ給付制限をするということは、それ自身はちよつと関連はないことと考えております。私どもといたしましては、全般的に健康保険組合につきましては、毎年度予算につきまして認可をいたしておりまするし、また随時監査も実施いたしておりまするし、給付の不当な制限等はないと承知をいたしておりますが、目の届かない点もあろうかと思いますので、もし具体的な事例がございましたならば、お知らせ願いたいと思いますし、私の方でも注意いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/49
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050・長谷川保
○長谷川(保)委員 ただいま申し上げましたような給付の制限が、かりにただいま私が申し上げましたような理由でなされたとすれば重大なる問題だと思います。しかしながら今日もし健康保険組合が必要にして十分なる医療給付、療養給付等をいたしますならば、相当赤字になるかもしれぬとも、私どもはしろうと考えで考えるのです。この点は当局はどういうようにお考えになつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/50
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051・久下勝次
○久下政府委員 健康保険制度のままにおきまして、つまり現在における各健康保険組合の実情は、私どもが承知いたしております限りでは、赤字を生じて経営に困難を来しておる組合はないと思つております。ただ問題は、給付期間の三年延長に伴いましての問題でございます。前国会にも一部の方から御意見がございました。私どももこの点は絶無であるとは思つておりません。きわめて少数の、約八百余の組合がございますが、その中のごく一、二のものにつきまして、三年延長にすると、財政困難になるのじやないかという懸念のあるものも多少ございます。これは特に町村吏員の組合などにその例が考えられるのでございます。この点につきまして私どもといたしましては、今後その財政の健全化につきまして、できるだけ指導もいたしたいと思いまするし、またそれでも足りません場合には、ごく一般的には、来年度におきましても給付金に対する国庫の補助を強く要求いたしたいと思つております。そういうことでもいたしますれば、問題なく解消する程度であります。
〔青柳委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/51
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052・長谷川保
○長谷川(保)委員 ただいま給付費の補助という話が出ましたが、この健康保険の給付の内容を船員保険並に高める、あるいは国家公務員共済組合の程度に高める、これは一本にすべきことはもちろんだと私思うのでありますけれども、そういたしますと、現在では赤字にはなつておらないといたしましても、現行の保険料をかえない限りは相当に赤字になろうと思うのであります。国民健康保険に対しましては、今回医療給付に対しまして、一割五分の国庫補助をするというように予算が組まれておるようでありますが、当然健康保険に対しても同様の補助をすべきだと思うのであります。これに対しまして当局はどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/52
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053・久下勝次
○久下政府委員 先ほども申しましたように、私どもとしては、医療保険に対しまして国庫から給付費の二割相当額の補助をもらうように強く要求をする考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/53
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054・長谷川保
○長谷川(保)委員 これらの保険は、国家公務員の共済組合に比べますと、医療給付の内容ほさらに悪いと思います。これは当然一緒にすべきだと私は思うのでありますけれども、これについてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/54
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055・久下勝次
○久下政府委員 健康保険の給付の内容は、共済組合に比して劣るとは私は考えておらないのであります。おそらく御指摘の点は、ことに結核に対しまして現在すでに共済組合は三年の給付をいたしております。今まで一年の差がございました。この点は今度の改正で三年になります。その他の実質的な面はむしろ健康保険の療養給付の内容にならつて、共済組合がやる建前になつでおりますので、そういう大きな差はないものと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/55
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056・長谷川保
○長谷川(保)委員 この一部改正の問題とはちよつと離れますが、同じ健康保険の問題でありますので、それと関連して伺つておきたいと思います。御承知のように傷病手当金の給付につきましては、三日の待機期間がある。これは変だと思うのであります。一日でも病気をいたしますれば当然それに対しまして傷病手当金を出すべきであります。それなのにこういう事情が今日あるということは、変だと思うのであります。これに労働者の権利がここで侵害されておると思うのでありますが、これに対しまして、当局の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/56
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057・久下勝次
○久下政府委員 待機期間の問題、あるいは資格期間の問題は、他にも例のある問題でございまして、私は、それ自身がただちに権利侵害になるとは考えておらないのでありますが、但し、この三日の待機期間について議論があることは事実でございます。今日まで私どもが検討いたしましたところでは、これをやめてしまうというところまでまだ結論が至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/57
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058・柳田秀一
○柳田委員 今の長谷川委員の質問の問題は前国会でも問題になつたので、特に急性虫様突起の問題なんか、前国会で問題になつたのですが、今局長はこれをやめてしまうという、——それではひとつ折衷案で、もう少しその間にゆとりのあるように、当日からでもすぐに開始のできるような、もう少しゆとりのある法律に直ていただいたらどうですか。中にはなるほど多少その間今の法律のように、一定の待機期間を置いて、そしてそれを確認する、これは私どもわかるのであります。しかし、実際に仮病でも何でもないほんとう心急性の病気で、その日にすぐに開腹手術をしたというような場合もあるにきまつておるのですから、もう少し幅のある法律にしておかれたらどうでしようか。こういうような進歩的な考え方はどしどし取入れた方がいいのじやないか、あまり法律に拘泥しておられるよりも、そういうふうに直していただいたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/58
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059・久下勝次
○久下政府委員 重ねて柳田先生からのお話でございますが、社会保険にはこのほかにも同種類の、たとえば資格期間というものがございます。こういうものをやめたらどうかというならば、その議論も立つと思うのでありますが、いろいろ制度の運用の確保等から考えまして設けられておることでありますし、もうしばらく、私どもとしては、検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/59
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060・長谷川保
○長谷川(保)委員 私は待機期間を置く必要はないと思うのですけれども、どういうところにそういう事情がありますか、お考えのとえろを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/60
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061・久下勝次
○久下政府委員 結局これは三日間の待機期間の間におきましては、事実を調べ、保険におけるいわゆる逆選択防止、ちようど今お言葉の中にございましたような仮病のような場合もございますので、それらの点を考慮した視定であります。それは他の、たとえば任意継続被保険者となるための資格期間等の規定もございます。これらもいずれも、私どもの言葉で申しますと、逆選択を防ぐための制度であるというのでございますが、そういう心配がないのだという事実がありますれば別問題でございますけれども、そういう心配が若干でもありますと、やはり逆選択防止の規定というものは、各制度にもあるわけでありますし、今全廃をするというところでは、私ども結論が到達していないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/61
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062・長谷川保
○長谷川(保)委員 どうもその逆選択というものも、一部の悪意ある人々のために、正しい勤労者諸君が当然受くべきものを受けられないというのは、これは不届きである。とかくお役人というものは国民を犯罪人扱いする気持がここにも出て来ているのではないかというふうに、邪推するわけでありますけれども、そういう不当なことはとるべきであると思う。さらにもう一度お考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/62
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063・久下勝次
○久下政府委員 政府職員の共済組合におきましても同種のものがあります。これをやめるかどうかということは、そうした各制度との関係があるのでありますが、問題は、私は逆選択防止ということは、社会保険としては十分考えて行かなければ、むしろ逆に不公平な結果になると思う。この点は御了解いただきたい点であります。
それからもう一点は、こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんけれど、実際に入学でもしておられると、食費まで保険で給付いたします関係でありますので、そういうような点から考えますと、三日あとからは正しい人には六割ずつ間違いなく差上げるのであります。全体をならしてお考えをいただけば、その辺は御了解をいただける点ではないかとも考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/63
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064・長谷川保
○長谷川(保)委員 どうも全体をならしてとは実にうまいところへ逃げ込んだと思うのでありますけれども、どうも私はこの点につきましては、やはり待機期間をとるべきである、こういうことを考えて、強く政府のお考え直しを願うように希望いたすものであります。
次に結核に関する問題でありますが、この保険経済におきまして、結核に対する給付の額というものが年どれくらいのパーセンテージを出し、またどれくらいの額に上るのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/64
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065・久下勝次
○久下政府委員 今年度の保険給付金の総額は、概数で申し上げますと約三百億であります。そのうちの療養の給付に要します費用は二百四十億程度であります。さらにそのうち結核の占めます部分は四割強、百四億ぐらいに計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/65
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066・長谷川保
○長谷川(保)委員 それは保険全体でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/66
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067・久下勝次
○久下政府委員 政府管掌健康保険の例であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/67
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068・長谷川保
○長谷川(保)委員 今日国民健康保険にいたしましても、健康保険にいたしましても、あるいは船員保険にいたしましても、保険経済をゆすぶります大きな問題は、結核に対する給付であると思うのでありますが、私は結核に対します療養給付に対しましては、これは結核病の、わが国の疾病におきます。大きな比重を考えまして、当然社会保障制度審議会の勧告にありますように、五割くらいを負担すべきだ、こう思うのでありますが、この点についてお考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/68
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069・久下勝次
○久下政府委員 結論的には私ども全然同感でございます。ただ制度の問題として申し上げますると、同じ考え方に基きまして、今日結核予防法という制度がございます。私どもはこの制度を考えずに、社会保険の立場のみを言うこともできない事情でございます。私どもは常に現在の制度のもとにおきましては、結核予防法の公費負担の範囲を拡充いたしまして、従つてそれに伴う予算も増額してやるのが筋合いである、こう考えております。そういたしますれば、自然保険財政といたしましては、結核予防法の公費負担を保険財政の中に受け入れる結果になります。これが公平の原則から申しましても適当ではないかと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/69
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070・長谷川保
○長谷川(保)委員 局長の管轄外のことを伺つてどうかと思いますが、今の結核の医療費の半額公費負担という問題であります。これが今日事務的にも、医者の側といたしましても、患者の側といたしましても、非常にこれは困難をいたしております。私はこういうような今日の制度は改めまして、全国に今日の結核予防法に基きます公費負担二分の一というもの、この二分の一は全額国庫から出すべきだ。地方の自治体等にこの二分の一を負担させますことによつて、事実においては予算がないという立場から、この公費負担の制度が行われておらないという事情にあると思うのでありますけれども、これは私、保険財政の根本を立て直すという立場からいたしましても、あくまでこの二分の一公費負担を国庫負担ということに改めまして、そしてそれを健康保険組合なり、あるいは国民健康保険組合なり、あるいは共済組合なり、船員保険関係なり、そういう団体の方に直接それを入れるべきである、こういうように強く思うのでありますが、これに対しましてはいかにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/70
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071・久下勝次
○久下政府委員 どうもその辺のところになりますると、結核予防法を所管しておりまする部局と、私どもの考え方が、ちようどお話のように、多少立場の相違で異見があることは事実でございます。私の方といたしましても、ときどき、できればおつしやるようなことになつた方が手続も簡便でございますし、おつしやるように被保険者にとつても、あるいは医療担当者にとりましても事務的な簡素化にもなりまするし、そう思つておるのであります。しかし大局的に制度の建前から申しますると、各都道府県が五割を負担して、その二分の一を国から補助をするという結核予防法の現在の建前、これを根本的にかえません限りは、そういうことを言えない事情もあるわけでございます。そこでなお予算の点につきましては、担当部局の非常なお骨折によりまして、この予算が完全に消化される段階に至つておるようでございます。その意味におきましては、問題となるのは結局結核予防法で公費負担をする医療の範囲を拡大するということが、当面の問題だと私は今考えておるのであります。地方の財政負担の面は今申し上げたように漸次改善をされて、それに伴いまして保険財政も、現行の結核予防法で補助をされます部分については、大体確実に受入れができておるように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/71
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072・長谷川保
○長谷川(保)委員 厚生年金積立金の現在額は幾らありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/72
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073・久下勝次
○久下政府委員 五月末におきまして六百六十三億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/73
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074・長谷川保
○長谷川(保)委員 今回のこの適用を広げますことによつて、年間どれくらい積立金がふえることになりましようか。さつき承つたかもしれませんが、ちよつと聞き漏したようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/74
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075・久下勝次
○久下政府委員 本年度だけで申し上げますと、適用範囲を拡張いたしまして保険料を徴収いたしまする分は、十一月から五箇月分であります。もつとも全体に標準報酬が若干上昇いたしておりますので、それらの点も加味いたしてはございますけれども、主たるものは範囲拡張分であるとお考え願つてよろしゆうございますが、その金額が約十億円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/75
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076・長谷川保
○長谷川(保)委員 現在年間ふえて行くもの——拡張で十億ふえますね。そうでなしに、拡張しないで年間の積立金の総額、その正確に近い数字はどれくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/76
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077・久下勝次
○久下政府委員 先ほど十億と申し上げた金額は、前年度予算に比較いたしましたので、前年度の保険料収入が百八十二億であります。それに対しまして本年度、昭和二十八年度の年間の保険料収入は百九十二億になります。その意味で十億と申し上げたのであります。しかしながらこれはそのまま全部積立金に入るわけでもございません。毎年々々若干給付の方にまわつて行きますものもございます。いろいろありますので、そのままふえるとは限りませんが、しかし少くとも年間総額の百九十億程度が現在の保険料収入であります。これに積立金の利子が四十億程度あるのではないか。そういたしますると、それから年々の給付費等——五十億をちよつと越える金額でありますが、そういうものを差引かなければなりません。差引いたものが積立金としてふえるわけでございますから、結局百七十億程度が積立金としてはふえて行きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/77
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078・柳田秀一
○柳田委員 関連質問。年間の給付は五十億もありますか。ここにいただいている資料では、二十六年度からでありますが、わずかに二十六億しか出ておりません。そのほかに住宅とか、そういうものを言われたが、それを入れればそうなるかもしれませんが、今後の見通しは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/78
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079・久下勝次
○久下政府委員 私どもが五十億と申しましたのは、今申しました保険給付そのものに要する費用のほかに、被保険者のために先ほども申し上げたような被服、施設などもありますし、そのほかの事務面に必要な費用の総額であります。それはやはり保険料収入と保険積立金から生ずる利子を財源としてまかなかつております。さような関係で申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/79
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080・長谷川保
○長谷川(保)委員 先ほど資金運用部その他にこれを流用しておるというお話もあり、われわれもそういうふうに承知しておるのでありますが、現在この年金の積立金として、この勘定でもつて自由に使えまする金額はどれくらいに上つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/80
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081・久下勝次
○久下政府委員 ちよつと御質問の趣旨をあるいは誤解しているかもしれませんが、予算の立て方で御説明を申し上げますと、先ほど来申し上げておりますように、現在千分の三十の保険料をとつております。これは現行の制度のもとにおける将来の給付に備えるために、とつてあるわけであります。従つて毎年々々の支出から見ますと、非常に上まわつたものを保険料としてとつて、これを積立金にまわしておるわけでございます。昭和二十八年度予算でその事実を申し上げますと、保険料収入が先ほど申し上げたように百九十二億、それから運用収入——これは積立金の利息でありますが、これが四十一億、その他一般会計の給付金の補助の受入れが四億五千万円、合計して昭和二十八年度の収入総額は厚生年金関係で二百三十八億、これに対しまして支出の面を申し上げますと、この二百三十八億のうちから、本年度の給付に要します費用全体では四十一億、それから業務取扱いと言つておりますが、これは保険事務を運営して行きます費用あるいは福祉施設、保健施設等の費用であります、これが十二億、予備費を六億と見まして、本年度の支出総額は五十九億、そういたしますと差引昭和二十八年度においては百七十八億が余るということになりまして、この百七十八億は一時預金部の方に預け入れをしておきまして、年度が過ぎましたときに正式に積立金として預託する、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/81
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082・長谷川保
○長谷川(保)委員 この積立金については、先ほど柳田委員からも御質問があつたのでありますが、これは当然まずこの保険をかけておりまする労働者及び事業主等の、この積立金の運用に対しまする発言権が十分認められなければならないと思うのでありますが、今日この運用についてはどういう機関で運用をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/82
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083・久下勝次
○久下政府委員 今日は、先ほど申し上げたような関係で、資金運用部の積立金に繰込まれております。資金運用部といたしましては、この年金の金あるいは郵便貯金の金等各方面から資金運用部へ入つております金を収入とし、それに年々資金運用部の運用計画というのがある、これは運用部資金法に基いて資金運用審議会に付議いたしまして運用をきめておるわけでございます。私どもとしては、その意味におきましては、厚生次官がその審議会の委員として参画いたしております。保険料を負担した事業主なりあるいは勤労者が、これの運用について発言権を持つように、資金運用部から運用権をとりもどすようにというようなことにつきましては、実は昨年の社会保険審議会におきましてもさような決議が行われまして、私どもの方にも、あるいはまた大蔵大臣の方にも、その決議書がまわされておるのであります。先ほど柳田先生の御質問にお答え申し上げたように、そういうような方面の御要望があることも承知はいたしておりまするけれども、今日の全体の国家資金の運用という問題、あるいはまた厚生年金の積立金としての運用それ自身の問題から考えまして、今ただちにこの御要望に沿つて、私ども自身がその資金を生み出すということにつきましては、そこまでの結論に到達してないという事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/83
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084・柳田秀一
○柳田委員 ちよつと関連して。先ほどもお尋ねして、大体の原則はわかつたのですが、資金運用部資金の運用に対しても了承しておるのですが、しかしながら、郵便年金のごとく任意のものならまた別の議論になりますが、このように強制的に国家が収奪というとはなはだ語弊がありますが、巻き上げたものの運用に対しては、郵便年金なんかとは根本的に考え方が違うというふうに考えますので、大蔵省の立場として言うなら別だが、少くとも厚生当局がそういうことを言うべきでないと思う。厚生当局としては、今ただちに厚生年金を運用部資金から独立してとりもどしたいというのがあたりまえであつて、局長としてはそういうことは言うべきでないと思うのです。あくまでも厚生省の立場として、こういうように強制的に国家が吸収しておる資金に対して、しかもそれが厚生年金法という、事業者もありますが、労働者の福利施設を増進するという目的を持つたものに対して、そういうような考え方であられることはあぶない。それならば、これの根本的改正をいつの日にか望まんということになるのであつて、このことは局長にもう一度はつきり伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/84
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085・久下勝次
○久下政府委員 柳田先生から大分きついお言葉でございますが、この問題は実は私はそう物事をこだわつて考えておるつもりはないのでありまして、先ほど来きわめて抽象的な言い方で申し上げたのでありますが、非常に大事な将来の資金でございます。一時運用ということは割合に問題は簡単だと思いますが、それを確実に回収し、将来の年金の給付の資金として確保して行くという点につきましては、一応現在のように国家資金として運用しております場合には、国それ自身が責任を負う体制になつておりますので、これを他の方に切り離しまして、はたしてそうした確約が得られるかどうかについては、若干疑念を持つておるのであります。それらの点を考慮いたしまして、多少今までの歴史的ないきさつ等の関係もありますので、今こういう席上で、私としてはそうすべきであるということを申し上げるまでの結論に到達してないということを、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/85
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086・長谷川保
○長谷川(保)委員 今の問題でありますが、これは労働者代表、事業主代表あるいは公益代表の三者構成によつて、この積立金を運用するような機関をすみやかにつくるべきだと思う。前国会におきましても、簡易保険積立金等について国会が決議をいたしまして、資金運用部から郵政省に運用権を奪還するようにいたしたのでありますが、これはわれわれといたしましてはきわめて重大な関心を持つものであつて、そういう三者構成によつて積立金の運用をなすべきだと思いますが、三者構成をつくるということについての当局の意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/86
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087・久下勝次
○久下政府委員 柳田先生のお尋ねと大体同じようなお考えの御質問であります。私どもとしては、資金運用部資金として一括して運用されるということに対して、今お話のありましたような精神でやることに根本的に反対しておる意味ではないのでありまして、現在の制度をかえて執務をいたすまでに、まだ決心がきまつてないということだけなのであります。これは資金運用部資金法にも関連をいたすことでありまして、現在の資金運用部資金法が厳然として存在しております以上、それらの考え方にも考慮をいたさなければならぬと思います。先ほど来申し上げております積立金の確実な運用という問題を、やはり私どもとしてはまず第一義的に考えなければならないことと思つております。そういう意味合いで簡単に決心はつかない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/87
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088・長谷川保
○長谷川(保)委員 私は、そういう御趣旨の心配は必要ないと思う。そういうことは大蔵大臣にまかせておけばいいのだから、厚生省は大いに闘つてもらいたいと思います。
それはそこまでとして、この十一月から坑内夫の老齢年金の給付が始まるわけでありますが、これに対しましてすみやかに対策を立てなければならぬという事情に差迫つておりますが、厚生省はそれに間に合うような確実な対策があるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/88
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089・久下勝次
○久下政府委員 厚生年金保険の根本改正につきましては、前に申し上げたような事情でありまして、今確信があるかといわれますと、その辺実は国会の会期等の関係もございますので、私どもだけで自信を持つたお答えをいたしかねますけれども、ただ私どもの気持としては、もちろん十一月から開始される坑内夫に対する年金を現行制度でやる考えは毛頭ありません。これは法律的な措置も講じまして十一月からの新たなる受給者に対する年金額は、新しい構想によつてきめられたものを支給できめるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/89
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090・長谷川保
○長谷川(保)委員 先ほど伺つた本年度の支出の五十九億という額についてですが、今の抗内夫の養老年金を、まさか今まできまつておるような行き方ではなしに、先ほどのお話のように、多分これは相当大きく手を入れて給付額をおきめになると思うのでありますけれども、この五十九億と抗内夫の年金とはどういう関係になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/90
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091・久下勝次
○久下政府委員 予算総額五十九億の中の積算の基礎には、新しい給付額を基礎とした計算はいたしてございません。しかし当初私どもの方で立案いたしました、先ほど御紹介申し上げたあの程度の給付をするといたしましても、先ほどちよつと申し上げたような六億余の予備金が計上してありますので、そういう関係から支出の点におきましては、現在組まれておる予算総額で、ある程度の改正は十分まかなえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/91
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092・柳田秀一
○柳田委員 ちよつと関連して資料の要求をしておきます。十一月に抗内夫の養老年金が開始されるのであります。そこで大体年額どれぐらいの金額のものかは、お尋ねせぬことにいたします、いずれ厚生省としても、本法の不備な点を十分御認識になつておるのでありますから、少くとも良心的な数字が出て来るものと期待しておりまするが、次会までにひとつ参考資料として、これは委員長に要求をしておきたいのですが、これは十七年からかけておるのでありますから、この抗内夫並びに事業主がかけた額、これをかりに当時から引続き民間の五大保険会社といいますか、その平均で、そういうふうにかけたとするならば、大体どれぐらいの年金が普通の民間保険会社では下つて来るか。これは逆に算定しなければならぬのですから、おかしな話でありますけれども、そういうような資料をひとつあわせていただきたい。こことにこの年金に対しては、脱退等に対して、非常に厳格な条件が加わつておる。女子等に対しては多少の規定もありますが、職場等がかわつたときはかけ捨てになる。年限においてもかけ捨てになるというふうな、民間の生命保険等よりも相当シビヤーな条件がついておるのでありますから、そういう年金等をきめられる場合には、民間の保険給付よりもさらにそれだけ上まわつた有利な給付額になつてしかるべきだと思う。それは意見でありますが、少くとも今まで十一年間かけられたその掛金に対して、これくらいかけたものならば、これくらい反対給付というか、そういう年金が、民間の保険会計を参照するなら当然出て来るだろうという額を、ひとつ参考に御提出を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/92
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093・長谷川保
○長谷川(保)委員 この厚生年金の積立金は非常に大きな問題をはらんでいるのでありまして、ある学者などの計算によれば、二、三十年後に積立金のピークにおきましては二兆数千億円というようなものに達するときが来るであろう。そういたしますと今日の日本全体の銀行の総預金の二倍にも近い大きな額になると考えられるわけであります。従つてそこから日本の資本主義がくずれるかもしれぬというような考えさえもしている人があるのでありまして、非常に重要な問題を含んでいるのでありますから、たいへん長い時間をいただきましたけれども、なおこの保険の点につきまして十分伺つておかなければならぬ点がありますので、今日は質問を留保いたしまして、一応終りたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/93
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094・小島徹三
○小島委員長 次に、九州地区の水害による災害救助並びに衛生問題等について発言を求められておりますので、これを許可いたします。中野四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/94
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095・中野四郎
○中野委員 この際伺つておきたいのですが、去る六月二十五日来九州地方における災害について、新聞等によつて伝えるところによりますれば、まことに実害大にして憂慮にたえないところがあるのであります。従つてその実情と、厚生省としての対策について、詳細に説明を求めたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/95
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096・楠本正康
○楠本政府委員 まず被害状況から御説明を申し上げたいと存じますが、本日午前六時現在におきまして、まず福岡県におきましては雨量四百ミリ、被害者を見ますと死亡者が四十五、行方不明三百一、負傷者が三十三名でございます。次に家屋の損害は流失家屋が百七十九戸、全壊家屋が四十八、半壊家屋三百三十四戸に及んでおります。なお床上浸水をいたしましたものが四万九千六百二十二戸、床下浸水は五万六千五百十三戸となつております。次に罹災者の人口総数は四十二万人と概算をされております。
次に熊本県でありますが、まだ情報が入つておりませんで、熊本市の状況は雨量が三百四十ミリ、死亡者二十三、行方不明が四十七、負傷者が十八名、家屋の損害につきましては全壊が四十一戸、半壊が三十、流失家屋四十五戸、床上架水が二千六百二戸、床下浸水は四千六百三十九戸に及んでおります。なお被害人口は熊本市全市民に及んでおります。
次に佐賀県の被害状況を見ますと、死亡者二十五名、負傷者その他数字はまだはつきりいたしておりません。全壊戸数が六十二戸、流失戸数は五十一戸、半壊が百十八戸、なお浸水状況は床上浸水が一万四千五百七十五戸、床下浸水が三万七千三百五十戸という数字でございます。
なおその他の県はまだ今朝になりましても情報が入つておりません。
これに対して目下各県はあげて善後措置を講じておりますが、厚生省といたしましては、この場合一般罹災者の救済につきましては、社会局が担当いたします。なお緊急その他の対策につきましては衛生当局がこれを担当いたしております。
そこでただいままで実施をしております状況を御報告申し上げます。衛生関係につきましては、目下現地におきまして災害を受けない隣接地区から多数の応援を得て対策に当つております。目下主力を安全な水の供給とたき出しその他によります、安全な臨時の給食に尽しております。この両者ともそのためにしばしば伝染病その他の被害が起きますので、さようなことのないように十分注意をいたしまして、水の供給と食糧の供給を行つております。なお目下各隣接府県等から、救援のための食料品が運ばれておりますが、これらは衛生当局が厳重に監督をいたしまして、その安全を期すると同時に、それらの配給による不衛生を除去することに努めております。
なお目下若干水が減少しつつあるそうでありますが、この場合まず井戸の消毒並びに便所の消毒等を行うべく、薬品その他の準備を整えております。従いまして、水が引き次第、ただちに井戸、便所等の消毒を行いまして、さらに水が引いてからのいろいろな衛生上の取扱いについて、目下パンフレツトその他の用意をいたしまして、仕事を進めております。なお間もなく人心が落着いて来る見込みでありますので、できるだけすみやかに腸パラ・ワクチン等の予防接種を行うべく準備を進めております。なおすでに福岡県におきましては、とりあえずこれらの対策に県費一千万円を計上いたしまして、対策に当つておる次第であります。なお厚生省からも係官を現地に派遣いたしまして、これらの指導に当つておる次第でございます。
なお社会局関係の救済事業につきましては、鶴田説明員から説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/96
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097・鶴田寛
○鶴田説明員 私は社会局の施設課長であります。社会局が担当いたしております関係だけについて申し上げたいと思いますが、実はけさ安田社会局長が八時の飛行機で現地に参りました。なお中央におきましては、きよう正午から関係各省が集まりまして、これの対策の打合せを行う次第でございます。
さしあたりの問題といたしましては、まず衣料の問題があるかと思つておるのでございますが、まだ現地の方からこれだけ必要だというような連絡が参りませんので、まだ物を送るまでには至つておらないのでありますが、準備は向うからの連絡があり次第、すぐ送り出せるように整えてございます。たき出しその他の民生関係につきましては、現地におきまして滞りなくやつているという情報が、先ほど参りましたので、私どもは一応その点につきましては安心している次第でございます。社会局長が間もなく向うへ着くことと思いますが、さらに具体的に私の方にもいろいろ指示があることになつておりますので、現在の状態では、その具体的な連絡を、私どもは待つている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/97
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098・中野四郎
○中野委員 御報告を受けますと、まことに近来まれに見る災害状況でありまして、しかもその死亡あるいは負傷者等の率を見ますと、ここ数十年来に例を見ないような大きな災害と申しても過言でないと思うのであります。従つて、関係当局の方においては、むろんこの点について留意せられて、万全を期しておられると思います。特に災害の中でも、水害の跡というものは、その跡始末であるところの衛生施設と救護方法に万全を期さなければならぬのでありますが、従来の災害あるいは水害等の例を見ますと、報告等は一応整つて募りますが、はなはだ実情に即せず、しかも遺憾の点が多々あるのであります。このことは、おそらく関係当局においてもよく了承しておられるところであろうと思うのであります。従つて、今回の北九州地方を襲いましたこの水害の跡始末については、従来の例に習わず、ひとつ万全を期して、徹頭徹尾遺憾のないように努力していただきたいということを要望します。
同時に、この際委員長にお願い申し上げますが、このような大きな災害について、厚生省方面が万全の力をいたしていることは一応了といたしますけれども、先ほども申し上げたような従来の例から見て、なかなか遺憾の点が多々あるのであります。いわんや厚生委員会においては、この点について十二分に留意して、理事会に諮られて、委員を急遽派遣して、厚生省とともにこの万全を期すということをお諮り願いたいと思います。この点をお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/98
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099・小島徹三
○小島委員長 中野君に申し上げます。御意見に従つて理事会でよく相談した上決したいと思います。
他に本件について御発言をなさる方はございませんか。——他に本件についての御意見もないようでございますから、本日はこの程度にして、次回は明後二十九日月曜日午前十時より開会いたします。
本日はこれをもつて散会いたします。
午後零時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604237X00819530627/99
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